以下、本発明の一実施形態である封入式遊技機1について、図面を参照して説明する。まず、図1および図2を参照して、封入式遊技機1の機械的構成について説明する。以下の説明において、図1の紙面手前側、紙面奥行き側を、夫々、封入式遊技機1の正面側、背面側とする。封入式遊技機1は、複数の遊技球を機械内部に封入して循環させるパチンコ機である。
図1を参照して、封入式遊技機1の全体構成について説明する。封入式遊技機1の上半分の部分には、正面視略正方形の遊技盤2が設けられている。遊技盤2は、中枠(図示せず)に保持されている。遊技盤2の略中央には、各種演出を実行するための演出画面21が設けられている。演出画面21では、例えば、大当たり判定の結果を遊技者に報知する演出等が実行される。演出画面21の下方には、特別図柄始動電動役物22が設けられている。特別図柄始動電動役物22は開閉部材を備える。開閉部材が開放されると、特別図柄始動電動役物22への遊技球の入賞が容易になる。封入式遊技機1は、特別図柄始動電動役物22への遊技球の入賞を契機として乱数を取得し、取得した乱数に基づいて大当たり判定を行う。特別図柄始動電動役物22の下方には、大入賞口23が設けられている。大入賞口23は開閉部材を備え、開閉部材が開放されなければ遊技球は大入賞口23へ入賞できない。封入式遊技機1は、大当たり判定の結果が大当たりである場合に、大入賞口23の開閉部材を開放させて大当たり遊技を実行する。封入式遊技機1は、特別図柄始動電動役物22を開放させるための普通当たり判定も実行するが、この説明は省略する。なお、普通当たり判定のみを実行する封入式遊技機(例えば、一般電役機)等にも本発明が適用できることは言うまでもない。
遊技盤2は、透明なガラス板4を保持した前面枠3によって前面を保護されている。前面枠3の左端部は、正面視矩形枠状(全体形状は図示せず)の外枠9に対して水平に開閉可能な状態で軸支されている。前面枠3におけるガラス板4の周囲には、ガラス板4を取り囲むように、略円形の照明装置5が設けられている。また、前面枠3は、上部の左右の角の各々にスピーカ6を備える。さらに、前面枠3の右上の角には、交換報知ランプ7および清掃報知ランプ8が設けられている。詳細は後述するが、交換報知ランプ7は、研磨機構25(図2参照)の交換時期が到来した旨を作業者に報知する。清掃報知ランプ8は、研磨機構25の研磨部材31の清掃時期が到来した旨を作業者に報知する。交換報知ランプ7および清掃報知ランプ8は、点灯中であることを作業者が容易に確認できるように、正面側に僅かに突出している。
前面枠3の下方には支持枠10が設けられている。支持枠10の左端部は、外枠9に対して水平に開閉可能な状態で軸支されている。作業者は、前面枠3を開放させた状態で、フック(図示せず)を押さえながら支持枠10を手前に引くことで、支持枠10を開放させることができる。後述する研磨機構25は、中枠(図示せず)における支持枠10の背面側に固定されている。作業者は、支持枠10を開放させることで研磨機構25の整備を行うことができる。支持枠10は、情報表示画面11、タッチパネル12、発射ハンドル14、および錠15を備える。
情報表示画面11は支持枠10の略中央に設けられており、持球数の情報、金額の残高情報、貯球情報(景品と交換せずに遊技場に貯蓄した遊技球数)等の遊技情報を表示する。従って、遊技者は、情報表示画面11を見ることで、持球数等を常に容易に確認できる。また、封入式遊技機1は、研磨機構25(図2参照)の整備時期の報知方法を設定するための設定画面(図5および図6参照)を情報表示画面11に表示させる。さらに、エラーの発生、研磨機構25の整備時期等を情報表示画面11に表示させることも可能である。
タッチパネル12は、情報表示画面11の表示面の表面に設けられている。遊技者、作業者等は、タッチパネル12を操作することで各種指示を入力する。例えば、作業者は、研磨機構25の整備時期の報知方法を、タッチパネル12を操作して設定する。また、封入式遊技機1は、飲料等の物品の注文を情報表示画面11およびタッチパネル12を用いて受け付けることができる。
発射ハンドル14は、支持枠10の右下部に設けられている。図示しないが、発射ハンドル14は、遊技者が触れているか否かを検出するタッチセンサと、回転角を検出する角度センサとを備える。発射機構37(図3参照)は、タッチセンサおよび角度センサによる検出結果に基づいて、遊技球の発射を調整する。
錠15は、支持枠10の右上部に設けられている。例えば、作業者は、鍵(図示せず)を錠15に挿入して反時計回りに回転させることで、遊技盤2を保持する中枠(図示せず)を開放させることができる。鍵を時計回りに挿入させることで、前面枠3を開放させることができる。
