しかしながら、このような構造では、車両幅方向の荷重入力に対してはサスペンション支持部の剛性を高めることができるものの、車両幅方向及び車両前後方向の二方向の荷重入力に対してサスペンション支持部の剛性を高める点に関しては改善の余地がある。
本発明は、上記事実を考慮して、車両幅方向及び車両前後方向の二方向の荷重入力に対してサスペンション支持部の剛性を高めることができる車両用サスペンション支持部構造を得ることが目的である。
請求項1に記載する本発明の車両用サスペンション支持部構造は、車体の両サイドに設けられて車両前後方向に沿って配置されたサイドメンバと、前記サイドメンバの上面に取り付けられ、サスペンションを収容すると共に、天壁部、車両幅方向内側の第一縦壁部及び前後一対の第二縦壁部に前記サスペンションが支持されたサスペンションタワー本体と、前記サスペンションタワー本体の前記第一縦壁部に形成され、車両幅方向内側に突出して車両上下方向に延在すると共に、下端部が前記サイドメンバの上面に接続された第一リブと、前記サスペンションタワー本体の前記前後一対の第二縦壁部に形成され、車両前後方向でかつ前記サスペンションを収容する側とは反対側に突出して車両上下方向に延在すると共に、下端部が前記サイドメンバの上面に接続された前後対の第二リブと、を有し、前記第一リブは、前記前後一対の第二縦壁部における各々の車両幅方向内側の延長位置に延設された前後一対の延設リブを含んで構成されており、前記第一縦壁部には、車両幅方向内側に突出して前記前後一対の延設リブを連結する連結リブが形成されている。
上記構成によれば、サイドメンバの上面に取り付けられたサスペンションタワー本体がサスペンションを収容している。サスペンションは、サスペンションタワー本体の天壁部、車両幅方向内側の第一縦壁部及び前後一対の第二縦壁部に支持されている。サスペンションタワー本体の第一縦壁部には、第一リブが形成されており、この第一リブは、車両幅方向内側に突出して車両上下方向に延在すると共に、下端部がサイドメンバの上面に接続されている。このため、サスペンション側からサスペンションタワー本体の第一縦壁部に対して車両幅方向内側への荷重が入力されても、第一縦壁部が第一リブに支持される。よって、第一縦壁部の車両幅方向内側への変位量が抑えられ、第一縦壁部の倒れ込みが抑制される。そして、第一縦壁部に入力された荷重は、第一リブを介してサイドメンバ側へ伝達される。
また、サスペンションタワー本体の前後一対の第二縦壁部には、前後対の第二リブが形成され、前後対の第二リブは、車両前後方向でかつサスペンションを収容する側とは反対側に突出して車両上下方向に延在すると共に、下端部がサイドメンバの上面に接続されている。このため、サスペンション側からサスペンションタワー本体の前後一対の第二縦壁部に対して車両前後方向の荷重が入力されても、第二縦壁部が第二リブに支持される。よって、第二縦壁部の車両前後方向への変位量が抑えられ、第二縦壁部の倒れ込みが抑制される。また、第二縦壁部に入力された荷重は、第二リブを介してサイドメンバ側へ伝達される。
さらに、サスペンション側からサスペンションタワー本体に対して車両幅方向への入力と車両前後方向への入力とが同時に入力されてねじり荷重が作用した場合、サスペンションタワー本体のねじれ変形が第一リブ及び第二リブによって抑制される。
また、この車両用サスペンション支持部構造によれば、第一リブとしての延設リブは、前後一対の第二縦壁部における各々の車両幅方向内側の延長位置に延設されているので、第二縦壁部で受けた荷重の一部が延設リブにも分担される。すなわち、サスペンション側からサスペンションタワー本体の前後一対の第二縦壁部に対して車両前後方向の荷重が入力された場合、第二縦壁部に加えて延設リブも、前記荷重の入力方向と略直交する壁部として荷重を受ける。これにより、第一縦壁部の車両幅方向内側への変形を抑制する第一リブとしての延設リブによって、第二縦壁部の車両前後方向への変形も抑制される。
また、この車両用サスペンション支持部構造によれば、第一縦壁部には、車両幅方向内側に突出して前後一対の延設リブを連結する連結リブが形成されているので、第一縦壁部の面剛性が高められる。また、サスペンション側からサスペンションタワー本体に対して車両幅方向への入力と車両前後方向への入力とが同時に入力されてねじり荷重が作用した場合、前後一対の延設リブ同士の相対位置関係のずれが連結リブによって抑えられる。すなわち、第一縦壁部のねじり剛性が高められ、第一縦壁部の変形が抑制される。
請求項2に記載する本発明の車両用サスペンション支持部構造は、請求項1記載の構成において、前記前後一対の第二縦壁部において前記サスペンション側から荷重が入力される部位よりも上方側の高さ位置に前記第二リブの上端位置が設定されている。
上記構成によれば、サスペンション側からサスペンションタワー本体の前後一対の第二縦壁部に対して車両前後方向の荷重が入力された場合、当該荷重が入力される部位の高さ位置を含むように車両上下方向に延在する第二リブによって第二縦壁部が支持される。よって、第二縦壁部は、サスペンション側から荷重が入力される部位及びその高さ位置での変形が第二リブによって抑制されると共に、第二縦壁部の車両前後方向への変位量が効果的に抑えられる。また、第二縦壁部に入力された荷重は、第二リブを介してサイドメンバ側へ効果的に伝達される。
請求項3に記載する本発明の車両用サスペンション支持部構造は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記連結リブは、前記第一縦壁部において前記サスペンション側から荷重が入力される部位に対応する高さ位置に設定されている。
