JP2016060903A - 近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法、近赤外線吸収剤微粒子分散液およびその用途 - Google Patents

近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法、近赤外線吸収剤微粒子分散液およびその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】透明性や、加工時の耐久性に優れる樹脂組成物を得ることが可能な近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法、該製造方法により得られる近赤外線吸収剤微粒子分散液を提供すること。
【解決手段】本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、少なくとも銅塩と、一般式(1)[式中、R1は、−CH2CH2−R11で表される1価の基であり、R11は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を示す。]で表わされるホスホン酸化合物とを反応させることにより得られるホスホン酸銅塩から形成される近赤外線吸収剤を含む分散液中の近赤外線吸収剤を、湿式ジェットミルにより微粒子化する。
Figure 2016060903

【選択図】なし

Description

本発明は近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法、近赤外線吸収剤微粒子分散液およびその用途に関する。
銅イオンは、近赤外領域の光(以下、「近赤外線」ともいう)の吸収特性に優れており、銅イオンが有する近赤外線の吸収特性を利用した近赤外線吸収剤が従来から提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、特定のホスホン酸化合物と、特定のリン酸エステル化合物と、銅イオンとを含有する近赤外線吸収剤が開示されている。特許文献1には該近赤外線吸収剤が、優れた透明性、耐熱性を有することが開示されている。
また、特許文献2には、特定のホスホン酸化合物と、特定のリン酸エステル化合物と、銅塩とを反応させて近赤外線吸収剤を含む反応混合物を得た後に、特定の方法により精製することにより、精製された近赤外線吸収剤を含有する近赤外線吸収剤分散液の製造方法が開示されている。特許文献2には、該製造方法で得られる近赤外線吸収剤分散液は、近赤外線吸収剤の分散性に優れていること、該分散液から作製された樹脂組成物は、耐熱性に優れることが開示されている。
近赤外線吸収剤を製造する際の原料や、精製方法により近赤外線吸収剤の物性を向上させることは従来から検討されてきたが、それ以外の方法により近赤外線吸収剤の物性を向上させることは、未だ充分に検討されておらず、改良の余地があった。
特開2011−99038号公報 国際公開第2014/038035号
本発明は上記従来技術を鑑みてされたものであり、透明性や、加工時の耐久性に優れる樹脂組成物を得ることが可能な近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法、該製造方法により得られる近赤外線吸収剤微粒子分散液を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の方法で得られた近赤外線吸収剤微粒子分散液を用いて得られた樹脂組成物は、透明性や、加工時の耐久性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、少なくとも銅塩と、下記一般式(1)で表わされるホスホン酸化合物とを反応させることにより得られるホスホン酸銅塩から形成される近赤外線吸収剤を含む分散液中の近赤外線吸収剤を、湿式ジェットミルにより微粒子化することを特徴とする。
Figure 2016060903
[一般式(1)中、R1は、−CH2CH2−R11で表される1価の基であり、R11は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を示す。]
近赤外線吸収剤微粒子の動的光散乱法で測定したメジアン径(d50)が50〜100nmであることが好ましい。
前記ホスホン酸銅塩が、分散剤存在下で反応を行うことにより得られることが好ましい。
前記分散剤が、下記一般式(2)で表されるリン酸モノエステル、下記一般式(3)で表されるリン酸ジエステル、およびこれらのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物であることが好ましい。
Figure 2016060903
[一般式(2)および(3)中、R2、R3およびR4は、−(CH2CH2O)n12で表される1価の基であり、nは2〜65の整数であり、R12は、炭素数6〜35のアルキル基または炭素数6〜35のアルキルフェニル基を示す。ただし、R2、R3およびR4は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液は、前記近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法によって得られる。
本発明の樹脂組成物は、前記近赤外線吸収剤微粒子分散液から得られる近赤外線吸収剤微粒子と、樹脂とを含む。
本発明の合わせガラス用中間膜は、前記樹脂組成物から形成される。
本発明の合わせガラスは、前記合わせガラス用中間膜を有する。
本発明の近赤外線吸収剤の微粒子化方法は、少なくとも銅塩と、下記一般式(1)で表わされるホスホン酸化合物とを反応させることにより得られるホスホン酸銅塩から形成される近赤外線吸収剤を含む分散液中の近赤外線吸収剤を、湿式ジェットミルにより微粒子化することを特徴とする。
