以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1(a),(b)に示すように、本実施形態におけるPTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
本実施形態における容器フィルム3は、透明又は半透明のCPP(無延伸ポリプロピレン)により構成され、カバーフィルム4は、アルミニウムによって構成されている。
後述するように、PTPシート1は、帯状の容器フィルム3及びカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム21が打抜かれることで、シート状に製造される。本実施形態では、PTPフィルム21の幅方向にPTPシート1を2枚同時に製造する構成となっている。
PTPシート1は、平面視略矩形状に形成されており、シート長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、シート短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、錠剤5が1つずつ収容されている。
PTPシート1の容器フィルム3には、例えば2つのポケット部2が含まれたペア小片に切り離すことができるように複数の横スリット6が形成されている。勿論、縦スリットが形成されてもよいし、スリットを省略してもよい。また、図示は省略するが、PTPシート1には、ロットナンバー等の識別情報を示す刻印などが付されている。
次に、PTP包装機(ブリスタ包装機)10の概略構成について、図2を参照して説明する。図2は、PTP包装機10の概略構成を示す正面模式図である。
PTP包装機10左端部のスプールゾーンには、帯状の容器フィルム3がロール状に巻回されてなる容器フィルム原反3aや、予備の容器フィルム原反3b,3c,3d、容器フィルム原反3aと予備の容器フィルム原反3b等との接続作業を行うフィルム自動継ぎ機構11Aなどが設けられている。そして、当該スプールゾーンから下流側のポケット成形ゾーンへ、容器フィルム3が間欠的に繰り出し搬送される。
PTP包装機10右端部のスプールゾーンには、帯状のカバーフィルム4がロール状に巻回されてなるカバーフィルム原反4aや、予備のカバーフィルム原反4b、カバーフィルム原反4aと予備のカバーフィルム原反4bとの接続作業を行うフィルム自動継ぎ機構11Bなどが設けられている。そして、当該スプールゾーンから下流側のシールゾーンへ、カバーフィルム4が連続的に繰り出し搬送される。
ポケット成形ゾーンには、容器フィルム3の搬送経路に沿って順に、ポケット成形手段を構成する加熱装置12及び成形金型装置13が設けられている。
そして、加熱装置12によって容器フィルム3が部分的に加熱され、該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、成形金型装置13によって容器フィルム3にポケット部2が成形される。なお、このポケット部2の成形は、容器フィルム3の搬送動作間のインターバルに行われる。
このようにポケット部2が形成された容器フィルム3は、当該ポケット成形ゾーンから、充填装置16を備える充填ゾーン(後述する充填ユニット40内)へ、当該充填ゾーンから、外観検査装置17を備える検査ゾーンへ、当該検査ゾーンから、取着手段としてのシール装置18を備えるシールゾーンへと順次搬送される。
充填装置16は、例えばロータリドラムを備えており、容器フィルム3に形成されたポケット部2に対し錠剤5を自動的に充填する。
外観検査装置17は、錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、また錠剤5の欠け、ひび等の外観異常の有無、異物混入の有無等の検査を行うためのものである。尚、外観検査装置17によって不良品判定された場合、図示しない不良シート排出機構に不良品信号が送られ、その不良品判定となったPTPシート1は、不良シート排出機構によって別途排出され、図示しない不良品ホッパに移送される。
シール装置18は、フィルム受けロール19と、加熱ロール20とを備えており、フィルム受けロール19に加熱ロール20が圧接可能に構成されている。そして、両ロール19,20間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。
