以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態においては、軸心に沿って往復移動する移動部材を制動対象とするダンパの一例として、ブレーキペダルの踏込みをアシストする電動ブレーキアクチュエータに組み込まれるダンパ9を挙げる。
図1は、本実施の形態に係るダンパ9が組み込まれた電動ブレーキアクチュエータのプッシュロッド7にブレーキペダルアーム80が取り付けられている状態の概略図であり、図2は、プッシュロッド7を含めたダンパ9の部品展開図である。また、図3(A)は、プッシュロッド7を支持したダンパ9の、ブレーキペダル踏込み前の状態(初期状態)における軸方向断面図であり、図3(B)は、図3(A)のA−A断面図である。
図示するように、本実施の形態に係るダンパ9は、ブレーキペダルが受けた踏力をブレーキシリンダ内のピストンに伝達する移動部材であるプッシュロッド7をこのプッシュロッド7の軸心Oに沿って往復移動可能に支持する直動型のダンパであり、例えば、プッシュロッド7が軸心O方向に挿入されるロッド挿入口12、13を有するハウジング(ケース2とカバー6との組立て体)1と、ハウジング1の内部(制動部収容室14)に収容され、ヒステリシス特性を有する制動力で制動対象のプッシュロッド7を制動する制動部5と、を有している。
ここで、ハウジング1は、プッシュロッド7の一部(後述のシャフト部74)を軸心O周りに囲む中空筒状の底付きケース2と、このケース2の開口部20をふさぐカバー6と、を有しており、その内部には、制動部5の収容空間として、ケース2の内壁面22および底面24とカバー6の裏面(ケース2側に向けられる面)60とに囲まれた室(制動部収容室)14が形成されている。
一方、制動部5は、プッシュロッド7の軸心O周りに放射状に配置される複数の摺動部40の摺動領域(プッシュロッド7の軸心O側に向けられる面内の領域)42でプッシュロッド7の側面(軸心Oに対して傾斜した面:傾斜面)740を支持する摺動部材4と、ハウジング1の内周面(ケース2の内壁面22)と摺動部材4の各摺動部40の外側面(ケース2の内壁面22側に向けられる面)43とにより圧縮され、ハウジング1の軸心(プッシュロッド7の軸心O)に向けて例えばハウジング1の径方向(ケース2の径方向)に摺動部材4の摺動部40を付勢する弾性体3と、を備えている。なお、弾性体3は、プッシュロッド7の軸心Oに向けて摺動部材4の摺動部40を付勢する弾性力がプッシュロッド7の軸心O周りの一部領域において弱いものであればよいが、本実施の形態においては、弾性体3として、プッシュロッド7の軸心Oに対してブレーキペダル側(図1、図3(A)における下側)においてハウジング1の内周面との間にプッシュロッド7の軸心O方向の空間36を形成する後述の柱体状のゴム部材30を備える場合を例示している。
このような構造を有するダンパ9を電動ブレーキアクチュエータに組み込むことにより、回転軸82周りに回転するブレーキペダルアーム80にクレビスジョイント81で連結されたプッシュロッド7に生じる揺動(初期状態における軸心Oに対して傾斜する方向の振動)をゴム部材30で吸収しつつ、ブレーキペダルの踏込みにより軸心Oに沿って移動するプッシュロッド7を、その姿勢変動によらず、要求されるペダル操作感に応じたヒステリシス特性を有する負荷で安定に制動することができる。以下、制動対象のプッシュロッド7と、これを支持するダンパ9の構成部品1〜6とについて詳細に説明する。
まず、制動対象のプッシュロッド7について説明する。
図4(A)は、プッシュロッド7の正面図であり、図4(B)および図4(C)は、図4(A)のB−B断面図およびC−C断面図であり、図4(D)は、プッシュロッド7の右側側面図である。
図示するように、プッシュロッド7には、その軸心Oに沿って一方の端面(以下、先端面)71側から順に、電動ブレーキアクチュエータのブレーキシリンダ内のピストンを駆動するピストン駆動部73、ダンパ9の摺動部材4の摺動部40で摺動可能に支持される側面740を有するテーパ付きのシャフト部74、およびブレーキペダルアーム80が連結されるペダルアーム連結部75が一体的に形成されている。
ピストン駆動部73は、ブレーキシリンダ内のピストン後端面に向けてハウジング1の一方のロッド挿入口12からハウジング1の外部(制動部収容室14の外部)に突き出している。ブレーキペダルの踏込みによってプッシュロッド7がブレーキシリンダに向かって移動(前進)すると、このピストン駆動部73の先端面71がピストンの後端面に突き当てられてブレーキシリンダ内でピストンが前進する。なお、このピストン駆動部73は、ブレーキシリンダ内のピストン後端面への突き当てに適した任意の形状(例えば円柱形状)を有していればよい。
