JP6273063B1 - 光学フィルタ及び撮像装置 - Google Patents

光学フィルタ及び撮像装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6273063B1
JP6273063B1 JP2017193904A JP2017193904A JP6273063B1 JP 6273063 B1 JP6273063 B1 JP 6273063B1 JP 2017193904 A JP2017193904 A JP 2017193904A JP 2017193904 A JP2017193904 A JP 2017193904A JP 6273063 B1 JP6273063 B1 JP 6273063B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wavelength
optical filter
light
transmittance
incident angle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017193904A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019066742A (ja
Inventor
智孝 高城
智孝 高城
新毛 勝秀
勝秀 新毛
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Sheet Glass Co Ltd filed Critical Nippon Sheet Glass Co Ltd
Priority to JP2017193904A priority Critical patent/JP6273063B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6273063B1 publication Critical patent/JP6273063B1/ja
Priority to US16/753,283 priority patent/US11428857B2/en
Priority to PCT/JP2018/034695 priority patent/WO2019069687A1/ja
Priority to KR1020207010315A priority patent/KR102540605B1/ko
Priority to CN201880064475.3A priority patent/CN111164469B/zh
Priority to TW107133413A priority patent/TWI762722B/zh
Publication of JP2019066742A publication Critical patent/JP2019066742A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/20Filters
    • G02B5/22Absorbing filters
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/20Filters
    • G02B5/28Interference filters
    • G02B5/281Interference filters designed for the infrared light
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B7/00Layered products characterised by the relation between layers; Layered products characterised by the relative orientation of features between layers, or by the relative values of a measurable parameter between layers, i.e. products comprising layers having different physical, chemical or physicochemical properties; Layered products characterised by the interconnection of layers
    • B32B7/02Physical, chemical or physicochemical properties
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/10Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
    • G02B1/11Anti-reflection coatings
    • G02B1/113Anti-reflection coatings using inorganic layer materials only
    • G02B1/115Multilayers
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/20Filters
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/20Filters
    • G02B5/208Filters for use with infrared or ultraviolet radiation, e.g. for separating visible light from infrared and/or ultraviolet radiation
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/20Filters
    • G02B5/22Absorbing filters
    • G02B5/223Absorbing filters containing organic substances, e.g. dyes, inks or pigments
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04NPICTORIAL COMMUNICATION, e.g. TELEVISION
    • H04N23/00Cameras or camera modules comprising electronic image sensors; Control thereof
    • H04N23/10Cameras or camera modules comprising electronic image sensors; Control thereof for generating image signals from different wavelengths
    • H04N23/12Cameras or camera modules comprising electronic image sensors; Control thereof for generating image signals from different wavelengths with one sensor only
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03BAPPARATUS OR ARRANGEMENTS FOR TAKING PHOTOGRAPHS OR FOR PROJECTING OR VIEWING THEM; APPARATUS OR ARRANGEMENTS EMPLOYING ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ACCESSORIES THEREFOR
    • G03B11/00Filters or other obturators specially adapted for photographic purposes

Abstract

【課題】撮像装置によって生成される画像に色むらが発生することを防止するのに有利な光学フィルタを提供する。【解決手段】光学フィルタ(1a)は、光吸収層(10)を備える。光吸収層は、近赤外線領域の少なくとも一部の光を吸収する。光学フィルタ(1a)は、0°、30°、及び40°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を当該光学フィルタに入射させたときに、透過率に関する所定の条件を満たす。また、0°、30°、及び40°から選ばれる2つの入射角度θ1°及びθ2°(θ1<θ2)に対して定義されるIEθ1/θ2CR、IEθ1/θ2CG、及びIEθ1/θ2CB及び同一の2つの入射角度θ1°及びθ2°に対するIEθ1/θ2CR、IEθ1/θ2CG、及びIEθ1/θ2CBの最大値から最小値を差し引いた差であるレンジが所定の条件を満たす。【選択図】図1A

