JP2016124903A - 近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法、近赤外線吸収剤微粒子分散液およびその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】近赤外線吸収剤中に存在する有機酸が低減され、かつ分散性に優れる近赤外線吸収剤微粒子分散液を提供する。【解決手段】本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、近赤外線吸収剤を含む反応混合物を得る工程I、反応混合物中の液体成分を除去する工程II、液体成分の除去された反応混合物、分散媒から分散液Aを得る工程III、分散液A中の近赤外線吸収剤を微粒子化し分散液Bを得る工程IV、分散液B中の近赤外線吸収剤から、有機酸を除去し、分散液Cを得る工程V、分散液Cから有機酸を除去し、分散液Dを得る工程VI、および分散液D中の近赤外線吸収剤を微粒子化する工程VIIを有し、工程Xおよび工程Yの一方の工程を有し、工程Xが、工程IIIとIVの間に行われる、分散液A中の分散媒から、有機酸を除去する工程であり、工程Yが、工程IVとVの間に行われる、分散液B中の分散媒から、有機酸を除去する工程であることを特徴とする。【選択図】なし
Description
本発明は近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法、近赤外線吸収剤微粒子分散液およびその用途に関する。
銅イオンは、近赤外領域の光(以下、「近赤外線」ともいう)の吸収特性に優れており、銅イオンが有する近赤外線の吸収特性を利用した近赤外線吸収剤が従来から提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、特定のホスホン酸化合物と、特定のリン酸エステル化合物と、銅イオンとを含有する近赤外線吸収剤が開示されている。特許文献1には該近赤外線吸収剤が、優れた透明性、耐熱性を有することが開示されている。
また、特許文献2には、特定のホスホン酸化合物と、特定のリン酸エステル化合物と、銅塩とを反応させて近赤外線吸収剤を含む反応混合物を得た後に、特定の方法により精製することにより、精製された近赤外線吸収剤を含有する近赤外線吸収剤分散液の製造方法が開示されている。特許文献2には、該製造方法で得られる近赤外線吸収剤分散液は、近赤外線吸収剤の分散性に優れていること、該分散液から作製された樹脂組成物は、耐熱性に優れることが開示されている。
近赤外線吸収剤を製造する際の原料や、精製方法により近赤外線吸収剤の物性を向上させることは従来から検討されてきたが、各種用途により好適に用いるため、物性のさらなる向上が望まれていた。
本発明は上記従来技術を鑑みてされたものであり、近赤外線吸収剤中に存在する有機酸が低減され、かつ分散性に優れる近赤外線吸収剤微粒子分散液を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の方法で近赤外線吸収剤微粒子分散液を製造することにより、近赤外線吸収剤中に存在する有機酸を低減することが可能であり、かつ分散性に優れる近赤外線吸収剤微粒子分散液が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、有機酸銅塩および有機酸銅塩の水和物の少なくとも一方と、下記一般式(1)で表されるホスホン酸化合物とを溶媒中で反応させ、近赤外線吸収剤を含む反応混合物を得る工程I、
前記反応混合物中の液体成分の少なくとも一部を除去する工程II、
前記工程IIで得られた液体成分の少なくとも一部が除去された反応混合物と、分散媒とから近赤外線吸収剤分散液(A)を得る工程III、
前記近赤外線吸収剤分散液(A)中の近赤外線吸収剤を微粒子化し、近赤外線吸収剤分散液(B)を得る工程IV、
前記近赤外線吸収剤分散液(B)中の近赤外線吸収剤から、有機酸の少なくとも一部を除去し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程V、
前記近赤外線吸収剤分散液(C)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去し、精製された近赤外線吸収剤分散液(D)を得る工程VI、および
前記近赤外線吸収剤分散液(D)中の近赤外線吸収剤を微粒子化する工程VIIを有し、
工程Xおよび工程Yの少なくとも一方の工程を有し、
前記工程Xが、前記工程IIIと工程IVとの間に行われる、近赤外線吸収剤分散液(A)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去する工程であり、
前記工程Yが、前記工程IVと工程Vとの間に行われる、近赤外線吸収剤分散液(B)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去する工程であることを特徴とする製法である。
前記反応混合物中の液体成分の少なくとも一部を除去する工程II、
前記工程IIで得られた液体成分の少なくとも一部が除去された反応混合物と、分散媒とから近赤外線吸収剤分散液(A)を得る工程III、
前記近赤外線吸収剤分散液(A)中の近赤外線吸収剤を微粒子化し、近赤外線吸収剤分散液(B)を得る工程IV、
前記近赤外線吸収剤分散液(B)中の近赤外線吸収剤から、有機酸の少なくとも一部を除去し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程V、
前記近赤外線吸収剤分散液(C)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去し、精製された近赤外線吸収剤分散液(D)を得る工程VI、および
前記近赤外線吸収剤分散液(D)中の近赤外線吸収剤を微粒子化する工程VIIを有し、
工程Xおよび工程Yの少なくとも一方の工程を有し、
前記工程Xが、前記工程IIIと工程IVとの間に行われる、近赤外線吸収剤分散液(A)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去する工程であり、
前記工程Yが、前記工程IVと工程Vとの間に行われる、近赤外線吸収剤分散液(B)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去する工程であることを特徴とする製法である。
前記工程IVおよび工程VIIにおける微粒子化をそれぞれ、湿式ジェットミル、超音波装置から選択される少なくとも一種の装置を用いて行うことが好ましく、湿式ジェットミルを用いて行うことがより好ましい。
前記工程Vが、下記(1)〜(7)から選択される少なくとも1種の工程であることが好ましい。
(1)近赤外線吸収剤分散液(B)にアルコールを加え、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(2)近赤外線吸収剤分散液(B)を、温度40〜150℃で加熱し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(3)近赤外線吸収剤分散液(B)に、4時間以上超音波照射を行い、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(4)近赤外線吸収剤分散液(B)に前記一般式(1)で表されるホスホン酸化合物を添加し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(5)近赤外線吸収剤分散液(B)を、0〜40℃で20〜200日保持し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(6)近赤外線吸収剤分散液(B)に分散剤を添加し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(7)前記工程IIIにおいて分散媒の少なくとも一部としてアルコールを用い、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
前記工程Iにおける反応が分散剤存在下で行われることが好ましく、前記工程Iで用いられる分散剤が、下記一般式(2)で表されるリン酸モノエステル、下記一般式(3)で表されるリン酸ジエステル、およびこれらのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物であることがより好ましい。
(1)近赤外線吸収剤分散液(B)にアルコールを加え、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(2)近赤外線吸収剤分散液(B)を、温度40〜150℃で加熱し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(3)近赤外線吸収剤分散液(B)に、4時間以上超音波照射を行い、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(4)近赤外線吸収剤分散液(B)に前記一般式(1)で表されるホスホン酸化合物を添加し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(5)近赤外線吸収剤分散液(B)を、0〜40℃で20〜200日保持し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(6)近赤外線吸収剤分散液(B)に分散剤を添加し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(7)前記工程IIIにおいて分散媒の少なくとも一部としてアルコールを用い、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
前記工程Iにおける反応が分散剤存在下で行われることが好ましく、前記工程Iで用いられる分散剤が、下記一般式(2)で表されるリン酸モノエステル、下記一般式(3)で表されるリン酸ジエステル、およびこれらのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物であることがより好ましい。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液は、前記製造方法で得られる。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子は、前記近赤外線吸収剤微粒子分散液から得られる。
本発明の樹脂組成物は、前記近赤外線吸収剤微粒子と樹脂とを含む。
本発明の合わせガラス用中間膜は、前記樹脂組成物から形成される。
本発明の合わせガラスは、前記合わせガラス用中間膜を有する。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子は、前記近赤外線吸収剤微粒子分散液から得られる。
本発明の樹脂組成物は、前記近赤外線吸収剤微粒子と樹脂とを含む。
本発明の合わせガラス用中間膜は、前記樹脂組成物から形成される。
本発明の合わせガラスは、前記合わせガラス用中間膜を有する。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、近赤外線吸収剤中に存在する有機酸を低減することが可能であり、かつ分散性に優れる近赤外線吸収剤微粒子分散液を得ることができる。
次に本発明について具体的に説明する。
[近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法]
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、有機酸銅塩および有機酸銅塩の水和物の少なくとも一方と、一般式(1)で表されるホスホン酸化合物とを溶媒中で反応させ、近赤外線吸収剤を含む反応混合物を得る工程I、前記反応混合物中の液体成分の少なくとも一部を除去する工程II、前記工程IIで得られた液体成分の少なくとも一部が除去された反応混合物と、分散媒とから近赤外線吸収剤分散液(A)を得る工程III、前記近赤外線吸収剤分散液(A)中の近赤外線吸収剤を微粒子化し、近赤外線吸収剤分散液(B)を得る工程IV、前記近赤外線吸収剤分散液(B)中の近赤外線吸収剤から、有機酸の少なくとも一部を除去し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程V、前記近赤外線吸収剤分散液(C)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去し、精製された近赤外線吸収剤分散液(D)を得る工程VI、および前記近赤外線吸収剤分散液(D)中の近赤外線吸収剤を微粒子化する工程VIIを有し、工程Xおよび工程Yの少なくとも一方の工程を有する。
[近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法]
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、有機酸銅塩および有機酸銅塩の水和物の少なくとも一方と、一般式(1)で表されるホスホン酸化合物とを溶媒中で反応させ、近赤外線吸収剤を含む反応混合物を得る工程I、前記反応混合物中の液体成分の少なくとも一部を除去する工程II、前記工程IIで得られた液体成分の少なくとも一部が除去された反応混合物と、分散媒とから近赤外線吸収剤分散液(A)を得る工程III、前記近赤外線吸収剤分散液(A)中の近赤外線吸収剤を微粒子化し、近赤外線吸収剤分散液(B)を得る工程IV、前記近赤外線吸収剤分散液(B)中の近赤外線吸収剤から、有機酸の少なくとも一部を除去し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程V、前記近赤外線吸収剤分散液(C)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去し、精製された近赤外線吸収剤分散液(D)を得る工程VI、および前記近赤外線吸収剤分散液(D)中の近赤外線吸収剤を微粒子化する工程VIIを有し、工程Xおよび工程Yの少なくとも一方の工程を有する。
