JP5953031B2 - クレーンの連動作動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、クレーンの複数の機能の連動作動を制御する連動作動制御装置に関する。
クレーンには、基本的な4つの動作として、ブーム伸縮、ブーム起伏、ブーム旋回およびウインチ巻回の各動作があり、これら動作にそれぞれ対応する操作選択スイッチを備える遠隔操作器あるいはその他の入力装置(以下、「操作器」という)によりクレーン動作の入力をする。
しかし、オペレータが複数の動作を適宜に組み合わせて所望のクレーン作業を行うには熟練を要する。そこで、例えば特許文献1には、フックを水平に移動させる機能を実行するに際し、ブーム伸長とウインチ巻下げ、あるいは、ブーム縮小とウインチ巻上げを適切な配分で作動させる方法が開示されている。
特公昭57−29394号公報 特開2003−165690号公報
しかしながら、クレーン作業中に、クレーンの複数の機能の連動作動として実行したい組み合わせは必ずしも一つに限られない。例えば、ブーム先端とフックとの距離を一定に保つように作動させる連動作動(以下、「フック平行移動」ともいう)や、フックの水平高さを保つように作動させる連動作動(以下、「フック水平移動」ともいう)を交互に行いたい場合などがある。この点に対し、特許文献1に記載の技術においては、所望する一つの連動作動を予め設定しておくにすぎない。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、予め所望する連動機能を一つに限定して設定することを不要とし、複数種類の所定の連動機能を有効にすることを可能として、クレーンの操作を効率的に行うことのできるクレーンの連動作動制御装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明は、クレーンのブーム伸縮、ブーム起伏、ブーム旋回およびウインチ巻回の各動作および非動作の3つの操作にそれぞれ対応する切換えスイッチを用いた4つの操作選択スイッチによりクレーン動作を無線で入力する遠隔操作器と、前記クレーンのブーム長、ブーム角、および吊上げワイヤの繰出し量をそれぞれ検出する各検出手段と、前記遠隔操作器の4つの操作選択スイッチからの前記3つの操作にそれぞれ対応する信号に基づいて、対応するクレーンのアクチュエータを駆動させるとともに、前記検出手段からの検出信号に基づいて、前記クレーンのブーム伸縮、ブーム起伏、およびウインチ巻回のうちの少なくとも2つの動作の連動機能を実行する制御部とを備えるクレーンに用いられる連動作動制御装置であって、前記制御部は、前記クレーンの主プログラムから呼び出されたサブルーチンとして処理を実行して、予め設定されている3つの連動機能のうちから、前記ブーム旋回動作を除く前記遠隔操作器の3つの操作選択スイッチの前記3つの操作にそれぞれ対応する入力状態に基づいて、そのときの入力状態にある3つの操作選択スイッチの順列または組合せに対応して選択される所定の連動機能を実行し、前記3つの操作選択スイッチのうち動作の操作入力が複数入力された場合には、前記所定の連動機能として、ブーム先端とフックとの距離を一定に保つように作動させるフック平行移動機能、フックの水平高さを保つように作動させるフック水平移動機能およびその両方の機能のうちの一つを実行するものであり、前記操作器の操作入力が全て非動作の場合、または操作入力が、ブーム伸長操作のみの場合、ブーム縮小操作のみの場合、ブーム倒伏操作のみの場合、若しくはブーム起立操作のみの場合には、フック平行移動機能およびフック水平移動機能の両方を無効に設定することを特徴とする。
ここで、本発明に係るクレーンの作動制御装置において、前記制御部はブーム伸長操作が入力されてからウインチ巻下げ操作が入力されたとき、またはブーム伸長操作が入力されずブーム縮小操作が入力されてからウインチ巻上げ操作が入力されたときには、フック平行移動機能に限って有効に設定することは好ましい。
また、前記制御部はウインチ巻下げ操作が入力されてからブーム伸長操作が入力されたとき、またはブーム伸長操作が入力されずウインチ巻上げ操作が入力されてからブーム縮小操作が入力されたときには、フック水平移動機能に限って有効に設定することは好ましい。
