JP5968655B2 - 石川県の伝統発酵食品から分離した乳酸菌及びその培養物の機能性とその利用 - Google Patents
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Description
しかしその一方で、乳酸菌体又はその処理物(菌体由来成分)がもたらす免疫賦活活性及び免疫調節機能は、菌種が同一であっても菌株が違えばその効果も大きく異なることもまた当業者にはよく知られた事実である。そのため免疫賦活剤として用いる際には、用いる菌株の選定が非常に重要となる。そこで多くの研究機関において、より免疫賦活活性及び免疫調節機能の高い乳酸菌株の単離が行なわれている。
したがって、これまで乳酸菌叢についての研究報告のない発酵食品中の乳酸菌の機能を研究すれば、予期せぬ機能や従来の機能より優れた効果を示すことが期待でき、そのような研究も多くの研究機関で行われている。
[1]あじなれずし、ぶりなれずし、さばなれずし、かぶらずし、大根ずし、山廃酒母、いか麹漬け、いか黒造り、及びうり糠漬けからなる群より選択される少なくとも1種の発酵食品より分離した1種又は2種以上の乳酸菌又はその培養物を有効成分とすることを特徴とする抗炎症・抗アレルギー剤。
[2]あじなれずし、ぶりなれずし、さばなれずし、かぶらずし、大根ずし、山廃酒母、いか麹漬け、いか黒造り、及びうり糠漬けからなる群より選択される少なくとも1種の発酵食品より分離した1種又は2種以上の乳酸菌又はその培養物を有効成分とすることを特徴とする免疫賦活剤。
[3]あじなれずし、ぶりなれずし、さばなれずし、かぶらずし、大根ずし、山廃酒母、いか麹漬け、いか黒造り、及びうり糠漬けからなる群より選択される少なくとも1種の発酵食品より分離した1種又は2種以上の乳酸菌又はその培養物を有効成分とすることを特徴とする腸管免疫賦活剤。
[4]乳酸菌が、ラクトバチラス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri) AN1-1(受託番号:NITE P-1123)、ラクトバチラス・ブレビス(Lactobacillus brevis) AN3-5(受託番号:NITE P-1256)、ラクトバチラス・パラプランタラム(Lactobacillus paraplantarum) AN5-1、ラクトバチラス・プランタム(Lactobacillus plantarum) ANP7-1(受託番号:NITE P-1224)、ラクトバチラス・サケイ(Lactobacillus sakei) KP7-11(受託番号:NITE P-1125)、ラクトバチラス・カゼイ(Lactobacillus casei) SB104LC (受託番号:NITE P-1259)及びペディオコッカス・エタノリデュランス(Pediococcus ethanolidurans) SB108(受託番号:NITE P-1228)からなる群より選択される少なくとも1種の乳酸菌であり、その培養物が抗炎症・抗アレルギー作用を有することを特徴とする前記[1]記載の抗炎症・抗アレルギー剤。
[5]乳酸菌が、ラクトバチラス・パラブフネリ(Lactobacillus parabuchneri) BN1-2(受託番号:NITE P-1258)、ラクトバチラス・パラブフネリ(Lactobacillus parabuchneri) ANP2-1(受託番号:NITE P-1257)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis) SB103(受託番号:NITE P-1127)及びロイコノストック・スペシ―ズ(Leuconostoc sp.) KK101 (受託番号:NITE P-1239)からなる群より選択される少なくとも1種の乳酸菌であり、その培養物が免疫賦活作用を有することを特徴とする前記[2]記載の免疫賦活剤。
[6]乳酸菌が、ラクトバチラス・ブレビス(Lactobacillus brevis) AN3-5(受託番号:NITE P-1256)、ラクトバチラス・サケイ(Lactobacillus sakei) KP7-11(受託番号:NITE P-1125)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis) SB103(受託番号:NITE P-1127)及びペディオコッカス・エタノリデュランス(Pediococcus ethanolidurans) SB108(受託番号:NITE P-1228)からなる群より選択される少なくとも1種の乳酸菌であり、その培養物が腸管免疫グロブリン(IgA)誘導作用を有することを特徴とする前記[3]に記載の腸管免疫賦活剤。