封入式遊技機1の左端には、球数管理ユニット17が装着されている。球数管理ユニット17は、現金が挿入される現金挿入口18と、会員カード、プリペイドカード等が挿入されるカード挿入口19とを備える。球数管理ユニット17は、カード挿入口19に挿入されたカードの情報の読み書きを行うことで、金額の残高、貯球等の情報を管理する。
図2を参照して、研磨機構25について説明する。図2の左下側、右上側を、夫々、研磨機構25の正面側、背面側とする。前述したように、研磨機構25は、中枠(図示せず)における支持枠10(図1参照)の背面側に固定されている。研磨機構25は、本体26、スクリュー27、モータ30、研磨部材31、およびカバー32を主に備える。
本体26は、正面が開放された中空状の部材であり、上下方向に真っ直ぐに延びる。本体26の左右の側面の各々には、後述するカバー32の爪33を係止させるための係止穴28が3箇所に形成されている。また、本体26の左右の側面の各々の内側には、研磨部材31を位置決めするための段部29が形成されている。スクリュー27は、本体26の内部に設けられている。スクリュー27の軸線方向と、本体26の軸線方向とは平行である。モータ30は、本体26の底面に固定されている。モータ30の出力軸はスクリュー27に接続しており、モータ30が回転することでスクリュー27が回転する。
本体26の右側の下端部には、遊技に使用されて回収された遊技球(アウト球)を誘導するアウト球流路35が接続している。また、本体26の左側の上端部には、遊技球を発射機構37(図3参照)へ誘導するための発射球流路36が接続している。アウト球は、アウト球流路35を通過して本体26の下端部へ侵入する。本体26へ進入した遊技球は、回転するスクリュー27によって上方へ移動する。遊技球は、本体26の上端部へ到達すると、発射球流路36を通って発射機構37へ移動する。
研磨部材(バフ)31は、ゴム、スポンジ等によって形成されている。スクリュー27によって上方へ移動する遊技球は、研磨部材31に接触することで研磨される。研磨部材31の形状は、正面視矩形の略板状であり、背面側は遊技球の形状に合わせて凹状に湾曲形成されている。作業者が研磨部材31を本体26の正面側から押し込むと、研磨部材31の左右の縁部が本体26の段部29に接触し、研磨部材31が正確に位置決めされる。
カバー32は、平面視略U字状、正面視矩形の部材である。カバー32の内側には、研磨部材31を遊技球に適度に押圧するための板ばね(図示せず)が設置されている。カバー32の左右の背面側端部の各々には、本体26の係止穴28の位置に対応するように、内側へ突出する爪33が3つずつ形成されている。作業者が爪33を係止穴28に係止させると、研磨部材31および本体26の正面側開口はカバー32で覆われる。その結果、研磨部材31が本体26に固定される。作業者は、爪33を係止穴28から取り外すことで、研磨部材31を露出させることができる。
研磨機構25が多数の遊技球を研磨すると、研磨部材31には塵等が蓄積される。よって、研磨部材31は定期的に清掃することが望ましい。また、より多くの遊技球を研磨すると、研磨部材31が磨り減って十分な研磨が行われない。よって、研磨部材31は定期的に交換することが望ましい。研磨機構25では、研磨部材31は交換可能な状態で本体26に設置されるため、作業者は容易に研磨機構25の整備(つまり、清掃および交換)を行うことができる。なお、研磨機構25の構成を変更できることは言うまでもない。例えば、研磨部材31に布、紙等を用いてもよい。スクリュー27の代わりにベルト等を用いて遊技球を移動させてもよい。
図3を参照して、封入式遊技機1の電気的構成について説明する。図3に示すように、封入式遊技機1の制御部40は、主基板41、サブ制御基板58、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、および中継基板47を備える。
主基板41は、封入式遊技機1の主制御を司る。主基板41の主基板CPUユニット50には、各種の処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。主基板CPUユニット50には、割込信号発生回路57が接続されている。CPU51は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。主基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ制御基板58、中継基板47、出力ポート55、始動スイッチ72、球数管理ユニット17、および発射機構37に接続されている。出力ポート55は、外部の遊技場管理用コンピュータ(図示せず)に封入式遊技機1の情報を出力する。始動スイッチ72は、特別図柄始動電動役物22(図1参照)に入賞した遊技球を検出する。
