以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の概略図、図2は図1の画像形成装置1の画像形成部の要部拡大断面図である。
画像形成装置1は、例えば複写機、プリンタ、ファクシミリまたはそれら機能を併せ持つ複合機のように、用紙(記録媒体の一例)Pに画像を印刷する機能を備えており、画像処理部2と、給紙部3と、画像形成機構部4と、排紙部5とを備えている。
画像処理部2は、外部から入力される画像情報に対して、例えば、A/D変換、濃度補正およびシェーディング補正のような予め決められた画像処理を施す回路部である。この画像処理部2には、例えば、パーソナルコンピュータ等のようなホストコンピュータから送られる画像情報、LAN(Local Area Network)、電話回線またはインターネット等のような通信回線を介して送られる画像情報、あるいは画像読取装置によって読み取られた画像情報が入力される。
給紙部3は、画像形成機構部4に対して用紙Pを供給する機能を備えており、複数の用紙カセット6と、フィードロール7aと、レジストロール対7bとを備えている。なお、図1中の破線CLは用紙Pの搬送経路を示している。
各用紙カセット6には、例えば用紙サイズ、厚さまたは紙質のような種類の異なる複数枚の用紙Pが収容されている。これら複数の用紙カセット6のいずれか1つの用紙Pは、フィードロール7aによって1枚ずつ抜き取られ、搬送経路CLを通じてレジストロール対7bに送られ、ここでトナー像の転写のタイミングに合わせて画像形成機構部4に送られる。
画像形成機構部4は、給紙部3から送られる用紙Pに対して、画像処理部2から送られる画像情報に基づいて電子写真技術により画像を印刷する機能を備えており、感光体ドラム(像保持体の一例)8と、帯電ロール9と、露光装置10と、現像ロール(現像手段の一例)11と、転写ロール(転写手段の一例)12と、クリーナーブレード(清掃手段の一例)13と、現像剤搬送装置14(図2参照)と、用紙剥離部材15と、定着装置(定着手段の一例)16とを備えている。このうち、感光体ドラム8、帯電ロール9、現像ロール11、クリーナーブレード13、現像剤搬送装置14および用紙剥離部材15は画像形成体として一体的に取り扱える構成になっている。
感光体ドラム8は、例えば、アルミニウムからなる導電性の円筒形ドラム基体の外周面に有機感光体(Organic Photo−conductor:OPC)やアモルファスシリコン等のような感光層を設けることで形成されており、矢印で示すように、時計回りに回転自在な状態で支持されている。
帯電ロール9は、帯電バイアスが印加されることにより、感光体ドラム8の表面を予め決められた極性および電位に帯電する機能を備えており、感光体ドラム8の近傍に設置されている。
露光装置10は、帯電ロール9により帯電された感光体ドラム8の表面にレーザ光LBを照射して露光し、露光部分の電荷を除去して静電潜像を形成する機能を備えており、レーザ発振器(図示せず)と、回転多面鏡10aと、反射ミラー10b,10cとを備えている。レーザ発振器は、レーザ光LBの光源であり、上記画像処理部2から送られる画像情報に基づいてオンオフ制御される。このレーザ発振器から放射されたレーザ光LBは、回転多面鏡10aによって偏向走査され、反射ミラー10b,10cを介して感光体ドラム8の表面に照射される。
現像ロール11は、感光体ドラム8の表面の静電潜像に現像剤を付与して現像する機能を備えており、感光体ドラム8の近傍であって上記帯電ロール9よりも感光体ドラム8の回転方向下流に反時計回りに回転自在な状態で設置されている。この現像ロール11に現像バイアスが印加されることにより、現像剤が感光体ドラム8の表面の静電潜像に付着して現像像として現像される。
転写ロール12は、感光体ドラム8の表面に形成された現像像を用紙Pに転写させる機能を備えており、感光体ドラム8に接触するように、上記現像ロール11よりも感光体ドラム8の回転方向下流に設置されている。この転写ロール12に感光体ドラム8の表面の現像剤像の極性に対して逆極性の転写バイアスが印加されることにより、感光体ドラム8の表面の現像剤像が用紙Pに転写される。この感光体ドラム8と転写ロール12との対向部分が転写位置となる。
