JP5950063B2 - ステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ステアリング装置に関し、特に、ステアリングコラムを車体取付けブラケットにカムを利用したクランプ機構で支持して、運転者の体格や運転姿勢に応じて、ステアリングホイールのチルト位置を調整可能なステアリング装置に関する。
この種のステアリング装置としては、例えばチルトブラケットからチルトレバーにかけて挿通され、一端のねじ部をナットと螺合させたチルトボルトと、このチルトボルトの反ナット側にあって対峙するそれぞれのカム突起を共に係合させると共に、背面のそれぞれのボスを前記チルトブラケット及びチルトレバーと各々係合させた一対の固定カム部材及び可動カム部材とを備え、チルトレバーの操作でチルトボルト及びナット間に締付け力を生じさせてステアリングコラムのロック及びアンロックを行うようにしたチルト式ステアリングコラムのチルト固定装置が提案されている。
固定カム部材及び可動カム部材のカム突起は、それぞれ平坦カム面と、この平坦カム面に対して周方向に下り傾斜を付けて連続する傾斜カムとを備えており、互いの平坦カム面同士が当接して噛み合うように可動カム部材を回動させることで、チルトボルトに軸力を与えてステアリングコラムのロック及びアンロックを行う。
ここで、このようなチルト固定装置においては、クランプ機構の締付を解除したときに、締付方向の軸力が抜けて、構成部品がフリーになる。その際にチルトレバーの自重と、解除方向の操作力の慣性によって、固定カム部材のストッパーに可動カム部材のストッパーが勢い良く衝突し、金属打音が発生する。
このようなチルト位置調整時に発生する打音を解消する技術としては、固定カム部材と合成樹脂製の回り止め部を一体的に形成することにより、チルト位置調整時の固定カム部材の滑らかな摺動、及びチルト位置調整端で、チルト位置調整用長溝の溝端部に、固定カム部材の凸部が当接した時の打音を小さくする技術が開示されている(特許文献1参照)。
しかし、特許文献1のステアリング装置は、固定カム部材とチルト位置調整用長溝との間の摺動音や打音を小さくするためのものであって、クランプ機構を構成する可動カム部材と固定カム部材との間で発生する打音を小さくするためのものではない。
一方、特許文献2では、チルトレバーの解除速度を減速させるために、クランプ機構のカム突起の底面部に弾性部材を設けて、解除時に相手カムのカム突起と接触し、カムをブレーキさせる弾性部材を設けている。
特開2008−307959号公報 特開2006−51876号公報
しかしながら、特許文献2においても、カムのリフト量を大きくする必要があり、リフト量が増えると、傾斜角度が急になり、チルトレバーの操作力が重くなるなど改善の余地があった。
本発明は、上記従来の技術に鑑みてなされたものであって、クランプ機構の締付を解除した際に生じる打音を低減し、操作性の高いステアリング装置を提供することを課題とする。
上記目的を達成するためのステアリング装置のある態様は、ステアリングコラムを支持する車体取付けブラケットに橋架された軸杆と、互いに対峙したカム突起を係合させて上記軸杆を互いに協働して軸方向に移動させる固定カム部材及び可動カム部材と、上記可動カム部材を可動させる操作レバーとを有するクランプ機構を備え、
上記固定カム部材のカム突起が形成されたカム突起形成面の外縁部に周方向に沿って突出した複数の第1ストッパー部と、それら複数の第1ストッパー部間に形成された第1切り欠き部に遊嵌されるように上記可動カム部材のカム突起が形成されたカム突起形成面の外縁部に周方向に沿って突出した複数の第2ストッパー部との間に緩衝部材を設け
上記ステアリング装置は、上記緩衝部材は、上記固定カム部材及び上記可動カム部材の少なくとも何れか一方の外周面に嵌合する外輪部に連結される。
た。
ここで、上記緩衝部材は、上記操作レバーを解除方向に操作したときに、上記第1ストッパーと上記第2ストッパーとに挟まれることで、上記操作レバーを解除したときの慣性による上記第1ストッパーと上記第2ストッパーとの接触を防止するようにされてもよい
た、上記ステアリング装置は、上記固定カム部材及び上記可動カム部材の少なくとも何れか一方の外周面に第2切り欠き部が複数設けられ、これら複数の第2切り欠き部のそれぞれに係合する複数の係合部が上記外輪部の内周面に設けられてもよい。
また、上記ステアリング装置は、上記緩衝部材及び上記係合部は、上記固定カム部材及び上記可動カム部材の回転中心に対して180°の点対称に配置されてもよい。
また、上記ステアリング装置は、上記係合部が、第2切り欠き部に係合した状態で、前記カム突起形成面と一致してもよい。
また、上記ステアリング装置は、上記係合部が、第2切り欠き部に係合した状態で、上記カム突起形成面よりも高く、かつ上記クランプ機構が解除されたときの隙間の総和よりも小さくてもよい。
さらに、上記ステアリング装置は、上記緩衝部材が合成樹脂からなり、一体成型されてもよい。
本発明の一態様によれば、クランプ機構の締付を解除した際に生じる打音を低減し、カム山(カム突起)のリフト量を変えることなく操作性の高いステアリング装置を提供することができる。
