JP5960178B2 - 熱電変換素子の製造方法および熱電変換層用分散物の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、カーボンナノチューブの分散媒への分散性を改善する方法として、特定の炭素繊維用分散剤を用いる方法(例えば、特許文献1参照。)、分散手段としてジェットミルまたは超音波処理を採用する方法(例えば、特許文献2参照。)、好ましい分散方法としてメカニカルホモジナイザー法と超音波分散法とを順次実施する方法(例えば、特許文献3参照。)などが挙げられる。
ところが、年々、熱電変換素子に求められる熱電変換性能が高くなっており、今後求められるより高い熱電変換性能を実現するには、カーボンナノチューブの分散性をさらに高めた、成膜性および印刷性に優れる熱電変換層用分散物の開発が望まれている。
本発明は、これらの知見に基づいて完成された。
また、「印刷性」とは、熱電変換層用分散物を基板に印刷して熱電変換層を形成させる際の材料特性に関するものである。「印刷性に優れる」とは、例えば熱電変換層用分散物のチキソトロピー性が適度に大きく、均一に印刷が可能であり、かつ成形性に優れる状態であることをいう。
<1>基材上に、第1の電極、熱電変換層および第2の電極を有する熱電変換素子の製造方法であって、
少なくともナノ導電性材料および分散媒を予備混合して予備混合物を調製し、予備混合物を高速旋回薄膜分散法に供して、ナノ導電性材料を含有する熱電変換層用分散物を調製する工程と、
調製した熱電変換層用分散物を前記基材上に塗布し、乾燥する工程とを有し、
熱電変換層用分散物の固形分濃度が、0.5〜20w/v%である熱電変換素子の製造方法。
<2>予備混合物の固形分濃度が、15〜100質量%である<1>に記載の熱電変換素子の製造方法。
<3>熱電変換層用分散物の固形分中のナノ導電性材料の含有率が、10質量%以上である<1>または<2>に記載の熱電変換素子の製造方法。
<4>熱電変換層用分散物の粘度が、10mPa・s以上である<1>〜<3>のいずれかに記載の熱電変換素子の製造方法。
<5>高速旋回薄膜分散法が、10〜40m/secの周速で行われる<1>〜<4>のいずれかに記載の熱電変換素子の製造方法。
<6>さらに分散剤を高速旋回薄膜分散法に供する<1>〜<5>のいずれかに記載の熱電変換素子の製造方法。
<7>分散剤が、共役高分子である<6>に記載の熱電変換素子の製造方法。
<8>さらに非共役高分子を高速旋回薄膜分散法に供する<1>〜<7>のいずれかに記載の熱電変換素子の製造方法。
<9>ナノ導電性材料が、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、フラーレン、グラファイト、グラフェン、カーボンナノ粒子および金属ナノワイヤーからなる群より選択される少なくとも1種である<1>〜<8>のいずれかに記載の熱電変換素子の製造方法。
<10>ナノ導電性材料が、カーボンナノチューブである<1>〜<9>のいずれかに記載の熱電変換素子の製造方法。
<11>ナノ導電性材料が、単層カーボンナノチューブであり、単層カーボンナノチューブの直径が1.5〜2.0nmであり、その長さが1μm以上であり、かつG/D比が30以上である<1>〜<10>のいずれかに記載の熱電変換素子の製造方法。
<12>熱電変換層用分散物を印刷法によって基材上に塗布する<1>〜<11>のいずれかに記載の熱電変換素子の製造方法。
<13>動的光散乱法で測定した、熱電変換層用分散物中のナノ導電性材料の平均粒径Dが、1000nm以下である<1>〜<12>のいずれかに記載の熱電変換素子の製造方法。
<14>動的光散乱法で測定した、熱電変換層用分散物中のナノ導電性材料の粒径分布の半値幅dDと平均粒径Dとの比[dD/D]が、5以下である<1>〜<13>のいずれかに記載の熱電変換素子の製造方法。
<15>熱電変換素子の熱電変換層を形成するための熱電変換層用分散物の製造方法であって、
少なくともナノ導電性材料および分散媒を予備混合して予備混合物を調製し、予備混合物を高速旋回薄膜分散法に供して、ナノ導電性材料を分散媒に分散させ、
熱電変換層用分散物の固形分濃度が、0.5〜20w/v%である熱電変換層用分散物の製造方法。
また、本発明において、置換基に関してxxx基というときには、そのxxx基に任意の置換基を有していてもよい。また、同一の符号で示された基が複数ある場合は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
各式で示される繰り返し構造(繰り返し単位ともいう)は、まったく同じ繰り返し構造でなくとも、式に示される範囲であれば、異なった繰り返し構造をも含む。例えば、繰り返し構造がアルキル基を有する場合、各式で示される繰り返し構造は、メチル基を有する繰り返し構造のみでもよく、メチル基を有する繰り返し構造に加えて、他のアルキル基、例えばエチル基を有する繰り返し構造を含んでいてもよい。
本発明の熱電変換素子は、基材上に、第1の電極、熱電変換層および第2の電極を有し、熱電変換層の少なくとも一方の面が第1の電極および第2の電極に接するように配置されていれば、第1の電極および第2の電極と熱電変換層との位置関係等、その他の構成については特に限定されない。例えば、熱電変換層が第1の電極および第2の電極で挟まれる態様、すなわち、本発明の熱電変換素子が基材上に第1の電極、熱電変換層および第2の電極をこの順に有している態様であってもよい。また、熱電変換層がその一方の面に第1の電極および第2の電極に接するように配置される態様、すなわち、本発明の熱電変換素子が、基材上に互いに離間して形成された両電極上に成膜された熱電変換層を有している態様であってもよい。
熱電変換層は、本発明の熱電変換層用分散物の製造方法によって製造された熱電変換層用分散物(以下、本発明に用いる熱電変換層用分散物または単に熱電変換層用分散物ということがある)で成膜される。
熱電変換素子1は、基材12、第1の電極13、熱電変換層14および第2の電極15の順に構成されている。この熱電変換素子1は、2枚の基材12および16それぞれの表面(熱電変換層14の形成面)に、第1の電極13または第2の電極15を設け、これら電極の間に熱電変換層14を有する構造であることが好ましい。
熱電変換素子2は、基材22、第1の電極23および第2の電極25、熱電変換層24の順に構成されている。
また、図2に示すように、熱電変換層24の一方の表面が第1の電極23及び第2の電極25並びに第1の基材22で覆われ、他方の表面も第2の基材26により覆われることが好ましい。この場合、熱電変換層24の外側に第2の基材26を設けることなく熱電変換層24が最表面として空気に晒されていてもよい。
性能指数ZT=S2・σ・T/κ (A)
式(A)において、 S(V/K):絶対温度1K当りの熱起電力(ゼーベック係数)
σ(S/m):導電率
κ(W/mK):熱伝導率
T(K):絶対温度
成膜性および印刷性は上述した通りである。
「基材密着性」とは、熱電変換層用分散物を基板に印刷・塗布する際の熱電変換層用分散物の基板に対する密着の度合いを表し、「基材密着性に優れる」とは熱電変換層用分散物の塗布層が剥れることがなく基板に密着している状態になることをいう。
本発明の熱電変換素子の製造方法は、少なくともナノ導電性材料と分散媒とを高速旋回薄膜分散法に供して、ナノ導電性材料を含有する熱電変換層用分散物を調製する工程と、調製した熱電変換層用分散物を基材上に塗布し、乾燥する工程とを有している。
このように、本発明の熱電変換素子の製造方法においては、本発明の熱電変換層用分散物の製造方法でもある分散物調製工程を実施して、本発明に用いる熱電変換層用分散物を調製する。
これらの製造方法に用いる成分は、ナノ導電性材料および分散媒、所望により、分散剤、非共役高分子、ドーパント、励起アシスト剤、金属元素、他の成分などである。
本発明に用いるナノ導電性材料は、少なくとも一辺の長さがナノメートルサイズの大きさで、導電性を有する材料であればよい。このようなナノ導電性材料として、少なくとも一辺の長さがナノメートルサイズの大きさの導電性を有する炭素材料(以下、ナノ炭素材料ということがある)、少なくとも一辺の長さがナノメートルサイズの大きさの金属材料(以下、ナノ金属材料ということがある)等が挙げられる。
ここで、上記一辺の長さは、ナノ導電性材料のどの辺の長さでもよく、特に限定されないが、ナノ導電性材料の非凝集体(例えば一次粒子または分子1個等の凝集していない状態をいう)の長軸方向の長さまたは短軸方向の長さ(直径ともいう)が好ましい。
一辺の長さは、透過型電子顕微鏡(TEM)等の画像解析、または、動的光散乱法(特に粒子の場合)により、測定できる。
ナノ炭素材料は、炭素原子のsp2混成軌道で構成される炭素−炭素結合によって炭素原子同士が化学結合してなる上記ナノメートルサイズの導電性材料等が挙げられる。具体的には、フラーレン(金属内包フラーレンおよび玉葱状フラーレンを含む。)、カーボンナノチューブ(ピーポッドを含む。)、カーボンナノチューブの片側が閉じた形をしたカーボンナノホーン、カーボンナノファイバー、カーボンナノウォール、カーボンナノフィラメント、カーボンナノコイル、気相成長カーボン(VGCF)、グラファイト、グラフェン、カーボンナノ粒子、カーボンナノチューブの頭部に穴があいたコップ型のナノカーボン物質等が挙げられる。また、ナノ炭素材料として、グラファイト型の結晶構造を持ち導電性を示す各種カーボンブラックも用いることができ、例えば、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック等が挙げられ、具体的には、バルカン(登録商標)等のカーボンブラックが挙げられる。
単層CNTは、半導体性のものであっても、金属性のものであってもよく、両者を併せて用いてもよい。
CNTを製造する際には、同時にフラーレンやグラファイト、非晶性炭素が副生成物として生じることがある。これら副生成物を除去するために精製してもよい。CNTの精製方法は特に限定されないが、上述の精製法の他に、硝酸、硫酸等による酸処理、超音波処理が不純物の除去には有効である。併せて、フィルターによる分離除去を行うことも、純度を向上させる観点からより好ましい。
本発明においては、カットしたCNTだけではなく、あらかじめ短繊維状に作製したCNTも同様に使用できる。このような短繊維状CNTは、例えば、基板上に鉄、コバルト等の触媒金属を形成し、その表面にCVD法を用いて700〜900℃で炭素化合物を熱分解してCNTを気相成長させることによって、基板表面に垂直方向に配向した形状で得られる。このようにして作製された短繊維状CNTは基板から剥ぎ取る等の方法で取り出すことができる。また、短繊維状CNTは、ポーラスシリコンのようなポーラスな支持体や、アルミナの陽極酸化膜上に触媒金属を担持させ、その表面にCNTをCVD法にて成長させることもできる。触媒金属を分子内に含む鉄フタロシアニンのような分子を原料とし、アルゴン/水素のガス流中でCVD法を行うことによって基板上にCNTを作製する方法でも、配向した短繊維状CNTを作製することができる。さらには、エピタキシャル成長法によってSiC単結晶表面に配向した短繊維状CNTを得ることもできる。
ナノ炭素材料が、カーボンナノウォール、グラファイトおよびグラフェンである場合、特に限定はされないが、膜厚は1〜100nm、一辺の長さ(平均値)は、1〜100μmが好ましい。
ナノ炭素材料が、カーボンナノ粒子である場合、直径(平均粒径)は、特に限定されないが、1〜1000nmが好ましい。
ナノ金属材料は、繊維状または粒子状の金属材料等であり、具体的には、繊維状の金属材料(金属繊維ともいう)、粒子状の金属材料(金属ナノ粒子ともいう)等が挙げられる。ナノ金属材料は、後述する金属ナノワイヤーが好ましい。
このような金属として、例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、またはこれらの合金等が挙げられる。これらの中でも、導電性に優れる点で、銀、および銀の合金が好ましい。銀の合金で使用する金属としては、白金、オスミウム、パラジウム、イリジウム等が挙げられる。金属は、主成分として含むことが特に好ましく、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
金属ナノワイヤーの平均長軸長さ(平均長さと称することがある)は、同様に、1μm以上が好ましく、1〜40μmがより好ましく、3〜35μmがさらに好ましく、5〜30μmが特に好ましい。平均長軸長さは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子社製、JEM−2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤーの長軸長さを求め、これらの平均値として算出できる。なお、金属ナノワイヤーが曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径および曲率から算出される値を長軸長さとする。
