JP2018122667A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2018122667A
JP2018122667A JP2017015282A JP2017015282A JP2018122667A JP 2018122667 A JP2018122667 A JP 2018122667A JP 2017015282 A JP2017015282 A JP 2017015282A JP 2017015282 A JP2017015282 A JP 2017015282A JP 2018122667 A JP2018122667 A JP 2018122667A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rack
rack shaft
pinion
groove
shaft
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017015282A
Other languages
English (en)
Inventor
温子 大野
Atsuko Ono
温子 大野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2017015282A priority Critical patent/JP2018122667A/ja
Publication of JP2018122667A publication Critical patent/JP2018122667A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Power Steering Mechanism (AREA)
  • Transmission Devices (AREA)

Abstract

【課題】装置を大型化することなく、過大逆入力時の衝撃を緩和することが可能な電動パワーステアリング装置を提供する。【解決手段】摩擦機構は、ラックシャフト22に設けられた突起部62と、ラックハウジングに設けられた溝61と、を備える。突起部62の側面62a、62b及び溝61の側面61a、61bの少なくとも一方に摩擦面が形成されており、車両外部から転舵輪に入力される力によって転舵輪の角度が変更される際にラックシャフト22に作用する力である逆入力がラックシャフト22に作用しない状態である定常状態及び所定値未満の逆入力がある状態において、突起部62の側面62a、62bと溝61の側面61a、61bとは当接しておらず、所定値以上の逆入力がある状態において、突起部62の側面62a、62bと溝61の側面61a、61bとが当接するようになっている。【選択図】図8