クリーナーブレード13は、転写工程後の感光体ドラム8の表面に残留した現像剤を除去して感光体ドラム8の表面を清掃する部材である。このクリーナーブレード13により除去され回収された残留現像剤は、現像剤搬送装置14の回収室14a内に回収される構成になっている。
現像剤搬送装置14は、回収室14a内に回収された残留現像剤を現像ロール11に搬送する装置である。現像剤搬送装置14の回収室14aは、感光体ドラム8の斜め上方に設置されている。この回収室14aの長手方向一端側の下面には後述の排出口が設けられている。また、回収室14aの内部には、残留現像剤を搬送する搬送部材14bが回転自在の状態で設けられている。
また、現像剤搬送装置14の収容室14c,14dは、感光体ドラム8の斜め下方に互いに隣接した状態で並んで設置されている。このうち、収容室14cの長手方向一端側の上面において上記した回収室14aの排出口の下方には収容口が設けられている。また、収容室14c,14dの各々の内部には、残留現像剤を搬送する搬送部材(搬送手段の一例)14e,14fが回転自在の状態で設けられている。これら収容室14c,14dは、それらの隣接間に設けられた隔壁部14gにより分離されているが、隔壁部14gの長手方向の両端側に形成された通路を通じて互いに接続されている。
用紙剥離部材15は、感光体ドラム8の現像剤像が転写ロール12によって転写される転写位置と定着装置16との間であって用紙Pの現像剤像転写面に対向する側に設けられ、画像形成装置1に対応する種類(サイズ)および搬送方向(縦方向、横方向)の用紙Pに安定的に対処するように、感光体ドラム8の軸方向に沿って互いに離れた位置に2個設置されている。ただし、用紙剥離部材15の個数は、これに限定されるものではなく、3個以上でも良い。各用紙剥離部材15は、支持体15aと、剥離爪15bと、ホイール15cとを備えている。
定着装置16は、現像剤像が転写された用紙Pに対して熱および圧力を与えて現像剤像を用紙Pに定着させる機能を備えており、加熱ロール16aと、加熱ロール16aに用紙Pを押し付ける加圧ロール16bとを備えている。この定着装置16により現像剤像が定着された用紙Pは、排紙部5の排紙ロール対5aにより、排紙部5の排紙トレイ5b上に排出される。
次に、上記した画像形成装置1の現像剤搬送装置14の構成を図2〜図14を参照して説明する。図3は上記した画像形成体の全体斜視図、図4〜図6は図3の画像形成体の要部拡大斜視図、図7は図3の画像形成体の一端面の正面図、図8は図7の画像形成体の一部を除去して示した正面図、図9および図10は図3の画像形成体の現像剤搬送装置14の要部を抜き出して示した要部斜視図、図11は図10の現像剤搬送装置14の下部の拡大斜視図、図12は図9の現像剤搬送装置14の搬送補助部材の全体斜視図、図13は図12の搬送補助部材の下部の拡大斜視図、図14は図12の搬送補助部材の折り曲げ前の状態の平面図である。
なお、図3〜図5では説明を分かり易くするために画像形成体の内部を部分的に透かして見せている。また、図6では図面を見易くするために画像形成体の空案管の前面の壁を取り外して案内管内を見せている。また、図3〜図6、図9〜図11には各図の位置関係や方向が分かるように互いに直交するX,Y,Z軸を示した。
図3に示すように、現像剤搬送装置14の回収室14aは、感光体ドラム8の軸方向(長手方向:Z軸方向)全域に沿って延びた状態で設置されている。この回収室14aの長手方向(Z軸方向)の一端側の下面には、上記した残留現像剤の排出口14h(図6および図7参照)が形成されている。
また、回収室14a内の搬送部材14bは、図3、図4、図9および図10に示すように、回収室14aの長手方向(Z軸方向)全域に沿って延びる回転軸部14baと、その外周に螺旋状に設けられた螺旋羽部14bbとを備えている。回収室14a内に回収された残留現像剤は、搬送部材14bの回転により排出口14hに搬送されるようになっている。
一方、現像剤搬送装置14の収容室14c,14d(図2参照)は、感光体ドラム8の軸方向(長手方向:Z軸方向)全域に沿って延びた状態で設置されている。このうち、収容室14cの長手方向(Z軸方向)の一端側の上面において上記した排出口14hの下方には、上記した残留現像剤の収容口(図示せず)が形成されている。
