JP6574673B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
現在、プロセスカートリッジや電子写真装置に用いられる電子写真感光体としては、有機光導電性物質(以下、電荷発生物質と称する)を含有する電子写真感光体が主流である。電子写真感光体は、一般的に、支持体および支持体上に形成された感光層(電荷発生層、正孔輸送層)を有する。さらに、支持体と感光層との間に下引き層が設けられていることが多い。
近年、電荷発生物質は、より高い感度を有するものが用いられている。しかしながら、電荷発生物質が高感度化するのに伴い、電荷の発生量が多くなることで電荷が感光層中に滞留しやすく、ポジゴーストが発生しやすい。このようなポジゴーストを抑制する技術として、特許文献1には下引き層が、電子輸送物質、架橋剤および樹脂とを含む組成物を重合させて得られる重合物(硬化物)を含有させることが記載されている。また、特許文献2、特許文献3には、下引き層に電子輸送物質を含有させる技術が記載されている。また、下引き層に電子輸送物質を含有させるときに、下引き層の上層である感光層形成時に電子輸送物質が感光層用塗布液中の溶剤に溶出しないように、下引き層を硬化させる技術が記載されている。
特開2014−29480号 特開2007−148294号 特開2008−250082号
上記従来の下引き層は、現在、求められている画像品質を満足している。
近年、さらなる高画質化が求められており、有効な方法として正孔輸送層の薄膜化が挙げられる。これは、正孔輸送層を薄膜化することにより、静電潜像形成時の電荷の拡散を抑制できるからである。
本発明者らの検討の結果、正孔輸送層を薄膜化し、特許文献1の下引き層を用いた場合、暗減衰が増大する現象がみられたが黒ポチなどの画像欠陥の発生を抑えることは可能であることがわかった。しかしながら、正孔輸送層を薄膜化するほど、感度が著しく低下する現象が生じる場合があり、さらなる高画質化に対して改善の余地があることがわかった。
また、ポジゴースト低減に関して、本発明者らの検討の結果、特許文献2、特許文献3に記載された技術では、ポジゴーストの抑制(低減)、特に連続画像出力前後でのポジゴーストレベルの変動分に関して、まだ改良の余地があるものであった。
本発明の目的は、正孔輸送層を薄膜化しても、黒ポチなどの画像欠陥の発生を抑制し、かつ感度を向上させた電子写真感光体ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。また、本発明の別の目的は、ポジゴーストが抑制された電子写真感光体、ならびに、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
本発明に係る第一の態様は、積層体、該積層体上に形成された正孔輸送層を有する電子写真感光体であって、
該積層体が、支持体、該支持体上に形成された膜厚がd1(μm)である下引き層、該下引き層上に形成された膜厚がd2(μm)である電荷発生層を有し、
該正孔輸送層の膜厚が15μm以下であり、
該下引き層が、式(1)で示される電子輸送物質、架橋剤および重合性官能基を有する熱可塑性樹脂を含む組成物の重合物を有し、
−X−Z (1)
(式(1)中、
およびZは、電子輸送性を有する基を示す。
Xは連結基を示し、該連結基は置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換の複素環基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のメチレン基をRに置き換えて導かれる基を示す。Rは、酸素原子、硫黄原子、SO、NR、CO、または置換若しくは無置換のアリーレン基を示す。Rは、水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。
、Z、およびXの少なくとも1つが、重合性官能基を有し、該重合性官能基が、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、またはメトキシ基である。)
該積層体の該電荷発生層をコロナ帯電で帯電させてから1.0秒後の該電荷発生層の表面電位が、式(4):Vd1=−100×(d1+d2)
に基づいて決定されるVd1になるような帯電条件Cにて帯電を行った場合に、帯電から0.80秒後の該電荷発生層の表面電位Vd2が、
式(2)0.20≦|Vd2−Vd1|≦2.0
を満足し、かつ、
波長780nmのレーザー光を1マイクロ秒間露光してから0.04秒後の該積層体の該電子写真感光体の表面電位が、該Vd1(V)に対して20%減衰する値となるようにNDフィルターによって強度を調整した光を光Eとしたときに、
該光Eを表面電位がVd1(V)に帯電した該積層体の該電荷発生層の表面に露光し、該電荷発生層の表面電位の時間変化から求めた走行時間τ(ms)
式(3)τ≦10
を満足することを特徴とする電子写真感光体である。
本発明に係る第二の態様は、支持体、該支持体上に形成された下引き層、および該下引き層上に形成された感光層を有する電子写真感光体であって、
該下引き層が、下記(i)または(ii)の重合物を含有することを特徴とする電子写真感光体に関する。
(i)式(11)で示される化合物の重合物、
(ii)式(11)で示される化合物および架橋剤を含有する組成物の重合物。
Figure 0006574673
式(11)中、XおよびXは、それぞれ独立に、置換または無置換の芳香族テトラカルボン酸から4つのカルボキシル基を除いた残基を示す。該残基が置換基を有する場合、該置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基である。
Yは、重合性官能基を有する置換若しくは無置換のアルキレン基、または重合性官能基を有する置換若しくは無置換のアリーレン基を示す。
およびRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基のメチレン基が酸素原子に置き換わって導かれる基、置換若しくは無置換のアルキル基のメチレン基が硫黄原子に置き換わって導かれる基、置換若しくは無置換のアルキル基のメチレン基がNR9に置き換わって導かれる基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換の複素環基、またはアルコキシカルボニル基を示す。RおよびRは、重合性官能基を有してもよい。但し、前記酸素原子、硫黄原子、及びNR9は、RおよびRが結合する窒素原子に直接結合しない。
また、本発明は、上記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジに関する。
また、本発明は、上記電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする電子写真装置に関する。
本発明に係る第一の態様によれば、正孔輸送層を薄膜化しても、黒ポチなどの画像欠陥の発生を抑制し、かつ感度が向上させた電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することができる。
本発明に係る第二の態様によれば、ポジゴーストが抑制された電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
本発明の判定法を実施するための判定装置の概略構成の一例を示す図である。 本発明の判定法を実施するための判定装置の概略構成の別の例を示す図である。 図3Aは、式(2)を説明するための図である。図3Bは、式(3)を説明するための図である。 図4(A)および(B)は、本発明の判定法で帯電、光量設定できない比較例を示す図である。 式(4)を説明するための図である。 従来の電子写真感光体を本発明の判定法で測定した比較例を示す図である。 電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す図である。 研磨装置の断面概略図である。 ゴースト評価用画像(ゴースト評価用印字)を説明する図である。 1ドット桂馬パターン画像を説明する図である。
第一の態様の電子写真感光体は、積層体、積層体上に形成された正孔輸送層を有する。積層体は、支持体、支持体上に形成された下引き層、下引き層上に形成された電荷発生層を有する。下引き層の膜厚がd1(μm)であり、電荷発生層の膜厚がd2(μm)であり、正孔輸送層の膜厚が15μm以下である。
そして、下引き層は、式(1)で示される電子輸送物質、架橋剤および重合性官能基を有する熱可塑性樹脂を含む組成物の重合物を有する。
−X−Z (1)
(式(1)中、
およびZは、電子輸送性を有する基を示す。
Xは連結基を示し、該連結基は置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換の複素環基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のメチレン基をRに置き換えて導かれる基を示す。Rは、酸素原子、硫黄原子、SO、NR、CO、または置換もしくは無置換のアリーレン基を示す。Rは、水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。
、Z、およびXの少なくとも1つが、重合性官能基を有し、重合性官能基が、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、またはメトキシ基である。)
そして、積層体が、コロナ帯電で該電荷発生層を帯電させてから1.0秒後の該電荷発生層の表面電位をVd1とし、0.80秒後の該電荷発生層の表面電位をVd2としたとき、前記Vd1およびVd2が、式(2)および式(4)を満たすことを特徴とする。
0.20≦|Vd2−Vd1|≦2.0 (2)
Vd1=−100×(d1+d2) (4)
また、同時にτが式(3)を満たすことを特徴とする。
τ≦10 (3)
τは、露光してから0.04秒後の該電荷発生層の表面電位がVd1(V)に対して20%減衰するように強度を設定した光を表面電位がVd1(V)に帯電した該電荷発生層の表面に露光して、電荷発生層の表面電位の時間変化から求めた走行時間(ms)を示す。
本発明者らは、正孔輸送層の膜厚を薄膜にしたとき、下引き層が上述の重合物を含有し、かつ、積層体が式(2)および式(3)を満足することにより、黒ポチの発生を抑制しつつ、感度の低下が抑制される理由を以下のように推測している。
支持体、支持体上に下引き層、電荷発生層、正孔輸送層をこの順に設けてなる電子写真感光体の場合、露光光(画像露光光)が当たった部分では、電荷発生層で発生した電荷(正孔、電子)のうち、正孔は正孔輸送層に注入され、電子が下引き層に注入される。その後、下引き層に注入された電子は、さらに、支持体へ移動すると考えられている。したがって、正孔輸送層を薄膜化することで、下引き層、電荷発生層、正孔輸送層にかかる電界強度は高まる。特許文献1に記載の重合性官能基を有する電子輸送物質、架橋剤および樹脂を含む組成物の重合物を含有させた下引き層では、均一な膜が形成されているため黒ポチなどの画像欠陥は生じていなかった。しかしながら、正孔輸送層を薄膜化するほど、電界強度が高くなり、感度が著しく低下する現象が発生する場合があった。特に、そのような現象は、正孔輸送層の膜厚が15μm以下で顕著に発生する傾向にあった。
そこで、式(4)に示すように単位膜厚あたりの電界を高めた場合に表面電位の時間変化をみると図5に示すように暗減衰が大きくなり、そのことが露光後の減衰に影響を及ぼしていると考えた。暗減衰が大きいことによって、感度の低下が生じる理由としては、電荷発生層で発生する熱キャリアの影響を無視できなくなり、光キャリアの移動を阻害するためと推測している。一方で、式(2)および式(3)を満足することによって、熱キャリアの発生下においても感度の低下が抑制された下引き層が得られていると推測している。
さらに、式(1)で示される電子輸送物質、架橋剤および重合性官能基を有する熱可塑性樹脂を含む組成物の重合物を有する下引き層によって式(2)および式(3)を満足することが可能となった理由を次のように推測している。電子移動を阻害する因子の一つとして、電子移動物質(電子輸送物質)の隣接分子間での深いトラップの形成がある。高電界下において、このトラップに熱キャリアが多量に入り込み下引き層中に存在することとなる。すなわち、下引き層中にトラップに入り込んだ熱キャリアが光キャリアの移動を妨げると考えている。そして、このトラップは電子移動機能を持たない樹脂や不純物に由来するため、電子移動機能を持った部位と電子移動機能を持たない部位が下引き層中にどのように形成されているかがトラップの存在、およびトラップ存在下の電子移動には重要だと考えられる。したがって、本発明の下引き層の構成により、重合物の形成と、電子輸送物質の隣接分子間が構造的に適切な距離に保たれたことにより、熱キャリアがトラップに入り込むことを抑制し、かつトラップの存在下においても電子移動の妨げを抑制できると考えている。
以下、下引き層の構成と、式(2)および式(3)について説明する。まず、電子写真感光体が、本発明の式(2)および式(3)を満足するか否かを判定する判定法(以下「本発明の判定法」とも称する。)について説明する。
本発明の判定法を行うときの温度および湿度条件は、電子写真感光体を有する電子写真装置を使用する環境下であればよい。好ましくは、常温常湿環境下(23±3℃、50±2%RH)環境下である。
上記測定法は、支持体、支持体上に形成された下引き層、および下引き層上に形成された電荷発生層を有する積層体を用いて行われる。
下引き層が、電子輸送物質を含有させた下引き層である場合、上層である電荷発生層用塗布液および正孔輸送層用塗布液を塗布して電荷発生層および正孔輸送層を形成する時に、電子輸送物質が溶出してしまう場合がある。このような電子写真感光体では電子輸送物質が溶出しているため、本来の下引き層の電子の移動を十分に評価できないと考えられる。
したがって、下引き層上に電荷発生層および正孔輸送層を形成した後に、正孔輸送層を剥離した下引き層および電荷発生層を有する積層体で判定することが必要である。
また、電子輸送物質が顔料として含有されている下引き層や、金属酸化物粒子が分散されている下引き層のような均一性の低い下引き層は、黒ポチが生じやすい。このように黒ポチが発生する下引き層は、本発明の判定法において、Vd1に帯電することができない場合がある。このことから、正孔輸送層を剥離した後の積層体をVd1に帯電可能であれば、黒ポチが抑制できると考えられる。
そのため、積層体、および積層体上に形成された正孔輸送層を有する電子写真感光体から、正孔輸送層を剥離して、これを判定対象として用いることが好ましい。正孔輸送層を剥離する方法としては、正孔輸送層を溶解し、かつ下引き層および電荷発生層に難溶な溶媒を用いて電子写真感光体を浸漬し正孔輸送層を剥離する方法と、正孔輸送層を研磨する方法などが挙げられる。
正孔輸送層を溶解し、かつ下引き層および電荷発生層が難溶な溶媒としては、正孔輸送層用塗布液に用いる溶媒を用いることが好ましい。その溶剤の種類は、後述する。この溶媒中に電子写真感光体を浸漬させて正孔輸送層を溶媒に溶解させ、その後乾燥させることにより上述の積層体を得ることができる。正孔輸送層が剥離できていることは、例えば、FTIR測定方法の中のATR法(全反射測定法)によって正孔輸送層の樹脂成分が観測されないことにより確認することができる。