また、前記制御部はブーム倒伏操作、ブーム伸長操作およびウインチ巻下げ操作が入力されたとき、またはブーム倒伏操作は入力されておらず、ブーム起立操作、ブーム縮小操作およびウインチ巻上げ操作が入力されたときには、フック平行移動機能とフック水平移動機能の両方を有効に設定することは好ましい。
また、前記制御部はブーム倒伏操作およびブーム伸長操作が入力されウインチ巻下げ操作が入力されていないとき、またはブーム倒伏操作は入力されておらずブーム起立操作およびブーム縮小操作が入力され、ウインチ巻上げ操作が入力されていないときには、フック水平移動機能に限って有効に設定することは好ましい。
また、前記制御部はブーム倒伏操作は入力されブーム伸長操作が入力されないときにウインチ巻上げ操作が入力されたとき、またはブーム倒伏操作は入力されておらずブーム起立操作が入力され、ブーム縮小操作が入力されておらずウインチ巻下げ操作が入力されたときには、フック水平移動機能に限って有効に設定することは好ましい。
本発明によれば、制御部は、前記クレーンの主プログラムから呼び出されたサブルーチンとして処理を実行して、ブーム旋回動作を除く遠隔操作器の3つの操作選択スイッチの所定の順列または組合せの入力状態に基づいて、3つの操作選択スイッチのうち動作の操作入力が複数入力された場合には、予め設定されている3つの連動機能のうちから、対応する所定の連動機能を有効に設定するので、予め所望する連動機能を一つに限定して設定することが不要であり、3種類の所定の連動機能を有効にすることを可能として、クレーンの操作を効率的に行うことができる。そして、遠隔操作器の操作入力全て非動作の場合、または操作入力が単独動作のみの場合には、フック平行移動機能およびフック水平移動機能の両方を無効に設定することができる。
本発明に係るクレーンの一実施形態としての車両搭載型クレーンを説明する構成図である。 図1の車両搭載型クレーンの制御装置を説明する構成図である。 コントロールバルブの切換弁の説明図であり、同図は軸線方向に沿った断面を示している。 アクセルシリンダの説明図であり、同図は軸線方向に沿った断面を示している。 遠隔操作器の説明図であり、同図(a)は平面図、(b)は正面図である。 コントローラ(制御部)で実行されるクレーンの連動作動制御処理のフローチャートである。 本発明に係るクレーンの連動作動の動作を説明する図である。 本発明に係るクレーンの連動作動の動作を説明する図である。 本発明に係るクレーンの連動作動の動作を説明する図である。 本発明に係るクレーンの連動作動の動作を説明する図である。 本発明に係るクレーンの連動作動の動作を説明する図である。 本発明に係るクレーンの連動作動の動作を説明する図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1に示すように、この車両搭載型クレーン(以下、単に「クレーン」ともいう)1は、アウトリガ2を備えたベース4上にコラム6が旋回自在に設けられ、このコラム6の上端部に伸縮するブーム7が起伏自在に枢支されている。コラム6にはウインチ11が設けられており、このウインチ11からワイヤロープ12をブーム7の先端部7sに導いて、ブーム7の先端部7sの滑車(図示略)を介して吊荷用のフック13に掛回すことにより、フック13をブーム7の先端部7sから吊下している。
ここで、このクレーン1には、コラム6の旋回、ブーム7の起伏と伸縮、及びウインチ11の巻上巻下の作動を行うための複数のアクチュエータとして、旋回用油圧モータ5、ブーム起伏用油圧シリンダ9、ブーム伸縮用油圧シリンダ8、ウインチ用油圧モータ10、及びアウトリガ用油圧シリンダ3L、3Rを備えている。
そして、これらの旋回用油圧モータ5、ブーム起伏用油圧シリンダ9、ブーム伸縮用油圧シリンダ8、ウインチ用油圧モータ10、及びアウトリガ用油圧シリンダ3L、3Rは、図2に示すように、何れも車両のエンジン15のPTO16に連結して駆動される油圧ポンプ17からコントロールバルブ20を介して圧油を供給することにより作動するようになっている。なお、ポンプポートとタンクポートとの間には、メインリリーフ弁38と、アンロードが必要なときメインリリーフ弁38を開き、ポンプポートとタンクポートとを連通させるアンロード弁39とが設けられている。
