JP5968123B2 - ニッケル水素二次電池電極形成用組成物 - Google Patents

ニッケル水素二次電池電極形成用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ニッケル水素二次電池電極形成用組成物に関する。
近年、デジタルカメラや携帯電話のような小型携帯型電子機器が広く用いられるようになってきた。これらの電子機器には、容積を最小限にし、かつ重量を軽くすることが常に求められてきており、搭載される電池においても、小型、軽量かつ大容量の電池の実現が求められている。又、自動車搭載用等の大型二次電池においても、従来の鉛蓄電池に代えて、大型二次電池の実現が望まれている。
そのような要求に応えるため、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池などの二次電池の開発、例えば、電極の形成に使用される合材インキの開発が活発に行われている。
合材インキには、集電体となる金属箔表面に塗工可能とするため、適度な流動性が求められる。さらに、表面ができるだけ平坦で厚みが均一な合材層を形成するため、合材インキには、適度な粘性も求められる。
合材インキから形成された合材層は、その形成後、電極の形状を整えるため基材たる金属箔ごと所望の大きさ・形状の切片に切り分けられたり、打ち抜かれたりする。そこで、切り分け加工や打ち抜き加工によって、傷つかない堅さと割れたり剥がれたりしない柔らかさとが、合材層には要求される。
合材インキ作製においては、活物質や導電助剤を均一に分散させることが、良好な電池特性を得るためには重要である。例えば、ニッケル水素電池用正極では、一般にコバルト化合物を導電助剤として添加した水系スラリーが用いられる。コバルト化合物は攪拌等によって合材インキ中に均一に分散させやすいと考えられる。また、コバルト化合物はアルカリ電解液中に一旦溶出した後、充電反応によって水酸化ニッケル表面に再析出し、緻密な導電ネットワークを形成することが知られている。
一方、水系の合材インキへ炭素を導電助剤として添加する場合には、コバルト化合物のような溶出・再析出によるネットワーク形成は期待できないと考えられる。さらに、疎水性の炭素は水中に均一分散しにくいため、工夫が必要である。例えば、特許文献1のように、合材インキの分散剤にセルロース系水溶性樹脂を用いたカーボンブラックの分散体の使用のような工夫がなされている。
分散剤は、活物質や導電助剤が媒質中で均一に分散するための助剤として、合材インキに添加する。分散剤が機能する際、一部は活物質や導電助剤に吸着するが、吸着しなかったものは、水性液状媒体に溶解する。分散剤が活物質、導電助剤、溶媒の間で均一に分散すると、合材層を形成した際にも、活物質と導電助剤の均一な分布を実現できる。合材インキがバインダーを含む場合、分散に寄与していない分散剤は合材層を形成するバインダー中に取り込まれるが、分散剤とバインダーとの相溶性の悪さによって分散剤の分布状態に偏りが生じると、合材層を形成した際に、活物質、導電助剤、バインダーの分散状態にも偏りが生じやすい。このとき、導電ネットワークの形成が不十分になり、利用率の低下を引き起こしやすく、電極劣化が生じやすい。均一な合材を作製するためには、分散剤とバインダーとの相溶性が重要となってくる。
特許3856074号公報
しかし、特許文献1では、セルロース系水溶性樹脂を使用しているため、アルカリ性であるニッケル水素二次電池電極の電解液に対する耐性はあるが、活物質や導電助剤との結着剤として配合するバインダーとの相溶性が劣っていた。そのため組成物に配合した原料(活物質、導電助剤およびバインダー)同士の分散性が不足していたことで電池性能が低下する問題があった。
本発明は、組成物に配合した原料の分散性が優れることで、電池性能が向上し、さらに柔軟性の高い合材層を形成できるニッケル水素二次電池電極形成用組成物の提供を目的とする。
本発明は、窒素含有アクリルエマルション型バインダー(C)と、下記単量体を共重合してなる共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を塩基性化合物で中和してなる両性樹脂型分散剤(D)と、水性液状媒体(E)とを含有する、ニッケル水素二次電池電極形成用組成物である。
芳香環を有するエチレン性不飽和単量体(d1):5〜70重量%
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(d2):15〜60重量%
アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体(d3):1〜80重量%
前記(d1)〜(d3)以外のその他の単量体(d4):0〜79重量%
(但し、前記(d1)〜(d4)の合計を100重量%とする)
上記の本発明は、特定の単量体組成を有する両性樹脂型分散剤を使用したことで、活物質や導電助剤である炭素材料の分散性が向上した。さらに、窒素含有エマルション型バインダーを用いることで、両性樹脂型分散剤との相溶性が良好であり、電池性能を向上できた。そして、両性樹脂型分散剤と窒素含有エマルション型バインダーを含む合材インキから形成した合材層は柔軟性に優れている。
次に、本発明のニッケル水素二次電池電極形成用組成物を、電極の下地層形成用のプライマー組成物に配合したところ、導電助剤の分散性が向上したことで電池性能が向上し、さらに下地層の柔軟性が向上するという驚くべき効果が得られた。
本発明により、合材インキのみならずプライマー組成物中の活物質や導電助剤の分散性に優れることで、電池性能が向上可能であり、さらに柔軟性の高い合材層または下地層を形成できるニッケル水素二次電池電極形成用組成物を提供できた。
二次電池用の電極は、種々の方法で得ることができる。
例えば、金属箔等の集電体の表面に、
(1)活物質と液状媒体とを含有するインキ状組成物(以下、合材インキという)や、
(2)活物質と導電助剤と液状媒体とを含有する合材インキや、
(3)活物質とバインダーと液状媒体とを含有する合材インキや、
(4)活物質と導電助剤とバインダーと液状媒体とを含有する合材インキを、
用いて合材層を形成し、電極を得ることができる。
あるいは、金属箔の集電体の表面に、導電助剤と液状媒体とを含有するプライマー組成物を用い、下地層を形成し、該下地層上に、上記の合材インキ(1)〜(4)やその他の合材インキ用いて合材層を形成し、電極を得ることもできる。
いずれの場合であっても、活物質や導電助剤の分散状態及び、分散剤とバインダーの相溶性が電池性能を左右する。
両性樹脂型分散剤(D)は、活物質の凝集を緩和したり、導電助剤である炭素材料に対しても分散剤として機能したりする。
従って、本発明のニッケル水素二次電池電極形成用組成物は、活物質を必須とする合材インキとしても、活物質を必須とはしないプライマー組成物としても使用できる。
そこで、まず本発明における両性樹脂型分散剤(D)について説明する。
本発明における両性樹脂型分散剤(D)は、芳香環を有するエチレン性不飽和単量体(d1)と、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(d2)と、アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体(d3)と、を必須成分とする共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を塩基性化合物で中和したものである。