また、収容室14c内の搬送部材14eは、図3、図9〜図11に示すように、収容室14cの長手方向(Z軸方向)全域に沿って延びる回転軸部14eaと、その外周に螺旋状に設けられた螺旋羽部14ebとを備えている。収容室14c内に収容された残留現像剤は、搬送部材14eの回転により搬送されるようになっている。
収容室14d内の搬送部材14fは、図4に示すように、収容室14dの長手方向(Z軸方向)全域に沿って延びる回転軸部14faと、その外周に螺旋状に設けられた螺旋羽部14fbとを備えている。収容室14d内に収容された残留現像剤は、搬送部材14fの回転により搬送されるようになっている。
このような上側の回収室14aの排出口14hと下側の収容室14cの収容口とは、図3〜図9に示すように、案内管(中空案内路の一例)20を通じて接続されている。したがって、回収室14aに回収された残留現像剤は、図4の矢印で示すように搬送される。
すなわち、回収室14aに回収された残留現像剤は、搬送部材14bの回転により排出口14hに搬送され、そこから案内管20を自然落下して収容室14c(図2参照)に収容される。収容室14c内に収容された残留現像剤は、隣の収容室14d(図2参照)に搬送され、搬送部材14fの回転により収容室14dの長手方向他端側に搬送される。収容室14dの長手方向他端側に搬送された残留現像剤は、通路を通じて隣の収容室14cに搬送され、さらに搬送部材14eの回転により収容室14cの長手方向他端側から図4の手前側に向かって搬送される途中で現像ロール11に戻される。
案内管20は、図4〜図6に示すように、例えば開口形状が四角形状の中空管であり、その内部には案内管20が残留現像剤で目詰まりしないように残留現像剤の搬送(落下)を補助する搬送補助部材21が設けられている。
搬送補助部材21は、図5〜図14に示すように、相対的に長い薄板状の第1の部分21aと、相対的に短い薄板状の第2の部分21bとが互いに交差するように各々の境界で折り曲げられることで一体成形されている。ここでは、搬送補助部材21の下部の幅方向の断面形状が、例えばL字状になっている。
搬送補助部材21の第1の部分21aは、回収室14aの排出口14h側から収容室14c内の搬送部材14eに接する位置まで案内管20の内壁面に沿って延びている。第1の部分21aは、その前面が案内管20の中空搬送路側を向き、その前面の裏側の背面が案内管20の内壁面側を向くように配置されている。この第1の部分21aの上部は、案内管20の外部に位置しており、その上部21aaが装置筐体25に固定されている。この構成については後ほど詳細に説明する。
一方、搬送補助部材21の第2の部分21bは、第1の部分21aの前面に対して交差する方向に折り曲げられた部分であり、第1の部分21aの長手方向の途中位置から収容室14c内の搬送部材14eに接する位置まで延びている。搬送補助部材21は、第1の部分21aが搬送部材14eの軸方向(長手方向:Z軸方向)に沿うように配置され、第2の部分21bが搬送部材14eの軸方向(長手方向:Z軸方向)に交差するように配置された状態で案内管20内に設けられている。
このような搬送補助部材21(第1の部分21aおよび第2の部分21b)は、例えばポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephtalate:以下、PETと略す)のような透明な合成樹脂からなり、外力により撓んだり捻れたりしても元の形状に戻る構成になっている。搬送補助部材21の構成材料としてPETを使用したことにより、安い価格で、高い耐熱性、耐寒性、耐摩耗性、耐久性および耐薬品性が得られる。ただし、搬送補助部材21の構成材料は、剛性と弾性とが得られればPETに限定されるものではなく、例えばポリイミド樹脂のような合成樹脂を使用しても良い。
