JP2008012490A - 微量化学反応方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポンプ、バルブ、ミキサー等の流体制御素子を必要とせずに、液体の送液、分取、分離、混合、希釈、攪拌、及び温度制御といった化学反応操作を可能する化学反応方法及び装置を提供する。
【解決手段】反応容器内又は反応基板表面に存在する液滴の液中で化学反応を実施させる化学反応方法であって、親水性表面を持つ磁性体粒子を含む水溶液から形成される液滴に磁場の変動を与えることにより、前記磁性体が周囲の水溶液に物理的な力を伝達して液滴を移動させて化学反応に必要な操作を行うことによる化学反応方法。更に、前記反応容器又は反応基板は、連続して温度が変化する温度変化領域を有し、磁場の変動によって前記液滴を前記温度変化領域内の少なくとも一の温度地点に配置して液滴の温度制御することにより化学反応を行う。
【選択図】 図7

Description

この発明は固相表面或いはその近傍において、磁性体等、磁力に応答する粒子、或はそれらを含む粒子に磁場を印加することでそれら粒子を含む液滴の移動を主とする操作をし、化学反応に必要な液体の分取、移送、混合、加温、冷却等の操作を利用したマイクロ化学反応方法及び装置の技術に関する。
化学反応、特に生化学反応システムの微小化および反応の効率的な制御、解析は、医療診断や新薬開発時のスクリーニング、法医学分野での鑑別、環境モニタリングなどにおいて利用可能な微量化学反応システム、所謂、μ−TAS(Micro Total Analysis System)構築が望まれている。近年では、半導体製造分野での微細加工技術によりシリコンやガラス基板に微小な流路やバルブなどを構築することにより、μ−TASデバイスとして、その実現が図られている。
μ−TASデバイスとしてのマイクロチップ上での化学反応に求められる特徴は、微小化による反応の効率化、分析時間の短縮、集積によるハイスループット化、検体採取量の低減による被験者の負担低減、自動化による分析精度の向上、試薬量や廃液量の抑制による環境負荷の低減、及び低コスト化が期待される。一方、その実現には、チップ製造、特に量産化における容易性、低コストな製造費、取り扱い簡便性に加え、反応実行および解析に係る機器が小型軽量であり、さらに低コストかつ信頼性の高いものである必要がある。
従来のμ−TASチップは、半導体製造技術を利用したシリコン、或はガラス基板に微細流路を施すのもので、高い加工精度が得られ、微小領域での流体制御に様々な工夫を凝らす利点はあるが、高価な材料や高精度な加工にかかるコストを抑えるのが困難である上、反応を実行させる周辺機器が大掛かりで複雑になりやすく実用的ではない。特に、クロスコンタミネーションを嫌う医療現場での遺伝子検査では、解析装置が小型軽量であり、且つチップは、完全密封系での反応が実施できる使い捨てμ−TASチップである必要がある。一方、それら用途を見込んで製造コストの低価格化、ディスポーザブル化を図るべく樹脂基板を用いたμ−TASチップが検討されているが、従来型μ−TASのアプローチを用いると、シリコンやガラス基板と比べ樹脂基板ではマイクロ流路やマイクロポンプ、バルブ、ミキサー等を形成させる際の加工精度の確保、維持が困難である。しかしながら、樹脂チップは、原材料が安価な上、核酸、タンパク質等の生体成分、生体組織や細胞など生体試料との適合性も良好であるため、使い捨てを前提としたμ−TASチップの素材としては非常に有利である。
μ−TAS分野での微量液体を移送する技術は多数報告されている。微量液体の送液にかかる駆動方法は、シリンジ型ポンプでデバイス外部の駆動源からの液体または気体を駆動媒体とする手法、或いは静電気力や誘電泳動を利用した電気的手法などが報告されている。
生化学反応、特に臨床医療で診断等への利用を考えた場合、反応出発時の試料量が微量であることが多く、また、被験者の負担を少なくするため検体採取量の微量化は今後もさらに要求されており、μ−TAS技術を利用した微量生化学反応システムが必要である。また大規模なスクリーニングを考えた場合、集積化、並列化によるシステムのハイスループット化も要求される。従来から考えられてきた生化学反応の微小化ではマイクロ流路をシリコンやガラス基板上に構築し、送液、分配、混合などが実施されてきたが、基板上にマイクロ加工を施し、さらに基板同士を貼り合わせたりするためのコストや手間がかかり、また反応チップが小さくなっても送液駆動源が外部送液機器による高精度な操作が必要となり、システム全体で見ると大掛かりで実用的ではない。一方、反応チップのディスポーザブル化を考えた場合、樹脂性チップの開発が不可欠であるが、シリコン基板等の樹脂以外で考案されているマイクロフロー系をそのまま樹脂チップ上に成型させるには、μmオーダーの加工精度の確保が困難な上、成型時の収縮、変形を考慮しながら設計する必要があり、マイクロ流路やマイクロ送液ポンプ、マイクロバルブを樹脂基板上に構築し、さらに量産化を図るには課題が多い。
液滴状態での微量液体の移送は、例えば水に微量の油、或いは油に微量の水を加えた時に形成される液滴を電気的に移動させる方法が報告されている。静電気力を利用した静電搬送(非特許文献1参照)は種々の液滴を2次元的に操作しマイクロ化学反応を実施させるものであるが、高電圧を必要とする上にデバイス製造においても、微小電極を配置し、しかも高精度な絶縁加工を施す必要があり、量産化が困難な上、使い捨てデバイスにはあまりにもコストが掛かり過ぎる。
一方、磁性体を含んだ液滴での化学反応操作も報告されている(非特許文献2、特許文献3参照)。前記報告では磁性体粒子表面に試料物質、あるいは試料物質と結合する物質をあらかじめ結合させ、前記磁性体粒子を磁石で移動させ他の試薬の入った液滴(例えは酵素液等)と合体させ、化学反応を実施させる方法が考案されているが、磁性体表面に結合した物質を磁性体自身の移動によって反応工程を進めるのが目的である。また、ガラス製デバイス上に隔壁など流体制御構造を有しており、本発明が解決しようとしている課題である特別な加工を要しない樹脂基板上でのμ−TASチップは実現されていない。従って従来型μーTASデバイスの一手法であって、本発明が意図するマイクロ流路、マイクロポンプが不要な新概念のμ−TAS技術とは異なるものである。