本発明の両性樹脂型分散剤(D)は、活物質や導電助剤である炭素材料の分散性に優れており、さらに窒素含有エマルション型バインダーと相溶性が良好なことから、電池性能を向上できる。
まず、芳香環を有するエチレン性不飽和単量体(d1)について説明する。
本発明で使用する芳香環を有するエチレン性不飽和単量体(d1)としては、スチレン、α−メチルスチレンもしくはベンジル(メタ)アクリレートを例示することが出来る。
つぎに、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物(d2)について説明する。
本発明で使用する単量体(d2)は、カルボキシル基含有不飽和化合物としてはマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、または、これらのアルキルもしくはアルケニルモノエステル、フタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、イソフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、テレフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、コハク酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸等を例示することが出来る。特にメタクリル酸、アクリル酸が好ましい。
つぎに、アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体(d3)について説明する。
本発明で使用するアミノ基を有するエチレン性不飽和単量体(d3)は、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン等が挙げられる。
つぎに、前記(d1)〜(d3)以外のその他の単量体(d4)について説明する。
(メタ)アクリレート系化合物としては、アルキル系(メタ)アクリレート、アルキレングリコール系(メタ)アクリレートがある。
更に具体的に例示すると、アルキル系(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜22のアルキル(メタ)アクリレートがあり、極性の調節を目的とする場合には好ましくは炭素数2〜10、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルキル基を有するアルキル基含有アクリレートまたは対応するメタクリレートが挙げられる。
また、アルキレングリコール系(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等、末端に水酸基を有し、ポリオキシアルキレン鎖を有するモノアクリレートまたは対応するモノメタアクリレート等、
メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等、末端にアルコキシ基を有し、ポリオキシアルキレン鎖を有するモノアクリレートまたは対応するモノメタアクリレート等、
フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート等、末端にフェノキシまたはアリールオキシ基を有するポリオキシアルキレン系アクリレートまたは対応するメタアクリレートがある。
上記以外の水酸基含有不飽和化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシビニルベンゼンなどが挙がられる。
窒素含有不飽和化合物としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド等のモノアルキロール(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジ(メチロール)アクリルアミド、N−メチロール−N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド等のジアルキロール(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系不飽和化合物を例示できる。
更にその他の不飽和化合物としては、パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキルアルキル(メタ)アクリレート類;
パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレン等のパーフルオロアルキル、アルキレン類等のパーフルオロアルキル基含有ビニルモノマー、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシラノール基含有ビニル化合物及びその誘導体などを挙げることができ、これらの群から複数用いることができる。
脂肪酸ビニル化合物としては、酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が挙げられる。
アルキルビニルエーテル化合物としては、ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等が挙げられる。
α−オレフィン化合物としては、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン等が挙げられる。
ビニル化合物としては、酢酸アリル、アリルアルコール、アリルベンゼン、シアン化アリル等のアリル化合物、シアン化ビニル、ビニルシクロヘキサン、ビニルメチルケトン、スチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、クロロスチレン、などが挙げられる。
エチニル化合物としては、アセチレン、エチニルベンゼン、エチニルトルエン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等が挙げられる。これらは単独もしくは2種類以上を併用して使用することもできる。
本発明で用いられる両性樹脂型分散剤(D)中の共重合体を構成する単量体の比率は、単量体(d1)〜(d4)の合計を100重量%とした場合に、
芳香環を有するエチレン性不飽和単量体(d1)が5〜70重量%、
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(d2)が15〜60重量%、
アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体(d3)が1〜80重量%、
前記(d1)〜(d3)以外のその他の単量体(d4)が0〜79重量%である。
好ましくは、(d1):20〜70重量%、(d2):15〜45重量%、(d3):1〜70重量%、(d4):0〜50重量%である。