サブ制御基板58は、CPU581、RAM582、およびROM583を備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、およびスピーカ6に接続している。サブ制御基板58は、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。ランプドライバ基板46は、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って、照明装置5、交換報知ランプ7、および清掃報知ランプ8等を制御する。演出制御基板43は、CPU43a等を備え、演出画面21の表示を制御する。
サブ制御基板58は、整備完了ボタン61、解除・延長ボタン62、情報表示画面11、タッチパネル12、および発射機構37に接続している。サブ制御基板58は、タッチパネル12から入力される指示を受け付けると共に、情報表示画面11の表示を制御する。整備完了ボタン61は、研磨機構25の整備(研磨部材31の清掃または交換)が完了した際に作業者によって押下される。また、作業者は、研磨機構25の整備時期の報知に関する情報をリセットする際に、整備完了ボタン61を長押しする。解除・延長ボタン62は、研磨機構25の整備時期の報知を解除して報知時期を再設定させる際に、作業者によって押下される。整備完了ボタン61および解除・延長ボタン62は、封入式遊技機1の背面側または内部に設けられるため、開錠しなければ操作できない。発射機構37は、遊技球を発射している間に、駆動中であることを示すコマンドをサブ制御基板58および研磨機構25に出力する。詳細は後述するが、サブ制御基板58は、主基板41および発射機構37等から受信したコマンドに基づいて、研磨機構25の整備時期が到来したか否かを判断する。また、研磨機構25は、発射機構37の駆動中にモータ30(図2参照)を回転させて、遊技球の研磨を行う。
中継基板47には、入賞球検出スイッチ73、発射球検出スイッチ74、はずれ球検出スイッチ75、電動役物開閉ソレノイド77、および図柄表示部78が接続されている。入賞球検出スイッチ73は、特別図柄始動電動役物22以外の入賞口(例えば、大入賞口23等)の各々に設けられており、各入賞口に入賞した遊技球を検出する。発射球検出スイッチ74は発射機構37に設けられており、発射機構37によって発射された遊技球(以下、「発射球」という。)を検出する。はずれ球検出スイッチ75は、発射機構37によって発射された遊技球のうち、いずれの入賞口にも入賞しなかったはずれ球を検出する。電動役物開閉ソレノイド77は、特別図柄始動電動役物22および大入賞口23が備える開閉部材を開閉する。図柄表示部は、大当たり判定の結果を示す特別図柄等を表示する。
球数管理ユニット17は、前述したように、カードの情報の読み書きを行うことで、金額の残高、貯球等の情報を管理する。主基板41は、球数管理ユニット17から入力した情報と、発射球検出スイッチ74が検出した発射球の情報と、始動スイッチ72および入賞球検出スイッチ73が検出した入賞球の情報とを用いて、持球数を把握する。持球数は、サブ制御基板58等に出力される。また、主基板41は、持球が存在する場合にのみ発射機構37を駆動させる。
図4から図9を参照して、封入式遊技機1のサブ制御基板58による動作について説明する。サブ制御基板58のROM583には、報知方法設定プログラム、稼動量検出プログラム、および整備時期報知プログラムが記憶されている。サブ制御基板58のCPU581は、ROM583に記憶されたプログラムに従って、図4に示す報知方法設定処理、図7に示す稼動量検出処理、および図8に示す整備時期報知処理を実行する。なお、CPU581は、3つの処理を並行して実行することができる。
図4から図6を参照して、報知方法設定処理について説明する。報知方法設定処理は、例えば、封入式遊技機1が遊技場に納品された場合や、研磨機構25の整備方法を見直す場合等に実行される。報知方法設定処理では、研磨機構25の整備時期が到来したか否かを報知する際の具体的な報知方法が、作業者によって入力される指示に従って設定される。作業者がタッチパネル12(図1および図3参照)を操作し、報知方法の設定を開始する指示を入力すると、サブ制御基板58のCPU581は報知方法設定処理を開始する。