ステアリング装置のある実施形態における構成を示す側面図である。 図1のII−II線に沿う断面図である。 ステアリング装置のある実施形態におけるクランプ機構の構成を示す分解斜視図である。 ステアリング装置のある実施形態の固定カム部材を示す斜視図である。 ステアリング装置のある実施形態の可動カム部材を示す斜視図である。 ステアリング装置のある実施形態の可動カム部材の構成を示す図である。 ステアリング装置のある実施形態においてクランプ機構の動作を説明する平面図である。 ステアリング装置の他の実施形態におけるクランプ機構の構成を示す分解斜視図である。 ステアリング装置の他の実施形態の可動カム部材及び固定カムの構成を示す図である。 ステアリング装置の他の実施形態においてクランプ機構の解除動作を説明する図である。 ステアリング装置の他の実施形態においてクランプ機構の締め付け動作を説明する図である。
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかであろう。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
以下、本発明に係るステアリング装置の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、ステアリング装置のある実施形態における構成を示す側面図である。また、図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。また、図3は、ステアリング装置のある実施形態におけるクランプ機構の構成を示す分解斜視図である。
(ステアリング装置の構成)
図1に示すように、ステアリング装置1は、円筒状のステアリングコラム2と、このステアリングコラム2の内部を貫通するステアリングシャフト3と、このステアリングシャフト3の上端に取付けられた運転者から操舵力が作用されるステアリングホイール4と、ステアリングシャフト3の下端にユニバーサルジョイント5を介して連結され他端がユニバーサルジョイント6を介して図示しないステアリングギヤに連結されたスプライン結合構造を有する中間シャフト7とを備えている。
ステアリングコラム2は、ユニバーサルジョイント5側端部に形成されたロアブラケット10と、軸方向の中央部に固定したチルト機構20とによって図示しない車体側部材に支持されている。
ロアブラケット10は、チルト動作の中心となるチルトピン11を有し、このチルトピン11を中心としてステアリングコラム2が回動するように構成されている。
また、チルト機構20は、図2に示すように、上部に形成された図示しない車体側部材に取付けられる車体側取付け部21aと中央部にステアリングコラム9を挿通し図2で見て略上下方向に延在する左右方向(車幅方向)に一対の締付け板部21bとが一対に形成されたチルトブラケット22と、ステアリングコラム2に取付けられて締付け板部21b間に摺動可能に保持されるディスタンスブラケット23と、チルトブラケット22内においてチルトブラケット22の締付け板部21bでディスタンスブラケット23を挟んでロック及びアンロックするクランプ機構24とを備えている。
ディスタンスブラケット23には、左右方向に貫通する貫通孔23aが形成されているとともに、チルトブラケット22の締付け板部21bには、貫通孔23aに対応する位置で長手方向が上下方向に延在する略長方形状のチルト孔22aが形成されている。
クランプ機構24は、図3に示すように、チルトボルト25と、固定カム部材26及び回動可能な可動カム部材27と、可動カム部材27と一体的に回動するチルトレバー28とを備えている。
チルトボルト25は、チルトブラケット22のチルト孔22a、及びディスタンスブラケット23の孔を貫通する軸体であり、一方の端部に雄ねじ部25aが設けられ、他方の端部に頭部25cが設けられている。チルトブラケット22の締付け板部21bから突出する雄ねじ部25aにはナット25bが螺合されている。また、固定カム部材26及び回動可能な可動カム部材27は、このチルトボルト25の回りで、頭部25cとチルトブラケット22との間に配設されたチルトボルト25に対して軸力を付与する。
<カム部材>
次に、本実施形態のステアリング装置に用いられるカム部材(固定カム部材及び可動カム部材)について図面を参照して説明する。
図4は、ステアリング装置のある実施形態の固定カム部材を示す斜視図であり、(a)はボスが形成された側の斜視図、(b)はカム面が形成された側の斜視図である。また、図5は、ステアリング装置のある実施形態の可動カム部材を示す斜視図であり、(a)はカム面が形成された側の斜視図、(b)はボスが形成された側の斜視図である。また、図6は、ステアリング装置のある実施形態の可動カム部材の構成を示す図であり、(a)はカム面が形成された側の平面図、(b)は(a)のVIb−VIb線に沿う断面図、(c)はボスが形成された側の平面図である。
[固定カム部材]
固定カム部材26は、図4(a)、(b)に示すように、略円板形状の部材の中心位置に形成されたチルトボルト25が挿通するボルト貫通孔29と、可動カム部材27と対面するカム突起形成面26aに同一円周上に並んで形成された複数のカム突起30と、カム突起30を形成した面に対して反対側の面に形成され、チルトブラケット22の締付け板部21bに形成したチルト孔22aに嵌入されるボス31とを備えている。
固定カム部材26の複数のカム突起30は全て同一形状であり、図4(a)に示すように、ボルト貫通孔29の軸方向から見て略扇形状をなしている。
カム突起30は、平坦カム面30aと、第1傾斜カム面30bと、第2傾斜カム面30cとを有する。
