JP2015134893A - 近赤外線吸収剤分散液の製造方法、近赤外線吸収剤分散液およびその用途 - Google Patents

近赤外線吸収剤分散液の製造方法、近赤外線吸収剤分散液およびその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】耐光性および耐熱性に優れる、近赤外線吸収剤を含有する樹脂組成物を提供することが可能な近赤外線吸収剤分散液、該近赤外線吸収剤分散液の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の近赤外線吸収剤分散液の製造方法は、少なくとも銅塩と、下記一般式(1)で表わされるホスホン酸化合物[式(1)中、R1は、−CH2CH2−R11で表される1価の基であり、R11は水素原子、アルキル基、またはフッ素化アルキル基を示す。]と、リン系分散剤とを反応させることにより得られる反応混合物の分散液を、酸性官能基またはその塩を有する固体状の樹脂と接触処理する。
Figure 2015134893

【選択図】なし

Description

本発明は、近赤外線吸収剤分散液の製造方法、近赤外線吸収剤分散液およびその用途に関する。
従来から、自動車等の車両、建築物、太陽電池等の各種用途で、合わせガラスが用いられている。合わせガラス用中間膜としては、ポリビニルブチラール樹脂膜、アイオノマー樹脂膜等が知られている。
ところで、太陽光線には、可視光線の他に紫外線、赤外線等が含まれている。赤外線の中でも波長が可視光に近い赤外線は、近赤外線と呼ばれる。近赤外線は熱線とも呼ばれ車両や建築物内部の温度上昇の原因の一つである。
該温度上昇を抑制するために、車両や建築物に用いられる合わせガラスに、可視光線の透過性を保持したまま、熱線吸収性を付与することが考えられる。例えば、ホスホン酸銅塩と、ポリシロキサン成分と、可塑剤と、分散剤とを含有する銅塩組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。一般に金属塩を、樹脂と混合して得られた樹脂組成物は高温にさらされた場合には、可視光線の透過性が低下する場合や、黄変する場合があった。しかしながら、特許文献1には、前記銅塩組成物と樹脂とを含有する樹脂組成物は、高温にさらされた場合であっても可視光の透過性および安定性に優れる赤外線吸収膜を提供することが可能である旨が開示されている。
特許文献1に記載された樹脂組成物は、高温にさらされた場合における黄変が、ホスホン酸銅塩および樹脂のみからなる樹脂組成物と比べると抑制されているが、シラン化合物を脱水縮合する工程が必要となるため、工程数が増えるという問題があった。
また、合わせガラス等に用いられる樹脂組成物としては、太陽光によって着色や、可視光透過率の低下が起こらないこと、すなわち耐光性を有することが望まれるが、特許文献1に開示された発明では耐光性についての検討は行われていなかった。
2009−242650号公報
本発明は、上記従来技術を鑑みてされたものであり、耐光性および耐熱性に優れる、近赤外線吸収剤を含有する樹脂組成物を提供することが可能な近赤外線吸収剤分散液、該近赤外線吸収剤分散液の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の製造方法で得られた近赤外線吸収剤分散液を用いて、近赤外線吸収剤を含有する樹脂組成物を得ることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の近赤外線吸収剤分散液の製造方法は、少なくとも銅塩と、下記一般式(1)で表わされるホスホン酸化合物と、リン系分散剤とを反応させることにより得られる反応混合物の分散液を、酸性官能基またはその塩を有する固体状の樹脂と接触処理する。
Figure 2015134893
[一般式(1)中、R1は、−CH2CH2−R11で表される1価の基であり、R11は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を示す。]
前記酸性官能基またはその塩が、スルホ基(−SO3H)、カルボキシル基(−COOH)、リン酸基(-O-PO(OH)2)およびこれらの塩から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記塩が、一価の金属塩または二価の金属塩であることが好ましい。
前記リン系分散剤が、リン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルから選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物、またはそのアルカリ金属塩であることが好ましい。
前記リン酸モノエステルが、下記一般式(2)で表されるリン酸モノエステルであり、前記リン酸ジエステルが、下記一般式(3)で表されるリン酸ジエステルであることが好ましい。
Figure 2015134893
[一般式(2)および(3)中、R2、R3およびR4は、−(CH2CH2O)n12で表される1価の基であり、nは2〜35の整数であり、R12は、炭素数6〜25のアルキル基または炭素数6〜25のアルキルフェニル基を示す。ただし、R2、R3およびR4は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
本発明の近赤外線吸収剤分散液は、前記近赤外線吸収剤分散液の製造方法によって得られる。
本発明の樹脂組成物は、前記近赤外線吸収剤分散液から得られる近赤外線吸収剤と、樹脂とを含む。
本発明の合わせガラス用中間膜は、前記樹脂組成物から形成される。
本発明の合わせガラスは、前記合わせガラス用中間膜を有する。
本発明の近赤外線吸収剤分散液の製造方法で得られる近赤外線吸収剤を含有する樹脂組成物は、耐光性および耐熱性に優れる。
次に本発明について具体的に説明する。
本発明の近赤外線吸収剤分散液の製造方法は、少なくとも銅塩と、下記一般式(1)で表わされるホスホン酸化合物と、リン系分散剤とを反応させることにより得られる反応混合物の分散液を、酸性官能基またはその塩を有する固体状の樹脂と接触処理することを特徴とする。
