JP5936299B2 - 近赤外線カットフィルター、およびそれを備える固体撮像素子ならびに固体撮像装置 - Google Patents
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Description
(A)波長430〜580nmの範囲において、近赤外線カットフィルターの垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が75%以上。
(B)波長800〜1000nmの範囲において、近赤外線カットフィルターの垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が20%以下。
(C)800nm以下の波長領域において、近赤外線カットフィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が70%となる最も長い波長(Xa)と、波長580nm以上の波長領域において、近赤外線カットフィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が30%となる最も短い波長(Xb)との差の絶対値|Xa−Xb|が75nm未満。
(D)波長560〜800nmの範囲において、近赤外線カットフィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が50%となる波長の値(Ya)と、近赤外線カットフィルターの垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の透過率が50%となる波長の値(Yb)の差の絶対値|Ya−Yb|が15nm未満。
前記積層板は、下記(i)の要件を満たすことが好ましい。
(i)吸収極大波長を600〜800(nm)の間に有する。
前記積層板は、下記式(ii)および(iii)を満たすことが好ましい。
(ii)1/700≦(樹脂層の厚み/ガラス基板の厚み)≦2/5
(iii)30≦ガラス基板の厚み(μm)≦1000
(iv)大気中で熱重量分析にて測定した5%重量減少温度が250℃以上である
本発明の近赤外線カットフィルターは、前記積層板の少なくとも片面に誘電体多層膜を有することが好ましい。
本発明の近赤外線カットフィルターは、固体撮像用素子および固体撮像装置等に使用することができる。
本発明の近赤外線カットフィルターは、ガラス基板の少なくとも片面に樹脂層を有する積層板を含み、その光線透過率が上記(A)〜(D)を満たすことを特徴とする。
上記積層板は、ガラス基板の少なくとも片面に樹脂層を有する。前記樹脂層は、近赤外線吸収剤を含有することが好ましく、前記積層板は、下記式(i)、下記式(ii)、下記式(iii)を満たすことが好ましい。
(i)吸収極大波長(以下、λmaxともいう)を600〜800(nm)の間に有する。
(ii)1/700≦(樹脂層の厚み/ガラス基板の厚み)≦2/5
(iii)30≦(ガラス基板の厚み:μm)≦1000
ガラス基板の少なくとも片面に、下記特定の近赤外線吸収剤を含む樹脂層を有することにより、上記(i)を満たす積層板を得ることができる。
ガラス基板の厚みに対する樹脂層の厚みの比は、好ましくは1/700以上、2/5以下、さらに好ましくは1/400以上、1/5以下、特に好ましくは1/200以上、1/8以下である。
本発明に用いられるガラス基板としては、主成分として、珪酸塩を含む基板であれば、特に限定されるものではなく、結晶構造を有する石英ガラス基板等が挙げられる。ほかに、ホウ珪酸ガラス基板、ソーダガラス基板および色ガラス基板等を用いることができるが、とりわけ、無アルカリガラス基板、低α線ガラス基板等のガラス基板は、CCD、CMOS等の固体撮像素子への影響が少ないため、それら基板を固体撮像素子に近接させて配置することが可能であり、好ましい。
本発明に用いられる樹脂層は、ハンダリフロー工程に適用可能な耐熱性を有する樹脂と、吸収極大を波長600〜800nmの間に有する近赤外線吸収剤を含むことが好ましい。
前記耐熱性を有する樹脂としては、ポリイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルニトリル系樹脂)、ポリカーボネート、ポリアリレート、および環状オレフィン系樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は1種単独でも、2種以上を混合して用いても良い。
前記ポリイミド系樹脂としては一般的に知られている方法で合成すればよく、たとえば特開2008−163107に記載されている方法で合成することができる。市販品としては透明ポリイミドフィルムタイプTT、TMM、HM(以上東洋紡社製)、オキシジフタル酸無水物を用いた透明ポリイミドフィルム(マナック社製)および透明ポリイミドフィルム(I.S.T社製)ネオプリム(三菱ガス化学社製)等を好適に用いることができる。
前記ポリエチレンナフタレート系樹脂としては、例えば、ナフタレンジカルボン酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとを重縮合させて製造したポリエチレンナフタレートを好適に用いることができる。市販品としてはテオネックス(帝人社製)等を好適に用いることができる。
前記ポリエーテルスルホン系樹脂としては、例えば、有機極性溶媒中、ジハロゲノジフェニルスルホンと2価フェノール化合物とを無水アルカリ金属炭酸塩、および/または無水アルカリ金属炭酸水素塩の存在下で反応させて製造したポリエーテルスルホン系樹脂を好適に用いることができる。市販品として、スミカエクセルPES、スミカエクセル7600P(住友化学社製)、PES(三井化学社製)、ウルトラゾーンE(BASFジャパン社製)およびレーデルA(ソルベイアドバンストポリマーズ社製)等を好適に用いることができる。
前記ポリエーテルケトン系樹脂としては、例えば、有機極性溶媒中、ジハロゲノベンゾフェノンと2価フェノール化合物とを無水アルカリ金属炭酸塩、および/または無水アルカリ金属炭酸水素塩の存在下で反応させて製造したポリエーテルケトン系樹脂を好適に用いることができる。市販品として、VICTREX(ビクトレックス社製)およびキータスパイア(ソルベイ社製)等を好適に用いることができる。
前記ポリエーテルニトリル系樹脂としては、例えば、有機極性溶媒中、ジハロゲノベンゾニトリルと2価フェノール化合物とを無水アルカリ金属炭酸塩、および/または無水アルカリ金属炭酸水素塩の存在下で反応させて製造したポリエーテルニトリル系樹脂を好適に用いることができる。具体的には特開2007−246629号公報および特開2006−199746号公報に記載のポリマー等を好適に用いることができる。
前記ポリカーボネートとしては、例えば、2価フェノールとホスゲンもしくは炭酸エステルとを、溶融重縮合、もしくは、有機極性溶媒中、無水アルカリ金属炭酸塩、および/または無水アルカリ金属炭酸水素塩、ならびに有機塩基の存在下で反応させて製造したポリカーボネートを好適に用いることができる。市販品として、ポリカーボネート(帝人化成、バイエル社製)およびタフロンネオ(出光社製)等を好適に用いることができる。