シャフト部74は、ハウジング1のロッド挿入口12、13を介してハウジング1の制動部収容室14に挿入され、軸心O方向における所定長さの一部区間がハウジング1の内周面(ケース2の内壁面22)により囲まれている。このシャフト部74は、プッシュロッド7の最大ストロークよりも軸心O方向に長い、いわゆる錐台形状を有している。本実施の形態では、一例として、六角形状の断面形状を有する角錐台状のシャフト部74が形成されたプッシュロッド7を用いている。このような錐台状のシャフト部74において、それぞれの側面740は、ピストン駆動部73に近づくにしたがい軸心Oとの間隔Dが狭くなるように軸心Oに対して傾斜している。後述するように、ハウジング1の制動部収容室14において、ゴム部材30の弾性力によりこれらの側面740に摺動部材4の摺動部40が1つずつ押し当てられているため、プッシュロッド7がその軸心Oに沿って往復移動すると、摺動部材4の各摺動部40は、これらの側面740とすべり接触しながら、プッシュロッド7の軸心Oから離れる方向およびプッシュロッド7の軸心Oに近づく方向(例えばケース2の径方向)に往復移動する。
なお、本実施の形態においては、六角形状の断面形状を有する角錐台状のシャフト部74をプッシュロッド7に設けているが、六角形状以外の多角形状の断面形状を有する角錐台状のシャフト部74または円錐台状のシャフト部74をプッシュロッド7に設けてもよい。または、少なくとも1つの側面が軸心Oの方向に対して傾斜した柱状等のシャフト部74をプッシュロッド7に設けてもよい。
ペダルアーム連結部75は、ピストン駆動部73とは反対側に向かってハウジング1の他方のロッド挿入口13からハウジング1の外部(制動部収容室14の外部)に突き出している。このペダルアーム連結部75は、例えば円柱形状を有しており、その端面(プッシュロッド7の他方の端面:後端面)72には、ブレーキペダルアーム80を回転自在に保持するクレビスジョイント81を固定するためのネジ穴751が形成されている。例えば、クレビスジョイント81にナット84で固定されたボルト83をこのネジ穴751にねじ込み、さらにこのボルト83とナット85とを締結することにより、ブレーキペダルアーム80がプッシュロッド7に回転自在に連結される(図1参照)。これにより、ブレーキペダル(不図示)が受けた踏力により、ブレーキペダルアーム80が回転軸82周りに双方向に回転すると、プッシュロッド7は、ブレーキペダルアーム80からクレビスジョイント81を介して伝達される力によってペダルアーム連結部75がブレーキペダル側に押し込まれる方向に揺動しながら、その軸心Oに沿って往復移動する。
つぎに、ダンパ9の構成部品1〜6の詳細についてそれぞれ説明する。
ハウジング1は、摺動部材4およびゴム部材30を同心状に収容するケース2と、ケース2の開口部20をふさぐカバー6と、を有しており、これらの組み立てにより制動部収容室14を形成する(図2参照)。
ケース2は、プッシュロッド7のシャフト部74の一部区間を囲むように、プッシュロッド7のシャフト部74の軸心O方向長さLよりも短い底付き円筒形状を有しており、その開口部20の内周にはネジ部25が形成されている。一方、カバー6は円板形状を有しており、その外周面63には、ケース2の開口部20の内周に形成されたネジ部25に締結されるネジ部62が形成されている。ケース2の開口部20にカバー6を装着して、カバー6の外周面63のネジ部62とケース2の開口部20のネジ部25とを締結することにより、カバー6の裏面(ケース2側に向けられる面)60と、ケース2の底面24および内壁面22とに囲まれた円柱形状の制動部収容室14が形成される。
ケース2の底面24の中央領域には、制動部収容室14の軸心(プッシュロッド7の軸心O)が通過する位置に、ハウジング1の一方のロッド挿入口12となる貫通穴として、プッシュロッド7のピストン駆動部73の外径R1よりも大きな内径を有する貫通穴21が形成されている。同様に、カバー6の中央領域にも、制動部収容室14の軸心Oが通過する位置に、ハウジング1の他方のロッド挿入口13となる貫通穴として、ペダルアーム連結部75の外径R2よりも大きな内径を有する貫通穴61が形成されている(図3(A)参照)。
なお、ケース2には、その内壁面22とゴム部材30との間に形成される後述の空間36の位置をハウジング外部から確認可能なマーク(例えば、ゴム部材30のコーナ部37A〜37Cの位置を示すマーク)がつけられていてもよい。
図5(A)は、摺動部材4の外観図であり、図5(B)、図5(C)および図5(D)は、摺動部材4の正面図、側面図および背面図であり、図5(E)は、図5(B)のD−D断面図である。