また、正孔輸送層を研磨する方法としては、例えば、ドラム研磨装置にてラッピングテープ(C2000:富士写真フィルム(株)製)を用いて行う。研磨装置の断面概略図を図8に示す。ラッピングテープ802は送り出しローラー803から送り出されて巻き取りローラー804によって巻き取られ一定の速度で移動する。このラッピングテープ802は、ゴムローラー805によって押しつけられて電子写真感光体801を研磨している。ゴムローラー805は振動させることによって、表面全域に短時間で均一に研磨することができる。このとき、正孔輸送層を研磨しすぎて電荷発生層まで研磨しないように膜厚を順次測定し、電子写真感光体の表面を観察しながら正孔輸送層がすべてなくなるところで測定するのが好ましい。また、電荷発生層まで研磨して、電荷発生層の膜厚が0.10μm以上ある時は、電荷発生層までは研磨しない場合と比較しても、上述の測定法でほぼ同じ値が得られることが確認されている。したがって、正孔輸送層だけでなく電荷発生層まで研磨しても、電荷発生層の膜厚が0.10μm以上ある場合は、上述の測定法を用いることができる。
図1に、本発明の判定法を実施するための判定装置の概略構成の一例を示す。円筒状の積層体101は矢印方向に回転駆動され、パルス光103Lを透過する透明プローブ104Pの位置で停止する。停止した時点から積層体101の電荷発生層の表面の表面電位を測定する電位計104および透明プローブ104Pによって積層体101の表面電位が測定される。その後、パルスレーザー光を発振する装置(像露光発振装置)103から発振されたパルス光(像露光光)103Lが透明プローブ104Pを通して積層体101に露光され、電荷発生層の表面電位の時間変化が測定される。
図2に、本発明の判定法を実施するための判定装置の概略構成の別の例を示す。シート状の積層体201は矢印方向に駆動され、パルス光203Lを透過する透明プローブ204Pの位置で停止する。停止した時点から積層体201の電荷発生層の表面の表面電位を測定する電位計204および透明プローブ204Pによって積層体201の表面電位が測定される。その後、パルスレーザー光を発振する装置(像露光発振装置)203から発振されたパルス光(像露光光)203Lが透明プローブ204Pを通して積層体201に露光され、電荷発生層の表面電位の時間変化が測定される。
コロナ帯電器102(202)による帯電と、パルス光103L(203L)の光照射(露光とも称する)との間の時間が1.00秒になるように、コロナ帯電器の位置、露光の位置、および積層体の移動速度が設定される。コロナ帯電器102(202)は、一定の電位を与える特性を持つスコロトロン帯電器が用いることが好ましい。パルス光103L(203L)には、波長780nm、パルス幅1μsのレーザーパルス光を用い、光量の調整はNDフィルターによって行うことが好ましい。つまり、露光の時間は、1μs(マイクロ秒)である。
次に、式(2)〜式(4)について説明する。
図3Aおよび図3Bは、式(2)および式(3)のVd1、Vd2、τを説明するための図である。
以下の帯電条件Cおよび光Eは、電子写真感光体が式(2)および(3)を満足するか否かを判定する前に決定する。
<帯電条件C>
積層体の電荷発生層の表面を帯電する条件を以下ようにする。コロナ帯電器による帯電から1.00秒後の電荷発生層の表面の表面電位が式(4)で示されるVd1(V)となるように、コロナ帯電器に印加するグリッド電圧の値、放電ワイヤの電流の値を調整する。このグリッド電圧の値、放電ワイヤの電流の値を帯電条件Cとする。
Vd1=−100×(d1+d2) (4)
<光E>
帯電条件Cによって、電荷発生層の表面電位を式(4)で示されるVd1(V)となるように電荷発生層の表面を帯電する。そして、波長780nmのレーザー光を1マイクロ秒間露光してから0.04秒後の電子写真感光体の表面電位がVd1(V)に対して20%減衰するように光の強度をNDフィルターによって調整する。この強度を設定した光を光Eとする。
図3Aは、上記の帯電条件Cで帯電させ、帯電から1.00秒後に上記光Eを照射したときの積層体101の電荷発生層の表面電位の時間変化を示した減衰曲線の図である。Vd2は帯電から0.80秒後の電荷発生層の表面電位、すなわち電荷発生層の表面電位がVd1(V)に帯電した時間から0.20秒前における電荷発生層の表面電位である。また、光Eで電荷発生層の表面を露光するときから0.20秒前における電荷発生層の表面電位である。本発明では、図1および図2に示す方法で、積層体101が停止してから積層体101の電荷発生層の表面の表面電位を測定する。そのため、コロナ帯電器による帯電直後は、積層体101が駆動していて、積層体101の電荷発生層の表面の表面電位を測定できない。したがって、式(2)で示す暗減衰量の測定は、積層体101が停止している状態で行う必要がある。そこで、本発明では、コロナ帯電器による帯電から0.80秒後から1.00秒後までの0.20秒間で、表面電位の測定を行っている。
以上のよう帯電条件Cおよび光Eの強度を設定することにより、Vd2とτの測定が可能となる。
上記帯電条件Cおよび光Eの強度が設定できない場合は、本発明の判定法を満たすことができない。図4Aは、帯電条件Cが設定できない例を示す図であり、実線で示された比較例では、帯電条件Cが設定できない。これは、電荷発生層の帯電能が十分でないために帯電から1.00秒後の電荷発生層の表面電位が、式(4)で示されるVd1(V)となるように帯電することができない例である。
図4Bは光Eが設定できない例を示す図であり、実線で示された比較例では、光Eが設定できない。これは、電子移動機能が十分ではないために光の強度を大きくしても、露光してから0.04秒後の電荷発生層の表面電位がVd1(V)の20%減衰することができない例である。
式(4)に示すVd1(V)は、膜厚d1である下引き層と膜厚d2である電荷発生層との合計膜厚(μm)に対して、単位膜厚(μm)あたり−100Vになるように電荷発生層の表面電位を設定することを意味する。
式(2)中の|Vd2−Vd1|が示すものは、十分に強い電界が積層体にかかった場合の暗減衰量である。図5には単位膜厚あたりの電界と0.2秒間(0.2s)における暗減衰量を示した図である。電界強度が−70〜−80V/μmぐらいから急激に暗減衰量が増加しているのがわかる。
0.2≦|Vd2−Vd1|≦2.0 (2)
単位膜厚あたり−100Vという表面電位は、正孔輸送層の薄膜化で生じる積層体にかかる電界の増加を想定した場合に、十分に強い電界である。
式(3)は、表面電位がVd1(V)の電荷発生層の表面に、上記光Eで露光をおこない、その電荷発生層の表面電位の時間変化から求めた走行時間τ(ms)を示す。走行時間τは、特開2006−251554号公報などに記載のXTOF(Xerographic TOF)法と、電子写真学会誌 第22巻 第1号(1983)69頁〜76頁を参照して求める。具体的には、電荷発生層の表面電位の時間変化を示した減衰曲線(図3A)を露光時(0秒)から0.1秒後(100ミリ秒後)までの間で表面電位の時間微分との関係を対数変換し、図3Bに示す波形を得る。この図3Bに示す波形を2つの直線で構成されているものとみなし、この2つの直線を最小二乗法により直線近似により得る。最小二乗法により直線近似により得られた2つの直線の交点の露光時から経過した時間をτ(走行時間 transit time)とする。得られた波形に折れ曲り点が明確にない場合には露光時から0.1秒後以降も対数変換することで走行時間を求めることができる。
式(3)中の走行時間τが示すものは、露光直後、電荷発生層で発生した電子が下引き層に注入して下引き層中を移動し、支持体まで到達する時間を表す値である。τが小さい場合、電子が支持体まで到達する時間が短く、電子写真感光体としては感度が高いことを意味する。τが大きい場合、電子が支持体まで到達する時間が長く、電子写真感光体としては感度が低いことを意味する。本発明においては、τが10以下であれば、高い感度が得られる。さらに、式(5)を満たすτが、より好ましい。
0.01≦τ≦2 (5)
以上のことから、式(2)および式(3)を満たすものは、強い電界がかかることで暗減衰が大きくなっても、電子の移動が速く、十分に高い感度を有していることを表現している。
本発明に係る第二の態様は、支持体、該支持体上に形成された下引き層、および該下引き層上に形成された感光層を有する電子写真感光体である。そして、下引き層が、下記(i)または(ii)の重合物を含有することを特徴とする電子写真感光体に関する。
(i)式(11)で示される化合物の重合物、
(ii)式(11)で示される化合物および架橋剤を含有する組成物の重合物。
Figure 0006574673
式(11)中、XおよびXは、それぞれ独立に、置換または無置換の芳香族テトラカルボン酸から4つのカルボキシル基を除いた残基を示す。該残基が置換基を有する場合、該置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基である。
Yは、重合性官能基を有する置換若しくは無置換のアルキレン基、または重合性官能基を有する置換若しくは無置換のアリーレン基を示す。
およびRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、置換若しくは無置換の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基のメチレン基が酸素原子に置き換わって導かれる基、置換若しくは無置換の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基のメチレン基が硫黄原子に置き換わって導かれる基、置換若しくは無置換の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基のメチレン基がNR9に置き換わって導かれる基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換の複素環基、またはアルコキシカルボニル基を示す。RおよびRは、重合性官能基を有してもよい。但し、前記酸素原子、硫黄原子、及びNR9は、RおよびRが結合する窒素原子に直接結合しない。
本発明に係る重合物を含有する下引き層を有する電子写真感光体が、ポジゴーストの抑制効果に特に優れる理由について、本発明者らは、以下のように推測している。本発明の化合物は2つの電子輸送部位の間に、スペーサーを有する。また、スペーサーに重合性官能基を有するため、化合物の中心を軸に重合し、等間隔に2つの電子輸送部位が存在し、且つ、重合物に満遍なく電子輸送部位が存在すると考えられる。そのため、分子間ホッピングによる電子の輸送が向上し、電子の滞留が原因で起こるポジゴーストに対し高い抑制効果が生じると考えている。
〔下引き層〕
下引き層には、式(1)で示される電子輸送物質、架橋剤および重合性官能基を有する熱可塑性樹脂を含む組成物の重合物を有する。また該重合物は、式(1)で示される電子輸送物質が、上記(i)または(ii)の重合物を含んでも良い。
式(1)で示される電子輸送物質のZおよびZにおいて、電子輸送性を有する基は、電子輸送性を有する構造を有する基を意味する。電子輸送性を有する構造としては、例えば、キノン構造、イミド構造、ベンズイミダゾール構造、シクロペンタジエニリデン構造が挙げられる。
以下に、電子輸送性を有する基の具体例を示す。式(A1)〜(A10)のいずれかで示される基が挙げられる。
Figure 0006574673
Figure 0006574673
式(A1)〜(A10)中、R101〜R106のいずれか1つ、R201〜R210のいずれか1つ、R301〜R308のいずれか1つ、R401〜R408のいずれか1つ、R501〜R510のいずれか1つ、R601〜R606のいずれか1つ、R701〜R708のいずれか1つ、R801〜R810のいずれか1つ、R901〜R910のいずれか1つ、またはR1001〜R1008のいずれか1つはXと結合する結合手(単結合)を示す。
式(A1)〜(A10)中、R101〜R106、R201〜R210、R301〜R308、R401〜R408、R501〜R510、R601〜R606、R701〜R708、R801〜R810、R901〜R910、R1001〜R1008は、それぞれ独立に、単結合、式(A)で示される基、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基、または置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中のメチレン基の1つがRに置き換えて導かれる基を示す。Rは、酸素原子、硫黄原子、またはNR1101(R1101は、水素原子またはアルキル基)を示す。
置換のアルキル基の置換基は、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、またはアルコキシカルボニル基である。置換のアリール基の置換基、置換の複素環基の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、またはアルコキシ基である。
201、Z301、Z401及びZ501は、それぞれ独立に、炭素原子、窒素原子、又は酸素原子を示す。Z201が酸素原子である場合はR209及びR210は存在せず、Z201が窒素原子である場合はR210は存在しない。Z301が酸素原子である場合はR307及びR308は存在せず、Z301が窒素原子である場合はR308は存在しない。Z401が酸素原子である場合はR407及びR408は存在せず、Z401が窒素原子である場合はR408は存在しない。Z501が酸素原子である場合はR509及びR510は存在せず、Z501が窒素原子である場合はR510は存在しない。
Figure 0006574673
式(A)中、α、β、及びγの少なくとも1つは重合性官能基を有する基である。重合性官能基は、上述の通り、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基またはメトキシ基である。l及びmは、それぞれ独立に、0又は1であり、lとmの和は、0以上2以下である。
αは、主鎖の原子数が1〜6の置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のメチレン基の1つをRに置き換えて導かれる基、これらの基は、重合性官能基を有しても良い。Rは、酸素原子、硫黄原子、またはNR1102(R1102は、水素原子、又はアルキル基を示す。)を示す。該置換のアルキレン基の置換基は、炭素数1〜6のアルキル基、ベンジル基、アルコシキカルボニル基、またはフェニル基を示す。
βは、フェニレン基、炭素数1〜6のアルキル置換フェニレン基、ニトロ置換フェニレン基、ハロゲン原子置換フェニレン基、又はアルコキシ基置換フェニレン基を示す。これらの基は、重合性官能基を有しても良い。
γは、水素原子、主鎖の原子数が1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアルキル基の主鎖中のメチレン基の1つをRに置き換えて導かれる基を示す。これらの基は、重合性官能基を有しても良い。該置換のアルキル基の置換基は、炭素数1〜6のアルキル基を示す。Rは、酸素原子、硫黄原子、またはNR1103(R1103は、水素原子又はアルキル基を示す。)を示す。
