JP5968808B2 - インジウム製円筒形ターゲット部材及び円筒形ターゲット部材の製造方法 - Google Patents

インジウム製円筒形ターゲット部材及び円筒形ターゲット部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、インジウム製円筒形ターゲット部材及び円筒形ターゲット部材の製造方法に関する。
一般的に、インジウム製ターゲット(プレナータイプ)は、矩形の鋳造鋳型に溶湯を流し込むことにより製造されている。例えば、特開2010−24474号公報では、バッキングプレートの外周部に堰を設けて鋳型を形成した後、鋳型中に所定量のインジウム原料を複数に分けて投入して溶解させ、表面に浮遊する酸化インジウムをその都度除去し、その後冷却してインゴットを得、得たインゴット表面を研削してインジウムターゲットを得る方法が記載されている。これによれば、鋳造鋳型に流し込まれたインジウム溶湯の表面に浮いた酸化物スラグを取り除くことで、インジウムターゲット中の酸化物の発生を抑制できるため、低酸素濃度のインジウム製ターゲット部材を製造することが可能であると記載されている。
一方で、近年では、ターゲット材の利用効率が高いことから、平板形ターゲット部材に代わって、円筒形ターゲット部材の使用が進展してきている。円筒形ターゲット部材は、芯材であるバッキングチューブ(BT)の周囲にターゲット材が固定されており、ターゲット材を回転させながらスパッタすることが可能である。円筒形ターゲット部材によれば、ターゲット材の表面状態がエロージョン領域となり均一にスパッタリングされるため、ターゲット材の高い利用効率が得られる。
円筒形ターゲット部材の製造方法としては、例えば、米国特許第6719034号明細書に、以下のようなプロセスが記載されている。融点が900K以上の第1材料で内管(ターゲットホルダー)が形成され、次いで、円筒状のモールドが、内管を囲むように同軸状に配置される。融点が800K以下の第2材料を、モールドと内管の隙間に溶融状態で流し込み、冷却固化後、モールドを除去すると、第2材料でできた外観(ターゲット)が得られる。
特開2010−24474号公報 米国特許第6719034号明細書
特許文献1に記載されるようなインジウム製ターゲットでは、平板状のバッキングプレートの外周部に堰を作って鋳型を形成しているため、鋳型の形状上、酸化物スラグの除去が容易である。しかしながら、特許文献2に記載されるような円筒形ターゲット部材を製造する場合には、酸化物スラグを除去可能な箇所が限定されるため、溶湯中から酸化物スラグを取り除くことが難しく、低酸素濃度の円筒形ターゲット部材を製造することが困難であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、低酸素濃度のインジウム製円筒形ターゲット部材及び円筒形ターゲット部材の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討したところ、円筒形の鋳型に溶湯を鋳型に流し込んで鋳造する際に所定の処理を施すことで、溶湯中の酸化物スラグの除去を容易にし、低酸素濃度の円筒形ターゲット部材が得られることを見出した。
本発明は上記知見を基礎として完成したものであり、一側面において、酸素濃度が40質量ppm以下であるインジウム製円筒形ターゲット部材である。
本発明に係るインジウム製円筒形ターゲット部材の一実施形態においては、相対密度が99質量%以上である。
本発明に係るインジウム製円筒形ターゲット部材の別の一実施形態においては、表面全体の平均結晶粒径が30mm以下である。
本発明は、更に別の一側面において、原料を円筒形の鋳型に投入して溶解鋳造する工程を含み、該工程において鋳型内に投入された溶湯に対して
(1)揺動を加えること、
(2)振動を加えること、
