JP5969780B2 - 防火戸におけるガラス板保持構造 - Google Patents

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Description

本発明は、ビルやマンション等の建築物に設けられ、防火性能を有する自動ドアや窓等の防火戸におけるガラス板保持構造の技術分野に関するものである。
一般に、この種の防火戸を構成するドア体のなかには、耐熱強化ガラスからなるガラス板をフレーム(框材)に嵌め込むものがあり、このようなものとしては、従来、図8(A)に示されるドア体101のように、ガラス板102は、フレーム103に形成される凹溝103aに幅のある一対のバックアップ材104で前後を挟持される状態で組み込まれていた。図8(B)に示すように、火災が発生した場合、ガラス板102は熱により変形し、バックアップ材104は熱発泡性能を有した素材で形成されているため発泡する。このときガラス板102の熱変形の度合いとバックアップ材104の発泡の度合いによっては次のような問題が発生する。まず、ガラス板102の強化が熱により抜ける前にバックアップ材104の発泡が完了すると、ガラス板102の熱変形によるズレに対してガラス保持力が勝ってしまう場合があり、そうすると、図8(C)で示すようにガラス板102のバックアップ材104による挟持端部102aが熱割れしてしまうという問題がある。一方、ガラス板102の熱変形によるズレが大きい場合には、発泡したバックアップ材104が潰されてガラス板の保持力が低下し、図8(D)に示すようにガラス板102がフレームから脱落してしまうという問題がある。さらには、防火戸が熱膨張により窓サイズが大きくなってしまうと、バックアップ材104によるガラス板102のかかり代(挟み代)で防火戸の熱膨張量を吸収しきれなくなって、ガラス板102が抜け出てしまう等の問題がある。
そこでこの改善策として、発泡性のバックアップ材の代わりにΩ形状の保持部材をバイメタル製で形成し、該保持部材でガラス板の端縁部を狭持状に保持したものをフレーム材の凹溝に取り付けることで、ガラス板が加熱された場合であっても該保持部材がガラス板の端部を狭持し、ガラス板の垂れ下がりを防止するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、凹形(樋形)をし、弾性変形可能な長尺状の保持部材をガラス板の周縁部に嵌め込んだ状態でフレーム凹溝に取り付けるようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらには、枠材に一定間隔を空けた複数個の板バネから成る保持部材を予め差し込んで装着しておき、該保持部材の狭持部を押し広げながらガラス板を挿入し、そうして該板保持部材のバネ力によってガラス板を保持するようにしたものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開平7−324557号公報 特開平8−158749号公報 特開平8−270330号公報
ところで前記特許文献1、2のものは、工場でガラス板に保持部材を嵌め込んだものを施工現場に搬送するようにした場合、途中で脱落したりして紛失する惧れがあり、そこで施工現場においてガラス板に保持部材を嵌め込むことが強いられるうえ、保持部材の嵌め込み代を均一にすることが難しく、作業性に劣るといった問題がある。
また、特許文献3のものは、枠材に予め切り起こし部を形成しておく必要があるだけでなく、火災が発生してガラス板が変形した場合、保持部材がある場所と無い場所によってガラス板の挙動が変わってしまうという問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、ガラス板と、該ガラス板の屋内外の四周端面部を保持する保持部材とを備え、該保持部材は、フレームの屋外側面部に形成される凸部と屋内側にてフレーム端部に固定される押縁とで形成される凹溝に組込まれるように構成してなる防火戸におけるガラス板保持構造において、前記保持部材は、ガラス板の四周端面部を全長に亘って保持する長尺状のものであり、ガラス板の屋外側面に線状に当接する第一支持片が形成された第一保持体と、ガラス板の屋内側面に線状に当接する第二支持片が形成された第二保持体との二部材で構成され、第一保持体は、フレーム端部または/および凸部の屋内側面に基端部側が固定され、第二保持体は、押縁に基端部が固定されていることを特徴とする防火戸におけるガラス板保持構造である。