前記ポリアリレートとしては、例えば、2価芳香族カルボン酸誘導体と2価フェノール化合物とを溶融重縮合、もしくは、有機極性溶媒中、無水アルカリ金属炭酸塩、および/または無水アルカリ金属炭酸水素塩、ならびに有機塩基の存在下で反応させて製造したポリアリレートを好適に用いることができる。市販品として、ベクトラン(クラレ社製)およびUポリマー(ユニチカ社製)等を好適に用いることができる。
前記環状オレフィン系樹脂としては、例えば、下記式(X0)で表される単量体、もしくは下記式(Y0)で表される単量体を含む単量体組成物を重合し、また必要に応じてさらに水素添加して得られた樹脂を用いることができる。
(i)水素原子、
(ii)ハロゲン原子、
(iii)トリアルキルシリル基、
(iv)酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を含む置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(v)置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、
(vi)極性基(但し(iv)を除く)、
(vii)Rx1とRx2、またはRx3とRx4が、相互に結合して形成されたアルキリデン基を表し、該結合に関与しないRx1〜Rx4は、相互に独立に上記(i)〜(vi)より選ばれるものを表す、
(viii)Rx1とRx2またはRx3とRx4が、相互に結合して形成された単環もしくは多環の炭化水素環または複素環を表し、該結合に関与しないRx1〜Rx4は、相互に独立に上記(i)〜(v)より選ばれるものを表すか、Rx2とRx3が、相互に結合して形成された単環の飽和炭化水素環または複素環を表し、該結合に関与しないRx1〜Rx4は、相互に独立に上記(i)〜(v)より選ばれるものを表す。
kx、mxおよびpxは、それぞれ独立に、0または正の整数を表す。]
(ix)Ry1とRy2が、相互に結合して形成された単環もしくは多環の炭化水素環または複素環を表す、
(x)Ry1とRy2が相互に結合して形成された芳香環を表す。
kyおよびpyは、それぞれ独立に、0または正の整数を表す。]
本発明の近赤外線カットフィルターに用いることができる近赤外線吸収剤は、(iv)大気中で熱重量分析にて測定した5%重量減少温度が、好ましくは250℃以上であり、更に好ましくは260℃以上、特に好ましくは270℃以上である。重量減少温度が前記条件を満たすことで、高温条件下でも分解することなく、ハンダリフロー工程での使用に十分な熱性が確保され、安定した品質の近赤外線カットフィルターを提供することができる。
このような近赤外線吸収剤としては、例えば、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、アミニウム系染料、イミニウム系色素、アゾ系色素、アンスラキノン系色素、ジイモニウム系色素、スクアリリウム系色素およびポルフィリン系色素が挙げられる。
これらの近赤外線吸収剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
近赤外線吸収剤の使用量が上記範囲内にあると、吸収波長の入射角依存性が小さく、近赤外線カット能、430〜580nmの範囲における透過率および強度に優れた近赤外線カットフィルターを得ることができる。
本発明の樹脂層は、(i)吸収極大波長(以下「λmax」ともいう)を600〜800(nm)の間に有し、好ましくは640〜770(nm)、より好ましくは660〜720(nm)に有する。前記λmaxを上記波長範囲に有することで、近赤外光に感度を有するCMOSに入射される光の波長範囲が限定されるため、CMOS等により撮像された画像の色が、実際に目視で観察される色合いにより近いものとなる。
前記樹脂層には、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに、酸化防止剤、紫外線吸収剤および界面活性剤等のその他の成分を添加することができる。
後述する溶液キャスティング法により樹脂層を製造する場合には、界面活性剤や消泡剤を添加することで樹脂層の製造を容易にすることができる。
前記フッ素化アルキル基含有単量体(M1)としては、下記式(M−1−1)および(M−1−2)で表わされる単量体などが挙げられる。
前記シリコーン鎖を有するエチレン性不飽和単量体(M3)としては、下記一般式(M3')で表される構成単位を含有する単量体等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えばBM−1000、BM−1100(以上、BM CHEMIE社製);メガファックF142D、同F172、同F173、同F183、同F178、同F191、同F471、同F476(以上、大日本インキ化学工業(株)製);フロラードFC−170C、同−171、同−430、同−431(以上、住友スリーエム(株)製);サーフロンS−112、同−113、同−131、同−141、同−145、同−382、サーフロンSC−101、同−102、同−103、同−104、同−105、同−106(以上、旭硝子(株)製);エフトップEF301、同303、同352(以上、新秋田化成(株)製);フタージェントFT−100、同−110、同−140A、同−150、同−250、同−251、同−300、同−310、同−400S、フタージェントFTX−218、同−251(以上、(株)ネオス製);を挙げることができる。
近赤外線吸収剤を含有した樹脂層は、例えば、前記樹脂、近赤外線吸収剤および必要により前記その他の成分を溶融混練りして得られたペレットを溶融成形する方法、樹脂、近赤外線吸収剤、溶剤および必要により前記その他の成分を含む液状樹脂組成物から溶剤を除去して得られたペレットを溶融成形する方法、または、上述の液状樹脂組成物をキャスティング(キャスト成形)する方法により製造することができる。
溶融成形方法としては、例えば、射出成形、溶融押出成形およびブロー成形を挙げることができる。
キャスト成形方法としては、上記液状樹脂組成物を適切な基材の上にキャスティングして溶剤を除去すればよいが、例えば、スチールベルト、スチールドラムあるいはポリエステルフィルム等の基材の上に、上述の液状樹脂組成物を塗布して溶剤を乾燥させることで塗膜を形成し、その後該基材から塗膜を剥離することにより、樹脂層を単独で得ることができる。
あるいは、前記ガラス基板に上述の液状組成物をコーティングして溶剤を乾燥させることで、ガラス基板上に、直接、樹脂層を形成することができる。
前記樹脂層とガラス基板は、互いに化学的な組成、および熱線膨張率が異なるため、樹脂層とガラス基板との間に硬化層を設けて、それらの十分な密着性を確保することが好ましい。本発明に用いる硬化層は樹脂層とガラス基板との間の密着性を確保できる材料からなれば、特に限定されないが、例えば、(a)(メタ)アクリロイル基含有化合物に由来する構造単位、(b)カルボン酸基含有化合物に由来する構造単位、および(c)エポキシ基含有化合物に由来する構造単位を有すると、樹脂層とガラス基板との密着性が高くなるため好ましい。
