JP5958888B2 - ステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ステアリング装置に関する。
車両のステアリング装置には、ステアリングホイールのシャフトを保持するコラムを車両本体に対し動かして、ステアリングホイールのチルト位置やテレスコ位置を調整する機構を有するものがある。
上述の位置調整機構は、ステアリングホイールの近くに配置されたレバーを回動させて、コラムを固定したり固定解除するものが一般的である。このような位置調整機構は、カムなどの機械的な伝達機構を用いてコラムの固定や固定解除を行うため、ガタやそのガタ音が生じやすい。
そこで、例えば特許文献1には、固定カムにフレキシブルタブを突出させ、当該フレキシブルタブと可動カムとの間に摩擦力を生じさせ、レバー締め付け時や解除時のガタやそのガタ音を軽減する技術が開示されている。
欧州特許出願公開第1795425号明細書
しかしながら、上述の技術では、大きな荷重で可動カムをフレキシブルタブに押し付ける必要があり、ガタやそのガタ音を十分に軽減するのは難しい。また、フレキシブルタブがカムの動きを妨げ、レバーの操作性に影響を与える可能性もある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、レバーの操作性に影響することなく、ステアリングホイールの位置調整時のガタやそのガタ音を簡単かつ十分に軽減できるステアリング装置を提供することをその目的とする。
上記目的を達成するために本発明の一態様は、ステアリングホイールのシャフトを保持するコラムを車両本体に対し動かして、ステアリングホイールの位置を調整可能なステアリング装置であって、前記コラムを車両本体に対し固定及び固定解除するための回動レバーと、前記回動レバーの回動をその回動の軸方向の運動に変えて前記コラムを固定及び固定解除するカムと、前記カムを保持し、前記回動レバーの回動時に前記カムとの間で摺動するスリーブと、前記スリーブと前記カムの摺動面との間に生じる摩擦力、または前記スリーブと前記回動レバーとの間に生じる摩擦力の少なくともいずれかの摩擦力を上げるガタ軽減部材と、を有する、ステアリング装置を含む。
また、本発明の別の態様として、ステアリングホイールのシャフトを保持するコラムを車両本体に対し動かして、ステアリングホイールの位置を調整可能なステアリング装置であって、前記コラムを車両本体に対し固定及び固定解除するための回動レバーと、前記回動レバーの回動をその回動の軸方向の運動に変えて前記コラムを固定及び固定解除するカムと、前記カムを保持し、前記回動レバーの回動時に前記カムとの間で摺動するスリーブと、前記スリーブを前記カムの摺動面に押し付ける押付け部材と、を有する、ステアリング装置を含む。
上記構成によれば、押付け部材によりスリーブとカムとの間の摺動面に作用する摩擦力を上げることができるので、レバーの操作性に影響することなく、ステアリングホイールの位置調整時のガタやそのガタ音を簡単かつ十分に軽減できる。
前記ステアリング装置において、前記カムは、前記回動レバーと共に回転する可動カムと、当該可動カムの回転により前記軸方向に動く固定カムとを有し、前記スリーブは、前記可動カムとの間で摺動し、前記押付け部材は、前記スリーブを前記可動カムの摺動面に押し付けるものであってもよい。
前記スリーブは、前記可動カムを内側に収容する環状に形成され、前記押付け部材は、前記スリーブの外周面に取り付けられていてもよい。
前記スリーブと前記カムとの間の摺動面には、グリースが塗布されていてもよい。
前記スリーブには、前記回動レバー、或いは前記回動レバーと前記スリーブとの間に介在される介在部材と摺動する摺動部が設けられていてもよい。
前記回動レバー或いは前記介在部材が円板状部を有し、前記摺動部は、前記円板状部が嵌め込まれる円弧状の溝を有するものであってもよい。
前記摺動部にグリースが塗布されていてもよい。
前記押付け部材は、弾性部材であってもよい。
また、本発明の別の態様として、ステアリングホイールのシャフトを保持するコラムを車両本体に対し動かして、ステアリングホイールの位置を調整可能なステアリング装置であって、前記コラムを車両本体に対し固定及び固定解除するための回動レバーと、前記回動レバーの回動をその回動の軸方向の運動に変えて前記コラムを固定及び固定解除するカムと、前記カムを保持し、前記回動レバーの回動時に前記カムとの間で摺動するスリーブと、を有し、前記スリーブは、前記回動レバー、或いは前記回動レバーと前記スリーブとの間に介在される介在部材の一部がはめ込まれて摺動する摺動部を有し、前記摺動部には、当該摺動部を外側から挟んで、前記摺動部と回動レバー或いは介在部材との間の摩擦力を上げる把持部材が取り付けられている、ステアリング装置を含む。