摺動部材4は、プッシュロッド7のシャフト部74を軸心O周りに囲む例えば樹脂製の筒状一体成型品であり、プッシュロッド7をその軸心Oに沿って往復移動可能に支持する、シャフト部74の側面740と同数(本実施の形態では6つ)の摺動部40と、プッシュロッド7の軸心O周りの方向において隣り合う摺動部40を連結し、これらの摺動部40の相対的な移動に応じて弾性変形する複数本(本実施の形態では6本)の連結部41と、を有している。
6つの摺動部40は、プッシュロッド7の軸心O周りにほぼ等角度おきに配置され、ブレーキペダル踏込み前の状態(初期状態)において、プッシュロッド7のシャフト部74の側面740の初期位置(プッシュロッド7に対する摺動部材4の移動可能範囲の一方の限界位置、例えば図3(A)における摺動部材4の位置)にそれぞれ1つずつ位置付けられる。それぞれの摺動部40には、プッシュロッド7のシャフト部74の側面740に対向する面内に、プッシュロッド7の軸心Oの方向に対してシャフト部74の側面740とほぼ同角度傾斜した摺動領域42が形成されている。これらの摺動領域42は、シャフト部74の側面740に面接触して、プッシュロッド7を軸心Oに沿って往復移動可能に支持する。
また、それぞれの摺動部40は、摺動領域42とは反対側に向けられる面として、例えば、ケース2の内壁面22の内径R3(図3(B)参照)よりも曲率半径の小さな円弧に沿った柱面状の凸面(外側面)43を有している。これらの6つの摺動部40をプッシュロッド7のシャフト部74の側面740にそれぞれ位置付けた状態でハウジング1の制動部収容室14に摺動部材4を配置した場合、それぞれの摺動部40の外側面43とケース2の内壁面22との間には、ケース2の内径R3と、6つの摺動部40により構成される円筒体の外径との差分に応じた円弧状の隙間が形成される。ゴム部材30は、プッシュロッド7の軸心O周りにシャフト部74を囲むようにこの隙間に収容され、それぞれの摺動部40の摺動領域42がシャフト部74の側面740に押し当てられるように6つの摺動部40をプッシュロッド7の軸心Oに向けて付勢する。このため、プッシュロッド7がその軸心O方向に沿って往復移動すると、6つの摺動部40は、それぞれの摺動領域42をシャフト部74の側面740と摺接させながら、シャフト部74の側面740の傾斜角度(軸心Oに対する傾斜角度)に応じて、ハウジング1の制動部収容室14の軸心(プッシュロッド7の軸心O)に近づく方向およびハウジング1の制動部収容室14の軸心(プッシュロッド7の軸心O)から離れる方向(例えばケース2の内壁面22に向かう方向)に変位する。
一方、6本の連結部41は、プッシュロッド7の軸心O周りの方向において隣り合う2つの摺動部40の間に1本ずつ渡されて、隣り合う2つの摺動部40の一方の端部(例えばカバー6側の端部47A)にそれぞれに結合しており、それぞれの連結部41が連結している2つの摺動部40の相対的な移動に応じて弾性変形する。例えば、6本の連結部41は、それぞれが連結する2つの摺動部40に2本の脚部44のそれぞれで結合し、これら2つの摺動部40の間隔が変動する方向にたわむ二股形状(例えばアーチ形状)を有している。このような連結部41によって摺動部40を連結することにより、それぞれの摺動部40は、荷重を受けると、自身に結合した連結部41を弾性変形させながら荷重の方向に変位するが、荷重が除荷されれば、自身に結合した連結部41の復元力により初期の位置にすみやかに復帰する。
また、6本の連結部41は、2つの脚部44をつなぐ中央部分45において、それぞれが連結する2つの摺動部40よりもプッシュロッド7の軸心Oから遠ざかる方向に突き出しており、ハウジング1の制動部収容室14において、ゴム部材30に形成された後述の溝33に収容され、かつ、この溝33の端部38とカバー6の裏面60との間に挟み込まれている。これにより、隣り合う摺動部40の、プッシュロッド7の軸心O方向への相対的な移動が防止されるため、プッシュロッド7の軸心O周りに均等に配列された摺動部40によりプッシュロッド2を適正な姿勢で支持することができる。また、摺動部40の肉厚(摺動領域42と外側面43との間隔)を薄くしても、ハウジング1のロッド挿入口12、13からの摺動部40の抜け出しが防止されるため、摺動部40の肉厚を、例えば、隣り合う摺動部40の間から露出するシャフト部74の角部742がゴム部材30に接触しない程度に薄くすることによってケース2の内壁面22と摺動部40の外側面43との間により広いゴム部材30の収容可能なスペースを確保してもよい。