また、この製造方法以外にも、例えば、特開2009−215594号公報、特開2009−242880号公報、特開2009−299162号公報、特開2010−84173号公報、特開2010−86714号公報等にそれぞれ記載の製造方法によって、金属ナノワイヤーを製造することもできる。
金属ナノチューブの厚み(外径と内径との差)は、耐久性、透明性、成膜性、導電性等の観点から、3〜80nmが好ましく、3〜30nmがより好ましい。金属ナノチューブの平均長軸長さは、上述のナノ導電性材料と同じ観点から、1〜40μmが好ましく、3〜35μmがより好ましく、5〜30μmがさらに好ましい。金属ナノチューブの平均短軸長さは金属ナノワイヤーの平均短軸長さと同様であるのが好ましい。
金属ナノ粒子に使用される金属としては、上述した中でも、銀、銅、金、パラジウム、ニッケル、ロジウムなどが好ましく挙げられる。また、これらの少なくとも2種からなる合金、これらの少なくとも1種と鉄との合金等も使用できる。2種からなる合金としては、例えば、白金−金合金、白金−パラジウム合金、金−銀合金、銀−パラジウム合金、パラジウム−金合金、白金−金合金、ロジウム−パラジウム合金、銀−ロジウム合金、銅−パラジウム合金、ニッケル−パラジウム合金等が挙げられる。また、鉄の合金としては、例えば、鉄−白金合金、鉄−白金−銅合金、鉄−白金−スズ合金、鉄−白金−ビスマス合金および鉄−白金−鉛合金等が挙げられる。
これらの金属または合金は、単独でまたは2種以上を併用することができる。
本発明の熱電変換層用分散物の製造方法において、分散剤を用いるのが、ナノ導電性材料を高度に分散できる点で、好ましい。すなわち、本発明に用いる熱電変換層用分散物は分散剤を含有しているのが好ましい。
本発明に用いる分散剤は、ナノ導電性材料の凝集を阻害して分散媒に分散させるのを補助するものであれば特に制限されない。分散剤は、ナノ導電性材料の分散性の点で低分子分散剤および共役高分子が好ましく、熱電変換素子の熱電変換性能を高めることができる点で共役高分子がさらに好ましい。
低分子分散剤は、後述する共役高分子よりも分子量の小さいものであればよく、例えば、アミン化合物、ポルフィリン化合物、ピレン化合物が挙げられる。例えば、オクタデシルアミン、5,10,15,20−テトラキス(ヘキサデシロキシフェニル)−21H,23H−ポルファイン、亜鉛ポルフィリン、亜鉛プロトポルフィリンなどが挙げられる。
また、界面活性剤も挙げられる。界面活性剤は、イオン性(アニオン性、カチオン性、双性(両性))のものと非イオン性(ノニオン性)のものがあり、本発明ではいずれも用いることができる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、カルボン酸系として脂肪酸塩やコール酸塩、スルホン酸系として直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムやラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、ジアルキルイミダゾリウム塩が挙げられる。双性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタインなどが挙げられる。また、非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ソルビタンエステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルモノグリセリルエーテルなどが挙げられる。
本発明に用いる熱電変換層用分散物には低分子分散剤を1種単独でまたは2種以上を併用することができる。
共役高分子は、主鎖がπ電子または孤立電子対で共役する構造を有する化合物であれば特に限定されない。このような共役構造として、例えば、主鎖上の炭素−炭素結合において、一重結合と二重結合とが交互に連なる構造が挙げられる。
このような置換基は、特に限定されず、例えば、下記構造式(1)〜(5)のR1〜R13がとり得る置換基が好ましく挙げられる。
また、置換基の炭素数に特に制限はないが、好ましくは1〜12、より好ましくは4〜12であり、特に炭素数6〜12の長鎖のアルキル基、アルコキシ基、チオアルキル基、アルコキシアルキレンオキシ基、アルコキシアルキレンオキシアルキル基が好ましい。
一方、分散媒として水系媒体を用いる場合は、各モノマーまたは上記置換基が、さらに、カルボン酸基、スルホン酸基、水酸基、リン酸基等の親水性基を有することが好ましい。他にも、ジアルキルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アルキル基が置換していないアミノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアネート基、イソシアノ基、ハロゲン原子、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基などを置換基として導入することができ、好ましい。
チオフェン系共役高分子は、誘導体に由来する繰り返し構造を含む共役高分子、および、上記縮合多環構造を有するチオフェン化合物に由来する繰り返し構造を含む共役高分子が好ましい。
ピロール系共役高分子として、例えば、下記B−1〜B−8が例示できる。なお下記式中、nは10以上の整数を示す。
アニリン系共役高分子としては、下記C−1〜C−8が例示できる。なお下記式中、nは10以上の整数を示し、yは共重合成分の全モル数を1としたときのモル比を示し、0を超え1未満である。
なお、下記C−1は、共重合体成分およびそのモル比を示すものであり、共重合成分の結合様式は下記ものに限定されない。
アルキル基には直鎖、分岐、環状のアルキル基が含まれ、炭素数1〜14のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、s−ブチル、n−ペンチル、t−アミル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル等が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜14のアルコキシ基が好ましく、具体的にはメトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、s−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、t−アミルオキシ、n−ヘキシルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ等が挙げられる。
フッ素原子置換アルコキシ基としては、フッ素原子が置換した炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましい。具体的には、CF3O−、CF3CF2O−、n−C3F7O−、i−C3F7O−、n−C4F9O−、t−C4F9O−、s−C4F9O−、n−C5F11O−、CF3CF2C(CF3)2O−、n−C6F13O−、C8F17O−、C9F19O−、C10F21O−等のパーフルオロアルコキシ基が挙げられる。また、CF3(CF2)2CH2O−、CF3(CF2)4CH2O−、CF3(CF2)5CH2CH2O−等の、水素原子の一部がフッ素原子で置換されたアルコキシ基が挙げられる。
アルキルチオ基としては、炭素数1〜14のアルキルチオ基が好ましく、具体的にはCH3S−、CH3CH2S−、n−C3H7S−、i−C3H7S−、n−C4H9S−、t−C4H9S−、s−C4H9S−、n−C5H11S−、CH3CH2C(CH3)2S−、n−C6H13S−、cyclo−C6H11S−、CH3(CH2)5CH2CH2S−、C6H13S−、C8H17S−、C9H19S−、C10H21S−、2−エチルヘキシルチオ等が挙げられる。
アシルオキシ基としては、炭素数1〜14のアシルオキシ基が好ましく、具体的には、例えば、アセチルオキシ、エチルカルボニルオキシ、ブチルカルボニルオキシ、オクチルカルボニルオキシ、ドデシルカルボニルオキシ、フェニルカルボニルオキシ等が挙げられる。
アルキルオキシカルボニル基としては、炭素数1〜14のアルキルオキシカルボニル基が好ましく、具体的にはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル等が挙げられる。
これらの基は、さらに置換されていてもよい。
高い導電性を実現する観点から、共役高分子は、酸、光、熱に対して分解されにくいものが好ましい。高い導電性を得るためには、共役高分子の長い共役鎖を介した分子内のキャリア伝達、および分子間のキャリアホッピングを生じるのが好ましい。そのためには、共役高分子の分子量がある程度大きいことが好ましく、この観点から、本発明で用いる共役高分子の分子量は、重量平均分子量で5000以上が好ましく、7000〜300,000がより好ましく、8000〜100,000がさらに好ましい。該重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
また、市販品を用いることもでき、例えば、アルドリッチ社製のポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5ージイル) レジオレギュラー品が挙げられる。
置換基W1としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基(芳香族炭化水素環基ともいう)、ジアリールボリル基、ジヒドロボリル基、ジアルコキシボリル基、ヘテロ環基(ヘテロアリール基(芳香族ヘテロ環基ともいう)を含み、環構成原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子、ホウ素原子が好ましい)、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルもしくはアリールのスルホニル基、アルキルもしくはアリールのスフィニル基、アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、アルキルもしくはアリールのスルホンアミド基、アルキルもしくはアリールのカルバモイル基、アルキルもしくはアリールのスルファモイル基、アルキルもしくはアリールのスルホンアミド基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、ウレイド基、ウレタン基、イミド基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、t−ブチルチオ、n−ヘキシルチオ、n−オクチルオチオ、2−エチルヘキシルチオ、n−オクタデシルチオが挙げられる。
アルキル、アリールもしくはヘテロ環アミノ基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、上記置換基W1が挙げられる。
なお、アルキル基、アルコキシ基の好ましい炭素数は、いずれも1〜18であり、1〜12がより好ましく、1〜8がさらに好ましい。
芳香族炭化水素環基、芳香族ヘテロ環基の好ましい範囲は、R3A、R4Aと同じである。
芳香族ヘテロ環としては、ピロール環、チオフェン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、フタラジン環、プテリジン環、クマリン環、クロモン環、1,4−ゼンゾジアゼピン環、ベンズイミダゾール環、ベンゾフラン環、プリン環、アクリジン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フラン環、セレノフェン環、テルロフェン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ピリドン−2−オン環、セレノピラン環、テルロピラン環等が挙げられ、チオフェン環、ピロール環、フラン環、イミダゾール環、ピリジン環、キノリン環、インドール環が好ましい。
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−オクタデシルが挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−ヘキシルオキシ、n−オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、n−オクタデシルオキシが挙げられる。
本発明では、これらの形成された環は、フルオレン環が好ましく、9位でスピロ構造、すなわち、下記構造のものが好ましい。