Description

本発明は、光学フィルタ及び撮像装置に関する。
従来、近赤外線カットフィルタ等の光学フィルタを備えた撮像装置が知られている。例えば、特許文献1には、ガラス板基板の少なくとも片面に近赤外線吸収剤を含有する樹脂層を有する積層板を含む近赤外線カットフィルタが記載されている。例えば、この近赤外線カットフィルタは、積層板の少なくとも片面に誘電体多層膜を有する。この近赤外線カットフィルタにおいて、波長の値(Ya)と、波長の値(Yb)との差の絶対値|Ya−Yb|が15nm未満である。波長の値(Ya)は、波長560〜800nmの範囲において、近赤外線カットフィルタの垂直方向から測定した場合の透過率が50%となる波長の値である。波長の値(Yb)は、波長560〜800nmの範囲において、近赤外線カットフィルタの垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の透過率が50%となる波長の値である。このように、特許文献1によれば、近赤外線カットフィルタにおける透過特性の角度依存性が小さく調節されている。
特許文献2には、近赤外線吸収ガラス基材と、近赤外線吸収層と、誘電体多層膜とを備えた、近赤外線カットフィルタが記載されている。近赤外線吸収層は、近赤外線吸収色素及び透明樹脂を含有している。特許文献2には、この近赤外線カットフィルタと、固体撮像素子とを備えた固体撮像装置が記載されている。特許文献2によれば、近赤外線吸収ガラス基材と、近赤外線吸収層とを積層することにより、誘電体多層膜が本来的に有する、光の入射角度によって遮蔽波長がシフトする角度依存性の影響をほぼ排除できる。例えば、特許文献2において、近赤外線カットフィルタにおける入射角0°のときの透過率(T0)及び入射角30°のときの透過率(T30)が測定されている。
特許文献3及び4には、誘電体基板と、赤外線反射層と、赤外線吸収層とを備えた赤外線カットフィルタが記載されている。赤外線反射層は、誘電体多層膜で形成されている。赤外線吸収層は、赤外線吸収色素を含有している。特許文献3及び4には、この赤外線カットフィルタを備えた撮像装置が記載されている。特許文献3及び4には、光の入射角度が0°、25°、及び35°である場合の赤外線カットフィルタの透過率スペクトルが記載されている。
特許文献5には、吸収層と、反射層とを備え、所定の要件を満たす近赤外線カットフィルタが記載されている。例えば、この近赤外線カットフィルタにおいて、入射角0°の分光透過率曲線における波長600〜725nmの光の透過率の積分値T0(600-725)と、入射角30°の分光透過率曲線における波長600〜725nmの光の透過率の積分値T30(600-725)との差|T0(600-725)−T30(600-725)|が3%・nm以下である。特許文献5には、この近赤外線カットフィルタを備えた撮像装置も記載されている。
特許文献6及び7には、光吸収層及び近赤外線反射層を含み、ΔE*≦1.5を満たす光学フィルタが記載されている。ΔE*は、光学フィルタに垂直に入射され光学フィルタを透過する光と、光学フィルタに垂直な方向から30°の角度で入射され光学フィルタを透過する光との色差である。光吸収層は、例えば、バインダー樹脂を備え、バインダー樹脂に光吸収剤が分散している。近赤外線反射層は、例えば、誘電体多層膜である。特許文献6及び7には、この光学フィルタを備えたカメラ等の撮像装置も記載されている。
特開2012−103340号公報 国際公開第2014/030628号 米国特許出願公開第2014/0300956号明細書 米国特許出願公開第2014/0063597号明細書 特許第6119920号公報 韓国登録特許第10−1474902号公報 韓国登録特許第10−1527822号公報
上記の特許文献では、光学フィルタへの光の入射角度が35°より大きい(例えば40°)場合の光学フィルタの特性について具体的に検討されていない。また、カメラなどの撮像装置は、R(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタを有するイメージセンサを搭載しているが、上記の特許文献では、これらのカラーフィルタの特性との適合性については検討されていない。そこで、本発明は、光の入射角度がより大きい場合においても撮像装置に搭載されるイメージセンサに用いられるカラーフィルタの特性に適合しやすく、カメラなどの撮像装置によって生成される画像に色むらが発生することを防止するのに有利な特性を有する光学フィルタを提供する。また、本発明は、この光学フィルタを備えた撮像装置を提供する。
本発明は、
光学フィルタであって、
近赤外線領域の少なくとも一部の光を吸収する光吸収剤を含有している光吸収層を備え、
0°、30°、及び40°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を当該光学フィルタに入射させたときに、下記の条件を満たし、
(i)波長700nmにおける分光透過率が3%以下である。
(ii)波長715nmにおける分光透過率が1%以下である。
(iii)波長1100nmにおける分光透過率が7.5%以下である。
(iv)波長700nm〜800nmにおける平均透過率が1%以下である。
(v)波長500nm〜600nmにおける平均透過率が85%以上である。
(vi)波長400nmにおける分光透過率が45%以下である。
(vii)波長450nmにおける分光透過率が80%以上である。
入射角度がθ°であるときの波長λにおける当該光学フィルタの分光透過率をTθ(λ)と表し、
波長400nm〜700nmの変域において表(I)によって定義される波長λの関数をR(λ)、G(λ)、及びB(λ)と表し、
0(λ)と、R(λ)、G(λ)、及びB(λ)との積である3つの関数において、最大値が1になるように正規化係数を定め、
θ(λ)と、R(λ)、G(λ)、及びB(λ)との積である関数に前記正規化係数を乗じて定まる関数をそれぞれCRθ(λ)、CGθ(λ)、及びCBθ(λ)と表し、
CRθ(λ)、CGθ(λ)、及びCBθ(λ)の変数である波長λを0以上の整数であるnの関数として、λ(n)=(Δλ×n+400)nmと表すとき(ただし、Δλ=5)、
0°、30°、及び40°から選ばれる2つの入射角度θ1°及びθ2°(θ1<θ2)に対して下記の式(1)〜(3)によって定義されるIEθ1/θ2 CR、IEθ1/θ2 CG、及びIEθ1/θ2 CB及び同一の2つの入射角度θ1°及びθ2°に対するIEθ1/θ2 CR、IEθ1/θ2 CG、及びIEθ1/θ2 CBの最大値から最小値を差し引いた差であるレンジが表(II)に示す条件を満たす、
光学フィルタを提供する。
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
また、本発明は、
レンズ系と、
前記レンズ系を通過した光を受光する撮像素子と、
前記撮像素子の前方に配置され、R(赤)、G(緑)、及びB(青)の3色のフィルタを有するカラーフィルタと、
前記カラーフィルタの前方に配置された上記の光学フィルタと、を備えた、
撮像装置を提供する。
上記の光学フィルタは、光の入射角度がより大きい場合でも、カメラなどの撮像装置に用いられるカラーフィルタの特性に適合しやすく、撮像装置によって生成される画像に色むらが発生することを防止するのに有利な特性を有する。また、上記の撮像装置において、光の入射角度がより大きい場合でも、生成される画像に色むらが発生しにくい。
図1Aは、本発明の光学フィルタの一例を示す断面図である。 図1Bは、本発明の光学フィルタの別の一例を示す断面図である。 図1Cは、本発明の光学フィルタのさらに別の一例を示す断面図である。 図1Dは、本発明の光学フィルタのさらに別の一例を示す断面図である。 図1Eは、本発明の光学フィルタのさらに別の一例を示す断面図である。 図1Fは、本発明の光学フィルタのさらに別の一例を示す断面図である。 図2は、R(λ)、G(λ)、及びB(λ)のグラフである。 図3は、本発明の撮像装置の一例を示す断面図である。 図4Aは、実施例1に係る光学フィルタの半製品の透過率スペクトルである。 図4Bは、実施例1に係る光学フィルタの別の半製品の透過率スペクトルである。 図4Cは、参考例1に係る積層体の透過率スペクトルである。 図4Dは、参考例2に係る積層体の透過率スペクトルである。 図4Eは、実施例1に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図5Aは、実施例1に係る光学フィルタの0°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図5Bは、実施例1に係る光学フィルタの30°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図5Cは、実施例1に係る光学フィルタの40°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図6Aは、実施例1に係る光学フィルタの0°及び30°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図6Bは、実施例1に係る光学フィルタの0°及び40°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図6Cは、実施例1に係る光学フィルタの30°及び40°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図7Aは、参考例3に係る積層体の透過率スペクトルである。 図7Bは、実施例2に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図8Aは、実施例2に係る光学フィルタの0°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図8Bは、実施例2に係る光学フィルタの30°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図8Cは、実施例2に係る光学フィルタの40°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図9Aは、実施例2に係る光学フィルタの0°及び30°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図9Bは、実施例2に係る光学フィルタの0°及び40°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図9Cは、実施例2に係る光学フィルタの30°及び40°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図10Aは、実施例3に係る光学フィルタの半製品の透過率スペクトルである。 図10Bは、実施例3に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図11Aは、実施例3に係る光学フィルタの0°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図11Bは、実施例3に係る光学フィルタの30°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図11Cは、実施例3に係る光学フィルタの40°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図12Aは、実施例3に係る光学フィルタの0°及び30°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図12Bは、実施例3に係る光学フィルタの0°及び40°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図12Cは、実施例3に係る光学フィルタの30°及び40°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図13Aは、参考例4に係る積層体の透過率スペクトルである。 図13Bは、実施例4に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図14Aは、実施例4に係る光学フィルタの0°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図14Bは、実施例4に係る光学フィルタの30°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図14Cは、実施例4に係る光学フィルタの40°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図15Aは、実施例4に係る光学フィルタの0°及び30°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図15Bは、実施例4に係る光学フィルタの0°及び40°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図15Cは、実施例4に係る光学フィルタの30°及び40°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図16は、実施例5に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図17Aは、実施例5に係る光学フィルタの0°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図17Bは、実施例5に係る光学フィルタの30°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図17Cは、実施例5に係る光学フィルタの40°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図18Aは、実施例5に係る光学フィルタの0°及び30°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図18Bは、実施例5に係る光学フィルタの0°及び40°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図18Cは、実施例5に係る光学フィルタの30°及び40°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図19Aは、実施例6に係る光学フィルタの半製品の透過率スペクトルである。 図19Bは、実施例6に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図20Aは、実施例6に係る光学フィルタの0°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図20Bは、実施例6に係る光学フィルタの30°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図20Cは、実施例6に係る光学フィルタの40°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図21Aは、実施例6に係る光学フィルタの0°及び30°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図21Bは、実施例6に係る光学フィルタの0°及び40°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図21Cは、実施例6に係る光学フィルタの30°及び40°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図22Aは、比較例1に係る光学フィルタの半製品の透過率スペクトルである。 図22Bは、参考例5に係る積層体の透過率スペクトルである。 図22Cは、比較例1に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図23Aは、比較例1に係る光学フィルタの0°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図23Bは、比較例1に係る光学フィルタの30°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図23Cは、比較例1に係る光学フィルタの40°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図24Aは、比較例1に係る光学フィルタの0°及び30°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図24Bは、比較例1に係る光学フィルタの0°及び40°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図24Cは、比較例1に係る光学フィルタの30°及び40°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図25Aは、比較例2に係る光学フィルタの赤外線吸収性ガラス基板の透過率スペクトルである。 図25Bは、参考例6に係る積層体の透過率スペクトルである。 図25Cは、参考例7に係る積層体の透過率スペクトルである。 図25Dは、比較例2に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図26Aは、比較例2に係る光学フィルタの0°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図26Bは、比較例2に係る光学フィルタの30°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図26Cは、比較例2に係る光学フィルタの40°の入射角度における正規化分光感度関数を示すグラフである。 図27Aは、比較例2に係る光学フィルタの0°及び30°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図27Bは、比較例2に係る光学フィルタの0°及び40°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。 図27Cは、比較例2に係る光学フィルタの30°及び40°の入射角度における正規化分光感度関数の差を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明は、本発明の一例に関するものであり、本発明はこれらによって限定されるものではない。
本発明者らは、光学フィルタに関する以下の検討によって得られた新たな知見に基づいて本発明に係る光学フィルタを案出した。
スマートフォン等の携帯情報端末に搭載されているカメラモジュール又は撮像装置には、可視光線以外の不要な光線を遮蔽する光学フィルタが配置されている。不要な光線を遮蔽するために光吸収層を備えた光学フィルタの使用が検討されている。特許文献1〜7に記載の光学フィルタのように、光吸収層を備えた光学フィルタは、多くの場合、誘電体多層膜によって構成された反射膜をさらに備えている。
誘電体多層膜によって構成された反射膜において、反射膜の各層の表面及び裏面で反射する光線の干渉によって透過する光線の波長帯及び反射する光線の波長帯が決まっている。光学フィルタには様々な入射角度から光線が入射しうる。光学フィルタへの光の入射角度によって反射膜における光路長が変わる。その結果、透過する光線及び反射する光線の波長帯が短波長側に変化する。そこで、光の入射角度によって光学フィルタの透過率の特性が大きく変動しないように、遮蔽すべき光線の波長帯と透過させるべき光線の波長帯との境界を光の吸収によって定め、誘電体多層膜によって反射させるべき光線の波長帯を透過させるべき光線の波長帯から離すことが考えられる。
特許文献1及び2では、光の入射角度が0°及び30°である場合の近赤外線カットフィルタにおける光の透過特性が評価されている。また、特許文献3及び4では、光の入射角度が0°、25°、及び35°である場合の赤外線カットフィルタの透過率スペクトルが評価されている。近年では、スマートフォン等の携帯情報端末に搭載されているカメラモジュールにおいてより広角な画角及び一層の低背化を実現することが求められている。このため、光学フィルタにおいて、光の入射角度がより大きい場合(例えば、40°)でも、透過する光線の波長帯及び光量が変化しにくいことが望ましい。
誘電体多層膜によって構成された反射膜を備えた光学フィルタにおいて、光の入射角度が大きいと、本来反射を抑制して高透過率を実現したい光線の波長帯において局所的に光の反射率が増加することがある。これにより、光学フィルタにおいて透過率が局所的に減少するリップルと呼ばれる不具合が生じる。例えば、光の入射角度が0°〜30°である場合にリップルが生じないように設計された光学フィルタであっても、光の入射角度が40°まで大きくなると、リップルが生じやすい。
透過する光線の波長帯と遮蔽される光線の波長帯との境界が光の入射角度の変動によってシフトすることと、リップルの発生とによって生じる影響を包括的に評価する指標は現時点では確立されていない。特許文献5に記載の技術によれば、透過させたい可視光線の波長帯と、反射又は吸収させたい近赤外線の波長帯との境界が光の入射角度の変動に対して安定している。しかし、特許文献5に記載の技術は、可視光線の波長帯と紫外線の波長帯との境界の入射角度の変動によるシフト及びリップルの発生の観点から改良の余地を有する。
特許文献6及び7によれば、色差ΔE*によって光学フィルタ単体の特性が特定されているが、光学フィルタが実際の撮像装置に適合することが保証されるわけではない。なぜなら、撮像装置に備えられているイメージセンサの各画素には、RGBのカラーフィルタが組み込まれており、センサの各画素が感知する光量は、不要な光線を遮蔽する光学フィルタの分光透過率とカラーフィルタの分光透過率との積に相関するためである。このため、光学フィルタは、撮像装置に使用されるカラーフィルタの特性と適合する特性を有していることが望ましい。
このような事情を踏まえて、光の入射角度がより大きい場合でも、撮像装置に用いられるカラーフィルタの特性に適合しやすい光学フィルタについて日夜検討を重ねた。加えて、撮像装置によって生成される画像に色むらが発生することを防止するのに有利な特性を有する光学フィルタについて日夜検討を重ねた。その結果、本発明者らは、本発明に係る光学フィルタを案出した。
