JP2017184626A - 核酸抽出キットおよび核酸抽出カートリッジ - Google Patents

核酸抽出キットおよび核酸抽出カートリッジ Download PDF

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Masahito Yamada
聖人 山田
雅人 花村
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Abstract

【課題】PCRのための核酸抽出において、核酸の抽出効率を向上できる核酸抽出キット及び核酸抽出カートリッジを提供する。【解決手段】本発明の核酸抽出キットは、核酸を含有する生物材料に、血清と、従来のカオトロピック剤を含む核酸抽出液を混合し、この混合液にシリカ表面を有する担体を接触させ、核酸が結合したシリカ表面を有する担体を洗浄し、核酸が結合したシリカ表面を有する担体から核酸を溶出させて、回収する。【選択図】図3

Description

本発明は、核酸抽出キットおよび核酸抽出カートリッジに関する。
ウィルス等の核酸を抽出し、その核酸を特異的に増幅して検出するポリメラーゼ連鎖反
応(PCR:Polymerase Chain Reaction)がある。このPCR
法は、遺伝子検査に広く使われている。しかし、PCR法を日常的に臨床で使用する際に
は、検体に含まれる成分の影響で、反応が阻害されるため、検体からPCR阻害物質を排
除して核酸を抽出精製・回収する処理が必要となる。
そこで、カオトロピック塩の存在下で、核酸をシリカ表面を有する担体へ結合させ、核
酸を回収する原理を用いて、検体(生体材料など)から核酸を抽出精製・回収する方法が
報告されている(特許文献1参照)。
特開平11−146783号公報
しかしながら、医療現場のインフルエンザに代表される感染症の診断において、罹患後
、より初期段階(ウィルス量が少ない段階)で感染を確認するためには、さらに微量なウ
ィルスの核酸を精度よく抽出・回収できることが必要である。
本発明は、上述の課題の少なくとも一つを解決するためになされたものであり、以下の
態様又は適用例として実現することができる。
[適用例1]本適用例に係る核酸抽出キットは、核酸結合性のシリカ表面を有する担体
と、カオトロピック剤と血清とを含む核酸抽出液と、を含むことを特徴とする。
本適用例によれば、核酸抽出液に血清を添加したことにより、核酸抽出・回収の効率が
改善されるため、PCRに導入される核酸が増加することになる。これによって、検体に
含まれる核酸の検出感度を向上させる核酸抽出キットを提供することができる。
[適用例2]上記適用例に記載の核酸抽出キットは、前記血清の濃度は、0.001v
/v%以上50v/v%以下であることが好ましい。
本適用例によれば、血清の濃度を0.001v/v%以上にすることにより、核酸の精
製・回収効率を飛躍的に高めることができる。一方、血清の濃度が50v/v%を超える
と、相対的にカオトロピック剤の濃度が低下し、核酸の精製・回収効率が低下する。従っ
て、血清の添加濃度が0.001v/v%以上であり、50v/v%以下で、生物試料に
含まれる核酸の検出感度が良好な核酸抽出キットを提供することができる。
[適用例3]上記適用例に記載の核酸抽出キットは、核酸が、RNAであることが好ま
しい。
本適用例によれば、核酸抽出液に血清を添加したことにより、RNAの抽出・回収の効
率が改善されるため、PCRに導入されるRNAが増加することになる。これによって、
生物試料に含まれるRNAの検出感度を向上させる核酸抽出キットを提供することができ
る。
[適用例4]本適用例に係る核酸抽出カートリッジは、上記適用例に記載の核酸抽出キ
ットを含み、長手方向を有し、オイルからなる第1プラグと、オイルと相分離し、核酸が
結合したシリカ表面を有する担体を洗浄する第1洗浄液からなる第2プラグと、オイルか
らなる第3プラグと、オイルと相分離し、前記核酸が結合したシリカ表面を有する担体か
ら前記核酸を溶出する溶出液からなる第4プラグと、オイルからなる第5プラグと、を、
順に内部に備えたチューブを有していることを特徴とする。
本適用例によれば、血清を添加した核酸抽出キットを含む核酸抽出カートリッジは、核
酸抽出・回収の効率が改善されるため、PCRに導入される核酸が増加することになり、
これによって、生物試料に含まれる核酸の検出感度が向上させる核酸抽出カートリッジを
提供することができる。
核酸抽出のプロセスフローチャート図。 実施形態2に係る核酸抽出カートリッジを模式的に示す図。 図2Aの連結前の容器とチューブ部を模式的に示す図。 実施形態2の核酸抽出カートリッジの一変形例を模式的に示す図。 実施例1の結果を示す図であって、本発明に係る核酸抽出キットによりインフルエンザAのRNAを精製・回収し、RT−PCRを行った結果を示した図。 実施例2の結果を示す図であって、本発明に係る核酸抽出キットにより添加する血清濃度を変化させて、精製済みRNAから抽出したインフルエンザAのRNAを精製・回収し、RT−PCRを行った結果を示した図。 実施例2において、血清濃度が0.1v/v%以下の場合を拡大して示した図。 実施例3の結果を示す図であって、本発明に係る核酸抽出キットにより培養したインフルエンザAウィルスから抽出したインフルエンザAのRNAを精製・回収し、RT−PCRを行った結果を示した図。 実施例4の結果を示す図であって、本発明に係る核酸抽出キットにより培養したMS2ファージから抽出したインフルエンザAのRNAを精製・回収し、RT−PCRを行った結果を示した図。 実施例5の結果を示す図であって、本発明に係る核酸抽出カートリッジによりヒト鼻腔拭い液由来検体から抽出したインフルエンザAのRNAを精製・回収し、RT−PCRを行った結果を示した図。
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本
発明の例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではな
く、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下
で説明される構成の全てが本発明の必須構成要素であるとは限らない。
(実施形態1)
以下、実施形態1に係る核酸抽出キットについて説明する。
図1は、実施形態1に係る核酸抽出キットを使用した核酸抽出のフローチャート図であ
る。
核酸抽出は、溶解・吸着工程S10、洗浄工程S20、溶出工程S30の順に行う。
実施形態1に係る核酸抽出キットは、核酸結合性のシリカ表面を有する担体と、カオト
ロピック剤、血清を含む核酸抽出液と、を含む。核酸抽出液に血清を添加することにより
、核酸の精製・回収効率が改善するメカニズムは明らかになっていないが、溶解・吸着工
程S10でシリカ表面を有する担体への核酸吸着が促進される、その後の洗浄工程S20
で該担体からの核酸脱離が抑制される、溶出工程S30で該担体から溶出液への核酸溶出
が促進される、の3つのいずれか、または複数が同時に起きていると考えている。
核酸を抽出する試料は、核酸を含んでいれば特に限定されず、細胞や、組織などの細胞
塊などの生体試料、ウイルス、合成核酸、一旦単離した核酸に不純物や夾雑物が混入した
試料などであってもよい。
カオトロピック剤は、水溶液中でカオトロピックイオン(イオン半径の大きな1価の陰
イオン)を生じ、疎水性分子の水溶性を増加させる作用を有しており、核酸がシリカ表面
を有する担体への吸着に寄与するものであれば、特に限定されない。具体的には、グアニ
ジンチオシアン酸塩、グアニジン塩酸塩、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、過塩素酸
ナトリウム等が挙げられるが、これらのうち、タンパク質変成作用の強いグアニジンチオ
シアン酸塩またはグアニジン塩酸塩が好ましい。これらのカオトロピック物質の使用濃度
は、各物質により異なり、例えば、グアニジンチオシアン酸塩を使用する場合には、2.
