しかしながら、封入式遊技機においても、遊技に用いられる遊技球は遊技機内の所定箇所(貯留部という)に一時的に蓄えられ、そこから発射などに用いられる。この貯留部が汚れていると、遊技球を磨いても、貯留部に付着した汚れが遊技球に再付着する可能性がある。特に封入式遊技機においては、発射した遊技球が再び当該遊技機で発射されるまでの時間が、非封入式遊技機と比較して極めて短くなる。この結果、遊技球が汚れる前記要因も頻繁に発生することとなる。こうしたことから貯留部の清掃の必要性も高いのだが、貯留部はその機能上、ほぼ常に遊技球が貯留された状態となっており、清掃の都度、貯留部の遊技球を別の箇所に移動させる必要がある。また清掃後には、移動させた遊技球を一つ残らず貯留部に戻す必要がある。
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、貯留部の清掃作業を容易にすることを目的とする。
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明は、遊技球を当該封入式遊技機内で循環して用いる封入式遊技機において、当該封入式遊技機の前面を覆う枠状部材であって、当該封入式遊技機の左右いずれかの端部に設定された上下方向の軸周りに開閉可能な前枠と、該前枠が開放されているか否かを検出する前枠開放検出手段と、遊技球を遊技領域に発射する発射装置と、前記前枠の開放時に露出され、遊技球を貯留するための箱状部材であって、少なくともその上部に開口を有し、前記開口から清掃具を入れることにより清掃が可能な第1貯留部と、該第1貯留部の下方に設けられ、遊技球を貯留するための第2貯留部と、前記第1貯留部に貯留された遊技球を、前記前枠が閉鎖されている場合には前記発射装置に振り分け、前記前枠が開放されている場合には前記第2貯留部に振り分けるための振分手段と、前記第2貯留部に球があるか検出する第2貯留部検出手段と、前枠開放検出手段により前記前枠が閉鎖されていると検出され、且つ前記第2貯留部検出手段により遊技球があることが検出された場合に、前記第2貯留部に貯留された遊技球を前記第1貯留部に揚上する揚上手段とを備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の封入式遊技機において、前記振分手段は、前枠開放検出手段により前記前枠が閉鎖されていると検出された場合に、前記発射装置に振り分ける流路を形成する発射装置振分手段と、前枠開放検出手段により前記前枠が開放されていると検出された場合に、前記第2貯留部に振り分ける流路を形成する第2貯留部振分手段とを備えたことを特徴とする。
なお、振分手段は、第1貯留部内の遊技球を発射装置・第2貯留部の何れかに振り分けるものなので、発射装置に振り分ける流路が形成された場合には、第2貯留部に振り分ける流路は閉鎖され、第2貯留部に振り分ける流路が形成された場合には、発射装置に振り分ける流路は閉鎖されることになる。
請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の封入式遊技機において、前記振分手段は、前記前枠が開放された状態においてのみ操作可能なものであって、該操作を行なうと前記発射装置に振り分ける流路、および前記第2貯留部に振り分ける流路の何れを形成するかを選択可能な流路選択手段を備えたことを特徴とする。
請求項4に記載の本発明は、請求項3に記載の封入式遊技機において、前枠開放検出手段により前記前枠が閉鎖されていると検出された場合に、前記流路選択手段により前記第2貯留部に振り分ける流路が形成されている場合には、該形成を報知する報知動作手段
を備えたことを特徴とする。
請求項5に記載の本発明は、請求項1から4の何れかに記載の封入式遊技機において、前記第2貯留部に貯留された遊技球を研磨する遊技球研磨手段を備えたことを特徴とする。
請求項6に記載の本発明は、請求項1から5の何れかに記載の封入式遊技機において、前記第2貯留部から前記揚上手段に移行した遊技球の数を計数する第2貯留部計数手段と、前記揚上手段から前記第1貯留部に移行した遊技球の数を計数する揚上計数手段と、該揚上計数手段により計数された遊技球数、および前記第2貯留部計数手段により計数された遊技球数が一致すると前記揚上手段の稼動を停止させる揚上停止手段とを備えたことを特徴とする。