Description

本発明は、ボールねじナットを含む電動アシスト機構及びラックガイドを備えた電動パワーステアリング装置に関する。
従来から、ラックアンドピニオン機構を備え、ラックシャフトを収容するラックハウジングにラックシャフトの両端に備えられたラックエンドが当接することにより、ラックシャフトの移動範囲及び転舵輪の転舵範囲が機械的に規制される車両のステアリング装置が知られている。このようなステアリング装置は、転舵輪に外力が加えられること等に起因して、転舵輪の角度が変更されると、その転舵輪の角度変更に伴う逆入力がラックシャフトに作用する。この逆入力によってラックシャフトが移動させられラックエンドがラックハウジングに衝突することにより、操舵系に衝撃が加わる虞がある。
そこで、従来の電動パワーステアリング装置の一つ(以下、「従来装置」と称呼する。)は、ラックハウジングとラックエンドとの間に衝撃吸収部材を備え、これにより、ラックエンドのラックハウジングへの衝突時の衝撃を緩和することができるようになっている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2016−8003号公報(図2)
しかしながら、車両が低速で走行しているときに転舵輪に外力が加わるとき、過大な力が転舵輪を通じてラックシャフトに入力されることがある。この過大な力(以下、「過大逆入力」とも称呼する。)は、ラックシャフトをその軸方向に高速に移動させる。その結果、ラックエンドがラックハウジングの端部に設けられた衝撃吸収部材に勢いよく衝突するまで移動することがある。
過大逆入力によりラックエンドがラックハウジングに衝突する際に加わる衝撃が大きくなる場合がある。従来装置の構成において、この衝撃を緩和するためには、より大型の衝撃吸収部材を必要とする。即ち、従来装置を過大逆入力に対応させることは装置の大型化を招来してしまう。
本発明は上記課題に対処するために為されたものである。即ち、本発明の目的の一つは、装置を大型化することなく、過大逆入力時の衝撃を緩和することが可能な電動パワーステアリング装置を提供することにある。
そこで、本発明の(電動)パワーステアリング装置(以下、「本発明装置」とも称呼する。)は、ステアリングホイール(11)から入力される操舵力が伝達されるピニオン(26)と、前記ピニオンに歯合するラック(22a)を有するとともにラックエンド(70)が両端に設けられたラックシャフト(22)と、を含むラックアンドピニオン機構(24)と、前記ラックシャフトの一部を包囲するように同ラックシャフトと同軸に配置されるボールねじナット(51)と、前記ラックエンドと当接することにより車両の転舵輪(12)の転舵量を規制する規制面(21b)を両端に有するとともに前記ラックシャフト及び前記ボールねじナットを覆うラックハウジング(21)の内周面(21a)と前記ボールねじナットの外周面(51a)との間に設けられ、前記ラックシャフトの軸線(C)を中心に互いに拘束されることなく回転可能な内輪(53a)及び外輪(53b)を有する軸受(53)と、を含む電動アシスト機構(40)と、を備える。
更に、本発明装置は、前記ラックシャフトの前記ピニオンとは反対側に備えた弾性体(34)により、前記ラックシャフトを前記ピニオン側に付勢するラックガイド機構(30)と、前記ラックシャフトに突設する少なくとも1つの突起部(62)と、を更に備えるとともに、前記ラックハウジングには同ラックハウジングの軸と平行な方向を長手方向とする側面を有し、前記突起部を収容する溝(61)が形成される。
加えて、前記突起部の側面及び前記溝の側面の少なくとも一方に摩擦面が形成されており、前記車両の外部から前記転舵輪に入力される力によって同転舵輪の角度が変更される際に前記ラックシャフトに作用する力である逆入力が前記ラックシャフトに作用しない状態である定常状態及び所定値未満の前記逆入力がある状態において、前記突起部の側面と前記溝の側面とは当接しておらず、前記所定値以上の前記逆入力がある状態において、前記ラックシャフトが同ラックシャフトの軸(C)を中心に回転することにより、前記突起部の側面と前記溝の側面とが当接する。
ラックシャフトはばねの弾性力を利用してラックガイド機構によってピニオン側に付勢されており、逆入力がラックシャフトに加わると、ラックシャフトが軸方向に移動することに伴ってボールねじ機構が回転する。すると、ボールねじ機構とラックシャフトとの間に生じるボールねじ機構の回転に対する反力によってラックシャフトを回転させようとする力が生じる。ラックシャフトはピニオンとの歯合部(ラック部)において断面が平坦になっているので、ラックシャフトを回転させようとする力が生じると、ラックシャフトにはピニオンとの接触部分を支点としてピニオンから離間する方向(ラックガイド機構側)に移動させようとする力がはたらく。ラックシャフトには、ラックガイド機構によってピニオン側に付勢させる力がはたらいているので、所定値未満の逆入力がラックシャフトに加わっても、突起部の側面と溝の側面とが当接するほどにはラックシャフトを回転させることができない。これに対し、所定値以上の逆入力(過大逆入力)がラックシャフトに加わると、突起部の側面と溝の側面とが当接するまでラックシャフトを回転させることができる。突起部の側面と溝の側面とが当接するとき、ラックシャフトはその軸方向(即ち、溝の側面に沿った方向)に移動しているので、突起部の側面又は溝の側面の少なくとも一方に形成された摩擦面と他方の面が擦れ合うことによって摩擦力が発生する。よって、ラックシャフトの運動エネルギーは熱に変換され、ラックシャフトの移動速度が低下する。その結果、ラックエンドがラックハウジングの端部に設けられた衝撃吸収部材に衝突する際の衝撃が緩和される。従って、本発明装置によれば、装置(より具体的には、衝撃吸収部材)を大型化することなく、過大逆入力時の衝撃を緩和することが可能となる。
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、本発明の各構成要素は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