5M以上で、グアニジン塩酸塩を使用する場合は、3M以上で使用するのが好ましい。
血清は、核酸抽出キットにより回収する核酸を増加させる作用を有している。核酸抽出
液に含まれる血清の濃度を0.001v/v%以上にすることにより、核酸の精製・回収
効率を飛躍的に高めることができる。一方、血清の濃度が50v/v% を超えると、相
対的にカオトロピック剤の濃度が低下し、核酸の精製・回収効率が低下する。従って、血
清の添加濃度が0.001v/v%以上であり、50v/v%以下で、生物試料に含まれ
る核酸の検出感度が良好な核酸抽出キットを提供することができる。
なお、血清の添加は、特に、RNAの精製・回収効率の改善に有効である。
図1に示した溶解・吸着工程S10にて使用する 核酸抽出液は、カオトロピック剤
と血清とを含有すれば特に限定されないが、細胞膜の破壊あるいは細胞中に含まれるタン
パク質を変性させる目的で界面活性剤を含有させてもよい。この界面活性剤としては、一
般に細胞等からの核酸抽出に使用されるものであれば特に限定されないが、具体的には、
Triton−Xなどのトリトン系界面活性剤やTween20などのツイーン系界面活
性剤のような非イオン性界面活性剤、N‐ラウロイルサルコシンナトリウム(SDS)等
の陰イオン性界面活性剤が挙げられるが、特に非イオン性界面活性剤を、0.1〜2%の
範囲となるように使用するのが好ましい。さらに、核酸抽出液には、2−メルカプトエタ
ノールあるいはジチオスレイトール等の還元剤を含有していても良い。溶媒は、緩衝液で
あっても良いが、pH6〜8の中性であることが好ましい。これらのことを考慮し、具体
的には、2.5〜7Mのグアニジン塩、0〜5%の非イオン性界面活性剤、0〜0.2m
MのEDTA、0〜0.2Mの還元剤などを含有していても良い。
シリカ表面を有する担体は、カオトロピックイオンの存在下で、核酸を吸着すなわち可
逆的な物理的結合により保持することができる親水性表面を有する固体であれば、特に限
定されない。具体的には、二酸化珪素を含有する物質、例えば、シリカ、ガラス、珪藻土
、あるいはこれらを化学的修飾により表面処理を施したものが好ましく、磁性体や超常磁
性金属酸化物等との複合体がより好ましい。化学的修飾により表面処理を施す場合は、核
酸との可逆的な結合を妨げない程度に、適度な陽性電荷を帯びさせてもよい。
また、これらのシリカ表面を有する担体の形態としては、粒子、フィルター、バッグ、
ディッシュ、反応容器等が具体的に挙げられるが、特に限定されない。これらのうち、吸
着と溶出の効率を考慮すると粒子の形態がより好ましい。その場合の粒径は特に限定され
ないが、0.05〜500μmであってもよく、好ましくは1〜100μmであり、特に
好ましくは1〜10μmである。
具体的には、以下の様にして核酸を抽出することができる。
まず、溶解・吸着工程S10として、適量の核酸抽出液に、核酸を抽出する試料及びシ
リカ表面を有する担体を混合し、ホモジェナイザーやボルテックスミキサー、超音波、加
熱などによって試料を破砕し、核酸を担体に吸着させる。シリカ表面を有する担体、及び
核酸抽出液は、上述の核酸抽出キットを使用することができる。
次に、洗浄工程S20として、非特異的にシリカ表面を有する担体に吸着した夾雑物を
除去するため、核酸が吸着したシリカ表面を有する担体を、適量の洗浄液で洗浄すること
が好ましい。洗浄回数は特に限定されないが、1回〜数回洗浄すればよい。
洗浄液は、エタノールやイソプロピルアルコール等の有機溶媒およびカオトロピック物
質を含有しても良いが、溶出工程前の洗浄液は、水または低塩濃度水溶液であることが好
ましく、低塩濃度水溶液の場合、緩衝液であることが好ましい。低塩濃度水溶液の塩濃度
は、100mM以下が好ましく、50mM以下がより好ましく、15mM以下が最も好ま
しい。また、低塩濃度水溶液の塩濃度の下限は特に無いが、0.1mM以上であることが
好ましく、1mM以上であることがさらに好ましい。また、この溶液はTriton、T
ween、SDSなどの界面活性剤を含有しても良く、pHは特に限定されない。緩衝液
にするための塩は特に限定されないが、トリス、ヘペス、ピペス、リン酸、クエン酸など
の塩が好ましく用いられる。
ここでいう洗浄とは、核酸の結合したシリカ表面を有する担体を洗浄液と接触させ、再
び分離することにより、担体から、核酸以外の非特異的に結合した物質を除去する操作で
ある。具体的な分離方法は、使用する担体の形態により異なるが、シリカ表面を有する担
体が粒子形態である場合には、遠心分離、ろ過分離及びカラム操作等を用いることができ
る。担体が磁性体を含む場合は、磁石等を用いて、簡便に担体を洗浄することができる。
そして、溶出工程S30として、核酸が吸着したシリカ表面を有する担体に、適量の溶
出液を加え、ボルテックスミキサーなどによって混合し、核酸を担体から溶出させる。こ
の際、溶出液を加熱することにより、核酸溶出を促進しても良い。加熱温度は特に限定さ
れないが、40℃より高ければ良く、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい
。さらに、80℃以上が好ましい。加熱温度の上限は特に限定されないが、水の沸点より
100℃以下であることが好ましい。加熱方法として、予め加熱した溶出液に核酸が結合
するシリカ表面を有する担体を加えても良く、溶出液に当該担体を加えた後で加熱しても
良い。
溶出液には、逆転写酵素、dNTP、及び逆転写酵素用プライマー(オリゴヌクレオチ
ド)が含まれていても良いが、特に限定されない。溶媒は、水であることが好ましく、エ
タノールやイソプロピルアルコール等の有機溶媒およびカオトロピック物質を事実上含ま
ないものがより好ましい。また、逆転写酵素用緩衝液となるように、塩を含有していても
良い。緩衝液にするための塩は、酵素反応を阻害しない限り、特に限定されないが、トリ
ス、ヘペス、ピペス、リン酸などの塩が好ましく用いられる。逆転写酵素は特に限定され
ず、例えば、アビアンミエロブラストウイルス(Avian Myeloblast Vi
rus)、ラスアソシエーテッドウイルス2型(Ras Associated Viru
s2型)、マウスモロニーミュリーンリューケミアウイルス(Mouse Molony
Murine Leukemia Virus)、ヒト免疫不全ウイルス1型(Human
Immunodefficiency Virus1型)由来の逆転写酵素などが使用で
きるが、耐熱性の酵素が好ましい。この場合、溶出液を、そのまま逆転写反応に用いるこ
とができる。この際、溶出に用いたチューブをそのまま用いてもよく、新しいチューブに
移しても良いが、反応効率の点で、溶出に用いたチューブをそのまま用いるのが好ましい
。また、逆転写反応には、溶出液の一部または全部を用いてもよく、一部を用いる場合は
、逆転写酵素用に調製したバッファーで希釈するのが好ましい。逆転写酵素用に調製した
バッファーは、溶出液と同じ成分の溶液を用いても良いが、塩濃度が適正に調製されてい
ることが好ましく、逆転写酵素、dNTP、及び逆転写酵素用プライマーは、それぞれ添
加されていてもいなくても構わない。このとき、シリカ表面を有する担体は、除去しても
しなくても構わないが、除去することが好ましい。
逆転写反応は、逆転写酵素に適した条件で行えば良い。そして、逆転写反応の後、増幅
したcDNAは、PCRを含むポリメラーゼ反応など、様々な用途に用いることができる
。溶出工程の間に逆転写反応を行うことによって、逆転写反応のための時間を設けること
なく、全体の反応時間短縮の効果を得ることもできる。その場合、核酸の溶出と逆転写反
応を同時に進行させるため、反応温度は、60℃以上70℃以下であることが好ましく、
60℃以上65℃以下であることがより好ましく、60℃であることが最も好ましい。
さらに、溶出液が、DNAポリメラーゼ及びDNAポリメラーゼ用プライマー(オリゴ