前記工程Xが、前記工程IIIと工程IVとの間に行われる、近赤外線吸収剤分散液(A)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去する工程であり、前記工程Yが、前記工程IVと工程Vとの間に行われる、近赤外線吸収剤分散液(B)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去する工程である、
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法では、工程Vを有するため、従来の近赤外線吸収剤分散液の製造方法と比べて、近赤外線吸収剤自体が含有する有機酸の含量を低減することが可能である。すなわち、本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法で得られる分散液は、精製された近赤外線吸収剤微粒子を含む。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法では、工程Vを有するため、従来の近赤外線吸収剤分散液の製造方法と比べて、近赤外線吸収剤自体が含有する有機酸の含量を低減することが可能である。すなわち、本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法で得られる分散液は、精製された近赤外線吸収剤微粒子を含む。
また、工程Vは、一般に近赤外線吸収剤の分散性を悪化させるが、本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法では、工程IVを有することにより、工程Vを有するにも関わらず、近赤外線吸収剤が分散性に優れるため、近赤外線吸収剤微粒子分散液を得ることができる。
本発明者らは、従来の有機酸銅塩あるいはその水和物と、ホスホン酸化合物とを反応させて近赤外線吸収剤を得る方法では、近赤外線吸収剤中に、有機酸銅塩あるいはその水和物に由来する有機酸が残存すること、該有機酸は、近赤外線吸収剤中に配位結合等によって結合した状態で存在していると考えられ、近赤外線吸収剤を単に真空乾燥する等の方法では除去することが困難なことを見出した。また、該有機酸が近赤外線吸収剤を含む樹脂組成物に、光を照射した際等に起こる黒化の原因であることを見出した。本発明の製造方法では、工程Vを行うことにより、近赤外線吸収剤中に存在する有機酸を低減することが可能であり、本発明の製造方法で得られた近赤外線吸収剤微粒子を含む樹脂組成物は、黒化が抑制されており耐光性に優れる。
[工程I]
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、有機酸銅塩および有機酸銅塩の水和物の少なくとも一方と、一般式(1)で表されるホスホン酸化合物とを溶媒中で反応させ、近赤外線吸収剤を含む反応混合物を得る工程Iを有する。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、有機酸銅塩および有機酸銅塩の水和物の少なくとも一方と、一般式(1)で表されるホスホン酸化合物とを溶媒中で反応させ、近赤外線吸収剤を含む反応混合物を得る工程Iを有する。
工程Iでは、有機酸銅塩および有機酸銅塩の水和物の少なくとも一方と、一般式(1)で表されるホスホン酸化合物とを溶媒中で反応させることにより、近赤外線吸収剤を含む反応混合物を得るが、さらに他の原料を用いて反応を行ってもよい。他の原料としては、例えば分散剤を用いることができる。
前記分散剤としては、リン酸系分散剤、スルホン酸系分散剤などの陰イオン性分散剤が挙げられ、リン酸系分散剤が好ましい。リン酸系分散剤としては、リン酸エステル系分散剤が好ましい。前記リン酸エステル系分散剤としては、下記一般式(2)で表されるリン酸モノエステル、下記一般式(3)で表されるリン酸ジエステル、およびこれらのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物が好ましい。
なお、本発明において、「一般式(1)で表されるホスホン酸化合物」を、「特定のホスホン酸化合物」とも記す。
工程Iで得られる反応今後物中に含まれる近赤外線吸収剤は、主として前記特定のホスホン酸化合物と、有機酸銅塩および有機酸銅塩の水和物の少なくとも一方とが反応することにより得られるホスホン酸銅塩が有する銅イオンによって、近赤外線吸収特性を有すると考えられる。なお、該ホスホン酸銅塩は、下記一般式(4)で表わされる。
工程Iで得られる近赤外線吸収剤は、下記一般式(4)で表わされる構造を有しており、他の原料を用いた場合には、該原料に由来する構造も有している。
例えば、分散剤を用いた場合には、近赤外線吸収剤は、銅イオンに対して主として前記特定のホスホン酸化合物が配位し、さらにその周りに分散剤が存在すると考えられる。また、分散剤として、リン酸エステル系分散剤を用いた場合には、銅イオンの一部には、前記リン酸エステル系分散剤が配位していると考えられる。
例えば、分散剤を用いた場合には、近赤外線吸収剤は、銅イオンに対して主として前記特定のホスホン酸化合物が配位し、さらにその周りに分散剤が存在すると考えられる。また、分散剤として、リン酸エステル系分散剤を用いた場合には、銅イオンの一部には、前記リン酸エステル系分散剤が配位していると考えられる。
このため、近赤外線吸収剤中の銅イオンは、熱等に対する安定性に優れ、例えば該近赤外線吸収剤微粒子を、樹脂と共に用いた場合、近赤外線吸収剤微粒子と樹脂とを含む樹脂組成物は、熱成形を行った場合でも樹脂が銅イオンの影響を受けず、着色が少なく透明性に優れる。
前記一般式(1)および(4)におけるR11としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロへキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデシル基等が挙げられる。
また、工程Iにより近赤外線吸収剤を含む反応混合物を製造する際には、前記一般式(1)および(4)における前記R11が炭素数の大きな基、分子鎖の長い基であると、分散性が低下する傾向があるため、R11としては、水素原子または炭素数が1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素数が2〜10のアルキル基であることがより好ましい。
本発明に用いられることが可能なリン酸エステル系分散剤としては、分散剤として用いられるリン酸エステル化合物であればよく、特に限定はないが、好ましくは下記一般式(2)で表されるリン酸モノエステル、下記一般式(3)で表されるリン酸ジエステル、およびこれらのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物が用いられる。
なお、本発明において、「一般式(2)で表されるリン酸モノエステル、一般式(3)で表されるリン酸ジエステル、およびこれらのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物」を、「特定のリン酸エステル化合物」とも記す。
前記一般式(2)および(3)において、R2、R3およびR4は、−(CH2CH2O)nR12で表される1価の基(ポリオキシアルキル基)である。nは2〜65の整数であり、好ましくは4〜65の整数であり、より好ましくは4〜45であり、特に好ましくは6〜45の整数である。nが2未満である場合には、近赤外線吸収剤微粒子を樹脂と共に用いて、成形体を製造した際に、該成形体の透明性が不充分となる場合がある。また、nが65を超えると、充分な透明性を有する成形体を得るために必要な、リン酸エステル化合物の量が増え、コスト高の原因となる。
また、R12は、炭素数6〜35のアルキル基または炭素数6〜35のアルキルフェニル基であり、炭素数6〜35のアルキル基であることが好ましく、炭素数6〜25のアルキル基であることがより好ましく、8〜20のアルキル基であることが特に好ましく、12〜20のアルキル基であることが最も好ましい。R12が、炭素数6未満の基であると、成形体の透明性が不充分となる場合がある。また、R12が、炭素数35を超える基であると、充分な透明性を有する成形体を得るために必要な、リン酸エステル化合物の量が増え、コスト高の原因となる。
工程Iにおいて近赤外線吸収剤を含む反応混合物を得る際に、一般式(2)で表されるリン酸モノエステル、一般式(3)で表されるリン酸ジエステル、およびこれらのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物を用いる場合には、一般式(2)で表されるリン酸モノエステルのみを用いても、一般式(3)で表されるリン酸ジエステルのみを用いても、一般式(2)で表されるリン酸モノエステルのアルカリ金属塩のみを用いても、一般式(3)で表されるリン酸ジエステルのアルカリ金属塩のみを用いてもよいが、これらを併用して用いてもよく、一般式(2)で表されるリン酸モノエステルと、一般式(3)で表されるリン酸ジエステルとを併用することが好ましい。
前記一般式(2)で表されるリン酸モノエステルと、一般式(3)で表されるリン酸ジエステルとを用いると、成形体の透明性、耐熱性に優れる傾向があり好ましい。これらの場合には一般式(2)で表されるリン酸モノエステルと、一般式(3)で表されるリン酸ジエステルとの割合は、特に限定されないが、通常はモル比((2):(3))で10:90〜90:10である。
また、前記一般式(2)で表されるリン酸モノエステルとしては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよく、前記一般式(3)で表されるリン酸ジエステルとしては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
また、前記アルカリ金属塩を用いる場合には、前記一般式(2)で表されるリン酸モノエステル、一般式(3)で表されるリン酸ジエステルを、アルカリ金属化合物で中和することにより得ることが可能である。
前記アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、水素化物や、炭酸水素塩、炭酸塩、硝酸塩、硫酸水素塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩などの有機酸塩等が挙げられ、アルカリ金属の水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩が好ましい。
また、アルカリ金属化合物を構成する金属種としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムが挙げられるが、ナトリウム、カリウム、セシウムが好ましく、ナトリウムがより好ましい。すなわち、前記アルカリ金属化合物としてはナトリウム塩、カリウム塩、およびセシウム塩から選択される少なくとも1種の塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
なお、アルカリ金属化合物としては一種を用いても、二種以上を用いてもよい。
また、分散剤としては、他のリン酸エステルを用いることも可能である。他のリン酸エステルとしては、例えばリン酸トリエステルが挙げられ、該リン酸トリエステルは、単独で用いても、前記特定のリン酸エステル化合物と共に用いてもよい。
また、分散剤としては、他のリン酸エステルを用いることも可能である。他のリン酸エステルとしては、例えばリン酸トリエステルが挙げられ、該リン酸トリエステルは、単独で用いても、前記特定のリン酸エステル化合物と共に用いてもよい。
前記下記一般式(2)で表されるリン酸モノエステル、下記一般式(3)で表されるリン酸ジエステル、およびこれらのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物としては、市販されているリン酸エステル化合物を用いることもできる。
前記有機酸銅塩および有機酸銅塩の水和物の少なくとも一方としては、2価の銅イオンを供給することが可能な有機酸銅塩および有機酸銅塩の水和物の少なくとも一方が通常用いられる。前記有機酸銅塩および有機酸銅塩の水和物としては例えば、酢酸銅無水物、蟻酸銅無水物、ステアリン酸銅無水物、安息香酸銅無水物、エチルアセト酢酸銅無水物、ピロリン酸銅無水物、ナフテン酸銅無水物、クエン酸銅無水物等の有機酸銅塩、該有機酸銅塩の水和物が挙げられる。なお、有機酸銅塩および有機酸銅塩の水和物の少なくとも一方としては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
有機酸銅塩および有機酸銅塩の水和物の少なくとも一方としては、酢酸銅無水物、酢酸銅1水和物が、溶解性や副生成物の除去の点から好ましく用いられる。なお、有機酸銅塩および有機酸銅塩の水和物の少なくとも一方として、酢酸銅無水物、酢酸銅1水和物を用いた場合には、工程Iで得られる近赤外線吸収剤中には、有機酸である酢酸が配位結合等によって結合した状態で存在すると考えられる。
また、工程Iで用いる前記各成分の量は以下のとおりである。