図1は、本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の概略構成図である。 図2は、図1に示した電動パワーステアリング装置のラックアンドピニオン機構及びラックガイド機構を示した断面図である。 図3は、図2に示したラックガイド機構のばね機構の有するばね特性を示した図である。 図4は、図1に示した電動パワーステアリング装置のボールねじ機構を示した断面図である。 図5は、図1に示した電動パワーステアリング装置の摩擦機構を示した断面図である。 図6は、図1に示した電動パワーステアリング装置の作動を説明するための図である。 図7は、図2に示した断面図において、ラックシャフトに逆入力が加わったときのラックガイド機構の作用を示した図である。 図8は、図5に示した断面図において、ラックシャフトに逆入力が加わったときの摩擦機構の作用を示した図である。 図9は、図5に示した断面図において、ラックシャフトに逆入力が加わったときの摩擦機構の作用を示した図である。 図10は、図1に示した電動パワーステアリング装置の第1変形例に係る摩擦機構を示した断面図である。 図11は、図1に示した電動パワーステアリング装置の第2変形例に係る摩擦機構を示した断面図である。
本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置(以下、「本装置」とも称呼される。)は、車両に適用される。
(構成)
図1に示したように、本装置10は、ステアリングホイール11、転舵輪12、転舵機構20、ラックガイド機構30、アシスト装置40、ボールねじ機構50、摩擦機構60及びラックエンド70を含んでいる。
転舵輪12は、本装置10が適用される車両の右前輪及び左前輪である。
転舵機構20は、それ自体公知であり、車両の幅方向に延びる筒型状のラックハウジング21と、ラックハウジング21の内部に挿通され、ラックハウジング21に車両の幅方向にて移動可能に支持されるラックシャフト22と、を備えている。更に、転舵機構20は、ステアリングホイール11とともに回転するステアリングシャフト23と、ピニオンシャフト23の回転運動を図中に破線Cにて示されるラックシャフト軸(以下、「ラック軸C」とも称呼する。)と平行なラックシャフト22の直線運動に変換するラックアンドピニオン機構24と、を備えている。ステアリングシャフト23は、以下、ピニオンシャフト23とも称呼される。
ラックアンドピニオン機構24は、図2に示したように、ラックハウジング21に収容されるラックシャフト22のラック歯(以下、単に「ラック」とも称呼する。)22aとピニオンハウジング25が収容するピニオン26のピニオン歯26aとが歯合して構成される。なお、図2は、電動パワーステアリング装置10におけるピニオンハウジング25の軸線Cp及びガイドハウジング31の軸線Cg(以下、「ガイド軸Cg」とも称呼される。)に沿った断面図であるので、ラックハウジング21は図示されない。
ピニオンハウジング25は、ピニオンシャフト23であってステアリングホイール11の取り付けられた端部とは反対の端部と、ピニオン26、軸受27及び軸受28を収容する略円筒形状の筐体である。
ピニオン26は、ピニオンシャフト23のガイドハウジング31との交差部位に配設されている。ピニオン26は、ピニオンシャフト23と同軸に且つ一体回転するようにピニオンシャフト23に固定されている。ピニオン26には、ピニオン歯26aが形成されている。
ラックシャフト22は、断面が、例えば、直径50mmの円柱状部材であるが、ピニオンシャフト23との交差部位(図2に示した断面)を含む所定区間にラック(ラック歯)22aが形成されている。この所定区間において、ラックシャフト22は略D型の断面を有している。ピニオンハウジング25内の上部に固定された軸受27及び同下部に固定された軸受28は、ピニオンシャフト23とピニオンハウジング25との間においてピニオンシャフト23を相対的に回転自在に支持している。なお、上記直径は例示に過ぎず、本発明を限定しない。
このような機構により、ステアリングホイール11の回動に伴うピニオンシャフト23の回転運動がピニオン26に伝達され、ピニオン26の回転運動がピニオン26と歯合するラックシャフト22の直線運動に変換される。即ち、ラックアンドピニオン機構24は、ステアリングホイール11から入力される操舵力が伝達されるピニオン26と、ピニオン26に歯合するラック(ラック歯)22aを有するとともにラックエンド70が両端に設けられたラックシャフト22と、を含んでいる。
ラックガイド機構30は、図2に示したように、ガイドハウジング31、ラックガイド32、キャップ33及びばね機構34を含んでいる。ピニオンハウジング25とガイドハウジング31とは略直交している。
ガイドハウジング31は、ラックガイド機構30を収容する略円筒形状の筐体であり、ラックハウジング21から車体の前方向に突出している。
ラックガイド32はガイドハウジング31に収容される。ラックガイド32は、ラックシャフト22に当接してラックシャフト22をラック軸C方向に案内する部材である。
キャップ(押さえ部材)33は、ガイドハウジング31の突出端31aに取り付けられる。即ち、ラックガイド32とキャップ33とは、ガイドハウジング31内において、ガイドハウジング31の突出端31aから順に配置される。本例において、キャップ33は、ガイドハウジング31の突出端31aにねじ込まれて固定されている。
ばね機構34は、ラックガイド32とキャップ33との間に圧縮を受けて配置される。このばね機構34により、ラックシャフト22はピニオン26に弾性的に押し付けられ、ラック歯22aとピニオン歯26aとの噛み合いが良好に維持される。ばね機構34のストローク量(ばね機構34の自然長からの縮み量、ラックガイド32のガイド軸Cg方向の移動量)XをX0とする。
ばね機構34は、第1ばね34a、第2ばね34b及び中間シート34cを含んでいる。第1ばね34aは、ばね定数k1を有するコイルばねである。第2ばね34bは、ばね定数k1よりも大きいばね定数k2を有するコイルばねである(k1<k2)。中間シート34cは、第1ばね34aと第2ばね34bとの間に配設されており、第1ばね34aと第2ばね34bとを互いに連結している。
ばね機構34のストローク量Xが小さい領域においては、ばね機構34全体のばね定数(「k0」と称呼する。)は、第1ばね34aのばね定数k1と第2ばね34bのばね定数k2とを合成した値となるから(1)式が成立する。よって、k0は(2)式により表される。