[7]あじなれずし、ぶりなれずし、さばなれずし、かぶらずし、大根ずし、山廃酒母、いか麹漬け、いか黒造り、及びうり糠漬けからなる群より選択される少なくとも1種の発酵食品より分離された乳酸菌であって、該乳酸菌及び/又はその培養物が1)抗炎症・抗アレルギー作用、2)免疫賦活作用、及び3)腸管免疫グロブリン(IgA)誘導作用からなる群より選択される少なくも1つの機能を有することを特徴とする乳酸菌。
[8]ラクトバチラス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri) AN1-1(受託番号:NITE P-1123)、ラクトバチラス・ブレビス(Lactobacillus brevis) AN3-5(受託番号:NITE P-1256)、ラクトバチラス・パラプランタラム(Lactobacillus paraplantarum) AN5-1、ラクトバチラス・プランタム(Lactobacillus plantarum) ANP7-1(受託番号:NITE P-1224)、ラクトバチラス・サケイ(Lactobacillus sakei) KP7-11(受託番号:NITE P-1125)、ラクトバチラス・カゼイ(Lactobacillus casei) SB104LC (受託番号:NITE P-1259)及びペディオコッカス・エタノリデュランス(Pediococcus ethanolidurans) SB108(受託番号:NITE P-1228)からなる群より選択される少なくとも1種であって、該乳酸菌及び/又はその培養物が抗炎症・抗アレルギー作用を有することを特徴とする前記[7]記載の乳酸菌。
[9]ラクトバチラス・パラブフネリ(Lactobacillus parabuchneri) BN1-2(受託番号:NITE P-1258)、ラクトバチラス・パラブフネリ(Lactobacillus parabuchneri) ANP2-1(受託番号:NITE P-1257)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis) SB103(受託番号:NITE P-1127)及びロイコノストック・スペシ―ズ(Leuconostoc sp.) KK101 (受託番号:NITE P-1239)からなる群より選択される少なくとも1種であって、該乳酸菌及び/又はその培養物が免疫賦活作用(IL-12誘導活性)を有することを特徴とする前記[7]記載の乳酸菌。
[10]ラクトバチラス・ブレビス(Lactobacillus brevis) AN3-5(受託番号:NITE P-1256)、ラクトバチラス・サケイ(Lactobacillus sakei) KP7-11(受託番号:NITE P-1125)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis) SB103(受託番号:NITE P-1127)及びペディオコッカス・エタノリデュランス(Pediococcus ethanolidurans) SB108(受託番号:NITE P-1228)からなる群より選択される少なくとも1種であって、該乳酸菌及び/又はその培養物が腸管免疫グロブリン(IgA)誘導作用を有することを特徴とする前記[7]記載の乳酸菌。
[11]前記[7]〜[10]のいずれか一項に記載の乳酸菌又はその培養物の、1)抗炎症・抗アレルギー作用、2)免疫賦活作用、及び3)腸管免疫グロブリン(IgA)誘導作用からなる群より選択される少なくとも1つの機能を有する飲食品製造のための使用。
[12]1)抗炎症・抗アレルギー作用、2)免疫賦活作用、及び3)腸管免疫グロブリン(IgA)誘導作用からなる群より選択される少なくも1つの機能を有する発酵食品の製造方法であって、前記[7]〜[10]のいずれか一項に記載の乳酸菌又はその培養物を添加して発酵させる工程を含むことを特徴とする製造方法。
