JP5942920B2 - 車両の前部車体構造 - Google Patents
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すなわち、車室61の前部とエンジンルーム62とを前後方向に仕切るダッシュパネルとしてのダッシュロアパネル63を設け、このダッシュロアパネル63は、縦壁部63Aと、該縦壁部63Aに連続して後方側ほど下方に傾斜するよう車両の前後方向に延びる傾斜部63B(いわゆるトーボード部)とを備えている。
また、上述のダッシュロアパネル63からエンジンルーム62の左右両サイド部において車両の前方側へ延びるフロントサイドフレーム64を設けると共に、上述の傾斜部63Bの後端部に連続して上記車室61の底面部を形成するフロアパネル65を設けている。
加えて、上述の傾斜部63Bの上部にはフロアフレーム66の延存方向に沿って車両の前後方向に延びるビード68を一体形成して、該ビード68により傾斜部63Bの剛性向上を図ると共に、上述の傾斜部63B上面とフロアパネル65上面には、上述のフロアフレーム66の延在方向に沿って車両の前後方向に延びるフロアフレーム補強部材69を設けている。このフロアフレーム補強部材69は断面ハット形状に形成されていて、このフロアフレーム補強部材69と上述の傾斜部63Bおよびフロアパネル65との間には、車両の前後方向に連続する閉断面70が形成されている。
なお、図中、71A,71Bはトンネル部、72は上述のダッシュロアパネル63と一体または一体的に形成されたホイールハウス、73はサスクロス取付けブラケット74に対してマウント部材75を用いて取付けられたフロントサスクロスであり、図中、矢印Fは車両の前方を示す。
これにより、フロントサイドフレームの変形スペースが増加し、この分、フロントサイドフレームがより一層折れ変形し、フロントサイドフレームによる衝突エネルギ吸収量を向上させることができると共に、上記傾斜部の脆弱部での折れ変形をも衝突エネルギ吸収に寄与させることにより、乗員下肢空間(足元スペース)を確保することができる。
特に、上記脆弱部を、上記傾斜部の前後方向の中央よりも車両前方側にのみ設けたので、乗員下肢空間を確保するうえで有効となる。
これにより、ビード谷部より車両の後方側の傾斜部からフロアパネルにかけての部位の強度はフロアフレーム補強部材により高められており、つまり、当該部位の強度は、ビード谷部の強度よりも大きく設定されている。
このため、前突時の車体前後方向の荷重によって、上記脆弱部であるビード谷部が、上記傾斜部と上記フロアパネルとの間に形成される屈曲部よりも確実に先に折れ曲がる。よって、乗員下肢空間(足元スペース)をより一層確実に確保することができる。
図面は車両の前部車体構造を示し、図1は一部を断面した状態で示す車両の前部車体構造の側面図、図2は図1の要部拡大側面図、図3は図2の構造を車室側の斜め上方から見た状態で示す斜視図である。
図1,図2において、車室1の前部とエンジンルーム2とを前後方向に仕切るダッシュパネルとしてのダッシュロアパネル3を設けている。
上述のダッシュロアパネル3は、上下方向および車幅方向に延びる縦壁部4と、この縦壁部4の下端部4aに連続して車両後方側ほど下方に傾斜するよう車両の前後方向に延びる傾斜部5(いわゆるトーボード)とを備えている。
上述の傾斜部5の後端部5aに連続して車両後方に略水平に延びるフロアパネル6を設け、このフロアパネル6で車室1の底面部を形成するように構成している。
また上述のダッシュロアパネル3における左右の車幅方向外側には、ホイールハウス9,9が一体または一体的に形成されている。
このフロントサイドフレーム10は、フロントサイドフレームインナとフロントサイドフレームアウタを接合固定して、車両の前後方向に延びる閉断面を備えた車体強度部材である。
このフロアフレーム11の車幅方向断面は逆ハット形状に形成されており、底壁11aと左右の側壁11b,11bと、左右の側壁11b,11bの上端から車幅方向に延びる左右の接合フランジ部11c,11cとを有し、左右の接合フランジ部11c,11cを傾斜部5の下面およびフロアパネル6の下面にスポット溶接固定することで、フロアフレーム11がフロントサイドフレーム10の後端部から傾斜部5とフロアパネル6とに沿って車両の後方側へ延びるように構成したものである。