Figure 2015134893
[一般式(1)中、R1は、−CH2CH2−R11で表される1価の基であり、R11は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を示す。]
[反応混合物]
本発明に用いられる反応混合物は、少なくとも銅塩と、下記一般式(1)で表わされるホスホン酸化合物と、リン系分散剤とを反応させることにより得られる反応混合物である。該反応混合物は、近赤外線吸収性に優れており、従来近赤外線吸収剤として用いられてきた。本発明では、後述の接触処理を行ったものを近赤外線吸収剤と記し、接触処理を行う前のものを反応混合物と記す。
Figure 2015134893
[一般式(1)中、R1は、−CH2CH2−R11で表される1価の基であり、R11は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を示す。]
本発明に用いられる反応混合物は、銅塩、一般式(1)で表わされるホスホン酸化合物およびリン系分散剤のみを原料とし、これらを反応させることにより得られるものでもよく、銅塩、一般式(1)で表わされるホスホン酸化合物およびリン系分散剤に加えて、他の成分を原料として用い、これらを反応させることにより得られるものでもよい。
なお、本発明に用いられる反応混合物には、銅塩および一般式(1)で表わされるホスホン酸化合物に由来する下記一般式(1’)で表される銅塩が含まれる。
Figure 2015134893
[一般式(1’)中、R1は、−CH2CH2−R11で表される1価の基であり、R11は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を示す。]
前記一般式(1)および一般式(1’)におけるR11としては、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましい。具体的にはR11としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が好ましい。
なお、一般式(1)で表わされるホスホン酸化合物としては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
本発明に用いる、反応混合物の製造方法としては、特に限定はないが、例えば以下の方法で製造することができる。
反応混合物の製造方法としては、溶媒中で、銅塩と、上記一般式(1)で表わされるホスホン酸化合物と、リン系分散剤とを混合し、反応させ、反応物を得る工程(以下、反応工程とも記す)、該反応物中の溶媒を除去することにより反応混合物を、ホスホン酸銅塩からなる微粒子として得る工程(以下、溶媒除去工程とも記す)を有する方法が挙げられる。
前記一般式(1)で表わされるホスホン酸化合物としては、前述のようにR11が水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であるものが好ましい。一般式(1)で表されるホスホン酸化合物としては例えば、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、ペンチルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、ヘプチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、ノニルホスホン酸、デシルホスホン酸、ウンデシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、トリデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、ペンタデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、ヘプタデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸等のアルキルホスホン酸が挙げられる。
前記銅塩としては、2価の銅イオンを供給することが可能な銅塩が通常用いられる。前記銅塩としては、前記一般式(1’)で表わされるホスホン酸銅塩以外の銅塩であればよい。前記銅塩としては例えば、無水酢酸銅、無水蟻酸銅、無水ステアリン酸銅、無水安息香酸銅、無水エチルアセト酢酸銅、無水ピロリン酸銅、無水ナフテン酸銅、無水クエン酸銅等の有機酸の銅塩、該有機酸の銅塩の水和物もしくは水化物;酸化銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、塩基性炭酸銅等の無機酸の銅塩、該無機酸の銅塩の水和物もしくは水化物;水酸化銅が挙げられる。なお、銅塩としては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
銅塩としては、無水酢酸銅、酢酸銅一水和物が、溶解性や副生成物の除去の点から好ましく用いられる。
前記リン系分散剤としては、分子中にリン原子を含む分散剤であればよく、特に限定されないが、リン酸モノエステル、リン酸ジエステルおよびこれらのアルカリ金属塩等を用いることができる。リン系分散剤としては、一種単独でも、二種以上を用いてもよい。
前記リン系分散剤としては、リン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルから選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物、またはそのアルカリ金属塩であることが、樹脂組成物の耐光性、耐熱性の観点から好ましい。
また、前記リン酸モノエステルが、下記一般式(2)で表されるリン酸モノエステルであることが好ましく、前記リン酸ジエステルが、下記一般式(3)で表されるリン酸ジエステルであることが好ましい。
Figure 2015134893
[一般式(2)および(3)中、R2、R3およびR4は、−(CH2CH2O)n12で表される1価の基であり、nは2〜35の整数であり、R12は、炭素数6〜25のアルキル基または炭素数6〜25のアルキルフェニル基を示す。ただし、R2、R3およびR4は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