磁性体粒子を用いたマイクロチップとして、一つの基板上で試料からの核酸を抽出、精製し、遺伝子増幅反応まで行うチップがある(特許文献1参照)。これは、精製ウェルに試料と磁性体粒子を注入し、磁性体粒子に試料中の核酸を付着させ、磁場の変動を利用して他の精製ウェルに磁性体を移動させて核酸を精製し、核酸が精製された磁性体をチップ上の核酸増幅ウェルに移動させて、この核酸増幅ウェルに移動した磁性体を誘導加熱により加熱することで磁性体に付着している核酸を増幅させるものである。これは、精製、核酸増幅といった反応場を、基板に設けられたウェル内としており、基板にそのようなウェルを加工するには高精度で複雑な微細加工を必要とする。本参照事例においても、基板加工が必要であり、しかも遺伝子増幅反応の標準的プロトコールに特化した構造で種々の生化学反応プロトコールに柔軟に対応できるとは言いがたい。また、非特許文献2と同様に磁性体表面に試料物質(DNA)が結合することが前提にあり、これも従来型μーTASデバイスの一手法であって、本発明が意図するマイクロ流路、マイクロポンプが不要な新概念のμ−TAS技術とは異なるものである。
また、PCR反応液から形成される液滴を、複数の加熱領域間を静電搬送により、移動と配置を繰り返し、液滴内でPCR反応を行う方法もある(特許文献2参照)。
谷口友宏(Tomohiro Taniguchi)ら、「International Symposium on Microchemistry and Microsystems 2001」2001年、p. 104-105 式田光宏(Mitsuhiro Shikida)ら、「Sensors and Actuators B」、2006年、第113巻、p.563-569 特開2006−61031号公報 国際公開第03/067875パンフレット 国際公開第05/069045パンフレット
本発明は、従来型μ−TASに必要であったポンプ、バルブ、ミキサー等の流体制御素子を反応容器内に設置或いは施工する必要が無く、液体の送液、分取、混合、希釈、攪拌、及び温度制御といった化学反応操作を可能とし、その結果生じ得る化学反応を行う方法及び装置を提供する。
本発明は、以下の(1)から(7)の化学反応方法について、(8)及び(9)の化学反応装置についての発明が含まれる。
(1)反応容器内又は反応基板表面に存在する液滴の液中で化学反応を実施させる化学反応方法であって、親水性表面を持つ磁性体粒子を含む水溶液から形成される液滴に磁場の変動を与えることにより、前記磁性体粒子が周囲の水溶液に物理的な力を伝達して液滴を移動させて化学反応に必要な操作を行うことによる化学反応方法。
(2)前記反応容器又は反応基板は、連続して温度が変化する温度変化領域を有し、磁場の変動によって前記液滴を前記温度変化領域内の少なくとも一の地点に移動して液滴の温度制御をすることにより化学反応を行う(1)に記載の化学反応方法。
(3)前記液滴は更に増幅の目的とする核酸を含み、前記温度変化領域は少なくとも核酸増幅に必要な温度を有し、前記液滴が、磁場の変動によって前記温度変化領域内の核酸増幅に必要な少なくとも一の温度に制御される地点に移動されて核酸増幅を行う、(2)に記載の化学反応方法。
(4)前記核酸は、前記反応容器内又は反応基板表面に存在する、核酸を含む試料からの核酸の抽出を行うための核酸抽出用液からなる液滴内で、
核酸を含有する試料と親水性表面を持つ磁性体粒子を接触させることにより、当該磁性体粒子の表面に吸着した核酸である、(3)に記載の化学反応方法。
(5)前記磁性体粒子表面に吸着した核酸を、更に、前記反応容器内又は反応基板表面に存在する、磁性体粒子の洗浄用液からなる液滴内で洗浄を行う、(4)に記載の化学反応方法。
(6)前記液滴を形成する水溶液と混じり合わない液滴封入媒体が、反応容器に充填され又は反応基板表面に接していて、液滴封入媒体中に液滴が存在している(1)から(5)のいずれかに記載の化学反応方法。
(7)前記液滴封入媒体が、化学反応を実施する温度より低い温度に融点を持つ物質であって、化学反応の実施前は液滴封入媒体が固体状態にあり液滴を固定し、化学反応実施時は液滴封入媒体が液体状態にあり液滴を移動可能にする、(6)に記載の化学反応方法。
(8)親水性表面を持つ磁性体粒子を含む水溶液から形成される液滴が配置される反応容器又は反応基板と、前記液滴に対して磁場の変動を与えて液滴の移動を行い、化学反応に必要な操作を行う磁場印加手段とからなる化学反応装置。
(9)前記反応容器又は反応基板は連続して変化する温度変化領域を有し、
前記磁場印加手段は、前記液滴を前記変化領域内の少なくとも一の地点に移動して液滴の温度制御する、(8)に記載の化学反応装置。
本発明にかかる、化学反応に必要な操作とは、磁性体粒子を含む液滴を磁場の変動でもって移動させて、複数の液滴の融合や、一の液滴から小液滴の分離を行うことを利用して、液滴を形成する液体の分取、混合、希釈、攪拌といった操作のうち少なくとも一の操作を指し、さらには、反応容器又は反応基板上の温度調節された地点に液滴を移動、配置することによる液滴を形成する液体の加熱や冷却といった温度制御操作も含む。
本発明にかかる化学反応には、これらの化学反応に必要な操作の結果生じ得る状態を指し、必ずしも、物質変化を伴う化学反応のみを指すものではない。さらに、化学反応、生化学反応、生物学的相互作用等を行わせ、化学的、生物学的分析を行うための反応も含む。
本発明にかかる、物理的な力とは、磁性体粒子が液滴を形成する周囲の水溶液に与える牽引力を指す。
本発明にかかる液滴とは、液滴を形成する液体の分子間力によって発生する表面張力により球形、或いはそれに近い形状を持った溶液塊を指す。
本発明にかかる化学反応方法及び装置は、ポンプ、バルブ、ミキサー等の流体制御素子を反応容器に設置或いは施工することなく、また、反応ウェルや微細流路といった微細加工を施すことなく、液体の送液、分取、混合、希釈、攪拌、及び温度制御といった化学反応操作を可能とし、その結果生じ得る化学反応、生化学反応および生物学的相互作用等を行わせることが可能となる。
以下、添付図面を参照して、本発明について詳細に説明する。
[実施の形態1]
親水性表面を持つ磁性体粒子としては、東洋紡から販売されているPlasmid DNA Purification Kit MagExtractor−Plasmid-の構成試薬であるMagnetic Beads(以下、単に、磁性シリカビーズという)を使用した。上記キット内の磁性シリカビーズは以下の実施例の実施前に原液を10倍量の純水で懸濁させた後、500×g、1分間の遠心操作により上清を除去し、これを5回繰り返し、磁性シリカビーズを純水で洗浄した。そして、純水に懸濁した磁性シリカビーズの濃度は同ビーズ乾燥重量濃度で100mg(dry)/mLとなるように調整した。