そして、フロアフレーム11と傾斜部5との間、並びに、フロアフレーム11とフロアパネル6との間には、車両の前後方向に連続するフロアフレーム閉断面が形成されており、車体下部剛性の向上を図るように構成している。
上述のフロントサイドフレーム10の下方部には、図示しないエンジン(またはパワートレイン)を支持するフロントサスクロス14を設けている。このフロントサスクロス14は、前側に位置するサイドメンバ15と、後側に位置するサイドメンバ16と、図示しない中間クロスメンバとを備えており、前側のサイドメンバ15の前部は、上下方向に延びるブラケット17を介して上述の支持部材13に結合されており、前側のサイドメンバ15の後部または中間クロスメンバの車幅方向端部は、上下方向に延びる連結部材18(いわゆるツノ部材)およびマウント部19を介して、フロントサイドフレーム10の後部下面に結合されており、後側のサイドメンバ16の後部は、マウント部材20を介して、上述のサス取付けブラケット12の水平下面部に結合されている。
そして、上述のフロントサスクロス14は、車両の前突時に所定値以上の前突荷重が入力された時、後述するダッシュロアパネル3の傾斜部4に設けられる脆弱部(ビード谷部)の谷折れ変形よりも先に車体から離脱するように、そのマウント構造が設定されている。
前側に位置するビード31の後端部と、後側に位置するビード32の前端部との間には、ビード31,32の高さが部分的に低いビード谷部33を形成している。この実施例では、図2,図3に示すように、ビード31,32の高さが部分的にゼロとなるビード谷部33を形成している。
上述の前側に位置するビード31と、後側に位置するビード32とは、ビード谷部33を介して車両の前後方向に連続するように形成されている。
また、上述の脆弱部をビード谷部33により形成することで、当該脆弱部を簡単に形成すべく成したものである。
このフロアフレーム補強部材34は、上壁34aと、左右の側壁34b,34bと、これら各側壁34b,34bの下端から車幅方向に向けて一体形成された接合フランジ部34c,34cと、を有して車幅方向断面がハット状になるように形成されており、左右の接合フランジ部34c,34cを、上述の傾斜部5およびフロアパネル6にスポット溶接にて接合固定したものであり、該フロアフレーム補強部材34の前側部分でビード32を覆っている。
つまり、上述の屈曲部35の強度はフロアフレーム補強部材34により高められており、当該部位の強度が、ビード谷部33の強度に対して大きくなるように形成し、車体前後方向の衝突荷重によって、上述の傾斜部5が、該傾斜部5とフロアパネル6との間に形成された屈曲部35よりも先に折れ曲がるように構成している。
図2,図4に示すように、上述のフロントサイドフレーム10とフロアフレーム11との接続部の後方側で、かつ、上述のビード谷部33と上下方向に略対向する部分には、フロアフレーム11に脆弱部を形成している。
また、上述のビード谷部33の直前側においては、フレーム構造の強度が大となるように構成している。すなわち、ビード谷部33の直前側においてフロントサイドフレーム10の後端部10cと、フロアフレーム11の前端部11fとを図2に示す所定長さLにて重ね合わせてオーバラップ部37を形成し、このオーバラップ37により強度を高めている。
上述のオーバラップ部37とリブ11eとの両者による強度アップ構造と、ビード谷部33とノッチ11dとの両者による脆弱化構造とで、強度に大きい差を形成して、車両前突時にダッシュロアパネル3およびフロアフレーム11を所望部位にて折れ変形させるように構成している。
なお、図3,図4において、40はトルクボックスである。また、図中、矢印Fは車両の前方を示し、矢印Rは車両の後方を示し、矢印INは車幅方向の内方を示し、矢印OUTは車幅方向の外方を示し、矢印UPは車両の上方を示す。
車両の前突時に、図5に矢印で示すように、所定値以上の前突荷重が入力されると、サブクラッシュカン29およびメインクラッシュカンのクラッシュ後に、まず、フロントサイドフレーム10が圧縮変形して潰れ、次にフロントサスクロス14が車体から離脱する。このフロントサスクロス14の離脱により該フロントサスクロス14がダッシュロアパネル3の傾斜部5の折曲げを阻害しないようになる。