構造単位(a)としては、(メタ)アクリロイル基含有化合物に由来する構造単位であれば特に限定されるものではない。(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、例えば、単官能、2官能または3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルが、重合性が良好である点から好ましい。本発明において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」または「メタクリル」を意味する。
上記硬化層には、これらの(メタ)アクリロイル基含有化合物(a)を1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
構造単位(b)としては、カルボン酸基を含有する化合物に由来する構造単位であれば特に限定されるものではない。カルボン酸基含有化合物としては、例えばモノカルボン酸、ジカルボン酸、ジカルボン酸の無水物およびカルボン酸基を有する重合体を挙げることができる。
上記ジカルボン酸の無水物としては、上記ジカルボン酸の無水物等を挙げることができる。
構造単位(c)としては、エポキシ基含有化合物に由来する構造単位であれば特に限定されるものではない。エポキシ基(オキシラニル基)含有化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸オキシラニル(シクロ)アルキルエステル、α−アルキルアクリル酸オキシラニル(シクロ)アルキルエステルおよび不飽和結合を有するグリシジルエーテル化合物等のオキシラニル基を有する不飽和化合物;オキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル等のオキセタニル基を有する不飽和化合物を挙げることができる。
前記硬化層には、本発明の効果を損なわない範囲において、酸発生剤、密着助剤、界面活性剤、重合開始剤等の任意成分を添加することができる。これらの添加量は、所望の特性に応じて適宜選択されるが、前記(メタ)アクリロイル基含有化合物、前記カルボン酸基含有化合物および前記エポキシ基含有化合物の合計100重量部に対して、それぞれ通常0.01〜15.0重量部、好ましくは0.05〜10.0重量部であることが望ましい。
前記重合開始剤は、紫外線や電子線等の光線に感応してモノマー成分の重合を開始しうる活性種を生じる成分である。このような重合開始剤としては特に限定されるものではないが、O−アシルオキシム化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、アルキルフェノン化合物、ベンゾフェノン化合物などを挙げることができる。これらの具体例としては、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−オクタン−1−オンオキシム−O−アセテート、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−〔9−n−ブチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどを挙げることができる。これらの重合開始剤は単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
溶融成形する方法およびキャスト成形する方法としては、前記と同様の方法等が挙げられる。
本発明に用いられる誘電体多層膜は、近赤外線を反射および/または吸収する能力を有する膜である。本発明において、誘電体多層膜は前記積層板の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。片面に設ける場合には、製造コストや製造容易性に優れ、両面に設ける場合には、高い強度を有し、ソリの生じにくい近赤外線カットフィルターを得ることができる。
誘電体多層膜としては具体的には、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した構成を好適に用いることができる。
この材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛または酸化インジウムを主成分とし酸化チタン、酸化錫および/または酸化セリウムなどを少量含有させたものが挙げられる。
この材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウムおよび六フッ化アルミニウムナトリウムが挙げられる。
さらに、誘電体多層膜を蒸着した際に基板にソリが生じてしまう場合には、これを解消するために、基板両面へ誘電体多層膜を蒸着する、基板の誘電多層膜を蒸着した面に紫外線等の放射線を照射する等の方法をとる事ができる。なお、放射線を照射する場合、誘電体多層膜の蒸着を行いながら照射してもよいし、蒸着後別途照射してもよい。
本発明に用いられる可視光反射防止層は、樹脂層と空気の界面における可視光の反射を防止、または低減させるものであれば、特に限定されるものではない。前記可視光反射防止層は、樹脂層のガラス基板が積層された面の反対側の表面に形成することが好ましい。 なお、前記誘電体多層膜を前記積層板の両面に設ける場合には、可視光反射防止層を設けなくてもよく、前記積層板の片面に前記誘電体多層膜を設ける場合には、該積層板の誘電体多層膜が積層された面と反対側の表面に形成することが好ましい。
これら本発明で得られる近赤外線カットフィルターは、入射角依存性が小さく、優れた近赤外線カット能をする。したがってカメラモジュールのCCDやCMOSなどの固体撮像素子用視感度補正用として有用である。特に、デジタルスチルカメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラ、PCカメラ、監視カメラ、自動車用カメラ、携帯情報端末、パソコン、ビデオゲーム、医療機器、USBメモリー、携帯ゲーム機、指紋認証システム、デジタルミュージックプレーヤー、玩具ロボットおよびおもちゃ等に有用である。さらに、自動車や建物などのガラス等に装着される熱線カットフィルターなどとしても有用である。
本発明におけるGPCによる重量平均分子量(以下、Mwと記す。)の測定は東ソー(株)製HLC8220システムを用い、以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR−Nを4本使用。
カラム温度:40℃
移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン
流速:1.0ml/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100マイクロリットル
検出器:示差屈折計
波長350〜1200nmの範囲の波長別の光線透過率を日立分光光度計U−4100(日立製作所社製)を用いて測定した。
ここでは、800nm以下の波長領域において、近赤外線カットフィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が70%となる最も長い波長(Xa)と、波長580nm以上の波長領域において、近赤外線カットフィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が30%となる最も短い波長(Xb)とを測定した。