上記構成によれば、サスペンション側からサスペンションタワー本体の第一縦壁部に対して車両幅方向内側への荷重が入力された場合、当該荷重は連結リブの形成部位に直接作用する。このため、当該荷重は、連結リブに効率的に伝達された後、前後一対の延設リブを介してサイドメンバ側に伝達される。これにより、第一縦壁部では、サスペンション側から荷重が入力される部位での局所的な曲げ変形が抑えられる。
請求項4に記載する本発明の車両用サスペンション支持部構造は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の構成において、前記第二リブは、前記前後一対の第二縦壁部において前記サスペンション側から荷重が入力される部位よりも車両幅方向内側に形成された内側リブと、前記前後一対の第二縦壁部において前記サスペンション側から荷重が入力される部位よりも車両幅方向外側に形成された外側リブと、を含んで構成されている。
上記構成によれば、第二リブとしての内側リブは、前後一対の第二縦壁部においてサスペンション側から荷重が入力される部位よりも車両幅方向内側に形成されている。これに対して、第二リブとしての外側リブは、前後一対の第二縦壁部においてサスペンション側から荷重が入力される部位よりも車両幅方向外側に形成されている。これらにより、サスペンション側からサスペンションタワー本体の前後一対の第二縦壁部に対して車両前後方向の荷重が入力された場合、当該荷重が入力された部位は、内側リブ及び外側リブによって左右バランス良く支持される。よって、第二縦壁部が荷重を受けても、第二縦壁部ではその車両幅方向内側の部位に対する車両幅方向外側の部位の相対変位が抑えられる。
請求項5に記載する本発明の車両用サスペンション支持部構造は、請求項4記載の構成において、前記内側リブは、前記第一縦壁部と車両幅方向の位置が同じ位置に設定されている。
上記構成によれば、第二リブとしての内側リブは、第一縦壁部と車両幅方向の位置が同じ位置に設定されているので、第一縦壁部で受けた荷重の一部が内側リブにも分担される。すなわち、第二縦壁部の車両前後方向への変形を抑制する第二リブとしての内側リブが、第一縦壁部の車両幅方向内側への変形抑制にも寄与する。
請求項6に記載する本発明の車両用サスペンション支持部構造は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の構成において、前記前後一対の延設リブの各突出方向の先端部から車両前後方向に沿って互いに離反する方向に突出して車両上下方向に延在すると共に下端部が前記サイドメンバの上面に接続された前後一対の補剛リブが形成され、前記延設リブと前記補剛リブとで形成される第一稜線が前記連結リブの突出先端側の第二稜線と交差するように設定されている。
上記構成によれば、前後一対の補剛リブは、前後一対の延設リブの各突出方向の先端部から車両前後方向に沿って互いに離反する方向に突出して車両上下方向に延在し、下端部がサイドメンバの上面に接続されている。このため、サスペンション側からサスペンションタワー本体の前後一対の第二縦壁部に対して車両前後方向の荷重が入力された場合、第二縦壁部の延長位置に延設された延設リブが補剛リブに支持される。また、前後一対の延設リブに荷重が作用した場合、サスペンションタワー本体に対する延設リブの相対変位が連結リブ及び補剛リブによって抑制される。
また、延設リブと補剛リブとで形成される第一稜線は、連結リブの突出先端側の第二稜線と交差するように設定されている。このため、連結リブに作用する荷重の一部が延設リブと補剛リブとで形成する第一稜線に沿ってサイドメンバ側へ効率的に伝達される。
請求項7に記載する本発明の車両用サスペンション支持部構造は、請求項6記載の構成において、前記前後一対の延設リブには、互いの対向側とは反対側に突出して前記補剛リブと前記第二リブとを連結する補強リブが形成され、前記補強リブは、前記連結リブと同じ高さ位置に設定されている。
上記構成によれば、前後一対の延設リブには、互いの対向側とは反対側に突出して補剛リブと第二リブとを連結する補強リブが形成されている。このため、前後一対の延設リブに荷重が作用した場合、サスペンションタワー本体に対する延設リブの相対変位が連結リブ、補剛リブ、第二リブ及び補強リブによって効果的に抑制される。また、補強リブは、サスペンションタワー本体から離れて設定された補剛リブに対して車両幅方向の荷重が作用した場合に当該補剛リブを支える機能も併せて有する。
ここで、補強リブは、連結リブと同じ高さ位置に設定されている。このため、連結リブに作用する荷重の一部が延設リブにおける補強リブの形成部に直接伝達される。よって、連結リブと延設リブとの接続部の局所変形が抑制される。
請求項8に記載する本発明の車両用サスペンション支持部構造は、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の構成において、前記第一縦壁部には、その車両前後方向中間部から車両幅方向外側に突出して前記サスペンションが取り付けられる被取付リブが形成されると共に車両幅方向外側に突出して前記前後一対の第二縦壁部の各々と前記被取付リブとを連結する補強用リブが形成されている。
上記構成によれば、第一縦壁部にはその車両前後方向中間部から車両幅方向外側に突出する被取付リブが形成されており、この被取付リブにサスペンションが取り付けられている。また、第一縦壁部には車両幅方向外側に突出する補強用リブが形成されており、この補強用リブは、前後一対の第二縦壁部の各々と被取付リブとを連結している。このため、第二縦壁部及び被取付リブに荷重が作用する場合、その荷重の一部が補強用リブを介して第一縦壁部に分担されるので、第二縦壁部及び被取付リブの変形が抑制される。