(3)溶湯を、スラグ除去槽を含む循環ラインで循環させること、
の少なくともいずれかを実施した後、前記鋳型内の前記溶湯を冷却して円筒形インジウムターゲット成形体を得ることと、
円筒形インジウムターゲット成形体の表面を切削すること
を含み、それにより酸化物スラグを除去し、酸素濃度が50質量ppm以下であるインジウム製円筒形ターゲット部材を製造する円筒形ターゲット部材の製造方法である。
本発明に係る円筒形ターゲット部材の製造方法の一実施形態においては、上記(1)工程を実施し、上記(1)工程が、鋳型中に揺動ディスクを浸漬させ、該揺動ディスクを鋳型内において50〜400mm/sで移動させることを含む。
本発明に係る円筒形ターゲット部材の製造方法の別の一実施形態においては、上記(2)工程を実施し、上記(2)工程が、溶湯に50〜300Hzの振動を与えることを含む。
本発明に係る円筒形ターゲット部材の製造方法の更に別の一実施形態においては、上記(3)工程を実施し、上記(3)工程が、溶湯を鋳型の外部に配置されたスラグ除去槽へ循環させることを含む。
本発明に係る円筒形ターゲット部材の製造方法の更に別の一実施形態においては、円筒形インジウムターゲット成形体の表面を切削した後に得られる円筒形ターゲット部材の長手方向の全体にわたって、径方向に総圧下率10%以上で塑性加工を施すことを更に含む。
本発明に係る円筒形ターゲット部材の製造方法の更に別の一実施形態においては、原料が、純度99.99質量%以上のインジウム原料である。
本発明によれば、酸素濃度の低いインジウム製円筒形ターゲット部材及び円筒形ターゲット部材の製造方法が提供できる。
本発明の実施の形態に係る円筒形ターゲット部材の製造装置の一例を表す概略図である。 本発明の実施の形態に係る円筒形ターゲットの製造に用いられるスラグ除去槽の入口と出口の位置関係を表す説明図である。 本発明の実施の形態に係る円筒形ターゲット部材の製造に用いられる揺動ディスクの一例を示す平面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。以下の図面は模式的なものであり、各構成物品の寸法、位置等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。
本発明の実施の形態に係る円筒形ターゲットの製造に好適な製造装置10の一例を図1に示す。製造装置10は、溶解した原料を保持する溶解槽1と、溶解槽1中の溶湯が注入される鋳型3と、溶湯に含まれる酸化物スラグを除去するためのスラグ除去槽5とを備える。
鋳型3は例えばステンレス、チタン等の金属製であり、円筒形を有している。図1の例では、鋳型3の長手方向が水平方向に延在するように載置されている。鋳型3の内部には図示を省略したバッキングチューブ(BT)が鋳型3の内周に対して同心円状をなすように配置されている。バッキングチューブの材質としては、当業者に知られた任意の材料が採用可能であるが、例えば、ステンレス、チタン、銅が挙げられる。なかでも、原料としてインジウムを使用した場合にインジウムへの固溶が少ない点から、ステンレス、チタンをバッキングチューブの材質として採用するのが好ましい。
溶湯は、鋳型3の内側面とバッキングチューブの外側面との間の環状空間へ注入される。溶湯注入ライン2は、溶解槽1の下部に設けられた注出口と鋳型3の外側面に設けられた注入口との間に配置されている。溶湯注入ライン2には、溶湯の供給を制御するための弁が配置されていてもよい。
図2に示すように、スラグ除去槽5は、槽上部に設けられた循環入口51と槽下部に設けられた循環出口52を有している。図1に示すように、スラグ除去槽5の循環入口51と循環出口52は、鋳型3の一端と他端の間に連結された循環ライン4に接続されている。鋳型3の内部に注入された溶湯は、鋳型3の外部へ一旦排出され、循環ライン4を通ってスラグ除去槽5に導入される。スラグ除去槽5では、溶湯を一定期間保持することで、溶湯中に含まれる酸化物スラグを表面に浮上させる。浮上した酸化物スラグは除去される。酸化物スラグを除去した後の溶湯は、循環出口52から循環ライン4を通って再び鋳型3へ注入される。