本明細書において、「分光透過率」とは、特定の波長の入射光が試料等の物体に入射するときの透過率であり、「平均透過率」とは、所定の波長範囲内の分光透過率の平均値である。また、本明細書において、「透過率スペクトル」とは所定の波長範囲内の各波長における分光透過率を波長の順に並べたものである。
本明細書において、「IRカットオフ波長」とは、光学フィルタに波長300nm〜1200nmの光を、所定の入射角度で入射させたときに、600nm以上の波長範囲において50%の分光透過率を示す波長を意味する。「UVカットオフ波長」とは、光学フィルタに波長300nm〜1200nmの光を、所定の入射角度で入射させたときに、450nm以下の波長範囲において、50%の分光透過率を示す波長を意味する。
図1Aに示す通り、光学フィルタ1aは、光吸収層10を備えている。光吸収層10は、光吸収剤を含有しており、光吸収剤は、近赤外線領域の少なくとも一部の光を吸収する。光学フィルタ1aは、0°、30°、及び40°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を光学フィルタ1aに入射させたときに、下記の条件を満たす。
(i)波長700nmにおける分光透過率が3%以下である。
(ii)波長715nmにおける分光透過率が1%以下である。
(iii)波長1100nmにおける分光透過率が7.5%以下である。
(iv)波長700nm〜800nmにおける平均透過率が1%以下である。
(v)波長500nm〜600nmにおける平均透過率が85%以上である。
(vi)波長400nmにおける分光透過率が45%以下である。
(vii)波長450nmにおける分光透過率が80%以上である。
光学フィルタ1aは、上記の(i)〜(vii)の条件を満たすので、広角レンズが搭載されたカメラモジュール又は撮像装置に組み込まれても、明るさを損なうことなく不要な光線を遮蔽できる。
光の入射角度がθ°であるときの波長λにおける光学フィルタ1aの分光透過率をTθ(λ)と表す。波長400nm〜700nmの変域において下記の表(I)によって定義される波長λの関数をR(λ)、G(λ)、及びB(λ)と表す。T0(λ)と、R(λ)、G(λ)、及びB(λ)との積である3つの関数において、最大値が1になるように正規化係数を定める。Tθ(λ)と、R(λ)、G(λ)、及びB(λ)との積である関数に正規化係数を乗じて定まる関数をそれぞれCRθ(λ)、CGθ(λ)、及びCBθ(λ)と表す。本明細書において、CRθ(λ)、CGθ(λ)、及びCBθ(λ)を正規化分光感度関数とも呼ぶ。CRθ(λ)、CGθ(λ)、及びCBθ(λ)の変数である波長λを0以上の整数であるnの関数として、λ(n)=(Δλ×n+400)nmと表す(ただし、Δλ=5)。この場合、0°、30°、及び40°から選ばれる2つの入射角度θ1°及びθ2°(θ1<θ2)に対して下記の式(1)〜(3)によって定義されるIEθ1/θ2 CR、IEθ1/θ2 CG、及びIEθ1/θ2 CB及び同一の2つの入射角度θ1°及びθ2°に対するIEθ1/θ2 CR、IEθ1/θ2 CG、及びIEθ1/θ2 CBの最大値から最小値を差し引いた差であるレンジが表(II)に示す条件を満たす。
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
図2に、表(I)に示すR(λ)、G(λ)、又はB(λ)のグラフを示す。関数R(λ)、G(λ)、又はB(λ)は以下のように決定した。まず、10種類の市販のカラーイメージセンサ(以下、単に「イメージセンサ」という)を用意した。これらのイメージセンサは、CCD(Charge-Coupled Device)及びCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子と、R(赤)、G(緑)及びB(青)のカラーフィルタとを備えていた。各イメージセンサについて、R、G及びBに対応し、波長毎の感度スペクトルとしての分光感度特性が開示されていた。各イメージセンサについて、Rに対応した分光感度特性の最大値、Gに対応した分光感度特性の最大値、及びBに対応した分光感度特性の最大値のうち、相対的に最も大きい値を示すカラーフィルタ(の属性)を選択した。この選択されたカラーフィルタに対応した分光感度特性の最大値が1になるように係数を求め、該係数をRに対応した分光感度特性、Gに対応した分光感度特性、及びBに対応した分光感度特性に対して波長毎に乗じて正規化を行った。これらの作業を、用意した10種類のイメージセンサの分光感度特性に対して行い、各イメージセンサについて正規化がなされた分光感度特性を得た。次に、これら10種類の正規化がなされた分光感度特性について、Rに対応した分光感度特性、Gに対応した分光感度特性、及びBに対応した分光感度特性のそれぞれを波長毎に算術平均し、R、G、及びBのそれぞれに対応した平均的な分光感度特性を求めて関数R(λ)、G(λ)、及びB(λ)を決定した。
正規化分光感度関数CRθ(λ)、CGθ(λ)、及びCBθ(λ)は、光学フィルタ1aの分光透過率Tθ(λ)と、関数R(λ)、G(λ)、及びB(λ)との積に基づいてそれぞれ決定されている。光学フィルタへの光の入射角度θが0°の場合の分光透過率T0(λ)と表(I)に示すR(λ)との積によって求められた関数、T0(λ)とG(λ)との積によって求められた関数、及びT0(λ)とB(λ)との積によって求められた関数を算出し、それぞれの関数の最大値を求め、さらにそれらの値の中の最大値が1になるように係数(正規化係数)を決定した。さらに、その正規化係数を、分光透過率T0(λ)と表(I)に示すR(λ)との積から求められる関数に乗じて正規化分光感度関数CR0(λ)を求めた。同様にして正規化分光感度関数CG0(λ)及びCB0(λ)を求めた。同様に、光学フィルタへの光の入射角度がθ°であるときの光学フィルタの分光透過率Tθ(λ)と表(I)に示すR(λ)との積から求められる関数、Tθ(λ)とG(λ)との積から求められる関数、及びTθ(λ)とB(λ)との積から求められる関数のそれぞれに、上記の正規化係数を掛けて、光の入射角度がθ°であるときの正規化分光感度関数CRθ(λ)、CGθ(λ)、及びCBθ(λ)を求めた。ここで、分光透過率Tθ(λ)及び他の関数同士の積は、特段の断りのない限りそれらを波長毎に掛けあわせて求める。このため、正規化分光感度関数CRθ(λ)、CGθ(λ)、及びCBθ(λ)は、光学フィルタ1aの特性のみでなく、カメラのカラーフィルタの特性をも考慮された関数といえる。カメラの撮像素子の中央に入射する主光線の入射角度は0°に近く、撮像素子の周辺部に入射する主光線の入射角度は大きい。光の入射角度によって正規化分光感度関数の曲線の形状が変化すると、撮像装置によって生成された画像を表示又は印刷する場合に色合いが変化する。このため、撮像装置によって撮影した画像を表示又は印刷する場合に、同じ色であるはずの被写体の色が中心部から周辺部に向かって変化し、色むらとして認識されうる。光の入射角度の0°から40°の変化及び光の入射角度の0°から30°の変化に対応する画像の領域に比べて、光の入射角度の30°から40°の変化に対応する画像の領域は狭く、この領域において色むらがより認識されやすい。このため、光の入射角度が変化しても、正規化分光感度関数の曲線の形状の変化が小さければ、撮像装置によって生成される画像に色むらが発生することを防止できる。光学フィルタ1aは、表(II)に示す条件を満たすので、光の入射角度が変化しても、正規化分光感度関数の曲線の形状の変化が小さく、撮像装置がこのような光学フィルタ1aを備えることによって、撮像装置によって生成される画像に色むらが発生することを防止できる。
式(1)〜(3)に示す通り、IEθ1/θ2 CR、IEθ1/θ2 CG、及びIEθ1/θ2 CBは、400nm〜700nmの波長範囲において、0°及び30°から選ばれる入射角度θ1°における正規化分光感度関数から30°及び40°から選ばれる入射角度θ2°(θ1<θ2)における正規化分光感度関数を差し引いた差を積分して定まる。このため、IEθ1/θ2 CR、IEθ1/θ2 CG、及びIEθ1/θ2 CBを参照することにより、光の入射角度の変動よる正規化分光感度関数の曲線の形状変化を定量的に評価できる。
撮像装置によって撮影された画像を表示又は印刷する場合、明度又は色再現性を最適化するためになされる補正は画素毎に行われるので、分光感度の実際の値は、直接的にはこの補正に関係しない。このため、上記の通り、正規化分光感度関数CRθ(λ)、CGθ(λ)、及びCBθ(λ)に基づいて、異なる入射角度に対する関数同士を比較することで、光学フィルタ1aの特性を適切に特定できる。なお、撮像素子の各画素への主光線の入射角度は予測可能であるので、その入射角度に応じて撮像装置によって撮影された画像を補正して表示又は印刷することも考えられる。
光学フィルタ1aにおいて、望ましくは、0°、30°、及び40°から選ばれる2つの入射角度θ1°及びθ2°(θ1<θ2)に対して下記の式(4)〜(6)によって定義されるIAEθ1/θ2 CR、IAEθ1/θ2 CG、及びIAEθ1/θ2 CB及び同一の2つの入射角度θ1°及びθ2°に対するIAEθ1/θ2 CR、IAEθ1/θ2 CG、及びIAEθ1/θ2 CBの最大値から最小値を差し引いた差であるレンジが表(III)に示す条件を満たす。
Figure 0006273063
Figure 0006273063
式(4)〜(6)に示す通り、IAEθ1/θ2 CR、IAEθ1/θ2 CG、及びIAEθ1/θ2 CBは、400nm〜700nmの波長範囲において、0°及び30°から選ばれる入射角度θ1°における正規化分光感度関数から30°及び40°から選ばれる入射角度θ2°(θ1<θ2)における正規化分光感度関数を差し引いた差の絶対値を積分して定まる。IEθ1/θ2 CR、IEθ1/θ2 CG、及びIEθ1/θ2 CBによる評価のみでは、入射角度θ1°における正規化分光感度関数から入射角度θ2°における正規化分光感度関数を差し引いた差が負である波長帯における積算値がその差が正である別の波長帯における積算値によって相殺される可能性があり、光学フィルタの特性を適切に特定することが難しい場合もあり得る。しかし、光学フィルタ1aが、表(III)に示す条件を満たすことにより、より確実に、光の入射角度が変化しても、正規化分光感度関数の曲線の形状の変化が小さく、撮像装置がこのような光学フィルタ1aを備えることによって、撮像装置によって生成される画像に色むらが発生することをより効果的に防止できる。このように、IAEθ1/θ2 CR、IAEθ1/θ2 CG、及びIAEθ1/θ2 CBを用いてより適切に光学フィルタ1aを評価できる。
光学フィルタ1aにおいて、例えば、0°、30°、及び40°から選ばれる2つの入射角度θ1°及びθ2°(θ1<θ2)に対して下記の式(7)〜(9)によって定義されるISEθ1/θ2 CR、ISEθ1/θ2 CG、及びISEθ1/θ2 CB及び同一の2つの入射角度θ1°及びθ2°に対するISEθ1/θ2 CR、ISEθ1/θ2 CG、及びISEθ1/θ2 CBの最大値から最小値を差し引いた差であるレンジが表(IV)に示す条件を満たす。
Figure 0006273063
Figure 0006273063
式(7)〜(9)に示す通り、ISEθ1/θ2 CR、ISEθ1/θ2 CG、及びISEθ1/θ2 CBは、400nm〜700nmの波長範囲において、0°及び30°から選ばれる入射角度θ1°における正規化分光感度関数から30°及び40°から選ばれる入射角度θ2°(θ1<θ2)における正規化分光感度関数を差し引いた差の二乗値を積分して定まる。上記の通り、IEθ1/θ2 CR、IEθ1/θ2 CG、及びIEθ1/θ2 CBによる評価のみでは、光学フィルタの特性を適切に特定することが難しい場合もあり得る。しかし、光学フィルタ1aが、表(IV)に示す条件を満たすことにより、より確実に、光の入射角度が変化しても、正規化分光感度関数の曲線の形状の変化が小さく、撮像装置がこのような光学フィルタ1aを備えることによって、撮像装置によって生成される画像に色むらが発生することをさらに効果的に防止できる。このように、ISEθ1/θ2 CR、ISEθ1/θ2 CG、及びISEθ1/θ2 CBを用いてより適切に光学フィルタ1aを評価できる。
光吸収層10に含有されている光吸収剤は、近赤外線領域の少なくとも一部の光を吸収し、光学フィルタ1aが上記の(i)〜(vii)の条件を満たし、かつ、表(II)に示す条件が満たされる限り特に制限されない。光吸収剤は、例えば、ホスホン酸と銅イオンとによって形成されている。この場合、光吸収層10によって、近赤外線領域及び近赤外線領域に隣接する可視光領域の広い波長帯において光を吸収できる。このため、光学フィルタ1aが反射膜を備えていなくても所望の特性を発揮できる。また、光学フィルタ1aが反射膜を備える場合でも、その反射膜によって反射される光線の波長帯が透過すべき光線の波長帯から十分に離れるように光学フィルタ1aを設計できる。例えば、反射膜によって反射される光線の波長帯を、波長の増加に伴い透過率が急激に減少する遷移領域の波長帯から100nm以上長い波長帯に設定できる。これにより、光の入射角度が大きく、反射膜によって反射される光線の波長帯が短波長側にシフトしても、光吸収層10によって吸収される光線の波長帯に重なり、光学フィルタ1aの遷移領域における透過率特性が光の入射角度の変化に対して変動しにくい。加えて、光吸収層10によって、紫外線領域の波長帯の広い範囲で光を吸収できる。
光吸収層10がホスホン酸と銅イオンとによって形成された光吸収剤を含む場合、そのホスホン酸は、例えば、アリール基を有する第一ホスホン酸を含む。第一ホスホン酸においてアリール基はリン原子に結合している。これにより、光学フィルタ1aにおいて上記の条件が満たされやすい。
第一ホスホン酸が有するアリール基は、例えば、フェニル基、ベンジル基、トルイル基、ニトロフェニル基、ヒドロキシフェニル基、フェニル基における少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子に置換されているハロゲン化フェニル基、又はベンジル基のベンゼン環における少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子に置換されているハロゲン化ベンジル基である。
光吸収層10がホスホン酸と銅イオンとによって形成された光吸収剤を含む場合、そのホスホン酸は、望ましくは、さらに、アルキル基を有する第二ホスホン酸を含む。第二ホスホン酸において、アルキル基はリン原子に結合している。
第二ホスホン酸が有するアルキル基は、例えば、6個以下の炭素原子を有するアルキル基である。このアルキル基は、直鎖及び分岐鎖のいずれを有していてもよい。
光吸収層10がホスホン酸と銅イオンとによって形成された光吸収剤を含む場合、光吸収層10は、望ましくは、光吸収剤を分散させるリン酸エステルと、マトリクス樹脂とをさらに含む。
光吸収層10に含有されているリン酸エステルは、光吸収剤を適切に分散できる限り特に制限されないが、例えば、下記式(c1)で表されるリン酸ジエステル及び下記式(c2)で表されるリン酸モノエステルの少なくとも一方を含む。下記式(c1)及び下記式(c2)において、R21、R22、及びR3は、それぞれ、−(CH2CH2O)nR4で表される1価の官能基であり、nは、1〜25の整数であり、R4は、炭素数6〜25のアルキル基を示す。R21、R22、及びR3は、互いに同一又は異なる種類の官能基である。
Figure 0006273063
リン酸エステルは、特に制限されないが、例えば、プライサーフA208N:ポリオキシエチレンアルキル(C12、C13)エーテルリン酸エステル、プライサーフA208F:ポリオキシエチレンアルキル(C8)エーテルリン酸エステル、プライサーフA208B:ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、プライサーフA219B:ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、プライサーフAL:ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル、プライサーフA212C:ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、又はプライサーフA215C:ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステルであり得る。これらはいずれも第一工業製薬社製の製品である。また、リン酸エステルは、NIKKOL DDP−2:ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、NIKKOL DDP−4:ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、又はNIKKOL DDP−6:ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルであり得る。これらは、いずれも日光ケミカルズ社製の製品である。
光吸収層10に含まれるマトリクス樹脂は、例えば、光吸収剤を分散させることができ、熱硬化又は紫外線硬化が可能な樹脂である。さらに、マトリクス樹脂として、その樹脂によって0.1mmの樹脂層を形成した場合に、その樹脂層の波長350nm〜900nmの光に対する透過率が例えば80%以上であり、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上である樹脂を用いることができるが、光学フィルタ1aにおいて上記の(i)〜(vii)の条件及び表(II)に示す条件が満たされる限り、特に制限されない。光吸収層10におけるホスホン酸の含有量は、例えば、マトリクス樹脂100質量部に対して3〜180質量部である。
光吸収層10に含まれるマトリクス樹脂は、上記の特性を満足する限り特に限定されないが、例えば(ポリ)オレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、(変性)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、又はシリコーン樹脂である。マトリクス樹脂は、フェニル基等のアリール基を含んでいてもよく、望ましくはフェニル基等のアリール基を含んでいるシリコーン樹脂である。光吸収層10が硬い(リジッドである)と、その光吸収層10の厚みが増すにつれて、光学フィルタ1aの製造工程中に硬化収縮によりクラックが生じやすい。マトリクス樹脂がアリール基を含むシリコーン樹脂であると光吸収層10が良好な耐クラック性を有しやすい。また、アリール基を含むシリコーン樹脂を用いると、上記のホスホン酸と銅イオンとによって形成された光吸収剤を含有する場合に光吸収剤が凝集しにくい。さらに、光吸収層10のマトリクス樹脂がアリール基を含むシリコーン樹脂である場合に、光吸収層10に含まれるリン酸エステルが式(c1)又は式(c2)で表されるリン酸エステルのようにオキシアルキル基等の柔軟性を有する直鎖有機官能基を有することが望ましい。なぜなら、上記のホスホン酸と、アリール基を含むシリコーン樹脂と、オキシアルキル基等の直鎖有機官能基を有するリン酸エステルとの組合せに基づく相互作用により、光吸収剤が凝集しにくく、かつ、光吸収層に良好な剛性及び良好な柔軟性をもたらすことができるからである。マトリクス樹脂として使用されるシリコーン樹脂の具体例としては、KR−255、KR−300、KR−2621−1、KR−211、KR−311、KR−216、KR−212、及びKR−251を挙げることができる。これらはいずれも信越化学工業社製のシリコーン樹脂である。
図1Aに示す通り、光学フィルタ1aは、例えば透明誘電体基板20をさらに備えている。透明誘電体基板20の一方の主面は光吸収層10に覆われている。透明誘電体基板20の特性は、光学フィルタ1aにおいて上記の(i)〜(vii)の条件及び表(II)に示す条件が満たされる限り、特に制限されない。透明誘電体基板20は、例えば、450nm〜600nmにおいて高い平均透過率(例えば、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上)を有する誘電体基板である。
透明誘電体基板20は、例えば、ガラス製又は樹脂製である。透明誘電体基板20がガラス製である場合、そのガラスは、例えば、D263T eco等のホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス(青板)、B270等の白板ガラス、無アルカリガラス、又は銅を含有しているリン酸塩ガラス若しくは銅を含有しているフツリン酸塩ガラス等の赤外線吸収性ガラスである。透明誘電体基板20が、銅を含有しているリン酸塩ガラス又は銅を含有しているフツリン酸塩ガラス等の赤外線吸収性ガラスである場合、透明誘電体基板20が有する赤外線吸収性能と光吸収層10が有する赤外線吸収性能との組み合わせによって光学フィルタ1aに所望の赤外線吸収性能をもたらすことができる。このような赤外線吸収性ガラスは、例えば、SCHOTT社製のBG−60、BG−61、BG−62、BG−63、若しくはBG−67であり、日本電気硝子社製の500EXLであり、又はHOYA社製のCM5000、CM500、C5000、若しくはC500Sである。また、透明誘電体基板20は紫外線吸収特性を有していてもよい。
透明誘電体基板20は、酸化マグネシウム、サファイア、又は石英などの透明性を有する結晶性の基板であってもよい。例えば、サファイアは高硬度であるので、傷がつきにくい。このため、板状のサファイアは、耐擦傷性の保護材料(プロテクトフィルタ又はカバーガラスと呼ばれることもある)として、スマートフォン及び携帯電話等の携帯端末に備えられているカメラモジュール又はレンズの前面に配置される場合がある。このような板状のサファイア上に光吸収層10が形成されることにより、カメラモジュール及びレンズの保護とともに、波長650nm〜1100nmの光を効果的にカットできる。波長650nm〜1100nmの赤外線の遮蔽性を備える光学フィルタをCCD(Charge-Coupled Device)センサ及びCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの撮像素子の周辺又はカメラモジュールの内部に配置する必要がなくなる。このため、板状のサファイア上に光吸収層10を形成すれば、カメラモジュール又は撮像装置の低背化に貢献できる。
透明誘電体基板20が樹脂製である場合、その樹脂は、例えば、(ポリ)オレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、(変性)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、又はシリコーン樹脂である。