また、吸収極大波長、波長430〜580nmの範囲における透過率の平均値、波長800〜1000nmの範囲における透過率の平均値を測定した。
近赤外線カットフィルターを厚さ1mmのガラスエポキシ基板SL−EP(日東シンコー社製)上にカプトンテープで固定し、千住金属工業社製リフロー装置(STR−2010N2M−III)にてJEDEC規格のJ−STD−02Dに準拠し、最高温度約270℃に達する半田リフロー処理を行い、波長560nm〜800nmの範囲において、フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が50%となる波長の値の変化値(リフローによる半値変化(nm))を下記式より求め、その絶対値を耐リフロー性とした。
リフローによる半値変化(nm)=[半田リフロー処理前の透過率が50%となる波長の値(Ya)]−[半田リフロー処理後の透過率が50%となる波長の値(Za)]
JIS K−5400−1990の8.5.3に記載の付着性碁盤目テープ法により樹脂層のガラス基板に対する密着性を評価した。なお、全く剥れが見られない場合を[◎]、剥れは見られないものの各碁盤目の端部が一部欠けた場合を[○]、一部でも剥れが見られた場合を[×]とした。
下記実施例、参考例、比較例で得られた近赤外線カットフィルターの外観を、反りや歪みが全く見られない場合を[◎]、若干の反りがあるものの実際の使用に支障がない場合を[○]、反りや歪みがひどく、実際の使用が困難な場合を[×]として評価した。
<合成例1> 《1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物の製造》
内容積5リットルのハステロイ製(HC22)オートクレーブに、ピロメリット酸552g、活性炭にロジウムを担持させた触媒(エヌ・イーケムキャット(株)(N.E. Chemcat Corporation)製)200gおよび水1656gを仕込み、攪拌をしながら反応器内を窒素ガスで置換した。次に、水素ガスで反応器内を置換し、反応器の水素圧を5.0MPaとして60℃まで昇温した。水素圧を5.0MPaに保ちながら2時間反応させた。反応器内の水素ガスを窒素ガスで置換し、反応液をオートクレーブより抜き出し、この反応液を熱時濾過して触媒を分離した。濾過液をロータリーエバポレータで減圧下に水を蒸発させて濃縮し、結晶を析出させた。析出した結晶を室温で固液分離し、乾燥させて1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物481g(収率85.0%)を得た。
攪拌機、温度計、ディーンスターク管、窒素導入管および冷却管を取り付けた1Lの三口フラスコに、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン157.68g(450mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン16.81g(50mmol)、2,6−ジフルオロベンゾニトリル69.55g(500mmol)および炭酸カリウム76.02g(550mmol)をはかりとった。窒素置換後、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)897mL、トルエン448mLを加えて攪拌した。オイルバスで反応液を130℃で加熱還流させた。反応によって生成する水はディーンスターク管にトラップした。3時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをディーンスターク管から系外に除去した。反応温度を徐々に150℃まで上げ、2時間攪拌を続けた後、反応液を放冷し、テトラヒドロフラン(THF)2.3Lを加えて希釈した。反応液に不溶の無機塩をろ過し、ろ液をメタノール3Lに注いで生成物を沈殿させた。沈殿した生成物をろ過、乾燥後、THF3.2Lに溶解し、これをメタノール2Lに注いで再沈殿させた。
沈殿した白色粉末をろ過、乾燥し、ポリエーテル系樹脂(P−1)を69g得た。GPCで測定したポリスチレン換算の数平均分子量は53,000、重量平均分子量は105,000であった。
温度計、撹拌器、窒素導入管、側管付き滴下ロート、ディーンスターク管および冷却管を備えた500mLの5つ口フラスコに、窒素気流下、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル10.0g(0.05モル)と、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン85gとを仕込んで溶解させた後、合成例1で得られた1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物11.2g(0.05モル)を室温にて固体のまま1時間かけて分割投入し、室温下2時間撹拌した。次に、共沸脱水溶剤としてキシレン30.0gを添加し、180℃に昇温して3時間反応を行い、ディーンスターク管でキシレンを還流させて、共沸してくる生成水を分離した。3時間後、水の留出が終わったことを確認し、1時間かけて190℃に昇温しながらキシレンを留去し29.0gを回収した後、内温が60℃になるまで空冷してポリイミド系樹脂(P−2)のN−メチル−2−ピロリドン溶液105.4gを得た。
<合成例4> 《界面活性剤(共重合体(S−1))の合成》
攪拌装置、コンデンサーおよび温度計を備えたガラスフラスコに前記式M−1−1で表わされるフッ素化アルキル基含有単量体28.4質量部、単量体M2としてNK−エステルM−90G(新中村化学社製)20.7質量部、下記式M−3−4で表わされるシリコーン鎖を有するエチレン性不飽和単量体18.1質量部、テトラメチレングリコールの両末端がメタクリレート化された化合物3.4質量部、メチルメタクリレート5.9質量部、2−エチルヘキシルアクリレート23.5質量部およびイソプロピルアルコール(以下、IPAと略す)414質量部を仕込み、窒素ガス気流中、還流下で、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.7質量部、連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン4質量部を添加した後、75℃にて8時間還流して共重合を行い、共重合体(S−1)を得た。得られた共重合体(S−1)の分子量は、数平均分子量が2,800であり、重量平均分子量が5,300であった。また、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。