まず、情報表示画面11(図1および図3参照)に時間帯設定画面81が表示される(S1)。図5に示すように、時間帯設定画面81では、「報知が行われる時間帯を指定」のチェックボックス86、および、「整備時期が到来したら常に報知」のチェックボックス88のいずれかが選択できる。作業者は、所望する報知方法のチェックボックスを操作してチェックを表示させる。また、「報知が行われる時間帯を指定」のチェックボックス86が操作されると、CPU581は、チェックボックス86にチェックを表示させると共に、時間帯入力部87に対する入力の受け付けを開始する。作業者は、情報表示画面11の一部に表示されるテンキー(図示せず)等を用いて、所望する時間帯を入力する。作業者は、所望の報知方法を時間帯設定画面81に入力すると、OKボタン83を操作する。設定処理を終了させる場合にはキャンセルボタン84を操作する。なお、CPU581は、清掃時期の到来を報知する時間帯の指定と、交換時期の到来を報知する時間帯の指定とを別々に受け付けてもよい。
CPU581は、キャンセルボタン84が操作されたか否かを判断する(S2)。キャンセルボタン84が操作されていなければ(S2:NO)、OKボタン83が操作されたか否かを判断する(S3)。OKボタン83も操作されていなければ(S3:NO)、S2およびS3の処理が繰り返される。キャンセルボタン84が操作されると(S2:YES)、処理はそのまま終了する。
時間帯設定画面81に対する正常な入力が行われた状態でOKボタン83が操作されると(S3:YES)、「報知が行われる時間帯を指定」(以下、「時間帯指定」という場合もある。)が選択されているか否かが判断される(S4)。時間帯指定が選択されている場合(S4:YES)、記憶装置(RAM582または図示しない不揮発性の記憶装置)に、時間帯指定を行うことを示す「要」の情報が記憶される(S5)。次いで、作業者によって時間帯入力部87に入力された報知時間帯が、記憶装置に記憶される(S6)。時間帯指定が選択されていない場合(S4:NO)、時間帯指定を行わないことを示す「不要」が記憶装置に記憶される(S7)。なお、記憶装置としてRAM582を用いる場合、サブ制御基板58は、電源遮断時にも記憶内容を保持するために、バックアップ電源をRAM582に供給する。以下の説明でも同様である。
次いで、判断稼動量設定画面82が情報表示画面11に表示される(S11)。詳細は後述するが、CPU581は、封入式遊技機1における遊技の稼動量を用いて、研磨機構25の整備時期が到来したか否かを判断する。判断稼動量とは、検出可能な稼動量のうち、整備時期の到来を判断するために使用する稼動量である。図6に示す例では、判断稼動量設定画面82では、「遊技球を発射した回数」のチェックボックス90、「発射機構の駆動時間」のチェックボックス91、「アウト球の数」のチェックボックス92、「当たり判定の回数」のチェックボックス93、および「当たり遊技の回数」のチェックボックス94が表示される。作業者は、少なくとも1つの稼動量を指定してOKボタン83を操作する。
ここで、アウト球とは、前述したように、遊技に使用されて回収された遊技球であり、入賞球とはずれ球との和が「アウト球の数」となる。「遊技球を発射した回数(つまり、発射球の数)」と、「アウト球の数」とは一致する。従って、作業者は、「遊技球を発射した回数」「アウト球の数」の一方のみを判断稼動量に指定すれば、CPU581の処理負担を低下させることができる。一方で、「遊技球を発射した回数」「アウト球の数」の両方を判断稼動量に指定すれば、整備時期をより正確に把握することができる。他の稼動量についても同様に、多くの判断稼動量を指定すれば整備時期の把握が正確になり、判断稼動量の種類を少なくすれば処理負担は低下する。このように、作業者は、種々の目的に応じて所望の判断稼動量を指定することができる。
キャンセルボタン84およびOKボタン83のいずれも操作されていなければ(S12:NO、S13:NO)、S12およびS13の処理が繰り返される。キャンセルボタン84が操作されると(S12:YES)、処理はそのまま終了する。少なくとも1つの稼動量が指定された状態でOKボタン83が操作されると(S13:YES)、指定された稼動量が、判断稼動量として記憶手段に記憶される(S14)。報知方法設定処理は終了する。
図7を参照して、稼動量検出処理について説明する。稼動量検出処理では、封入式遊技機1における遊技の稼動量が検出される。ここで、本実施形態では、稼動量を判断するためのカウンタとして、清掃用のカウンタと交換用のカウンタが設けられている。清掃用のカウンタは、後述する整備時期報知処理(図8参照)において、研磨機構25の清掃時期が到来したか否かを判断するために用いられる。交換用のカウンタは、研磨機構25の研磨部材31の交換時期が到来したか否かを判断するために用いられる。封入式遊技機1に電源が投入されると、サブ制御基板58のCPU581は稼動量検出処理を開始する。