より好ましくは、(d1):30〜70重量%、(d2):15〜35重量%、(d3):1〜40重量%、(d4):0〜40重量%である。
芳香環を有するエチレン性不飽和単量体(d1)由来の芳香環、及びアミノ基を有するエチレン性不飽和単量体(d3)由来のアミノ基が、後述する活物質(A)や炭素材料(B)への主たる吸着部位となると推測している。
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(d2)は、共重合体の中和物を水性液状媒体に溶解ないし分散させる機能を担う。
そして、活物質(A)や炭素材料(B)に、芳香環やアミノ基を介してコポリマーが吸着し、中和され、イオン化されたカルボキシル基の電荷反発により、活物質(A)や炭素材料(B)の水性液状媒体中における分散状態を安定に保つことができるようになったものと考察される。
上記単量体(d1)〜(d4)を共重合してなるコポリマーの分子量は特に制限はないが、両性樹脂型分散剤(D)の不揮発分20%水溶液における粘度が、好ましくは5〜100,000mPa・sであり、さらに好ましくは10〜50,000mPa・sである。所定範囲の粘度より低く、両性樹脂型分散剤(D)の分子量が小さすぎる場合、あるいは所定範囲の粘度より高く、両性樹脂型分散剤(D)の分子量が大きすぎる場合には、電極活物質(A)もしくは導電助剤である炭素材料(B)の分散不良を引き起こす可能性がある。
尚、本発明における粘度とは、B型粘度計を用いて25℃の条件下で測定した値である。
上記コポリマーは、カルボキシル基含有不飽和化合物(d2)を共重合してなるが、コポリマーにおけるアニオン性官能基を有する単量体の構成比率を酸価で表すと下記のようであることが好ましい。即ち、使用するコポリマーの酸価が、50mgKOH/g以上400mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、更には、酸価が80mgKOH/g以上300mgKOH/g以下の範囲であることが好ましい。
本発明で使用するコポリマーの酸価が上記した範囲よりも低いと分散体の分散安定性が低下し、粘度が増加する傾向がある。また、本発明で使用するコポリマーの酸価が上記した範囲より高いと、顔料表面に対するコポリマーの付着力が低下し、分散体の保存安定性が低下する傾向がある。
尚、本発明におけるコポリマーの酸価は、JIS K 0070の電位差滴定法に準拠し、測定した酸価(mgKOH/g)を不揮発分換算した値である。
両性樹脂型分散剤(D)は、種々の製造方法で得ることができる。
例えば、上記単量体(d1)〜(d4)を、水と共沸し得る有機溶剤中で重合する。その後、水に代表される水性液状媒体と中和剤とを加えてカルボキシル基の少なくとも一部を中和し、共沸可能な溶剤を留去し、両性樹脂型分散剤(D)の水溶液ないし水性分散液を得ることができる。
重合時の有機溶剤としては、水と共沸するものであれば良いが、コポリマーに対し溶解性の高いものが良く、好ましくはエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールがあり、さらに好ましくは1−ブタノールがある。
あるいは、親水性有機溶剤中で共重合し、水とアミンを加えて中和し水性化し、前記するが、親水性有機溶剤は留去せず、親水性有機溶剤と水とを含む水性液状媒体に、両性樹脂型分散剤(D)が溶解ないし分散した液を得ることができる。
この場合、用いられる親水性有機溶剤としては、コポリマーに対し溶解性の高いものが良く、好ましくはグリコールエーテル類、ジオール類、さらに好ましくは(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル、炭素数3〜6のアルカンジオール類が良い。
コポリマーの中和に使用される中和剤としては、下記のものが挙げられる。
例えば、アンモニア水、ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等の無機アルカリ剤、有機酸や鉱酸等を使用することができる。上記したようなコポリマーは、水性液媒体中に、分散又は溶解される。
次に、窒素含有アクリルエマルション型バインダー(C)について説明する。本発明の中のバインダーとは、導電助剤やその他活物質などの粒子の結着、及び金属集電体への密着に使用されるものである。バインダーの形態としては、水溶性型、エマルション型、ハイドロゾル型等が挙げられる。これらのなかでも、金属集電体への密着の観点からエマルション型が好ましい。ここでのエマルション型とは、バインダーが水性液状溶媒に溶解せず、水性液状溶媒中で粒子状に分散している状態をいう。
分散剤との相溶性について説明する。分散剤は、コポリマー中にアミノ基を含有している。このアミノ基と、バインダー中の窒素含有成分が、相溶性に大きく寄与していると考えられる。本発明者らは、窒素原子含有成分を用いてバインダーを作成することで、合材インキやプライマー組成物を金属箔に塗布して合材層を形成する際、分散剤とバインダーとの相溶性が良好であるために、分散剤が合材層や下地層の連続層を形成するバインダー中に偏りなく均一に取り込まれ、その結果、電池特性が向上することを見出した。ここでの窒素原子含有成分は、バインダー合成材料のエチレン性不飽和単量体、乳化剤、開始剤の少なくともいずれかを指す。
窒素含有エチレン性不飽和単量体としては、マレイミド、N − ビニルピロリドン、(メタ) アクリル系エチレン性不飽和単量体の1 級アミン、2 級アミン、3 級アミン、及び4 級アンモニウム塩、並びに( メタ) アクリルアミド等が挙げられる。具体的には、N − シクロへキシルマレイミド、N − フェニルマレイミド、N − アクリロイルモルホリン、N , N − ( ジメチルアミノ) エチル( メタ) アクリレート、N , N − ( ジメチルアミノ) プロピル( メタ) アクリレート、3 − ( 3 − ピリニジル)プロピル(メタ) アクリレート、N , N − ジメチル( メタ) アクリルアミド、N , N − ジエチル( メタ) アクリルアミド、N − メチル( メタ) アクリルアミド、N − イソプロピルアクリルアミド、N − エチル( メタ) アクリルアミド、及びN − ヘキシル( メタ) アクリルアミド等が挙げられる。これらのなかでも、合成のし易さの観点から、N − アクリロイルモルホリン、マレイミド、N − イソプロピルアクリルアミドが好ましい。これらの少なくとも1つの窒素含有エチレン性不飽和単量体と、それ以外のエチレン性不飽和単量体を組み合せて用いることができる。
窒素含有エチレン性不飽和単量体と組み合わせて用いることができるエチレン性不飽和単量体としては、公知な単量体を用いることができ、例えば、アルキル系(メタ)アクリレート、アルキレングリコール系(メタ)アクリレート、スチレン等が挙げられる。
窒素含有乳化剤としては、RNH2・HCl、RNH2・CH3COOH等の長鎖第一アミン塩類、
アルキルトリメチルアンモニウム塩,ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩類、
アルキルイミダゾリン,1−ヒドロキシエチル−2−アルキルイミダゾリン,1−アセチルアミノエチル−2−アルキルイミダゾリン,2−アルキル−4−メチル−4−ヒドロキシメチルオキサゾリン等の複素環アミン類、
