JP7040966B2 - アルカリ二次電池用正極及びアルカリ二次電池 - Google Patents

アルカリ二次電池用正極及びアルカリ二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、アルカリ二次電池用正極及びアルカリ二次電池に関する。
近年、デジタルカメラや携帯電話のような小型携帯型電子機器が広く用いられるようになってきた。これらの電子機器には、容積を最小限にし、かつ質量を軽くすることが常に求められてきており、搭載される電池においても、小型、軽量かつ大容量の電池の実現が求められている。一方、バスやトラック等に搭載する大型二次電池においても、従来の鉛蓄電池に代えて、軽量で高出力性能を有する大型二次電池の実現が望まれている。
そのような要求に応えるため、ニッケル水素二次電池などのアルカリ二次電池やリチウムイオン電池などの非水系二次電池の開発が活発に行われている。そして、電池の高性能化を実現するため、電極の改良が検討されている。
ところで、変電所、自動車、電車等に用いられるニッケル水素二次電池には、従来の乾電池や携帯機器等に用いられるものに比べて、高出力、高電圧及び高容量が要求される。そのため、大型のものを使用する必要がある。車両にニッケル水素二次電池を搭載した場合、ブレーキ時に生じる回生電力を搭載されたニッケル水素二次電池に蓄えておき、車両の動力源として使用することができる。そのため、車両の運行エネルギー効率を高めることができる。ここで、回生電力をニッケル水素二次電池に充電する際には、大電流で急速充電する必要がある。他方、ニッケル水素二次電池を利用して車両を駆動する際には、大電流で急速放電する必要がある。
一般に、ニッケル水素二次電池をはじめとする各種アルカリ二次電池の多くは有機バインダーにより活物質を基材に結着させている(例えば、非特許文献1参照)。
田村英雄監修、「電子とイオンの機能化学シリーズ Vol.1 今注目されているニッケル-水素二次電池の全て」、株式会社エヌ・ティー・エス
しかしながら、有機バインダーは、電池反応に伴う酸素発生により酸化されやすいため、充放電サイクルを繰り返すうちに、酸化劣化により活物質の脱落や導電ネットワークの崩壊が生じ、電池容量や出力が低下する可能性があった。
これに対し、樹脂に酸化防止剤を添加することで酸化反応を抑制することができるが、一度反応すると機能しなくなるため少量では長期的な持続効果が期待できず、多量に添加すると電気抵抗が増加してしまうことがある。すなわち、出力特性及びサイクル寿命の向上に改善の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電池反応を損なうことなく、かつ電気抵抗を高めることなく、出力特性及びサイクル寿命が良好なアルカリ二次電池用正極及びアルカリ二次電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の一態様のアルカリ二次電池用正極は、金属製の基材と、
上記基材の片面又は両面に設けられ、正極活物質、ラジカル捕捉剤、及びバインダー樹脂を含む正極合材層とを積層してなり、
上記ラジカル捕捉剤を、上記ラジカル捕捉剤を除く上記正極合材層全体100質量部に対して0.01質量部以上5質量部以下含有する。
上記正極合材層にはさらに第1導電性材料が含まれていてもよい。
さらに、上記基材と上記正極合材層との間には、プライマー層が設けられてもよい。このプライマー層は、平均粒径1μm以上50μm以下かつアスペクト比10以上100以下の第2導電性材料を含んでもよい。また、このプライマー層の厚みが1μm以上20μm以下であってもよい。また、第2導電性材料の形状は、葉状又は繊維状であってもよい。また、第2導電性材料は、グラファイトであってもよい。さらに、上記プライマー層及び上記正極合材層には水系樹脂が含まれてもよい。この水系樹脂は、水溶性型樹脂を含み、上記正極合材層に含まれる水系樹脂がエマルション型樹脂を含んでもよい。加えて、上記エマルション型樹脂のガラス転移温度は-20℃以上20℃以下であることが好ましい。
また、上記課題を解決するための本発明の一態様のアルカリ二次電池は、
金属製の基材と、
上記基材の片面又は両面に設けられ、正極活物質、ラジカル捕捉剤、及びバインダー樹脂を含む正極合材層とを積層してなり、
上記ラジカル捕捉剤を、上記ラジカル捕捉剤を除く上記正極合材層全体100質量部に対して0.01質量部以上5質量部以下含有する正極と、
負極と、
セパレータとを有する。
本発明の一態様によれば、出力特性及びサイクル寿命が良好なアルカリ二次電池用正極及びアルカリ二次電池を提供することができる。
アルカリ二次電池用正極の一実施形態の構成を示す斜視図である。 アルカリ二次電池用正極の他の実施形態の構成を示す斜視図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態について、完全な理解を提供するように、特定の細部について記載する。しかしながら、かかる特定の細部が無くとも、一つ以上の実施形態が実施可能であることは明確である。また、図面を簡潔なものとするために、周知の構造及び装置を、略図で表す場合がある。
(アルカリ二次電池用正極)
図1に示すように、本実施形態のアルカリ二次電池用正極10は、基材11と、その両面に形成された正極合材層13A,13Bとを有する。ここで、正極合材層13は、基材11の片面又は両面に設けられればよく、アルカリ二次電池用正極10の構成としては、基材11の片面だけに、正極合材層13が積層された態様でもよい。すなわち、アルカリ二次電池用正極10は、基材11と、基材11の片面又は両面に設けられた正極合材層13が少なくとも積層してなる。なお、正極合材層13は、基材11の片面又は両面に第1導電性材料が含まれた合材インキが塗工されることによって形成される。
<基材>
基材11は、可撓性を備えた金属製の板状部材である。基材11は、例えば、金属を薄く打ち延ばした箔状集電体や、発泡ニッケルや、多孔質体構造による凹凸を有するものや、二次元構造で孔加工を有するもの(例えばパンチングプレート)が挙げられる。
[基材の材質]
基材11の材質としては、アルカリ電解液耐性の観点から、ニッケルが好ましい。また、コストの観点から、鉄材質の表面を電解液による腐食防止のためにニッケルメッキしたものが好ましい。
基材11には、正極合材層13を構成する合材インキを塗工するために表面が平滑な平板状の箔が用いられる。
[基材の厚み]
また、基材11の厚みは、例えば、6μm以上30μm以下であることが好ましい。基材11の厚みが6μm以上になると、基材11自身の強度がより向上し、塗工及びプレス加工時に電極の破損が生じにくくなる。また、基材11の厚みが30μm以下であれば、基材11自身の強度を適切にしやすく、塗工時の基材11の巻き取りがより容易になる。具体的には、基材11の厚みを、例えば6μm以上30μm以下とすることで、正極をプレスした際(例えばロールギャップ0、プレス圧5t)の表面状態としてシワや剥離が目視で確認できない程度の耐久性を付与することができる。なお、基材11として、例えば、二次元構造で孔加工を有するものを採用した場合には、その開口密度に応じて、製造上破断せず、表面状態としてシワや剥離が目視で確認できない程度の耐久性を有する限りにおいて上記範囲の上限を超えることがある。