本発明の基本操作となる液滴の移動方法について図1に示す。反応基板としてポリプロピレン製基板1を用い、磁性シリカビーズ(液滴2内の黒い点で表す)が100mg(dry)/mLの濃度で純水に分散した液10μLを空気中において直径約2.5mmの水滴2として基板上に置いた時の状態を図1(1)に示す。ここに基板下方からフェライト製永久磁石3を近づけ、水平方向に移動させると、図1(2)に示すように、液滴内において磁性シリカビーズが右側に集中し、液滴全体を右側へ動かそうとする力が働く。磁性シリカビーズは表面が親水性であるため、磁性シリカビーズが磁石の移動方向へ移動する際、液滴を形成する水に牽引力が伝達し、また、撥水性の高いポリプロピレン製樹脂基板上では液滴と基板間の動きに対する抵抗が少ないため、本条件であれば毎秒10cm以下の初速度で磁石を移動させれば、磁性シリカビーズが液滴の表面張力に打ち勝って液滴から飛び出すことなく液滴全体を移動させることができる。本条件においては、磁性シリカビーズの量をそのままに、さらに液滴を大きくした場合、最大200μL(磁性シリカビーズ濃度では5mg(dry)/mL)の液滴を毎秒1cmの速度で移動させることが可能であった。
本発明において使用される、親水性表面をもつ磁性体粒子(以下、単に磁性体粒子と呼ぶ場合がある)としては、上実施例で使用した磁性シリカビーズをはじめ、マグネタイト、γ―酸化鉄、マンガン亜鉛フェライトなどの磁性体からなり、表面に水酸基、アミノ基、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等の親水性基を持つものを使用することができる。そのような磁性体粒子としては、具体的には、磁性体を含むシリカ粒子、シリカで表面を覆われた磁性体粒子、SH基等を介して親水性基を有する金で表面が覆われた磁性体粒子、磁性体を含有し表面にSH基を介して親水性基をもつ金粒子などを用いることができる。親水性表面を持つ磁性体粒子は、水溶液から形成される液滴内に取り込まれ、液滴と一体化することが可能である。磁性体粒子と一体化した液滴は、磁場の変動により、液滴状態を保ちながら、磁場の移動方向へ容易に移動することが可能となる。
本発明において液滴を形成する水溶液としては、上実施例の様に水のみを用いる場合も含み、その他種々の水溶液を用いることが可能である。
空気等の気相下でポリプロピレン製等の撥水性基板表面で液滴の移動を行う場合、エタノール等のアルコール類を含む水溶液も用いることも可能であるが、直径が5mm以下程度の液滴が形成できる程度の表面張力を有する水溶液が好ましい。具体的には、エタノール水溶液の場合、1(v/v)〜20(v/v)%の濃度範囲内が好ましい。
また、リポソームを作成する過程で、脂質膜に磁性タンパク質を組み込むことによって、当該リポソームを、本発明における磁性体粒子を含む液滴として扱うことが可能となる。
磁場の変動方法は図1では基板下方に設置した磁石を水平移動させることによって行っているが、水平方向、または上方、或いは上下両面からも可能である。
反応容器の形状としては、2枚の膜の端部が貼り合わされ膜に囲まれた空間を反応場とする膜状反応容器、キャピラリー等の細管状反応容器が挙げられる。
反応基板としては、平板状基板、平板状基板表面に、反応場となる液滴を移動させる領域を囲む壁を持つもの、さらには、当該壁で囲まれた領域を覆う蓋を有して閉鎖された反応場を持つものも含む。 当該蓋は全体又は一部が開閉可能となっていて、化学反応を行うための試薬や試料を含む液滴を反応場に投入できるようになっていてもよい。
更に好ましくは、上記膜状反応容器、両端が融着され閉鎖された流路を持つ細管状反応容器、反応基板と壁、蓋が一体成型された反応基板など、完全閉鎖系の反応場を有する反応容器又は反応基板を用いることが好ましい。完全閉鎖系を有する反応場を有する場合、化学反応の実施から反応物の検出,分析まで外部からのコンタミネーションを防ぐことができ、特に、後述する核酸増幅反応を実施する際には非常に有効である。
反応容器内壁又は反応基板表面の、液滴が磁場の変動により移動する際に接する面は、平滑面であることが好ましく、特に好ましくは、表面粗さが、Ra=0.1μm以下が好ましい。Ra=0.1μm以下の表面粗さを有することで、例えば、永久磁石を反応基板下方から近づけ磁場の変動により液滴が移動する際に、磁性体粒子が基板表面に押し付けられながら移動するが、永久磁石の移動との追従性を上げることができる。
反応容器又は反応基板の材質としては、使い捨て可能や量産可能の点から、安価に入手可能な材質であることが好ましい。また、液滴の移動の際の移動抵抗を下げるために、撥水性の材質が好ましい。そのような材質として、例えばポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネートなどの樹脂素材が挙げられる。
これらの材質の中でも、反応容器外部又は反応基板裏面等から液滴の吸光度、蛍光、化学発光、生物発光、屈折率の変化等の測定を行なう場合に、光学的な検出ができるようにするために光透過性を有する材質で形成されていることが好ましい。
〔実施の形態2〕
本実施の形態では、化学反応に必要な操作の一つである液体の分取の一形態を示す。
液滴の容量、磁性体粒子の濃度、磁場の変動方法等を調整することで、実施の形態1で示したように移動磁場による液滴の移動現象が観察される。一方、液滴と反応容器内壁又は反応基板表面間の摩擦力、つまり反応基板表面が液滴を引き止めようとする力を利用して液滴本体から一部を磁性体粒子と共に小液滴として分離することも可能である。例えば液滴を形成する水溶液中の磁性体粒子の濃度が低く、液滴と基板表面との摩擦力が液滴内の磁性体粒子の牽引力より勝り、且つ、磁性体粒子の牽引力が磁性体粒子と液滴を形成する水溶液との分子間力より大きくなった場合、磁性体粒子は液滴本体から磁場の移動方向に離脱する。その際、磁性体粒子は周囲にいくらか元の液滴本体の液体を引き連れて分離し、その結果、液体の分取が可能となる。
図2に、一の液体本体からの小液滴の分離による、液体の分取工程を示す。
反応基板としてのポリプロピレン基板1表面に2mg(dry)/mLの濃度の磁性シリカビーズ(実施の形態1で調整したもの)を含む50μLの純水からなる液滴5を空気中にて置いた場合を示す。基板下方より磁石3を水平方向に移動させると、磁性シリカビーズ(液滴内の黒い点で表す)部分が小液滴6となって液滴本体から分離される。実施例1と比べ、液滴容量に対し磁性体粒子量を少なくしているため、このような磁性シリカビーズの挙動が観察される。
磁性体粒子を含む液滴からの磁性体粒子を含む小液滴の分離やその分離される小液滴の大きさは、液滴を形成する水溶液の組成、反応基板表面と液滴の相互作用、磁性体粒子の濃度、磁場の強度や磁場の変動速度等のパラメータを設定することによって再現性よく実施することができる。当業者であれば液滴に含まれる磁性体粒子の挙動を確認しながら、各パラメータを調整し実施することができる。
本実施例の液体の分取方法により、反応容器や反応基板の反応場に、凹凸等の特別な加工、又は流路等の流体制御構造なしで、定量的な液体の分取操作が再現性よく実施することができる。