請求項9に記載する本発明の車両用サスペンション支持部構造は、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の構成において、前記サスペンションタワー本体の下端部には、前記第一リブの下端部と前記第二リブの下端部とを一体に連結しかつ前記サイドメンバの上面に結合されたフランジ部が設けられている。
上記構成によれば、サスペンションタワー本体の下端部に設けられたフランジ部が、第一リブの下端部と第二リブの下端部とを一体に連結しかつサイドメンバの上面に結合されている。このため、第一リブの下端部及び第二リブの下端部が一層安定的にサイドメンバの上面に接続される。よって、サスペンションタワー本体側から第一リブ及び第二リブに荷重が作用した場合、第一リブ及び第二リブは、サスペンションタワー本体を一層安定的に支持することができる。
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の車両用サスペンション支持部構造によれば、車両幅方向及び車両前後方向の二方向の荷重入力に対してサスペンション支持部の剛性を高めることができるという優れた効果を有する。
また、この車両用サスペンション支持部構造によれば、第一縦壁部の車両幅方向内側への変形を抑制する延設リブによって、前後一対の第二縦壁部の面剛性を向上させることができる。
さらに、この車両用サスペンション支持部構造によれば、第一縦壁部のねじり剛性を高めることで、サスペンションをより安定的に支持することができる。
請求項2に記載の車両用サスペンション支持部構造によれば、第二縦壁部においてサスペンション側から荷重が入力される部位及びその高さ位置での変形を効果的に抑えることで第二縦壁部の車両前後方向への倒れ込みを抑制することができるという優れた効果を有する。
請求項3に記載の車両用サスペンション支持部構造によれば、第一縦壁部の局所的な曲げ変形を抑制することで、サスペンションをより一層安定的に支持することができるという優れた効果を有する。
請求項4に記載の車両用サスペンション支持部構造によれば、サスペンション側から第二縦壁部への入力荷重を左右バランス良く支持することで第二縦壁部の回動変位を効果的に抑制することができるという優れた効果を有する。
請求項5に記載の車両用サスペンション支持部構造によれば、第二縦壁部の車両前後方向への変形を抑制する内側リブを、第一縦壁部の面剛性向上に寄与させることができるという優れた効果を有する。
請求項6に記載の車両用サスペンション支持部構造によれば、サスペンション側からサスペンションタワー本体の第一縦壁部に対して車両幅方向内側への荷重が入力された場合に第一縦壁部の変形を一層効果的に抑制することできるという優れた効果を有する。
請求項7に記載の車両用サスペンション支持部構造によれば、サスペンションタワー本体に対する延設リブの相対変位を効果的に抑制することができると共に補剛リブを補強的に支持することができるという優れた効果を有する。
請求項8に記載の車両用サスペンション支持部構造によれば、第二縦壁部及び被取付リブの面剛性を向上させることができるという優れた効果を有する。
請求項9に記載の車両用サスペンション支持部構造によれば、第一リブ及び第二リブによってサスペンションタワー本体を一層安定的に支持することで、サスペンションを一層安定的に支持することができるという優れた効果を有する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る車両用サスペンション支持部構造について図1及び図2を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側を示している。
図1には、車体前部10の右側部分に設けられた車両用サスペンション支持部構造が斜視図にて示されている。なお、車体前部10の左側部分に設けられた車両用サスペンション支持部構造は、図1とは左右対称に構成されている。
(サスペンションタワー及びその周辺構造)
図1に示されるように、車体前部10には、フロントサイドメンバ12が配設されている。フロントサイドメンバ12は、車体前部10の両サイドに設けられ、車両前後方向に沿って配置されている。このフロントサイドメンバ12は、車両骨格部材であり、車両幅方向内側部分を構成するフロントサイドメンバインナ14と、車両幅方向外側部分を構成するフロントサイドメンバアウタ16と、を備えている。フロントサイドメンバインナ14は、車両幅方向外側が開放された断面ハット形状に形成されている。これに対して、フロントサイドメンバアウタ16は、フロントサイドメンバインナ14の開口部分を閉止する長尺平板状に形成されている。これらのフロントサイドメンバインナ14及びフロントサイドメンバアウタ16が溶接により結合されることによってフロントサイドメンバ12は閉断面構造に構成されている。
フロントサイドメンバ12に対して車両幅方向外側でかつ車両上方側には、エプロンアッパメンバ18が配設されている。エプロンアッパメンバ18は、車両前後方向に沿って配置された車両骨格部材であり、車両下方側が開放された断面ハット形状に形成されている。
フロントサイドメンバ12とエプロンアッパメンバ18とは、サスペンションタワー20によって連結されている。サスペンションタワー20は、金属(例えば、アルミニウム合金やマグネシウム合金等の軽金属)により形成された鋳物製とされ、前後対称に形成されている。サスペンションタワー20は、タワー状に形成されたサスペンションタワー本体22を備えている。
(サスペンションタワー本体及びサスペンションの構成)