ヌクレオチド)を含んでいても良く、TaqManプローブや、Molecular B
eacon、サイクリングプローブなどのリアルタイムPCR用プローブやSYBRグリ
ーンなどのインターカレーター用蛍光色素を含んでいても良い。溶媒は、水であることが
好ましく、エタノールやイソプロピルアルコール等の有機溶媒およびカオトロピック物質
を事実上含まないものがより好ましい。また、DNAポリメラーゼ用緩衝液となるように
、塩を含有していても良い。緩衝液にするための塩は、酵素反応を阻害しない限り、特に
限定されないが、トリス、ヘペス、ピペス、リン酸などの塩が好ましく用いられる。DN
Aポリメラーゼは特に限定されないが、耐熱性の酵素やPCR用酵素が好ましく、例えば
、Taqポリメラーゼ、Tfiポリメラーゼ、Tthポリメラーゼ、あるいはそれらの改
良型など、非常に多数の市販品がある。この場合は、逆転写反応後の反応液を、直接DN
Aポリメラーゼ反応に用いることができる。この際、逆転写反応に用いたチューブをその
まま用いてもよく、新しいチューブに移しても良いが、反応効率の点で、逆転写反応に用
いたチューブをそのまま用いるのが好ましい。また、DNAポリメラーゼ反応には、反応
液の一部または全部を用いてもよく、一部を用いる場合は、DNAポリメラーゼ用に調製
したバッファーで希釈するのが好ましい。DNAポリメラーゼ用に調製したバッファーは
、溶出液と同じ成分の溶液を用いても良いが、塩濃度が適正に調製されていることが好ま
しく、DNAポリメラーゼ、dNTP、及びDNAポリメラーゼ用プライマーは、それぞ
れ添加されていてもいなくても構わない。
さらに、溶出液は、反応阻害防止剤として、BSA(ウシ血清アルブミン)またはゼラ
チンを含有しても良い。
DNAポリメラーゼ反応は、用いるDNAポリメラーゼに適した条件で行えば良い。そ
して、DNAポリメラーゼ反応の後、増幅したcDNAは、ライブラリー作製など様々な
用途に用いることができる。
本発明の核酸抽出キットは、2〜7Mのグアニジン塩、血清、0〜5%の非イオン性界
面活性剤を含有する核酸抽出液と、エタノールや低塩濃度水溶液からなる洗浄液と、水ま
たは低塩濃度水溶液からなる溶出液と、を含む。本キットによって、核酸抽出液に血清を
添加するだけで、本発明にかかる精度のよい核酸抽出・回収を行うことができる。
(実施形態2)
以下、実施形態2に係る核酸抽出カートリッジ2000について説明する。
図2Aは、本実施形態の核酸抽出カートリッジ2000の一例を示す模式図である。
核酸抽出は、図1に示した、溶解・吸着工程、洗浄工程、溶出工程の順に、図2Aに示
した核酸抽出カートリッジ2000の流路内で行う。用いた試薬は、実施形態1に示した
構成と同様である。
本実施形態の核酸抽出カートリッジ2000は、オイルからなる第1プラグ10、オイ
ルと混和しない第1洗浄液からなる第2プラグ20、オイルからなる第3プラグ30、オ
イルと混和しない溶出液からなる第4プラグ40、及びオイルからなる第5プラグ50、
が当該順で内部に配置されたチューブとしてのチューブ部200と、チューブ部200の
第1プラグ10側の端に内部を連通させて接続可能な容器120と、を含む構成である。
容器120は、内部に検体を分散させる液体や、核酸を捕集する担体等を収容すること
ができる。
容器120は、検体を分散させる液体や、核酸を捕集する担体等として、核酸抽出液及
びシリカ表面を有する担体として磁性粒子を収容していてもよい。このようにすれば、検
体を容器120に導入した際、検体に含まれる核酸を磁性粒子に吸着させる工程を、容器
120において行うことができる。これにより、他の容器を用意する必要がなく、さらに
迅速にPCRの前処理を行うことができる。磁性粒子については後に詳述する。
また、容器120を、可とう性を有する材質とすれば、容器120をチューブ部200
に接続した状態で、容器120を変形させることにより、チューブ部200の内部を加圧
することができる。このようにすれば、核酸が溶出された第4プラグ40の溶出液をチュ
ーブ部200の第5プラグ50側の端から吐出させる際に、チューブ部200の第1プラ
グ10側から圧力を容易に印加することができる。これにより、例えばPCRのための反
応容器等に容易に溶出液を分注することができる。
チューブ部200は、内部に空洞を有し、当該空洞内に液体を長手方向に流通させるこ
とのできる筒状の部分である。チューブ部200は、長手方向を有するが、屈曲してもよ
い。チューブ部200の内部の空洞は、液体がチューブ部200内でプラグ形状を維持で
きれば、大きさ、形状ともに特に限定されない。また、チューブ部200の内部の空洞の
大きさや長手方向に垂直な断面の形状は、チューブ部200の長手方向に沿って変化して
もよい。液体がチューブ部200内でプラグ形状を維持できるかどうかについては、チュ
ーブ部200の材質、液体の種類等の条件に依存するので、チューブ部200の長手方向
に垂直な断面の形状は、液体がチューブ部200内でプラグ形状を維持できる範囲内で適
宜に設計される。
チューブ部200の外形の長手方向に垂直な断面の形状も限定されない。さらにチュー
ブ部200の肉厚(内部の空洞の側面から外部の表面までの長さ)も特に限定されない。
チューブ部200の内部の空洞の長手方向に垂直な断面が円形である場合、チューブ部2
00の内径(内部の空洞の長手方向に垂直な断面における円の直径)は、例えば、0.5
mm以上3mm以下とすることができる。チューブ部200の内径がこの範囲であると、
チューブ部200の材質、液体の種類において広範な範囲で液体のプラグを形成しやすい
のでより好ましい。
チューブ部200の材質は、特に限定されないが、例えば、ガラス、高分子、金属など
とすることができる。しかし、チューブ部200の材質にガラスや高分子などの可視光に
おいて透明性を有する材質を選択すると、チューブ部200の外部から内部(空洞内)を
観察することができるのでより好ましい。また、チューブ部200の材質に、磁力を透過
する物質や非磁性体を選択すると、チューブ部200に磁性粒子(シリカ表面を有する担
体)を通過させる場合などに、チューブ部200の外部から磁力を与えることによってこ
れを行うことが容易化されるため好ましい。
チューブ部200の内部には、オイルからなる第1プラグ10、オイルと混和しない第
1洗浄液からなる第2プラグ20、第1洗浄液と混和しないオイルからなる第3プラグ3
0、オイルと混和しない溶出液からなる第4プラグ40、及び溶出液と混和しないオイル
からなる第5プラグ50が、当該順で配置される。オイルとしては、例えば、ジメチルシ
リコーンオイル等のシリコーン系オイル、パラフィン系オイル及びミネラルオイル並びに
それらの混合物から選択される一種を挙げることができる。
第1プラグ10、第3プラグ30、及び第5プラグ50のチューブ部200の長手方向
における長さは、プラグが形成可能な範囲であれば、いずれも特に限定されない。第1プ
ラグ10、第3プラグ30、及び第5プラグ50のチューブ部200の長手方向における
具体的な長さとしては、1mm以上50mm以下であり、シリカ表面を有する担体の粒子
等の移動距離を大きくしすぎないように、1mm以上30mm以下が好ましく、5mm以
上20mm以下がさらに好ましい。これらのうち第3プラグ30のチューブ部200の長
手方向における長さを長くすると、第4プラグ40をチューブ部200の第5プラグ50
側の端から吐出する態様を採る場合に、第2プラグ20を吐出しにくくすることができる
。この場合、第3プラグ30の具体的な長さとしては、10mm以上50mm以下とする
ことができる。
第2プラグ20は、チューブ部200内の第1プラグ10と第3プラグ30との間の位
置に配置される。第2プラグ20は、第1洗浄液からなる。第1洗浄液は、第1プラグ1
0を構成するオイル及び第3プラグ30を構成するオイルのいずれとも混和しない液体で