請求項1に記載の封入式遊技機(単に遊技機ともいう)によれば、前枠が開放されると第1貯留部(前記貯留部に相当する箱状部材)が露出する。第1貯留部は、その少なくともその上部に開口を有し、該開口から清掃具(ブラシ、クロス、エアスプレーなど)を入れることにより、清掃を受けることが可能にされている。また前枠が開放されると、振分手段が第1貯留部に貯留された遊技球を第2貯留部に振り分ける。これにより、第1貯留部の内部に遊技球がない状態にすることができ、第1貯留部の清掃を容易に行うことができる。なお、前枠が閉鎖されると、第1貯留部内の遊技球は発射装置に振り分けられる。また、この振り分けは前枠の開閉動作に同期して自動的に行なわれても良いし、手動で行なわれても良い(詳しくは後述)。
そして前枠開放検出手段により前枠が閉鎖されていると検出され、且つ第2貯留部検出手段により第2貯留部に遊技球があることが検出された場合には、揚上手段が第2貯留部に貯留された遊技球を第1貯留部に揚上する。従って、第2貯留部に退避させた遊技球を自動的に第1貯留部に戻すことができる。なお、第1貯留部は前枠の裏側に設けてもよいし、前枠の閉鎖時には該前枠に覆われる当該遊技機の本体(内枠)側に設けてもよい。このように構成することにより、前枠の開放時に第1貯留部が露出されることとなる。また、第1貯留部の前記開口は、常に開いている状態でも良いし、蓋を備えている構成でも良い。そして該蓋は、前枠が開放されるのに連動して自動的に開く構成でも良いし、清掃者が手動で開ける構成でも良い。
請求項2に記載の遊技機によれば、振分手段は、前枠が閉鎖されている場合に第1貯留部内の遊技球を発射装置に振り分ける流路を形成する発射装置振分手段と、前枠が開放されている場合に第1貯留部内の遊技球を第2貯留部に振り分ける流路を形成する第2貯留部振分手段とを備えている。なお、前枠が開放されているか閉鎖されているかは、前枠開放検出手段により検出される。つまり、前枠の開閉状態を判定して、第1貯留部内の遊技球を発射装置または第2貯留部に自動的に振り分けている。このため、前枠を開放すれば第1貯留部内の遊技球を第2貯留部に退避させることができる。そして前枠を閉鎖すれば、第1貯留部内の遊技球は発射装置に振り分けられる。
なお、前枠を閉鎖した直後は、殆ど(又は全て)の遊技球は第2貯留部にあるので、振分手段によって行なわれるのは、第1貯留部から発射装置への流路の形成であり、揚上手段によって第2貯留部内の遊技球が第1貯留部に揚上された後に、第1貯留部から発射装置へ遊技球が誘導されることとなる。
請求項3に記載の遊技機によれば、流路選択手段を備えており、これを遊技機の管理者(パチンコホールの店員等)が操作することにより、第1貯留部内の遊技球を前記発射装置に振り分ける流路、および第2貯留部に振り分ける流路の何れを形成するかを選択可能にされている。これは、振分手段の振分を、請求項2の如く自動的に行なうのではなく、前記操作を行なう者が行なうようにしたものである。こうすると、操作の手間が増える反面、第1貯留部内の遊技球を目視するなどして、遊技球に異常がないか否かを確認することができる(前枠を開放すると自動的に第1貯留部内の遊技球を第2貯留部に退避させる構成では、遊技球の異常を見逃す可能性がある)。また、第1貯留部の清掃以外の理由で前枠を開放させた場合に、振分手段(特に第2貯留部振分手段)が第2貯留部に遊技球を振り分けるのを防止することができる。なお、第2貯留部に遊技球を退避させたということは、前枠を閉鎖した際に、揚上手段が稼動することを意味する。第1貯留部の清掃以外の理由で前枠を開放させた際には、こうした稼動も無駄になるが、これを防止することもできる。
なお、「前枠が開放された状態においてのみ操作可能」な態様としては、前枠を閉鎖した際には、流路選択手段が前枠に覆われて操作できなくなる構成や、流路選択手段が前枠の裏側に設けられている構成を挙げることができる。また、前枠が閉鎖された状態ではインターロックが掛かって、流路選択手段を操作しても流路の選択ができない(通常は発射装置に振り分ける側に固定する)構成としてもよい。
請求項4に記載の遊技機は報知動作手段を備えており、開放検出手段により前枠が閉鎖されていると検出された場合に、流路選択手段により第2貯留部に振り分ける流路が形成されている場合には、報知動作を行なう。請求項3のように流路選択手段を備えていると、その操作者が発射装置に振り分ける流路を形成するのを忘れて前枠を閉鎖するといった事態が発生する可能性がある。これでは第1貯留部内の遊技球は発射装置に振り分けられないので、遊技球を発射することができない。請求項4に記載の遊技機において前記事態が発生すると、報知動作手段が報知動作を行なうので、再び前枠を開放し、流路選択手段を操作して発射装置に振り分ける流路を形成し、前枠を閉鎖すれば、遊技球を発射することができる。なお、請求項3に記載の本発明において、前記操作をしている間のみ、第2貯留部に振り分けられ、該操作をやめると発射装置に振り分けられるように構成してもよい。こうすると、報知動作手段が不要となる。また、該操作をやめただけでは発射装置に振り分けられず、前枠を閉鎖すると発射装置に振り分けられる構成としてもよい。