鋳型3の外側面上には、鋳型3内の溶湯に振動を与えるためのバイブレーター6が配置される。バイブレーター6は、鋳型3の長手方向に沿って少なくとも1つ以上配置される。図1の例では、鋳型3の一端、他端、中間部にそれぞれ等間隔に離間して配置されている。バイブレーター6は、鋳型3の外面に固定して使用してもよいし、溶湯内へ直接挿入しても良い。バイブレーター6の種類は特に制限されないが、例えば、鋳型3の外面に固定するタイプとしては、振動モーター、エアー式バイブレーター、エアー式ノッカーが挙げられ、溶湯内に直接挿入するタイプとしては、棒状バイブレーター等が利用可能である。
鋳型3の内部には、図3に示すような揺動ディスク7が配置される。揺動ディスク7は、ステンレス、チタンなどの金属製であり、板状で、中心部に穴71を有する環形状を有する。鋳型3内では、バッキングチューブが揺動ディスク7の穴71内に挿入される。鋳型3内において、揺動ディスク7が鋳型3の一端から他端の間を移動することにより、鋳型3内の溶湯が撹拌される(揺動される)。揺動ディスク7を溶湯中で移動させる際の抵抗をより少なくするために、揺動ディスク7の円周方向に沿って、複数の穴72が開けられている。
次に、図1の製造装置10を用いて本発明の実施の形態に係る円筒形ターゲット部材を製造する方法の一例を説明する。
まず、原料を溶解させる。原料としては、インジウム、錫、亜鉛、ビスマスその他これらの合金等の種々の原料が使用される。以下では原料としてインジウムを用いた場合について説明する。
インジウム原料を溶解槽1に注入し、溶解槽1内でインジウム原料を溶解させる。使用するインジウム原料は、不純物が含まれていると、その原料によって作製される太陽電池の変換効率が低下してしまう場合があるため、より高い純度を有していることが望ましい。例えば、99.99質量%以上、典型的には、99.99〜99.9999質量%の純度のインジウム原料を使用することができる。
溶解したインジウム原料からなる溶湯を、溶湯注入ライン2を介して溶解槽1から鋳型3内へ注入する。鋳型3内には、鋳型3の長手方向に沿って鋳型3に対して同心円状に配置されたバッキングチューブが収容されており、溶湯は、バッキングチューブの外周面と鋳型3の内周面との間に形成された環状空間に注入される。鋳造時には、鋳型3全体にヒーターを巻いて鋳型3を160〜220℃にまで加熱しておく。
次に、鋳型3内に注入された溶湯に対して、(1)バイブレーター6を用いた振動、(2)揺動ディスク7を用いた揺動、又は(3)循環ライン4を用いた溶湯循環のいずれか、又は(1)〜(3)の各工程を組み合わせることにより、溶湯を撹拌する。
(1)振動
溶湯に振動を与える場合は、図1のバイブレーター6を用いて、鋳型3の外部から溶湯に振動を与えることにより、鋳型3の壁面に付着する酸化物スラグを浮かせる。浮いた酸化物スラグは、メタルインジウムに対して密度が低いことから、鋳型3の上方に浮上する。冷却完了時、これらの酸化物スラグは鋳造体の側面に集まることになるため、旋盤加工等により容易に除去可能である。鋳型3に振動を与える時間は、3分以上、より好ましくは5〜10分以上と設定することにより、目的とする効果が得られる。鋳型3に振動を与える時間の上限は特に制限されないが、製造効率の面を考慮すると、5分程度が好ましい。バイブレーター6は、振動数がより大きいほうがスラグの除去効果は大きくなるが、一定の振動数より大きくしても一定の効果以上は得られない場合がある。またその一方で振動数が大きすぎると、鋳型3の締め付け部等が緩み、鋳造時に漏れが発生しやすくなる場合がある。そのため、振動数としては50〜300Hzが好ましく、50〜200Hzがより好ましい。