上述のフロントサスクロス14の離脱後に、フロントサイドフレーム10がさらに後退すると、ダッシュロアパネル3はその傾斜部5のビード谷部33を谷折れの起点として図5に仮想線で示す衝突前の状態から同図に実線で示すように谷折れ変形する。
また、傾斜部5を高張力鋼板で形成し、この傾斜部5をビード谷部33で谷折れ変形させることにより、当該傾斜部5の谷折れ変形も衝突エネルギ吸収に寄与させることができ、さらに、上述のビード谷部33の形成位置は傾斜部5の前後方向の中央よりも車両前方側に設定されているので、乗員下肢空間(足元スペース)を確保することができる。
これにより、フロントサイドフレーム10による衝突エネルギ吸収量を向上させることができると共に、上記傾斜部5の脆弱部(ビード谷部33)での折れ変形をも衝突エネルギ吸収に寄与させることにより、乗員下肢空間(足元スペース)を確保することができる。
特に、上記脆弱部(ビード谷部33)を、上記傾斜部5の前後方向の中央よりも車両前方側にのみ設けたので、乗員下肢空間を確保するうえで有効となる。
また、上記傾斜部5に上記フロアフレーム11の延在方向に沿って前後方向に延びるビード31,32を形成し、上記脆弱部は、該ビード31,32の高さが部分的に低いビード谷部(この実施例ではビード31,32の高さがゼロとなるビード谷部33)により構成されたものである(図2,図3参照)。
さらに、上記傾斜部5上面と上記フロアパネル6上面に、上記フロアフレーム11の延在方向に沿って前後方向に延びるフロアフレーム補強部材34を設け、該フロアフレーム補強部材34の前端34dが上記ビード谷部33に対応する位置に設けられたものである(図2,図3参照)。
これにより、ビード谷部より車両の後方側の傾斜部5からフロアパネル6にかけての部位の強度はフロアフレーム補強部材34により高められており、つまり、当該部位の強度は、ビード谷部33の強度よりも大きく設定されている。
このため、前突時の車体前後方向の荷重によって、上記脆弱部であるビード谷部33が、上記傾斜部5と上記フロアパネル6との間に形成される屈曲部35よりも確実に先に折れ曲がる。よって、乗員下肢空間(足元スペース)をより一層確実に確保することができる。
この発明のダッシュパネルは、実施例のダッシュロアパネル3に対応し、
以下同様に、
脆弱部は、ビード谷部33に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、ダッシュパネルにおける傾斜部の板厚を変化させ、板厚が薄い部分を脆弱部に設定するよう構成してもよい。
2…エンジンルーム
3…ダッシュロアパネル(ダッシュパネル)
4…縦壁部
5…傾斜部
6…フロアパネル
10…フロントサイドフレーム
11…フロアフレーム
31,32…ビード
33…ビード谷部(脆弱部)
34…フロアフレーム補強部材
Claims (2)
- 車室前部とエンジンルームとを仕切るように設置され、縦壁部と該縦壁部に連続して後方側ほど下方に傾斜するよう車両の前後方向に延びる傾斜部とを有するダッシュパネルと、
上記ダッシュパネルから車両の前方側へ延びるフロントサイドフレームと、
上記傾斜部に連続して上記車室の底面部を形成するフロアパネルと、
上記フロントサイドフレームの後端部から上記傾斜部と上記フロアパネルとに沿って車両の後方側へ延びるフロアフレームとを備えた車両の前部車体構造であって、
上記傾斜部に、上記フロアフレームの延在方向に沿って前後方向に延びるビードが形成されるとともに、脆弱部が設けられ、
該脆弱部は、上記傾斜部の前後方向の中央よりも車両前方側にのみ設けられるとともに、前記ビードの高さが部分的に低いビード谷部により構成された
車両の前部車体構造。 - 上記傾斜部上面と上記フロアパネル上面に、上記フロアフレームの延在方向に沿って前後方向に延びるフロアフレーム補強部材を設け、
該フロアフレーム補強部材の前端が上記ビード谷部に対応する位置に設けられた
請求項1記載の車両の前部車体構造。
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