光学フィルタ1aは、例えば、光吸収層10を形成するためのコーティング液を透明誘電体基板20の一方の主面に塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥させることによって製造できる。光吸収層10が、ホスホン酸と銅イオンとによって形成された光吸収剤を含む場合を例に、コーティング液の調製方法及び光学フィルタ1aの製造方法を説明する。
まず、コーティング液の調製方法の一例を説明する。酢酸銅一水和物などの銅塩をテトラヒドロフラン(THF)などの所定の溶媒に添加して撹拌し、銅塩の溶液を得る。次に、この銅塩の溶液に、式(c1)で表されるリン酸ジエステル又は式(c2)で表されるリン酸モノエステルなどのリン酸エステル化合物を加えて撹拌し、A液を調製する。また、第一ホスホン酸をTHFなどの所定の溶媒に加えて撹拌し、B液を調製する。次に、A液を撹拌しながら、A液にB液を加えて所定時間撹拌する。次に、この溶液にトルエンなどの所定の溶媒を加えて撹拌し、C液を得る。次に、C液を加温しながら所定時間脱溶媒処理を行って、D液を得る。これにより、THFなどの溶媒及び酢酸(沸点:約118℃)などの銅塩の解離により発生する成分が除去され、第一ホスホン酸と銅イオンとによって光吸収剤が生成される。C液を加温する温度は、銅塩から解離した除去されるべき成分の沸点に基づいて定められている。なお、脱溶媒処理においては、C液を得るために用いたトルエン(沸点:約110℃)などの溶媒も揮発する。この溶媒は、コーティング液においてある程度残留していることが望ましいので、この観点から溶媒の添加量及び脱溶媒処理の時間が定められているとよい。なお、C液を得るためにトルエンに代えてo‐キシレン(沸点:約144℃)を用いることもできる。この場合、o‐キシレンの沸点はトルエンの沸点よりも高いので、添加量をトルエンの添加量の4分の1程度に低減できる。D液にシリコーン樹脂等のマトリクス樹脂を加えて撹拌しコーティング液を調製できる。
コーティング液を透明誘電体基板20の一方の主面に塗布して塗膜を形成する。例えば、コーティング液をダイコーティング、スピンコーティング、又はディスペンサによる塗布により、透明誘電体基板20の一方の主面に塗布して塗膜を形成する。次に、この塗膜に対して所定の加熱処理を行って塗膜を硬化させる。例えば、50℃〜200℃の温度の環境に所定時間この塗膜を曝す。
光学フィルタ1aにおいて、光吸収層10は、単一の層として形成されていてもよいし、複数の層として形成されていてもよい。光吸収層10が複数の層として形成されている場合、光吸収層10は、例えば、第一ホスホン酸と銅イオンとによって形成された光吸収剤を含有している第一層と、第二ホスホン酸と銅イオンとによって形成された光吸収剤を含有している第二層とを有する。この場合、第一層を形成するためのコーティング液は上記の通り調製できる。一方、第二層は、第一層を形成するためのコーティング液とは別に調製されたコーティング液を用いて形成される。第二層を形成するためのコーティング液は、例えば、以下のように調製できる。
酢酸銅一水和物などの銅塩をテトラヒドロフラン(THF)などの所定の溶媒に添加して撹拌し、銅塩の溶液を得る。次に、この銅塩の溶液に、式(c1)で表されるリン酸ジエステル又は式(c2)で表されるリン酸モノエステルなどのリン酸エステル化合物を加えて撹拌し、E液を調製する。また、第二ホスホン酸をTHFなどの所定の溶媒に加えて撹拌し、F液を調製する。次に、E液を撹拌しながら、E液にF液を加えて所定時間撹拌する。次に、この溶液にトルエンなどの所定の溶媒を加えて撹拌し、さらに溶媒を揮発させてG液を得る。次に、G液にシリコーン樹脂等のマトリクス樹脂を加えて撹拌し、第二層を形成するためのコーティング液が得られる。
第一層を形成するためのコーティング液及び第二層を形成するためのコーティング液を塗布して塗膜を形成し、この塗膜に対して所定の加熱処理を行って塗膜を硬化させることにより、第一層及び第二層を形成できる。例えば、50℃〜200℃の温度の環境に所定時間この塗膜を曝す。第一層及び第二層を形成する順序は特に制限されず、第一層及び第二層は異なる期間に形成されてもよいし、同一の期間に形成されてもよい。また、第一層と第二層との間には、保護層が形成されてもよい。保護層は、例えばSiO2の蒸着膜によって形成されている。
<変形例>
光学フィルタ1aは、様々な観点から変更可能である。例えば、光学フィルタ1aは、図1B〜図1Fに示す光学フィルタ1b〜1fにそれぞれ変更されてもよい。光学フィルタ1b〜1fは、特に説明する場合を除き、光学フィルタ1aと同様に構成されている。光学フィルタ1aの構成要素と同一又は対応する光学フィルタ1b〜1fの構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。光学フィルタ1aに関する説明は、技術的に矛盾しない限り光学フィルタ1b〜1fにも当てはまる。
図1Bに示す通り、光学フィルタ1bにおいて、透明誘電体基板20の両方の主面上に光吸収層10が形成されている。これにより、1つの光吸収層10によってではなく、2つの光吸収層10によって、上記の(i)〜(vii)の条件及び表(II)に示す条件が満たされる。透明誘電体基板20の両方の主面上における光吸収層10の厚みは同一であってもよいし、異なっていてもよい。すなわち、光学フィルタ1bが所望の光学特性を得るために必要な光吸収層10の厚みが均等に又は不均等に分配されるように、透明誘電体基板20の両方の主面上に光吸収層10が形成されている。これにより、光学フィルタ1bの透明誘電体基板20の一方の主面上に形成された各光吸収層10の厚みは、光学フィルタ1aのそれより小さい。透明誘電体基板20の両方の主面上に光吸収層10が形成されていることにより、透明誘電体基板20が薄い場合でも、光学フィルタ1bにおいて反りが抑制される。2つの光吸収層10のそれぞれは、複数の層として形成されていてもよい。
図1Cに示す通り、光学フィルタ1cにおいて、透明誘電体基板20の両方の主面上に光吸収層10が形成されている。加えて、光学フィルタ1cは、反射防止膜30を備えている。反射防止膜30は、光学フィルタ1cと空気との界面をなすように形成された、可視光領域の光の反射を低減するための膜である。反射防止膜30は、例えば、樹脂、酸化物、及びフッ化物等の誘電体によって形成された膜である。反射防止膜30は、屈折率の異なる二種類以上の誘電体を積層して形成された多層膜であってもよい。特に、反射防止膜30は、SiO2等の低屈折率材料とTiO2又はTa25等の高屈折率材料とからなる誘電体多層膜であってもよい。この場合、光学フィルタ1cと空気との界面におけるフレネル反射が低減され、光学フィルタ1cの可視光領域の光量を増大させることができる。反射防止膜30は、光学フィルタ1cの両面に形成されていてもよいし、光学フィルタ1cの片面に形成されていてもよい。
図1Dに示す通り、光学フィルタ1dにおいて、透明誘電体基板20の両方の主面上に光吸収層10が形成されている。加えて、光学フィルタ1dは、反射膜40をさらに備えている。反射膜40は、赤外線及び/又は紫外線を反射する。反射膜40は、例えば、アルミニウム等の金属を蒸着することにより形成された膜、又は、高屈折率材料からなる層と低屈折率材料からなる層とが交互に積層された誘電体多層膜である。高屈折率材料としてはTiO2、ZrO2、Ta25、Nb25、ZnO、及びIn23等の1.7〜2.5の屈折率を有する材料が用いられる。低屈折率材料としては、SiO2、Al23、及びMgF2等の1.2〜1.6の屈折率を有する材料が用いられる。誘電体多層膜を形成する方法は、例えば、化学気相成長(CVD)法、スパッタ法、又は真空蒸着法である。また、このような反射膜が光学フィルタの両方の主面をなすように形成されてもよい(図示省略)。光学フィルタの両方の主面に反射膜が形成されていると、光学フィルタの表裏両面で応力がバランスし、光学フィルタが反りにくいというメリットが得られる。
図1Eに示す通り、光学フィルタ1eは、光吸収層10のみによって構成されている。光学フィルタ1eは、例えば、ガラス基板、樹脂基板、金属基板(例えば、スチール基板又はステンレス基板)等の所定の基板にコーティング液を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を硬化させた後に基板から剥離させることによって製造できる。光学フィルタ1eは、キャスト法によって製造されてもよい。光学フィルタ1eは、透明誘電体基板20を備えていないので薄い。このため、光学フィルタ1eは、撮像装置の低背化に貢献できる。
図1Fに示す通り、光学フィルタ1fは、光吸収層10と、その両面に配置された一対の反射防止膜30とを備えている。この場合、光学フィルタ1fは、撮像装置の低背化に貢献でき、かつ、光学フィルタ1eに比べて可視光領域の光量を増大させることができる。
光学フィルタ1a〜1fは、それぞれ、必要に応じて、光吸収層10とは別に、赤外線吸収層(図示省略)を備えるように変更されてもよい。赤外線吸収層は、例えば、シアニン系、フタロシアニン系、スクアリリウム系、ジインモニウム系、及びアゾ系等の有機系の赤外線吸収剤又は金属錯体からなる赤外線吸収剤を含有している。赤外線吸収層は、例えば、これらの赤外線吸収剤から選ばれる1つ又は複数の赤外線吸収剤を含有している。この有機系の赤外線吸収剤は、吸収可能な光の波長範囲(吸収バンド)が小さく、特定の範囲の波長の光を吸収するのに適している。
光学フィルタ1a〜1fは、それぞれ、必要に応じて、光吸収層10とは別に、紫外線吸収層(図示省略)を備えるように変更されてもよい。紫外線吸収層は、例えば、ベンゾフェノン系、トリアジン系、インドール系、メロシアニン系、及びオキサゾール系等の紫外線吸収剤を含有している。紫外線吸収層は、例えば、これらの紫外線吸収剤から選ばれる1つ又は複数の紫外線吸収剤を含有している。これらの紫外線吸収剤は、例えば300nm〜340nm付近の紫外線を吸収し、吸収した波長よりも長い波長の光(蛍光)を発し、蛍光剤又は蛍光増白剤として機能するものも含まれうるが、紫外線吸収層により、樹脂等の光学フィルタに使用されている材料の劣化をもたらす紫外線の入射を低減できる。
上記の赤外線吸収剤及び/又は紫外線吸収剤を、樹脂製の透明誘電体基板20に予め含有させて、赤外線及び/又は紫外線を吸収する特性を有する基板を形成してもよい。この場合、樹脂は、赤外線吸収剤及び/又は紫外線吸収剤を適切に溶解又は分散させることができ、かつ、透明であることが必要である。このような樹脂として、(ポリ)オレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、(変性)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、及びシリコーン樹脂を例示できる。
図3に示す通り、光学フィルタ1aは、例えば、撮像装置100(カメラモジュール)を製造するのに使用される。撮像装置100は、レンズ系2と、撮像素子4と、カラーフィルタ3と、光学フィルタ1aとを備えている。撮像素子4は、レンズ系2を通過した光を受光する。カラーフィルタ3は、撮像素子4の前方に配置され、R(赤)、G(緑)、及びB(青)の3色のフィルタを有する。光学フィルタ1aは、カラーフィルタ3の前方に配置されている。特に、光吸収層10は、透明誘電体基板20のレンズ系2に近い面に接して形成されている。前述したように透明誘電体基板20にサファイアなどの高硬度の材料を用いることにより、レンズ系2又は撮像素子4を保護する効果が増大する。例えば、カラーフィルタ3においてR(赤)、G(緑)、及びB(青)の3色のフィルタがマトリクス状に配置されており、撮像素子4の各画素の真上にR(赤)、G(緑)、及びB(青)のいずれかの色のフィルタが配置されている。撮像素子4は、レンズ系2、光学フィルタ1a、及びカラーフィルタ3を通過した被写体からの光を受光する。撮像装置100は、撮像素子4において受光した光によって生じた電荷に関する情報に基づいて画像を生成する。なお、カラーフィルタ3と撮像素子4とが一体化されて、カラーイメージセンサが構成されていてもよい。
光学フィルタ1aにおいて、上記の(i)〜(vii)の条件及び表(II)に示す条件が満たされるので、このような光学フィルタ1aを備えた撮像装置100は色むらが防止された画像を生成できる。
実施例により、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
<透過率スペクトル測定>
波長300nm〜1200nmの光を実施例及び比較例に係る光学フィルタ、その半製品、又は参考例に係る積層体に入射させたときの透過率スペクトルを、紫外線可視分光光度計(日本分光社製、製品名:V−670)を用いて測定した。実施例及び比較例の光学フィルタと、一部の半製品と、一部の参考例に係る積層体とに対して、入射光の入射角度を0°、30°、及び40°に設定した場合の透過率スペクトルを測定した。他の半製品及び他の参考例に係る積層体に対して、入射光の入射角度を0°に設定した場合の透過率スペクトルを測定した。
<実施例1>
コーティング液IRA1を以下のようにして調製した。酢酸銅一水和物1.1gとテトラヒドロフラン(THF)60gとを混合して3時間撹拌し、得られた液にリン酸エステル(第一工業製薬社製 製品名:プライサーフA208F)を2.3g加えて30分間撹拌し、A液を得た。フェニルホスホン酸(東京化成工業株式会社製)0.6gにTHF10gを加えて30分撹拌し、B液を得た。A液を撹拌しながらB液を加え、室温で1分間撹拌した。この溶液にトルエン45gを加えた後、室温で1分間撹拌し、C液を得た。C液をフラスコに入れて120℃に調整したオイルバス(東京理化器械社製、型式:OSB−2100)で加温しながら、ロータリーエバポレータ(東京理化器械社製、型式:N−1110SF)によって、25分間脱溶媒処理を行い、D液を得た。フラスコの中からD液を取り出し、シリコーン樹脂(信越化学工業社製、製品名:KR−300)を4.4g添加して室温で30分間撹拌し、コーティング液IRA1を得た。
また、コーティング液IRA2を以下のようにして調製した。酢酸銅一水和物2.25gとテトラヒドロフラン(THF)120gとを混合して3時間撹拌し、得られた液にリン酸エステル(第一工業製薬社製 製品名:プライサーフA208F)1.8gを加えて30分間撹拌し、E液を得た。ブチルホスホン酸1.35gにTHF20gを加えて30分間撹拌し、F液を得た。E液を撹拌しながらF液を加え、室温で3時間攪拌した後、トルエンを40g加え、その後85℃の環境で7.5時間かけて溶媒を揮発させ、G液を得た。G液にシリコーン樹脂(信越化学工業社製、製品名:KR−300)8.8gを加えて3時間撹拌し、コーティング液IRA2を得た。
コーティング液IRA1を、透明ガラス基板(SCHOTT社製、製品名:D263T eco)の一方の主面にダイコータによって塗布し、オーブンにて85℃で3時間、次いで125℃で3時間、次いで150℃で1時間、次いで170℃で3時間の加熱処理を行い、塗膜を硬化させ赤外線吸収層ira11を形成した。同様にして、透明ガラス基板の反対側主面にもコーティング液IRA1を塗布し、上記と同じ条件で加熱処理を行って塗膜を硬化させ、赤外線吸収層ira12を形成した。このようにして、実施例1に係る光学フィルタの半製品αを得た。赤外線吸収層ira11及び赤外線吸収層ira12の厚さは合わせて0.2mmであった。0°の入射角度における半製品αの透過率スペクトルを図4Aに示す。半製品αは以下の(α1)〜(α6)の特性を有していた。
(α1):波長700〜1000nmにおける平均透過率が0.5%以下であった。
(α2):波長1100〜1200nmにおける平均透過率が29.5%であった。
(α3):波長450〜600nmにおける平均透過率が88.0%であった。
(α4):波長400nmにおける透過率が63.7%であった。
(α5):IRカットオフ波長が632nmであり、UVカットオフ波長が394nmであり、IRカットオフ波長とUVカットオフ波長との差を透過領域の半値全幅とみなしたときに、透過領域の半値全幅が238nmであった。
(α6):波長600〜800nmにおいて分光透過率が20%である波長が661nmであった。
半製品αの赤外線吸収層ira11の上に真空蒸着装置を用いて500nmの厚みのSiO2の蒸着膜(保護層p1)を形成した。同様にして、半製品αの赤外線吸収層ira12の上に500nmの厚みのSiO2の蒸着膜(保護層p2)を形成した。保護層p1の表面に、コーティング液IRA2をダイコータによって塗布し、オーブンにて85℃で3時間、次いで125℃で3時間、次いで150℃で1時間、次いで170℃で3時間の加熱処理を行い、塗膜を硬化させて赤外線吸収層ira21を形成した。また、保護層p2の表面にも、コーティング液IRA2をダイコータによって塗布し、同一の加熱条件で塗膜を硬化させて赤外線吸収層ira22を形成した。このようにして、半製品βを得た。赤外線吸収層ira21及び赤外線吸収層ira22の厚さは合わせて50μmであった。半製品βの透過率スペクトルを図4Bに示す。半製品βは以下の(β1)〜(β6)の特性を有していた。
(β1):波長700〜1000nmにおける平均透過率が0.5%以下であった。
(β2):波長1100〜1200nmにおける平均透過率が4.5%であった。
(β3):波長450〜600nmにおける平均透過率が86.9%であった。
(β4):波長400nmにおける透過率が62.1%であった。
(β5):IRカットオフ波長は631nmであり、UVカットオフ波長は394nmであり、透過領域の半値全幅は237nmであった。
(β6):波長600〜800nmにおいて分光透過率が20%である波長が659nmであった。
半製品βの赤外線吸収層ira22の上に真空蒸着装置を用いて500nmの厚みのSiO2の蒸着膜(保護層p3)を形成した。
コーティング液UVA1を以下のようにして調整した。紫外線吸収性物質として、可視光領域における光の吸収が少なく、MEK(メチルエチルケトン)に可溶なベンゾフェノン系紫外線吸収性物質を用いた。この紫外線吸収性物質を溶媒であるMEKに溶かすとともに、固形分の60重量%のポリビニルブチラール(PVB)を添加し、2時間撹拌してコーティング液UVA1を得た。保護層p3の上にコーティング液UVA1をスピンコーティングによって塗布し、140℃で30分間加熱し硬化させて紫外線吸収層uva1を形成した。紫外線吸収層uva1の厚さは6μmであった。別途、透明ガラス基板(SCHOTT社製、製品名:D263T eco)の表面にコーティング液UVA1を用いてスピンコーティングによって6μmの厚みの紫外線吸収層を形成し、参考例1に係る積層体を得た。参考例1に係る積層体の透過率スペクトルを図4Cに示す。参考例1に係る積層体は、以下の(r1)〜(r3)の特性を有していた。
(r1):波長350〜390nmにおける透過率が0.5%以下であった。
(r2):波長400nmにおける透過率が12.9%であり、410nmにおける透過率が51.8%であり、420nmにおける透過率が77.1%であり、450nmにおける透過率が89.8%であった。
(r3):波長450〜750nmにおける平均透過率は91.0%であった。
赤外線吸収層ira21の上に真空蒸着装置を用いて反射防止膜ar1を形成した。また、紫外線吸収層uva1上に真空蒸着装置を用いて反射防止膜ar2を形成した。反射防止膜ar1及び反射防止膜ar2は、同一の仕様を有しており、SiO2とTiO2とを交互に積層した膜であり、反射防止膜ar1及び反射防止膜ar2において、層数は7層、総膜厚は約0.4μmであった。このようにして、実施例1に係る光学フィルタを得た。反射防止膜ar1の成膜と同一の条件で透明ガラス基板(SCHOTT社製、製品名:D263T eco)の片面に反射防止膜を形成し、参考例2に係る積層体を得た。参考例2に係る積層体の透過率スペクトルを図4Dに示す。参考例2に係る積層体は、以下(s1)〜(s4)の特性を有していた。
(s1):光の入射角度が0°である場合に、波長350nmにおける透過率が73.4%であり、波長380nmにおける透過率が88.9%であり、波長400nmにおける透過率が95.3%であり、波長400〜700nmの平均透過率が95.3%であり、波長715nmにおける透過率が95.7%であった。
(s2):光の入射角度が30°である場合に、波長350nmにおける透過率が78.5%であり、波長380nmにおける透過率が92.0%であり、波長400nmにおける透過率が94.5%であり、波長400〜700nmの平均透過率が94.3%であり、波長715nmにおける透過率は94.6%であった。
(s3):光の入射角度が40°である場合に、波長350nmにおける透過率が82.3%であり、波長380nmにおける透過率が93.3%であり、波長400nmにおける透過率が94.3%であり、波長400〜700nmの平均透過率が94.0%であり、波長715nmにおける透過率が94.1%であった。
(s4):光の入射角度に依らず、波長400〜700nmにおいて局所的に透過率が低下するリップルを生じさせる波長帯が存在しなかった。