上記構成によれば、把持部材により、スリーブの摺動部と回動レバー或いは介在部材との間の摩擦力を上げることができるので、レバーの操作性に影響することなく、ステアリングホイールの位置調整時のガタやそのガタ音を簡単かつ十分に軽減できる。
上記ステアリング装置は、前記回動レバー或いは前記介在部材が円板状部を有し、前記摺動部は、前記円板状部の周方向に沿った円弧状に形成されているものであってもよい。
前記摺動部内にグリースが塗布されていてもよい。
前記把持部材は、弾性部材であってもよい。
本発明によれば、レバーの操作性に影響することなく、ステアリングホイールの位置調整時のガタやそのガタ音を簡単かつ十分に軽減できる。
ステアリング装置の構成の概略を示す図である。 ステアリング装置のコラム周辺構造を示す斜視図である。 コラム周辺構造を示す縦断面の説明図である。 コラム周辺構造の分解図である。 回動レバー側のインナースリーブ周辺構造を示す縦断面の説明図である。 押圧板側のインナースリーブ周辺構造を示す縦断面の説明図である。 カム周辺構造を示す縦断面の説明図である。 カム周辺構造の組み立て状態を示す斜視図である。 カム周辺構造の分解図である。 介在部材を有するカム周辺構造の組み立て状態を示す斜視図である。 図9のカム周辺構造の分解図である。 カム周辺構造を示す縦断面の説明図である。 カム周辺構造の組み立て状態を示す斜視図である。 カム周辺構造の分解図である。 介在部材を有するカム周辺構造の組み立て状態を示す斜視図である。 図14のカム周辺構造の分解図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、図面の上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。さらに、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
A.第1実施形態
図1は、第1実施形態に係るステアリング装置1の全体構成の一例を示す。
ステアリング装置1は、例えばステアリングホイールHにより付与された操舵トルクを伝達するステアリングシャフトなどからなる回転軸10と、当該回転軸10に電動モータ11により補助操舵トルクを付与する電動アシスト機構12と、補助操舵トルクが付与された回転軸10の出力側に接続された中間シャフト13と、車輪を操舵するタイロッド14と、中間シャフト13の操舵力をタイロッド14に伝達するラックピニオン式のステアリングギア15等を有している。
運転者がステアリングホイールHを回転操作すると、その回転力が、回転軸10、中間シャフト13に伝達され、さらにステアリングギア15を介してタイロッド14に伝達されて、車輪の操舵角を変えることができる。
また、電動アシスト機構12は、運転者により回転軸10に付与される操舵トルクに応じて電動モータ11を駆動して、回転軸10に補助操舵トルクを付与できる。
本実施の形態に係るステアリング装置1は、ステアリングホイールHの回転軸(シャフト)10を保持するコラム20を車両本体に対し動かして、ステアリングホイールHのチルト位置(上下方向の位置)とテレスコ位置(前後方向の位置)を調整可能なものである。以下、このステアリング装置1におけるチルト位置及びテレスコ位置の調整機構について説明する。
例えば図2に示すようにステアリング装置1のコラム20は、中間シャフト13側の回転軸10(下部ステアリングシャフト)を内部に回転自在に支持する円筒状のロアーコラム(インナーコラム)40と、ステアリングホイールH側の回転軸10(上部ステアリングシャフト)を内部に回転自在に支持する円筒状のアッパーコラム(アウターコラム)41を備えている。
アッパーコラム41は、テレスコ位置を調整可能なようにロアーコラム40の外周に軸方向に摺動可能に嵌め込まれている。
アッパーコラム41は、車両本体に固定されたブラケット50に支持されている。例えば図3及び図4に示すようにブラケット50は、アッパーコラム41を左右方向(車幅方向)の両側から把持する一対の側板60、61を有している。この側板60、61には、左右方向に貫通し、上下方向に長い長孔62、63がそれぞれ形成されている。
アッパーコラム41の上部には、ブラケット50の側板60、61の内側に当接する左右一対の上板70、71が設けられている。上板70、71には、左右方向に貫通し、前後方向に長い長孔72、73が形成されている。