このような搬送補助部材21(第1の部分21aおよび第2の部分21b)は、搬送部材14eの回転により変形および復元を繰り返すようになっている。この搬送補助部材21の変形および復元の動作により、案内管20内での残留現像剤の目詰まりが防止される。すなわち、図9〜図11等に示すように、搬送部材14eが矢印R(図9、図10参照)の方向に回転すると、その螺旋羽部14ebが搬送補助部材21の第1の部分21aおよび第2の部分21bに接触する。すると第1の部分21aおよび第2の部分21bが回転軸方向(Z軸方向)に力を受けるとともに、第2の部分21bが次第に上方に持ち上げられることにより第1の部分21aが全長に渡って厚さ方向(X軸方向)に撓みながら捻れる。その後、搬送部材14eがさらに回転して螺旋羽部14ebが軸方向(Z軸方向)に移動すると、螺旋羽部14ebが第1の部分21aおよび第2の部分21bから外れるため第1の部分21aおよび第2の部分21bが弾かれて振動しながら元の形状に戻る。このような搬送補助部材21の変形および復元動作を通じて案内管20内の残留現像剤が崩されて目詰まりが防止される。
ここで、第2の部分21bが無い第1の部分21aだけの搬送補助部材の場合も残留現像剤の目詰まりの発生を低減する効果はあるものの、第1の部分21aが幅方向(Z軸方向)からの力だけしか受けず、第1の部分21aの下部(収容室14cの収容口付近)のみで撓んだり弾かれて振動したりしているので、残留現像剤の目詰まりを崩す効果が充分に得られない。これに対して本実施の形態においては、第2の部分21bを設けたことにより、第1の部分21aが幅方向(Z軸方向)と厚さ方向(X軸方向)の両方から力を受け全長に渡って(すなわち、上方の回収室14aの排出口14h付近等でも)撓み捻れてから元の状態に戻るように動作するので、残留現像剤の目詰まりを崩す効果が大幅に向上するようになっている。
また、残留現像剤の目詰まり防止のための他の構成としてパドル等を用いて残留現像剤を崩しながら搬送させる構成もあるが、パドル等を用いるので画像形成装置のコストが高くなる。これに対して本実施の形態においては、簡単な構造で、しかも安価な搬送補助部材21を用いているので、高い目詰まり防止機能を備えながら、画像形成装置のコストを下げられる。
また、本実施の形態においては、図9〜図14等に示すように、搬送補助部材21において第1の部分21aと第2の部分21bの上部との境界部(交差部)に下方に延びる切り込み部21cが形成されている。
この切り込み部21cが無いと、第1の部分21aの変形(湾曲)動作が第2の部分21bに抑制される上、第2の部分21bの自由動作も抑制されてしまう結果、第1の部分21aおよび第2の部分21bが単純に弾むだけになり、案内管20内の残留現像剤を崩す効果が低下してしまう。
これに対して本実施の形態においては、搬送補助部材21に切り込み部21cを形成したことにより、第1の部分21aの変形動作が第2の部分21bに抑制されない上、第2の部分21bの自由動作部分も増える。このため、搬送補助部材21の変形動作が大きく、複雑になるので、案内管20内の残留現像剤をより効果的に崩せるようになる。
また、本実施の形態において第2の部分21bは、第1の部分21aから最も遠い第1位置の高さが、第1の部分21aに最も近い第2位置の高さよりも低くなるように形成されており、第1位置と第2位置との間の高さが、第1位置の高さより高く、かつ、第2位置の高さより低くなるように形成されている。具体的には、第2の部分21bの上部に、第1の部分21aから遠ざかるにつれて低くなるように傾斜する傾斜部21baが形成されている。
この第2の部分21bの上部外側に角が残されていると、第2の部分21bが上昇したときに、第2の部分21bの上部外側の角が案内管20の内壁に接触し、第2の部分21bの上昇が抑えられてしまうため、第1の部分21aの変形動作が阻害されてしてしまう。このため、案内管20内の残留現像剤を崩す効果が低下してしまう。
これに対して本実施の形態においては、第2の部分21bの上部に傾斜部21baを設け、第2の部分21bの上部外側の角を取り除いたことにより、第2の部分21bがより高い位置まで上昇するので、より大きく第1の部分21aの変形するようになる。このため、案内管20内の残留現像剤をより効果的に崩せるようになる。
ただし、ここでの構造は、第2の部分21bの上部の形状が第1の部分21aの変形動作を抑制しない形状であれば良く、傾斜状に限定されるものではない。例えば第2の部分21bの上部外側の角に該当する部分を階段状にしても良い。