実施例1に係る光学フィルタの透過率スペクトルを図4E及び表7に示す。また、実施例1に係る光学フィルタは、表8に示す特性を有していた。光学フィルタへの光の入射角度θが0°であるときの光学フィルタの分光透過率T0(λ)と表(I)に示すR(λ)との積から求められる関数、T0(λ)とG(λ)との積から求められる関数、及びT0(λ)とB(λ)との積から求められる関数を算出した。次に、それぞれの関数の最大値を求め、さらにそれらの値の中の最大値が1になるように正規化係数を決定した。さらに正規化係数を、分光透過率T0(λ)と表(I)に示すR(λ)との積から求められる関数に乗じて正規化分光感度関数CR0(λ)を求めた。同様にして、正規化分光感度関数CG0(λ)及びCB0(λ)を求めた。光学フィルタへの光の入射角度θが30°であるときの光学フィルタの分光透過率T30(λ)と表(I)に示すR(λ)との積から求められる関数、T30(λ)とG(λ)との積から求められる関数、及びT30(λ)とB(λ)との積から求められる関数に、正規化係数をそれぞれ掛けて、光の入射角度θが30°であるときの正規化分光感度関数CR30(λ)、CG30(λ)、及びCB30(λ)を求めた。光学フィルタへの光の入射角度θが40°であるときの光学フィルタの分光透過率T40(λ)と表(I)に示すR(λ)との積から求められる関数、T40(λ)とG(λ)との積から求められる関数、及びT40(λ)とB(λ)との積から求められる関数に、正規化係数をそれぞれ掛けて、光の入射角度θが30°であるときの正規化分光感度関数CR40(λ)、CG40(λ)、及びCB40(λ)を求めた。光学フィルタへの光の入射角度θが0°、30°、及び40°である場合の正規化分光感度関数をそれぞれ図5A、図5B、及び図5Cに示す。光学フィルタへの光の入射角度θが0°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが30°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図6Aに示す。光の入射角度θが0°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが40°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図6Bに示す。光の入射角度θが30°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが40°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図6Cに示す。0°、30°、及び40°から選ばれる2つの入射角度θ1°及びθ2°(θ1<θ2)に対する正規化分光感度関数を用いて上記の式(1)〜(9)より、IEθ1/θ2 CR、IEθ1/θ2 CG、及びIEθ1/θ2 CBと、IAEθ1/θ2 CR、IAEθ1/θ2 CG、及びIAEθ1/θ2 CBと、ISEθ1/θ2 CR、ISEθ1/θ2 CG、及びISEθ1/θ2 CBとを求めた。結果を表9〜11に示す。
<実施例2>
実施例1と同様にしてコーティング液IRA1及びコーティング液IRA2を調製した。コーティング液IRA1を、透明ガラス基板(SCHOTT社製、製品名:D263T eco)の一方の主面にダイコータによって塗布し、オーブンにて85℃で3時間、次いで125℃で3時間、次いで150℃で1時間、次いで170℃で3時間の加熱処理を行い、塗膜を硬化させ赤外線吸収層ira11を形成した。同様にして、透明ガラス基板の反対側主面にもコーティング液IRA1を塗布し、上記と同じ条件で加熱処理を行って塗膜を硬化させ、赤外線吸収層ira12を形成した。赤外線吸収層ira11及び赤外線吸収層ira12の厚さは合わせて0.2mmであった。
赤外線吸収層ira11の上に真空蒸着装置を用いて500nmの厚みのSiO2の蒸着膜(保護層p1)を形成した。同様にして、赤外線吸収層ira12の上に500nmの厚みのSiO2の蒸着膜(保護層p2)を形成した。保護層p1の表面に、コーティング液IRA2をダイコータによって塗布し、オーブンにて85℃で3時間、次いで125℃で3時間、次いで150℃で1時間、次いで170℃で3時間の加熱処理を行い、塗膜を硬化させて赤外線吸収層ira21を形成した。また、保護層p2の表面にも、コーティング液IRA2をダイコータによって塗布し、同一の加熱条件で塗膜を硬化させて赤外線吸収層ira22を形成した。赤外線吸収層ira21及び赤外線吸収層ira22の厚さは合わせて50μmであった。
赤外線吸収層ira22の上に真空蒸着装置を用いて500nmの厚みのSiO2の蒸着膜(保護層p3)を形成した。赤外線吸収色素及び紫外線吸収色素を含んだコーティング液UVIRA1を以下のように調製した。赤外線吸収色素は、波長680〜780nmに吸収ピークを有し、可視光領域の光を吸収しにくい、シアニン系の有機色素とスクアリリウム系の有機色素との組み合わせであった。紫外線吸収色素は、可視光領域の光を吸収しにくい、ベンゾフェノン系の紫外線吸収性物質からなる色素であった。赤外線吸収色素及び紫外線吸収色素はMEKに可溶であった。赤外線吸収色素及び紫外線吸収色素を溶媒であるMEKに加え、マトリクス材料であるPVBをさらに加え、その後2時間撹拌してコーティング液UVIRA1を得た。コーティング液UVIRA1における赤外線吸収色素の配合比及び紫外線吸収色素の配合比は、参考例3に係る積層体が図7Aに示す透過率スペクトルを示すように決定した。参考例3に係る積層体は、透明ガラス基板(SCHOTT社製、製品名:D263T eco)の上にコーティング液UVIRA1をスピンコーティングにより塗布した後に、その塗膜を140℃で30分間加熱して硬化させて作製された。コーティング液UVIRA1において、赤外線吸収色素とPVBの固形分との質量比(赤外線吸収色素の質量:PVBの固形分の質量)は、約1:199であった。また、紫外線吸収色素とPVBの固形分との質量比(紫外線吸収色素の質量:PVBの固形分の質量)は約40:60であった。参考例3に係る積層体は以下の特性(t1)〜(t5)を有していた。
(t1):波長700nmにおける透過率が8.7%であり、波長715nmにおける透過率が13.6%であり、波長700〜800nmにおける平均透過率が66.2%であった。
(t2):波長1100nmにおける透過率が92.1%であった。
(t3):波長400nmにおける透過率が11.8%であり、450nmにおける透過率が85.3%であり、波長500〜600nmにおける平均透過率が89.1%であった。
(t4):波長600nm〜700nmにおけるIRカットオフ波長は669nmであり、波長700nm〜800nmにおけるIRカットオフ波長は729nmであり、それらの差は60nmであった。波長600nm〜800nmにおいて最も低い透過率を示す波長(極大吸収波長)は705nmであった。
(t5):波長350nm〜450nmにおけるUVカットオフ波長は411nmであった。
保護層p3の上にスピンコーティングによりコーティング液UVIRA1を塗布し、その塗膜を140℃で30分間加熱して硬化させ、赤外線・紫外線吸収層uvira1を形成した。赤外線・紫外線吸収層uvira1の厚さは7μmであった。
赤外線吸収層ira21の上に真空蒸着装置を用いて反射防止膜ar1を形成した。また、赤外線・紫外線吸収層uvira1の上に真空蒸着装置を用いて反射防止膜ar2を形成した。反射防止膜ar1及び反射防止膜ar2は、同一の仕様を有しており、SiO2とTiO2とを交互に積層した膜であり、反射防止膜ar1及び反射防止膜ar2において、層数は7層、総膜厚は約0.4μmであった。このようにして、実施例2に係る光学フィルタを得た。
実施例2に係る光学フィルタの透過率スペクトルを図7B及び表12に示す。また、実施例2に係る光学フィルタは、表13に示す特性を有していた。実施例1と同様にして、光の入射角度θが0°、30°及び40°である場合の実施例2に係る光学フィルタの分光透過率Tθ(λ)と、表(I)に示す関数R(λ)、G(λ)、及びB(λ)とに基づいて、正規化分光感度関数CRθ(λ)、CGθ(λ)、及びCBθ(λ)を求めた。光の入射角度θが0°、30°、及び40°である場合の正規化分光感度関数をそれぞれ図8A、図8B、及び図8Cに示す。光の入射角度θが0°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが30°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図9Aに示す。光の入射角度θが0°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが40°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図9Bに示す。光の入射角度θが30°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが40°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図9Cに示す。0°、30°、及び40°から選ばれる2つの入射角度θ1°及びθ2°(θ1<θ2)に対する正規化分光感度関数を用いて上記の式(1)〜(9)より、IEθ1/θ2 CR、IEθ1/θ2 CG、及びIEθ1/θ2 CBと、IAEθ1/θ2 CR、IAEθ1/θ2 CG、及びIAEθ1/θ2 CBと、ISEθ1/θ2 CR、ISEθ1/θ2 CG、及びISEθ1/θ2 CBとを求めた。結果を表14〜16に示す。
<実施例3>
実施例1と同様にしてコーティング液IRA1及びコーティング液IRA2を調製した。コーティング液IRA1を、透明ガラス基板(SCHOTT社製、製品名:D263T eco)の一方の主面にダイコータによって塗布し、オーブンにて85℃で3時間、次いで125℃で3時間、次いで150℃で1時間、次いで170℃で3時間の加熱処理を行い、塗膜を硬化させ赤外線吸収層ira11を形成した。同様にして、透明ガラス基板の反対側主面にもコーティング液IRA1を塗布し、上記と同じ条件で加熱処理を行って塗膜を硬化させ、赤外線吸収層ira12を形成した。このようにして、実施例3に係る光学フィルタの半製品γを得た。赤外線吸収層ira11及び赤外線吸収層ira12の厚さは合わせて0.2mmであった。0°の入射角度における半製品γの透過率スペクトルを図10Aに示す。半製品γは以下の(γ1)〜(γ6)の特性を有していた。
(γ1):波長700〜1000nmにおける平均透過率が0.5%以下であった。
(γ2):波長1100〜1200nmにおける平均透過率が25.9%であった。
(γ3):波長450〜600nmにおける平均透過率が87.5%であった。
(γ4):波長400nmにおける透過率が60.9%であった。
(γ5):IRカットオフ波長が629nmであり、UVカットオフ波長が395nmであり、透過領域の半値全幅が234nmであった。
(γ6):波長600〜800nmにおいて分光透過率が20%である波長が657nmであった。
半製品γの赤外線吸収層ira12の上に500nmの厚みのSiO2の蒸着膜(保護層p2)を形成した。保護層p2の上に、実施例1で使用したコーティング液UVA1をスピンコーティングにより塗布し、その塗膜を140℃で30分間加熱して硬化させ紫外線吸収層uva1を形成した。紫外線吸収層uva1の厚みは6μmであった。
赤外線吸収層ira11の上に真空蒸着装置を用いて反射防止膜ar1を形成した。また、紫外線吸収層uva1上に真空蒸着装置を用いて反射防止膜ar2を形成した。反射防止膜ar1及び反射防止膜ar2は、同一の仕様を有しており、SiO2とTiO2とを交互に積層した膜であり、反射防止膜ar1及び反射防止膜ar2において、層数は7層、総膜厚は約0.4μmであった。このようにして、実施例3に係る光学フィルタを得た。
実施例3に係る光学フィルタの透過率スペクトルを図10B及び表17に示す。また、実施例3に係る光学フィルタは、表18に示す特性を有していた。実施例1と同様にして、光の入射角度θが0°、30°及び40°である場合の実施例3に係る光学フィルタの分光透過率Tθ(λ)と、表(I)に示す関数R(λ)、G(λ)、及びB(λ)とに基づいて、正規化分光感度関数CRθ(λ)、CGθ(λ)、及びCBθ(λ)を求めた。光の入射角度θが0°、30°、及び40°である場合の正規化分光感度関数をそれぞれ図11A、図11B、及び図11Cに示す。光の入射角度θが0°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが30°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図12Aに示す。光の入射角度θが0°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが40°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図12Bに示す。光の入射角度θが30°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが40°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図12Cに示す。0°、30°、及び40°から選ばれる2つの入射角度θ1°及びθ2°(θ1<θ2)に対する正規化分光感度関数を用いて上記の式(1)〜(9)より、IEθ1/θ2 CR、IEθ1/θ2 CG、及びIEθ1/θ2 CBと、IAEθ1/θ2 CR、IAEθ1/θ2 CG、及びIAEθ1/θ2 CBと、ISEθ1/θ2 CR、ISEθ1/θ2 CG、及びISEθ1/θ2 CBとを求めた。結果を表19〜21に示す。
<実施例4>
実施例1と同様にしてコーティング液IRA1を調製した。透明ガラス基板(SCHOTT社製、製品名:D263T eco)の一方の主面にダイコータによって塗布し、オーブンにて85℃で3時間、次いで125℃で3時間、次いで150℃で1時間、次いで170℃で3時間の加熱処理を行い、塗膜を硬化させ赤外線吸収層ira11を形成した。同様にして、透明ガラス基板の反対側主面にもコーティング液IRA1を塗布し、上記と同じ条件で加熱処理を行って塗膜を硬化させ、赤外線吸収層ira12を形成した。赤外線吸収層ira11及び赤外線吸収層ira12の厚さは合わせて0.2mmであった。
次に、赤外線吸収層ira11の上に真空蒸着装置を用いて赤外線反射膜irr1を形成した。赤外線反射膜irr1において、SiO2とTiO2が交互に16層積層されていた。透明ガラス基板(SCHOTT社製、製品名:D263T eco)の一方の主面に、赤外線反射膜irr1の形成と同一条件で赤外線反射膜を形成し、参考例4に係る積層体を作製した。参考例4に係る積層体の透過率スペクトルを図13Aに示す。参考例4に係る積層体は以下の特性(u1)〜(u3)を有していた。
(u1):光の入射角度が0°である場合に、波長380nmにおける透過率が1.8%であり、波長400nmにおける透過率が7.3%であり、波長450〜700nmにおける平均透過率が94.8%であり、波長450〜700nmにおける透過率の最低値が93.4%であり、波長700〜800nmにおける平均透過率が94.0%であり、波長1100nmにおける透過率が4.1%であり、IRカットオフ波長が902nmであり、UVカットオフ波長が410nmであった。
(u2):光の入射角度が30°である場合に、波長380nmにおける透過率が1.8%であり、波長400nmにおける透過率が67.8%であり、波長450〜700nmにおける平均透過率が95.0%であり、波長450〜700nmにおける透過率の最低値が93.8%であり、波長700〜800nmにおける平均透過率が92.1%であり、波長1100nmにおける透過率が5.3%であり、IRカットオフ波長が863nmであり、UVカットオフ波長が398nmであった。
(u3):光の入射角度が40°である場合に、波長380nmにおける透過率が4.0%であり、波長400nmにおける透過率が90.2%であり、波長450〜700nmにおける平均透過率が94.1%であり、波長450〜700nmにおける透過率の最低値が92.9%であり、波長700〜800nmにおける平均透過率が91.5%であり、波長1100nmにおける透過率が8.3%であり、IRカットオフ波長が837nmであり、UVカットオフ波長が391nmであった。
赤外線吸収層ira12の上に500nmの厚みのSiO2の蒸着膜(保護層p2)を形成した。保護層p2の上に、実施例1で使用したコーティング液UVA1をスピンコーティングにより塗布し、その塗膜を140℃で30分間加熱して硬化させ紫外線吸収層uva1を形成した。紫外線吸収層uva1の厚みは6μmであった。紫外線吸収層uva1上に真空蒸着装置を用いて反射防止膜ar2を形成した。反射防止膜ar2は、SiO2とTiO2とを交互に積層した膜であり、反射防止膜ar2において、層数は7層、総膜厚は約0.4μmであった。このようにして、実施例4に係る光学フィルタを得た。
実施例4に係る光学フィルタの透過率スペクトルを図13B及び表22に示す。また、実施例4に係る光学フィルタは、表23に示す特性を有していた。実施例1と同様にして、光の入射角度θが0°、30°及び40°である場合の実施例4に係る光学フィルタの分光透過率Tθ(λ)と、表(I)に示す関数R(λ)、G(λ)、及びB(λ)とに基づいて、正規化分光感度関数CRθ(λ)、CGθ(λ)、及びCBθ(λ)を求めた。光の入射角度θが0°、30°、及び40°である場合の正規化分光感度関数をそれぞれ図14A、図14B、及び図14Cに示す。光の入射角度θが0°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが30°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図15Aに示す。光の入射角度θが0°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが40°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図15Bに示す。光の入射角度θが30°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが40°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図15Cに示す。0°、30°、及び40°から選ばれる2つの入射角度θ1°及びθ2°(θ1<θ2)に対する正規化分光感度関数を用いて上記の式(1)〜(9)より、IEθ1/θ2 CR、IEθ1/θ2 CG、及びIEθ1/θ2 CBと、IAEθ1/θ2 CR、IAEθ1/θ2 CG、及びIAEθ1/θ2 CBと、ISEθ1/θ2 CR、ISEθ1/θ2 CG、及びISEθ1/θ2 CBとを求めた。結果を表24〜26に示す。
<実施例5>
実施例1と同様にしてコーティング液IRA1を調製した。透明ガラス基板(SCHOTT社製、製品名:D263T eco)の一方の主面にダイコータによって塗布し、オーブンにて85℃で3時間、次いで125℃で3時間、次いで150℃で1時間、次いで170℃で3時間の加熱処理を行い、塗膜を硬化させ赤外線吸収層ira11を形成した。同様にして、透明ガラス基板の反対側主面にもコーティング液IRA1を塗布し、上記と同じ条件で加熱処理を行って塗膜を硬化させ、赤外線吸収層ira12を形成した。赤外線吸収層ira11及び赤外線吸収層ira12の厚さは合わせて0.2mmであった。
次に、実施例4と同様にして、赤外線吸収層ira11の上に真空蒸着装置を用いて赤外線反射膜irr1を形成した。赤外線反射膜irr1において、SiO2とTiO2が交互に16層積層されていた。
赤外線吸収層ira12の上に500nmの厚みのSiO2の蒸着膜(保護層p2)を形成した。保護層p2の上に、実施例2で使用したコーティング液UVIRA1を実施例2と同様の条件で塗布し、その塗膜を140℃で30分間加熱して硬化させ赤外線・紫外線吸収層uvira1を形成した。赤外線・紫外線吸収層uvira1の厚みは7μmであった。赤外線・紫外線吸収層uvira1上に真空蒸着装置を用いて反射防止膜ar2を形成した。反射防止膜ar2は、SiO2とTiO2とを交互に積層した膜であり、反射防止膜ar2において、層数は7層、総膜厚は約0.4μmであった。このようにして、実施例5に係る光学フィルタを得た。
実施例5に係る光学フィルタの透過率スペクトルを図16及び表27に示す。また、実施例5に係る光学フィルタは、表28に示す特性を有していた。実施例1と同様にして、光の入射角度θが0°、30°及び40°である場合の実施例5に係る光学フィルタの分光透過率Tθ(λ)と、表(I)に示す関数R(λ)、G(λ)、及びB(λ)とに基づいて、正規化分光感度関数CRθ(λ)、CGθ(λ)、及びCBθ(λ)を求めた。光の入射角度θが0°、30°、及び40°である場合の正規化分光感度関数をそれぞれ図17A、図17B、及び図17Cに示す。光の入射角度θが0°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが30°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図18Aに示す。光の入射角度θが0°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが40°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図18Bに示す。光の入射角度θが30°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが40°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図18Cに示す。0°、30°、及び40°から選ばれる2つの入射角度θ1°及びθ2°(θ1<θ2)に対する正規化分光感度関数を用いて上記の式(1)〜(9)より、IEθ1/θ2 CR、IEθ1/θ2 CG、及びIEθ1/θ2 CBと、IAEθ1/θ2 CR、IAEθ1/θ2 CG、及びIAEθ1/θ2 CBと、ISEθ1/θ2 CR、ISEθ1/θ2 CG、及びISEθ1/θ2 CBとを求めた。結果を表29〜31に示す。
<実施例6>
実施例1と同様にしてコーティング液IRA1及びコーティング液IRA2を調製した。透明ガラス基板(SCHOTT社製、製品名:D263T eco)の一方の主面にダイコータによって塗布し、オーブンにて85℃で3時間、次いで125℃で3時間、次いで150℃で1時間、次いで170℃で3時間の加熱処理を行い、塗膜を硬化させ赤外線吸収層ira11を形成した。同様にして、透明ガラス基板の反対側主面にもコーティング液IRA1を塗布し、上記と同じ条件で加熱処理を行って塗膜を硬化させ、赤外線吸収層ira12を形成した。赤外線吸収層ira11及び赤外線吸収層ira12の厚さは合わせて0.4mmであった。
赤外線吸収層ira11の上に真空蒸着装置を用いて500nmの厚みのSiO2の蒸着膜(保護層p1)を形成した。同様にして、赤外線吸収層ira12の上に500nmの厚みのSiO2の蒸着膜(保護層p2)を形成した。保護層p1の表面に、コーティング液IRA2をダイコータによって塗布し、オーブンにて85℃で3時間、次いで125℃で3時間、次いで150℃で1時間、次いで170℃で3時間の加熱処理を行い、塗膜を硬化させて赤外線吸収層ira21を形成した。また、保護層p2の表面にも、コーティング液IRA2をダイコータによって塗布し、同一の加熱条件で塗膜を硬化させて赤外線吸収層ira22を形成し、半製品δを得た。0℃の入射角度における半製品δの透過率スペクトルを図19Aに示す。半製品δは、以下の特性(δ1)〜(δ8)を有していた。