(2)揺動
鋳型3とバッキングチューブとの間に形成された環状空間に図3の揺動ディスク7を挿入して、鋳型3の長手方向の一端から他端へ揺動ディスク7を動かすことで、鋳型3内の溶湯を揺動させ、鋳型3の壁面に付着する酸化物スラグを浮かせて、浮いた酸化物スラグを鋳型3の上方に集めるようにする。酸化物スラグの除去効果の面から、鋳型3内で揺動ディスク7を移動させる移動速度を例えば50〜400mm/sとすることができ、好ましくは80〜300mm/s、より好ましくは100〜250mm/sである。鋳型3内で溶湯を揺動させる場合の揺動回数は、揺動ディスク7を鋳型3の一端から他端への移動を「一回」とカウントする。本実施形態においては、揺動回数を10回以上と設定するのが好ましく、より好ましくは20回以上と設定する。鋳型3内の溶湯を揺動させる時間の上限は特に制限されないが、製造効率の面を考慮すると、5分程度が好ましい。
(3)循環
溶解槽1から溶湯を鋳型3内に注入した後、循環ライン4を介して鋳型3内の溶湯を鋳型3の外部へ排出させてスラグ除去槽5へ導入する。スラグ除去槽5において、溶湯に含まれる酸化物スラグを浮かしてスラグ除去槽5の上部から酸化スラグを取り除く。取り除いた後の溶湯を再び循環ライン4を介して鋳型3内に注入する。溶湯の循環時間は、3分以上、より好ましくは5〜10分以上に設定することにより、目的とする効果が得られる。循環時間の上限は特に制限されないが、製造効率の面を考慮すると、5分程度が好ましい。
(1)〜(3)により、溶湯中の酸化物スラグを除去した後、大気放冷等によって鋳型3中の溶湯を冷却することにより、バッキングチューブの周囲を取り巻くように円筒形に形成されたインジウムターゲット成形体を得る。次いで、旋盤加工によりこの成形体の外周表面を1〜5mm程度切削する。この切削により、鋳型3の上部に集められた酸化スラグが除去され、本発明の実施の形態に係るインジウム製円筒形ターゲット部材が得られる。
本発明の実施の形態に係るインジウム製円筒形ターゲット部材及びターゲット部材の製造方法によれば、鋳造の際に溶湯に振動を与えるか、揺動を与えるか、溶湯を循環させるかの少なくともいずれかの工程を行う。これにより、スラグの除去口が小さい円筒形の鋳型であっても、酸素濃度の低いインジウム製円筒形ターゲット部材を得ることができる。また、振動、揺動、循環の工程を加えることにより、鋳型内に進入した空気を抜き出すこともでき、空隙のない99%質量以上の高密度のターゲットが得られる。
得られたインジウム製円筒形ターゲット部材は、酸素濃度が50質量ppm以下、好ましくは40質量ppm以下、更に好ましくは10質量ppm以下であるという特徴を有する。なお、本発明で説明する「酸素濃度」とは、インジウム製円筒形ターゲット部材の端部からサンプリングし、熱分析により測定した場合の濃度を指している。例えばこのインジウム製円筒形ターゲット部材を、CIGS系薄膜太陽電池用光吸収層作製用のスパッタリングターゲットとして使用することにより、太陽電池の変換効率をより向上させることができる。
また、得られたインジウム製円筒形ターゲットの相対密度は、99質量%以上である。相対密度は「製品の寸法密度」/7.31にて求められる。
(その他の実施の形態)
本発明の実施の形態に係るインジウム製ターゲット部材の製造に際し、鋳造、ターゲット成形体の外周面の切削を行った後に、例えば、特願2012−183427号に記載されるような、径方向に塑性加工を施す工程を更に追加してもよい。即ち、上述の実施の形態で説明した工程により製造されたインジウム製ターゲット部材に対して、その長手方向の全体にわたって、径方向に総圧下率10%以上、好ましくは50%以下で塑性加工を施し、表面全体の平均結晶粒子径が30mm以下、より好ましくは20mm以下、更に好ましくは15mm以下のインジウム製ターゲット部材を製造するものである。