ある。第1洗浄液としては、水、又は緩衝液等が挙げられる。緩衝液の組成は、特に限定
されないが、TRISバッファー、クエン酸バッファー、HCl、などを例示することが
できる。
第2プラグ20の体積は、特に限定されず、核酸を吸着させたシリカ表面を有する担体
粒子等の量等を指標として適宜設定することができる。例えば、粒子等の体積が、0.5
μLである場合には、第2プラグ20の体積は、10μL以上であれば十分であり、20
μL以上50μL以下とすることが好ましく、20μL以上30μL以下とすることがさ
らに好ましい。第2プラグ20の体積が、この範囲であれば、粒子等の体積が、0.5μ
Lである場合に粒子等の洗浄を十分に行うことができる。なお、粒子等の洗浄には、第2
プラグ20の体積は、より大きいことが好ましいが、チューブ部200の長さや太さ、こ
れに依存する第2プラグ20のチューブ部200の長手方向における長さ等を考慮して、
適宜に設定することができる。
第4プラグ40は、チューブ部200内の第3プラグ30と第5プラグ50との間の位
置に配置される。第4プラグ40は、溶出液からなる。
溶出液とは、粒子等に吸着した核酸を、粒子から脱離させて液中に溶離させる液体のこ
とを指す。溶出液としては、例えば、滅菌水、蒸留水、イオン交換水等の精製された水、
又はそのような水に対して、酵素、dNTP、プローブ、プライマー及びバッファーの少
なくとも一種を溶解させた水溶液を挙げることができる。溶出液は、第3プラグ30を構
成するオイル及び第5プラグ50を構成するオイルのいずれとも混和しない液体である。
溶出液を水又は水溶液とすれば、核酸が吸着されたシリカ表面を有する担体粒子等が溶
出液に浸漬されることで、粒子等に吸着した核酸を遊離(溶出)させることができる。ま
た、溶出液に酵素、dNTP、プローブ、プライマー及びバッファーの少なくとも一種を
溶解させた水溶液を選択すると、粒子等に吸着した核酸を遊離(溶出)させるとともに、
PCRの反応液に必要な成分の一部又は全部を溶出液に含有させることができるので、溶
出液を用いてPCRの反応液を調製する際の時間と手間をさらに省くことができる。第4
プラグ40の溶出液に酵素、dNTP、プローブ、プライマー及びバッファーの少なくと
も一種を溶解させる場合の濃度は特に限定されず、調製するPCRの反応液に合わせて設
定できる。
第4プラグ40の体積は、特に限定されず、核酸を吸着させたシリカ表面を有する担体
粒子等の量などを指標として適宜設定することができる。例えば、粒子等の体積が、0.
5μLである場合には、第4プラグ40の体積は、0.5μL以上であれば十分であり、
0.8μL以上5μL以下とすることが好ましく、1μL以上3μL以下とすることがさ
らに好ましい。第4プラグ40の体積が、この範囲であれば、当該粒子等の体積が、0.
5μLである場合に粒子等からの核酸の溶出を十分に行うことができる。なお、粒子等か
らの核酸の溶出には、第4プラグ40の体積は、チューブ部200の長さや太さ、及びP
CRの熱サイクルの迅速性を考慮して、反応液の熱容量が大きくなりすぎないように考慮
して適宜に設定することができる。
本実施形態の核酸抽出カートリッジ2000は、チューブ部200に、第1プラグ10
、第2プラグ20、第3プラグ30、第4プラグ40、及び第5プラグ50、を有するが
、他の機能を付加する構成を含んでもよい。本実施形態の核酸抽出カートリッジ2000
は、以下に説明する構成の組み合わせや、各構成の変形形態を含んでもよい。
次に、図2Bについて記述する。図2Bは、図2Aに示した核酸抽出カートリッジ20
00を、容器120とチューブ部200に分割した状態を示す模式図である。
チューブ部200の両端は、脱着自在の栓110によって封止されてもよい。チューブ
部200の両端が栓110によって封止されている場合、例えば、核酸抽出カートリッジ
2000の保管、移送がより容易になる。さらに、チューブ部200の使用時に、栓11
0がチューブ部200の第5プラグ50側の端を封止した状態とすれば、チューブ部20
0の内部で粒子等を移動させる際に、各プラグのチューブ部200内での移動を抑制する
ことができるので、洗浄、抽出をさらに容易化することができる。その上、当該栓110
は、脱着自在であるため、チューブ部200の第5プラグ50側の端を開放することがで
き、核酸が溶出された第4プラグ40の溶出液をチューブ部200の第5プラグ50側の
端から吐出させることが容易である。
容器120は、内部に液体を収容することができる。容器120は、液体や固体を出し
入れできる開口121を有する。また、図2Aの例では、容器120の開口121が、チ
ューブ部200の第1プラグ10側の端に内部を連通させて接続される態様となっている
図2Bの例では、チューブ部200の両端が、脱着自在の栓110によって封止されて
いる。また、核酸抽出キットは、容器120の開口121を脱着自在に封止する蓋122
を含んでもよく、容器120の開口121が脱着自在の蓋122によって封止されてもよ
い。さらに、核酸抽出キットでは、核酸抽出液の成分の一部又は全部が容器120に収容
されていてもよい。
また、核酸抽出カートリッジ2000では、容器120は、図2Aと同様に、核酸抽出
液及びシリカ表面を有する担体として磁性粒子を収容していてもよい。このようにすれば
、検体を容器120に導入した際、検体に含まれる核酸を磁性粒子に吸着させる工程を、
容器120において行うことができる。これにより、他の容器を用意する必要がなく、さ
らに迅速にPCRの前処理を行うことができる。またこの場合、容器120の開口121
は、必要に応じて脱着自在の蓋122によって封止されてもよい。磁性粒子については後
に詳述する。
また、容器120を、既に述べたように、可とう性を有する材質とすれば、容器120
をチューブ部200に接続した状態で、容器120を変形させることにより、チューブ部
200の内部を加圧することができる。このようにすれば、核酸が溶出された第4プラグ
40の溶出液をチューブ部200の第5プラグ50側の端から吐出させる際に、チューブ
部200の第1プラグ10側から圧力を容易に印加することができる。これにより、例え
ばPCRのための反応容器等に容易に溶出液を分注することができる。
図2Aと図2Bに示した核酸抽出カートリッジ2000には、チューブ部200及び容
器120の他に、例えば、栓、蓋、取扱説明書、試薬、ケース等の他の構成が含まれても
よい。またここではチューブ部200内に5つのプラグが配置されている例を示したが、
チューブ部200内には、第6プラグ、第7プラグ等や、必要に応じてその他のプラグが
配置されてもよい。
以後は、図2Bに示した核酸抽出カートリッジ2000を用いて詳述する。本実施形態
の核酸抽出カートリッジ2000は、チューブ部200の第1プラグ10側の端に内部を
連通させて接続可能な容器120を有するため、容器120内において、シリカ表面を有
する担体粒子等と検体とを収容すれば、粒子等に核酸を吸着させることができ、容器12
0をチューブ部200の第1プラグ10側の端に接続すれば、当該粒子等をチューブ部2
00の第1プラグ側から容易にチューブ部200内に導入することができる。また、本実
施形態の核酸抽出カートリッジ2000は、容器120を有するため、容器120を振と
うすることができ、容器120内の液体を十分に撹拌することができる。これにより迅速
に当該粒子等に核酸を吸着させることができる。
また、チューブ部200に容器120を接続することにより、核酸が吸着されたシリカ
表面を有する担体粒子等をチューブ部200の第1プラグ10側の端から導入して、第4
プラグ40まで移動させることが容易である。これにより、核酸の抽出をきわめて短時間
で容易に行うことができる。核酸抽出カートリッジ2000は、核酸が吸着された当該粒
子等をチューブ部200内において移動させることによって、高い純度で核酸を含有する