R1A’、R2A’およびn12’は、R1A、R2A、n12と同義であり、好ましい範囲も同じである。n11’は0〜4の整数を表す。
Rxは、一般式(1A)の場合(すなわち、フルオレン環の2個のベンゼン環でポリマー主鎖に組み込まれる場合)は、結合手を表し、一般式(1B)の場合(すなわち、1個のベンゼン環がポリマー主鎖に結合する場合)は、水素原子または置換基を表す。Rxにおける置換基としては上記置換基W1が挙げられ、なかでも、芳香族炭化水素環基、芳香族ヘテロ環基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、ヒドロキシ基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基がより好ましく、アルキル基がさらに好ましい。
Rx’は、水素原子または置換基を表す。Rx’における置換基としては上記置換基W1が挙げられ、なかでも、芳香族炭化水素環基、芳香族ヘテロ環基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、ヒドロキシ基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基がより好ましく、アルコキシ基がさらに好ましい。
*は結合位置を表す。
上記芳香族炭化水素環は、好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環である。
Ra1は、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、これらの各基はさらに置換基を有していてもよい。該基に置換してもよい置換基は、上記置換基W1が挙げられる。
Ra1におけるアルキル基は、炭素数は1〜18が好ましい。Ra1におけるアリール基は、炭素数は6〜24が好ましく、6〜20がより好ましく、6〜12がさらに好ましい。
Ra1におけるヘテロ環基は、芳香族ヘテロ環基が好ましく、R3A、R4Aにおける芳香族ヘテロ環基が好ましい。
例えば、−2価の芳香族炭化水素環基−2価の芳香族炭化水素環基−、−2価の芳香族ヘテロ環基−2価の芳香族ヘテロ環基−、−2価の芳香族炭化水素環基−2価の芳香族ヘテロ環基−、−2価の芳香族炭化水素環基−N(Ra1)−、−2価の芳香族炭化水素環基−N(Ra1)−2価の芳香族炭化水素環基−、−2価の芳香族ヘテロ環基−N(Ra1)−2価の芳香族炭化水素環基−、−2価の芳香族ヘテロ環基−2価の芳香族ヘテロ環基−2価の芳香族ヘテロ環基−、−2価の芳香族炭化水素環基−N(Ra1)−2価の芳香族炭化水素環基−N(Ra1)−2価の芳香族炭化水素環基−、−2価の芳香族炭化水素環基−N(Ra1)−2価の芳香族炭化水素環基−2価の芳香族炭化水素環基−N(Ra1)−2価の芳香族炭化水素環基−、が挙げられる。
Lbは、2価の芳香族炭化水素環基、2価の芳香族ヘテロ環基または−N(Ra1)−もしくはこれらの基を組み合わせた連結基が好ましい。
Ra0における上記置換基は置換基W1が挙げられ、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子であり、アルコキシカルボニル基が特に好ましい。
na0は0または1が好ましい。
なかでも、ベンゼン環が好ましく、1,3−フェニレン基でポリマー主鎖を構成しているフェニレン基の5位に、フルオレン環のベンゼン環が結合するものが好ましい。
なかでも、フェノキサジン環の10位、フェノチアジン環の10位、カルバゾール環の9位、ピロールの1位に、フルオレン環のベンゼン環が結合するものが好ましい。
以下に示す、Meはメチル基、Prはプロピル基を表す。
芳香環の炭素数は、6〜50が好ましく、6〜40がより好ましく、6〜20がさらに好ましい。芳香環は例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、インダセン環、フルオレン環が挙げられ、該環は単環でも他の環で縮環していてもよい。縮環してもよい環としては、芳香環、脂環、芳香族ヘテロ環、非芳香族のヘテロ環が挙げられる。
芳香族ヘテロ環の炭素数は、2〜50が好ましく、2〜40がより好ましく、2〜20がさらに好ましく、3〜20が特に好ましい。芳香族ヘテロ環における環構成ヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子が好ましい。芳香族ヘテロ環は他の環で縮環していてもよい。縮環してもよい環としては、芳香環、脂環、芳香族ヘテロ環、非芳香族のヘテロ環が挙げられる。芳香族ヘテロ環としては、例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、ピリジン環、オキサゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、およびこれらのベンゾ縮環体(例えば、ベンゾチオフェン)またはジベンゾ縮環体(例えば、ジベンゾチオフェン、カルバゾール)が挙げられる。
Ar14およびAr16は、Ar11、Ar12と同義であり、好ましい範囲も同じである。Ar15はAr13と同義であり、好ましい範囲も同じである。R4B〜R6BはR1B〜R3Bと同義であり、好ましい範囲も同じである。
ここで、R1BとR3B、R2BとR4BもしくはR5Bが互いに結合して環を形成するものが好ましく、形成された環はカルバゾール環が好ましい。
形成されたカルバゾール環の基は、なかでも下記の基が好ましい。
naは0または1が好ましく、1がより好ましく、Raはアルキル基が好ましい。
以下に示す、Etはエチル基、Bu(n)はn−ブチル基、Phはフェニル基(−C6H5)を表す。
原料化合物の合成は通常の方法にしたがって行うことができる。本発明の原料のうち入手できないものはアリール化合物のアミネーションによって合成することができ、古典的にはウルマン反応およびその周辺の反応技術によって合成できる。近年ではパラジウム錯体触媒を用いたアリールアミネーションが非常に発達しており、ブッフバルト・ハートウィッグ反応およびその周辺の反応技術によって合成できる。ブッフバルト・ハートウィッグ反応の代表例は、Organic Synthesis, 78巻, 23頁、Journal of American Chemical Society, 1994年, 116巻, 7901頁を挙げることができる。
本発明の熱電変換層用分散物の製造方法において、非共役高分子を用いるのが、熱電変換層用分散物の成膜性をさらに向上できる点で、好ましい。すなわち、熱電変換層用分散物は好適には非共役高分子を含有している。
このような非共役高分子としては、特に限定されず、通常知られている非共役高分子を用いることができる。好ましくは、ビニル化合物を重合してなるポリビニル高分子、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、フッ素化合物に由来する構成成分を繰り返し構造として含むフッ素高分子、および、ポリシロキサンからなる群より選ばれる高分子を用いる。
本発明において、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートの双方またはいずれかを表すものであり、これらの混合物をも包含するものである。
ポリ(メタ)アクリレートを形成する(メタ)アクリレート化合物として、具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート等の無置換アクリル酸アルキル基含有疎水性アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、1−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、1−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、1−ヒドロキシブチルアクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等のアクリレートモノマー、これらのモノマーのアクリロイル基をメタクリロイル基に換えたメタクリレートモノマー等が挙げられる。
ポリエステルを形成する化合物として、ポリアルコールおよびポリカルボン酸、乳酸等のヒドロキシ酸が挙げられる。ポリエステルの具体例として、バイロン(商品名、東洋紡績社製)等が挙げられる。
ポリアミドの具体例として、PA−100(商品名、T&K TOKA社製)等が挙げられる。
ポリイミドの具体例として、ソルピー6,6−PI(商品名、ソルピー工業社製)等が挙げられる。
フッ素化合物として、具体的には、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル等が挙げられる。
ポリシロキサンとして、具体的には、ポリジフェニルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン等が挙げられる。
本発明では、非共役高分子として、ビニル化合物を重合してなるポリビニル高分子を用いることがより好ましい。
本発明の熱電変換層用分散物の製造方法において、分散媒を用いる。すなわち、熱電変換層用分散物は分散媒を含有し、この分散媒にナノ導電性材料が分散されている。
分散媒は、ナノ導電性材料を分散できればよく、水、有機溶媒およびこれらの混合溶媒を用いることができる。好ましくは有機溶媒であり、1−メトキシ−2−プロパノール(PGME)等のアルコール、クロロホルム等の脂肪族ハロゲン溶媒、DMF、NMP、DMSO等の非プロトン性の極性溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、テトラメチルベンゼン、ピリジン等の芳香族溶媒、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケントン等のケトン溶媒、ジエチルエーテル、THF、t−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセタート(PGMEA)等のエーテル溶媒等が好ましく、クロロホルム等の脂肪族ハロゲン溶媒、DMF、NMP等の非プロトン性の極性溶媒、ジクロロベンゼン、キシレン、テトラリン、メシチレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族溶媒、THF等のエーテル溶媒等がより好ましい。また、後述するインクジェット印刷法に用いる有機溶媒も好ましい。
熱電変換層用分散物には分散媒を1種単独でまたは2種以上を併用することができる。
さらに、分散媒は、あらかじめ脱水しておくことが好ましい。分散媒中における水分量を、1000ppm以下とすることが好ましく、100ppm以下とすることがより好ましい。分散媒の脱水方法としては、モレキュラーシーブを用いる方法、蒸留等、公知の方法を用いることができる。
本発明の熱電変換層用分散物の製造方法において、ドーパントを用いることも好ましい。
本発明の熱電変換層用分散物の製造方法において、上述の共役高分子を用いる場合は、さらにドーパントを用いるのが、キャリア濃度の増加によって熱電変換層の導電性をさらに向上させることができる点で、好ましい。すなわち、本発明の分散物は、好ましくは共役高分子とドーパントとを含有している。
ドーパントは、上述の共役高分子にドープされる化合物で、この共役高分子をプロトン化するまたは共役高分子のπ共役系から電子を取り除くことで、該共役高分子を正の電荷でドーピング(p型ドーピング)することができるものが挙げられる。具体的には、下記のオニウム塩化合物、酸化剤、酸性化合物、電子受容体化合物等を用いることができる。
ドーパントとして用いるオニウム塩化合物は、活性エネルギー線(放射線や電磁波等)の照射、熱の付与等のエネルギー付与によって酸を発生する化合物(酸発生剤、酸前駆体)であることが好ましい。このようなオニウム塩化合物として、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩、カルボニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられる。なかでも、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩、カルボニウム塩が好ましく、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、カルボニウム塩がより好ましく、スルホニウム塩、ヨードニウム塩が特に好ましい。該塩を構成するアニオン部分としては、強酸の対アニオンが挙げられる。