平坦カム面30aは、カム突起形成面26aに対して同一高さで突出して平滑面形状をなす面である。また、第1傾斜カム面30bは、ボルト貫通孔29の軸方向を基準に第1の周方向(図中Aで示す)に向かうに従い下り傾斜を付けて(カム突起30の突出高さが徐々に減少する方向に)平坦カム面30aから連続して形成された面である。また、第2傾斜カム面30cは、他方の周方向(第1の周方向と反対の方向)に向かうに従い下り傾斜を付けて平坦カム面30aから連続して形成された面である。ここで、第1傾斜カム面30bは、カム突起形成面26aに対して、第2傾斜カム面30cよりも大きな角度(80°〜90°)をなす面であり、本実施形態では「背面(30b)」ということがある。
また、固定カム部材26には、図3,図4(a)、(b)に示すように、カム突起形成面26aの外周縁部に沿って突出した2つのストッパー部(第1ストッパー部)26b,26bが形成されている。よって、これら2つのストッパー部26b,26b間には切り欠き部(第1切り欠き部)26cが形成されている。
すなわち、固定カム部材26と可動カム部材27とを重ね合わせたときには、切り欠き部26cに、後述する可動カム部材27のストッパー部27bが配置され、ストッパー部27bの可動範囲が上記切り欠き部26cの周方向の範囲内に制限されることになる。
[可動カム部材]
可動カム部材27は、図5(a)、(b),図6(b),(c)に示すように、略円板形状をなし、ボルト貫通孔32と、複数のカム突起33と、ボス34とを備えている。ボルト貫通孔32は、可動カム部材27の中心位置に貫通して形成され、チルトボルト25が挿通される貫通孔である。複数のカム突起33は、固定カム部材26と対面するカム突起形成面27aに同一円周上に並んで形成される。また、ボス34は、複数のカム突起33が形成されたカム突起形成面27aに対して反対側の面に形成され、チルトレバー28に形成した角孔28aに嵌入される部材である。
可動カム部材27の複数のカム突起33も全て同一形状であり、図5(a)に示すように、ボルト貫通孔32の軸方向から見て略扇形状をなし、平坦カム面33aと、第1傾斜カム面33bと、第2傾斜カム面33cとを有する。
平坦カム面33aは、カム突起形成面27aに対して同一高さで突出している平滑面形状の面である。また、第1傾斜カム面33bは、ボルト貫通孔32の軸方向を基準に第2の周方向(図中Bで示す)に向かうに従い下り傾斜を付けて(カム突起33の突出高さが徐々に減少する方向に)平坦カム面33aから連続して形成されたである。また、第2傾斜カム面33cは、他方の周方向(第2の周方向と反対の方向)に向かうに従い下り傾斜を付けて第1傾斜カム面33bから連続して形成された面である。
なお、固定カム部材26における第1の方向と、可動カム部材27における第2の方向とは、それぞれのカム突起が形成された面を対向させて固定カム部材26と可動カム部材27とを重ね合わせた態様(図3参照)において互いに反対の方向となる。
また、第1傾斜カム面33bは、カム突起形成面27aに対して、第2傾斜カム面33cよりも大きな角度(80°〜90°)をなす面であり、本実施形態では「背面(33b)」ということがある。
[ストッパー部]
また、可動カム部材27には、図3,図5(a)、(b)に示すように、カム突起形成面27aの外周縁部に沿って突出した2つのストッパー部(第2ストッパー部)27b,27bが形成されている。これらストッパー部27b,27bは、固定カム部材26のストッパー部(第1ストッパー部)26bよりも周方向の長さが短く形成されている。
さらに、ストッパー部27bは、2つのストッパー部26b,26b間に形成された切り欠き部26cに配置されるように、固定カム部材26と可動カム部材27とが重ね合わせられる。すなわち、ストッパー部27bの可動範囲が切り欠き部26cの周方向の範囲内に制限されることになる。
ここで、切り欠き部26cの周方向の範囲内に制限されるストッパー部27bの可動範囲とは、チルトレバー28を図1の2点鎖線で示す位置(アンロック位置)と実線で示す位置(ロック位置)との間で回動させたときの固定部材26に対する可動部材27の回動範囲である。このチルトレバー28を上記クランプ位置から上記アンロック位置に回動する場合においては、カム突起30に当接していたカム突起33をカム突起形成面26aへ移動させるため、カム突起30の背面30bとカム突起33の背面33bとが近づき、衝突することがある。そのため、切り欠き部26cを形成するストッパー部26bの周方向の形成範囲は、カム突起30の背面30bとカム突起33の背面33bとが衝突しないように設計されている。
[緩衝部材]
ここで、可動カム部材27には、ストッパー部27bを基準として、固定カム部材26と組み合わせてクランプ機構による締め付けがなされる向き(図5(a)内の「B」で示す向き)に配置され、ストッパー部27bに当接する緩衝部材50が設けられている。この緩衝部材50は、可動カム部材27の外周面に嵌合する筒状の外輪部51に連結されている。また、外輪部51の内周面には、可動カム部材27の外周面に形成された切り欠き部27dに嵌合し、緩衝部材50に軸方向に連通する嵌合部51bが設けられている。図5(a),(b)では、説明のわかりやすさのため、緩衝部材50,外輪部51をハッチング表示している。
また、図6(a),(b)に示すように、可動カム部材27のカム突起形成面27aの周縁部の互いに対向する位置には、切り欠き部(第2切り欠き部)27cが形成されている。また、外輪部51の内周面には、切り欠き部27cの設置位置に対応して、径方向内側に突出して切り欠き部27cに係合可能とされた係合部51aが設けられている。すなわち、緩衝部材50に連結された外輪部51の内周面を可動カム部材27の外周面に嵌合させると共に、切り欠き部27cに係合部51aを係合させることで、可動カム部材27に対する緩衝部材50の周方向の位置ズレを防ぐことができる。