[ニッケルメッキの厚み]
上述したように、基材11としてニッケルメッキしたものを用いる場合、ニッケルメッキの厚みは、0.1μm以上5μm以下であることが好ましく、0.2μm以上3μm以下がより好ましい。ニッケルメッキの厚みが、0.1μm以上になると、電解液による腐食が生じにくくなる。また、ニッケルメッキの厚みが5μm以下になると、コスト的に有利になる。
<正極合材層>
正極合材層13は、基材11上に設けられ、正極活物質、ラジカル捕捉剤、及びバインダー樹脂を含む層である。正極合材層13は、基材11上に合材インキが塗工されることによって形成される。すなわち、この合材インキは、正極活物質、ラジカル捕捉剤、及びバインダー樹脂を含有する。第1導電性材料は含有されなくともよい。正極合材層13の厚みは、例えば、20μm以上120μm以下である。
[正極活物質]
正極活物質としては、アルカリ二次電池用の正極活物質として公知のものを使用できる。例えば、水酸化ニッケル、オキシ水酸化ニッケル等のニッケル化合物や、二酸化マンガン、酸化銀が挙げられる。水酸化ニッケルの種類としては、水酸化ニッケルの表面を、水酸化コバルト及びオキシ水酸化コバルトの少なくとも一方で被覆したコバルトコート水酸化ニッケルがより好ましい。また、水酸化ニッケルに水酸化コバルト、酸化コバルトなどを添加して混合したものも使用できる。
本実施形態では、コバルトコートなしでも所望の導電性が得られるため、コストダウンが可能である。しかし、コバルトコート水酸化ニッケルの使用により導電性をより高めて使用することを妨げるものではない。
[正極活物質の粒子径]
正極活物質の粒子径は、0.5μm以上100μm以下が好ましく、1μm以上50μm以下がより好ましく、3μm以上40μm以下がさらに好ましい。
[正極活物質の配合割合]
活物質が合材インキの不揮発分の合計に占める割合は、80質量%以上98質量%以下が好ましく、85質量%以上95質量%以下がより好ましい。
[バインダー樹脂]
バインダー樹脂は、正極合材層13を形成する際に、正極活物質同士、及び正極活物質と基材11とを結着させる樹脂として使用される。バインダー樹脂としては、水系樹脂が好ましく、このような樹脂としては、例えば、ポリマーエマルションが挙げられる。
[ポリマーエマルション]
バインダー樹脂は、例えば、ガラス転移温度が、-20℃以上20℃以下のポリマーエマルションであることが好ましい。このようなポリマーエマルションとしては、例えば、水和性の官能基を含有する第1のモノマー1質量%以上5質量%以下と、芳香環を含有する第2のモノマー20質量%以上60質量%以下と、水和性官能基及び芳香環を含有しない第3のモノマー35質量%以上79質量%以下と、を含み、当該モノマー混合物を乳化重合により合成したアクリルエマルションであることが好ましい。このエマルションを正極合材層13が含有することで、正極の導電性がより向上し、充放電サイクル特性(サイクル寿命)もより向上する。
[水和性の官能基を有するモノマー]
水和性の官能基を含有するモノマーは、親水性の官能基を含有するモノマーである。例えば、アクリル酸ヒドロキシエチル(ホモポリマーのガラス転移温度Tg=-15℃、以下同様)、アクリル酸ヒドロキシプロピル(Tg=-7℃)、アクリル酸ヒドロキシブチル(Tg=-80℃)、メタクリル酸ヒドロキシエチル(Tg=55℃)、メタクリル酸ヒドロキシプロピル(Tg=26℃)、メタクリル酸ヒドロキシブチル等(Tg=-40℃)のヒドロキシ基含有モノマー、アクリルアミド(Tg=153℃)、メタクリルアミド(Tg=77℃)、ダイアセトンアクリルアミド(Tg=77℃)、N‐イソプロピルアクリルアミド(Tg=134℃)、N‐メチルアクリルアミド(Tg=130℃)、N‐メチルメタクリルアミド(Tg=65℃)、N,N‐ジメチルアクリルアミド(Tg=119℃)、N‐エチルアクリルアミド(Tg=100℃)、N,N-ジエチルアクリルアミド(Tg=81℃)、N‐ブチルアクリルアミド(Tg=46℃)、ヒドロキシエチルアクリルアミド(Tg=98℃)、アクリロイルモルホリン(Tg=145℃)等のアミド基含有モノマー、メタクリル酸グリシジル(Tg=41℃)、アクリル酸グリシジル(Tg=10℃)等のグリシジル基含有モノマー、等が挙げられる。
水和性の官能基を含有するモノマーの使用量は、1質量%以上5質量%以下が好ましく、2質量%以上4質量%以下がさらに好ましい。1質量%以上になると、水分子との水和の効果により、化学的安定性がより向上する。また、5質量%以下になると、乳化重合時の安定性がより高まる。すなわち、エマルションの流動性が増し、エマルションが凝集しにくい傾向にある。
[芳香環含有モノマー]
芳香環含有モノマーについて説明する。芳香環含有モノマーを用いることにより、アルカリ溶液中で加水分解され易い例えばアクリル酸アルキルエステルの使用量を削減できるため、耐アルカリ性をより向上できる。さらに、エマルションのガラス転移点を適切な範囲にコントロールすることにより、基材への密着性をより向上できる。
芳香環含有モノマーの使用量は、全モノマー中20質量%以上60質量%以下が好ましく、25質量%以上55質量%以下がより好ましい。20質量%以上になると、ポリマーの耐アルカリ性がより向上する。また、60質量%以下であれば、基材への密着性がより向上する。
芳香環含有モノマーとしては、スチレン(ホモポリマーのガラス転移温度Tg=100℃、以下同様)、α-メチルスチレン(Tg=168℃)及びベンジルメタクリレート(Tg=54℃)等が挙げられる。
[その他のモノマー]
その他のモノマーについて説明する。
本実施形態におけるその他のモノマーとは、水和性の官能基を含有するモノマー及び芳香環含有モノマー以外のラジカル重合性のモノマーである。
その他のモノマーとしては、例えば、メタクリル酸メチル(Tg=100℃)、メタクリル酸エチル(Tg=65℃)、メタクリル酸ブチル(Tg=20℃)、メタクリル酸イソブチル(Tg=67℃)、メタクリル酸ターシャリーブチル(Tg=107℃)、メタクリル酸2-エチルヘキシル(Tg=-10℃)、メタクリル酸シクロヘキシル(Tg=66℃)等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル(ホモポリマーのガラス転移温度Tg=-8℃、以下同様)、アクリル酸エチル(Tg=-20℃)、アクリル酸ブチル(Tg=-45℃)、アクリル酸-2-エチルヘキシル等(Tg=-55℃)のアクリル酸エステル類;等を挙げることができる。
その他のモノマーは、ポリマーの理論ガラス転移温度Tgが、-20℃以上20℃以下となるように、適宜選択することが好ましい。また、ポリマーの理論ガラス転移温度Tgの範囲は-15℃以上15℃以下がさらに好ましい。
本実施形態におけるエマルションのポリマーの理論ガラス転移温度Tgは下記の式[I]により導かれる。