請求項2の発明は、第一、第二支持片は、凹溝の屋内外側面からガラス板に向けて突出形成した山形部であって、第一、第二保持体のガラス板に線状に当接する部位は該山形部の頂部であることを特徴とする請求項1記載の防火戸におけるガラス板保持構造である。
請求項3の発明は、第一、第二保持体の先端部は、凹溝の屋内外側面から凹溝開口側ほどガラス板に向けて傾斜した第一、第二保持体の傾斜面部であって、第一、第二保持体のガラス板に線状に当接する部位は該傾斜面部の遊端部であることを特徴とする請求項記載の防火戸におけるガラス板保持構造である。
請求項4の発明は、第一保持体は、凹溝屋外側面と溝底とに固定されていることを特徴とする請求項記載の防火戸におけるガラス板保持構造である。
請求項1の発明とすることにより、保持部材が第一保持体と第二保持体の二部材で構成されているため、工場において保持部材を容易にかつ精度良く取り付けられることになるうえ、該保持部材は、ガラス板の内外端面部に線状に当接するものであるから、ガラス板が熱により変形したとして、該変形によく追随してガラス板の脱落やダレを防止することができる。
請求項の発明とすることにより、山形部の両裾部が凹溝の屋内外側面に当接するため、頂部にガラス板変形による応力を受けたとき、両裾部でこれを受けることになるから第一、第二保持体は山形部よりも溝底側一箇所の固定でよいことになって部品点数の少ないものにできる。
請求項の発明とすることにより、保持部材はガラス板の内外両端面部をより先端側で保持することができるため、火災等によるガラス板の変形に対し、より確実に脱落やダレを防止することができる。
請求項の発明とすることにより、第一保持体がガラス板からの応力を受けて持ち上がってしまうことを回避でき、ガラス板の保持力が向上する。
自動ドアの全体図である。 (A)、(B)、(C)はドア体の横断面図である。 (A)、(B)、(C)はドア体の縦断面図である。 (A)はドア体の部分拡大横断面図、(B)は保持部材の拡大断面図である。 (A)はフレームの溝深さが深い場合のドア体の部分拡大横断面図、(B)は第一保持体、第二保持体を同形状にした場合のドア体の部分拡大横断面図である。 第二実施例を示すものであって、(A)、(B)、(C)はドア体の横断面図である。 第二実施例を示すものであって、(A)はドア体の部分拡大横断面図、(B)は保持部材の拡大断面図である。 従来例を示すものであって、(A)、(B)はドア体の横断面図、(C)、(D)はドア体の部分拡大横断面図である。
以下、本発明の第一の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図面において、1は建築物の開口部に設けられる自動ドアDを構成する左右一対のドア体であって、開口部上方および開口部に隣接する左右躯体の上方に亘り長尺状に設けられた上側ガイドレールに移動自在に吊持され、上側ガイドレールと開口部下端部を構成する床面側に配された下側ガイドレールに沿って開閉作動する引き戸式に構成されている点、開閉機の駆動制御により全閉姿勢と全開姿勢との間を開閉移動するように設定されている点等については従来通りの構成であるため、詳細な説明は省略する。
前記ドア体1は、防火性能を有する耐熱強化ガラスを用いたガラス板2の上下左右端面部2aを上下、左右の長尺状のフレーム3’、3で囲繞したものとして構成されている。
左右フレーム3は表面板5(本実施の形態では2枚の表面板から構成されている。)で囲繞されるが、該表面板5の屋外側面部5aからは、フレーム3の内側面3aよりも内側に突出したものが屋内側に向けて直角状に折曲され、さらに、幅を持たせた状態でフレーム内側面3a側に向けて折曲され、フレーム内側面3aに当接することで凸部5bが形成されている。そして表面板5の屋内側面部5dからは、フレーム内側面3aよりも内側に突出する状態で屋外側に折曲されたものが折り返し折曲され、フレーム内側面3aに至った折り返し片5cが形成されている。
そしてフレーム3の屋内側において、折り返し片5cの屋外側に当接するよう組込んだ断面略コ字状の押縁6をフレーム内側面3aにビス7で螺着することで、屋内側に位置する押縁6と屋外側に位置する凸部5bとのあいだに、ガラス板2を嵌め込むための凹溝3bが形成されるようになっている。