溶出液を得ることができる。そのため、核酸抽出カートリッジ2000によれば、PCR
のための前処理に要する時間と手間を大幅に削減することができる。
本実施形態の核酸抽出カートリッジ2000による核酸抽出は、磁性微粒子M及び核酸
抽出液が収容された可とう性を有する容器120に、核酸を含有する検体を導入する導入
工程と、容器120を揺動して核酸を磁性微粒子Mに吸着させる吸着工程と、オイルから
なる第1プラグ10、オイルと混和しない第1洗浄液からなる第2プラグ20、オイルか
らなる第3プラグ30、オイルと混和しない溶出液からなる第4プラグ40及びオイルか
らなる第5プラグ50、が当該順で内部に配置されたチューブ部200の第1プラグ10
側の端に、容器120内部とチューブ部200内部を連通させて容器120を接続する接
続工程と、磁力を印加して容器120内部からチューブ部200内部を通過させて第5プ
ラグ50の位置まで、磁性微粒子Mを移動させる移動工程と、第4プラグ40の溶出液に
対して磁性微粒子Mから核酸を溶出させる溶出工程と、を含む。
本実施形態の核酸抽出カートリッジ2000では、核酸抽出液を用いて核酸を吸着させ
ることのできるシリカ表面を有する担体であって、チューブ部200内を移動させること
のできる粒子であれば、各種(例えばシリカ粒子、ポリマー粒子、磁性粒子等)の粒子を
用いることができるが、以下に説明する核酸抽出カートリッジの一実施形態では、磁性体
を含有するシリカ表面を有する粒子担体であって、粒子表面に核酸を吸着できる磁性微粒
子Mを使用する。なお、磁性微粒子M以外の粒子等をチューブ内で移動させる場合は、例
えば、重力や電位差を利用してこれを行うことができる。
本実施形態の核酸抽出カートリッジ2000では、容器120及びチューブ部200に
磁力を透過する材質を選び、容器120及びチューブ部200の外部から磁力を印加する
ことによって磁性微粒子Mを容器120及びチューブ部200の内部で移動させる。
検体には標的となる核酸が含まれている。以下、これを単に標的核酸ということがある
。標的核酸は、例えば、DNAやRNA(DNA:Deoxyribonucleic
Acid、及び/又はRNA:Ribonucleic Acid)である。標的核酸は
、本実施形態の核酸抽出カートリッジ2000によって検体から抽出され、溶出液に溶出
された後、例えばPCRの鋳型として利用される。検体としては、血液、鼻腔粘液、口腔
粘膜、その他各種の生体試料などが挙げられる。
[吸着工程]
核酸のシリカ表面を有する担体への吸着は、容器120を揺動させて行われる。この工
程は、容器120の開口121を封止する蓋122があれば、これを用いて容器120を
封止して行うとより効率的に行うことができる。ここでは、シリカ表面を有する担体とし
て、シリカ表面を有する磁性微粒子Mを使用することができる。この工程により、標的核
酸は、カオトロピック剤の作用により、磁性微粒子Mの表面に吸着される。この工程では
、磁性微粒子Mの表面には、標的核酸の他に標的核酸以外の核酸や蛋白質が吸着してもよ
い。
容器120を揺動させる方法としては、ボルテックスシェイカーなどの装置を用いても
よいし、作業者の手で振り混ぜてもよい。また、磁性微粒子Mの磁性を利用して、外部か
ら磁場を与えながら容器120を揺動してもよい。容器120を揺動させる時間は、適宜
設定されうるが、例えば容器120のおよその形状が、直径が20mm、高さが30mm
程度の円筒状である場合には、容器120を10秒間手で振って揺動する程度で十分に撹
拌され、核酸が磁性微粒子Mの表面に吸着する。
次に、図2Aに示すように、チューブ部200の第1プラグ10側の端に容器120を
接続する。チューブ部200内の各プラグは、第1プラグ10側の栓110を外しても、
第5プラグ50側の栓110がなされているため、チューブ部200内を移動しにくくな
っている。この工程は、チューブ部200の第1プラグ10側の端に栓110が取り付け
られている場合には該栓110を外して行う。そして、容器120及びチューブ部200
は、内容物が漏出しないように接続され、容器120内部とチューブ部200の内部との
間で内容物が流通可能なように連通される。
[移動工程]
上記工程を経ると、容器120内の核酸が吸着した磁性微粒子Mがチューブ部200に
流通できる状態となっている。核酸が吸着した磁性微粒子Mをチューブ部200に導く手
法としては、重力や遠心力を利用する方法を用いてもよく、特に制限されないが、本実施
形態では容器120及びチューブ部200の外部から磁力を印加して行う。磁力は、例え
ば、磁石、電磁石等により印加することができるが、発熱等を生じない点で、磁石を用い
て印加することがより好ましい。また、磁石を用いる場合には、作業者の手で磁石を動か
して行ってもよいし、機械装置等を利用して行ってもよい。磁性微粒子Mは、磁力によっ
て引き寄せられる性質を有しているため、この性質を利用して、容器120及びチューブ
部200と、磁石の相対的な配置を変化させて、容器120内からチューブ部200に移
動させる。これにより、第1プラグ10から順に、各プラグを通って、第4プラグ40ま
で磁性微粒子Mが移動される。磁性微粒子Mが各プラグを通過するときの各プラグにおけ
る滞在時間は特に限定されないし、同一プラグ内でチューブ部200の長手方向に沿って
往復するようにして移動させてもよい。
[溶出工程]
磁性微粒子Mが第4プラグ40に到達すると、溶出液の作用により、磁性微粒子Mに吸
着された核酸が、第4プラグ40の溶出液に溶出する。本工程を経ると、検体から溶出液
に対して核酸が溶出し、検体から核酸が抽出された状態となる。
本実施形態の核酸抽出カートリッジ2000によれば、核酸の抽出をきわめて短時間で
容易に行うことができる。本実施形態の核酸抽出カートリッジ2000は、核酸が吸着さ
れた磁性微粒子Mをチューブ部200内において移動させることによって、高い純度で核
酸を含有する溶出液を得ることができる。本実施形態の核酸抽出カートリッジ2000に
よれば、PCRのための核酸抽出・回収に要する時間と手間を大幅に削減することができ
る。
(変形例)
次に、実施形態2の核酸抽出カートリッジ2000の一変形例を、図3を参照して説明
する。
図3は、実施形態2の核酸抽出カートリッジ2000の一変形例を模式的に示す図であ
る。
本変形例の核酸抽出カートリッジ2000aは、チューブ部200の内部に配置された
磁性微粒子Mに対して磁力を印加する永久磁石410を含む。チューブ部200内部には
、オイルからなる第1プラグ10、オイルと混和しない第1洗浄液からなる第2プラグ2
0、オイルからなる第3プラグ30、オイルと混和しない溶出液からなる第4プラグ40
、及びオイルからなる第5プラグ50、が当該順で配置され、第5プラグ50側に栓11
0をして封止して、チューブ部200内部で粒子等を移動させる際に、各プラグのチュー
ブ部200内部での移動を抑制している。
実施形態2における移動工程に相当する磁性粒子を移動させる工程では、磁性微粒子M
に対して磁力を外部から印加することによって、磁性微粒子Mを第1プラグ10から各プ
ラグを通過させて第4プラグ40まで移動させると説明した。しかし、磁性微粒子Mが第
2プラグ20に移動されたときに、外部から印加される磁力を変化させて、第2プラグ2
0内で磁性微粒子Mを振動させたり、拡散凝集を繰り返したりして行ってもよい。このよ
うにすれば、第2プラグ20の第1洗浄液による磁性微粒子Mの洗浄効果を高めることが
できる。
具体的には、図3のA、Bに示すように、磁力を印加する手段として、一対の永久磁石
410を用いる場合には、永久磁石410によって容器120から磁性微粒子Mを移動さ
せ、第1プラグ10を通過させて、第2プラグ20まで磁性微粒子Mが到達したときに、
一方の永久磁石410をチューブ部200から遠ざけ、他方の永久磁石410を、チュー
