JP5950981B2 - インナーロータ型ブラシレスモータ - Google Patents

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Description

本発明は、事務機等に搭載されブラシレスモータに関し、より詳細には、モータ内部でロータが回転するインナーロータ型ブラシレスモータに関するものである。
レーザプリンタや複写機などの事務機に、インナーロータ型DCブラシレスモータが利用されている。このインナーロータ型DCブラシレスモータにおいては、ステータコアの内側でロータが回転する構成上、アウターロータ型モータに比べてロータ径が小さい為、ロータのイナーシャが小さく、制御性が高い。このインナーロータ型DCブレスレスモータの一形態が、特許参考文献1に開示されている。
図16に特許文献1におけるモータの断面図を示す。1Aはステータコア、2はこのステータコア1Aに巻装されたステータ巻線、3はステータコア1Aの内径側に配置したロータ、4Aはステータコア1Aの外周面に圧入した軟鋼板からなるフレーム(外筒)で、その開口部がフロントブラケット5に嵌合されている。6はフレーム4Aとブラケット5とを結合するボルトである。
このように、特許文献1におけるステータコア1Aは、フレーム4Aとの圧入、及びフレーム4Aのフロントブラケット5への嵌合をもって保持されている。
特開平03−235629号公報
上に説明したように、特許文献1のモータで、ステータコア1Aを保持するには、フレーム4Aとの圧入、及びフレーム4Aのフロントブラケット5への嵌合を前提としており、この点について、部品点数の削減、即ち、更なるコストダウンが要望される。
また、ステータコアを保持する保持部材をコストダウンしていく中で、その保持部材のステータコアへの取り付け方によっては、モータの回転精度に相違が発生することを発見した。
本願発明の目的は、上記要望に鑑みて成されたものであり、インナーロータ型ブラシレスモータにおけるステータコアを保持する保持部材について、更なるコストダウンを達成することを目的とする。
また、ステータコアを保持する保持部材をコストダウンしつつも、インナーロータ型ブラシレスモータにおいて、高い回転精度を確保することを更なる目的とする。
上記目的を達成すべく、本願発明における、インナーロータ型ブラシレスモータは、薄肉部を介してつながった複数のステータコアブロックと、前記複数のステータコアブロックの各々の内側に設けられ励磁コイルが巻装されたティース部とを含むステータコアと、駆動マグネットと、前記駆動マグネットを保持するロータヨークと、前記ロータヨークと同心上に締結されたシャフトとを含み、前記ステータコアの内径側に配置されたロータと、前記ステータコアを保持する保持部材とを有するインナーロータ型ブラシレスモータにおいて、前記保持部材は、前記シャフトの軸に対して垂直な面であって、前記インナーロータ型ブラシレスモータが取り付けられる相手部材と接する取付面と、前記取付面より略垂直に曲げ起こされている、前記ステータコアの外周面を保持するバックヨークとして機能する磁性の複数の曲げ起こし部と、前記モータを相手部材に締結する為の複数の取付フランジとを有し、互いに隣接する前記薄肉部の内、前記複数の曲げ起こし部の何れにも接触していない前記薄肉部が、円周方向に2箇所以上連続しないことを特徴とする。
また、上記インナーロータ型ブラシレスモータにおいて、互いに隣接する前記薄肉部の内、複数の曲げ起こし部の何れにも接触していない薄肉部が、円周方向に2箇所以上連続しないことを特徴とする。
本発明によれば、インナーロータ型ブラシレスモータにおけるステータコアを保持する保持部材について、更なるコストダウンを達成することが出来る。
また、ステータコアを保持する保持部材をコストダウンしつつも、高い回転精度を確保したインナーロータ型ブラシレスモータを提供できる。