まず、発射球検出スイッチ74によって発射球が検出されたか否か(つまり、発射機構37によって遊技球が発射されたか否か)が判断される(S21)。主基板41のCPU51は、スイッチ72〜75(図3参照)の検出結果を入力すると、検出結果を示すコマンドをサブ制御基板58に送信する。サブ制御基板58のCPU581は、発射球検出スイッチ74によって遊技球が検出された旨のコマンドを受信すると(S21:YES)、発射球を計数するための清掃用発射球カウンタおよび交換用発射球カウンタに「1」を加算する(S22、S23)。処理はS25の判断へ移行する。発射球が検出されていなければ(S21:NO)、処理はそのままS25の判断へ移行する。
発射機構37が駆動中であるか否かが判断される(S25)。発射機構37が駆動すると、駆動中であることを示すコマンドがサブ制御基板58に送信される。発射機構37が駆動中であれば(S25:YES)、発射機構37の駆動時間を計測するための清掃用発射時間カウンタおよび交換用発射時間カウンタに、駆動時間が順次加算される(S26、S27)。処理はS29の判断へ移行する。発射機構37が駆動中でなければ(S25:NO)、処理はそのままS29の判断へ移行する。
入賞口(特別図柄始動電動役物22および大入賞口23等)に入賞した遊技球(以下、「入賞球」という。)が検出されたか否かが判断される(S29)。始動スイッチ72および入賞球検出スイッチ73によって遊技球が検出された旨のコマンドを受信すると(S29:YES)、アウト球を計数するための清掃用アウト球カウンタおよび交換用アウト球カウンタに「1」が加算される(S31、S32)。入賞球が検出されていなければ(S29:NO)、はずれ球が検出されたか否かが判断される(S30)。はずれ球検出スイッチ75によって遊技球が検出された旨のコマンドを受信すると(S30:YES)、清掃用アウト球カウンタおよび交換用アウト球カウンタに「1」が加算される(S31、S32)。処理はS34の判断へ移行する。はずれ球が検出されていなければ(S30:NO)、処理はそのままS34の判断へ移行する。繰り返すが、アウト球は入賞球の数とはずれ球の数の和となる。
大当たり判定が実行されたか否かが判断される(S34)。主基板41のCPU51は、特別図柄始動電動役物22に遊技球が入賞して大当たり判定を実行すると、大当たり判定を実行した旨を示すコマンドをサブ制御基板58に送信する。このコマンドを受信すると(S34:YES)、大当たり判定の回数を計数する清掃用判定回数計数カウンタおよび交換用判定回数計数カウンタの値に「1」が加算される(S35、S36)。処理はS38の判断へ移行する。大当たり判定が実行されていなければ(S34:NO)、処理はそのままS38の判断へ移行する。
大当たり遊技が実行されたか否かが判断される(S38)。主基板41のCPU51は、大当たりと判定して大当たり遊技を実行すると、大当たり遊技開始コマンドをサブ制御基板58に送信する。大当たり遊技開始コマンドを受信すると(S38:YES)、大当たり遊技が行われた回数を計数するための清掃用大当たり回数カウンタおよび交換用大当たり回数カウンタに「1」が加算される(S39、S40)。処理はS21の判断へ戻る。大当たり遊技が実行されていなければ(S38:NO)、処理はS21の判断へ戻る。
なお、本実施形態では、報知方法設定処理(図4参照)において指定された判断稼動量がいずれである場合でも5つの稼動量の全てが検出される。しかし、本実施形態はあくまでも例示であり、稼動量の検出方法は適宜変更できる。例えば、稼動量検出処理では、判断稼動量として指定された稼動量のみを検出してもよい。また、少なくとも1つの稼動量を検出すれば、本発明は実現できる。例示した5つの稼動量に加えて他の稼動量を検出し、整備時期の判断に使用することも可能である。
図8および図9を参照して、整備時期報知処理について説明する。整備時期報知処理では、稼動量検出処理(図7参照)で検出された稼動量が閾値と比較されることで、研磨機構25の整備時期が到来したか否かが判断される。整備時期が到来している場合、設定されている報知方法に従って、整備時期が到来している旨が報知される。また、整備が行われた場合、報知の解除・延長の指示が行われた場合等の処理が行われる。封入式遊技機1に電源が投入されると、サブ制御基板58のCPU581は整備時期報知処理を開始する。
図8に示すように、まず、指定された判断稼動量を検出する1または複数の清掃用カウンタのうちの少なくともいずれかが、予め定められた閾値以上であるか否かが判断される(S41)。閾値は、それぞれのカウンタに応じて設定されて、記憶装置に記憶されている。メーカーが封入式遊技機1の製造時に閾値を設定してもよいし、作業者自身がタッチパネル12等を操作することで閾値を設定できてもよい。閾値は、研磨機構25の構造、研磨部材31の材質等に応じて、研磨機構25の清掃を行うべき期間を考慮して適宜設定すればよい。全ての清掃用カウンタの値が閾値よりも低ければ(S41:NO)、処理はS47の判断へ移行する。