Figure 2016060903
[一般式(1)中、R1は、−CH2CH2−R11で表される1価の基であり、R11は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を示す。]
本発明の製造方法により得られる近赤外線吸収剤微粒子分散液を用いることにより、透明性や、加工時の耐久性に優れる樹脂組成物を得ることが可能である。
次に本発明について具体的に説明する。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、少なくとも銅塩と、下記一般式(1)で表わされるホスホン酸化合物とを反応させることにより得られるホスホン酸銅塩から形成される近赤外線吸収剤を含む分散液中の近赤外線吸収剤を、湿式ジェットミルにより微粒子化することを特徴とする。
Figure 2016060903
[一般式(1)中、R1は、−CH2CH2−R11で表される1価の基であり、R11は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を示す。]
[近赤外線吸収剤]
本発明に用いられる分散液は、少なくとも銅塩と、一般式(1)で表わされるホスホン酸化合物とを反応させることにより得られるホスホン酸銅塩から形成される近赤外線吸収剤を含む。
前記近赤外線吸収剤は、少なくとも銅塩と、一般式(1)で表わされるホスホン酸化合物とを反応させることにより得られ、さらに他の原料を用いて反応させることにより得られてもよい。他の原料としては、例えば分散剤を用いることができる。
前記分散剤としては、リン酸系分散剤、スルホン酸系分散剤などの陰イオン性分散剤が挙げられ、リン酸系分散剤が好ましい。リン酸系分散剤としては、リン酸エステル系分散剤が好ましい。前記リン酸エステル系分散剤としては、下記一般式(2)で表されるリン酸モノエステル、下記一般式(3)で表されるリン酸ジエステル、およびこれらのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物が好ましい。
Figure 2016060903
[一般式(2)および(3)中、R2、R3およびR4は、−(CH2CH2O)n12で表される1価の基であり、nは2〜65の整数であり、R12は、炭素数6〜35のアルキル基または炭素数6〜35のアルキルフェニル基を示す。ただし、R2、R3およびR4は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
前記近赤外線吸収剤の製造方法としてはとくに限定はないが通常は、銅塩と、一般式(1)で表されるホスホン酸化合物とを、溶媒中で混合して、近赤外線吸収剤を含む反応混合物を得る工程Aを有する製法で得られ、好ましくは、工程Aに加えて、工程Aの後に行われる、前記反応混合物から溶媒の少なくとも一部を除去する工程Bを有する製法により得られる。
(工程A)
工程Aは、前述の通り、銅塩と、一般式(1)で表されるホスホン酸化合物とを、溶媒中で混合して、近赤外線吸収剤を含む反応混合物を得る工程である。
なお、本発明において、「一般式(1)で表されるホスホン酸化合物」を、「特定のホスホン酸化合物」とも記す。
工程Aで得られる近赤外線吸収剤は、主として前記特定のホスホン酸化合物と銅塩とが反応することにより得られるホスホン酸銅塩が有する銅イオンによって、近赤外線吸収特性を有すると考えられる。なお、該ホスホン酸銅塩は、下記一般式(4)で表わされる。
また、工程Aで得られる近赤外線吸収剤は、下記一般式(4)で表わされる構造を有しており、他の原料を用いた場合には、該原料に由来する構造も有している。
例えば、分散剤を用いた場合には、近赤外線吸収剤は、銅イオンに対して主として前記特定のホスホン酸化合物が配位し、さらにその周りに分散剤が存在すると考えられる。また、分散剤として、リン酸エステル系分散剤を用いた場合には、銅イオンの一部には、前記リン酸エステル系分散剤が配位していると考えられる。
このため、近赤外線吸収剤中の銅イオンは、熱等に対する安定性に優れ、例えば該近赤外線吸収剤を、樹脂と共に用いた場合、近赤外線吸収剤および樹脂を含む樹脂組成物は、熱成形を行った場合でも樹脂が銅イオンの影響を受けず、着色が少なく透明性に優れる。
Figure 2016060903
[一般式(4)中、R1は、−CH2CH2−R11で表される1価の基であり、R11は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を示す。]
前記一般式(1)および(4)におけるR11としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロへキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデシル基等が挙げられる。
また、工程Aにより近赤外線吸収剤を含む反応混合物を製造する際には、前記一般式(1)および(4)における前記R11が炭素数の大きな基、分子鎖の長い基であると、分散性が低下する傾向があるため、R11としては、水素原子または炭素数が1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素数が2〜10のアルキル基であることがより好ましい。
本発明に用いられることが可能なリン酸エステル系分散剤としては、分散剤として用いられるリン酸エステル化合物であればよく、特に限定はないが、好ましくは下記一般式(2)で表されるリン酸モノエステル、下記一般式(3)で表されるリン酸ジエステル、およびこれらのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物が用いられる。
Figure 2016060903