nが2未満である場合には、合わせガラス等を製造した際に透明性が不充分となる場合がある。また、nが前記範囲を超えると、充分な透明性を有する合わせガラス等を得るために必要な、リン酸エステル化合物の量が増え、コスト高の原因となる傾向がある。
また、R12は、炭素数6〜25のアルキル基または炭素数6〜25のアルキルフェニル基であり、炭素数6〜25のアルキル基であることが好ましく、10〜20のアルキル基であることがより好ましい。R12が、炭素数6未満の基であると、合わせガラス等を製造した際に透明性が不充分となる場合がある。また、R12が、炭素数25を超える基であると、充分な透明性を有する合わせガラス等を得るために必要な、リン酸エステル化合物の量が増え、コスト高の原因となる傾向がある。
リン系分散剤としては、前記一般式(2)で表されるリン酸モノエステルおよび前記一般式(3)で表されるリン酸ジエステルの少なくとも一方、またはそのアルカリ金属塩が用いられることが好ましいが、前記一般式(2)で表されるリン酸モノエステルおよび前記一般式(3)で表されるリン酸ジエステルの両方、またはそのアルカリ金属塩を用いることがより好ましい。前記一般式(2)で表されるリン酸モノエステルおよび前記一般式(3)で表されるリン酸ジエステルの両方、またはそのアルカリ金属塩を用いると、合わせガラス等の透明性、耐熱性に優れる傾向があり好ましい。前記一般式(2)で表されるリン酸モノエステルおよび前記一般式(3)で表されるリン酸ジエステルの両方、またはそのアルカリ金属塩を用いる場合には、前記一般式(2)で表されるリン酸モノエステルと前記一般式(3)で表されるリン酸ジエステルとの割合は、特に限定されないが、通常はモル比(一般式(2):一般式(3))で10:90〜90:10である。
また、前記一般式(2)で表されるリン酸モノエステルとしては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよく、前記一般式(3)で表されるリン酸ジエステルとしては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
前記一般式(2)で表されるリン酸モノエステルおよび前記一般式(3)で表されるリン酸ジエステルから選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物としては、市販されているリン酸エステル化合物、例えばDDP−2,DDP−4、DDP−6、DDP−8、DDP−10(以上、日光ケミカルズ(株)製)や、プライサーフA212C、プライサーフA215C、プライサーフAL12H、プライサーフAL、プライサーフA208F、プライサーフA208N、プライサーフA208B、プライサーフA219B、プライサーフA210D、プライサーフDBS(以上、第一工業製薬(株)製)等を用いることもできる。
なお、市販されているリン酸エステル化合物には、一般式(2)で表されるリン酸モノエステルおよび前記一般式(3)で表されるリン酸ジエステル以外の成分、例えば、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルや、下記一般式(4)で表されるリン酸トリエステルが含有されている場合がある。本発明では、リン酸エステル化合物中に、このようなポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルや、リン酸トリエステルが存在しても、問題なく使用することができる。
なお、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルが含まれている場合には、一般式(2)で表されるリン酸モノエステルおよび前記一般式(3)で表されるリン酸ジエステルの合計100質量部に対して、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルが、1〜300質量部であることが好ましい。
なお、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルとしては、HO−(CH2CH2O)n12、(nは2〜35の整数であり、R12は、炭素数6〜25のアルキル基または炭素数6〜25のアルキルフェニル基を示す。)が挙げられる。該ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルは、リン酸エステルを製造する際に用いられる原料に由来すると考えられる。
なお、一般式(4)で表されるリン酸トリエステルが含まれている場合には、一般式(2)で表されるリン酸モノエステルおよび前記一般式(3)で表されるリン酸ジエステルの合計100質量部に対して、一般式(4)で表されるリン酸トリエステルが、1〜300質量部であることが好ましい。
Figure 2015134893
[一般式(4)中、R5、R6およびR7は、−(CH2CH2O)n12で表される1価の基であり、nは2〜35の整数であり、R12は、炭素数6〜25のアルキル基または炭素数6〜25のアルキルフェニル基を示す。ただし、R5、R6およびR7は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
なお、一般式(4)におけるnやR12としては、一般式(2)および(3)におけるnやR12と同様のものが好ましい。
前記リン系分散剤として、アルカリ金属塩を用いる場合には、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル等を、アルカリ金属化合物で中和することにより得ることが可能である。
前記アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、水素化物や、炭酸水素塩、炭酸塩、硝酸塩、硫酸水素塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩などの有機酸塩等が挙げられ、アルカリ金属の水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩が好ましい。
