JP2014033663A - 核酸抽出装置及び核酸抽出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規な核酸抽出装置及び核酸抽出方法を提供すること。
【解決手段】
本発明の核酸抽出装置は、第1のオイルからなる第1プラグ、オイルと混和せず、核酸が結合した核酸結合性固相担体を洗浄するための第1洗浄液からなる第2プラグ、第2のオイルからなる第3プラグ、オイルと混和せず、核酸が結合した核酸結合性固相担体から前記核酸を溶出するための溶出液からなる第4プラグ、及び第3のオイルからなる第5プラグ、を、この順で内部に備え、平行に配置された、同様の形状を有する複数のチューブと、前記複数のチューブに核酸結合性固相担体を導入するためのタンクと、を備えた核酸抽出用器具;及び、前記複数のチューブの対応部に、同時に磁力を印加するための磁力印加器具、を有する装置とする。また、本発明の核酸抽出方法は、この核酸抽出用器具を用いて、核酸を抽出する方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、核酸抽出装置及び核酸抽出方法に関する。
シリカ粒子等の核酸結合性固相担体とカオトロピック剤を用いて、生体材料からより簡
便に核酸を抽出する方法が、Boomらにより報告された(非特許文献1参照)。このBoomら
の方法を含め、シリカ等の核酸結合性固相担体とカオトロピック剤を用いて核酸を担体に
吸着させ、抽出する方法は、主に、(1)カオトロピック剤存在下、核酸結合性固相担体
に核酸を吸着させる工程(吸着工程)、(2)非特異的に結合した夾雑物及びカオトロピ
ック剤を除くため、洗浄液にて核酸の吸着した担体を洗浄する工程(洗浄工程)、および
(3)水または低塩濃度緩衝液にて核酸を担体から溶出させる工程(溶出工程)の3工程
からなる。
J.Clin.Microbiol.,vol.28 No.3, p.495-503 (1990)
本発明は、新規な核酸抽出装置及び核酸抽出方法を提供することを目的とする。
本発明の一実施態様は、核酸抽出用器具であって、第1のオイルからなる第1プラグ、
オイルと混和せず、核酸が結合した核酸結合性固相担体を洗浄するための第1洗浄液から
なる第2プラグ、第2のオイルからなる第3プラグ、オイルと混和せず、核酸が結合した
核酸結合性固相担体から前記核酸を溶出するための溶出液からなる第4プラグ、及び第3
のオイルからなる第5プラグ、を、この順で内部に備え、平行に配置された、同様の形状
を有する複数のチューブと、前記複数のチューブに前記核酸結合性固相担体を導入するた
めのタンクと、を備えた核酸抽出用器具である。前記タンクは、前記核酸結合性固相担体
を含む液体を前記複数のチューブに分配するための液体分配部を備えていても良い。前記
液体分配部は、各チューブに連通する空間を隔てる隔壁を有していても良い。前記タンク
と、少なくとも一つの前記チューブが着脱可能であっても良い。前記チューブの第3プラ
グと第4プラグとの間に、第3プラグ側から順に、オイルと混和せず、核酸が結合した核
酸結合性固相担体を洗浄するための第2洗浄液からなる第6プラグ、及びオイルからなる
第7プラグ、をさらに有していてもよい。前記チューブの第5プラグ側の端が開放してい
る開放端であって、前記開放端を封止する、着脱可能な栓をさらに有していても良い。前
記タンクが、核酸を抽出するための試料を溶解するための溶解液を有していても良い。前
記隔壁が前記チューブの長手方向と平行に同じ高さを有し、前記チューブの長手方向が重
力方向と平行になるように設置した時に、前記溶解液の液面が前記隔壁より高くても良い
本発明の他の一実施態様は、上記いずれかの核酸抽出用器具と、磁性体を有する核酸結
合性固相担体と、核酸を抽出するための試料を溶解するための溶解液と、を有する、核酸
抽出用キットである。
本発明のさらなる他の一実施態様は、上記いずれかの核酸抽出用器具と、前記複数のチ
ューブの対応部に、同時に磁力を印加するための磁力印加器具と、を有する核酸抽出用装
置である。前記複数のチューブの対応部に、同時に磁力を印加しながら、前記チューブの
長手方向に沿って前記磁力印加器具を移動させるための磁力印加器具移動装置を備えても
よい。前記チューブの第4プラグを加熱する位置に設けられた加熱装置をさらに備えても
良い。
本発明のさらなる他の一実施態様は、上記いずれかの核酸抽出用器具を、前記チューブ
の長手方向が重力方向と平行になるように設置する工程と、磁性体を有する核酸結合性固
相担体を含み、核酸を抽出するための試料を溶解した、均一に混合された溶解液を前記タ
ンクに投入する工程と、前記チューブに対し、第1プラグから第4プラグの方向へ、磁力
を印加し、前記磁性体を前記タンク内から第4プラグに移動させる工程と、前記第4プラ
グの前記溶出液において、前記磁性体から前記核酸を溶出させる工程と、を含む、核酸抽
出方法である。前記タンクに投入する工程が、以下の4つのステップ:核酸を抽出するた
めの試料を溶解するための溶解液に前記試料を投入し、前記溶解液を混合するステップと
、前記溶解液に、磁性体を有する核酸結合性固相担体を添加するステップと、前記核酸抽
出用器具の前記タンクに、前記試料を混合した前記溶解液を投入するステップと、前記溶
解液中で、前記核酸と結合した前記核酸結合性固相担体を均一に混合するステップと、を
含んでも良い。
本発明によって、新規な核酸抽出装置及び核酸抽出方法を提供することが可能になった