以下に、式(A1)〜(A10)のいずれかで示される基の具体例を示す。表中、A及びAは、式(A)で示される基である。表中、γが「−」である場合は、水素原子を示し、そのγの水素原子は、α又はβの欄に示す構造に含めて表示する。表中、「*」は、Xと結合する結合手(単結合)を示す。
Figure 0006574673
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Xは連結基を示し、該連結基は置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換の複素環基、置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のメチレン基をRに置き換えて導かれる基を示す。Rは、酸素原子、硫黄原子、SO、NR、CO、または置換もしくは無置換のアリーレン基を示す。Rは、水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。置換のアルキレン基の置換基、置換のアリーレン基の置換基、および置換の複素環基の置換基は、アルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン基などが挙げられる。
以下にXの具体例を示す。表11中、点線はZおよびZと結合する結合手を表す。
Figure 0006574673
Figure 0006574673
以下に式(1)で示される電子輸送物質の具体例を表12に示す。表12中、Xが「−」である場合は、単結合を表す。
Figure 0006574673
式(1)で示される電子輸送物質が有する重合性官能基は、重合性官能基を少なくとも1つ以上有し、特に重合した際に網目構造の形成が促進されるため、2つ以上有することが好ましい。
(A1)で示される基を有する式(1)で示される電子輸送物質の部分構造は、例えば、米国特許第4442193号公報、米国特許第4992349号公報、米国特許第5468583号公報、Chemistry of materials,Vol.19,No.11,2703−2705(2007)に記載の公知の合成方法を用いて合成することが可能である。また、東京化成工業(株)、シグマアルドリッチジャパン(株)やおよびジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から購入可能なナフタレンテトラカルボン酸二無水物とモノアミン誘導体との反応で合成可能である。
(A2)で示される基を有する式(1)で示される電子輸送物質の部分構造は、例えば、東京化成工業(株)、シグマアルドリッチジャパン(株)又はジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から購入可能である。また、フェナントレン誘導体又はフェナントロリン誘導体を基に、Chem.Educator No.6,227−234(2001)、有機合成化学協会誌,vol.15,29−32(1957)、有機合成化学協会誌,vol.15,32−34(1957)に記載の合成方法で合成可能である。マロノニトリルとの反応によりジシアノメチレン基を導入することも可能である。
(A3)で示される基を有する式(1)で示される電子輸送物質の部分構造は、東京化成工業(株)、シグマアルドリッチジャパン(株)又はジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から購入可能である。また、フェナントレン誘導体又はフェナントロリン誘導体を基に、Bull.Chem.Soc.Jpn.,Vol.65,1006−1011(1992)に記載の合成方法で合成することも可能である。マロノニトリルとの反応によりジシアノメチレン基を導入することも可能である。
(A4)で示される基を有する式(1)で示される電子輸送物質の部分構造は、例えば、東京化成工業(株)、シグマアルドリッチジャパン(株)又はジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から購入可能である。また、アセナフテンキノン誘導体を基にTetrahedron Letters,43(16),2991−2994(2002)、Tetrahedron Letters,44(10),2087−2091(2003)に記載の合成方法で合成可能である。マロノニトリルとの反応により、ジシアノメチレン基を導入することも可能である。
(A5)で示される基を有する式(1)で示される電子輸送物質の部分構造は、例えば、東京化成工業(株)、シグマアルドリッチジャパン(株)又はジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から購入可能である。また、フルオレノン誘導体とマロノニトリルを用い、米国特許第4562132号公報に記載の合成方法を用いて合成可能である。また、フルオレノン誘導体及びアニリン誘導体を用い、特開平5−279582号公報、特開平7−70038号公報に記載の合成方法を用いて合成することも可能である。
(A6)で示される基を有する式(1)で示される電子輸送物質の部分構造は、例えばChemistry Letters,37(3),360−361(2008)、特開平9−151157号公報に記載の合成方法を用いて合成することが可能である。また、東京化成工業(株)、シグマアルドリッチジャパン(株)又はジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から購入可能である。
(A7)で示される基を有する式(1)で示される電子輸送物質の部分構造は、特開平1−206349号公報、PPCI/Japan Hard Copy’98 予稿集p.207(1998)に記載の合成方法を用いて合成可能である。また、東京化成工業(株)又はシグマアルドリッチジャパン(株)から購入可能なフェノール誘導体を原料として合成することが可能である。
(A8)で示される基を有する式(1)で示される電子輸送物質の部分構造は、例えば、Journal of the American chemical society,Vol.129,No.49,15259−78(2007)に記載の公知の合成方法を用いて合成することが可能である。また、東京化成工業(株)やシグマアルドリッチジャパン(株)やジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から購入可能なペリレンテトラカルボン酸二無水物とモノアミン誘導体との反応で合成することが可能である。
(A9)で示される基を有する式(1)で示される電子輸送物質の部分構造は、例えば、東京化成工業(株)、シグマアルドリッチジャパン(株)又はジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から購入可能な化合物を用いて、以下のようにして合成可能である。すなわち、これらの化合物に酸化剤を用いて、有機溶媒中で酸化することにより合成することが可能である。酸化剤としては、過マンガン酸カリウムが挙げられ、有機溶媒としては、クロロホルムが挙げられる。
(A10)で示される基を有する式(1)で示される電子輸送物質の部分構造は、例えば、東海女子短期大学紀要 7, 1-11,(1980)記載の公知の合成方法を用いて合成することが可能であり、また、例えば東京化成工業(株)やシグマアルドリッチジャパン(株)やジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から購入可能である。シアノ化メチレン誘導体やアニリン誘導体を作用させて、シアノ化メチレン構造やイミン構造を導入しても良い。
そして、(A1)〜(A10)のいずれかで示される基を有する式(1)で示される電子輸送物質の部分構造同士を連結することで、目的とする式(1)で示される電子輸送物質を得ることができる。式(1)で示される電子輸送物質の部分構造同士を連結するためには、官能基が導入された式(1)で示される電子輸送物質の部分構造をもとに、その官能基と結合可能な官能基を複数個有する化合物を反応させる等、公知の方法を用いることができる。具体的には、以下の様な反応で導入可能である。
式(1)で示される電子輸送物質の部分構造のハロゲン化物を元に、パラジウム触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用いアリーレン基を導入する方法、式(1)で示される電子輸送物質の部分構造のハロゲン化物を元に、FeCl触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用いアルキレン基を導入する方法、カルボキシル基が導入された式(1)で示される電子輸送物質の部分構造をもとに、ジオール化合物やジアミノ化合物を反応させ、エステル結合やアミド結合を介して連結基を導入する方法、ヒドロキシ基が導入された式(1)で示される電子輸送物質の部分構造を元に、ジカルボキシル化合物やジイソシアネート化合物を反応させ、エステル結合やウレタン結合を介して連結基を導入する方法、アミノ基が導入された式(1)で示される電子輸送物質の部分構造をもとに、ジカルボキシル化合物やジイソシアネート化合物を反応させ、アミド結合やウレア結合を介して連結基を導入する方法などが挙げられる。
これらの反応で使用可能な化合物は、東京化成工業(株)、シグマアルドリッチジャパン(株)やおよびジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から購入可能である。
式(1)で示される電子輸送物質は、架橋剤と反応することが可能な重合性官能基(ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、またはカルボキシル基)を有する。式(1)で示される電子輸送物質の主骨格にこれらの重合性官能基を導入する方法としては、式(1)で示される電子輸送物質の主骨格に直接重合性官能基を導入する方法がある。また、式(1)で示される電子輸送物質の主骨格に重合性官能基または重合性官能基の前駆体と成り得る官能基を有する構造を導入する方法がある。後述の方法としては、式(1)で示される電子輸送物質の部分構造のハロゲン化物を元に、パラジウム触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、重合性官能基を有するアリール基を導入する方法がある。また、前記ハロゲン化物を元に、FeCl触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、重合性官能基を有するアルキル基を導入する方法がある。式(1)で示される電子輸送物質の部分構造のハロゲン化物を元に、リチオ化を経た後にエポキシ化合物や二酸化炭素を作用させ、ヒドロキシアルキル基やカルボキシル基を導入する方法がある。
また、前記式(1)で示される電子輸送物質は、式(11)で示される化合物であってもよい。この場合、重合性官能基は、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、またはメトキシ基であることが好ましい。
Figure 0006574673
式(11)中、XおよびXは、それぞれ独立に、置換または無置換の芳香族テトラカルボン酸から4つのカルボキシル基を除いた残基を示す。該残基が置換基を有する場合、該置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基である。
Yは、重合性官能基を有する置換若しくは無置換のアルキレン基、または重合性官能基を有する置換若しくは無置換のアリーレン基を示す。
およびRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基のメチレン基が酸素原子に置き換わって導かれる基、置換若しくは無置換のアルキル基のメチレン基が硫黄原子に置き換わって導かれる基、置換若しくは無置換のアルキル基のメチレン基がNRに置き換わって導かれる基、置換若しくは無置換のアリール基、または置換若しくは無置換の複素環基、またはアルコキシカルボニル基を示す。RおよびRは、重合性官能基を有してもよい。
但し、前記酸素原子、硫黄原子、及びNRは、RおよびRが結合する窒素原子に直接結合しない。
式(11)で示される化合物において、XおよびXで表される芳香族テトラカルボン酸から4つのカルボキシル基を除いた残基としては、フェニル基、ビフェニル基、p−ターフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ペリレニル基等が挙げられる。前記芳香族テトラカルボン酸としては、具体的には、例えば、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−p−ターフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−p−ターフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−p−ターフェニルテトラカルボン酸、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸等が挙げられるが、これらに限られない。
前記XおよびXの置換基として、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素が挙げられる。また、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基等が挙げられるが、これらに限られない。また、前記アルキル基は前記ハロゲン原子または前記アリール基でさらに置換されていても良く、前記アリール基は前記ハロゲン原子または前記アルキル基でさらに置換されていても良い。さらに、前記XおよびXには1又は2以上の置換基が置換していても良い。
式(11)で示される化合物において、Yとしてのアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、シクロへキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等が挙げられるが、これらに限られない。
式(11)で示される化合物において、Yとしてのアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基、フルオレニリレン基、スピロフルオレニリレン基、アントラニル基、フェナンスレニル基等が挙げられるが、これらに限られない。
前記Yの有する重合性官能基としては、活性水素基、不飽和炭化水素基やメトキシ基などが挙げられる。活性水素基としては、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アミノ基、およびチオール基が好ましく、中でもヒドロキシ基およびカルボキシル基がより好ましい。また、不飽和炭化水素基としては、アリーレン基に置換したエチレン基、並びにアクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基が好ましい。