〔実施の形態3〕
本実施の形態では、化学反応に必要な操作の一つである2液、またはそれ以上の液の混合や攪拌の一形態を示す。
図3に2つの異なった液の混合工程を示す。図3(1)において、左側の液滴7は磁性シリカビーズ(実施の形態1で調整したもの。液滴内の黒い点で表す)を含む液滴であり、右側液滴8は磁性シリカビーズを含まず、液滴7とは異なる溶液からなる液滴である。液滴7を磁場の変動により右の液滴8まで導き、液滴同士を融合させる(図3(2)、(3)、(4))。さらに融合した1つの液滴9内で磁性体粒子を磁力で振幅運動させてやることにより、スターラーの代用と成すことが可能である。上記現象の特性を利用することで、異なる液の混合、攪拌を行うことができる。
〔実施の形態4〕
本実施の形態では、化学反応に必要な操作の一つである、液体の分取、希釈を行う一形態例を示す。
図4に、液体の分取、希釈操作の工程を示す。ポリプロピレン製基板1の2箇所に容量50μLの純水からなる液滴10、11を形成させる。左液滴12は5mg(dry)/mLの濃度で磁性シリカビーズ(実施の形態1で調整したもの。液滴内の黒い点で表す。)を含む0.01(w/v)%のキシレンシアノール水溶液の液滴で黒色(実際の溶液は青色)を呈している。図4(2)で水平方向に移動する磁石3によって左液滴12より分離された小液滴13が中央の純水の液滴10と融合した場合、左液滴成分の一部が小液滴13によって運ばれ、中央液滴は左液滴成分濃度より希釈された薄い灰色を呈した液滴14となる。図4(4)ではさらに右液滴11へ同様に操作することで、中央液滴よりさらに希釈され、極薄い灰色を呈した液滴17となり、これを繰り返すことで段階希釈系列を作成することができる。これは磁性シリカビーズが液滴本体から小液滴として分離される際、液滴本体から一定量の液体を分取する結果となる。上記条件で液滴本体から切り出される小液滴の容量は磁性シリカビーズも含め約2.5μLで、液滴本体の大きさが20μL以上であれば、切り出される小液滴の容量は、本体液滴の容量と関係なく殆ど変化しない。
〔実施の形態5〕
これまで示した実施の形態は反応基板下方で磁石を機械的に水平方向に動かすことで液滴を移動してきたが、電磁石をアレイ状に配置しても液滴の移動が可能である。図5に、電磁石アレイを用いた装置及び液滴の移動方法を示す。図5は、反応基板1下方にアレイ状に電磁石51が並んでいる。図5(1)では最も左側の電磁石51Aに通電され、反応基板表面1に磁性体粒子を含む液滴52が捕捉されている。次に左から2番目の電磁石51Bに通電し、左側1番目の電磁石51Aの通電を止めると、液滴は右方向へ移動する(図(2))。電磁石51C、Dへの通電も同様に順次行うことで液滴を右方向へ移動することができる(図(3))。図示しない制御部により、これら電磁石への電気的制御を行い、結果として磁石の機械的移動が全くない状態で液滴を水平移動させることができ、装置の小型化、メンテナンスフリー化に寄与できる。
電磁石を格子状に整列させた、所謂、マトリックス状に並べることで、液滴の移動も2次元的に展開することができる。図6は電磁石をマトリックス状に配置した化学反応装置及び本装置を用いた化学反応方法を示す。
図6では電磁石マトリックス61の上に図示しない反応基板を置き、反応基板表面に3種類の液滴を配置する。3種類の液滴には例えば各々試薬A、B、Cを含み、試薬Aと試薬Bとを混合し、混合物(A+B)を試薬Cと反応させ、反応産物を検出器で検出する化学反応を実施する。まず、磁性体粒子及び試薬Aを含んだ液滴62を移動させ、もともと配置されていた試薬Bを含む液滴と融合し、混合による化学反応(試薬Aと試薬Bの混合)で反応液滴63とさせる。次に検出器64下の地点まで反応液滴63を移動させ、そこへ磁性体粒子及び試薬Cを含む液滴65を移動させ反応液滴63と融合し、混合による2段目の化学反応をさせ、反応液滴66とし、同時に検出器64で反応産物を検出する。
以上説明を行ったように、本発明における化学反応装置及び化学反応方法においては、マイクロ流路、マイクロ混合器、マイクロポンプ及びマイクロバルブといった流体制御要素は不要となり,デバイスの構造を非常に単純化することができる。さらには、同一基板上で同時に,複数の化学反応を起こせるため,コンビナトリアル・ケミストリ用Lab on a Chip デバイスに応用することも可能である。このように、化学反応回路のデザインにおいても非常に柔軟性の高いシステムを構築することができる。
〔実施の形態6〕
反応基板表面において気相下にある液滴が磁場の変動によって移動することは実施の形態1から5で示した。一方、本発明における液滴の移動は、油等の液相中に液滴が存在している状態でも実施可能である。特に加熱工程を含む化学反応では液滴からの水分等の蒸散を防ぐため液相中での液滴操作が非常に有効となる。
液相として用いる液滴封入媒体としては、液滴を形成する水溶液と混ざらない、液体物質が好ましく、更に好ましくは実施する化学反応に対し阻害しない物質がよい。そのような物質としては、アルカン等の炭化水素類、パーフルオロアルカン類、またはアルカンの水素原子の一部がフッ素である化学物質、ミネラルオイル、シリコーンオイル、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸ケトン、脂肪酸アミン類等、水と不溶あるいは難溶の液体物質が挙げられる。
これらの物質の中でも、比重が1より小さい物質を用いることが好ましい。比重が1より小さい物質を用いることによって、液滴が液滴封入媒体中に沈むため、磁場の変動による液滴の操作性が向上する。
また、耐熱性酵素を用いた反応といった高温における生化学反応では、上記物質の中でも揮発性の低い物質、具体的には沸点が200度以下のミネラルオイル、シリコーンオイル、脂肪酸エステル、油脂等が有効であり、高温においても、液滴封入媒体自体が揮発せず、液滴の揮発を防ぐことができる。
液滴封入媒体としては上述した物質の中でも、実施する化学反応に必要な温度より低い温度に融点を持つ物質であることが好ましい。このような物性を有する物質を使用し、化学反応の実施前は、液滴封入媒体を固体状態として液滴を任意の位置に固定し、化学反応実施時は液滴封入媒体を液滴状態として液滴を移動可能にする。結果、反応開始前は、反応に必要な液滴が任意の位置に配置された反応容器または反応基板を液滴封入媒体の融点以下の温度で保管することによって、液滴が予期せぬ方向に移動することを防ぐことができる。そして、反応開始時に加温して液滴封入媒体を液化させ、配置された液滴の移動を可能な状態にさせることができる。例えば臨床検査キットとして分析用試薬を組み込んだマイクロチップの形態で本発明にかかる反応容器または反応基板を供給する場合、保管時や輸送時の取り扱いの容易性、安定性を確保することができる。マイクロ化学チップでは反応試薬の供給も解決すべき課題であるが、本発明では予め反応容器内または反応基板表面に任意の量で必要試薬を液滴として組み込むことが可能となる。また、チップ上で反応回路をデザインする場合、反応に必要な試薬液滴をチップ上の任意の位置で固定できるため多様な反応デザインが可能となる。