サスペンションタワー本体22は、天壁部24、車両幅方向内側の第一縦壁部26及び前後一対の第二縦壁部28を備えている。なお、車両前方側の第二縦壁部28は、図1では見えない部分を構成しているが、車両後方側の第二縦壁部28と同様の形状に形成されている。
前後一対の第二縦壁部28は、車両前後方向に互いに対向しており、概ね車両上下方向及び車両幅方向を含む面を面方向として配置されている。これらの第二縦壁部28は、略台形状とされ、上辺が下辺に比べて長く、車両幅方向内側の側辺が車両上下方向に沿って延びているのに対し、車両幅方向外側の側辺が車両上方側へ向けて車両幅方向外側に傾斜している。第二縦壁部28の上部でフロントサイドメンバ12の上方側には、後述するサスペンション50(図2参照)の取付け用としてアッパアーム取付孔28Aが貫通形成されている。
第一縦壁部26は、前後一対の第二縦壁部28における車両幅方向内側の端部同士を連結しており、概ね車両上下方向及び車両前後方向を含む面を面方向として配置されている。また、天壁部24は、第一縦壁部26及び前後一対の第二縦壁部28の各々における車両上方側の端部とそれぞれ接続されており、一般面が概ね車両前後方向及び車両幅方向を含む面を面方向として配置されている。天壁部24における車両幅方向内側寄りの部位には、アブソーバ取付孔24Aが貫通形成されている。また、アブソーバ取付孔24Aの外周部には、後述するショックアブソーバ52(図2参照)の締結用として複数のボルト挿通孔24Bが貫通形成されている。
天壁部24の上面における車両幅方向外側の部位には、エプロンアッパメンバ18のフランジ部18Aが重ね合わせられて溶接により結合されている。このように、天壁部24とエプロンアッパメンバ18のフランジ部18Aとが結合されることで閉断面構造が形成されている。
また、サスペンションタワー本体22は、前後一対の第二縦壁部28の下端部の各々から互いに離反する方向に延出されたフランジ本体30Aを備えている。フランジ本体30Aは、フランジ部30の一部を構成し、フロントサイドメンバ12の上面14Aに溶接により結合されて(取り付けられて)いる。
図2には、図1の2−2線に沿った拡大断面図が示されている。図2に示されるように、サスペンションタワー本体22は、サスペンション50(図中では二点鎖線で図示)を収容している。また、サスペンションタワー本体22の第一縦壁部26の上部を含む部位には、その車両前後方向中間部から車両幅方向外側に突出する被取付リブ32が前後一対で形成されている。被取付リブ32は、車両上下方向及び車両幅方向を含む面を面方向として配置されている。前後一対の被取付リブ32には、サスペンション50の取付け用としてアッパアーム取付孔32Aが貫通形成されると共に、互いの対向面側には、ウエルドナット60Bがアッパアーム取付孔32Aの外周部に予め固着されている。
本実施形態におけるサスペンション50は、ダブルウィッシュボーン式のサスペンションとされている。このサスペンション50は、ショックアブソーバ52を備える共に、車両上下方向の上部にアッパアーム56、車両上下方向の下部にロアアーム(図示省略)を備えている。
アッパアーム56は、平面視で略U字形状とされ、ショックアブソーバ52の上部外周側において車両幅方向内側に開口するように配置されている。アッパアーム56の前後一対の内端部には、円筒状のブッシュ58が取り付けられている。ブッシュ58は、サスペンションタワー本体22における前後一対の第二縦壁部28、及び第一縦壁部26から突出された被取付リブ32の間に配設されている。また、ブッシュ58の中心軸方向は、車両前後方向に設定されている。そして、前後一対の第二縦壁部28のアッパアーム取付孔28A、ブッシュ58、及び被取付リブ32のアッパアーム取付孔32Aを貫通したボルト60Aの雄ねじ部が、被取付リブ32に固着されたウエルドナット60Bの雌ねじ部に螺合されている。これにより、アッパアーム56は、第二縦壁部28及び被取付リブ32に取り付けられ、車両前後方向に沿ったブッシュ58の中心軸線周りに揺動可能に支持されている。アッパアーム56の車両前後方向中間部である外端部は、ボールジョイント62を介して車輪支持体であるステアリングナックル(図示省略)の上端部に連結されている。前記ステアリングナックルは、車輪(図示省略)を回転可能に支持している。
同様に、図示しない前記ロアアームは、平面視で略U字形状とされ、ショックアブソーバ52の下部側において車両幅方向内側に開口するように配置されている。前記ロアアームの前後一対の内端部は、ブッシュ(図示省略)等を介して、フロントサイドメンバ12(図1参照)に連結されている。そして、前記ロアアームは、車両前後方向に沿った前記ブッシュの中心軸線周りに揺動可能に支持されている。前記ロアアームの車両前後方向中間部である外端部は、ボールジョイント(図示省略)を介して前記ステアリングナックルの下端部に連結されている。
さらに、前記ロアアームには、ブラケットを介してショックアブソーバ52の下端部が車両前後方向の軸線周りに揺動可能に連結されている。ショックアブソーバ52の上部外周には、コイルスプリング54が巻装されている。コイルスプリング54の上下端末は、各々に対応して設けられた上下一対のスプリングシート(図示省略)に係止されている。前記スプリングシートは、ショックアブソーバ52の外周部に取り付けられている。ショックアブソーバ52の上端部は、図1に示される天壁部24におけるアブソーバ取付孔24Aの外周部にボルト締結により取り付けられている。なお、図1では、ボルト締結線を一点鎖線で示す。
以上により、サスペンションタワー本体22における天壁部24、車両幅方向内側の第一縦壁部26及び前後一対の第二縦壁部28にサスペンション50(図2参照)が支持されている。
