JP2008266578A - 光学ポリマー材料及び光学部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬化前の粘度が低い光学ポリマー材料であって、硬化物の屈折率が高く、高温高湿下における屈折率変化の変化が少なく、かつ耐熱ショック性に優れた光学ポリマー材料及びそれを用いた光学部品を得る。
【解決手段】4つの(メタ)アクリロイル基を有するフルオレン化合物と、アリール基を有する(メタ)アクリレートとを含むこと特徴としており、−M−O−M−結合(Mは金属原子)及びアリール基を有する有機金属重合体及び、単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレートをさらに含んでいてもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気配線用基板、機械部品用材料、反射防止膜及び表面保護膜等の各種コーティング材料、光送受信モジュール及び光スイッチ等の光通信デバイス、光導波路、光ファイバー、及びレンズアレイ等の光伝搬路構造、及びそれらを含む光ビームスプリッタ等の光デバイス、インテグレータレンズ、マイクロレンズアレイ、反射板、導光板、投射用スクリーン等の表示デバイス(ディスプレイまたは液晶プロジェクタ等)関連光学素子、眼鏡、CCD用光学系、デジタルスチルカメラや携帯電話用カメラ等に用いられるレンズ、光学フィルタ、回折格子、干渉計、光結合器、光合分波器、光センサー、ホログラム光学素子、その他光学部品用材料、光起電力素子、コンタクトレンズ、医療用人工組織、発光ダイオード(LED)のモールド材等に用いることができる光学ポリマー材料及びそれを用いた光学部品に関するものである。
レンズを含め光学素子の材料には、ガラスやプラスチックが主に用いられてきている。ガラスは種類が多く、光学特性のバリエーションが豊富なため、光学設計が容易であり、さらに無機系材料であるため信頼性が高い。また、研磨により高精度な光学素子が得られる。
しかしながら、ガラスは、高コストであり、また平面や球面以外の非球面形状は特殊な研磨装置を用いるか、あるいは低温で変形が可能なガラス材を高価な耐熱性の高い金型(セラミック製など)で成形する、いわゆるモールド法により成形しなければならず、製造コストが高くなる。
一方、ポリマー材料は、安価、軽量であり、かつ加工が容易であるため、光学材料としても広く使用されている。しかしながら、ポリマー材料は屈折率が低く、アッベ数が大きい。レンズ系の色消しを行うには、アッベ数の差が大きい材料の組み合わせが必要となるが、屈折率が低く、アッベ数が高い一般的なポリマー材料と組み合わせて色消しを行うには、屈折率が高く、かつアッベ数が低いポリマー材料が求められる。
また、レンズの枚数を削減し、全体として厚みの薄い光学部品とするには、複合レンズとすることが好ましい。複合レンズの成形を容易にかつ精度良く行うためには、紫外線硬化型樹脂のような放射線硬化型であり、なおかつ低粘度であることが望まれる。
特許文献1には、屈折率が高く、かつアッベ数が低く、放射線硬化が可能な光学ポリマー材料として、2つの(メタ)アクリロイル基を有するフルオレン化合物と、ラジカル重合可能なビニル化合物とからなるレンズ材料が提案されている。
しかしながら、このようなレンズ材料を用いて光学樹脂層を形成し、光学樹脂層の上に反射防止膜を設けた場合、−40℃と85℃の間における熱ショック試験で、反射防止膜が割れるという問題があった。また、高温高湿下での屈折率の変化が大きいという問題もあった。
特許文献2においては、4つの(メタ)アクリロイル基を有するフルオレン化合物と、熱可塑性樹脂からなる樹脂組成物が開示されているが、光学ポリマー材料としての検討は具体的になされていない。
特開平4−325508号公報 特開2005−162785号公報
本発明の目的は、硬化前の粘度が低い光学ポリマー材料であって、硬化物の屈折率が高く、高温高湿下における屈折率の変化が少なく、かつ耐熱ショック性に優れた光学ポリマー材料及びそれを用いた光学部品を提供することにある。
本発明の光学ポリマー材料は、4つの(メタ)アクリロイル基を有するフルオレン化合物と、アリール基を有する(メタ)アクリレートとを含むことを特徴としている。アリール基として、フェニル基、フェニルフェノール基、ビスフェノール基、フタル基、ナフチル基などが挙げられる。
本発明の光学ポリマー材料は、4つの(メタ)アクリロイル基を有するフルオレン化合物と、アリール基を有する(メタ)アクリレートとを含むことにより、硬化前の粘度が低く、かつ硬化物の屈折率が高く、高温高湿下における屈折率の変化が少なく、かつ良好な耐熱ショック性を有している。4つの(メタ)アクリロイル基を有するフルオレン化合物は、2つの(メタ)アクリロイル基を有するフルオレン化合物に比べ架橋密度を大きくすることができ、材料強度が高くなるため、耐熱ショック性が改善される。
アリール基を有する(メタ)アクリレートとして、フェニルフェノール基を有する(メタ)アクリレートを使用することにより、高屈折率、高温高湿下における屈折率変化抑制の点で、さらに高い効果が得られる。これは、高屈折率性、疎水性であるベンゼン環が多く含まれることによるものである。
また、アリール基を有する(メタ)アクリレートとして、(メタ)アクリロイル基、−M−O−M−結合(Mは金属原子)及びアリール基を有する有機金属重合体を使用することにより、高温高湿下における屈折率変化抑制の点で、さらに高い効果が得られる。
4つの(メタ)アクリロイル基を有するフルオレン化合物としては、例えば、以下に示す構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2008266578
(上記の式において、k、l、m及びnは、0〜5の整数である。)
