JP6288833B2 - ステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ステアリング装置に関する。
従来においては、例えば特許文献1に記載された発明のように、ラックリテーナーの外周面にOリングを配置することによって、ステアリング操作によってラックバーが移動した後に初期位置に戻る場合、ラックバーに係合して成るラックリテーナーの軸線とハウジングの軸線とを出来る限り一致した状態に維持していた。
特開2012−218512号公報
しかしながら、従来においては、連続したステアリング操作時に、Oリングの形状が直前のステアリング操作の影響を受けたままの状態であることがあった。これにより、ステアリング操作で切り増す場合と、切り戻す場合との操舵感を比較すると、差異が生じることがあった。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、円滑なステアリング操作を妨げず、切り増しと切り戻しとの間に操舵感の差異が生じない又は生じ難いステアリング装置を提供することである。
題を解決するための手段として、ステアリング装置は、ラック及びピニオンを備えるステアリング装置であって、ピニオンを外周面に有するピニオンシャフトと、ピニオンに歯合するラックを有するラックシャフトと、ラックシャフトのピニオンシャフトとは反対側において、ラックシャフトをその軸線に沿って案内するラックガイドと、ラックをピニオン側に押圧するために、ラックガイドをラックシャフトに対して付勢する付勢部材と、ラックガイド及び付勢部材を収容するガイドハウジングと、ラックガイドの外周面とガイドハウジングの内周面との間に設けられる弾性部材と、を備え、弾性部材は、第1の弾性部と、第1の弾性部より小さい弾性率を有する第2の弾性部とを有し、第2の弾性部は、第1の弾性部よりピニオンシャフト及びラックシャフト側に配置され、第1の弾性部は、傾斜したラックガイドを初期位置に戻す弾性力を、ラックガイドに対して作用させることができ、第2の弾性部は、ラックガイドを傾斜可能にする弾性力を、ラックガイドに対して作用させることができる。
ステアリング装置において、ラックガイドの外周面とガイドハウジングの内周面とは平行又は略平行に配置されて成ることが好ましい。
ステアリング装置において、弾性部材は、ピニオン側に厚みの小さい薄肉部を有し、ピニオンとは反対側に厚みの大きい厚肉部を有し、厚肉部が第1の弾性部であり、薄肉部が第2の弾性部であることが好ましい。
ステアリング装置において、弾性部材は、少なくとも2種類の材料を含有し、ピニオン側に軟質材料を含有する軟質部を有し、ピニオンとは反対側に硬質材料を含有する硬質部を有し、硬質部が第1の弾性部であり、軟質部が第2の弾性部であることが好ましい。
ステアリング装置において、弾性部材は、ラックガイドの外周面を囲む1本の環状体であることが好ましい。
ステアリング装置において、弾性部材は、ラックガイドの外周面を囲む複数本の環状体であり、ピニオンとは反対側に配置される環状体が第1の弾性部であり、ピニオン側に配置される環状体が第2の弾性部であることが好ましい。
本発明によると、ピニオン側に配置される第2の弾性部によって、ラックガイドはガイドハウジング内でピニオン側が傾斜し易い。よって、ステアリング操作時において、ラックシャフトがその軸方向に沿って動いた場合に、ラックシャフトに付勢されるラックガイドがラックシャフトの動きに追従することができる。これにより、円滑なステアリング操作を妨げないステアリング装置を提供することができる。
更に、本発明によると、傾斜したラックガイドは弾性部材の弾性によって、初期位置に復元し易い。これにより、ステアリング操作における切り増し及び切り戻しの間に操舵感の差異が生じない又は生じ難いステアリング装置を提供することができる。
図1は、本発明に係るステアリング装置の一実施形態を示す斜視図である。 図2は、図1に示したステアリング装置の一部拡大断面図である。 図3(A)は、ステアリング操作前の図1に示したステアリング装置を示す断面概略図である。図3(B)は、ステアリング操作時の図1に示したステアリング装置を示す断面概略図である。 図4は、ステアリング操作時のピニオン回転角とピニオン回転トルクとの関係性を示すグラフである。 図5(A)〜図5(D)は、本発明における弾性部材の変形例を示す一部拡大断面図である。 図6(A)〜図6(C)は、本発明における弾性部材の変形例を示す一部拡大断面図である。
本発明に係るステアリング装置は、ステアリング操作を要し、ピニオン及びラックを有するステアリング機構を備えて成る適宜の車両に適用することができる。本発明に係るステアリング装置の一実施形態について、図面を参照しつつ以下に説明する。
図1は、本発明に係るステアリング装置の一実施形態であるステアリング装置1の一部を示す斜視図である。
図1に示すように、ステアリング装置1は、ピニオンシャフト2と、ピニオンハウジング3と、ラックハウジング4と、ガイドハウジング5と、固定部6と、タイロッド7と、ブーツ8とを備える。
