JP5954532B2 - 核酸抽出用デバイス、核酸抽出用キット、核酸抽出用装置及び核酸抽出方法 - Google Patents

核酸抽出用デバイス、核酸抽出用キット、核酸抽出用装置及び核酸抽出方法 Download PDF

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Description

本発明は、核酸抽出用デバイス、核酸抽出用キット、核酸抽出用装置及び核酸抽出方法に関する。
近年、遺伝子の利用技術の発展により、遺伝子診断や遺伝子治療など遺伝子を利用した医療が注目されている。また農畜産分野においても品種判別や品種改良に遺伝子を用いた手法が多く開発されている。遺伝子を利用するための技術として、PCR(Polymerase Chain Reaction)などの技術が広く普及している。今日では、PCRは生体物質の情報解明において必要不可欠な技術となっている。PCRは、増幅の対象とする核酸(標的核酸)及び試薬を含む溶液(反応液)に熱サイクルを施すことで、標的核酸を増幅させる手法である。PCRの熱サイクルとしては、2段階又は3段階の温度で熱サイクルを施す手法が一般的である。
一方、医療の現場におけるインフルエンザに代表される感染症の診断は、現状ではイムノクロマト等の簡易検査キットを用いることが主流である。しかしこのような簡易検査では、精度が不十分となる場合があり、より高い検査精度を期待できるPCRを感染症の診断に適用することが望まれている。また、医療機関における一般外来等では、診察の時間が制限される関係から、検査に費やすことのできる時間は短時間に制限される。そのため、例えばインフルエンザの検査は、検査の精度を犠牲にして、簡易的なイムノクロマト等の検査により短時間化して行われているのが現状である。
このような事情から、医療の現場で、より高い精度を期待できるPCRによる検査を実現するためには反応に要する時間を短縮する必要があった。PCRの反応を短時間で行うための装置として、例えば特許文献1には、反応液と、反応液と混和せず反応液よりも比重の小さい液体とが充填された生体試料反応用チップを、水平方向の回転軸の周りに回転させることで、反応液を移動させて熱サイクルを施す生体試料反応装置が開示されている(特許文献1)。また、PCRの一手法として、磁性ビーズを用いた方法(特許文献2)や、磁性ビーズを液滴の移動手段として用い、基板上の温度変化領域での液滴を移動させることによりPCRの熱サイクルを行う方法(特許文献3)等の開示がある。
特開2009−136250号公報 特開2009−207459号公報 特開2008−012490号公報
このようにPCRの熱サイクルに要する時間を短縮する検討は進められているものの、検体から鋳型となる核酸を抽出してPCRを開始することのできる状態にするために要する時間を短縮する技術は、必ずしも十分に開発されたとはいえない状況である。例えば、PCRを行うためには検体(血液、鼻腔粘液、口腔粘膜など)から鋳型となる核酸(DNA:D eoxyribonucleic Acid、及び/又はRNA:Ribonucleic Asid)を抽出する処理(以下、単に「前処理」ということがある。)が必要であるが、PCRの熱サイクルに要する時間のみを短縮できたとしても、核酸を抽出する(前処理)に要する時間を短縮できなければ、医療の現場での要求には十分応えることはできない。
通常はカラムや磁性ビーズを使った前処理が行われているが、試薬の分注や撹拌・遠心作業などをすべて手作業で行うか、自動抽出装置等の高価で大掛かりな装置が必要である。そしてそのいずれの方法であっても前処理に少なくとも30分以上の時間と手間がかかっている。したがって仮にPCRの熱サイクルのみを短時間(例えば15分以内)で行うことができても、前処理のために要する時間を合わせると、検体の採取から検査結果が出るまでの全体の検査時間は短くても1時間程度を要してしまうのが現状である。
したがって、診療時間等の制限のある現場で核酸の抽出(前処理)からPCRの熱サイクルまでを一貫して行うことは現実的には不可能であった。このような事情がPCRによる検査手法の医療機関への普及のための障害の一つとなっていた。すなわち、PCRそのものと前処理にかかる時間及び煩雑さが、PCRがイムノクロマトより高感度、高精度な検査方法であるにもかかわらず、医療の現場で普及しにくい原因の一つとなっていた。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その幾つかの態様に係る目的の一つは、PCRのための前処理に要する時間を短縮できる核酸抽出用デバイス、核酸抽出用キット、核酸抽出方法及び核酸抽出用装置を提供することにある。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
[適用例1]本発明に係る核酸抽出用装置の1態様は、長手方向を有し、オイルからなる第1プラグ、オイルと混和しない第1洗浄液からなる第2プラグ、オイルからなる第3プラグ、オイルと混和しない溶出液からなる第4プラグ、及びオイルからなる第5プラグ、が当該順で内部に配置されたチューブを装着する装着部と、前記装着部に前記チューブが装着された場合に、前記チューブの側面から磁力を印加する磁力印加部と、前記装着部及び前記磁力印加部の相対的な配置を、前記チューブの長手方向に沿って変化させる移動機構と、を含む。
本適用例の核酸抽出用装置によれば、PCRのための前処理に要する時間と手間を大幅に削減することができる。具体的には、オイル、第1洗浄液、オイル、溶出液及びオイルがプラグ状に順に配置されたチューブに、核酸が吸着した磁性粒子を導入した場合に、チューブの外部から磁力を印加することができ、磁性粒子をチューブ内部で移動させることができる。そのため、例えば核酸が吸着した磁性粒子を第1プラグ側から導入して、第4プラグまで、移動させることができ、これにより核酸の抽出操作を自動的にかつ正確に短時間で行うことができる。詳細には、本適用例の核酸抽出用装置によれば、核酸が吸着された磁性粒子を、チューブの第1プラグ側から導入し、第1プラグのオイル内を通過させ、第2プラグの第1洗浄液で洗浄し、第3プラグのオイルを通過させ、第4プラグの溶出液において磁性粒子から核酸を溶出させることを自動的に行うことができる。これにより、高い純度で核酸を含有する溶出液を得るための、手間を大幅に省くことができる。
なお、本明細書において、液体の「プラグ」とは、チューブ又はチューブ部の長手方向において、実質的に当該液体のみが内部を占める形状となったものを指し、プラグによってチューブ又はチューブ部の内部の空間が区画されている状態を指す。ここでの実質的にとの表現は、プラグの周囲すなわち、チューブ又はチューブ部の内壁に少量(例えば薄膜状)の他の物質(液体等)が存在していてもよいことを指す。また、チューブ又はチューブ部とは、筒状の部分を指し、チューブ又はチューブ部は、液体が当該チューブ又はチューブ部内でプラグを維持できる内部空洞の断面を有しており、変形してもよい管状の部分のことを指す。
[適用例2]適用例1において、前記磁力印加部は、一対の永久磁石を有してもよく、前記一対の永久磁石は、前記装着部に前記チューブが装着された場合に、前記チューブを挟んで向かい合って配置され、前記磁力印加部は、前記一対の永久磁石の位置が、前記チューブ内の前記第2プラグに対応する位置にあるときに、前記チューブが受ける一方の前記永久磁石による磁力及び他方の前記永久磁石による磁力の大小関係が交互に反転するように前記一対の永久磁石を揺動させてもよい。
本適用例の核酸抽出用装置によれば、核酸が吸着した磁性粒子の洗浄(精製)をより効率的に行うことができる。そのため、PCRの精度をさらに高めることができる。
[適用例3]適用例1又は適用例2において、前記チューブの内部の前記第3プラグと前記第4プラグとの間に、前記第3プラグ側から順に、オイルと混和しない第2洗浄液からなる第6プラグ、及びオイルからなる第7プラグをさらに有してもよい。
本適用例の核酸抽出用装置によれば、核酸が吸着された磁性粒子を、第2プラグ及び第6プラグにおいて洗浄することができる。これにより、磁性粒子をさらに洗浄することができる。
[適用例4]適用例3において、前記磁力印加部は、一対の永久磁石を有してもよく、前記一対の永久磁石は、前記装着部に前記チューブが装着された場合に、前記チューブを挟んで向かい合って配置され、前記磁力印加部は、前記一対の永久磁石の位置が、前記チューブ内の前記第2プラグに対応する位置及び前記第6プラグに対応する位置にあるときに、前記チューブが受ける一方の前記永久磁石による磁力及び他方の前記永久磁石による磁力の大小関係が交互に反転するように前記一対の永久磁石を揺動させてもよい。
本適用例の核酸抽出用装置によれば、核酸が吸着した磁性粒子の洗浄(精製)をより効率的に行うことができる。そのため、PCRの精度をさらに高めることができる。
[適用例5]適用例1ないし適用例4のいずれか1例において、前記装着部に前記チューブが装着された場合に前記第4プラグを加熱する位置に設けられた加熱部をさらに含んでもよい。
本適用例の核酸抽出用装置によれば、第2プラグの第1洗浄液及び第6プラグの第2洗浄液の少なくとも一方による洗浄によって、磁性粒子に吸着した核酸の量が減少している場合でも、第4プラグの溶出液に対して、十分な量の核酸を溶出させることができる。これにより、洗浄効果を高めることができるとともに、PCRのために十分な濃度の核酸を溶出液に対して溶出させることができる。
[適用例6]本発明に係る核酸抽出用デバイスの1態様は、チューブ部と、前記チューブ部の内部に当該順で配置された、オイルからなる第1プラグ、オイルと混和しない第1洗浄液からなる第2プラグ、オイルからなる第3プラグ、オイルと混和しない溶出液からなる第4プラグ、及びオイルからなる第5プラグと、を有する。
本適用例の核酸抽出用デバイスは、オイル、第1洗浄液及び溶出液がプラグ状に配置されたチューブ部を有している。そのため、当該チューブ部に、核酸が吸着された粒子等を第1プラグ側から導入して、第4プラグまで移動させることによって、核酸の抽出をきわめて短時間で容易に行うことができる。より詳細には、核酸が吸着された粒子等を、チューブ部の第1プラグ側から導入し、第1プラグのオイル内を通過させ、第2プラグの第1洗浄液で洗浄し、第3プラグのオイルを通過させ、第4プラグの溶出液において粒子等から核酸を脱離させることができる。すなわち、本適用例の核酸抽出用デバイスは、核酸が吸着された粒子等をチューブ部内において移動させることによって、高い純度で核酸を含有する溶出液を得ることができる。そのため、本適用例の核酸抽出用デバイスによれば、PCRのための前処理に要する時間と手間を大幅に削減することができる。
また、本適用例の核酸抽出用デバイスは、チューブ部内で、第1洗浄液及び溶出液が、オイルの各プラグによって封止されている。そのため、第1洗浄液及び溶出液が混合することを抑制することができる。また、本適用例の核酸抽出用デバイスは、オイルの第1プラグ及び第5プラグを有するため、チューブ部の少なくとも一方の端が大気等に開放されたとしても、第1洗浄液や溶出液の蒸発を防ぐことができる。これにより、例えば、溶出液の体積を所定の大きさに安定させることができ、溶出液における核酸の濃度の定量性を維持することができる。