[一般式(2)および(3)中、R2、R3およびR4は、−(CH2CH2O)n12で表される1価の基であり、nは2〜65の整数であり、R12は、炭素数6〜35のアルキル基または炭素数6〜35のアルキルフェニル基を示す。ただし、R2、R3およびR4は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
なお、本発明において、「一般式(2)で表されるリン酸モノエステル、一般式(3)で表されるリン酸ジエステル、およびこれらのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物」を、「特定のリン酸エステル化合物」とも記す。
前記一般式(2)および(3)において、R2、R3およびR4は、−(CH2CH2O)n12で表される1価の基(ポリオキシアルキル基)である。nは2〜65の整数であり、好ましくは4〜65の整数であり、より好ましくは4〜45であり、特に好ましくは6〜45の整数である。nが2未満である場合には、近赤外線吸収剤を樹脂と共に用いて、成形体を製造した際に、該成形体の透明性が不充分となる場合がある。また、nが65を超えると、充分な透明性を有する成形体を得るために必要な、リン酸エステル化合物の量が増え、コスト高の原因となる。
また、R12は、炭素数6〜35のアルキル基または炭素数6〜35のアルキルフェニル基であり、炭素数6〜35のアルキル基であることが好ましく、炭素数6〜25のアルキル基であることがより好ましく、炭素数8〜20のアルキル基であることが特に好ましく、12〜20のアルキル基であることが最も好ましい。R12が、炭素数6未満の基であると、合わせガラス等を製造した際に透明性が不充分となる場合がある。また、R12が、炭素数35を超える基であると、充分な透明性を有する合わせガラス等を得るために必要な、リン酸エステル化合物の量が増え、コスト高の原因となる傾向がある。
工程Aにおいて近赤外線吸収剤を得る際に、一般式(2)で表されるリン酸モノエステル、一般式(3)で表されるリン酸ジエステル、およびこれらのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物を用いる場合には、一般式(2)で表されるリン酸モノエステルのみを用いても、一般式(3)で表されるリン酸ジエステルのみを用いても、一般式(2)で表されるリン酸モノエステルのアルカリ金属塩のみを用いても、一般式(3)で表されるリン酸ジエステルのアルカリ金属塩のみを用いてもよいが、一般式(2)で表されるリン酸モノエステルと、一般式(3)で表されるリン酸ジエステルとを併用するか、一般式(2)で表されるリン酸モノエステルのアルカリ金属塩と、一般式(3)で表されるリン酸ジエステルのアルカリ金属塩のアルカリ金属塩とを併用することが好ましい。
前記一般式(2)で表されるリン酸モノエステルと、一般式(3)で表されるリン酸ジエステルとを用いる、あるいは一般式(2)で表されるリン酸モノエステルのアルカリ金属塩と、一般式(3)で表されるリン酸ジエステルのアルカリ金属塩のアルカリ金属塩とを用いると、成形体の透明性、耐熱性に優れる傾向があり好ましい。これらの場合には一般式(2)で表されるリン酸モノエステルと、一般式(3)で表されるリン酸ジエステルとの割合は、特に限定されないが、通常はモル比((2):(3))で10:90〜90:10である。
また、前記一般式(2)で表されるリン酸モノエステルとしては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよく、前記一般式(3)で表されるリン酸ジエステルとしては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
また、前記アルカリ金属塩を用いる場合には、前記一般式(2)で表されるリン酸モノエステル、一般式(3)で表されるリン酸ジエステルを、アルカリ金属化合物で中和することにより得ることが可能である。
前記アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、水素化物や、炭酸水素塩、炭酸塩、硝酸塩、硫酸水素塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩などの有機酸塩等が挙げられ、アルカリ金属の水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩が好ましい。
また、アルカリ金属化合物を構成する金属種としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムが挙げられるが、ナトリウム、カリウム、セシウムが好ましく、ナトリウムがより好ましい。すなわち、前記アルカリ金属化合物としてはナトリウム塩、カリウム塩、およびセシウム塩から選択される少なくとも1種の塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
なお、アルカリ金属化合物としては一種を用いても、二種以上を用いてもよい。
また、分散剤としては、他のリン酸エステルを用いることも可能である。他のリン酸エステルとしては、例えばリン酸トリエステルが挙げられ、該リン酸トリエステルは、単独で用いても、前記特定のリン酸エステル化合物と共に用いてもよい。
前記下記一般式(2)で表されるリン酸モノエステル、下記一般式(3)で表されるリン酸ジエステル、およびこれらのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物としては、市販されているリン酸エステル化合物を用いることもできる。