ピニオンシャフト2は、略円柱形状を有する軸体であり、一端部にステアリングホイール、ステアリングシャフト及び適宜の連結部材(いずれも図示せず)が接続され、他端部の外周面にピニオン(図1には図示せず)が形成されている。ピニオンシャフト2は、ステアリングホイールの回転によるステアリング操作がなされると、ピニオンシャフト2の軸線を中心として回転可能な部材である。
ピニオンハウジング3は、ピニオンシャフト2における他端部のピニオンが形成される部位を収容する筒状の筐体である。また、ラックハウジング4は、ステアリング装置1が配置される車体の幅方向に延在し、ラックシャフト(図1には図示せず)が挿通される筒状の筐体である。更に、ガイドハウジング5は、ラックガイド(図1には図示せず)を収容する筒状の筐体である。ピニオンハウジング3、ラックハウジング4及びガイドハウジング5は、一箇所において交差し、一体的に形成されている。なお、該交差部位の内部構造については図2を参照しつつ後述する。
固定部6は、ステアリング装置1を車体の構成部材の一部、例えばクロスメンバ等に対して適宜の固定手段によって固定的に取付けるための部材であり、ラックハウジング4に複数個付設される。
タイロッド7は、ラックハウジング4内を挿通するラックシャフトの両端にそれぞれ連結される軸体である。タイロッド7の軸線と、ラックシャフトの軸線とは略一致している。タイロッド7は、ラックハウジング4の延在方向と同様に、車体の幅方向に延在し、左右の前輪に対して適宜の連結部材を介して接続されている。ステアリング操作がなされると、タイロッド7がラックシャフトと共に、それぞれの軸線に沿って車体の幅方向に動くことによって、左右の前輪の向きを変えることができ、結果として車両の進行方向を変えることができる。ブーツ8は、タイロッド7とラックシャフトとの連結部位を覆う部材である。
図2は、図1における破線で囲った部位、つまりピニオンハウジング3とラックハウジング4とガイドハウジング5とが交差する部位の断面概略図である。なお、図2に示す断面図は、ステアリング装置1におけるピニオンハウジング3及びガイドハウジング5の各軸線に沿って切断しているので、ラックハウジング4を図示していない。
図2に示すように、ピニオンハウジング3とガイドハウジング5とは相互に略直交し、一体的に形成されている。ピニオンハウジング3内には、その軸線と一致する軸線を有するピニオンシャフト2が配置されている。また、ガイドハウジング5との交差部位においてピニオンシャフト2の外周面にピニオン9が形成されている。
ピニオン9に歯合するラック10を有するラックシャフト11は、ピニオンシャフト2の軸線に直交して延在するように配置されている。ラックシャフト11は、断面略円形を成す棒状部材であり、外周面の一部にラック10が列設される。ステアリング操作によってピニオンシャフト2が回転すると、ピニオン9及びラック10の噛み合いにより、ラックシャフト11はその軸線に沿って動くことができる。つまり、ラックシャフト11は図2の手前側又は奥側に可動である。
なお、ピニオン9及びラック10の歯数、ピッチ、歯の形成方向等のギヤの特性については、例えばステアリング装置1を適用する車種、適用車両の使用環境、ステアリングホイール及び前輪の可動範囲等を考慮して、適宜に設定することができる。
ラックシャフト11の外周面において、ピニオン9と歯合するラック10が形成される側とは反対側にラックガイド12が当接している。ラックガイド12は、動くラックシャフト11を案内する部材であり、ガイドハウジング5内に配置される。
ガイドハウジング5は、ピニオンシャフト2とラックシャフト11との交差部位近傍においてピニオンハウジング3及び図1に示すラックハウジング4から突出して形成され、ラックシャフト11からピニオンシャフト2に向かう方向に沿って延在している。ガイドハウジング5の外側開口部は、押さえ部材13が固定的に取付けられ、封止されている。
ラックガイド12と押さえ部材13とは、ガイドハウジング5内において、ガイドハウジング5の外側開口部から並んで配置され、ラックガイド12と押さえ部材13との間にコイルばね14が配置されている。
なお、コイルばね14は、本発明に係るステアリング装置の付勢部材の一例である。本発明においては、コイルばね14以外にも、例えば板バネ、空気バネ、又はたけのこバネ等を用いることができる。
押さえ部材13はガイドハウジング5に対して固定されているので、コイルばね14の付勢力は、ラックガイド12をラックシャフト11の外周面に押し付けるように作用する。これにより、ラックガイド12は、ラック10をピニオン9側に押圧している。ラック10がピニオン9に対して押し付けられることによって、ステアリング操作前、操作時及び操作後のいかなる場合においても、ラック10とピニオン9との歯合状態が維持されることになる。
ラックガイド12はラックシャフト11の外周面に対して直接当接しても良いが、接触部位の摩擦を低減する部材を介設することによって、円滑なステアリング操作を確保することができる。