請求項5に記載の遊技機は、第2貯留部に貯留された遊技球を研磨する遊技球研磨手段を備えている。第2貯留部に退避された遊技球自体が汚れていると、該遊技球が揚上手段により第1貯留部に戻された際に、第1貯留部を再び汚してしまう可能性がある。この点、請求項5に記載の本発明は遊技球研磨手段を備えているので、第2貯留部に退避された遊技球の汚れを取り除くことができるので、該遊技球が揚上手段により第1貯留部に戻されても、第1貯留部を再び汚すことがない。
なお、遊技球研磨手段を設ける位置は、第2貯留部内でも良いし、揚上手段内でも良い。また、これら双方に設けてもよいし、両者の間に設けてもよい。いずれにせよ、遊技球の流路において、遊技球が第1貯留部に到達する前に設けるのが望ましい。
請求項6に記載の遊技機は、第2貯留部から揚上手段に移行した遊技球の数を計数する第2貯留部計数手段と、揚上手段から第1貯留部に移行した遊技球の数を計数する揚上計数手段とを備えており、揚上計数手段により計数された遊技球数、および第2貯留部計数手段により計数された遊技球数が一致すると、揚上停止手段が揚上手段の稼動を停止させる。つまり、第2貯留部に貯留された遊技球が揚上手段により全て第1貯留部に戻されるまで揚上手段は稼動し続ける。従って、第2貯留部に遊技球が取り残されて、循環されなくなるといったことがない。これにより、遊技機内で循環される遊技球の数を維持することができる。
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
[実施例1]
図1に、封入式遊技機の一実施形態であるパチンコ機50の正面図を示す。パチンコ機50の前面は前枠52に覆われており、前枠52はその左端上下位置に設けられたヒンジ53によりパチンコ機50の本体部に対して開閉可能にされている。前枠52には、遊技球をICカード(後述)から借りる際に操作する貸出ボタン8bと、遊技を終了して持球の数をICカードに記憶する返却ボタン8cと、持球の数を表示する持球表示装置8eと、ICカードの残高(遊技者が保有する遊技球数に相当)を表示するカード残高表示装置8gと、遊技中の演出に用いられる演出ボタン97が設けられている。符号64は発射ハンドルであり、これを時計回りに回転させることにより、その回転角度に応じた強度で遊技球が遊技領域に発射される。また符号66はスピーカである。
パチンコ機50の左にはICカード処理装置100が配置されており、カード挿入口110に挿入されたICカードに残高があれば、その値を残高表示装置8gに表示する。その状態で貸出ボタン8bが操作されると、所定の球数(例えば125個)を単位として残高から差し引き、同数を持球表示装置8eに表示する。なお、残高が前記所定の球数に満たない場合は全ての残高が差し引かれ、同数が持球表示装置8eに表示される。返却ボタン8cが押されると、前述のように持球の数をICカードに記憶して、ICカードをカード挿入口110から排出する。
図2に、図1から前枠52を取り外した様子を示す。内枠70に形成された遊技領域3は、ガイドレール16等によって囲まれた略円形の領域であり、図示しない多数の遊技釘が植設されている。発射装置31から発射された遊技球は、ガイドレール16に沿って遊技領域3に誘導される。なお、発射力が不足して遊技領域3に到達できなかった遊技球32は、ガイドレール16に沿って逆流してファール球センサ93に検出され、前枠52に形成された排出口(後述)に連結する穴33から流出する。また、図示しないが発射装置31は発射球センサを備えており、発射した遊技球数を検出可能に構成されている。
遊技領域3のほぼ中央には、液晶画面を有する演出図柄表示装置6が配置され、演出図柄や演出用の画像や遊技に係わる情報が表示される。また、遊技領域3には、常時入賞可能な第1始動口11、普通電動役物として構成された第2始動口12、一般入賞口13、アタッカー式の大入賞口14や、アウト口15、普通図柄作動ゲート17等が設けられている。なお、これらの構成は、前枠52が閉じられた状態でも、板ガラス61(図1参照)を通して視認可能にされている。