図3に示すようにアッパーコラム41をブラケット50の側板60、61の間に把持した状態で、ロッド80が、ブラケット50の側板60、61の長孔62、63とアッパーコラム41の上板70、71の長孔72、73を左右方向に貫通している。
アッパーコラム41の長孔72、73の左右方向の外側は、内側の径よりも大きい大径部となっており、当該大径部には、ロッド80が挿通する円筒状のカラー90と、コイルバネ91が嵌め込まれている。ロッド80に沿ったコイルバネ91の外側には、インナースリーブ92が設けられている。インナースリーブ92は、図5に示すように径の大きいフランジ部92aと、筒状部92bを有し、フランジ部92aはコイルバネ91に当接している。
ブラケット50の側板60の外側(図3及び図4の右側)には、図4に示すようにロッド80に沿って複数枚の環状薄板100と、複数枚のチルト用摩擦板101と、複数枚のテレスコ用摩擦板102と、押圧板103と、スラストベアリング104と、ナット105が設けられている。テレスコ用摩擦板102は、例えばチルト用摩擦板101の間に配置されている。また、環状薄板100は、チルト用摩擦板101の間、及び最も内側のチルト用摩擦板101の内側に配置されている。
チルト用摩擦板101は、上下方向に長い長孔101aを有し、ブラケット50の側板60に設けられたピン110に固定されている。テレスコ用摩擦板102は、前後方向に長い長孔102aを有し、アッパーコラム41に設けられたピン111に固定されている。インナースリーブ92の筒状部92bは、図5Bに示すように環状薄板100の孔と、チルト用摩擦板101の長孔101a及びテレスコ用摩擦板102の長孔102aに挿通し、外側の端部が押圧板103に当接している。
ブラケット50の側板61の外側(図3及び図4の左側)には、図4に示すようにロッド80に沿って複数枚の環状薄板100と、複数枚のチルト用摩擦板101と、固定カム120と、可動カム121と、スリーブ122と、回動レバー123と、ワッシャー130及びナット131が設けられている。環状薄板100は、チルト用摩擦板101の間、及び最も内側のチルト用摩擦板101の内側に配置されている。
チルト用摩擦板101は、ブラケット50の側板61に設けられたピン110に固定されている。インナースリーブ92の筒状部92bは、図5Aに示すように環状薄板100の孔とチルト用摩擦板101の長孔101aに挿通し、外側の端部が固定カム120に当接している。
図6に示すように固定カム120は、可動カム121とカム面において噛み合い、スリーブ122が固定カム120と可動カム121を外周から保持している。スリーブ122の外周面には、環状の押付け部材としてのリングバネ125が設けられている。回動レバー123は、可動カム121に固定され、外側からワッシャー130とナット131で締め付けられている。
ここで、固定カム120、可動カム121、スリーブ122、回動レバー123及びリングバネ125の構成をより詳細に説明する。図7は、これらの部分の組み立て図であり、図8はその分解図である。
固定カム120は、略方形に形成され、ロッド80の軸方向の外側にカム面(可動カム121と当接する面)を有している。可動カム121は、円形の外周面を有する略円板状に形成され、内側にカム面を有している。固定カム120と可動カム121は、周方向に山部と谷部が交互に配置されたカム面を有し、可動カム121が固定カム120に対して回転し、互いの山部が重なると、固定カム120がロッド80に沿ってアッパーコラム41側(内側)に押される。一方、可動カム121と固定カム120の互いの山部と谷部がかみ合うと、固定カム120がロッド80に沿って外側に戻される。
可動カム121は、例えば固定カム120側に突出する回転規定部121aを有し、所定角度回転すると回転規定部121aが固定カム120のストッパ120aにあたり、回転角度を所定の範囲に規制できる。これにより、可動カム121は、固定カム120に対し、山部同士が重なる位置と、山部と谷部が重なる位置との間で回転する。
また、可動カム121の回動レバー123側の面には、例えば方形状の突出部121bが設けられている。回動レバー123は、運転者が保持しやすい細長形状に形成され、先端に円板状部123aを有している。円板状部123aの中央には、方形状の孔123bが形成されている。可動カム121の突出部121bは回動レバー123の孔123bに嵌め込まれて、回動レバー123と可動カム121が一体的に回動する。