ここで、上記コントロールバルブ20は、上記各アクチュエータをそれぞれ制御する複数の切換弁を連結して構成した多連結弁装置であり、図2に示すように、旋回用油圧モータ5、ブーム起伏用油圧シリンダ9、ブーム伸縮用油圧シリンダ8、及びウインチ用油圧モータ10の、各アクチュエータにそれぞれ対応する複数の切換弁31、32、33、34と、アウトリガ用油圧シリンダ3L、3Rの、各アクチュエータにそれぞれ対応する複数の切換弁28、29と、各アクチュエータを所望の速度で作動させるためのアクセルシリンダ50とを備えて構成されている。
詳しくは、図3に拡大図示するように、コントロールバルブ20の各切換弁31、32、33、34には、メインスプール36が内蔵されている。このメインスプール36は、左右のスプリング36sで通常は中立位置に保持されている。また、このメインスプール36の一端はリンク18rを介して操作レバー18に連結され、さらに、他端にはパイロットピストン37が連設されており、ピストンロッド22の先端には鉄芯23が設けられている。この鉄芯23は、中空円筒形の差動トランスを備えた位置検出器40内に挿入されている。そして、この位置検出器40は、各メインスプール36の変位を検出してその検出した変位の信号を、制御部であるコントローラ30にフィードバックするようになっている。
また、各切換弁31、32、33、34それぞれには、一対のソレノイド42L、42Rを有する比例ソレノイド(比例電磁式パイロット弁)41が設けられている。各比例ソレノイド41は、油圧ポンプ17から減圧弁35を介してパイロット圧油が供給されるポートEが常時閉、タンク14へ作動油を戻すポートFが常時開となっており、コントローラ30からソレノイド42L、42Rに制御電流が入力されるとパイロットスプール42sが摺動し、入力電流値によってポートEの開口量が制御される。これにより、パイロットピストン37の左右の油室37L、37Rへのパイロット圧油の供給が制御される。
そして、各切換弁31、32、33、34は、パイロットピストン37の油室37R、37Lのいずれか一方にパイロット圧油が供給されると、メインスプール36が左又は右に移動して、サービスポートA、BとポンプポートPとを連通させる。これにより、各切換弁31、32、33、34は、上述した、旋回用油圧モータ5、ブーム起伏用油圧シリンダ9、ブーム伸縮用油圧シリンダ8、ウインチ用油圧モータ10の各アクチュエータを作動させるようになっている。
ここで、旋回用油圧モータ5、ブーム起伏用油圧シリンダ9、ブーム伸縮用油圧シリンダ8、及びウインチ用油圧モータ10の各アクチュエータは、クレーン1の作業の内容に応じて互いに連動するようにコントローラ30で制御される。例えば、ブーム7の先端部7sとフック13との間の距離を常に一定に保ちながらブーム7を伸長させるフック平行移動を行う場合には、ブーム7の伸長作動に伴ってウインチ11の巻下作動も必要なので、ブーム伸縮用油圧シリンダ8と、ウインチ用油圧モータ10とが連動するようになっている。
なお、上記のアウトリガ用油圧シリンダ3L、3Rを駆動するための切換弁28、29についても位置検出器40を有し、各スプールの変位を検出してその検出した変位の信号をコントローラ30にフィードバックするようになっている。
一方、図4に拡大図示するように、アクセルシリンダ50にも比例ソレノイド(比例電磁式パイロット弁)51が設けられている。この比例ソレノイド51についても、パイロット圧油が供給されるポートEが常時閉、タンク14へ作動油を戻すポートFが常時開となっており、コントローラ30から制御電流が入力されるとパイロットスプール51sが摺動し、入力電流値によってポートEの開口量が制御される。これにより、メインスプール52の油室52sへのパイロット圧油の供給が制御される。
さらに、このアクセルシリンダ50にもそのメインスプール52の変位を検出して制御装置のコントローラ30にフィードバックするため位置検出器53が設けられている。そして、コントローラ30は、上記操作レバー18ないし、図2および図5に示す遠隔操作器70によるアクチュエータの選択と操作量等に基づいてアクセル操作量を求め、必要なアクセル制御信号をアクセルシリンダ50の比例ソレノイド51に出力し、アクセルシリンダ50を作動させるようになっている。また、アクセルシリンダ50の位置検出器53は、その検出値をコントローラ30にフィードバックし、コントローラ30は過不足が有れば必要な補正を行う。なお、油圧ポンプ17からの圧油の吐出量は、アクセル操作によってエンジン15の回転速度を上げるほど多くなる。