前記各種入賞口などに入賞した遊技球の流れを図3に示す。なお、図3は入賞した遊技球の流れの「概略」を示すもので、例えば第1始動口11に入賞した遊技球が本図に示すような経路を通る訳ではない。また、図2で記載した発射装置31などは省略している。実際には遊技領域3の奥に配された誘導路を通って、後述するアウト球センサに誘導される。第1始動口11、第2始動口12、一般入賞口13、アタッカー式の大入賞口14に入った遊技球は各入賞口に対応して設けられたセンサにて検出された後、回収経路34に集約され、アウト球センサ92にて検出された後、前記排出口(後述)に連結する穴35から流出する。なお、アウト口15に入った遊技球も回収経路34に誘導され、アウト球センサ92にて検出され、穴35から流出する。前記発射球センサにて検出された遊技球数は持球数から減算され、ファール球センサ93に検出された遊技球数は持球数に加算される。
前枠52の裏側を図4に示す。前記排出口37に誘導された遊技球は、板ガラス61のすぐ下方に配置された第1貯留部38に貯留される。第1貯留部38は上方が開口した箱状部材となっており、前枠52を開放すると該開口からブラシやクロスなどを入れて、第1貯留部38の内部を清掃可能な構造をしている。そして第1貯留部38を清掃する際には、前枠52を開放することになる。第1貯留部38の底面は本図の左方が低くなるように傾斜しており、第1貯留部38内の遊技球は、該底面を転動して振分通路39へ流出する。振分通路39には振分装置40が設けられており、振分通路39に流入した遊技球を、球送り装置41および第2貯留部43の何れかに振り分ける。球送り装置41は発射装置31(図2参照)に連通しており、発射ハンドル64が回転されると、振分通路39から流入した遊技球を1分間に100個のペースで遊技球を1個ずつ発射装置31に送る。
振分装置40は、主制御装置(直接には払出制御装置。いずれも後述)からの指令に基づいて図示しないソレノイド(振分用ソレノイド)を駆動することにより、シャッター44を本図において左右に動かすものである。シャッター44の動きと遊技球の流路について図5に示す。シャッター44が右位置(図4と同じ位置)にある場合は、図5(a)に示すように、振分通路39を流下した遊技球32はシャッター44により第2貯留部43に至るのを阻止され、球送り装置41に誘導される。一方、シャッター44が左位置にある場合は、図5(b)に示すように、振分通路39を流下した遊技球32は、シャッター44に阻害されることなく第2貯留部43に到達する。振分通路39にはシャッター44が左右どちらに位置しているかを検出するセンサ(図示省略)が設けられており、その検出信号は前記払出制御装置に入力され、シャッター44が球送り装置41、第2貯留部43のどちらに振り分ける状態になっているかを、前記払出制御装置が判定可能に構成されている。
第2貯留部43は第1貯留部38の下方に位置し、第2貯留部43に流入した遊技球32は図5(b)に示すように右方(パチンコ機50を正面から見ると左方)へ流れ、研磨装置45に至る。研磨装置45は、その内部に遊技球を本図の右方向に搬送するベルトコンベアを備えており、該ベルトコンベアの上方に固定された研磨布とで前記遊技球を圧接しつつ前記搬送を行なうことにより、遊技球の汚れを取り除いて磨き上げるものである。そして前記払出制御装置からの指令に基づき、研磨装置45の起動・停止が制御される。なお、第2貯留部43と研磨装置45の間には第2貯留部検出センサ54が設けられており、第2貯留部43における遊技球の有無、および第2貯留部43から研磨装置45に流入した遊技球の数を検出可能に構成されている。研磨装置45から流出した遊技球32は揚上装置46により上昇され、第1貯留部に戻される。揚上装置46も前記主制御装置(直接には払出制御装置)からの指令に基づき、その起動・停止が制御される。揚上装置46と第1貯留部38の間には揚上完了センサ55が設けられており、揚上装置46から第1貯留部38に到達した遊技球の数を検出可能に構成されている。また、第1貯留部38、第2貯留部43とも、それぞれパチンコ機50内で循環される全ての遊技球(パチンコ機50では100個)を貯留可能な大きさにされている。