一般式(I)においてR21〜R23のいずれか2つの基、一般式(II)においてR21およびR23、一般式(III)においてR25およびR26、一般式(IV)においてR27〜R30のいずれか2つの基、および、一般式(V)においてR31〜R33のいずれか2つの基が、各一般式中において互いに結合して脂肪族炭化水素環、芳香環、ヘテロ環を形成してもよい。
環状アルキル基としては、炭素数3〜20のアルキル基が好ましく、具体的には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロオクチル、ノルボルニル、アダマンチル等が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7〜15のアラルキル基が好ましく、具体的には、ベンジル、フェネチル等が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル、ナフチル、アントラニル、フェナンシル、ピレニル等が挙げられる。
芳香族へテロ環基としては、ピリジン環基、ピラゾール環基、イミダゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、インドール環基、キノリン環基、イソキノリン環基、プリン環基、ピリミジン環基、オキサゾール環基、チアゾール環基、チアジン環基等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、炭素数6〜20のアリールオキシ基が好ましく、具体的には、フェノキシ、ナフチルオキシ等が挙げられる。
アリーレン基としては、炭素数6〜20のアリーレン基が好ましく、具体的には、フェニレン、ナフチレン、アントラニレン等が挙げられる。
アリールスルホン酸のアニオンとして具体的には、p−CH3C6H4SO3 −、C6H5SO3 −、ナフタレンスルホン酸のアニオン、ナフトキノンスルホン酸のアニオン、ナフタレンジスルホン酸のアニオン、アントラキノンスルホン酸のアニオンが挙げられる。
パーフルオロアルキルスルホン酸のアニオンとして具体的には、CF3SO3 −、C4F9SO3 −、C8F17SO3 −が挙げられる。
過ハロゲン化ルイス酸のアニオンとして具体的には、PF6 −、SbF6 −、BF4 −、AsF6 −、FeCl4 −が挙げられる。
パーフルオロアルキルスルホンイミドのアニオンとして具体的には、CF3SO2−N−−SO2CF3、C4F9SO2−N−−SO2C4F9が挙げられる。
過ハロゲン酸アニオンとして具体的には、ClO4 −、BrO4 −、IO4 −が挙げられる。
アルキルもしくはアリールボレートアニオンとして具体的には、(C6H5)4B−、(C6F5)4B−、(p−CH3C6H4)4B−、(C6H4F)4B−が挙げられる。
Ar1としては、好ましくはフルオロ置換アリール基または少なくとも1つのパーフルオロアルキル基で置換されたアリール基であり、より好ましくはペンタフルオロフェニル基、または少なくとも1つのパーフルオロアルキル基で置換されたフェニル基であり、特に好ましくはペンタフルオロフェニル基である。
Ar2〜Ar4のアリール基、芳香族へテロ環基は、上述のR21〜R23、R25〜R33のアリール基、芳香族へテロ環基と同義であり、好ましくはアリール基であり、より好ましくはフェニル基である。これらの基は、さらに置換基で置換されていてもよく、置換基としては上述のR21〜R33の置換基が挙げられる。
Ar1は、上記一般式(VI)のAr1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
Ar5およびAr6は、上記一般式(VI)のAr2〜Ar4と同義であり、好ましい範囲も同様である。
オニウム塩化合物の合成方法の一実施態様として、トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの合成方法を下記に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。他のオニウム塩に関しても、下記合成方法に準じた合成方法等により合成することができる。
トリフェニルスルホニウムブロミド(東京化成製)2.68g、リチウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート−エチルエーテルコンプレックス(東京化成製)5.00gおよびエタノール146mlを500ml三口フラスコに入れ、25℃(本願明細書では、25℃を室温ともいう)にて2時間撹拌した後、純水200mlを添加し、析出した白色固形物を濾過により分取する。この白色固体を純水およびエタノールにて洗浄および真空乾燥することにより、オニウム塩としてトリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを6.18g得ることができる。
本発明でドーパントとして用いる酸化剤としては、ハロゲン(Cl2、Br2、I2、ICl、ICl3、IBr、IF)、ルイス酸(PF5、AsF5、SbF5、BF3、BCl3、BBr3、SO3)、遷移金属化合物(FeCl3、FeOCl、TiCl4、ZrCl4、HfCl4、NbF5、NbCl5、TaCl5、MoF5、MoCl5、WF6、WCl6、UF6、LnCl3(Ln=La、Ce、Pr、Nd、Sm等のランタノイド)、その他、O2、O3、XeOF4、(NO2 +)(SbF6 −)、(NO2 +)(SbCl6 −)、(NO2 +)(BF4 −)、FSO2OOSO2F、AgClO4、H2IrCl6、La(NO3)3・6H2O等が挙げられる。
ポリリン酸には、二リン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸、メタリン酸及ポリリン酸、およびこれらの塩が含まれる。これらの混合物であってもよい。本発明ではポリリン酸は、二リン酸、ピロリン酸、三リン酸、ポリリン酸であることが好ましく、ポリリン酸であることがより好ましい。ポリリン酸は、H3PO4を充分なP4O10(無水リン酸)とともに加熱することにより、またはH3PO4を加熱して水を除去することにより、合成できる。
ヒドロキシ化合物は水酸基を少なくとも1つ有する化合物であればよく、フェノール性水酸基を有することが好ましい。ヒドロキシ化合物としては、下記一般式(VIII)で表される化合物が好ましい。
Rとしては、スルホ基、アルキル基、アリール基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、スルホ基がより好ましい。
nは、1〜5が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3が更に好ましい。
mは、0〜5であり、0〜4が好ましく、0〜3が更に好ましい。
カルボキシ化合物としてはカルボキシ基を少なくとも1つ有する化合物であればよく、下記一般式(IX)または(X)で表される化合物が好ましい。
Aで表される二価の連結基がアルキレン基を含むとき、該アルキレン基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、アルキル基が好ましく、カルボキシ基を置換基として有することがより好ましい。
Rとしては、スルホ基、アルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、スルホ基、アルコキシカルボニル基がより好ましい。
nは、1〜5が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3が更に好ましい。
mは、0〜5であり、0〜4が好ましく、0〜3が更に好ましい。
スルホン酸化合物は、スルホ基を少なくとも1つ有する化合物であり、スルホ基を2つ以上有する化合物が好ましい。スルホン酸化合物として好ましくは、アリール基、アルキル基に置換されたものであり、より好ましくは、アリール基に置換されたものである。
なお、上記で説明したヒドロキシ化合物およびカルボキシ化合物において、置換基としてスルホ基を有する化合物は、上述のように、ヒドロキシ化合物およびカルボキシ化合物に分類する。したがって、スルホン酸化合物は、スルホ基を有するヒドロキシ化合物およびカルボキシ化合物を包含しない。
共役高分子を用いない場合においても、用いるナノ導電性物質、特にCNTの導電性向上やpn極性などの電気的性質を調整する上でドーパントを用いることができる。ドーパントの種類や量を適宜選択することで、ナノ導電性物質、特にCNTの導電性やpn極性を調整することができる。
本発明の熱電変換層用分散物の製造方法において、上述の共役高分子を用いる場合は、さらに熱励起アシスト剤を用いるのが、熱電変換特性がさらに向上する点で、好ましい。すなわち、熱電変換層用分散物は、好ましくは共役高分子と熱励起アシスト剤とを含有している。
熱励起アシスト剤は、上述の共役高分子の分子軌道のエネルギー準位に対して特定のエネルギー準位差の分子軌道を持った物質であり、該共役高分子とともに用いることで、熱励起効率を高め、熱電変換層の熱起電力を向上させることができる。
共役高分子にドープ準位が形成されるか否かは吸収スペクトルの測定により評価でき、ドープ準位を形成する化合物およびドープ準位を形成しない化合物とは、下記の方法によって評価されたものをいう。
ドーピング前の共役高分子Aと別成分Bとを質量比1:1で混合し、薄膜化したサンプルの吸収スペクトルを観測する。その結果、共役高分子A単独または成分B単独の吸収ピークとは異なる新たな吸収ピークが発生し、かつこの新たな吸収ピーク波長が共役高分子Aの吸収極大波長よりも長波長側である場合にドープ準位が発生したと判断する。この場合、成分Bをドーパントと定義する。一方、サンプルの吸収スペクトルに新たな吸収ピークが存在しない場合、成分Bを熱励起アシスト剤と定義する。
さらに、該共役高分子のHOMOのエネルギー準位の絶対値と熱励起アシスト剤のLUMOのエネルギー準位の絶対値とが下記数式(I)を満たす関係にあるとき、熱電変換層用分散物は優れた熱起電力を備えた熱電変換層を形成できるものとなる。
0.1eV≦|共役高分子のHOMO|−|熱励起アシスト剤のLUMO|≦1.9eV
上述の式(A)からわかるように、熱電変換素子の熱電変換性能を高めるためには、熱電変換層のゼーベック係数Sの絶対値および導電率σを大きくし、熱伝導率κを小さくすればよい。
熱励起アシスト剤はゼーベック係数Sを高めることで、熱電変換性能を向上させるものである。熱励起アシスト剤を用いた場合には、熱励起によって発生した電子がアクセプター準位である熱励起アシスト剤のLUMOに存在するため、共役高分子上の正孔と熱励起アシスト剤上の電子とが物理的に離れて存在している。そのため、共役高分子のドープ準位が熱励起によって発生した電子によって飽和されにくくなり、ゼーベック係数Sを高めることができる。
0.1eV≦|共役高分子AのHOMO|−|共役高分子BのLUMO|≦1.9eV
上記数式(II)は、共役高分子BのLUMOの絶対値と共役高分子AのHOMOの絶対値とのエネルギー差を表す。
本発明の熱電変換層用分散物の製造方法において、金属元素を、単体、イオン等として、用いるのが、熱電変換特性がさらに向上する点で、好ましい。すなわち、熱電変換層用分散物は好ましくは金属元素を含有している。金属元素は1種単独でまたは2種以上を併用することができる。
ここで、金属元素を単体として用いる場合、機械的処理等で金属をナノサイズ化したものは上記金属ナノ粒子として用いられ、これとは別に、例えば、サブミクロンサイズ化した金属粒子として用いることができる。
熱電変換層用分散物に金属元素を添加すると、形成される熱電変換層中において、金属元素により電子の輸送が促進されるため、熱電変換特性が向上すると考えられる。金属元素は、特に限定されないが、熱電変換特性の点で、原子量45〜200の金属元素が好ましく、遷移金属元素が更に好ましく、亜鉛、鉄、パラジウム、ニッケル、コバルト、モリブデン、白金、錫であることが特に好ましい。
本発明の熱電変換層用分散物の製造方法において、上記成分の他に、酸化防止剤、耐光安定剤、耐熱安定剤、可塑剤等を用いることができる。すなわち、熱電変換層用分散物は、酸化防止剤、耐光安定剤、耐熱安定剤、可塑剤等を含有していてもよい。
酸化防止剤としては、イルガノックス1010(日本チガバイギー社製)、スミライザーGA−80(住友化学工業(株)製)、スミライザーGS(住友化学工業(株)製)、スミライザーGM(住友化学工業(株)製)等が挙げられる。耐光安定剤としては、TINUVIN 234(BASF社製)、CHIMASSORB 81(BASF社製)、サイアソーブUV−3853(サンケミカル社製)等が挙げられる。耐熱安定剤としては、IRGANOX 1726(BASF社製)が挙げられる。可塑剤としては、アデカサイザーRS(アデカ社製)等が挙げられる。
本発明に用いる熱電変換層用分散物は、少なくともナノ導電性材料と分散媒とを高速旋回薄膜分散法に供することにより、調製される。