また、工程Iで用いる前記各成分の量は以下のとおりである。
前記特定のホスホン酸化合物は、有機酸銅塩および有機酸銅塩の水和物中の銅1モルあたり、0.4モル以上であることが好ましく、0.5〜1.5モルであることがより好ましく、0.7〜1.2モルであることが特に好ましい。前記範囲内では、成形体の透明性、耐熱性が特に優れるため好ましい。
また、分散剤として、特定のリン酸エステル化合物を用いる場合には、前記特定のホスホン酸化合物100質量部に対して、前記リン酸エステル化合物1〜1000質量部用いることがより好ましく、5〜200質量部用いることが特に好ましい。
反応に用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、およびテトラヒドロフラン(THF)から選択される少なくとも1種の有機溶媒を含むことが好ましい。また、反応性の観点からメタノール、エタノール、THF、およびDMFから選択される少なくとも1種の有機溶媒を含むことが好ましく、メタノール、およびエタノールから選択される少なくとも1種の有機溶媒を含むことがより好ましい。前記有機溶媒としては、これらの有機溶媒のみでもよく、それ以外の有機溶媒を含んでいてもよい。
反応に用いる溶媒の量は、銅塩(有機酸銅塩および有機酸銅塩の水和物の少なくとも一方)100質量部に対して、通常は500〜20000質量部であり、好ましくは1000〜15000質量部である。
前記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、DMF、およびTHFから選択される少なくとも1種の有機溶媒(好ましくは、メタノール、エタノール、THF、およびDMFから選択される少なくとも1種の有機溶媒、より好ましくはメタノール、およびエタノールから選択される少なくとも1種の有機溶媒)100質量部に対して、それ以外の有機溶媒が、通常は0〜50質量部、好ましくは0〜30質量部含まれていてもよい。有機溶媒として、二種以上の有機溶媒を用いる場合に、その具体例としては、エタノールと、少量のその他の有機溶媒とを含む、変性エタノールが挙げられる。変性エタノールは、エタノール100質量部に対してその他の有機溶媒を、通常は3〜50質量部、好ましくは3〜30質量部含んでいる。変性エタノールとしては、メタノール変性エタノール、イソプロピルアルコール変性エタノール、トルエン変性エタノールが挙げられる。
また、工程Iは、通常は0〜80℃、好ましくは10〜60℃、より好ましくは室温〜60℃、特に好ましくは20〜40℃の温度条件で、通常は0.5〜60時間、好ましくは0.5〜30時間、より好ましくは0.5〜20時間、特に好ましくは1〜15時間行われる。工程Iは、通常撹拌下で行われる。
該工程Iによって、近赤外線吸収剤を含む反応混合物が得られる。反応混合物には、近赤外線吸収剤以外に、溶媒、用いる原料に依存する有機酸等の副生成物、未反応の原料等が含まれ得る。
[工程II]
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、前記反応混合物中の液体成分の少なくとも一部を除去する工程IIを有する。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、前記反応混合物中の液体成分の少なくとも一部を除去する工程IIを有する。
工程Iで得られた反応混合物の液体成分の少なくとも一部を除去する方法としては、例えば反応混合物中の固形分を沈降させ、液体成分を上澄み液として除去する方法、反応混合物を蒸留することにより液体成分を留分として除去する方法が挙げられる。
固形分を沈降させる方法としては、例えば反応混合物を静置することにより固形分を沈降させる方法や、反応混合物を遠心分離し、固形分を沈降させる方法が挙げられる。
なお、固形分を沈降させる際には、遠心分離を行うことが沈降に必要な時間を短くする観点から好ましい。また、固形分の粒径が小さいほど、沈降に必要な時間が長くなる。固形分を凝集させ、沈降に必要な時間を早める目的で、アセトン、エタノール、水等を、反応混合物に添加してもよい。アセトン、エタノール、水等を、反応混合物に添加する場合には、固形分100質量部あたり、10〜20000質量部添加することが好ましく、20〜15000質量部添加することがより好ましい。
なお、固形分を沈降させる際には、遠心分離を行うことが沈降に必要な時間を短くする観点から好ましい。また、固形分の粒径が小さいほど、沈降に必要な時間が長くなる。固形分を凝集させ、沈降に必要な時間を早める目的で、アセトン、エタノール、水等を、反応混合物に添加してもよい。アセトン、エタノール、水等を、反応混合物に添加する場合には、固形分100質量部あたり、10〜20000質量部添加することが好ましく、20〜15000質量部添加することがより好ましい。
溶媒を除去する方法としては、一般的な装置を使用できる観点から、反応混合物を蒸留することにより溶媒を留分として除去する方法が好ましい。
蒸留は、近赤外線吸収剤の熱劣化を防止する観点から減圧下で行われることが好ましい。すなわち、工程IIは、反応混合物を減圧蒸留することにより、留分として液体成分を除去する工程であることが好ましい。減圧蒸留することにより、工程Iで使用した溶媒と共に、有機酸を共沸により除去することができるため好ましい。
蒸留は、近赤外線吸収剤の熱劣化を防止する観点から減圧下で行われることが好ましい。すなわち、工程IIは、反応混合物を減圧蒸留することにより、留分として液体成分を除去する工程であることが好ましい。減圧蒸留することにより、工程Iで使用した溶媒と共に、有機酸を共沸により除去することができるため好ましい。
減圧蒸留を行う場合には、有機溶媒の種類によっても異なるが、減圧蒸留の条件としては通常は圧力0.01〜15kPaで行われる。なお留分の流出温度は、有機溶媒等の液体成分の種類、圧力によって異なるが通常は30〜150℃である。
工程IIにより、液体成分をほぼすべて除去した場合には、近赤外線吸収剤を、固形分として得ることができる。また、工程IIにおいて、溶媒の一部を除去した場合には、近赤外線吸収剤を、工程Iで得られた反応混合物よりも高い濃度で含む、近赤外線吸収剤の分散液が得られる。
工程IIでは、反応混合物中に液体として存在する有機酸、すなわち、有機溶媒中に溶解した有機酸等を、ある程度除去することは可能であるが、近赤外線吸収剤自体に配位結合等によって結合した状態で存在している有機酸を除去することはできなかった。このため、従来の近赤外線吸収剤分散液の製造方法で得られた近赤外線吸収剤には、近赤外線吸収剤の粒子中に有機酸が取り込まれており、該近赤外線吸収剤を樹脂組成物等として使用すると、有機酸により光を照射した際等に黒化が起こることがあった。それに対して、本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法では、後述の工程Vを行うことにより、有機酸の含量が低減された近赤外線吸収剤微粒子を得ることができる。また、このような近赤外線吸収剤微粒子を含む樹脂組成物は、黒化が抑制されており、耐光性に優れる。
[工程III]
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、前記工程IIで得られた液体成分の少なくとも一部が除去された反応混合物と、分散媒とから近赤外線吸収剤分散液(A)を得る工程IIIを有する。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、前記工程IIで得られた液体成分の少なくとも一部が除去された反応混合物と、分散媒とから近赤外線吸収剤分散液(A)を得る工程IIIを有する。
工程IIで得られた液体成分の少なくとも一部が除去された反応混合物と分散媒とから近赤外線吸収剤分散液(A)を得る方法としては、例えば該反応混合物が固形分である場合には、固形分に分散媒を加え、撹拌、超音波処理等の方法により固形分を分散させ、近赤外線吸収剤分散液(A)を得る方法が挙げられ、該反応混合物が、近赤外線吸収剤を、工程Iで得られた反応混合物よりも高い濃度で含む、近赤外線吸収剤の分散液である場合には、該分散液にさらに分散媒を加え、近赤外線吸収剤分散液(A)を得る方法が挙げられる。なお、この時に撹拌、超音波処理等を行う事も可能であるが、適切な分散媒を選択することによりこのような分散処理を省略することも可能である。なお、超音波処理を行う場合には、超音波の照射が、通常0.5〜7時間、好ましくは1〜6時間行われる。
なお、前記分散媒としては、トルエン、キシレン、アルコール、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、塩化メチレン、クロロホルム、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)等が挙げられ、分散媒としては、一種単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。前記アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられる。
なお、工程Vとして、後述する(7)の工程を行う場合には、分散媒の少なくとも一部としてアルコールを用いる。
工程IIIで得られる近赤外線吸収剤分散液(A)は、近赤外線吸収剤1質量部に対して、分散媒が、1〜100質量部であることが好ましく、3〜50質量部であることがより好ましい。
工程IIIで得られる近赤外線吸収剤分散液(A)は、近赤外線吸収剤1質量部に対して、分散媒が、1〜100質量部であることが好ましく、3〜50質量部であることがより好ましい。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法では、前記工程IIおよびIIIを繰り返し行ってもよい。例えば、一度目の工程IIIの後、二度目の工程IIおよび二度目の工程IIIを行った後に工程IVあるいは工程Xを行ってもよい。
工程IIおよび工程IIIを繰り返す場合には、工程IIおよびIIIを1〜5回繰り返すことが好ましい。なお、二度目以降の工程IIは、工程II’とも表し、二度目以降の工程IIIは、工程III’とも表す。
なお、工程IIは、反応混合物中の液体成分の少なくとも一部を除去する工程であるが、工程II’は、近赤外線吸収剤分散液(A)中の液体成分の少なくとも一部を除去する工程となる。また、工程IIIは、前記工程IIで得られた液体成分の少なくとも一部が除去された反応混合物と、分散媒とから近赤外線吸収剤分散液(A)を得る工程であるが、工程III’は、前記工程II’で得られた液体成分の少なくとも一部が除去された近赤外線吸収剤またはその分散液と、分散媒とから近赤外線吸収剤分散液(A)を得る工程である。工程IIや工程IIIを繰り返すことにより、溶媒や分散媒と共に、有機酸を共沸により除去することができる。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法では、工程Vを有するため、従来の近赤外線吸収剤分散液の製造方法と比べて、有機酸の含量の少ない近赤外線吸収剤を得ることができる。
[工程X]
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、工程Xおよび後述の工程Yの少なくとも一方の工程を有する。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、工程Xおよび後述の工程Yの少なくとも一方の工程を有する。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、工程XおよびYのうち、工程Xのみを有してもよく、工程Yのみを有してもよく、工程XおよびYを有してもよいが、有機酸を高濃度で含む分散液を工程IVにより微粒子化すると、逆反応が生じてホスホン酸銅が分解する可能性があるため、少なくとも工程Xを有することが好ましい。
工程Xは、工程IIIと工程IVとの間に行われる、近赤外線吸収剤分散液(A)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去する工程である。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子の製造方法では、前述のように工程Vを行うことにより、近赤外線吸収剤中に配位結合等によって結合した状態で存在していると考えられる有機酸を、近赤外線吸収剤から除去するが、通常は、工程Vでは、近赤外線吸収剤から分散媒へ有機酸が移動する。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子の製造方法では、前述のように工程Vを行うことにより、近赤外線吸収剤中に配位結合等によって結合した状態で存在していると考えられる有機酸を、近赤外線吸収剤から除去するが、通常は、工程Vでは、近赤外線吸収剤から分散媒へ有機酸が移動する。
工程Vを行う際に、分散媒中に有機酸が多量に含まれる場合には、近赤外線吸収剤から分散媒へ有機酸が移動することが妨げられるため、本発明の製造方法では、工程Vを行う時点で、近赤外線吸収剤分散液(B)の分散媒中に含まれる有機酸が少ない方が好ましい。
このため本発明の製造方法では、工程Xおよび後述の工程Yの少なくとも一方の工程を行い、分散媒から有機酸の少なくとも一部を除去する。
近赤外線吸収剤分散液(A)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去する工程としては、有機酸のみを除去する方法でもよいが、通常はより簡便な、分散媒の一部と共に、有機酸を除去する方法が用いられる。