ラックガイド12は、円柱体の一端部をラックシャフト11の外周面に沿って曲面となるように切削し、他端部をコイルばね14が安定的に当接するように凹部が形成されて成る。図2に示すように、ラックガイド12の外周面には、ラックガイド12の周方向に沿って溝部15が形成されている。溝部15内には、ラックガイド12を囲む弾性部材16が配設されている。ここで、弾性部材16について、図3を参照しつつ詳述する。
図3は、図2に示した各部材において、ラックシャフト11及びラックガイド12の動きが判別し易いように、ガイドハウジング5内においてラックシャフト11及びラックガイド12の各軸線に対して直交する視点で見た場合の、一部断面概略図として示している。図3(A)は、ステアリング操作前の初期状態のステアリング装置1を示す一部断面概略図である。また、図3(B)は、ステアリング操作時のステアリング装置1を示す一部断面概略図である。
なお、図3(A)及び図3(B)において図示はしていないが、上記ピニオンシャフト2は、図に対して手前側と奥側との間に延在するように、ラックシャフト11の上方に配置されることになる。
図3(A)に示すように、弾性部材16は、薄肉部161と、厚肉部162とを有している。弾性部材16は、ラックガイド12を囲む断面略三角形の1本の環状部材である。環状部材である弾性部材16の中心軸線方向に沿って外径は一定でかつ内径に差異を設けて形成されている。薄肉部161は、弾性部材16のピニオン(図3には図示せず。)側及びラックシャフト11側に配置され、内径が大きく形成される部位である。厚肉部162は、弾性部材16のピニオン側及びラックシャフト11側とは反対側に配置され、内径が小さく形成される部位である。
弾性部材16は、本発明に係るステアリング装置の弾性部材の一例であり、例えばエラストマー等を用いて形成可能である。
弾性部材16における厚肉部162は、本発明に係るステアリング装置における弾性部材の第1の弾性部の一例である。また、弾性部材16における薄肉部161は、本発明に係るステアリング装置における弾性部材の第2の弾性部の一例である。本発明において第2の弾性部は、ラックガイドの外周面に配置される弾性部材の一部位であり、第1の弾性部より小さい弾性率を有し、第1の弾性部よりピニオンシャフト及びラックシャフト側に配置されて成る。
弾性部材の実施形態として1本の環状部材を採用する場合は、1本の環状部材における特定の部位の弾性率を小さくする、つまり特定の部位の変形を容易にする必要がある。
このような形態としては、例えば弾性部材16の様に径方向の厚みを、環状体の中心軸線方向に沿った各部位で変える形態、エラストマー等で成形する際に一端部側のみを発泡させて中心軸線方向に沿った各部位で弾性を変える形態、相対的に軟質及び硬質の材料を用いて二色成形し、中心軸線方向に沿って軟質材料含有の軟質部、硬質材料含有の硬質部を形成する形態等を挙げることができる。
図2及び図3に示すように、厚肉部162の内径がラックガイド12における溝部15の外径よりも若干小さく形成されるのが好ましい。このような内径の厚肉部162を有する弾性部材16が一旦溝部15内に嵌り込むと、ステアリング操作等がなされて弾性部材16が径方向及び軸線方向への応力を受けても、弾性部材16が溝部15から脱落することがない又は脱落し難い。更に、このような内径の厚肉部162を有する弾性部材16は、厚肉部162における弾性力がラックガイド12を初期位置にまで戻し易いので好ましい。ラックガイド12の初期位置への戻り等については、図3(B)を参照しつつ後述する。
薄肉部161及び厚肉部162は、弾性部材16の径方向の厚みに相対的に差異を設けているが、本発明においては、相対的に厚みの大小が生じる限り断面略三角形である必要はない。弾性部材16の変形例については、図5及び図6を参照しつつ後述する。
続いて、図3(B)に示すステアリング装置1は、ステアリング操作された状態を示す。ステアリング操作時における各部材の挙動としては次のようになる。
先ず、ステアリングホイールを回転させる。ステアリングホイールが回転すると、ステアリングシャフト及び適宜の連結部材が、図2に示したピニオンシャフト2に回転を伝達する。回転が伝達されたピニオンシャフト2は、その軸線を中心として回転する。ピニオンシャフト2が回転すると、上記ピニオン9が回転する。ピニオン9が回転すると、ピニオン9に歯合するラック10に動力が伝達される。ラック10に動力が伝達されると、ラック10が形成されるラックシャフト11がその軸線に沿って、車体の右方向又は左方向に送出される。ラックシャフト11がその軸線に沿って動くと、ラック10をピニオン9側に押圧しているラックガイド12が、ラックシャフト11の外周面から摩擦を受ける。これにより、ラックガイド12のピニオン9側の端部が、ラックシャフト11の動きに追従する。つまり、ラックガイド12は、摩擦力によりラックシャフト11に引っ張られるようにして、ピニオン9側の端部がラックシャフト11の移動方向と同方向に、図3(A)に示した初期状態から傾く。図3(B)において一点鎖線及び二点鎖線で示すように、ラックガイド12は、ラックシャフト11の動きに追従してガイドハウジング5内で傾くことができる。