ポリオキシエチレンアルキルアミン,N−アルキルプロピレンジアミン,N−アルキルポリエチレンポリアミン,N−アルキルポリエチレンポリアミンジメチル硫酸塩,アルキルビグアニド,長鎖アミンオキシド等アミン誘導体類、等が挙げられる。これらの少なくとも1つの窒素含有乳化剤と、それ以外の乳化剤を組み合せて用いることができる。
窒素含有乳化剤と組み合わせて用いることができる乳化剤としては、公知な乳化剤を用いることができ、アニオン性乳化剤やノニオン性乳化剤が挙げられる。
窒素含有開始剤としては、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド(ワコー製V−50)、2,2'アゾビス(N,N'-ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライド(VA-044)等が挙げられる。これらの少なくとも1つの窒素含有開始剤と、それ以外の開始剤を組み合せて用いることができる。
窒素含有開始剤と組み合わせて用いることができる開始剤としては、公知な開始剤を用いることができ、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類が挙げられる。
窒素含有アクリルエマルション型バインダー(C)は、窒素含有のエチレン性不飽和単量体、乳化剤、開始剤の少なくとも1つを用いることで作成できる。これらのなかでも、エチレン性不飽和単量体は、バインダーを構成する成分としての比率が高く、窒素原子を多く導入できることから好ましい。その場合、窒素含有エチレン性不飽和単量体と、上記の窒素を含有しない公知な乳化剤、開始剤を組み合せて用いることができる。
窒素含有アクリルエマルション型バインダー(C)は、窒素含有エチレン性不飽和単量体とそれ以外のエチレン性不飽和単量体とを共重合することで得られる。窒素含有エチレン性不飽和単量体量としては、全エチレン性不飽和単量体量に対して、0.1〜20重量%が好ましく、0.5〜10重量%がより好ましい。0.1重量%未満であると、分散剤との相溶性向上の効果が十分に発現しない懸念がある。20重量%より多いと、分散安定性が低くなり、合材インキ作製時の分散安定性低下を起こす懸念がある。
窒素含有アクリルエマルション型バインダー(C)は、例えば、乳化重合、懸濁重合、ミニエマルション重合、分散重合等の重合方法で作製できる。これらのなかでも、重合反応の進行のし易さの観点から乳化重合が好ましい。
窒素含有アクリルエマルション型バインダー(C)の不揮発分の、合材インキ不揮発分の合計に占める割合は、0.1〜15重量%であることが好ましく、1〜10重量%がより好ましい。
<合材インキ>
前記したように、本発明のニッケル水素二次電池電極形成用組成物は、合材インキに使用でき、プライマー組成物にも使用できる。そこで、本発明のニッケル水素二次電池電極形成用組成物の好適な態様の1つである活物質を必須とする合材インキについて説明する。合材インキは、正極合材インキまたは負極合材インキがあり、合材インキは、電極活物質(A)と、窒素含有アクリルエマルション型バインダー(C)と、両性樹脂型分散剤(D)と、水性液状媒体(E)からなり、場合によりさらに導電助剤である炭素材料(B)を用いることができる。
ニッケル水素二次電池用の正極活物質や負極用水素吸蔵合金としては、従来から公知のものを適宜選択することができる。例えば、正極活物質としては水酸化ニッケル、オキシ水酸化ニッケル等のニッケル化合物である。水酸化ニッケルの種類としては、水酸化ニッケルを水酸化コバルトやオキシ水酸化コバルトで被覆したコバルトコート品がより好ましい。水酸化ニッケルの表面をコバルトコートすることで、水酸化ニッケルの導電性をより高めることができる。負極の電極組成物(F)として用いられる水素吸蔵合金は、例えば、LaNi5やMmNix(ミッシュメタル;希土類金属の混合物、x=4.7〜5.2)などのAB5型がある。前者では、Niの一部をCu、Al、Co、Siなどで置換した材料や、Laの一部をNdやZrで置換した材料が開発されている。また、現在一般的に使用されている材料は後者であり、希土類に安価なMmを用い、Niの一部をCo、Mn、Alなどで置換している。このほか、TiNi、Ti2Ni等のAB/A2B型(チタン系)、ZrNi2系やZrV2系等のAB2型がある。
これら電極活物質(A)および電極組成物(F)の大きさは、0.05〜100μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜50μmの範囲内である。そして、合材インキ中の電極活物質(A)および電極組成物(F)の分散粒径は、0.5〜20μmであることが好ましい。ここでいう分散粒径とは、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例えば、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)等で測定される。
次に、導電助剤である炭素材料(B)について説明する。
本発明の二次電池電極形成用合材インキは、形成される電極の導電性をより高めるために、炭素材料(B)を含有することが好ましい。
炭素材料(B)としては、導電性を有する炭素材料であれば特に限定されるものではないが、グラファイト、カーボンブラック、導電性炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー)、フラーレン等を単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。導電性、入手の容易さ、およびコスト面から、カーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックとしては、気体もしくは液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料としたケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラックなどの各種のものを単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。
カーボンの酸化処理は、カーボンを空気中で高温処理したり、硝酸や二酸化窒素、オゾン等で二次的に処理したりすることより、例えばフェノール基、キノン基、カルボキシル基、カルボニル基の様な酸素含有極性官能基をカーボン表面に直接導入(共有結合)する処理であり、カーボンの分散性を向上させるために一般的に行われている。しかしながら、官能基の導入量が多くなる程カーボンの導電性が低下することが一般的であるため、酸化処理をしていないカーボンの使用が好ましい。
カーボンブラックの比表面積は、値が大きいほど、カーボンブラック粒子どうしの接触点が増えるため、電極の内部抵抗を下げるのに有利となる。具体的には、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)で、20m2/g以上、1500m2/g以下、好ましくは50m2/g以上、1500m2/g以下、更に好ましくは100m2/g以上、1500m2/g以下のものを使用することが望ましい。比表面積が20m2/gを下回るカーボンブラックを用いると、十分な導電性を得ることが難しくなる場合があり、1500m2/gを超えるカーボンブラックは、市販材料での入手が困難となる場合がある。