近赤外線吸収剤分散液(A)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去する工程としては、有機酸のみを除去する方法でもよいが、通常はより簡便な、分散媒の一部と共に、有機酸を除去する方法が用いられる。
近赤外線吸収剤分散液(A)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去する方法としては、例えば固形分(近赤外線吸収剤)を沈降させ、分散媒および有機酸を含む液体成分を上澄み液として除去する方法、近赤外線吸収剤分散液(A)を蒸留することにより分散媒および有機酸を含む液体成分を留分として除去する方法が挙げられる。
固形分を沈降させる方法としては、例えば近赤外線吸収剤分散液(A)を静置することにより固形分を沈降させる方法や、近赤外線吸収剤分散液(A)を遠心分離し、固形分を沈降させる方法が挙げられる。
なお、固形分を沈降させる際には、遠心分離を行うことが沈降に必要な時間を短くする観点から好ましい。また、固形分の粒径が小さいほど、沈降に必要な時間が長くなる。固形分を凝集させ、沈降に必要な時間を早める目的で、アセトン、エタノール、水等を、反応混合物に添加してもよい。アセトン、エタノール、水等を、反応混合物に添加する場合には、固形分100質量部あたり、10〜20000質量部添加することが好ましく、20〜15000質量部添加することがより好ましい。
溶媒を除去する方法としては、一般的な装置を使用できる観点から、近赤外線吸収剤分散液(A)を蒸留することにより分散媒および有機酸を留分として除去する方法が好ましい。
蒸留は、近赤外線吸収剤の熱劣化を防止する観点から減圧下で行われることが好ましい。
すなわち、工程Xは、近赤外線吸収剤分散液(A)を減圧蒸留することにより、留分として分散媒および有機酸を除去する工程であることが好ましい。減圧蒸留することにより、分散媒と共に、有機酸を共沸により除去することができるため好ましい。
すなわち、工程Xは、近赤外線吸収剤分散液(A)を減圧蒸留することにより、留分として分散媒および有機酸を除去する工程であることが好ましい。減圧蒸留することにより、分散媒と共に、有機酸を共沸により除去することができるため好ましい。
減圧蒸留を行う場合には、分散媒や有機酸の種類によっても異なるが、減圧蒸留の条件としては通常は圧力0.01〜15kPaで行われる。なお留分の流出温度は、分散媒や有機酸の種類、圧力によって異なるが通常は30〜150℃である。
工程Xでは、有機酸の少なくとも一部を除去するが、工程Xを経た後の近赤外線吸収剤分散液(A)が、近赤外線吸収剤1質量部に対して、分散媒が、1〜50質量部であることが好ましく、3〜30質量部であることがより好ましい。
また、分散液に、有機酸と共沸するトルエン等の分散媒を加えた後に工程Xを行うことにより、工程Xを経た後の近赤外線吸収剤分散液(A)が、近赤外線吸収剤1質量部に対して分散媒が、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは3〜50質量部となるように工程Xを行ってもよい。
また、工程Xの後に近赤外線吸収剤分散液(A)に分散媒を加え、近赤外線吸収剤1質量部に対して分散媒が、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは3〜30質量部となるように調整を行ってもよい。
工程Xでは、近赤外線吸収剤分散液(A)中に液体として存在する有機酸、すなわち、分散媒中に溶解した有機酸等を除去することが可能である。該工程Xおよび工程Yの少なくとも一方の工程を行うことにより、工程Vを行う時点における近赤外線吸収剤分散液(B)中の分散媒に含まれる有機酸の量を低減することが可能であり、工程Vにおいて、近赤外線吸収剤の粒子中に取り込まれている有機酸を、好適に分散媒に移動させることができる。
[工程IV]
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、前記近赤外線吸収剤分散液(A)中の近赤外線吸収剤を微粒子化し、近赤外線吸収剤分散液(B)を得る工程IVを有する。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、前記近赤外線吸収剤分散液(A)中の近赤外線吸収剤を微粒子化し、近赤外線吸収剤分散液(B)を得る工程IVを有する。
工程IVで行われる微粒子化は、近赤外線吸収剤分散液(A)中の近赤外線吸収剤を微粒子化する処理であり、例えば該工程の前後で平均粒径を測定することにより、微粒子化を確認することができる。
工程IVが行われる前の近赤外線吸収剤分散液(A)中の近赤外線吸収剤の平均粒径は、通常は100〜1000nmであり、好ましくは100〜400nmである。工程IVにより得られた近赤外線吸収剤分散液(B)中の近赤外線吸収剤の平均粒径は、通常は20〜100nmであり、好ましくは30〜80nmである。本発明において平均粒径は動的光散乱法により測定することができる。
微粒子化を行う方法としては、特に限定はないが、湿式ジェットミル、超音波装置から選択される少なくとも一種の装置を用いて行うことが好ましく、湿式ジェットミルを用いて行うことがより好ましい。
湿式ジェットミルは、液相流内で被処理物質の粒子(本発明における近赤外線吸収剤)同士の衝突、または粒子と流路壁との衝突によって、粒子を微粒子化する装置である。また、湿式ジェットミルでは、上記衝突による微粒子化に加えて、液相内で生じるキャビテーションや乱流・剪断等の物理要因も加わり微粒子化が促進される。
湿式ジェットミルの運転条件としては特に限定はないが、圧力100〜350MPaの範囲内であることが好ましく、圧力150〜300MPaの範囲内であることがより好ましい。
湿式ジェットミルでの微粒子化処理は、1PASS〜20PASS行うことが好ましい。
超音波装置は、分散液に超音波を照射することにより被処理物質の粒子(本発明における近赤外線吸収剤)を微粒子化する装置である。
超音波装置は、分散液に超音波を照射することにより被処理物質の粒子(本発明における近赤外線吸収剤)を微粒子化する装置である。
超音波装置の運転条件としては特に限定はないが、通常は1〜100時間、好ましくは1〜40時間超音波照射を行うことにより、微粒子化を行う。
工程IVでは、微粒子化前の粒径と比べて、通常は平均粒子径が1/2〜1/20に微粒子化される。
工程IVでは、微粒子化前の粒径と比べて、通常は平均粒子径が1/2〜1/20に微粒子化される。
なお、本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法で得られる、近赤外線吸収剤微粒子分散液を用いて得られた樹脂組成物の、透明性や、加工時の耐久性の観点から、湿式ジェットミルにより微粒子化することが好ましい。この理由は明らかではないが、本発明者は、湿式ジェットミルによる微粒子化は、他の方法と比べて、一次粒子の破壊ではなく、凝集粒子の解砕が主として起こるため、得られる近赤外線吸収剤微粒子の表面の活性が高くなりづらく、粒子の表面積の増大も少ないためであると推定した。
[工程Y]
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、工程Xおよび後述の工程Yの少なくとも一方の工程を有する。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、工程Xおよび後述の工程Yの少なくとも一方の工程を有する。
工程Yは、工程IVと工程Vとの間に行われる、近赤外線吸収剤分散液(B)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去する工程である。
近赤外線吸収剤分散液(B)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去する工程としては、有機酸のみを除去する方法でもよいが、通常はより簡便な、分散媒の一部と共に、有機酸を除去する方法が用いられる。
近赤外線吸収剤分散液(B)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去する工程としては、有機酸のみを除去する方法でもよいが、通常はより簡便な、分散媒の一部と共に、有機酸を除去する方法が用いられる。
近赤外線吸収剤分散液(B)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去する方法としては、例えば固形分(近赤外線吸収剤)を沈降させ、分散媒および有機酸を含む液体成分を上澄み液として除去する方法、近赤外線吸収剤分散液(B)を蒸留することにより分散媒および有機酸を含む液体成分を留分として除去する方法が挙げられる。
固形分を沈降させる方法としては、例えば近赤外線吸収剤分散液(B)を静置することにより固形分を沈降させる方法や、近赤外線吸収剤分散液(B)を遠心分離し、固形分を沈降させる方法が挙げられる。
なお、固形分を沈降させる際には、遠心分離を行うことが沈降に必要な時間を短くする観点から好ましい。また、固形分の粒径が小さいほど、沈降に必要な時間が長くなる。固形分を凝集させ、沈降に必要な時間を早める目的で、アセトン、エタノール、水等を、反応混合物に添加してもよい。アセトン、エタノール、水等を、反応混合物に添加する場合には、固形分100質量部あたり、10〜20000質量部添加することが好ましく、20〜15000質量部添加することがより好ましい。
溶媒を除去する方法としては、一般的な装置を使用できる観点から、近赤外線吸収剤分散液(B)を蒸留することにより分散媒および有機酸を留分として除去する方法が好ましい。
蒸留は、近赤外線吸収剤の熱劣化を防止する観点から減圧下で行われることが好ましい。
蒸留は、近赤外線吸収剤の熱劣化を防止する観点から減圧下で行われることが好ましい。
すなわち、工程Yは、近赤外線吸収剤分散液(B)を減圧蒸留することにより、留分として分散媒および有機酸を除去する工程であることが好ましい。減圧蒸留することにより、分散媒と共に、有機酸を共沸により除去することができるため好ましい。
減圧蒸留を行う場合には、分散媒や有機酸の種類によっても異なるが、減圧蒸留の条件としては通常は圧力0.01〜15kPaで行われる。なお留分の流出温度は、分散媒や有機酸の種類、圧力によって異なるが通常は30〜150℃である。
工程Yでは、有機酸の少なくとも一部を除去するが、工程Yを経た後の近赤外線吸収剤分散液(B)が、近赤外線吸収剤1質量部に対して、分散媒が、1〜50質量部であることが好ましく、3〜30質量部であることがより好ましい。
また、分散液に、有機酸と共沸するトルエン等の分散媒を加えた後に工程Yを行うことにより、工程Yを経た後の近赤外線吸収剤分散液(B)が、近赤外線吸収剤1質量部に対して分散媒が、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは3〜50質量部となるように工程Yを行ってもよい。
また、工程Yの後に近赤外線吸収剤分散液(B)に分散媒を加え、近赤外線吸収剤1質量部に対して分散媒が、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは3〜30質量部となるように調整を行ってもよい。
工程Yでは、近赤外線吸収剤分散液(B)中に液体として存在する有機酸、すなわち、分散媒中に溶解した有機酸等を除去することが可能である。該工程Xおよび工程Yの少なくとも一方の工程を行うことにより、工程Vを行う時点における近赤外線吸収剤分散液(B)中の分散媒に含まれる有機酸の量を低減することが可能であり、工程Vにおいて、近赤外線吸収剤の粒子中に取り込まれている有機酸を、好適に分散媒に移動させることができる。
[工程V]
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、近赤外線吸収剤分散液(B)中の近赤外線吸収剤から、有機酸の少なくとも一部を除去し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程Vを有する。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、近赤外線吸収剤分散液(B)中の近赤外線吸収剤から、有機酸の少なくとも一部を除去し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程Vを有する。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、工程Vにより、近赤外線吸収剤分散液(B)中の近赤外線吸収剤から有機酸の少なくとも一部を除去するため、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得ることが可能である。このような精製工程を有するため本発明の近赤外線吸収剤微粒子を含む樹脂組成物は、耐光性に優れる。
工程Vでは、近赤外線吸収剤から、有機酸の少なくとも一部が除去できればよく、除去された有機酸は、近赤外線吸収剤分散液中に存在してもよい。すなわち、工程Vでは、固形分である近赤外線吸収剤から、液体成分である分散媒に有機酸が移動すればよい。
工程Vとしては、有機酸の除去が可能であればよく、特に限定はないが、例えば下記(1)〜(7)から選択される少なくとも1種の工程であることが好ましい。