図3(B)に示すように、ラックシャフト11は、ステアリング操作によって、白抜きの矢印の方向に沿って動く。ラックシャフト11が動くことによって、ラックガイド12は、図3(A)に示した初期状態からガイドハウジング5内で傾くことになる。なお、ラックガイド12は、図2に示したラックガイド12とコイルばね14との接触面と、ラックガイド12の軸線との交点を支点にして、様々な方向に揺動可能である。
仮に、弾性部材16を設けずに、単にガイドハウジング5内にラックガイド12を配置してコイルばね14で付勢するだけの場合、ラックガイド12のガイドハウジング5内における挙動の自由度が高まる。つまり、ラックガイド12が、ラックシャフト11の動きに追従して傾き易くなる。ラックガイド12がラックシャフト11の動きに追従し易いと、ラックシャフト11が大きく動いたとき等に、ラックガイド12の一部がガイドハウジング5の内周面に強く接触する可能性が生じる。この接触によって、異音が発生してしまうことがある。
この異音の発生を防止するために、ガイドハウジング5内で傾斜し過ぎないように従来Oリングが設けられていた。
なお、ステアリング操作を開始するときには、Oリングの弾性力に抗して、Oリングを径方向に圧縮しつつラックガイド12を傾斜させる必要がある。つまり、Oリングの線径を小さくすると、弾性率が小さくなるので、弾性力に抗してOリングを径方向に圧縮するための必要な応力が小さくなる。よって、Oリングの線径を小さくすると、ステアリング操作の初動に要する応力が小さくなるので好ましい。逆に、Oリングの線径を大きくすると、弾性率も大きくなるので、弾性力に抗してOリングを径方向に圧縮するための必要な応力が大きくなる。よって、Oリングの線径を大きくすると、ステアリング操作の初動に要する応力が大きくなる。
従来においては、ステアリング操作の形態に応じて、ガイドハウジング5内のラックガイド12の挙動が異なることがある。ラックガイド12の挙動に差異が生じるステアリング操作の例としては、例えば切り戻しと切り増しとを挙げることができる。
具体的には、切り戻しの一形態として、ステアリングホイールを左に切った状態から、右に切ることによって車両が直進可能な初期位置まで戻し、更に間を空けずに再度左に切ることによってステアリングホイールを左に切った状態にする形態を挙げることができる。
更に、切り増しの一形態として、ステアリングホイールを右に切った状態から、左に切ることによって車両が直進可能な初期位置まで戻し、更に間を空けずに追加で左に切ることによってステアリングホイールを左に切った状態にする形態を挙げることができる。
上述した切り戻しを行う場合、先ずステアリングホイールを左に切った状態において、ガイドハウジング5内では従来はOリングの弾性力が作用することによって、ラックシャフト11の動きに追従して傾いていたラックガイド12が初期位置に戻っている。
この状態からステアリングホイールを初期位置に戻すと、ラックシャフト11の動きに追従してラックガイド12は例えば右側に傾く。更に、ラックガイド12が初期位置に戻る前に、間を空けずにステアリングホイールを左に切ると、右側に傾いたラックガイド12が左側に傾くことになる。これにより、ラックガイド12は、初期位置に戻る場合、又は初期位置より若干左側に傾く場合を採り得る。このとき、ラックガイド12は特に問題ある挙動をしないので、操舵感は途中で変化しない。
上述した切り増しを行う場合、先ずステアリングホイールを右に切った状態において、ガイドハウジング5内では従来はOリングの弾性力が作用することによって、ラックシャフト11の動きに追従して傾いていたラックガイド12が初期位置に戻っている。
この状態からステアリングホイールを初期位置に戻すと、ラックシャフト11の動きに追従してラックガイド12は左側に傾く。更に、ラックガイド12が初期位置に戻る前に、間を空けずにステアリングホイールを左に切ると、左側に傾いたラックガイド12が更に左側に傾くことになる。一方向に傾き過ぎたラックガイド12は、ガイドハウジング5の内周面に接触する可能性が生じる。このとき、上述したように異音が発生する。更に、ステアリング操作の途中でガイドハウジング5とラックガイド12との接触が生じることにより、ラックガイド12が傾斜を途中で停止することになるので、ラックシャフト11とラックガイド12との接触部位に作用する摩擦力に変化が生じる。これにより、操舵感が途中で変化する。
特に、従来技術のように断面円形のOリングを用いる場合、該Oリングの線径が小さいと、ラックガイド12が傾斜し易いので、ステアリング操作で切り増しを行うと、ラックガイド12がガイドハウジング5の内周面に接触し易い。これにより、上述したようにステアリング操作の初動に要する応力は小さく抑えることはできるが、切り増した時の異音の発生、及び操舵途中で操舵感の変化が生じ易い。
上述したステアリング操作の形態では、切り戻し及び切り増しにおいて、ステアリングホイールを例えば左側に切るという操作は共通している。しかしながら、直前のステアリング操作である、ステアリングホイールを初期位置に一旦戻して車両を直進状態とする操作において、ステアリングホイールの操舵方向が、切り戻しと切り増しとにおいて相違している。