図6(A)は、図6(A)は、ゴム部材30の外観図であり、図6(B)、図6(C)および図6(D)は、ゴム部材30の正面図、背面図および底面図であり、図6(E)は、図6(D)のE−E断面図である。
図示するように、ゴム部材30は、プッシュロッド7の軸心O方向に摺動部材4とほぼ同じ高さの柱体形状を有している。このゴム部材30の外周には、ハウジング1の制動部収容室14でケース2の内壁面22に接触する第一の領域37と、プッシュロッド7の軸心O(柱体形状の軸心)に対してブレーキペダル側に向けられ、ゴム部材30の一方の端面32Aから他方の端面32Bにわたってプッシュロッド7の軸心O(柱体形状の軸心)方向の空間36をケース2の内壁面22との間に形成する第二の領域35と、が含まれている。例えば、本実施の形態においては、このようなゴム部材30の一例として、プッシュロッド7の軸心O(柱体形状の軸心)周りにほぼ等角度おきの3つのコーナ部37A〜37Cを第一の領域37としてケース2の内壁面22に接触させる三角柱状のゴム部材30を用いている。
このような三角柱状のゴム部材30は、第二の領域35となる三つの側面35A〜35Cがケース2の内壁面22との間にそれぞれ軸心O方向の空間36A〜36Cを形成するため、ゴム部材30のいずれか1つの側面(例えば側面35B)が軸心Oに対してブレーキペダル側に向く姿勢でダンパ9を電動ブレーキアクチュエータに組み込むことにより、これらの空間36A〜36Cのいずれか1つの空間(例えば空間36B)を、軸心Oに対してブレーキペダル側、すなわち、ブレーキペダルの踏込みによりプッシュロッド7の軸心Oとケース2の内壁面22とが狭まる側に位置付けることができる。また、ハウジング1の制動部収容室14において、ゴム部材30は、摺動部材4を介して、プッシュロッド7に、その軸心O周りにほぼ等角度おきの三方向から、その軸心Oに向かうほぼ均等な弾性力を与えるため、摺動部材4の6つの摺動部40で囲まれた領域(以下、挿入口)46にプッシュロッド7を所定の姿勢(それぞれの摺動部40の摺動領域42がプッシュロッド7のシャフト部74の側面740に1つずつ位置付けられる姿勢)で挿入するだけで、プッシュロッド7を適正な姿勢で適正な位置に位置付けることができる。
また、摺動部材4の摺動部40の外側面43周りにゴム部材30を装着できるように、このゴム部材30には、柱体形状の軸心(プッシュロッド7の軸心O)が通過する位置に、一方の端面32Aから他方の端面32Bまで貫通した貫通孔31が形成されている。この貫通孔31の内壁面34は、摺動部材4の6つの摺動部40により構成される円筒体の外径よりも小さい径の例えば円柱面形状を有しており、摺動部材4が、ケース2の底面24側に向けられる端部47B側からこの貫通孔31に圧入されると、それぞれの摺動部40の外側面43のほぼ全域がこの貫通孔31の内壁面34に接触する(図3(B)参照)。なお、ここでは、ゴム部材30の貫通孔31の内壁面34を、それぞれの摺動部40の外側面43の全域に接触する円柱面形状としているが、ゴム部材30の貫通孔31の内壁面34は、それぞれの摺動部40の外側面43にこの外側面43の全域よりも狭い領域で接触する形状(例えば、プッシュロッド7の軸心O側に突き出した円弧状の断面を有する曲面形状)を有していてもよい。
さらに、このゴム部材30には、カバー6の裏面60に向けられる一方の端面32Aに、少なくとも摺動部材4の連結部41と同数(本実施の形態では6本)の溝33が、プッシュロッド7の軸心O周りにほぼ等角度おきに形成されている。これらの溝33には、貫通孔31に挿入された摺動部材4の連結部41が1本ずつ収容される。ゴム部材30の各コーナ部37A〜37Cに対応する内壁面34の位置にそれぞれ摺動部40が配置されるように、6本の溝33は、隣り合う2本の溝33の間に各コーナ部37A〜37Cが位置するレイアウトで形成されている。
また、このゴム部材30は、ハウジング1の制動部収容室14においてケース2の内壁面22に接触する各コーナ部37A〜37Cでケース2の径方向の最大肉厚を有しており、この最大肉厚は、プッシュロッド7のシャフト部74に対して初期位置に配置された摺動部40の外側面43とケース2の内壁面22との間隔よりも大きい。このため、ハウジング1の制動部収容室14に配置されたゴム部材30は、それぞれのコーナ部37A〜37Cの位置において、プッシュロッド7のシャフト部74に対して初期位置に位置付けられた摺動部40の外側面43とケース2の内壁面22とによりわずかに圧縮(プリロード)されており、プッシュロッド7が前進するにしたがい、それらの摺動部40の外側面43とケース2の内壁面22とによってさらに圧縮される。これにより、摺動部40は、プッシュロッド7の軸心Oから離れる方向への変位量に応じた弾性力でプッシュロッド7の軸心Oに向けて付勢される。なお、圧縮によりゴム部材30のコーナ部37A〜37Cがケース2の内壁面22により広い面積で接触するように、ゴム部材30の各コーナ部37A〜37Cに、例えばケース2の内壁面22よりも曲率の小さなアールをつけてもよい。