本発明の一実施例の核酸抽出用装置の構成の模式図である。 本発明の一実施例の核酸抽出方法を実施している核酸抽出用装置の模式図である。 本発明の一実施例の核酸抽出用装置を用い、3本のキャピラリーへそれぞれ磁性ビーズを分配させて得られた溶出液に対し、PCRを行った結果を示す図である。
実施の形態及び実施例に特に説明がない場合には、M. R. Green & J. Sambrook (Ed.),
Molecular cloning, a laboratory manual (4th edition), Cold Spring Harbor Press,
Cold Spring Harbor, New York (2012); F. M. Ausubel, R. Brent, R. E. Kingston, D
. D. Moore, J.G. Seidman, J. A. Smith, K. Struhl (Ed.), Current Protocols in Mol
ecular Biology, John Wiley & Sons Ltd.などの標準的なプロトコール集に記載の方法、
あるいはそれを修飾したり、改変した方法を用いる。また、市販の試薬キットや測定装置
を用いる場合には、特に説明が無い場合、それらに添付のプロトコールを用いる。
なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業
者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる
。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的に実施例などは、本発明の好ましい実施
態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれら
に限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明
細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかであ
る。
==核酸抽出用器具==
(1)タンク
本発明の核酸抽出用器具は、複数のチューブに核酸結合性固相担体を導入するためのタ
ンクを備える。
タンクは、内部に液体を収容することができ、外部から内部に物質を導入できる開口を
有する。タンクにおける開口の位置は特に限定されず、開口を複数有してもよい。開口に
は、着脱可能な蓋を有していてもよい。
タンクの内容積は、特に限定されないが、例えば、0.1mL以上100mL以下とす
ることができる。タンクの材質は、特に限定されないが、例えば、ガラス、プラスティッ
クなどの樹脂、金属などとすることができる。特に、タンクの材質として透明なガラスや
樹脂を選択すると、タンクの外部から内部を観察することができるので、より好ましい。
なお、タンクと各チューブは、一体成形されていても、着脱可能になっていても構わない
。タンクの材質にゴム、エラストマー、高分子等の可とう性を有するものを利用すると、
タンクに蓋を装着した状態で、タンクを変形させることにより、タンクの内部を加圧する
ことができる。それにより、チューブの内部から外部へと、チューブの先端側からチュー
ブの内容物を押し出すことができる。
また、タンクは、核酸を抽出するための試料を溶解するための溶解液を有しているのが
好ましく、チューブとともに振とうすることができ、タンク内の液体を十分に撹拌するこ
とができる。
溶解液は、カオトロピック物質を含有すれば特に限定されないが、細胞膜の破壊あるい
は細胞中に含まれるタンパク質を変性させる目的で界面活性剤を含有させてもよい。この
界面活性剤としては、一般に細胞等からの核酸抽出に使用されるものであれば特に限定さ
れないが、具体的には、Triton−Xなどのトリトン系界面活性剤やTween20
などのツイーン系界面活性剤のような非イオン性界面活性剤、N‐ラウロイルサルコシン
ナトリウム(SDS)等の陰イオン性界面活性剤が挙げられるが、特に非イオン性界面活
性剤を、0.1〜2%の範囲となるように使用するのが好ましい。さらに、溶解液には、
2−メルカプトエタノールあるいはジチオスレイトール等の還元剤を含有させることが好
ましい。溶解液は、緩衝液であっても良いが、pH6〜8の中性であることが好ましい。
これらのことを考慮し、具体的には、3〜7Mのグアニジン塩、0〜5%の非イオン性界
面活性剤、0〜0.2mMのEDTA、0〜0.2Mの還元剤などを含有することが好ま
しい。
カオトロピック物質は、水溶液中でカオトロピックイオン(イオン半径の大きな1価の
陰イオン)を生じ、疎水性分子の水溶性を増加させる作用を有しており、核酸の固相担体
への吸着に寄与するものであれば、特に限定されない。具体的には、グアニジンチオシア
ン酸塩、グアニジン塩酸塩、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、過塩素酸ナトリウム等
が挙げられるが、これらのうち、タンパク質変成作用の強いグアニジンチオシアン酸塩ま
たはグアニジン塩酸塩が好ましい。これらのカオトロピック物質の使用濃度は、各物質に
より異なり、例えば、グアニジンチオシアン酸塩を使用する場合には、3〜5.5Mの範
囲で、グアニジン塩酸塩を使用する場合は、5M以上で使用するのが好ましい。
チューブを重力の方向と平行になるように設置したとき、タンクはチューブの上方に位
置し、チューブは全て同じ高さで平行に並ぶように構成されている。タンクは、核酸結合
性固相担体を含む液体を各チューブに分配するための液体分配部を備え、核酸結合性固相
担体を含む液体をタンクに入れると、液体は液体分配部で核酸結合性固相担体とともに分