鋳造ターゲットは基本的に粗大な粒子が多く不均一であるが、塑性加工して再結晶化(インジウムは常温で十分に再結晶化が生じる)することにより、微細な結晶組織を生成させることができる。塑性加工は、径方向に、圧延、押し出し、プレスなどいずれであってもよく、冷間であってもよく、熱間であってもよい。
更に、本発明の図1においては、鋳型3を長手方向が水平方向となるように載置して鋳造しているが、鋳型3の長手方向を垂直方向となるように鋳型3を立てて載置してもよいことは勿論である。このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含み得ることは勿論である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
以降の実施例及び比較例においては、長さ640mm、内径125mm、外径133mmのサイズのSUS304製バッキングチューブ、長さ700mm、内径157mm、外径199mmのサイズのSUS304製の鋳型3を用いて、ターゲット長さ600mm、内径133mm、外形151mmのサイズのインジウム製円筒形ターゲット部材を製造した。
<実施例>
原料であるインジウム原料を図1の溶解槽1において溶解させ、これを溶湯注入ライン2から鋳型3と鋳型3内のバッキングチューブとの間の環状空間へと流し込んだ。インジウム原料は、純度が4Nのものを使用した。鋳造時には、鋳型3の全体にヒーターを巻き、鋳型3および配管を180℃まで加熱した。
鋳型3内に注入された溶湯に対し、実施例1〜2では、バイブレーター6を用いて、振動数を100Hzと設定し、鋳型3の外面の一端、他端、中間部分にそれぞれ与えることにより、溶湯を振動させた。実施例3〜4では、揺動ディスク7を鋳型3内に挿入して一端から他端へ50mm/sで動かして、溶湯をかき混ぜ、揺動終了時には揺動ディスク7を鋳型3の端部に固定した。揺動ディスク7の鋳型3の一端から他端への移動を「1回」とカウントした。実施例5〜6では、循環ライン4を駆動させて溶湯を循環させた。実施例7では振動と循環を組み合わせ、実施例8では揺動と循環を組み合わせた。各条件を表1に示す。次いで、鋳型3を大気放冷してインジウム製円筒形ターゲット成形体を得、得られた成形体の外表面を旋盤加工により3mm切削して、インジウム製円筒形ターゲット部材を得た。実施例9では、実施例8の条件にて鋳造した後、圧下率10%で塑性加工を加え、旋盤により切削した。
<比較例>
バイブレーター6による振動、揺動ディスク7による揺動、又は循環のいずれも行うことなく、実施例1〜9と同様の条件でインジウム製円筒形ターゲットを製造した。
(評価)
実施例1〜9及び比較例1で得られたインジウム製円筒形ターゲット部材について、LECO社製TC-600型を用いて、不活性ガス融解赤外線吸収法による分析により、酸素濃度を測定した。酸素濃度測定用のサンプルは、ターゲット端部から採取した。更に、これらのインジウム製円筒形ターゲット部材を、下記スパッタ条件によりスパッタし、アーキングカウンターにより異常放電の回数を測定した。
・スパッタガス: Ar
・スパッタガス圧: 0.5Pa
・スパッタリング温度: R.T.(無加熱)
・投入スパッタパワー密度: 1.3W/cm2
(パワー密度はターゲット表面に関して、1cm2あたりに投入されたパワーとした)
・基板: コーニング社製イーグル2000、φ4インチ×0.7mmt
・プレスパッタ:1.3W/cm2のパワー密度で1h