前記銅塩としては、2価の銅イオンを供給することが可能な銅塩が通常用いられる。前記銅塩としては、前記一般式(4)で表わされるホスホン酸銅塩以外の銅塩であればよい。前記銅塩としては例えば、無水酢酸銅、無水蟻酸銅、無水ステアリン酸銅、無水安息香酸銅、無水エチルアセト酢酸銅、無水ピロリン酸銅、無水ナフテン酸銅、無水クエン酸銅等の有機酸の銅塩、該有機酸の銅塩の水和物もしくは水化物;酸化銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、塩基性炭酸銅等の無機酸の銅塩、該無機酸の銅塩の水和物もしくは水化物;水酸化銅が挙げられる。なお、銅塩としては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
銅塩としては、無水酢酸銅、酢酸銅1水和物が、溶解性や副生成物の除去の点から好ましく用いられる。
また、工程Aで用いる前記各成分の量は以下のとおりである。
前記特定のホスホン酸化合物は、銅塩中の銅1モルあたり、0.4モル以上であることが好ましく、0.5〜1.5モルであることがより好ましく、0.7〜1.2モルであることが特に好ましい。前記範囲内では、成形体の透明性、耐熱性が特に優れるため好ましい。
また、分散剤として、特定のリン酸エステル化合物を用いる場合には、前記特定のホスホン酸化合物を、前記リン酸エステル化合物1モルあたり、5モル以上用いることが好ましく、8〜100モル用いることがより好ましく、10〜80モル用いることが特に好ましい。
反応に用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、およびテトラヒドロフラン(THF)から選択される少なくとも1種の有機溶媒を含むことが好ましい。また、反応性の観点からメタノール、エタノール、THF、およびDMFから選択される少なくとも1種の有機溶媒を含むことが好ましく、メタノール、およびエタノールから選択される少なくとも1種の有機溶媒を含むことがより好ましい。前記有機溶媒としては、これらの有機溶媒のみでもよく、それ以外の有機溶媒を含んでいてもよい。
反応に用いる溶媒の量は、銅塩100質量部に対して、通常は1000〜20000質量部であり、好ましくは2000〜15000質量部である。
前記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、DMF、およびTHFから選択される少なくとも1種の有機溶媒(好ましくは、メタノール、エタノール、THF、およびDMFから選択される少なくとも1種の有機溶媒、より好ましくはメタノール、およびエタノールから選択される少なくとも1種の有機溶媒)100質量部に対して、それ以外の有機溶媒が、通常は0〜50質量部、好ましくは0〜30質量部含まれていてもよい。有機溶媒として、二種以上の有機溶媒を用いる場合に、その具体例としては、エタノールと、少量のその他の有機溶媒とを含む、変性エタノールが挙げられる。変性エタノールは、エタノール100質量部に対してその他の有機溶媒を、通常は3〜50質量部、好ましくは3〜30質量部含んでいる。変性エタノールとしては、メタノール変性エタノール、イソプロピルアルコール変性エタノール、トルエン変性エタノールが挙げられる。
また、工程Aは、通常は0〜80℃、好ましくは10〜60℃、より好ましくは室温〜60℃、特に好ましくは20〜40℃の温度条件で、通常は0.5〜60時間、好ましくは0.5〜30時間、より好ましくは0.5〜20時間、特に好ましくは1〜15時間行われる。
該工程Aによって、近赤外線吸収剤を含む反応混合物が得られる。反応混合物には、近赤外線吸収剤以外に、溶媒、用いる原料に依存する副生成物、未反応の原料等が含まれ得る。
(工程B)
本発明に用いられる近赤外線吸収剤としては、工程Aにより得られた近赤外線吸収剤を含む反応混合物を、そのまま近赤外線吸収剤を含む分散液として用いてもよいが、通常は、前述の工程Aで得られた反応混合物から溶媒の少なくとも一部を除去する工程Bを行う。
工程Bでは、溶媒以外の液体成分の少なくとも一部も除去されてもよい。溶媒以外の液体成分としては、例えば液状の副生成物が挙げられる。液状の副生成物としては、例えば銅塩として酢酸銅一水和物を用いた場合には、酢酸、水が挙げられる。
工程Aで得られた反応混合物から溶媒の少なくとも一部を除去する方法としては、例えば反応混合物中の固形分を沈降させ、溶媒を上澄み液として除去する方法、反応混合物を蒸留することにより溶媒を留分として除去する方法が挙げられる。これらの方法で溶媒の少なくとも一部を除去した場合には、溶媒以外の液体成分の少なくとも一部を除去することが容易であり好ましい。
固形分を沈降させる方法としては、例えば反応混合物を静置することにより固形分を沈降させる方法や、反応混合物を遠心分離し、固形分を沈降させる方法が挙げられる。
溶媒を除去する方法としては、一般的な装置を使用できる観点から、反応混合物を蒸留することにより溶媒を留分として除去する方法が好ましい。
蒸留は、反応混合物の熱劣化を防止する観点から減圧下で行われることが好ましい。すなわち、工程Bは、反応混合物を減圧蒸留することにより、留分として溶媒を除去する工程であることが好ましい。
減圧蒸留を行う場合には、有機溶媒の種類によっても異なるが、減圧蒸留の条件としては通常は圧力0.01〜15kPaで行われる。なお留分の流出温度は、有機溶媒の種類、圧力によって異なるが通常は30〜150℃である。
工程Bにより、溶媒をすべて除去した場合には、近赤外線吸収剤を、固形分として得ることができる。また、工程Bにおいて、溶媒の一部を除去した場合には、近赤外線吸収剤を、工程Aで得られた反応混合物よりも高い濃度で含む、近赤外線吸収剤の分散液が得られる。
前記近赤外線吸収剤の製造方法としては、工程A、B以外の工程(他の工程)を有していてもよい。他の工程としては例えば、近赤外線吸収剤を精製する目的で、溶媒が除去された固形分を、分散媒に分散し、該分散媒を除去する工程を行ってもよい。また、工程Bで得られた近赤外線吸収剤の分散液に分散媒を追加し、その後分散媒を除去する工程を行ってもよい。