また、係合部51aは、第2切り欠き部27cに係合した状態で、カム突起形成面27aよりもクランプ機構24をアンロックしたときのクランプ機構24の隙間の総和よりも小さく、かつカム突起形成面27aよりも高く、すなわち、カム突起形成面27aよりも微小に高くしておくことで、平坦カム面33aが、カム突起形成面27aに衝突することも防止できる。
この場合、緩衝部材50が十分衝突音を低減できれば、係合部51aの高さをカム突起形成面27aの高さと一致させてもよい。いずれの場合にも、カム山(カム突起)の高さを高くする必要がない。
ストッパー部27bを基準として、クランプ機構による締め付けがなされる方向に配設された緩衝部材50は、後述するように、固定カム部材26と可動カム部材27とを組み合わせ、アンロック状態としたとき、ストッパー部26bとストッパー部27bとの間に介在することとなる。したがって、クランプ機構による締め付けが解除される際、チルトブラケット22の反力によるチルトレバー28の慣性で生じうる衝突音を低減することができる。
緩衝部材50は、ストッパー部26bとストッパー部27bとに挟まれて圧縮されるように配置されるため、引張りで使用する時のような破断破損が無く、耐久性が高いことが要求される。そのため、緩衝部材50の材料としては、弾性を有し、耐熱性、耐疲労性、耐オゾン性、耐炎性をはじめ、耐油性、耐化学薬品性、機械的強度等が高い材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。緩衝部材50の材料としては、例えば、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)などの合成樹脂、エラストマーなどの合成ゴムが挙げられる。エラストマーなどの合成ゴムとしては、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、熱硬化性樹脂系エラストマーのウレタンゴムの一部、シリコーンゴム、フッ素ゴム、などのゴム材料を採用することにより、打音をより防止できる。また、緩衝部材50の材料は、ガラスなどのフィラーが添加されてもよい。緩衝部材50は一体成型やインサート成型で作製されることが好ましい。
なお、緩衝部材50が有する弾性は、後述するように、固定カム部材26のストッパー部26bと可動カム部材27のストッパー部27bとの間に緩衝部材50が挟まれた際にストッパー部26bとストッパー部27bとのメタルコンタクトによって発生する打音を低減すれば程度は問わない。
また、固定カム部材26及び可動カム部材27のカム突起形成面26a,27aには、摩耗防止のためのグリースが塗布されている。
そして、固定カム部材26の平坦カム面30aと可動カム部材27のカム突起形成面27aとを対向させ、同様に固定カム部材26の第2傾斜カム面30cと可動カム部材27の第2傾斜カム面33cとをそれぞれ対向した状態で、チルトレバー28を図1の2点鎖線で示す位置に係合する。このとき、固定カム部材26のストッパー部26bと可動カム部材27のストッパー部27bとは、緩衝部材50を介して周方向に対向するように位置される(図7(a)参照)。
そして、チルトボルト25をチルトレバー28に形成した挿通孔28b、固定カム部材26のボルト貫通孔29、チルトブラケット22の締付け板部21bに形成したチルト孔22a、ディスタンスブラケット23の貫通孔23aに挿通する。
さらに、頭部25c側に挿通したスラストベアリング45を、座金46を介してチルトレバー28の可動カム部材27とは反対側の端面に当接させた状態で、チルトボルト25のチルトブラケット22から突出した雄ねじ部にナット25bを螺合することでクランプ機構24を構成する。
(クランプ機構の動作)
次に、本実施形態におけるクランプ機構の動作について説明する。
図7は、ステアリング装置のある実施形態においてクランプ機構の動作を説明する平面図であり、(a)はチルトレバーをアンロック位置にしたときの各カム部材のそれぞれのカム突起の位置を示し、(b)はチルトレバーをロック位置にしたときの各カム部材のそれぞれのカム突起の位置を示している。
なお、図7(a),(b)は、重ね合わされた2つのカム部材のうち、可動カム部材27のカム突起形成面27a側に向かって見た平面図であり、説明のわかりやすさのため、固定カム部材26はカム突起30及びストッパー部26b(いずれもハッチングで表示)のみ示している。また、緩衝部材50も説明のわかりやすさのため、ハッチングで表示している。
チルトレバー28が図1の2点鎖線位置に位置すると、固定カム部材26のカム突起30と可動カム部材27のカム突起33とが軽く接触する状態となり、チルトボルト25の軸力が減少するアンロック位置となる(図7(a)参照)。
このアンロック位置では、固定カム部材26及び可動カム部材27によるチルトボルト25に対する軸力が発生していないので、チルトブラケット22の締付け板部21b,21bとディスタンスブラケット23との間には僅かな隙間が生じるか又は軽く接触した状態となる。この状態において、ステアリングホイール4を把持して上下方向に移動させることにより、ステアリングコラム2がチルトピン13を中心にして上下方向に移動することによって、運転者の好みの位置に移動させることができる。
そして、チルトレバー28を図1の2点鎖線位置(アンロック位置)から図1の実線で示すロック位置まで回動させる。
