JP2007267685A - 糸状菌を用いる乳酸菌の培養方法及び該培養方法により得られる培養物 - Google Patents

糸状菌を用いる乳酸菌の培養方法及び該培養方法により得られる培養物 Download PDF

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Masato Sugi
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Abstract

【課題】糸状菌を用いる乳酸菌の培養方法及び該培養方法により得られる培養物を提供する。
【解決手段】低糖濃度培地で糸状菌を培養した糸状菌培養物中で、乳酸菌を培養することを特徴とする乳酸菌の培養方法、該培養方法により得られた培養物、該培養物を含有する免疫活性化(細胞表面抗原CD69の発現促進)剤及び/又はアレルギー(リンフォカインIL−4産生)抑制剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、糸状菌を用いて乳酸菌を培養することにより、通常の培養に比して飛躍的に乳酸菌数が増大する乳酸菌の培養方法及びこれにより得られる培養物に関するものであり、詳細には、低糖濃度培地で糸状菌を培養した糸状菌培養物中で、乳酸菌を培養することを特徴とする乳酸菌の培養方法及び該培養方法により得られる培養物に関する。
乳酸菌は、古来より、チーズ、ヨーグルト、発酵バター等の乳製品や発酵ソーセージ、発酵サラミ等の畜肉製品を製造する際にスターターとして使用されている微生物であり、最近では、パンのスターターや飼料用サイレージのスターターとしても利用されている。また、味噌、醤油、漬物等の熟成工程においても、乳酸菌は重要な役割を果していることが知られている。さらに、近年において、乳酸菌の有する種々の生理効果が明らかとなり、乳酸菌の菌体自体や乳酸菌の培養物等を健康食品や医薬品等の素材として利用するようになってきている。このように乳酸菌の利用は多岐にわたっており、乳酸菌の菌体や培養物等を簡便、かつ安価に製造することは極めて重要な課題となってきている。
一方、近年、数多くのキノコに種々の生理活性物質が含まれていることが報告されている。その中で、タバコウロコタケ科キコブタケ属に属するメシマコブ(Phellinus linteus)は、免疫活性化作用、抗腫瘍作用を持つことから、従来から健康食品または漢方薬として利用されている。
特許文献1には、アガリクス等の糸状菌を健康食品として用いる際に、培養生産物中に未利用の糖分が残存することがあり、この残存した糖分が、糖尿病患者などのような一部の消費者にとって問題となることから、該培養生産物に酵母菌、乳酸菌を加えて混合培養し、残存する糖分を消費させる方法が記載されている。
しかし特許文献1は、糸状菌を用いる乳酸菌の培養方法を開示するものでなく、また、低糖の条件、即ち低糖培地において乳酸菌を培養することに関しては何らの記載もされていない。
特開2005−126354号公報
本発明は、通常の培養に比して飛躍的に乳酸菌数が増大する乳酸菌の培養方法及び該培養方法により得られる有用な生理活性を有する培養物の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、低糖濃度培地で糸状菌を培養した糸状菌培養物中で乳酸菌を培養すると、飛躍的に乳酸菌数が増大することを見出し、本発明を完成させた。また、得られた培養物は、優れた免疫活性化(細胞表面抗原CD69の発現促進)作用及び/又はアレルギー(リンフォカインIL−4産生)抑制作用を示すことも見出した。
即ち、本発明は、
1.低糖濃度培地で糸状菌を培養した糸状菌培養物中で、乳酸菌を培養することを特徴とする乳酸菌の培養方法、
2.前記糸状菌がメシマコブ、カバノアナタケ、ツリガネタケ又はベニクスノキタケである前記1.記載の培養方法、
3.前記糸状菌がメシマコブである前記2.記載の培養方法、
4.前記乳酸菌が、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium属)、ラクトバチルス属(Lactobacillus属)、ラクトコッカス属(Lactococcus属)、ペディオコッカス属(Pediococcus属)、ヴァイゼラ属(Weissella属)又はロイコノストック属(Leuconostoc属)に属する乳酸菌である前記1.ないし3.の何れか1つに記載の培養方法、
5.前記乳酸菌が、ビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium
longum)、ビフィドバクテリウム ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ラクトバチルス プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス クルバタス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス サケ(Lactobacillus sake)、ラクトコッカス ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス ガルビエ(Lactococcus garvieae)、ペディオコッカス ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)、ヴァイゼラ キムチ(Weissella kimchii)又はロイコノストック ガルリカム(Leuconostoc garlicum)である前記4.記載の培養方法、