熱電変換層用分散物は、少なくともナノ導電性材料と分散媒とを直接高速旋回薄膜分散法に供してもよいが、高速旋回薄膜分散法に供するに先立って少なくともナノ導電性材料と分散媒とを予備混合して予備混合物を調製しておき、この予備混合物を高速旋回薄膜分散法に供するのが好ましい。少なくともナノ導電性材料と分散媒とを予備混合することにより、高速旋回薄膜分散法による分散性を向上させることができる。
従って、本発明では、少なくともナノ導電性材料および分散媒を予備混合して予備混合物を調製し、予備混合物を高速旋回薄膜分散法に供して、ナノ導電性材料を分散媒に分散させる。
分散剤として低分子分散剤を用いる場合、低分子分散剤の混合率は、ナノ導電性材料の分散性の点で、予備混合物の全固形分中、3〜80質量%が好ましく、5〜70質量%がより好ましく、10〜60質量%がさらに好ましい。
ドーパントを用いる場合、ドーパントの混合率は、熱電変換層の導電性の点で、予備混合物の全固形分中、1〜80質量%が好ましく、5〜70質量%がより好ましく、5〜60質量%がさらに好ましい。
熱励起アシスト剤の混合率は、熱電変換層の熱電変換特性の点で、予備混合物の全固形分中、0〜35質量%が好ましく、3〜25質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。
金属元素を用いる場合、金属元素の混合率は、熱電変換層の物理強度低下によるクラックの発生防止等による、熱電変換特性の向上の点で、予備混合物の全固形分中、50〜30000ppmが好ましく、100〜10000ppmがより好ましく、200〜5000ppmがさらに好ましい。予備混合物の中の金属元素濃度(混合率)は、例えば、ICP質量分析装置(例えば、株式会社島津製作所製「ICPM−8500」(商品名))、エネルギー分散型蛍光X線分析装置(例えば、株式会社島津製作所製「EDX−720」(商品名))等の公知の分析法により定量することができる。
他の成分の混合率は、予備混合物の全固形分中、5質量%以下が好ましく、0〜2質量%がさらに好ましい。
ここで、高速旋回薄膜分散法とは、上述のように、分散処理対象物を遠心力により装置内面(内壁面)に薄膜円筒状に押し付けた状態で高速回転させて、遠心力および装置内面との速度差により発生するずり応力を予備混合物等に作用させることにより、薄膜円筒状の分散処理対象物内で分散対象物を分散させる分散方法である。
このような装置としては、例えば、薄膜旋回型高速ミキサー「フィルミックス」(登録商標)シリーズ(プライミックス社製)を好適に用いることができる。
処理時間は、ナノ導電性材料の分散度等に応じて適宜に決定でき、例えば、1〜20分が好ましく、2〜10分がより好ましい。
高速旋回薄膜分散法による分散処理は、0℃〜室温、もしくは加温状態、常圧下で行うことができる。分散する温度は用いる分散媒の種類にもよるが、安全上の観点および粘性維持の観点から、10℃〜55℃の範囲が好ましく、15℃〜45℃の温度で行うことがより好ましい。また、この分散処理は、大気下で行うこともでき、また上述の不活性雰囲気で行うこともできる。
この固形分中、ナノ導電性材料の含有率は、上記予備分散物と同じであり、導電性および熱電変換性能の点で、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、25質量%以上が特に好ましい。なお、上限は100質量%である。
本発明においては、分散物中のナノ導電性材料の強度比[Id/Ig]は、0.01〜1.5が好ましく、0.015〜1.3がより好ましく、0.02〜1.2がさらに好ましい。
ナノ導電性材料が単層カーボンナノチューブである場合には、強度比[Id/Ig]は、0.01〜0.4が好ましく、0.015〜0.3がより好ましく、0.02〜0.2がさらに好ましい。また、多層カーボンナノチューブである場合には、強度比[Id/Ig]は、0.2〜1.5が好ましく、0.5〜1.5がより好ましい。
また、基材としての効果を損なわない限りにおいて、上記樹脂の共重合体、またはこれらの樹脂と他の種類の樹脂とのブレンド物なども用いることができる。
第1の電極および第2の電極は、銅、銀、金、白金、ニッケル、クロム、銅合金などの金属電極、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)等の透明電極などの公知の金属のいずれかを用いて、形成されるのが好ましい。例えば、好ましくは、銅、金、白金、ニッケル、銅合金等のいずれかを用いて形成され、より好ましくは、金、白金、ニッケルのいずれかを用いて、形成される。または上記金属を微粒子化し、バインダーと溶剤を添加した金属ペーストを固化したものを用いても良い。
電極2の形成は、めっき法、エッチングによるパターニンング法、リフトオフ法を用いたスパッタ法やイオンプレーティング法、メタルマスクを用いたスパッタ法やイオンプレーティング法により、行うことができる。または、前述した金属を微粒子化し、バインダーと溶剤を添加した金属ペーストを用いても良い。金属ペーストを用いる場合には、スクリーン印刷法、ディスペンサー法による印刷法を用いることができる。印刷後、乾燥のための加熱や、バインダーの分解や金属の焼結のための加熱処理を行ってもよい。
なお、スクリーン印刷法は、通常のステンレス、ナイロン、ポリエステル製のメッシュ上に感光性樹脂をパターニング露光し、現像して版を作製して印刷する方法のほか、エッチングされたメタルマスクから版を作製し、印刷する方法などがある。
インクジェット印刷法は下記のように行う。
インクジェットの塗布液としての熱電変換層用分散物中の全固形分濃度は、一般的には0.05〜30w/v%、より好ましくは0.1〜20w/v%、更に好ましくは0.5〜10w/v%である。
この熱電変換層用分散物の粘度は、吐出安定性の観点から、吐出時の温度において適宜決定される。
有機溶媒としては、上述の分散媒などが挙げられ、例えば、芳香族溶媒、アルコール、ケトン溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、アミド溶媒、脂肪族ハロゲン溶媒等の公知の有機溶媒を挙げることができる。これら有機溶媒として上記したもの以外に下記のものが挙げられる。
なお、バンクは必要に応じて撥液処理を施してもよい。具体的な方法としては、四フッ化炭素(CF4)を原料ガスに用いてCVD法によりフルオロカーボン膜をバンク33に成膜し、または、長鎖のフルオロアルキル基を有するシランカップリング剤やフッ素ポリマーをバンクに混合してもよい。
さらに、真空ポンプ等を用いて、低圧雰囲気で乾燥させる方法、ファンを用いて、送風しながら乾燥させる方法、または不活性ガス(窒素、アルゴン)を供給しながら乾燥させる方法など、任意の方法を用いることができる。
熱電変換層の層厚は、0.1〜1000μmが好ましく、1〜100μmがより好ましい。層厚を上記範囲にすることで、温度差を付与しやすく、熱電変換層内の抵抗の増大を防ぐことができる。本発明においては、上述の範囲の中でも、特に厚くすることができる。
活性エネルギー線には、放射線や電磁波が包含され、放射線には粒子線(高速粒子線)と電磁放射線が包含される。粒子線としては、アルファ線(α線)、ベータ線(β線)、陽子線、電子線(原子核崩壊によらず加速器で電子を加速するものを指す)、重陽子線等の荷電粒子線、非荷電粒子線である中性子線、宇宙線等が挙げられ、電磁放射線としては、ガンマ線(γ線)、エックス線(X線、軟X線)が挙げられる。電磁波としては、電波、赤外線、可視光線、紫外線(近紫外線、遠紫外線、極紫外線)、X線、ガンマ線等が挙げられる。本発明において用いる線種は特に限定されず、例えば、使用するオニウム塩化合物(酸発生剤)の極大吸収波長付近の波長を有する電磁波を適宜選べばよい。
これらの活性エネルギー線のうち、ドーピング効果および安全性の観点から好ましいのは紫外線、可視光線、赤外線であり、具体的には240〜1100nm、好ましくは240〜850nm、より好ましくは240〜670nmに極大発光波長を有する光線である。
放射線または電磁波を照射できる装置としては、LEDランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、DeepUVランプ、低圧UVランプ等の水銀ランプ、ハライドランプ、キセノンフラッシュランプ、メタルハライドランプ、ArFエキシマランプ、KrFエキシマランプ等のエキシマランプ、極端紫外光ランプ、電子ビーム、X線ランプを光源とする露光装置がある。紫外線照射は、通常の紫外線照射装置、例えば、市販の硬化/接着/露光用の紫外線照射装置(ウシオ電機社SP9−250UB等)を用いて行うことができる。
また、熱電変換層用分散物で形成される熱電変換層は、本発明の熱電変換素子の熱電変換層、熱電発電用膜もしくは各種導電性膜として好適に用いられ、また、熱電変換層用分散物は、これらの材料、例えば、熱電変換材料、熱電発電素子用材料として好適に用いられる。
ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)(レジオランダム、Aldrich社製、重量平均分子量:98,000、P3OTとも表記する)
非特許文献(Y.Kawagoeら、New J.Chem., 2010,34,637.)に記載の方法に準じて、合成した。
非特許文献(L.EUNHEEYら、Mol. Cryst. Liq. Cryst., 551,130.)に記載の方法に準じて、チオフェン原料として2,5−ジブロモチオフェンを用いて、合成した。
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート(Aldrich社製)
1.熱電変換層用分散物101の調製
ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)100mgと、単層カーボンナノチューブ「ASP−100F」(商品名、Hanwha−chemical社製)100mg(単層カーボンナノチューブの質量に換算、以下同じ。)とに、o−ジクロロベンゼン20mLを加えて、メカニカルホモジナイザー「T10basic」(IKA社製)を用いて、20℃で15分間、予備混合して、予備混合物101を得た。この予備混合物101の固形分濃度は1.0w/v%(固形分中のCNT含有率(以下、同じ)は50質量%)であった。
次いで、この予備混合物101を、薄膜旋回型高速ミキサー「フィルミックス40−40型」(プライミクス社製、管状外套の内周面と撹拌羽根の外周面との間隔を2mmに調整した(以下、同じ)。)を用いて、10℃の恒温層中、周速40m/secにて5分間高速旋回薄膜分散法にて分散処理し、本発明の熱電変換層用分散物101を調製した。この熱電変換層用分散物101の固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%)であった。
上記で調製した熱電変換層用分散物101を基材上に成膜して熱電変換層を形成した。具体的には、イソプロピルアルコール中で超音波洗浄した後、10分間UV−オゾン処理を行った厚み1.1mmのガラス基材上に、レーザー加工で形成した開口部13×13mmを有し、かつ厚み2mmのメタルマスクを用いて、この開口部内に熱電変換層用分散物101を注入しスキージで平坦化した。このようにして熱電変換層用分散物101をメタルマスク印刷法にて印刷した。その後、メタルマスクを取り外して、ガラス基材を80℃のホットプレート上で45分間加熱して乾燥させた。このようにしてガラス基材上に熱電変換層101を作製した。
熱電変換層用分散物101を用いて、基材上に第1の電極、熱電変換層および第2の電極をこの順に有する、図1の熱電変換素子1に対応する熱電変換素子を製造した。以下、図1の熱電変換素子1の構成部材に相当するものには図1の熱電変換素子1と同じ符号を付す。
具体的には、イソプロピルアルコール中で超音波洗浄した後、大きさ40×50mm、厚み1.1mのガラス基材12上に、エッチングにより形成した開口部20×20mmのメタルマスクを用いて、イオンプレーティング法によりクロムを100nm、次に金を200nm積層成膜することにより、第1の電極13を形成した。
次に、レーザー加工で形成した開口部13×13mmを有し、かつ厚み2mmのメタルマスクを、その開口部が第1の電極13上になるように、基材12上に配置した。このメタルマスクの開口部内に熱電変換層用分散物101を上述のようにしてメタルマスク印刷法にて印刷法にて印刷した後に、ガラス基材12を80℃のホットプレート上で45分間加熱して乾燥させて、第1の電極13上に熱電変換層14を形成した。
次に、導電性ペースト「ドータイトD−550」(製品名、藤倉化成製、銀ペースト)をスクリーン印刷法により熱電変換層14上に印刷して第2の電極15を成膜し、熱電変換素子101を製造した。