配され、核酸結合性固相担体が、液体を介して、各チューブに入っていく様に構成されて
いる。液体分配部は、各チューブに連通する空間を隔てる隔壁を有してもよい。この隔壁
によって、チューブごとに、各チューブと連続するタンクの底面を区切ることが可能にな
る。そして、底面が重力の方向に垂直に広がり、隔壁が底面に対し垂直であれば、各チュ
ーブに繋がる底面の面積の比が、各チューブに分配される核酸結合性固相担体の比と一致
する。例えば、各チューブに繋がる底面の面積が等しければ、各チューブに分配される核
酸結合性固相担体も等しく分配される。
タンクの中に試料を入れ、振とうした上で、再度、チューブを重力の方向と平行になる
ように設置すると、この設置状態で、タンク内の液体を隔壁より高くすることができる。
これによって、複数のチューブに均等に液体が流れるようにできる。ただし、タンク中に
空間を残しておくのが好ましい。それによって、この核酸抽出用器具を逆さまにしたりし
て軽く振とうするだけで、タンク内の液体を、容易に混ぜることができるからである。
核酸結合性固相担体は、カオトロピックイオンの存在下で、核酸を吸着すなわち可逆的
な物理的結合により保持することができる親水性表面を有する固体であれば、特に限定さ
れない。具体的には、二酸化珪素を含有する物質、例えば、シリカ、ガラス、珪藻土、あ
るいはこれらを化学的修飾により表面処理を施したものが好ましく、磁性体や超常磁性金
属酸化物等との複合体がより好ましい。化学的修飾により表面処理を施す場合は、核酸と
の可逆的な結合を妨げない程度に、適度な陽性電荷を帯びさせてもよい。
また、これらの核酸結合性固相の形態としては、塊、粒子、粉体等が具体的に挙げられ
るが、特に限定されない。これらのうち、吸着と溶出の効率を考慮すると粒子の形態がよ
り好ましい。その場合の粒径は特に限定されないが、0.05〜500μmであってもよ
く、好ましくは1〜100μmであり、特に好ましくは1〜10μmである。
核酸結合性固相担体は、溶解液より密度が大きい方が好ましい。例えば、分散液の密度
が1.1〜1.2g/mLであれば、核酸結合性固相担体の密度は、1.5〜2.0g/
mLなどとすればよい。
(2)チューブ
本発明の核酸抽出用器具は、第1のオイルからなる第1プラグ、オイルと混和せず、核
酸が結合した核酸結合性固相担体を洗浄するための第1洗浄液からなる第2プラグ、第2
のオイルからなる第3プラグ、オイルと混和せず、核酸が結合した核酸結合性固相担体か
ら前記核酸を溶出するための溶出液からなる第4プラグ、及び第3のオイルからなる第5
プラグ、を、この順で内部に備え、平行に配置された、同様の形状を有する複数のチュー
ブと、を備える。複数のチューブは、お互いに平行に配置されさえすれば、全体には、直
線上に配置されても、環状に配置されても構わない。直線上の配置は、複数のチューブを
全体に同時に制御しやすくするが、環状の配置は、器具全体の小型化を可能にする。ここ
で、プラグとは、チューブ内において、一種類の液体が一区画を占める場合の液体を指す
ものとする。
チューブは、内部に空洞を有し、液体を長手方向に流通させることのできる筒状の形状
を有するものであって、キャピラリーと呼ばれるものであっても良い。チューブは、長手
方向に、屈曲してもよいが、直線状であるのが好ましい。チューブの内部の空洞は、液体
がチューブ内でプラグの形状を維持できれば、大きさ、形状ともに特に限定されない。ま
た、チューブ内の空洞の大きさや、長手方向に対して垂直な断面の形状は、チューブの長
手方向に沿って変化してもよい。
チューブの外形の長手方向に垂直な断面の形状も限定されない。さらにチューブの肉厚
(内部の空洞の側面から外部の表面までの長さ)も特に限定されない。チューブが円筒状
の場合、その内径(内部の空洞の長手方向に垂直な断面における円の直径)は、例えば、
0.5mm以上3mm以下とすることができる。チューブの内径がこの範囲であると、チ
ューブの材質、液体の種類において広範な範囲で液体のプラグを形成しやすい。
チューブの材質は、特に限定されないが、例えば、ガラス、プラスティックなどの樹脂
、金属などとすることができる。特に、チューブの材質として透明なガラスや樹脂を選択
すると、チューブの外部から空洞内を観察することができるので、より好ましい。また、
チューブの材質に、磁力を透過する物質や非磁性体を選択すると、チューブに磁性粒子を
通過させる場合などに、チューブの外部から磁力を与えることによってこれを行うことが
容易化されるため好ましい。なお、チューブの材質は、タンクの材質と同じにしても構わ
ない。
チューブの第5プラグ側の端は、開放している開放端であってもよいが、開放端を封止
する、着脱可能な栓をさらに有することが好ましい。栓は、例えば、ゴムやエラストマー
、樹脂等により作製することができる。栓は脱着自在であるが、その機構は特に限定され
ない。例えば、栓の一部がチューブ部の内部に挿入されて固定されてもよく、栓はキャッ
プ状であってもよい。
プラグの中やプラグ間には、気泡や他の液体がないことが好ましいが、核酸結合性固相
担体がプラグを通過できる限りにおいて、気泡や他の液体が存在してもよい。
オイルからなるプラグは、その両側の水溶性のプラグが互いに混合することを抑制する
機能を有する。
オイルは、より高粘度なオイルにすることによって、上側のプラグとの界面で、核酸結
合性固相担体を移動させる場合に、オイルによる「ぬぐい効果」を高めることができる。
これにより、上側のプラグから、オイルからなるプラグに核酸結合性固相担体を移動させ
た場合に、核酸結合性固相担体に付着した水溶性の成分をオイル内に、より持ち込まれに