また、アルカリ金属化合物を構成する金属種としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムが挙げられるが、ナトリウム、カリウム、セシウムが好ましく、ナトリウムがより好ましい。すなわち、前記アルカリ金属化合物としてはナトリウム塩、カリウム塩、およびセシウム塩から選択される少なくとも1種の塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
なお、アルカリ金属化合物としては一種を用いても、二種以上を用いてもよい。
前記リン系分散剤として用いることが可能なアルカリ金属塩を得る方法としては、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル等から選択される少なくとも1種のリン系化合物を、アルカリ金属塩で中和することができればよく、特に限定されないが、例えばリン系化合物の水溶液および、アルカリ金属化合物の水溶液をそれぞれ調製し、リン系化合物の水溶液中にアルカリ金属化合物の水溶液を添加し、中和を行う方法が挙げられる。中和に用いる溶媒としては、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコールや、これらアルコールと水との混合溶媒が挙げられる。
なお、リン系化合物として、リン酸モノエステルが含まれている場合には、リン酸モノエステルが有する二つの水酸基のうち一つが中和される第一中和点、および二つが中和される第二中和点が存在することになる。
アルカリ金属塩を用いる場合には、リン系分散剤の添加量をより削減する観点から、第二中和点まで中和されていることが好ましい。
また、前記一般式(2)で表されるリン酸モノエステルおよび前記一般式(3)で表されるリン酸ジエステルから選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物を、アルカリ金属塩で中和した状態で市販されているものを、リン酸エステル化合物のアルカリ金属塩として用いてもよい。市販されているリン酸エステル化合物のアルカリ金属塩としては、DLP−10(リン酸エステル化合物のナトリウム塩)、DOP−8NV(リン酸エステル化合物のナトリウム塩)等が挙げられる。なお、市販されているリン酸エステル化合物のアルカリ金属塩中に、リン酸エステルの水酸基が残存している場合、すなわち未中和の水酸基が存在する場合には、さらに中和を行った後に、リン酸エステル化合物のアルカリ金属塩として用いてもよい。
なお、ホスホン酸銅塩からなる微粒子を製造する際には、前記銅塩1モルあたり、一般式(1)で表わされるホスホン酸化合物を0.5〜1.5モル用いることが好ましく、0.8〜1.2モル用いることがより好ましい。また、リン系分散剤が、一般式(2)で表されるリン酸モノエステルおよび下記一般式(3)で表されるリン酸ジエステルから選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物、またはそのアルカリ金属塩である場合には、前記銅塩100質量部あたり、5〜200質量部用いることが好ましく、10〜80質量部用いることがより好ましい。
前記溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、メタノール/エタノール混合溶媒、イソプロピルアルコール/エタノール混合溶媒等のアルコール、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、水等が挙げられ、良好に反応を行う観点から、メタノール、エタノール、メタノール/エタノール混合溶媒、イソプロピルアルコール/エタノール混合溶媒が好ましい。また、反応工程は、好ましくは0〜80℃、より好ましくは10〜60℃の温度条件で、好ましくは0.5〜80時間、より好ましくは1〜50時間行われる。
前記反応工程では、前記一般式(1)で表わされるホスホン酸化合物と、前記銅塩とが主に反応し、該反応によって、前記溶媒に溶解しない微粒子状のホスホン酸銅塩が生成する。前記リン系分散剤は、反応時に良好な分散剤として作用することができるため、前記ホスホン酸銅塩は分散性が高く保たれ、凝集を抑制することができる。
なお、前記反応工程では、前記一般式(1)で表わされるホスホン酸化合物と銅塩との反応のみではなく、例えばリン系分散剤として一般式(2)で表されるリン酸モノエステルおよび下記一般式(3)で表されるリン酸ジエステルから選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物、またはそのアルカリ金属塩を用いた場合には、該リン酸エステル化合物、またはそのアルカリ金属塩と、銅塩の一部とが反応してもよい。また、原料の一部が反応せずに残存していてもよい。
なお、前記反応混合物の製造方法では、通常、前記反応物から、少なくとも前記溶媒の一部を除去することにより、ホスホン酸銅塩からなる微粒子(反応混合物)を得る。なお、前記溶媒の除去を行わず、反応物をそのまま反応混合物の分散液として用いてもよい。
溶媒除去工程では、反応物中から、少なくとも前記溶媒の一部を除去する。溶媒除去工程では、溶媒以外にも、反応物中の液体成分を合わせて除去してもよい。
溶媒除去工程では、通常反応物を加熱することにより、少なくとも前記溶媒の一部を除去するが、加熱条件は通常、室温〜70℃であり、好ましくは40〜60℃である。また、溶媒除去工程は、常圧下で行ってもよく、減圧下で行ってもよい。減圧下で溶媒除去工程を行う場合には、加熱を行わなくてもよい場合や、加熱温度が低くてもよい場合がある。
また、溶媒を除去する別の方法としては、反応物を静置することにより、ホスホン酸銅塩からなる微粒子を沈殿させ、上澄み液(溶媒)を除去する方法や、反応物を遠心分離処理することにより、ホスホン酸銅塩からなる微粒子を沈殿させ、上澄み液(溶媒)を除去する方法が挙げられる。
なお、溶媒を除去する方法としては、これらの方法を組み合わせて行ってもよい。