また、本実施の形態においては、図12および図13に示すように、搬送補助部材21の第1の部分21aと第2の部分21bとの交差角θが、例えば90度〜150度に設定されている。ここで、残留現像剤による目詰まりを防止する上では交差角θを90度に設定することが好ましい。しかし、交差角θを90度にすると、第2の部分21bが搬送部材14eの螺旋羽部14ebに接触してから弾かれる時に発生する周期音が大きくなる場合がある。その場合は、交差角θを90度よりも大きくすることが好ましい。これにより、第2の部分21bが搬送部材14eの螺旋羽部14ebに弾かれる時に発生する周期音が小さくなる。この静音効果は交差角θが大きいほど向上する。
また、本実施の形態においては、図5、図6、図8〜図14に示すように、搬送補助部材21の第1の部分21aおよび第2の部分21bにおいて搬送部材14eが接する下部に各々の下端から上方に延びる複数の切り込み部21dが形成されている。
この切り込み部21dが無い場合、案内管20内で残留現像剤を崩す上では大きな効果が得られるが、搬送補助部材21が搬送部材14eの螺旋羽部14ebに弾かれる時に発生する周期音が大きくなる場合がある。
これに対して本実施の形態においては、第1の部分21aおよび第2の部分21bの下部に切り込み部21dを形成したことにより、第1の部分21aおよび第2の部分21bの剛性が小さくなるので、搬送補助部材21が搬送部材14eの螺旋羽部14ebに弾かれる時に発生する周期音が小さくなる。
ここで、この切り込み部21dは、第1の部分21aおよび第2の部分21bのいずれか一方のみに形成しても良い。また、切り込み部21dは、1本でも良いが、本数が多いほど静音効果が向上する。ただし、切り込み部21dの本数を増やすと(切り込み部21dの隣接ピッチが狭くなると)、残留現像剤を崩す効果や耐久性に問題がある。
そこで、本実施の形態においては、そのような問題がないように切り込み部21dの本数や隣接する切り込み部21dの間隔を設定した。ここでは、例えば第1の部分21aに3本、第2の部分21bに2本の切り込み部21dを形成した。これにより、案内管20内での残留現像剤の崩す効果や耐久性を確保しつつ、高い静音効果が得られる。
また、本実施の形態においては、図5、図6、図8〜図14に示すように、切り込み部21dの先端に、切り込み部21dの幅よりも大径の丸穴21eが形成されている。これにより、切り込み部21dの先端に加わる応力が分散されるので、切り込み部21dの先端から切り込みが広がるのが抑制されている。
次に、このような搬送補助部材21の動作例について図15(a)〜(d)を参照して説明する。図15(a)〜(d)は、画像形成装置1の正面(一端面)側から見た搬送補助部材21の動作移行状態を示した概略図である。
まず、図15(a)に示すように、下方の搬送部材14eの回転により、その螺旋羽部14ebが搬送補助部材21の第1の部分21aおよび第2の部分21bに接触する。これにより、第1の部分21aおよび第2の部分21bが回転軸方向(Z軸方向)に力を受ける。
続いて、搬送部材14eの回転が進むと図15(b)に示すように、第1の部分21aおよび第2の部分21bが搬送部材14eの螺旋羽部14ebから押されて第1の部分21aの背面が案内管20の内壁面から離れ始め、第1の部分21aが撓み始める。
続いて、搬送部材14eの回転が進むと図15(c)に示すように、搬送部材14eの螺旋羽部14ebから第2の部分21bが押されて傾きながら次第に上方に持ち上げられる。すると、第2の部分21bの上昇に連動して第1の部分21aも上に持ち上げられるので第1の部分21aの撓みが大きくなる。
ここで、第1の部分21aと第2の部分21bとの境界に切り込み部21cが無いと、第2の部分21bに邪魔されて第1の部分21aが上手く撓まない。これに対して本実施の形態においては、切り込み部21cを設けたことにより、第1の部分21aの撓みが第2の部分21bに邪魔されることもなくなるので、第1の部分21aの撓み方も大きくなる。また、第2の部分21bの自由動作領域も広くなる。
続いて、さらに搬送部材14eの回転が進むと図15(d)に示すように、第2の部分21bがさらに傾きながら上方に持ち上げられる。これにより、第1の部分21aも全長に渡って撓みながら捻れるようになる。
ここで、第2の部分21bの上部外側に角が残されていると、その角が案内管20の内壁に接触してしまうので第2の部分21bの上昇が阻害される。これに対して本実施の形態においては、第2の部分21bの上部外側の角が除去されているので、その分だけ第2の部分21bの上昇量が増えるので、第1の部分21aの撓み方も大きくなる。