くくすることができる。
チューブの長手方向に対する、オイルからなるプラグの長さは、プラグが形成可能な範
囲であれば、いずれも特に限定されないが、具体的には、1mm以上50mm以下であっ
てもよく、核酸結合性固相担体の移動距離を大きくしすぎないように、1mm以上30m
m以下が好ましく、5mm以上20mm以下がさらに好ましい。
第2プラグは、チューブ内の第1プラグと第3プラグとの間の位置に配置され、第1洗
浄液からなる。
第1洗浄液は、第1プラグを構成するオイル及び第3プラグを構成するオイルのいずれ
とも混和しない液体である。第1洗浄液は、エタノールやイソプロピルアルコール等の有
機溶媒およびカオトロピック物質を事実上含まないものであれば特に限定されないが、水
または低塩濃度水溶液であることが好ましく、低塩濃度水溶液の場合、緩衝液であること
が好ましい。低塩濃度水溶液の塩濃度は、100mM以下が好ましく、50mM以下がよ
り好ましく、15mM以下が最も好ましい。また、低塩濃度水溶液の下限は特に無いが、
0.1mM以上であることが好ましく、1mM以上であることがさらに好ましく、10m
M以上であることが最も好ましい。また、この溶液はTriton、Tween、SDS
などの界面活性剤を含有しても良く、pHは特に限定されない。緩衝液にするための塩は
特に限定されないが、トリス、ヘペス、ピペス、リン酸などの塩が好ましく用いられる。
第2プラグの体積は、特に限定されず、核酸結合性固相担体の量等を指標として適宜設
定することができる。例えば、核酸結合性固相担体の体積が、0.5μLである場合には
、第2プラグの体積は、10μL以上であれば十分であり、20μL以上50μL以下と
することが好ましく、20μL以上30μL以下とすることがさらに好ましい。第2プラ
グの体積が、この範囲であれば、核酸結合性固相担体の体積が、0.5μLである場合に
核酸結合性固相担体の洗浄を十分に行うことができる。なお、核酸結合性固相担体の洗浄
には、第2プラグの体積は、より大きいことが好ましいが、チューブの長さや太さ、これ
に依存する第2プラグのチューブの長手方向における長さ等を考慮して、適宜に設定する
ことができる。
第2プラグは、オイルのプラグによって分割されて任意の数の複数のプラグから構成さ
れてもよい。第2プラグが複数のプラグからなる場合、各プラグの液体は、同じであって
も異なっていても構わない。その中に、少なくとも1つの第1洗浄液のプラグがあれば、
他のプラグの液体は特に限定されないが、全てのプラグが第1洗浄液であることが好まし
い。第2プラグが分割される数は、例えば、チューブの長さや洗浄の対象等を考慮して適
宜設定すれることができる。
第4プラグは、チューブ内の第3プラグと第5プラグとの間の位置に設けられ、溶出液
からなる。
溶出液とは、核酸結合性固相担体に吸着した核酸を、担体から液中に溶出させる液体の
ことを言う。溶出液も特に限定されないが、水または低塩濃度水溶液が好ましく、エタノ
ールやイソプロピルアルコール等の有機溶媒およびカオトロピック物質を事実上含まない
ものがより好ましい。低塩濃度水溶液の場合、緩衝液であることが好ましい。低塩濃度水
溶液の塩濃度は、100mM以下が好ましく、50mM以下がより好ましく、15mM以
下が最も好ましい。低塩濃度水溶液の下限は特に無いが、0.1mM以上であることが好
ましく、1mM以上であることがさらに好ましく、10mM以上であることが最も好まし
い。緩衝液にするための塩は特に限定されないが、トリス、ヘペス、ピペス、リン酸など
の塩が好ましく用いられ、TE緩衝液(10mMトリス塩酸緩衝液、1mM EDTA、
pH8.0)が最も好ましい。なお、第1洗浄液と溶出液は、同じであっても異なってい
ても良い。
溶出液に、逆転写酵素、dNTP、及び逆転写酵素用プライマー(オリゴヌクレオチド
)を含ませることができる。さらに、DNAポリメラーゼ及びDNAポリメラーゼ用プラ
イマー(オリゴヌクレオチド)を含んでいても良く、TaqManプローブや、Mole
cular Beacon、サイクリングプローブなどのリアルタイムPCR用プローブ
やSYBRグリーンなどのインターカレーター用蛍光色素を含んでいても良い。さらに、
反応阻害防止剤として、BSA(ウシ血清アルブミン)またはゼラチンを含有することが
好ましい。溶媒は、水であることが好ましく、エタノールやイソプロピルアルコール等の
有機溶媒およびカオトロピック物質を事実上含まないものがより好ましい。また、逆転写
酵素用緩衝液及び/又はDNAポリメラーゼ用緩衝液となるように、塩を含有することが
好ましい。緩衝液にするための塩は、酵素反応を阻害しない限り、特に限定されないが、
トリス、ヘペス、ピペス、リン酸などの塩が好ましく用いられる。逆転写酵素は特に限定
されず、例えば、アビアンミエロブラストウイルス(Avian Myeloblast
Virus)、ラスアソシエーテッドウイルス2型(Ras Associated Vi
rus2型)、マウスモロニーミュリーンリューケミアウイルス(Mouse Molo
ny Murine Leukemia Virus)、ヒト免疫不全ウイルス1型(Hu
man Immunodefficiency Virus1型)由来の逆転写酵素などが
使用できるが、耐熱性の酵素が好ましい。DNAポリメラーゼも特に限定されないが、耐
熱性の酵素やPCR用酵素が好ましく、例えば、Taqポリメラーゼ、Tfiポリメラー
ゼ、Tthポリメラーゼ、あるいはそれらの改良型など、非常に多数の市販品がある。
溶出液に含まれるdNTPや塩の濃度は、用いる酵素について適した濃度にすれば良い