清掃用カウンタのいずれかが閾値以上であれば(S41:YES)、時間帯指定が「要」に設定されているか否かが判断される(S42)。時間帯指定が「不要」に設定されていれば(S42:NO)、清掃報知ランプ8(図1および図3参照)を点灯させることで、研磨機構25の清掃時期が到来している旨が報知される(S44)。清掃時期が到来している旨の情報が、出力ポート55(図3参照)から遊技場管理用コンピュータに出力される(S45)。処理はS47の判断へ移行する。
時間帯指定が「要」に設定されていれば(S42:YES)、現在時刻が取得され、現在時刻が報知時間帯に納まっているか否か(報知時間中であるか否か)が判断される(S43)。現在時刻が報知時間中でなければ(S43:NO)、処理はそのままS47の判断へ移行する。現在時刻が報知時間中であれば(S43:YES)、清掃報知ランプ8が点灯され(S44)、清掃時期が到来している旨の情報が出力される(S45)。
次いで、指定された判断稼動量を検出する1または複数の交換用カウンタのうちの少なくともいずれかが、対応する閾値以上であるか否かが判断される(S47)。交換用カウンタの閾値は、研磨部材31を交換すべき期間を考慮して、清掃用カウンタの閾値よりも大きい値に設定すればよい。全ての交換用カウンタの値が閾値よりも低ければ(S47:NO)、処理はS54へ移行する。
交換用カウンタのいずれかが閾値以上であれば(S47:YES)、時間帯指定が「要」に設定されているか否かが判断される(S48)。時間帯指定が「不要」に設定されていれば(S48:NO)、交換報知ランプ7(図1および図3参照)を点灯させることで、研磨機構25の研磨部材31の交換時期が到来している旨が報知される(S50)。清掃報知ランプ8が同時に点灯している場合、研磨部材31を交換することで清掃の必要は無くなるため、清掃報知ランプ8は消灯される(S51)。交換時期が到来している旨の情報が、出力ポート55から遊技場管理用コンピュータに出力される(S52)。処理はS54へ移行する。
時間帯指定が「要」に設定されていれば(S48:YES)、現在時刻が報知時間帯に納まっているか否かが判断される(S49)。現在時刻が報知時間中でなければ(S49:NO)、処理はそのままS54へ移行する。現在時刻が報知時間中であれば(S49:YES)、交換報知ランプ7が点灯され(S50)、清掃報知ランプ8が消灯され(S51)、交換時期が到来している旨の情報が出力される(S52)。処理はS54へ移行する。次いで、リセット処理が行われて(S54)、処理はS41の判断へ戻る。
図9に示すように、リセット処理が開始されると、清掃報知ランプ8が点灯中であるか否かが判断される(S61)。点灯中でなければ(S61:NO)、処理はS68の判断へ移行する。清掃報知ランプ8が点灯中であれば(S61:YES)、整備完了ボタン61(図3参照)が押下されたか否かが判断される(S62)。前述したように、作業者は、報知された内容に従って研磨機構25の整備(清掃または交換)を行うと、整備完了ボタン61を押下する。この場合(S62:YES)、全ての清掃用カウンタが初期化されて(S63)、清掃報知ランプ8が消灯される(S66)。処理はS68の判断へ移行する。
整備完了ボタン61が押下されていなければ(S62:NO)、解除・延長ボタン62(図3参照)が押下されたか否かが判断される(S64)。作業者は、遊技者が遊技中である場合や、多忙等の理由ですぐに整備を実行できない場合、解除・延長ボタン62を押下する。この場合(S64:YES)、清掃用カウンタが所定量減算される(S65)。カウンタの減算方法には種々の方法を採用できる。例えば、カウンタの値に所定の割合(例えば70%)を掛けて減算してもよいし、予め定められた減算値まで一律に減算してもよい。予め定められた減算量をカウンタの値から引いてもよい。次いで、清掃報知ランプ8が消灯されて(S66)、処理はS68の判断へ移行する。なお、解除・延長ボタン62も押下されていなければ(S64:NO)、処理はそのままS68の判断へ移行する。
次いで、交換報知ランプ7が点灯中であるか否かが判断される(S68)。点灯中でなければ(S68:NO)、処理はS75の判断へ移行する。交換報知ランプ7が点灯中であれば(S68:YES)、整備完了ボタン61が押下されたか否かが判断される(S69)。押下されていれば(S69:YES)、全ての交換用カウンタおよび全ての清掃用カウンタが初期化される(S70)。交換報知ランプ7が消灯されて(S73)、処理はS75の判断へ移行する。