[適用例7]適用例6において、前記チューブ部の内部の前記第3プラグと前記第4プラグとの間に、前記第3プラグ側から順に、オイルと混和しない第2洗浄液からなる第6プラグ、及びオイルからなる第7プラグをさらに有してもよい。
本適用例の核酸抽出用デバイスによれば、核酸が吸着された粒子等を、第2プラグ及び第6プラグにおいて洗浄することができる。これにより、粒子等の洗浄効率をさらに高めることができる。
[適用例8]適用例6又は適用例7において、前記チューブ部の前記第5プラグ側の端が開放していてもよい。
本適用例の核酸抽出用デバイスによれば、核酸が溶出された第4プラグの溶出液をチューブ部の第5プラグ側の端から吐出させることができる。すなわち、本適用例の核酸抽出用デバイスによれば、第4プラグの溶出液において粒子等から核酸を溶出させた後、チューブ部の第1プラグ側から圧力等を印加することにより、チューブ部の第5プラグ側の端から、第5プラグのオイル、第4プラグの溶出液の順で吐出させることができる。これにより、例えばPCRのための反応容器等に、標的核酸を含む溶出液を容易に分注することができる。
[適用例9]適用例8において、前記チューブ部の前記第5プラグ側の端を封止する、脱着自在の栓をさらに有してもよい。
本適用例の核酸抽出用デバイスは、チューブ部の第5プラグ側の端を封止する脱着自在の栓を有するため、移送、保管が容易である。また、栓がチューブ部の第5プラグ側の端を封止した状態とすれば、チューブ部の内部で粒子等を移動させる際に、各プラグのチューブ部内での移動を抑制することができるので、洗浄、抽出をさらに容易化することができる。その上、当該栓は、脱着自在であるため、チューブ部の第5プラグ側の端を開放することができ、核酸が溶出された第4プラグの溶出液をチューブ部の第5プラグ側の端から吐出させることができる。すなわち、本適用例の核酸抽出用デバイスによれば、第4プラグの溶出液において粒子等から核酸を溶出させた後、チューブ部の第1プラグ側から圧力等を印加することにより、チューブ部の第5プラグ側の端から、第5プラグのオイル、第4プラグの溶出液の順で吐出させることができる。これにより、例えばPCRのための反応容器等に、標的核酸を含む溶出液を容易に分注することができる。
[適用例10]本発明に係る核酸抽出用キットの1態様は、オイルからなる第1プラグ、オイルと混和しない第1洗浄液からなる第2プラグ、オイルからなる第3プラグ、オイルと混和しない溶出液からなる第4プラグ、及びオイルからなる第5プラグ、が当該順で内部に配置されたチューブと、前記チューブの前記第1プラグ側の端に内部を連通させて接続可能な容器と、を含む。
本適用例の核酸抽出用キットは、チューブの第1プラグ側の端に内部を連通させて接続可能な容器を有するため、容器内に粒子等と検体とを収容すれば、容器内で粒子等に核酸を吸着させることができる。そして、容器をチューブの第1プラグ側の端に接続すれば、当該粒子等をチューブの第1プラグ側から容易にチューブ内に導入できるようにすることができる。また、本適用例の核酸抽出用キットは、容器を有するため、容器を独立して振とうすることができ、容器内の液体を十分に撹拌することができる。これにより迅速に粒子等に核酸を吸着させることができる。
また、チューブに容器を接続することにより、核酸が吸着された粒子等をチューブの第1プラグ側の端から導入して、第4プラグまで移動させることが容易である。これにより、核酸の抽出をきわめて短時間で容易に行うことができる。より詳細には、核酸が吸着された粒子等を容器内で調製し、チューブの第1プラグ側に容器を接続して、粒子等を導入し、第1プラグのオイル内を通過させ、第2プラグの第1洗浄液で洗浄し、第3プラグのオイルを通過させ、第4プラグの溶出液において粒子等から核酸を溶出させることができる。すなわち、本適用例の核酸抽出用キットは、核酸が吸着された粒子等をチューブ内において移動させることによって、高い純度で核酸を含有する溶出液を得ることができる。そのため、本適用例の核酸抽出用キットによれば、PCRのための前処理に要する時間と手間を大幅に削減することができる。
また、本適用例の核酸抽出用キットは、チューブ内で、第1洗浄液及び溶出液が、オイルの各プラグによって封止されている。そのため、第1洗浄液及び溶出液が混合することを抑制することができる。また、本適用例の核酸抽出用キットは、オイルの第1プラグ及び第5プラグを有するため、チューブの少なくとも一方の端が大気等に開放されたとしても、第1洗浄液や溶出液の蒸発を防ぐことができる。これにより、例えば、溶出液の体積を所定の大きさに安定させることができ、溶出液における核酸の濃度の定量性を維持することができる。
[適用例11]本発明に係る核酸抽出方法の1態様は、磁性粒子及び吸着液が収容された可とう性を有する容器に、核酸を含有する検体を導入する工程と、前記容器を揺動して前記核酸を前記磁性粒子に吸着させる工程と、オイルからなる第1プラグ、オイルと混和しない第1洗浄液からなる第2プラグ、オイルからなる第3プラグ、オイルと混和しない溶出液からなる第4プラグ及びオイルからなる第5プラグ、が当該順で内部に配置されたチューブの前記第1プラグ側の端に、前記容器内部と前記チューブ内部を連通させて前記容器を接続する工程と、磁力を印加して前記容器内部から前記チューブ内部を通過させて前記第4プラグの位置まで、前記磁性粒子を移動させる工程と、前記第4プラグの前記溶出液に対して前記磁性粒子から前記核酸を溶出させる工程と、を含む。
本適用例の核酸抽出方法によれば、核酸の抽出を短時間で容易に行うことができる。より詳細には、容器内において、核酸が吸着された磁性粒子を、チューブの第1プラグ側から導入し、第1プラグのオイル内を通過させ、第2プラグの第1洗浄液で洗浄し、第3プラグのオイルを通過させ、第4プラグの溶出液に到達させ、当該第4プラグにおいて粒子から核酸を溶出させることができる。本適用例の核酸抽出方法は、核酸が吸着された磁性粒子をチューブ内において移動させることによって、高い純度で核酸を含有する溶出液を得ることができる。本適用例の核酸抽出方法によれば、PCRのための前処理に要する時間と手間を大幅に削減することができる。
実施形態に係る核酸抽出用デバイスの要部を模式的に示す図。 実施形態に係る核酸抽出用デバイスの要部を模式的に示す図。 実施形態に係る核酸抽出用デバイスの要部を模式的に示す図。 実施形態に係る核酸抽出用デバイスを模式的に示す図。 実施形態に係る核酸抽出用デバイスを模式的に示す図。 実施形態に係る核酸抽出用デバイスの要部を模式的に示す図。 実施形態に係る核酸抽出用キットの一例を模式的に示す図。 実施形態に係る核酸抽出用キットの一例を模式的に示す図。 実施形態の核酸抽出方法の変形例を説明するための模式図。 実施形態に係る核酸抽出用装置の一例を示す斜視図。 実施形態に係る核酸抽出用装置の一例を示す斜視図。 実験例の結果を示すグラフ。 溶出温度とDNA収量の関係を示すグラフ。
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要素であるとは限らない。
1.核酸抽出用デバイス
本実施形態の核酸抽出用デバイス1000は、チューブ部100と、第1プラグ10、第2プラグ20、第3プラグ30、第4プラグ40及び第5プラグ50と、を有する。
図1は、本実施形態の核酸抽出用デバイス1000の要部を模式的に示す図である。
1.1.チューブ部
チューブ部100は、核酸抽出用デバイス1000の要部を構成している。核酸抽出用デバイス1000は、チューブ部100の他に、各種の構成を含んでもよい。核酸抽出用デバイス1000は、例えば、図示しないが、チューブ部100に接続される配管、容器、栓、継ぎ手、ポンプ、制御装置などを含んでもよい。
チューブ部100は、内部に空洞を有し、当該空洞内に液体を長手方向に流通させることのできる筒状の部分である。チューブ部100は、長手方向を有するが、屈曲してもよい。チューブ部100の内部の空洞は、液体がチューブ部100内でプラグ形状を維持できれば、大きさ、形状ともに特に限定されない。また、チューブ部100の内部の空洞の大きさや長手方向に垂直な断面の形状は、チューブ部100の長手方向に沿って変化してもよい。液体がチューブ部100内でプラグ形状を維持できるかどうかについては、チューブ部100の材質、液体の種類等の条件に依存するので、チューブ部100の長手方向に垂直な断面の形状は、液体がチューブ部100内でプラグ形状を維持できる範囲内で適宜に設計される。
チューブ部100の外形の長手方向に垂直な断面の形状も限定されない。さらにチューブ部100の肉厚(内部の空洞の側面から外部の表面までの長さ)も特に限定されない。チューブ部100の内部の空洞の長手方向に垂直な断面が円形である場合、チューブ部100の内径(内部の空洞の長手方向に垂直な断面における円の直径)は、例えば、0.5mm以上3mm以下とすることができる。チューブ部100の内径がこの範囲であると、チューブ部100の材質、液体の種類において広範な範囲で液体のプラグを形成しやすいのでより好ましい。
チューブ部100の材質は、特に限定されないが、例えば、ガラス、高分子、金属などとすることができる。しかし、チューブ部100の材質にガラスや高分子などの可視光において透明性を有する材質を選択すると、チューブ部100の外部から内部(空洞内)を観察することができるのでより好ましい。また、チューブ部100の材質に、磁力を透過する物質や非磁性体を選択すると、チューブ部100に磁性粒子を通過させる場合などに、チューブ部100の外部から磁力を与えることによってこれを行うことが容易化されるため好ましい。
チューブ部100の内部には、オイルからなる第1プラグ10、オイルと混和しない第1洗浄液からなる第2プラグ20、第1洗浄液と混和しないオイルからなる第3プラグ30、オイルと混和しない溶出液からなる第4プラグ40、及び溶出液と混和しないオイルからなる第5プラグ50が、当該順で配置される。
1.2.第1プラグ、第3プラグ、及び第5プラグ
第1プラグ10、第3プラグ30、及び第5プラグ50は、いずれもオイルからなる。第1プラグ10、第3プラグ30、及び第5プラグ50のオイルは、互いに異なる種類のオイルであってもよい。オイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル等のシリコーン系オイル、パラフィン系オイル及びミネラルオイル並びにそれらの混合物から選択される一種を挙げることができる。また、第1プラグ10、第2プラグ20、第3プラグ30、第4プラグ40、及び第5プラグ50の隣り合うプラグを形成する液体は、互いに混和しないように選択される。
第1プラグ10と第3プラグ30の間には、第2プラグ20が配置される。第1プラグ10の第2プラグ20と反対側の領域には、他の液体のプラグが配置されてもよい。第1プラグ10の中には、気泡や他の液体がないことが好ましいが、核酸を吸着させた粒子等が第1プラグ10を通過できる限りにおいて、気泡や他の液体が存在してもよい。また、第1プラグ10と第2プラグ20の間には、気泡や他の液体がないことが好ましいが、核酸を吸着させた粒子等が第1プラグ10から第2プラグ20へと通過できる限りにおいて、気泡や他の液体が存在してもよい。同様に、第2プラグ20と第3プラグ30の間には、気泡や他の液体がないことが好ましいが、核酸を吸着させた粒子等が第2プラグ20から第3プラグ30へと通過できる限りにおいて、気泡や他の液体が存在してもよい。