インナーロータ型ブラシレスモータの一実施の形態を示す縦断面図である。 インナーロータ型ブラシレスモータの一実施の形態を示す横断面図である。 コイルの励磁シーケンスの一実施の形態を示す図である。 改良前のモータハウジング構造の一例を示す縦断面図である。 改良前のモータハウジング構造の一例を示す縦断面図である。 ハウジングとステータコアの組付位相が良好でない場合の一例を示す横断面図である。 ハウジングとステータコアの組付位相が良好でない例における、モータ内部の磁束密度を示すシミュレーション結果である。 ハウジングとステータコアの組付位相が良好な例における、モータ内部の磁束密度を示すシミュレーション結果である。 ハウジングとステータコアの組付位相が異なる夫々のコギングトルクと機械角との関係を示すシミュレーション結果である。 ハウジングとステータコアの組付位相が異なる場合の夫々におけるコギングトルクと機械角との関係を示す実測データの一例である。 ハウジングとステータコアの組付位相が異なる夫々の周波数毎の回転ムラを示す実測データの一例である。 インナーロータ型ブラシレスモータの一実施の形態を示す横断面図である。 ハウジングとステータコアの組付位相が良好でない場合の一例を示す横断面図である。 ハウジングとステータコアの組付位相が異なる場合の夫々におけるコギングトルクと機械角との関係を示すシミュレーション結果である。 ハウジングの曲げ起こし部の形状の一実施の形態を示す図である。 従来におけるインナーロータ型ブラシレスモータの一実施の形態を示す縦断面図である。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
以下、実施例1について説明する。まずインナーロータ型ブラシレスモータの構成について、図1および図2を用いて説明する。
[インナーロータ型ブラシレスモータの構造]
図1はインナーロータ型ブラシレスモータの縦断面図、図2は横断面図である。ハウジング10は、ステータコア20の底面を保持する取付面11と、モータを相手部材にビスで締結する複数の独立した取付フランジ12、ステータコア20の外周面を保持する外筒として機能する複数の独立した曲げ起こし部13とから成る。なお、ハウジング10とは、ステータコア20を保持する保持部材として機能する部材を意味し、フレームや、ブラケット等の称呼を用いることもある。また、ハウジング10は、モータを取り付ける際に相手部材と嵌合し、径方向に対して位置決めするインロー部14、ボールベアリング41aおよび41bを介してシャフト31を円周方向に回転自在に支持するブッシュ部15とも一体的に成形されている。シャフト31は、ロータヨーク32、駆動マグネット33、回転速度検出用マグネット34と共にロータ30を形成している。ロータ30におけるシャフト31、ロータヨーク等は同心上に締結されている。またステータコア20の内径側に配置されたロータ30が配置されている。
ステータコア20の構成を以下詳細に説明する。12本のティース部21を有するコア基材は、電磁鋼板を積層したものであり、コアモールド22が一体成形されている。コアモールド22は、励磁コイル23の絶縁機能と、制御基板24の固定ならびにステータコア20自体をハウジング10に固定するための台座としての機能を有する。ステータコア20は円環状であり、隣接するティース部の間の空間をスロット開口部25と呼び、ティース部は内径方向に向いている。複数の各スロットにおける、隣接するスロットの境界部26は、ステータコアの外周部(バックヨーク)における径方向において最薄となる。ここで本明細書において、境界部26に関連して用いられるスロットとは、隣り合う境界部26(薄肉部26)の間にある部分を指し、この部分を境界部26で区切られたステータコアの一部という意味で、ステータコアブロックと呼ぶことができる。該ステータコアブロックの用語を用いた場合、図2では12個のステータコアブロックが薄肉部を介して順に繋がり、1つのステータコアを構成しているといえる。なお、以下の説明では、境界部に関連してスロットの用語を用い説明を行っていくが、今述べたように、スロットの用語をステータコアブロックの用語に置き換えることができる。また、境界部の用語についても、薄肉部の用語に置き換えることができる。なお、隣接するスロットの境界部26は、図2に示されるような形状に限定されず、他の形状でも良い。ティースに巻装された励磁コイル23はU相、V相、W相の3相から成り、図2に示す並びとなっている。ステータコア20とハウジング10との締結は、曲げ起こし部13でのレーザ溶接による。