1/Tg=[(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+・・・+(Wn/Tgn)]/100・・・[I]
ただし、
W1:単量体1の質量%、
Tg1:モノマー1のみから形成され得るホモポリマーのガラス転移温度(K)、
W2:モノマー2の質量%、
Tg2:モノマー2のみから形成され得るホモポリマーのガラス転移温度(K)、
Wn:モノマーnの質量%、
Tgn:モノマーnのみから形成され得るホモポリマーのガラス転移温度(K)、
(ここで、W1+W2+・・・・+Wn=100)
なお、ラジカル重合性不飽和モノマーを水性媒体中で重合する際に乳化剤として、ラジカル重合性不飽和基を有するものを使用する場合には、ラジカル重合性不飽和モノマーの構成の特定及び共重合体のTgの計算に際して、ラジカル重合性不飽和基を有する乳化剤はモノマーには含めないものとする。
[乳化剤]
本実施形態におけるバインダー樹脂は、乳化重合で共重合することが重要である。共重合の際、重合安定性の観点から乳化剤を用いることが好ましい。
乳化剤は、用いるモノマーの合計100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下が好ましく、1質量部以上3質量部以下より好ましい。乳化剤量が0.1質量部以上になると、重合安定性がより向上する。また、乳化剤量が5質量部以下になると、二次電池電極の耐アルカリ性がより向上する。
本実施形態では、乳化剤として、アニオン性乳化剤やノニオン性乳化剤を単独若しくは併用できる。また、乳化剤は、ラジカル重合性の官能基を有する反応性乳化剤であってもよいし、ラジカル重合性の官能基を有さない非反応性乳化剤であってもよい。あるいは、両者を併用することもできる。
本実施形態において用いられる乳化剤のうち、反応性乳化剤は、分子内にラジカル重合可能な不飽和2重結合を1個以上有するアニオン性又はノニオン性の乳化剤である。例えば、スルホコハク酸エステル系(市販品としては、例えば、花王(株)製ラテムルS-120P、S-180A、三洋化成(株)製エレミノールJS-2等)、アルキルフェノールエーテル系(市販品としては、第一工業製薬(株)製アクアロンKH-10、RN-20等)が挙げられる。
本実施形態において用いられる乳化剤のうち、非反応性乳化剤としては、アニオン系非反応性乳化剤とノニオン系非反応性乳化剤とが挙げられる。
-アニオン系非反応性乳化剤-
アニオン系非反応性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等が挙げられる。
具体的には、アニオン系非反応性乳化剤としては、ハイテノールNF-08〔エチレンオキサイド単位の繰り返し数(以下、「EOユニット数」という):8〕、NF-17(EOユニット数:17)〔以上、第一工業製薬(株)製〕、エレミノールCLS-20(EOユニット数:10)、エレミノールES-12(EOユニット数:6)、ES-30(EOユニット数:15)、ES-70(EOユニット数:35)〔以上、三洋化成工業(株)製〕等が挙げられる。
-ノニオン系非反応性乳化剤-
また、ノニオン系非反応性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル等のポリオキシ多環フェニルエーテル類;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
具体的には、ノニオン系非反応性乳化剤としては、エマルゲン1108(EOユニット数:8)、1118S-70(EOユニット数:18)、1135S-70(EOユニット数:35)、1150S-70(EOユニット数:50)〔以上、花王(株)製〕等が挙げられる。
上記の非反応性乳化剤は単独で用いてもよく、複数種併用することも可能である。
なお、乳化剤のうち、反応性乳化剤としては、従来公知のものを使用できる。
本実施形態において用いることができるラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類が挙げられる。
重合開始剤の使用量は、乳化重合に使用するモノマーの合計100質量部に対し0.1質量部以上1質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上0.8質量部以下であることがより好ましい。0.1質量部以上になると、重合安定性がより向上する。また、1質量部以下になると、耐水性がより向上する。
また、過酸化物系開始剤と還元剤の組み合わせたレドックス開始剤を用いることも好ましい。レドックス開始剤としては、過酸化物系開始剤と還元剤の組み合わせが好ましい。過酸化物系開始剤としては、パーブチルH(ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド)、パーブチルO(ターシャリーブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート)、キュメンハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイドが挙げられる。還元剤としては、エルビットN(イソアスコルビン酸ナトリウム)、L-アスコルビン酸(ビタミンC)、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム(SMBS)、次亜硫酸ナトリウム(ハイドロサルファイト)が挙げられる。
[第1導電性材料]
上記合材インキには、さらに第1導電性材料(以下、導電助剤ということがある)が含まれてもよい。第1導電性材料としては、例えば、ニッケル粉末、銅粉末、酸化コバルト、水酸化コバルト、カーボン等を挙げることができ、これらを2つ又はそれ以上組み合わせて用いることもできる。カーボンとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、炭素繊維、フラーレン類を挙げることができる。これらの中でも、アセチレンブラック、ファーネスブラックが好ましい。第1導電性材料の粒子径は大きいため、あらかじめ、水、分散樹脂を用いて0.1μm以上50μm以下に分散して使用するのが好ましい。分散樹脂としては、アクリル系水溶性樹脂、スチレン/アクリル系水溶性樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水性ウレタン樹脂等が好ましい。
合材インキは、活物質100質量部に対してバインダー樹脂を0.05質量部以上20質量部以下配合することが好ましく、0.1質量部以上10質量部以下がより好ましい。0.05質量部未満では、活物質と基材11との結着力が低下し、その結果、活物質と基材11の接触が保たれず、正極の利用率が低下する恐れがある。また、20質量部を超えると、合材インキに占める活物質の割合が低下し、電極のエネルギー密度が低下し易い。さらに、電気を通しにくいポリマーの割合が増大することによって、電極の電気抵抗が増大する恐れもある。
<ラジカル捕捉剤>