(リブによる補強構造)
サスペンションタワー本体22の前後一対の第二縦壁部28には、サスペンション50(図2参照)側から荷重が入力される部位であるアッパアーム取付孔28Aの形成部よりも車両幅方向内側に前後対の第二リブとしての内側リブ36が形成されている。図1及び図2に示されるように、この内側リブ36は、第一縦壁部26と車両幅方向の位置が同じ位置に設定されている。また、前後一対の第二縦壁部28には、アッパアーム取付孔28Aの形成部よりも車両幅方向外側に前後対の第二リブとしての外側リブ38が形成されている。
内側リブ36及び外側リブ38は、車両前後方向でかつサスペンション50(図2参照)を収容する側とは反対側に突出して車両上下方向に延在している。図1に示されるように、内側リブ36及び外側リブ38の各々の下端部は、フランジ本体30Aと一体化されてフロントサイドメンバ12の上面14Aに接続されている。また、内側リブ36及び外側リブ38の各上端位置は、前後一対の第二縦壁部28におけるアッパアーム取付孔28Aの形成部よりも上方側の高さ位置に設定されている。そして、内側リブ36及び外側リブ38は、車両下方側に向かうに従って車両前後方向への突出量が大きくなる形状に形成されている。内側リブ36及び外側リブ38の各々の下端突出先端位置は、フランジ本体30Aの先端位置に揃えられている。さらに、外側リブ38の下端部は、フランジ本体30Aの車両幅方向外側の端部と連続して形成されている。
また、内側リブ36の下端部に対して車両幅方向内側には、フランジ本体30Aから車両幅方向内側に張り出した延長フランジ30Bが形成されている。延長フランジ30Bは、フランジ本体30Aと同様にフロントサイドメンバ12の上面14Aに溶接により結合されて(取り付けられて)いる。この延長フランジ30Bは、サスペンションタワー本体22の下端部に設けられたフランジ部30の一部を構成している。
一方、サスペンションタワー本体22の第一縦壁部26には、第一リブとしての前後一対の延設リブ34が形成されている。前後一対の延設リブ34は、前後一対の第二縦壁部28における各々の車両幅方向内側の延長位置に延設されたリブであり、車両幅方向内側に突出して車両上下方向に延在している。前後一対の延設リブ34の下端部は、延長フランジ30Bと一体化されてフロントサイドメンバ12の上面14Aに接続されている。延設リブ34は、車両下方側に向かうに従って車両幅方向内側への突出量が大きくなる形状に形成されている。延設リブ34の下端部は、延長フランジ30Bと連続して形成されている。換言すれば、延長フランジ30B及びフランジ本体30Aを備えたフランジ部30は、内側リブ36の下端部、外側リブ38の下端部、及び延設リブ34の下端部を一体に連結している。
また、第一縦壁部26には、車両幅方向内側に突出して前後一対の延設リブ34を連結する連結リブ42が形成されている。連結リブ42は、第一縦壁部26においてサスペンション50(図2参照)側から荷重が入力される部位である被取付リブ32(図2参照)の形成部に対応する高さ位置(より詳細にはアッパアーム取付孔32A(図2参照)と同じ高さ位置)に設定されている。連結リブ42は、平面視で矩形状とされ、車両幅方向内側への突出量が車両前方側の端部から車両後方側の端部まで一定とされている。
前後一対の延設リブ34の各突出方向の先端部からは車両前後方向に沿って互いに離反する方向に突出した前後一対の補剛リブ44が形成されている。補剛リブ44は、車両上下方向に(厳密には車両下方側へ向けて若干車両幅方向内側に傾斜するように)延在している。補剛リブ44の下端部は、延長フランジ30Bと一体化されてフロントサイドメンバ12の上面14Aに接続されている。補剛リブ44の上端位置は、前後一対の第二縦壁部28におけるアッパアーム取付孔28Aの形成部よりも上方側の高さ位置に設定されている。
補剛リブ44は、車両下方側に向かうに従って車両前後方向への突出量が大きくなる形状に形成されている。補剛リブ44の下端部は、延長フランジ30Bにおける車両幅方向内側の端部と連続して形成されている。また、補剛リブ44の下端突出先端部における車両前後方向位置は、当該補剛リブ44の車両幅方向外側に並設された内側リブ36及び外側リブ38の下端突出先端部における車両前後方向位置に揃えられている。延設リブ34と補剛リブ44とで形成される第一稜線L1は、連結リブ42の突出先端側の第二稜線L2、L3と交差するように設定されている。
また、図1及び図2に示されるように、前後一対の延設リブ34には、互いの対向側とは反対側に突出して補剛リブ44と内側リブ36とを連結する補強リブ46が形成されている。補強リブ46は、連結リブ42と同じ高さ位置に設定され、平面視で矩形状とされている。補強リブ46の突出先端位置は、補剛リブ44の突出先端位置及び内側リブ36の突出先端位置に揃えられている。
なお、延長フランジ30B(図1参照)、内側リブ36、外側リブ38、延設リブ34、連結リブ42、補剛リブ44及び補強リブ46は、サスペンションタワー20の製造時にサスペンションタワー本体22と一体に形成される。すなわち、サスペンションタワー20は、形状の自由度が高いという鋳物の特性を活かして多数のリブが一体に形成された構造となっている。
(作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
上記構成の車両用サスペンション支持部構造では、図1に示されるフロントサイドメンバ12の上面14Aに取り付けられたサスペンションタワー本体22が、サスペンション50(図2参照)を収容する。サスペンション50(図2参照)は、サスペンションタワー本体22の天壁部24、車両幅方向内側の第一縦壁部26及び前後一対の第二縦壁部28に支持されている。