(1)近赤外線吸収剤分散液(B)にアルコールを加え、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(2)近赤外線吸収剤分散液(B)を、温度40〜150℃で加熱し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(3)近赤外線吸収剤分散液(B)に、4時間以上超音波照射を行い、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(4)近赤外線吸収剤分散液(B)に前記一般式(1)で表されるホスホン酸化合物を添加し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(5)近赤外線吸収剤分散液(B)を、0〜40℃で20〜200日保持し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(6)近赤外線吸収剤分散液(B)に分散剤を添加し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(7)前記工程IIIにおいて分散媒の少なくとも一部としてアルコールを用い、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
以下(1)〜(7)の工程について説明する。
(1)近赤外線吸収剤分散液(B)にアルコールを加え、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(2)近赤外線吸収剤分散液(B)を、温度40〜150℃で加熱し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(3)近赤外線吸収剤分散液(B)に、4時間以上超音波照射を行い、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(4)近赤外線吸収剤分散液(B)に前記一般式(1)で表されるホスホン酸化合物を添加し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(5)近赤外線吸収剤分散液(B)を、0〜40℃で20〜200日保持し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(6)近赤外線吸収剤分散液(B)に分散剤を添加し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(7)前記工程IIIにおいて分散媒の少なくとも一部としてアルコールを用い、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
以下(1)〜(7)の工程について説明する。
((1)の工程)
(1)の工程は、近赤外線吸収剤分散液(B)にアルコールを加え、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程である。
(1)の工程は、近赤外線吸収剤分散液(B)にアルコールを加え、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程である。
(1)の工程は、近赤外線吸収剤分散液(B)にアルコールを加えるが、アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。
近赤外線吸収剤分散液(B)に加えられるアルコールの量は、近赤外線吸収剤100質量部あたり、10〜2000質量部であることが好ましく、30〜1000質量部であることがより好ましい。
近赤外線吸収剤分散液(B)に加えられるアルコールの量は、近赤外線吸収剤100質量部あたり、10〜2000質量部であることが好ましく、30〜1000質量部であることがより好ましい。
(1)の工程では、アルコールを添加することで、有機酸銅塩および有機酸銅塩の水和物の少なくとも一方と、特定のホスホン酸化合物とから、近赤外線吸収剤を得る反応の平衡が生成系側に移動すると考えられ、有機酸が固形分である近赤外線吸収剤から、液体側に移動するため、近赤外線吸収剤自体の有機酸含量が減少し、精製された近赤外線吸収剤を得ることが可能である。
(1)の工程では、アルコールを加えた後、撹拌等を行ってもよく、加熱することも可能である。加熱を行う場合には、温度40〜150℃で加熱することが好ましく、50〜120℃で加熱することがより好ましい。また、加熱時間は0.5〜12時間が好ましく、2〜10時間がより好ましい。
((2)の工程)
(2)の工程は、近赤外線吸収剤分散液(B)を、温度40〜150℃で加熱し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程である。
(2)の工程は、近赤外線吸収剤分散液(B)を、温度40〜150℃で加熱し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程である。
(2)の工程では、近赤外線吸収剤分散液(B)を加熱することにより、未反応で系中に存在していた特定のホスホン酸や分散剤が、近赤外線吸収剤中の有機酸が結合している部分と反応すると考えられ、有機酸が固形分である近赤外線吸収剤から、液体側に移動するため、近赤外線吸収剤自体の有機酸含量が減少し、精製された近赤外線吸収剤を得ることが可能である。
(2)の工程では、近赤外線吸収剤分散液(B)を温度40〜150℃で加熱する。加熱は50〜120℃であることがより好ましい。また、加熱時間は0.5〜12時間が好ましく、2〜10時間がより好ましい。
(2)の工程では、加熱と同時に、撹拌等を行ってもよい。
(2)の工程では、加熱と同時に、撹拌等を行ってもよい。
((3)の工程)
(3)の工程は、近赤外線吸収剤分散液(B)に、4時間以上超音波照射を行い、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程である。
(3)の工程では、近赤外線吸収剤分散液(B)に、4時間以上超音波照射を行うことにより、未反応で系中に存在していた特定のホスホン酸や分散剤が、近赤外線吸収剤中の有機酸が結合している部分と反応すると考えられ、有機酸が固形分である近赤外線吸収剤から、液体側に移動するため、近赤外線吸収剤自体の有機酸含量が減少し、精製された近赤外線吸収剤を得ることが可能である。
(3)の工程は、近赤外線吸収剤分散液(B)に、4時間以上超音波照射を行い、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程である。
(3)の工程では、近赤外線吸収剤分散液(B)に、4時間以上超音波照射を行うことにより、未反応で系中に存在していた特定のホスホン酸や分散剤が、近赤外線吸収剤中の有機酸が結合している部分と反応すると考えられ、有機酸が固形分である近赤外線吸収剤から、液体側に移動するため、近赤外線吸収剤自体の有機酸含量が減少し、精製された近赤外線吸収剤を得ることが可能である。
(3)の工程では、近赤外線吸収剤分散液(B)に、4時間以上、好ましくは4〜24時間、より好ましくは6〜18時間、特に好ましくは10〜16時間の超音波照射を行う。
なお、超音波照射を行う際の温度としては特に限定はないが、通常は5〜40℃、好ましくは10〜35℃である。
なお、超音波照射を行う際の温度としては特に限定はないが、通常は5〜40℃、好ましくは10〜35℃である。
((4)の工程)
(4)の工程は、近赤外線吸収剤分散液(B)に前記一般式(1)で表されるホスホン酸化合物を添加し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程である。
(4)の工程は、近赤外線吸収剤分散液(B)に前記一般式(1)で表されるホスホン酸化合物を添加し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程である。
近赤外線吸収剤分散液(B)に添加される前記一般式(1)で表されるホスホン酸化合物の量は、近赤外線吸収剤100質量部あたり、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましい。該ホスホン酸化合物は、ホスホン酸化合物の溶液として添加してもよい。
ホスホン酸化合物の溶液として添加する場合、その溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。
一般式(1)で表されるホスホン酸化合物としては、工程Iで使用したものと同じホスホン酸化合物を用いることが、コスト抑制、不純物の種類抑制のため好ましい。
一般式(1)で表されるホスホン酸化合物としては、工程Iで使用したものと同じホスホン酸化合物を用いることが、コスト抑制、不純物の種類抑制のため好ましい。
(4)の工程では、一般式(1)で表されるホスホン酸化合物が、近赤外線吸収剤中の有機酸が結合している部分と反応すると考えられ、有機酸が固形分である近赤外線吸収剤から、液体側に移動するため、近赤外線吸収剤自体の有機酸含量が減少し、精製された近赤外線吸収剤を得ることが可能である。
(4)の工程では、ホスホン酸化合物を加えた後、撹拌等を行ってもよく、加熱することも可能である。加熱を行う場合には、温度40〜150℃で加熱することが好ましく、50〜120℃で加熱することがより好ましい。また、加熱時間は0.5〜12時間が好ましく、2〜10時間がより好ましい。
((5)の工程)
(5)の工程は、近赤外線吸収剤分散液(B)を、0〜40℃で20〜200日保持し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程である。
(5)の工程は、近赤外線吸収剤分散液(B)を、0〜40℃で20〜200日保持し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程である。
(5)の工程では、近赤外線吸収剤分散液(B)を、0〜40℃で20〜200日保持することにより、未反応で系中に存在していた特定のホスホン酸や分散剤が、近赤外線吸収剤中の有機酸が結合している部分と反応すると考えられ、有機酸が固形分である近赤外線吸収剤から、液体側に移動するため、近赤外線吸収剤自体の有機酸含量が減少し、精製された近赤外線吸収剤を得ることが可能である。
(5)の工程では、近赤外線吸収剤分散液(B)を保持する温度は0〜40℃であり、好ましくは10〜35℃であり、保持する時間は20〜200日であり、好ましくは25〜150日である。
((6)の工程)
(6)の工程は、近赤外線吸収剤分散液(B)に分散剤を添加し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程である。
(6)の工程は、近赤外線吸収剤分散液(B)に分散剤を添加し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程である。
近赤外線吸収剤分散液(B)に添加される分散剤の量は、近赤外線吸収剤100質量部あたり、3〜150質量部であることが好ましく、5〜100質量部であることがより好ましい。該分散剤は、分散剤の溶液として添加してもよい。
分散剤の溶液として添加する場合、その溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、トルエン、キシレン、クロロホルム、塩化メチレン等が挙げられる。
分散剤としては、リン酸系分散剤、スルホン酸系分散剤などの陰イオン性分散剤が挙げられ、リン酸系分散剤が好ましい。リン酸系分散剤としては、リン酸エステル系分散剤が好ましい。リン酸エステル系分散剤としては、一般式(2)で表されるリン酸モノエステル、一般式(3)で表されるリン酸ジエステル、およびこれらのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物が好ましい。また、工程Iで分散剤を使用した場合には、(6)の工程においても同様の分散剤を用いることが好ましい。
(6)の工程では、分散剤が、近赤外線吸収剤中の有機酸が結合している部分と反応すると考えられ、有機酸が固形分である近赤外線吸収剤から、液体側に移動するため、近赤外線吸収剤自体の有機酸含量が減少し、精製された近赤外線吸収剤を得ることが可能である。
(6)の工程では、分散剤を加えた後、撹拌等を行ってもよく、加熱することも可能である。加熱を行う場合には、温度40〜150℃で加熱することが好ましく、50〜120℃で加熱することがより好ましい。また、加熱時間は0.5〜12時間が好ましく、2〜10時間がより好ましい。
い。
い。
((7)の工程)
(7)の工程は、前記工程IIIにおいて分散媒の少なくとも一部としてアルコールを用い、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程である。
(7)の工程は、前記工程IIIにおいて分散媒の少なくとも一部としてアルコールを用い、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程である。
(7)の工程では、その前提として、工程IIIにおいて、分散媒の少なくとも一部としてアルコールを用いる。
前記アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。工程IIIにおいて分散媒の少なくとも一部としてアルコールを用いる場合には、分散媒100質量部中、アルコールが5〜100質量部であることが好ましく、10〜90質量部であることがより好ましい。
前記アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。工程IIIにおいて分散媒の少なくとも一部としてアルコールを用いる場合には、分散媒100質量部中、アルコールが5〜100質量部であることが好ましく、10〜90質量部であることがより好ましい。