また、溶媒除去工程を行った後に、反応混合物中に含まれる不純物の除去を目的として、反応混合物を、分散媒に分散した後に、該分散媒を除去する工程を設けてもよい。
前記反応混合物としては通常、平均粒径が1〜1000nmのホスホン酸銅塩からなる微粒子が用いられる。平均粒径としては、樹脂への分散性や樹脂組成物の透明性を確保するため、5〜300nmであることがより好ましい。
[反応混合物の分散液]
本発明には、前記反応混合物の分散液が用いられる。
反応混合物の分散液としては、前述のように反応混合物の製造の過程で得られる反応物から溶媒の除去を行わずに、をそのまま反応混合物の分散液として用いてもよいが、通常は、反応混合物を得た後に、該反応混合物を、溶剤に分散させることにより得られる反応混合物の分散液が用いられる。
溶剤としては、反応混合物を分散できればよく、特に限定はないが、トルエン、メタノール、塩化メチレン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、可塑剤に用いられることのあるトリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサノエート)等およびこれらの混合溶媒等が挙げられる。
また、反応混合物を溶剤に分散させる方法としては特に限定はないが、容器中に反応混合物および溶剤を添加した後、撹拌、超音波照射等を行い、反応混合物を溶剤に分散させる方法が挙げられる。
本発明に用いられる反応混合物の分散液としては、反応混合物100質量部に対して、溶剤が通常は100〜10000質量部であり、好ましくは150〜2000質量部であり、より好ましくは200〜1000質量部である。
[酸性官能基またはその塩を有する固体状の樹脂]
本発明には酸性官能基またはその塩を有する固体状の樹脂が用いられる。なお、本発明において、固体状の樹脂とは、ゲル状の樹脂を包含する概念である。
前記酸性官能基またはその塩としては、スルホ基(−SO3H)、カルボキシル基(−COOH)、リン酸基(-O-PO(OH)2)およびこれらの塩が挙げられる。本発明に用いられる樹脂は、酸性官能基またはその塩を、1種のみ有していてもよく、2種以上を有していてもよい。
塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、フランシウム塩、ベリリウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、ラジウム塩等が挙げられる。すなわち、前記塩としては、一価の金属塩または二価の金属塩であることが好ましい。
前記塩としては、一価の金属塩であることがより好ましい。
なお、前記酸性官能基またはその塩としては、−SO3H、−COOH、−SO3Na、−COONa、−SO3K、−COOKが好ましく、−SO3H、−COOH、−SO3Na、−COONaがより好ましく、−SO3H、−SO3Na、−COONaが特に好ましく−SO3Na、−COONaが最も好ましい。
本発明に用いられる酸性官能基またはその塩を有する固体状の樹脂はとしては、モノマーの少なくとも一部として、酸性官能基またはその塩を有するモノマーを用い、重合することにより得てもよく、酸性官能基またはその塩有さないモノマーを用い、重合を行った後、得られた重合体に酸性官能基またはその塩を導入するための変性を行うことにより得てもよい。
本発明に用いられる酸性官能基またはその塩を有する固体状の樹脂としては、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体などの架橋ポリスチレンのスルホン化物、NAFION(登録商標)等のスルホ基を有する含フッ素樹脂、メタクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体などの架橋ポリメタクリル酸、アクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体などの架橋ポリアクリル酸およびこれらの樹脂が有する酸性官能基が中和された樹脂が挙げられる。
本発明に用いられる酸性官能基またはその塩を有する固体状の樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば強酸性陽イオン交換樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂として市販されている樹脂を用いることができる。
また、酸性官能基またはその塩を有する固体状の樹脂として、強酸性陽イオン交換樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂を用いるときは、該樹脂が有する酸性官能基が、酸の状態(未中和)で用いてもよく、中和を行い塩の状態で用いてもよいが、樹脂組成物の耐熱性、耐光性の観点から、塩の状態である事が好ましい。すなわち、酸性官能基またはその塩を有する固体状の樹脂としては、酸性官能基の塩を有する固体状の樹脂が好ましい。
[接触処理]
本発明の近赤外線吸収剤分散液の製造方法は、前記反応混合物の分散液を、前記酸性官能基またはその塩を有する固体状の樹脂と接触処理することを特徴とする。
なお、本発明において接触処理とは、反応混合物の分散液と、前記酸性官能基またはその塩を有する固体状の樹脂とを接触させることを意味する。
接触処理を行う方法としては特に限定はなく、反応混合物の分散液に、前記酸性官能基またはその塩を有する固体状の樹脂を加える方法、容器に、前記酸性官能基またはその塩を有する固体状の樹脂、反応混合物の分散液を加える方法、前記酸性官能基またはその塩を有する固体状の樹脂をカラム等に充填し、そこに反応混合物の分散液を通液する方法等が挙げられる。
なお、接触処理を行う温度は特に限定はなく、通常は0〜80℃、好ましくは10〜50℃で行われる。また、接触処理を行う時間についても特に限定はなく、通常は1分〜10時間、好ましくは5分〜3時間行われる。
本発明の近赤外線吸収剤分散液の製造方法は、接触処理を行っているため、本発明の樹脂組成物は、耐光性、耐熱性に優れる。本発明の樹脂組成物が耐光性、耐熱性に優れる理由は明らかではないが、本発明者らは接触処理を行うことにより、系内の有害なイオン成分が除去されたり、酸成分が中和される効果があるためと推定した。