上記の化合物においては、4つのアクリロイル基を有しているが、これらのアクリロイル基はメタクリロイル基であってもよい。なお、本発明において、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基とメタクリロイル基の総称である。また、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートの総称である。
また、本発明におけるフェニルフェノール基を有する(メタ)アクリレートとしては、フェニルフェノール基と、(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば特に限定されるものではないが、例えば、以下の化合物が挙げられる。
以下の構造式を有するヒドロキシエチル化o−フェニルフェノールアクリレート(HEPPA)。
Figure 2008266578
以下の構造式を有するヒドロキシエチル化o−フェニルフェノールメタクリレート(HEPPMA)。
Figure 2008266578
以下の構造式を有するo−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート。
Figure 2008266578
以下の構造式を有するo−フェニルフェニルアクリレート。
Figure 2008266578
本発明の光学ポリマー材料には、−M−O−M−結合(Mは金属原子)及びアリール基を有する有機金属重合体がさらに含まれていてもよい。このような有機金属重合体を含有させることにより、高温高湿下における屈折率の変化をより小さくすることができる。また、有機金属重合体を含有させることにより、硬化収縮を小さくすることができ、成形の精度を高めることができる。
有機金属重合体の−M−O−M−結合におけるMは、好ましくは、Si、Nb、Ti、及びZrのうちの少なくとも1つである。Mは特に好ましくは、Siである。
本発明における有機金属重合体は、例えば、少なくとも2つの加水分解可能な基を有する有機金属化合物の加水分解及び重縮合反応により合成することができる。MがSiである場合、このような有機金属化合物としては、例えば、有機基を含有するトリアルコキシシランまたはジアルコキシシランが挙げられる。有機基としては、アルキル基、アリール基、アリール含有基などが挙げられる。アリール基またはアリール含有基などを有する有機金属化合物を用いることにより、有機金属重合体にアリール基を導入することができる。アリール基としては、フェニル基が好ましい。フェニル基を有する有機金属化合物としては、フェニルトリアルコキシシラン、ジフェニルジアルコキシシランが挙げられ、より具体的には、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどが挙げられる。
また、上記有機金属化合物として、加熱及び/またはエネルギー線照射により架橋する官能基を有する有機金属化合物が含有されていることが好ましい。これにより、加熱及び/またはエネルギー線照射により、有機金属化合物の分子同士の結合を形成することができるとともに、有機金属重合体とフルオレン化合物及び(メタ)アクリレートの間の結合を形成することができる。
エネルギー線としては、紫外線、電子線などを挙げることができる。このような架橋をする官能基としては、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、エポキシ基、チオール基、及びビニル基が挙げられる。従って、これらの官能基を有するトリアルコキシシラン、またはジアルコキシシランが好ましく用いられる。(メタ)アクリロイル基を有するアルコキシシランとしては、具体的には、3−メタクリロキシプロピルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。また、ビニル基を含有するアルコキシシランとしては、ビニルトリエトキシシランが挙げられる。チオール基を有するアルコキシシランとしては、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
また、架橋する官能基として、スチリル基を用いる場合は、スチリル基を有する有機金属化合物を用いることにより、有機金属重合体にアリール基を導入することができる。
(メタ)アクリロイル基を有する有機金属重合体は、本発明におけるアリール基を有する(メタ)アクリレートとして用いることができる。
架橋する官能基を有する有機金属化合物と、官能基を有しない有機金属化合物を混合して用いる場合、混合割合は重量比(官能基を有する有機金属化合物:官能基を有しない有機金属化合物)で、5〜95:95〜5であることが好ましい。
有機金属重合体においては、無水有機酸及び/または有機酸がさらに含有されていることが好ましい。無水有機酸は、水分を吸収し、加水分解するので、無水有機酸が含まれていることにより、有機金属重合体中の水分を減少させることができる。これにより、水分が原因となる光の吸収の減少や、水分が蒸発するために発生する形状の変化を抑制することができる。
また、有機金属重合体中に含有された有機酸は、シラノール基等の反応を促進する。このため、シラノール基が消滅するのを促進することができる。例えば、有機金属重合体中の分子末端のシラノール基同士の反応も促進することができる。また、加水分解可能な基を1つだけ有する金属アルコキシドの加水分解物が、有機金属重合体の分子の末端に発生した−OH基と反応し、−OH基を消滅させる反応が促進される。
上記無水有機酸の具体例としては、無水トリフルオロ酢酸、無水酢酸、無水プロピオン酸などが挙げられる。特に好ましくは、無水トリフルオロ酢酸が用いられる。上記有機酸の具体例としては、トリフルオロ酢酸、酢酸、プロピオン酸などが挙げられる。特に好ましくは、トリフルオロ酢酸が用いられる。
本発明においては、必要に応じて、熱や光等のエネルギー照射で硬化させる前の液の粘度や、硬化物の硬度等の機械的特性、屈折率、アッベ数等の光学的特性の調整を目的として、1官能、すなわち単官能の(メタ)アクリレートを添加してもよい。また、複数の官能基を有する多官能(メタ)アクリレートを添加してもよい。