本実施形態のアルカリ二次電池用正極には、ラジカル捕捉剤を、アルカリ二次電池用正極を構成する成分、すなわちラジカル捕捉剤を除く合材インキ成分の不揮発分100質量部に対して0.01質量部以上5質量部以下含有している。このラジカル捕捉剤の含有量は、0.1質量部以上1.0質量部以下含有していることが好ましい。
また、上記ラジカル捕捉剤の含有量は、上記バインダー樹脂100質量部に対して0.5質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
また、上記ラジカル捕捉剤の分布が、上記正極合材層の表層側よりも基材側のほうが密とすることが好ましい。このラジカル捕捉剤の分布は、単一の上記正極合材層内の厚さ方向の密度分布を変えるようにしてもよいし、上記正極合材層を複数の層から構成されるようにし、それらによって構成される積層体としての上記正極合材層内の厚さ方向の密度分布を変えるようにしてもよい。ここで、上記「(正極合材層の)基材側」とは、上記正極合材層における上記基材が設けられた側(面)を指し、上記「(正極合材層の)表層側」とは、上記正極合材層における上記基材が設けられた側とは反対側(反対面)を指す。
さらに、本実施形態のアルカリ二次電池用正極に導電助剤が含まれた場合、該導電助剤100質量部に対する上記ラジカル捕捉剤の含有量は、0.5質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
このようにして基材側の樹脂劣化を防ぐことにより、基材と正極合材層間の電気抵抗増加や剥離を抑制することができる。
上記ラジカル捕捉剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が挙げられる。
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルステアレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-オクトキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)・ビス(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)・ビス(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-ブチル-2-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-モルホリノ-s-トリアジン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-第三オクチルアミノ-s-トリアジン重縮合物、1,5,8,12-テトラキス [2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル] -1,5,8,12-テトラアザドデカン、1,5,8,12-テトラキス [2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル] -1,5,8,12-テトラアザドデカン、1,6,11-トリス [2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ-s-トリアジン-6-イルアミノ] ウンデカン、1,6,11-トリス[2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ-s-トリアジン-6-イルアミノ] ウンデカン、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{トリス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン等が挙げられる。
合材インキには、さらに成膜助剤、消泡剤、レベリング剤、分散剤、防腐剤、pH調整剤、粘性調整剤などを必要に応じて配合できる。
合材インキの粘度は、塗工方法により適宜選択できるが、100mPa・s以上、30,000mPa・s以下とするのが好ましい。
(アルカリ二次電池用正極の製造方法)
アルカリ二次電池用正極の製造方法は、基材11上に正極合材層13を形成する工程を含む。
ここで、正極合材層13を形成する工程は、バインダー樹脂として乳化重合して得られるポリマーエマルションと、活物質と、第1導電性材料とを含む合材インキを金属製の基材11上に塗工、乾燥しておこなわれる。
アルカリ二次電池用正極10は、基材11の上に正極合材層13を形成後、電極を平版プレスやカレンダーロール等によりプレス処理されても良い。これにより、基材11と正極合材層13との密着性がより向上する。
[分散機・混合機]
合材インキを製造するときの活物質及びバインダー樹脂の混合には、顔料分散等に通常用いられている分散機、混合機が使用できる。
(アルカリ二次電池)
本実施形態のアルカリ二次電池は、本実施形態のアルカリ二次電池用正極と負極と、電解液と、セパレータとを備える。
負極は、負極活物質を含む負極合材インキを基材上に塗工、乾燥して作製される。負極活物質としては水素吸蔵合金、カドミウム(合金を含む)、亜鉛(合金を含む)、及びこれらの化合物等が挙げられる。
本実施形態のアルカリ二次電池の形状は、ペーパー型、円筒型、コイン型、ボタン型、又は積層型等使用する目的に応じた種々の形状とすることができる。
上記電解液としては、水酸化カリウム水溶液や、水酸化カリウム水溶液に水酸化ナトリウム又は水酸化リチウムを添加したもの等が挙げられる。
上記セパレータとしては、例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布及びそれらに親水性処理を施したものが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
本実施形態のアルカリ二次電池用正極を備えたアルカリ二次電池は、変電所、バス、トラック、電車等の用途に好ましく使用できる。
(他の実施形態)
アルカリ二次電池用正極の他の実施形態として、図2に示すように、上述の実施形態にて開示した構成における、基材11と、正極合材層13との間に導電性を有するプライマー層12が設けられてもよい。それ以外の構成は上述の実施形態と同様であり、重複する説明は省略する。なお、このようにプライマー層12が設けられる本実施形態においては、基材11は、表面及び端面が平滑である基材が挙げられる。そのため、基材11としては、発泡ニッケルや、プライマー層12の形成に不利な多孔質体構造による凹凸を有するものは含まず、二次元構造で孔加工を有するもの(例えばパンチングプレート)を含む。
また、基材11の材質についても、上述の実施形態と同様に、プライマー組成物を構成する合材インキを塗工するために表面が平滑な平板状の箔が用いられる。
ここで、プライマー層12の質量100質量部に対する、正極合材層13中に含まれる上記ラジカル捕捉剤の含有量は、0.01質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。
<プライマー層>