また、制御基板24には、ロータ30の位置検出を行う3つのホール素子(不図示)、外部からの制御信号およびホール素子からの信号を基に3相の励磁コイル23を適切なタイミングで励磁する相励磁信号を生成・出力するプリドライバIC(不図示)を有する。また制御基板24は、プリドライバICより出力される相励磁信号によって励磁コイル23への通電を制御するFETなどのスイッチング素子(不図示)や、回転速度検出用マグネット34の磁束を検出する回転速度検出用パターン(不図示)なども有している。
[励磁シーケンスおよび回転原理]
上記図1、2で説明したインナーロータ型ブラシレスモータにおいて、3相の励磁コイルを120度通電する励磁シーケンスを図3に示す。
モータが定常回転している状態において、「U相からV相」へ通電している状態を起点(1)とする。起点(1)に続いて(2)「W相からV相」→(3)「W相からU相」→(4)「V相からU相」→(5)「V相からW相」→(6)「U相からW相」の順に励磁状態が切り替わり、その後はこの6状態の遷移を繰り返す。これは、必ず隣り合うスロットに存在する2相が順に励磁されていくことを、即ち、隣接する2相間を磁束が通り、それが順に隣の相へ移っていくことを示している。
例えば、2相間(例えばU相とV相)に通電すると、発生した磁束の強さに応じて、一方の相におけるティース部21の先端部分にN極が、他方の相のティース部21の先端部分にS極が夫々形成される。この磁極と、永久磁石である駆動マグネット33の磁極とが吸引・反発することでモータの回転トルクが発生し、ロータ30が回転駆動する。
以下、改良前のインナーロータ型ブラシレスモータの場合と比較を行うことで、本実施例におけるインナーロータ型ブラシレスモータの特徴について説明を行っていく。
[特徴1]
まず、本実施例の特徴である、ハウジング10について説明する。図4および図5に改良前のハウジング構造の一例を示す。図4では、メイン台座100にフレーム106をビス42で締結している。メイン台座100は、ステータ底面を保持する取付面101と下部ベアリング41aのブッシュ部を兼ねるインロー部102、加えて取付フランジ部103から成る。フレーム106は、ステータコア外周を保持する外筒部104と天面において上部ベアリング41bを介してシャフトを回転支持するブッシュ部105から成る。この図4の構成は、相手部材にモータを取り付ける工程では、作業者がモータを持って正面からビスを締結できるものの、部品点数が増え、またシャフトの軸倒れ精度を確保するのが難しい。
また、図5では、モータ取付面111のベアリングブッシュ部とインロー部112、ステータコアの外筒部113を単一部品のフレームとしている。しかし、図4と同じく上下2箇所のベアリングブッシュ部が、フレームと、上部ベアリング41bのブッシュ部114として機能する天板115という2つの別部品に組み込まれており、シャフトの軸倒れに関しては図4と同様の問題を抱える。また、取付フランジがないため、作業者は、取付面に設けたビス穴116に、相手部材の裏側からビス止めする必要があり、作業性に問題がある。
これに対し、本実施例のハウジング10は、図1、2で説明した通り、取付面11より略垂直に曲げ起こされステータコアの外周面を保持する複数の曲げ起こし部13と、モータを相手部材に締結する為の複数の取付フランジ等が一体的に成形された部材を備える。これにより、上に述べたような問題点を解決できる。言い換えれば、部品点数削減によるコスト低減、取付フランジ一体化による取付作業性の確保を同時に実現できる。また、ベアリングブッシュの一体化によるシャフト軸倒れ精度の向上も実現できる。
[特徴2]
次に、本実施例の別の特徴である、ステータコア20とハウジング10の位置関係について説明する。