例えば、図6で示した反応基板の場合、試薬A、B、Cを各々含む3種の液滴を反応基板表面の液滴封入媒体の層中に配置、液滴封入媒体の融点以下の温度で保存して固定する。化学反応時に液滴封入媒体を融解して、液滴を移動可能な状態にして、化学反応を実施することができる。
更に好ましくは、液滴封入媒体として、融点が常温(15℃から25℃)にある物質を用いることで、一般的な冷蔵温度での固化が可能となり、反応容器又は反応基板の保管が容易となる。そのような物質としては、具体的には、炭素数16から23程度の直鎖アルカンが挙げられる。たとえば炭素鎖数17のアルカンであるオクタデカンは常温付近に融点を持つ直鎖アルカンである。
なお、液滴封入媒体融解時、液滴周辺は流動的となるが液滴を反応基板表面の部分的に撥水性を弱めたスポットに置くか、又は磁性体粒子を含ませ、直下からの磁力で引き付けることにより、反応時まで液滴が移動しないようにする対策は可能である。
これらの液滴封入媒体は、液滴が液体封入媒体に存在できるよう反応容器内に充填される。反応基板を用いる場合は、液滴封入媒体が基板表面に重層するかたちで接して、液滴が液滴封入媒体中に存在していればよい。反応基板が反応場となる領域を囲む壁を有する場合、壁に囲まれた領域内を少なくとも液滴周囲を覆うまで液滴封入媒体にて封入することができる。
〔実施の形態7〕
本実施例では、化学反応に必要な操作の一つである、液体の加熱、冷却といった温度制御方法の一例を示す。図7に装置の一例を示す。図7(1)は装置の外観斜視図、図7(2)は図(1)のA−A’線での垂直断面図を示す。
反応基板71は、ポリプロピレン製の厚さ0.3mm、30mm×90mmの平板で、基板表面に閉鎖系の反応場を設けるために、平板の表面側に高さ10mmの壁72と5mm厚のガラス製板73の蓋を設けている。閉鎖系の反応場にはシリコーンオイル74を充填し、反応基板71表面がシリコーンオイルと接し、磁性体粒子を含む液滴75がシリコーンオイル中に存在する状態とした。液滴75に磁場の変動を与えて液滴の移動を行う磁場印加手段として、永久磁石76並びに永久磁石の移動機構を設置した。永久磁石の移動機構としては永久磁石76を設置する磁石支持材77、磁石支持材を2次元方向に移動するためのガイド(X軸ガイド78、Z軸ガイド79)、並びに、図示しない制御部を用意した。永久磁石76が設置された磁石支持材77は、図示しない制御部の制御によりX軸ガイド、Z軸ガイドに設けた溝に誘導されて2次元方向に移動される。反応基板支持材711の上には、幅10mmの帯状のフィルムヒーター712が配置され、図示しない制御部によりある一定の温度に設定されている。反応基板71が、反応基板支持材711の上に配置されることにより、フィルムヒーター712が反応基板71の下面と接触し、反応基板71表面に、フィルムヒーター712真上の地点が最も高温で、フィルムヒーターから離れるに従って連続的に温度が低下する、温度変化領域713を形成することができる。
このように、反応容器底面又は反応基板直下に、一の加熱用熱源をおき、一定温度で発熱させることによって、反応容器底面表面又は反応基板表面上に、熱源真上の地点が最も高温であり熱源から離れるに従って温度が下降するといった温度勾配を有した温度変化領域を形成することができる。液滴を磁場の変動により、当該温度変化領域内の、実施する化学反応に必要な温度地点に移動、配置することで、配置後速やかに液滴の液温をその地点での温度に調節することができる。すなわち、実施する化学反応が温度変化を必要とする場合であっても、液滴の移動のみで液温を迅速に昇温或いは降温して、当該温度に設定することができる。
加熱源の温度設定としては、実施する化学反応に必要な温度のうち最高温度以上の温度に設定する。また、一の加熱源を用い、当該加熱源真上を高温側として形成される温度勾配の低温側には、放熱板、あるいは冷却ファン等の冷却源を設けてもよい。冷却源を設けることによって、温度変化領域内で形成される温度勾配を大きくすることが可能となる。これは、実施する化学反応に必要な温度が、温度差のある2種以上の温度であっても液滴の移動距離を狭めることができ、効率のよい化学反応を提供することができる。また、反応容器又は反応基板の小型化に有効である。
本実施例では、磁場印加手段として、永久磁石及び永久磁石の移動機構を有する磁場印加手段を用いたが、実施の形態5に示すとおり、1次元又は2次元の電磁石アレイ及び電磁石アレイへの通電を制御する制御部を有する磁場印加手段を用いてもよい。
ここで、反応容器又は反応基板の材質としては、高温においても液滴との高い接触角を保つことのできる樹脂を使用することが好ましく、具体的には、ポリプロピレン又はポリプロピレン以上の接触角を有する樹脂を用いることが好ましい。ガラスもしくはシリコン表面にシリコーンコートなどの撥水性処理を行ったものは、高温にて撥水性処理が剥がれる虞があるが、ポリプロピレン製の反応容器又は反応基板を用いることによってその虞がなくなる。 さらに、樹脂はガラスやシリコンに対して熱伝導性が低いため、狭い領域での局所的な温度調節が可能となり、温度変化領域内に形成される温度勾配を大きくすることができる。これは、反応容器又は反応基板の小型化に有効である。
〔実施の形態8〕
図7に示す化学反応装置及び反応基板を用いて、加熱を必要とする化学反応の一例として、代表的な核酸増幅反応であるPCR(Polymerase Chain Reaction)を行った。反応基板の条件は、実施の形態7で説明を行ったのと同条件である。反応基板に重層したシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業製(KF-96-20cs),動粘度 20 mm2/s(25℃))を用い、厚さ3mmの層となるように重層した。
液滴(容量3μL)を形成するPCR反応液の組成は、50mM塩化カリウム、10mM トリス塩酸緩衝液(pH9.5)、5mM塩化マグネシウム、0.6μMベータアクチン検出用PCRプライマー(Forward);アプライドバイオシステムズ社製、0.6μMベータアクチン検出用PCRプライマー(Reverse);アプライドバイオシステムズ社製、及び0.75U 耐熱性DNAポリメラーゼ;宝酒造製Ex Taq DNA Polymeraseである。さらにDNAポリメラーゼの、基板表面、磁性体粒子等への吸着による失活を防止するため、0.2(wt)%牛血清アルブミンを添加した。当該PCR反応液に、3ngヒト標準ゲノムDNA精製品;アプライドバイオシステムズ社製、及び、磁性シリカビーズ(実施の形態1で示したもの)を乾燥重量換算で10μg/μLの濃度となるように添加した。