攪拌装置、コンデンサーおよび温度計を備えたガラスフラスコに前記式M−1−1で表わされるフッ素化アルキル基含有単量体28.4質量部、単量体M2としてNK−エステルM−90G(新中村化学社製)20.7質量部、前記式M−3−4で表わされるシリコーン鎖を有するエチレン性不飽和単量体18.1質量部、テトラメチレングリコールの両末端がメタクリレート化された化合物3.4質量部、メチルメタクリレート5.9質量部、2−エチルヘキシルアクリレート23.5質量部およびIPA414質量部を仕込み、窒素ガス気流中、還流下で、重合開始剤としてAIBN0.7質量部、連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン1質量部を添加した後、75℃にて8時間還流して共重合を行い、共重合体(S−2)を得た。得られた共重合体(S−2)の分子量は、数平均分子量が4,700であり、重量平均分子量が11,000であった。また、分子量分布(Mw/Mn)は2.3であった。
攪拌装置、コンデンサーおよび温度計を備えたガラスフラスコに前記式M−1−1で表わされるフッ素化アルキル基含有単量体28.4質量部、単量体M2としてNK−エステルM−90G(新中村化学社製)20.7質量部、前記式M−3−4で表わされるシリコーン鎖を有するエチレン性不飽和単量体18.1質量部、テトラメチレングリコールの両末端がメタクリレート化された化合物3.4質量部、メチルメタクリレート5.9質量部、2−エチルヘキシルアクリレート23.5質量部およびIPA414質量部を仕込み、窒素ガス気流中、還流下で、重合開始剤としてAIBN0.7質量部を添加した後、73℃にて10時間還流して共重合を行い、共重合体(S−3)を得た。得られた共重合体(S−3)の分子量は、数平均分子量が5,600であり、重量平均分子量が21,000であった。また、分子量分布(Mw/Mn)は3.8であった。
<調製例1> 《硬化性組成物溶液(G−1)の調製》
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(商品名:KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製))20重量部、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン30重量部、メタクリル酸20重量部、メタクリル酸グリシジル30重量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルベンゾフェノン(商品名:IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカル(株)製)5重量部およびサンエイドSI−110主剤(三新化学工業(株)製)1重量部を混合し、固形分濃度が50wt%になるようにジエチレングリコールエチルメチルエーテルに溶解した後、孔径0.2μmのミリポアフィルタでろ過し、硬化性組成物溶液(G−1)を調製した。
イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート(商品名:アロニックスM−315、東亜合成化学(株)製)30重量部、1,9−ノナンジオールジアクリレート20重量部、メタクリル酸20重量部、メタクリル酸グリシジル30重量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルベンゾフェノン(商品名:IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカル(株)製)5重量部およびサンエイドSI−110主剤(三新化学工業(株)製)1重量部を混合し、固形分濃度が50wt%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解した後、孔径0.2μmのミリポアフィルタでろ過し、硬化性組成物溶液(G−2)を調製した。
9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン30重量部、1,9−ノナンジオールジアクリレート20重量部、メタクリル酸20重量部、メタクリル酸グリシジル30重量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルベンゾフェノン(商品名:IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカル(株)製)5重量部およびサンエイドSI−110主剤(三新化学工業(株)製)1重量部を混合し、固形分濃度が50wt%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解した後、孔径0.2μmのミリポアフィルタでろ過し、硬化性組成物溶液(G−3)を調製した。
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(商品名:KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製))10重量部、1,9−ノナンジオールジアクリレート30重量部、メタクリル酸25重量部、メタクリル酸グリシジル35重量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルベンゾフェノン(商品名:IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカル(株)製)4重量部、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)] (商品名:IRGACURE OXE01、チバ・スペシャリティ・ケミカル(株)製))3重量部およびサンエイドSI−110主剤(三新化学工業(株)製)0.5重量部を混合し、固形分濃度が50wt%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解した後、孔径0.2μmのミリポアフィルタでろ過し、硬化性組成物溶液(G−4)を調製した。
9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン30重量部、1,9−ノナンジオールジアクリレート40重量部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(商品名:KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)10重量部、1,9−ノナンジオールジアクリレート30重量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5重量部および1−ヒドロキシシクロヘキシルベンゾフェノン(商品名:IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカル(株)製)5重量部を混合し、固形分濃度が50wt%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解した後、孔径0.2μmのミリポアフィルタでろ過し、硬化性組成物溶液(G−5)を調製した。
<調製例6> 樹脂溶液(D−1)の調製
合成例2で得られたポリエーテル系樹脂(P−1)に近赤外線吸収剤ABS670T(Exciton社製)を樹脂/近赤外線吸収剤の比が100重量部/1.00重量部となるように添加し、固形分濃度が10wt%となるようにジクロロメタンに溶解した後、合成例4で得られた界面活性剤(共重合体(S−1))の1%DMAc希釈溶液を樹脂/界面活性剤の比が100重量部/0.10重量部となるように添加した。