図6に、上記ハウジング10とステータコア20を、図2とは別の位相で組み付けた場合を示す。この図6に示される組付けが、改良前におけるハウジング10とステータコア20との組み付けである。
図6では、U相とW相のスロット境界部26と、ハウジング10の曲げ起こし部13の中心が一致する位相となっている。結果、円周方向に連続して存在する、U相とV相の境界部、ならびにV相とW相の境界部は、ちょうど取付フランジ12の存在する場所にあたり、曲げ起こし部13には接していない。
一方、図2に示す通り、本実施例での組付位相では、U相の中心と曲げ起こし部13の中心が一致する位相となっており、曲げ起こし部に接していないのはV相とW相の境界部のみである。この2種類の組付位相の状態が、形成される磁路にどのような差異をもたらすかを以下に説明する。
・シミュレーション結果
図7、8に、ロータ回転時におけるモータ内部の磁束密度の分布について磁界解析シミュレーションした結果を示す。
両図中、黒く色づいているほど、磁束密度が高いことを示している。図7は、ハウジング10とステータコア20が図6の組付位相の場合であり、同様に図8は図2の組付位相の場合である。ステータコア20において、隣接するスロットの境界部26は、バックヨーク厚が径方向に最薄となっている。
両図中点線の丸印Aで示す通り、その外周側に曲げ起こし部13が存在しないスロット境界部では、磁束が集中し、磁気飽和してしまっている。図2におけるV相−W相、図6におけるU相―V相およびV相−W相がこの場合に相当する。
一方、両図中実線の丸印Bで示す通り、境界部26の外周側にハウジング10の曲げ起こし部13が存在するスロット境界部では、この曲げ起こし部13がバックヨークとして機能する。このため、磁束がコアのスロット境界部だけでなく曲げ起こし部にも流れることで、磁束の集中が緩和され、点線丸印の部分に比して遙かに磁気飽和しにくい磁気回路を形成している。図2におけるU−V相およびU−W相、図6におけるU−W相がこれに相当する。
12箇所あるスロット境界部26の内、外周側が曲げ起こし部13に覆われているのは、図6の組付位相では4箇所のみであるのに対し、図2の組付位相では図6の倍に当たる8箇所存在する。
この磁気回路の相違が、コギングトルクの差異となって現れる。コギングは、励磁コイル23への通電に係わらず、ロータ30の磁極とステータコア20のティース部21の先端部分との位置関係に依存して発生するものであり、これはモータの回転ムラの一要因となる。つまり、コギングトルクが小さいモータほど、回転ムラにおけるコギング成分の少ないモータとなる。
両組付位相におけるコギングトルクをそれぞれシミュレーションにて算出した結果を図9に示す。縦軸はコギングトルクの大きさ(単位:[mN・m])を、横軸はロータ30の回転角即ち機械角(単位:[°])を表す。
細点線が図6の組付位相、細実線が図2の組付位相におけるコギングトルクである。ロータの回転角、即ち機械角が30°付近と75°付近にて両者に大きな差があり、図2の組付位相とすることで、コギングトルクが低減されていることがわかる。また、コギングトルクのピーク値のリップル成分(それぞれ太点線と太実線で示した包絡線)についても、両者とも機械角90°の範囲で2周する周期性が見られ、やはり図2の組付位相の方が、小さな振幅となっている。
駆動マグネットの極数が8,スロット数が12の3相ブラシレスモータでは、図3に示した相励磁の状態が一周する間、即ち電気角が360度進むことは、ロータが90度回転する、即ち機械角が90°進むことに相当する。これと図9で説明したリップル成分の周期から、ロータ一周の間に8回のトルクリップルが存在することとなる。
・実測結果
上記説明およびシミュレーション結果を踏まえ、図2と図6の組付位相の各々について、コギングトルクの実測データを図10に、モータの回転ムラの実測データを図11にそれぞれ示す。
図10において、縦軸はコギングトルクの大きさ(単位:[mN・m])を、横軸はロータ30の回転角(単位:[°])を表す。図11において、縦軸は回転ムラの大きさ(単位:[%])、横軸は周波数(単位:[Hz])を表す。