なお、前記分散媒としては、トルエン、キシレン、メタノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、塩化メチレン、クロロホルム、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)等が挙げられ、分散媒としては、一種単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。
[近赤外線吸収剤を含む分散液]
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法では、前述の近赤外線吸収剤を含む分散液が用いられる。
近赤外線吸収剤を含む分散液としては、例えば前述の工程Aにより得られる近赤外線吸収剤を含む反応混合物をそのまま用いることもできるが、通常は、工程AおよびB等を行うことにより得られた近赤外線吸収剤を、分散媒に分散することにより得られる近赤外線吸収剤を含む分散液や、工程Bで得られた分散液に必要に応じて分散媒を追加して得られた近赤外線吸収剤を含む分散液を用いる。
前記分散媒としては、トルエン、キシレン、メタノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、塩化メチレン、クロロホルム、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)等が挙げられ、分散媒としては、一種単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。
分散媒に近赤外線吸収剤を分散させる方法としては特に限定はないが、例えば分散媒中に近赤外線吸収剤を添加し、撹拌を行う方法が挙げられる。
近赤外線吸収剤を含む分散液としては、近赤外線吸収剤1質量部に対して、分散媒が、1〜100質量部であることが好ましく、3〜50質量部であることがより好ましい。
[微粒子化]
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法は、前記近赤外線吸収剤を含む分散液中の近赤外線吸収剤を、湿式ジェットミルにより微粒子化する。また、本発明の近赤外線吸収剤の微粒子化方法は、前記近赤外線吸収剤を含む分散液中の近赤外線吸収剤を、湿式ジェットミルにより微粒子化する。
湿式ジェットミルは、液相流内で被処理物質の粒子(本発明における近赤外線吸収剤)同士の衝突、または粒子と流路壁との衝突によって、粒子を微粒子化する装置である。また、湿式ジェットミルでは、上記衝突による微粒子化に加えて、液相内で生じるキャビテーションや乱流・剪断等の物理要因も加わり微粒子化が促進される。
本発明において、湿式ジェットミルの運転条件としては特に限定はないが、圧力100〜350MPaの範囲内であることが好ましく、圧力150〜300MPaの範囲内であることがより好ましい。
本発明において、湿式ジェットミルでの微粒子化処理は、1PASS〜20PASS行うことが好ましい。
本発明の製造方法では、湿式ジェットミルによる微粒子化により、微粒子化前の粒径と比べて、平均粒子径が1/2〜1/20に微粒子化される。
本発明の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法で得られる、近赤外線吸収剤微粒子分散液を用いて得られた樹脂組成物は、透明性や、加工時の耐久性に優れる。なお、湿式ジェットミルにより微粒子化することにより得られた近赤外線吸収剤微粒子分散液は、別の方法により得られた近赤外線吸収剤微粒子分散液、例えば、超音波処理、ビーズミルによる処理により得られた近赤外線吸収剤微粒子分散液と比べて、明らかに樹脂組成物の透明性や加工時の耐久性に優れる。
この理由は明らかではないが、本発明者は、湿式ジェットミル以外の方法によって近赤外線吸収剤の微粒子化を行うと、近赤外線吸収剤の一次粒子の破壊がおこり、粒子の破壊された部分は化学的に活性であり加工時の耐久性を低下させ、粒子の破壊により表面積が増大し、樹脂との接触面積が増大することなどにより透明性を悪化させるが、ジェットミルによる微粒子化は、他の方法と比べて、一次粒子の破壊ではなく、凝集粒子の解砕が主として起こるため、得られる近赤外線吸収剤微粒子の表面の活性が高くなりづらく、粒子の表面積の増大も少ないためであると推定した。
本発明の製造方法で得られる近赤外線吸収剤微粒子分散液は、近赤外線吸収剤微粒子の動的光散乱法で測定したメジアン径(d50)が50〜100nmであることが好ましく、50〜90nmであることがより好ましい。前記範囲では、近赤外線吸収剤微粒子分散液を用いて得られた樹脂組成物は、透明性や、加工時の耐久性に特に優れる傾向があり好ましい。
本発明の製造方法により得られる近赤外線吸収剤微粒子分散液は、近赤外線吸収剤微粒子1質量部に対して、分散媒が、1〜100質量部であることが好ましく、3〜50質量部であることがより好ましい。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、前記近赤外線吸収剤微粒子分散液から得られる近赤外線吸収剤微粒子と、樹脂とを含む。
樹脂組成物を製造する方法としては、前記赤外線吸収剤微粒子分散液と、樹脂とを含む樹脂溶液の分散媒や溶媒等の液体成分を除去する方法、前記赤外線吸収剤微粒子分散液から、固形分である近赤外線吸収剤微粒子を回収し、該近赤外線吸収剤微粒子と、樹脂とを混合する方法が挙げられる。近赤外線吸収剤微粒子が再度凝集することを防ぐ観点から、樹脂組成物を製造する方法としては、前記樹脂溶液の液体成分を除去する方法が好ましい。
前記樹脂溶液を製造する方法としては例えば、前記赤外線吸収剤微粒子分散液と樹脂とを混合する方法、前記赤外線吸収剤微粒子分散液と樹脂の溶液とを混合する方法、前記赤外線吸収剤微粒子分散液と樹脂と、溶媒とを混合する方法が挙げられる。
なお、前記樹脂の溶液は、樹脂を溶媒に溶解することにより得ることができる。溶媒としては樹脂を溶解できればよく、特に限定はないが例えばトルエン、エタノール、メタノール、塩化メチレン、クロロホルム等が挙げられる。溶媒としては一種単独でも、二種以上を用いてもよい。