容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール19,20間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着される。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填された帯状のPTPフィルム21が製造される。加熱ロール20の表面には、シール用の網目状の凸条が形成されており、これが強く圧接することで、強固なシールが実現されるようになっている。
このように形成されたPTPフィルム21は、当該シールゾーンからシート成形ゾーンへと搬送される。
シート成形ゾーンには、PTPフィルム21の移送経路に沿って順に、刻印装置23、スリット成形装置24及びシート打抜装置26が設けられている。
刻印装置23は、PTPフィルム21の所定位置に刻印を付す機能を有する。スリット成形装置24は、PTPフィルム21の所定位置に前記横スリット6を形成する機能を有する。シート打抜装置26は、PTPフィルム21をPTPシート1単位に打抜く機能を有する。
シート打抜装置26の下流側には、シート打抜装置26から落下する端材27を貯留するためのスクラップ用ホッパ28が設けられている。また、シート打抜装置26の下方には、打抜かれたPTPシート1を移送するためのコンベア29が設けられており、該PTPシート1は完成品用ホッパ30に移送される。
上記PTP包装機10は、衛生面等を考慮して筐体の内部に構築されている(図2等参照)。特に本実施形態では、清掃面等を考慮して上記充填装置16を含む錠剤充填機構が、カバー体としてのユニットカバー46に覆われることにより、装置本体31とは別の充填ユニット40としてユニット化されている(図3,4等参照)。
充填ユニット40は、装置本体31のユニット設置部(設置面)31Aに対し着脱可能に取付固定されている〔図5(a),(b)参照〕。図5(a)は、PTP包装機10を示す平面模式図であり、図5(b)は、充填ユニット40を取外した状態のPTP包装機10を示す平面模式図である。
ユニット設置部31Aは、装置本体31の左右方向略中央部付近に設けられている。より詳しくは、装置本体31左端部に設けられた容器フィルム原反用のスプールゾーンよりも右方位置、かつ、シール装置18を備えるシールゾーンよりも左方位置であって、ポケット成形ゾーンの上方位置に設けられている。従って、容器フィルム原反3a等が設置された位置が本実施形態における「所定の上流側位置」に相当し、シール装置18が設けられた位置が「所定の下流側位置」に相当する。
ユニット設置部31Aは、平面視略矩形状をなし、略平坦に形成されている。また、ユニット設置部31Aには、後述するように充填ユニット40の移動を案内するための左右一対の案内レール32が前後方向に沿って形成されている。
充填ユニット40は、左右幅方向において、ユニット設置部31Aと略同一幅に形成されている一方、前後方向においては、ユニット設置部31Aの前後長よりも長く形成されており、その後端部は、装置本体31の背面部よりも後方へ突出している。
次に充填ユニット40の構成について説明する。図3、図4は、充填ユニット40の概略構成を示す模式図である。図3は、充填ユニット40を正面側(図2と同方向)から見たものであり、図4は、充填ユニット40を左側方から見たものである。なお、以下では、フィルムの搬送方向(図3における左右方向)を「左右方向」といい、図3における左側を「左方側」といい、図3における右側を「右方側」という。また、これに垂直なフィルム幅方向(図4における左右方向)を「前後方向」といい、図4における左側を「後方側」といい、図4における右側を「前方側」という。
充填ユニット40は、主としてホッパ41、直進トラフ42、ボウルフィーダ43、スプリングホース44、上記充填装置16、レール部45、及び、これら各部を上下左右前後の全方向から覆う直方体形状のユニットカバー46を備えている。本実施形態では、ホッパ41、直進トラフ42、ボウルフィーダ43、スプリングホース44、及び、充填装置16によって錠剤充填機構が構成される。
ユニットカバー46の内部には、高さ方向において下部から1/3くらいのところに、水平方向に延びる棚部46Aが設けられると共に、当該棚部46Aの前端を支持するように支持壁部46Bが立設されている。
棚部46Aは、左右方向においては両端がユニットカバー46の左右側壁部に当接するように設けられ、前後方向においては後端部がユニットカバー46の後壁部に当接し、前端部が支持壁部46Bの上端部に連結するように設けられている。
棚部46Aの上方には、ユニットカバー46の上方へ一部を突出させるようにして、ホッパ41が設けられている。ホッパ41は、錠剤5を貯留するための容器部41A及び蓋部41Bを備えている。
容器部41Aは、下方へ向け先細りした略逆四角錐形状(又は略逆円錐形状)をなし、内部の錠剤5がスムーズに滑り落ちるように構成されている。