コギングトルクを示した図10においては、絶対値そのものはシミュレーション結果と若干異なるかもしれない。しかし、それ以外については同様に、ピーク値のリップル成分(太実線で図示した包絡線)に大きな差があり、かつこの周期はロータ一回転につき8回現れていることが確認できる。
また、回転ムラのFFT結果を示した図11では、白い楕円で囲んだ部分に示す通り、ロータ一回転の8倍の周波数成分において、両者に大きな差が存在する。どちらも、図2の組付位相の方が小さな数値となっていることが見て取れる。このように、どの曲げ起こし部13にも接触していないスロット境界部26が2箇所以上連続しない図2の組付位相とすることで、高い回転精度を確保できる。より具体的には、どの曲げ起こし部13にも接触していないスロット境界部26が2箇所連続している図6に比して、特にロータ一回転の8倍周波数の成分について、コギングトルク(回転ムラ)の少ない、高い回転精度を確保できることがわかる。
なお、本実施例は、駆動マグネットの極数が8、スロット数が12の3相ブラシレスモータとしたが、無論本発明の範囲はこれに限定されるものではない。また、4箇所ずつ存在する取付フランジ12および曲げ起こし部13の設置間隔は、それぞれにおいて等しく、90度間隔としたが、これについても限定されるものではない。
[実施例1における効果]
以上のように、取付面より略垂直に曲げ起こされステータコアの外周面を保持する複数の曲げ起こし部と、モータを相手部材に締結する為の複数の取付フランジなどが一体的に成形された同一部材となっている。これにより、部品点数を削減できコスト低減、及び良好な作業性を確保すことができる。
加えて、ハウジング10をモータを組み付ける相手部材と締結し、径方向に対して位置決めするインロー部と一体的に成形することで、部品点数の低減、並びにインロー部を介して嵌合する相手部材と、モータ自身の相対的な位置関係を精度良く保つことができる。これにより、コストを低減し、且つ高い回転精度を確保することを実現する。
更には、ハウジングを、シャフトを円周方向に回転自在して支持する複数の軸受を保持するブッシュと一体的に成形している。これにより、部品点数の低減、ならびに軸受を介してブッシュに支持されるロータとハウジングの相対的な位置関係を精度良く保つことができ、コストを低減し、且つ高い回転精度を確保することを実現する。
また、図2の場合では、互いに隣接する2つのスロットの境界部の内、円周方向に独立して複数存在する曲げ起こし部の何れにも接触しない境界部が円周方向に2箇所以上連続しない位相でステータコアとハウジングを組み付けている。これにより、スロット境界部における磁束の集中を緩和して磁気回路起因のトルクリップルを抑制することができ、高い回転精度を確保することが可能となる。
以下、実施例2について説明する。なお、実施例2において、ステータコアにおける取付フランジと曲げ起こし部の形状以外の基本的な構成は実施例1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
本実施例の内容を、図12を用いて説明する。図12は、本実施例におけるインナーロータ型ブラシレスモータの略横断面図である。実施例1との相違点は、取付フランジ12および曲げ起こし部13の設置箇所が、実施例1の4箇所ずつに対して、3箇所ずつとなっているところにある。また、設置箇所の削減に伴い、曲げ起こし部13の円周方向に対するサイズが拡大されている。取付フランジ12および曲げ起こし部13の設置間隔は、それぞれにおいて等しく、120度間隔である。
図12では、各々の曲げ起こし部13の中心と、隣接する2つのスロットの境界部26の中心とが一致する位相で組み付けられている。これにより、どの曲げ起こし部13にも接触していないスロット境界部26は、円周方向に連続で1つのみとなっている。
一方、図13に、上記ハウジング10とステータコア20を、図12とは別のある位相で組み付けた場合を示す。図13では、スロットの中心と、曲げ起こし部13の中心が一致する位相となっている。このため、何れの曲げ起こし部13にも接触していないスロット境界部26は、円周方向に2つ連続して存在している。