さらに、図2に示すように、このクレーン1は、上記ブーム7の長さを検出するブーム長検出器61、ブーム7の起伏角度を検出するブーム角度検出器62、コラム6の旋回角度を検出する旋回角度検出器63、ウインチ11からのワイヤロープ12の繰り出し、および繰り込み量を検出するウインチドラム回転検出器64、並びに、荷吊による荷重を検出する荷重検出器65を備えている。そして、各検出器からの信号は、クレーンのコントローラ30に読み込まれ、コントローラ30は、上記各検出器からの信号により、ブーム7の先端部7sの位置とフック13の位置、および吊荷の重さを認識できるようになっている。なお、ワイヤロープ12の繰り出し、繰り込み量を検出する方法は種々考えられるが、本実施形態の例では、ウインチドラムの回転を検出して、繰り出しおよび繰り込み量を計算する方法を採用した。
つまり、このクレーン1は、ブーム長検出器61でブーム7の長さを検出することができるので、コントローラ30側ではブーム長さがわかり、同様に、ブーム角度検出器62でブーム7の起伏角度を検出することができるので、ブームの起伏角度がわかる。また、ウインチドラム回転検出器64でウインチ11からのワイヤロープ12の繰り出し、繰り込み量を検出することができるので、ブーム7の先端とフック13間の距離がわかり、旋回角度検出器63でコラム6の旋回角度を検出することができるので、ブーム7の旋回角度がわかる。さらに、荷重検出器65で吊荷の重さを検出することができるので、吊下された吊荷の重さがわかる。なお、厳密には、ブーム7の長さが変化すると先端部7sとフック13間の距離が変わってしまうため、ウインチドラム回転検出器64単独ではブーム7の先端部7sとフック13間の距離を検出することはできないが、ブーム長検出器61とブーム角度検出器62によってブーム長さとブーム角度の変化を同時に検出し、距離の変動分を補正することでブーム7の先端部7sとフック13間の距離を検出することが可能となっている。
また、上記遠隔操作器70は、図5に示すように、クレーン1の各アクチュエータを動作させるための、ブーム起伏選択スイッチ71、フック巻上巻下選択スイッチ72、ブーム伸縮選択スイッチ73、および左右旋回選択スイッチ74の4つの選択スイッチと、クレーン1の作動速度を制御するための速度レバー75を有している。
詳しくは、この遠隔操作器70は、選択スイッチ71、72、73、74としてトグル型のタクトスイッチを用いている。このタクトスイッチは、ON/OFFの切換えスイッチであり、遠隔操作器70で行うクレーン作業は、まず、作動対象のアクチュエータに対応する選択スイッチ71、72、73、74を用いて作動方向を選択する。この際、選択スイッチ71、72、73、74で複数のアクチュエータの選択および作動方向を決定して操作する。
そして、この遠隔操作器70からは、通常のクレーン作業時には、オペレータによる各選択スイッチ操作71、72、73、74および速度レバー75の操作により、クレーン1の各アクチュエータを作動させる実行指令となる所定の操作データが、図2に示す、クレーン1の制御装置の受信機19に送信される。受信機19は、遠隔操作器70との間で、クレーン作業に必要な操作データをはじめとする必要なデータを無線通信で授受するようになっている。そのため、コントローラ30側では、遠隔操作器70のON/OFFの信号により、使用されるアクチュエータの選択と作動方向が判る。そして、比例制御が可能なトリガースイッチである速度レバー75により作動速度の微調整を行うことで、速度レバー75での操作を選択スイッチ71、72、73、74の操作と組合わせて、所望のアクチュエータの作動を開始させるようになっている。つまり、4つの選択スイッチ71、72、73、74のうち複数を選択すると複数のアクチュエータが連動して作動するようになる。以下、この連動作動の制御について詳しく説明する。
次に、上記コントローラ30についてより詳しく説明する。