続いて、搬送部材14eの回転が進むと、搬送部材14eの螺旋羽部14ebが第1の部分21aおよび第2の部分21bから外れるため第1の部分21aおよび第2の部分21bが弾かれて振動しながら元の形状に戻る。
ここで、第1の部分21aおよび第2の部分21bが搬送部材14eの螺旋羽部14ebから外れるときには、第1の部分21aおよび第2の部分21bの各々の幅方向全体が一度に弾かれるのではなく、第1の部分21aおよび第2の部分21bの切り込み部21dで区切られた部分毎に弾かれる。このため、搬送補助部材21が弾かれる時に発生する周期音が小さくなる。
このような搬送補助部材21の変形および復元の動作を通じて案内管20内の残留現像剤が崩されて目詰まりが防止される。なお、切り込み部21dが無い搬送補助部材の場合でも、静音に関する動作を除いて、第1の部分21aおよび第2の部分21bは上記と同様に動作する。
次に、図16は、搬送補助部材21の下部に切り込み部21dを形成しない場合と切り込み部21dの本数を変えた場合とで発生音を測定した結果をグラフで示した図である。なお、中央の破線は、特に限定されるものではないが予め設定された騒音目標値である。
一番左が搬送補助部材21の下部に切り込み部21dが無い場合、一番右が本実施の形態で説明した搬送補助部材21、中央が本実施の形態の場合よりも切り込み部21dの本数を減らした場合の測定結果を示している。
切り込み部21dを形成しない場合、残留現像剤の目詰まり防止や搬送補助部材21の耐久性を確保する上では、他の場合よりも良いが、騒音目標値を超えてしまう場合もある。これに対して、本実施の形態のように搬送補助部材21の下部に切り込み部21dを形成した場合は、騒音目標値を下回り、高い静音効果が得られていることが分かる。
次に、上記した搬送補助部材21の固定構成について図4〜図6、図17〜図23を参照して説明する。図17は図3の画像形成体の要部拡大斜視図、図18は図3の画像形成体の上面図、図19は図18の画像形成体を矢印XAの方向から見た側面図、図20は図18の領域Aの拡大平面図、図21は図19のB−B線の断面図である。なお、図18、図20および図21ではX,Z軸を、図19ではY,Z軸を示した。
本実施の形態においては、図4〜図6に示すように、搬送補助部材21の第1の部分21aの上部が案内管20の外部に位置しており、その上部21aaが折れ曲がり、貼り付け用の両面テープ(図示せず)等により装置筐体25に固定されている。
搬送補助部材21の一部を案内管20の内部で貼り付けて固定する場合、例えば以下のような不具合がある。すなわち、搬送補助部材21の動作範囲が小さくなり、残留現像剤の崩し効果が充分に得られない場合がある。また、搬送補助部材21の貼り付け部の欠損等により搬送補助部材21が案内管20内に滞留する結果、残留現像剤の崩し効果が得られなくなる上、案内管20が狭くなるので残留現像剤の搬送効率が下がり、さらに目詰まりが発生する場合がある。また、案内管20は一般的に狭い筒状となっているので搬送補助部材21を取り付けるのが困難であり、作業コストの増大を招く上、作業不良により搬送補助部材21が剥離してしまう場合もある。さらに、案内管20は閉空間であることから目視確認ができず、組立後に検査ができないので組立中に確認検査工程を追加する必要が生じ、検査工数の増大と、それによるコストの増大を招く。
これに対して本実施の形態のいては、搬送補助部材21を案内管20の外部で固定したことにより、図17に示すように、搬送補助部材21の動作範囲(実線)が、搬送補助部材21を案内管20内の位置JPで固定した場合の動作範囲(破線)MR2に比べて広くなる。このため、案内管20内での残留現像剤の崩し効果が向上する。
また、搬送補助部材21の貼り付け部が外れても案内管20内に引き込まれないので、残留現像剤の搬送効率の低下や目詰まりの発生も生じない。
また、搬送補助部材21の貼り付け部が案内管20の外にあるので、貼り付け作業がし易く、作業コストが低減する。また、作業不良の発生も少ない。
また、搬送補助部材21の貼り付け部が案内管20の外にあるので、組立工程後の確認が容易であり、組立中に確認検査工程を追加する必要もないので検査コストが低減する。