この図12と図13での曲げ起こし部13とステータコア20の位相関係は、実施例1における図2と図6の位相関係と同じである。両組付位相におけるコギングトルクをそれぞれシミュレーションにて算出した結果を図14に示す。
図14では、縦軸はコギングトルクの大きさ(単位:[mN・m])を、横軸はロータ30の回転角即ち機械角(単位:[°])を表す。細点線が図13の組付位相、細実線が図12の組付位相におけるコギングトルクである。何れの曲げ起こし部13にも接触していない境界部26が連続して存在する個数が少ない図12の組付位相は、図13の組付位相よりもコギングトルクが低減されていることがわかる。
なお、実施例1よりも低減幅が小さいのは、以下の2つ理由によると考えられる。1つ目の理由は、曲げ起こし部13の円周方向に対するサイズ拡大により、何れの曲げ起こし部13にも接触していない境界部26の絶対数が実施例1よりも低減されており、コギングトルクを増大させる要因が減少していることである。
2つ目の理由は、曲げ起こし部13に接触しないスロット境界部26が特定の相に偏らないことにある。実施例1では、取付フランジ12および曲げ起こし部13がそれぞれ90度毎の等間隔に4箇所配置されており、曲げ起こし部に接触しないスロット境界部26が特定の相となる。これに対し、実施例2では取付フランジ12および曲げ起こし部13がそれぞれ120度毎の等間隔に3箇所ずつ配置される本実施例では、曲げ起こし部13に接触しないスロット境界部26は特定の相に偏らない。つまり図13の組付位相においても、実施例1に比べるとコギングトルクを増大させる要因が分散されているのである。
以上のように、互いに隣接する2つのスロットの境界部の内、円周方向に独立して複数存在する曲げ起こし部の何れにも接触しない境界部が円周方向に2箇所以上連続しない位相でステータコアとハウジングを組みつけている。これにより、スロット境界部における磁束の集中を緩和して磁気回路起因のトルクリップルを抑制することができ、高い回転精度を確保することが可能となる。
以下、実施例3について説明する。なお、実施例3において、ステータコアにおける曲げ起こし部の形状以外の基本的な構成は実施例1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
本実施例の発明内容を、図15を用いて説明する。図15は、曲げ起こし部13について、上面ならびに外周面側から見たものを示している。曲げ起こし部13に対し、左右対称に2箇所の切り欠き201を設け、更にプレス加工にて平板から曲げ起こす際に、切り欠き201の外側に位置する一定の領域を他の部分よりも薄く加工することで、切り欠き201の外側両端部202がより内側に折れる形となる。これにより、ステータコア20をハウジング10内部に組み込んだときの両者の密着性が向上する。このように密着性が上がっていることで、ステータコア20を、ハウジング10に固定するために溶接箇所203をレーザ溶接する際、確実に溶接することが可能となる。
以上のように、ハウジング10の曲げ起こし部の円周方向における両端に切り欠きを設けてプレス加工することにより、両端部の切り欠きから先端部分が、曲げ起こし時により内側に向かうよう変形しやすくなりステータコアとの密着性を向上させることができる。また、レーザ溶接によるハウジング10とステータコア20の溶着固定を確実に行うことが可能となる。
10 ハウジング
11 取付面
12 取付フランジ
13 曲げ起こし部
14 インロー部
15 ブッシュ部
20 ステータコア
21 ティース
22 コアモールド
23 励磁コイル
24 制御基板
25 スロット開口部
26 スロット境界部
30 ロータ
31 シャフト
32 ロータヨーク
33 駆動マグネット
34 回転速度検出用マグネット
41a,41b ベアリング
42 ビス
100 台座
101 取付面
102 インロー部
103 取付フランジ
104 外筒部
105 ブッシュ部
106 フレーム
111 取付面
112 インロー部
113 外筒部
114 ブッシュ部
115 天板
116 ビス穴
201 切り欠き
202 切り欠きの外側両端部