整備完了ボタン61が押下されていなければ(S69:NO)、解除・延長ボタン62が押下されたか否かが判断される(S71)。押下されていなければ(S71:NO)、処理はそのままS75の判断へ移行する。解除・延長ボタン62が押下されていれば(S71:YES)、全ての交換用カウンタおよび全ての清掃用カウンタが所定量減算される(S72)。カウンタの減算方法は、S65における減算方法と同様に種々の方法を採用できる。交換報知ランプ7が消灯されて(S73)、処理はS75の判断へ移行する。
次いで、整備完了ボタン61が長押しされたか否かが判断される(S75)。作業者は、何らかの理由でカウンタの初期化を望む場合(例えば、交換報知ランプ7が点灯する前に研磨部材31が消耗し、研磨部材31を交換した場合等)、整備完了ボタン61を所定時間以上押下し続ける。この場合(S75:YES)、全ての交換用カウンタおよび全ての清掃用カウンタが初期化されて(S76)、処理は整備時期報知処理(図8参照)へ戻る。整備完了ボタン61が長押しされていなければ(S75:NO)、処理はそのまま整備時期報知処理へ戻る。
以上説明したように、本実施形態の封入式遊技機1は、本体内部に封入した遊技球を循環させて使用する。従って、封入式遊技機1の研磨機構25では、複数のパチンコ機で使用された遊技球を一括して研磨する研磨機構の場合とは異なり、遊技に使用された遊技球の数と、研磨機構25へ流入する遊技球の数とが、不正行為・故障等が生じない限り一致する。本実施形態の封入式遊技機1は、遊技の稼動量を用いることで、研磨機構25の稼動量を正確に予測して整備時期を判断することができる。
遊技の稼動量は、研磨機構25の有無に関わらず検出する必要がある。具体的には、本実施形態で検出する5つの稼動量は、不正行為の防止、封入式遊技機1の稼働状況の把握、収支の把握、遊技データの遊技者への提示等を行うために検出する必要がある。「遊技球を発射した回数」の検出は、封入式でないパチンコ機では必須ではないが、封入式のパチンコ機では必須である。本実施形態の封入式遊技機1は、検出した遊技の稼動量を利用して研磨機構25の整備時期を判断する。よって、研磨機構25の稼動量を検出する手段(例えば、研磨機構25に流入した遊技球を検出するためのスイッチ)を別で設けることなく、整備時期が到来したか否かを判断することができる。つまり、本実施形態の封入式遊技機1は、研磨機構25の部品(具体的には、研磨部材31)の汚れおよび消耗を容易且つ正確に予測して適切な整備時期を報知することができる。
本実施形態の封入式遊技機1によると、作業者は、研磨機構25の状況を確認して整備の必要が無いと判断した場合や、すぐに整備を行えない場合等には、報知を一時的に解除することができる。従って、作業者は、状況に応じて適切な対処を行うことができる。
本実施形態では、時間帯指定「要」が設定されると、整備時期が到来した旨は報知時間中に報知される。従って、報知が不要な時間帯に報知が行われることを防止することができる。例えば、営業時間中に報知が行われて遊技者が不快感を抱くおそれを防止することができる。また、遊技者は、報知時間中にのみ報知を実行させるか否かを自由に設定することができる。
本実施形態の封入式遊技機1は、整備時期が到来したと判断した場合、その旨の情報を外部の遊技場管理用コンピュータに出力する。よって、作業者は、研磨機構25の整備時期が到来した旨を、封入式遊技機1の外部でも把握することができる。よって、より容易且つ的確に研磨機構25の整備を行うことができる。
本実施形態の封入式遊技機1は、軽度の整備(清掃)を行うべき時期の判断と、重度の整備(交換)を行うべき時期の判断とを別々に行い、各々の判断結果を作業者に報知することができる。従って、作業者は、報知された内容に応じて最適な整備を行うことができる。
上記実施形態において、図7に示す稼動量検出処理を実行するCPU581が本発明の「稼動量検出手段」として機能する。図8のS41およびS47でカウンタの値が閾値以上となったか否かを判断するCPU581が「稼動量判断手段」として機能する。図8のS44およびS50で整備時期が到来した旨を報知するCPU581が「報知手段」として機能する。図9のS64およびS71で報知の解除・延長の指示を受け付けるCPU581が「解除指示受付手段」として機能する。図9のS65およびS72で次回の報知の契機を再設定するCPU581が「再設定手段」として機能する。図8のS43およびS49で報知時間中であるか否かを判断するCPU581が「時間判断手段」として機能する。図4に示す報知方法設定処理で時間帯指定の要否の指示を受け付けるCPU581が「選択指示受付手段」として機能する。図8のS45およびS52で情報を出力するCPU581が「出力手段」として機能する。