このロック位置までチルトレバー28が回動すると、図7(b)に示すように、チルトレバー28に連動する可動カム部材27の平坦カム面33aが固定カム部材26の平坦カム面30aに摺動して当接する。このように、固定カム部材26及び可動カム部材27の平坦カム面30a,33a同士が当接すると、チルトボルト25に対して軸力が発生する。
このとき、図2に示すように、チルトボルト25は一端がナット25bによってチルトブラケット22の右端側に固定され、他端には頭部25cが形成されているので、反力によって固定カム部材26が右方に押圧されると共に、チルトブラケット22の右側の締付け板部21bが左方に押圧される。このため、チルトブラケット22の締付け板部21b間の間隔が狭められることにより、ディスタンスブラケット23を強固に挟持するロック状態となる。
このように、本実施形態は、固定カム部材26のストッパー部26b及び可動カム部材27のストッパー部27bの少なくとも何れか一方に隣接するように緩衝部材50を設けた。このとき、緩衝部材50が設けられる位置は、固定カム部材26の切り欠き部26cに遊嵌された可動カム部材27のストッパー部27bと、そのストッパー部27bを基準としてクランプ機構を締め付ける向きに位置されるストッパー部26bとの間である。
したがって、チルトレバー28が回動して固定カム部材26及び可動カム部材27をロック状態(図7(b)参照)から、アンロック状態(図7(a)参照)にする際、ストッパー部26b,27b間に緩衝部材50が介在する。その結果、クランプ機構の締付を解除した際に生じる打音を低減し、カム山(カム突起)の高さを変えることなく、操作性の高いステアリング装置を提供することができる。
(他の実施形態)
次に、ステアリング装置の他の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
図8は、ステアリング装置の他の実施形態におけるクランプ機構の構成を示す分解斜視図である。また、図9は、ステアリング装置の他の実施形態の可動カム部材及び固定カム部材の構成を示す図であり、(a)は可動カム部材及び固定カム部材を可動カム部材側から見た分解斜視図、(b)は緩衝部材を取り付けた可動カム部材をボスが形成された側から見た平面図、(c)は可動カム部材及び固定カム部材を固定カム部材側から見た分解斜視図、(d)は緩衝部材を取り付けた可動カム部材をカム面側から見た平面図、(e)は固定カム部材をカム面側から見た平面図である。
クランプ機構24は、図8に示すように、チルトボルト25と、固定カム部材26及び回動可能な可動カム部材27と、可動カム部材27と一体的に回動するチルトレバー28とを備えている。なお、可動カム部材27には緩衝部材50が取り付けられる。
チルトボルト25は、チルトブラケット22のチルト孔22a、及びディスタンスブラケット23の孔を貫通する軸体であり、一方の端部に雄ねじ部25aが設けられ、他方の端部に頭部25cが設けられている。チルトブラケット22の締付け板部21bから突出する雄ねじ部25aにはナット25bが螺合されている。また、固定カム部材26及び回動可能な可動カム部材27は、このチルトボルト25の回りで、頭部25cとチルトブラケット22との間に配設されたチルトボルト25に対して軸力を付与する。
<カム部材>
次に、本実施形態のステアリング装置に用いられるカム部材(固定カム部材及び可動カム部材)について図9を参照して説明する。
[固定カム部材]
固定カム部材26は、図9(a),(c),(e)に示すように、略平板形状の部材(後述するストッパー部26b)に画成した円板形状の部分の中心位置に形成されたチルトボルト25が挿通するボルト貫通孔29と、可動カム部材27と対面するカム突起形成面26aに同一円周上に並んで形成された複数のカム突起30とを備えている。ここで、カム突起30を形成した面に対して反対側の面には、チルトブラケット22の締付け板部21bに形成したチルト孔22aに嵌入される構造が形成されている。なお、本実施形態のステアリング装置に用いられる固定カム部材26は、ブラケット固定用の摩擦多板に抱きかかえられる構造を一例として図9(c)に示したものであるため、ボスを有していない。
図9(e)に示すように、固定カム部材26の複数のカム突起30は全て同一形状であり、前述の実施形態(図4参照)と同様に、ボルト貫通孔29の軸方向から見て略扇形状をなしている。
カム突起30は、平坦カム面30aと、第1傾斜カム面30bと、第2傾斜カム面30cとを有する。
平坦カム面30aは、カム突起形成面26aに対して同一高さで突出して平滑面形状をなす面である。また、第1傾斜カム面30bは、ボルト貫通孔29の軸方向を基準に第1の周方向(図中Aで示す)に向かうに従い下り傾斜を付けて(カム突起30の突出高さが徐々に減少する方向に)平坦カム面30aから連続して形成された面である。また、第2傾斜カム面30cは、他方の周方向(第1の周方向と反対の方向)に向かうに従い下り傾斜を付けて平坦カム面30aから連続して形成された面である。ここで、第1傾斜カム面30bは、カム突起形成面26aに対して、第2傾斜カム面30cよりも大きな角度(80°〜90°)をなす面であり、本実施形態では「背面(30b)」ということがある。
また、固定カム部材26には、図9(a)、(c),(e)に示すように、カム突起形成面26aの外周縁部に沿って突出し、平板状に延設された2つのストッパー部(第1ストッパー部)26b,26bが形成されている。よって、これら2つのストッパー部26b,26b間には切り欠き部(第1切り欠き部)26cが形成されている。