蓋部41Bは容器部41Aの上部開口に対応して設けられており、蓋部41Bを開放することにより錠剤5の供給が可能となり、蓋部41Bを閉鎖することによりホッパ41内部への異物などの侵入を防止可能となる。なお、ユニットカバー46の上壁部にはホッパ41を上方へ突出させるべく開口が設けられているが、当該開口の外縁は、容器部41Aに対し隙間なく密着させられている。これにより、当該開口部から外部への薬塵の飛散や、内部への埃等の異物の侵入が防止されている。
直進トラフ42は、ホッパ41の下方に配置された搬送装置であり、ホッパ41に貯留された錠剤5をボウルフィーダ43へ一定量ずつ供給する。この直進トラフ42は、ボウルフィーダ43への供給量を調整するためのセンサ42Aを備えている。
上記棚部46Aの上面には、ボウルフィーダ43が固定されている。ボウルフィーダ43は、基部43A、皿状部材43B、及び、錠剤落下口43Cを備えている。基部43Aは、鉄芯及び電磁石からなる振動機構を有している。皿状部材43Bは、基部43Aの上方に支持される円形状の部材であり、基部43Aの振動機構によって振動可能となっている。そして、上述した直進トラフ42のセンサ42Aが皿状部材43B上面の錠剤5の貯留量を検知し、この検知結果に基づき、直進トラフ42によって、皿状部材43Bに一定量の錠剤5が供給されるようになっている。また、錠剤落下口43Cは、ボウルフィーダ43の皿状部材43Bに設けられており、皿状部材43Bの振動に伴って、錠剤落下口43Cから錠剤5が下流側へ定量供給される。
スプリングホース44は、上記錠剤落下口43Cと充填装置16とを連結するように設けられている。スプリングホース44は、コイルばねで形成される錠剤5の供給経路であり、上記錠剤落下口43Cから充填装置16へ錠剤5を供給する。
充填装置16は、左右方向において2台設けられている。図3では、容器フィルム3の下流側から順に充填装置16A、充填装置16Bとして示した。これら2台の充填装置16A,16Bは、各々がフィルム幅方向に沿って2台のロータリドラムを有しており(図示略)、ロータリドラムの回転により、容器フィルム3に形成されたポケット部2に対し搬送方向において1つおきに錠剤5を充填する。そして、各充填装置16A,16Bが、一つおきに別のポケット部2へ錠剤5を充填することで、全てのポケット部2に対して錠剤5が充填されるようになっている。
レール部45は、上記充填装置16A,16Bの下方位置にて、左右方向に延びるように設けられている。このレール部45は、容器フィルム3の搬送をガイドするためのものであると同時に、容器フィルム3を下方から支持するためのものである。レール部45の上面には、既にポケット部2の形成された容器フィルム3を支持するため、ポケット部2に対応する左右方向の溝が形成されている(図示略)。これにより、容器フィルム3は、レール部45に載置された状態で搬送される。
上記レール部45に対応させ、ユニットカバー46の下壁部には、容器フィルム3を充填ユニット40内部へ搬入するための搬入用開口46Cが形成されている。また、ユニットカバー46の右側壁部には、容器フィルム3を充填ユニット40から搬出するための搬出用開口46Dが形成されている。
ユニットカバー46の下壁部には、上記ユニット設置部31Aの左右一対の案内レール32に対応して、左右一対の凹状のレール溝47が前後方向に沿って形成されている。そして、充填ユニット40は、自身のレール溝47に案内レール32が嵌め込まれるようにして、ユニット設置部31A上に載置されている。これにより、充填ユニット40は、案内レール32に沿って前後方向へスライド可能となる。
また、ユニットカバー46の下壁部には、移動補助手段としてのエアボールリフタ48が設けられている。エアボールリフタ48は、ユニットカバー46の下壁部内に配置された球体48aをエアによって持上げて、ユニット設置部31Aに載置された充填ユニット40を回転可能な球体48aによって支持しつつ移動可能とするものである。すなわち、エアボールリフタ48が作動させられると、球体48aがエア圧で浮上させられ、人手による比較的弱い力であっても、充填ユニット40の水平方向への移動が許容される。尚、充填ユニット40には、図示しない移動用の取っ手が設けられており、当該取っ手を持ちながら力を加えることで人手による移動が可能となる。
ユニットカバー46の前壁部には、ユニットカバー46の内部と外部とのアクセスを可能とする開閉可能な開閉扉49が設けられている。これにより、作業者は、開閉扉49を介して清掃作業やメンテナンス作業など各種作業を行うことができる。