6.前記乳酸菌が、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属又はヴァイゼラ(Weis s ella)属又はペディオコッカス(Pediococcus)
属、に属する乳酸菌である前記1.ないし4.の何れか1つに記載の培養方法、
7.前記乳酸菌が、ビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium
longum)又はビフィドバクテリウム ラクティス(Bifidobacterium lactis)である前記6.記載の培養方法、
8.前記乳酸菌が、ビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium
longum)である前記7.記載の培養方法、
9.前記1.ないし8.の何れか1つに記載の培養方法により得られた培養物、
10.前記1.ないし8.の何れか1つに記載の培養方法により得られた培養物を含有する免疫活性化剤、
11.前記1.ないし8.の何れか1つに記載の培養方法により得られた培養物を含有するアレルギー抑制剤、
に関するものである。
本発明の乳酸菌の培養方法により、飛躍的に乳酸菌数が増大した乳酸菌培養物を得ることができる。また、使用する糸状菌は、既に健康食品や漢方薬として使用されているものであるため、ヒトが摂取する上で非常に安全性の高いものといえる。更に、得られた乳酸菌培養物は、免疫活性化、すなわち免疫細胞の表面抗原の1つであるCD69分子の発現
促進(CD69陽性細胞の割合の増加)活性を示し、また、アレルギー反応の抑制作用の1つとしてIL−4の産生抑制作用を示した。
CD69は、免疫細胞における活性化マーカーであり、従って、CD69分子の発現が促進(CD69陽性細胞の割合の増加)されると、免疫が賦活されることになる。また、IL−4はアレルギー反応に係るサイトカインであり、アレルギー反応を活性化する作用を有し、また、アレルギー反応に係るT細胞であるTh2細胞の分化の際にも関与する。従って、IL−4の産生を抑制することにより、アレルギー反応が抑制されることになる。
以上のことより、本発明の乳酸菌の培養方法により得られる培養物は、免疫を賦活化し且つアレルギー反応を抑制する効果を奏することができる。
本発明に使用する糸状菌としては、メシマコブ、カバノアナタケ、ツリガネタケ及びベニクスノキタケ等が挙げられ、好ましくはメシマコブが挙げられる。
糸状菌を培養するための培地としては、液体培地でも固体培地よいが、大量生産に適する液体培地を用いて培養するのが好ましい。液体培養は、効率よく栄養成分が吸収されるので糸状菌の成長が固体培養に比べて良好であり、タンク培養ができるので場所をとらないといった利点や滅菌がしやすいといった利点を有する。
上記培地には、炭素源、窒素源など糸状菌を培養する際の生育に必要な栄養素が含まれており、さらにビタミン類やミネラルを含むことができる。
炭素源としては、グルコース、スクロース、マンニトール、ガラクトース、トレハロース、マルトース、ラクトース、デキストリン、コーンスターチ、グリセロール等が挙げられ、好ましくはグルコースが挙げられる。使用する炭素源(糖)の量は、低糖濃度になるよう調整されるが、通常0.3%未満になるよう調整され、好ましくは、0.25%ないし0.29%の範囲であり、また、好ましくは、0.26%ないし0.28%の範囲であり、また、0.27%の濃度である。
特に、グルコースを用い、上記の濃度の範囲となるものが好ましい。
窒素源としては、イーストエキス、モルトエキス、ペプトン、ポリペプトン、ソイトン、カシトン、カザミノ酸、硝酸カルシウム、硫酸アンモニウム、米ぬかなどが挙げられ、好ましくはイーストエキスが挙げられる。
ビタミン類やミネラルを用いる際は、具体的には、チアミン、ビオチン、葉酸、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。
培地のpHとしては、通常の培養に用いられるpHの範囲で行うことができるが、好ましくは6.0ないし7.0の範囲、また、6.3ないし6.7の範囲及び6.5が挙げられる。
糸状菌の培養に使用する具体的な培地としては、例えば、1リットルの水に対して、グルコース2.7g、イーストエキス5g、リン酸二水素カリウム1gを添加してpHを6.5に調整した培地組成からなるものが挙げられる。
培養温度は、通常の糸状菌の培養に用いられる温度範囲で行うことができるが、好ましくは25℃ないし30℃の範囲、27℃ないし29℃の範囲及び28℃が挙げられる。