スリーブ122は、略リング状に形成されている。スリーブ122は、図6に示すように可動カム121の外径に合う内壁部122aを有し、その内壁部122aに可動カム121を摺動自在に収容している。可動カム121の外周面とスリーブ122の内壁部122aの内周面は、摺動面となり、この摺動面にグリースAが塗布されている。グリースAとして、例えば高粘度のグリース、好ましくは動粘度の温度変化が小さいグリースが用いられる。
リングバネ125は、スリーブ122の外周面よりわずかに小さい内径を有している。このリングバネ125により、スリーブ122が内側に締め付けられ変形し、スリーブ122をその内側の可動カム121側に押圧し押し付け、スリーブ122と可動カム121との間の摺動面に生じる摩擦力を大きくしている。
スリーブ122は、固定カム120と嵌り合う形状になっている。スリーブ122は、固定カム120に対し回転方向に固定され、軸方向に移動自在になるように固定カム120に係止されている。
スリーブ122は、図6〜図8に示すように回動レバー123側の面に、回動レバー123の円板状部123aがはめ込まれて摺動する摺動部122bを有している。摺動部122bは、スリーブ122の外周部から回動レバー123側に向けて突出し、その内側に図6に示す凹状の溝122cを有している。摺動部122b及び溝122cは、スリーブ122の周方向に沿った円弧状に形成されている。溝122cには、回動レバー123の円板状部123aが回転自在に嵌め込まれている。また溝122cには、グリースAが塗布されている。
回動レバー123は、ワッシャー130及びナット131によりスリーブ122及び可動カム121に対し締め付けられている。
次に、以上のように構成されたステアリングホイールHのチルト位置及びテレスコ位置の調整機構の動作について説明する。回動レバー123を固定(ロック)側(例えば上方)に回動させると、可動カム121が固定カム120に対し回転し、互いのカム面の山部同士が重なり、固定カム120がロッド80に沿ってアッパーコラム41側(内側)に移動する。固定カム120が内側に移動すると、図5Aに示すように固定カム120がチルト用摩擦板101等を内側に押し、ブラケット50の側板61を内側に弾性変形させる。
また、固定カム120が内側に移動すると、ロッド80が回動レバー123側に引っ張られ、押圧板103がアッパーコラム41側(内側)に移動する。これにより、図5Bに示すように押圧板103がチルト用摩擦板101等を内側に押し、ブラケット50の側板60を内側に弾性変形させる。
この結果、アッパーコラム41がブラケット50の両側の側板60、61に強く把持され、ステアリングホイールHの位置が固定される。
一方、回動レバー123を固定解除(アンロック)側(例えば下方)に移動させると、可動カム121が固定カム120に対し回転し、互いのカム面の山部と谷部が重なり、コイルバネ91の付勢力により、固定カム120が回動レバー123側(外側)に移動する。固定カム120が外側に移動すると、固定カム120に押されていたチルト用摩擦板101等が外側の元の位置に戻り、内側に弾性変形していたブラケット50の側板61も元の位置に戻る。
また、固定カム120が外側に移動すると、ロッド80が回動レバー123の反対側に移動する。これにより、チルト用摩擦板101等を押していた押圧板103が外側の元の位置に戻り、内側に弾性変形していたブラケット50の側板60も元の位置に戻る。
この結果、アッパーコラム41がブラケット50の側板60、61の把持から解放され動けるようになる。
アッパーコラム41がブラケット50の把持から解放された状態で、ステアリングホイールHに上下方向の力を加えると、アッパーコラム41が、ブラケット50の側板60、61の長孔62、63に沿って上下に移動し、これによってステアリングホイールHのチルト位置を調整できる。
また、ステアリングホイールHに前後方向の力を加えると、アッパーコラム41が、アッパーコラム41の上板70、71の長孔72、73に沿って前後に移動し、これによってステアリングホイールHのテレスコ位置を調整できる。
本実施の形態によれば、ステアリングホイールHの位置調整のために回動レバー123を回動させる際に、可動カム121がスリーブ122に対し摺動する。そして、リングバネ125によりスリーブ122の外周面を押さえ、スリーブ122を可動カム121に押し付けているので、その可動カム121とスリーブ122の間の摺動面の摩擦力が上がる。この結果、ステアリングホイールHの位置調整時にカム周辺に生じるガタやそのガタ音が簡単かつ十分に低減される。別言すれば、リングバネ125は、ステアリングホイールHの位置調整時のカム周辺に生じるガタやそのガタ音を軽減するガタ軽減部材として機能する。また、リングバネ125がスリーブ122に作用するので、回動レバー123の動きに影響を与えず、回動レバー123の操作性も十分に確保できる。