実施例1〜9及び比較例1のターゲット部材の表面の長手方向中央部、一端部及び他端部の任意の位置に対して平均粒子径を測定した。本実施例において「長手方向中央部」とは、長手方向の一端を0%、他端を100%の長さとした場合に40〜60%の長さ範囲にある領域を意味する。「一端部」とは、0〜20%の長さ範囲にある領域を意味する。「他端部」とは、80〜100%の長さ範囲にある領域を意味する。測定に際しては、まず、ターゲットの表面を酸で軽くエッチングし、結晶粒界を見やすくした後、ターゲット表面の長手方向中央部、一端部、他端部の任意の100mm×100mmの範囲を測定対象領域とした。これらの測定対象領域を、目視により、各領域の結晶粒の個数(N)を数えて算出することにより、平均粒子径を測定した。なお、領域の境界に跨がって存在する結晶粒は0.5個として、四隅にある結晶粒は0.25個として取り扱った。相対密度は、寸法から算出した体積と、ターゲット重量から算出した寸法密度を理論密度(7.31)で除することにより算出した。各測定結果を表1に示す。
Figure 0005968808
実施例1〜9のいずれもインジウム製円筒形ターゲット部材の酸素濃度を50質量ppmと低い濃度に抑えることができ、異常放電の回数(アーキング回数)も少なかった。
一方、溶湯に対して、振動、揺動、循環等の工程を行わなかった比較例1では、酸素濃度が実施例1〜9より高くなり、アーキング回数も多かった。また、振動、揺動、循環のいずれも行なわなかったため、内部に侵入した空気が抜けず、空隙が多く、相対密度が低くなり、アーキングが多かった。
1:溶解槽
2:溶湯注入ライン
3:鋳型
4:循環ライン
5:スラグ除去槽
6:バイブレーター
7:揺動ディスク
10:製造装置
51:循環入口
52:循環出口

Claims (9)

  1. 酸素濃度が40質量ppm以下であるインジウム製円筒形ターゲット部材。
  2. 相対密度が99質量%以上である請求項1に記載のインジウム製円筒形ターゲット部材。
  3. 表面全体の平均結晶粒径が30mm以下である請求項1又は2に記載のインジウム製円筒形ターゲット部材。
  4. 原料を円筒形の鋳型に投入して溶解鋳造する工程を含み、該工程において前記鋳型内に投入された溶湯に対して
    (1)揺動を加えること、
    (2)振動を加えること、
    (3)溶湯を、スラグ除去槽を含む循環ラインで循環させること、
    の少なくともいずれかを実施した後、前記鋳型内の前記溶湯を冷却して円筒形インジウムターゲット成形体を得ることと、
    前記円筒形インジウムターゲット成形体の表面を切削すること
    を含み、それにより酸化物スラグを除去し、酸素濃度が50質量ppm以下であるインジウム製円筒形ターゲット部材を製造する円筒形ターゲット部材の製造方法。
  5. 前記(1)工程を実施し、前記(1)工程が、前記鋳型中に揺動ディスクを浸漬させ、該揺動ディスクを前記鋳型内において50〜400mm/sで移動させることを含む請求項に記載の円筒形ターゲット部材の製造方法。
  6. 前記(2)工程を実施し、前記(2)工程が、溶湯に50〜300Hzの振動を与えることを含む請求項4又は5に記載の円筒形ターゲット部材の製造方法。
  7. 前記(3)工程を実施し、前記(3)工程が、溶湯を前記鋳型の外部に配置されたスラグ除去槽へ循環させることを含む請求項4〜6のいずれか1項に記載の円筒形ターゲット部材の製造方法。
  8. 前記円筒形インジウムターゲット成形体の表面を切削した後に得られる円筒形ターゲット部材の長手方向の全体にわたって、径方向に総圧下率10%以上で塑性加工を施すことを更に含む請求項4〜7のいずれか1項に記載の円筒形ターゲット部材の製造方法。
  9. 原料が、純度99.99質量%以上のインジウム原料である請求項4〜8のいずれか1項に記載の円筒形ターゲット部材の製造方法。
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