[13]1)抗炎症・抗アレルギー作用、2)免疫賦活作用、及び3)腸管免疫グロブリン(IgA)誘導作用からなる群より選択される少なくも1つの機能を有する発酵食品の製造方法であって、前記[7]〜[10]のいずれか一項に記載の乳酸菌又はその培養物を添加して発酵させる工程を含むことを特徴とするイカ野菜詰め米麹まぶしの製造方法。
本発明における乳酸菌の培養物は、あじなれずし、ぶりなれずし、さばなれずし、かぶらずし、大根ずし、山廃酒母、いか麹漬け、いか黒造り、及びうり糠漬けからなる群より選択される少なくとも1種の発酵食品より分離した乳酸菌1種又は2種以上の培養物であって、下記1)〜3)の少なくも1つの機能を有するものである。
1)抗炎症・抗アレルギー作用、2)免疫賦活作用、又は3)腸管免疫グロブリン(IgA)誘導作用
本発明における乳酸菌は、あじなれずし、ぶりなれずし、さばなれずし、かぶらずし、大根ずし、山廃酒母、いか麹漬け、いか黒造り、及びうり糠漬けからなる群より選択される少なくとも1種の発酵食品より分離された乳酸菌であり、該乳酸菌及び/又はその培養物が前記1)〜3)の少なくも1つの機能を有する乳酸菌であればよい。このような乳酸菌も、本発明に包含される。該乳酸菌やその培養物が前記機能を有することは公知の方法、例えば、実施例に記載の方法で確認することができる。
このように培養した培養液を培養物として使用することができる。
表1及び表6に示される乳酸菌のうち、ラクトバチラス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri) AN1-1及びSB21、ラクトバチラス・ブレビス(Lactobacillus brevis) AN1-5、AN3-5及びSB109、ラクトバチラス・プランタラム (Lactobacillus plantarum) AN3-2及びANP7-1、ラクトバチラス・パラブフネリ(Lactobacillus parabuchneri) BN1-2及びANP2-1、ラクトバチラス・サケイ(Lactobacillus sakei) KP7-11、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis) SB103、ラクトバチラス・カゼイ (Lactobacillus casei) SB104LC、ワイセラ・ヘレニカ(Weissella hellenica) SB105、ぺディオコッカス・エタノリデュランス(Pediococcus ethanolidurans) SB108及びロイコノストック・スペシ―ズ(Leuconostoc sp.) KK101は、日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8(郵便番号292-0818)の独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに寄託申請し、以下の受託番号で受託された。
Lactobacillus buchneri AN1-1(受託番号:NITE P-1123)(受託日:2011年8月12日)
Lactobacillus brevis AN1-5(受託番号:NITE P-1124)(受託日:2011年8月12日)
Lactobacillus plantarum AN3-2(受託番号:NITE P-1255)(受託日:2012年2月24日)
Lactobacillus brevis AN3-5(受託番号:NITE P-1256)(受託日:2012年2月24日)
Lactobacillus parabuchneri BN1-2(受託番号:NITE P-1258)(受託日:2012年2月24日)
Lactobacillus parabuchneri ANP2-1(受託番号:NITE P-1257)(受託日:2012年2月24日)
Lactobacillus plantarum ANP7-1(受託番号:NITE P-1224)(受託日:2012年2月3日)
Lactobacillus sakei KP7-11(受託番号:NITE P-1125)(受託日:2011年8月12日)
Lactobacillus buchneri SB21(受託番号:NITE P-1139)(受託日:2011年8月30日)
Enterococcus faecalis SB103(受託番号:NITE P-1127)(受託日:2011年8月12日)