単官能(メタ)アクリレートの例としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンチル(メタ)アクリレート、α−ナフチル(メタ)アクリレート、β−ナフチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ボロニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、アクリロイロキシエチルフタレート、クレゾール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンベンゾエート(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート等、及びこれらのエチレンオキシド付加(EO変性)物、プロピレンオキシド付加(PO変性)物、エチルシクロヘキサン付加(ECH変性)物等が挙げられる。
アリール基を有する単官能(メタ)アクリレートは、本発明におけるアリール基を有する(メタ)アクリレートとして用いることができる。特に、アリール基を有し常温での粘度が20mPa・s以下であるベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等、及びそれらのEO、PO、ECH変性物等は屈折率が比較的高く粘度を下げる効果も大きく好適である。また、常温での粘度が2mPa・s以下の(メタ)アクリル酸メチル、ブチル(メタ)アクリレートなどは、屈折率は比較的低いものの少量でも粘度を下げる効果が大きいので好ましい。
多官能(メタ)アクリレートの例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−プロピオネートのジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、2,2′−ジ(ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパンのジ(メタ)アクリレート、2,2′−ジ(ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールのジ(メタ)アクリレート、2,2′−ジ(グリシジルオキシフェニル)プロパンのジ(メタ)アクリル酸付加物等の2官能(メタ)アクリレート、さらに、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメリット酸のトリ(メタ)アクリレート、トリアリルトリメリット酸、トリアリルイソシアヌレートトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
アリール基を有する多官能(メタ)アクリレートも、本発明におけるアリール基を有する(メタ)アクリレートとして用いることができる。
本発明の光学ポリマー材料において、フルオレン化合物の含有量は、40〜70重量%の範囲であることが好ましい。フルオレン化合物の含有量が40重量%未満であると、硬化物の屈折率が1.58程度となり、高い屈折率が得られない場合がある。フルオレン化合物の含有量が70重量%を超えると、硬化前の粘度を低減することができず、また高温高湿下における屈折率の安定性が得られない場合がある。
また、本発明の光学ポリマー材料において、アリール基を有する(メタ)アクリレートの含有量は、10〜60重量%であることが好ましい。該(メタ)アクリレートの含有量が10重量%未満であると、硬化物の高い屈折率と、硬化前の低粘度の両立が困難となる場合がある。また、60重量%を超えると、架橋密度が減少し、材料強度が低くなり、耐熱ショック性が不十分となる場合がある。アリール基を有する(メタ)アクリレートとして、複数の種類の(メタ)アクリレートを用いる場合、ここで規定する含有量は、合計の含有量である。
また、有機金属重合体が含まれない場合、アリール基を有する(メタ)アクリレートの含有量は、40〜60重量%の範囲であることがさらに好ましい。
有機金属重合体を含む場合には、5〜40重量%であることが好ましい。
本発明の光学ポリマー材料において、有機金属重合体が含有される場合、有機金属重合体の含有量は、10〜30重量%の範囲であることが好ましい。有機金属重合体の含有量が、10重量%未満であると、有機金属重合体を含有させることによる効果、すなわち高温高湿下における屈折率の変化を小さくするという効果が十分に得られない場合がある。また、有機金属重合体の含有量が30重量%を超えると、高温高湿下における屈折率の安定性が得られない場合がある。有機金属重合体のさらに好ましい含有量は、10〜20重量%の範囲である。
本発明の光学ポリマー材料において、単官能(メタ)アクリレートが含有される場合、単官能(メタ)アクリレートの含有量は、25重量%以下であることが好ましい。単官能(メタ)アクリレートの含有量が、25重量%を超えると、硬化物の屈折率が1.58程度となり、高い屈折率が得られない場合がある。単官能(メタ)アクリレートの含有量は、さらに好ましくは、5〜15重量%である。単官能(メタ)アクリレートの含有量がこれより少ないと、硬化前の粘度が高くなる場合があり、多くなると耐熱ショック性が低下する場合がある。
また、本発明の光学ポリマー材料において、多官能(メタ)アクリレートが含有される場合、多官能(メタ)アクリレートの含有量は、15重量%以下であることが好ましい。多官能(メタ)アクリレートの含有量が15重量%を超えると、硬化物の屈折率が1.58程度となり、高い屈折率が得られない場合がある。また、多官能(メタ)アクリレートのより好ましい含有量は、2〜6重量%である。多官能(メタ)アクリレートの含有量がこれより少なくなると、屈折率調整の範囲が小さくなり、これより多いと屈折率低下を補うためフルオレン化合物の量を増加させる必要があり、このため、粘度が高くなるおそれがある。