(7)の工程では、アルコールを添加することで、有機酸銅塩および有機酸銅塩の水和物の少なくとも一方と、特定のホスホン酸化合物とから、近赤外線吸収剤を得る反応の平衡が生成系側に移動すると考えられ、有機酸が固形分である近赤外線吸収剤から、液体側に移動するため、近赤外線吸収剤自体の有機酸含量が減少し、精製された近赤外線吸収剤を得ることが可能である。
(7)の工程では、撹拌等を行ってもよいし、加熱してもよい。加熱を行う場合には、温度40〜150℃で加熱することが好ましく、50〜120℃で加熱することがより好ましい。また、加熱時間は0.5〜12時間が好ましく、2〜10時間がより好ましい。
工程Vでは、前記(1)〜(7)の工程の少なくとも1種が行われ、複数の工程が行われてもよく、各工程を複数回行ってもよい。
前記(1)〜(7)の工程のうち、操作の容易性、耐光性の改善効果の観点から、(1)〜(4)、(6)の工程が好ましく、(1)、(4)、(6)の工程がより好ましい。
前記(1)〜(7)の工程のうち、操作の容易性、耐光性の改善効果の観点から、(1)〜(4)、(6)の工程が好ましく、(1)、(4)、(6)の工程がより好ましい。
[工程VI]
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、近赤外線吸収剤分散液(C)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去し、精製された近赤外線吸収剤分散液(D)を得る工程VIを有する。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、近赤外線吸収剤分散液(C)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去し、精製された近赤外線吸収剤分散液(D)を得る工程VIを有する。
近赤外線吸収剤分散液(C)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去する工程としては、有機酸のみを除去する方法でもよいが、通常はより簡便な、分散媒の一部と共に、有機酸を除去する方法が用いられる。
近赤外線吸収剤分散液(C)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去する方法としては、例えば固形分(近赤外線吸収剤)を沈降させ、分散媒および有機酸を含む液体成分を上澄み液として除去する方法、近赤外線吸収剤分散液(C)を蒸留することにより分散媒および有機酸を含む液体成分を留分として除去する方法が挙げられる。
固形分を沈降させる方法としては、例えば近赤外線吸収剤分散液(C)を静置することにより固形分を沈降させる方法や、近赤外線吸収剤分散液(C)を遠心分離し、固形分を沈降させる方法が挙げられる。
なお、固形分を沈降させる際には、遠心分離を行うことが沈降に必要な時間を短くする観点から好ましい。また、固形分の粒径が小さいほど、沈降に必要な時間が長くなる。固形分を凝集させ、沈降に必要な時間を早める目的で、アセトン、エタノール、水等を、反応混合物に添加してもよい。アセトン、エタノール、水等を、反応混合物に添加する場合には、固形分100質量部あたり、10〜20000質量部添加することが好ましく、20〜15000質量部添加することがより好ましい。
溶媒を除去する方法としては、一般的な装置を使用できる観点から、近赤外線吸収剤分散液(C)を蒸留することにより分散媒および有機酸を留分として除去する方法が好ましい。
蒸留は、近赤外線吸収剤の熱劣化を防止する観点から減圧下で行われることが好ましい。
すなわち、工程VIは、近赤外線吸収剤分散液(C)を減圧蒸留することにより、留分として分散媒および有機酸を除去する工程であることが好ましい。減圧蒸留することにより、分散媒と共に、有機酸を共沸により除去することができるため好ましい。
すなわち、工程VIは、近赤外線吸収剤分散液(C)を減圧蒸留することにより、留分として分散媒および有機酸を除去する工程であることが好ましい。減圧蒸留することにより、分散媒と共に、有機酸を共沸により除去することができるため好ましい。
減圧蒸留を行う場合には、分散媒や有機酸の種類によっても異なるが、減圧蒸留の条件としては通常は圧力0.01〜15kPaで行われる。なお留分の流出温度は、分散媒や有機酸の種類、圧力によって異なるが通常は30〜150℃である。
工程VIでは、有機酸の少なくとも一部を除去するが、工程VIで得られる近赤外線吸収剤分散液(D)が、近赤外線吸収剤1質量部に対して、分散媒が、1〜50質量部であることが好ましく、3〜30質量部であることがより好ましい。
また、分散液に、有機酸と共沸するトルエン等の分散媒を加えた後に工程VIを行うことにより、近赤外線吸収剤分散液(D)が、近赤外線吸収剤1質量部に対して分散媒が、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは3〜50質量部となるように工程VIを行ってもよい。
また、近赤外線吸収剤分散液(D)に分散媒を加え、近赤外線吸収剤1質量部に対して分散媒が、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは3〜30質量部となるように調整を行ってもよい。
工程Yでは、近赤外線吸収剤分散液(C)中に液体として存在する有機酸、すなわち、分散媒中に溶解した有機酸等を除去することが可能である。該工程により、有機酸は系外に除外されるため、近赤外線吸収剤自体および分散媒中に存在する有機酸を低減することができる。
[工程VII]
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、近赤外線吸収剤分散液(D)中の近赤外線吸収剤を微粒子化する工程VIIを有する。該工程により近赤外線吸収剤微粒子分散液を得ることができる。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、近赤外線吸収剤分散液(D)中の近赤外線吸収剤を微粒子化する工程VIIを有する。該工程により近赤外線吸収剤微粒子分散液を得ることができる。
工程VIIで行われる微粒子化は、近赤外線吸収剤分散液(D)中の近赤外線吸収剤を微粒子化する処理であり、例えば該工程の前後で平均粒径を測定することにより、微粒子化を確認することができる。
工程VIIが行われる前の近赤外線吸収剤分散液(D)中の近赤外線吸収剤の平均粒径は、通常は80〜300nmであり、好ましくは80〜250nmである。工程VIIにより得られた近赤外線吸収剤微粒子分散液中の近赤外線吸収剤微粒子の平均粒径は、通常は20〜100nmであり、好ましくは30〜80nmである。本発明において平均粒径は動的光散乱法により測定することができる。
微粒子化を行う方法としては、特に限定はないが、湿式ジェットミル、超音波装置から選択される少なくとも一種の装置を用いて行うことが好ましく、湿式ジェットミルを用いて行うことがより好ましい。
湿式ジェットミルの運転条件としては特に限定はないが、圧力100〜350MPaの範囲内であることが好ましく、圧力150〜300MPaの範囲内であることがより好ましい。
湿式ジェットミルでの微粒子化処理は、1PASS〜20PASS行うことが好ましい。
超音波装置の運転条件としては特に限定はないが、通常は1〜100時間、好ましくは1〜40時間超音波照射を行うことにより、微粒子化を行う。
工程VIIでは、微粒子化前の粒径と比べて、通常は平均粒子径が1/1.3〜1/10に微粒子化される。
超音波装置の運転条件としては特に限定はないが、通常は1〜100時間、好ましくは1〜40時間超音波照射を行うことにより、微粒子化を行う。
工程VIIでは、微粒子化前の粒径と比べて、通常は平均粒子径が1/1.3〜1/10に微粒子化される。
なお、本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法で得られる、近赤外線吸収剤微粒子分散液を用いて得られた樹脂組成物の、透明性や、加工時の耐久性の観点から、湿式ジェットミルにより微粒子化することが好ましい。この理由は明らかではないが、本発明者は、湿式ジェットミルによる微粒子化は、他の方法と比べて、一次粒子の破壊ではなく、凝集粒子の解砕が主として起こるため、得られる近赤外線吸収剤微粒子の表面の活性が高くなりづらく、粒子の表面積の増大も少ないためであると推定した。
[近赤外線吸収剤微粒子分散液]
本発明の近赤外線吸収剤分散液は、前記近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法で得られる。
本発明の近赤外線吸収剤分散液は、前記近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法で得られる。
近赤外線吸収剤微粒子を含む分散液としては、近赤外線吸収剤微粒子1質量部に対して、分散媒が、1〜100質量部であることが好ましく、3〜50質量部であることがより好ましい。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液が含有する近赤外線吸収剤微粒子は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した有機酸量が、近赤外線吸収剤微粒子を構成する銅塩1モルに対して、すなわち銅原子1モルに対して、0.0075モル以下であることが好ましく、0.0001〜0.0070モルであることがより好ましい。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液は、前記製造方法で得られるため、従来の近赤外線吸収剤分散液の製造方法と比べて、近赤外線吸収剤微粒子中に含まれる有機酸の量が低減されている。また近赤外線吸収剤微粒子は分散性に優れる。このため、本発明の樹脂組成物は、光を照射した際等に起こる黒化が抑制されており、耐光性に優れる。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液は、このまま各種用途に用いてもよく、一度分散液中の近赤外線吸収剤微粒子を回収した後、各種用途に用いてもよい。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液は、このまま各種用途に用いてもよく、一度分散液中の近赤外線吸収剤微粒子を回収した後、各種用途に用いてもよい。
[近赤外線吸収剤微粒子]
本発明の近赤外線吸収剤微粒子は、前記近赤外線吸収剤微粒子分散液から得られる。本発明の近赤外線吸収剤微粒子は、通常は前記近赤外線吸収剤微粒子分散液から、近赤外線吸収剤微粒子を固形分として回収することにより得られる。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子は、前記近赤外線吸収剤微粒子分散液から得られる。本発明の近赤外線吸収剤微粒子は、通常は前記近赤外線吸収剤微粒子分散液から、近赤外線吸収剤微粒子を固形分として回収することにより得られる。
近赤外線吸収剤微粒子を得る方法としては、例えば近赤外線吸収剤微粒子分散液中の近赤外線吸収剤微粒子を沈降させ、液体成分を上澄み液として除去する方法、近赤外線吸収剤微粒子分散液を蒸留することにより液体成分を留分として除去する方法が挙げられる。
また、液体成分を除去した後、常圧下、あるいは減圧下で乾燥を行ってもよい。
なお、本発明の近赤外線吸収剤微粒子は、再度分散媒に分散させた近赤外線吸収剤微粒子分散液として、各種用途に用いてもよい。
なお、本発明の近赤外線吸収剤微粒子は、再度分散媒に分散させた近赤外線吸収剤微粒子分散液として、各種用途に用いてもよい。
[樹脂組成物および樹脂溶液]
本発明の樹脂組成物は、前記近赤外線吸収剤微粒子と、樹脂とを含む。
樹脂組成物を製造する方法としては、前記近赤外線吸収剤微粒子分散液と、樹脂とを含む樹脂溶液の液体成分を除去する方法、前記近赤外線吸収剤微粒子分散液と、樹脂とを溶融混練する方法、前記近赤外線吸収剤微粒子と、樹脂とを混合する方法が挙げられる。近赤外線吸収剤微粒子が再度凝集することを防ぐ観点から、樹脂組成物を製造する方法としては、前記樹脂溶液の液体成分を除去する方法が好ましい。すなわち、本発明の樹脂組成物は樹脂溶液から得られることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、前記近赤外線吸収剤微粒子と、樹脂とを含む。
樹脂組成物を製造する方法としては、前記近赤外線吸収剤微粒子分散液と、樹脂とを含む樹脂溶液の液体成分を除去する方法、前記近赤外線吸収剤微粒子分散液と、樹脂とを溶融混練する方法、前記近赤外線吸収剤微粒子と、樹脂とを混合する方法が挙げられる。近赤外線吸収剤微粒子が再度凝集することを防ぐ観点から、樹脂組成物を製造する方法としては、前記樹脂溶液の液体成分を除去する方法が好ましい。すなわち、本発明の樹脂組成物は樹脂溶液から得られることが好ましい。
前記樹脂溶液を製造する方法としては例えば、前記近赤外線吸収剤微粒子分散液と樹脂とを混合する方法、前記近赤外線吸収剤微粒子分散液と樹脂の溶液とを混合する方法、前記近赤外線吸収剤微粒子分散液と樹脂と、溶媒とを混合する方法が挙げられる。
なお、前記樹脂溶液の製造に溶媒を用いる場合には、樹脂を溶解できればよく、特に限定はないが例えばトルエン、エタノール、メタノール、塩化メチレン、クロロホルム等が挙げられる。溶媒としては一種単独でも、二種以上を用いてもよい。
前記液体成分の除去を行う際には、その除去方法としては特に限定はないが、通常は常圧下での乾燥、真空乾燥等の乾燥により行われる。なお、近赤外線吸収剤微粒子分散液の液体成分中に有機酸が存在する場合には、樹脂溶液の液体成分を除去する際に同時に除去することが可能である。
