JP5952678B2 - 電動モータ - Google Patents
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このように多重シール構造の電動モータに、内部圧力をかけて気密テストを行おうとすると、最外部に設けられているシール部の箇所の気密テストを正確に行うことが困難であるという課題がある。
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、電動モータの縦断面図、図2は、電動モータをブラケット側からみた正面図である。
図1、図2に示すように、電動モータ1は、ディファレンシャル装置80に設けられ、このディファレンシャル装置80内のオイルに与圧を付与するために設けられたオイルポンプ81を駆動するためのものである。電動モータ1は、有底円筒形状のヨーク2と、このヨーク2内に回転自在に支持されているアーマチュア3と、ヨーク2の開口部2a側端に配置されたブラシホルダ17と、ヨーク2の開口部2aをブラシホルダ17の外側から覆うように設けられたブラケット18とを有している。
図3は、ブラシホルダの斜視図である。
図1、図3に示すように、ブラシホルダ17は、略円板状に形成されたホルダ本体42と、ホルダ本体42の一側に一体成形されたコネクタ部43とを有している。
ホルダ本体42の外径は、ヨーク2の開口部2aの内径よりもやや大きく設定されている。ホルダ本体42のヨーク2側の端面42bのうち、外周面42a寄りの部位は、ヨーク2の外フランジ部22に当接した状態になっている。
そして、ホルダ本体42は、外周面42a寄りの端面42bがヨーク2の外フランジ部22に当接し、ヨーク側インロー部47の外周面47aがヨーク2の筒部2bの内周面に当接した状態になる。
この通気溝48が形成されることにより、ヨーク2の開口部2aにブラシホルダ17を載置した状態であっても、ヨーク側インロー部47の内周面47b側とホルダ本体42の外周面42aとが連通される。
ホルダ本体42の端面42bには、挿入孔44を挟んで両側に、ブラシ41を収納可能な一対のブラシボックス45,45が対向配置されている。ブラシボックス45は、ホルダ本体42から立ち上がり、ホルダ本体42の径方向に沿って延在する一対の側壁45a,45aと、これら側壁45a,45aのホルダ本体42とは反対側の側縁間に跨る上壁45bとが一体成形されたものである。
また、ホルダ本体42の端面42bには、ブラシボックス45のコネクタ部43とは反対側に、それぞれ支柱54が立設されている。これら支柱54には、それぞれねじりコイルばね55が挿入されている。ねじりコイルばね55の一端は、ブラシ41の基端側を押圧するように当接している。これにより、ブラシ41には、常に径方向内側に向かって押圧力が付勢するので、コンミテータ13のセグメント14に、ブラシ41の先端が確実に摺接する。
コネクタ部43は、ホルダ本体42の一側から径方向外側に向かって延出するベース部52と、ベース部52の先端から軸方向ヨーク2側に向かって、つまり、ホルダ本体42のヨーク側インロー部47の立設方向と同じ方向に向かって屈曲延出する受部53とを有し、これら受部53の内部とベース部52の内部とに端子51が敷設されている。
図4は、ブラシホルダ、及びブラケットの分解斜視図、図5は、シール部の斜視図、図6は、ブラシホルダの通気溝が形成されている箇所に対応する箇所の断面図、図7は、ブラシホルダのコネクタ部に対応する箇所の断面図である。
図4〜図7に示すように、ブラシホルダ17には、ゴム材からなるシール部30が設けられている。シール部30は、ブラシホルダ17におけるホルダ本体42の外周面42a寄りの端面42bに取り付けられる第1シール本体31と、ブラシホルダ17におけるコネクタ部43のベース部52に取り付けられる第2シール本体32とが一体成形されたものである。
そして、ホルダ本体パッキン33の外周部には、ホルダ本体Oリング34が一体成形されている。ホルダ本体Oリング34は、ヨーク2の外フランジ部22と、後述するブラケット18の開口部61aの周縁部64との間に挟持されてシール性を確保するためのものである。
図1、図2、図4〜図7に示すように、ブラケット18は、ブラシホルダ17を外側から覆うように略お椀状に形成されたものであって、ブラシホルダ17を収納するブラシホルダ収納部61と、ブラシホルダ収納部61よりも底部18a側に、段差により縮径形成されているパッキン配置部62と、パッキン配置部62よりも底部18a側に、段差により縮径形成されているブラシホルダ内嵌部63とを有している。
また、ブラシホルダ内嵌部63には、径方向中央に軸受ハウジング72が一体成形されている。この軸受ハウジング72には、回転軸5の他端(図1、図6、図7における下端)側を回転可能に支持するための軸受73が保持されている。
回転軸5の他端は、軸受73、及びオイルシール75を介してディファレンシャル装置80側に向かって延出している。そして、回転軸5の他端には、ジョイント部材83を介してオイルポンプ81の駆動軸84が連結されている。