前記液体成分の除去を行う際には、その除去方法としては特に限定はないが、通常は常圧下での乾燥、真空乾燥等の乾燥により行われる。
なお、該樹脂組成物からなる成形体を得る場合には、該樹脂組成物の製造と成形を同時に行うことにより成形体を得てもよく、該樹脂組成物をペレット等として製造した後に、所望の形状に成形することにより、成形体を得てもよく、樹脂組成物をペレット等のマスターバッチとして得た後に、該マスターバッチおよび樹脂を用い、押出成形、キャスト成形、射出成形等の様々な成形法により、合わせガラス用中間膜等の成形体を得てもよい。
なお、前記樹脂としては、前述の近赤外線吸収剤微粒子を分散することが可能であればよく特に限定はないが、例えば以下の樹脂を用いることができる。
本発明に用いる樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびノルボルネン樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂が、近赤外線吸収剤微粒子を良好に分散することが可能であり、かつ可視光の透過性に優れることが好ましい。
本発明に用いる樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、またはエチレン‐酢酸ビニル共重合体から選択される少なくとも1種の樹脂であることがより好ましく、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、またはエチレン‐酢酸ビニル共重合体から選択される少なくとも1種の樹脂であることが特に好ましい。ポリビニルアセタール樹脂を用いると、前述の近赤外線吸収剤微粒子の分散性に優れ、本発明の樹脂組成物を用いて、例えば合わせガラス用中間膜を製造した場合には、ガラス等への密着性に優れ、また、樹脂組成物が柔軟であり好ましい。また、ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)を用いることが、ガラス密着性、分散性、透明性、耐熱性、耐光性などの観点から好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂は、必要な物性に応じて、二種以上を組み合わせたブレンド物であってもよく、アセタール化時にアルデヒドを組み合わせてアセタール化することにより得られるポリビニルアセタール樹脂であってもよい。
アルデヒドとしては特に限定されず、例えば、炭素数が1〜10のアルデヒド等が挙げられ、より具体的には、例えば、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルテヒド、n−へキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n−ブチルアルデヒド、n−へキシルアルデヒド、n−バレルアルデヒド等が好ましい。より好ましくは、炭素数が4のブチルアルデヒドである。
また、エチレン‐酢酸ビニル共重合体を用いると、前述の近赤外線吸収剤微粒子の分散性に優れ、ガラス密着性、分散性、透明性、耐熱性、耐光性などの観点から好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、可塑剤を含有してもよい。前記可塑剤としては特に限定はないが、例えばトリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコールビス(2-エチルブチラート)、テトラエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジヘキシルアジペート、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、前記樹脂100質量部あたり、近赤外線吸収剤微粒子を0.5〜30質量部含有することが好ましく、1〜25質量部含有することがより好ましい。0.5質量部より少ないと充分な近赤外線吸収特性が得られない可能性があり、30質量部より多すぎると樹脂の耐熱性、耐光性、透明性やガラスとの接着性が大幅に低下するおそれがある。
本発明の樹脂組成物が前記可塑剤を含有する場合には、前記樹脂100質量部あたり、可塑剤を10〜60質量部含有することが好ましく、20〜50質量部含有することがより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、透明性、加工時の耐久性に優れており、合わせガラス等の構造材料用の中間膜として好適に使用することが可能である。
また、本発明の樹脂組成物には、各種添加剤が含有されていてもよい。添加剤としては、例えば分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。これらの添加剤は、本発明の樹脂組成物を製造する際に、添加されてもよく、近赤外線吸収剤や樹脂を製造する際に添加されてもよい。
〔樹脂組成物の用途〕
本発明の樹脂組成物は、近赤外線を吸収することが望まれる用途に通常は用いられる。
本発明の樹脂組成物から形成される樹脂膜は、透明性、加工時の耐久性に優れているため、合わせガラス用中間膜等の構造材料用中間膜として好適に用いることが可能である。
また、本発明の合わせガラスは、前記合わせガラス用中間膜を有している。本発明の合わせガラスを構成するガラスとしては特に限定はなく、従来公知のものを用いることができる。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔製造例1〕
(近赤外線吸収剤分散液(1)の製造)
酢酸銅1水和物30.0g(1.5×10-1mol)を、エタノール1500gに溶解させた溶液(a1)、並びに、ブチルホスホン酸20.55g、分散剤としてプライサーフA219B(第一工業製薬社製)6gをエタノール150gに溶解させた溶液(b1)をそれぞれ準備した。