本発明の光学ポリマー材料においては、ラジカル系重合開始剤を含むことが好ましい。
ラジカル系重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−〔2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ〕−エチル−エステル、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−〔2−ヒドロキシ−エトキシ〕−エチル−エステル、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル〕フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン及びこれらの混合物を挙げることができる。
ラジカル系重合開始剤の含有量は、光学ポリマー材料中に含まれるラジカル系重合開始剤以外の全ての成分100重量部に対し、0.5〜3重量部であることが好ましい。ラジカル系重合開始剤の含有量がこれより少なくなると、硬化しにくくなる場合がある。また、この範囲よりも多くなると、硬化物が黄変する場合がある。
本発明の光学ポリマー材料には、酸化防止剤、HALS(Hindered Amine Light Stabilizer)等の光安定剤や、紫外線吸収剤等を添加してもよい。
本発明の光学部品は、上記本発明の光学ポリマー材料を硬化させて光透過領域を形成したことを特徴としている。
本発明の光学部品の具体例としては、例えば、透光性のガラス、セラミック、またはプラチックなどの母材の上に、本発明の光学ポリマー材料を用いて光透過領域を形成したものが挙げられる。母材として、プラスチックを用いる場合、耐湿性などに優れている点から、シクロオレフィン系樹脂からなる母材を用いることが好ましい。
本発明の光学部品としては、複合型非球面レンズなどの複合型光学素子や、光学ポリマー材料を用いて形成したコア層及び/またはクラッド層からなる光導波路を挙げることができる。複合型非球面レンズは、ガラス、プラスチックなどからなる球面レンズの上に、透光性樹脂層からなる光透過領域を形成し、非球面レンズとしたものである。
光透過領域の上には、金属酸化物からなるコーティング層を設けることができる。このようなコーティング層は反射防止膜などとして形成することができる。
本発明の光学装置は、上記本発明の光学部品を備えることを特徴としている。本発明の光学装置として、複合型非球面レンズを備えるカメラモジュールが挙げられる。このようなカメラモジュールは、携帯電話や車載用バックモニターなどに用いることができる。
また、本発明の光学装置としては、光スイッチ、光送受信モジュール、光カプラなどの光通信デバイス;液晶デバイス、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、液晶プロジェクタなどのプロジェクタ、映写機などの表示装置;デジタルカメラ等の写真機、ビデオカメラなどの撮像装置、CCDカメラモジュール、CMOSカメラモジュールなどの撮影モジュール;望遠鏡、顕微鏡、虫眼鏡などの光学機器などが挙げられる。
本発明の光学ポリマー材料は、4つの(メタ)アクリロイル基を有するフルオレン化合物と、アリール基を有する(メタ)アクリレートとを含むものであり、硬化前の粘度が低く、かつ硬化物の屈折率が高く、高温高湿下における屈折率の変化が小さく、優れた耐熱ショック性を有している。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔有機金属重合体の調製〕
以下の実施例及び比較例において用いた有機金属重合体は、以下のようにして調製した。
(1)エタノール40.0mlに、ジフェニルジメトキシシラン(DPhDMS)を12.26ml、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(MPTES)を10.32ml添加し、これを攪拌しながら、2Nの塩酸を3.80ml滴下する。
(2)上記の(1)の液を加熱し、エタノールを除去する。
(3)上記の(2)の生成物に、10mlの無水トリフルオロ酢酸を注入し、攪拌する。
(4)上記の(3)の液を加熱し、無水トリフルオロ酢酸を除去する。
(5)トリメチルエトキシシランを37.5ml注入し、攪拌した後、加熱し、トリメチルエトキシシランを除去して、有機金属重合体の溶液とした。
(実施例1)
4つの(メタ)アクリロイル基を有するフルオレン化合物として、上記一般式で表わされる化学構造において、k、l、m及びnがいずれも1である化合物(9,9’−ビス〔3,4−ジ−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕フルオレンテトラアクリレート)を用いた。表1においては、このフルオレン化合物を、「4官能フルオレン」として示す。また、フェニルフェノール基を有する(メタ)アクリレートとして、ヒドロキシエチル化o−フェニルフェノールメタクリレート(HEPPMA)を用いた。
表1に示すように、4官能フルオレン50重量%に対し、HEPPMA50重量%を加え、4官能フルオレン及びHEPPMAの合計100重量部に対し、重合開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンを1重量部となるように添加し、100℃で加熱振盪させ、実施例1の樹脂組成物を調製した。なお、以下の各実施例及び比較例においても、上記と同様に重合開始剤をモノマーの合計に対し1重量部となるように添加した。
〔(メタ)アクリロイル基密度〕