1/k0=1/k1+1/k2 …(1)

k0=k1・k2/(k1+k2) …(2)

前述したように、第1ばね34aのばね定数k1は第2ばね34bのばね定数k2よりも小さい。従って、(2)式より、ばね機構34全体のばね定数k0には次の関係が成立する。

k1/2<k0<k1 …(3)
一方、ストローク量Xが大きい領域においては、ばね定数の小さい第1ばね34aが縮みきった状態となっている。このとき、第1ばね34aのばね定数k1の値は実質的に∞(無限大)となるので、(1)式から、

1/k0=1/∞+1/k2≒1/k2 …(4)

従って、ストローク量が大きい領域におけるばね機構34全体のばね定数k0は(5)式に示されたようになる。

k0=k2 …(5)
以上より、ばね機構34は、図3に示したように、ストローク量XがX0からX1までは第1のばね定数(k1・k2/(k1+k2))を有し、ストローク量XがX1以上においては、第1のばね定数より大きい第2のばね定数k2を有するという特性を備える。この特性により、ばね機構34は、通常の運転操作においては、ラック歯22aとピニオン歯26aとの噛み合いを良好に維持するためにストローク量Xの小さい領域(ばね定数が小さい領域)にて動作する。一方、過大逆入力があったときには、ばね機構34はストローク量Xの大きい領域(ばね定数が大きい領域)にて動作する。即ち、ラックガイド機構30は、ラックシャフト22のピニオン26とは反対側に備えた弾性体(ばね機構34)により、ラックシャフト22をピニオン26側に付勢する。
再び図1を参照すると、アシスト装置40は、ラックハウジング21の外部に配置されたモータ41と、モータ41から歯付ベルト(以下、単に「ベルト」とも称呼する。)42を通じて伝達される回転運動をラックシャフト22の直線運動に変換する、ラックハウジング21の内部に配置されたボールねじ機構50と、を備えている。アシスト装置40は、ステアリングホイール11からステアリングシャフト23に伝達される操舵トルクに応じてモータ41を駆動させることにより、ラックシャフト22をラック軸Cに沿って移動させるアシスト力を生成する。
図4に示したように、ボールねじ機構50は、ラックハウジング21内に配置され、ボールねじナット51、ボール52及び軸受53を含んでいる。
ボールねじナット51は、ボール52を介してラックシャフト22と歯合している。軸受53は、内輪53a、外輪53b及びボール53cを含んでいる。軸受53においては、外輪53bが内輪53aの周りを内輪53aと同軸に自在に回転することができるようになっている。
内輪53aは、その内周面53a1がボールねじナット51の外周面51aと当接して固定されている。従って、内輪53aはボールねじナット51と一体となって回転するようになっている。一方、外輪53bは、その外周面53b1がラックハウジング21の内周面21aに当接して固定されている。即ち、軸受53は、ラックハウジング21の内周面21aとボールねじナット51の外周面51aとの間に設けられ、ラックシャフト22の軸(ラック軸)Cを中心に互いに拘束されることなく回転可能な内輪53a及び外輪53bを有する。
再び、図1を参照すると、ラックシャフト22の両端には、それぞれジョイントとして機能するラックエンド70を介してタイロッド71が回動自在に連結されている。これらのタイロッド71の先端には、それぞれ転舵輪12が組み付けられている。
運転者がステアリングホイール11を操舵することにより、ラックシャフト22に加えられる操舵力と、当該操舵に連動してアシスト装置40からラックシャフト22に加えられるアシスト力と、によってラックシャフト22はラック軸Cに沿って直線移動する。このラックシャフト22の直線移動が、ラックシャフト22の両端に連結されたタイロッド71を介して転舵輪12に伝達されることにより、転舵輪12の角度が変更される。
ラックエンド70はそれ自体公知であり、具体的には、引用文献1に記載されている(当該文献の図2を参照。)。ラックエンド70は、ラックシャフト22の径よりも大きい径を有している。ラックハウジング21の両端部に形成された規制面にラックエンド70が当接することにより、転舵輪12の変更可能角度(転舵量)が規制される。従って、ラックシャフト22のラック軸C方向の移動可能範囲WDは、左右それぞれの規制面に各々対応するラックエンド70が当接するまでの範囲に規制される。本例においては、移動可能範囲WDは、例えば、150mmに設定されている。なお、上記移動可能範囲WDは例示に過ぎず、本発明を限定しない。