次いで、上記で得られた溶液(a1)と溶液(b1)とを混合し、室温下で3時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液を40℃にて減圧乾固して36gの固形物(近赤外線吸収剤)を得た。
得られた固形物36gにトルエン264gを添加することで近赤外線吸収剤分散液を(1)を得た。
得られた近赤外線吸収剤分散液(1)中の近赤外線吸収剤の、動的光散乱法で測定したメジアン径(d50)を、大塚電子株式会社製ELSZ−2を用いて測定したところ、154.8nmであった。
〔実施例1〕
(近赤外線吸収剤微粒子分散液(1)の調製、評価)
製造例1で得られた近赤外線吸収剤分散液(1)100g(近赤外線吸収剤を12g含む)を、湿式ジェットミル(YUH−PA18−300−S−AEX 吉田工業株式会社)を用いて、処理圧力250MPaで2PASS処理することにより、近赤外線吸収剤を微粒子化し、近赤外線吸収剤微粒子分散液(1)を得た。
得られた近赤外線吸収剤微粒子分散液(1)中の近赤外線吸収剤微粒子の、動的光散乱法で測定したメジアン径(d50)を、大塚電子株式会社製ELSZ−2を用いて測定したところ、63.5nmであった。
(近赤外線吸収剤微粒子が分散したPVB樹脂(1)の調製、評価)
<近赤外線吸収剤微粒子が分散したPVB樹脂(1)の調製>
500mlビーカーに、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)(3GO)2.43g、トルエン150g、メタノール150gの混合溶液にポリビニルブチラール(PVB)6.38gを加えた。これに前記近赤外線吸収剤微粒子分散液(1)1.25g(近赤外線吸収剤を0.15g含む)を添加し、20℃で1時間撹拌し、PVBを均一に溶解させた。この分散液をテフロン(登録商標)製バットに広げ、12時間20℃で風乾した。さらに70℃で4時間真空乾燥を行って溶媒を完全に除去し、近赤外線吸収剤微粒子が分散したPVB樹脂(1)を得た。
<樹脂シートの作製>
前記近赤外線吸収剤微粒子が分散したPVB樹脂(1)を、厚さ0.8mmの型枠および(株)神藤金属工業所製の圧縮成形機を用い、120℃、3MPaで予熱1分間を行った後、15MPaで3分間プレスし、樹脂シート(1−1)を得た。
前記樹脂シート(1−1)を、さらに厚さ0.8mmの型枠および(株)神藤金属工業所製の圧縮成形機を用い、200℃、3MPaで予熱1分間を行った後、10MPaで15分間プレスし、樹脂シート(1−2)を得た。
<測定サンプル(1−1)の作製>
前記樹脂シート(1−1)の両面を、スライドガラス(厚み1.2〜1.5mm)で挟み、70℃のプレート上で合わせガラス(1−1)とした。
該合わせガラス(1−1)をオートクレーブ内で、窒素雰囲気下、圧力1.5MPa、130℃で0.5時間加熱し、樹脂シートの両面にスライドガラスが配設された測定サンプル(1−1)を得た。
<測定サンプル(1−2)の作製>
樹脂シート(1−1)を樹脂シート(1−2)に代えた以外は、前記測定サンプル(1−1)の作製と同様に行い、樹脂シートの両面にスライドガラスが配設された測定サンプル(1−2)を得た。
<透明性の評価>
前記測定サンプル(1−1)および測定サンプル(1−2)のヘイズを、日本電色工業NDH−2000(D65光源,シングルビーム)を使用して測定した。
測定サンプル(1−1)のヘイズは1.2%、測定サンプル(1−2)のヘイズは1.9%であった。
<加工時の耐久性の評価>
前記測定サンプル(1−1)および測定サンプル(1−2)の分光をそれぞれ以下の方法で測定した。
該測定サンプルの分光は、250〜2500nmの波長範囲で、分光光度計(U−4000形、(株)日立製作所製)を使用して測定した。C光源を使用し、三刺激値(X,Y,Z)の値を計算した。
測定サンプル(1−1)のYI(黄色度指数)は、4.0であり、測定サンプル(1−2)のYIは、8.9あった。なおYIの値の計算は、下式により行った。
YI=(128X−106Z)/Y
測定サンプル(1−1)のYIと測定サンプル(1−2)のYIとの差(測定サンプル(1−2)のYI−測定サンプル(1−1)のYI)をΔYIとすると、ΔYIは4.9であった。
〔比較例1〕
製造例1で得られた近赤外線吸収剤分散液(1)15g(近赤外線吸収剤を1.8g含む)を、ビーズミル(遊星型微粒粉砕機P−7、フリッチェ社)を用いて、回転数800rpm、処理時間60分、ジルコニアビーズ φ0.05mmの条件で処理することにより、近赤外線吸収剤を微粒子化し、近赤外線吸収剤微粒子分散液(c1)を得た。
得られた近赤外線吸収剤微粒子分散液(c1)中の近赤外線吸収剤微粒子の、動的光散乱法で測定したメジアン径(d50)を、大塚電子株式会社製ELSZ−2を用いて測定したところ、69.0nmであった。
(近赤外線吸収剤微粒子が分散したPVB樹脂(c1)の調製、評価)
<近赤外線吸収剤微粒子が分散したPVB樹脂(c1)の調製>
近赤外線吸収剤微粒子分散液(1)を、近赤外線吸収剤微粒子分散液(c1)に代えた以外は実施例1と同様に行い、近赤外線吸収剤微粒子が分散したPVB樹脂(c1)を得た。
<樹脂シートの作製>
前記近赤外線吸収剤微粒子が分散したPVB樹脂(1)を、近赤外線吸収剤微粒子が分散したPVB樹脂(c1)に代えた以外は実施例1と同様に行い、樹脂シート(c1−1)および樹脂シート(c1−2)を得た。
<測定サンプル(c1−1)、(c1−2)の作製>
樹脂シート(1−1)を、樹脂シート(c1−1)に代え、樹脂シート(1−2)を、樹脂シート(c1−2)に代えた以外は実施例1と同様に行い、測定サンプル(c1−1)、(c1−2)を得た。
<透明性の評価>
前記測定サンプル(1−1)を測定サンプル(c1−1)に代え、測定サンプル(1−2)を測定サンプル(c1−2)に代えた以外は、実施例1と同様に行い、ヘイズを測定した。