一方、上下フレーム3’は表面板5’(本実施の形態では2面の表面板から構成されている。)で囲繞されるが、該表面板5’の屋外側面部5’aからは、フレーム3の内側面3aよりも内側に突出したものが屋内側に向けて直角状に折曲され、さらに幅を持たせた状態でフレーム内側面3a側に向けて折曲され、フレーム内側面3aに当接することで屋外側凸部5’bが形成されている。そして表面板5’の屋内側面部5’dからは、フレーム内側面3aよりも内側であって、前記屋外側凸部5’bよりも小さい突出量のものが屋外側に向けて直角状に折曲され、さらに幅を持たせた状態でフレーム内側面3a側に向けて折曲され、フレーム内側面3aに当接することで屋内側凸部5’cが形成されている。
なお、上記形態に限定されないことは勿論であって、左右フレーム3に前記表面板5’を、上下フレーム3’に前記表面板5を採用してもよく、また、上下左右のすべてのフレーム3’、3に前記表面板5’を採用してもよい。
次に、保持部材4について説明するが、ここでは図1の左側ドア体1において、左フレーム3に保持部材4を介してガラス板2を嵌め込む場合について詳細に説明し、同様の構成を採る他の各部については説明を省略する
前記保持部材4は、ガラス板2の屋内外の四周端面部2aを全長に亘って保持するものであって、フレーム3の屋外側(凹溝屋外側面3d)に設けられる第一保持体8と、屋内側、つまり押縁6側(凹溝屋内側面3e)に設けられる第二保持体9の二つに分割されたものとして形成され、前記凹溝3bに組み込まれるように構成されている。
第一保持体8は、ステンレス鋼等の金属性板材で形成され、フレーム3(表面板5)と同じ長さの長尺状ものとして構成されるが、凹溝3bの溝底3cにビス10を介して固定される基端片(基端部)8a、該基端片8aから折曲されて凸部5bに沿うように形成される中間片8b、該中間片8bの先端部位においてガラス板2側(屋内側)に向けて山(略∧字)形状に折曲形成されてガラス板2の屋外側面に当接支持する第一支持片(先端部、山形部)8cで構成されている。そして第一保持体8は、前記基端片8aをビス10で凹溝3bの溝底3cに螺着することでフレーム3の凹溝3bの屋外側面3dに設けられているが、このとき支持片8cの先端(図4(A)における右端)は凸部5bの先端(図4(A)における右端)よりも若干溝底3c側に位置し、頂部8dは該先端よりも溝底3c側に位置するように構成されている。
一方、第二保持体9は、第一保持体8と同じ板材で形成され、押縁6(フレーム3)と同じ長さの長尺状のものとして構成されるが、押縁6の屋外側面(凹溝3bの屋内側面3e)にビス11を介して固定される基端片(基端部)9a、該基端片9aの先端(図4(A)における右端)においてガラス板2側(屋外側)に向けて山(略∧字)形状に折曲形成されてガラス板2の屋内側面に当接支持する第二支持片(先端部、山形部)9bで構成されている。そして第二保持体9は、前記基端片9aをビス11で押縁6に螺着することでフレーム3の凹溝3bの屋内側面3eに設けられているが、このとき該支持片9bの先端(図4(A)における右端)は押縁6の先端(図4(A)における右端)よりも若干溝底3c側に位置し、頂部9cは該先端よりも溝底3c側に位置するように構成されている。
このようにして構成された第一、第二保持体8、9は、凹溝3bにおいて後述するようにガラス板2の屋内外側面を挟持状に保持することになるが、基端片8a、9aがビス10、11で固定されて凹溝3b内に配設される一方、支持片8c、9bは先端が遊端(自由端)となって固定されておらず、かつ支持片8c、9cの頂部8d、9cが線状(峰状)となってガラス板2の屋内外端面部2aに線状に当接支持し、これによってガラス板2の変姿に追随することができるように構成されている。
なお、頂部8d、9cよりも先端側からフレーム3及び押縁6の先端までの空間には難燃性のシール材12が充填されていて、該シール材12によってガラス板2が位置ズレしないように押さえられている。
また、図3に示すように、下フレーム3の凹溝3bには、左右二箇所に一対のセッティングブロック13を配置し、該セッティングブロック13にガラス板2を支持させることで、ドア体1を設置したときにガラス板2の水平を担保することができるように構成されている。
ここで、ガラス板2を保持部材4で保持させる工程について説明する。