摩擦機構60は、図1に示したように、ラックシャフト22の中間部位(左右中央付近)を含んで構成される。本例においては、ラックアンドピニオン機構24及びボールねじ機構50がラックシャフト22の左右にそれぞれ設けられているので、摩擦機構60はラックシャフト22の中間部位に設けられるのが好ましい形態である。よって、摩擦機構60の配設位置は、ラックアンドピニオン機構24及びボールねじ機構50が設けられる位置により、適宜変更されてもよい。
摩擦機構60は、ラックハウジング21に形成された溝61及びラックシャフト22に形成された突起部62を含んでいる。図5の左側には、ラックシャフト22が逆入力による作用力を受けておらず、且つ転舵輪12の舵角がゼロ、の場合におけるラックハウジング及びラックシャフト22のラック軸Cに沿った断面図(透視図)が示される。
図5に示したように、溝61は、その長手方向の側面61a及び61bがラックハウジング21の軸と平行に、即ち、ラック軸Cと略平行に形成される。図5の右側に示したように、ラック軸Cを中心として点対称の位置にもう一つの溝61が形成される。溝61の長手方向の長さL1は、例えば、200mmである。溝61の幅W1は、例えば、12mmである。溝61の深さD1は、例えば、6mmである。図5の右側に示した断面図において、溝61の長手方向の側面61a及び61bは、例えば、互いに平行であってラック軸Cに対してそれぞれ対称的に形成される。よって、溝61の断面形状は略矩形となる。
摩擦機構60近傍におけるラックハウジング21の厚さは、例えば、10mmである。摩擦機構60近傍におけるラックハウジング21の内周面21aとラックシャフト22の外周面22bとの間の標準的な距離は、例えば、5mmである。
突起部62のラック軸C方向における中央位置(ラック軸Cと平行な辺の中点)は、溝61の長手方向の中央位置(ラック軸Cと平行な辺の中点)と一致している。突起部62は、その長手方向がラック軸Cと平行となるように形成される。突起部62の長手方向の長さL2は、例えば、40mmである。突起部62の幅W2は、例えば、10mmである。突起部62の高さ(側面62a及び62bの高さ)H21は、例えば、8mmである。側面62a及び62bは、例えば、互いに平行であってラック軸Cに対してそれぞれ対称的に形成される。突起部62の側面62a及び62bの表面は粗面加工されている。即ち、突起部62の側面62a及び62bには摩擦面が形成されている。なお、これらの寸法は例示に過ぎず、本発明を限定しない。
溝61の端面61cと突起部62の端面62cとの間の距離L3は、少なくとも、ラックシャフト22のラック軸C方向の移動可能範囲WDの半分(WD/2)以上となっている。溝61の端面61dと突起部62の端面62dとの間の距離L4も、同様に移動可能範囲WDの半分(WD/2)以上となっている。従って、ステアリングホイール11が操作され、(転舵輪12が回動し)ラックエンド70が規制面に当接した場合であっても、突起部62の端面62cと、溝61の端面61cは当接せず、且つ突起部62の端面62dと、溝61の端面61dは当接しない。更に、ラックエンド70が規制面に当接した状態においては、図5に示したように、突起部62の側面62aは溝61の側面61aと接しておらず、同様に側面62bは側面61bと接していない。突起部62は、溝61の幅方向(円周方向)において、溝61の略中央に位置するようになっている。
(作動)
前述したように、ラックエンド70がラックハウジング21の端部に設けられた規制面(衝撃吸収部材)21bに当接する(所謂「エンド当たり」が生じる)ことにより、ラックシャフト22の移動及び転舵輪12の転舵範囲が機械的に規制される。以下、この「エンド当たり」が生じていない状態において、本装置10が過大逆入力時の衝撃を緩和する原理について図6を参照しながら説明する。
図6に示したように、ラックエンド70が第1ラックハウジング21の端部(規制面)21bに当接していないとき、ラックシャフト22に左方向から逆入力Frが作用する場合を例に説明する。