(メタ)アクリロイル基密度は既知の化学構造及び密度などの物性値により算出し、表1に示した。なお、架橋密度は(メタ)アクリロイル基密度と重合率の積であるが、重合率は以下のようにして測定可能である。(メタ)アクリロイル基にはC−C二重結合が含まれており、この二重結合が開いて別の(メタ)アクリロイル基と結合することで硬化するので、IR分光分析により硬化前後のC−C二重結合の量を比較した。その結果、後述するサンプル形状、重合開始剤添加量、紫外線照射条件であれば、配合によらず重合率は60%程度であった。
〔硬化前粘度の測定〕
硬化前の樹脂組成物の粘度を、23℃で測定し、結果を表1に示した。
〔硬化物の屈折率の測定〕
上記の樹脂組成物を、厚さ1mmの石英ガラス板の間に挟み、中心波長365nmの紫外線ランプで約30mW/cmの強度の紫外線を15分間照射し硬化させた。硬化物の屈折率を測定し、結果を表1に示した。
〔高温高湿下での屈折率変化の測定〕
上記の屈折率測定用サンプルを温度60℃、湿度90%の高温高湿下に500時間放置し、高温高湿試験を行った。試験結果を表1に示す。
〔複合型非球面レンズの作製〕
図1に示すような複合型非球面レンズを作製した。
図1に示す複合型非球面レンズ4においては、レンズ母材1の上に光学樹脂層2が形成されており、光学樹脂層2の上に、無反射コート膜3が形成されている。レンズ母材1としては、環状オレフィン系樹脂(日本ゼオン社製、商品名「ZEONEX」)からなるレンズ母材を用い、このレンズ母材の上に、上記樹脂組成物を用いて光学樹脂層2を金型により成形した。レンズ母材1の上に、上記の樹脂組成物を滴下し、上方から金型でこの樹脂組成物を押圧し、この状態で、レンズ母材1の反対側から、紫外線を照射し、樹脂組成物を硬化させて光学樹脂層2を形成した。紫外線照射は、波長365nmの紫外光を主成分とした光を、強度300mW/cm、照射時間2分間照射して行った。
上記のようにして光学樹脂層2を形成した後、光学樹脂層2の上に、電子ビーム蒸着法により、酸化チタン膜と酸化ケイ素膜からなる無反射コート膜3を形成した。無反射コート膜(AR膜)は、電子ビーム蒸着法により、酸化ケイ素膜と酸化チタン膜を交互に積層することにより形成した。設計波長λを500nmとし、レンズ母材1側から膜厚λの酸化ケイ素膜、膜厚0.04λの酸化チタン膜、膜厚0.1λの酸化ケイ素膜、膜厚0.5λの酸化チタン膜、及び膜厚0.24λの酸化ケイ素膜を積層し、無反射コート膜とした。
レンズ母材1の中心部の厚みは、1.7mmであり、光学樹脂層2の中心部の厚みは260μmである。
〔熱ショック試験〕
以上のようにして作製した複合型非球面レンズについて、熱ショック試験を行った。図4は、熱ショック試験を行った装置を示す模式的断面図である。測定対象であるサンプル8は、容器7内に入れられ、容器7が、−40℃の恒温槽5と85℃の恒温槽6の間を、図5に示す周期で往復することにより、熱ショックがサンプル8に与えられる。
熱ショック試験の結果を表1に示す。表1において、「60以下」として示されているものは、上記の−40℃における30分間放置と、85℃における30分間放置を1サイクルとした場合の、60サイクル後において観察したときに、無反射コート膜に割れが発生していたことを示している。また、「250以上」は、250サイクル後に確認したときに、無反射コート膜に割れが生じていないことを示している。
(実施例2)
表1に示すように、4官能フルオレン70重量%、有機金属重合体5重量%、フェノキシエチルアクリレート(PhEA)25重量%に、実施例1と同様の重合開始剤を混合し、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
実施例1と同様にして、屈折率測定用サンプル及び熱ショック試験用サンプルを作製し、表1に、硬化前粘度、硬化物の屈折率、高温高湿下における屈折率の変化、及び熱ショック試験結果を示した。
(実施例3)
表1に示すように、4官能フルオレン45重量%、有機金属重合体14重量%、ヒドロキシエチル化o−フェニルフェノールアクリレート(HEPPA)22重量%、フェノキシエチルアクリレート(PhEA)19重量%に、実施例1と同様の重合開始剤を混合し、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
実施例1と同様にして、屈折率測定用サンプル及び熱ショック試験用サンプルを作製し、表1に、硬化前粘度、硬化物の屈折率、高温高湿下における屈折率の変化、及び熱ショック試験結果を示した。
(実施例4)
表1に示すように、4官能フルオレン52重量%、有機金属重合体14重量%、HEPPA22重量%、PhEA8重量%、及びトリメチロールプロパントリアクリレート( TMPTA)4重量%に、上記と同様の重合開始剤を混合し、樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物を用いて、屈折率測定用サンプル及び熱ショック試験用サンプルを実施例1と同様にして作製し、試験結果を表1に示す。
(実施例5)
表1に示すように、4官能フルオレン70重量%、PhEA30重量%に、上記と同様の重合開始剤を混合し、樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物を用いて、屈折率測定用サンプル及び熱ショック試験用サンプルを作製し、測定した。測定結果を表1に示す。
(比較例1)
フルオレン化合物として、以下に示す化学構造(m及びnが1である)を有する4,4’−(9−フルオレニリデン)ビス(2−フェノキシエチルアクリレート)を用いた。以下、このフルオレン化合物を「2官能フルオレン」として示す。
Figure 2008266578
表1に示すように、2官能フルオレン70重量%、PhEA30重量%に、上記と同様の重合開始剤を混合し、上記と同様にして、樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物を用いて、上記と同様にして屈折率測定用サンプル及び熱ショック試験用サンプルを作製し、測定結果を表1に示した。