また、カーボンブラックの粒径は、一次粒子径で0.005〜1μmが好ましく、特に、0.01〜0.2μmが好ましい。ただし、ここでいう一次粒子径とは、電子顕微鏡などで測定された約20〜50個の粒子径を平均したものである。
導電助剤である炭素材料(B)の合材インキ中の分散粒径は、0.03μm以上、5μm以下に微細化することが望ましい。導電助剤としての炭素材料の分散粒径が0.03μm未満の組成物は、その作製が難しい場合がある。又、導電助剤としての炭素材料の分散粒径が2μmを超える組成物を用いた場合には、合材塗膜の材料分布のバラつき、電極の抵抗分布のバラつき等の不具合が生じる場合がある。
ここでいう分散粒径とは、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例えば、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)等で測定される。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、トーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500等(東海カーボン社製、ファーネスブラック)、プリンテックスL等(デグサ社製、ファーネスブラック)、Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA等、Conductex SC ULTRA、Conductex 975 ULTRA等、PUER BLACK100、115、205等(コロンビヤン社製、ファーネスブラック)、#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B等(三菱化学社製、ファーネスブラック)、MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、BlackPearls2000等(キャボット社製、ファーネスブラック)、Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP−Li(TIMCAL社製)、ケッチェンブラックEC−300J、EC−600JD(アクゾ社製)、デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35(電気化学工業社製、アセチレンブラック)等、グラファイトとしては例えば人造黒鉛や鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛などの天然黒鉛が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
導電性炭素繊維としては石油由来の原料から焼成して得られるものが良いが、植物由来の原料からも焼成して得られるものも用いることができる。例えば石油由来の原料で製造される昭和電工社製のVGCFなどを挙げることができる。
つぎに、水性液状媒体(E)について説明する。
本発明に使用する水性液状媒体(E)としては、水を使用することが好ましいが、必要に応じて、例えば、集電体への塗工性向上のために、水と相溶する液状媒体を使用しても良い。
水と相溶する液状媒体としては、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類等が挙げられ、水と相溶する範囲で使用しても良い。
さらに、合材インキには、成膜助剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、pH調整剤、粘性調整剤などを必要に応じて配合できる。
合材インキの粘度は、塗工方法によるが、不揮発分30〜90重量%の範囲で、100mPa・s以上、30,000mPa・s以下とするのが好ましい。
塗工可能な粘度範囲内において、活物質(A)または電極組成物(F)はできるだけ多く含まれることが好ましい。具体的には合材インキ不揮発分に占める活物質(A)または電極組成物(F)の割合は、80重量%以上、99重量%以下が好ましい。
また、合材インキ不揮発分に占める両性樹脂型分散剤(D)の割合は、0.1〜15重量%であることが好ましい。
炭素材料(B)を含む場合、合材インキ不揮発分に占める炭素材料(B)の割合は、0.1〜15重量%であることが好ましい。
本発明の合材インキは、種々の方法で得ることができる。
ただし、炭素材料(B)の使用は任意である。
例えば、正極用合材インキの場合は、
(4−1) 活物質(A)と両性樹脂型分散剤(D)と水性液状媒体(E)とを含有する活物質の水性分散体を得、該水性分散体に炭素材料(B)と窒素含有アクリルエマルション型バインダー(C)とを加え、合材インキを得ることができる。
炭素材料(B)と窒素含有アクリルエマルション型バインダー(C)は、同時に加えることもできるし、炭素材料(B)を加えた後、バインダーを加えてもよいし、その逆であってもよい。
(4−2) 炭素材料(B)と両性樹脂型分散剤(D)と水性液状媒体(E)と含有する導電助剤の水性分散体を得、該水性分散体に活物質(A)と窒素含有アクリルエマルション型バインダー(C)とを加え、合材インキを得ることができる。
活物質(A)とバインダー同時に加えることもできるし、活物質(A)を加えた後、窒素含有アクリルエマルション型バインダー(C)を加えてもよいし、その逆であってもよい。
(4−3) 活物質(A)と両性樹脂型分散剤(D)と窒素含有アクリルエマルション型バインダー(C)と水性液状媒体(E)と含有する活物質の水性分散体を得、該水性分散体に炭素材料(B)を加え、合材インキを得ることができる。
(4−4) 炭素材料(B)と両性樹脂型分散剤(D)と窒素含有アクリルエマルション型バインダー(C)と水性液状媒体(E)と含有する導電助剤の水性分散体を得、該水性分散体に活物質(A)を加え、合材インキを得ることができる。
(4−5) 活物質(A)と炭素材料(B)と両性樹脂型分散剤(D)と窒素含有アクリルエマルション型バインダー(C)と水性液状媒体(E)をほとんど同時に混合し、合材インキを得ることができる。
なお、負極用合材インキの場合は、上記の例の活物質(A)を電極組成物(F)に置き換えればよい。
(分散機・混合機)
合材インキを得る際に用いられる装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機、混合機が使用できる。