これらを混合した後、孔径5μmのミリポアフィルタでろ過して樹脂溶液(D−1)を得た。
合成例2で得られたポリエーテル系樹脂(P−1)に近赤外線吸収剤ABS670T(Exciton社製)を樹脂/近赤外線吸収剤の比が100重量部/1.10重量部となるように添加し、固形分濃度が10wt%となるようにジクロロメタンに溶解した後、さらに、合成例5で得られた界面活性剤(共重合体(S−2))の1%DMAc希釈溶液を樹脂/界面活性剤の比が100重量部/0.10重量部となるように添加した。
これらを混合した後、孔径5μmのミリポアフィルタでろ過して樹脂溶液(D−2)を得た。
合成例2で得られたポリエーテル系樹脂(P−1)に近赤外線吸収剤ABS670T(Exciton社製)を樹脂/近赤外線吸収剤の比が100重量部/1.10重量部となるように添加し、固形分濃度が10wt%となるようにジクロロメタンに溶解した後、さらに、合成例6で得られた界面活性剤(共重合体(S−3))の1%DMAc希釈溶液を樹脂/界面活性剤の比が100重量部/0.10重量部となるように添加した。
これらを混合した後、孔径5μmのミリポアフィルタでろ過して樹脂溶液(D−3)を得た。
合成例2で得られたポリエーテル系樹脂(P−1)に近赤外線吸収剤Lumogen IR765(BASF社製)を樹脂/近赤外線吸収剤の比が100重量部/1.00重量部となるように添加し、固形分濃度が10wt%となるようにジクロロメタンに溶解した後、さらに、合成例6で得られた界面活性剤(共重合体(S−3))の1%DMAc希釈溶液を樹脂/界面活性剤の比が100重量部/0.15重量部となるように添加した。
これらを混合した後、孔径5μmのミリポアフィルタでろ過して樹脂溶液(D−4)を得た。
合成例2で得られたポリエーテル系樹脂(P−1)に近赤外線吸収剤ABS670T(Exciton社製)を樹脂/近赤外線吸収剤の比が100重量部/1.00重量部となるように添加し、固形分濃度が10wt%となるようにジクロロメタンに溶解した後、さらに、フタージェントFTX−218((株)ネオス製)の1%DMAc希釈溶液を樹脂/界面活性剤の比が100重量部/0.20重量部となるように添加した。
これらを混合した後、孔径5μmのミリポアフィルタでろ過して樹脂溶液(D−5)を得た。
合成例2で得られたポリエーテル系樹脂(P−1)に近赤外線吸収剤Lumogen IR765(BASF社製)を樹脂/近赤外線吸収剤の比が100重量部/0.10重量部となるように添加し、固形分濃度が10wt%となるようにジクロロメタンに溶解した後、合成例6で得られた界面活性剤(共重合体(S−3))の1%DMAc希釈溶液を樹脂/界面活性剤の比が100重量部/0.15重量部となるように添加した。
これらを混合した後、孔径5μmのミリポアフィルタでろ過して樹脂溶液(D−6)を得た。
合成例2で得られたポリエーテル系樹脂(P−1)を固形分濃度が10wt%となるようにジクロロメタンに溶解した後、界面活性剤としてフタージェントFTX−218((株)ネオス製)の1%DMAc希釈溶液を樹脂/界面活性剤の比が100重量部/0.15重量部となるように添加した。
これらを混合した後、孔径5μmのミリポアフィルタでろ過して樹脂溶液(D−7)を得た。
合成例2で得られたポリエーテル系樹脂(P−1)に近赤外線吸収剤SIR159(三井化学(株)製)を樹脂/近赤外線吸収剤の比が100重量部/1.10重量部となるように添加し、固形分濃度が10wt%となるようにジクロロメタンに溶解した後、界面活性剤としてフタージェントFTX−218((株)ネオス製)の1%DMAc希釈溶液を樹脂/界面活性剤の比が100重量部/0.15重量部となるように添加した。
これらを混合した後、孔径5μmのミリポアフィルタでろ過して樹脂溶液(D−8)を得た。
<調製例12> 高屈折率組成物(W−1)の調製
攪拌機付の容器内に、フェニルトリメトキシシラン(101.2g、0.51モル)と、電気伝導率が8×10-5S・cm-1のイオン交換水(14.8g、0.82モル)とを収容した後、温度60℃、6時間の条件で加熱攪拌することにより、フェニルトリメトキシシランの加水分解を行った。次いで、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKと略記)を滴下しながら、加水分解により副生したメタノールを蒸留除去した。そして、最終的に固形分を22重量%に調整して、ポリシロキサンを含有する溶液(以下、ポリシロキサン(1)と称する。)を得た。得られたポリシロキサン(1)について、GPCを用いてポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したところ、1500であった。
得られた硬化膜における633nmにおける屈折率を、エリプソメーターを用いて測定したところ屈折率は1.70であった。
<調製例13> 低屈折率組成物(W−2)の調製
攪拌機付の容器内に、メチルトリメトキシシラン(69.4g、0.51モル)と、電気伝導率が8×10-5S・cm-1のイオン交換水(14.8g、0.82モル)とを収容した後、温度60℃、6時間の条件で加熱攪拌することにより、メチルトリメトキシシランの加水分解を行った。次いで、MIBKを滴下しながら、加水分解により副生したメタノールを蒸留除去した。そして、最終的に固形分を22重量%に調整して、ポリシロキサンを含有する溶液(以下、ポリシロキサン(2)と称する。)を得た。得られたポリシロキサン(2)について、GPCを用いてポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したところ、2000であった。
形成した塗膜に対して、大気下、温度25℃で、露光量が300mJ/cm2(照射時間3秒)となるように、オーク製作所(株)製のコンベア式高圧水銀ランプ(2kW)を用いて紫外線を照射し、硬化膜を形成した。
得られた硬化膜における633nmにおける屈折率を、エリプソメーターを用いて測定したところ屈折率は1.41であった。
合成例2で得られたポリエーテル系樹脂(P−1)に近赤外線吸収剤ABS670T(Exciton社製)を樹脂/近赤外線吸収剤の比が100重量部/0.12重量部となるように添加し、固形分濃度が8wt%となるようにジクロロメタンに溶解し、溶液を得た後、孔径5μmのミリポアフィルタで該溶液のろ過を行った。ろ液を平滑なガラス板上にキャストし、200℃で7時間、さらに減圧下200℃で8時間乾燥して、厚さ30μmのフィルム(F−1)を得た。
合成例3で得られたポリイミド系樹脂(P−2)のN−メチル−2−ピロリドン溶液に近赤外線吸収剤ABS670T(Exciton社製)を樹脂/近赤外線吸収剤の比が100重量部/0.12重量部となるように添加し、固形分濃度が5wt%となるようにN−メチル−2−ピロリドンで希釈した後、これをガラス板に塗布し、90℃のホットプレート上で1時間加熱して溶剤(N−メチル−2−ピロリドン)を蒸発させた後、ガラス板から剥がして自立膜を得た。この自立膜をステンレス製の固定治具に固定して200℃で5時間真空乾燥した後、窒素気流下、温度220℃で5時間加熱して溶剤をさらに蒸発させ、厚さ30μmのフィルム(F−2)を得た。