このコントローラ30は、以下いずれも図示しない、所定の制御プログラムに基づいて、演算およびこの車両搭載型クレーン1のシステム全体を制御するCPUと、所定領域に予めCPUの制御プログラム等を格納しているROMと、ROM等から読み出したデータやCPUの演算過程で必要な演算結果を格納するためのRAMと、クレーン1の遠隔操作器70等を含めた外部装置に対してデータの入出力を媒介するI/F(インターフェイス)とを有して構成されている。これらは、データを転送するための信号線であるバスで相互にかつデータ授受可能に接続されている。そして、遠隔操作器70またはクレーン1本体の手動レバー18(「操作器」に対応する)からは、クレーン1の各アクチュエータを作動させる実行指令となる所定の操作信号が、オペレータによるスイッチ操作またはレバー操作により入力されるようになっている。
次に、このコントローラ30で実行されるクレーンの連動作動制御処理について図6〜図12を適宜参照しつつ説明する。
このクレーンの連動作動制御処理は、クレーン1の主プログラムに対するタイマ割り込み処理であって、コントローラ30で実行されると、図6および図7に示すように、ステップS11にタイマ割り込みで移行し、また、ステップS41にタイマ割り込みで移行する。順に説明すれば、図6に示すように、ステップS11に移行したときには、ブーム伸長操作の入力の有無を確認し、ブーム伸長操作の入力がされていれば(YES)ステップS21に移行し、そうでなければ(NO)ステップS12に移行する。ステップS21では、ウインチ巻下げ操作の入力の有無を確認し、ウインチ巻下げ操作の入力がされていれば(YES)ステップS31に移行し、そうでなければ(NO)ステップS13に移行する。ステップS31では、ウインチ巻下げ操作の入力よりも先にブーム伸長操作の入力がされていたか否かを判断し、先にブーム伸長操作の入力がされていれば(YES)ステップS61に移行し、そうでなければ(NO)ステップS63に移行する。
上記ステップS12では、ブーム縮小操作の入力の有無を確認し、ブーム縮小操作の入力がされていれば(YES)ステップS22に移行し、そうでなければ(NO)ステップS13に移行する。ステップS22では、ウインチ巻上げ操作の入力の有無を確認し、ウインチ巻上げ操作の入力がされていれば(YES)ステップS32に移行し、そうでなければ(NO)ステップS13に移行する。ステップS32では、ウインチ巻下げ操作の入力よりも先にブーム縮小操作の入力がされていたか否かを判断し、先にブーム縮小操作の入力がされていれば(YES)ステップS62に移行し、そうでなければ(NO)ステップS64に移行する。
そして、上記ステップS13では、フック平行移動機能およびフック水平移動機能の両方の機能を無効に設定して処理をステップS11(クレーン1の主プログラム、以下同様)に戻す。また、ステップS61およびS62では、フック平行移動機能を有効にし且つフック水平移動機能を無効に設定(図8の(1)および(2)参照)して処理をステップS11に戻す。また、ステップS63およびS64では、フック平行移動機能を無効にし且つフック水平移動機能を有効に設定(図9の(3)および(4)参照)して処理をステップS11に戻す。
一方、図7に示すように、ステップS41に移行したときには、ブーム倒伏操作の入力の有無を確認し、ブーム倒伏操作の入力がされていれば(YES)ステップS51に移行し、そうでなければ(NO)ステップS42に移行する。ステップS42では、ブーム起立操作の入力の有無を確認し、ブーム起立操作の入力がされていれば(YES)ステップS52に移行し、そうでなければ(NO)ステップS13に移行する。
ステップS51では、ブーム伸長操作の入力の有無を確認し、ブーム伸長操作の入力がされていれば(YES)ステップS53に移行し、そうでなければ(NO)ステップS54に移行する。ステップS53では、ウインチ巻下げ操作の入力の有無を確認し、ウインチ巻下げ操作の入力がされていれば(YES)ステップS65に移行し、そうでなければ(NO)ステップS67に移行する。また、上記ステップS54では、ウインチ巻上げ操作の入力の有無を確認し、ウインチ巻上げ操作の入力がされていれば(YES)ステップS69に移行し、そうでなければ(NO)ステップS13に移行する。