図6(B)は図6(A)において破線AAにて囲んだ部分を拡大して示している。この場合、ボールねじナット51には、ラックシャフト22からボール52を介して図中に矢印にて示した方向の(即ち、左から右に向かう)力が作用する。これとともに、ボールねじナット51にはラックシャフト22の周りを回転する力が作用する。より具体的には、ラックシャフト22に刻まれたボールねじ溝の向きに従い、ボールねじナット51には図2において時計回りに回転する力が作用して、ボールねじナット51はラックシャフト22の周りを回転し始める。更に、ボールねじナット51とともに従動プーリ42aも回転しベルト42を介してモータ41が回転させられる。
一方、ラックシャフト22には、ボールねじナット51の回転方向と反対方向に反力が作用する。従って、ラックシャフト22は、図2の向きにおいて反時計回りに回転しようとする。従って、ラックシャフト22は、逆入力Frによって回転しながら紙面右方向に移動させられる。
ところで、図2に示したように、ラックシャフト22はラックガイド32を介してばね機構34によってピニオン26側(紙面右方向)に付勢されている。ここで、ラックシャフト22の中心C0(ラック軸C)の、ガイド軸Cg上の位置をQ0とし、ラックシャフト22にラックシャフト22を図2において反時計回りに回転させようとする力が作用する場合を考える。
この場合、図7に示したように、ラック歯22aとピニオン歯26aの接触部P1を支点として、ラックシャフト22が回転を始める。この回転に伴って、ラックシャフト22は紙面左方向(ガイド軸Cgと平行な方向)に移動する。その結果、ばね機構34は押し縮められる。
言い換えると、ラックシャフト22を右向きに(ピニオン26に向かって)付勢するばね機構34の弾性力Fgと、ラックシャフト22が回転することによりラックシャフト22をピニオン26から遠ざけようとする力Fkとが釣り合うような位置にラックシャフト22が変位する。図7において、ラックシャフト22の中心C0のガイド軸Cg上の位置はQ1(Q0よりも左側に変位している。)である。このときのラックシャフト22の回転角をθとする。ボールねじ機構50にて発生するラックシャフト22への作用力(ボールねじナット51の回転による反力)が大きいほど、図3に従って、ばね機構34のストローク量Xが大きくなり、その結果、ラックシャフト22の回転角θは大きくなる。
ステアリングホイール11の操作によってラックシャフト22が移動する場合、又は比較的小さい逆入力が作用するとき(図3において、ストローク量XがX0からX1までの範囲にあるとき)は、ラックシャフト22の回転角θも小さく、摩擦機構60の突起部62は溝61に接触しない。しかしながら、所定値以上の大きさの逆入力が作用すると(図3において、ストローク量XがX1からX2までの範囲にあるとき)、ラックシャフト22の回転角θが突起部62と溝61とが当接する角度θtに達する。所定値以上の大きさの逆入力が作用している間は、ラックシャフト22はラック軸C方向に移動するので、突起部62と溝61とは、互いが当接している部位(側面62aと側面61aとの当接部位)においてラック軸C方向に擦れ合う(図8を参照。)。これによって、側面62aと側面61aとの間に摩擦力が発生し、摩擦力が熱に変換される。その結果、ラックシャフト22のラック軸C方向の運動エネルギーが減少させられ、ラックシャフト22の移動速度が低減される。従って、ラックエンド70が、ラックハウジング21の端部に設けられた規制面21bへ衝突する程度が緩和される。
一方、所定値以上の大きさの逆入力が上記と反対向きに(即ち、図6において右から左に)ラックシャフト22に作用したときは、ラックシャフト22は図2の向きにおいて時計回りに回転して、ラックシャフト22の回転角θが突起部62と溝61とが当接する角度−θtに達する。ラックシャフト22はラック軸C方向に移動するので、突起部62と溝61とが当接している部位(側面62bと側面61bとの当接部位)において、ラック軸C方向に互いに擦れ合う(図9を参照。)。これによって、側面62bと側面61bとの間に摩擦力が発生し、摩擦力が熱に変換される。その結果、ラックシャフト22のラック軸C方向の運動エネルギーが減少させられ、ラックシャフト22の移動速度が低減される。従って、ラックエンド70が、ラックハウジング21の端部に設けられた規制面21bへ衝突する程度が緩和される。
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、以下に述べるように、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