尚、図示は省略するが、装置本体31の前面側には、上記各ゾーンに対応するようにして、上記開閉扉49と同様の開閉扉が設けられている。
さて、装置本体31の背面側には、ユニット設置部31Aの後方位置において、充填ユニット40を昇降可能な昇降機構としてのリフト機構50が設けられている。以下、リフト機構50の構成について図5〜図10を参照してより詳しく説明する。
ここで、図6(a)は、載置台53が後述する基準位置にある状態のPTP包装機10を示す左側面模式図であり、図6(b)は、載置台53が後述する受渡し位置にある状態のPTP包装機10を示す左側面模式図である。図7(a)は、充填ユニット40が載置台53に載置された状態のPTP包装機10を示す平面模式図であり、(b)は、受渡し位置にある載置台53に充填ユニット40が載置された状態のPTP包装機10を示す左側面模式図である。図8(a)は、充填ユニット40が載置された載置台53を基準位置へ降下させた状態のPTP包装機10を示す左側面模式図であり、図8(b)は、充填ユニット40が載置された載置台53を回転させている状態のPTP包装機10を示す平面模式図である。図9(a)は、充填ユニット40が載置された載置台53を90°回転させた状態のPTP包装機10を示す平面模式図であり、図9(b)は、充填ユニット40を取外した状態で載置台53を90°回転させた状態のPTP包装機10を示す平面模式図である。図10は、充填ユニット40が載置された載置台53を90°回転させた状態のPTP包装機10を示す左側面模式図である。
リフト機構50は、上下方向に昇降可能に設けられたベース部51と、当該ベース部51を昇降駆動する昇降駆動手段としての昇降駆動機構52と、ベース部51上に設けられ、充填ユニット40を載置可能な載置台53と、当該載置台53を上下方向を軸心として回転可能とする回転駆動手段としての回転駆動機構54とを備えている。
装置本体31の背面部には、ユニット設置部31Aの下方位置において、左右一対の凸状の昇降レール57が上下方向に沿って形成されている。これに対応して、ベース部51には、左右一対の凹状のレール溝58が上下方向に沿って形成されている。ベース部51は、自身のレール溝58に昇降レール57が嵌め込まれるようにして、装置本体31の背面部に取付けられている。これにより、ベース部51は、昇降レール57に沿って上下方向へスライド可能となる。
本実施形態における昇降駆動機構52は、図示しないモータ及びボールねじ等により構成されている。つまり、昇降駆動機構52において、モータの作動に伴いボールねじが回転し、当該ボールねじに螺合されたボールナットが上下動すると、当該ボールナットと連結されたベース部51が上下方向へスライド移動する構成となっている。
上記のようにベース部51が昇降することで、載置台53は、少なくともユニット設置部31Aの高さ位置と略同一となる受渡し位置〔図6(b)参照〕と、それよりも下方に位置する基準位置〔図6(a)参照〕との間で上下方向に昇降可能となる。「受渡し位置」が本実施形態における「第1高さ位置」に相当し、「基準位置」が「第2高さ位置」に相当する。
尚、本実施形態では、基準位置に位置する場合、載置台53は床面Gに当接した状態となる。勿論、これに限らず、載置台53が床面Gから浮いた位置で停止し、かかる位置で清掃作業等が行われる構成としてもよい。本実施形態では、リフト機構50が装置本体31と一体に設けられているため、載置台53が床面Gから浮いた状態でも不安定となりにくい。
載置台53は、充填ユニット40を載置可能なように略平坦に構成されると共に、その上面には、充填ユニット40の左右一対のレール溝47に対応して、左右一対の案内レール60が前後方向に沿って形成されている。
載置台53が上記受渡し位置となると、当該載置台53の左右一対の案内レール60と、上記ユニット設置部31Aの左右一対の案内レール32とが直線状に並んだ状態となる〔図5(b)参照〕。この状態で、ユニット設置部31A上の充填ユニット40を案内レール32に沿って後方へ移動させると、載置台53の案内レール60が充填ユニット40のレール溝47に差し込まれていく。結果として、充填ユニット40を、案内レール60に沿って載置台53上へ移動させていくことができる。案内レール32,60が本実施形態における案内手段を構成する。
同様に、載置台53上からユニット設置部31A上へ充填ユニット40を移動させることができる。尚、載置台53及びユニット設置部31Aには、それぞれ図示しないストッパが設けられており、充填ユニット40の所定量以上の移動を規制し、充填ユニット40を所定位置に位置決めすることができる。
次に製造品種の切換え時等における充填ユニット40の清掃手順について説明する。