一方、上記ステップS52では、ブーム縮小操作の入力の有無を確認し、ブーム縮小操作の入力がされていれば(YES)ステップS55に移行し、そうでなければ(NO)ステップS56に移行する。ステップS55では、ウインチ巻上げ操作の入力の有無を確認し、ウインチ巻上げ操作の入力がされていれば(YES)ステップS66に移行し、そうでなければ(NO)ステップS68に移行する。また、上記ステップS56では、ウインチ巻下げ操作の入力の有無を確認し、ウインチ巻下げ操作の入力がされていれば(YES)ステップS70に移行し、そうでなければ(NO)ステップS13に移行する。
そして、上記ステップS65およびS66では、フック平行移動機能およびフック水平移動機能の両機能を有効に設定(図12の(9)および(10)参照)して処理をステップS11に戻す。また、ステップS67およびS68では、フック平行移動機能を無効にし且つフック水平移動機能を有効に設定(図11の(7)および(8)参照)して処理をステップS11に戻す。また、ステップS69およびS70では、フック水平移動機能を無効にし且つフック平行移動機能を有効に設定(図10の(5)および(6)参照)して処理をステップS11に戻す。
ここで、上記フック平行移動機能を実行するに際し、ブーム伸縮に連動してフック13を平行移動させる手段としては、ブーム伸長とウインチ巻下げ、あるいは、ブーム縮小とウインチ巻上げを適切な配分で作動させる方法がある。この適切な配分とは、予め決めておいた所定の配分量に従ってもよいし(例えば特許文献1参照)、各作動の作動量を検出して、所望する作動となるように演算して求めてもよい(例えば特許文献2参照)。また、上記フック水平移動機能を実行するに際しても、ブーム伸縮と連動してフック13を水平移動させる手段として、ブーム伸長とウインチ巻下げ、あるいはブーム縮小とウインチ巻上げとを適切な配分で作動させたり、更にブーム起伏作動も交え、ブーム伸長、ウインチ巻下げ、ブーム倒伏、あるいは、ブーム縮小、ウインチ巻上げ、ブーム起立を適切な配分で作動させたりする方法等がある。このとき、前述と同様に、適切な配分とは、予め決めておいた所定の配分量に従ってもよいし、各作動の作動量を検出して、所望する作動量となるように演算によって求めてもよい。
また、フック平行移動機能とフック水平移動機能の両方を有効にするということは、ブーム先端7sとフック13との距離を一定に保ちながら、フック13の水平高さを保つように制御するということである。すなわち、フック13とともにブーム先端7sの水平高さも保つように制御する。具体的には、ブーム伸長、ウインチ巻下げ、およびブーム倒伏、あるいは、ブーム縮小、ウインチ巻上げ、およびブーム起立を、それぞれ適切な配分で作動させることで実現することができる。
次に、このクレーンの連動作動制御装置の動作および作用・効果について説明する。
上述したように、このクレーン1のコントローラ30は、遠隔操作器70(または操作レバー18)からいずれか2つ以上のクレーン動作の操作入力がされたときに、その入力状態に基づいて、その入力された操作選択スイッチの順列または組合せに対応して予め設定されている所定の連動機能を実行する(図7〜図12)。
詳しくは、遠隔操作器70(または操作レバー18)の操作入力が無いとき、または、遠隔操作器70(または操作レバー18)の操作入力が、ブーム伸長操作のみの場合(図6でのステップS11〜S21の「No」)、若しくはブーム縮小操作のみの場合(図6でのステップS11〜S12〜S22の「No」)、ブーム倒伏操作のみの場合(図7でのステップS41〜S51〜S54の「No」)、ブーム起立操作のみの場合(図7でのステップS41〜S42〜S52〜S56の「No」)には、フック平行移動機能およびフック水平移動機能の両方を無効に設定する。
そして、遠隔操作器70(または操作レバー18)の操作入力が、複数入力された場合において、ブーム伸長操作が入力されてからウインチ巻下げ操作が入力されたとき(図6でのステップS11〜S21〜S31の「Yes」)、またはブーム伸長操作が入力されず、ブーム縮小操作が入力されてからウインチ巻上げ操作が入力されたとき(図6でのステップS11〜S12〜S22〜S32の「Yes」)には、フック平行移動機能に限って有効になり(図6でのステップS61またはS62)、図8に示すように、フック13がブーム7と平行移動するように作動する。つまり、このときは、コントローラ30が、遠隔操作器70(または操作レバー18)でのブーム伸縮操作が行なわれたときに、ブーム先端7sとフック13との距離を一定に保つように作動させるフック平行移動機能のみを有効にする。