また、本実施の形態においては、図4〜図6、図18、図20および図21に示すように、搬送補助部材21の上部21aaの先端がL字状に折れ曲がり、その曲折部(引っ掛かり部の一例)21abが装置筐体25の一部に引っ掛かるようになっている。また、装置筐体25の一部にも搬送補助部材21の上部21aaの一部に上側から被さるような庇部分25a(図20参照)が形成されている。
このため、仮に搬送補助部材21の固定用の貼り付け用両面テープが剥がれてしまったとしても、搬送補助部材21の上部21aaの曲折部21abが装置筐体25に引っ掛かるので、搬送補助部材21が確実に保持されるようになっている。このため、案内管20内での残留現像剤の搬送効率の低下や目詰まりの発生も生じない。
また、搬送補助部材21の上部21aaと曲折部21abとの交差する角部を装置筐体25の一部に合わせると搬送補助部材21が案内管20内でも位置合わせよく装着されるように設定しておくことにより、組立工程時の搬送補助部材21の位置合わせも容易になり組立工程が簡単になる。
ただし、搬送補助部材21の上部21aaの形状はL字状に限定されるものではなく、例えばT字状にしても良い。また、搬送補助部材21の上部21aaに1または2以上の丸穴(引っ掛かり部の一例)を設け、その丸穴内に装置筐体25の突部を嵌め合わせることで搬送補助部材21を保持するようにしても良い。
さらに、本実施の形態においては、図6等に示すように、搬送補助部材21の上部21aaが搬送補助部材21の前面側に折れ曲がって装置筐体25に貼り付けられている。その理由を図22および図23を参照して説明する。図22および図23は搬送補助部材21の上部の折り曲げ方向を説明するための説明図である。なお、図22および図23ではY,X軸を示した。
まず、図22の矢印m1に示すように、搬送補助部材21の上部21aaを搬送補助部材21の背面側に折り曲げると、案内管20内の搬送補助部材21には、矢印m2に示すように、案内管20の内壁から離れる方向に力が加わるので案内管20を塞ぐようになる。
これに対して本実施の形態においては、図23の矢印m3に示すように、搬送補助部材21の上部21aaを搬送補助部材21の前面側に折り曲げることにより、案内管20内の搬送補助部材21には、矢印m4に示すように、案内管20の内壁面に押し付けられる方向に力が加わるので案内管20を塞がないようになる。このため、案内管20内の残留現像剤の中空搬送路が確保されるので、案内管20内において残留現像剤が良好に落下する。
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
例えば前記実施の形態においては、感光体ドラムの現像剤像を転写ロールにより用紙に転写する直接転写方式の画像形成装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、中間転写ベルト(像保持体の一例)に形成した現像剤像を二次転写ロールにより用紙に転写する中間転写方式の画像形成装置に適用しても良い。この場合、中間転写ベルトの途中位置に設けられた清掃部材により中間転写ベルト上の残留現像剤を除去回収して現像剤廃棄容器に搬送するまでの現像剤搬送装置において、現像剤の搬送経路に上記した搬送補助部材21を設ける。
また、前記実施の形態においては、搬送手段として螺旋羽部を備える搬送部材14a,14e,14fを用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えばコイルバネ状の搬送部材を用いても良い。
また、前記実施の形態においては、搬送補助部材21が互いに交差する第1の部分21aと第2の部分21bとを有する構成の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば第2の部分21bの無い第1の部分21aのみで構成されるような搬送補助部材に適用しても良い。この場合、搬送補助部材(第1の部分21a)を搬送部材14eの軸方向に沿うように配置しても良いし、該軸方向に交差するように配置しても良い。いずれの場合でも搬送補助部材の下部に1または2以上の切り込み部21dを設けたことにより、静音効果が得られる。