切り戻し及び切り増しの様に、同一方向へのステアリング操作を行っても、直前のステアリング操作の相違によって、車両は直進状態となって共通した状態となっているにもかかわらず、ラックガイド12の状態が相違していることに起因して、操舵感に差異が生じてしまうことがあった。
ここで、図4において、ピニオン回転角と、ピニオン回転トルクとの関係性を示すグラフを示す。該関係性は、例えばステアリングホイールの回転角と、ステアリング操作に要するトルクとの関係性と同様である。つまり、ステアリングホイールを回転させ始めることによって、ピニオンが回転し始めたときに、ピニオンとラックとの噛み合いによってラックシャフトが動き始める。ラックシャフトが動き始めたとしても、ラックガイドが追従して傾きつつある状態では、ラックシャフトとラックガイドとは同一部位が接触しているので静止摩擦力が作用している。ステアリング操作が継続して行われることによってピニオン回転トルクが更に追加で入力されると、ラックシャフトに対して静止摩擦力を超える応力が入力されることになる。これにより、ラックシャフトがラックガイドの表面を摺動し始める。つまり、ピニオン回転トルクが静止摩擦力から動摩擦力と同等の大きさに変化する。ピニオン回転トルク、又はステアリング操作に要するトルクが一旦動摩擦力と同等の大きさになると、その後のトルクは動摩擦力と同等の大きさのまま略一定となる。
従来のOリングを用いた場合は、ラックシャフトがラックガイドの表面を摺動し始めるときに、図4のグラフ中に実線で示す理想の場合に比べて、破線で示すように、ピニオン回転トルクが一旦オーバーシュートしてしまうことがある。具体的には、ピニオン回転角を一定角度まで増大させると、つまりステアリングホイールをある一定角度まで回転させると、回転に必要なトルクが動摩擦力と同等の大きさに減るので、ステアリングホイールが一気に回転してしまう状態である。
特に、従来のOリングの線径を大きくした場合は、Oリングの大きい弾性率によりラックガイドが傾斜し難いので、ピニオン回転角が小さい段階から静止摩擦力と同等の大きさのピニオン回転トルクが必要となる。
ラックガイドが傾斜し易い場合は、ピニオン回転トルクを高めていくと、ステアリング操作で入力するトルクがラックガイドの傾斜にある程度吸収され、限界までラックガイドの傾斜した後にラックシャフトがラックガイドの表面を摺動し始めることにより、静止摩擦力から動摩擦力と同等の大きさの必要トルクに変化する。しかしながら、Oリングの線径を大きくしてラックガイドを傾斜し難くすると、ステアリング操作で入力するトルクがラックガイドの傾斜にある程度吸収されず、必要トルクの大きさが静止摩擦力から動摩擦力の大きさに突然変化するので、図4のグラフ中に破線で示すようなトルクのオーバーシュートを生じることが多い。
なお、実際には、必要トルクの大きさが静止摩擦力から動摩擦力の大きさに変化する場合、理想のステアリング操作に要するピニオン回転トルクよりも若干大きなトルクが必要である程度で済む。よって、ステアリングホイールが一気に回転してしまう程度も小さいのでハンドル操作を誤る程ではないが、ステアリング操作に微小な違和感を生じる可能性はある。これは、ステアリング操作の円滑性の低下につながる。
以上に説明したように、従来においてOリングを設け、更にその線径調整のみでは様々な問題点が生じ得る状態であったのに対して、本発明の一実施形態であるステアリング装置1は、弾性部材16を備えているので、該問題点は生じない又は生じ難い。
具体的には、弾性部材16は、ピニオンシャフト2及びラックシャフト11側に径方向の厚みが小さい薄肉部161を有していることにより、薄肉部161の有する弾性率が小さいので、ラックガイド12が薄肉部161を径方向に圧縮しつつラックシャフト11の動きに追従して傾き易い。これにより、ステアリング装置1は、円滑なステアリング操作を妨げられることはない。
更に、弾性部材16はピニオンシャフト2及びラックシャフト11とは反対側に径方向の厚みが大きい厚肉部162を有していることにより、ラックシャフト11の動きに追従してラックガイド12が傾いたときに、ステアリング操作を一旦停止してラックシャフト11が動いた後の位置で停止したとしても、厚肉部162の弾性力によってラックガイド12が初期位置に戻り易い。
これにより、ステアリング操作において切り増し又は切り戻しをする場合、いずれの場合であってもラックガイド12が傾斜しても迅速にかつ正確に初期位置に戻るので、操舵感は一定である。よって、弾性部材16を設けたステアリング装置1は、ステアリング操作における切り増しと切り戻しとの間に操舵感の差異が生じない又は生じ難い。
また、ラックガイド12がラックシャフト11の動きに追従し易いことと、ラックガイド12が初期位置に戻り易いこととによって、ラックシャフト11が動く際のラックガイド12の挙動を理想に近付けることができる。したがって、弾性部材16を設けることによって、図4に示したグラフにおいて、ピニオン回転角とピニオン回転トルクとの関係性を、破線で示す状態から実線で示す状態に近付けることができる。