このようなダンパ9は、例えば、以下の手順によりプッシュロッド7に組み付けられ、電動ブレーキアクチュエータに組み込まれる。
プッシュロッド7のシャフト部74の側面740にそれぞれ摺動部40の摺動領域42が1つずつ接触するように、摺動部材4の挿入口46にプッシュロッド7を挿入する。このとき、プッシュロッド7の軸心O周りの方向において隣り合う2つの摺動部40の間隔が広がるようにそれぞれの連結部41が弾性変形するため、摺動部材4の挿入口46にはプッシュロッド7をスムーズに挿入することができる。そして、それぞれの摺動部40がシャフト部74の側面740上の例えば初期位置に位置するように、プッシュロッド7に対する摺動部材4の位置を調整しておく。
このようにシャフト部74周りに摺動部材4が装着されたプッシュロッド7をゴム部材30の貫通穴31に挿入し、ゴム部材30のそれぞれの溝33に摺動部材4の連結部41が1本ずつ収容されるように、6つの摺動部40の外側面43周りにゴム部材30を装着する。そして、例えばケース2に付されたマークの位置によりゴム部材30のコーナ部37A〜37C等の位置を定めながら、プッシュロッド7のピストン駆動部73がケース2の外部に突き出すようにプッシュロッド7のピストン駆動部73をケース2の内部を介してケース2の底面24の貫通穴21に通して、摺動部材4とこの摺動部材4に装着されたゴム部材30とをケース2の内部に収容する。
これによりプッシュロッド7の軸心O周りにシャフト部74を囲むように摺動部材4の摺動部40の外側面43とケース2の内壁面22との隙間に収容されたゴム部材30は、各コーナ部37A〜37Cでケース2の内壁面22に接触し、各側面35A〜35Cとケース2の内壁面22との間にはそれぞれプッシュロッド7の軸心O方向の空間36A〜36Cを形成する。ここで、それぞれのコーナ部37A〜37Cの位置におけるゴム部材30の肉厚はケース2の内壁面22と摺動部材4の摺動部40の外側面43との間隔よりも大きいため、ゴム部材30は、それぞれのコーナ部37A〜37Cの位置において摺動部40の外側面43とケース2の内壁面22とによってプリロードされる。
その後、プッシュロッド7のペダルアーム連結部75がカバー6の表面64側に突き出すようにプッシュロッド7をカバー6の貫通穴61に挿入しながら、カバー6をケース2の開口部20に装着し、カバー6の裏面60が摺動部材4の各連結部41に接触するまでカバー6の外周面63のネジ部62をケース2の開口部20のネジ部25に締結する。これにより、摺動部材4の連結部41がカバー6の裏面60とゴム部材30の溝33の端部38との間に挟み込まれるため(図3(A)参照)、摺動部材4は、プッシュロッド7の軸心Oに沿った方向への移動が制限される。
このようにしてプッシュロッド7にダンパ9を組み付け後、例えばケース2に付けられたマークにより、ゴム部材30のいずれか1つの側面(例えば側面35B)が軸心Oに対してブレーキペダル側に向くようにダンパ9の姿勢を定めながら、プッシュロッド7のピストン駆動部73の先端面71がブレーキシリンダ内のピストンの後端面に突き当たるようにダンパ9を電動ブレーキアクチュエータのハウジング等に固定する。これにより、プッシュロッド7をその軸心Oに沿った往復移動可能に支持したダンパ9が、ブレーキペダルの踏込みによりプッシュロッド7の軸心Oがケース2の内壁面22に近づく側にケース2の内壁面22とゴム部材30との空間36Bを位置付けた姿勢で電動ブレーキアクチュエータに組み込まれる。
つぎに、電動ブレーキアクチュエータに組み込まれたダンパ9の動作について説明する。
図7は、ブレーキペダル踏込み中のダンパ9の状態を説明するための図であり、図7(A)は、ブレーキペダル踏込み時におけるダンパ9の断面図、図7(B)は、図7(A)のF−F断面図である。また、図8は、ブレーキペダル踏込み前後におけるゴム部材30の圧縮状態の変化を説明するための図であり、図8(A)は、ブレーキペダル踏込み前(初期状態)におけるケース2の内壁面22と摺動部40の外側面43との位置関係を示し、図8(B)は、ブレーキペダル踏込み中におけるケース2の内壁面22と摺動部40の外側面43との位置関係を示している。