(比較例2)
表1に示すように、2官能フルオレン44重量%、有機金属重合体24重量%、HEPPMA20重量%、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)12重量%に、上記と同様の重合開始剤を混合し、樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物を用いて、屈折率測定用サンプル及び熱ショック試験用サンプルを作製し、測定した。測定結果を表1に示した。
Figure 2008266578
表1に示すように、本発明に従う実施例1〜5においては、硬化前の液体の粘度が低く、また高温高湿下における屈折率の変化が小さくなっており、耐熱ショック性も良好である。一般に、樹脂と、他の熱膨張率の大きく異なる材料とを接合して使用する際には、樹脂の弾性率を下げることが有効であることが知られており、樹脂の架橋密度を下げることにより、樹脂の弾性率を下げる方法が知られている。
しかしながら、表1に示すように、(メタ)アクリロイル基密度が低い比較例1は、耐熱ショック性において劣っている。これは、樹脂層の上に無機酸化物からなる硬くて脆い無反射コート膜を設けているため、樹脂層の弾性率を低くすると、熱膨張率の差によって樹脂層が変形し、これによって無反射コート膜が割れるためであると思われる。従って、本実施例のように、母材としてプラスチックを用い、光透過領域(樹脂層)の上に金属酸化物からなるコーティング層を設ける場合、樹脂層における(メタ)アクリロイル基密度は高い方が好ましく、0.004mol/g以上であることが好ましい。また、(メタ)アクリロイル基の重合率は60%以上であることが好ましく、従って(メタ)アクリル結合の架橋密度は0.0024mol/g以上であることが好ましい。
比較例1と実施例5との比較から明らかなように、2官能フルオレンに代えて、4官能フルオレンを用いることにより、耐熱ショック性を高めることができる。本発明に従い、アリール基を有する(メタ)アクリレートを用いることにより、高温高湿下における屈折率の変化を小さくすることができる。
比較例2は、2官能フルオレンを用いた場合において、高温高湿下における屈折率変化が小さく、耐熱ショック性に優れた配合例を示している。屈折率を維持しつつ、硬化前の粘度を低下させるため、HEMPAを多量に配合しているが、それでも硬化前の粘度は30P・s以上となっている。
<有機金属重合体の配合比率についての検討>
図2は、有機金属重合体の配合比率を変化させたときの高温高湿下における屈折率変化を示す図である。
表2に示すように、有機金属重合体の配合比率を、0重量%、5重量%、10重量%、15重量%、及び20重量%と変化させた樹脂組成物を調製した。表2に示す配合組成以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
上記実施例と同様にして、屈折率測定用サンプルを作製し、高温高湿試験を行い、高温高湿下における屈折率変化を求めた。図2は、この試験結果を示すものである。図2に示すように、有機金属重合体の配合比を調整することにより、高温高湿下における屈折率変化を調整することができる。
Figure 2008266578
<TMPTAの添加量についての検討>
実施例4の樹脂組成物に、さらにTMPTAを追加して添加し、TMPTAの添加量が硬化物の屈折率に与える影響について検討した。
重合開始剤を除く樹脂組成物100重量部に対し、図5に示すように、1.0重量%、2.0重量%、3.0重量%となるようにTMPTAを追加し、それぞれの樹脂組成物の硬化物の屈折率を測定した。
図3に示すように、TMPTAを追加することにより、硬化物の屈折率を低減させることができる。従って、TMPTAの添加量を調整することにより、硬化物の屈折率を調整することができる。また、TMPTAの添加量が増えても、架橋密度は高くなるため、耐熱ショック性はより良好になる。
(応用実施例1)
図6は、従来のカメラモジュールの一例を示す断面図である。図6に示すように、撮像素子25の上には、2枚のプラスチック非球面レンズ21及び22と、2枚のガラス球面レンズ23及び24が設けられており、これらのレンズは、オートフォーカス機構26により保持されている。カメラモジュール20は、4枚のレンズ21〜24を有するものであり、携帯電話用の2〜5メガピクセルのカメラモジュールとして用いることができるものである。複数のレンズを組み合わせることにより、必要な倍率を確保するとともに、撮影カメラ用のレンズに必須の色収差を含む各種の収差補正を行っている。例えば、図6に示す例においては、球面レンズ23及び24の少なとも一片のアッベ数を大きく、プラスチック非球面レンズ21及び22の少なくとも一方のアッベ数を小さく設定することにより、色収差を相殺する設計が行われている。
図7は、本発明に従う実施例のカメラモジュールを示す断面図である。図7においては、図6におけるレンズ23及び24のどちらかに本発明の複合型非球面レンズ(光学樹脂層の屈折率:約1.59、アッベ数:約30)を用いることにより、アッベ数の小さい光学樹脂層と、プラスチック非球面レンズ21及び22の少なくとも一方による色収差補正が可能となり、レンズを1枚削除することができる。この結果として、カメラモジュールの高さを約1mm低くすることができる。図6に示す従来のカメラモジュールの高さは約10mmであり、図7に示す本実施例のカメラモジュールの高さは約9mmである。
図8は、カメラモジュールを配置した2つ折りタイプの携帯電話を示す断面図である。上方部には、カメラモジュール20が備えられており、TVチューナー31、ハードディスクドライブ32、及びディスプレイ33などが内蔵されている。下方部には、キーボード34及び電池35などが内蔵されている。