第3プラグ30と第5プラグ50の間には、第4プラグ40が配置される。第5プラグ50の第4プラグ40と反対側の領域には、他の液体のプラグが配置されてもよい。第3プラグ30の中には、気泡や他の液体がないことが好ましいが、核酸を吸着させた粒子等が第3プラグ30を通過できる限りにおいて、気泡や他の液体が存在してもよい。また、第3プラグ30と第4プラグ40の間には、気泡や他の液体がないことが好ましいが、核酸を吸着させた粒子等が第3プラグ30から第4プラグ40へと通過できる限りにおいて、気泡や他の液体が存在してもよい。同様に、第4プラグ40と第5プラグ50の間には、気泡や他の液体がないことが好ましいが、核酸を吸着させた粒子等が第4プラグ40から第5プラグ50へと通過できる限りにおいて、気泡や他の液体が存在してもよい。さらに、第5プラグ50の中には、気泡や他の液体がないことが好ましい。
第1プラグ10、第3プラグ30、及び第5プラグ50のチューブ部100の長手方向における長さは、プラグが形成可能な範囲であれば、いずれも特に限定されない。第1プラグ10、第3プラグ30、及び第5プラグ50のチューブ部100の長手方向における具体的な長さとしては、1mm以上50mm以下であり、粒子等の移動距離を大きくしすぎないように、1mm以上30mm以下が好ましく、5mm以上20mm以下がさらに好ましい。これらのうち第3プラグ30のチューブ部100の長手方向における長さを長くすると、第4プラグ40をチューブ部100の第5プラグ50側の端から吐出する態様を採る場合に、第2プラグ20を吐出しにくくすることができる。この場合、第3プラグ30の具体的な長さとしては、10mm以上50mm以下とすることができる。
第1プラグ10及び第5プラグ50は、チューブ部100の少なくとも一方の端が開放されたとしても、第1洗浄液(第2プラグ20)及び溶出液(第4プラグ40)の、蒸発等の外気との物質交換や、外部からの汚染を防ぐ機能を有している。そのため、チューブ部100の少なくとも一方の端が外気に開放されたとしても、第1洗浄液や溶出液の体積を一定に保つことができ、各液体の濃度の変動や汚染を抑制することができる。これにより、核酸抽出における核酸や各種の薬剤の濃度の精度を高めることができる。
また、第3プラグ30は、第1洗浄液(第2プラグ20)及び溶出液(第4プラグ40)が互いに混合することを抑制する機能を有する。また第3プラグ30は、より高粘度のオイルとすることにより、第1洗浄液(第2プラグ20)との界面で、粒子等を移動させる場合に、オイルによる「ぬぐい効果」を高めることができる。これにより、第2プラグ20の第1洗浄液のプラグから、オイルの第3プラグ30に粒子等を移動させた場合に、粒子等に付着した水溶性の成分を第3プラグ30(オイル)に、より持ち込まれにくくすることができる。
1.3.第2プラグ
第2プラグ20は、チューブ部100内の第1プラグ10と第3プラグ30との間の位置に配置される。第2プラグ20は、第1洗浄液からなる。第1洗浄液は、第1プラグ10を構成するオイル及び第3プラグ30を構成するオイルのいずれとも混和しない液体である。第1洗浄液としては、水、又は溶質濃度が10mM以下、好ましくは7mM以下、より好ましくは5mM以下の緩衝液が挙げられる。緩衝液の組成は、特に限定されないが、トリス−塩酸緩衝液などを例示することができ、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)等を含有してもよい。このような第1洗浄液であれば、核酸が吸着した粒子等を効率よく洗浄することができる。
第2プラグ20の体積は、特に限定されず、核酸を吸着させた粒子等の量等を指標として適宜設定することができる。例えば、粒子等の体積が、0.5μLである場合には、第2プラグ20の体積は、10μL以上であれば十分であり、20μL以上50μL以下とすることが好ましく、20μL以上30μL以下とすることがさらに好ましい。第2プラグ20の体積が、この範囲であれば、粒子等の体積が、0.5μLである場合に粒子等の洗浄を十分に行うことができる。なお、粒子等の洗浄には、第2プラグ20の体積は、より大きいことが好ましいが、チューブ部100の長さや太さ、これに依存する第2プラグ20のチューブ部100の長手方向における長さ等を考慮して、適宜に設定することができる。
第2プラグ20は、オイルのプラグによって分割されて複数のプラグから構成されてもよい。第2プラグ20がオイルプラグで分割された複数のプラグからなる場合は、第1洗浄液のプラグが複数形成される。そのため、第2プラグ20がオイルプラグで分割された場合には、洗浄の対象が水溶性物質であれば、分割された第1洗浄液によって到達する水溶性物質の濃度は、分割されていない同体積の第1洗浄液によって到達する水溶性物質の濃度よりも小さくなるためより好ましい。第2プラグ20が分割される数は任意であるが、洗浄の対象が水溶性物質であれば、例えば、等体積で2分割すると、計算上は分割しない場合の1/4の濃度まで水溶性物質の濃度を低下させることができる。第2プラグ20が分割される数は、例えば、チューブ部100の長さや洗浄の対象等を考慮して適宜設定されることができる。
1.4.第4プラグ
第4プラグ40は、チューブ部100内の第3プラグ30と第5プラグ50との間の位置に配置される。第4プラグ40は、溶出液からなる。
溶出液とは、粒子等に吸着した核酸を、粒子から脱離させて液中に溶離させる液体のことを指す。溶出液としては、例えば、滅菌水、蒸留水、イオン交換水等の精製された水、又はそのような水に対して、酵素、dNTP、プローブ、プライマー及びバッファーの少なくとも一種を溶解させた水溶液を挙げることができる。溶出液は、第3プラグ30を構成するオイル及び第5プラグ50を構成するオイルのいずれとも混和しない液体である。
溶出液を水又は水溶液とすれば、核酸が吸着された粒子等が溶出液に浸漬されることで、粒子等に吸着した核酸を遊離(溶出)させることができる。また、溶出液に酵素、dNTP、プローブ、プライマー及びバッファーの少なくとも一種を溶解させた水溶液を選択すると、粒子等に吸着した核酸を遊離(溶出)させるとともに、PCRの反応液に必要な成分の一部又は全部を溶出液に含有させることができるので、溶出液を用いてPCRの反応液を調製する際の時間と手間をさらに省くことができる。第4プラグ40の溶出液に酵素、dNTP、プローブ、プライマー及びバッファーの少なくとも一種を溶解させる場合の濃度は特に限定されず、調製するPCRの反応液に合わせて設定できる。
なお、ここで、dNTPは、4種類のデオキシリボヌクレオチド三リン酸(deoxynucleotide triphosphate)(dATP(Deoxyadenosine triphosphate)、dCTP(Deoxycytidine triphosphate)、dGTP(Deoxyguanosine triphosphate)、及びdTTP(Thymidine triphosphate)を混合したもの)を表す。
第4プラグ40の体積は、特に限定されず、核酸を吸着させた粒子等の量などを指標として適宜設定することができる。例えば、粒子等の体積が、0.5μLである場合には、第4プラグ40の体積は、0.5μL以上であれば十分であり、0.8μL以上5μL以下とすることが好ましく、1μL以上3μL以下とすることがさらに好ましい。第4プラグ40の体積が、この範囲であれば、粒子等の体積が、0.5μLである場合に粒子等からの核酸の溶出を十分に行うことができる。なお、粒子等からの核酸の溶出には、第4プラグ40の体積は、チューブ部100の長さや太さ、及びPCRの熱サイクルの迅速性を考慮して、反応液の熱容量が大きくなりすぎないように考慮して適宜に設定することができる。
1.5.作用効果
本実施形態の核酸抽出用デバイス1000は、オイル、第1洗浄液及び溶出液がプラグ状に配置されたチューブ部100を有している。そのため、チューブ部100に、核酸が吸着された粒子等を第1プラグ10側から導入して、第4プラグ40まで移動させることによって、核酸の抽出をきわめて短時間で容易に行うことができる。より詳細には、核酸が吸着された粒子等を、チューブ部100の第1プラグ10側から導入し、第1プラグ10のオイル内を通過させ、第2プラグ20の第1洗浄液で洗浄し、第3プラグ30のオイルを通過させ、第4プラグ40の溶出液において粒子等から核酸を脱離させることができる。すなわち、本実施形態の核酸抽出用デバイス1000は、核酸が吸着された粒子等をチューブ部100内において移動させることによって、高い純度で核酸を含有する溶出液を得ることができる。そのため、核酸抽出用デバイス1000によれば、PCRのための前処理に要する時間と手間を大幅に削減することができる。
1.6.核酸抽出用デバイスの構成等
本実施形態の核酸抽出用デバイスは、チューブ部100と、第1プラグ10、第2プラグ20、第3プラグ30、第4プラグ40、及び第5プラグ50と、を有するが、他の機能を付加する構成を含んでもよい。本実施形態の核酸抽出用デバイスは、以下に説明する構成の組み合わせや、各構成の変形形態を含んでもよい。
1.6.1.チューブ部の端部
図2は、核酸抽出用デバイスの変形例の一種である核酸抽出用デバイス1010を模式的に示す図である。本実施形態の核酸抽出用デバイスは、例えば、チューブ部100の第5プラグ50側の端が開放されていてもよい。すなわち、図2に示すように、核酸抽出用デバイス1010では、チューブ部100の第5プラグ50側の端が、開放された状態となっている。核酸抽出用デバイス1010によれば、チューブ部100の第1プラグ10側からチューブ部100の内部に圧力を印加することにより、第5プラグ50及び第4プラグ40を順に吐出させることができる。これにより、核酸抽出用デバイス1010を用いて、例えばPCRのための反応容器等に、標的核酸を含む溶出液(第4プラグ40)を容易に分注することができる。
1.6.2.栓
図3は、核酸抽出用デバイスの変形例の一種である核酸抽出用デバイス1020を模式的に示す図である。本実施形態の核酸抽出用デバイスは、図示のように、例えば、チューブ部100の第5プラグ50側の端を封止する、脱着自在の栓110をさらに有してもよい。栓110は、例えば、ゴムやエラストマー、高分子等によりなることができる。栓110によってチューブ部100が封止される場合、栓110は、第5プラグ50と接してもよいし、第5プラグ50と栓110の間に空気等の気体が配置されてもよい。また、栓110は脱着自在であるが、その機構は特に限定されない。図3の例では、栓110の一部がチューブ部100の内部に挿入されて固定される態様を示しているが、栓110はキャップ状であってもよい。
核酸抽出用デバイス1020において、栓110が外された場合には、チューブ部100の第5プラグ50側の端が開放して、上述した図2の核酸抽出用デバイス1010の態様となり、核酸抽出用デバイス1020を用いて、例えばPCRのための反応容器等に、標的核酸を含む溶出液(第4プラグ40)を容易に分注することができる。また、栓110によってチューブ部100の第5プラグ50側の端が封止された状態(図3に示す状態)であれば、各プラグのチューブ部100内での移動を抑制する効果が得られ、これにより、例えば、粒子等をチューブ部100内で移動させる場合に、粒子等の移動に伴ってプラグが移動することを抑制することができる。