ブ部200に対して対向する側から近づけると、磁性微粒子Mを第2プラグ20内でチュ
ーブ部200の長手方向と交差する方向に振動させることができる(図中A,Bの態様の
繰り返し)。このようにすれば、第2プラグ20の第1洗浄液による磁性微粒子Mの洗浄
効果を高めることができる。このような磁性微粒子Mの洗浄は、第2プラグ20を分割し
た場合や、チューブ部200内に第6プラグが配置される場合に、複数の第2プラグ20
や、第6プラグにおいて適用してもよい。
また、図3のCに示すように、永久磁石410を単にチューブ部200から遠ざけるこ
とにより、第2プラグ20内で磁性微粒子Mを拡散させることができる。磁性微粒子Mは
、表面が親水性であるため、例えば第2プラグ20において、磁力を弱めて拡散されたと
しても、第1プラグ10や第3プラグ30のオイルには進入しにくいので、このような態
様としてもよい。
具体的には、永久磁石410によって容器120から磁性微粒子Mを移動させ、第1プ
ラグ10を通過させて第2プラグ20に磁性微粒子Mが到達したときに、永久磁石410
をチューブ部200から遠ざけ、第2プラグ20内において磁性微粒子Mを拡散させる。
そして、磁性微粒子Mを再び永久磁石410の磁力によって移動させ、第3プラグ30を
通過させて、第4プラグ40に導くことができる。
このような外部から印加される磁力を変化させて、磁性微粒子Mを振動させたり、拡散
凝集を繰り返したりする態様は、容器120内の吸着液に磁性微粒子Mが存在する状態や
、第4プラグ40(溶出液)に磁性微粒子Mが存在する状態において適用してもよい。
実施形態2における溶出工程に相当する核酸を溶出させる工程では、第4プラグ40を
加熱して行ってもよい。第4プラグ40を加熱する方法としては、例えば、チューブ部2
00の第4プラグ40に対応する位置に、ヒートブロック等の熱媒体を接触させる方法や
、ヒーター等の熱源を用いる方法、電磁加熱による方法などを例示することができる。
第4プラグ40を加熱する場合には、第4プラグ40以外のプラグも加熱されてもよい
が、核酸が吸着された磁性微粒子Mが、洗浄液のプラグに存在する状態では、当該プラグ
は加熱されないことが好ましい。第4プラグ40を加熱する場合の到達温度としては、溶
出の効率の観点から、65℃以上100℃以下が好ましく、より好ましくは80℃以上1
00℃以下、さらに好ましくは90℃以上100℃以下である。
核酸を溶出させる工程において、第4プラグ40を加熱すると、磁性微粒子Mに吸着さ
れた核酸を、溶出液に対して、より効率的に溶出させることができる。また、第1洗浄液
又は第2洗浄液と、溶出液の組成が同一又は類似していても、洗浄液に対して溶出せずに
磁性微粒子Mに残って吸着している核酸を溶出液に対して溶出させることができる。すな
わち、核酸が吸着した磁性微粒子Mを第1洗浄液又は第2洗浄液によって洗浄した後でも
、溶出液に対して核酸をさらに溶出させることができる。これにより、洗浄液の組成と、
溶出液の組成が同一又は類似していても、十分な洗浄と、溶出液への十分な濃度での溶出
とを両立ことができる。
以下に実施例を説明し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によ
って何ら限定されるものではない。
本実施例では、実施形態1に記載した核酸抽出キットを用いて、培養されたインフルエ
ンザAウィルスから精製されたRNAを分散させた水溶液からのRNA抽出を行った。こ
こで、核酸抽出に与える血清添加の効果を確認するため、比較対象(コントロール)とし
て、血清の代わりに、核酸分解酵素除去処理を行った水を添加した。
<RNAの単離>
まず、容量1.5mLのポリエチレン製容器に、700μLの核酸抽出液(30wt%
グアニジンチオシアン酸塩、1.0wt%Trion X−100、0.3wt%トリス
塩酸緩衝液pH7.2、50v/v%エタノール、1v/v%ウシ胎児血清(Fetal
bovine serum以下、「FBS」と記す。))を入れ、そこに、精製されたR
NAを含んだ140μLの溶液及び25μLの磁性微粒子M(直径1〜3μmのシリカ表
面を有する担体、濃度400mg/mL)を入れ、ボルテックスミキサーで10分間、十
分に撹拌した。磁石で磁性ビーズを引き付け、核酸抽出液を除去した。次に、洗浄液1(
30wt%グアニジン塩酸塩、60v/v%エタノール)を入れ、ボルテックスミキサー
で5秒間撹拌した。磁石で磁性微粒子Mと引き付け、洗浄液1を除去した。洗浄液1によ
る洗浄を2回行った後、洗浄液2(0.1wt%トリス塩酸緩衝液pH7.5、0.2w
t%塩化ナトリウム、70v/v%エタノール)で、同様に2回洗浄を行った。洗浄液2
による洗浄を2回行った後、洗浄液3(0.1wt%クエン酸pH4.0、0.05wt
%Trion X−100)で、同様に2回洗浄を行った。洗浄液を除去後、磁性微粒子
Mに溶出液として核酸分解酵素除去処理を行った水を27.5μL入れ、ボルテックスミ
キサーで、5秒間軽く撹拌した後、95℃のヒーターに入れて2分間加熱した。最後に、
磁性微粒子Mを磁石で引き付け、溶出液を回収し、RNA溶液とした。
<RT−PCR>
次に、調製したRNA溶液を用いて、RT−PCRを行った。なおRT−PCRはCD
C protocol of realtime RT−PCR for swine inf
luenza A (H1N1)に従って実施した。具体的には、
0.8μMフォワードプライマー
0.8μMリバースプライマー
0.2μMプローブ
1xSuperScriptIII RT/Platimun Taq Mix
1xPCR Master Mix
を含む溶液を8μL調製し、そこに溶出液2μLを加えて撹拌後、以下の条件でRT−P
CRを行った。図4にその結果を示す。図4は、実施例1の結果を示す図であって、本発
明に係る核酸抽出キットによりインフルエンザAのRNAを精製・回収し、RT−PCR
を行った結果を示した図である。
逆転写 50℃ 30分
Taq活性化 95℃ 2分
PCR 95℃ 15秒−55℃ 30秒 50サイクル
核酸抽出液にFBSを添加した結果とコントロールの結果を比較すると、FBSを添加
した方がRT−PCRの蛍光強度の立ち上がりが早くなった。このことは、核酸抽出液に
血清を添加した方が、RNAの回収効率が向上することを示す。
本実施例では、実施形態1に記載した核酸抽出キットを用いて、培養されたインフルエ
ンザAウィルスから精製されたRNAを分散させた水溶液からのRNA抽出を行った。こ
こで、FBSの濃度が核酸抽出に与える液用を確認するため、添加するFBSの濃度を変
化(0v/v%〜5.0v/v%)させた。
<RNAの単離>
まず、容量1.5mLのポリエチレン製容器に、700μLの核酸抽出液(30wt%
グアニジンチオシアン酸塩、1.0wt%Trion X−100、0.3wt%トリス
pH7.2、50v/v%エタノール、0v/v%〜5.0v/v%の間で変化させたF
BS)を入れ、そこに、精製されたRNAを含んだ140μLの溶液及び25μLの磁性
微粒子M(直径1〜3μmのシリカ表面を有する担体、濃度400mg/mL)を入れ、
ボルテックスミキサーで10分間、十分に撹拌した。磁石で磁性ビーズを引き付け、核酸
抽出液を除去した。次に、洗浄液1(30wt%グアニジン塩酸塩、60v/v%エタノ
ール)を入れ、ボルテックスミキサーで5秒間撹拌した。磁石で磁性微粒子Mと引き付け
、洗浄液1を除去した。洗浄液1による洗浄を2回行った後、洗浄液2(0.1wt%ト
リスpH7.5、0.2wt%塩化ナトリウム、70v/v%エタノール)で、同様に2
回洗浄を行った。洗浄液2による洗浄を2回行った後、洗浄液3(0.1wt%クエン酸
pH4.0、0.05wt%Triton X−100)で、同様に2回洗浄を行った。
洗浄液を除去後、磁性微粒子Mに溶出液として核酸分解酵素除去処理を行った水を27.