カメラモジュール20として、従来のカメラモジュールを用いた場合には、上方部の高さh及び下方部の高さhは、それぞれ12.5mmとなり、携帯電話全体の高さHは25mmとなる。しかしながら、本発明に従い、カメラモジュール20として、図7に示す実施例のカメラモジュールを用いることにより、高さhを約1mm薄くすることができ、これにより全体の高さHも約1mm薄くすることができる。
(応用実施例2)
また、図7に示すカメラモジュールは車載用バックモニターのカメラモジュールとしても用いることができるものである。車載用のカメラモジュールにおいては、高度な耐熱性が必要とされ、本発明の非球面レンズを用いることができる。また、本発明の非球面レンズは、高い屈折率を有しているので、視野角を広くすることができる。
(応用実施例3)
本発明の光学ポリマー材料は、各種電子機器の基板内配線や基板間配線に使用することができ、また光導波路素子に応用することもできる。
図9は、本発明の光導波路の一実施例を示す断面図である。図9に示すように、プラスチック基板43の上にクラッド層42が設けられ、クラッド層42の中にコア層41が形成されている。コア層41の高さは約70μmであり、コア層41間の距離は約500μmである。コア層41の上方には約100μmの厚みのクラッド層42が存在し、コア層41の下方にも約100μmの厚みのクラッド層42が存在している。
本実施例においては、光硬化後の固体の屈折率が約1.60となるように調整したものを用いてコア層41を形成している。また、屈折率が約1.58となるように調整したものを用いてクラッド層42を形成している。コア層41の断面は約70μm角である。また、プラスチック基板43としては、厚さ1mmのZEONEX基板を用いている。
光導波路の一方の端面から波長650nm、830nm、及び850nmの光を入射したところ、他方の端面からそれぞれの光の出射が確認された、カットバック法により光伝搬損失の測定を行った結果、0.5dB/cm以下であった。
図10(a)は、図9に示すコア層41及びクラッド層42の両側を、フレキシブルな基板である厚さ70μmのポリイミドフィルム44で挟んだ構造の光導波路を示す図である。
また、図10(b)は、クラッド層42の周囲を厚さ70μmとなるようにポリイミドでモールドしてモールド層45を形成した光導波路を示す断面図である。
図10(a)及び(b)のようにフレキシブルな基板を用いた場合、例えば曲率半径10mm程度に曲げることができた。
図11は、本発明に従う光導波路の他の実施例を示す断面図である。
図11(a)においては、コア層41の側方に直径150μmの電力用銅配線46が設けられている。クラッド層42の両側は、フレキシブルな基板である厚さ70μmのポリイミドフィルム44で挟まれている。
図11(b)の実施例においては、上方のポリイミドフィルム44中に電力用銅配線46が配置されている。
図11に示すように、本発明の光導波路には、電力用配線が設けられていてもよい。このように電力用配線を設けることにより、情報信号と電力の供給を1つの素子で行うことが可能になる。
電力用銅配線46は、矩形の断面形状を有していてもよい。
(応用実施例4)
図12は、液晶プロジェクタを示す模式的断面図である。光源53の上には、照明光学系52が設けられており、照明光学系52は、レンズ52a及び52bから構成されている。光源53から出射された光は、ハーフミラー54に当り、ハーフミラー54を透過した光はミラー58で反射され、レンズ60及び液晶パネル63を通りクロスプリズム59に入射する。
一方、ハーフミラー54で反射された光は、ハーフミラー55に照射され、ハーフミラー55で反射された光は、レンズ61及び液晶パネル64を通りクロスプリズム59に入射する。
ハーフミラー55を透過した光は、ミラー56で反射され、さらにミラー57で反射されて、レンズ62及び液晶パネル64を通り、クロスプリズム59に入射する。
液晶パネル65は赤(R)用の液晶パネルであり、液晶パネル64は緑(G)用の液晶パネルであり、液晶パネル63は青(B)用の液晶パネルである。これらの液晶パネルを通過した光は、クロスプリズム59で合成され、投影光学系51を通り、外部に出射される。投影光学系51は、レンズ51a、51b、及び51cから構成されている。
光源53は、例えばメタルハライドランプ、水銀ランプ、LED等から構成される。
光源53は、発熱源であるため、従来は投影光学系51のレンズ51a〜51cを、光源53からある程度の距離だけ離す必要があった。
しかしながら、本発明の光学部品は、上述のように良好な耐熱性を有する光学ポリマー材料から形成されているので、光源53の近くに配置することができる。
図13は、本発明に従う液晶プロジェクタの一実施例を示す模式的断面図である。
図13に示す実施例においては、投影光学系51のレンズ51a〜51cに実施例9のレンズを用いている。このため、図13に示すように光源53の位置を投影光学系51に近づけるように配置することができる。このため、液晶プロジェクタ50を小型化することができる。
図13に示す液晶プロジェクタにおいて、光源53から出射された光は、照明光学系52を通り、ハーフミラー54に照射され、ハーフミラー54で反射された光は、レンズ60及び液晶パネル63を通りクロスプリズム59に入射される。ハーフミラー54を透過した光はミラー58で反射され、ハーフミラー55に向う。ハーフミラー55で反射された光はレンズ61及び液晶パネル64を通り、クロスプリズム59に入射される。ハーフミラー55を透過した光はミラー56で反射され、さらにミラー57で反射され、レンズ62及び液晶パネル65を通りクロスプリズム59に入射される。液晶パネル63、64及び65を透過した光はクロスプリズム59で合成され、投影光学系51を通り外部に出射される。
図12及び図13に示す液晶プロジェクタは、RGBを独立した液晶パネルで表示する3板式透過型プロジェクタであるが、RGBを合成した液晶パネルを1枚使用した単板式の透過型プロジェクタでも同様の効果を得ることができる。