本発明は、以上詳述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。例えば、上記実施形態では、遊技の稼動量が5種類検出され、5種類の稼動量のうち、指定された稼動量(判断稼動量)に基づいて整備時期が判断される。しかし、本発明は、遊技の稼動量を1種類以上検出すれば実現できる。この場合、検出する遊技の稼動量は適宜選択できる。ただし、不正行為等がなければ、「遊技球を発射した回数」および「アウト球の数」は、研磨機構25に流入する遊技球の数と完全に一致する。よって、封入式遊技機1は、「遊技球を発射した回数」または「アウト球の数」のいずれかを判断稼動量に含めることで、より正確に整備時期を判断することができる。また、上記実施形態で例示した方法以外の方法で稼動量を検出することも可能である。例えば、球数管理ユニット17が管理している球数から、封入式遊技機1における遊技の稼動量を検出してもよい。
上記実施形態の封入式遊技機1は、アウト球の全てを研磨機構25で研磨する。しかし、アウト球の一部を研磨機構25で研磨する場合でも、本発明は適用できる。この場合でも、研磨機構25に流入する遊技球の数は、遊技の稼動量に比例するためである。例えば、アウト球の2分の1が研磨機構25に流入する場合には、全てのアウト球が流入する場合に比べて、整備時期が到来したか否かを判断するための閾値を2倍にすればよい。つまり、全てのアウト球Nに対する、研磨機構25へ流入するアウト球nの割合W(=n/N)の逆数を、全てのアウト球が流入する場合の閾値に掛けて、新たな閾値を設定すればよい。
上記実施形態の封入式遊技機1は、清掃を行うべき時期の判断と、交換を行うべき時期の判断とを別々に行い、各々の判断結果を報知する。従って、作業者は、報知された内容に応じて最適な整備を行うことができる。しかし、複数の判断基準を設けて報知を行わなくてもよい。例えば、清掃および交換の一方の時期の到来を判断して作業者に報知してもよい。また、3つ以上の判断基準を設けて、各々の判断結果を報知してもよい。
上記実施形態の封入式遊技機1は、解除・延長ボタン62が押下されると、カウンタの値を所定量減算することで、次回の報知の契機を再設定する。しかし、次回の報知の契機を再設定する方法は適宜選択できる。例えば、次回の報知を行う時期を作業者に設定させてもよい。所定時間後(例えば、3日後、3時間後等)を、次回の報知を行う時期に設定してもよい。また、上記実施形態の封入式遊技機1は、整備完了ボタン61と解除・延長ボタン62とを備えることで、報知の一時的な解除・延長と、整備が完了したことによる報知の完全な解除とを使い分けることができる。しかし、複数のボタンを設けなくても本発明は実現できる。例えば、1つのボタンの操作量(例えば、押下時間等)に応じて、一時的な解除・延長と完全な解除とを使い分けても良い。また、一時的な解除・延長を実行せずに、完全な解除のみを行うことも可能である。
上記実施形態では、整備完了ボタン61または解除・延長ボタン62が押下されることで報知が解除される。しかし、解除方法も変更できる。例えば、研磨機構25の研磨部材31またはカバー32の取り外しおよび装着を検出するスイッチを設けてもよい。封入式遊技機1は、研磨部材31またはカバー32が取り外されて装着された旨をスイッチによって検出した場合に、報知を解除してもよい。これにより、作業者によるボタンの操作を要することなく、自動的に報知を解除することができる。
上記実施形態では、作業者によって指定された報知時間帯に現在時刻が納まっているか否かが判断されることで、報知時間中であるか否かが判断される。しかし、この判断方法も変更できる。例えば、封入式遊技機1の主電源が遮断された時点からの所定時間を「報知時間帯」とし、充電された電力等を用いて報知を行ってもよい。同様に、主電源が投入された時点からの所定時間を「報知時間帯」としてもよい。報知時間帯は、メーカーが予め設定してROM583等に記憶させていてもよい。
上記実施形態では、ランプ(交換報知ランプ7および清掃報知ランプ8)を点灯させることで、整備時期が到来した旨を作業者に報知する。しかし、報知の方法を変更できることは言うまでもない。例えば、封入式遊技機1は、照明装置5の発光、情報表示画面11による表示、スピーカ6による音声の出力等を用いて報知を行ってもよい。また、1つのランプを点灯させることで清掃時期の到来を報知し、点滅させることで交換時期の到来を報知してもよい。
上記実施形態では、整備時期の判断、報知等の処理がサブ制御基板58で実行されている。しかし、他の基板(例えば、主基板41や、整備時期の報知を制御するための専用の基板等)で処理を行ってもよいことは言うまでもない。上記実施形態では、指定された判断稼動量のいずれかが閾値を超えた場合に、整備時期が到来したと判断される。しかし、判断稼動量の全てが閾値を超えた場合に整備時期が到来したと判断することも可能である。清掃用の判断稼動量と、交換用の判断稼動量とを別々に指定できてもよい。