すなわち、固定カム部材26と可動カム部材27とを重ね合わせたときには、切り欠き部26cに、後述する可動カム部材27のストッパー部27bが配置され、ストッパー部27bの可動範囲が上記切り欠き部26cの周方向の範囲内に制限されることになる。
[可動カム部材]
可動カム部材27は、図9(a)〜(d)に示すように、略円板形状をなし、ボルト貫通孔32と、複数のカム突起33と、ボス34とを備えている。ボルト貫通孔32は、可動カム部材27の中心位置に貫通して形成され、チルトボルト25が挿通される貫通孔である。複数のカム突起33は、固定カム部材26と対面するカム突起形成面27aに同一円周上に並んで形成される。また、ボス34は、複数のカム突起33が形成されたカム突起形成面27aに対して反対側の面に形成され、チルトレバー28に形成した角孔28aに嵌入される部材である。
図9(c),(d)に示すように、可動カム部材27の複数のカム突起33も全て同一形状であり、上述の実施形態(図5参照)と同様に、ボルト貫通孔32の軸方向から見て略扇形状をなし、平坦カム面33aと、第1傾斜カム面33bと、第2傾斜カム面33cとを有する。
平坦カム面33aは、カム突起形成面27aに対して同一高さで突出している平滑面形状の面である。また、第1傾斜カム面33bは、ボルト貫通孔32の軸方向を基準に第2の周方向(図中Bで示す)に向かうに従い下り傾斜を付けて(カム突起33の突出高さが徐々に減少する方向に)平坦カム面33aから連続して形成されたである。また、第2傾斜カム面33cは、他方の周方向(第2の周方向と反対の方向)に向かうに従い下り傾斜を付けて第1傾斜カム面33bから連続して形成された面である。
なお、固定カム部材26における第1の方向と、可動カム部材27における第2の方向とは、それぞれのカム突起が形成された面を対向させて固定カム部材26と可動カム部材27とを重ね合わせた態様(図10,11参照)において互いに反対の方向となる。
また、第1傾斜カム面33bは、カム突起形成面27aに対して、第2傾斜カム面33cよりも大きな角度(80°〜90°)をなす面であり、本実施形態でも「背面(33b)」ということがある。
[ストッパー部]
また、可動カム部材27には、図9(b)〜(d)に示すように、カム突起形成面27aの外周縁部に沿って突出した2つのストッパー部(第2ストッパー部)27b,27bが形成されている。これらストッパー部27b,27bは、固定カム部材26のストッパー部(第1ストッパー部)26bよりも周方向の長さが短く形成されている。
さらに、ストッパー部27bは、2つのストッパー部26b,26b間に形成された切り欠き部26cに配置されるように、固定カム部材26と可動カム部材27とが重ね合わせられる。すなわち、ストッパー部27bの可動範囲が切り欠き部26cの周方向の範囲内に制限されることになる。
ここで、切り欠き部26cの周方向の範囲内に制限されるストッパー部27bの可動範囲とは、チルトレバー28を図1の2点鎖線で示す位置(アンロック位置)と実線で示す位置(ロック位置)との間で回動させたときの固定部材26に対する可動部材27の回動範囲である。このチルトレバー28を上記クランプ位置から上記アンロック位置に回動する場合においては、カム突起30に当接していたカム突起33をカム突起形成面26aへ移動させるため、カム突起30の背面30bとカム突起33の背面33bとが近づき、衝突することがある。そのため、切り欠き部26cを形成するストッパー部26bの周方向の形成範囲は、カム突起30の背面30bとカム突起33の背面33bとが衝突しないように設計されている。
また、図9(c)に示すように、可動カム部材27のカム形成面27aの周縁部の互いに対向する位置には、4つの切り欠き部(第2切り欠き部)27cが形成されている。これら4つの切り欠き部(第2切り欠き部)27cは、後述する緩衝部材と共に、固定カム部材26及び可動カム部材27の回転中心に対して180°の点対称に配置されることが好ましい。
[緩衝部材]
ここで、可動カム部材27には、ストッパー部27bを基準として、固定カム部材26と組み合わせてクランプ機構による締め付けがなされる向き(図9(a)〜(d)内の「B」で示す向き)に配置され、ストッパー部27bに当接する緩衝部材50が設けられている。この緩衝部材50は、可動カム部材27の外周面に嵌合する筒状の外輪部51に連結されている。また、外輪部51の内周面には、可動カム部材27の外周面に形成された切り欠き部27dに係合し、緩衝部材50に軸方向に連通する嵌合部51bが設けられている。
また、係合部51aは、第2切り欠き部27cに係合した状態で、カム突起形成面27aよりもクランプ機構24をアンロックしたときのクランプ機構24の隙間の総和よりも小さく、かつカム突起形成面27aよりも高く、すなわち、カム突起形成面27aよりも微小に高くしておくことで、平坦カム面33aが、カム突起形成面27aに衝突することも防止できる。
この場合、緩衝部材50が十分衝突音を低減できれば、係合部51aの高さをカム突起形成面27aの高さと一致させてもよい。いずれの場合にも、カム山(カム突起)の高さを高くする必要がない。
また、外輪部51の内周面には、切り欠き部27cの設置位置に対応して、径方向内側に突出して切り欠き部27cに係合可能とされた4つの係合部51aが設けられている。すなわち、緩衝部材50に連結された外輪部51の内周面を可動カム部材27の外周面に嵌合させると共に、切り欠き部27cに係合部51aを係合させることで、可動カム部材27に対する緩衝部材50の周方向の位置ズレを防ぐことができる。