スリーブ122と可動カム121との間の摺動面にグリースAが塗布されているので、このグリースAによっても、ステアリングホイールHの位置調整時に生じるガタやそのガタ音を低減できる。
押付け部材として用いたリングバネ125には、柔軟性があり、スリーブ122に対する組み付けや交換を簡単に行うことができる。また、スリーブ122の膨縮等にも柔軟に対応できるので、例えば温度変動が大きい環境でも適切に使用できる。
また、スリーブ122に円弧状の溝122cを形成し、その溝122cに回動レバー123の円板状部123aの外周部分を嵌め込んで摺動部を形成しているので、ガタやそのガタ音を低減できる。また、その摺動部にグリースAを塗布しているので、ガタやそのガタ音をさらに低減できる。また、例えばロック解除に回動レバー123が勢いよく動くことがあるが、グリースAがダンパー的な役割を果たし、回動レバー123の加速を抑制できる。これによって、回動レバー123が運転者に激しく当たったり、回動レバー123の動きで音が発生することを防止できる。
上記実施の形態において、図9及び図10に示すように回動レバー123とスリーブ122との間に円板状の介在部材140を介在してもよい。かかる場合、介在部材140の中央に孔140aを形成し、この孔140aに可動カム121の突出部121bが嵌め込まれる。介在部材140がスリーブ122の円弧状の溝122cに嵌め込まれ、摺動部が形成される。この摺動部により、ガタやそのガタ音を低減できる。また、溝122cと介在部材140との間にグリースAを介在してもよく、この場合、ガタやそのガタ音をさらに低減できる。また、回動レバー123の操作性も十分に確保できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば以上実施の形態におけるステアリングホイールHのチルト位置及びテレスコ位置を調整する機構の構成は、これに限られず、テレスコ構造の公知の他の構成を有するものでも本発明は適用できる。例えば回動レバー123は、コラムを車両本体に対し固定及び固定解除するために回動するものであれば、他の構成を有するものであってもよい。カム120、121の構成は、回動レバー123の回転をその回転の軸方向の運動に変えてコラムを固定及び固定解除するものであれば、他の構成を有するものであってもよい。
スリーブ122は、カム120又はカム121を保持し、回動レバー123の回動時にカム120又はカム121との間で摺動するものであれば、他の構成を有するものであってもよい。その際、リングバネ125は、スリーブ122をカム120、121との摺動面に押し付けるものであればよい。スリーブ122には、リングバネ125により変形しやすいように、スリット等が設けられていてもよい。
また、押付け部材は、リングバネ125に限られず、他の形状や材質の弾性部材であってもよい。また押付け部材は、弾性部材でなくても、スリーブをカムとの摺動面に押し付けることができれば他の構成のものであってもよい。例えばネジ付きで、径を縮小できるリング等であってもよい。以上の実施の形態では、押付け部材とスリーブは、別体であったが一体であってもよい。この際押付け部材とスリーブを一体成型してもよい。
また、スリーブ122とカム120、121との摺動面にはグリースAが塗布されていなくてもよく、また塗布されていても、粘性の低いものであってもよい。同様にスリーブ122の溝122cと、回動レバー123或いは介在部材140との間にも、グリースAが塗布されていなくてもよく、また塗布されていても、粘性の低いものであってもよい。さらに、溝122cに塗布されるグリースAは、上述したスリーブ122の内壁部122aの内周面(すなわち摺動面)に塗布されるグリースAと同じものを利用することができる。もちろん、溝122cに塗布されるグリースAについて、内壁部122aの摺動面に塗布されるグリースAとは異なるものを利用しても良い。
ステアリング装置1は、チルト位置とテレスコ位置の両方を調整できるものでなくても、いずれかを調整できるものであってもよい。また、チルト位置やテレスコ位置以外のステアリングホイールの位置を調整する場合にも本発明は適用できる。また、クランプ位置は下でも良く、ロアーコラムとアッパーコラムは上下入れ替えてもよい。