このため、ブラシホルダ17のコネクタ部43がブラケット18を介して外部に露出するような構造であっても、電動モータ1内の気密性が確実に確保され、電動モータ1内へのオイルや塵埃の侵入が確実に防止できる。
次に、図8に基づいて、シール部30の気密テスト方法について説明する。
図8は、シール部の気密テスト方法の説明図である。
図1〜図4、図8に示すように、シール部30の気密テストを行うにあたって、まず、ブリーザパイプ90に不図示の圧縮機を接続し、空気を送り込む。すると、ブリーザパイプ90、及び通気路67を通って、ブラケット18のブラシホルダ内嵌部63に空気が流入し、電動モータ1の内部の圧力が上昇する。尚、電動モータ1の内部の圧力を上昇させることが可能であれば、圧縮機に代わって他の装置を使用することも可能である。
したがって、上述の実施形態によれば、外フランジ部22とブラケット18の周縁部64との間をシールするホルダ本体Oリング34の径方向内側に、ホルダ本体パッキン33が設けられ、さらに、ホルダ本体42のブラケット18側の端面42cとブラケット18との間にブラケットパッキン70が設けられた所謂多重シール構造であっても、これらシール部30、及びブラケットパッキン70により囲まれた空隙S1に、通気溝48を介して空気を充満させることができる。このため、電動モータ1の最外部に設けられたホルダ本体Oリング34の気密テストを簡素な構造で正確に行うことができる。
例えば、上述の実施形態では、ディファレンシャル装置80に電動モータ1を組み付け、この電動モータ1を、ディファレンシャル装置80内に設けられているオイルポンプ81を駆動するために用いる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、さまざまな用途で電動モータ1を用いることができる。
図9は、ブラシホルダの通気溝が形成されている箇所に対応する箇所の断面図であって、上述の実施形態の図6に対応している。
同図に示すように、ヨーク2の外フランジ部22とブラシホルダ17との間に挟持されるパッキン133を設けると共に、ヨーク2の外フランジ部22とブラケット18の周縁部64との間に液状パッキン134を塗布するようにしてもよい。
このように構成した場合であっても、多重シール構造とすることによる電動モータ1の高シール性を満足することが可能になる。
2 ヨーク
2a 開口部
2b 筒部
3 アーマチュア
4 永久磁石(磁極)
5 回転軸(シャフト)
17 ブラシホルダ
18 ブラケット
33 ホルダ本体パッキン(第1シール部)
34 ホルダ本体Oリング(第3シール部)
41 ブラシ
42 ホルダ本体
42b,42c 端面
47 ヨーク側インロー部(インロー部)
47a 外周面
48 通気溝(第2通気路)
61 ブラシホルダ収納部(凹部)
67 通気路(第1通気路)
70 ブラケットパッキン(第2シール部)
81 オイルポンプ(オイルポンプ機構)
90 ブリーザパイプ
134 液状パッキン
Claims (5)
- 内周面に磁極が設けられている筒部を有するヨークと、
前記ヨークの径方向内側に配置され、前記ヨークに対して回転自在に設けられたアーマチュアと、
前記ヨークの開口部端に配置され、前記アーマチュアに給電を行うためのブラシが保持されているブラシホルダと、
前記ヨークの開口部を前記ブラシホルダの外側から覆うように設けられたブラケットとを備えた電動モータにおいて、
前記ヨークの開口部と前記ブラシホルダとの間に第1シール部を設け、
前記ブラケットと前記ブラシホルダとの間に第2シール部を設け、
前記ヨークの開口部と前記ブラケットとの間に第3シール部を設け、
前記ブラケットに、前記ブラシホルダを収納可能な凹部が形成されていると共に、この凹部を避けた位置に、前記ブラケットの内外を連通する第1通気路が形成され、
前記ブラシホルダに、前記第1通気路と前記第3シール部との間を連通させる第2通気路が形成されていることを特徴とする電動モータ。 - 前記ブラシホルダは、
前記ヨークの開口部よりも拡径形成され、且つ径方向中央に前記アーマチュアの一部を挿入可能な挿入孔が形成されているホルダ本体と、
前記ホルダ本体から前記ヨークの筒部にインロー嵌合するように立設されているインロー部とを有し、
前記第2通気路は、前記ホルダ本体、及び前記インロー部の前記ヨーク側外面に沿って形成された通気溝であることを特徴とする請求項1に記載の電動モータ。 - 前記第1通気路には、外側からブリーザパイプが取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動モータ。
- 前記第3シール部は、液状パッキンであることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の電動モータ。
- 前記アーマチュアのシャフトにオイルポンプ機構が取り付けられ、前記アーマチュアの回転に伴って前記オイルポンプ機構がオイルを送出することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の電動モータ。
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