1.6.3.容器
図4は、核酸抽出用デバイスの構成の一例である核酸抽出用デバイス1030を模式的に示す図である。図4に例示するように、核酸抽出用デバイス1030は、チューブ部100の第1プラグ10側の端に内部を連通させて接続できる、脱着自在の容器120をさらに有している。
容器120は、独立した部材とすることができる。容器120は、内部に液体を収容することができる。容器120は、液体や固体を出し入れできる開口121を有する。また、図4の例では、容器120の開口121が、チューブ部100の第1プラグ10側の端に内部を連通させて接続される態様となっている。また、容器120は、開口121を複数有してもよく、この場合の開口121の1つをチューブ部100の第1プラグ10側の端に内部を連通させて接続される態様としてもよい。
容器120の内容積は、特に限定されないが、例えば、0.1mL以上100mL以下とすることができる。容器120の開口121は、必要に応じて蓋122によって封止できる構造としてもよい。容器120の材質は、特に限定されず、高分子、金属等とすることができる。
容器120の開口121は、チューブ部100の第1プラグ10側の端に接続することができるが、容器120とチューブ部100との間の接続は、内容物が漏出しない態様である限り特に限定されない。容器120とチューブ部100とが接続された場合には、容器120の内部とチューブ部100の内部とが連通することができる。また、容器120は、必要に応じてチューブ部100から取り外すことができる。
核酸抽出用デバイス1030のように、容器120を備えることにより、容器120内において、例えば、粒子等と、吸着液と、検体と、を収容し、粒子等に核酸を吸着させることができる。その後、容器120をチューブ部100の第1プラグ10側の端に接続すれば、当該粒子等をチューブ部100の第1プラグ10側から容易にチューブ部100内に導入できる状態とすることができる。
吸着液とは、粒子(磁性粒子M)に核酸を吸着させる場となる液体のことを指し、例えば、カオトロピック剤を含む水溶液である。吸着液には、キレート剤、界面活性剤等が含まれてもよい。具体的には、吸着液には、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウムやその二水和物などが溶解されていてもよいし、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどが含まれてもよい。
ここで、カオトロピック剤とは、水分子間の相互作用を減少させ、それによって水分子の構造を不安定化させる物質のことを指し、具体的には、グアニジニウムイオン、尿素、ヨウ化物イオンなどが挙げられる。水中にカオトロピック剤が存在することによって、水中の核酸は、水分子に囲まれて存在するよりも、固体に吸着して存在するほうが熱力学的に有利となるため、粒子等の表面に吸着することとなる。カオトロピック剤を水中に発生させうる物質としては、グアニジン塩酸塩、ヨウ化ナトリウムなどが挙げられる。
容器120は、チューブ部100に接続していない状態で、振とうすることができ、容器120内の液体を十分に撹拌することができる。これにより、迅速に粒子等に核酸を吸着させることができる。容器120は、開口121を封止する蓋122を有してもよい。さらに容器120に導入する検体の量とチューブ部100内の液体(特に第4プラグ40)の体積とを適宜変更することによって、検体中の核酸を第4プラグ40の溶出液において定量的に濃縮することもできる。
容器120の材質にゴム、エラストマー、高分子等の可とう性を有するものを選択すると、容器120をチューブ部100に接続した状態で、容器120を変形させることにより、チューブ部100の内部を加圧することができる。このようにすれば、第4プラグ40の溶出液をチューブ部100の第5プラグ50側の端から吐出させる際に、チューブ部100の第1プラグ10側から圧力を印加することが容易である。これにより、例えばPCRのための反応容器等に溶出液を分注することができる。
1.6.4.液溜部
図5は、核酸抽出用デバイスの構成の一例である核酸抽出用デバイス1040を模式的に示す図である。図5に例示するように、核酸抽出用デバイス1040は、チューブ部100の第1プラグ10側の端に、チューブ部100に連通する液溜部130が形成されている。液溜部130の内部とチューブ部100の内部とは連通している。
液溜部130は、内部に液体を収容することができる。液溜部130は、液溜部130内部に外部から物質を導入できる開口131を有する。液溜部130における開口131が形成される位置は特に限定されない。液溜部130は、開口131を複数有してもよい。液溜部130の内容積は、特に限定されないが、例えば、0.1mL以上100mL以下とすることができる。液溜部130の材質は、特に限定されず、高分子、金属等とすることができ、チューブ部100の材質と同じであってもよい。
核酸抽出用デバイス1040のように、液溜部130を備えることにより、液溜部130内において、例えば、粒子等と、吸着液と、検体と、を収容し、粒子等に核酸を吸着させることができる。そして、当該粒子等をチューブ部100の第1プラグ10側から容易にチューブ部100内に導入することができる。
また、液溜部130は、チューブ部100とともに振とうすることができ、液溜部130内の液体を十分に撹拌することができる。これにより、迅速に粒子等に核酸を吸着させることができる。さらに液溜部130に導入する検体の量とチューブ部100内の液体の体積とを適宜変更することによって、検体中の核酸を溶出液において定量的に濃縮することができる。
核酸抽出用デバイス1040のように液溜部130を有する場合、液溜部130の開口131を封止する、脱着自在の蓋132をさらに有してもよい。そして、液溜部130の材質にゴム、エラストマー、高分子等の可とう性を有するものを選択すると、液溜部130に蓋132を装着した状態で、液溜部130を変形させることにより、チューブ部100の内部を加圧することができる。
このようにすれば、核酸が溶出された第4プラグ40の溶出液をチューブ部100の第5プラグ50側の端から吐出させる際に、チューブ部100の第1プラグ10側から圧力を容易に印加することができる。これにより、容器120に検体を導入する工程から、例えばPCRのための反応容器等に容易に溶出液を分注する工程までを行うことができる。また、蓋132を装着すれば、液溜部130をチューブ部100とともに振とうする際の液漏れを抑制することができるため、より粒子等に核酸を吸着させる効率を向上させることができる。
1.6.5.第6プラグ及び第7プラグ
本実施形態の核酸抽出用デバイスは、チューブ部の内部に、第6プラグ及び第7プラグを有してもよい。図6は、チューブ部100の内部に、第6プラグ60及び第7プラグ70を有する核酸抽出用デバイス1100を模式的に示す図である。
核酸抽出用デバイス1100は、上述の核酸抽出用デバイスのチューブ部100の内部の第3プラグ30と第4プラグ40との間に、第3プラグ30側から順に、オイルと混和しない第2洗浄液からなる第6プラグ60、及びオイルからなる第7プラグ70を追加した構成を有している。
第6プラグ60は、チューブ部100内の第3プラグ30の第2プラグ20と反対側の位置に配置される。第6プラグ60は、第2洗浄液からなる。第2洗浄液は、第3プラグ30を構成するオイル及び第7プラグ70を構成するオイルのいずれとも混和しない液体である。第2洗浄液としては、水、又は溶質濃度が10mM以下、好ましくは7mM以下、より好ましくは5mM以下の緩衝液が挙げられる。緩衝液の組成は、特に限定されないが、トリス−塩酸緩衝液などを例示することができ、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)等を含有してもよい。また、第2洗浄液は、第1洗浄液と同じ組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
第6プラグ60の体積は、特に限定されず、核酸を吸着させた粒子等の量等を指標として適宜設定することができる。例えば、粒子等の体積が、0.5μLである場合には、第6プラグ60の体積は、10μL以上であれば十分であり、20μL以上50μL以下とすることが好ましく、20μL以上30μL以下とすることがさらに好ましい。第6プラグ60の体積が、この範囲であれば、粒子等の体積が、0.5μLである場合に粒子等の洗浄を十分に行うことができる。なお、粒子等の洗浄には、第6プラグ60の体積は、より大きいことが好ましいが、チューブ部100の長さや太さ、これに依存する第6プラグ60のチューブ部100の長手方向における長さ等を考慮して、適宜に設定することができる。
第6プラグ60は、オイルのプラグによって分割されて複数のプラグから構成されてもよい。第6プラグ60がオイルプラグで分割された複数のプラグからなる場合は、第2洗浄液のプラグが複数形成される。そのため、第6プラグ60がオイルプラグで分割された場合には、洗浄の対象が水溶性物質であれば、分割された第2洗浄液によって到達する水溶性物質の濃度は、分割されていない同体積の第2洗浄液によって到達する水溶性物質の濃度よりも小さくなるためより好ましい。第6プラグ60が分割される数は任意であるが、洗浄の対象が水溶性物質であれば、例えば、等体積で2分割すると、計算上は分割しない場合の1/4の濃度まで水溶性物質の濃度を低下させることができる。第6プラグ60が分割される数は、例えば、チューブ部100の長さや洗浄の対象等を考慮して適宜設定されることができる。なお、第2プラグ20の第1洗浄液と、第6プラグ60の第2洗浄液を同一とした場合には、上述の第6プラグ60及び第7プラグ70を有さない核酸抽出用デバイスにおいて第2プラグ20を分割した場合と同様の効果が得られる。
第7プラグ70は、隣り合う第6プラグ60及び第4プラグ40の液体と混和しないオイルからなる。第7プラグ70のオイルは、第1プラグ10、第3プラグ30、及び第5プラグ50のオイルと異なる種類のオイルであってもよい。オイルとしては、第1プラグ10等において例示したと同様とすることができる。
第7プラグ70の中には、気泡や他の液体がないことが好ましいが、核酸を吸着させた粒子等が第7プラグ70を通過できる限りにおいて、気泡や他の液体が存在してもよい。また、第7プラグ70と隣り合う第4プラグ40及び第6プラグ60との間には、気泡や他の液体がないことが好ましいが、核酸を吸着させた粒子等がチューブ部100内を移動できる限りにおいて、気泡や他の液体が存在してもよい。なお、第7プラグ70の中には、気泡や他の液体がないことが好ましい。
第7プラグ70のチューブ部100の長手方向における長さは、プラグが形成可能な範囲であれば特に限定されない。第7プラグ70のチューブ部100の長手方向における具体的な長さとしては、1mm以上50mm以下であり、粒子等の移動距離を大きくしすぎないように、1mm以上30mm以下が好ましく、5mm以上20mm以下がさらに好ましい。核酸抽出用デバイス1100では、第7プラグ70のチューブ部100の長手方向における長さを長くすると、第4プラグ40をチューブ部100の第5プラグ50側の端から吐出する態様を採る場合に、第6プラグ60を吐出しにくくすることができる。この場合、第7プラグ70の具体的な長さとしては、10mm以上50mm以下とすることができる。