図14に示す液晶プロジェクタにおいては、さらに小型化を図るため、光源53として白色LEDを用いている。図14に示すように、光源53から出射された光は照明光学系52を通り、レンズ60、液晶パネル63を通り、さらに投影光学系51を通り外部に出射される。
図14に示すように、光源53から投影光学系51までを直線上に配置することができる。このような場合、投影光学系51のレンズ51a、51b及び51cに本発明に従う実施例のレンズを用いることにより、焦点距離を短くすることができるので、液晶プロジェクタ全体の長さを短くすることができる。
(応用実施例5)
図15は、本発明の光学部品である複合型非球面レンズ4を用いた光送受信モジュールを示す模式的断面図である。
光送受信モジュール70内には、光ファイバー71の一方端71aが挿入されており、光ファイバー71の一方端71aと対向する位置に、発光素子73が設けられている。発光素子73の前方には、本発明に従う複合型非球面レンズ4が設けられており、複合型非球面レンズ4と光ファイバー71の端部71aとの間に45°傾斜させて波長選択フィルタ72が設けられている。波長選択フィルタ72の下方には、レンズ74を介して受光素子75が設けられている。
発光素子73から出射された光は、複合型非球面レンズ4を通り、波長選択フィルタ72を通過して端部71aから光ファイバー71内に入り、伝送される。
また、光ファイバー71から送られてきた光は、端部71aを通り、波長選択フィルタ72で反射され、レンズ74を通り、受光素子75が受光される。
本実施例の光送受信モジュールにおいては、本発明に従う複合型非球面レンズ4を用いているので、焦点距離を短くすることができ、小型化を図ることができる。
本発明の光学部品である複合型非球面レンズを示す模式図断面図。 有機金属重合体の配合比率と光学ポリマー材料の硬化物の高温高湿下における屈折率変化との関係を示す図。 TMPTAの添加量と、光学ポリマー材料の硬化物の屈折率との関係を示す図。 本発明の実施例において行った熱ショック試験に用いた装置を示す模式図断面図。 熱ショック試験における85℃恒温槽及び−40℃の恒温層槽のインターバルを示す図。 従来のカメラモジュールの一例を示す模式的断面図。 本発明に従う実施例のカメラモジュールを示す模式的断面図。 2つ折りの携帯電話を示す模式的断面図。 本発明に従う一実施例の光導波路を示す断面図。 本発明に従う他の実施例の光導波路を示す断面図。 本発明に従うさらに他の実施例の光導波路を示す断面図。 液晶プロジェクタの実施例を示す模式的断面図。 本発明に従う液晶プロジェクタの一実施例を示す模式的断面図。 本発明に従う液晶プロジェクタの他の実施例を示す模式的断面図。 本発明に従う光送受信モジュールの一実施例を示す模式的断面図。
符号の説明
1…レンズ母材
2…光学樹脂層
3…無反射コート膜
4…複合型非球面レンズ
20…カメラモジュール
21,22,23,24…非球面レンズ
25…撮像素子
30…携帯電話
31…TVチューナー
32…ハードディスクドライブ
33…ディスプレイ
34…キーボード
35…電池
40…光導波路
41…コア層
42…クラッド層
43…基板
44…ポリイミドフィルム
45…ポリイミドモールド層
46…電力用配線
50…液晶プロジェクタ
51…投影光学系
52…照明光学系
53…光源
54,55…ハーフミラー
56,57,58…ミラー
59…クロスプリズム
60,61,62…レンズ
63,64,65…液晶パネル
70…光送受信モジュール
71…光ファイバー
71a…光ファイバーの一方端
72…波長選択フィルタ
73…発光素子
74…レンズ
75…受光素子

Claims (11)

  1. 4つの(メタ)アクリロイル基を有するフルオレン化合物と、アリール基を有する(メタ)アクリレートとを含むこと特徴とする光学ポリマー材料。
  2. 前記アリール基を含む(メタ)アクリレートとして、(メタ)アクリロイル基、−M−O−M−結合(Mは金属原子)及びアリール基を有する有機金属重合体を含むこと特徴とする請求項1に記載の光学ポリマー材料。
  3. 前記アリール基を含む(メタ)アクリレートとして、フェニルフェノール基を有する(メタ)アクリレートを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光学ポリマー材料。
  4. 単官能(メタ)アクリレート及び/または多官能(メタ)アクリレートをさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学ポリマー材料。
  5. 前記フルオレン化合物の含有量が40〜70重量%であり、前記アリール基を有する(メタ)アクリレートの含有量が10〜60重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学ポリマー材料。
  6. 前記有機金属重合体の含有量が10〜30重量%であること特徴とする請求項2に記載の光学ポリマー材料。
  7. 前記単官能基(メタ)アクリレートの含有量が25重量%以下であり、前記多官能(メタ)アクリレートの含有量が15重量%以下であることを特徴とする請求項4に記載の光学ポリマー材料。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学ポリマー材料を硬化させて光透過領域を形成したことを特徴とする光学部品。
  9. 透光性の部材の上に、前記光透過領域を形成した複合型光学素子であることを特徴とする請求項8に記載の光学部品。
  10. 前記透光性の部材がプラスチックからなり、前記光透過領域の上に金属酸化物からなるコーティング層を設けたことを特徴とする請求項9に記載の光学部品。
  11. 請求項8〜10のいずれか1項に記載の光学部品を備えることを特徴とする光学装置。
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