また、前述したように、緩衝部材50及び4つの切り欠き部(第2切り欠き部)27cを、固定カム部材26及び可動カム部材27の回転中心に対して180°の点対称に配置することによって、可動カム部材27に緩衝部材50を嵌合する位相が入れ替わっても、組み付けが可能となる。
ストッパー部27bを基準として、クランプ機構による締め付けがなされる方向に配設された緩衝部材50は、後述するように、固定カム部材26と可動カム部材27とを組み合わせ、アンロック状態としたとき、ストッパー部26bとストッパー部27bとの間に介在することとなる。したがって、クランプ機構による締め付けが解除される際、チルトブラケット22の反力によるチルトレバー28の慣性で生じうるエネルギーを緩衝部材50の圧縮により吸収し、結果として衝突音を低減することができる。
緩衝部材50は、ストッパー部26bとストッパー部27bとに挟まれて圧縮されるように配置されるため、引張りで使用する時のような破断破損が無く、耐久性が高いことが要求される。そのため、緩衝部材50の材料としては、弾性を有し、耐熱性、耐疲労性、耐オゾン性、耐炎性をはじめ、耐油性、耐化学薬品性、機械的強度等が高い材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。緩衝部材50の材料としては、例えば、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)などの合成樹脂、エラストマーなどの合成ゴムが挙げられる。エラストマーなどの合成ゴムとしては、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、熱硬化性樹脂系エラストマーのウレタンゴムの一部、シリコーンゴム、フッ素ゴム、などのゴム材料を採用することにより、打音をより防止できる。また、緩衝部材50の材料は、ガラスなどのフィラーが添加されてもよい。緩衝部材50は一体成型やインサート成型で作製されることが好ましい。
なお、緩衝部材50が有する弾性は、後述するように、固定カム部材26のストッパー部26bと可動カム部材27のストッパー部27bとの間に緩衝部材50が挟まれた際にストッパー部26bとストッパー部27bとのメタルコンタクトによって発生する打音を低減すれば程度は問わない。
また、固定カム部材26及び可動カム部材27のカム突起形成面26a,27aには、摩耗防止のためのグリースが塗布されている。
そして、固定カム部材26の平坦カム面30aと可動カム部材27のカム突起形成面27aとを対向させ、同様に固定カム部材26の第2傾斜カム面30cと可動カム部材27の第2傾斜カム面33cとをそれぞれ対向した状態で、チルトレバー28を図1の2点鎖線で示す位置に係合する。このとき、固定カム部材26のストッパー部26bと可動カム部材27のストッパー部27bとは、緩衝部材50を介して周方向に対向するように位置される(図10(a),(b)参照)。
そして、チルトボルト25をチルトレバー28に形成した挿通孔28b、固定カム部材26のボルト貫通孔29、チルトブラケット22の締付け板部21bに形成したチルト孔22a、ディスタンスブラケット23の貫通孔23aに挿通する。
さらに、頭部25c側に挿通したスラストベアリング45を、座金46を介してチルトレバー28の可動カム部材27とは反対側の端面に当接させた状態で、チルトボルト25のチルトブラケット22から突出した雄ねじ部にナット25bを螺合することでクランプ機構24を構成する。
(クランプ機構の動作)
次に、本実施形態におけるクランプ機構の動作について説明する。
図10は、ステアリング装置の他の実施形態においてクランプ機構の解除動作(解除完了状態)を説明する図であり、(a)は可動カム部材側から見た平面図、(b)は固定カム部材側から見た平面図である。また、図11は、ステアリング装置の他の実施形態においてクランプ機構の締め付け動作(締め付け完了状態)を説明する図であり、(a)は可動カム部材側から見た平面図、(b)は固定カム部材側から見た平面図である。
チルトレバー28が図1の2点鎖線位置に位置すると、固定カム部材26のカム突起(図示せず)と可動カム部材27のカム突起33とが軽く接触する状態となり、緩衝部材50が固定カム部材26のストッパー26bに当たった状態となる。すなわち、チルトボルト25の軸力が減少するアンロック位置となる(図10(a),(b)参照)。
このアンロック位置では、固定カム部材26及び可動カム部材27によるチルトボルト25に対する軸力が発生していないので、チルトブラケット22の締付け板部21b,21bとディスタンスブラケット23との間には僅かな隙間が生じるか又は軽く接触した状態となる。この状態において、ステアリングホイール4を把持して上下方向に移動させることにより、ステアリングコラム2がチルトピン13を中心にして上下方向に移動することによって、運転者の好みの位置に移動させることができる。
そして、チルトレバー28を図1の2点鎖線位置(アンロック位置)から図1の実線で示すロック位置まで回動させる。
このロック位置までチルトレバー28が回動すると、図11(a),(b)に示すように、チルトレバー28に連動する可動カム部材27のストッパー27bが固定カム部材26のストッパー26bに当たった状態となる。すなわち、図9(d),(e)における、可動カム部材27の平坦カム面33aが固定カム部材26の平坦カム面30aに摺動して当接する。このように、固定カム部材26及び可動カム部材27の平坦カム面30a,33a同士が当接すると、チルトボルト25に対して軸力が発生する。