(δ1):波長700〜1100nmにおける平均透過率が0.5%以下であった。
(δ2):波長700〜1000nmにおける平均透過率が0.5%以下であった。
(δ3):波長1100〜1200nmにおける平均透過率が0.5%以下であった。
(δ4):波長450〜600nmにおける平均透過率が82.2%であった。
(δ5):波長500〜600nmにおける平均透過率が82.7%であった。
(δ6):波長400nmにおける透過率が42.0%であり、波長450nmにおける透過率が76.7%であった。
(δ7):IRカットオフ波長が613nmであり、UVカットオフ波長が404nmであり、透過領域の半値全幅が209nmであった。
(δ8):波長600〜800nmにおいて分光透過率が20%である波長が637nmであった。
赤外線吸収層ira21の上に真空蒸着装置を用いて反射防止膜ar1を形成した。また、赤外線吸収層ira22の上に真空蒸着装置を用いて反射防止膜ar2を形成した。反射防止膜ar1及び反射防止膜ar2は、同一の仕様を有しており、SiO2とTiO2とを交互に積層した膜であり、反射防止膜ar1及び反射防止膜ar2において、層数は7層、総膜厚は約0.4μmであった。このようにして、実施例6に係る光学フィルタを得た。
実施例6に係る光学フィルタの透過率スペクトルを図19B及び表32に示す。また、実施例6に係る光学フィルタは、表33に示す特性を有していた。実施例1と同様にして、光の入射角度θが0°、30°及び40°である場合の実施例6に係る光学フィルタの分光透過率Tθ(λ)と、表(I)に示す関数R(λ)、G(λ)、及びB(λ)とに基づいて、正規化分光感度関数CRθ(λ)、CGθ(λ)、及びCBθ(λ)を求めた。光の入射角度θが0°、30°、及び40°である場合の正規化分光感度関数をそれぞれ図20A、図20B、及び図20Cに示す。光の入射角度θが0°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが30°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図21Aに示す。光の入射角度θが0°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが40°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図21Bに示す。光の入射角度θが30°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが40°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図21Cに示す。0°、30°、及び40°から選ばれる2つの入射角度θ1°及びθ2°(θ1<θ2)に対する正規化分光感度関数を用いて上記の式(1)〜(9)より、IEθ1/θ2 CR、IEθ1/θ2 CG、及びIEθ1/θ2 CBと、IAEθ1/θ2 CR、IAEθ1/θ2 CG、及びIAEθ1/θ2 CBと、ISEθ1/θ2 CR、ISEθ1/θ2 CG、及びISEθ1/θ2 CBとを求めた。結果を表34〜36に示す。
<比較例1>
透明ガラス基板(SCHOTT社製、製品名:D263T eco)の一方の主面に真空蒸着装置を用いてSiO2及びTiO2を交互に24層積層して赤外線反射膜irr2を形成し、半製品εを得た。半製品εの透過率スペクトルを図22Aに示す。半製品εは、以下の特性(ε1)〜(ε3)を有していた。
(ε1):光の入射角度が0°の場合に、波長380nmにおける透過率が0.5%以下であり、波長400nmにおける透過率が3.1%であり、波長450〜600nmにおける平均透過率が94.1%であり、波長450〜600nmにおける透過率の最低値が92.6%であり、波長700nmにおける透過率が86.2%であり、波長715nmにおける透過率が30.8%であり、波長700〜800nmにおける平均透過率が12.4%であり、波長1100nmにおける透過率が0.5%以下であり、IRカットオフ波長が710nmであり、UVカットオフ波長が410nmであった。
(ε2):光の入射角度が30°の場合に、波長380nmにおける透過率が1.7%であり、波長400nmにおける透過率が77.7%であり、波長450〜600nmにおける平均透過率が94.1%、波長450〜600nmにおける透過率の最低値が93.0%であり、波長700nmにおける透過率が8.2%であり、波長715nmにおける透過率が2.2%であり、波長700〜800nmにおける平均透過率が1.1%であり、波長1100nmにおける透過率が1.2%であり、IRカットオフ波長が680nmであり、UVカットオフ波長が397nmであった。
(ε3):光の入射角度が40°の場合に、波長380nmにおける透過率が13.1%であり、波長400nmにおける透過率が90.5%であり、波長450〜600nmにおける平均透過率が92.1%であり、波長450〜600nmにおける透過率の最低値が87.6%であり、波長700nmにおける透過率が2.0%であり、波長715nmにおける透過率が0.8%であり、波長700〜800nmにおける平均透過率が0.5%以下であり、波長1100nmにおける透過率が5.4%であり、IRカットオフ波長が661nmであり、UVカットオフ長が386nmであった。
赤外線吸収色素を含んだコーティング液IRA3を以下のように調製した。赤外線吸収色素は、MEKに可溶なシアニン系の有機色素とスクアリリウム系の有機色素との組み合わせであった。赤外線吸収色素を溶媒であるMEKに加え、マトリクス材料であるPVBをさらに加え、その後2時間撹拌してコーティング液IRA3を得た。コーティング液IRA3の固形分におけるマトリクス材料の含有率は99質量%であった。半製品εの透明ガラス基板の他方の主面にコーティング液IRA3をスピンコーティングにより塗布した後に、その塗膜を140℃で30分間加熱して硬化させて赤外線吸収層ira3を形成した。別途、透明ガラス基板(SCHOTT社製、製品名:D263T eco)の一方の主面に、赤外線吸収層ira3の形成条件と同一条件で赤外線吸収層を形成し、参考例5に係る積層体を得た。0°の入射角度における参考例5に係る積層体の透過率スペクトルを図22Bに示す。参考例5に係る積層体は以下の特性(v1)〜(v4)を有していた。
(v1):波長700nmにおける透過率が2.0%であり、波長715nmにおける透過率が2.6%であり、波長700〜800nmにおける平均透過率が15.9%であった。
(v2):波長1100nmにおける透過率が91.1%であった。
(v3):波長400nmにおける透過率が78.2%であり、450nmにおける透過率が83.8%であり、波長500〜600nmにおける平均透過率が86.9%であった。
(v4):波長600nm〜700nmにおけるIRカットオフ波長は637nmであり、波長700nm〜800nmにおけるIRカットオフ波長は800nmであり、これらのIRカットオフ波長の差は163nmであり、波長600〜800nmにおける極大吸収波長は706nmであった。
赤外線吸収層ira3の上に真空蒸着装置を用いて実施例1と同様にして反射防止膜ar1を形成し、比較例1に係る光学フィルタを得た。
比較例1に係る光学フィルタの透過率スペクトルを図22C及び表37に示す。また、比較例1に係る光学フィルタは、表38に示す特性を有していた。実施例1と同様にして、光の入射角度θが0°、30°及び40°である場合の比較例1に係る光学フィルタの分光透過率Tθ(λ)と、表(I)に示す関数R(λ)、G(λ)、及びB(λ)とに基づいて、正規化分光感度関数CRθ(λ)、CGθ(λ)、及びCBθ(λ)を求めた。光の入射角度θが0°、30°、及び40°である場合の正規化分光感度関数をそれぞれ図23A、図23B、及び図23Cに示す。光の入射角度θが0°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが30°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図24Aに示す。光の入射角度θが0°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが40°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図24Bに示す。光の入射角度θが30°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが40°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図24Cに示す。0°、30°、及び40°から選ばれる2つの入射角度θ1°及びθ2°(θ1<θ2)に対する正規化分光感度関数を用いて上記の式(1)〜(9)より、IEθ1/θ2 CR、IEθ1/θ2 CG、及びIEθ1/θ2 CBと、IAEθ1/θ2 CR、IAEθ1/θ2 CG、及びIAEθ1/θ2 CBと、ISEθ1/θ2 CR、ISEθ1/θ2 CG、及びISEθ1/θ2 CBとを求めた。結果を表39〜41に示す。
<比較例2>
0°の入射角度において、図25Aに示す透過率スペクトルを示す赤外線吸収性ガラス基板を準備した。この赤外線吸収性ガラス基板は、以下の特性(g1)〜(g5)を有していた。
(g1):波長700〜1000nmにおける平均透過率が16.8%であった。
(g2):波長1100〜1200nmにおける平均透過率が38.5%であった。
(g3):波長450〜600nmにおける平均透過率が87.8%であった。
(g4):波長400nmにおける透過率が88.5%であった。
(g5):IRカットオフ波長が653nmであった。また波長600〜800nmにおける透過率が20%に対応する波長が738nmであった。
210μmの厚みを有する赤外線吸収性ガラス基板の一方の主面に真空蒸着装置を用いてSiO2及びTiO2を交互に20層積層して赤外線反射膜irr3を形成し、半製品ζを得た。透明ガラス基板(SCHOTT社製、製品名:D263T eco)の一方の主面に赤外線反射膜irr3の形成条件と同一の条件で赤外線反射膜を形成し、参考例6に係る積層体を得た。参考例6に係る積層体の透過率スペクトルを図25Bに示す。参考例6に係る積層体は、以下の特性(w1)〜(w3)を有していた。
(w1):光の入射角度が0°の場合に、波長380nmにおける透過率が0.5%以下であり、波長400nmにおける透過率が0.5%以下であり、波長450〜600nmにおける平均透過率が95.2%であり、波長450〜600nmにおける透過率の最低値が93.7%であり、波長700〜800nmにおける平均透過率が4.7%であり、波長1100nmにおける透過率が0.5%以下であり、IRカットオフ波長が702nmであり、UVカットオフ波長が411nmであった。
(w2):光の入射角度が30°の場合に、波長380nmにおける透過率が1.7%であり、波長400nmにおける透過率が77.7%であり、波長450〜600nmにおける平均透過率が94.1%であり、波長450〜600nmにおける透過率の最低値が93.0%であり、波長700〜800nmにおける平均透過率が1.1%であり、波長1100nmにおける透過率が1.2%であり、IRカットオフ波長が680nmであり、UVカットオフ波長が397nmであった。
(w3):光の入射角度が40°の場合に、波長380nmにおける透過率が13.1%であり、波長400nmにおける透過率が90.5%であり、波長450〜600nmにおける平均透過率が92.1%であり、波長450〜600nmにおける透過率の最低値が87.6%であり、波長700〜800nmにおける平均透過率が0.5%以下であり、波長1100nmにおける透過率が5.4%であり、IRカットオフ波長が661nmであり、UVカットオフ波長が386nmであった。
赤外線吸収色素及び紫外線吸収色素を含んだコーティング液UVIRA2を以下のように調製した。紫外線吸収色素は、可視光領域の光を吸収しにくい、ベンゾフェノン系の紫外線吸収性物質からなる色素であった。赤外線吸収色素は、シアニン系の有機色素とスクアリリウム系の有機色素との組み合わせであった。赤外線吸収色素及び紫外線吸収色素はMEKに可溶であった。赤外線吸収色素及び紫外線吸収色素を溶媒であるMEKに加え、マトリクス材料であるPVBをさらに加え、その後2時間撹拌してコーティング液UVIRA2を得た。コーティング液UVIRA2の固形分におけるPVBの含有率は60質量%であった。コーティング液UVIRA2を半製品ζの他方の主面に塗布し、その塗膜を加熱して硬化させ、赤外線・紫外線吸収層uvira2を形成した。赤外線・紫外線吸収層uvira2の厚みは7μmであった。透明ガラス基板(SCHOTT社製、製品名:D263T eco)の一方の主面に、コーティング液UVIRA2を用いて、赤外線・紫外線吸収層uvira2の形成条件と同一の条件で赤外線・紫外線吸収層を形成し、参考例7に係る積層体をえた。0°の入射角度における参考例7に係る積層体の透過率スペクトルを図25Cに示す。参考例7に係る積層体は、以下の特性(p1)〜(p5)を有していた。
(p1):波長700nmにおける透過率が4.9%であり、波長715nmにおける透過率が8.4%であり、波長700〜800nmにおける平均透過率が63.9%であった。
(p2):波長1100nmにおける透過率が92.3%であった。
(p3):波長400nmにおける透過率が12.6%であり、450nmにおける透過率が84.4%であり、波長500〜600nmにおける平均透過率が88.7%であった。
(p4):波長600nm〜700nmにおけるIRカットオフ波長は664nmであり、波長700nm〜800nmにおけるIRカットオフ波長は731nmであり、それらの差は67nmであった。波長600nm〜800nmにおいて最も低い透過率を示す波長(極大吸収波長)は705nmであった。
(p5):波長350nm〜450nmにおけるUVカットオフ波長は411nmであった。
赤外線・紫外線吸収層uvira2の上に真空蒸着装置を用いて反射防止膜ar1を実施例1と同様にして形成した。反射防止膜ar1はSiO2とTiO2とを交互に積層した膜であり、反射防止膜ar1において、層数は7層、総膜厚は約0.4μmであった。このようにして、比較例2に係る光学フィルタを得た。
比較例2に係る光学フィルタの透過率スペクトルを図25D及び表42に示す。また、比較例2に係る光学フィルタは、表43に示す特性を有していた。実施例1と同様にして、光の入射角度θが0°、30°及び40°である場合の比較例2に係る光学フィルタの分光透過率Tθ(λ)と、表(I)に示す関数R(λ)、G(λ)、及びB(λ)とに基づいて、正規化分光感度関数CRθ(λ)、CGθ(λ)、及びCBθ(λ)を求めた。光の入射角度θが0°、30°、及び40°である場合の正規化分光感度関数をそれぞれ図26A、図26B、及び図26Cに示す。光の入射角度θが0°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが30°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図27Aに示す。光の入射角度θが0°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが40°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図27Bに示す。光の入射角度θが30°である場合の正規化分光感度関数から光の入射角度θが40°である場合の正規化分光感度関数を差し引いた差のグラフを図27Cに示す。0°、30°、及び40°から選ばれる2つの入射角度θ1°及びθ2°(θ1<θ2)に対する正規化分光感度関数を用いて上記の式(1)〜(9)より、IEθ1/θ2 CR、IEθ1/θ2 CG、及びIEθ1/θ2 CBと、IAEθ1/θ2 CR、IAEθ1/θ2 CG、及びIAEθ1/θ2 CBと、ISEθ1/θ2 CR、ISEθ1/θ2 CG、及びISEθ1/θ2 CBとを求めた。結果を表44〜46に示す。
実施例1〜6に係る光学フィルタにおいて、上記(i)〜(vii)の条件が満たされていた。実施例1〜6に係る光学フィルタにおいて、700nm以上の波長範囲における透過率は十分に低く、実施例1〜6に係る光学フィルタは、近赤外線を良好に遮蔽できることが示された。実施例2に係る光学フィルタは、実施例1に係る光学フィルタに比べて、700nm以上の波長範囲において低い透過率を示した。実施例2に係る光学フィルタにおいて、有機系の赤外線吸収色素の含有により、実施例1に係る光学フィルタに比べて、可視光領域の透過率が2ポイント程度低かった。しかし、実用上問題はないと考えられる。実施例3に係る光学フィルタは、赤外線吸収層として、赤外線吸収層ira11及び赤外線吸収層ira12のみを有するので、実施例1及び2に係る光学フィルタと比較する限り、1100nm以上の波長範囲において、700〜1100nmの波長範囲に比べてより高い透過率を示した。しかし、1100nm以上の波長の光に対するCMOSセンサ等の撮像素子の感度は低いので、実施例3に係る光学フィルタは撮像装置にとって適切な特性を有していると考えられる。実施例6に係る光学フィルタにおいて、他の実施例の光学フィルタに比べて、波長400nm付近の透過率が高いものの、45%以下であった。
実施例1〜6に係る光学フィルタにおいて、上記表(II)〜(IV)に示す条件が満たされていた。加えて、実施例1〜6に係る光学フィルタにおいて、0°、30°、40°の入射角度に対する分光透過率はほとんど変化していなかった。このため、実施例1〜6に係る光学フィルタを撮像装置に組み込んだ場合、光学フィルタへの光の入射角度が変化しても、撮像装置からの出力に基づく感度曲線の変化はわずかであることが示唆された。実施例4及び5に係る光学フィルタの赤外線反射膜において、40°の入射角度の光を透過させる波長帯と40°の入射角度の光を反射させる波長帯との境界が850nm付近になるように設定されていた。このため、入射角度0°、30°、及び40°において、実施例4及び5に係る光学フィルタの分光透過率はほとんど変化しなかった。実施例4及び5に係る光学フィルタにおいて、光の入射角度が大きいほど波長400nm付近の透過率が高かった。これにより、θ1=0であり、かつ、θ2=30である場合、及び、θ1=0であり、かつ、θ2=40である場合において、IEθ1/θ2 CB、IAEθ1/θ2 CB、及びISEθ1/θ2 CBの値にその影響が表れていた。加えて、実施例4及び5に係る光学フィルタにおいて、30°の入射角度における光学フィルタの透過率は、0°及び40°の入射角度における光学フィルタの透過率に比べて、波長530nm付近で高くなっていた。これにより、θ1=0であり、かつ、θ2=30である場合、及び、θ1=30であり、かつ、θ2=40である場合において、IEθ1/θ2 CG、IAEθ1/θ2 CG、及びISEθ1/θ2 CGの値にその影響が表れていた。しかし、いずれの影響も、表(II)〜(IV)に示す条件が満たされるほどに小さかった。このため、実施例1〜6に係る光学フィルタをカメラモジュール等の撮像装置に組み込んだ場合、0°〜40°の入射角度の範囲で光学フィルタに光線を入射させても、撮影された画像の内部に色むらを生じることがないと考えられる。
比較例1に係る光学フィルタによれば、可視光領域の近赤外線領域に隣接した領域及び近赤外線領域における光を透過させる波長帯と光を遮蔽する波長帯との境界が赤外線吸収層ira3によって定められている。しかし、赤外線吸収層ira3の吸収帯域が狭いので、比較例1に係る光学フィルタの透過率スペクトルは、光の入射角度が大きくなるに従って、赤外線反射膜の反射帯域が短波長側にシフトしてくる影響を受けていた。また、比較例1に係る光学フィルタの紫外線領域における光の吸収能は不足しており、比較例1に係る光学フィルタは実質的には赤外線反射膜irr2だけで紫外線領域の光を遮蔽していた。このため、比較例1に係る光学フィルタは、紫外線領域において、光の入射角度によって反射帯域が短波長側にシフトする影響を強く受けていた。比較例1に係る光学フィルタにおいて、0°の入射角度と30°の入射角度との間で、CBθ(λ)が400nm付近で大きく変動していた。また、比較例1に係る光学フィルタにおいて、30°の入射角度と40°の入射角度との間で、CRθ(λ)が650nm付近で大きく変動していた。比較例1に係る光学フィルタにおいて、CBθ(λ)は、0°の入射角度と30°の入射角度との間で変動するとともに、30°の入射角度と40°の入射角度との間で狭い波長帯で変動していたので、θ1=30であり、かつ、θ2=40である場合に、IEθ1/θ2 CBの値が大きくなっていた。加えて、θ1=30であり、かつ、θ2=40である場合に、IEθ1/θ2、IAEθ1/θ2、及びISEθ1/θ2の値が大きかった。このため、この光学フィルタを撮像装置に組み込んだ場合、得られた画像の狭い範囲で強い色むらが発生することが懸念された。
比較例2に係る光学フィルタにおいて、可視光領域の近赤外線領域に隣接した領域及び近赤外線領域並びに紫外線領域において、光を透過させる波長帯と光を遮蔽する波長帯との境界が赤外線・紫外線吸収層uvira2によって定まっていた。しかし、近赤外線領域における赤外線・紫外線吸収層uvira2の吸収帯域が狭いので、比較例2に係る光学フィルタにおいて、赤外線反射膜irr3による反射帯域を十分に長波長側に設定できなかった。このため、比較例2に係る光学フィルタにおいて、光の入射角度が大きくなるに従って、反射帯域が短波長側にシフトしてくる影響を避けられなかった。θ1=0であり、かつ、θ2=30である場合におけるIEθ1/θ2、IAEθ1/θ2、及びISEθ1/θ2は表(II)に示す範囲に収まっていた。しかし、40°の入射角度における比較例2に係る光学フィルタの透過率スペクトルにおいて、透過率の局所的な変動(リップル)が可視光領域に認められた。このため、θ1=30であり、かつ、θ2=40である場合におけるIEθ1/θ2、IAEθ1/θ2、及びISEθ1/θ2が大きな値になっていた。この光学フィルタを撮像装置に組み込んだ場合、得られた画像の狭い範囲で強い色むらが発生することが懸念された。
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
Figure 0006273063
1a〜1f 光学フィルタ
2 レンズ系
3 カラーフィルタ
4 撮像素子
10 光吸収層
20 透明誘電体基板
30 反射防止膜
40 反射膜
100 撮像装置(カメラモジュール)