[近赤外線吸収剤分散液]
本発明の近赤外線吸収剤分散液の製造方法では、通常は前記接触処理を行った後に前記酸性官能基またはその塩を有する固体状の樹脂と、分散液とを分けることにより、近赤外線吸収剤分散液を得る。
前記酸性官能基またはその塩を有する固体状の樹脂と、分散液とを分ける方法としては特に限定はないが、通常は、分散液の上澄みを分取することにより近赤外線吸収剤分散液を得る方法、ろ過等が挙げられる。
本発明に用いられる近赤外線吸収剤分散液としては、近赤外線吸収剤100質量部に対して、溶剤が通常は100〜10000質量部であり、好ましくは150〜2000質量部であり、より好ましくは200〜1000質量部である。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、前記近赤外線吸収剤分散液から得られる近赤外線吸収剤と、樹脂とを含む。
前記樹脂としては、近赤外線吸収剤を分散することが可能であればよく特に限定はないが、例えば以下の樹脂を用いることができる。
本発明に用いる樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびノルボルネン樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂が、近赤外線吸収剤を良好に分散することが可能であり、かつ可視光の透過性に優れるため好ましい。
本発明に用いる樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、およびエチレン‐酢酸ビニル共重合体から選択される少なくとも1種の樹脂であることがより好ましく、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、およびエチレン‐酢酸ビニル共重合体から選択される少なくとも1種の樹脂であることが特に好ましく、ポリビニルブチラール樹脂、またはエチレン‐酢酸ビニル共重合体が最も好ましい。ポリビニルアセタール樹脂を用いると、前述の近赤外線吸収剤の分散性に優れ、本発明の樹脂組成物を用いて、光学材料を製造する際に、ガラス等への密着性に優れ、本発明の樹脂組成物が柔軟であり、かつ温度変化に伴う近赤外線吸収剤の変形が起こり難いため好ましい。また、ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)を用いることが、ガラス密着性、分散性、透明性、耐熱性、耐光性などの観点から好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂は、必要な物性に応じて、二種以上を組み合わせたブレンド物であってもよく、アセタール化時にアルデヒドを組み合わせてアセタール化することにより得られるポリビニルアセタール樹脂であってもよい。上記ポリビニルアセタール樹脂の分子量、分子量分布およびアセタール化度は特に限定されないが、アセタール化度は、一般に40〜85%であり、好ましい下限は60%、上限は75%である。
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂をアルデヒドによりアセタール化することにより得ることができる。上記ポリビニルアルコール樹脂は、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化することにより得られるものであり、鹸化度80〜99.8モル%のポリビニルアルコール樹脂が一般的に用いられる。上記ポリビニルアルコール樹脂の粘度平均重合度は好ましい下限は200、上限は3000である。200未満であると、得られる合わせガラスの耐貫通性が低下する場合がある。3000を超えると、樹脂組成物の成形性が悪くなる場合があり、しかも樹脂組成物の剛性が大きくなり過ぎ、加工性が悪くなる。より好ましい下限は500、上限は2200である。なお、ポリビニルアルコール樹脂の粘度平均重合度、および鹸化度は、例えば、JISK 6726「ポリビニルアルコール試験方法」に基づいて測定することができる。
アルデヒドとしては特に限定されず、例えば、炭素数が1〜10のアルデヒド等が挙げられ、より具体的には、例えば、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルテヒド、n−へキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n−ブチルアルデヒド、n−へキシルアルデヒド、n−バレルアルデヒド等が好ましい。より好ましくは、炭素数が4のブチルアルデヒドである。
また、エチレン‐酢酸ビニル共重合体を用いると、前述の近赤外線吸収剤の分散性に優れ、ガラス密着性、分散性、透明性、耐熱性、耐光性などの観点から好ましい。
本発明の樹脂組成物は、前述のように前記近赤外線吸収剤分散液から得られる近赤外線吸収剤と、樹脂とを含む樹脂組成物であり、耐熱性、耐光性に優れる。
本発明の樹脂組成物の製造方法としては特に限定されない。本発明の樹脂組成物の製造方法としては、例えば、トルエン、エタノール/トルエン混合溶媒、メタノール/トルエン混合溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等の溶剤に、樹脂、近赤外線吸収剤分散液を添加した後、撹拌、超音波照射等によって、樹脂を溶解させ、分散液を得て、該分散液から溶剤を除去する方法が挙げられる。また、別の方法としては、トルエン、エタノール/トルエン混合溶媒、メタノール/トルエン混合溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等の溶剤に、樹脂を添加した後、撹拌、超音波照射等によって、樹脂を溶解させ、次いで樹脂が溶解した溶液中に、近赤外線吸収剤分散液を添加した後、撹拌、超音波照射等を行い、分散液を得て、該分散液から溶剤を除去する方法が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、前記樹脂100質量部あたり、近赤外線吸収剤を0.05〜50質量部含有することが好ましく、0.1〜25質量部含有することがより好ましい。0.05質量部より少ないと充分な近赤外線吸収特性が得られない可能性があり、50質量部より多すぎると樹脂の透明性や接着性が大幅に低下するおそれがある。