前記Yの置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。式(11)で示される化合物において、前記Yの有する重合性官能基は、1つまたは2つ以上であっても良く、また1種または2種以上であっても良い。
式(11)で示される化合物において、RおよびRとしてのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロへキシル基等が挙げられるが、これらに限られない。
式(11)で示される化合物において、RおよびRとしてのアルキル基のメチレン基が酸素原子に置き換わって導かれる基としては、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基等が挙げられるが、これらに限られない。
式(11)で示される化合物において、RおよびRとしてのアルキル基のメチレン基が硫黄原子に置き換わって導かれる基としては、例えば、メチルチオメチル基、メチルチオエチル基、メチルチオプロピル基、メチルチオブチル基、エチルチオメチル基、エチルチオエチル基、エチルチオプロピル基、エチルチオブチル基等、及びメルカプトメチル基、メルカプトエチル基、メルカプトプロピル基、メルカプトブチル基、メルカプトペンチル基、メルカプトへキシル基、メルカプトヘプチル基、メルカプトオクチル基、メルカプトノニル基、メルカプトデシル基、メルカプトシクロへキシル基等が挙げられるが、これらに限られない。
式(11)で示される化合物において、RおよびRとしてのアルキル基のメチレン基がNRに置き換わって導かれる基としては、例えば、ジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基、メチルエチルアミノメチル基、メチルエチルアミノエチル基、メチルエチルアミノプロピル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、エチルプロピルアミノメチル基、エチルプロピルアミノエチル基、エチルプロピルアミノプロピル基、ジプロピルアミノメチル基、ジプロピルアミノエチル基、ジプロピルアミノプロピル基等が挙げられるが、これらに限られない。
式(11)で示される化合物において、RおよびRとしてのアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基等が挙げられるが、これらに限られない。
式(11)で示される化合物において、RおよびRとしての複素環基としては、例えば、チオフェン、ピロール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、オキサゾール、オキサジアゾール、フェナントリジン、アクリジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、フェナントロリン、フェナジン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール等が挙げられるが、これらに限られない。
式(11)で示される化合物において、RおよびRとしてのアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が挙げられるが、これらに限られない。
前記アルキル基、アルキル基のメチレン基が酸素原子に置き換わって導かれる基、アルキル基のメチレン基が硫黄原子に置き換わって導かれる基、およびアルキル基のメチレン基がNRに置き換わって導かれる基の置換基としては、例えば、ベンジル基などのアラルキル基、フェニル基、ビフェニル基などのアリール基、ピリジル基、ピロリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基などの複素環基、メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、フェノキシル基などのアルコキシル基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
前記アリール基、複素環基が有する置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、ベンジル基などのアラルキル基、フェニル基、ビフェニル基などのアリール基、ピリジル基、ピロリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基などの複素環基、メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、フェノキシル基などのアルコキシル基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
また、RおよびRが重合性官能基を有する場合、該重合性官能基としては、前記Yの有する重合性官能基と同様の官能基が挙げられる。Yと同様に、RおよびRが有する重合性官能基は、1つまたは2つ以上あっても良く、また1種または2種以上でであっても良い。
上記式(11)で示される化合物は、本発明の第二態様において、(i)式(11)で示される化合物の重合物または(ii)式(11)で示される化合物および架橋剤を含む組成物の重合物として用いられる。なお、(i)式(11)で示される化合物の重合物として用いられる場合、Yの有する重合性官能基としては、不飽和炭化水素基が好ましい。不飽和炭化水素基としては、アリーレン基に置換したエチレン基、並びにアクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基が好ましい。
表13〜16に、本発明に係る式(11)で示される化合物を例示するが、本発明は、これらに限定されるわけではない。また、式(11)で示される化合物は複数組み合わせて使用してもよい。
Figure 0006574673
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Figure 0006574673
本発明における式(11)で示される化合物は、例えば特開2007−108670号公報、日本画像学会誌45(6),521−525,(2006)記載の公知の合成方法を用いて合成可能である。この他にも、例えば、東京化成工業(株)やシグマアルドリッチジャパン(株)やジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から試薬として購入することも可能である。
式(11)で示される化合物を合成する際に、重合性官能基を導入する方法としては、2つの方法がある。1つは、(i):式(11)で示される化合物を合成する際に、直接重合性官能基を導入する方法である。もう1つは、(ii)まず、式(11)で示される化合物を合成する際に、重合性官能基を導入するための足掛かりとなる基を有する式(11)で示される化合物の骨格を形成し、その後に重合性官能基有する構造を導入する方法である。(ii)の方法としては、例えば、R、R、またはYがハロゲン置換ナフチル基である式(11)で示される化合物に、パラジウム触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、官能基含有アリール基を導入する方法が挙げられる。また、前記パラジウム触媒の代わりにFeCl触媒を用いても良い。また、前記のR、R、またはYがハロゲン置換ナフチル基である式(11)で示される化合物をリチオ化後、エポキシ化合物やCOを作用させ、ヒドロキシアルキル基やカルボキシル基を導入する方法も挙げられる。
また、式(11)で示される化合物を合成する際に、不飽和炭化水素基(例えばアクリルロイル、メタクリルロイル、スチレン)を導入するためには、以下の方法が挙げられる。すなわち、不飽和炭化水素基を有するモノアミンをRまたはRのための構造として、またはジアミンY部位のための構造として、式(11)で示される化合物を合成する際に用いる方法が挙げられる。また、前記ヒドロキシ基を有する式(11)で示される化合物のヒドロキシ基をアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルに誘導し、アクリロイル基またはメタクリロイル基を導入する方法が挙げられる。
本発明に係る化合物等の確認は、以下の方法によって行った。
・質量分析
質量分析計(MALDI−TOF MS:ブルカー・ダルトニクス(株)製 ultraflex)を用い、加速電圧:20kV、モード:Reflector、分子量標準品:フラーレンC60の条件で、分子量を測定した。得られたピークトップ値で確認した。
式(11)で示される化合物の合成例を示す。
(合成例)
室温下、窒素気流下300ml3つ口フラスコに、1,4,5,8―ナフタレンテトラカルボン酸二無水物13.4g(50mmol)、ジメチルアセトアミド70mlを入れた。これに、4−ヘプチルアミン5.7g(50mmol)とジメチルアセトアミド30mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、50℃まで加熱した後、その温度下で2時間撹拌させた。さらに、3,3'−ジヒドロキシベンジジン5.4g(25mmol)、ジメチルアセトアミド30mlを入れ、6時間加熱還流させた。反応終了後、容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。更に回収品をトルエン/酢酸エチルにより再結晶し、例示化合物(E106)を2.4g得た。
次に、架橋剤について説明する。架橋剤としては、重合性官能基を有する電子輸送物質、及び重合性官能基を有する熱可塑性樹脂と重合又は架橋する反応基を有する化合物を用いることができる。具体的には、山下晋三,金子東助編「架橋剤ハンドブック」大成社刊(1981年)等に記載されている化合物等を用いることができる。
下引き層に用いる架橋剤は、好ましくは、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、または−CH−OR(Rはアルキル基を示す)で示される基を2〜6個有する化合物である。具体的には、イソシアネート基、またはブロックイソシアネート基を有するイソシアネート化合物、−CH−ORで示される基を有するアミン化合物である。イソシアネート基又はブロックイソシアネート基を2〜6個有しているイソシアネート化合物が好ましい。例えば、トリイソシアネートベンゼン、トリイソシアネートメチルベンゼン、トリフェニルメタントリイソシアネート、リジントリイソシアネートの他、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、ノルボルナンジイソシアネート等のジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトールとのアダクト変性体等が挙げられる。これらの中でもイソシアヌレート変性体とアダクト変性体がより好ましい。
ブロックイソシアネート基は、−NHCOX(Xは保護基)という構造を有する基である。Xは、イソシアネート基に導入可能な保護基であれば何れでも良いが、式(H1)〜(H7)で示される基が好ましい。
Figure 0006574673
以下に、イソシアネート化合物の具体例(B1)〜(B21)を示す。
Figure 0006574673
Figure 0006574673
アミン化合物としては、例えば、−CH−ORで示される基を2〜6個有しているアミン化合物が好ましい。アミン化合物としては、例えば、メラミン化合物、グアナミン化合物、尿素化合物が挙げられる。具体的には、式(C1)〜(C5)のいずれかで示される化合物、又は、式(C1)〜(C5)のいずれかで示される化合物のオリゴマーが好ましい。
Figure 0006574673
式(C1)〜(C5)中、R11〜R16、R22〜R25、R31〜R34、R41〜R44、及びR51〜R54は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、アシル基又は−CH−ORで示される1価の基を示す。R11〜R16の少なくとも1つ、R22〜R25の少なくとも1つ、R31〜R34の少なくとも1つ、R41〜R44の少なくとも1つ、及びR51〜R54の少なくとも1つは、−CH−ORで示される1価の基である。Rは、水素原子又は炭素数1以上10以下のアルキル基を示す。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基(n−プロピル基、iso−プロピル基)、ブチル基(n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基)などが、重合性の観点から好ましい。R21は、アリール基、アルキル基置換のアリール基、シクロアルキル基、又はアルキル基置換のシクロアルキル基を示す。
以下に、式(C1)〜(C5)のいずれかで示される化合物の具体例を示す。また、式(C1)〜(C5)のいずれかで示される化合物のオリゴマー(多量体)を含有していても良い。
上述の多量体の重合度は、2以上100以下であることが好ましい。また、上述の多量体及び単量体は、2種以上混合して用いることもができる。
式(C1)で示される化合物の一般的に購入可能なものとしては、例えば、スーパーメラミNo.90(日本油脂社製)、スーパーベッカミン(R)TD−139−60、L−105−60、L127−60、L110−60、J−820−60、G−821−60(DIC社製)、ユーバン2020(三井化学)、スミテックスレジンM−3(住友化学工業)、ニカラックMW−30、MW−390、MX−750LM(日本カーバイド社製)、などが挙げられる。
式(C2)で示される化合物の一般的に購入可能なものとしては、例えば、”スーパーベッカミン(R)L−148−55、13−535、L−145−60、TD−126(DIC社製)、ニカラックBL−60、BX−4000(日本カーバイド社製)、などが挙げられる。
式(C3)で示される化合物の一般的に購入可能なものとしては、例えば、ニカラックMX−280(日本カーバイド社製)、などが挙げられる。
式(C4)で示される化合物の一般的に購入可能なものとしては、例えば、ニカラックMX−270(日本カーバイド社製)、などが挙げられる。
式(C5)で示される化合物の一般的に購入可能なものとしては、例えば、ニカラックMX−290(日本カーバイド社製)、などが挙げられる。
以下に、式(C1)の化合物の具体例を示す。
Figure 0006574673
Figure 0006574673
以下に、式(C2)の化合物の具体例を示す。
Figure 0006574673
以下に、式(C3)の化合物の具体例を示す。
Figure 0006574673
以下に、式(C4)の化合物の具体例を示す。
Figure 0006574673
以下に、式(C5)の化合物の具体例を示す。
Figure 0006574673
次に、重合性官能基を有する熱可塑性樹脂について説明する。重合性官能基を有する熱可塑性樹脂としては、式(D)で示される構造単位を有する熱可塑性樹脂が好ましい。
Figure 0006574673