上記実施形態において、溝61及び突起部62のラック軸Cに垂直な面による断面形状は略矩形であった。これに対し、第1変形例においては、図10(A)に示したように、ラックシャフト22Aの垂直断面において、突起部62Aを点R1及び点R2から円周の接線方向にそれぞれに延ばした線分の交点R3を頂点とする略三角形状とし、ラックハウジング21の溝61Aを、突起部62Aを収容可能に突起部62Aと相似な形状に切り欠いた形状としてもよい。これによれば、溝61及び突起部62の断面を略矩形に形成した上記実施形態と比較して、溝61A及び突起部62Aを加工する工数を低減し、比較的容易に加工することができる。
第1変形例において、所定値以上の逆入力が作用してラックシャフト22Aが回転したとき、図10(B)及び(C)に示したように、突起部62Aの交点R3がラックハウジング21Aの溝61Aに当接する。この場合、回転方向にかかるFと接触面との間に角度φが生じる。垂直抗力FNはF/sinφで表されることから、接触面にかかる垂直抗力を増やし摩擦力を増大させる効果が得られる。
上記実施形態において、溝61の側面61a及び61bには摩擦面が形成されておらず、突起部62の側面62a及び62bに摩擦面が形成されていたが、他の実施形態においては、溝61の側面61a及び61bに摩擦面が形成され、突起部62の側面62a及び62bに摩擦面が形成されないように構成されてもよい。或いは、溝61の側面61a及び61b並びに突起部62の側面62a及び62bに摩擦面が形成されていてもよい。このように、摩擦面は、溝61の側面及び突起部62の側面の少なくとも何れか一方に形成されていればよい。
更に、第2変形例においては、図11に示したように、突起部62の側面62a及び62bには、鋭利な突起物62eが形成されていてもよい。これにより、ラックシャフト22に過大逆入力があったときには、溝61の側面61a又は61bに突起物62eが食い込み、より大きな摩擦力を発生させることができる。
更に、別の変形例においては、溝61の側面61a及び61b、並びに突起部62の側面62a及び62bを粗面加工するのに代えて、摩擦部材が取り付けられてもよい。この摩擦部材には、レジンモールド材、樹脂繊維を織り込んだ有機系摩擦材料、並びに銅、アルミナ及びセラミック等の粉体を焼結した金属系摩擦材料の何れかが適宜組み合わされる。
上記実施形態において、ばね機構34は、第1ばね34a、第1ばね34aよりも大きいばね定数を有する第2ばね34b及びこれらを係止する中間シート34cにより構成されていたが、中間シート34cが省かれて第1ばね34aと第2ばね34bとが直接接合されていてもよい。更に、ばね機構34は、1つのコイルばねの太さを段階的に、又は連続的に変化させることにより、ばね定数がストローク量Xに応じて変化するようにしてもよい。
上記実施形態において、ばね機構34は、ばね定数がストローク量Xが大きいほど大きくなる特性を有していたが、一定のばね定数を有する1つのコイルばねにより構成されていてもよい。
上記実施形態において、ばね機構34にはコイルばねが用いられていたが、皿ばね及び板ばね等のばね及びゴム及び樹脂等の弾性体が用いられてもよい。
上記実施形態において、溝61及び突起部62のラック軸Cに垂直な面による断面形状は略矩形であったが、例えば、溝61の側面61a及び61bは、ラック軸Cを含む平面と一致するように形成され、突起部62の側面62a及び62bは、ラック軸Cを含む平面と一致するように形成されてもよい。
上記実施形態において、溝61及び突起部62はそれぞれ2つずつ設けられているが、本発明はこれに限定されない。溝61及び突起部62は1つずつでもよいし、3つずつ以上であってもよい。ラックシャフト22の直径及び摩擦機構60の大きさは一例に過ぎず、本発明はこれに限定されない。
10…電動パワーステアリング装置、11…ステアリングホイール、12…転舵輪、20…転舵機構、21…ラックハウジング、22…ラックシャフト、22a…ラック歯、23…ステアリングシャフト、24…ラックアンドピニオン機構、25…ピニオンハウジング、26…ピニオン、26a…ピニオン歯、30…ラックガイド機構、31…ガイドハウジング、32…ラックガイド、33…キャップ、34…ばね機構、34a…第1ばね、34b…第2ばね、40…アシスト装置、41…モータ、42…歯付ベルト(ベルト)、50…ボールねじ機構、51…ボールねじナット、52…ボール、53…軸受、60…摩擦機構、61…溝、62…突起部、70…ラックエンド。