図6に、第1実施例のパチンコ機50の電気的構成の概略を示す。このブロック図には、単に信号を中継するだけのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細な図示は省略するが、主制御装置80、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83はいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
主制御装置80には、遊技盤中継端子板74を介して、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄作動ゲート17を通過した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ14a、一般入賞口13に入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ13a等の検出信号が入力され、裏配線中継端子板75を介して、前枠閉鎖スイッチ18、内枠閉鎖スイッチ19からの検出信号が入力される。
また、主制御装置80には払出制御装置81を介して、上述した発射球センサ91、アウト球センサ92、ファール球センサ93からの検出信号が入力され、パチンコ機50内で循環する遊技球の管理が行われる。また、第2貯留部検出センサ54、揚上完了センサ55による検出信号も、払出制御装置81を介して主制御装置80に入力される。なお、本実施例では、パチンコ機50に封入されている遊技球の数は、100個となる。
主制御装置80は、搭載しているプログラムに従って動作し、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成してサブ統合制御装置83に出力する。また、主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている特図表示装置9及び普通図柄表示装置7の表示、特図保留数表示装置9a、普図保留数表示装置8の点灯を制御する。これら表示装置は、遊技領域の右下部56に配置されている(図2または図3参照)。
図6に戻る。主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド12bを制御することで普通電動役物(第2始動口12)の開閉を制御する。また、主制御装置80は、裏配線中継端子板75および外部接続端子板78を介して、パチンコ機外の管理装置であるホールコンピュータ87と電気的に接続される。
主制御装置80は、払出制御装置81およびICカード中継基板23を介してICカード処理装置100と通信可能に構成されている。また、主制御装置80は、払出制御装置81およびICカード中継基板23を介してカード残高表示装置8gにICカードに対応した残高、持球表示装置8eに持球数を表示させると共に、貸出ボタン8b、返却ボタン8cの操作を検知する。
また、主制御装置80は、持球が存在し発射禁止設定が為されていない場合、払出制御装置81を介して発射制御装置84による遊技球の発射を許可する。発射制御装置84は、発射モータ30を制御して遊技球を遊技領域3に発射する。
なお、発射制御装置84には発射ハンドル64からの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号が入力される。回動量信号は、遊技者が発射ハンドル64を操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドル64を触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル64を触っていても遊技球は発射されない。
サブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカからの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が主制御装置80からの入力に基づいて生成したものとがある)に基づく制御を行い、擬似図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面に表示させる。尚、サブ統合制御装置83と主制御装置80とは、間に演出中継端子板65を介した主制御装置80からサブ統合制御装置83への一方向通信回路として構成され、サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とはサブ統合制御装置83から演出図柄制御装置82への一方向通信回路として構成されている。