サスペンションタワー本体22の前後一対の第二縦壁部28には、それぞれ前後対の内側リブ36及び外側リブ38が形成されている。それぞれ前後対の内側リブ36及び外側リブ38は、車両前後方向でかつサスペンション50(図2参照)を収容する側とは反対側に突出して車両上下方向に延在すると共に、下端部がフランジ本体30Aと一体化されてフロントサイドメンバ12の上面14Aに接続されている。このため、サスペンション50(図2参照)側からサスペンションタワー本体22の前後一対の第二縦壁部28に対して車両前後方向の荷重が入力されても、第二縦壁部28が内側リブ36及び外側リブ38に支持される。よって、第二縦壁部28の車両前後方向への変位量が抑えられ、第二縦壁部28の倒れ込みが抑制される。また、第二縦壁部28に入力された荷重の一部は、内側リブ36及び外側リブ38を介してフロントサイドメンバ12側へ伝達される。
また、サスペンション50(図2参照)側からサスペンションタワー本体22に対して車両幅方向への入力と車両前後方向への入力とが同時に入力されてねじり荷重が作用した場合には、延設リブ34等と共に内側リブ36及び外側リブ38がサスペンションタワー本体22のねじれ変形を抑制する。
また、本実施形態では、内側リブ36及び外側リブ38の各上端位置は、前後一対の第二縦壁部28におけるアッパアーム取付孔28Aの形成部よりも上方側の高さ位置に設定されている。このため、サスペンション50(図2参照)側からサスペンションタワー本体22の前後一対の第二縦壁部28に対して車両前後方向の荷重が入力された場合、当該荷重が入力される部位の高さ位置を含むように車両上下方向に延在する内側リブ36及び外側リブ38によって第二縦壁部28が支持される。よって、第二縦壁部28は、サスペンション50(図2参照)側から荷重が入力される部位及びその高さ位置での変形が内側リブ36及び外側リブ38によって抑制されると共に、第二縦壁部28の車両前後方向への変位量が効果的に抑えられる。
また、内側リブ36は、前後一対の第二縦壁部28におけるアッパアーム取付孔28Aの形成部よりも車両幅方向内側に形成されている。これに対して、外側リブ38は、前後一対の第二縦壁部28におけるアッパアーム取付孔28Aの形成部よりも車両幅方向外側に形成されている。これらにより、サスペンション50(図2参照)側からサスペンションタワー本体22の前後一対の第二縦壁部28に対して車両前後方向の荷重が入力された場合、当該荷重が入力されたアッパアーム取付孔28Aの形成部は、内側リブ36及び外側リブ38によって左右バランス良く支持される。よって、第二縦壁部28が荷重を受けても、第二縦壁部28ではその車両幅方向内側の部位に対する車両幅方向外側の部位の相対変位(換言すれば第二縦壁部28の回動変位)が抑えられる。
また、内側リブ36は、第一縦壁部26と車両幅方向の位置が同じ位置に設定されているので、第一縦壁部26で受けた荷重の一部が内側リブ36にも分担される。すなわち、第二縦壁部28の車両前後方向への変形を抑制する内側リブ36が、第一縦壁部26の車両幅方向内側への変形抑制(換言すれば第一縦壁部26の面剛性向上)にも寄与する。
一方、サスペンションタワー本体22の第一縦壁部26には、前後一対の延設リブ34が形成され、延設リブ34は、車両幅方向内側に突出して車両上下方向に延在すると共に、下端部が延長フランジ30Bと一体化されてフロントサイドメンバ12の上面14Aに接続されている。このため、サスペンション50(図2参照)側からサスペンションタワー本体22の第一縦壁部26に対して車両幅方向内側への荷重が入力されても、第一縦壁部26が前後一対の延設リブ34に支持される。よって、第一縦壁部26の車両幅方向内側への変位量が抑えられ、第一縦壁部26の倒れ込みが抑制される。そして、第一縦壁部26に入力された荷重の一部は、前後一対の延設リブ34を介してフロントサイドメンバ12側へ伝達される。
また、本実施形態では、前後一対の延設リブ34は、前後一対の第二縦壁部28における各々の車両幅方向内側の延長位置に延設されているので、第二縦壁部28で受けた荷重の一部が延設リブ34にも分担される。すなわち、サスペンション50(図2参照)側からサスペンションタワー本体22の前後一対の第二縦壁部28に対して車両前後方向の荷重が入力された場合、第二縦壁部28に加えて延設リブ34も、前記荷重の入力方向と略直交する壁部として荷重を受ける。これにより、第一縦壁部26の車両幅方向内側への変形を抑制する延設リブ34によって、第二縦壁部28の車両前後方向への変形も抑制される。すなわち、延設リブ34で第二縦壁部28の面剛性を向上させることもできる。
また、本実施形態では、第一縦壁部26には、車両幅方向内側に突出して前後一対の延設リブ34を連結する連結リブ42が形成されているので、第一縦壁部26の面剛性が高められる。また、図2に示されるサスペンション50側からサスペンションタワー本体22に対して車両幅方向への入力と車両前後方向への入力とが同時に入力されてねじり荷重(こじり)が作用した場合、前後一対の延設リブ34同士の相対位置関係のずれが連結リブ42によって抑えられる。すなわち、第一縦壁部26のねじり剛性が高められる。そして、サスペンション50が平面視で回転移動(図2の矢印A参照)しようとすることで第一縦壁部26を変形させようとする荷重(図2のf1、f2、f3、f4参照)が作用しても、連結リブ42によって第一縦壁部26の変形が抑制される。