ダンパ9の初期状態のハウジング1の制動部収容室14において、摺動部材4の6つの摺動部40は、それぞれ、プッシュロッド7のシャフト部74の側面740に対して初期位置に位置付けられており、各コーナ部37A〜37Cの両側に配置された2本の連結部41間に位置する摺動部40を含むそれぞれの摺動部40は、プリロードされたゴム部材30によってプッシュロッド7の軸心Oに向けて例えばケース2の内径方向に付勢されている(図3(A)、図3(B)参照)。
ここで、ドライバがブレーキペダルを踏込み、ブレーキペダルアーム80が回転軸82周りに所定の方向に回転すると、図7(A)に示すように、ブレーキペダルアーム80にクレビスジョイント81で連結されたプッシュロッド7は、ブレーキペダルアーム80からクレビスジョイント81を介して伝達される力でペダルアーム連結部75がブレーキペダル側に押し込まれる方向に揺動しながら、ダンパ9の初期状態における位置から、不図示のブレーキシリンダに向かう方向αに移動する。なお、以下においては、ブレーキシリンダに向かう方向αへの移動を前進、ブレーキシリンダから遠ざかる方向(方向αの逆方向)βへの移動を後退と呼ぶ。
このとき、図7(B)に示すように、ゴム部材30によってプッシュロッド7の軸心Oに向けて付勢された摺動部材4の摺動部40は、6本の連結部41を弾性変形させながら、前進中のプッシュロッド7のシャフト部74の各側面740上で摺動領域42をすべり接触させ、プッシュロッド7の軸心Oから離れる方向(ケース2の内壁面22に近づく方向)に移動する。これにより、図8(B)に示すように、6つの摺動部40の外側面43とケース2の内壁面22との間の隙間D1は徐々に狭くなってゆき、ゴム部材30は、ケース2の内壁面22に接触している3つのコーナ部37A〜37Cにおいて、摺動部材4の摺動部40の外側面43とケース2の内壁面22によってさらに圧縮される。このため、ゴム部材30の弾性力によって、少なくともゴム部材30の各コーナ部37A〜37Cに対応する内壁面34の位置に配置された摺動部40の摺動領域42がプッシュロッド7のシャフト部74の側面740に、より強く押し付けられるため、摺動中の両面42、740間の摩擦力が徐々に増大する。すなわち、プッシュロッド7の前進とともに、プッシュロッド7の前進を妨げる摩擦力が徐々に増大する。このような摩擦抵抗により発生する制動力でプッシュロッド7が制動されるため、ブレーキペダルを踏み込むドライバの足(駆動源)には、ブレーキペダルの踏込み量に応じた適度な負荷が与えられる。
この間、プッシュロッド7は、クレビスジョイント81からの力でペダルアーム連結部75がブレーキペダル側に押し込まれるように揺動するが、ケース2の内壁面22とゴム部材30との間には、プッシュロッド7の軸心Oに対してブレーキペダル側に空間36Bが設けられているため、プッシュロッド7の揺動によりプッシュロッド7の軸心Oとケース2の内壁面22との間隔が局所的に狭まってもゴム部材30の局所的な過度の圧縮が防止される。このため、プッシュロッド7の側面740と一部の摺動部40の摺動領域42との間の摩擦抵抗が過度に増大することが防止されるため、ブレーキペダルを踏み込むドライバの足(駆動源)には、プッシュロッド7に生じる姿勢変動によらず適切な反力が安定的に与えられる。また、プッシュロッド7のシャフト部74の側面740を支持しているそれぞれの摺動部材4の摺動部40が、プッシュロッド7の姿勢に応じて適宜、自身に結合している連結部41およびゴム部材30を弾性変形させながら、ケース2の内壁面22に向かってケース2の径方向に移動する。このため、プッシュロッド7の揺動をゴム部材30の弾性力および摺動部材4の連結部41の弾性力によって吸収しながら、プッシュロッド7をその軸心Oに沿って案内することができる。
ここで、ドライバがブレーキペダルの踏込みを一旦停止すると、プッシュロッド7の前進が停止して、それぞれの摺動部材4の摺動部40とプッシュロッド7のシャフト部74の側面740との間に、今度は、ゴム部材30の復元を妨げる方向(プッシュロッド7の後退を妨げる方向)の摩擦力が生じる。このため、ブレーキペダルを一定の位置で保持するドライバの足にかかる負荷が急激に減少する。
ドライバがブレーキペダルの踏込みを緩めることでブレーキペダルアーム80が逆方向に回転すると、プッシュロッド7が後退(初期状態の位置に戻る方向βに移動)する。このとき、摺動部材4のそれぞれの摺動部40は、ケース2の内壁面22との間で圧縮されたゴム部材30によって付勢され、後退中のプッシュロッド7のシャフト部74の各側面740上で摺動領域42をすべり接触させながら、プッシュロッド7の軸心Oに近づく方向(ケース2の内壁面22から離れる方向)に移動する。これにより、図8(A)に示すように、摺動部材4の6つの摺動部40の外側面43とケース2の内壁面22との間の隙間D1が徐々に広がり、ゴム部材30が初期状態に徐々に復元してゆくため、それぞれの摺動部40の摺動領域42とプッシュロッド7のシャフト部74の側面740との間の摩擦力がさらに徐々に減少する。すなわち、プッシュロッド7の後退とともに、プッシュロッド7の後退を妨げる摩擦力が徐々に減少する。このような摩擦抵抗により発生する制動力で後退中のプッシュロッド7が制動されるため、ブレーキペダルは、ドライバの足の動きにあわせてスムーズに初期位置に復帰する。