例えば、ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社「フィルミックス」等のホモジナイザー類;ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、若しくは奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機;または、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、分散機としては、分散機からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、または、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。また、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。また、強い衝撃で粒子が割れたり、潰れたりしやすい正極活物質または負極用水素吸蔵合金の場合は、メディア型分散機よりは、ロールミルやホモジナイザー等のメディアレス分散機が好ましい。
<プライマー組成物>
本発明のニッケル水素二次電池電極形成用組成物は、プライマー組成物に使用することもできる。ここでプライマー組成物とは、電極の下地層形成に使用することが好ましい。
プライマー組成物は、導電助剤(B)と窒素含有アクリルエマルション型バインダー(C)と両性樹脂型分散剤(D)と水性液状媒体(E)とを含有する。各成分については、合材インキの場合と同様である。
下地層に用いる組成物の総不揮発分に占める炭素材料(B)の割合は、5重量%以上、95重量%以下が好ましく、10重量%以上、90重量%以下が更に好ましい。導電助剤である炭素材料(B)が少ないと、下地層の導電性が保てない場合があり、一方、導電助剤である炭素材料(B)が多すぎると、塗膜の耐性が低下する場合がある。また、プライマー組成物の適正粘度は、塗工方法によるが、一般には、10mPa・s以上、30,000mPa・s以下とするのが好ましい。
<電極>
本発明の合材インキを、集電体上に塗工・乾燥し、合材層を形成することでニッケル水素二次電池用電極を得ることができる。
あるいは、本発明のニッケル水素二次電池電極形成用組成物を配合したプライマー組成物を、集電体上に塗工・乾燥すること下地層を形成し、該下地層上に、合材層を形成することでニッケル水素二次電池用電極を得ることもできる。なお下地層上に設ける合材層は、上記した本発明の合材インキ(1)〜(4)を用いて形成してもよいし、他の合材インキを用いて形成することもできる。
(集電体)
ニッケル水素二次電池用の電極に使用する集電体の材質や形状は特に限定されず、従来から公知のものを適宜選択することができる。例えば、集電体の材質としては、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、又はステンレス等の金属や合金が挙げられる。又、形状としては、一般的には平板上の箔が用いられるが、表面を粗面化したものや、多孔質の発泡状のもの、穴あき箔状のもの、及びメッシュ状の集電体も使用できる。ニッケル水素二次電池用電極に下地層を設ける場合は、平板状の箔状集電体を用いることが好ましい。
集電体上に合材インキを塗工する方法としては、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。
具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法または静電塗装法等が挙げる事ができる。また、乾燥方法としては放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機などが使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。
又、塗布後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行っても良い。電極合材層の厚みは、一般的には1μm以上、500μm以下であり、好ましくは10μm以上、300μm以下である。また、下地層を具備する場合には下地層と合材層との厚みの合計は、一般的には1μm以上、500μm以下であり、好ましくは10μm以上、300μm以下である。
<ニッケル水素二次電池>
正極もしくは負極の少なくとも一方に上記の電極を用い、ニッケル水素二次電池を得ることができる。さらに公知の電解液やセパレーター等を適宜用いることができる。
電解液としては、例えば水酸化カリウム水溶液や、水酸化カリウム水溶液に水酸化ナトリウムや水酸化リチウムを添加したもの等が挙げられる。
セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布及びそれらに親水性処理を施したものが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
本発明のニッケル水素二次電池電極形成用組成物を用いたニッケル水素二次電池の構造については特に限定されないが、通常、正極及び負極と、必要に応じて設けられるセパレータとから構成され、ペーパー型、円筒型、ボタン型、積層型等、使用する目的に応じた種々の形状とすることができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。尚、実施例および比較例における「部」は、「重量部」を表す。
(分散剤合成例1)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、n−ブタノール200.0部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、スチレン100.0部、アクリル酸60.0部、ジメチルアミノエチルメタクリレート40.0部、およびV−601(和光純薬製)12.0部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、V−601(和光純薬製)0.6部を添加し、さらに110℃で1時間反応を続けて、共重合体(1)溶液を得た。共重合体(1)の重量平均分子量は約1万、酸価は219.1(mgKOH/g)であった。
さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール74.2部添加し中和した。これは、アクリル酸を100%中和する量である。さらに、水を400部添加して水性化した後、100℃まで加熱し、ブタノールを水と共沸させてブタノールを留去した。
水で希釈し、不揮発分20%の両性樹脂型分散剤(1)の水溶液ないし水性分散体を得た。また、不揮発分20%の両性樹脂型分散剤(1)の水溶液の粘度は、40mPa・sであった。
(分散剤合成例2〜12)
表1に示す配合組成で、合成例1と同様の方法で合成し、合成例2〜12の分散剤を得た。
以下、表1の略号の内容を示す。
St:スチレン
AA:アクリル酸
BzMA:ベンジルメタクリレート
DM:ジメチルアミノエチルメタクリレート
BMA:メタクリル酸ブチル
(ニッケル水素二次電池電極用炭素材料分散体)
導電助剤である炭素材料としてアセチレンブラック(デンカブラックHS−100)10部、合成例(1)に記載の両性樹脂型分散剤(1)の水溶液ないし水性分散体を10部(不揮発分として2部)、水80部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、ニッケル水素二次電池電極用炭素材料分散体(1)を得た。
[炭素材料分散体]
表1に示す分散剤を使用して、ニッケル水素二次電池電極用炭素材料分散体(1)と同様の方法で、ニッケル水素二次電池電極用炭素材料分散体(2)〜(12)を得た。