また、第7プラグ70は、第2洗浄液(第6プラグ60)及び溶出液(第4プラグ40)が互いに混合することを抑制する機能を有する。また第7プラグ70は、より高粘度のオイルとすることにより、第2洗浄液(第6プラグ60)との界面で、粒子等を移動させる場合に、オイルによる「ぬぐい効果」を高めることができる。これにより、第6プラグ60の第2洗浄液のプラグから、オイルの第7プラグ70に粒子等を移動させた場合に、粒子等に付着した水溶性の成分を第7プラグ70(オイル)に、より持ち込まれにくくすることができる。
核酸抽出用デバイス1100によれば、核酸が吸着された粒子等を、第2プラグ20及び第6プラグ60において洗浄することができる。これにより、粒子等の洗浄効率をさらに高めることができる。
また、核酸抽出用デバイス1100においては、第2プラグ20の第1洗浄液にカオトロピック剤を含有させてもよい。例えば、第2プラグ20の第1洗浄液にグアニジン塩酸塩を含有させると、第2プラグ20において、粒子等に吸着した核酸の吸着を維持又は強化しつつ粒子等を洗浄することができる。第2プラグ20にグアニジン塩酸塩を含有させる場合の濃度としては、例えば、3mol/L以上10mol/L以下、好ましくは5mol/L以上8mol/L以下とすることができる。グアニジン塩酸塩の濃度がこの範囲であれば、粒子等に吸着された核酸をより安定に吸着させつつ、他の夾雑物等を洗浄することができる。
そして、第6プラグ60の第2洗浄液を、水又は緩衝液とすることで、第2プラグ20(第1洗浄液)において、粒子等に吸着した核酸をより安定して吸着させるとともに洗浄を行うことができ、かつ、第6プラグ60(第2洗浄液)において、カオトロピック剤を希釈しつつ粒子等をさらに洗浄することができる。
チューブ部100の内部に、第6プラグ60及び第7プラグ70を有する核酸抽出用デバイス1100であっても、上述した栓、容器、液溜部等を構成に付加することができ、上述と同様の効果が得られることは容易に理解されよう。
2.核酸抽出用キット
図7は、本実施形態の核酸抽出用キットの一例を示す模式図である。図7に例示した核酸抽出用キット2000は、上述した核酸抽出用デバイスの要部を構成する部品を含む。「1.核酸抽出用デバイス」の項において説明した構成と同様の構成については、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施形態の核酸抽出用キット2000は、オイルからなる第1プラグ10、オイルと混和しない第1洗浄液からなる第2プラグ20、オイルからなる第3プラグ30、オイルと混和しない溶出液からなる第4プラグ40、及びオイルからなる第5プラグ50、が当該順で内部に配置されたチューブ200と、チューブ200の第1プラグ10側の端に内部を連通させて接続可能な容器120と、を含む。
チューブ200は、核酸抽出用デバイス1000のチューブ部100の両端が開放された態様のものであり、内部に空洞を有し、当該空洞内に液体を長手方向に流通させることのできる筒状の形状を有する。チューブ200の内部形状、外形形状、大きさ、性質、材質等は、核酸抽出用デバイス1000のチューブ部100と同様である。チューブ200の内部に配置されるプラグは、核酸抽出用デバイス1000のチューブ部100に配置されるプラグと同様である。また、チューブ200の両端は、脱着自在の栓110によって封止されてもよい。チューブ200の両端が栓110によって封止されている場合、例えば、核酸抽出用キット2000の保管、移送がより容易になる。さらに、チューブ200の使用時に、栓110がチューブ200の第5プラグ50側の端を封止した状態とすれば、チューブ200の内部で粒子等を移動させる際に、各プラグのチューブ200内での移動を抑制することができるので、洗浄、抽出をさらに容易化することができる。その上、当該栓110は、脱着自在であるため、チューブ200の第5プラグ50側の端を開放することができ、核酸が溶出された第4プラグ40の溶出液をチューブ200の第5プラグ50側の端から吐出させることが容易である。
容器120は、核酸抽出用デバイス1000の項で説明した容器120と同様である。
図7の例では、チューブ200の両端が、脱着自在の栓110によって封止されている。また、核酸抽出用キット2000は、容器120の開口121を脱着自在に封止する蓋122を含んでもよく、容器120の開口121が脱着自在の蓋122によって封止されてもよい。さらに、核酸抽出用キット2000では、吸着液の成分の一部又は全部が容器120に収容されていてもよい。
また、核酸抽出用キット2000では、容器120は、吸着液及び磁性粒子を収容していてもよい。このようにすれば、検体を容器120に導入した際、検体に含まれる核酸を磁性粒子に吸着させる工程を、容器120において行うことができる。これにより、他の容器を用意する必要がなく、さらに迅速にPCRの前処理を行うことができる。またこの場合、容器120の開口121は、必要に応じて脱着自在の蓋122によって封止されてもよい。磁性粒子については後に詳述する。
また、容器120を、既に述べたように、可とう性を有する材質とすれば、容器120をチューブ200に接続した状態で、容器120を変形させることにより、チューブ200の内部を加圧することができる。このようにすれば、核酸が溶出された第4プラグ40の溶出液をチューブ200の第5プラグ50側の端から吐出させる際に、チューブ200の第1プラグ10側から圧力を容易に印加することができる。これにより、例えばPCRのための反応容器等に容易に溶出液を分注することができる。
核酸抽出用キット2000には、チューブ200及び容器120の他に、例えば、栓、蓋、取扱説明書、試薬、ケース等の他の構成が含まれてもよい。またここではチューブ200内に5つのプラグが配置されている例を示したが、「1.6.核酸抽出用デバイス」の項において説明したと同様に、チューブ200(チューブ部100)内には、第6プラグ60、第7プラグ70等や、必要に応じてその他のプラグが配置されてもよいことは容易に理解されよう。
本実施形態の核酸抽出用キット2000は、チューブ200の第1プラグ10側の端に内部を連通させて接続可能な容器120を有するため、容器120内において、粒子等と検体とを収容すれば、粒子等に核酸を吸着させることができ、容器120をチューブ200の第1プラグ10側の端に接続すれば、当該粒子等をチューブ200の第1プラグ側から容易にチューブ200内に導入することができる。また、本実施形態の核酸抽出用キット2000は、容器120を有するため、容器120を振とうすることができ、容器120内の液体を十分に撹拌することができる。これにより迅速に粒子等に核酸を吸着させることができる。
また、チューブ200に容器120を接続することにより、核酸が吸着された粒子等をチューブ200の第1プラグ10側の端から導入して、第4プラグ40まで移動させることが容易である。これにより、核酸の抽出をきわめて短時間で容易に行うことができる。核酸抽出用キット2000は、核酸が吸着された粒子等をチューブ200内において移動させることによって、高い純度で核酸を含有する溶出液を得ることができる。そのため、核酸抽出用キット2000によれば、PCRのための前処理に要する時間と手間を大幅に削減することができる。
3.核酸抽出方法
上述した核酸抽出用デバイス、核酸抽出用キット及びそれらの変形形態、並びに後述する核酸抽出用装置は、いずれも本実施形態の核酸抽出方法に好適に利用することができる。以下、本実施形態の核酸抽出方法の一例として、上述の核酸抽出用キット2000を利用した方法を述べる。
本実施形態の核酸抽出方法は磁性粒子M及び吸着液が収容された可とう性を有する容器120に、核酸を含有する検体を導入する工程と、容器120を揺動して核酸を磁性粒子Mに吸着させる工程と、オイルからなる第1プラグ10、オイルと混和しない第1洗浄液からなる第2プラグ20、オイルからなる第3プラグ30、オイルと混和しない溶出液からなる第4プラグ40及びオイルからなる第5プラグ50、が当該順で内部に配置されたチューブ200の第1プラグ10側の端に、容器120内部とチューブ200内部を連通させて容器120を接続する工程と、磁力を印加して容器120内部からチューブ200内部を通過させて第5プラグ50の位置まで、磁性粒子Mを移動させる工程と、第4プラグ40の溶出液に対して磁性粒子Mから核酸を溶出させる工程と、を含む。
本実施形態の核酸抽出方法では、吸着液を用いて核酸を吸着させることのできる粒子であって、チューブ200内を移動させることのできる粒子であれば、各種(例えばシリカ粒子、ポリマー粒子、磁性粒子等)の粒子を用いることができるが、以下に説明する核酸抽出方法の一実施形態では、磁性体を含有する粒子であって、粒子表面に核酸を吸着できる磁性粒子Mを使用する。なお、磁性粒子M以外の粒子等をチューブ内で移動させる場合は、例えば、重力や電位差を利用してこれを行うことができる。
本実施形態の核酸抽出方法では、容器120及びチューブ200に磁力を透過する材質を選び、容器120及びチューブ200の外部から磁力を印加することによって磁性粒子Mを容器120及びチューブ200の内部で移動させる。
検体には標的となる核酸が含まれている。以下、これを単に標的核酸ということがある。標的核酸は、例えば、DNAやRNA(DNA:Deoxyribonucleic Acid、及び/又はRNA:Ribonucleic Asid)である。標的核酸は、本実施形態の核酸抽出方法によって検体から抽出され、溶出液に溶出された後、例えばPCRの鋳型として利用される。検体としては、血液、鼻腔粘液、口腔粘膜、その他各種の生体試料などが挙げられる。
3.1.容器に検体を導入する工程
容器120に検体を導入する工程は、例えば、綿棒に検体を付着させ、容器120の開口121から、当該綿棒を差し入れ、吸着液にこれを浸漬して行うことができる。また、検体は、ピペット等によって容器120の開口121から導入してもよい。また検体がペースト状や固体状であれば、例えば、容器120の開口121から匙やピンセット等により容器120の内壁に付着させたり投入してもよい。
3.2.核酸を磁性粒子に吸着させる工程
核酸を吸着させる工程は、容器120を揺動させて行われる。この工程は、容器120の開口121を封止する蓋122があれば、これを用いて容器120を封止して行うとより効率的に行うことができる。この工程により、標的核酸は、カオトロピック剤の作用により、磁性粒子Mの表面に吸着される。この工程では、磁性粒子Mの表面には、標的核酸の他に標的核酸以外の核酸や蛋白質が吸着してもよい。
容器120を揺動させる方法としては、ボルテックスシェイカーなどの装置を用いてもよいし、作業者の手で振り混ぜてもよい。また、磁性粒子Mの磁性を利用して、外部から磁場を与えながら容器120を揺動してもよい。容器120を揺動させる時間は、適宜設定されうるが、例えば容器120のおよその形状が、直径が20mm高さが30mm程度の円筒状である場合には、容器120を10秒間手で振って揺動する程度で十分に撹拌され、核酸が磁性粒子Mの表面に吸着する。
3.3.チューブに容器を接続する工程