また、遠隔操作器70(または操作レバー18)の操作入力が、複数入力された場合において、ウインチ巻下げ操作が入力されてからブーム伸長操作が入力されたとき(図6でのステップS11〜S21〜S31の「No」)、またはブーム伸長操作が入力されず、ウインチ巻上げ操作が入力されてからブーム縮小操作が入力されたとき(図6でのステップS11〜S12〜S22〜S32の「No」)には、フック水平移動機能に限って有効になり(図6でのステップS63またはS64)、図9に示すように、フック13が水平移動するように作動する。
また、遠隔操作器70(または操作レバー18)の操作入力が、複数入力された場合において、ブーム倒伏操作、ブーム伸長操作およびウインチ巻下げ操作が入力されたとき(図7でのステップS41〜S51〜S53の「Yes」)、またはブーム倒伏操作は入力されておらず、ブーム起立操作、ブーム縮小操作およびウインチ巻上げ操作が入力されたとき(図7でのステップS41〜S42〜S52〜S55の「Yes」)には、フック平行移動機能とフック水平移動機能の両方が有効に設定されて(図7でのステップS65またはS66)、図12に示すように、フック13がブーム7の先端部7sと平行移動しつつ水平移動する。
また、遠隔操作器70(または操作レバー18)の操作入力が、複数入力された場合において、ブーム倒伏操作およびブーム伸長操作が入力され、ウインチ巻下げ操作が入力されていないとき(図7でのステップS41〜S51〜S53の「No」)、またはブーム倒伏操作は入力されておらず、ブーム起立操作およびブーム縮小操作が入力され、ウインチ巻上げ操作が入力されていないとき(図7でのステップS41〜S42〜S52〜S55の「No」)には、フック水平移動機能に限って有効になり(図7でのステップS67またはS68)、図11に示すように、フック13が水平移動するように作動する。
さらに、遠隔操作器70(または操作レバー18)の操作入力が、複数入力された場合において、ブーム倒伏操作は入力されブーム伸長操作が入力されないときに、ウインチ巻上げ操作が入力されたとき(図7でのステップS41〜S51〜S54の「Yes」)、またはブーム倒伏操作は入力されておらず、ブーム起立操作が入力され、ブーム縮小操作が入力されておらず、ウインチ巻下げ操作が入力されたとき(図7でのステップS41〜S42〜S52〜S56の「Yes」)には、フック水平移動機能に限って有効になり(図7でのステップS69またはS70)、図10に示すように、フック13が水平移動するように作動する。
これにより、このクレーン1によれば、コントローラ30は、遠隔操作器70(または操作レバー18)の複数の操作選択スイッチの所定の順列または組合せの入力に基づいて、対応する所定の連動機能を有効に設定するので、予め所望する連動機能を一つに限定して設定することが不要であり、オペレータは、複数種類の所定の連動機能を有効にすることを可能として、クレーンの操作を効率的に行うことができる。
なお、本発明に係るクレーンの作動制御装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、フック平行移動機能、フック水平移動機能およびその両方の機能を切り換える例を説明したが、これに限定されず、上記実施形態で説明した操作入力は一例であり、操作入力の条件、およびその入力された条件に対応して有効にする所定の連動機能は、クレーンの基本的な4つの動作である、ブーム伸縮、ブーム起伏、ブーム旋回およびウインチ巻回の各動作の範囲で自由に組み合わせることができる。
1 車両搭載型クレーン(クレーン)
2 アウトリガ
3L、3R アウトリガ用油圧シリンダ
4 ベース
5 旋回用油圧モータ
6 コラム
7 ブーム
8 ブーム伸縮用油圧シリンダ
9 ブーム起伏用油圧シリンダ
10 ウインチ用油圧モータ
11 ウインチ
12 ワイヤロープ
13 フック
14 タンク
15 エンジン
16 PTO
17 油圧ポンプ
18 操作レバー(操作器の操作選択スイッチ)
19 受信機
20 コントロールバルブ
30 コントローラ(制御部)
31、32、33、34 切換弁
35 減圧弁
36 メインスプール
37 パイロットピストン
40 位置検出器
41 比例ソレノイド
50 アクセルシリンダ