B.第2実施形態
第2実施形態に係るステアリング装置1は、第1実施形態に係るリングバネ125の代わりに、バネクリップ125’が設けられている点に特徴がある。従って、第1実施形態に係るステアリング装置1と共通する図面(図1〜図5)については図示を省略するとともに、対応する部分については同一符号を付し、詳細な説明を割愛する。
図11に示すように固定カム120は、可動カム121とカム面において噛み合い、スリーブ122が固定カム120と可動カム121を外周から保持している。スリーブ122の外周部には、把持部材としてのバネクリップ125’が設けられている。回動レバー123は、可動カム121に固定され、外側からワッシャー130とナット131で締め付けられている。
ここで、固定カム120、可動カム121、スリーブ122、回動レバー123及びバネクリップ125’の構成をより詳細に説明する。図12は、これらの部分の組み立て図であり、図13はその分解図である。
固定カム120は、略方形に形成され、ロッド80の軸方向の外側にカム面(可動カム121と当接する面)を有している。可動カム121は、円形の外周面を有する略円板状に形成され、内側にカム面を有している。固定カム120と可動カム121は、周方向に山部と谷部が交互に配置されたカム面を有し、可動カム121が固定カム120に対して回転し、互いの山部が重なると、固定カム120がロッド80に沿ってアッパーコラム41側(内側)に押される。一方、可動カム121と固定カム120の互いの山部と谷部がかみ合うと、固定カム120がロッド80に沿って外側に戻される。
可動カム121は、例えば固定カム120側に突出する回転規定部121aを有し、所定角度回転すると回転規定部121aが固定カム120のストッパ120aにあたり、回転角度を所定の範囲に規制できる。これにより、可動カム121は、固定カム120に対し、山部同士が重なる位置と、山部と谷部が重なる位置との間で回転する。
また、可動カム121の回動レバー123側の面には、例えば方形状の突出部121bが設けられている。回動レバー123は、運転者が保持しやすい細長形状に形成され、先端に円板状部123aを有している。円板状部123aの中央には、方形状の孔123bが形成されている。可動カム121の突出部121bは回動レバー123の孔123bに嵌め込まれて、回動レバー123と可動カム121が一体的に回動する。
スリーブ122は、略リング状に形成されている。スリーブ122は、図11に示すように可動カム121の外径に合う内壁部122aを有し、その内壁部122aに可動カム121を摺動自在に収容している。可動カム121の外周面とスリーブ122の内壁部122aの内周面は、摺動面となり、この摺動面にグリースAが塗布されている。グリースAとして、例えば高粘度のグリース、好ましくは動粘度の温度変化が小さいグリースが用いられる。
スリーブ122は、図11〜図13に示すように回動レバー123側の面に、回動レバー123の円板状部123aがはめ込まれて摺動する摺動部122bを有している。摺動部122bは、スリーブ122の外周部から回動レバー123側に向けて突出し、その内側に図11に示す凹状の溝122cを有している。摺動部122b及び溝122cは、スリーブ122の周方向に沿った円弧状に形成されている。溝122cには、回動レバー123の円板状部123aが回転自在に嵌め込まれている。また溝122cには、グリースAが塗布されている。
バネクリップ125’は、摺動部122bを外側から挟んでいる。バネクリップ125’は、摺動部122bより短い周方向の長さを有している。このバネクリップ125’により、スリーブ122の摺動部122bが内側に押圧され変形し、摺動部122bをその内側の円板状部123aに押し付け、円板状部123aと摺動部122bとの間に生じる摩擦力を大きくしている。
スリーブ122は、固定カム120と嵌り合う形状になっている。スリーブ122は、固定カム120に対し回転方向に固定され、軸方向に移動自在になるように固定カム120に係止されている。
回動レバー123は、ワッシャー130及びナット131によりスリーブ122及び可動カム121に対し締め付けられている。
なお、以上のように構成されたステアリングホイールHのチルト位置及びテレスコ位置の調整機構の動作については、上記第1実施形態と同様に説明することができるため割愛する。