また、本実施形態では、連結リブ42は、第一縦壁部26においてサスペンション50側から荷重が入力される部位に対応する高さ位置に設定されている。このため、サスペンション50側からサスペンションタワー本体22の第一縦壁部26に対して車両幅方向内側への荷重が入力された場合、当該荷重は連結リブ42の形成部位に直接作用する。よって、当該荷重は、連結リブ42に効率的に伝達された後、前後一対の延設リブ34を介してフロントサイドメンバ12(図1参照)側に伝達される。これにより、第一縦壁部26では、サスペンション50側から荷重が入力される部位での局所的な曲げ変形が抑えられる。
また、本実施形態では、図1に示されるように、前後一対の補剛リブ44が、前後一対の延設リブ34の各突出方向の先端部から車両前後方向に沿って互いに離反する方向に突出して車両上下方向に延在している。そして、補剛リブ44の下端部は、延長フランジ30Bと一体化されてフロントサイドメンバ12の上面14Aに接続されている。このため、サスペンション50(図2参照)側からサスペンションタワー本体22の前後一対の第二縦壁部28に対して車両前後方向の荷重が入力された場合、第二縦壁部28の延長位置に延設された延設リブ34が補剛リブ44に支持される。また、前後一対の延設リブ34に荷重が作用した場合、サスペンションタワー本体22に対する延設リブ34の相対変位が連結リブ42及び補剛リブ44によって抑制される。
また、延設リブ34と補剛リブ44とで形成される第一稜線L1は、連結リブ42の突出先端側の第二稜線L2、L3と交差するように設定されている。このため、連結リブ42に作用する荷重の一部が延設リブ34と補剛リブ44とで形成される第一稜線L1に沿ってフロントサイドメンバ12側へ効率的に伝達される。よって、サスペンション50(図2参照)側からサスペンションタワー本体22の第一縦壁部26に対して車両幅方向内側への荷重が入力された場合、第一縦壁部26の変形が一層効果的に抑制される。
また、本実施形態では、前後一対の延設リブ34には、互いの対向側とは反対側に突出して補剛リブ44と内側リブ36とを連結する補強リブ46が形成されている。このため、前後一対の延設リブ34に荷重が作用した場合、サスペンションタワー本体22に対する延設リブ34の相対変位が連結リブ42、補剛リブ44、内側リブ36及び補強リブ46によって効果的に抑制される。また、補強リブ46は、サスペンションタワー本体22から離れて設定された補剛リブ44に対して車両幅方向の荷重が作用した場合に当該補剛リブ44を支える機能も併せて有する。
また、補強リブ46は、連結リブ42と同じ高さ位置に設定されている。このため、連結リブ42に作用する荷重の一部が延設リブ34における補強リブ46の形成部に直接伝達される。よって、連結リブ42と延設リブ34との接続部の局所変形が抑制される。
また、本実施形態では、サスペンションタワー本体22の下端部に設けられたフランジ部30が、内側リブ36の下端部、外側リブ38の下端部、及び延設リブ34の下端部を一体に連結しかつフロントサイドメンバ12の上面14Aに結合されている。このため、内側リブ36の下端部、外側リブ38の下端部、及び延設リブ34の下端部が一層安定的にフロントサイドメンバ12の上面14Aに接続される。よって、サスペンションタワー本体22側から内側リブ36、外側リブ38、及び延設リブ34に荷重が作用した場合、内側リブ36、外側リブ38、及び延設リブ34は、サスペンションタワー本体22を一層安定的に支持することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る車両用サスペンション支持部構造によれば、車両幅方向及び車両前後方向の二方向の荷重入力に対してサスペンション支持部の剛性を高めることができる。その結果として、サスペンション50(図2参照)が安定的に支持されるので、乗り心地の性能が向上する。
なお、本実施形態の構成では、例えば、衝突時等におけるエプロンアッパメンバ18側からサスペンションタワー20側への荷重入力に対してもサスペンション支持部(サスペンションタワー20)の剛性を高めることができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る車両用サスペンション支持部構造について、図3及び図4を用いて説明する。図3には、本実施形態における車両用サスペンション支持部構造が斜視図(第1の実施形態における図1に相当する図)にて示されている。また、図4には、図3の4−4線に沿った拡大断面図が示されている。これらの図に示されるように、本実施形態に係る車両用サスペンション支持部構造は、外側リブ38(図1及び図2参照)に代えて前後対の第二リブとしての縦リブ72を備える点、及び補強用リブ74(図4参照)を備える点で、第1の実施形態に係る車両用サスペンション支持部構造とは異なる。他の構成は、第1の実施形態と実質的に同様の構成となっている。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。また、本実施形態のサスペンションタワー70は、第1の実施形態と同様に鋳物製とされ、前後対称に形成されている。
図3に示されるサスペンションタワー本体22の前後一対の第二縦壁部28には、サスペンション50(図4参照)側から荷重が入力される部位であるアッパアーム取付孔28Aの形成部の直下に縦リブ72が形成されている。縦リブ72は、車両前後方向でかつサスペンション50(図4参照)を収容する側とは反対側に突出して車両上下方向に延在している。縦リブ72の下端部は、フランジ本体30Aと一体化されてフロントサイドメンバ12の上面14Aに接続されている。また、縦リブ72は、車両下方側に向かうに従って車両前後方向への突出量が大きくなる形状に形成されている。縦リブ72の各々の下端突出先端位置は、フランジ本体30Aの先端位置に揃えられている。さらに、縦リブ72の下端部は、フランジ本体30Aの車両幅方向外側の端部と連続して形成されている。