が、通常、dNTPを10〜1000μM、好ましくは100〜500μM、Mg2+
1〜100mM、好ましくは5〜10mM、Clを1〜2000mM、好ましくは20
0〜700mM、とすれば良く、総イオン濃度は、特に限定されないが、50mMより高
い濃度であってもよく、100mMより高い濃度が好ましく、120mMより高い濃度が
より好ましく、150mMより高い濃度がさらに好ましく、200mMより高い濃度がさ
らに好ましい。上限は、500mM以下が好ましく、300mM以下がより好ましく、2
00mM以下がさらに好ましい。プライマー用オリゴヌクレオチドは、それぞれ0.1〜
10μM、好ましくは0.1〜1μMが用いられる。BSAまたはゼラチンの濃度は、1
mg/mL以下では、反応阻害防止効果が少なく、10mg/mL以上だと、逆転写反応
やその後の酵素反応を阻害する可能性があるため、1〜10mg/mLが好ましい。ゼラ
チンを用いる場合、その由来は、牛皮、豚皮、牛骨が例示できるが、特に限定されない。
ゼラチンが溶解にしくいときは、加温して溶解させても良い。
溶出液に、逆転写酵素、dNTP、及び逆転写酵素用プライマーを含有させておくと、
溶出液を、そのまま逆転写反応に用いることができる。逆転写反応には、溶出液の一部ま
たは全部を用いてもよく、一部を用いる場合は、逆転写酵素用に調節したバッファーで希
釈するのが好ましい。逆転写酵素用に調節したバッファーは、溶出液と同じ成分の溶液を
用いても良いが、塩濃度が適正に調節されていることが好ましく、逆転写酵素、dNTP
、及び逆転写酵素用プライマーは、それぞれ添加されていてもいなくても構わない。この
とき、核酸結合性固相担体は、除去してもしなくても構わないが、除去することが好まし
い。
溶出液が、DNAポリメラーゼ及びDNAポリメラーゼ用プライマーを含んでいる場合
は、逆転写反応後の反応液を、直接DNAポリメラーゼ反応に用いることができる。この
際、逆転写反応に用いたチューブをそのまま用いてもよく、新しいチューブに移しても良
いが、反応効率の点で、逆転写反応に用いたチューブをそのまま用いるのが好ましい。ま
た、DNAポリメラーゼ反応には、反応液の一部または全部を用いてもよく、一部を用い
る場合は、DNAポリメラーゼ用に調節したバッファーで希釈するのが好ましい。DNA
ポリメラーゼ用に調節したバッファーは、溶出液と同じ成分の溶液を用いても良いが、塩
濃度が適正に調節されていることが好ましく、DNAポリメラーゼ、dNTP、及びDN
Aポリメラーゼ用プライマーは、それぞれ添加されていてもいなくても構わない。
第4プラグの体積は、特に限定されず、核酸を吸着させた粒子等の量などを指標として
適宜設定することができる。例えば、粒子等の体積が、0.5μLである場合には、第4
プラグの体積は、0.5μL以上であれば十分であり、0.8μL以上5μL以下とする
ことが好ましく、1μL以上3μL以下とすることがさらに好ましい。第4プラグの体積
がこれらの範囲であれば、例えば、核酸結合性固相担体の体積を0.5μLにしても、担
体から核酸を十分溶出することができる。
この核酸抽出用器具には、第1〜第5プラグ以外に、目的に応じて、任意の場所にプラ
グを設けてもよい。オイルからなるプラグは、その両側の水溶性のプラグが互いに混合す
ることを抑制することを考えると、オイルからなるプラグと水溶性のプラグは、交互に配
置されるのが好ましく、水溶性のプラグを追加した場合、隣の水溶性のプラグとの間に、
オイルからなるプラグを設ければよい。
例えば、第3プラグと第4プラグとの間に、第3プラグ側から順に、オイルと混和しな
い第2洗浄液からなる第6プラグ、及びオイルからなる第7プラグをさらに有していても
よい。第2洗浄液は、第3プラグを構成するオイル及び第7プラグを構成するオイルのい
ずれとも混和しない液体である。第2洗浄液は、第1洗浄液と同じ組成であってもよいし
、異なる組成であってもよいが、第6プラグの基本的な構成の選択の仕方は、第2プラグ
に準じる。
洗浄液からなるプラグを複数作る場合、チューブの上流側の洗浄液にカオトロピック剤
を含有させてもよい。例えば、第2プラグの第1洗浄液にグアニジン塩酸塩を含有させる
と、第2プラグにおいて、粒子等に吸着した核酸の吸着を維持又は強化しつつ粒子等を洗
浄することができる。第2プラグにグアニジン塩酸塩を含有させる場合の濃度としては、
例えば、3mol/L以上10mol/L以下、好ましくは5mol/L以上8mol/
L以下とすることができる。グアニジン塩酸塩の濃度がこの範囲であれば、粒子等に吸着
された核酸をより安定に吸着させつつ、他の夾雑物等を洗浄することができる。そして、
第6プラグの第2洗浄液を、水又は緩衝液とすることで、第2プラグにおいて、粒子等に
吸着した核酸をより安定して吸着させるとともに洗浄を行うことができ、かつ、第6プラ
グにおいて、カオトロピック剤を除去しつつ担体をさらに洗浄することができる。
==核酸抽出用装置==
本発明の核酸抽出用装置は、上述した核酸抽出用器具と、複数のチューブの対応部に、
同時に磁力を印加するための磁力印加器具と、を有する。磁力印加器具は特に限定されな
いが、例えば、永久磁石、電磁石等が例示できるが、発熱等を生じない点で、永久磁石が
より好ましい。核酸抽出の際には、磁力印加器具を移動させる必要があるので、磁力印加
器具を自動的に移動させるための磁力印加器具移動装置を備えていてもよい。
また、本発明の核酸抽出用装置は、チューブの溶出液からなる第4プラグを加熱する位
置に設けられた加熱装置をさらに備えてもよい。加熱装置は特に限定されないが、例えば