PTP包装機10の稼動中、載置台53は、下方の基準位置に待機した状態となっている〔図6(a)参照〕。従って、PTP包装機10によるPTPシート1の製造を停止させた後、充填ユニット40の清掃を行うにあたり、先ずは、昇降駆動機構52を駆動させ、載置台53を受渡し位置まで上昇させる〔図6(b)参照〕。
載置台53の移動が完了すると、次にエアボールリフタ48を作動させ、充填ユニット40を数mm(例えば2mm)持上げて移動可能な状態とする。
続いて、充填ユニット40を、案内レール32,60に沿って、ユニット設置部31A上から載置台53上へと移動させていく。そして、充填ユニット40全体が載置台53上に載り移り、上記ストッパに当接したところで停止させる〔図7(a),(b)参照〕。
その後、エアボールリフタ48を停止させ、充填ユニット40を載置台53上に載置する。尚、載置台53及び/又はユニット設置部31Aに対し、充填ユニット40を移動不能に固定するためのロック機構を備えた構成としてもよい。
このように充填ユニット40の載置台53への移動が完了すると、昇降駆動機構52を駆動させ、載置台53を基準位置まで降下させる〔図8(a)参照〕。
次に、回転駆動機構54を駆動し、載置台53を平面視時計回り方向へ90°回転させ、充填ユニット40の向きを変える〔図8(b)、図9(a)参照〕。これにより、充填ユニット40の前面側は、PTP包装機10の左方を向くこととなる〔図9(a)、図10(b)参照〕。
かかる状態で、ホッパ41を取外したり、開閉扉49を開ける等して、充填ユニット40内外の清掃作業及びその確認作業を行う。
そして、充填ユニット40の清掃作業等が完了すると、上記手順とは逆の順序で充填ユニット40をユニット設置部31Aへ戻す。
すなわち、載置台53を平面視反時計回り方向へ90°回転させ、充填ユニット40の向きを戻した後、載置台53を受渡し位置まで上昇させる。
続いて、エアボールリフタ48を作動させ、充填ユニット40を案内レール32,60に沿って、載置台53からユニット設置部31A上へと移動させる。そして、充填ユニット40全体がユニット設置部31A上に載り移り、上記ストッパに当接したところで停止させる。ここで、エアボールリフタ48を停止させ、ユニット設置部31Aへの充填ユニット40の載置を完了する。
このように充填ユニット40のユニット設置部31A上への移動が完了した後、昇降駆動機構52を駆動し、載置台53を基準位置まで降下させることで、充填ユニット40の清掃作業にかかる一連の作業が終了する。
以上詳述したように、本実施形態においては、ホッパ41、直線トラフ42、ボウルフィーダ43、スプリングホース44、及び、充填装置16(16A,16B)からなる錠剤充填機構がユニットカバー46に覆われることにより、充填ユニット40としてユニット化されているため、充填ユニット40の外部への薬塵の飛散を防止すると共に、外部からの埃等の異物の侵入を防止することができる。
さらに、本実施形態では、充填ユニット40が装置本体31に対し着脱可能に設けられており、充填ユニット40の清掃作業等を行う際には、装置本体31上のユニット設置部31Aから載置台53まで充填ユニット40を水平移動させた後、充填ユニット40を降下させ、低所にて清掃作業を行うことができる。
これにより、従来のように脚立等を用いて高所で清掃作業を行う必要もなく、より安全に清掃作業を行うことができる。また、低所へ充填ユニット40を降ろすことで、例えば上から見下ろすようにして作業を行うことができるため、より細やかな部分にも目が行き届きやすくなる。結果として、清掃作業及びその確認作業の作業性の向上を図ることができる。
また、充填ユニット40の清掃等を行うために、台車式リフト装置等を用いて、充填ユニット40をわざわざ清掃作業用スペースや別室へ移動させることなく、その場で清掃作業を行うことができる。
結果として、PTP包装機10の周囲等において、台車式リフト装置等を動かすスペースを確保する必要がなく、工場等の省スペース化を図ることができる。また、充填ユニット40の移動時間を省略できるため、PTP包装機10の稼動停止期間の短縮を図り、生産性の低下抑制を図ることができる。加えて、充填ユニット40の移動中に、意図しない場所で薬塵を飛散させるような不具合もなくすことができる。
さらに、装置本体31上からの充填ユニット40の取外し作業や清掃作業を、作業員一人で行うことも可能となり、充填ユニット40の清掃等に係る作業性や利便性の向上を図ることができる。
加えて、製造品種の切換え時等において、使用済みの充填ユニット40をまるごと新規の充填ユニット40に交換する方法に比べて、予備の充填ユニット40を備える必要もなく、部品点数の増加や導入コストの増大等を抑制することができる。