プライマー層12は、基材11の片面又は両面に設けられた導電性を有する層である。プライマー層12は、葉状黒鉛粒子(A)、カーボンブラック(B)、及び水系樹脂(C)を含むプライマー組成物を製造した後、そのプライマー組成物を基材11に塗工・乾燥することにより形成されるのが好ましい。プライマー層12の厚みは1μm以上20μm以下であることが好ましい。
<プライマー組成物>
プライマー組成物は、平均粒子径1μm以上50μm以下かつアスペクト比10以上100以下の第2導電性材料を含むことが好ましい。具体的には、例えば、平均粒子径1μm以上50μm以下かつアスペクト比10以上100以下の第2導電性材料を含み、さらに水系樹脂を含有することが好ましい。また、プライマー組成物は、必要に応じて、「その他の導電性材料」を含有することが好ましい。「その他の導電性材料」としては、本発明の効果を損なわなければ、目的に応じて適宜選択され、例えば、アスペクト比が10未満の粒子状グラファイトや、カーボンブラックが挙げられる。
[第2導電性材料]
第2導電性材料は、平均粒子径が1μm以上50μm以下の導電性を有する粒子である。なお、本実施形態で平均粒子径とは、粒子、水及び分散体を混合した混合物を、動的光散乱方式の粒度分布計(マイクロトラック・ベル(株)製「マイクロトラックMT3100II」)を使用して、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)を意味する。
また、第2導電性材料の形状は、アスペクト比10以上100以下であり、そのような形状としては、平滑な粒子表面を有する葉状(鱗片状)又は繊維状が挙げられる。なお、本実施形態でアスペクト比とは、第2導電性材料の走査型電子顕微鏡観察(SEM)を用いて、1万~10万倍に適宜拡大した画像から、任意の10~50個の粒子厚み方向について2点間測定平均値を用いて測定し、平均粒子径をその厚みで割ることで算出した値である。
さらに、第2導電性材料の材料としては、有機系(炭素系)の導電性材料でも無機系(金属系)の導電性材料でもよい。有機系の材料としては、グラファイト(黒鉛)、グラフェン、カーボンナノチューブなどが挙げられる。葉状グラファイトについては次に説明するが、繊維状の第2導電性材料の材料としては、カーボンファイバーなどが挙げられる。また、無機系の材料としては、耐アルカリ性の金属粉、金属片、繊維状金属が挙げられる。
[葉状グラファイト]
葉状グラファイトは、例えば、塊状の天然グラファイトを粉砕することや、天然グラファイトの層間化合物のへき開面に沿って、層間剥離を行なうことにより得ることができる。粉砕による場合、例えば、ボールミルなどを用いての乾式粉砕法により、葉状グラファイトを得ることができる。
葉状グラファイトは、上記層間化合物のへき開面を利用する方法でも得られることができる。具体的には、例えば、天然グラファイトを硫酸と硝酸との混酸で処理して得られるグラファイトと硫酸との層間化合物を、又は天然グラファイトを硫酸中で電気的に酸化して得られるグラファイトと硫酸との層間化合物等を加熱膨張させて得られる膨張黒鉛を、結晶構造のへき開面を剥離させる方法などで得られる。上記膨張黒鉛は、へき開面の層間が広がっているため、へき開面に沿って容易に層間剥離をし、平滑な粒子表面、すなわち葉状グラファイト粒子が得られる。
葉状グラファイト粒子は、富士黒鉛工業(株)製の、UF-2、CBF-1、CBF-3、CPF-3、96L、COP,FAC-1、FAC-2、FGB、CSP-2、CF-2、日本黒鉛工業(株)製のCSSP、CSPE、CSP、CP、CB-150、CB-100、ACP、ACB-150、SP-10、SP-20、JSP、SP-270、HOP、CMX、UP-5、UP-10、UP-20、中越黒鉛(株)製のCX-3000、FBF、BF、CBR、SSC-3000、SSC-600、SSC-3、SSC、CX-600、CPF-8、CPF-3、CPB-6S、CPB-3、96E、96L、96L-3、90L-3、CPC、S-87、K-3、CF-80、CF-48、CF-32、CP-150、CP-100、CP、HF-80、HF-48、HF-32、SC-120、SC-80、SC-60、SC-32、SECカーボン(株)製のSNO-20、SNO-10、SNO-5、SNE-20、SNE-10、SNE-5、伊藤黒鉛工業(株)のZ-5F、CNP-7、CNP-15、CNP-35、Z-100、Z+80、Z-25、Z-50、X-10、X-20、が挙げられる。
[その他の導電性材料]
上記その他の導電性材料(例えば、カーボンブラック)は、葉状グラファイト粒子の粒子群が形成する隙間に入り込むことでプライマー層12の導電性を向上させる役割を果たす。導電性の向上に対するその他の導電性材料の寄与は、その他の導電性材料の全てが当該隙間に入り込むのではなく、その一部が入り込めば導電性が向上すると推測している。葉状グラファイト粒子と、その他の導電性材料とを用いる場合における配合割合は、目的に応じて適宜決定され、本発明の効果を損なわない限りにおいてその他の導電性材料が添加されてもよい。その他の導電性材料がプライマー層12中に適切に存在することで、基材11及び正極合材層13との密着がより向上し、導電性もより向上する。以下、「その他の導電性材料」の一例として、カーボンブラックについて説明する。
カーボンブラックは、気体又は液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料としたケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラックなどが好ましい。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。カーボンブラックは、単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。
カーボンブラックの平均一次粒子径は、0.01μm以上0.3μm以下が好ましい。ここで、平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、1万倍~10万倍に適宜拡大した画像から、10~50個の粒子の数値を平均することで得られる。さらに、カーボンブラックは、その比表面積の値が大きいほど、カーボンブラック粒子どうしの接触点が増えるため、電極の内部抵抗を下げるのに有利となる。具体的には、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)で、20m/g以上1500m/g以下が好ましく、50m/g以上1500m/g以下がより好ましく、100m/g以上1500m/g以下が更に好ましい。比表面積が20m/gを下回るカーボンブラックを用いると、十分な導電性を得ることが難しくなる場合があり、1500m/gを超えるカーボンブラックは、市場では入手が困難である。