式(D)中、R61は、水素原子又はアルキル基を示す。Yは、単結合、アルキレン基又はフェニレン基を示す。Wは、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、又はメトキシ基を示す。
式(D)で示される構造単位を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、アセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂が挙げられる。式(D)で示される構造単位は、以下に示す特徴的な構造の中に有してもよいし、特徴的な構造以外に有してもよい。特徴的な構造を以下の(E−1)〜(E−6)に示す。(E−1)は、アセタール樹脂の構造単位である。(E−2)は、ポリオレフィン樹脂の構造単位である。(E−3)は、ポリエステル樹脂の構造単位である。(E−4)は、ポリエーテル樹脂の構造単位である。(E−5)は、ポリアミド樹脂の構造単位である。(E−6)は、セルロース樹脂の構造単位である。
Figure 0006574673
式中、R2001〜R2005は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を示す。R2006〜R2010は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基を示す。R2001がCである場合、E−1で示される樹脂はブチラールを有する。R2011〜R2016は、アセチル基もしくはヒドロキシエチル基もしくはヒドロキシプロピル基もしくは水素原子を示す。
式(D)で示される構造単位を有する樹脂(以下樹脂Dとも称する)は、例えば、シグマアルドリッチジャパン(株)や東京化成工業(株)から購入可能な、重合性官能基(ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、又はメトキシ基)を有するモノマーを重合させることで得られる。
また、樹脂Dは、一般的に購入することも可能である。購入可能な樹脂としては、例えば、日本ポリウレタン工業(株)製AQD−457、AQD−473、三洋化成工業(株)製サンニックスGP−400、GP−700などのポリエーテルポリオール系樹脂、日立化成工業(株)製フタルキッドW2343、DIC(株)製ウォーターゾールS−118、CD−520、ベッコライトM−6402−50、M−6201−40IM、ハリマ化成(株)製ハリディップWH−1188、日本ユピカ社製ES3604、ES6538などのポリエステルポリオール系樹脂、DIC(株)製、バーノックWE−300、WE−304などのポリアクリルポリオール系樹脂、(株)クラレ製クラレポバールPVA−203などのポリビニルアルコール系樹脂、積水化学工業(株)製BX−1、BM−1などのポリビニルアセタール系樹脂、ナガセケムテックス(株)製トレジンFS−350などのポリアミド系樹脂、日本触媒(株)製アクアリック、鉛市(株)製ファインレックスSG2000などのカルボキシル基含有樹脂、DIC(株)製、ラッカマイドなどのポリアミン樹脂、東レ(株)製QE−340Mなどのポリチオール樹脂などが挙げられる。これらの中でもポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルポリオール系樹脂などが重合性、下引き層の均一性の観点からより好ましい。
樹脂Dの重量平均分子量(Mw)は、5000〜400000の範囲であることが好ましい。
樹脂中の重合性官能基の定量法は、例えば水酸化カリウムを用いたカルボキシル基の滴定、亜硝酸ナトリウムを用いたアミノ基の滴定、無水酢酸と水酸化カリウムを用いた水酸基の滴定、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)を用いたチオール基の滴定が挙げられる。また、重合性官能基導入比率を変化させた試料のIRスペクトルから得られる検量線法が挙げられる。
以下表17に、樹脂Dの具体例を示す。表17中、「特徴的な構造」の欄は、上記(E−1)〜(E−6)のいずれかで示される構造単位を示し、該構造単位中の主要な構造としては、「ブチラール」は「ポリビニルブチラール」、「ポリオレフィン」は、「ポリエチレン」、ポリエステルは「ポリブチレンサクシネート」、「ポリエーテル」は「ポリオキシフェニレン」、「セルロース」は「セルローストリアセテート」、「ポリアミド」は「ポリヘキサメチレンアジパミド」、「アセタール」はポリビニルホルマールである。
Figure 0006574673
重合性官能基を有する電子輸送物質は、重合性官能基を有する電子輸送物質、架橋剤および重合性官能基を有する樹脂との組成物の全質量に対して50質量%以上85%質量以下であることが好ましい。50質量%以上85質量%以下であると、黒ポチの発生がなく、感度がより高くなる。50質量%以上であると、電子輸送物質の隣接分子間が構造的に適切な距離が保たれるため感度がより高くなる。また、85質量%以下であると電子輸送物質が重合して網目構造の形成が促進され、黒ポチの抑制効果がより高まると考えている。
下引き層における本発明に係る重合物の含有量は、下引き層の全質量に対して50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、80質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
下引き層の膜厚d1は、0.7μm以上3.0μm以下が好ましい。0.7μm以上3.0μm以下であると式(2)および(3)を満たしやすく、高い電界下における感度がより高くなる。0.7μm以上であると、暗減衰の増加が抑制されるため感度がより高くなる。また、3.0μm以下であると式(3)を満たしやすいため、感度がより高くなる。
上記(ii)の重合物において、下引き層の組成物における式(11)で示される化合物と架橋剤との質量比は、100:50以上100:750以下であることが好ましい。また、100:50以上100:500以下であることがより好ましい。上記の質量比であると、架橋剤同士の凝集が抑制され、その結果、下引き層中のトラップサイトが減少し、よりゴースト抑制効果が向上すると考えられる。
また、下引き層が上記(i)または(ii)の重合物を含有する場合は、ゴースト抑制効果の観点から、下引き層の膜厚は、0.5μm以上15μm以下が好ましい。また、0.5μm以上5μm以下がより好ましい。
以下、支持体、正孔輸送層、積層体のその他の層について説明する。
〔支持体〕
支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)が好ましい。例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、金、鉄などの金属又は合金製の支持体を用いることができる。ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ガラスなどの絶縁性支持体上にアルミニウム、銀、金などの金属の薄膜を形成した支持体、又は酸化インジウム、酸化スズなどの導電性材料の薄膜を形成した支持体が挙げられる。
支持体の表面には、電気的特性の改善や干渉縞の抑制のため、陽極酸化などの電気化学的な処理や、湿式ホーニング処理、ブラスト処理、切削処理などを施してもよい。
支持体と、積層体の下引き層との間には、導電層を設けてもよい。導電層は、導電性粒子を樹脂に分散させた導電層用塗布液の塗膜を支持体上に形成し、乾燥させることで得られる。
導電性粒子としては、たとえば、カーボンブラック、アセチレンブラックや、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀のような金属粉や、導電性酸化スズ、ITOのような金属酸化物粉体が挙げられる。
また、樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂およびアルキッド樹脂が挙げられる。
導電層用塗布液の溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤および芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。導電層の膜厚は、0.2μm以上40μm以下であることが好ましく、1μm以上35μm以下であることがより好ましく、さらには5μm以上30μm以下であることがより好ましい。
〔電荷発生層〕
積層体において、下引き層上には、感光層が設けられる。感光層は、電荷発生物質、および結着樹脂を含有する電荷発生層を含む。また、感光層は、電荷発生層と正孔輸送物質を含有する正孔輸送層とを有する積層型感光層であることが好ましい。
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、アントラキノン誘導体、アントアントロン誘導体、ジベンズピレンキノン誘導体、ピラントロン誘導体、ビオラントロン誘導体、イソビオラントロン誘導体、インジゴ誘導体、チオインジゴ誘導体、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料や、ビスベンズイミダゾール誘導体などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、およびフタロシアニン顔料からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンが好ましい。
電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンなどのビニル化合物の重合体および共重合体や、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましく、ポリビニルアセタールがより好ましい。
電荷発生層において、電荷発生物質と結着樹脂との質量比率(電荷発生物質/結着樹脂)は、10/1〜1/10の範囲であることが好ましく、5/1〜1/5の範囲であることがより好ましい。電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤は、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤または芳香族炭化水素溶剤などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、0.05μm以上5μm以下であることが好ましい。
〔正孔輸送層〕
電荷発生層上には正孔輸送層が形成される。正孔輸送層には、正孔輸送物質、および結着樹脂が含有する。
正孔輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物、トリフェニルアミン、または、これらの化合物から誘導される基を主鎖または側鎖に有するポリマーが挙げられる。これらの中でもトリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、およびスチリル化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
正孔輸送層に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂およびポリアリレート樹脂が好ましい。また、これらの分子量としては、重量平均分子量(Mw)=10,000〜300,000の範囲が好ましい。
正孔輸送層において、正孔輸送物質と結着樹脂との比率(正孔輸送物質/結着樹脂)は、10/5〜5/10が好ましく、10/8〜6/10がより好ましい。
本発明に係る正孔輸送層の膜厚が、15μm以下であると効果が有効に得られる。本発明の効果がより有効に得られるのは、正孔輸送層の膜厚が、3μm以上10μm以下である。3μm以上であると式(2)を満たしやすくなり、10μm以下であると下引き層にかかる電界強度が高くなるため、従来の下引き層に対して本発明の効果がより顕著に得られる。また、下引き層が、上記(i)または(ii)の重合物を含有する場合は、正孔輸送層の膜厚が15μmより大きくても、ゴースト抑制効果が得られる。この場合の正孔輸送層の膜厚は、15μmより大きく40μm以下であることが好ましい。
正孔輸送層用塗布液に用いられる溶剤は、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤または芳香族炭化水素溶剤などが挙げられる。
なお、下引き層と電荷発生層との間に、本発明に係る重合体を含有しない第2の下引き層などの別の層を設けてもよい。
また、正孔輸送層上に表面保護層を形成してもよい。表面保護層は、導電性粒子または電荷輸送物質と結着樹脂とを含有する。また、表面保護層は、潤滑剤などの添加剤をさらに含有してもよい。また、保護層の結着樹脂自体に導電性や電荷輸送性を有させてもよく、その場合、保護層には、当該樹脂以外の導電性粒子や電荷輸送物質を含有させなくてもよい。また、保護層の結着樹脂は、熱可塑性樹脂でもよいし、熱、光、放射線(電子線など)などにより重合させてなる硬化性樹脂であってもよい。
各層を形成する方法としては、各層を構成する材料を溶剤に溶解および/または分散させて得られた塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥および/または硬化させることによって形成する方法が好ましい。塗布液を塗布する方法としては、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法、スピンコーティング法などが挙げられる。これらの中でも、効率性および生産性の観点から、浸漬塗布法が好ましい。
〔プロセスカートリッジおよび電子写真装置〕
図7に、電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。
図7において、1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。回転駆動される電子写真感光体1の表面(周面)は、帯電手段3(一次帯電手段:帯電ローラーなど)により、正または負の所定電位に均一に帯電される。次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)からの露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、次いで現像手段5の現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)6からの転写バイアスによって、転写材(紙など)Pに順次転写されていく。なお、転写材Pは、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送される。