なお、ラックガイド12に許容される傾斜の範囲については、例えば、ラックシャフト11とラックガイド12との間に作用する摩擦力、ラックガイド12の外周面とガイドハウジング5の内周面との間の空隙の大きさ、ラックシャフト11の動く速度、走行中にステアリング装置1に対して作用する振動及び衝撃等を考慮して設定することができる。
また、ラックガイド12の傾斜の範囲に基づいて、薄肉部161の厚み、厚肉部162の厚み、及び弾性部材16の材料等を適宜に決定するのが良い。薄肉部161の厚みは、ラックガイド12を傾斜させ易く、圧縮されてもラックガイド12がガイドハウジング5の内周面に接触しない程度の弾性力を実現可能であれば良い。また、厚肉部162の厚みは、ラックガイド12が傾斜しても初期位置に戻り易い弾性力を実現可能であれば良い。
図5及び図6には、本発明における弾性部材の種々の変形例を示した。図5及び図6は、弾性部材及びその周辺部材を拡大して示している。
なお、図5及び図6に示す弾性部材以外のラックガイド及びガイドハウジングは、図2及び図3に示したラックガイド12及びガイドハウジング5と同一部材を用いているので、同一の参照符号を付し、該同一部材についての詳細な説明は省略する。なお、図5及び図6において図示はしていないが、各図面の上方がピニオンシャフト及びラックシャフト側である。
図5(A)に示す実施形態においては、ラックガイド12の外周面とガイドハウジング5の内周面との間に弾性部材17が配置されている。弾性部材17は、上記弾性部材16を2本組合せた形状を有している。具体的には、弾性部材17は、ピニオンシャフト及びラックシャフト側とその反対側との両方に厚みの小さい薄肉部171を有し、軸方向略中央部において2箇所の薄肉部171及び171に挟まれた位置に厚みの大きい厚肉部172を有する。
弾性部材17は、薄肉部171を有しているので、ラックガイド12がラックシャフト11の動きに追従して、ガイドハウジング5内で傾斜し易い。なお、ラックガイド12を保持する厚肉部172を境界として、ラックガイド12はピニオンシャフト及びラックシャフト側とその反対側が可動であり、特にピニオンシャフト及びラックシャフトとは反対側に設けられる薄肉部171はラックガイド12の傾斜等の動きを妨げない。これにより、弾性部材17は、円滑なステアリング操作を妨げることはない。
更に、弾性部材17は、厚肉部172を有しているので、ラックシャフトの動きに追従してラックガイド12が傾いたときに、ステアリング操作を一旦停止してラックシャフトが動いた後の位置で停止したとしても、厚肉部172の弾性力によってラックガイド12が初期位置に戻り易い。これにより、ステアリング操作において切り増し又は切り戻しをする場合、いずれの場合であってもラックガイド12が傾斜しても迅速にかつ正確に初期位置に戻り易いので、操舵感は一定である。よって、弾性部材17を設けた場合であっても、ステアリング操作における切り増し及び切り戻しの間に、操舵感の差異は生じない又は生じ難い。
また、ラックガイド12がラックシャフトの動きに追従し易いことと、ラックガイド12が初期位置に戻り易いこととによって、ラックシャフトが動く際のラックガイド12の挙動を理想に近付けることができる。したがって、弾性部材17を設けることによって、図4に示したグラフにおいて、ピニオン回転角とピニオン回転トルクとの関係性を、破線で示す状態から実線で示す状態に近付けることができる。
続いて図5(B)に示す実施形態においては、ラックガイド12の外周面とガイドハウジング5の内周面との間に弾性部材18が配置されている。弾性部材18は、断面矩形状の1本の環状部材と、該環状部材よりも内径は大きくかつ外径が小さい断面矩形状の1本の環状部材とを、軸方向に重ねて組合せた形状を有する。弾性部材18は、断面略凸形状を有する1本の環状部材である。
弾性部材18は、ピニオンシャフト及びラックシャフト側に厚みの小さい薄肉部181を有し、ピニオンシャフト及びラックシャフトとは反対側に厚みの大きい厚肉部182を有する。
また、図5(C)に示す実施形態においては、ラックガイド12の外周面とガイドハウジング5の内周面との間に弾性部材19が配置されている。弾性部材19は、断面円形状の1本の環状部材と、該環状部材の外側に内径及び外径が大きい断面円形状の1本の環状部材とを重ねて組合せた形状を有する。弾性部材19は、断面が2つの円が径方向に並列して一部重複して成る形状を有する1本の環状部材である。
弾性部材19は、ピニオンシャフト及びラックシャフト側とその反対側との両方に厚みの小さい薄肉部191を有し、軸方向略中央部において2箇所の薄肉部191及び191に挟まれた位置に厚みの大きい厚肉部192を有する。
更に、図5(D)に示す実施形態においては、ラックガイド12の外周面とガイドハウジング5の内周面との間に弾性部材20が配置されている。弾性部材20は、断面略矩形状の1本の環状部材において、内部に連続又は独立する空隙Gが周方向に亘って形成されている。