Claims (7)

  1. 光学フィルタであって、
    近赤外線領域の少なくとも一部の光を吸収する光吸収剤を含有している光吸収層を備え、
    0°、30°、及び40°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を当該光学フィルタに入射させたときに、下記の条件を満たし、
    (i)波長700nmにおける分光透過率が3%以下である。
    (ii)波長715nmにおける分光透過率が1%以下である。
    (iii)波長1100nmにおける分光透過率が7.5%以下である。
    (iv)波長700nm〜800nmにおける平均透過率が1%以下である。
    (v)波長500nm〜600nmにおける平均透過率が85%以上である。
    (vi)波長400nmにおける分光透過率が45%以下である。
    (vii)波長450nmにおける分光透過率が80%以上である。
    入射角度がθ°であるときの波長λにおける当該光学フィルタの分光透過率をTθ(λ)と表し、
    波長400nm〜700nmの変域において表(I)によって定義される波長λの関数をR(λ)、G(λ)、及びB(λ)と表し、
    0(λ)と、R(λ)、G(λ)、及びB(λ)との積である3つの関数において、最大値が1になるように正規化係数を定め、
    θ(λ)と、R(λ)、G(λ)、及びB(λ)との積である関数に前記正規化係数を乗じて定まる関数をそれぞれCRθ(λ)、CGθ(λ)、及びCBθ(λ)と表し、
    CRθ(λ)、CGθ(λ)、及びCBθ(λ)の変数である波長λを0以上の整数であるnの関数として、λ(n)=(Δλ×n+400)nmと表すとき(ただし、Δλ=5)、
    0°、30°、及び40°から選ばれる2つの入射角度θ1°及びθ2°(θ1<θ2)に対して下記の式(1)〜(3)によって定義されるIEθ1/θ2 CR、IEθ1/θ2 CG、及びIEθ1/θ2 CB及び同一の2つの入射角度θ1°及びθ2°に対するIEθ1/θ2 CR、IEθ1/θ2 CG、及びIEθ1/θ2 CBの最大値から最小値を差し引いた差であるレンジが表(II)に示す条件を満たす、
    光学フィルタ。
    Figure 0006273063
    Figure 0006273063
    Figure 0006273063
  2. 0°、30°、及び40°から選ばれる2つの入射角度θ1°及びθ2°(θ1<θ2)に対して下記の式(4)〜(6)によって定義されるIAEθ1/θ2 CR、IAEθ1/θ2 CG、及びIAEθ1/θ2 CB及び同一の2つの入射角度θ1°及びθ2°に対するIAEθ1/θ2 CR、IAEθ1/θ2 CG、及びIAEθ1/θ2 CBの最大値から最小値を差し引いた差であるレンジが表(III)に示す条件を満たす、請求項1に記載の光学フィルタ。
    Figure 0006273063
    Figure 0006273063
  3. 0°、30°、及び40°から選ばれる2つの入射角度θ1°及びθ2°(θ1<θ2)に対して下記の式(7)〜(9)によって定義されるISEθ1/θ2 CR、ISEθ1/θ2 CG、及びISEθ1/θ2 CB及び同一の2つの入射角度θ1°及びθ2°に対するISEθ1/θ2 CR、ISEθ1/θ2 CG、及びISEθ1/θ2 CBの最大値から最小値を差し引いた差であるレンジが表(IV)に示す条件を満たす、請求項1又は2に記載の光学フィルタ。
    Figure 0006273063
    Figure 0006273063
  4. 前記光吸収剤は、ホスホン酸と銅イオンとによって形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  5. 前記ホスホン酸は、アリール基を有する第一ホスホン酸を含む、請求項4に記載の光学フィルタ。
  6. 前記ホスホン酸は、さらに、アルキル基を有する第二ホスホン酸を含む、請求項5に記載の光学フィルタ。
  7. レンズ系と、
    前記レンズ系を通過した光を受光する撮像素子と、
    前記撮像素子の前方に配置され、R(赤)、G(緑)、及びB(青)の3色のフィルタを有するカラーフィルタと、
    前記カラーフィルタの前方に配置された請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルタと、を備えた、
    撮像装置。
JP2017193904A 2017-10-03 2017-10-03 光学フィルタ及び撮像装置 Active JP6273063B1 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017193904A JP6273063B1 (ja) 2017-10-03 2017-10-03 光学フィルタ及び撮像装置
US16/753,283 US11428857B2 (en) 2017-10-03 2018-09-19 Optical filter and imaging apparatus
PCT/JP2018/034695 WO2019069687A1 (ja) 2017-10-03 2018-09-19 光学フィルタ及び撮像装置
KR1020207010315A KR102540605B1 (ko) 2017-10-03 2018-09-19 광학 필터 및 촬상 장치
CN201880064475.3A CN111164469B (zh) 2017-10-03 2018-09-19 滤光器和摄像装置
TW107133413A TWI762722B (zh) 2017-10-03 2018-09-21 濾光器及攝像裝置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017193904A JP6273063B1 (ja) 2017-10-03 2017-10-03 光学フィルタ及び撮像装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6273063B1 true JP6273063B1 (ja) 2018-01-31
JP2019066742A JP2019066742A (ja) 2019-04-25