熱電変換層用分散物101の調製において、ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)および単層カーボンナノチューブを、ぞれぞれ、200mg用いたこと以外は熱電変換層用分散物101と同様にして予備混合物102(固形分濃度は2.0w/v%(CNT含有率は50質量%))および電変換層用分散物102(固形分濃度は2.0w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物102を用いて、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層102を調製し、熱電変換素子102を製造した。
熱電変換層用分散物101の調製において、ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)および単層カーボンナノチューブを、ぞれぞれ、50mg用いたこと以外は熱電変換層用分散物101と同様にして予備混合物103(固形分濃度は0.5w/v%(CNT含有率は50質量%))および熱電変換層用分散物103(固形分濃度は0.5w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物103を用いて、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層103を調製し、熱電変換素子103を製造した。
熱電変換層用分散物101の調製において、ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)および単層カーボンナノチューブを、ぞれぞれ、2g用いたこと以外は熱電変換層用分散物101と同様にして予備混合物104(固形分濃度は20w/v%(CNT含有率は50質量%))および熱電変換層用分散物104(固形分濃度は20w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物104を用いて、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層104を調製し、熱電変換素子104を製造した。
熱電変換層用分散物101の調製において、ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)および単層カーボンナノチューブを、ぞれぞれ、10mg用いたこと以外は熱電変換層用分散物101と同様にして予備混合物105(固形分濃度は0.1w/v%(CNT含有率は50質量%))および熱電変換層用分散物105(固形分濃度は0.1w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物105を用いて、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層105を調製し、熱電変換素子105を製造した。
熱電変換層用分散物101の調製において、ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)および単層カーボンナノチューブを、ぞれぞれ、20mg用いたこと以外は熱電変換層用分散物101と同様にして予備混合物106(固形分濃度は0.2w/v%(CNT含有率は50質量%))および熱電変換層用分散物106(固形分濃度は0.2w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物106を用いて、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層106を調製し、熱電変換素子106を製造した。
熱電変換層用分散物101の調製において、ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)および単層カーボンナノチューブを、ぞれぞれ、500mg用いたこと以外は熱電変換層用分散物101と同様にして予備混合物107(固形分濃度は5.0w/v%(CNT含有率は50質量%))および熱電変換層用分散物107(固形分濃度は5.0w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物107を用いて、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層107を調製し、熱電変換素子107を製造した。
熱電変換層用分散物101の調製において、ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)および単層カーボンナノチューブを、ぞれぞれ、1g用いたこと以外は熱電変換層用分散物101と同様にして予備混合物108(固形分濃度は10w/v%(CNT含有率は50質量%))および熱電変換層用分散物108(固形分濃度は10w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物108を用いて、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層108を調製し、熱電変換素子108を製造した。
熱電変換層用分散物101の調製において、単層カーボンナノチューブとして「ASP−100F」(商品名、Hanwha−chemical社製)の代わりに「MC」(商品名、名城ナノカーボン社製)を用いたこと用いたこと以外は熱電変換層用分散物101と同様にして予備混合物109(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))および熱電変換層用分散物109(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物109を用いて、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層109を調製し、熱電変換素子109を製造した。
熱電変換層用分散物109の調製において、ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)および単層カーボンナノチューブ「MC」(商品名、名城ナノカーボン社製)を、ぞれぞれ、200mg用いたこと以外は熱電変換層用分散物109と同様にして予備混合物110(固形分濃度は2.0w/v%(CNT含有率は50質量%))および熱電変換層用分散物110(固形分濃度は2.0w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物110を用いて、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層110を調製し、熱電変換素子110を製造した。
熱電変換層用分散物101の調整において、ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)の代わりに共役高分子101を用いたこと以外は熱電変換層用分散物101と同様にして予備混合物111(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))および電変換層用分散物111(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物111を用いて、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層111を調製し、熱電変換素子111を製造した。
熱電変換層用分散物101の調整において、ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)の代わりに共役高分子102を用いたこと以外は熱電変換層用分散物101と同様にして予備混合物112(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))および電変換層用分散物112(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物112を用いて、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層112を調製し、熱電変換素子112を製造した。
熱電変換層用分散物101の調整において、ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)の代わりに共役高分子103を用いたこと以外は熱電変換層用分散物101と同様にして予備混合物113(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))および電変換層用分散物113(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物113を用いて、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層113を調製し、熱電変換素子113を製造した。
熱電変換層用分散物101の調整において、単層カーボンナノチューブとして「ASP−100F」(商品名、Hanwha−chemical社製)の代わりに「HP」(商品名、KH Chemicals社製)を用いたこと用いたこと以外は熱電変換層用分散物101と同様にして予備混合物114(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))および熱電変換層用分散物114(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物114を用いて、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層114を調製し、熱電変換素子114を製造した。
熱電変換層用分散物114の調整において、ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)および単層カーボンナノチューブ「HP」(商品名、KH Chemicals社製)を、ぞれぞれ、200mg用いたこと以外は熱電変換層用分散物114と同様にして予備混合物115(固形分濃度は2.0w/v%(CNT含有率は50質量%))および熱電変換層用分散物115(固形分濃度は2.0w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物115を用いて、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層115を調製し、熱電変換素子115を製造した。
熱電変換層用分散物101の調製において、ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)および単層カーボンナノチューブを、ぞれぞれ、2g用いたこと以外は熱電変換層用分散物101の調製と同様にして、予備混合物c101(固形分濃度は20w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
さらに、予備混合物c101を、超音波ホモジナイザー「VC−750」(商品名、SONICS&MATERIALS.Inc製、テーパーマイクロチップ(プローブ径6.5mm)を使用、出力40W、直接照射、Duty比50%)を用いて、30℃で30分間超音波分散して、比較のための熱電変換層用分散物c101(固形分濃度は20w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物c101を用いて、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層c101および熱電変換素子c101の製造を試みたが、熱電変換層c101および熱電変換素子c101を製造できなかった。
粘度は、各熱電変換層用分散物を25℃で一定にした後に、振動式粘度計「VM−10A」(商品名、セニコック社製)もしくはレオメーター「MARS」(商品名、粘度・粘弾性測定装置、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて測定した。レオメーターによる粘弾性測定においてはフローカーブ測定におけるせん断速度1Hzのときの粘度を採用した。
各熱電変換層用分散物中の単層カーボンナノチューブの平均粒径Dは、濃厚系粒径アナライザー「FPAR−1000」(商品名、大塚電子製)を用い、動的光散乱法にて測定を行った。
単層カーボンナノチューブの分散性は、各熱電変換層用分散物をスライドガラスに滴下し、カバーガラスをのせた後、光学顕微鏡により観察した。評価は、優れる方から順に、1、2、3、4、および5の5段階で行った。評価が1〜3のいずれかであると、カーボンナノチューブの分散性に優れるといえる。