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段(クリーニングブレードなど)7によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化される。次いで、前露光手段(不図示)からの前露光光11により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図7に示すように、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上記の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、およびクリーニング手段7などの構成要素のうち、複数のものを選択して容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成してもよい。この場合、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成することが好ましい。図7では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
次に、電子写真感光体の作製および評価について示す。
(実施例1)
長さ260.5mmおよび直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を支持体(導電性支持体)とした。
次に、酸素欠損型酸化スズが被覆されている酸化チタン粒子(粉体抵抗率:120Ω・cm、酸化スズの被覆率:40%)50部、
フェノール樹脂(プライオーフェンJ−325、DIC(株)製、樹脂固形分:60%)40部、
溶剤(分散媒)としてのメトキシプロパノール50部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、3時間分散処理することによって、導電層用塗布液(分散液)を調製した。この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間150℃で乾燥・熱重合させることによって、膜厚が16μmの導電層を形成した。
この導電層用塗布液における酸素欠損型酸化スズが被覆されている酸化チタン粒子の平均粒径を、(株)堀場製作所製の粒度分布計(商品名:CAPA700)を用い、テトラヒドロフランを分散媒とし、回転数5000rpmにて遠心沈降法で測定した。その結果、平均粒径は0.31μmであった。
次に、電子輸送物質(1−1)−1 6.1部、イソシアネート化合物(B1、保護基(H1)=5.1:2.2(質量比))5.2部、樹脂(D1)0.3部、触媒としてのジオクチルスズラウリレート0.05部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、下引き層の膜厚(UC膜厚)が1.25μmの下引き層を形成した。
電子輸送物質、架橋剤および樹脂を含む組成物の全質量に対する電子輸送物質の含有量は52質量%であった。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°にピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)を用意した。このヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶10部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部およびシクロヘキサノン250部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、1.5時間分散処理した。次に、これに酢酸エチル250部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を、下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、式(12−1)で示される化合物(正孔輸送物質)8部、および、式(13−1)で示される構造単位と、式(13−2)で示される構造単位を5/5の割合で有し、重量平均分子量(Mw)が100000であるポリアリレート10部を、ジメトキシメタン40部およびクロロベンゼン60部の混合溶剤に溶解させることによって、正孔輸送層用塗布液を調製した。この正孔輸送層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間120℃で乾燥させることによって、正孔輸送層の膜厚(CT膜厚)が7μmの正孔輸送層を形成した。
Figure 0006574673
Figure 0006574673
Figure 0006574673
このようにして、ポジゴーストおよび電位変動評価用の電子写真感光体を製造した。また、上記と同様にしてもう1つ電子写真感光体を製造し、そこから上述の積層体を作成し、本発明の測定法を行った。
(判定試験)
電子写真感光体をジメトキシメタン40部およびクロロベンゼン60部の混合溶剤に5分間浸漬させ、正孔輸送層を剥離した後、10分100℃で乾燥させることによって、積層体とした。FTIR−ATR法を用いて表面に正孔輸送層がないことを確認した。
次に、積層体を温度25℃、湿度50%RH環境下に24時間放置した後、上述の判定方法を用いて、上述のとおり、|Vd2−Vd1|(式(2))、走行時間τ(式(3))を算出した。測定結果を表18に示した。
(黒ポチの評価)
上記レーザービームプリンターのプロセスカートリッジに、上述の電子写真感光体を装着して、そのプロセスカートリッジをシアンのプロセスカートリッジのステーションに装着し、ベタ白画像を出力した。判定は目視で行った。
(感度、暗減衰の評価)
感度の評価は同一の光で照射したときの明部電位によって判定した。明部電位が低ければ感度が高く、明部電位が高ければ感度が低いと評価できる。暗減衰の評価は同一の印加電圧をかけたときの暗部電位によって判定した。暗部電位が低ければ暗減衰が大きく、暗部電位が高ければ暗減衰が小さいと判定した。評価はヒューレットパッカード社製のレーザービームプリンター(商品名:LaserJet P4510)を改造した装置に装着して行った。
改造としては、帯電は外部電源を用いてACのVppを1800V、周波数870Hzに、DCの印加電圧を−700Vに設定し、露光光(画像露光光)の光量が可変となるようにした。
電子写真感光体の表面電位は、評価機から、現像用カートリッジを抜き取り、そこに電位測定装置を挿入し測定を行った。電位測定装置は、現像用カートリッジの現像位置に電位測定プローブを配置することで構成されており、電子写真感光体に対する電位測定プローブの位置は、ドラム軸方向の中央とした。
まず、光を照射せずに暗部電位(Vd)を測定した結果−670Vであった。次に光Eを0.40μJ/cmに設定し、明部電位(Vl)を測定した結果−180Vであった。
(実施例2〜15)
実施例1の電子輸送物質を(1−1)−1から表18に示す電子輸送物質に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表18に示す。
(実施例16〜19)
実施例1の樹脂(D1)から表18に示す樹脂に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表18に示す。
(実施例20)
下引き層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表18に示す。
電子輸送物質(1−1)−10 5.2部、
架橋剤(B1、保護基(H1)=5.1:2.2(質量比))5.6部、
樹脂(D1)0.9部、
ジオクチルスズラウリレート0.05部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が1.25μmの下引き層を形成した。
電子輸送物質、架橋剤および樹脂を含む組成物の全質量に対する電子輸送物質の含有量は44質量%であった。
(実施例21)
下引き層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表18に示す。
電子輸送物質(1−1)−1 5.9部、
イソシアネート化合物(B1、保護基(H1)=5.1:2.2(質量比))5.4部、
樹脂(D1)0.5部、
ジオクチルスズラウリレート0.03部を、
ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が1.25μmの下引き層を形成した。
電子輸送物質、架橋剤および樹脂を含む組成物の全質量に対する電子輸送物質の含有量は50質量%であった。
(実施例22)
下引き層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表18に示す。
電子輸送物質(1−1)−1 6.7部、
イソシアネート化合物(B1、保護基(H1)=5.1:2.2(質量比))4.3部、
樹脂(D1)0.3部、
ジオクチルスズラウリレート0.03部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が1.25μmの下引き層を形成した。
電子輸送物質、架橋剤および樹脂を含む組成物の全質量に対する電子輸送物質の含有量は59質量%であった。
(実施例23)
下引き層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表18に示す。
電子輸送物質(1−1)−4 6.8部、
アミノ化合物(C1−3)1.4部(架橋剤)、
樹脂(D1)1.8部、
触媒としてのドデシルベンゼンスルホン酸0.1部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が1.50μmの下引き層を形成した。
電子輸送物質、架橋剤および樹脂を含む組成物の全質量に対する電子輸送物質の含有量は68質量%であった。
(実施例24〜36)
実施例23の電子輸送物質を(1−1)−4から表18に示す電子輸送物質に変更した以外は実施例23と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表18に示す。
(実施例37〜40)
実施例23の樹脂(D1)から表18に示す樹脂に変更した以外は実施例23と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表18に示す。
(実施例41)
下引き層を以下のように形成した以外は実施例23と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表18に示す。
電子輸送物質(1−1)−4 7.3部、
アミノ化合物(C1−3)1.3部、
樹脂(D1)1.4部、
触媒としてのドデシルベンゼンスルホン酸0.1部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が1.50μmの下引き層を形成した。
電子輸送物質、架橋剤および樹脂を含む組成物の全質量に対する電子輸送物質の含有量は73質量%であった。
(実施例42)
下引き層を以下のように形成した以外は実施例23と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表18に示す。
電子輸送物質(1−1)−4 7.8部、
アミノ化合物(C1−3)1.2部、
樹脂(D1)1.0部、
触媒としてのドデシルベンゼンスルホン酸0.1部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が1.50μmの下引き層を形成した。
電子輸送物質、架橋剤および樹脂を含む組成物の全質量に対する電子輸送物質の含有量は78質量%であった。
(実施例43)
下引き層を以下のように形成した以外は実施例23と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表18に示す。
電子輸送物質(1−1)−4 8.3部、
アミノ化合物(C1−3)1.0部、
樹脂(D1)0.5部、
触媒としてのドデシルベンゼンスルホン酸0.1部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が1.50μmの下引き層を形成した。
電子輸送物質、架橋剤および樹脂を含む組成物の全質量に対する電子輸送物質の含有量は85質量%であった。
(実施例44)
下引き層を以下のように形成した以外は実施例23と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表18に示す。
電子輸送物質(1−1)−4 8.8部、
アミノ化合物(C1−3)1.0部、
樹脂(D1)0.2部、
触媒としてのドデシルベンゼンスルホン酸0.1部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が1.50μmの下引き層を形成した。
電子輸送物質、架橋剤および樹脂を含む組成物の全質量に対する電子輸送物質の含有量は88質量%であった。
(実施例45〜49)
実施例1の架橋剤(B1、保護基(H1))から表18に示す架橋剤に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表18に示す。
(実施例50〜54)
実施例23の架橋剤(C1−3)から表18に示す架橋剤に変更した以外は実施例23と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表18に示す。
(実施例55〜59)
実施例23の下引き層の膜厚を1.50μmから0.63μm(実施例55)、0.77μm(実施例56)、2.00μm(実施例57)、3.00μm(実施例58)、3.50μm(実施例59)に変更した。それ以外は実施例23と同様に電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表18に示す。
(実施例60)
電荷発生層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表18に示す。
CuKαのX線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2゜)の9.0゜、14.2゜、23.9゜及び27.1゜にピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン結晶を用意した。このオキシチタニウムフタロシアニン結晶10部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学社製)を、シクロヘキサノン:水=97:3の混合溶媒に溶解し5質量%溶液としたものを166部用意した。この溶液と、シクロヘキサノン:水=97:3の混合溶媒を150部、それぞれ共に1mmφガラスビーズ400部を用いてサンドミル装置で4時間分散した後、シクロヘキサノン:水=97:3の混合溶媒を210部及びシクロヘキサノン260部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を80℃で10分間乾燥して膜厚0.20μmの電荷発生層を形成した。
(実施例61)
電荷発生層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表18に示す。
式(14)で表されるビスアゾ顔料の20部と、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学社製)10部とを、テトラヒドロフランの150部とともに混合分散させて、電荷発生層用塗布液を調製した。そして電荷発生層用塗布液を、下引き層上に、ディップコート法にて塗布し、110℃で30分間、加熱乾燥して、膜厚0.30μmの電荷発生層を形成した。