<バインダー合成例13>
窒素含有単量体として、N − アクリロイルモルホリン5.0部、それ以外の単量体として、メタクリル酸メチル53部、アクリル酸ブチル40.5部、アクリル酸1.5部、乳化剤としてアニオン性乳化剤のハイテノールNF−08(第一工業製薬製のアニオン性乳化剤)2.0部、イオン交換水53.1部の混合物を板羽根で乳化し、モノマープレエマルションを作成し、滴下槽に入れた。
還流冷却器、攪拌機、温度計、窒素導入管、原料投入口を具備する容積2Lの4つ口フラスコを反応容器とし、該反応容器にイオン交換水89.4部を入れ、窒素を導入しつつ攪拌しながら、液温を60℃に温めた。次いで、反応容器中に、乳化剤としてハイテノールNF−08を0.2部添加し、滴下槽から上記モノマープレエマルションを5時間かけて連続的に滴下し、過硫酸アンモニウムを0.3部用いて、60℃で6時間かけて乳化重合した。
滴下終了後、3時間、60℃に保ち、熟成を行った。その後冷却を開始し、50℃まで冷却し、180メッシュのポリエステル製の濾布で濾過し、窒素含有アクリルエマルション型バインダーを得た。濾布に残った凝集物はなく、重合安定性は良好であった。
濾過後のエマルションの一部を測り取り、150℃で20分間乾燥し、不揮発分濃度を求めたところ40.0%であった。また、前記エマルションは、pH2.0、粘度10mPa・sであった。
<バインダー合成例14〜18>
表2に示す配合組成で、バインダー合成例13と同様の方法で合成し、合成例14〜18のバインダーを得た。
以下、表2の略号の内容を示す。
ACMO:N − アクリロイルモルホリン
NIPAAm:N − イソプロピルアクリルアミド
MMA:メタクリル酸メチル
BA:アクリル酸ブチル
(分散剤とバインダーの相溶性)
分散剤とバインダーの相溶性は、次のように評価を行なった。分散剤を25部(不揮発分量として5部)、バインダーを12.5部(不揮発分量として5部)混合し、50μmのPETフィルムに塗工を行ない、100℃−3分で乾燥させ、フィルムを作製した。得られたフィルムの樹脂層の厚みは3μmであった。得られたフィルムの相溶性の程度を目視判定で判定した。評価基準を下記に示す。
○:「異常なし」
△:「わずかに白濁」
×:「白濁または凝集発生」
<ニッケル水素二次電池正極用合材インキ>、<正極>、<コイン型電池>
[実施例1]
二次電池電極用炭素材料分散体(1)50部(アセチレンブラック不揮発分量として5部)に対して、正極活物質として水酸化コバルトをコーティングした水酸化ニッケル(CZ、田中化学研究所(製))45部、合成例13で合成したバインダー12.5部、水50部を混合して、正極用の二次電池電極用合材インキを作製した。合材インキの分散度を、前述の炭素材料分散体の分散度の場合と同様にして求めた。
そして、この正極用の二次電池電極用合材インキを、箔状集電体である厚さ30μmのニッケルメッキ鋼鈑上にドクターブレードを用いて塗工した後、加熱乾燥した。さらに、ロールプレスによる圧延処理を行ない、厚み85μmの正極を得た。得られた正極に、割れや剥れなどは見られなかった。
(電極の密着性)
上記で作製した電極に、ナイフを用いて電極表面から集電体に達する深さまでの切込みを2mm間隔で縦横それぞれ6本の碁盤目の切込みを入れた。この切り込みに粘着テープを貼り付けて直ちに引き剥がし、活物質の脱落の程度を目視判定で判定した。評価基準を下記に示す。
○:「剥離なし(良好)」
○△:「わずかに剥離(実用上問題ない)」
△:「半分程度剥離(使用できない)」
×:「ほとんどの部分で剥離(使用できない)」
[実施例2〜12]、[比較例1〜5]
表3に示すように二次電池電極用炭素材料分散体及び、バインダー合成例の組み合せを変えた以外は実施例1と同様にして、正極二次電池電極用合材インキ、および正極を得、同様に評価した。
[実施例13]
正極活物質として非コバルトコートの水酸化ニッケル(ZD、田中化学研究所(株)製) 45部、導電材料として二次電池電極用炭素材料分散体(1)を50部、バインダーとして合成例13で得られたポリマーエマルション12.5部、イオン交換水10部を混合して、正極用合材インキを作製した。その際の粘度は4000mPa・sであった。その後、実施例1と同様にして、ニッケル水素二次電池正極を得て、実施例1と同様に評価した。
[実施例14]
実施例1と同様に正極二次電池電極用合材インキを作製し、集電体となる発泡ニッケルにディップコーティングし、減圧加熱乾燥して電極の厚みが200μmとなるよう調整した。さらに、ロールプレスによる圧延処理を行い、厚みが150μmとなる正極を作製した。得られた正極に、割れや剥れなどは見られなかった。
[実施例15]、[比較例6]
二次電池電極用炭素材料分散体の代わりに表3に示す分散剤を用い、バインダー合成例の組み合せを変えた以外は実施例1と同様にして、正極二次電池電極用合材インキ、および正極を得、同様に評価した。
<正極評価用の負極の作製>
水素吸蔵合金としてミッシュメタルニッケル系合金(AB5系合金)粉末45部と、導電助剤である炭素材料としてアセチレンブラック(デンカブラックHS−100)2.0部、バインダー5.0部(ポリテトラフルオロエチレン30−J:三井・デュポンフロロケミカル社製、60%水系分散体)、カルボキシメチルセルロース1.5部を混練して負極用合材インキを作製した。合材インキを集電体であるニッケルメッキされたパンチングメタルに塗布し、80℃で乾燥、ロールプレスで厚さを調整した後、所定の大きさに切断して負極を作製した。
次に、得られた正極、及び負極を所定の大きさに打ち抜き、正極及び負極の間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロピレン不織布)と、電解液6N水酸化カリウムとからなるコイン型電池を作製した。コイン型電池作製後、所定の電池特性評価を行った。
(充放電保存特性)
得られたコイン型電池について、充放電装置(北斗電工社製SM−8)を用い、充放電測定を行った。
充電電流0.2Cにて計算電池容量の100%まで充電を行なった。その後、放電電流0.2Cで放電終止電圧0.8Vに達するまで定電流放電を行った。これらの充電・放電サイクルを1サイクルとして5サイクルの充電・放電を繰り返し、5サイクル目の放電容量を初回放電容量とした。(初回放電容量を維持率100%とする)。
次に、充電電流1Cにて充電を行った後、放電電流1Cで放電終止電圧0.8Vに達するまで定電流放電を行い、これらの充電・放電サイクルを1サイクルとして500サイクルの充電・放電を繰り返し、容量維持率を算出した(100%に近いほど良好)。
容量維持率 = (500サイクル後の放電容量)/(初回放電容量)
○:「容量維持率が95%以上。(特に優れている)」
○△:「容量維持率が90%以上、95%未満。(良好である)」
△:「容量維持率が85%以上、90%未満。(実用上問題ない)」
×:「容量維持率が85%未満。実用上問題あり、使用不可」
<ニッケル水素二次電池負極用合材インキ>、<負極>、<コイン型電池>
[実施例16]