まず、予め工場でフレーム3(凹溝の屋外側面3d)に第一保持体8を、押縁6(凹溝の屋内側面3e)に第二保持体9を、それぞれビス10、11で固定しておく。そして、設置現場でガラス板2をフレーム3を囲繞する表面板凸部5bにあてがうが、このとき、第一保持体8の頂部8dにガラス板2の屋外側面が接触するように構成されている。次に、押縁6をビス7を介してフレーム3に固定することで、該押縁6に設けられている第二保持体9の頂部9cにガラス板2の屋内側面が線状に接触することになる。これによって第一、第二保持体8、9の頂部8d、9cが対向してガラス板2を屋内外両面から狭持状に保持することになる。そして最後にシール材12を充填することでドア体1を形成することができる。
このように図2(A)に示す如く保持部材4で保持されたガラス板2から成るドア体1に対して、火災等が発生して加熱された場合(図2(B)、(C))、ガラス板2は熱源の方向(本実施の形態においては図2における上側である屋内側)へ反る変形をすることになる。このときガラス板2は、第一、第二保持体8、9の頂部8d、9cにより線状にかつ屋内外両面から狭持状に保持され、しかも支持片8c、9bの先端が遊端となっているため、ガラス板2の前記変形に追随した変形をすることでガラス板2の変形を吸収することになって、ガラス板2の割れや脱落を回避することができる(図2(C)、図3(C))。
叙述の如く構成されたものでは、ガラス板2と、該ガラス板2の屋内外の四周端面部2aを保持する保持部材4とを備え、該保持部材4は、フレーム3’、3の屋外側面部に形成される凸部5bと屋内側にてフレーム内側面3aに固定される押縁6とで形成される凹溝3bに組込まれるように構成されていて、前記保持部材4は、ガラス板2の四周端面部2aを全長に亘って保持する長尺状のものであり、フレーム内側面3a(凹溝の屋外側面3d)に基端片8a側がビス固定され、支持片8cがガラス板2の屋外側面に線状に当接する第一保持体8と、押縁6(凹溝の屋内側面3e)に基端片9aがビス固定され、支持片9bがガラス板2の屋内側面に線状に当接する第二保持体9とで構成されているため、工場において予めフレーム3’、3と押縁6にそれぞれビス固定しておくことができることになり、保持部材4をフレーム3’、3、押縁6に対して精度よく設けることができることになって、ガラス板2の嵌め込み代を均一にすることができるだけでなく、搬送途中等においての脱落が発生せず、しかも、施工現場ではフレーム3’、3の凸部5b側の第一保持体8にガラス板2を当てがった状態で、第二保持体9が設けられた押縁6を取付ければよいため、作業性の良いものとすることができる。その上、このものは、保持部材4がガラス板2の内外端面部2aに線状に当接しているため、火災発生時においてガラス板2が熱により変形した場合、該変形によく追随して該ガラス板2の変形を吸収し、ガラス板の脱落やダレを防止することができる。
さらに、第一、第二保持体8、9(保持部材4)は、フレーム3、押縁6と同長さのものとして構成され、上下左右の全てのフレーム3’、3、押縁6に設けられるものであるため、保持部材4でガラス板2の四周全体を保持できることになって、ガラス板2の保持が確実になるだけでなく、特許文献3のものの如く保持部材4を点在させた場合のように保持部材の有無によってガラス板端面部2aの挙動が変わってしまうという不具合が発生しないものとすることができる。
また、第一、第二保持体8、9の支持片8c、9bは凹溝3bの屋内外側面3d、3eからガラス板に向けて突出形成した山形状の山形部として形成され、該山形部の両裾部が凹溝3bの屋内外側面3d、3eに当接しているため、頂部8d、9cがガラス板2の変形による応力を受けた場合であっても、該応力を前記両裾部で受けることができるから、第一、第二保持体8、9は、前記山形部(支持片8c、9b)よりも溝底側の一箇所で固定すればよく、部品点数の少ないものとすることができる。
また、支持片8c、9bを山形部とすることで、凹溝3bには、支持片8c、9bの頂部8d、9cよりも溝底3c側の傾斜面部と溝底3cとのあいだに、ガラス板2の前記頂部8d、9cで挟持状に当接(保持)された部位よりも端縁部位が遊嵌される空間Sを確保することができて、ガラス板2が変形した場合に、該空間Sで該ガラス板2(端部2a)の変位を許容することとなって、ガラス板2に無理な力が働いて熱割れしてしまうといった不具合を防止することができる。