本実施の形態によれば、ステアリングホイールHの位置調整のために回動レバー123を回動させる際に、スリーブ122の摺動部122bにおいて回動レバー123の円板状部123aが摺動する。この摺動部122bをバネクリップ125’が外側から把持して押さえているので、回動レバー123とスリーブ122との間の摩擦力が上がる。この結果、ステアリングホイールHの位置調整時のカム周辺に生じるガタやそのガタ音が簡単かつ十分に低減される。別言すれば、バネクリップ125’は、ステアリングホイールHの位置調整時のカム周辺に生じるガタやそのガタ音を軽減するガタ軽減部材として機能する。また、バネクリップ125’がスリーブ122に作用するので、回動レバー123の動きに影響を与えず、回動レバー123の操作性も十分に確保できる。
摺動部122bにグリースAが塗布されているので、このグリースAによっても、ステアリングホイールHの位置調整時に生じるガタやそのガタ音を低減できる。なお、グリースAは、必ずしも塗布されている必要はない。また、例えばロック解除に回動レバー123が勢いよく動くことがあるが、グリースAがダンパー的な役割を果たし、回動レバー123の加速を抑制できる。これによって、回動レバー123が運転者に激しく当たったり、回動レバー123の動きで音が発生することを防止できる。
把持部材として用いたバネクリップ125’には、柔軟性があり、スリーブ122の摺動部122bに対する組み付けや交換を簡単に行うことができる。また、スリーブ122の膨縮等にも柔軟に対応できるので、例えば温度変動が大きい環境でも適切に使用できる。
上記実施の形態において、図14及び図15に示すように回動レバー123とスリーブ122との間に円板状の介在部材140を介在してもよい。かかる場合、介在部材140の中央に孔140aを形成し、この孔140aに可動カム121の突出部121bが嵌め込まれる。介在部材140がスリーブ122の摺動部122bの溝122cに嵌め込まれる。この摺動部122bにバネクリップ125’が取り付けられ、ステアリングホイールHの位置調整時に生じるガタやそのガタ音を低減できる。また、溝122cと介在部材140との間にグリースAを介在してもよく、この場合も、ガタやそのガタ音をさらに低減できる。また、回動レバー123の操作性も十分に確保できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば以上実施の形態におけるステアリングホイールHのチルト位置及びテレスコ位置を調整する機構の構成は、これに限られず、テレスコ構造の公知の他の構成を有するものでも本発明は適用できる。例えば回動レバー123は、コラムを車両本体に対し固定及び固定解除するために回動するものであれば、他の構成を有するものであってもよい。カム120、121の構成は、回動レバー123の回転をその回転の軸方向の運動に変えてコラムを固定及び固定解除するものであれば、他の構成を有するものであってもよい。
スリーブ122は、カム120又はカム121を保持し、回動レバー123の回動時にカム120又はカム121との間で摺動するものであれば、他の構成を有するものであってもよい。スリーブ122の摺動部122bの構成もこれに限られない。摺動部122bには、バネクリップ125’により変形しやすいように、スリット等が設けられていてもよい。
また、把持部材は、バネクリップ125’に限られず、他の形状や材質の弾性部材であってもよい。また把持部材は、弾性部材でなくても、摺動部122bを外側から押さえて、回動レバー123或いは介在部材140と摺動部122bとの間の摩擦力を上げることができれば他の構成のものであってもよい。例えばネジ等の押さえ機能の付いたクリップ等であってもよい。以上の実施の形態では、把持部材とスリーブは、別体であったが一体であってもよい。この際把持部材とスリーブを一体成型してもよい。
また、スリーブ122とカム120、121との摺動面にはグリースAが塗布されていなくてもよく、また塗布されていても、粘性の低いものであってもよい。同様にスリーブ122の摺動部122bと、回動レバー123或いは介在部材140との間にも、グリースAが塗布されていなくてもよく、また塗布されていても、粘性の低いものであってもよい。さらに、溝122cに塗布されるグリースAは、上述したスリーブ122の内壁部122aの内周面(すなわち摺動面)に塗布されるグリースAと同じものを利用することができる。もちろん、溝122cに塗布されるグリースAについて、内壁部122aの摺動面に塗布されるグリースAとは異なるものを利用しても良い。