払出制御装置81にて実行される振分制御処理の概要を図7のフローチャートに示す。当処理は前枠52の開閉動作に基づく割込み処理にて起動される。当処理が起動されるとまずS100にて前枠閉鎖スイッチ18の検出結果に基づき、前枠52が開放中か否かを判定する。肯定判断(S100:yes)なら、S105に移行して第2貯留部43に遊技球を振り分けるように、振分装置40を切り替える(具体的にはシャッター44を図5(b)の位置にする)指令を払出制御装置81に出力し、当処理を終了(リターン)する。否定判断(S100:no)すなわち前枠52が閉鎖している場合は、S110に移行し、振分装置40が第2貯留部43に遊技球を振り分ける状態となっているか否かを判定する。否定判断(S110:no)ならそのまま当処理を終了する。肯定判断(S110:yes)なら振分装置40が発射装置31(球送り装置41)に遊技球を振り分ける状態にする(具体的にはシャッター44を図5(a)の位置にする)。
続いてS120に移行し、第2貯留部43に遊技球が存在するか否かを第2貯留部検出センサ54の検出信号に基づいて判定する。肯定判断なら研磨装置45を稼動させる信号を出力し、研磨装置45を稼動させる(S130。以下、信号を出力する旨は省略し「研磨装置45を稼動し」等と記す)。なお、研磨装置45が稼動していない状態では、遊技球は第2貯留部検出センサ54の位置で停留される。そして揚上装置46を稼動し(S140)、S120に戻る。S120が否定判断、すなわち第2貯留部43に遊技球が存在しない場合は、S150にて、第2貯留部検出センサ54が検出した遊技球数と、揚上完了センサ55が検出した遊技球数とが等しいか否かを判定する。否定判断ならS150に戻って両者が等しくなるまで待機し、肯定判断なら研磨装置45を停止し(S160)、揚上装置46を停止(S170)し、当処理を終了する。
以上のように構成された遊技機によれば、前枠52を開放すると、第1貯留部38に貯留してある遊技球32を振分装置40が第2貯留部43に導く(S110)。これにより、前枠52を開けば、第1貯留部38は速やかに遊技球がない状態になるので、第1貯留部38を容易に清掃することができる。なお、球送り装置41および発射装置31には遊技球を貯留する機能がないので、球送り装置41に遊技球を振り分ける状態では2,3個程度しか球送り装置41および発射装置31に遊技球を送ることができず、第1貯留部38を空にすることは困難である。これに対し、第2貯留部43は、パチンコ機50内で循環される全ての遊技球を貯留可能にされているので、第1貯留部38を空にすることができる。そして第2貯留部43に導かれた遊技球は研磨装置45により磨かれるため、遊技球が第1貯留部38に再び貯留された際に、遊技球の汚れにより第1貯留部38が再び汚れるといった事態を防止することができる。また、第2貯留部43に退避された遊技球は前枠52を閉じることで、揚上装置46により第1貯留部38に戻されるので、遊技球の発射を手間なく、再開することが可能となる。
また、第2貯留部検出センサ54が検出した遊技球数と、揚上完了センサ55が検出した遊技球数とが等しくなるまで研磨装置54および揚上装置46の稼動を続ける(S150:no)ので、第2貯留部43に遊技球が取り残されて、循環されなくなるといったことがない。これにより、パチンコ機50内で循環される遊技球の数を維持することができる。
ここで本実施例の構成と、本発明の構成要件との対応関係を示す。前枠閉鎖スイッチ18が本発明の「前枠開放検出手段」に相当し、振分装置40が本発明の「振分手段」に相当し、第2貯留部検出センサが本発明の「第2貯留部検出手段」と「第2貯留部計数手段」を兼ねたものに相当し、揚上完了センサ55が本発明の「揚上計数手段」に相当し、揚上装置46が本発明の「揚上手段」に相当し、S115の処理が本発明の「発射装置振分手段」に相当し、S105の処理が本発明の「第2貯留部振分手段」に相当し、研磨装置45が本発明の「遊技球研磨手段」に相当し、S150およびS170の処理が本発明の「揚上停止手段」に相当する。
[実施例2]
本発明の第2実施例について図8〜9を用いて説明する。なお、本実施例は実施例1と共通点が多いため、異なる点のみを重点的に説明する。当第2実施例においては、振分装置40を廃し、球送り装置41か第2貯留部かの切換をパチンコホールの店員などが行なう構成となっている。従って、電気的構成図も振分装置40の関連が変化するのだが図示を省略する。