本発明の樹脂組成物は、近赤外線吸収能に優れ、光照射がされた場合の着色や、可視光透過率の低下が抑制されているため、合わせガラス等の構造材料用の中間膜として好適に使用することが可能である。
また、本発明の樹脂組成物には、各種添加剤が含有されていてもよい。添加剤としては、例えば可塑剤、他の分散剤、架橋剤、キレート剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、色調補正剤等が挙げられる。これらの添加剤は、本発明の樹脂組成物を製造する際に、添加されてもよく、前述の近赤外線吸収剤分散液、樹脂それぞれを製造する際に添加されてもよい。
〔樹脂組成物の用途〕
本発明の樹脂組成物は、近赤外線を吸収することが望まれる用途に通常は用いられる。
本発明の樹脂組成物から形成される樹脂膜は、近赤外線吸収能に優れ、耐光性に優れるため合わせガラス用中間膜等の構造材料用中間膜として好適に用いることが可能である。
また、本発明の合わせガラスは、前記合わせガラス用中間膜を有している。本発明の合わせガラスを構成するガラスとしては特に限定はなく、従来公知のものを用いることができる。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔実施例1〕
酢酸銅1水和物1.00g(5.0×10-3mol)を、エタノール50gに溶解させた溶液(a1)、並びに、ブチルホスホン酸0.69gおよび下記リン酸エステル化合物(A)0.20gを、エタノール5gに溶解させた溶液(b1)をそれぞれ準備した。
なお、前記リン酸エステル化合物(A)は、前記一般式(2)で表されるリン酸モノエステルと、前記一般式(3)で表されるリン酸ジエステルとを主成分とする混合物であり、前記式中におけるnが20であり、R12が炭素数12〜15のアルキル基であるものである。なお、リン酸エステル化合物(A)中のモノエステルとジエステルとの存在比(モル比)は、ほぼ1:1である。
次いで、上記で得られた溶液(a1)と溶液(b1)とを混合し、室温下で3時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液を40℃にて減圧乾固して1.2gの固形物(反応混合物)を得た。
ガラス容器に、得られた固形物、トルエン10gを添加し、2時間超音波洗浄機にガラス容器ごと入れて分散処理を行う事により反応混合物を分散させたトルエン(反応混合物の分散液(1))を得た。この分散液中の反応混合物(銅塩)の、平均粒子径は63nmであった。なお、平均粒子径は大塚電子株式会社製ELSZ−2を用いて求めた。
充分に乾燥させた下記カルボン酸ナトリウム塩を有する固体状樹脂(A−1)を2g入れたガラス容器に先に得られた反応混合物の分散液(1)を6g入れて、2時間放置し、上澄みを回収し、近赤外線吸収剤分散液(1)を得た。
なお、前記カルボン酸ナトリウム塩を有する固体状樹脂(A−1)は、以下の方法で得た。
アンバーライトIRC−76(オルガノ製、カルボキシル基を有する陽イオン交換樹脂、見かけ密度:約700g/L−R、総交換容量:≧3.9eq/L−R、調和平均径:0.50〜0.75mm)30gをビーカーに入れ、純水100gを入れる。ゆっくり撹拌しながら10%水酸化ナトリウム水溶液を滴下して水層のpHを7にした。次いでこれをろ過して樹脂をろ別、水洗した。次にこの樹脂をメタノールに浸漬し、ろ過、メタノールで洗浄、次いでアセトンで洗浄、最後にトルエンで洗浄した後に70℃で真空乾燥を行って乾燥中和カルボン酸塩型イオン交換樹脂(カルボン酸ナトリウム塩を有する固体状樹脂(A−1))を得た。
次いでポリビニルブチラール樹脂の粉末11gをトルエン200g、エタノール80gの混合溶媒に溶解した後に、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)4.2g、先に得た近赤外線吸収剤分散液(1)2.7gを混合した後、真空乾燥機に入れて40℃で一晩、70℃で3時間乾燥させて近赤外線吸収剤を含むポリビニルブチラール樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、厚さ0.8mmの型枠および(株)神藤金属工業所製の圧縮成形機を用い、120℃、3MPaで予熱1分間を行った後、15MPaで3分間プレスし、30mm×80mm×0.8mm厚さの樹脂シートを得た。前記樹脂シートの両面を、スライドガラス(厚み1.2〜1.5mm)で挟み、オートクレーブを用いて15MPaの加圧状態で130℃30分間加熱、冷却後取り出して合せガラスを作製した。
<透明性及びYI(黄色度指数)の評価>
ヘイズは、日本電色工業NDH−2000(D65光源,シングルビーム)を使用して測定した。
YI(黄色度指数)は、分光光度計(U−4100形、(株)日立製作所製)を使用して250〜2500nmの波長範囲で透過率を測定した後に、色彩計算プログラムを使用してC光源での三刺激値(X,Y,Z)を算出、下記式より値を計算した。
YI=(128X−106Z)/Y
<耐熱性の評価>
耐熱性試験は100℃のオーブンに合せガラスを入れ、適時取り出して透明性(ヘイズ)及びYIを測定することにより合せガラスの変化を見た。
<耐光性の評価>
耐光性試験を以下の方法で行った。
合せガラスのTvis(可視光透過率)、YIを、分光光度計(U−4100形、(株)日立製作所製)を使用し求めた。
次いでスーパーキセノンウェザーメーターSX−75(スガ試験機(株)製)に合せガラスを入れ、照射する光の強度を180W/m2、ブラックパネル温度63℃ 湿度50% 降雨なしの条件で250時間保管した後、分光を測定してYI、Tvisを求めた。
〔実施例2〕
カルボン酸ナトリウム塩を有する固体状樹脂(A−1)を、カルボキシル基を有する固体状樹脂(A−2)に代えた以外は実施例1と同様に行い、ポリビニルブチラール樹脂組成物および合わせガラスを作成し、実施例1と同様の方法で評価を行った。
なお、前記カルボキシル基を有する固体状樹脂(A−2)は、以下の方法で得た。