測定サンプル(c1−1)のヘイズは1.2%、測定サンプル(c1−2)のヘイズは2.8%であった。
<加工時の耐久性の評価>
前記測定サンプル(1−1)を測定サンプル(c1−1)に代え、測定サンプル(1−2)を測定サンプル(c1−2)に代えた以外は、実施例1と同様に行い、YIを測定した。
測定サンプル(c1−1)のYIは、2.1であり、測定サンプル(c1−2)のYIは、11.1あった。
測定サンプル(c1−1)のYIと測定サンプル(c1−2)のYIとの差(ΔYI)は9.0であった。
〔比較例2〕
製造例1で得られた近赤外線吸収剤分散液(1)10g(近赤外線吸収剤を1.2g含む)をガラス容器に入れ、超音波洗浄機を用いて5時間処理することにより、近赤外線吸収剤を微粒子化し、近赤外線吸収剤微粒子分散液(c2)を得た。
得られた近赤外線吸収剤微粒子分散液(c2)中の近赤外線吸収剤微粒子の、動的光散乱法で測定したメジアン径(d50)を、大塚電子株式会社製ELSZ−2を用いて測定したところ、65.3nmであった。
(近赤外線吸収剤微粒子が分散したPVB樹脂(c2)の調製、評価)
<近赤外線吸収剤微粒子が分散したPVB樹脂(c2)の調製>
近赤外線吸収剤微粒子分散液(1)を、近赤外線吸収剤微粒子分散液(c2)に代えた以外は実施例1と同様に行い、近赤外線吸収剤微粒子が分散したPVB樹脂(c2)を得た。
<樹脂シートの作製>
前記近赤外線吸収剤微粒子が分散したPVB樹脂(1)を、近赤外線吸収剤微粒子が分散したPVB樹脂(c2)に代えた以外は実施例1と同様に行い、樹脂シート(c2−1)および樹脂シート(c2−2)を得た。
<測定サンプル(c2−1)、(c2−2)の作製>
樹脂シート(1−1)を、樹脂シート(c2−1)に代え、樹脂シート(1−2)を、樹脂シート(c2−2)に代えた以外は実施例1と同様に行い、測定サンプル(c2−1)、(c2−2)を得た。
<透明性の評価>
前記測定サンプル(1−1)を測定サンプル(c2−1)に代え、測定サンプル(1−2)を測定サンプル(c2−2)に代えた以外は、実施例1と同様に行い、ヘイズを測定した。
測定サンプル(c2−1)のヘイズは1.4%、測定サンプル(c2−2)のヘイズは3.1%であった。
<加工時の耐久性の評価>
前記測定サンプル(1−1)を測定サンプル(c2−1)に代え、測定サンプル(1−2)を測定サンプル(c2−2)に代えた以外は、実施例1と同様に行い、YIを測定した。
測定サンプル(c2−1)のYIは、4.9であり、測定サンプル(c2−2)のYIは、11.9あった。
測定サンプル(c2−1)のYIと測定サンプル(c2−2)のYIとの差(ΔYI)は7.0であった。

Claims (9)

  1. 少なくとも銅塩と、下記一般式(1)で表わされるホスホン酸化合物とを反応させることにより得られるホスホン酸銅塩から形成される近赤外線吸収剤を含む分散液中の近赤外線吸収剤を、湿式ジェットミルにより微粒子化することを特徴とする近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法。
    Figure 2016060903
    [一般式(1)中、R1は、−CH2CH2−R11で表される1価の基であり、R11は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を示す。]
  2. 近赤外線吸収剤微粒子の動的光散乱法で測定したメジアン径(d50)が50〜100nmである請求項1に記載の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法。
  3. 前記ホスホン酸銅塩が、分散剤存在下で反応を行うことにより得られる請求項1または2に記載の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法。
  4. 前記分散剤が、下記一般式(2)で表されるリン酸モノエステル、下記一般式(3)で表されるリン酸ジエステル、およびこれらのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル化合物である、請求項3に記載の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法。
    Figure 2016060903
    [一般式(2)および(3)中、R2、R3およびR4は、−(CH2CH2O)n12で表される1価の基であり、nは2〜65の整数であり、R12は、炭素数6〜35のアルキル基または炭素数6〜35のアルキルフェニル基を示す。ただし、R2、R3およびR4は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の近赤外線吸収剤微粒子分散液の製造方法によって得られる近赤外線吸収剤微粒子分散液。
  6. 請求項5に記載の近赤外線吸収剤微粒子分散液から得られる近赤外線吸収剤微粒子と、樹脂とを含む樹脂組成物。
  7. 前記請求項6に記載の樹脂組成物から形成される合わせガラス用中間膜。
  8. 前記請求項7に記載の合わせガラス用中間膜を有する合わせガラス。
  9. 少なくとも銅塩と、下記一般式(1)で表わされるホスホン酸化合物とを反応させることにより得られるホスホン酸銅塩から形成される近赤外線吸収剤を含む分散液中の近赤外線吸収剤を、湿式ジェットミルにより微粒子化することを特徴とする、近赤外線吸収剤の微粒子化方法。
    Figure 2016060903
    [一般式(1)中、R1は、−CH2CH2−R11で表される1価の基であり、R11は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を示す。]
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