糸状菌の培養期間は、本発明に使用される糸状菌の種類により異なるが、通常、1週間〜2ヶ月程度である。培養条件は糸状菌の種類により知られている条件を採用することができる。
また、糸状菌の培養は、糸状菌を小スケールで上記記載の条件で培養した後、小スケールで培養した培養物を用いて大スケールの培養を行うこともできる。
また、培養は静置培養、攪拌培養の何れの方法も用いることができるが、静置培養が好ましい。
上記で得られた糸状菌が培養された糸状菌培養物中に、乳酸菌を接種して培養を行うことができる。
この場合、乳酸菌は、糸状菌の培養中に接種するか又は糸状菌の培養後に接種すること
により乳酸菌を培養することができるが、糸状菌の培養後に接種して乳酸菌を培養するのが好ましい。
乳酸菌の培養条件は、乳酸菌の培養を行うための通常の条件を用いて行うことができる。
上記培養物中には、乳酸菌の生育を促すための栄養源を添加することができ、例えば、脱脂粉乳を添加するのが好ましい。
脱脂粉乳等を添加する場合、該脱脂粉乳等は滅菌された水との混合溶液として添加するのが好ましく、その添加量は、水に対する質量割合で、10ないし30%、好ましくは15ないし25%、また、例えば、20%である。
また、全培地質量に対しては、5ないし15%、好ましくは7.5ないし12.5%、また、例えば、10%である。
使用する乳酸菌としては、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium属)、ラクトバチルス属(Lactobacillus属)、ラクトコッカス属(Lactococcus属)、ペディオコッカス属(Pediococcus属)、ヴァイゼラ属(Weissella属)又はロイコノストック属(Leuconostoc属)に属する乳酸菌が挙げられ、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属又はペディオコッカス属(Pediococcus属)、ヴァイゼラ属(Weissella属)に属する乳酸菌が好ましい。
具体的な乳酸菌としては、ビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ラクトバチルス プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス クルバタス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス サケ(Lactobacillus sake)、ラクトコッカス ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス
ガルビエ(Lactococcus garvieae)、ペディオコッカス ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)、ヴァイゼラ キムチ(Weissella kimchii)又はロイコノストック ガルリカム(Leuconostoc garlicum)が挙げられ、ビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)又はビフィドバクテリウム ラクティス(Bifidobacterium lactis)が好ましく、また、ビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)が好ましい。上記の乳酸菌は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
培養条件は、用いる乳酸菌に適した公知の条件を用いることができるが、培養温度は通常、20ないし45℃の範囲であり、好ましくは、30ないし40℃の範囲であり、また、例えば、37℃である。
また、培養時間は、数時間から数日の範囲であり、好ましくは、10時間ないし40時間、また、15時間ないし35時間、また、例えば、24時間である。
以上の乳酸菌の培養方法により得られた培養物は、所定の方法で加工され、医薬品又は健康食品とすることができる。培養物が液体培養物である場合は、そのまま飲料の形態とすることもできるし、凍結乾燥後に粉末化し、粉末品や錠剤品の形態とすることもできる。製品化の際には、必要に応じて所定の添加剤を添加することができる。また、得られた
培養物に抽出等の操作を行うことにより、免疫活性化(細胞表面抗原CD69の発現促進)作用及び/又はアレルギー(リンフォカインIL−4産生)抑制作用における活性成分を分離して用いることもできる。
以下に示す実施例において、本発明を具体的且つ更に詳細に説明する。下記実施例は本発明の説明のためのみのものであり、これらの実施例により本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
尚、本実施例中で使用するB.lactisは、ビフィドバクテリウム ラクティスを意味し、B.longumは、ビフィドバクテリウム ロンガムを意味する。
実施例1
下表に従って培地(液体培地)を調製し、メシマコブ菌糸体を3週間、28℃で静置培養にて培養した。
―――――――――――――――――――――――
グルコース 2.7g