アンバーライトIRC−76(オルガノ製、カルボキシル基を有する陽イオン交換樹脂、見かけ密度:約700g/L−R、総交換容量:≧3.9eq/L−R、調和平均径:0.50〜0.75mm)30gをビーカーに入れ、純水100gを入れて、撹拌、デカンテーションで上澄みを除去した後に再度純水100gを入れて撹拌、これをろ過して樹脂をろ別、水洗した。次にこの樹脂をメタノールに浸漬し、ろ過、メタノールで洗浄、次いでアセトンで洗浄、最後にトルエンで洗浄した後に70℃で真空乾燥を行って乾燥カルボン酸型イオン交換樹脂(カルボキシル基を有する固体状樹脂(A−2))を得た。
〔実施例3〕
カルボン酸ナトリウム塩を有する固体状樹脂(A−1)を、スルホン酸ナトリウム塩を有する固体状樹脂(A−3)に代えた以外は実施例1と同様に行い、ポリビニルブチラール樹脂組成物および合わせガラスを作成し、実施例1と同様の方法で評価を行った。
なお、前記スルホン酸ナトリウム塩を有する固体状樹脂(A−3)は、以下の方法で得た。
アンバーライトIR−120Na(オルガノ製、スルホン酸ナトリウムを有する陽イオン交換樹脂、見かけ密度:約840g/L−R、総交換容量:≧2.0eq/L−R、調和平均径:0.60〜0.80mm)30gをビーカーに入れ、純水100gを入れて、撹拌、上澄みを除去した後に再度純水100gを入れて撹拌、これをろ過して樹脂をろ別、水洗した。次にこの樹脂をメタノールに浸漬し、ろ過、メタノールで洗浄、次いでアセトンで洗浄、最後にトルエンで洗浄した後に70℃で真空乾燥を行って乾燥中和スルホン酸塩型イオン交換樹脂(スルホン酸ナトリウム塩を有する固体状樹脂(A−3))を得た。
〔実施例4〕
カルボン酸ナトリウム塩を有する固体状樹脂(A−1)を、スルホ基を有する固体状樹脂(A−4)に代えた以外は実施例1と同様に行い、ポリビニルブチラール樹脂組成物および合わせガラスを作成し、実施例1と同様の方法で評価を行った。
なお、前記スルホ基を有する固体状樹脂(A−4)は、以下の方法で得た。
アンバーライトIR−120Na(オルガノ製、スルホン酸ナトリウムを有する陽イオン交換樹脂、見かけ密度:約840g/L−R、総交換容量:≧2.0eq/L−R、調和平均径:0.60〜0.80mm)30gをビーカーに入れ、純水100gを入れる。ゆっくり撹拌しながら濃塩酸を滴下して水層のpHを1.5にした。次いでこれをろ過して樹脂をろ別、水洗した。次にこの樹脂をメタノールに浸漬し、ろ過、メタノールで洗浄、次いでアセトンで洗浄、最後にトルエンで洗浄した後に70℃で真空乾燥を行って乾燥スルホン酸型イオン交換樹脂(スルホ基を有する固体状樹脂(A−4))を得た。
〔比較例1〕
近赤外線吸収剤分散液(1)を、反応混合物の分散液(1)に代えた以外は実施例1と同様に行い、ポリビニルブチラール樹脂組成物および合わせガラスを作成し、実施例1と同様の方法で評価を行った。
各実施例、比較例における耐光性の評価結果を表1に示し、耐熱性の評価結果を表2に示す。
下記表1より、銅塩(反応混合物)を、酸性官能基またはその塩を有する固体状の樹脂と接触処理することにより得られる近赤外線吸収剤分散液を用いて調製される本願発明の樹脂組成物(実施例)は、該接触処理を行わずに得られた銅塩を近赤外線吸収剤として用いて調製された樹脂組成物(比較例1)と比べて、耐光性に優れることがわかり、表1および表2より、本願発明の樹脂組成物が耐光性および耐熱性に優れることがわかる。
Figure 2015134893
Figure 2015134893

Claims (9)

  1. 少なくとも銅塩と、下記一般式(1)で表わされるホスホン酸化合物と、リン系分散剤とを反応させることにより得られる反応混合物の分散液を、
    酸性官能基またはその塩を有する固体状の樹脂と接触処理する近赤外線吸収剤分散液の製造方法。
    Figure 2015134893
    [一般式(1)中、R1は、−CH2CH2−R11で表される1価の基であり、R11は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を示す。]
  2. 前記酸性官能基またはその塩が、スルホ基(−SO3H)、カルボキシル基(−COOH)、リン酸基(-O-PO(OH)2)およびこれらの塩から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の近赤外線吸収剤分散液の製造方法。
  3. 前記塩が、一価の金属塩または二価の金属塩である請求項1または2に記載の近赤外線吸収剤分散液の製造方法。
  4. 前記リン系分散剤が、リン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルから選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物、またはそのアルカリ金属塩である請求項1〜3のいずれか一項に記載の近赤外線吸収剤分散液の製造方法。
  5. 前記リン酸モノエステルが、下記一般式(2)で表されるリン酸モノエステルであり、前記リン酸ジエステルが、下記一般式(3)で表されるリン酸ジエステルである請求項4に記載の近赤外線吸収剤分散液の製造方法。
    Figure 2015134893
    [一般式(2)および(3)中、R2、R3およびR4は、−(CH2CH2O)n12で表される1価の基であり、nは2〜35の整数であり、R12は、炭素数6〜25のアルキル基または炭素数6〜25のアルキルフェニル基を示す。ただし、R2、R3およびR4は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の近赤外線吸収剤分散液の製造方法によって得られる近赤外線吸収剤分散液。
  7. 請求項6に記載の近赤外線吸収剤分散液から得られる近赤外線吸収剤と、樹脂とを含む樹脂組成物。
  8. 前記請求項7に記載の樹脂組成物から形成される合わせガラス用中間膜。
  9. 前記請求項8に記載の合わせガラス用中間膜を有する合わせガラス。
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