2,6―ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル(NDCM)とエチレングリコール(EG)とをEG/NDCM=2.2(モル比)で溶解させ、エステル交換触媒として酸化ゲルマニウムをNDCM10gに対して1.6モルを添加し、3.0kg/cm2の加圧下でエステル交換反応を行った。
このシートにおいて、目視にて、ABS670Tがポリエチレンナフタレートに均一に溶解していることを確認した。更に得られたシートを130℃にて予熱し、更に880℃の表面温度のIRヒーターにて3.0倍に縦延伸を行い、続いてテンターに供給し、140℃にて3.3倍に横延伸した。得られた二軸配向フィルムを220℃の温度で10秒間熱固定し、厚み90μmのフィルム(F−3)を得た。
ポリエーテルスルホン(住友化学工業社製、スミカエクセル7600P)を固形分濃度が16%になるようにDMAcに85℃で攪拌しながら溶解した。この溶液を一旦、25℃まで冷却した後、ABS670T(Exciton社製)を樹脂/近赤外線吸収剤の比が100重量部/0.02重量部となるように常温下で加え、攪拌した。得られた液状物をガラス支持体上に流延し、ホットプレートにより設定温度100℃で1時間の条件で溶媒を蒸発させた後、熱風式乾燥機により設定温度250℃1時間の条件で熱処理を行い、ガラス板から剥離し、膜厚35μmの近赤外線吸収剤入りフィルム(F−4)を得た。
<積層板作製例1> 積層板(K−1)の作製
700μmの厚みを有するガラス基板に調製例1で得られた硬化性組成物溶液(G−1)をスピンコートで塗布した後、ホットプレート上80℃で2分間加熱し溶剤を揮発除去し、硬化層を形成した。この際、該硬化層の膜厚が0.8μm程度となるようにスピンコーターの塗布条件を調整した。次に、該硬化層上に、スピンコーターを用いて調製例6で得られた樹脂溶液(D−1)を長波長側半値が646nmとなるような条件で塗布し、ホットプレート上80℃で5分間加熱し、溶剤を揮発除去し、樹脂層を形成した。次いで、ガラス面側からコンベア式露光機を用いて露光(露光量1J/cm2、照度200mW)し、その後オーブン中230℃で20分間焼成して積層板(K−1)を得た。
樹脂溶液(D−1)の代わりに調製例10で得られた樹脂溶液(D−5)を用いた以外は積層板作成例1と同様の方法で積層板(K−2)を作成した。
硬化性組成物溶液(G−1)の代わりに調製例2で得られた硬化性組成物溶液(G−2)を用い、樹脂溶液(D−1)の代わりに調製例7で得られた樹脂溶液(D−2)を用いた以外は積層板作成例1と同様の方法で、積層板(K−3)を作成した。
硬化性組成物溶液(G−1)の代わりに調製例2で得られた硬化性組成物溶液(G−2)を用い、樹脂溶液(D−1)の代わりに調製例8で得られた樹脂溶液(D−3)を用いた以外は積層板作成例1と同様の方法で、積層板(K−4)を作成した。
硬化性組成物溶液(G−1)の代わりに調製例2で得られた硬化性組成物溶液(G−2)を用い、樹脂溶液(D−1)の代わりに調製例10で得られた樹脂溶液(D−5)を用いた以外は積層板作成例1と同様の方法で、積層板(K−5)を作成した。
硬化性組成物溶液(G−1)の代わりに調製例3で得られた硬化性組成物溶液(G−3)を用い、樹脂溶液(D−1)の代わりに調製例8で得られた樹脂溶液(D−3)を用いた以外は積層板作成例1と同様の方法で、積層板(K−6)を作成した。
硬化性組成物溶液(G−1)の代わりに調製例3で得られた硬化性組成物溶液(G−3)を用い、樹脂溶液(D−1)の代わりに調製例9で得られた樹脂溶液(D−4)を用いた以外は積層板作成例1と同様の方法で、積層板(K−7)を作成した。
硬化性組成物溶液(G−1)の代わりに調製例4で得られた硬化性組成物溶液(G−4)を用いた以外は積層板作成例1と同様の方法で、積層板(K−8)を作成した。
硬化性組成物溶液(G−1)の代わりに調製例4で得られた硬化性組成物溶液(G−4)を用い、樹脂溶液(D−1)の代わりに調製例8で得られた樹脂溶液(D−3)を用いた以外は積層板作成例1と同様の方法で、積層板(K−9)を作成した。
硬化性組成物溶液(G−1)の代わりに調製例2で得られた硬化性組成物溶液(G−2)を用い、樹脂溶液(D−1)の代わりに調製例10で得られた樹脂溶液(D−5)を用いた以外は積層板の作成例1と同様の方法で積層板を作成し、さらに樹脂層上に蒸着温度200℃で可視光反射を防止する多層蒸着膜(可視光反射防止層)〔シリカ(SiO2:膜厚10〜100nm)層とチタニア(TiO2:膜厚10〜120nm)層とが交互に積層されてなるもの,積層数4〕を形成し、積層板(K−10)を得た。
積層板作製例8と同様にして積層板を作成し、この積層板の樹脂層上に前記調製例12で得られた高屈折率組成物(W−1)を回転塗布し、厚さが0.1μmになるように塗膜を形成した。形成した塗膜に対して、大気下、温度25℃で、露光量が300mJ/cm2(照射時間3秒)となるように、オーク製作所(株)製のコンベア式高圧水銀ランプ(2kW)を用いて紫外線を照射し、高屈折率膜を形成した。
50μmの厚みを有するガラス基板に調製例2で得られた硬化性組成物溶液(G−2)をスリットコートで塗布した後、ホットプレート上80℃で2分間加熱し、溶剤を揮発除去し、硬化層を形成した。この際、硬化層の膜厚が1.0μm程度となるようにスリットコーターの塗布条件を調整した。次に、ガラス基板の硬化層上に、スリットコーターを用いて調製例11で得られた樹脂溶液(D−6)を長波長側半値が646nmとなるような条件で塗布し、ホットプレート上80℃で5分間加熱し、溶剤を揮発除去した。次いで、ガラス面側からコンベア式露光機を用いて露光(露光量1J/cm2、照度200mW)し、その後オーブン中230℃で20分間焼成して積層板(K−12)を得た。
50μmの厚みを有するガラス基板に、調製例6で得られた樹脂溶液(D−1)のみを長波長側半値が646nmとなるような条件でスピン塗布し、ホットプレート上80℃で5分間加熱し、溶剤を揮発除去した。次いで、ガラス面側からコンベア式露光機を用いて露光(露光量1J/cm2、照度200mW)し、その後オーブン中230℃で20分間焼成して積層板(K−13)を得た。
硬化性組成物溶液(G−1)の代わりに調製例5で得られた硬化性組成物溶液(G−5)(アクリル系のみ)を用い、樹脂溶液(D−1)の代わりに調製例8で得られた樹脂溶液(D−3)を用いた以外は積層板作成例1と同様の方法で、積層板(K−14)を作成した。
700μmの厚みを有するガラス基板に調製例2で得られた硬化性組成物溶液(G−2)をスピンコートで塗布した後、ホットプレート上80℃で2分間加熱し、溶剤を揮発除去し、硬化層を形成した。この際、硬化層の膜厚が0.8μm程度となるようにスピンコーターの塗布条件を調整した。次に、該硬化層上に、フィルム作製例1で得られたフィルム(F−1)を貼合装置を用いて貼り合せた後、ガラス面側からコンベア式露光機を用いて露光(露光量1J/cm2、照度200mW)し、その後オーブン中230℃で20分間焼成して積層板(K−15)を得た。
フィルム(F−1)の代わりにフィルム作製例2で得られたフィルム(F−2)を用いた以外は積層板作製例15と同様にして、積層板(K−16)を作成した。