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、トーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500等(東海カーボン(株)製、ファーネスブラック)、プリンテックスL等(デグサ(株)製、ファーネスブラック)、Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA等、Conductex SC ULTRA、Conductex 975 ULTRA等、PUER BLACK100、115、205等(コロンビヤン(株)製、ファーネスブラック)、#2350、#2400B、#2600B、#3050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B等(三菱化学(株)製、ファーネスブラック)、MONARCH1400、1300、900、VulcanXC-72R、BlackPearls2000等(キャボット(株)製、ファーネスブラック)、Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP-Li(TIMCAL(株)製)、ケッチェンブラックEC-300J、EC-600JD(アクゾ(株)製)、デンカブラック、デンカブラックHS-100、FX-35(電気化学工業(株)製、アセチレンブラック)等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
[水系樹脂]
上記水系樹脂は、葉状グラファイト粒子や上記カーボンブラックを結着させ、更にプライマー層12を形成した際、プライマー層12と基材11との間、及び正極合材層13とプライマー層12との間を密着させるために使用する。
水系樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、カルボキシメチルセルロース等のセルロース樹脂、スチレン-ブタジエンゴムやフッ素ゴム等の合成ゴム、ポリアニリンやポリアセチレン等の導電性樹脂等、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、及びテトラフルオロエチレン等のフッ素原子を含む高分子化合物が挙げられる。また、これらの樹脂の変性物、混合物、又は共重合体でも良い。これら水系樹脂は、1種又は複数を組み合わせて使用することもできる。
また、水系樹脂の形態としては、水溶性型、エマルション型、ハイドロゾル型等が挙げられ、適宜選択することができるが、プライマー組成物に含まれる水系樹脂を水溶性形樹脂とした場合、後述する正極合材層(正極合材インキ)に含まれる水系樹脂がエマルション型樹脂であることが好ましい。
[プライマー組成物の製造方法]
次に、プライマー組成物の製造方法を説明する。まず葉状グラファイト粒子は、予め溶媒と分散剤を配合して分散を行い分散体として製造したのち使用することが好ましい。カーボンブラックを用いる場合も葉状グラファイト粒子と同様には分散体として製造してから使用することが好ましい。そして、葉状グラファイト粒子分散体、カーボンブラック分散体、及び水系樹脂を混合することによってプライマー組成物を得ることができる。分散剤は、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、界面活性剤等が好ましい。
上記分散及び混合は、顔料分散等に通常用いられている分散機、混合機が使用できる。例えば、ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;エム・テクニック(株)製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社「フィルミックス」等のホモジナイザー類;ペイントコンディショナー(レッドデビル(株)製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス(株)製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ(株)製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;湿式ジェットミル(ジーナス(株)製「ジーナスPY」、スギノマシン(株)製「スターバースト」、ナノマイザー(株)製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック(株)製「クレアSS-5」、若しくは奈良機械(株)製「MICROS」等のメディアレス分散機;又は、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、分散機としては、分散機からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、又は、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。また、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。
[その他]
プライマー組成物は、必要に応じてさらに成膜助剤、消泡剤、レベリング剤、分散剤、防腐剤、pH調整剤、粘性調整剤などを必要に応じて配合できる。
[粘度]
プライマー組成物の粘度は、その塗工方法により適宜調整すればよく、例えば、10mPa・s以上30,000mPa・s以下とするのが好ましい。
[プライマー組成物の塗工方法]
プライマー組成物の基材11への塗工方法としては、例えばダイコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン塗工法又は静電塗装法等が挙げられる。また、乾燥には、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機などの装置が使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。例えば、放置乾燥でもよい。
(アルカリ二次電池用正極の製造方法)
本実施形態におけるアルカリ二次電池用正極の製造方法は、基材11上にプライマー層12を形成する工程と、プライマー層12上に正極合材層13を形成する工程とを含む。
ここで、プライマー層12を形成する工程は、金属製の基材上にプライマー組成物を塗工、乾燥しておこなわれる。
また、正極合材層13を形成する工程は、バインダー樹脂として乳化重合して得られるポリマーエマルションと、活物質と、第1導電性材料とを含む合材インキをプライマー層12上に塗工、乾燥しておこなわれる。
なお、上記プライマー組成物は、平均粒子径1μm以上50μm以下でアスペクト比10以上100以下の第2導電性材料を含むことが好ましい。
アルカリ二次電池用正極10は、プライマー層12の上に正極合材層13を形成後、電極を平版プレスやカレンダーロール等によりプレス処理されても良い。これにより、プライマー層12と正極合材層13との密着性がより向上する。
[分散機・混合機]
合材インキを製造するときの活物質及びバインダー樹脂の混合には、上記プライマー組成物の製造と同様の分散機、混合機を使用できる。
(アルカリ二次電池)