5μL入れ、ボルテックスミキサーで、5秒間軽く撹拌した後、95℃のヒーターに入れ
て2分間加熱した。最後に、磁性微粒子Mを磁石で引き付け、溶出液を回収し、RNA溶
液とした。
<RT−PCR>
次に、調製したRNA溶液を用いて、RT−PCRを行った。なおRT−PCRはCD
C protocol of realtime RT−PCR for swine inf
luenza A (H1N1)に従って実施した。具体的には、
0.8μMフォワードプライマー
0.8μMリバースプライマー
0.2μMプローブ
1xSuperScriptIII RT/Platimun Taq Mix
1xPCR Master Mix
を含む溶液を8μL調製し、そこに溶出液2μLを加えて撹拌後、以下の条件でRT−P
CRを行った。図5Aおよび図5Bにその結果を示す。図5Aは、実施例2の結果を示す
図であって、本発明に係る核酸抽出キットにより添加する血清濃度を変化させて、精製済
みRNAから抽出したインフルエンザAのRNAを精製・回収し、RT−PCRを行った
結果を示した図である。また、図5Bは、実施例2において、血清濃度が0.1v/v%
以下の場合を拡大して示した図である。
逆転写 50℃ 30分
Taq活性化 95℃ 2分
PCR 95℃ 15秒−55℃ 30秒 50サイクル
核酸抽出液にFBSを添加した結果とコントロールの結果を比較すると、FBSを添加
した方がRT−PCRの蛍光強度の立ち上がりが早くなる、すなわちCt値が小さくなる
ことわかる。このことは、核酸抽出液にFBSを添加した方が、RNAの回収効率が向上
することを示す。さらに、図5Bより、FBS濃度を0.001v/v%以上にすること
により、核酸抽出液にFBSを添加しない場合に比べ、蛍光強度が立ち上がる点が著しく
早くなっており、FBS濃度を0.001v/v%以上にすると良好な効果を示すことが
わかる。また、図5Bからは、FBSを添加する効果が0.05v/v%でほぼ飽和する
ことも読み取れる。
本実施例では、実施形態1に記載した核酸抽出キットを用いて、培養したインフルエン
ザAウィルスからのRNA抽出を行った。ここで、核酸抽出に与えるFBS添加の効果を
確認するため、比較対象(コントロール)として、FBSの代わりに、核酸分解酵素除去
処理を行った水を添加した。
<RNAの単離>
まず、容量1.5mLのポリエチレン製容器に、700μLの核酸抽出液(30wt%
グアニジンチオシアン酸塩、1.0wt%Trion X−100、0.3wt%トリス
pH7.2、50v/v%エタノール、1v/v%FBS)を入れ、そこに、培養した
インフルエンザAウィルスを含んだ140μLの溶液及び25μLの磁性微粒子M(直径
1〜3μmのシリカ表面を有する担体、濃度400mg/mL)を入れ、ボルテックスミ
キサーで10分間、十分に撹拌した。磁石で磁性ビーズを引き付け、核酸抽出液を除去し
た。次に、洗浄液1(30wt%グアニジン塩酸塩、60v/v%エタノール)を入れ、
ボルテックスミキサーで5秒間撹拌した。磁石で磁性微粒子Mと引き付け、洗浄液1を除
去した。洗浄液1による洗浄を2回行った後、洗浄液2(0.1wt%トリスpH7.5
、0.2wt%塩化ナトリウム、70v/v%エタノール)で、同様に2回洗浄を行った
。洗浄液2による洗浄を2回行った後、洗浄液3(0.1wt%クエン酸pH4.0、0
.05wt%Trion X−100)で、同様に2回洗浄を行った。洗浄液を除去後、
磁性微粒子Mに溶出液として核酸分解酵素除去処理を行った水を27.5μL入れ、ボル
テックスミキサーで、5秒間軽く撹拌した後、95℃のヒーターに入れて2分間加熱した
。最後に、磁性微粒子Mを磁石で引き付け、溶出液を回収し、RNA溶液とした。
<RT−PCR>
次に、調製したRNA溶液を用いて、RT−PCRを行った。なおRT−PCRはCD
C protocol of realtime RT−PCR for swine inf
luenza A (H1N1)に従って実施した。具体的には、
0.8μMフォワードプライマー
0.8μMリバースプライマー
0.2μMプローブ
1xSuperScriptIII RT/Platimun Taq Mix
1xPCR Master Mix
を含む溶液を8μL調製し、そこに溶出液2μLを加えて撹拌後、以下の条件でRT−P
CRを行った。図6にその結果を示す。図6は、実施例3の結果を示す図であって、本発
明に係る核酸抽出キットにより培養したインフルエンザAウィルスから抽出したインフル
エンザAのRNAを精製・回収し、RT−PCRを行った結果を示した図である。
逆転写 50℃ 30分
Taq活性化 95℃ 2分
PCR 95℃ 15秒−55℃ 30秒 50サイクル
核酸抽出液にFBSを添加した結果とコントロールの結果を比較すると、FBSを添加
した方がRT−PCRの蛍光強度の立ち上がりが早くなった。このことは、核酸抽出液に
FBSを添加した方が、RNAの回収効率が向上することを示す。
本実施例では、実施形態1に記載した核酸抽出キットを用いて、培養したMS2ファー
ジ(RNAを持つ)からのRNA抽出を行った。ここで、核酸抽出に与えるFBS添加の
効果を確認するため、比較対象(コントロール)として、FBSの代わりに、核酸分解酵
素除去処理を行った水を添加した。
<RNAの単離>
まず、容量1.5mLのポリエチレン製容器に、700μLの核酸抽出液(30wt%
グアニジンチオシアン酸塩、1.0wt%Trion X−100、0.3wt%トリス
pH7.2、50v/v%エタノール、1v/v%FBS)を入れ、そこに、培養したM
S2ファージを含んだ140μLの溶液及び25μLの磁性微粒子M(直径1〜3μmの
シリカ表面を有する担体、濃度400mg/mL)を入れ、ボルテックスミキサーで10
分間、十分に撹拌した。磁石で磁性ビーズを引き付け、核酸抽出液を除去した。次に、洗
浄液1(30wt%グアニジン塩酸塩、60v/v%エタノール)を入れ、ボルテックス
ミキサーで5秒間撹拌した。磁石で磁性微粒子Mと引き付け、洗浄液1を除去した。洗浄
液1による洗浄を2回行った後、洗浄液2(0.1wt%トリスpH7.5、0.2wt
%塩化ナトリウム、70v/v%エタノール)で、同様に2回洗浄を行った。洗浄液2に
よる洗浄を2回行った後、洗浄液3(0.1wt%クエン酸pH4.0、0.05wt%
TritonX−100)で、同様に2回洗浄を行った。洗浄液を除去後、磁性ビーズに
溶出液として核酸分解酵素除去処理を行った水を27.5μL入れ、ボルテックスミキサ
ーで、5秒間軽く撹拌した後、95℃のヒーターに入れて2分間加熱した。最後に、磁性
ビーズを磁石で引き付け、溶出液を回収し、RNA溶液とした。
<RT−PCR>
次に、調製したRNA溶液を用いて、RT−PCRを行った。
0.8μMフォワードプライマー
0.8μMリバースプライマー
0.2μMプローブ
1xSuperScriptIII RT/Platimun Taq Mix
1xPCR Master Mix
を含む溶液を8μL調製し、そこに溶出液2μLを加えて撹拌後、以下の条件でRT−P
CRを行った。図7にその結果を示す。図7は、実施例4の結果を示す図であって、本発
明に係る核酸抽出キットにより培養したMS2ファージから抽出したインフルエンザAの
RNAを精製・回収し、RT−PCRを行った結果を示した図である。
逆転写 50℃ 30分
Taq活性化 95℃ 2分
PCR 95℃ 15秒−60℃ 30秒 50サイクル
核酸抽出液にFBSを添加した結果とコントロールの結果を比較すると、FBSを添加
した方がRT−PCRの蛍光強度の立ち上がりが早くなった。このことは、核酸抽出液に
FBSを添加した方が、RNAの回収効率が向上することを示す。
本実施例では、ヒト鼻腔拭い液由来検体からのRNA抽出を、実施形態2に記載した核