、ヒートブロック、ヒーター、電磁加熱などを例示することができる。
なお、核酸を抽出するための試料を溶解するための溶解液と、磁性体を有する核酸結合
性固相担体と、核酸抽出用器具を核酸抽出用キットとしてもよい。それによって、この核
酸抽出用装置で用いるうちの、使い捨てにできる部分だけをキット化できる。
==核酸抽出方法==
上述した核酸抽出用装置は、本発明の核酸抽出方法に、好適に用いることができる。核
酸を抽出するための試料は、核酸を含んでいれば特に限定されず、細胞や、組織などの細
胞塊などの生体試料、ウイルス、合成核酸、一旦単離した核酸に不純物や夾雑物が混入し
た試料などであってもよい。
まず、上述した核酸抽出用器具を、チューブの長手方向が重力方向と平行になるように
固定器具に設置する。
次に、磁性体を有する核酸結合性固相担体と、核酸を抽出するための試料を溶解した、
均一に混合された溶解液をタンクに投入する。具体的な方法は、下記工程を含むが、これ
らの工程を行う順序は、特に限定されない。
(1)溶解液に試料を投入し、溶解液を混合する工程と、
(2)溶解液に、磁性体を有する核酸結合性固相担体を添加する工程と、
(3)核酸抽出用器具のタンクに、試料を混合した溶解液を投入する工程と、
(4)溶解液中で、核酸と結合した核酸結合性固相担体を均一にする均一工程
例えば、核酸を抽出するための試料を溶解するための溶解液に試料及び核酸結合性固相
担体を投入して混合し(1)(2)、ホモジェナイザーやヴォルテックス・ミキサーなど
によって試料を溶解させた(4)あと、この粉砕物をタンクに入れてもよい(3)。ある
いは、試料は、それだけで溶解させ(1)、溶解させた試料と核酸結合性固相担体を別々
にタンクに入れ(2)(3)、核酸抽出用器具の開口部に蓋をして、十分混合してもよい
(4)。または、試料は、それだけで溶解させ(1)、溶解させた試料と核酸結合性固相
担体を混ぜて(2)、十分混合し(4)、混合物をタンクに投入してもよい(3)。この
工程で、試料中の核酸が、核酸結合性固相担体に吸着する。
この際、核酸抽出用器具は、チューブの長手方向が重力方向と平行になるように固定器
具に設置されているので、複数のチューブに均等に担体が入って行くようになる。タンク
内に、各チューブに連通する空間を隔てる隔壁が設けられている場合は、試料溶解物と担
体を含んだ溶解液は、隔壁より高くすることによって、各チューブに均等に担体が入って
行く。
その後、核酸結合性固相担体は、磁性体を有しているので、複数のチューブの対応部に
同時に磁力を印加できる磁力印加器具を用いて、第1プラグから第4プラグの方向へ、磁
力を印加し、核酸結合性固相担体をタンク内から第4プラグに移動させる。その際、永久
磁石を用いる場合には、作業者の手で磁石を動かして行ってもよいし、磁力印加器具移動
装置等を利用して行ってもよい。核酸結合性固相担体が各プラグを通過するときの各プラ
グにおける滞在時間は特に限定されない。なお、磁力印加器具は、同一プラグ内でチュー
ブの長手方向に沿って往復するようにして移動させてもよい。
こうして、第4プラグの溶出液に移動した核酸結合性固相担体から核酸を溶出させるた
めに、第4プラグを加熱するのが好ましい。加熱方法としては、特に限定されないが、例
えば、チューブの第4プラグに対応する位置に、ヒートブロック等の熱媒体を接触させる
方法や、ヒーター等の熱源を用いる方法、電磁加熱による方法などを例示することができ
る。加熱温度は、核酸の種類によって異なり、DNAの場合、70℃より高ければ良く、
80℃以上が好ましく、95℃以上がより好ましい。加熱温度の上限は特に限定されない
が、200℃未満であることが好ましく、150℃未満であることがより好ましく、12
5℃未満であることがさらに好ましく、110℃未満であることがさらに好ましいが、特
に2本鎖DNAを単離したい時には100℃未満であることが好ましい。RNAの場合、
40℃より高ければ良く、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。加熱温度
の上限は特に限定されないが、70℃以下であることが好ましく、65℃以下であること
がより好ましく、60℃以下であることがさらに好ましく、60℃であることが最も好ま
しい。
最後に、第4プラグの溶出液において、溶出した核酸を回収する。例えば、タンクの材
質にゴム、エラストマー、高分子等の可とう性を有するものを利用した場合、チューブの
先端の栓を外し、タンクに蓋を装着した状態で、タンクを変形させることによってタンク
の内部を加圧すると、チューブの先端からチューブ内部の溶液が吐出される。まず、第5
プラグが吐出され、その後、第4プラグが吐出される。
DNAを単離する場合、RNAを除去するために、RNaseを溶出液に含有させるこ
とが好ましく、例えば、溶出液にRibonuclease Aを10〜20μg/mL含有させればよ
い。通常、RNaseが含まれたままで、PCRなどの操作を行うことができるが、RN
aseを除去したい時には、本発明の方法を再度繰り返すか、その他公知の方法によって
、DNAを精製してもよい。このようにして溶出した核酸は、透析やエタノール沈殿法等
の脱塩、濃縮操作を施すことなく、PCRなどの酵素反応に直接使用することができる。
一方、溶出液に、逆転写酵素、dNTP、及び逆転写酵素用プライマー(オリゴヌクレ
オチド)を含ませることができる。さらに、DNAポリメラーゼ及びDNAポリメラーゼ
用プライマー(オリゴヌクレオチド)を含ませることも可能である。それにより、第4プ
ラグから回収された溶液そのものを、直接、逆転写反応も,回収することができる。