本実施形態のアルカリ二次電池は、本実施形態のアルカリ二次電池用正極と負極と、電解液と、セパレータとを備える。
負極は、負極活物質を含む負極合材インキを基材上に塗工、乾燥して作製される。負極活物質としては水素吸蔵合金、カドミウム(合金を含む)、亜鉛(合金を含む)、及びこれらの化合物等が挙げられる。
本実施形態のアルカリ二次電池の形状は、ペーパー型、円筒型、コイン型、ボタン型、又は積層型等使用する目的に応じた種々の形状とすることができる。
上記電解液としては、水酸化カリウム水溶液や、水酸化カリウム水溶液に水酸化ナトリウム又は水酸化リチウムを添加したもの等が挙げられる。
上記セパレータとしては、例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布及びそれらに親水性処理を施したものが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
本実施形態のアルカリ二次電池用正極を備えたアルカリ二次電池は、変電所、バス、トラック、電車等の用途に好ましく使用できる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例及び比較例における「部」は「質量部」を表す。
(実施例1)
<正極インキの作製>
水酸化ニッケル90質量部に対して水系樹脂のバインダー樹脂(トーヨーケム(株)製、TOCRYL S-171、ポリマーの理論ガラス転移温度Tg=-2℃)を10質量部、TINUVIN123DW(ラジカル捕捉剤)を0.01質量部添加し、乾燥後の残留固形分が60%になるよう純水を添加し、ディスパーで15分間攪拌して正極インキを作製した。
ここで、添加したラジカル捕捉剤の含有量は、ラジカル捕捉剤を除く正極インキの不揮発分全体の質量100質量部に対して0.01質量部である。以下、「正極インキ中のラジカル捕捉剤の含有量」という記載は、ラジカル捕捉剤を除く正極インキの不揮発分全体の質量100質量部に対するラジカル捕捉剤の含有量(質量部)とする。
また、ラジカル捕捉剤の含有量は、上記バインダー樹脂100質量部に対して0.1質量部である。
<正極合材層の形成>
厚み15μmのNiめっき鋼板からなる基材の両面に、正極インキをそれぞれ目付量150g/mとなるようにアプリケータで塗工し、乾燥後の厚みがそれぞれ100μmとなるように正極合材層を形成し、実施例1の正極を作製した。すなわち、実施例1の正極においては、正極合材層の合計の厚みが200μmであり、正極合材層中の正極活物質目付量が300g/mになるように正極合材層を形成した。したがって、実施例1の正極の総厚みは215μmとなる。
<負極インキの作製>
水素吸蔵合金100質量部に対してカーボン(東海カーボン(株)製、トーカブラック#4300)を10質量部、バインダー樹脂(トーヨーケム(株)製、TOCRYL S-171、ポリマーの理論ガラス転移温度Tg=-2℃)を10質量部添加し、乾燥後の残留固形分が60%になるよう純水を添加しディスパーで15分間攪拌して負極インキを作製した。
<負極の形成>
その後、厚み15μmのNiめっき鋼板からなる基材の両面に負極インキをそれぞれ目付量250g/mとなるようにアプリケータで塗工し、乾燥後の厚みがそれぞれ100μmとなるように負極合材層を形成し、負極を作製した。すなわち、この負極の作製においては、負極合材層の合計の厚みが200μmであり、負極合材層中の負極活物質目付量が500g/mになるように負極合材層を形成した。したがって、実施例1~10及び比較例1~3の負極厚みは215μmとなる。
<アルカリ二次電池の作製>
コインセルに負極、厚みが200μmのスルホン化処理PP不織布セパレータ、正極の順に積層し、アルカリ電解液を注入、1日養生し、電解液を浸透させて実施例1のアルカリ二次電池を作製した。
(実施例2)
実施例1における正極インキ中のラジカル捕捉剤の含有率を、0.5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の正極及びアルカリ二次電池を作製した。
(実施例3)
実施例1における正極インキ中のラジカル捕捉剤の含有率を、5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の正極及びアルカリ二次電池を作製した。
(実施例4)
実施例1における正極インキ中のバインダー樹脂100質量部に対するラジカル捕捉剤の量を0.5質量部に変更した以外は、実施例2と同様にして、実施例4の正極及びアルカリ二次電池を作製した。すなわち、添加したラジカル捕捉剤の含有量は、ラジカル捕捉剤を除く正極インキ全体の不揮発分100質量部に対して0.05質量部である。
(実施例5)
実施例1における正極インキ中のバインダー樹脂100質量部に対するラジカル捕捉剤の量を20質量部に変更した以外は、実施例2と同様にして、実施例5の正極及びアルカリ二次電池を作製した。すなわち、添加したラジカル捕捉剤の含有量は、ラジカル捕捉剤を除く正極インキ全体の不揮発分100質量部に対して2質量部である。
(実施例6)
実施例1において、水酸化ニッケルを80質量部とし、導電助剤としてカーボン(第1導電性材料、東海カーボン(株)製、トーカブラック#4300)を10質量部さらに加え、TINUVIN123DW(ラジカル捕捉剤)を、当該ラジカル捕捉剤を除く正極インキ全体の不揮発分100質量部に対して0.05部含有するように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例6の正極及びアルカリ二次電池を作製した。すなわち、添加したラジカル捕捉剤の含有量は、ラジカル捕捉剤を除く正極インキ全体の不揮発分100質量部に対して0.05質量部であり、導電助剤(カーボン)100質量部に対するラジカル捕捉剤の量は0.5質量部である。
(実施例7)
実施例6における正極インキ中のバインダー樹脂の不揮発分100質量部に対するラジカル捕捉剤の量を2質量部に変更し、カーボン100質量部に対するラジカル捕捉剤の量を20質量部に変更した以外は、実施例6と同様にして、実施例7の正極及びアルカリ二次電池を作製した。
(実施例8)
実施例6における正極インキ中のバインダー樹脂不揮発分100質量部に対するラジカル捕捉剤の量を1質量部に変更した第1正極インキ、及びラジカル捕捉剤の量を3質量部に変更した第2正極インキを作製した。
次いで、実施例6と同様にして、基材に、第2正極インキを塗工・乾燥し、厚みが50μmの第2正極インキ層を形成し、上記第2正極インキ層上に、第1正極インキを塗工・乾燥し、厚みが50μmの第1極インキ層を形成し、全体として厚みが100μmの正極合材層を形成した。
すなわち、ラジカル捕捉剤の分布が、正極合材層の表層側よりも、基材側のほうが密とされるようにした以外は、実施例6と同様にして、実施例8の正極及びアルカリ二次電池を作製した。
(実施例9)
<正極インキの作製>
実施例6における正極インキ中のバインダー樹脂の不揮発分100質量部に対するラジカル捕捉剤の量を0.5質量部に変更し、カーボン100質量部に対するラジカル捕捉剤の量を5質量部に変更した以外は、実施例6と同様にして、正極インキを作製した。