二次電池電極用炭素材料分散体(1)50部(アセチレンブラック不揮発分量として5部)に対して、負極の電極組成物(F)として水素吸蔵合金45部、合成例15で合成したバインダー12.5部、水50部を混合して、負極用の二次電池電極用合材インキを作製した。合材インキの分散度を、前述の炭素材料分散体の分散度の場合と同様にして求めた。
そして、この負極用の二次電池電極用合材インキを、箔状集電体である厚さ30μmのニッケルメッキ鋼鈑上にドクターブレードを用いて塗工した後、加熱乾燥した。さらに、ロールプレスによる圧延処理を行ない、厚み100μmの負極を得た。得られた負極に、割れや剥れなどは見られなかった。
次に、実施例1で得られた正極、及び実施例15で得られた負極を所定の大きさに打ち抜き、正極及び負極の間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロピレン不織布)と、電解液6N水酸化カリウムとからなるコイン型電池を作製した。コイン型電池を作製後、所定の電池特性評価を行った。
[実施例17][比較例7〜9]
表3に示すように二次電池電極用炭素材料分散体及び、バインダー合成例の組み合せを変えた以外は実施例15と同様にして、負極二次電池電極用合材インキ、および負極を得、同様に評価した。
表3に示すように、本発明のニッケル水素二次電池電極形成用合材インキを用いた場合、導電助剤である炭素材料または活物質が合材インキ中で均一に分散されているため、電極の柔軟性、密着性のバランスが取れ、電池特性においても、充放電保存特性が向上すると考えられる。
このことについては、導電助剤である炭素材料または活物質が、合材インキ中での分散制御が不十分な場合、電極とした時の均一な導電ネットワークが形成されないために、電極中で部分的凝集に起因する抵抗分布が生じてしまい、電池として使用した際の電流集中が起こるために劣化促進を引き起こしているのではないかと考察している。
また、導電助剤である炭素材料または活物質の分散制御が不十分な場合、電極の密着性も不十分な傾向が見られている。特に導電助剤である炭素材料の分散制御が不十分な場合、その傾向は顕著である。
さらに、分散剤とバインダーの相溶性を向上させることで、合材層において分散剤に由来する電池反応の阻害を抑え、電池特性が向上していると考えられる。比較例5のように、導電助剤である炭素材料または活物質の分散状態が良好な場合であっても、分散剤とバインダーの相溶性が低い場合は、合材層における連続層のバインダー中で分散剤の分布に偏りが生じ、局所的に抵抗が高くなり、電極の劣化を引き起こし、最終的に電池の耐久性が低下すると考えられる。
一方、比較例1のように、相溶性は良好であっても電池特性が低下しているのは、電極の密着性の低下に起因するものと考えられる。そのため、電池特性の向上のためには、電極の密着性と相溶性の両立が必要であると考えられる。相溶性と電池特性に相関はあるものの、前提条件として、電極の密着性の確保が必要であると考えられる。
そのため、本発明のニッケル水素二次電池電極形成用合材インキを使用した場合においては、導電助剤である炭素材料または活物質が合材インキ中で均一に分散され、さらに、分散剤とバインダーの相溶性が良好であることにより、分散剤の電池反応の阻害を低減し、改善が可能になったと考えられる。
[実施例18]
二次電池電極用炭素材料分散体(1)10部(アセチレンブラック不揮発分量として1部)に対して、合成例13で合成したバインダー12.5部を混合して、二次電池電極用プライマー組成物を得、グラインドゲージにて分散度を測定した。
そして、このプライマー組成物を、箔状集電体となる厚さ30μmのニッケルメッキ鋼鈑上にドクターブレードを用いて塗布した後、加熱乾燥し、厚みが8μmとなるように下地層を形成した。
次いで、前記下地層上に実施例5のニッケル水素二次電池正極用合材インキを塗布した後、減圧加熱乾燥して、以下実施例5と同様にして正極を得、同様に評価した。
[実施例19、比較例10]
表4に示す炭素材料分散体を用いた以外は実施例17と同様にして、二次電池電極用プライマー組成物を得、同様に評価した。
次いで、前記下地層上に表4に示す二次電池正極用合材インキを塗布した後、減圧加熱乾燥して、以下実施例5と同様にして正極を得、同様に評価した。
表4に示すように、本発明のニッケル水素二次電池電極形成用組成物を下地層へ用いた場合、下地層を使用しない実施例5の評価結果と比較して、さらに良好となっていることが分かる。このことは、本発明のニッケル水素二次電池電極形成用組成物が、集電体と合材層との密着部分をより均一、かつ強固にしたためと考えられる。しかしながら、比較例10では、下地層用のニッケル水素二次電池電極形成用組成物の分散状態が不十分であり、電極とした場合においても、実施例5の評価結果と比較して劣る結果であった。このことは、集電体と合材層との密着状態がかえって不十分な状態となってしまったため、下地層を使用しない場合よりも電極として不均一な状態になってしまったためと考えられる。

Claims (9)

  1. 窒素含有アクリルエマルション型バインダー(C)と、下記単量体を共重合してなる共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を塩基性化合物で中和してなる両性樹脂型分散剤(D)と、水性液状媒体(E)とを含有する、ニッケル水素二次電池電極形成用組成物。
    芳香環を有するエチレン性不飽和単量体(d1):5〜70重量%
    カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(d2):15〜60重量%
    アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体(d3):1〜80重量%
    前記(d1)〜(d3)以外のその他の単量体(d4):0〜79重量%
    (但し、前記(d1)〜(d4)の合計を100重量%とする)
  2. 電極活物質(A)と、請求項1記載のニッケル水素二次電池電極形成用組成物とを含有する、ニッケル水素二次電池電極用合材インキ。
  3. 電極活物質(A)が水酸化ニッケルである請求項2記載のニッケル水素二次電池電極用合材インキ。
  4. 水酸化ニッケルが、水酸化コバルトで被覆してなることを特徴とする請求項3記載のニッケル水素二次電池電極用合材インキ。
  5. 請求項1記載のニッケル水素二次電池電極形成用組成物と、電極組成物(F)として水素吸蔵合金とを含有するニッケル水素二次電池電極用合材インキ。
  6. 導電助剤である炭素材料(B)と、請求項1記載のニッケル水素二次電池電極形成用組成物とを含有する、ニッケル水素二次電池正極用プライマー組成物。
  7. 基材と、請求項2記載のニッケル水素二次電池電極用合材インキから形成してなる合材層とを備えたニッケル水素二次電池用電極。
  8. 基材が、発泡状ニッケルまたはニッケルメッキ鋼板であることを特徴とする請求項7記載のニッケル水素二次電池用電極。
  9. 基材と、請求項6記載のニッケル水素二次電池正極用プライマー組成物から形成してなる下地層と、請求項2〜5いずれか記載のニッケル水素二次電池電極用合材インキから形成してなる合材層とを備えたニッケル水素二次電池用電極。
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