Figure 0006574673
(実施例62)
実施例1の式(12−1)で示される化合物(正孔輸送物質)から式(12−2)で示されるベンジジン化合物(正孔輸送物質)に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表18に示す。
Figure 0006574673
(実施例63)
実施例1の式(12−1)で示される化合物(正孔輸送物質)から式(12−3)で示されるスチリル化合物(正孔輸送物質)に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表18に示す。
Figure 0006574673
Figure 0006574673
(比較例1)
実施例1の電子輸送物質を(1−1)−1から式(15)に示す電子輸送物質に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表19に示す。
Figure 0006574673
(比較例2)
比較例1の下引き層の膜厚を1.25μmから0.58μmに変更した以外は比較例1と同様に電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表19に示す。
(比較例3)
下引き層を以下のように形成した以外は比較例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表19に示す。
式(15)で示される電子輸送物質4.0部、イソシアネート化合物(B1、保護基(H1)=5.1:2.2(質量比))7.3部、樹脂(D1)0.9部、ジオクチルスズラウリレート0.05部を、を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が0.58μmの下引き層を形成した。
電子輸送物質、架橋剤および樹脂を含む組成物の全質量に対する電子輸送物質の含有量は33質量%であった。
(比較例4)
下引き層を以下のように形成した以外は比較例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表19に示す。
(1−6)−3で示される電子輸送物質3.6部、イソシアネート化合物(B1、保護基(H1)=5.1:2.2(質量比))7.5部、樹脂(D1)1.1部、ジオクチルスズラウリレート0.05部を、を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が0.58μmの下引き層を形成した。
電子輸送物質、架橋剤および樹脂を含む組成物の全質量に対する電子輸送物質の含有量は30質量%であった。
(比較例5)
下引き層を以下のように形成した以外は比較例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表19に示す。
(1−6)−3で示される電子輸送物質9.0部、イソシアネート化合物(B1、保護基(H1)=5.1:2.2(質量比))0.7部、樹脂(D1)0.3部、ジオクチルスズラウリレート0.05部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が1.25μmの下引き層を形成した。
電子輸送物質、架橋剤および樹脂を含む組成物の全質量に対する電子輸送物質の含有量は90質量%であった。
(比較例6)
下引き層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表19に示す。
(1−1)−3 で示される電子輸送物質10.0部、バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学社製:ユーピロンZ400)12.0部とを、テトラヒドロフラン(THF)80部に溶解し、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が1.25μmの下引き層を形成した。
電子輸送物質、架橋剤および樹脂を含む組成物の全質量に対する電子輸送物質の含有量は45質量%であった。
(比較例7)
実施例9の樹脂(D1)を下引き層に添加しなかった以外は実施例9と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表19に示す。
Figure 0006574673
(実施例64)
実施例23の下引き層の膜厚を1.50μmから2.50μm、正孔輸送層の膜厚を7μmから3μmに変更した以外は実施例23と同様に電子写真感光体を製造した。
感度の評価に際し、光Eを0.40μJ/cmから0.62μJ/cmに変更し、明部電位(Vl)を測定した以外は、実施例23と同様に評価した。結果を表20に示す。
(比較例8)
実施例64の電子輸送物質を比較例1で使用した式(15)に示す電子輸送物質に変更した以外は実施例64と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表20に示す。
(実施例65)
実施例1の正孔輸送層の膜厚を7μmから5μmに変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を製造した。
感度の評価に際し、実施例1のVl電位と合せるため、光Eを0.40μJ/cmから0.50μJ/cmに変更し、明部電位(Vl)を測定した以外は、実施例1と同様に評価した。結果を表20に示す。
(比較例9)
実施例65の電子輸送物質を比較例1で使用した式(15)に示す電子輸送物質に変更した以外は実施例65と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表20に示す。
(実施例66)
実施例1の正孔輸送層の膜厚を7μmから10μmに変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を製造した。
感度の評価に際し、実施例1のVl電位と合せるため、光Eを0.40μJ/cmから0.34μJ/cmに変更し、明部電位(Vl)を測定した以外は、実施例1と同様に評価した。結果を表20に示す。
(実施例67)
実施例1の正孔輸送層の膜厚を7μmから15μmに変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を製造した。
感度の評価に際し、実施例23のVl電位と合せるため、光Eを0.40μJ/cmから0.20μJ/cmに変更し、明部電位(Vl)を測定した以外は、実施例1と同様に評価した。結果を表20に示す。
Figure 0006574673
(実施例68、69)
実施例1の電子輸送物質を(1−1)−1から表21に示す電子輸送物質に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表21に示す。
(実施例70、71)
実施例23の電子輸送物質を(1−1)−4から表21に示す電子輸送物質に変更した以外は実施例23と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表21に示す。
Figure 0006574673
以上、実施例1〜71および比較例1〜9の結果より、本発明の下引き層を有する電子写真感光体を用いることで、正孔輸送層を薄膜化しても、黒ポチの発生が抑制され、感度が向上したことが分かる。
(実施例72)
長さ260.5mmおよび直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を支持体(導電性支持体)とした。
次に、
酸素欠損型酸化スズが被覆されている酸化チタン粒子(粉体抵抗率:120Ω・cm、酸化スズの被覆率:40%)50部、
フェノール樹脂(プライオーフェンJ−325、DIC(株)製、樹脂固形分:60%)40部、
メトキシプロパノール55部を、
直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、3時間分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液における酸素欠損型酸化スズが被覆されている酸化チタン粒子の平均粒径を、(株)堀場製作所製の粒度分布計(商品名:CAPA700)を用い、テトラヒドロフランを分散媒とし、回転数5000rpmにて遠心沈降法で測定した。その結果、平均粒径は0.30μmであった。
この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を30分間160℃で乾燥・熱硬化させることによって、膜厚が18μmの導電層を形成した。
次に、
式(11)で示される化合物として例示化合物(E101)4部、
ポリビニルブチラール樹脂(BX−1:積水化学工業株式会社製)1.5部、
触媒としてのジオクチルスズラウリレート0.0005部を、
ジメチルアセトアミド100部とテトラヒドロフラン100部の混合溶媒に溶解した。この溶液に、固形分8部相当のブロックイソシアネート樹脂(BL3175:住化バイエル製)を加え、下引き層用塗布液を調製した。
この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、硬化させることによって、膜厚が2.0μmの下引き層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°にピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)を用意した。このヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶10部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部およびシクロヘキサノン250部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、2時間分散処理した。次に、これに酢酸エチル250部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を、下引き層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を10分間95℃で乾燥させることによって、膜厚が0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、式(12−1)で示される化合物(正孔輸送物質)8部、および、式(16)で示される構造単位を有し、重量平均分子量(Mw)が100,000であるポリアリレート10部を、ジメトキシメタン40部およびクロロベンゼン60部の混合溶剤に溶解させることによって、正孔輸送層用塗布液を調製した。
この正孔輸送層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を40分間120℃で乾燥させることによって、膜厚が15μmの正孔輸送層を形成した。
Figure 0006574673
Figure 0006574673
このようにして、支持体上に導電層、下引き層、電荷発生層および正孔輸送層を有する電子写真感光体を作製した。
作製した電子写真感光体を、温度23℃、湿度50%RHの環境下にて、キヤノン(株)製のレーザービームプリンター(商品名:LBP−2510)の改造機(一次帯電:ローラー接触DC帯電、プロセススピード120mm/秒、レーザー露光)に装着して、初期及び15,000枚画像出力後の表面電位の評価および出力画像の評価を行った。詳しくは以下のとおりである。
(表面電位の測定)
上記レーザービームプリンターのシアン色用のプロセスカートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(model6000B−8:トレック・ジャパン(株)製)を装着した。そして、電子写真感光体の中央部の電位を表面電位計(model344:トレック・ジャパン(株)製)を使用して測定した。感光ドラムの表面電位は、初期暗部電位(Vd)が−600V、初期明部電位(Vl)が−150Vになるよう、画像露光の光量を設定した。
続いて、上記レーザービームプリンターのシアン色用のプロセスカートリッジに、実施例で作製した電子写真感光体を装着して、そのプロセスカートリッジをシアンのプロセスカートリッジのステーションに装着し、画像を出力した。まず、ベタ白画像1枚、ゴースト評価用画像5枚、ベタ黒画像1枚、ゴースト評価用画像5枚の順に連続して画像出力をおこなった。
ゴースト評価用画像は図9に示すように、画像の先頭部の白画像(21)中に四角のベタ画像(22)を出した後、図10に示す「1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像」を作製したものである。なお、図9中、ゴースト部(23)は、ベタ画像(22)に起因するゴースト(24)が出現し得る部分である。
ポジゴーストの評価は、1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像の画像濃度と、ゴースト部の画像濃度との濃度差を測定することで行った。分光濃度計(商品名:X−Rite504/508、X−Rite(株)製)で、1枚のゴースト評価用画像中で濃度差を10点測定した。この操作をゴースト評価用画像10枚すべてでおこない、合計100点の平均を算出した。結果を表25に示す。上記濃度差(マクベス濃度の変化分)が大きいほど、ポジゴーストが強く生じていることになる。上記濃度差(マクベス濃度の変化分)が小さいほど、ポジゴーストが抑制されたことを意味する。
(実施例73)
式(11)で示される化合物として例示化合物(E101)2部と例示化合物(E106)2部を用いた以外は実施例72と同様に電子写真感光体を作製し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表22に示す。
(実施例74〜121)
表22に示すように式(11)で示される化合物、架橋剤、樹脂の種類及び質量部を変更した以外は、実施例72と同様に電子写真感光体を作製し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表22に示す。
(実施例122〜125)
表22に示すように式(11)で示される化合物を変更し、樹脂を用いず、イソシアネート化合物を式(17)で示されるアクリル系架橋剤(A−TMPT:新中村工業社製)を用いた。さらに、触媒としてのジオクチルスズラウリレートの代わりにアゾイソブチロニトリル(AIBN)を用いた以外は、実施例72と同様に下引き層用塗布液を調製した。そして、下引き層用塗布液の塗膜を形成し、この塗膜を窒素気流下で加熱した以外は実施例72と同様に電子写真感光体を作製し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表22に示す。
Figure 0006574673
(実施例126)
式(12−1)で示される化合物を式(12−4)で示される化合物に変えた以外は、実施例72と同様に電子写真感光体を作製し、同様にゴーストの評価をおこなった。結果を表22に示す。
Figure 0006574673