Family

ID=61074759

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017193904A Active JP6273063B1 (ja) 2017-10-03 2017-10-03 光学フィルタ及び撮像装置

Country Status (6)

Country Link
US (1) US11428857B2 (ja)
JP (1) JP6273063B1 (ja)
KR (1) KR102540605B1 (ja)
CN (1) CN111164469B (ja)
TW (1) TWI762722B (ja)
WO (1) WO2019069687A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6259155B1 (ja) * 2017-10-03 2018-01-10 日本板硝子株式会社 光学フィルタ及び撮像装置
JP6273064B1 (ja) 2017-10-03 2018-01-31 日本板硝子株式会社 光学フィルタ及び撮像装置
WO2020235610A1 (ja) * 2019-05-23 2020-11-26 日本板硝子株式会社 光吸収性組成物、光吸収膜、及び光学フィルタ
KR102475669B1 (ko) * 2020-09-22 2022-12-09 주식회사 창강화학 광학 필터
WO2024048511A1 (ja) * 2022-08-31 2024-03-07 Agc株式会社 光学フィルタ

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012185468A (ja) * 2010-12-17 2012-09-27 Nippon Shokubai Co Ltd 光選択透過フィルター、樹脂シート及び固体撮像素子
WO2015111316A1 (ja) * 2014-01-24 2015-07-30 コニカミノルタ株式会社 撮像光学系,撮像光学装置及びデジタル機器
WO2016114362A1 (ja) * 2015-01-14 2016-07-21 旭硝子株式会社 近赤外線カットフィルタおよび固体撮像装置
WO2017006571A1 (ja) * 2015-07-09 2017-01-12 日本板硝子株式会社 赤外線カットフィルタ、撮像装置、及び赤外線カットフィルタの製造方法
US20170146708A1 (en) * 2014-02-12 2017-05-25 Woo Joo LAH Optical filter and imaging device comprising same

Family Cites Families (27)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4043248A (en) 1976-06-10 1977-08-23 General Electric Company Liquid propellant gun (recoilless regenerative piston)
JPS6119920U (ja) 1984-07-10 1986-02-05 三菱電機株式会社 押釦スイツチ
JPH0784123A (ja) * 1993-09-13 1995-03-31 Kureha Chem Ind Co Ltd 光学フィルター
US6531230B1 (en) * 1998-01-13 2003-03-11 3M Innovative Properties Company Color shifting film
CN101606089A (zh) * 2007-02-19 2009-12-16 三洋化成工业株式会社 多层结构粒子
JP5936299B2 (ja) 2010-11-08 2016-06-22 Jsr株式会社 近赤外線カットフィルター、およびそれを備える固体撮像素子ならびに固体撮像装置
KR101903518B1 (ko) * 2011-02-24 2018-10-04 에이에스엠엘 네델란즈 비.브이. 스침 입사 반사기, 리소그래피 장치, 스침 입사 반사기 제조 방법, 및 디바이스 제조 방법
KR101878013B1 (ko) * 2011-06-06 2018-08-09 에이지씨 가부시키가이샤 광학 필터, 고체 촬상 소자, 촬상 장치용 렌즈 및 촬상 장치
KR101677966B1 (ko) * 2012-03-02 2016-11-21 후지필름 가부시키가이샤 착색 경화성 조성물 및 컬러필터
WO2014002864A1 (ja) * 2012-06-25 2014-01-03 Jsr株式会社 固体撮像素子用光学フィルターおよびその用途
JP6233308B2 (ja) 2012-08-23 2017-11-22 旭硝子株式会社 近赤外線カットフィルタおよび固体撮像装置
JP6317875B2 (ja) 2012-09-06 2018-04-25 日本板硝子株式会社 赤外線カットフィルタ、撮像装置および赤外線カットフィルタの製造方法
JP6241419B2 (ja) * 2012-11-30 2017-12-06 旭硝子株式会社 近赤外線カットフィルタ
JP6248945B2 (ja) * 2012-12-06 2017-12-20 旭硝子株式会社 近赤外線カットフィルタ
JP2014203044A (ja) 2013-04-09 2014-10-27 日本板硝子株式会社 赤外線カットフィルタおよび撮像装置
CN105247391B (zh) * 2013-04-11 2018-06-12 富士胶片株式会社 近红外线吸收性组合物、近红外线截止滤波器及其制造方法、以及照相机模块及其制造方法
KR101527822B1 (ko) 2013-09-06 2015-06-10 주식회사 엘엠에스 광학 필터 및 이를 포함하는 촬상 장치
JP6086885B2 (ja) * 2013-09-30 2017-03-01 富士フイルム株式会社 着色組成物、硬化膜、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、固体撮像素子、画像表示装置および化合物
CN109031492B (zh) * 2013-12-26 2021-02-02 Agc株式会社 滤光器
JP2016124903A (ja) * 2014-12-26 2016-07-11 株式会社クレハ 近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法、近赤外線吸収剤微粒子分散液およびその用途
CN106062592B (zh) * 2015-01-14 2018-11-23 Agc株式会社 近红外线截止滤波器和摄像装置
KR20160088147A (ko) * 2015-01-15 2016-07-25 주식회사 엘엠에스 근적외선 흡수층이 형성된 고체 촬상 장치용 커버글라스
CN106104319B (zh) * 2015-02-18 2018-12-07 Agc株式会社 光学滤波器和摄像装置
WO2017018419A1 (ja) * 2015-07-28 2017-02-02 Jsr株式会社 光学フィルター及び光学フィルターを具備する環境光センサー
CN108027465B (zh) * 2015-09-24 2020-09-22 日本板硝子株式会社 红外线吸收层用组合物、红外线截止滤光片及摄像装置
CN105807353A (zh) * 2016-05-24 2016-07-27 苏州大学 可见光及红外波段的宽波段吸收滤光结构及其制备方法
JP6267823B1 (ja) * 2017-07-27 2018-01-24 日本板硝子株式会社 光学フィルタ、カメラモジュール、及び情報端末

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012185468A (ja) * 2010-12-17 2012-09-27 Nippon Shokubai Co Ltd 光選択透過フィルター、樹脂シート及び固体撮像素子
WO2015111316A1 (ja) * 2014-01-24 2015-07-30 コニカミノルタ株式会社 撮像光学系,撮像光学装置及びデジタル機器
US20170146708A1 (en) * 2014-02-12 2017-05-25 Woo Joo LAH Optical filter and imaging device comprising same
WO2016114362A1 (ja) * 2015-01-14 2016-07-21 旭硝子株式会社 近赤外線カットフィルタおよび固体撮像装置
WO2017006571A1 (ja) * 2015-07-09 2017-01-12 日本板硝子株式会社 赤外線カットフィルタ、撮像装置、及び赤外線カットフィルタの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
US11428857B2 (en) 2022-08-30
WO2019069687A1 (ja) 2019-04-11
JP2019066742A (ja) 2019-04-25
TWI762722B (zh) 2022-05-01
CN111164469B (zh) 2022-01-11
KR102540605B1 (ko) 2023-06-07
TW201928414A (zh) 2019-07-16
CN111164469A (zh) 2020-05-15
KR20200064086A (ko) 2020-06-05
US20200333516A1 (en) 2020-10-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6273064B1 (ja) 光学フィルタ及び撮像装置
JP6273063B1 (ja) 光学フィルタ及び撮像装置
JP7240234B2 (ja) 光学フィルタ及び撮像装置
JPWO2019111638A1 (ja) 光学フィルタ及び撮像装置
WO2019138976A1 (ja) 光学フィルタ及び撮像装置
JP6259155B1 (ja) 光学フィルタ及び撮像装置
JP6966334B2 (ja) 光学フィルタ及び撮像装置
JP6259157B1 (ja) 光学フィルタ及び撮像装置
JP6259156B1 (ja) 光学フィルタ及び撮像装置
JP6273062B1 (ja) 光学フィルタ及び撮像装置
KR102660726B1 (ko) 광학 필터 및 촬상 장치
JPWO2019111965A1 (ja) 光学フィルタ及び撮像装置

Legal Events

Date Code Title Description
A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20171127

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171205

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180104

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6273063

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250