弾性部材20は、ピニオンシャフト及びラックシャフト側に空隙Gが形成されて成る薄肉部201が配置され、空隙Gが形成されていない厚肉部202がピニオンシャフト及びラックシャフトとは反対側に配置されている。なお、薄肉部201において、空隙G以外の弾性部位の径方向の厚みを合計した総厚みは、空隙Gが設けられていない厚肉部202の厚みよりも小さい。よって、薄肉部201は厚肉部202よりも変形が容易に形成されている。
図6(A)に示す実施形態においては、ラックガイド12の外周面とガイドハウジング5の内周面との間に弾性部材21が配置されている。弾性部材21は、断面略矩形状の1本の環状部材において、軸方向の一端面に周方向に形成される複数の溝を有している。
弾性部材21は、ピニオンシャフト及びラックシャフト側に複数の溝が形成されて成る薄肉部211が配置され、溝が形成されていない厚肉部212がピニオンシャフト及びラックシャフトとは反対側に配置されている。なお、薄肉部211において、溝以外の弾性部位の径方向の厚みを合計した総厚みは、溝が設けられていない厚肉部212の厚みよりも小さい。よって、薄肉部211は厚肉部212よりも変形が容易に形成されている。
続いて図6(B)に示す実施形態においては、ラックガイド12の外周面とガイドハウジング5の内周面との間に弾性部材22が配置されている。弾性部材22は、断面略矩形状の1本の環状部材において、軸方向の一端面に周方向に形成される1本の溝を有している。よって、弾性部材22の断面形状は略凹形状である。
弾性部材22は、ピニオンシャフト及びラックシャフト側に溝が形成されて成る薄肉部221が配置され、溝が形成されていない厚肉部222がピニオンシャフト及びラックシャフトとは反対側に配置されている。なお、薄肉部221において、溝以外の弾性部位の径方向の厚みを合計した総厚みは、溝が設けられていない厚肉部222の厚みよりも小さい。よって、薄肉部221は厚肉部222よりも変形が容易に形成されている。
図5(B)〜図5(D)及び図6(A)及び図6(B)に示す各弾性部材は、それぞれ薄肉部を有していることにより、弾性率の小さい薄肉部が径方向に圧縮され易いので、ラックガイド12がラックシャフトの動きに追従して、ガイドハウジング5内で傾斜し易い。これにより、弾性部材は、円滑なステアリング操作を妨げることはない。
更に、図5(B)〜図5(D)及び図6(A)及び図6(B)に示す各弾性部材は、それぞれ厚肉部を有しているので、ラックシャフトの動きに追従してラックガイド12が傾いたときに、ステアリング操作を一旦停止してラックシャフトが動いた後の位置で停止したとしても、各厚肉部の弾性力によってラックガイド12が初期位置に戻り易い。これにより、ステアリング操作において切り増し又は切り戻しをする場合、いずれの場合であっても、ラックガイド12が傾斜しても迅速にかつ正確に初期位置に戻り易いので、操舵感は一定である。よって、各弾性部材を設けた場合であっても、ステアリング操作における切り増し及び切り戻しの間に、操舵感の差異は生じない又は生じ難い。
また、図5(B)〜図5(D)及び図6(A)及び図6(B)に示す実施形態は、ラックガイド12がラックシャフトの動きに追従し易いことと、ラックガイド12が初期位置に戻り易いこととによって、ラックシャフトが動く際のラックガイド12の挙動を理想に近付けることができる。したがって、図5(B)〜図5(D)及び図6(A)及び図6(B)に示す弾性部材を設けることによって、図4に示したグラフにおいて、ピニオン回転角とピニオン回転トルクとの関係性を、破線で示す状態から実線で示す状態に近付けることができる。
続いて図6(C)に示す実施形態においては、ラックガイド12の外周面とガイドハウジング5の内周面との間に弾性部材23が配置されている。弾性部材23は、断面略矩形状の1本の環状部材において、相対的に軟質及び硬質の材料を用いて二色成形し、軸方向に沿って軟質材料含有の軟質部231と、硬質材料含有の硬質部232とを有する。
軟質材料及び硬質材料としては、それぞれの材料を成形体として形成した時に、両材料共にラックガイド12を外周面から保持可能で、軟質材料はラックガイド12の傾斜などの動きを許容する程度の弾性を有し、硬質材料はラックガイド12が傾斜しても初期位置に復元させ易い程度の弾性を有するのが好ましい。軟質材料及び硬質材料は、例えば任意のエラストマーを軟質材料として用い、成形時に弾性が向上する添加剤を軟質材料に加えることによって硬質材料として用いる態様を採用することもできる。
弾性部材22は、ピニオンシャフト及びラックシャフト側に軟質部231が配置され、ピニオンシャフト及びラックシャフトとは反対側に硬質部232が配置されている。
図6(C)に示す弾性部材23は、軟質部231を有していることにより、弾性率の小さい軟質部231が径方向に圧縮され易いので、ラックガイド12がラックシャフトの動きに追従して傾斜し易い。これにより、弾性部材23は、円滑なステアリング操作を妨げることはない。