Claims (1)

  1. ステアリングホイールから入力される操舵力が伝達されるピニオンと、
    前記ピニオンに歯合するラックを有するとともにラックエンドが両端に設けられたラックシャフトと、
    を含むラックアンドピニオン機構と、
    前記ラックシャフトの一部を包囲するように同ラックシャフトと同軸に配置されるボールねじナットと、
    前記ラックエンドと当接することにより車両の転舵輪の転舵量を規制する規制面を両端に有するとともに前記ラックシャフト及び前記ボールねじナットを覆うラックハウジングの内周面と前記ボールねじナットの外周面との間に設けられ、前記ラックシャフトの軸線を中心に互いに拘束されることなく回転可能な内輪及び外輪を有する軸受と、
    を含む電動アシスト機構と、を備えた電動パワーステアリング装置であって、
    前記ラックシャフトの前記ピニオンとは反対側に備えた弾性体により、前記ラックシャフトを前記ピニオン側に付勢するラックガイド機構と、
    前記ラックシャフトに突設する少なくとも1つの突起部と、を更に備えるとともに、
    前記ラックハウジングには同ラックハウジングの軸と平行な方向を長手方向とする側面を有し、前記突起部を収容する溝が形成され、
    前記突起部の側面及び前記溝の側面の少なくとも一方に摩擦面が形成されており、
    前記車両の外部から前記転舵輪に入力される力によって同転舵輪の角度が変更される際に前記ラックシャフトに作用する力である逆入力が前記ラックシャフトに作用しない状態である定常状態及び所定値未満の前記逆入力がある状態において、前記突起部の側面と前記溝の側面とは当接しておらず、
    前記所定値以上の前記逆入力がある状態において、前記ラックシャフトが同ラックシャフトの軸を中心に回転することにより、前記突起部の側面と前記溝の側面とが当接する、
    電動パワーステアリング装置。

JP2017015282A 2017-01-31 2017-01-31 電動パワーステアリング装置 Pending JP2018122667A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017015282A JP2018122667A (ja) 2017-01-31 2017-01-31 電動パワーステアリング装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017015282A JP2018122667A (ja) 2017-01-31 2017-01-31 電動パワーステアリング装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018122667A true JP2018122667A (ja) 2018-08-09

Family

ID=63110789

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017015282A Pending JP2018122667A (ja) 2017-01-31 2017-01-31 電動パワーステアリング装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018122667A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112638745A (zh) * 2018-08-21 2021-04-09 罗伯特·博世有限公司 齿杆通过互补的形状抗扭

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112638745A (zh) * 2018-08-21 2021-04-09 罗伯特·博世有限公司 齿杆通过互补的形状抗扭
JP2021534033A (ja) * 2018-08-21 2021-12-09 ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツングRobert Bosch Gmbh 相補的な形状によるラックの回動防止機構
JP7250902B2 (ja) 2018-08-21 2023-04-03 ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング 相補的な形状によるラックの回動防止機構
US11987294B2 (en) 2018-08-21 2024-05-21 Robert Bosch Gmbh Twist prevention of the rack by complementary shapes

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107031700B (zh) 转向装置
JP2014100935A (ja) ステアリング装置
JP2010036610A (ja) ラック軸支持装置および車両用操舵装置
JP5294007B2 (ja) ラック軸支持装置および車両用操舵装置
JP5062465B2 (ja) ステアリング装置
JP2018122667A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP6117603B2 (ja) 反力発生装置
JP2016210320A (ja) ラックガイド装置
JP2015054609A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2016128311A (ja) ラックガイド機構
JP2018118611A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5408497B2 (ja) ラック軸支持装置および車両用操舵装置
JP2018114770A (ja) ステアリング装置
JP4930771B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
WO2018168814A1 (ja) ラックガイドおよびギア機構
JP2015107683A (ja) ラックシャフト支持装置およびこの装置を備えるステアリング装置
JP2010254238A (ja) ラック軸支持装置および車両用操舵装置
JP2012061978A (ja) ラックガイド装置及びステアリング装置
JP2013230769A (ja) ステアリング装置
CN111801265B (zh) 转向装置
JP2016182888A (ja) パワーステアリング装置
JP7255333B2 (ja) ウォーム減速機及び電動アシスト装置
JP5923957B2 (ja) 車両用操舵装置およびラックガイド機構
JP2015168326A (ja) ステアリング装置
JP6104773B2 (ja) ステアリング装置