203 溶接箇所

Claims (9)

  1. 薄肉部を介してつながった複数のステータコアブロックと、前記複数のステータコアブロックの各々の内側に設けられ励磁コイルが巻装されたティース部とを含むステータコアと、
    駆動マグネットと、前記駆動マグネットを保持するロータヨークと、前記ロータヨークと同心上に締結されたシャフトとを含み、前記ステータコアの内径側に配置されたロータと、
    前記ステータコアを保持する保持部材とを有するインナーロータ型ブラシレスモータにおいて、
    前記保持部材は、
    前記シャフトの軸に対して垂直な面であって、前記インナーロータ型ブラシレスモータが取り付けられる相手部材と接する取付面と、
    前記取付面より略垂直に曲げ起こされている、前記ステータコアの外周面を保持するバックヨークとして機能する磁性の複数の曲げ起こし部と、
    前記モータを相手部材に締結する為の複数の取付フランジとを有し、互いに隣接する前記薄肉部の内、前記複数の曲げ起こし部の何れにも接触していない前記薄肉部が、円周方向に2箇所以上連続しないことを特徴とするインナーロータ型ブラシレスモータ。
  2. 前記複数の曲げ起こし部は、円周方向に独立して等間隔に存在することを特徴とする請求項1に記載のインナーロータ型ブラシレスモータ。
  3. 前記保持部材は、前記モータを組み付ける前記相手部材と嵌合し、径方向に対して位置決めするインロー部と一体的に成形された同一部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインナーロータ型ブラシレスモータ。
  4. 前記保持部材は、前記シャフトを円周方向に回転自在に支持する複数の軸受を保持するブッシュと一体的に成形された同一部材であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のインナーロータ型ブラシレスモータ。
  5. 前記保持部材は、曲げ起こし部の円周方向における両端に切り欠きを有していることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のインナーロータ型ブラシレスモータ。
  6. 薄肉部を介してつながった複数のステータコアブロックと、前記複数のステータコアブロックの各々の内側に設けられ励磁コイルが巻装されたティース部とを含むステータコアと、
    駆動マグネットと、前記駆動マグネットを保持するロータヨークと、前記ロータヨークと同心上に締結されたシャフトとを含み、前記ステータコアの内径側に配置されたロータと、
    前記ステータコアを保持する保持部材とを有するインナーロータ型ブラシレスモータにおいて、
    前記保持部材は、
    前記シャフトの軸に対して垂直な面であって、前記インナーロータ型ブラシレスモータが取り付けられる相手部材と接する取付面と、
    前記取付面より略垂直に曲げ起こされている、前記ステータコアの外周面を保持する複数の曲げ起こし部と、
    前記モータを相手部材に締結する為の複数の取付フランジとを有し、
    前記保持部材は、曲げ起こし部の円周方向における両端で且つ曲げ起こし部の円周方向と直交する方向における先端に切り欠きを有することを特徴とするインナーロータ型ブラシレスモータ。
  7. 前記複数の曲げ起こし部は、円周方向に独立して等間隔に存在することを特徴とする請求項6に記載のインナーロータ型ブラシレスモータ。
  8. 前記保持部材は、前記モータを組み付ける前記相手部材と嵌合し、径方向に対して位置決めするインロー部と一体的に成形された同一部材であることを特徴とする請求項6又は7に記載のインナーロータ型ブラシレスモータ。
  9. 前記保持部材は、前記シャフトを円周方向に回転自在に支持する複数の軸受を保持するブッシュと一体的に成形された同一部材であることを特徴とする請求項6乃至8の何れか1項に記載のインナーロータ型ブラシレスモータ。
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