更に、弾性部材23は、硬質部232を有しているので、ラックシャフトの動きに追従してラックガイド12が傾いたときに、ステアリング操作を一旦停止してラックシャフトが動いた後の位置で停止したとしても、硬質部232の弾性力によってラックガイド12が初期位置に戻り易い。これにより、ステアリング操作において切り増し又は切り戻しをする場合、いずれの場合であってもラックガイド12が傾斜しても迅速にかつ正確に初期位置に戻り易いので、操舵感は一定である。よって、弾性部材23を設けた場合であっても、ステアリング操作における切り増し及び切り戻しの間に、操舵感の差異は生じない又は生じ難い。
また、図6(C)に示す実施形態は、ラックガイド12がラックシャフトの動きに追従し易いことと、ラックガイド12が初期位置に戻り易いこととによって、ラックシャフトが動く際のラックガイド12の挙動を理想に近付けることができる。したがって、弾性部材23を設けることによって、図4に示したグラフにおいて、ピニオン回転角とピニオン回転トルクとの関係性を、破線で示す状態から実線で示す状態に近付けることができる。
以上に示した弾性部材の実施形態は1本の環状部材である。本発明において弾性部材は、その本数に制限は無く、例えば2本又は3本以上の環状部材をラックガイドの外周面に設けることとしても良い。弾性部材として複数本の環状部材を用いる場合は、各環状部材の弾性率に差異を設け、ピニオンシャフト及びラックシャフト側に弾性率が相対的に小さい環状部材を配置し、ピニオンシャフト及びラックシャフトとは反対側に弾性率が相対的に大きい環状部材を配置することができる。弾性率の小さい環状部材が本発明における第2の弾性部として機能することになる。これにより、上述した弾性部材の薄肉部及び厚肉部と同様の機能を発揮することができる。
更に、弾性部材として複数本の環状部材を用いる場合において、ピニオンシャフト及びラックシャフト側に、単なる断面矩形状の環状部材に比べると変形し易い環状部材、例えば上記弾性部材16様の部材を配置しても良い。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により、本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
1:ステアリング装置、2:ピニオンシャフト、3:ピニオンハウジング、4:ラックハウジング、5:ガイドハウジング、6:固定部、7:タイロッド、8:ブーツ、9:ピニオン、10:ラック、11:ラックシャフト、12:ラックガイド、13:押さえ部材、14:コイルばね、15:溝部、16、17、18、19、20、21、22、23:弾性部材、161、171、181、191、201、211、221:薄肉部、162、172、182、192、202、212、222:厚肉部、231:軟質部、232:硬質部、G:空隙

Claims (6)

  1. ラック及びピニオンを備えるステアリング装置であって、
    ピニオンを外周面に有するピニオンシャフトと、
    ピニオンに歯合するラックを有するラックシャフトと、
    ラックシャフトのピニオンシャフトとは反対側において、ラックシャフトをその軸線に沿って案内するラックガイドと、
    ラックをピニオン側に押圧するために、ラックガイドをラックシャフトに対して付勢する付勢部材と、
    ラックガイド及び付勢部材を収容するガイドハウジングと、
    ラックガイドの外周面とガイドハウジングの内周面との間に設けられる弾性部材と、を備え、
    弾性部材は、第1の弾性部と、第1の弾性部より小さい弾性率を有する第2の弾性部とを有し、
    第2の弾性部は、第1の弾性部よりピニオンシャフト及びラックシャフト側に配置され、
    第1の弾性部は、傾斜したラックガイドを初期位置に戻す弾性力を、ラックガイドに対して作用させることができ、
    第2の弾性部は、ラックガイドを傾斜可能にする弾性力を、ラックガイドに対して作用させることができる、
    ステアリング装置。
  2. ラックガイドの外周面とガイドハウジングの内周面とは平行又は略平行に配置されて成る、
    請求項1に記載のステアリング装置。
  3. 弾性部材は、ピニオン側に厚みの小さい薄肉部を有し、ピニオンとは反対側に厚みの大きい厚肉部を有し、
    厚肉部が第1の弾性部であり、
    薄肉部が第2の弾性部である、
    請求項1又は2に記載のステアリング装置。
  4. 弾性部材は、少なくとも2種類の材料を含有し、ピニオン側に軟質材料を含有する軟質部を有し、ピニオンとは反対側に硬質材料を含有する硬質部を有し、
    硬質部が第1の弾性部であり、
    軟質部が第2の弾性部である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のステアリング装置。
  5. 弾性部材は、ラックガイドの外周面を囲む1本の環状体である、
    請求項1〜のいずれか1項に記載のステアリング装置。
  6. 弾性部材は、ラックガイドの外周面を囲む複数本の環状体であり、
    ピニオンとは反対側に配置される環状体が第1の弾性部であり、
    ピニオン側に配置される環状体が第2の弾性部である、
    請求項1〜のいずれか1項に記載のステアリング装置。
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