51 比例ソレノイド
52 メインスプール
53 位置検出器
61 ブーム長検出器
62 ブーム角度検出器
63 旋回角度検出器
64 ウインチドラム回転検出器
65 荷重検出器
70 遠隔操作器(操作器)

Claims (6)

  1. クレーンのブーム伸縮、ブーム起伏、ブーム旋回およびウインチ巻回の各動作および非動作の3つの操作にそれぞれ対応する切換えスイッチを用いた4つの操作選択スイッチによりクレーン動作を無線で入力する遠隔操作器と、前記クレーンのブーム長、ブーム角、および吊上げワイヤの繰出し量をそれぞれ検出する各検出手段と、前記遠隔操作器の4つの操作選択スイッチからの前記3つの操作にそれぞれ対応する信号に基づいて、対応するクレーンのアクチュエータを駆動させるとともに、前記検出手段からの検出信号に基づいて、前記クレーンのブーム伸縮、ブーム起伏、およびウインチ巻回のうちの少なくとも2つの動作の連動機能を実行する制御部とを備えるクレーンに用いられる連動作動制御装置であって、
    前記制御部は、前記クレーンの主プログラムから呼び出されたサブルーチンとして処理を実行して、予め設定されている3つの連動機能のうちから、前記ブーム旋回動作を除く前記遠隔操作器の3つの操作選択スイッチの前記3つの操作にそれぞれ対応する入力状態に基づいて、そのときの入力状態にある3つの操作選択スイッチの順列または組合せに対応して選択される所定の連動機能を実行し、
    前記3つの操作選択スイッチのうち動作の操作入力が複数入力された場合には、前記所定の連動機能として、ブーム先端とフックとの距離を一定に保つように作動させるフック平行移動機能、フックの水平高さを保つように作動させるフック水平移動機能およびその両方の機能のうちの一つを実行するものであり、
    前記遠隔操作器の操作入力が全て非動作の場合、または操作入力が、ブーム伸長操作のみの場合、ブーム縮小操作のみの場合、ブーム倒伏操作のみの場合、若しくはブーム起立操作のみの場合には、フック平行移動機能およびフック水平移動機能の両方を無効に設定することを特徴とするクレーンの連動作動制御装置。
  2. 前記制御部はブーム伸長操作が入力されてからウインチ巻下げ操作が入力されたとき、またはブーム伸長操作が入力されずブーム縮小操作が入力されてからウインチ巻上げ操作が入力されたときには、フック平行移動機能に限って有効に設定することを特徴とする請求項1に記載のクレーンの連動作動制御装置。
  3. 前記制御部はウインチ巻下げ操作が入力されてからブーム伸長操作が入力されたとき、またはブーム伸長操作が入力されずウインチ巻上げ操作が入力されてからブーム縮小操作が入力されたときには、フック水平移動機能に限って有効に設定することを特徴とする請求項1または2に記載のクレーンの連動作動制御装置。
  4. 前記制御部はブーム倒伏操作、ブーム伸長操作およびウインチ巻下げ操作が入力されたとき、またはブーム倒伏操作は入力されておらず、ブーム起立操作、ブーム縮小操作およびウインチ巻上げ操作が入力されたときには、フック平行移動機能とフック水平移動機能の両方を有効に設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のクレーンの連動作動制御装置。
  5. 前記制御部はブーム倒伏操作およびブーム伸長操作が入力されウインチ巻下げ操作が入力されていないとき、またはブーム倒伏操作は入力されておらずブーム起立操作およびブーム縮小操作が入力され、ウインチ巻上げ操作が入力されていないときには、フック水平移動機能に限って有効に設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のクレーンの連動作動制御装置。
  6. 前記制御部はブーム倒伏操作は入力されブーム伸長操作が入力されないときにウインチ巻上げ操作が入力されたとき、またはブーム倒伏操作は入力されておらずブーム起立操作が入力され、ブーム縮小操作が入力されておらずウインチ巻下げ操作が入力されたときには、フック水平移動機能に限って有効に設定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のクレーンの連動作動制御装置。
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