このとき、図2に示すように、チルトボルト25は一端がナット25bによってチルトブラケット22の右端側に固定され、他端には頭部25cが形成されているので、反力によって固定カム部材26が右方に押圧されると共に、チルトブラケット22の右側の締付け板部21bが左方に押圧される。このため、チルトブラケット22の締付け板部21b間の間隔が狭められることにより、ディスタンスブラケット23を強固に挟持するロック状態となる。
このように、本実施形態は、上述の実施形態に加えて、緩衝部材を可動カム部材に固定する係合部を4つ設けて、可動カム部材の切り欠き部に嵌合させる構成を採用した。したがって、1つの緩衝部材に対し、2つの係合部が作用するので、チルトレバーの操作によって緩衝部材が荷重を受けても外輪部がねじれ難くなり、結果として、クランプ機構の締付を解除した際に生じる打音の低減に加えて、操作性がさらに高いステアリング装置を提供することができる。
以上、本発明に係るステアリング装置について説明したが、本発明に係るステアリング装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。例えば、上述の実施形態においては、可動カム部材に緩衝部材を設けたが、固定カム部材に設けてもよく、固定カム部材及び可動カム部材のそれぞれに設けてもよい。また、第2切り欠き部も可動カム部材と同様に固定カム部材に設けてもよい。
また、上述の実施形態におけるディスタンスブラケット23の貫通孔23aを、コラム軸方向に延びる長孔に変更することによって、テレスコピック方向の調整機構にも本発明を適用することができる。すなわち、本発明は、チルト機構のみを備える場合、テレスコピック機構のみを備える場合の他、チルト機構及びテレスコピック機構の双方を備えた場合にも適用可能であり、チルト機能やテレスコピック機能等の位置調整機能を有するステアリングコラム装置に本発明を適用し得るものである。
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例または実施形態も網羅すると解すべきである。
1…ステアリング装置、2…ステアリングコラム、3…ステアリングシャフト、4…ステアリングホイール、5…ユニバーサルジョイント、6…ユニバーサルジョイント、7…中間シャフト、9…ステアリングコラム、10…ロアブラケット、11…チルトピン、13…チルトピン、20…チルト機構、21a…車体側取付け部、21b…締付け板部、22…チルトブラケット、22a…チルト孔、23…ディスタンスブラケット、23a…貫通孔、24…クランプ機構、25…チルトボルト、25a…雄ねじ部、25b…ナット、25c…頭部、26…固定カム部材、26a…カム突起形成面、26b…ストッパー部、26c…切り欠き部、27…可動カム部材、27a…カム突起形成面、27b…ストッパー部、27c…切り欠き部、28…チルトレバー、28a…角孔、28b…挿通孔、29…ボルト貫通孔、30…カム突起、30a…平坦カム面、30b…第1傾斜カム面(背面)、30c…第2傾斜カム面、31…ボス、32…ボルト貫通孔、33…カム突起、33a…平坦カム面、33b…第1傾斜カム面(背面)、33c…第2傾斜カム面、34…ボス、45…スラストベアリング、46…座金、50…緩衝部材、51…外輪部、51a…係合部、51b…嵌合部

Claims (8)

  1. ステアリングコラムを支持する車体取付けブラケットに橋架された軸杆と、互いに対峙したカム突起を係合させて前記軸杆を互いに協働して軸方向に移動させる固定カム部材及び可動カム部材と、前記可動カム部材を可動させる操作レバーとを有するクランプ機構を備え、
    前記固定カム部材のカム突起が形成されたカム突起形成面の外縁部に周方向に沿って突出した複数の第1ストッパー部と、それら複数の第1ストッパー部間に形成された第1切り欠き部に遊嵌されるように前記可動カム部材のカム突起が形成されたカム突起形成面の外縁部に周方向に沿って突出した複数の第2ストッパー部との間に緩衝部材を設け、
    前記緩衝部材は、前記固定カム部材及び前記可動カム部材の少なくとも何れか一方の外周面に嵌合する外輪部に連結されたことを特徴とするステアリング装置。
  2. 前記緩衝部材は、前記操作レバーを解除方向に操作したときに、前記第1ストッパーと前記第2ストッパーとに挟まれることで、前記操作レバーを解除したときの慣性による前記第1ストッパーと前記第2ストッパーとの接触を防止する請求項1に記載のステアリング装置。
  3. 前記固定カム部材及び前記可動カム部材の少なくとも何れか一方の外周面に第2切り欠き部が複数設けられ、これら複数の第2切り欠き部のそれぞれに係合する複数の係合部が前記外輪部の内周面に設けられた請求項1に記載のステアリング装置。
  4. 前記緩衝部材は、前記固定カム部材及び前記可動カム部材の回転中心に対して180°の点対称に配置される請求項1又は2に記載のステアリング装置。
  5. 記係合部は、前記固定カム部材及び前記可動カム部材の回転中心に対して180°の点対称に配置される請求項3に記載のステアリング装置。
  6. 前記係合部は、第2切り欠き部に係合した状態で、前記カム突起形成面と一致している請求項3に記載のステアリング装置。
  7. 前記係合部は、第2切り欠き部に係合した状態で、前記カム突起形成面よりも高く、かつ前記クランプ機構が解除されたときの隙間の総和よりも小さい請求項3に記載のステアリング装置。
  8. 前記緩衝部材が合成樹脂からなり、一体成型される請求項1〜4の何れか一項に記載のステアリング装置。
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