イーストエキス 5g
KH2PO4 1g
脱イオン水 1L
―――――――――――――――――――――――
pH6.5;121℃、15分滅菌
メシマコブ菌糸体・乳酸菌混合培養、メシマコブ菌糸体単独培養、乳酸菌単独培養及び培地調整法を図1に従って行った。
得られたメシマコブ菌糸体を含む培養液に乳酸菌(B.lactis、B.longum)をそれぞれ別の菌糸体培養液に接種してメシマコブ菌糸体と乳酸菌の混合培養を行った。その際には同量の水と最終的に質量割合が20%になるように脱脂粉乳を添加した。具体的には上記で調製したメシマコブ菌糸体培養液500mLに、水500mL及び脱脂
粉乳200gよりなる滅菌した混合液の500mLを添加したものに乳酸菌を接種して混合培養した。メシマコブ菌糸体・乳酸菌混合培養は、37℃で24時間行い、得られた培養物を凍結乾燥してメシマコブ菌糸体・乳酸菌混合培養物(以下、混合培養物と記載するが、特に乳酸菌としてB.lactisを用いた混合培養物を混合培養物(B.lactis)と記載し、B.longumを用いた混合培養物を混合培養物(B.longum)と記載する。)を得た。混合培養の培養直後における乳酸菌生菌数を計測し表1に示した。メシマコブ菌糸体を同じ培地で37℃、24時間で培養した。得られた培養物を凍結乾燥してメシマコブ菌糸体単独培養物とした。
また、滅菌脱脂粉乳培地(10%)を用い乳酸菌を単独で37℃、24時間で培養し、生菌数を計測し表1に示した。培養物を凍結乾燥し乳酸菌単独培養物とした。メシマコブ菌糸体単独培養物と乳酸菌単独培養物を1:1の比例で混合したもの(以下、混合物と記載するが、特に乳酸菌としてB.lactisを用いた混合物を混合物(B.lactis)と記載し、B.longumを用いた混合物を混合物(B.longum)と記載する。)を比較のために調製した。
表1:混合培養直後及び単独培養直後における乳酸菌生菌数の比較
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
乳酸菌 培養前 培養後 混合培養後
―――――
種類 (CFU/g) (CFU/g) 単独培養後
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
単独培養 4.7×107±1.5×106 2.0×108±1.5×108 1倍
B.lactis ―――――――――――――――――――――――――――――――
混合培養 4.7×107±1.5×106 1.1×1010±3.0×108 55倍
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
単独培養 7.3×107±4.4×106 1.2×106±3.9×104 1倍
B.longum ―――――――――――――――――――――――――――――――
混合培養 7.3×107±4.4×106 3.0×109±4.2×108 2500倍
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
B.lactis、B.longumの生菌数はそれぞれ単独で培養した時に比べて混合培養では乳酸菌生菌数がそれぞれ55倍、2500倍に上昇した。
実施例2
混合培養物の免疫賦活効果をin vitroで調べた。免疫賦活効果は混合培養物と混合物とで比較検討した。比較する試料中のメシマコブ菌糸体量を等しくするため、混合培養物には乳酸菌培地(スキムミルク)を等量混合したものを「混合培養物」とし、混合物はメシマコブ菌糸体単独培養物と乳酸菌単独培養物を等量混合したものを「混合物」とした。また、培地のみの試料を「cont. 」とした。
細胞培養用96穴プレートに5×105個/穴のC57BL/6マウス脾臓細胞を入れ
、混合培養物、或いは混合物を終濃度100μg/mLになるように添加した。細胞培養液の総量は250μL/穴とした。
細胞培養を開始してから3日後に細胞を回収し、フローサイトメーターを使用して免疫細胞の活性化マーカーであるCD69の発現上昇の程度を確認した。
混合培養物(B.lactis)及び混合物(B.lactis)の結果を図2に示し、混合培養物(B.longum)及び混合物(B.longum)の結果を図3に示した。
混合物と培養した脾臓細胞中のCD69陽性細胞の割合は、8.7%(B.lactis)、6.2%(B.longum)に対して、混合培養物(B.lactis)では13.5%、混合培養物(B.longum)では16.4%であった。
何れの乳酸菌を用いた場合でも混合培養物は混合物と比較して免疫細胞をより活性化させることが判った。
実施例3
混合培養物のアレルギー抑制効果をin vitroの実験で検討した。BALB/cマウスの腹腔内にOvalbumin 1mg/匹を含むAlum ajuvant 2mg/匹を150μL/匹に調製し、day0とday6の計2回接種した。その後day13にマウスを解剖し、脾臓を採取した。調製した脾臓細胞を細胞培養用96穴プレートに5×105個/穴入れ、さらに混合培養物、或いは混合物を終濃度100μg/mL