第2実施例の振分制御処理(振分制御処理2)の概略は図8のようなもので、当処理が起動されるとまずS200にて前枠閉鎖スイッチ18の検出結果に基づき、前枠52が開放中か否かを判定する。肯定判断(S200:yes)なら、そのまま当処理を終了(リターン)する。否定判断なら切替スイッチが発射装置31(球送り装置41)側になっているか否かを判定する。切替スイッチとは、球送り装置41および第2貯留部43の何れに遊技球を振り分けるかを切り替えるためのもので、図9に示すようにシャッター44の近傍に配置されたダイヤル状の操作部(符号57)となっている。この切替スイッチ57が図9(a)のような角度になっていると、シャッター44が右側に位置し、第1貯留部38の遊技球は球送り装置41(ひいては発射装置31)に振り分けられる。この状態から、切替スイッチ57を図9(b)のような角度に回転させると、シャッター44が左側に移動し、第1貯留部38の遊技球は第2貯留部43に振り分けられる。
切替スイッチ57が発射装置31側になっていなければ(S210:no)、S290にて報知動作を行ない、当処理を終了する。報知動作(S290)とは、サブ統合制御装置83に指令を発して、スピーカ66およびランプ26を制御させ、それぞれ音声および光を出力することである。こうすることにより、切替スイッチ57が発射装置31側になっていない(発射ハンドル64を回動させても遊技球を発射できない)ことをパチンコホールの店員などに知らせる。切替スイッチ57が発射装置31側になっている場合(S210:yes)は、S220に移行し、第2貯留部43に遊技球が存在するか否かを第2貯留部検出センサ54の検出信号に基づいて判定する。以下、S220〜S270の処理は、第2実施例の振分制御処理(図7)のS120〜S170の処理とそれぞれ同じである。そしてS270にて揚上装置46を停止すると、当処理を終了する。
以上のように構成された遊技機によれば、前枠52が閉鎖された状態では、第1貯留部38に貯留された遊技球は発射装置31(球送り装置41)に振り分けられる状態となっている。そして第1実施例の構成とは異なり、前枠52を開放しただけでは、第1貯留部38に貯留された遊技球は第2貯留部43に振り分けられない。遊技者が切替スイッチ57を操作することにより、第1貯留部38内の遊技球が第2貯留部43に誘導される。こうすると、第1実施例の構成に比べて、切替スイッチ57を操作する分、手間が掛かるが、第1貯留部38内の遊技球を目視するなどして、遊技球に異常がないか否かを確認することができる(第1実施例の構成では、前枠52を開放すると自動的に、遊技球が第2貯留部43に振り分けられるので、異常を見逃す可能性がある)。また、第1貯留部38の清掃以外の理由で前枠52を開放させた場合に、振分装置40が不要な動作をする(具体的には第2貯留部43に遊技球を振り分ける)のを防止することができる。なお、第2貯留部43に遊技球を振り分けるということは、研磨装置45および揚上装置46も稼動するということである。これらの不要な動作も防止することができる。
そして、前記操作者が、切替スイッチ57を第2貯留部43に振り分ける状態にしたまま前枠52を閉鎖した場合には、報知動作(S290)が行なわれるので、こうした異常も未然に知ることができる。
なお、第2実施例では、切替スイッチ57が本発明の「流路選択手段」に相当し、S200,S210及びS290の処理が本発明の「報知動作手段」に相当する。
[他の実施例]
前記実施例ではいずれも、発射装置31は遊技領域の右下に配置されていたが、他の場所(例えば遊技領域の左上)に配置された遊技機に本発明を適用しても良い。この場合には、第1貯留部38から球送り装置41までの距離が球磨きに十分な程度、確保できると考えられるので、研磨装置45を第1貯留部38と球送り装置41の間に設けてもよい。なお、前記実施例と同様、第2貯留部43と揚上装置46の間にも研磨装置45を設けてもよい。
前記実施例では、払出制御装置81が振分装置40や揚上装置46などを制御していたが、主制御装置80が振分装置40などを制御しても良い。また、アウト球センサ92や第2貯留部検出センサ54などからの信号を、払出制御装置81を介さずに主制御装置80が受信するように構成し直してもよい。なお、振分制御処理および振分制御処理2は、前枠52の開閉動作をトリガとする割り込み処理であったが、これ以外のものを契機として起動してもよい。
パチンコ機50内で循環される遊技球の数は100個以外の値でも良い。その場合には、遊技球数に合わせて、第1貯留部38および第2貯留部43の容量を必要に応じて増減させるとよい。