なお、該樹脂組成物からなる成形体を得る場合には、該樹脂組成物の製造と成形を同時に行うことにより成形体を得てもよく、該樹脂組成物をペレット等として製造した後に、所望の形状に成形することにより、成形体を得てもよく、樹脂組成物をペレット等のマスターバッチとして得た後に、該マスターバッチおよび樹脂を用い、押出成形、キャスト成形、射出成形等の様々な成形法により、合わせガラス用中間膜等の成形体を得てもよい。
なお、前記樹脂としては、前述の近赤外線吸収剤を分散することが可能であればよく特に限定はないが、例えば以下の樹脂を用いることができる。
本発明に用いる樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびノルボルネン樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂が、近赤外線吸収剤を良好に分散することが可能であり、かつ可視光の透過性に優れることが好ましい。
本発明に用いる樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびノルボルネン樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂が、近赤外線吸収剤を良好に分散することが可能であり、かつ可視光の透過性に優れることが好ましい。
本発明に用いる樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、またはエチレン‐酢酸ビニル共重合体から選択される少なくとも1種の樹脂であることがより好ましく、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、またはエチレン‐酢酸ビニル共重合体から選択される少なくとも1種の樹脂であることが特に好ましい。ポリビニルアセタール樹脂を用いると、前述の近赤外線吸収剤微粒子の分散性に優れ、本発明の樹脂組成物を用いて、例えば合わせガラス用中間膜を製造した場合には、ガラス等への密着性に優れ、また、樹脂組成物が柔軟であり好ましい。また、ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)を用いることが、ガラス密着性、分散性、透明性、耐熱性、耐光性などの観点から好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂は、必要な物性に応じて、二種以上を組み合わせたブレンド物であってもよく、アセタール化時にアルデヒドを組み合わせてアセタール化することにより得られるポリビニルアセタール樹脂であってもよい。
アルデヒドとしては特に限定されず、例えば、炭素数が1〜10のアルデヒド等が挙げられ、より具体的には、例えば、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルテヒド、n−へキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n−ブチルアルデヒド、n−へキシルアルデヒド、n−バレルアルデヒド等が好ましい。より好ましくは、炭素数が4のブチルアルデヒドである。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体を用いると、前述の近赤外線吸収剤微粒子の分散性に優れ、ガラス密着性、分散性、透明性、耐熱性、耐光性などの観点から好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、可塑剤を含有してもよい。前記可塑剤としては特に限定はないが、例えばトリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコールビス(2-エチルブチラート)、テトラエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジヘキシルアジペート、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート等が挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物は、可塑剤を含有してもよい。前記可塑剤としては特に限定はないが、例えばトリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコールビス(2-エチルブチラート)、テトラエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジヘキシルアジペート、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、前記樹脂100質量部あたり、近赤外線吸収剤微粒子を0.5〜30質量部含有することが好ましく、1〜25質量部含有することがより好ましい。0.5質量部より少ないと充分な近赤外線吸収特性が得られない可能性があり、30質量部より多すぎると樹脂の耐熱性、耐光性、透明性やガラスとの接着性が大幅に低下するおそれがある。
本発明の樹脂組成物が前記可塑剤を含有する場合には、前記樹脂100質量部あたり、可塑剤を10〜60質量部含有することが好ましく、20〜50質量部含有することがより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、耐光性に優れており、合わせガラス等の構造材料用の中間膜として好適に使用することが可能である。
本発明の樹脂組成物は、耐光性に優れており、合わせガラス等の構造材料用の中間膜として好適に使用することが可能である。
また、本発明の樹脂組成物には、各種添加剤が含有されていてもよい。添加剤としては、例えば分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。これらの添加剤は、本発明の樹脂組成物を製造する際に、添加されてもよく、近赤外線吸収剤微粒子や樹脂を製造する際に添加されてもよい。
〔樹脂組成物の用途〕
本発明の樹脂組成物は、近赤外線を吸収することが望まれる用途に通常は用いられる。
本発明の樹脂組成物から形成される樹脂膜は、耐光性に優れているため、合わせガラス用中間膜等の構造材料用中間膜として好適に用いることが可能である。
本発明の樹脂組成物は、近赤外線を吸収することが望まれる用途に通常は用いられる。
本発明の樹脂組成物から形成される樹脂膜は、耐光性に優れているため、合わせガラス用中間膜等の構造材料用中間膜として好適に用いることが可能である。
また、本発明の合わせガラスは、前記合わせガラス用中間膜を有している。本発明の合わせガラスを構成するガラスとしては特に限定はなく、従来公知のものを用いることができる。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔近赤外線吸収剤の酢酸量の測定〕
後述の実施例、比較例で得られた近赤外線吸収剤分散液や近赤外線吸収剤微粒子分散液中の、近赤外線吸収剤が含有する酢酸量は以下の方法で測定した。
〔近赤外線吸収剤の酢酸量の測定〕
後述の実施例、比較例で得られた近赤外線吸収剤分散液や近赤外線吸収剤微粒子分散液中の、近赤外線吸収剤が含有する酢酸量は以下の方法で測定した。
容量50mlのガラス製遠沈管に、各実施例、比較例の各段階で得られた分散液(近赤外線吸収剤あるいは近赤外線吸収剤微粒子を含む分散液)を1.91g取り、アセトン20gを加えた。テーブルトップ遠心機4000(久保田商事)を用い、4200rpmで30分遠心分離を行い、透明になった上澄み液を除去した。
上澄みが透明にならなかった場合は、透明になるまで遠心分離を続けた後、上澄み液を除去した。
得られた沈殿物にアセトン20gを添加し、撹拌振とう機、超音波洗浄機を使用して、沈殿の塊を砕き、懸濁液とした。
得られた沈殿物にアセトン20gを添加し、撹拌振とう機、超音波洗浄機を使用して、沈殿の塊を砕き、懸濁液とした。
該懸濁液を、4200rpmで30分遠心分離を行い、透明になった上澄み液を除去した。得られた沈殿物を、真空乾燥機を使用して40℃で1時間乾燥し、乾燥固体を175mg得た。
この固体(近赤外線吸収剤)を10mlメスフラスコに100mgとり、35%塩酸を300mg加えた。固形分が溶解しない場合は超音波洗浄機を使用して溶解し、水でメスアップした。
この液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(島津製作所、LC−1000)に20μl打ち込み、近赤外線吸収剤の酢酸量を算出した。
この液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(島津製作所、LC−1000)に20μl打ち込み、近赤外線吸収剤の酢酸量を算出した。
〔近赤外線吸収剤の平均粒径の測定〕
得られた近赤外線吸収剤分散液または近赤外線吸収剤微粒子分散液中の近赤外線吸収剤の、動的光散乱法で測定した平均粒径を、大塚電子株式会社製ELSZ−2を用いて測定した。
得られた近赤外線吸収剤分散液または近赤外線吸収剤微粒子分散液中の近赤外線吸収剤の、動的光散乱法で測定した平均粒径を、大塚電子株式会社製ELSZ−2を用いて測定した。
〔実施例1〕
酢酸銅1水和物10.0g(5×10-2mol)を、エタノール450gに溶解させた溶液(a1)、並びに、エチルホスホン酸5.5gおよび下記リン酸エステル化合物(A)2.0gを、エタノール30gに溶解させた溶液(b1)をそれぞれ準備した。
酢酸銅1水和物10.0g(5×10-2mol)を、エタノール450gに溶解させた溶液(a1)、並びに、エチルホスホン酸5.5gおよび下記リン酸エステル化合物(A)2.0gを、エタノール30gに溶解させた溶液(b1)をそれぞれ準備した。
なお、前記リン酸エステル化合物(A)は、前記一般式(2)で表されるリン酸モノエステルと、前記一般式(3)で表されるリン酸ジエステルとの混合物であり、前記式中におけるnの平均が8であり、R12が炭素数13〜15のアルキル基であるものである。なお、リン酸エステル化合物(A)中のモノエステルとジエステルとの存在比(モル比)は、ほぼ1:1である。
次いで、上記で得られた溶液(a1)と溶液(b1)とを混合し、室温下で2時間攪拌して反応させた(工程I)。
反応後、反応液をナス型フラスコに移し、エバポレーターを用いて40℃にてエタノールを50%程減圧留去した(工程II)。
反応後、反応液をナス型フラスコに移し、エバポレーターを用いて40℃にてエタノールを50%程減圧留去した(工程II)。
次いで、分散媒としてトルエン500gを添加し、分散液を得た(工程III)。
分散液を、再度減圧留去することによりフラスコ内のエタノールを除いた(工程X)。該工程ではエタノールと共に分散媒中の酢酸が除去される。減圧留去は分散媒が100g程度になるまで行った。生成した分散液中のトルエンにエチルホスホン酸銅は分散しており、その平均粒径は180nmで残酢酸濃度は5000ppm(銅原子1molに対して酢酸0.014mol)であった。
分散液を、再度減圧留去することによりフラスコ内のエタノールを除いた(工程X)。該工程ではエタノールと共に分散媒中の酢酸が除去される。減圧留去は分散媒が100g程度になるまで行った。生成した分散液中のトルエンにエチルホスホン酸銅は分散しており、その平均粒径は180nmで残酢酸濃度は5000ppm(銅原子1molに対して酢酸0.014mol)であった。
次いで分散液を湿式ジェットミルに3回通して分散処理を行ったところ、平均粒径は55nmとなった(工程IV)。
この分散液にメタノール10gを添加して60℃で10時間程加温した(工程V)。
この分散液にメタノール10gを添加して60℃で10時間程加温した(工程V)。
次いで、トルエン150gを添加して40℃で減圧留去して分散媒が60g程の分散液を得た(工程VI)。この時の平均粒径は100nmであった。
次いで、この分散液を、湿式ジェットミルに1回通すことで分散処理を行い、近赤外線吸収剤微粒子分散液を得た。分散液の平均粒径は59nmであり、酢酸濃度は1600ppm(銅原子1molに対して酢酸0.0046mol)であった(工程VII)。
次いで、この分散液を、湿式ジェットミルに1回通すことで分散処理を行い、近赤外線吸収剤微粒子分散液を得た。分散液の平均粒径は59nmであり、酢酸濃度は1600ppm(銅原子1molに対して酢酸0.0046mol)であった(工程VII)。
〔比較例1〕
実施例1において工程IVを行わず、工程VIIにおいて行う湿式ジェットミルを1回から5回に代えた以外は実施例1と同様に行い、近赤外線吸収剤分散液を得た。分散液の平均粒径は70nmであり、酢酸濃度は2000ppm(銅原子1molに対して酢酸0.0057mol)であった。
実施例1において工程IVを行わず、工程VIIにおいて行う湿式ジェットミルを1回から5回に代えた以外は実施例1と同様に行い、近赤外線吸収剤分散液を得た。分散液の平均粒径は70nmであり、酢酸濃度は2000ppm(銅原子1molに対して酢酸0.0057mol)であった。
〔実施例2〕
酢酸銅1水和物10.0g(5×10-2mol)を、エタノール500gに溶解させた溶液(a2)、並びに、酢酸銅1水和物に対して等モルのブチルホスホン酸6.9gおよび下記リン酸エステル化合物(B)2.0gを、エタノール5gに溶解させた溶液(b2)をそれぞれ準備した。
酢酸銅1水和物10.0g(5×10-2mol)を、エタノール500gに溶解させた溶液(a2)、並びに、酢酸銅1水和物に対して等モルのブチルホスホン酸6.9gおよび下記リン酸エステル化合物(B)2.0gを、エタノール5gに溶解させた溶液(b2)をそれぞれ準備した。