また、本実施形態では、リフト機構50が装置本体31の背面側に設けられた構成となっている。これにより、例えば充填ユニット40から飛散した薬塵が装置本体31内へ入り込んだり、充填ユニット40から取り外したホッパ41等の部品を落下させ、装置本体31側の機器等を傷つけてしまうなどの不具合の発生を低減することができる。
また、本実施形態では、リフト機構50が装置本体31に一体に設けられた片持ち構造となっている。つまり、載置台53(ベース部51)を昇降駆動するための昇降駆動機構52が装置本体31の背面側(リフト機構50の前側)に設けられ、これとは反対側のリフト機構50の後側には何も設けられていないため、充填ユニット40の清掃作業等を行いやすい。
さらに、装置本体31の背面側で充填ユニット40の清掃作業を行っている間に、装置本体31の前面側にて、成形金型装置13の金型交換など各種品種切換え作業を行うことができ、作業性の向上や作業時間の短縮等を図ることができる。
加えて、リフト機構を装置本体31に別途組み付ける構成に比べて、リフト機構の位置合せ作業や組付け作業等を行う必要がなく、作業時間の短縮を図ることができる。
また、本実施形態では、載置台53を90°回転させ、充填ユニット40の向きを変えることができる。これにより、開閉扉49を介して、充填ユニット40内へアクセス可能となると共に、充填ユニット40の前後左右全方向から清掃作業を行うことが可能となり、作業性や利便性の向上等を図ることができる。
また、本実施形態では、ユニット設置部31A及び載置台53に、充填ユニット40の移動を案内する案内レール32,60が設けられている。これにより、ユニット設置部31Aと載置台53との間における充填ユニット40の移動動作を再現性をもって円滑に行うことができると共に、載置台53からの充填ユニット40の脱落等を防止することができる。ひいては、載置台53上で充填ユニット40の清掃作業を行った後、ユニット設置部31Aへ充填ユニット40を精度良く戻すことができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、PTPシート1のポケット部2に充填される錠剤5として、円盤状のタブレット錠(素錠)が例示されているが、錠剤5の種類や形状等はこれに限定されるものではない。例えばカプセル錠や糖衣錠など、異なる種類の錠剤が充填される構成としてもよい。
(b)容器フィルム3やカバーフィルム4の材質は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、容器フィルム3がCPP(無延伸ポリプロピレン)により形成されているが、これに限らず、PVC(硬質塩化ビニル)など、他の熱可塑性樹脂材料を採用してもよい。
また、容器フィルム3が、アルミラミネートフィルムなど、アルミニウムを主材料とした金属材料により形成される構成としてもよい。但し、アルミニウム製の容器フィルム3を加工する場合には、冷間加工となるため、PTP包装機10において、加熱装置12は使用されないこととなる。
(c)上記実施形態では、PTPシート1をPTPフィルム21の幅方向に2枚同時に製造する構成となっているが、これに代えて、PTPフィルム21の幅方向に3枚以上製造する構成としてもよく、また1枚ずつ製造する構成としてもよい。
(d)充填ユニット40の構成は、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば充填ユニット40に収容される錠剤充填機構の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、ホッパ41から充填装置16まで、錠剤供給を行う一連の機構を備えたものであれば、どのような構成のものであってもよい。
例えば、上記実施形態では、直進トラフ42及びボウルフィーダ43を用いて、充填装置16まで錠剤5を供給する構成となっているが、これらに代えて、直進フィーダを用いてもよいし、ホッパ41からボウルフィーダ43へ直接、錠剤5が排出される構成としてもよい。
また、上記実施形態では充填装置16が2台のロータリドラムを備えるものであったが、1台のロータリドラムを備えるものとしてもよい。また、ロータリドラムを備えるものに代え、シャッタ機構による充填装置を用いてもよい。
また、上記実施形態では、ユニットカバー46の前壁部に開閉扉49を備えた構成となっているが、これを省略した構成としてもよい。例えばユニットカバー46の上壁部が取外し可能な構成となっているなど、少なくとも充填ユニット40内部の清掃作業やメンテナンス作業など各種作業を行うことができる構成となっていればよい。