この間、ブレーキペダルの踏込み時と同様に、回転軸82周りに回転するブレーキペダルアーム80にクレビスジョイント81で連結されたプッシュロッド7は揺動するが、ゴム部材30の弾性力および摺動部材4の連結部41の弾性力によってプッシュロッド7の揺動を吸収しながら、プッシュロッド7をその軸心Oに沿って案内することができるとともに、プッシュロッド7の揺動に伴うゴム部材30の局所的な圧縮がケース2の内壁面22とゴム部材30との間の空間36Bにより抑制されるため、プッシュロッド7に生じる姿勢変動によらず、ブレーキペダルを踏み込むドライバの足(駆動源)に適切な反力を安定的に与えることができる。
以上説明したとおり、本実施の形態に係るダンパ9によれば、摺動部材4が、ゴム部材30によりプッシュロッド7の軸心Oに向けて付勢される摺動領域42でシャフト部74の側面(プッシュロッド7の軸心Oに対する傾斜面)740を支持するとともに、シャフト部74の側面740に摺動領域42を追従させながら弾性変形するため、プッシュロッド7の揺動がゴム部材30および摺動部材4の双方の弾性力により吸収されるとともに、シャフト部74の側面740と摺動部材4の摺動領域42との間の摩擦力により、プッシュロッド7をその軸心Oに沿って往復移動させる駆動源(ドライバの足)に対して、一ストロークの往路と復路とにおいて大きさの異なる反力(ヒステリシス特性を有する負荷)を与えることができる。また、ケース2の内壁面22とゴム部材30との間には、プッシュロッド7の揺動によりプッシュロッド7の軸心Oとケース2の内壁面22との間隔が狭まる位置に空間36が設けられ、プッシュロッド7の揺動に起因するゴム部材30の局所的な過度の圧縮が抑制されるため、プッシュロッド7をその軸心Oに沿って往復移動させる駆動源(ドライバの足)には、プッシュロッド7の姿勢変動によらず適切な反力が安定的に与えられる。
また、摺動部材4は、プッシュロッド7の軸心Oに向かって変位した摺動部40を連結している連結部41の復元力により初期の形状を復元するため、複数の摺動部40を、適正な姿勢で、プッシュロッド7のシャフト部74の側面740の適正な位置に位置付けることができる。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、自動車の電動ブレーキアクチュエータに組み込まれるダンパ9を例に挙げたが、本発明に係るダンパは、軸心に沿って往復移動する移動部材の揺動を吸収しつつ、この移動部材の往復移動を、ヒステリシス特性を有する制動力で制動することが有用な用途に適用可能である。例えば、自動車の電動ブレーキアクチュエータに限らず、楽器、ゲーム機、玩具といった、ユーザの回転操作を受け付ける操作部に連結される直動型の移動部材を有する様々な機器に組み込むことができる。
また、上記の実施の形態においては、プッシュロッド7の軸心Oから遠ざかる方向に突き出した連結部41が一方の端面(カバー6側の端面)47A側に形成された摺動部材4を用いた場合を例示しているが、プッシュロッド7の軸心O周りの方向において隣り合う2つの摺動部40を相対移動可能に連結することができ、かつ、摺動部材4の摺動部40の外側面43周りへの弾性部材3の装着を妨げなければ、それぞれの連結部41の形成位置および向きは限定されない。例えば、摺動部材4の他方の端面(ケース2の底面24側の端面)47B側に連結部41が形成されていてもよい。また、プッシュロッド7の軸心O周りの方向において隣り合う2つの摺動部40を、それらの間にプッシュロッド7の軸心Oに沿って収容される二股形状の連結部で連結してもよい。この場合、ゴム部材30には、連結部41を収容するための溝33を形成する必要はない。
また、上記の実施の形態においては、制動対象であるプッシュロッド7の側面740を、軸心Oに対する傾斜面(移動方向に対して傾斜面)とし、これらの側面740を摺動部材4の摺動部40で直接支持しているが、このような傾斜面を制動対象に設けることができない場合等には、制動対象の移動方向に対する傾斜面が形成された部材を、摺動部材4の複数の摺動部40により往復移動可能に支持される移動部材として準備し、この移動部材に制動対象を保持させてもおい。例えば、プッシュロッド等の制動対象が挿入される筒状のカラー部材の外周に、制動対象の移動方向に対する傾斜領域を形成し、このカラー部材の外周を摺動部材4の複数の摺動部40で支持してもよい。これにより、制動対象は、カラー部材の傾斜領域と摺動部材4の摺動部40の摺動領域42とをすべり接触させながら所定の方向に往復移動する。