(1)核酸抽出用装置の構成と使用方法
図1に核酸抽出用装置の正面の断面図(図1A)および側面図(図1B)を示す。
この装置は、複数のキャピラリー400、410、及びそのキャピラリー410に液体
を注入するためのタンク100、矩形磁石600を有する。
タンク100は、開口220、開口部220に対する着脱可能な蓋230、溶解液30
0、空間310、液体分配部の隔壁240、タンク100の内壁および隔壁240によっ
て囲まれたコンパートメント250、キャピラリー400、410との接続部210を有
する。また、溶解液300中に、表面にコーティングされたシリカに核酸が吸着した磁性
ビーズ320が示されている。
複数のキャピラリー400、410は、互いに独立で、平行に、かつ直線状の配列にな
るように、設けられている。キャピラリー400、410を直線的な配列にすることで、
互いに正対する矩形磁石600は、容易に複数のキャピラリー400、410を挟み込み
、上下運動のような単純作業によって同時に複数のキャピラリー400、410の対応部
に、同時に磁力を印加することができる。それによって、複数のキャピラリー400、4
10内で、磁性ビーズ320に対し、同一の動きをさせることが容易になり、自動化装置
の単純化が可能になる。キャピラリー410には、複数の洗浄液420、溶出液430、
各液体を分離させるためのオイル440が充填されている。
図2に、図1の器具を用いた核酸抽出方法を示す。
インフルエンザの診断において、綿棒で鼻腔内の粘膜から採取された検体を、溶解液3
00と同じ成分の吸着液510を含む容器内500に挿入し、吸着液510に検体を採取
した綿棒を浸すことで、ウイルスを吸着液510中に採取する。容器500内には予め、
表面がシリカでコーティングされた磁性ビーズ320を入れておき、ウイルスを含む吸着
液510と容器500内で混合させ、磁性ビーズ320に核酸を吸着させる。
次に、(イ)に示すように、磁性ビーズ320を含む吸着液510を溶解液300を含
むタンク100に開口部220を通じて投入する。このとき、キャピラリーを重力方向に
平行に設置した場合、タンク100の液体分配部200内の溶解液300の水面が、隔壁
240よりも高い位置になるようにし、タンク100に投入した磁性ビーズ320が溶解
液300中に分散することで各隔壁240を越えて広がるようにする。
次に、(ロ)に示すように、開口部220をシール230で封止することで、磁性ビー
ズ320および溶解液300がタンク100から漏れないようにし、タンク100を上下
左右に振とうすることにより、磁性ビーズ320を溶解液300中に均一に拡散させ、タ
ンク100内の液体分配部200で、各キャピラリーに磁性ビーズ320が均等に入るよ
うにする。
磁性ビーズ320が溶解液300中に充分に拡散した後、(ハ)に示すように、一辺が
キャピラリー400,410の列の幅よりも長い矩形磁石600を、その長手方向が直線
状に並んだキャピラリー400,410の列と平行になるようにタンク100の側面に接
触させる。また、このとき磁石600の上辺は隔壁240の上端よりも低い位置に配置す
る。磁石600をタンク100の側面に接触させると、溶解液300中の磁性ビーズ32
0は、タンク100の内壁および隔壁240によって囲まれたコンパートメント250に
集積される。ここで、各コンパートメント250に分配される磁性ビーズ量の配分は、各
コンパートメント250間の容積比に対応した量となる。
磁性ビーズ320をそれぞれのコンパートメント250に分配させた後、(ニ)に示す
ように、各コンパートメント250に連通している複数のキャピラリー400,410内
に磁性ビーズ320を移動させる。キャピラリー400,410内にはオイル440で分
離された状態で2種類の洗浄液420と溶出液430が充填されている。磁石600を移
動することにより、キャピラリー400,410内で磁性ビーズ320を溶出液430ま
で動かし、溶出液430内で核酸を溶出させる。上記処理は同時に複数のキャピラリー4
00,410内で行われる。
最後に、キャピラリー400,410の栓を外し、タンク100の開口部220を開け
て注射器等のポンプを接続してタンク100内を加圧し、キャピラリー400,410か
らオイル440及び溶出液430を押し出すことで、溶出させた核酸を含む溶出液430
を複数の受け入れ場所を有する容器に分注することが可能である。
(2)分配部における磁性ビーズの分配
内径1.0mm、長さ100mmのキャピラリー及び10mLのタンクを用いて、核酸
抽出用器具を作製した。
容量3mLのポリエチレン製容器に、375μLの溶解液(8Mグアニジン塩酸塩、5
0mM エチレンジアミン四酢酸二水素二水和物(EDTA・2HO)、10%ポリオ
キシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween20)]及び3μLの磁性ビーズ分
散液を入れて混合した。この磁性ビーズ分散液として、50体積%の磁性シリカ粒子(N
PK−101、東洋紡績社)を含む20質量%塩化リチウム水溶液を用いた。さらに、こ
の容器に、ヒトから採取した血液を50μL添加し、ヴォルテックス・ミキサーで撹拌し
た。
このようにして準備した溶解液を、核酸抽出用器具の容器内に全量注入し、容器の蓋を
し、容器ごと振ることによって中の溶解液を攪拌後、キャピラリーが、重力と平行になる
ように核酸抽出用器具を設置した。そして、容器側面に磁石を接触させ、3本のキャピラ
リーへそれぞれ磁性ビーズを分配し、洗浄、溶出の工程を行った。各キャピラリーにおい