1:黒色の凝集物が確認できなかった。
2:大きさ500μm未満の黒色の凝集物を確認できた。
3:大きさ500μm以上1mm未満の黒色の凝集物を確認できた。
4:大きさ500μm以上1mm未満の黒色の凝集物を多数(10個以上)確認できた。
5:大きさ1mm以上の凝集物を多数(10個以上)確認できた。
チキソトロピー性の評価は、レオメーター「MARS」(商品名、製粘度・粘弾性測定装置、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて、30℃、6rpmでの粘度と30℃、60rpmでの粘度とを測定し、回転数と粘度との積の比率(TI値、チキソトロピーインデックス値)を算出して行った。各熱電変換層用分散物のTI値を、熱電変換層101のTI値に対する相対値として、表1に示す。TI値が大きいほどチキソトロピー性が大きい。
本発明においては、上記相対値が0.1あれば許容できる最低限の印刷性を有し、相対値が0.1よりも大きく1.1未満であると望ましい印刷性を有し、相対値が1.1以上であると特に印刷性に優れるといえる。
成膜性は、熱電変換層用分散物の液ダレによる塗布層の広がり具合に着目し、メタルマスクの開口部に対する各熱電変換層の大きさを基準にして目視により評価した。評価は、優れる方から順に、1、2、3および4の4段階で行った。評価が1または2であると、分散物の液ダレの度合いが小さく、より成形性が大きいため、膜質が良化で、厚膜化することができ、成膜性により優れるといえる。評価が3であると、許容できる最低限の成膜性を有する。
1:メタルマスクの開口部にくらべ、熱電変換層の大きさが1.5倍以下
2:メタルマスクの開口部にくらべ、熱電変換層の大きさが1.5倍を超え2.0倍以下
3:メタルマスクの開口部にくらべ、熱電変換層の大きさが2.0倍を超え、2.5倍以下
4:メタルマスクの開口部にくらべ、熱電変換層の大きさが2.5倍より大きい
各熱電変換層の導電率は、低抵抗率計「ロレスタGP」(商品名、(株)三菱化学アナリテック製)を用いて各熱電変換層の表面抵抗率(単位:Ω/□)を測定し、また触針式段差表面形状測定装置「XP−200」(商品名、Ambios Technology社製)を用いて各熱電変換層の膜厚(単位:cm)を測定し、下記式より導電率(S/cm)を算出した。
式:(導電率)=1/((表面抵抗率(Ω/□))×(膜厚(cm))
各熱電変換層の熱電性能は、熱電特性測定装置「MODEL RZ2001i」(商品名、オザワ科学社製)を用いて、温度100℃の大気雰囲気で、ゼーベック係数S(μV/k)と導電率σ(S/m)を測定した。得られたゼーベック係数Sと導電率σから、熱電性能としてPower Factor(PF)を下記式より算出した。各熱電変換層のPFを、熱電変換層101のPFに対する相対値として、表1に示す。
式:PF(μW/(m・K))=(ゼーベック係数S)2×(導電率σ)
各熱電変換素子の熱起電力を下記のようにして評価した。すなわち、各熱電変換素子の熱起電力は、各熱電変換素子のガラス基材12を表面温度80℃のホットプレートで加熱した際に、第1の電極13と第2の電極15との間で生じる電圧差を、デジタルマルチメーターR6581(商品名、アドバンテスト社製)で測定した。各熱電変換素子の熱起電力を、熱電変換素子101の熱起電力に対する相対値として、表1に示す。
各例に用いた単層カーボンナノチューブ「ASP−100F」、「HP」および「MC」それぞれの長さを下記のようにして評価した。すなわち、各単層カーボンナノチューブをコール酸ナトリウムを分散剤として超音波ホモジナイザーにて孤立分散させた希薄分散液を、ガラス基板上にドロップキャストし、原子間力顕微鏡(AFM)で観察して、50個の単層カーボンナノチューブの長さを測定し、平均を求めた。結果を表2に示す。
各例に用いた単層カーボンナノチューブそれぞれの直径を下記のようにして評価した。すなわち、単層カーボンナノチューブそれぞれの532nm励起光でのラマンスペクトルを測定し(励起波長532nm)、ラジアルブリージング(RBM)モードのシフト ω(RBM)(cm−1)より、下記算出式を用いて、直径を算出した。結果を表2に示す。
算出式:直径(nm)=248/ω(RBM)
532nmの励起光にてラマンスペクトルを測定し、各単層カーボンナノチューブのGバンド(1590cm−1付近、グラフェン面内振動)とDバンド(1350cm−1付近、sp2炭素ネットワークの欠陥由来)の強度比G/D比を算出した。この強度比G/D比が大きいと、カーボンナノチューブの欠陥が少ないことを、示す。結果を表2に示す。
熱電変換層用分散物の固形分濃度が濃くなると、粘度およびチキソトロピー性などが次第に高くなって、成膜性、好ましくは成形性、熱電変換性能が向上した。
具体的には、試料No.101よりも固形分濃度が濃い試料No.102、104、107および108は、粘度が高くかつ分散性のよいペーストであったため、成膜性がさらに良好であった。特に、固形分濃度が最も濃い試料No.104は、チキソトロピー性がさらに高く印刷時の成形性に優れるため成膜性が良化し、また、熱電変換性能もさらに優れていた。
実施例2
1.熱電変換用分散物201および熱電変換層201の調製ならびに熱電変換素子201の製造
熱電変換層用分散物101の調製において、ナノ導電性物質として単層カーボンナノチューブの代わりに多層カーボンナノチューブ「VGCF−X」(商品名、平均直径150nm、平均長さ10〜20μm、昭和電工社製)を用いたこと以外は熱電変換層用分散物101と同様にして予備混合物201(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))および熱電変換層用分散物201(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物201を用いて、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層201を調製し、熱電変換素子201を製造した。
熱電変換層用分散物101の調製において、ナノ導電性物質として単層カーボンナノチューブの代わりにカーボンブラック「#3400B」(銘柄名、直径23nm、三菱化学社製)を用いたこと以外は熱電変換層用分散物101と同様にして予備混合物202(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))および熱電変換層用分散物202(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物202を用いて、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層202を調製し、熱電変換素子202を製造した。
熱電変換層用分散物c101の調製において、ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)を100mg用い、ナノ導電性物質として単層カーボンナノチューブの代わりに多層カーボンナノチューブ「VGCF−X」(商品名、昭和電工社製)を100mg用いたこと以外は熱電変換層用分散物c101と同様にして、予備混合物c201(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))および熱電変換層用分散物c201(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物c201を用いて、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層c201を調製し、熱電変換素子c201を製造した。
熱電変換層用分散物c201の調製において、ナノ導電性物質として多層カーボンナノチューブの代わりにカーボンブラック「#3400B」(銘柄名、直径23nm、三菱化学社製)を用いたこと以外は熱電変換層用分散物c201と同様にして、予備混合物c202(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))および熱電変換層用分散物c202(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層c201の調製および熱電変換素子c201の製造において、熱電変換層用分散物c201に代えて熱電変換層用分散物c202を用いて、熱電変換層c201および熱電変換素子c201と同様にして熱電変換層c202を調製し、熱電変換素子c202を製造した。
また、各熱電変換層201および202の成膜性、導電率および熱電性能、ならびに、各熱電変換素子201および202の熱起電力を実施例1と同様にして評価した。
結果を表3に示す。
一方、メカニカルホモジナイザーおよび超音波ホモジナイザーにより調製した試料No.c201およびc202は、試料No.201および202と比較して分散性が悪く、成膜性に劣り、均質な膜が得られなかった。そのため、表面抵抗率と熱電性能の測定ができず、導電率、PFおよび熱起電力を評価できなかった。
1.熱電変換層用分散物301および熱電変換層301の調製ならびに熱電変換素子301の製造
分散剤としてポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)の代りに1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート100mgを用いたこと以外は試料No.101と同様にして熱電変換層用分散物301および熱電変換層301を調製し、熱電変換素子301を製造した。
また、各熱電変換層301の成膜性、強度比[Id/Ig]、導電率および熱電性能、ならびに、各熱電変換素子301の熱起電力を、実施例1と同様にして、または下記方法により、評価した。
なお、熱電変換層301のPFおよび熱電変換素子301の熱起電力を、熱電変換層101のPFおよび熱電変換素子101の熱起電力に対する相対値として、求めた。
結果を表4に示す。
熱電変換層用分散物の強度比[Id/Ig]として、上述のG/D比の算出と同様にしてラマンスペクトルを測定し、熱電変換層中の単層カーボンナノチューブのGバンドとDバンドの強度比[Id/Ig]を算出した。この強度比[Id/Ig]が小さいと、カーボンナノチューブの欠陥が少なく、分散時のダメージが小さいことを、示す。
1.熱電変換層用分散物401〜406の調製
熱電変換層用分散物101の調製において、ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)と、単層カーボンナノチューブ「ASP−100F」(商品名、Hanwha−chemical社製)の質量比を表5に記載のとおりに変更したこと以外は熱電変換層用分散物101と同様にして熱電変換層用分散物401〜406を調製した。
熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物401〜406を用いて、それぞれ、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして、熱電変換層401〜406を調製し、熱電変換素子401〜406を製造した。
なお、試料No.403は試料No.101と同じである。
また、熱電変換層401〜406の成膜性、導電率および熱電性能、ならびに、熱電変換素子401〜406の熱起電力を実施例1と同様にして評価した。なお、各試料のチキソトロピー性、熱電性能および熱起電力を試料No.101のそれに対する相対値として、求めた。
結果を表5に示す。
1.熱電変換層用分散物501の調製
ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)90mg、非共役高分子としてポリスチレン(表6において「PPS」と表記する)20mg(重合度2000、和光純薬製)、o−ジクロロベンゼン20mLを加え、超音波洗浄機「US−2」(商品名、井内盛栄堂(株)製、出力120W、間接照射)を用いて完溶させた。次いで、単層カーボンナノチューブ「ASP−100F」(商品名、Hanwha−chemical社製)90mg加えて、メカニカルホモジナイザー「T10basic」(IKA社製)を用いて予備混合して、予備混合物501を得た。この予備混合物501の固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は45質量%)であった。
次に、この予備混合物501を、薄膜旋回型高速ミキサー「フィルミックス40−40型」(商品名、プライミクス社製)を用いて、10℃の恒温層中にて周速40m/secにて5分間分散し、熱電変換層用分散物501を調製した。