Lactobacills casei SB104LC (受託番号:NITE P-1259)(受託日:2012年2月24日)
Weissella hellenica SB105(受託番号:NITE P-1128)(受託日:2011年8月12日)
Pediococcus ethanolidurans SB108(受託番号:NITE P-1228)(受託日:2012年2月3日)
Lactobacillus brevis SB109(受託番号:NITE P-1260)(受託日:2012年2月24日)
Leuconostoc sp. KK101 (受託番号:NITE P-1239)(受託日:2012年2月15日)
本発明の抗炎症・抗アレルギー剤、免疫賦活剤、及び腸管免疫賦活剤における乳酸菌、その培養物及びそれらの好ましい態様等は、上述したものと同じである。
本発明の抗炎症・抗アレルギー剤、免疫賦活剤、及び腸管免疫賦活剤の剤型は特に限定されないが、経口投与の剤型が好ましい。
1−1 乳酸菌の分離及び培養のための培地
「かぶらずし」及び「あじなれずし」等の発酵食品からの乳酸菌の分離には、MRS培地(市販品、Difco社製)55gを最終液量が1Lとなるような濃度に純水で溶解し、これに終濃度2%になるように寒天を添加して作製したプレートを使用した。
分離した乳酸菌の液体培養培地にはMRS培地(市販品、Difco社製)を使用した。
乳酸菌を純粋培養する最初の基本培養は次の方法で行った。4 ml容バイアルとMRS液体培地を別々に120℃、20分オートクレーブし、冷却後、MRS液体培地4 mlをバイアルに分注した。滅菌したつまようじを用いて、乳酸菌コロニー又は冷凍保存液を一掻きMRS液体培地の入ったバイアルにシードし、30℃で2〜3日間培養した。この培養液をそれぞれの目的に応じて使用した。
「かぶらずし」((株)四十萬谷本舗)及び「あじなれずし」(柳田食産(株))等の石川県の伝統発酵食品より種々の乳酸菌を分離した。その一方法として、これらの素材、例えば米麹又は蒸し米部分の約1 gを計量し、生理食塩水10 mlで懸濁し、滅菌した0.85%生理食塩水(10 ml/試験管)で適宜、希釈後、その0.1 mlをMRS寒天培地に塗布し、30℃で2〜3日間培養し、コロニーを形成させた。その際、特別に嫌気条件にはしなかった。
<乳酸菌よりゲノムDNAの調製>
Wizard(登録商標)Genomic DNA Purification Kit (Promega社製)を使用して、乳酸菌よりゲノム DNAを調製した。
前記で抽出したゲノムDNAから、PCRにより16SrDNA断片を増幅した。PCRはEx Taq(登録商標)DNA Polymerase (タカラバイオ社)を用いて行い、16SrDNA用プライマーとして以下の配列のプライマーを用いた。
[7-F (プライマー名)]
5’-AGAGTTTGATYMTGGCTCAG-3’ (配列番号1)
[1510-R (プライマー名)]
5’-ACGGYTACCTTGTTACGACTT-3’ (配列番号2)
配列番号1及び2中、Yは、C(シトシン)又はT(チミン)、Mは、A(アデニン)又はC(シトシン)である。
96℃、2分→(96℃、15秒→50℃、15秒→72℃、1分30秒)を25サイクル→4℃で保温。
96℃、1分→(96℃、10秒→50℃、5秒→60℃、4分)を30サイクル。
Lactobacillus buchneri AN1-1(受託番号:NITE P-1123)(受託日:2011年8月12日)
Lactobacillus brevis AN3-5(受託番号:NITE P-1256)(受託日:2012年2月24日)
Lactobacillus parabuchneri BN1-2(受託番号:NITE P-1258)(受託日:2012年2月24日)
Lactobacillus parabucneri ANP2-1(受託番号:NITE P-1257)(受託日:2012年2月24日)
Lactobacillus plantarum ANP7-1(受託番号:NITE P-1224)(受託日:2012年2月3日)
Lactobacillus sakei KP7-11(受託番号:NITE P-1125)(受託日:2011年8月12日)
Enterococcus faecalis SB103(受託番号:NITE P-1127)(受託日:2011年8月12日)