になるように添加した。細胞培養液の総量は250μL/穴とした。培養開始から1週間後に培養上清を回収し、上清中のIL−4濃度を測定した。
混合培養物(B.lactis)及び混合物(B.lactis)の結果を図4に示し、混合培養物(B.longum)及び混合物(B.longum)の結果を図5に示した。
混合物と混合培養物の上清中のIL−4濃度は、それぞれ、B.lactisでは、149pg/mLと67pg/mL、B.longumでは、230pg/mLと87pg/mLと、混合物に比して混合培養物で低下していることが判った。これは、Th1/Th2バランスをTh1優位にさせることを意味する。
上記の結果より、混合培養物は、アレルギー反応を抑制できる可能性が示唆された。
実施例1で行った、メシマコブ菌糸体・乳酸菌混合培養、メシマコブ菌糸体単独培養、乳酸菌単独培養及び培地調整法を示す図である。 実施例2で行った、混合培養物(B.lactis)と混合物(B.lactis)におけるCD69陽性細胞の割合を比較したグラフである。 実施例2で行った、混合培養物(B.longum)と混合物(B.longum)におけるCD69陽性細胞の割合を比較したグラフである。 実施例3で行った、混合培養物(B.lactis)と混合物(B.lactis)におけるIL−4濃度を比較したグラフである。 実施例3で行った、混合培養物(B.longum)と混合物(B.longum)におけるIL−4濃度を比較したグラフである。

Claims (11)

  1. 低糖濃度培地で糸状菌を培養した糸状菌培養物中で、乳酸菌を培養することを特徴とする乳酸菌の培養方法。
  2. 前記糸状菌がメシマコブ、カバノアナタケ、ツリガネタケ又はベニクスノキタケである請求項1記載の培養方法。
  3. 前記糸状菌がメシマコブである請求項2記載の培養方法。
  4. 前記乳酸菌が、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium属)、ラクトバチルス属(Lactobacillus属)、ラクトコッカス属(Lactococcus属)、ペディオコッカス属(Pediococcus属)、ヴァイゼラ属(Weissella属)又はロイコノストック属(Leuconostoc属)に属する乳酸菌である請求項1ないし3の何れか1項に記載の培養方法。
  5. 前記乳酸菌が、ビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム ラクティス(Bifidobacterium lactis)ビフィドバクテリウム ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ラクトバチルス プランタラム(Lactobacillus
    plantarum)、ラクトバチルス アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス ガセリ(Lactobacillus
    gasseri)、ラクトバチルス カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス クルバタス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス サケ(Lactobacillus sake)、ラクトコッカス ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス ガルビエ(Lactococcus garvieae)、ペディオコッカス ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)、ヴァイゼラ キムチ(Weissella kimchii)又はロイコノストック ガルリカム(Leuconostoc garlicum)である請求項4記載の培養方法。
  6. 前記乳酸菌が、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、ヴァイゼラ(Weissella)属又はペディオコッカス(Pediococcus)属、乳酸菌である請求項1ないし4の何れか1項に記載の培養方法。
  7. 前記乳酸菌が、ビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)又はビフィドバクテリウム ラクティス(Bifidobacterium
    lactis)である請求項6記載の培養方法。
  8. 前記乳酸菌が、ビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)である請求項7記載の培養方法。
  9. 請求項1ないし8の何れか1項に記載の培養方法により得られた培養物。
  10. 請求項1ないし8の何れか1項に記載の培養方法により得られた培養物を含有する免疫活性化剤。
  11. 請求項1ないし8の何れか1項に記載の培養方法により得られた培養物を含有するアレルギー抑制剤。
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