硬化性組成物溶液(G−2)の代わりに調製例3で得られた硬化性組成物溶液(G−3)を用い、フィルム(F−1)の代わりにフィルム作製例3で得られたフィルム(F−3)を用いた以外は積層板作成例15と同様の方法で、積層板(K−17)を作成した。
硬化性組成物溶液(G−2)の代わりに調製例4で得られた硬化性組成物溶液(G−4)を用い、フィルム(F−1)の代わりにフィルム作製例4で得られたフィルム(F−4)を用いた以外は積層板の作成例15と同様の方法で、積層板(K−18)を作成した。
硬化性組成物溶液(G−1)の代わりに調製例2で得られた硬化性組成物溶液(G−2)を用い、樹脂溶液(D−1)の代わりに比較調製例1で得られた樹脂溶液(D−7)を用いた以外は積層板作成例1と同様の方法で、積層板(R−1)を作成した。
700μmの厚みを有するガラス基板に調製例1で得られた硬化性組成物溶液(G−1)をスピンコートで塗布した後、ホットプレート上80℃で2分間加熱し、溶剤を揮発除去し、硬化層を形成した。この際、硬化層の膜厚が0.8μm程度となるようにスピンコーターの塗布条件を調整した。次に、該硬化層上に、スピンコーターを用いて比較調製例2で得られた樹脂溶液(D−8)を積層板の吸収極大波長における光線透過率が2%となるような条件で塗布し、ホットプレート上80℃で5分間加熱し、溶剤を揮発除去した。次いで、ガラス面側からコンベア式露光機を用いて露光(露光量1J/cm2、照度200mW)し、その後オーブン中230℃で20分間焼成して、積層板(R−2)を得た。
なお、樹脂層の膜厚は、触針式膜厚計を用いて測定し、積層板の吸収極大波長は分光光度計を用いて測定した。
積層板K−1〜18、及び積層板R−1〜2のガラス基板上に、蒸着温度200℃で近赤外線を反射する多層蒸着膜(誘電体多層膜)〔シリカ(SiO2:膜厚20〜250nm)層とチタニア(TiO2:膜厚70〜130nm)層とが交互に積層されてなるもの,積層数44〕を形成し、対応する近赤外線カットフィルターK'−1〜18、及びR'−1〜2を得た。多層蒸着膜の総厚はいずれも約5.5μmであった。
得られた近赤外線カットフィルターK'−1〜18、及びR'−1〜2について光学特性評価、リフローテスト、密着性評価および外観評価を行った。結果について、下記表1にまとめる。なお、表中Xaは800nm以下の波長領域において、近赤外線カットフィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が70%となる最も長い波長、Xbは波長580nm以上の波長領域において、近赤外線カットフィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が30%となる最も短い波長、Yaは垂直方向から測定した場合の波長560〜800nmの範囲において透過率が50%となる波長の値、Ybは垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の波長560〜800nmの範囲において透過率が50%となる波長の値、Zaは半田リフロー試験後における垂直方向から測定した場合の波長560〜800nmの範囲において透過率が50%となる波長の値である。
2:レンズ鏡筒
3:フレキシブル基板
4:中空パッケージ
5:レンズ
6:近赤外線カットフィルター
6':本発明で得られる近赤外線カットフィルター
7:CCDまたはCMOSイメージセンサー
8:近赤外線カットフィルター
9:分光光度計
Claims (9)
- ガラス基板の少なくとも片面に樹脂層を有し、下記式(ii)および(iii)を満たす積層板を含み、
前記積層板の少なくとも片面に誘電体多層膜を有し、透過率が下記(A)〜(D)を満たすことを特徴とする近赤外線カットフィルター。
(ii)1/700≦(樹脂層の厚み/ガラス基板の厚み)≦2/5
(iii)30≦ガラス基板の厚み(μm)≦1000
(A)波長430〜580nmの範囲において、近赤外線カットフィルターの垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が75%以上
(B)波長800〜1000nmの範囲において、近赤外線カットフィルターの垂直方向から測定した場合の透過率の平均値が1%以下
(C)800nm以下の波長領域において、近赤外線カットフィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が70%となる最も長い波長(Xa)と、波長580nm以上の波長領域において、近赤外線カットフィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が30%となる最も短い波長(Xb)との差の絶対値|Xa−Xb|が75nm未満
(D)波長560〜800nmの範囲において、近赤外線カットフィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が50%となる波長の値(Ya)と、近赤外線カットフィルターの垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の透過率が50%となる波長の値(Yb)の差の絶対値|Ya−Yb|が15nm未満 - 前記樹脂層が、近赤外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の近赤外線カットフィルター。
- 前記積層板が、下記(i)の要件を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外線カットフィルター。
(i)吸収極大波長を600〜800(nm)に有する - 前記樹脂層が、ポリイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、および環状オレフィン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
- 前記近赤外線吸収剤が下記(iv)を満たすことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
(iv)大気中で熱重量分析にて測定した5%重量減少温度が250℃以上である - 前記ガラス基板と前記樹脂層の間に、(a)(メタ)アクリロイル基含有化合物に由来する構造単位、(b)カルボン酸基含有化合物に由来する構造単位、および(c)エポキシ基含有化合物に由来する構造単位を有する硬化層を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
- 前記樹脂層のガラス基板が積層された面の反対側の面に、可視光反射防止層が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルターを具備することを特徴とする固体撮像用素子。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルターを具備することを特徴とする固体撮像装置。
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