ステアリング装置1は、チルト位置とテレスコ位置の両方を調整できるものでなくても、いずれかを調整できるものであってもよい。また、チルト位置やテレスコ位置以外のステアリングホイールの位置を調整する場合にも本発明は適用できる。またクランプ位置は下でも良く、ロアーコラムとアッパーコラムは上下入れ替えても良い。
1 ステアリング装置
10 回転軸
20 コラム
40 アンダーコラム
41 アッパーコラム
50 ブラケット
80 ロッド
120 固定カム
121 可動カム
122 スリーブ
123 回動レバー
125 リングバネ
125’ バネクリップ
A グリース
H ステアリングホイール

Claims (13)

  1. ステアリングホイールのシャフトを保持するコラムを車両本体に対し動かして、ステアリングホイールの位置を調整可能なステアリング装置であって、
    前記コラムを車両本体に対し固定及び固定解除するための回動レバーと、
    前記回動レバーの回動をその回動の軸方向の運動に変えて前記コラムを固定及び固定解除するカムと、
    前記カムを保持し、前記回動レバーの回動時に前記カムとの間で摺動するスリーブと、
    前記スリーブと前記カムの摺動面との間に生じる摩擦力、または前記スリーブと前記回動レバーとの間に生じる摩擦力の少なくともいずれかの摩擦力を上げるガタ軽減部材と、を有する、ステアリング装置。
  2. ステアリングホイールのシャフトを保持するコラムを車両本体に対し動かして、ステアリングホイールの位置を調整可能なステアリング装置であって、
    前記コラムを車両本体に対し固定及び固定解除するための回動レバーと、
    前記回動レバーの回動をその回動の軸方向の運動に変えて前記コラムを固定及び固定解除するカムと、
    前記カムを保持し、前記回動レバーの回動時に前記カムとの間で摺動するスリーブと、
    前記スリーブを前記カムの摺動面に押し付ける押付け部材と、を有する、ステアリング装置。
  3. 前記カムは、前記回動レバーと共に回転する可動カムと、当該可動カムの回転により前記軸方向に動く固定カムとを有し、
    前記スリーブは、前記可動カムとの間で摺動し、
    前記押付け部材は、前記スリーブを前記可動カムの摺動面に押し付ける、請求項2に記載のステアリング装置。
  4. 前記スリーブは、前記可動カムを内側に収容する環状に形成され、
    前記押付け部材は、前記スリーブの外周面に取り付けられている、請求項3に記載のステアリング装置。
  5. 前記スリーブと前記カムとの間の摺動面には、グリースが塗布されている、請求項2〜4のいずれかに記載のステアリング装置。
  6. 前記スリーブには、前記回動レバー、或いは前記回動レバーと前記スリーブとの間に介在される介在部材と摺動する摺動部が設けられている、請求項2〜5のいずれかに記載のステアリング装置。
  7. 前記回動レバー或いは前記介在部材が円板状部を有し、
    前記摺動部は、前記円板状部が嵌め込まれる円弧状の溝を有する、請求項6に記載のステアリング装置。
  8. 前記摺動部にグリースが塗布されている、請求項6又は7に記載のステアリング装置。
  9. 前記押付け部材は、弾性部材である、請求項2〜8のいずれかに記載のステアリング装置。
  10. ステアリングホイールのシャフトを保持するコラムを車両本体に対し動かして、ステアリングホイールの位置を調整可能なステアリング装置であって、
    前記コラムを車両本体に対し固定及び固定解除するための回動レバーと、
    前記回動レバーの回動をその回動の軸方向の運動に変えて前記コラムを固定及び固定解除するカムと、
    前記カムを保持し、前記回動レバーの回動時に前記カムとの間で摺動するスリーブと、を有し、
    前記スリーブは、前記回動レバー、或いは前記回動レバーと前記スリーブとの間に介在される介在部材の一部が嵌め込まれて摺動する摺動部を有し、
    前記摺動部には、当該摺動部を外側から挟んで、前記摺動部と回動レバー或いは介在部材との間の摩擦力を上げる把持部材が取り付けられている、ステアリング装置。
  11. 前記回動レバー或いは前記介在部材が円板状部を有し、
    前記摺動部は、前記円板状部の周方向に沿った円弧状に形成されている、請求項10に記載のステアリング装置。
  12. 前記摺動部にグリースが塗布されている、請求項10又は11に記載のステアリング装置。
  13. 前記把持部材は、弾性部材である、請求項10〜12のいずれかに記載のステアリング装置。
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