(実施例127)
式(12−1)で示されるアミン化合物を式(12−2)で示される化合物に変えた以外は、実施例72と同様に電子写真感光体を作製し、同様にゴーストの評価をおこなった。結果を表22に示す。
Figure 0006574673
(実施例128)
導電層を形成せずに、アルミニウムシリンダーに対して、下記条件にて液体ホーニング処理を行い支持体とした事以外は、実施例72と同様に電子写真感光体を作製した。結果を表22に示す。
<液体ホーニング条件>
研磨剤砥粒=ジルコニアビーズ 粒径70〜125μm(商品名:ジルブラストB120 マテリアルサイエンス(株)製)
懸濁媒体=水
研磨剤/懸濁媒体=1/9(体積比)
ホーニング後のシリンダー表面粗さに関してJIS B 0601(1994)に準じ小坂研究所表面粗さ計サーフコーダSE3500を用い測定した。結果、最大高さ(RmaxD)=2.09μm、十点平均粗さ(Rz)=1.48μm、算術平均粗さ(Ra)=0.21μmであった。
(実施例129〜134)
実施例72、76、78、87、90、95の正孔輸送層の膜厚を15μmから20μmに変更した以外は、実施例72、76、78、87、90、95と同様に電子写真感光体を作製し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表22に示す。
(比較例11)
以下の下引き層用塗布液を用いた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、同様にゴーストの評価を行った。特開2010−145506号公報に記載の下記化合物(18)4質量部とポリカーボネートZ型樹脂(三菱瓦斯化学社製Z型ポリカーボネート、ユーピロンZ400)4.8質量部とジメチルアセトアミド100質量部とテトラヒドロフラン100質量部及を用いて下引き層用塗布液を調製した。結果を表22に示す。
Figure 0006574673
(比較例12)
式(11)に示される化合物の代わりに比較例11に記載の化合物(18)を用いた以外は実施例72と同様に電子写真感光体を作製し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表22に示す。
(比較例13)
以下の下引き層用塗布液を用いた以外は、実施例72と同様に電子写真感光体を作製し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表22に示す。
式(19)で示される化合物10部、フェノール樹脂(PL−4804、群栄化学(株)製)5部をジメチルホルムアミド200部、ベンジルアルコール150部の混合溶媒に溶解し下引き層用塗布液を調製した。
Figure 0006574673
(比較例14)
式(11)に示される化合物の代わりに特開2003−330209号公報に記載の化合物(20)を使用した以外は、実施例122と同様に感光体を作製し、同様にゴーストの評価を行った。結果を表22に示す。
Figure 0006574673
Figure 0006574673
表22中、架橋剤1は、イソシアネート系架橋剤(商品名:デスモジュールBL3575、住化バイエル社製(固形分75%))である。架橋剤2は、イソシアネート系架橋剤(商品名:デスモジュールBL3175、住化バイエル社製(固形分75%))である。架橋剤3は、ブチル化メラミン系架橋剤(商品名:スーパーベッカミンJ821−60、DIC社製(固形分60%))である。架橋剤4は、ブチル化尿素系架橋剤(商品名:ベッカミンP138、DIC社製(固形分60%)である。架橋剤5は、アクリル系架橋剤(A−TMPT:新中村工業社製)である。
表22中、樹脂1(重合性官能基を有する樹脂)は、1g当たりのヒドロキシ基のmol数が3.3mmol、分子量1×10のポリビニルアセタール樹脂である。樹脂2は、1g当たりのヒドロキシ基のmol数が3.3mmol、分子量2×10のポリルビニアセタール樹脂である。樹脂3は、1g当たりのヒドロキシ基のmol数が2.5mmol、分子量3.4×10のポリルビニアセタール樹脂である。
以上、実施例72〜134および比較例11〜14の結果より、本発明の下引き層を有する電子写真感光体を用いることで、ポジゴーストが抑制されたことが分かる。

Claims (23)

  1. 積層体、該積層体上に形成された正孔輸送層を有する電子写真感光体であって、
    該積層体が、支持体、該支持体上に形成された膜厚がd1(μm)である下引き層、該下引き層上に形成された膜厚がd2(μm)である電荷発生層を有し、
    該正孔輸送層の膜厚が15μm以下であり、
    該下引き層が、式(1)で示される電子輸送物質、架橋剤および重合性官能基を有する熱可塑性樹脂を含む組成物の重合物を有し、
    −X−Z (1)
    (式(1)中、
    およびZは、電子輸送性を有する基を示す。
    Xは連結基を示し、該連結基は置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換の複素環基、または置換もしくは無置換のアルキレン基の主鎖中のメチレン基をRに置き換えて導かれる基である。前記Rは、酸素原子、硫黄原子、SO、NR、CO、または置換若しくは無置換のアリーレン基を示す。前記Rは、水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。
    、Z、およびXの少なくとも1つが、重合性官能基を有し、該重合性官能基が、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、またはメトキシ基である。)
    該積層体の該電荷発生層をコロナ帯電で帯電させてから1.0秒後の該電荷発生層の表面電位が、式(4):Vd1=−100×(d1+d2)
    に基づいて決定されるVd1になるような帯電条件Cにて帯電を行った場合に、帯電から0.80秒後の該電荷発生層の表面電位Vd2が、
    式(2)0.20≦|Vd2−Vd1|≦2.0
    を満足し、かつ、
    波長780nmのレーザー光を1マイクロ秒間露光してから0.04秒後の該積層体の該電子写真感光体の表面電位が、該Vd1(V)に対して20%減衰する値となるようにNDフィルターによって強度を調整した光を光Eとしたときに、
    該光Eを表面電位がVd1(V)に帯電した該積層体の該電荷発生層の表面に露光し、該電荷発生層の表面電位の時間変化から求めた走行時間τ(ms)
    式(3)τ≦10
    を満足することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記正孔輸送層の膜厚が3μm以上10μm以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記式(1)で示される電子輸送物質の含有量が、前記組成物の全質量に対して、50質量%以上85質量%以下である請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記下引き層の膜厚d1が、0.7μm以上3.0μm以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記架橋剤が、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、または−CH−OR(Rはアルキル基を示す)で示される基を2〜6個有する請求項1から4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記走行時間τ(ms)が、式(5)を満足する請求項1から5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
    0.01≦τ≦2 (5)
  7. 前記式(1)で示される電子輸送物質が、式(11)で示される化合物である請求項1から6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006574673
    (式(11)中、XおよびXは、それぞれ独立に、置換または無置換の芳香族テトラカルボン酸から4つのカルボキシル基を除いた残基を示す。該残基が置換基を有する場合、該置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基である。
    Yは、重合性官能基を有する置換若しくは無置換のアルキレン基、または重合性官能基を有する置換若しくは無置換のアリーレン基を示す。
    およびRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基のメチレン基が酸素原子に置き換わって導かれる基、置換若しくは無置換のアルキル基のメチレン基が硫黄原子に置き換わって導かれる基、置換若しくは無置換のアルキル基のメチレン基がNRに置き換わって導かれる基、置換若しくは無置換のアリール基、または置換若しくは無置換の複素環基、またはアルコキシカルボニル基を示し、RおよびRは、それぞれ独立に、重合性官能基を有してもよい。
    該重合性官能基は、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、またはメトキシ基である。
    但し、前記酸素原子、硫黄原子、及びNRは、RおよびRが結合する窒素原子に直接結合しない。)
  8. 前記電荷発生層が、フタロシアニン顔料およびアゾ顔料からなる群より選択される少なくとも1種の電荷発生物質を含有する請求項1から7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  9. 前記正孔輸送層が、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物およびスチリル化合物からなる群より選択される少なくとも1種の正孔輸送物質を含有する請求項1から8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  10. 支持体、該支持体上に形成された下引き層、および該下引き層上に形成された感光層を有する電子写真感光体であって、
    該下引き層が、下記(i)または(ii)の重合物を含有することを特徴とする電子写真感光体:
    (i)式(11)で示される化合物の重合物、
    (ii)式(11)で示される化合物および架橋剤を含有する組成物の重合物。
    Figure 0006574673
    (式(11)中、XおよびXは、それぞれ独立に、置換または無置換の芳香族テトラカルボン酸から4つのカルボキシル基を除いた残基を示す。該残基が置換基を有する場合、該置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基である。
    Yは、重合性官能基を有する置換若しくは無置換のアルキレン基、または重合性官能基を有する置換若しくは無置換のアリーレン基を示す。
    およびRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基のメチレン基が酸素原子に置き換わって導かれる基、置換若しくは無置換のアルキル基のメチレン基が硫黄原子に置き換わって導かれる基、置換若しくは無置換のアルキル基のメチレン基がNRに置き換わって導かれる基、置換若しくは無置換のアリール基、または置換若しくは無置換の複素環基、またはアルコキシカルボニル基を示し、RおよびRは、それぞれ独立に、重合性官能基を有してもよい。
    但し、前記酸素原子、硫黄原子、及びNRは、RおよびRが結合する窒素原子に直接結合しない。)
  11. およびRにおいて、
    前記置換のアルキル基の置換基が、アリール基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはハロゲン原子であり、
    前記置換のアリール基の置換基及び前記置換の複素環基の置換基が、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基またはハロゲン化アルキル基である請求項10に記載の電子写真感光体。
  12. 前記重合性官能基がヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、およびチオール基からなる群より選択される少なくとも1種である請求項10または11に記載の電子写真感光体。
  13. 前記重合性官能基が不飽和炭化水素基である請求項10または11に記載の電子写真感光体。
  14. 前記不飽和炭化水素基が、アクリロイルオキシ基、およびメタクリロイルオキシ基からなる群より選択される少なくとも1種である請求項13に記載の電子写真感光体。
  15. 前記式(11)で示される化合物の重合性官能基が2つ以上である請求項10から14のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  16. 前記式(11)で示される化合物のYが、2つの重合性官能基を有する請求項10から15のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  17. 前記式(11)で示される化合物のYにおいて、前記重合性官能基がヒドロキシ基である請求項10から16のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  18. 前記式(11)で示される化合物のXおよびXが下記群から選択されるいずれか1つである請求項10から17のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006574673
  19. 前記式(11)で示される化合物のRおよびRが、いずれも前記重合性官能基を有さない請求項10から18のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  20. 前記式(11)中、RおよびRが、重合性官能基を有し、
    前記感光層が、電荷発生層、該電荷発生層上に形成された正孔輸送層を有し、
    該正孔輸送層の膜厚が、15μmより大きいことを特徴とする請求項10から18のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  21. 前記組成物における前記式(11)で示される化合物と前記架橋剤との質量比が、100:50以上100:500以下である請求項10から19のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  22. 請求項1から21のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置に着脱自在であるプロセスカートリッジ。
  23. 請求項1から21のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、露光手段、帯電手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置。
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