フィルムヒーターのヒーター電流は、フィルムヒーター真上に配置された液滴が99℃を示すように調整した。こうすることで、温度変化領域の温度変化の範囲は、少なくともPCRに必要な、変性温度からアニーリング温度の範囲を有することになる。
反応サイクルのプログラムは、PCR反応液からなる液滴をまず、温度変化領域内の液滴が95℃を示すの地点で2秒静止、次に同60℃の地点に2秒静止、そして同72℃の地点に5秒静止の順でこれらを一工程とし、磁場の変動により液滴を移動させながら上記工程を35回行わせた。反応に要した時間は約9分であった。反応実施後、3%アガロースゲル電気泳動により遺伝子増幅産物の有無を調べたところ、ヒトベータアクチン遺伝子に特異的な遺伝子増幅産物が確認できた。
反応液への牛血清アルブミン(BSA)の添加は前述の通り、酵素の樹脂基板表面、磁性粒子表面等への吸着を防止するために添加するブロッキング剤であり、BSAの他に種々のアルブミン、ゼラチン(変性コラーゲン)、カゼイン、ポリリジン等の蛋白質、天然あるいは合成ペプチドが有効であった。
PCR反応といった100℃近い高い温度を必要とする化学反応を行う際に、液滴封入媒体として、5mm/sから100mm/s(25℃)の動粘度を有するシリコーンオイルを用いることが好ましい。5mm/s以上のものを使用することにより、高温においても液滴封入媒体が揮発せず、また、100mm/s以下のものを使用することにより、磁場の変動による液滴の移動を妨げることがない。
通常のPCR用サーマルサイクラーでは熱変性(95℃)からアニーリング(50から60℃)まで冷却するためにはペルチェ素子等の冷却デバイスを必要とし、同様な標的遺伝子の増幅に要する時間も1時間以上必要であるが、本発明では温度勾配上での液滴移動のみで反応温度を制御でき、さらにマイクロリットルオーダーの微小液滴の性質上、周辺温度への追従性が良好であるため、極めて簡素なデバイスにより高速なPCR反応を行うことが可能となった。
本発明にかかる核酸増幅反応としては、PCR法(米国特許第4683195号明細書、同4683202号公報、同4800159号公報、同4965188号公報)の他、LCR法(米国特許第5494810号公報)、Qβ法(米国特許第4786600号公報)、NASBA法(米国特許第5409818号公報)LAMP法(米国特許第3313358号公報)、SDA法(米国特許第5455166号公報)、RCA法(米国特許第5354688号公報)、ICAN法(特許第3433929号公報)、TAS法(特許第2843586号公報)等を用いることができる。
これらの核酸増幅反応に必要な反応液の組成、並びに反応温度は、当業者であれば適宜選択することができ、上述した親水性表面の持つ磁性体粒子、増幅の目的とする核酸を含み、それぞれの核酸増幅反応に必要な物質を含む核酸増幅反応液からなる液滴を、磁場の変動により、実施する核酸増幅反応に必要な温度に液滴の温度が制御される地点に、必要な時間配置することにより、液滴内での核酸増幅反応が可能となる。
PCR法、LCR法、TAS法等は、互い離れた2種から3種の温度条件を必要とする温度サイクルを複数回繰り返す必要があるが、本発明では各種核酸増幅反応に必要な温度範囲を有する温度変化領域内で必要な温度に液滴の温度が制御される地点に、磁場の変動により液滴を移動、配置を繰り返すのみで増幅が可能となる。
また、SDA法、Qβ法、NASBA法、ICAN法、ICAT法、RCA法などは、37度から65度程度の範囲内にある1種の温度条件での等温増幅反応である。これらの等温増幅反応であっても、増幅対象によって至適温度が異なるため、増幅対象に応じた至適温度に液滴の温度が制御される地点に液滴を配置することによって、増幅効率を上げることができる。
〔実施の形態9〕
本実施の形態では、実施の形態8の変形例として、リアルタイムPCR検出法を行うことを目的とする。図8に装置及びリアルタイムPCR方法の工程を示す。
本実施の形態では実施の形態8の実験条件とほぼ同じであるが、PCR反応液に遺伝子増幅産物をリアルタイムで蛍光検出するため、蛍光色素SYBR(登録商標) Green I(モレキュラープローブ社)を原液の20,000分の1濃度で添加した。また、非特異的反応を防ぐため、鋳型DNA(ヒト標準ゲノムDNA精製品)と、耐熱性DNAポリメラーゼを除いたPCR反応液を混合し、95℃温調後に耐熱性DNAポリメラーゼの入った液を混合するホットスタート方式をとった。また、液滴封入媒体としてシリコーンオイルの代わりに30℃付近に融点を持つパラフィンを用い、反応に必要な試薬(耐熱性DNAポリメラーゼを除くPCR反応液、耐熱性DNAポリメラーゼ)を先に反応基板にセットするため、反応基板を40℃の環境下、パラフィンが液体であるところに各試薬液を滴下して各試薬液滴として任意の地点に配置し、一旦パラフィンが載った基板を冷蔵庫内で凝固させた状態から実験を開始した。また、本装置では、磁場印加手段としては、2次元の電磁石アレイを用いた磁場印加手段を使用している。
図8(1)では固化したパラフィン層81内に耐熱性DNAポリメラーゼを除くPCR反応液からなる液滴82および耐熱性DNAポリメラーゼを含む液滴83がパラフィン封入された状態となっている。そして、鋳型DNAを含む試料液滴84を置いた状態を示している。この状態では試料液滴84は固化したパラフィン層の上にあって基板85表面まで沈降していない。なお、基板85表面に示す、88aから88dに示すようなスポット群は、電磁石アレイを構成する電磁石の位置を示す。
図8(2)で反応基板85を40℃の環境下に置くことで、パラフィン81は液化して試料液滴84は基板表面まで沈降する。磁力で耐熱性DNAポリメラーゼを除くPCR反応液からなる液滴82と融合させる。
図8(3)の工程に移り、反応基板85上に、図示しない外部加熱源により、PCRに必要な温度範囲を有する温度変化領域87を形成する。具体的には、鋳型核酸の変性温度(例えば95℃)に液滴が加温される地点87a、鋳型核酸の伸長反応温度(例えば、72℃)に液滴が加温される地点87b、鋳型核酸へのプライマーのアニーリング温度(例えば、50℃)に液滴が加温される地点87cから成る。
まず先の試料液滴84とPCR反応液からなる液滴82が融合した液滴89を、地点87aにおいて95℃まで加温し、試料中の鋳型DNAを変性させ1本鎖状態にする。ここに待機していた耐熱性DNAポリメラーゼを含む液滴83を移動させ、所謂、ホットスタートPCRを成立させる。なお、耐熱性DNAポリメラーゼを含む液滴を融合させるタイミングは、実際に酵素活性が働く図8(6)の伸長反応工程でもよい。