Pediococcus ethanolidurans SB108(受託番号:NITE P-1228)(受託日:2012年2月3日)
Lactobacillus brevis SB109(受託番号:NITE P-1260)(受託日:2012年2月24日)
Leuconostoc sp. KK101(受託番号:NITE P-1239)(受託日:2012年2月15日)
腸管免疫機能の検討
2−1 使用菌株
石川県の発酵食品から単離された表1に示す12種の乳酸菌を用いた。
乳酸菌の純粋培養は次の方法で行った。4ml容バイアルとMRS液体培地を別々に120℃、20分オートクレーブし、冷却後、MRS 4mlをバイアルに分注した。滅菌したつまようじを用いて、乳酸菌の冷凍保存液を一掻きMRS培地の入ったバイアルにシードし、30℃で3日間培養した。その培養液の1 mlを1.5 ml容エッペンドルフチューブにて、10,000rpm、5 分間遠心分離して、菌体を集菌し、その菌体湿重量を測定した。その重量が10 mgを超えない場合にはさらにその上に1mlの培養液を加え、湿重量が10 mgを超えるまで前記操作を繰り返した。集菌後、1 mlの生理食塩水にて菌懸濁液を調製し、冷凍保存後、免疫機能測定に使用した。冷凍保存した各分析用サンプル(菌体の冷凍保存液)は、以下の表2に示す通りであった。
表1に示す12種の乳酸菌それぞれを米麹に接種して、種米麹(1)〜(12)を調製した。表1に示す12種の乳酸菌それぞれについて、滅菌したつまようじを用いて、菌体の冷凍保存液を一掻き4mlのMRS培地の入ったバイアルにシードし、30℃で3日間培養した。その全量を、菌種ごとに200mlのMRS液体培地/300ml容三角フラスコにシードし、30℃、3日間本培養した。菌種ごとに、その培養液の全量を50 ml容ファルコンチューブにて、8,000rpm、10 分間遠心分離して、菌体を集菌し、滅菌した0.85%生理食塩水で2回洗浄した。それらの菌をそれぞれ生理食塩水40mlで懸濁し、米麹100gに接種し、12℃で、12日間発酵させて種米麹(1)〜(12)を得た。発酵終了時の菌数測定として、各米麹約1gをサンプリングし、生理食塩水10mlで懸濁し、生理食塩水10mlで適宜、希釈後、その0.1mlをMRS寒天培地に塗沫し、30℃で2〜3日間培養し、コロニーを形成させた。その際、特別に嫌気条件にはしなかった。コロニー数をカウントすることによって米麹1g当たりの菌数を算出した。
また、種米麹の発酵終了後、それぞれの菌種毎に、得られた種米麹を15 ml容ファルコンチューブにほぼ10gずつ分取し、−30℃にて冷凍保存した。この冷凍種米麹をイカ野菜詰め米麹まぶし用の種菌として使用した。冷凍前の各種米麹における生菌数を、以下の表3に示す。
図1に乳酸菌入りイカ野菜詰め米麹まぶしの製法の概要を示す。乳酸菌入りイカ野菜詰め米麹まぶしの試作は、株式会社四十萬谷本舗(石川県金沢市)が行った。
前記2−3で調製した、乳酸菌を米麹100gに混ぜて12℃で発酵させ、冷凍保存した各種米麹(表3の(1)〜(12))10gをそれぞれスターターとした。そして以下の基本的な調合及び操作で試作を行った。スターター米麹10gを新たな米麹150gに混ぜたものをイカ1匹分として使用し、イカ野菜詰め米麹まぶし試作品とし、12℃で7日間発酵させて、イカ野菜詰め米麹まぶし試作品(1)〜(12)を得た。また、乳酸菌を添加しない米麹を用いた以外は同様の方法で、コントロールのイカ野菜詰め米麹まぶしを作製した。表1に示す12種の乳酸菌それぞれをスターターとしたイカ野菜詰め米麹まぶし試作品(1)〜(12)及びコントロールの発酵終了時の菌数測定として、各試作品から米麹約1gをサンプリングし、生理食塩水10mlで懸濁した米麹の懸濁液を調製し、これを生理食塩水10mlで適宜、希釈後、その0.1mlをMRS寒天培地に塗沫し、30℃で2〜3日間培養し、コロニーを形成させた。その際、特別に嫌気条件にはしなかった。コロニー数をカウントすることによって米麹1g当たりの菌数を算出した。この乳酸菌入りイカ野菜詰め米麹まぶしの各試作品における生菌数を、表4に示す。なお、試作したイカ野菜詰め米麹まぶしは、通常、発酵終了後に真空パックし、冷凍で保存する製品形態とすることができる。
また、同時に前記米麹の懸濁液を1ml採取し、冷凍保存後、免疫機能測定に使用した。