しかも、ガラス板2は第一、第二保持体の頂部8d、9cによって線状に保持され、支持片8c、9bの先端は遊端状となって凹溝3bの屋内外側面3d、3eに当接しているため、火災が発生してガラス板2が変形した場合であっても、該ガラス板2の変形を吸収しながらガラス板2を保持し続けることができ、ガラス板2のフレーム3からの脱落を防ぐことができる。
そしてこの場合に、頂部8d、9cのガラス板面当接位置を可及的に凹溝3bの先端(開口)側に位置させることができることになるため、ガラス板2の頂部8d、9c当接位置から端縁部までの長さ(呑み込み代)を長く確保できることになってより確実な脱落防止を達成することができる。
また本実施の形態では、左右フレーム3の表面板5に折り返し辺5cが設けられているため、該フレーム3と押縁6との見切り線(境界線)を隠すことができることになって意匠性の良いものとすることができる。
さらに、本実施の形態のものは、図5(A)に示すように、第一保持体8の中間片8b、第二保持体9の基端片9aの長さ(左右幅)をフレーム凹溝3bの溝深さに合わせて調節することで様々な溝深さのものに対応できるため、汎用性が高いものとすることができることは勿論、例えば性能確認試験の結果に基づいてガラス板2のかかり代を調整する必要がある場合に、その調整が容易であってガラス板2の抜け出しをより確実に防止することができる保持部材4とすることができる。
また、本実施の形態において、第一、第二保持体8、9は形の異なるものとして設けられているが、図5(B)に示すように、表面板5に折り返し片5cがないものでは、第一保持体14を第二保持体9と同一の形状とし第一保持体14を凸部5bの屋内側面にビス10’で固定するようにすることも可能である。
尚、本発明は前記実施の形態に限定されないことは勿論であって、保持部材15を図6、7に示す第二の実施の形態のようにすることもできる。
第二の実施の形態において、保持部材15は、第一保持体16、第二保持体17に分割され、第一保持体16がフレーム3側に、第二保持体17が押縁6側にそれぞれビス18、19で固定される点、金属製板材で形成され、フレーム3’、3、押縁6と同じ長さの長尺状のものとして構成される点等については、前記第一の実施の形態のものと同様であるため、同じ番号を付し、詳細な説明は省略する。
第一保持体16は、フレーム3の凹溝3bの溝底3cにビス18を介して固定される基端片16a、該基端片16aから折曲されて凸部5bに沿うように形成され、凹溝3bの屋外側面3dにビス20を介して固定される中間片16b、該中間片16bの先端部位からガラス板2側(屋内側)に向けて傾斜形成され、表面板5の凸部5bの先端よりも若干溝奥側において頂部(遊端部)16cで折り返し形成される第一支持片(先端部、傾斜面部)16dで構成されている。そして第一保持体16は、前記基端片16aをビス18で凹溝3bの溝底3cに螺着し、前記中間片16bをビス20で屋外側面3dに螺着することでフレーム3の凹溝3bの屋外側面3dに設けられているが、このとき支持片16dの先端(図7(A)における右端)であえる頂部16cは凹溝3bよりも若干溝底3c側に位置するように構成されている。
一方、第二保持体17は、押縁6の屋外側面(凹溝の屋内側面3e)にビス19を介して固定される基端片17a、該基端片17aの先端(図7(A)において右端)からガラス板2側(屋外側)に向けて傾斜形成され、押縁6の先端よりも若干溝奥側において頂部(遊端部)17bで折り返し形成される第二支持片(先端部、傾斜面部)17c、基端片17aの末端(前記先端とは他端であって、図7(A)において左端)から屋内側(図7(A)において上側)へ折曲形成されてフレーム3と押縁6とのあいだに挿入されてビス7によって押縁6と共にフレーム3に固定される突出片17dで構成されている。そして第二保持体17は、前記基端片17aをビス19で押縁6に螺着することでフレーム3の凹溝3bの屋内側面3eに設けられているが、このとき該支持片17bの先端(図7(A)における右端)である頂部17bは凹溝3bよりも若干溝底3c側に位置するように構成されている。
なお、前記頂部16c、17bからフレーム3及び押縁6の先端までの空間には難燃性のシール材12が充填されていて、該シール材12によってガラス板2が位置ズレしないように押さえられている点は、前記第一の実施の形態と同様である。