図8(3)から(4)の工程を経て変性された鋳型DNAは図8(5)のアニーリング工程に移る。基板地点87aから地点87cまでの12mmを液滴が移動に要する時間は本実施例条件下では約2秒であった。次に図8(6)の工程でポリメラーゼ反応の至適温度である72℃の温度地点87bに液滴を配置して、伸長反応を行い、PCR反応の1サイクルを終了する。そして、図8(4)の工程で示す87aの地点まで液滴を戻し、熱変性工程からの次のサイクルが始まる。この工程は25から40サイクル繰り返し遺伝子増幅を行うが、図8(6)の基板上の位置で各サイクル毎に、SYBR Green Iからの蛍光シグナルを蛍光検出器86でモニタすることによって、リアルタイムに遺伝子増幅シグナルを観察することができる。
さらにPCR反応終了後、蛍光検出位置で液滴を捕捉し、段階的に温度を変化させることによる蛍光シグナルの変化を観察することで増幅されたDNAの融解曲線のデータを取得することもできる。これら機能は、現在市販されているリアルタイムPCR装置の一般的な機能であるが、本発明により極めて小型かつシンプルな機構の遺伝子解析装置の設計が可能となった。
[実施の形態10]
本発明に用いる親水性表面を持つ磁性体粒子、特に、表面にシリカを有する磁性体粒子に、核酸が選択的に吸着することを利用して、同一の反応容器内又は反応基板表面にて、核酸を含む試料からの核酸の抽出、さらには、精製を行うことが可能である。また、抽出後、又は、抽出及び精製後の核酸を、同一反応容器内又は反応基板表面において、更なる化学反応、例えば、実施の形態8及び9で説明を行った核酸増幅反応に供することが可能である。つまり、同一反応容器内又は反応基板表面に、核酸を含む試料からの核酸抽出を行うための核酸抽出用液からなる液滴、必要に応じて、核酸が吸着した磁性体粒子の洗浄用液からなる液滴、磁性体粒子に吸着した核酸の遊離を行う遊離用液からなる液滴を配置する。各液滴間の核酸の移動は、磁性体粒子を移動媒体として、磁場の変動による磁性体粒子を含む液滴の移動を利用する。その結果、各液滴内における反応(試料からの核酸の抽出、精製等)を実施することができる。
ここで、核酸を含む試料からの磁性体粒子を用いた核酸の抽出、精製方法に関しては、特開平2−289596号公報を参考にすることができる。
核酸を含む試料(以下、核酸含有試料という場合がある)としては、核酸を含む試料であれば特に限定されず、動植物組織、体液、排泄物等の生体由来試料、細胞、原虫、真菌、細菌、ウィルス等の核酸包含体を挙げることができる。体液には血液、髄液、唾液、乳が含まれ、排泄物には糞便、尿、汗が含まれ、これらの組合せでもよい。細胞には血液中の白血球、血小板が含まれ、これらの組合せでもよい。
核酸を含む試料からの核酸の抽出を行うための核酸抽出用液としては、カオトロピック物質、EDTA、トリス塩酸などを含有する緩衝液が挙げられる。カオトロピック物質としては、グアニジン塩酸塩、グアニジンイソチアン酸塩、ヨウ化カリウム、尿素などが挙げられる。
核酸の吸着に用いる磁性体粒子としては、核酸が選択的に吸着できる表面を有するものであればよく、磁性体粒子表面にシリカを有するもの以外に、陰イオン交換樹脂を有する磁性体粒子でもよい。
核酸が吸着した磁性体粒子の洗浄を行う洗浄用液としては、核酸が磁性体粒子表面に吸着したまま、蛋白質、糖質など核酸含有試料に含まれる他の画分や、核酸抽出用液に含まれる試薬成分を融解できる溶液であればよく、具体例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸アンモニウム等の高塩濃度水溶液、エタノール、イソプロパノール等のアルコール水溶液を使用することができる。
磁性体粒子に吸着した核酸の遊離を行う遊離用液としては、水又は低濃度の塩を含む緩衝液を用いることができる。具体的には、具体的には、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、蒸留水などを用いることができる。
図9(1)から(10)に、磁性シリカビーズを用いた、血液試料からの核酸の抽出、精製を行った実施例を、基板表面側上方から観察した結果を示す。
テフロン製の反応基板表面に、ジメチルシリコーンオイル(実施の形態8で使用したもの)の層を形成し、当該ジメチルシリコーンオイル層中に核酸抽出用液からなる液滴、磁性体粒子の洗浄用液からなる液滴、PCR反応液からなる液滴を用意した。反応基板下方に永久磁石を用意し、図中の矢印の方向に移動することによって液滴に磁場の変動を与え、以下説明を行う磁性体粒子を含む液滴の移動や液滴本体からの磁性体粒子を含む小液滴の分離を行った。
核酸抽出用液から成る液滴91(5μL)は、2Mグアニジンイソシアネート水溶液からなり、100mg(dry)/mlの磁性シリカビーズ(実施の形態1で調整したもの)を含む(図9(1))。血液試料(0.3μL)の液滴92を別途用意し、磁場の変動により核酸抽出用液からなる液滴91と、血液試料液滴92を融合して液滴93とし(図(2))、液滴93内で、核酸の磁性シリカビーズへの吸着を行い核酸の抽出を行った。その後、核酸が吸着した磁性体粒子の洗浄用液(10mMトリス−塩酸緩衝液,pH8.0)からなる液滴94(50μL)に液滴93を融合し、当該液滴内で核酸が吸着した磁性シリカビーズの洗浄を行い、核酸の精製を行った(図9(4))。
磁性シリカビーズを洗浄後、洗浄用液からなる第1の液滴94から磁性シリカビーズを含む小液滴96を分離し(図9(5)、(6))、洗浄用液(組成は、液滴94と同じ。)からなる第2の液滴95(50μL)に融合し、磁性シリカビーズの洗浄を繰り返した(図9(7))。洗浄用液からなる液滴からの磁性シリカビーズを含む小液滴の分離の際の、反応基板下方に設置した磁石の移動は次の様に行った。洗浄用液からなる液滴に拡散した磁性シリカビーズを液滴内で集めるように磁石を液滴に近づける。磁性シリカビーズが液滴内で集まった後、磁性シリカビーズの集合体を液滴の界面に寄せ、磁石の移動速度を上げることで、磁性シリカビーズの集合体を若干の周囲の洗浄液と共に分離した。
2回の洗浄工程を経た磁性シリカビーズを含む液滴97は、PCR反応液からなる液滴98と融合する。ここで、PCR反応液は、磁性体粒子に吸着した核酸の遊離液も兼ね、PCR反応液中に遊離する。その後、実施の形態8又は9で説明を行ったように、PCR反応液からなる液滴を反応基板の温度変化領域内で、PCRに必要な温度位置に移動、配置を行うことで増幅反応を実施することができる。
なお、核酸含有試料からの核酸の抽出、精製工程は、図9で示した工程に限定されない。