て、磁性ビーズからDNAを溶出させた溶出液1μLに、19μLのPCR反応試薬(ラ
イトサイクラー480ジェノタイピングマスター(ロシュ・ダイアグノスティクス社製4
707 524)4μL、1000倍希釈SYBRGreenI(ライフテクノロジーズ社製S75
63)0.4μL、100μM βアクチン検出用プライマー(フォワード用、リバース用
)各0.06μL、純水14.48μL)を加え、PCR反応を行った結果を図に示す。
図3は、PCRサイクルの経過に伴う輝度の変化を示す。
図3より、輝度の上昇が始まるサイクル数(Ct値)がsample1〜3で同程度になってい
ることがわかる。このように、本容器を用いてひとつの検体から、3本のキャピラリーへ
それぞれ同程度の磁性ビーズが分配され、同水準の検査を同時に行うことができる。
100 タンク
210 接続部
220 開口部
230 開口部の蓋(またはシール)
240 液体分配部の隔壁
250 コンパートメント
300 溶解液
310 空間
320 磁性ビーズ
400、410 キャピラリー
420 洗浄液
430 溶出液
440 オイル
500 容器
510 吸着液
600 矩形磁石

Claims (14)

  1. 第1のオイルからなる第1プラグ、
    オイルと混和せず、核酸が結合した核酸結合性固相担体を洗浄するための第1洗浄液か
    らなる第2プラグ、
    第2のオイルからなる第3プラグ、
    オイルと混和せず、核酸が結合した核酸結合性固相担体から前記核酸を溶出するための
    溶出液からなる第4プラグ、及び
    第3のオイルからなる第5プラグ、
    を、この順で内部に備え、平行に配置された、同様の形状を有する複数のチューブと、
    前記複数のチューブに前記核酸結合性固相担体を導入するためのタンクと、を備えた核
    酸抽出用器具。
  2. 前記タンクは、前記核酸結合性固相担体を含む液体を前記複数のチューブに分配するた
    めの液体分配部を備えた、請求項1に記載の核酸抽出用器具。
  3. 前記液体分配部は、各チューブに連通する空間を隔てる隔壁を有する、請求項2に記載
    の核酸抽出用器具。
  4. 前記タンクと、少なくとも一つの前記チューブが着脱可能である、請求項1〜3までの
    いずれか1項に記載の核酸抽出用器具。
  5. 前記チューブの第3プラグと第4プラグとの間に、第3プラグ側から順に、
    オイルと混和せず、核酸が結合した核酸結合性固相担体を洗浄するための第2洗浄液
    からなる第6プラグ、及び
    オイルからなる第7プラグ、
    をさらに有する、請求項1〜4までのいずれか1項に記載の核酸抽出用器具。
  6. 前記チューブの第5プラグ側の端が開放している開放端であって、
    前記開放端を封止する、着脱可能な栓をさらに有する、請求項1〜5までのいずれか1
    項に記載の核酸抽出用器具。
  7. 前記タンクが、核酸を抽出するための試料を溶解するための溶解液を有することを特徴
    とする、請求項1〜6までのいずれか1項に記載の核酸抽出用器具。
  8. 前記隔壁が前記チューブの長手方向と平行に同じ高さを有し、
    前記チューブの長手方向が重力方向と平行になるように設置した時に、前記溶解液の液
    面が前記隔壁より高いことを特徴とする、請求項7に記載の核酸抽出用器具。
  9. 請求項1〜8までのいずれか1項に記載の核酸抽出用器具と、
    磁性体を有する核酸結合性固相担体と、
    核酸を抽出するための試料を溶解するための溶解液と、
    を有する、核酸抽出用キット。
  10. 請求項1〜8までのいずれか1項に記載の核酸抽出用器具と、
    前記複数のチューブの対応部に、同時に磁力を印加するための磁力印加器具と、
    を有する核酸抽出用装置。
  11. 前記複数のチューブの対応部に、同時に磁力を印加しながら、前記チューブの長手方向
    に沿って前記磁力印加器具を移動させるための磁力印加器具移動装置を備える、請求項1
    0に記載の核酸抽出用装置。
  12. 前記チューブの第4プラグを加熱する位置に設けられた加熱装置をさらに備える、請求
    項10または11に記載の核酸抽出用装置。
  13. 請求項1〜8までのいずれか1項に記載の核酸抽出用器具を、前記チューブの長手方向
    が重力方向と平行になるように設置する工程と、
    磁性体を有する核酸結合性固相担体を含み、核酸を抽出するための試料を溶解した、均
    一に混合された溶解液を前記タンクに投入する工程と、
    前記チューブに対し、第1プラグから第4プラグの方向へ、磁力を印加し、前記磁性体
    を前記タンク内から第4プラグに移動させる工程と、
    前記第4プラグの前記溶出液において、前記磁性体から前記核酸を溶出させる工程と、
    を含む、核酸抽出方法。
  14. 前記タンクに投入する工程が、以下の4つのステップ:
    核酸を抽出するための試料を溶解するための溶解液に前記試料を投入し、前記溶解液を
    混合するステップと、
    前記溶解液に、磁性体を有する核酸結合性固相担体を添加するステップと、
    前記核酸抽出用器具の前記タンクに、前記試料を混合した前記溶解液を投入するステッ
    プと、
    前記溶解液中で、前記核酸と結合した前記核酸結合性固相担体を均一に混合するステッ
    プと、
    を含む、請求項13に記載の核酸抽出方法。
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