熱電変換層用分散物501の調製において、ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)と、単層カーボンナノチューブ「HP」と、ポリスチレンとの質量比を表6の記載のとおりに変更したこと以外は熱電変換層用分散物501と同様にして熱電変換層用分散物502(CNT含有率は25質量%)を調製した。
熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物501および502を用いて、それぞれ、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層501および502を調製し、熱電変換素子501および502を製造した。
また、熱電変換層501および502の成膜性、導電率および熱電性能、ならびに、熱電変換素子501および502の熱起電力を実施例1と同様にして評価した。なお、各試料のチキソトロピー性、熱電性能および熱起電力を試料101のそれに対する相対値として、求めた。
結果を表6に示す。
1.熱電変換層用分散物601の調製
ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)100mgと、単層カーボンナノチューブ「ASP−100F」(商品名、Hanwha−chemical社製)100mgと、o−ジクロロベンゼン20mLを加えて、メカニカルホモジナイザー「T10basic」(商品名、IKA社製)を用いて予備混合して、予備混合物601を得た。この予備混合物601の固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%)であった。次に、予備混合物601を、薄膜旋回型高速ミキサー「フィルミックス40−40型」(商品名、プライミクス社製)を用いて、10℃の恒温層中にて周速25m/secにて5分間超音波分散し、熱電変換層用分散物601を調製した。
熱電変換層用分散物601の調製において、薄膜旋回型高速ミキサー「フィルミックス40−40型」の周速を10m/secに変更したこと以外は熱電変換層用分散物601と同様にして熱電変換層用分散物602を調製した。
熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物601および602を用いて、それぞれ、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして、熱電変換層601および602を調製し、熱電変換素子601および602を製造した。
また、熱電変換層601および602の成膜性、導電率および熱電性能、ならびに、熱電変換素子601および602の熱起電力を実施例1と同様にして評価した。なお、各試料のチキソトロピー性、熱電性能および熱起電力を試料101のそれに対する相対値として、求めた。結果を表7に示す。
1.熱電変換層用分散物701の調製
単層カーボンナノチューブ「MC」(商品名、名城ナノカーボン社製)10mgと、TCNQ(東京化成社製)4mgと、o−ジクロロベンゼン20mLを加え、メカニカルホモジナイザー「T10basic」(IKA社製)を用いて、20℃で15分間、予備混合して、1μmのメンブレンフィルタでろ過し、カーボンナノチューブ−TCNQ混合物を得た。この操作を5回繰り返し集約することで、約50mgの組成物701を得た。
次いで、組成物701 50mgと、ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)50mgとに、o−ジクロロベンゼン20mLを加えて、さらにメカニカルホモジナイザー「T10basic」(IKA社製)を用いて、20℃で15分間、予備混合して、予備混合物701を得た。この予備混合物701の固形分濃度は0.5w/v%であった。
次いで、この予備混合物701を、薄膜旋回型高速ミキサー「フィルミックス40−40型」を用いて、10℃の恒温層中、周速40m/secにて5分間高速旋回薄膜分散法にて分散処理し、本発明の熱電変換層用分散物701を調製した。この熱電変換層用分散物701の固形分濃度は0.5w/v%であった。
単層カーボンナノチューブ「MC」(商品名、名城ナノカーボン社製)10mgとトリフェニルホスフィン(和光純薬製、以下、TPPとも表記)50mgと、シクロヘキサノン20mLを加え、メカニカルホモジナイザー「T10basic」(IKA社製)を用いて、20℃で15分間、予備混合して、1μmのメンブレンフィルタでろ過し、カーボンナノチューブ−TPP混合物を得た。この操作を5回繰り返し集約することで、約50mgの組成物702を得た。
ついで、組成物702 50mgと、ポリスチレン50mgとに、シクロヘキサノン20mLを加えて、さらにメカニカルホモジナイザー「T10basic」(IKA社製)を用いて、20℃で15分間、予備混合して、予備混合物702を得た。この予備混合物702の固形分濃度は0.5w/v%であった。
次いで、この予備混合物702を、薄膜旋回型高速ミキサー「フィルミックス40−40型」を用いて、10℃の恒温層中、周速40m/secにて5分間高速旋回薄膜分散法にて分散処理し、本発明の熱電変換層用分散物702を調製した。この熱電変換層用分散物702の固形分濃度は0.5w/v%であった。
熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物701および702を用いて、それぞれ、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして、熱電変換層701および702を調製し、熱電変換素子701および702を製造した。
また、熱電変換層701および702の成膜性、導電率および熱電性能、ならびに、熱電変換素子701および702の熱起電力を実施例1と同様にして評価した。なお、各試料の熱電性能および熱起電力を試料109のそれに対する相対値として、求めた。
結果を表8に示す。
1.熱電変換層用分散物801および熱電変換層801の調製ならびに熱電変換素子801の製造
熱電変換層用分散物101の調製において、ポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−イル)の代わりにポリスチレン(和光純薬製、重合度2000)、および、単層カーボンナノチューブ「ASP−100F」の代わりに「HP」を、ぞれぞれ、100mg用いたこと以外は熱電変換層用分散物101と同様にして予備混合物801(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))および熱電変換層用分散物801(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物801を用いて、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層801を調製し、熱電変換素子801を製造した。
熱電変換層用分散物801の調製において、ポリスチレン(和光純薬製、重合度2000)の代わりに2−ビニルナフタレン(Aldrich製、分子量175,000)を100mg用いたこと以外は熱電変換層用分散物801と同様にして予備混合物802(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))および熱電変換層用分散物802(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物802を用いて、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層802を調製し、熱電変換素子802を製造した。
熱電変換層用分散物801の調製において、ポリスチレン(和光純薬製、重合度2000)の代わりにPC−Z型ポリカーボネート(帝人化成株式会社製、パンライトTS−2020)を100mg用いたこと以外は熱電変換層用分散物801と同様にして予備混合物802(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))および熱電変換層用分散物802(固形分濃度は1.0w/v%(CNT含有率は50質量%))を調製した。
また、熱電変換層101の調製および熱電変換素子101の製造において、熱電変換層用分散物101に代えて熱電変換層用分散物803を用いて、熱電変換層101および熱電変換素子101と同様にして熱電変換層803を調製し、熱電変換素子803を製造した。
また、各熱電変換層801〜803の成膜性、導電率および熱電性能、ならびに、各熱電変換素子801〜803の熱起電力を実施例1と同様にして評価した。なお、各試料のチキソトロピー性、熱電性能および熱起電力を試料114のそれに対する相対値として、求めた。結果を表9に示す。
11、17 金属板
12、22 第1の基材
13、23 第1の電極
14、24 熱電変換層
15、25 第2の電極
16、26 第2の基材
31 基材
32 熱電変換層が形成される領域
33 バンク
Claims (15)
- 基材上に、第1の電極、熱電変換層および第2の電極を有する熱電変換素子の製造方法であって、
少なくともナノ導電性材料および分散媒を予備混合して予備混合物を調製し、該予備混合物を高速旋回薄膜分散法に供して、該ナノ導電性材料を含有する熱電変換層用分散物を調製する工程と、
調製した熱電変換層用分散物を前記基材上に塗布し、乾燥する工程とを有し、
前記熱電変換層用分散物の固形分濃度が、0.5〜20w/v%である熱電変換素子の製造方法。 - 前記予備混合物の固形分濃度が、15〜100質量%である請求項1に記載の熱電変換素子の製造方法。
- 前記熱電変換層用分散物の固形分中の前記ナノ導電性材料の含有率が、10質量%以上である請求項1または2に記載の熱電変換素子の製造方法。
- 前記熱電変換層用分散物の粘度が、10mPa・s以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱電変換素子の製造方法。
- 前記高速旋回薄膜分散法が、10〜40m/secの周速で行われる請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱電変換素子の製造方法。
- さらに分散剤を高速旋回薄膜分散法に供する請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱電変換素子の製造方法。
- 前記分散剤が、共役高分子である請求項6に記載の熱電変換素子の製造方法。
- さらに非共役高分子を高速旋回薄膜分散法に供する請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱電変換素子の製造方法。
- 前記ナノ導電性材料が、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、フラーレン、グラファイト、グラフェン、カーボンナノ粒子および金属ナノワイヤーからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱電変換素子の製造方法。
- 前記ナノ導電性材料が、カーボンナノチューブである請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱電変換素子の製造方法。
- 前記ナノ導電性材料が、単層カーボンナノチューブであり、該単層カーボンナノチューブの直径が1.5〜2.0nmであり、その長さが1μm以上であり、かつG/D比が30以上である請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱電変換素子の製造方法。
- 前記熱電変換層用分散物を印刷法によって前記基材上に塗布する請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱電変換素子の製造方法。
- 動的光散乱法で測定した、前記熱電変換層用分散物中の前記ナノ導電性材料の平均粒径Dが、1000nm以下である請求項1〜12のいずれか1項に記載の熱電変換素子の製造方法。
- 動的光散乱法で測定した、前記熱電変換層用分散物中の前記ナノ導電性材料の粒径分布の半値幅dDと平均粒径Dとの比[dD/D]が、5以下である請求項1〜13のいずれか1項に記載の熱電変換素子の製造方法。
- 熱電変換素子の熱電変換層を形成するための熱電変換層用分散物の製造方法であって、
少なくともナノ導電性材料および分散媒を予備混合して予備混合物を調製し、該予備混合物を高速旋回薄膜分散法に供して、ナノ導電性材料を分散媒に分散させ、
前記熱電変換層用分散物の固形分濃度が、0.5〜20w/v%である熱電変換層用分散物の製造方法。
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