なお、本実施形態では、フロントサイドメンバ12に対するサスペンション50(図4参照)の相対位置は、第1の実施形態の場合よりも車両幅方向外側に設定されている。これにより、フロントサイドメンバ12に対するサスペンションタワー本体22におけるアッパアーム取付孔28Aの相対位置も、第1の実施形態の場合よりも車両幅方向外側に設定されている。より具体的には、アッパアーム取付孔28Aの車両幅方向の位置は、フロントサイドメンバインナ14とフロントサイドメンバアウタ16との結合部における車両幅方向の位置から車両幅方向内側に僅かにずれた位置に対応して設定されている。これにより、本実施形態のサスペンションタワー70は、アッパアーム取付孔28Aの形成部よりも車両幅方向外側に第1の実施形態における外側リブ38(図1及び図2参照)のようなリブを形成することができない構造になっている。ちなみに、フロントサイドメンバ12の上方側に十分なスペースがないような場合も、第1の実施形態における外側リブ38(図1及び図2参照)のようなリブを形成することができない。
一方、図4に示されるように、第一縦壁部26には、車両幅方向外側に突出して前後一対の第二縦壁部28の各々と被取付リブ32とを連結する補強用リブ74が形成されている。補強用リブ74は、車両前後方向及び車両幅方向を含む面を面方向として配置されている。補強用リブ74の突出先端部は、被取付リブ32の突出先端部と、補強用リブ74の高さ位置における第二縦壁部28の車両幅方向外側の端部と、を繋ぐような位置に設定されている。
上記構成によれば、第1の実施形態における外側リブ38(図1及び図2参照)以外の構成部による作用及び効果と同様の作用及び効果が得られる。また、上記構成では、第二縦壁部28及び被取付リブ32に荷重が作用する場合、その荷重の一部が補強用リブ74を介して第一縦壁部26に分担されるので、第二縦壁部28及び被取付リブ32の変形が抑制される。すなわち、第二縦壁部28及び被取付リブ32の面剛性を向上させることができる。また、第二縦壁部28における内側リブ36の形成部と、第二縦壁部28における縦リブ72の形成部とが、サスペンション50の収容部側において補強用リブ74で繋げられることで、内側リブ36と縦リブ72との相対位置の変化も抑えられる。よって、第二縦壁部28に車両前後方向の荷重が作用した場合、第二縦壁部28は、内側リブ36及び縦リブ72に安定的に支持される。
[実施形態の補足説明]
なお、上記実施形態では、車体前部10に適用された車両用サスペンション支持部構造について説明したが、本発明に係る車両用サスペンション支持部構造は、車体後部に適用されたものでもよい。すなわち、本発明に係る車両用サスペンション支持部構造は、車体後部の両サイドに設けられて車両前後方向に沿って配置されたリヤサイドメンバを有すると共に、当該リヤサイドメンバの上面にサスペンションタワーが取り付けられた構造部に適用されてもよい。
また、上記実施形態の変形例として、図1等に示されるフランジ部30を設けない構成も採り得る。換言すれば、第一リブとしての延設リブ(34)、第二リブとしての内側リブ(36)及び外側リブ(38)、補剛リブ(44)、並びに第二リブとしての縦リブ(72)の各下端部は、フランジ部と一体化されずに単独でサイドメンバ(フロントサイドメンバ12)の上面(14A)に結合されてもよい。
また、上記実施形態の変形例として、第二リブとしての内側リブ(36)及び外側リブ(38)の少なくとも一方の上端位置が、前後一対の第二縦壁部(28)においてサスペンション(50)側から荷重が入力される部位よりも下方側の高さ位置に設定される構成も採り得る。
また、上記実施形態の変形例として、第一リブは、前後一対の第二縦壁部(28)における各々の車両幅方向内側の延長位置に延設された前後一対の延設リブ(34)を含むと共に前後一対の第二縦壁部(28)における各々の車両幅方向内側の延長位置以外に延設されたリブを含んで構成されてもよい。
また、上記実施形態の変形例として、連結リブ(42)は、第一縦壁部(26)においてサスペンション(50)側から荷重が入力される部位に対応しない高さ位置に設定されることも可能である。また、本発明の実施形態ではない参考例として、連結リブ(42)が形成されない構成も採り得る。
また、上記実施形態の変形例として、内側リブ(36)及び外側リブ(38)のいずれかが形成されない構成も採り得る。さらに、上記実施形態の変形例として、内側リブ(36)は、第一縦壁部(26)と車両幅方向の位置が異なる位置に設定されてもよい。
また、上記実施形態の変形例として、延設リブ(34)と補剛リブ(44)とで形成される第一稜線(L1)が連結リブ(42)の突出先端側の第二稜線(L2、L3)と交差しない設定とすることも可能である。また、補剛リブ(44)が形成されない構成も採り得る。
また、上記実施形態の変形例として、補強リブ(46)が連結リブ(42)と異なる高さ位置に設定された構成も採り得るし、補強リブ(46)が形成されない構成も採り得る。
さらに、請求項6に記載の「車両上下方向に延在する」の概念には、厳密な意味で車両上下方向に沿って延在する場合が含まれる他、上記実施形態のように、厳密な意味では車両上下方向に沿って延在しているとはいえないが、厳密な意味で車両上下方向に沿って延在する場合と実質的に同様の作用及び効果が得られて実質的に車両上下方向に沿って延在していると認められるような場合も含まれる。
なお、上記実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。