なお、前記リン酸エステル化合物(B)は、前記一般式(2)で表されるリン酸モノエステルと、前記一般式(3)で表されるリン酸ジエステルとの混合物であり、前記式中におけるnの平均が20であり、R12が炭素数13〜15のアルキル基であるものである。なお、リン酸エステル化合物(B)中のモノエステルとジエステルとの存在比(モル比)は、ほぼ1:1である。
次いで、上記で得られた溶液(a2)と溶液(b2)とを混合し、室温下で2時間攪拌して反応させた(工程I)。
反応後、反応液をナス型フラスコに移し、エバポレーターを用いて40℃にてエタノールを50%程減圧留去した(工程II)。
反応後、反応液をナス型フラスコに移し、エバポレーターを用いて40℃にてエタノールを50%程減圧留去した(工程II)。
次いで、分散媒としてトルエン500gを添加し、分散液を得た(工程III)。
分散液を、再度減圧留去することによりフラスコ内のエタノールを除いた(工程X)。該工程ではエタノールと共に分散媒中の酢酸が除去される。減圧留去は分散媒が100g程度になるまで行った。生成した分散液中のトルエンにブチルホスホン酸銅は分散しており、その平均粒径は150nmで残酢酸濃度は3000ppm(銅原子1molに対して酢酸0.010mol)であった。
分散液を、再度減圧留去することによりフラスコ内のエタノールを除いた(工程X)。該工程ではエタノールと共に分散媒中の酢酸が除去される。減圧留去は分散媒が100g程度になるまで行った。生成した分散液中のトルエンにブチルホスホン酸銅は分散しており、その平均粒径は150nmで残酢酸濃度は3000ppm(銅原子1molに対して酢酸0.010mol)であった。
次いで分散液を湿式ジェットミルに2回通して分散処理を行ったところ、平均粒径は64nmとなった(工程IV)。
この分散液にメタノール12gを添加して60℃で8時間程加温した(工程V)。
この分散液にメタノール12gを添加して60℃で8時間程加温した(工程V)。
次いで、トルエン150gを添加して40℃で減圧留去して分散媒が60g程の分散液を得た(工程VI)。この時の平均粒径は120nmであった。
次いで、この分散液を、湿式ジェットミルに1回通すことで分散処理を行い、近赤外線吸収剤微粒子分散液を得た。分散液の平均粒径は68nmであり、酢酸濃度は1500ppm(銅原子1molに対して酢酸0.005mol)であった(工程VII)。
次いで、この分散液を、湿式ジェットミルに1回通すことで分散処理を行い、近赤外線吸収剤微粒子分散液を得た。分散液の平均粒径は68nmであり、酢酸濃度は1500ppm(銅原子1molに対して酢酸0.005mol)であった(工程VII)。
〔比較例2〕
実施例2において工程IVを行わず、工程VIIにおいて行う湿式ジェットミルを2回から5回に代えた以外は実施例2と同様に行い、近赤外線吸収剤分散液を得た。分散液の平均粒径は76nmであり、酢酸濃度は2200ppm(銅原子1molに対して酢酸0.0073mol)であった。
実施例2において工程IVを行わず、工程VIIにおいて行う湿式ジェットミルを2回から5回に代えた以外は実施例2と同様に行い、近赤外線吸収剤分散液を得た。分散液の平均粒径は76nmであり、酢酸濃度は2200ppm(銅原子1molに対して酢酸0.0073mol)であった。
〔実施例3〕
酢酸銅1水和物10.0g(5×10-2mol)を、エタノール500gに溶解させた溶液(a2)、並びに、酢酸銅1水和物に対して等モルのデシルホスホン酸11.1gおよび前記リン酸エステル化合物(B)3.5gを、エタノール10gに溶解させた溶液(b3)をそれぞれ準備した。
酢酸銅1水和物10.0g(5×10-2mol)を、エタノール500gに溶解させた溶液(a2)、並びに、酢酸銅1水和物に対して等モルのデシルホスホン酸11.1gおよび前記リン酸エステル化合物(B)3.5gを、エタノール10gに溶解させた溶液(b3)をそれぞれ準備した。
次いで、上記で得られた溶液(a2)と溶液(b3)とを混合し、室温下で4時間攪拌して反応させた(工程I)。
反応後、反応液をナス型フラスコに移し、エバポレーターを用いて40℃にてエタノールを50%程減圧留去した(工程II)。
反応後、反応液をナス型フラスコに移し、エバポレーターを用いて40℃にてエタノールを50%程減圧留去した(工程II)。
次いで、分散媒としてトルエン500gを添加し、分散液を得た(工程III)。
分散液を、再度減圧留去することによりフラスコ内のエタノールを除いた(工程X)。該工程ではエタノールと共に分散媒中の酢酸が除去される。減圧留去は分散媒が150g程度になるまで行った。生成した分散液中のトルエンにデシルホスホン酸銅は分散しており、その平均粒径は210nmで残酢酸濃度は3200ppm(銅原子1molに対して酢酸0.0150mol)であった。
分散液を、再度減圧留去することによりフラスコ内のエタノールを除いた(工程X)。該工程ではエタノールと共に分散媒中の酢酸が除去される。減圧留去は分散媒が150g程度になるまで行った。生成した分散液中のトルエンにデシルホスホン酸銅は分散しており、その平均粒径は210nmで残酢酸濃度は3200ppm(銅原子1molに対して酢酸0.0150mol)であった。
次いで分散液を湿式ジェットミルに4回通して分散処理を行ったところ、平均粒径は71nmとなった(工程IV)。
この分散液にメタノール10gを添加して60℃8時間程加温した(工程V)。
この分散液にメタノール10gを添加して60℃8時間程加温した(工程V)。
次いで、トルエン150gを添加して40℃で減圧留去して分散媒が100g程の分散液を得た(工程VI)。この時の平均粒径は150nmであった。
次いで、この分散液を、湿式ジェットミルに2回通すことで分散処理を行い、近赤外線吸収剤微粒子分散液を得た。分散液の平均粒径は75nmであり、酢酸濃度は1500ppm(銅原子1molに対して酢酸0.0075mol)であった(工程VII)。
次いで、この分散液を、湿式ジェットミルに2回通すことで分散処理を行い、近赤外線吸収剤微粒子分散液を得た。分散液の平均粒径は75nmであり、酢酸濃度は1500ppm(銅原子1molに対して酢酸0.0075mol)であった(工程VII)。
〔比較例3〕
実施例3において工程IVを行わず、工程VIIにおいて行う湿式ジェットミルを2回から5回に代えた以外は実施例3と同様に行い、近赤外線吸収剤分散液を得た。分散液の平均粒径は82nmであり、酢酸濃度は1700ppm(銅原子1molに対して酢酸0.0082mol)であった。
実施例3において工程IVを行わず、工程VIIにおいて行う湿式ジェットミルを2回から5回に代えた以外は実施例3と同様に行い、近赤外線吸収剤分散液を得た。分散液の平均粒径は82nmであり、酢酸濃度は1700ppm(銅原子1molに対して酢酸0.0082mol)であった。
〔実施例4〕
実施例2と同じ条件で工程I、II、IIIおよびXを行った。生成した分散液中のトルエンにブチルホスホン酸銅は分散しており、その平均粒径は150nmで残酢酸濃度は3000ppm(銅原子1molに対して酢酸0.010mol)であった。
実施例2と同じ条件で工程I、II、IIIおよびXを行った。生成した分散液中のトルエンにブチルホスホン酸銅は分散しており、その平均粒径は150nmで残酢酸濃度は3000ppm(銅原子1molに対して酢酸0.010mol)であった。
次いで分散液をナスフラスコに入れて、超音波洗浄機を用いて24時間分散処理(超音波処理)を行ったところ、平均粒径は63nmとなった(工程IV)。
この分散液にメタノール12gを添加して60℃で4時間程加温した(工程V)。
この分散液にメタノール12gを添加して60℃で4時間程加温した(工程V)。
次いで、トルエン150gを添加して40℃で減圧留去して分散媒が60g程の分散液を得た(工程VI)。この時の平均粒径は150nmであった。
次いで、この分散液を、ナスフラスコに入れて、超音波洗浄機を用いて4時間分散処理(超音波処理)を行い、近赤外線吸収剤微粒子分散液を得た。分散液の平均粒径は66nmであり、酢酸濃度は1600ppm(銅原子1molに対して酢酸0.0053mol)であった(工程VII)。
次いで、この分散液を、ナスフラスコに入れて、超音波洗浄機を用いて4時間分散処理(超音波処理)を行い、近赤外線吸収剤微粒子分散液を得た。分散液の平均粒径は66nmであり、酢酸濃度は1600ppm(銅原子1molに対して酢酸0.0053mol)であった(工程VII)。
〔比較例4〕
実施例4において工程IVを行わず、工程VIIにおいて行う超音波処理を4時間から36時間に代えた以外は実施例4と同様に行い、近赤外線吸収剤分散液を得た。分散液の平均粒径は74nmであり、酢酸濃度は1900ppm(銅原子1molに対して酢酸0.0063mol)であった。
実施例4において工程IVを行わず、工程VIIにおいて行う超音波処理を4時間から36時間に代えた以外は実施例4と同様に行い、近赤外線吸収剤分散液を得た。分散液の平均粒径は74nmであり、酢酸濃度は1900ppm(銅原子1molに対して酢酸0.0063mol)であった。
Claims (11)
- 有機酸銅塩および有機酸銅塩の水和物の少なくとも一方と、下記一般式(1)で表されるホスホン酸化合物とを溶媒中で反応させ、近赤外線吸収剤を含む反応混合物を得る工程I、
前記反応混合物中の液体成分の少なくとも一部を除去する工程II、
前記工程IIで得られた液体成分の少なくとも一部が除去された反応混合物と、分散媒とから近赤外線吸収剤分散液(A)を得る工程III、
前記近赤外線吸収剤分散液(A)中の近赤外線吸収剤を微粒子化し、近赤外線吸収剤分散液(B)を得る工程IV、
前記近赤外線吸収剤分散液(B)中の近赤外線吸収剤から、有機酸の少なくとも一部を除去し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程V、
前記近赤外線吸収剤分散液(C)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去し、精製された近赤外線吸収剤分散液(D)を得る工程VI、および
前記近赤外線吸収剤分散液(D)中の近赤外線吸収剤を微粒子化する工程VIIを有し、
工程Xおよび工程Yの少なくとも一方の工程を有し、
前記工程Xが、前記工程IIIと工程IVとの間に行われる、近赤外線吸収剤分散液(A)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去する工程であり、
前記工程Yが、前記工程IVと工程Vとの間に行われる、近赤外線吸収剤分散液(B)中の分散媒から、有機酸の少なくとも一部を除去する工程である、近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法。
- 前記工程IVおよび工程VIIにおける微粒子化をそれぞれ、湿式ジェットミル、超音波装置から選択される少なくとも一種の装置を用いて行う、請求項1に記載の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法。
- 前記工程IVおよび工程VIIにおける微粒子化を、湿式ジェットミルを用いて行う、請求項1に記載の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法。
- 前記工程Vが、下記(1)〜(7)から選択される少なくとも1種の工程である請求項1〜3のいずれか一項に記載の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法。
(1)近赤外線吸収剤分散液(B)にアルコールを加え、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(2)近赤外線吸収剤分散液(B)を、温度40〜150℃で加熱し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(3)近赤外線吸収剤分散液(B)に、4時間以上超音波照射を行い、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(4)近赤外線吸収剤分散液(B)に前記一般式(1)で表されるホスホン酸化合物を添加し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(5)近赤外線吸収剤分散液(B)を、0〜40℃で20〜200日保持し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(6)近赤外線吸収剤分散液(B)に分散剤を添加し、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程
(7)前記工程IIIにおいて分散媒の少なくとも一部としてアルコールを用い、精製された近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収剤分散液(C)を得る工程 - 前記工程Iにおける反応が分散剤存在下で行われる請求項1〜4のいずれか一項に記載の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法で得られる近赤外線吸収剤微粒子分散液。
- 請求項7に記載の近赤外線吸収剤微粒子分散液から得られる近赤外線吸収剤微粒子。
- 請求項8に記載の近赤外線吸収剤微粒子と樹脂とを含む樹脂組成物。
- 前記請求項9に記載の樹脂組成物から形成される合わせガラス用中間膜。
- 前記請求項10に記載の合わせガラス用中間膜を有する合わせガラス。
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