このようにして構成された第一、第二保持体16、17は、後述するようにガラス板2の屋内外側面を狭持状に保持することになるが、基端片16a、17aがビス18、19でフレーム3、押縁6側に固定される一方、支持片16d、17cは先端(頂部16c、17b)が遊端(自由端)となって固定されておらず、かつガラス板2に線状に当接支持するものであるため、ガラス板2の変形に追随することができるように構成されている。
さらに第一保持体16は、基端片16aのビス固定だけでなく、中間片16bをビス20で表面板凸部5b部位に螺着してフレーム3に固定しており、これにより、前述したように遊端となっている支持片16dが弾性変形した場合に中間片16bがフレーム3から浮き上がってガラス板2の保持力が低下しないように構成されている。
一方、第二保持体17は、基端片17aをビス固定しているが、支持片17cとは他端側に形成される突出片17dを、押縁6と共にビス7でフレーム内側面3aに固定することで、遊端となっている支持片17cが弾性変形した場合に基端部17aが押縁6から浮き上がってしまうことがないように構成されている。
叙述の如く構成された第二の実施の形態のものは、第一、第二保持体16、17の支持片16d、17cは、凹溝3bの屋内外側面から凹溝3b開口側ほどガラス板2に向けて傾斜した遊端となっていて、該支持片16d、17cの頂部16c、17bがガラス板2に線状に当接するように構成されているため、ガラス板2を保持する保持位置が第一の実施の形態のものよりも開口(先端)側となり、呑み込み代をより長く確保できることになって、ガラス板2が火災等で変形した場合にガラス板2の脱落やダレをより一層防止することができるだけでなく、ガラス板2の端部に傾斜面がある場合等であっても、確実に保持し続けることができる。
さらに、第一保持体16は基端片16aを溝底3cにビス固定するだけでなく、中間片16bを凸部5b部位にビス固定することで、遊端状の支持片16dが弾性変形した場合に中間片16bが支持片16dからの応力を受けてフレーム3から持ち上がってしまうことを回避でき、ガラス板2の保持力を向上させることができる。
本発明は、ビルやマンション等の建築物に設けられ、防火性能を有する自動ドアや窓等の防火戸において、火災発生時にガラス板の脱落やダレを防止するためのガラス板保持構造の技術分野に利用することができる。
1 ドア体
2 ガラス板
3 フレーム
3b 凹溝
4 保持部材
5 表面板
5b 凸部
6 押縁
8 第一保持体
8a 基端片
8c 第一支持片
8d 頂部
9 第二保持体
9a 基端片
9b 第二支持片
9c 頂部

Claims (4)

  1. ガラス板と、該ガラス板の屋内外の四周端面部を保持する保持部材とを備え、該保持部材は、フレームの屋外側面部に形成される凸部と屋内側にてフレーム端部に固定される押縁とで形成される凹溝に組込まれるように構成してなる防火戸におけるガラス板保持構造において、
    前記保持部材は、ガラス板の四周端面部を全長に亘って保持する長尺状のものであり、
    ガラス板の屋外側面に線状に当接する第一支持片が形成された第一保持体と、
    ガラス板の屋内側面に線状に当接する第二支持片が形成された第二保持体との二部材で構成され
    第一保持体は、フレーム端部または/および凸部の屋内側面に基端部側が固定され、
    第二保持体は、押縁に基端部が固定されていることを特徴とする防火戸におけるガラス板保持構造。
  2. 第一、第二支持片は、凹溝の屋内外側面からガラス板に向けて突出形成した山形部であって、第一、第二保持体のガラス板に線状に当接する部位は該山形部の頂部であることを特徴とする請求項1記載の防火戸におけるガラス板保持構造。
  3. 第一、第二保持体の先端部は、凹溝の屋内外側面から凹溝開口側ほどガラス板に向けて傾斜した第一、第二保持体の傾斜面部であって、第一、第二保持体のガラス板に線状に当接する部位は該傾斜面部の遊端部であることを特徴とする請求項記載の防火戸におけるガラス板保持構造。
  4. 第一保持体は、凹溝屋外側面と溝底とに固定されていることを特徴とする請求項記載の防火戸におけるガラス板保持構造。
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