(e)上記実施形態では、PTP包装機10左端部のスプールゾーンにおいて、容器フィルム原反3aを備えると共に、当該容器フィルム原反3aの予備として、3つの容器フィルム原反3b,3c,3dを備えている。また、PTP包装機10右端部のスプールゾーンにおいて、カバーフィルム原反4aを備えると共に、当該カバーフィルム原反4aの予備として、1つのカバーフィルム原反4bを備えた構成となっている。
容器フィルム原反3a等やカバーフィルム原反4a等の配置位置は、上記実施形態に限定されるものではない。例えばシール装置18の下方位置など、PTP包装機10の左右方向略中央部の下方位置に容器フィルム原反3a等の設置スペースを確保することが可能な場合には、ここに配置した構成としてもよい。かかる場合には、充填ユニット40を装置本体31の左端部又は右端部に設置することも可能となる。
また、予備の容器フィルム原反3b,3c,3dや、予備のカバーフィルム原反4bの数は、上記実施形態に限定されるものではなく、異なる構成としてもよい。また、予備の原反を省略した構成としてもよい。
(f)上記実施形態では、リフト機構50が装置本体31に一体に設けられている。これに限らず、リフト機構50を装置本体31と別体で備え、充填ユニット40の清掃時のみ、リフト機構50を装置本体31に組み付ける構成としてもよい。
但し、載置台53(ベース部51)を昇降駆動するための昇降駆動機構が、載置台53を挟んで、装置本体31とは反対側に位置した構成では、当該昇降駆動機構が清掃作業等の妨げとなるおそれがある。
尚、従来の台車式リフト装置等を用いて充填ユニット40を取外し、持ち上げた状態で充填ユニット40の清掃作業を行おうとした場合には、上記同様に、リフト装置のフォークを昇降させる昇降駆動機構が邪魔になり、清掃作業等が行いにくくなるおそれがある。
また、ベース部51の下側に昇降駆動機構を設けた場合には、充填ユニット40を床面Gの近くまで降下させることが難しく、清掃作業等に係る作業性が低下するおそれがある。
(g)上記実施形態では、リフト機構50が装置本体31の背面側に設けられている。これに限らず、リフト機構を、装置本体31の前面側に備えた構成としてもよい。例えば上述したようにリフト機構を装置本体31と別体で備えた構成とすれば、通常時にリフト機構が邪魔になることはない。
また、上述したように充填ユニット40(ユニット設置部31A)が装置本体31の左端部又は右端部に設けられた構成、又は、装置本体31の左右方向略中央部寄りに設けられたユニット設置部31Aから装置本体31の左端部又は右端部まで、装置本体31の上面が平坦に形成された構成であれば、リフト機構50を装置本体31の左側面又は右側面に備えた構成としてもよい。
(h)上記実施形態では、載置台53を90°回転させ、充填ユニット40の向きを変えることができる構成となっている。載置台53の回転量は90°に限定されるものではなく、任意に設定可能である。例えば載置台53が360°回転可能な構成としてもよい。
また、載置台53が回転せず、充填ユニット40の向きが変更不能な構成としてもよい。例えば装置本体31と充填ユニット40との間に十分な間隔が確保できる構成であれば、作業性が低下するおそれは少ない。
(i)上記実施形態では、ユニット設置部31A及び載置台53の両者に、充填ユニット40の移動を案内する案内手段として案内レール32,60が設けられている。これに代えて、例えばユニット設置部31A又は載置台53のいずれか一方に案内レールを備えた構成としてもよい。また、ユニット設置部31A及び載置台53の両者から案内レール32,60を省略した構成としてもよい。
また、案内手段(案内レール)の構成も上記実施形態に限定されるものではない。例えば、充填ユニット40の下面に、断面略L字状に形成された左右一対のL字案内レールが前後方向に沿って形成され、当該L字案内レールが載置台53の左右側縁部とスライド可能に係合する構成としてもよい。
(j)上記実施形態では、人手による充填ユニット40の移動を可能とする移動補助手段としてエアボールリフタ48を備えた構成となっているが、移動補助手段の構成はこれに限定されるものではない。例えば、移動補助手段として車輪等を備えた構成としてもよい。また、移動補助手段を省略した構成としてもよい。
(k)昇降駆動機構52や回転駆動機構54の構成は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、昇降駆動機構52として、モータ及びボールねじ等よりなる機構が採用されている。これに代えて、例えばエアシリンダや油圧シリンダなど、他の駆動手段を採用してもよい。