また、上記の実施の形態においては、摺動部材4の摺動部40の外側面43とケース2の内壁面22との間に介在させる弾性体3としてゴム部材30を1つ用いているが、必ずしも、このようにする必要はない。
例えば、ゴム部材30の代わりに、ケース2の径方向の弾性変形する他の弾性体(ゴム、バネ等)を配置する構成を採用し、プッシュロッド7の揺動によりプッシュロッド7の軸心Oとケース2の内壁面22との間隔が狭まる位置とそれ以外の位置とに配置される弾性体の弾性率またはケース2の径方向の長さが異なるようにしてもよい。
また、上記の実施の形態においては、プッシュロッド7の軸心O周りにほぼ等角度おきの3つのコーナ部37A〜37Cを有する三角柱状のゴム部材30を弾性体3として用いているが、このようなゴム部材30に代わりに、例えば、軸心O方向の貫通孔が形成された円筒状のゴム部材を弾性体3として用いてもよい。プッシュロッド7の軸心Oに対してブレーキペダル側の位置にこの貫通孔が位置する姿勢でダンパ9を電動ブレーキアクチュエータに組み込むことにより、ブレーキペダルの踏込みによりプッシュロッド7の軸心Oとケース2の内壁面22とが狭まる位置におけるゴム部材の反発力を小さくすることができる。
また、上記の実施の形態においては、放射状に突き出した連結部41により、隣り合う摺動部40が連結されている摺動部材4と、それぞれの摺動部4が収容される溝33が放射状に形成されたゴム部材30と、を用いているが、必ずしも、この組み合わせを採用する必要はない。摺動部材は、プッシュロッド7の移動に応じて径が変化するように変形するものであれば形状が限定されるものではなく、弾性体3は、採用した摺動部材の外周面に装着でき、かつ、ブレーキペダルの踏込みによりプッシュロッド7の軸心Oとケース2の内壁面22とが狭まる位置における反発力が小さいものであればよい。
また、ダンパ9の組み込み対象機器によっては、例えば、ダンパ9の初期状態においてプリロードされている上述のゴム部材30とプッシュロッド7の軸心O方向に並ぶように、このゴム部材30のよりもケース2の径方向の最大肉厚が小さなゴム部材を配置し、ケース2の内壁面22に向かって摺動部材4の摺動部40が所定の変位量変位したタイミングで、上述のゴム部材30に加えて、このゴム部材30よりもケース2の径方向の最大肉厚が小さいゴム部材が、摺動部材4の摺動部40の外側面43とケース2の内壁面22とによって圧縮されるようにしてもよい。このような構成によれば、操作部を操作するユーザの手足等に適度な負荷を与えつつ、操作部が所定位置まで操作されたタイミング(プッシュロッド7がその軸心O方向に所定量変位したタイミング)で、ユーザの手足等にかかる負荷を急激に増大させることができる。このため、ユーザに、操作部が所定の位置まで操作されたこと等を通知する触覚的なシグナルを与えることができる。
または、摩擦係数の異なる材質で形成された複数のテーパ付き部材を軸心O方向に連結することによってプッシュロッド7のシャフト部74または上述のカラー部材を作成してもよいし、摩擦係数の異なる材質で形成された複数のシート材をプッシュロッド7のシャフト部74の側面740または上述のカラー部材の傾斜面に軸心O方向に並ぶように配置してもよい。これにより、プッシュロッド7のシャフト部74の側面740内またはカラー部材の傾斜面内には、摩擦係数が異なる複数の区間が軸心O方向に連続するため、操作部が所定位置まで操作されたタイミング(プッシュロッド7がその軸心O方向に所定量変位したタイミング)で、ユーザの手足等にかかる負荷を急激に増大させることができる。あるいは、プッシュロッド7のシャフト部74の側面740または上述のカラー部材の傾斜面に表面処理を施すことによって、プッシュロッド7のシャフト部74の側面740内またはカラー部材の傾斜面内に、摩擦係数が異なる複数の区間が軸心O方向に連続して含まれるようにしてもよい。
また、上記の実施の形態においては、1つの摺動部材4で制動対象のプッシュロッド7を支持しているが、ハウジング1の制動部収容室14のスペースに応じた個数の摺動部材4を軸心O方向に並べて制動対象に装着してもよい。これらの摺動部材4は、制動対象との摩擦係数が異なるものであってもよいし、それぞれの摺動部材4に、摺動部40の外側面43とケース2の内壁面22とによる圧縮開始タイミングの異なる弾性体3を装着してもよい。