核酸の抽出後、核酸抽出用液からなる液滴から、核酸が吸着した磁性体粒子を含む小液滴を分離後、洗浄用液からなる液滴に融合してもよい。核酸が吸着した磁性体粒子の洗浄の回数は、後の工程である核酸増幅反応の際に、阻害が生じない程度に当業者が適宜選択することができる。また、核酸増幅反応の阻害が生じなければ、洗浄工程は省略することもできる。
本実施の形態に示すとおり、磁性体粒子を核酸の移動媒体として利用することで、核酸を含む試料の調製からも、同一反応容器又は反応基板表面において行うことができる。例えば、反応容器内又は反応基板表面に培養液からなる培養用液滴を形成し、培養用液滴に、任意の遺伝子がクローニングされたプラスミドを持つ大腸菌を植え付け、37℃の環境下でインキュベートし増殖させる。その後、核酸抽出用液となる溶菌液からなる液滴と融合させ、プラスミドDNAを磁性体粒子表面に吸着させる。このとき、磁性体粒子は、培養用液滴及び溶菌液からなる液滴のいずれか一方の液滴に含まれていればよい。
その後、次の解析工程、例えば塩基配列解読のためのサンガー反応用試薬の入った第3の液滴と合体させ、シーケンシング反応を実行させる。その結果、クローニングされた塩基配列解読のための電気泳動用試料を同一反応容器内又は反応基板表面で調製することができる。
本実施の形態においても、反応容器内又は反応基板表面に配置した少なくとも一の液滴は、実施の形態6で説明を行った、液滴封入媒体中に存在していることが好ましい。更には、当該液滴封入媒体は、実施する化学反応に必要な温度より低い温度に融点を持つ物質であることが好ましい。そうすることにより、本発明にかかる反応容器又は反応基板を、核酸含有試料からの核酸増幅反応を行うための可搬デバイスとして提供することができる。そのような可搬反応容器又は反応基板としては、具体的には、少なくとも、核酸抽出用液からなる液滴、及び、核酸増幅反応液からなる液滴が予め固体状態の液滴封入媒体中に封しされたものであり、必要に応じて、更に磁性体粒子の洗浄用液からなる液滴が封しされている。核酸増幅反応液からなる液滴としては、実施の形態9で説明を行ったように、ホットスタート方式を実施するために、耐熱性ポリメラーゼは別の液滴として用意されていてもよい。反応の実施の際には、反応容器内又は反応基板外部から、シリンジによる分注など任意の方法で、核酸含有試料を投入し、反応容器内又は反応基板表面にて核酸の抽出から核酸増幅を実施する。
(1)、(2)は、実施の形態1で説明する本発明の基本となる現象である、液滴の移動方法の一例を工程によって示した図である。 (1)、(2)は、実施の形態2で説明する、本発明における液体の分取方法の一例を工程によって示した図である。 (1)から(5)は、実施の形態3で説明する、本発明における2つの異なった液体の混合、攪拌の一例を工程によって示した図である。 (1)から(5)は、実施の形態4で説明する、本発明における液体の分取、希釈方法の一例を工程によって示した図である。 (1)から(3)は、実施の形態5で説明する、本発明における液滴の移動方法の他の一例を工程によって示した図である。 実施の形態5で説明する、本発明における液滴の移動方法の他の一例を示す図である。 実施の形態7で説明する、本実施例における液滴の温度調節を行うための装置の一例を示す図である。(1)は、外観斜視図、(2)はA-A'線での垂直断面図である。 実施の形態8で説明する、核酸増幅装置の他の一例を示す図である。(1)から(6)は、核酸増幅反応を工程によって示した図である。 (1)から(9)は、実施の形態9で説明する、核酸を含む試料からの磁性体粒子を用いた核酸の抽出、精製工程を示した図である。
符号の説明
1・・・反応基板, 2,5,7,8,9,12,13,14・・・液滴、3・・・永久磁石
51・・・電磁石アレイ
64・・・検出器
71・・・反応基板,74・・・液滴封入媒体,75・・・液滴,76・・・永久磁石,78・・・X軸ガイド,79・・・Z軸ガイド,711・・・反応基板支持材,712・・・フィルムヒーター,713・・・温度変化領域
81・・・液滴封入媒体,82,83,84,89・・・液滴,86・・・蛍光検出器

Claims (9)

  1. 反応容器内又は反応基板表面に存在する液滴の液中で化学反応を実施させる化学反応方法であって、
    親水性表面を持つ磁性体粒子を含む水溶液から形成される液滴に磁場の変動を与えることにより、前記磁性体粒子が周囲の水溶液に物理的な力を伝達して液滴を移動させて化学反応に必要な操作を行うことによる化学反応方法。
  2. 前記反応容器又は反応基板は、連続して温度が変化する温度変化領域を有し、磁場の変動によって前記液滴を前記温度変化領域内の少なくとも一の地点に移動して液滴の温度制御をすることにより化学反応を行う請求項1に記載の化学反応方法。
  3. 前記液滴は更に増幅の目的とする核酸を含み、
    前記温度変化領域は少なくとも核酸増幅に必要な温度を有し、
    前記液滴が、磁場の変動によって前記温度変化領域内の核酸増幅に必要な少なくとも一の温度に制御される地点に移動されて核酸増幅を行う、請求項2に記載の化学反応方法。
  4. 前記核酸は、前記反応容器内又は反応基板表面に存在する、核酸を含む試料からの核酸の抽出を行うための核酸抽出用液からなる液滴内で、
    核酸を含有する試料と親水性表面を持つ磁性体粒子を接触させることにより、当該磁性体粒子の表面に吸着した核酸である、請求項3に記載の化学反応方法。
  5. 前記磁性体粒子表面に吸着した核酸を、更に、前記反応容器内又は反応基板表面に存在する、磁性体粒子の洗浄用液からなる液滴内で洗浄を行う、請求項4に記載の化学反応方法。
  6. 前記液滴を形成する水溶液と混じり合わない液滴封入媒体が、反応容器に充填され又は反応基板表面に接していて、液滴封入媒体中に液滴が存在している請求項1から5のいずれかに記載の化学反応方法。
  7. 前記液滴封入媒体が、化学反応を実施する温度より低い温度に融点を持つ物質であって、化学反応の実施前は液滴封入媒体が固体状態にあり液滴を固定し、化学反応実施時は液滴封入媒体が液体状態にあり液滴を移動可能にする、請求項6に記載の化学反応方法。
  8. 親水性表面を持つ磁性体粒子を含む水溶液から形成される液滴が配置される反応容器又は反応基板と、
    前記液滴に対して磁場の変動を与えて液滴の移動を行い、化学反応に必要な操作を行う磁場印加手段とからなる化学反応装置。
  9. 前記反応容器又は反応基板は連続して変化する温度変化領域を有し、
    前記磁場印加手段は、前記液滴を前記変化領域内の少なくとも一の地点に移動して液滴の温度制御する、請求項8に記載の化学反応装置。
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