マウスBALB/c(8週齢、メス、クレア)から骨髄細胞を採取し、RED BLOOD CELL LYSING BUFFER(SIGMA R7757)を用いて溶血後、磁気ビーズを用いて標識した骨髄細胞からCD8、CD4、I-Ad、B220のいずれかも発現していない未分化な細胞をnegative画分として回収した。得られた細胞はGM-CSF conditioned medium を最終濃度10%で添加したRPMI1640培地(10%仔ウシ胎児血清(Biowest)、100U/mlのペニシリン、100μg/wellのストレプトマイシン、0.2mMのL-グルタミン酸、1mMのピルビン酸、0.1mMの非必須アミノ酸、0.05mMの2-メルカプトエタノールを含むRPMI1640培地(Gibco))に3.0×105cells/mlで懸濁し、10mlずつ細胞培養用シャーレ(BDF(登録商標)ALCON 353003)を用いて5%CO2条件下、37℃、8日間培養を行った。
マウスBALB/c(8週齢、メス、クレア)からパイエル板細胞を調製し、RPMI1640培地(10%仔ウシ胎児血清(Biowest)、100U/mlのペニシリン、100μg/wellのストレプトマイシン、0.2mMのL-グルタミン酸、1mMのピルビン酸、0.1mMの非必須アミノ酸、0.05mMの2-メルカプトエタノールを含むRPMI1640培地(Gibco))に懸濁した。細胞懸濁液は抗CD3抗体をコーティングした96穴プレート(BD BioCoat; BD 354720)に100μl/well(5.0×106cells/well)でアプライした。そこへRPMI1640培地に懸濁した各乳酸菌菌体(乳酸菌菌体濃度200μg/ml、又は20μg/ml)、あるいは前記で製造した発酵後のイカ野菜詰め米麹まぶし試作品の米麹懸濁液(米麹を10重量%添加したもの、又は2重量%添加したもの)をそれぞれ100μl/wellで加えた試験溶液について、5%CO2条件下、37℃、5日間培養を行った。なお、培養は各サンプルに対してn=3wellで実施した。培養上清中のtotal IgA濃度はELISA Quantitation Kit(BETHYL E90-103)を用いて測定した。
したがって、菌体に明白にIgA産生誘導活性が認められ、特にKP7-11、SB103、SB108は高い産生誘導能を有することが示された。
マウス腹腔マクロファージを用いたin vitroサイトカイン産生誘導試験
7周齢のBALB/cマウスの腹腔内に2mlのチオグリコール酸溶液を注射し、3〜4日後、マウスを解剖し、腹腔マクロファージを集めた。これをRPMI培地にマクロファージ細胞が2 × 106/mlとなるように懸濁し、96穴マイクロタイタープレートに100μlずつ分注した。次に、予めMRS培地にて培養し、集菌、洗浄しておいた検体とする各種乳酸菌(実施例1で分離したもの)をRPMI培地にて1 x 108/mlとなるように調製し、同じく96穴マイクロタイタープレートに100μlずつ分注し、マクロファージ細胞と混合した。それを5% CO2気流下におかれたインキュベーターで、37℃、24時間、静置反応した。そしてその反応液の上清液について、市販のELISA Kitにて、IL-12(p70)、IL-10、IL-4、INF-γ、TNF-α等の産生量を定量した。その中で、産生が明瞭に確認されたIL-10とINF-γに関する結果を図5に示した。図5中、白いバーはINF-γ濃度であり、黒いバーはIL-10濃度である。また、その際に検体として用いた乳酸菌株を表6に示した。コントロールは検体無添加を意味する。
ピクリルクロライドにより皮膚炎を発症させたNa/Ngaマウスにおける抗炎症(抗アレルギー)試験
Claims (2)
- あじなれずしより分離したラクトバチラス・ブレビス(Lactobacillus brevis) AN3-5(受託番号:NITE P-1256)及びラクトバチラス・カゼイ(Lactobacillus casei) SB104LC (受託番号:NITE P-1259)からなる群より選択される1種又は2種の乳酸菌又はその培養物を有効成分とすることを特徴とする抗炎症・抗アレルギー剤。
- ラクトバチラス・カゼイ(Lactobacillus casei) SB104LC (受託番号:NITE P-1259)である乳酸菌。
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