次に図8に示すように、チューブ200の第1プラグ10側の端に容器120を接続する。チューブ200内の各プラグは、第1プラグ10側の栓110を外しても、第7プラグ70側の栓110がなされているため、チューブ200内を移動しにくくなっている。この工程は、チューブ200の第1プラグ10側の端に栓110が取り付けられている場合には該栓110を外して行う。そして、容器120及びチューブ200は、内容物が漏出しないように接続され、容器120内部とチューブ200の内部との間で内容物が流通可能なように連通される。
3.4.磁性粒子を移動させる工程
上記工程を経ると、容器120内の核酸が吸着した磁性粒子Mがチューブ200に流通できる状態となっている。核酸が吸着した磁性粒子Mをチューブ200に導く手法としては、重力や遠心力を利用する方法を用いてもよく、特に制限されないが、本実施形態では容器120及びチューブ200の外部から磁力を印加して行う。磁力は、例えば、永久磁石、電磁石等により印加することができるが、発熱等を生じない点で、永久磁石を用いて印加することがより好ましい。また、永久磁石を用いる場合には、作業者の手で磁石を動かして行ってもよいし、機械装置等を利用して行ってもよい。磁性粒子Mは、磁力によって引き寄せられる性質を有しているため、この性質を利用して、容器120及びチューブ200と、永久磁石の相対的な配置を変化させて、容器120内からチューブ200に移動させる。これにより、第1プラグ10から順に、各プラグを通って、第4プラグ40まで磁性粒子Mが移動される。磁性粒子Mが各プラグを通過するときの各プラグにおける滞在時間は特に限定されないし、同一プラグ内でチューブ200の長手方向に沿って往復するようにして移動させてもよい。
3.5.核酸を溶出させる工程
磁性粒子Mが第4プラグ40に到達すると、溶出液の作用により、磁性粒子Mに吸着された核酸が、第4プラグ40の溶出液に溶出する。本工程を経ると、検体から溶出液に対して核酸が溶出し、検体から核酸が抽出された状態となる。
3.6.作用効果
本実施形態の核酸抽出方法によれば、核酸の抽出をきわめて短時間で容易に行うことができる。本実施形態の核酸抽出方法は、核酸が吸着された磁性粒子Mをチューブ200内において移動させることによって、高い純度で核酸を含有する溶出液を得ることができる。本実施形態の核酸抽出方法によれば、PCRのための前処理に要する時間と手間を大幅に削減することができる。
3.7.第4プラグをチューブから吐出させる工程
本実施形態の核酸抽出方法は、容器120を変形させて、第5プラグ50及び第4プラグ40をチューブ200の容器120が接続した端と反対側の端から吐出させる工程を含んでもよい。
本工程は「3.5.核酸を溶出させる工程」の後、容器120を変形させることで行うことができる。第4プラグ40を吐出するときには第5プラグ50が先に吐出される。なお、チューブ200の第5プラグ50側を封止している栓110は、本工程に先立って取り除き、チューブ200の第5プラグ50側の端を開放しておく。
容器120に外力を加えて、内圧を高めるように変形させると、圧力によりチューブ200の第1プラグ10側から第5プラグ50側へと各プラグが移動する。これにより、チューブ200の第5プラグ50側の端から、第5プラグ50及び第4プラグ40の順に吐出される。第3プラグ30(又は第7プラグ70)は、吐出されてもよいが、第2プラグ20(又は第6プラグ60)は吐出されないようにする。この場合、例えば、第3プラグ30(又は第7プラグ70)の体積を他のプラグよりも大きく設定し、第3プラグ30(又は第7プラグ70)のチューブ200の長手方向の長さを大きくすれば、第2プラグ20(又は第6プラグ60)を吐出させてしまうことを防止しやすい。
第4プラグ40及び第5プラグ50は、例えば、PCRのための反応容器に対して吐出される。そのため、PCRのための反応容器には、溶出液とオイルが分注されるが、通常オイルは、PCRの反応に影響を与えないため、例えば、PCRの反応容器にあらかじめ第5プラグ50のオイルと同種のオイルを収容しておくこともできる。また、その場合、チューブ200の先端がオイル内にある状態で本工程を行うと、標的核酸が含まれる溶出液を外気に接触させることなくPCRの反応容器に導入することができる。本実施形態の核酸抽出方法が本工程を含む場合には、例えばPCRのための反応容器等に、標的核酸を含む溶出液を容易に分注することができる。
3.8.変形例
3.8.1.磁性粒子を移動させる工程の変形
図9は、本実施形態の核酸抽出方法の一変形形態を説明するための模式図である。
上述の「3.4.磁性粒子を移動させる工程」では、磁性粒子Mに対して磁力を外部から印加することによって、磁性粒子Mを第1プラグ10から各プラグを通過させて第4プラグ40まで移動させると説明した。しかし、磁性粒子Mが第2プラグ20に移動されたときに、外部から印加される磁力を変化させて、第2プラグ20内で磁性粒子Mを振動させたり、拡散凝集を繰り返したりして行ってもよい。このようにすれば、第2プラグ20の第1洗浄液による磁性粒子Mの洗浄効果を高めることができる。
具体的には、図9のA、Bに示すように、磁力を印加する手段として、一対の永久磁石410を用いる場合には、永久磁石410によって容器120から磁性粒子Mを移動させ、第1プラグ10を通過させて、第2プラグ20まで磁性粒子Mが到達したときに、一方の永久磁石410をチューブ200から遠ざけ、他方の永久磁石410を、チューブ200に対して対向する側から近づけると、磁性粒子Mを第2プラグ20内でチューブ200の長手方向と交差する方向に振動させることができる(図中A,Bの態様の繰り返し)。このようにすれば、第2プラグ20の第1洗浄液による磁性粒子Mの洗浄効果を高めることができる。このような磁性粒子Mの洗浄は、第2プラグ20を分割した場合や、チューブ200内に第6プラグ60が配置される場合に、複数の第2プラグ20や、第6プラグ60において適用してもよい。
また、図9のCに示すように、永久磁石410を単にチューブ200から遠ざけることにより、第2プラグ20内で磁性粒子Mを拡散させることができる。磁性粒子Mは、表面が親水性であるため、例えば第2プラグ20において、磁力を弱めて拡散されたとしても、第1プラグ10や第3プラグ30のオイルには進入しにくいので、このような態様としてもよい。
具体的には、永久磁石410によって容器120から磁性粒子Mを移動させ、第1プラグ10を通過させて第2プラグ20に磁性粒子Mが到達したときに、永久磁石410をチューブ200から遠ざけ、第2プラグ20内において磁性粒子Mを拡散させる。そして、磁性粒子Mを再び永久磁石410の磁力によって移動させ、第3プラグ30を通過させて、第4プラグ40に導くことができる。
このような外部から印加される磁力を変化させて、磁性粒子Mを振動させたり、拡散凝集を繰り返したりする態様は、容器120内の吸着液に磁性粒子Mが存在する状態や、第4プラグ40(溶出液)に磁性粒子Mが存在する状態において適用してもよい。
3.8.2.核酸を溶出させる工程の変形
上述の「3.5.核酸を溶出させる工程」では、第4プラグ40を加熱して行ってもよい。第4プラグ40を加熱する方法としては、例えば、チューブ200の第4プラグ40に対応する位置に、ヒートブロック等の熱媒体を接触させる方法や、ヒーター等の熱源を用いる方法、電磁加熱による方法などを例示することができる。
第4プラグ40を加熱する場合には、第4プラグ40以外のプラグも加熱されてもよいが、核酸が吸着された磁性粒子Mが、洗浄液のプラグに存在する状態では、当該プラグは加熱されないことが好ましい。第4プラグ40を加熱する場合の到達温度としては、溶出の効率の観点及び溶出液にPCRの酵素を含む場合に該酵素の失活を抑制する観点から、35℃以上85℃以下が好ましく、より好ましくは40℃以上80℃以下、さらに好ましくは45℃以上75℃以下である。
核酸を溶出させる工程において、第4プラグ40を加熱すると、磁性粒子Mに吸着された核酸を、溶出液に対して、より効率的に溶出させることができる。また、第1洗浄液又は第2洗浄液と、溶出液の組成が同一又は類似していても、洗浄液に対して溶出せずに磁性粒子Mに残って吸着している核酸を溶出液に対して溶出させることができる。すなわち、核酸が吸着した磁性粒子Mを第1洗浄液又は第2洗浄液によって洗浄した後でも、溶出液に対して核酸をさらに溶出させることができる。これにより、洗浄液の組成と、溶出液の組成が同一又は類似していても、十分な洗浄と、溶出液への十分な濃度での溶出とを両立ことができる。
3.8.3.第4プラグをチューブから吐出させる工程の変形
上述の「3.7.第4プラグをチューブから吐出させる工程」を採用する場合、係る工程において、溶出液に対して吸着された核酸を溶出した磁性粒子Mは、第4プラグ40内に存在してもよいが、さらに、磁力を印加することによって、第1プラグ10、第2プラグ20、第3プラグ30のいずれかのプラグ、又は容器120の中まで移動させてから行ってもよい。このようにすれば、溶出液に磁性粒子Mが含まれない状態で、第4プラグ40をチューブ200から吐出することができる。また、磁性粒子Mを移動させる先は、第2プラグ20又は容器120とすれば、磁力を取り去っても、第3プラグ30のオイル内に磁性粒子Mが進入しにくいため、第4プラグ40をチューブ200から吐出することをより容易にすることができる。
4.核酸抽出用装置
本実施形態に係る核酸抽出用装置は、上で説明した核酸抽出用デバイス、核酸抽出用キット及び核酸抽出方法に好適に適用することができる。以下では、核酸抽出用キット2000を装着して核酸の抽出を行う核酸抽出用装置3000を一実施形態として説明する。図10は、本実施形態の核酸抽出装置3000を模式的に示す斜視図である。
本実施形態の核酸抽出用装置3000は、長手方向を有し、オイルからなる第1プラグ10、オイルと混和しない第1洗浄液からなる第2プラグ20、オイルからなる第3プラグ30、オイルと混和しない溶出液からなる第4プラグ40、及びオイルからなる第5プラグ50、が当該順で内部に配置されたチューブを装着する装着部300と、装着部300にチューブ200が装着された場合に、チューブ200の側面から磁力を印加する磁力印加部400と、装着部300及び磁力印加部400の相対的な配置を、チューブ200の長手方向に沿って変化させる移動機構500と、を含む。
核酸抽出用装置3000の装着部300に装着されるチューブ200は、上述したチューブ200である。核酸抽出用装置3000は、チューブ200を装着する装着部300を有する。なお、チューブ200内には、第1プラグ10ないし第5プラグ50が配置された例とするが、上述した第6プラグ60、第7プラグ70が配置されていてもよい。
装着部300は、チューブ200を装着する部位である。装着部300には、チューブ200とともに、チューブ200に接続された容器120が装着されてもよい。装着部300は、チューブ200及び必要に応じて容器120に対して、磁力印加部400によって磁力が印加できる範囲で、構成や装着するための機構等を適宜設計することができる。装着部300は、チューブ200が可とう性を有して屈曲している場合などに、チューブ200を直線状の形状に伸ばして装着することができるように構成されてもよい。また、図示の例では、装着部300は、チューブ200が沿うように配置される添え板310を有している。添え板310は、必須の構成ではないが、添え板310を設置すると、チューブ200の振動等を抑制することができる場合がある。また、図示の例では、装着部300は、クリップ機構320を有しており、これによりチューブ200を2箇所で固定する態様となっている。