<プライマー組成物の作製>
第2導電性材料として、平均粒径25μm、アスペクト比68の葉状グラファイト(日本黒鉛工業(株)製、UP-20)を100質量部に対して分散剤(BASF(株)製、Joncryl 70J)を5部添加し乾燥後の残留固形分が30%となるよう純水を添加し、プライマー組成物の調整を行った。その後、このプライマー組成物をビーズミルで20パス分散処理を行った。
<プライマー層の形成>
厚み15μmのNiめっき鋼板からなる基材の両面に、プライマー組成物をアプリケータで塗工し、その後乾燥させてプライマー層を形成した。プライマー層の質量Mp100質量部に対し、正極インキ中のラジカル捕捉剤の質量Mrが15質量部になるように、片面あたりの厚みを考慮して形成した。
<正極合材層の形成>
プライマー層に対して、上記正極インキを目付量150g/mとなるようにアプリケータで塗工し、乾燥後の厚みが100μmとなるように正極合材層を形成し、実施例9の正極を作製した。
<アルカリ二次電池の作製>
本実施例の正極を用いた以外は、実施例1と同様にして負極を作製し、実施例9のアルカリ二次電池を作製した。
(実施例10)
実施例9におけるプライマー層の質量Mp100質量部に対し、正極インキ中のラジカル捕捉剤の質量Mrが0.01質量部となるように変更した以外は、実施例9と同様にして、実施例10の正極及びアルカリ二次電池を作製した。
(実施例11)
実施例9におけるプライマー層の質量Mp100質量部に対し、正極インキ中のラジカル捕捉剤の質量Mrが10質量部となるように変更した以外は、実施例9と同様にして、実施例11の正極及びアルカリ二次電池を作製した。
(比較例1)
実施例1におけるラジカル捕捉剤を含有しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の正極及びアルカリ二次電池を作製した。
Figure 0007040966000001
(評価)
上述の通り作製した実施例1~11及び比較例1のアルカリ二次電池について、以下の要領で「サイクル寿命」、「出力特性」を評価した。
<サイクル寿命>
作製した実施例1~11及び比較例1のアルカリ二次電池について、0.2c,120%充電-0.2c,1.0Vカット放電10サイクルの活性化処理を行った後、1cで60分間充電の後10分間休止を挟み、1cで1.0Vまで放電し、10分間休止を設けるプログラムを1サイクルと規定し、上記サイクルを休み無く繰り返し実行した。ここで、評価に使用する正極に含まれる活物質の重量あたりの理論電気容量の8割にあたる電気容量を100%電気容量とした。すなわち、放電深度80%での充放電試験を実施した。その後、放電利用率が60%を下回るところで試験終了とし、そのサイクル回数をサイクル寿命とした。その結果を下記評価基準で評価し、表1に示す。
[評価基準]
◎:サイクル寿命が3000回以上
○:サイクル寿命が2000回~3000回
×:サイクル寿命が2000回未満
<出力特性>
作製した実施例1~11及び比較例1のアルカリ二次電池について、1cで60分間充電の後10分間休止を挟み、10cで1.0Vまで放電した際の放電利用率を出力特性とし、以下の評価基準で評価した。評価結果を表1に示す。
[評価基準]
○:放電利用率が75%以上
×:放電利用率が75%未満
表1に示すように、所定の含有率でラジカル捕捉剤が含まれた実施例1~11は、ラジカル捕捉剤が含まれているため、正極における酸化を低減し、サイクル寿命、出力特性が良好である。特に、プライマー層を有する実施例9~11では、プライマー層を設けた影響が大きく、実施例1~8のいずれよりもサイクル寿命、出力特性に優れた結果であった。また、同様に、出力特性についても、導電助剤の有無による出力特性の差が大きく影響する傾向があった。
ここで、各実施例の電池性能として、出力特性については、「実施例10及び実施例11」、「実施例9」、「実施例7」、「実施例6及び実施例8」、「実施例1~5」の順で優れていた。また、各実施例の電池性能として、サイクル寿命については、「実施例9~11」、「実施例6~8」、「実施例4及び実施例5」、「実施例1~3」の順で優れていた。一方、比較例1では、サイクル寿命、出力特性の結果が好ましくなかった。
このように、表1に示す結果から、出力特性及びサイクル寿命が良好なアルカリ二次電池用正極及びアルカリ二次電池を提供することができる。
10 アルカリ二次電池用正極
11 基材
12(12A,12B) プライマー層
13(13A,13B) 正極合材層

Claims (10)

  1. 金属製の基材と、
    前記基材の片面又は両面に設けられ、正極活物質、ラジカル捕捉剤、及びバインダー樹脂を含む正極合材層とを積層してなり、
    前記ラジカル捕捉剤を、前記ラジカル捕捉剤を除く前記正極合材層全体100質量部に対して0.01質量部以上5質量部以下含有し、
    前記ラジカル捕捉剤の分布が、前記正極合材層の表層側よりも基材側のほうが密とされ、
    前記ラジカル捕捉剤がヒンダードアミンであることを特徴とするアルカリ二次電池用正極。
  2. 金属製の基材と、
    前記基材の片面又は両面に設けられ、正極活物質、ラジカル捕捉剤、及びバインダー樹脂を含む正極合材層とを積層してなり、
    前記ラジカル捕捉剤を、前記ラジカル捕捉剤を除く前記正極合材層全体100質量部に対して0.01質量部以上5質量部以下含有し、
    前記ラジカル捕捉剤がヒンダードアミンであり、
    前記基材と、前記正極合材層との間に導電性を有するプライマー層が設けられ、
    前記プライマー層100質量部に対する前記ラジカル捕捉剤の含有量が0.01質量部以上10.0質量部以下であることを特徴とするアルカリ二次電池用正極。
  3. 前記ラジカル捕捉剤の含有量が、前記バインダー樹脂100質量部に対して0.01質量部以上20.0質量部以下である請求項1に記載のアルカリ二次電池用正極。
  4. 前記活物質が水酸化ニッケルである請求項1~3のいずれか一項に記載のアルカリ二次電池用正極。
  5. 前記正極合材層に第1導電性材料が含まれ、該第1導電性材料100質量部に対する前記ラジカル捕捉剤の含有量が0.01質量部以上20.0質量部以下である請求項1~のいずれか一項に記載のアルカリ二次電池用正極。
  6. 第1導電性材料がカーボンである請求項に記載のアルカリ二次電池用正極。
  7. 前記基材の厚みが6μm以上30μm以下である請求項1~のいずれか一項に記載のアルカリ二次電池用正極。
  8. 前記基材がニッケルめっき鋼鈑である請求項1~のいずれか一項に記載のアルカリ二次電池用正極。
  9. 請求項1~のいずれか一項に記載のアルカリ二次電池用正極と、
    負極と、
    セパレータとを有することを特徴とするアルカリ二次電池。
  10. 前記負極が水素吸蔵合金、カドミウム、又は亜鉛を含む請求項に記載のアルカリ二次電池。
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