酸抽出カートリッジ2000を用いた方法で行った。これを、実施形態1に記載した核酸
抽出キット(変形)での、ヒト鼻腔拭い液由来検体からのRNA抽出と比較した。
<RNAの単離>
まず、容量1.5mLのポリエチレン製容器に、700μLの核酸抽出液(30wt%
グアニジンチオシアン酸塩、1.0wt%Trion X−100、0.3wt%トリス
pH7.2、50v/v%エタノール、1v/v%FBS)を入れ、そこに、ヒト鼻腔拭
い液由来検体を含んだ140μLの溶液及び25μLの磁性微粒子M(直径1〜3μmの
シリカ表面を有する担体、濃度400mg/mL)を入れ、ボルテックスミキサーで10
分間、十分に撹拌した。磁石で磁性微粒子Mを引き付け、核酸抽出液を除去した。次に、
洗浄液2(0.1wt%トリスpH7.5、0.2wt%塩化ナトリウム、70v/v%
エタノール)を入れ、ボルテックスミキサーで5秒間撹拌した。磁石で磁性微粒子Mと引
き付け、洗浄液2を除去した。洗浄液2による洗浄を2回行った後、洗浄液3(0.1w
t%クエン酸pH4.0、0.05wt%Trion X−100)で、同様に2回洗浄
を行った。洗浄液を除去後、磁性ビーズに溶出液として核酸分解酵素除去処理を行った水
を27.5μL入れ、ボルテックスミキサーで、5秒間軽く撹拌した後、95℃のヒータ
ーに入れて2分間加熱した。最後に、磁性微粒子Mを磁石で引き付け、溶出液を回収し、
RNA溶液とした。
図2Aに示すように、チューブ部200の第1プラグ10側の端に容器120を接続す
る。容器120及びチューブ部200は、内容物が漏出しないように接続され、容器12
0内部とチューブ部200の内部との間で内容物が流通可能なように連通される。
上記工程を経ると、容器120内の核酸が吸着した磁性微粒子M(直径1〜3μmのシ
リカ表面を有する担体、濃度400mg/mL)がチューブ部200に流通できる状態と
なっている。核酸が吸着した磁性微粒子Mをチューブ部200に導く手法としては、実施
形態2では容器120及びチューブ部200の外部から磁力を印加して行った。磁力は、
永久磁石410を用いて印加した。磁性微粒子Mは、磁力によって引き寄せられる性質を
有しているため、この性質を利用して、容器120及びチューブ部200と、磁石の相対
的な配置を変化させて、容器120内からチューブ部200に移動させる。これにより、
第1プラグ10から順に、各プラグを通って、第4プラグ40まで磁性微粒子Mが移動さ
せた。本実施例では、第1プラグ10にはオイル、第2プラグ20には第2洗浄液、続い
て、オイルと第3洗浄液のプラグを形成し、第3プラグ30にはオイル、第4プラグ40
には溶出液、第5プラグ50にはオイルを入れて、核酸抽出カートリッジ2000を構成
した。
磁性微粒子Mが、第4プラグ40に到達すると、溶出液と加熱の作用により、磁性微粒
子Mに吸着された核酸を、第4プラグ40の溶出液に溶出させた。本工程を経て、検体か
ら溶出液に対して核酸が溶出し、検体から核酸が抽出された状態とした。
実際は下記のように核酸抽出カートリッジ2000に試薬を詰め、核酸抽出を行った。
容器120:700μLの核酸抽出液(30wt%グアニジンチオシアン酸塩、1.0
wt%Trion X−100、0.3wt%トリスpH7.2、50v/v%エタノー
ル、1v/v%FBS)を入れ、そこに、ヒト鼻腔拭い液由来検体を含んだ140μLの
溶液及び25μLの磁性微粒子M(直径1〜3μmのシリカ表面を有する担体、濃度40
0mg/mL)を入れて30秒間撹拌した。
永久磁石410にて、チューブ部200の下記構成プラグを通過させた。
第1プラグ10: シリコーンオイル(KF−96L−2CS、信越化学工業)
第2プラグ20:洗浄液2(0.1wt%トリス pH7.5、0.2wt%塩化ナト
リウム、70v/v%エタノール)、280μL
第1’プラグ:シリコーンオイル(KF−96L−2CS、信越化学工業)
第2’プラグ:洗浄液3(0.1wt%クエン酸 pH4.0、0.05wt%Tri
on X−100)、22μL
第3プラグ30: シリコーンオイル(KF−96L−2CS、信越化学工業)
第4プラグ40:溶出液(核酸分解酵素除去処理を行った水)、1.6μL、95℃ヒ
ーター30秒加熱揺動
核酸を含む溶出液に、溶出液と同じ核酸分解酵素除去処理を行った水0.4μLを添加
し、2μLとした。また、この前処理は、約3分で実施することができた。
<RT−PCR>
次に、調製したRNA溶液を用いて、RT−PCRを行った。なおRT−PCRはCD
C protocol of realtime RT−PCR for swine inf
luenza A (H1N1)に従って実施した。具体的には、
0.8μMフォワードプライマー
0.8μMリバースプライマー
0.2μMプローブ
1xSuperScriptIII RT/Platimun Taq Mix
1xPCR Master Mix
を含む溶液を8μL調製し、そこに溶出液2μLを加えて撹拌後、以下の条件でRT−P
CRを行った。図8にその結果を示す。図8は、実施例5の結果を示す図であって、本発
明に係る核酸抽出カートリッジ2000によりヒト鼻腔拭い液由来検体から抽出したイン
フルエンザAのRNAを精製・回収し、RT−PCRを行った結果を示した図である。
逆転写 50℃ 30分
Taq活性化 95℃ 2分
PCR 95℃ 15秒−55℃ 30秒 50サイクル
ヒト鼻腔拭い液由来検体からのRNA抽出を、実施形態2に記載した核酸抽出カートリ
ッジ2000と核酸抽出装置を用いた方法で行った結果と、実施形態1(変形)に記載し
た方法で行った結果と、を比較すると、RT−PCRの蛍光強度は同等の立ち上がりとな
った。このことは、FBSの添加がRNAの抽出手段によらず、核酸抽出カートリッジ2
000と核酸抽出装置にも適用できることを示す。
10…第1プラグ、20…第2プラグ、30…第3プラグ、40…第4プラグ、50…
第5プラグ、110…栓、120…容器、121…開口、122…蓋、200…チューブ
部、410…永久磁石、2000…核酸抽出カートリッジ、M…磁性微粒子。

Claims (4)

  1. 核酸結合性のシリカ表面を有する担体と、
    カオトロピック剤と血清とを含む核酸抽出液と、
    を含むことを特徴とする核酸抽出キット。
  2. 前記血清の濃度は、0.001v/v%以上50v/v%以下であることを特徴とする
    請求項1に記載の核酸抽出キット。
  3. 核酸は、RNAであることを特徴とする請求項1に記載の核酸抽出キット。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の核酸抽出キットを含み、
    長手方向を有し、
    オイルからなる第1プラグと、
    オイルと相分離し、核酸が結合したシリカ表面を有する担体を洗浄する第1洗浄液から
    なる第2プラグと、
    オイルからなる第3プラグと、
    オイルと相分離し、前記核酸が結合したシリカ表面を有する担体から前記核酸を溶出す
    る溶出液からなる第4プラグと、
    オイルからなる第5プラグと、を順に内部に備えたチューブを有することを特徴とする
    核酸抽出カートリッジ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022059762A1 (ja) * 2020-09-18 2022-03-24 国立大学法人東海国立大学機構 生体分子の抽出方法

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WO2022059762A1 (ja) * 2020-09-18 2022-03-24 国立大学法人東海国立大学機構 生体分子の抽出方法

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