装着部300は、磁力印加部400との位置関係を、チューブ200の長手方向に対して相対的に変化するように構成される。従って、磁力印加部400の移動を行わずに装着部300を磁力印加部400に対して相対的に移動させるように設計する場合には、図示のように、移動機構500として、装着部300を移動させる移動機構360を含んで構成される。また、磁力印加部400が移動機構を含む場合には、装着部300には移動機構360は不要な場合がある。図示の例では、装着部300は、ヒンジ330、ガイドレール340、駆動ベルト350、図示せぬモーターを含んで構成されている。
核酸抽出用装置3000の例では、装着部300は、1つ設けられているが、複数設けられてもよい。その場合は、磁力印加部400も複数設けられることができるが、複数の装着部300は、それぞれ独立していてもよいし、連動するように設けられてもよい。
磁力印加部400は、装着部300にチューブ200が装着された際に、チューブ200及び必要に応じて容器120に磁力を印加する構成である。磁力印加部400は、例えば、永久磁石、電磁石、あるいはこれらの組み合わせを含んで構成される。磁力印加部400は、磁石等を少なくとも1つ備えるが、磁石等は複数備えられてもよい。磁力印加部400に電磁石を用いず、永久磁石を用いると、発熱等が生じにくいため好ましい。永久磁石としては、例えば、ニッケル系、鉄系、コバルト系、サマリウム系、ネオジム系のものを用いることができる。
磁力印加部400は、容器120内及びチューブ200内に存在する磁性粒子Mに対して磁力を印加する機能を有する。そして、装着部300と磁力印加部400との相対的な位置関係を変化させることによって、磁性粒子Mを容器120内及びチューブ200内で移動させることができる。
図示の例では、磁力印加部400は、容器120及びチューブ200を挟んで対向して設けられた一対の永久磁石410を有している。一対の永久磁石410の間は、チューブ200の外径よりも大きい間隔で離間している。永久磁石410の極性の向く方向は、特に限定されない。磁力印加部400は、装着部300との位置関係を、チューブ200の長手方向に対して相対的に変化するように構成される。従って、装着部300の移動を行わずに磁力印加部400を装着部300に対して相対的に移動させるように設計する場合には、移動機構500として、磁力印加部400を移動させる移動機構を含んで構成される。
また、図示の例では、磁力印加部400は、一対の永久磁石410の一方がチューブ200に接近すると他方がチューブ200から離間するように配置されている。そして、モーター420によって、一対の永久磁石410がチューブ200に接近離間するように振動させることができるようになっている。モーター420が駆動することにより、チューブ200内でチューブ200の長手方向と交差する方向に磁性粒子Mを往復移動させることができる。
モーター420は、容器120やチューブ200のどの位置に磁力を印加する場合でも、必要に応じて駆動することができる。しかし、永久磁石410の位置が、チューブ200の第2プラグ20、第4プラグ40の位置にあるときに、駆動すればチューブ200内での磁性粒子Mの洗浄効率や溶出効率を高めることができる。
本実施形態の核酸抽出用装置3000によれば、PCRのための前処理を自動化することが可能であり、前処理に要する時間と手間を大幅に削減することができる。また、本実施形態の核酸抽出用装置3000によれば、磁力印加部400を揺動させることができるため、核酸が吸着した磁性粒子Mの洗浄(精製)をより効率的に行うことができ、PCRの精度をさらに高めることができる。
図11は、核酸抽出用装置の変形例に係る核酸抽出装置3100を模式的に示す斜視図である。核酸抽出装置3100は、上述の核酸抽出装置3000とは、加熱部600を有する点で相違する以外は同様であり、作用機能の共通する部材については、同一の符号を付して説明を省略する。
加熱部600は、装着部300にチューブ200が装着された場合に、チューブ200の一部を加熱する構成である。加熱部600としては、例えば、熱源及びヒートブロック、ヒーター、電磁加熱用のコイルなどを例示することができる。加熱部600の形状としては、チューブ200を挿入することのできる形状や、チューブ200の側面に接触する形状などであり、チューブ200内の液体を加熱することができる限り任意である。
加熱部600によって加熱されるチューブ200の部分は、チューブ200の長手方向のうち、第4プラグ40が存在する部分を含む。加熱部600は、チューブ200のその他の部分を加熱してもよいが、チューブ200の長手方向のうち、第2プラグ20が存在する部分は加熱しないようにすることが好ましい。
図11に示した核酸抽出装置3100では、加熱部600として、添え板310に並列して設けられた、チューブ200の第4プラグ40を含む位置を加熱するヒーター610が備えられている。ヒーター610は、チューブ200の外周の半分程度に対して接触させる形状を有している。
核酸抽出装置3100は、第2プラグ20の第1洗浄液及び第6プラグ60の第2洗浄液の少なくとも一方による洗浄によって、磁性粒子Mに吸着した核酸の量が減少している場合でも、第4プラグ40の溶出液に対して、十分な量の核酸を溶出させることができる。これにより、洗浄効果を高めることができるとともに、PCRのために十分な濃度の核酸を溶出液に対して溶出させることができる。
5.実験例
以下に実験例を説明し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実験例によって何ら限定されるものではない。
5.1.実験例1
実験例1では、上述の核酸抽出用キット2000のうち、チューブ200の内部に、第1プラグ10ないし第7プラグ70を有する構成を使用した。
まず、容量3mLのポリエチレン製容器に、375μLの吸着液、及び1μLの磁性ビーズ分散液を収容した。吸着液の組成としては、76質量%のグアニジン塩酸塩、1.7質量%のエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物、及び10質量%のポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの水溶液(東洋紡製、MagExtractor −Genome−、NPK−1)である。また、磁性ビーズ分散液としては、50体積%の磁性シリカ粒子及び20質量%の塩化リチウムが含有されたものを用いた。
ヒトから採取した血液を、ピペットを用いて容器の口から50μL入れ、容器に蓋をして手で30秒間振って撹拌した。その後、容器の蓋を外してチューブに接続した。なお、チューブには両端に栓が為されており、第1プラグ側の栓を外してチューブに容器を接続した。
ここで、第1、3、7、5プラグは、シリコンオイルとした。第2プラグの第1洗浄液は、76質量%のグアニジン塩酸塩の水溶液とした。また、第6プラグの第2洗浄液は、pHが8.0のトリス−塩酸緩衝液(溶質濃度5mM)とした。第4プラグの溶出液は、滅菌水とした。
そして、手で永久磁石を動かして、容器内の磁性ビーズをチューブ内に導入した。そして、磁性ビーズを第4プラグまで移動させた。磁性ビーズがチューブ内の各プラグに存在した時間はおよそ以下の通りであった。第1、3、7プラグ:各3秒、第2プラグ:20秒、第6プラグ:20秒、第4プラグ:30秒。なお、第2プラグ及び第6プラグにおいては、磁性ビーズを振動させる等の操作は行わなかった。また、第2プラグ、第6プラグ、及び第4プラグの体積は、それぞれ、25μL、25μL、及び1μLとした。
次いで、チューブの第5プラグ側の栓を取り外し、容器を手で変形させて、第5プラグ及び第4プラグをPCRの反応容器に吐出させた。この操作は、磁性ビーズを永久磁石によって動かして、第2プラグまで退避させた上でおこなった。
そして、その抽出液に19μLのPCRの反応試薬を加え、リアルタイムPCRを定法に従って行った。PCRの反応試薬の内訳は、ライトサイクラー480ジェノタイピングマスター(ロシュ・ダイアグノスティックス社製4 707 524)4μL、滅菌水で1000倍希釈したSYBR Green I(ライフテクノロジーズ社製S7563)0.4μL、100μMのβアクチン検出用プライマー(F/R)各0.06μL、滅菌水14.48μLである。実験例1のPCRの増幅曲線を図12に示す。なお、図12の縦軸は、蛍光輝度であり、横軸はPCRのサイクル数である。
5.2.実験例2
実験例2では、一般的な核酸抽出法により核酸の抽出を行った。
まず、容量1.5mLのポリエチレン製容器に、375μLの吸着液、及び20μLの磁性ビーズ分散液を収容した。吸着液、磁性ビーズ分散液の組成としては、上記実験例と同様である。
次にヒトから採取した血液を容器の口からピペットを用いて50μL導入し、容器に蓋をして、ボルテックスミキサーで10分間撹拌し、磁気スタンド及びピペットを操作してB/F分離操作を行った。この状態では、容器内には磁性ビーズ及び少量の吸着液が残存していた。
次いで容器に実験例1と同じ組成の第1洗浄液を450μL導入し、蓋をして5秒間ボルテックスミキサーにより撹拌し、磁気スタンド及びピペットを操作して第1洗浄液を除去した。この操作を2回繰り返した。この状態では、容器内には磁性ビーズ及び少量の第1洗浄液が残存していた。
次いで容器に実験例1と同じ組成の第2洗浄液を450μL導入し、蓋をして5秒間ボルテックスミキサーにより撹拌し、磁気スタンド及びピペットを操作して第1洗浄液を除去した。この操作を2回繰り返した。この状態では、容器内には磁性ビーズ及び少量の第2洗浄液が残存していた。
そして、滅菌水(溶出液)50μLを容器に加え、蓋をして10分間ボルテックスミキサーにより撹拌し、磁気スタンド及びピペットを操作して上澄み液を回収した。この上澄み液が標的核酸を含んでいる。
そしてその抽出液から1μLを分注し、さらに19μLのPCRの反応試薬を加え、リアルタイムPCRを定法に従って行った。PCRの反応試薬の内訳は、ライトサイクラー480ジェノタイピングマスター(ロシュ・ダイアグノスティックス社製4 707 524)4μL、滅菌水で1000倍希釈したSYBR Green I(ライフテクノロジーズ社製S7563)0.4μL、100μMのβアクチン検出用プライマー(F/R)各0.06μL、滅菌水14.48μLである。このときの増幅曲線を図12に示す。
5.3.実験例3
実験例3では、上述の核酸抽出用キット2000のうち、チューブ200の内部に、第1プラグ10ないし第5プラグ50を有する構成を使用した。
吸着液の組成及び磁性ビーズ分散液は実験例1と同様とし、第1、3、5プラグについても実験例1と同様にシリコンオイルとした。
第2プラグの第1洗浄液は、pHが8.0のトリス−塩酸緩衝液(溶質濃度5mM)とした。そして、第4プラグの溶出液は、滅菌水とした。
ヒトから採取した血液を、ピペットを用いて容器の口から50μL入れ、容器に蓋をして手で30秒間振って撹拌した。その後、容器の蓋を外してチューブに接続した。なお、チューブには両端に栓が為されており、第1プラグ側の栓を外してチューブに容器を接続した。
そして、手で永久磁石を動かして、容器内の磁性ビーズをチューブ内に導入した。そして、磁性ビーズを第4プラグまで移動させた。磁性ビーズがチューブ内の各プラグに存在した時間はおよそ以下の通りであった。第1、3プラグ:各3秒、第2プラグ:20秒、第4プラグ:30秒。なお、第2プラグにおいては、磁性ビーズを振動させる等の操作は行わなかった。また、第2プラグ及び第4プラグの体積は、それぞれ、25μL、及び1μLとした。
次いで、チューブの第5プラグ側の栓を取り外し、容器を手で変形させて、第5プラグ及び第4プラグをPCRの反応容器に吐出させた。この操作は、磁性ビーズを永久磁石によって動かして、第2プラグまで退避させた上でおこなった。
そして、その抽出液に19μLのPCRの反応試薬を加え、リアルタイムPCRを定法に従って行った。PCRの反応試薬の内訳は、ライトサイクラー480ジェノタイピングマスター(ロシュ・ダイアグノスティックス社製4 707 524)4μL、滅菌水で1000倍希釈したSYBR Green I(ライフテクノロジーズ社製S7563)0.4μL、100μMのβアクチン検出用プライマー(F/R)各0.06μL、滅菌水14.48μLである。
このときの増幅曲線は、図12とほぼ同じ特性であった。なお、この実験例において第2プラグの第1洗浄液を76質量%のグアニジン塩酸塩にして同様の実験を行った場合には、実験例1の増幅曲線より10サイクル以上の立ち上がり遅れが見られた。
5.4.実験例4
(溶出温度のDNA収量に対する影響)
実験例4では、一般的な核酸抽出法により核酸の抽出を行った。
まず、容量1.5mLのポリエチレン製容器に、375μLの吸着液、及び20μLの磁性ビーズ分散液を収容した。吸着液、磁性ビーズ分散液の組成としては、上記実験例1と同様である。
次に1ng/μLに濃度調製したゲノムDNA溶液を容器の口からピペットを用いて50μL導入し、容器に蓋をして、ボルテックスミキサーで10分間撹拌し、磁気スタンド及びピペットを操作してB/F分離操作を行った。この状態では、容器内には磁性ビーズ及び少量の吸着液が残存していた。
次いで容器に実験例1と同じ組成の第1洗浄液を450μL導入し、蓋をして5秒間ボルテックスミキサーにより撹拌し、磁気スタンド及びピペットを操作して第1洗浄液を除去した。この操作を2回繰り返した。この状態では、容器内には磁性ビーズ及び少量の第1洗浄液が残存していた。
次いで容器に実験例1と同じ組成の第2洗浄液を450μL導入し、蓋をして5秒間ボルテックスミキサーにより撹拌し、磁気スタンド及びピペットを操作して第1洗浄液を除去した。この操作を2回繰り返した。この状態では、容器内には磁性ビーズ及び少量の第2洗浄液が残存していた。
そして、滅菌水(溶出液)50μLを容器に加え、蓋をして5秒間ボルテックスミキサーにより撹拌後、チューブヒーターにて2分間加熱した。その後、再度10秒間ボルテックスミキサーにより撹拌し、磁気スタンド及びピペットを操作して上澄み液を回収した。このときチューブヒーターでの加熱温度を、23℃(室温放置)、45℃、65℃の3通り行った。
そして、その抽出液から1μLを分注し、さらに19μLのPCRの反応試薬を加え、リアルタイムPCRを定法に従って行った。このとき、比較サンプルとして1ng/μLに濃度調製したゲノムDNA溶液もPCR反応サンプルに追加した。PCRの反応試薬の内訳は、ライトサイクラー480ジェノタイピングマスター(ロシュ・ダイアグノスティックス社製4 707 524)4μL、滅菌水で1000倍希釈したSYBR Green I(ライフテクノロジーズ社製S7563)0.4μL、100μMのβアクチン検出用プライマー(F/R)各0.06μL、滅菌水14.48μLである。
このときの溶出温度とDNA収量の関係を図13に示す。この結果は、リアルタイムPCRの立ち上がりサイクルから計算により求めた。比較サンプルの立ち上がりサイクルをCt0、抽出サンプルの立ち上がりサイクルをCt1とすると、DNA収量は比較サンプル(1となる)の比として、式「2(Ct0−Ct1)」で表される。
5.5.実験結果
上記実験例から、以下のことが判明した。
(1)PCRの前処理である核酸の抽出処理に要した時間を比較すると、検体を容器に挿入してから、PCRの反応容器に標的核酸を導入するまでの時間は、実験例1ではおよそ2分であった。実験例2ではおよそ30分であった。これにより実験例1の核酸抽出方法は、実験例2の核酸抽出方法よりも、核酸抽出に要する時間が大幅に短いことが分かった。
(2)また、各洗浄液は、実験例1では実験例2の約18分の1の量であった。さらに、溶出液の量も実験例1は実験例2の約50分の1であった。従って、実験例1では、洗浄液と溶出液の量が実験例2に対して非常に少量で十分であることが判明した。
(3)さらに、溶出液における標的核酸の濃度を、吸着液及び溶出液の量において比較すると、理想的には実験例1のほうが、実験例2よりも50倍の濃度となると考えられる。但し、今回の実験例では、血液サンプルに含まれる核酸量が多く、1μLの磁性ビーズの吸着可能量を超えており、血液サンプルに含まれる核酸を全量回収することができないため、実験例1では実験例2の50倍濃度が得られていない。核酸含有量が少なく1μLの磁性ビーズの吸着可能量を超えない検体の場合には、実験例1では実験例2の50倍濃度が得られる。
(4)そして、図12のグラフをみると、核酸の含有量が多い全血サンプルにおいても、核酸の増幅率の立ち上がりが、実験例1のほうが実験例2よりも約0.6サイクル早いことが判明した。すなわち、実験例1で用いたPCRの反応液は、実験例2で用いたPCRの反応液よりも、標的核酸の濃度が高いことが判明した。これにより、溶出液における標的核酸の濃度が、実験例1のほうが、実験例2よりも高いことが裏付けられた。
(5)実験例3の結果から、第2プラグが、バッファーであっても、十分に抽出できることが判明した。また、第2プラグが、グアニジン水溶液の場合は、酵素反応阻害の影響により、PCR増幅曲線の立ち上がりが大幅に遅れることが判明した。また、抽出液を少なくとも1000倍以上に薄めることにより、グアニジン水溶液の酵素反応阻害の影響を小さく抑えることができることが判明した。
(6)実験例4の結果から、第4プラグを40℃程度よりも高くすれば、DNAの収量が、PCRに利用する場合に十分となることが判明した。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…第1プラグ、20…第2プラグ、30…第3プラグ、40…第4プラグ、50…第5プラグ、60…第6プラグ、70…第7プラグ、100…チューブ部、110…栓、120…容器、121…開口、122…蓋、130…液溜部、131…開口、132…蓋、200…チューブ、300…装着部、310…添え板、320…クリップ機構、330…ヒンジ、340…ガイドレール、350…駆動ベルト、360…移動機構、400…磁力印加部、410…永久磁石、420…モーター、500…移動機構、600…加熱部、610…ヒーター、1000,1020,1030,1040,1100…核酸抽出用デバイス、2000…核酸抽出用キット、3000,3100…核酸抽出用装置、M…磁性粒子

Claims (10)

  1. 長手方向を有し、オイルからなる第1プラグ、オイルと混和しない第1洗浄液からなる第2プラグ、オイルからなる第3プラグ、オイルと混和しない溶出液からなる第4プラグ、及びオイルからなる第5プラグ、が当該順で内部に配置されたチューブを装着する装着部と、
    前記装着部に前記チューブが装着された場合に、前記チューブの側面から磁力を印加する磁力印加部と、
    前記装着部及び前記磁力印加部の相対的な配置を、前記チューブの長手方向に沿って変化させる移動機構と、
    を含み、
    前記チューブは前記第1プラグ側の端に内部を連通させる容器を接続可能である、核酸抽出用装置。
  2. 請求項1において、
    前記磁力印加部は、一対の永久磁石を有し、
    前記一対の永久磁石は、前記装着部に前記チューブが装着された場合に、前記チューブを挟んで向かい合って配置され、
    前記磁力印加部は、前記一対の永久磁石の位置が、前記チューブ内の前記第2プラグに対応する位置にあるときに、前記チューブが受ける一方の前記永久磁石による磁力及び他方の前記永久磁石による磁力の大小関係が交互に反転するように前記一対の永久磁石を揺動させる、核酸抽出用装置。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記チューブの内部の前記第3プラグと前記第4プラグとの間に、前記第3プラグ側から順に、オイルと混和しない第2洗浄液からなる第6プラグ、及びオイルからなる第7プラグをさらに有する、核酸抽出用装置。
  4. 請求項3において、
    前記磁力印加部は、一対の永久磁石を有し、
    前記一対の永久磁石は、前記装着部に前記チューブが装着された場合に、前記チューブを挟んで向かい合って配置され、
    前記磁力印加部は、前記一対の永久磁石の位置が、前記チューブ内の前記第2プラグに対応する位置及び前記第6プラグに対応する位置にあるときに、前記チューブが受ける一方の前記永久磁石による磁力及び他方の前記永久磁石による磁力の大小関係が交互に反転するように前記一対の永久磁石を揺動させる、核酸抽出用装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
    前記装着部に前記チューブが装着された場合に前記第4プラグを加熱する位置に設けられた加熱部をさらに含む、核酸抽出用装置。
  6. オイルからなる第1プラグ、オイルと混和しない第1洗浄液からなる第2プラグ、オイルからなる第3プラグ、オイルと混和しない溶出液からなる第4プラグ、及びオイルからなる第5プラグ、が当該順で内部に配置されたチューブと、
    前記チューブの前記第1プラグ側の端に内部を連通させて接続可能な容器と、
    を含む、核酸抽出用キット。
  7. 請求項6において、
    前記チューブの内部の前記第3プラグと前記第4プラグとの間に、前記第3プラグ側から順に、オイルと混和しない第2洗浄液からなる第6プラグ、及びオイルからなる第7プラグをさらに有する、核酸抽出用キット
  8. 請求項6又は請求項7において、
    前記チューブの前記第5プラグ側の端が開放している、核酸抽出用キット
  9. 請求項8において、
    前記チューブの前記第5プラグ側の端を封止する、脱着自在の栓をさらに有する、核酸抽出用キット
  10. 磁性粒子及び吸着液が収容された可とう性を有する容器に、核酸を含有する検体を導入する工程と、
    前記容器を揺動して前記核酸を前記磁性粒子に吸着させる工程と、
    オイルからなる第1プラグ、オイルと混和しない第1洗浄液からなる第2プラグ、オイルからなる第3プラグ、オイルと混和しない溶出液からなる第4プラグ及びオイルからなる第5プラグ、が当該順で内部に配置されたチューブの前記第1プラグ側の端に、前記容器内部と前記チューブ内部を連通させて前記容器を接続する工程と、
    磁力を印加して前記容器内部から前記チューブ内部を通過させて前記第4プラグの位置まで、前記磁性粒子を移動させる工程と、
    前記第4プラグの前記溶出液に対して前記磁性粒子から前記核酸を溶出させる工程と、を含む、核酸抽出方法。
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