以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1(a),(b)に示すように、本実施形態におけるPTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。容器フィルム3は、PP(ポロプロピレン)等の樹脂材料により構成され、光透過性を有している(ここでは、透明を呈している)。カバーフィルム4は、アルミニウムによって構成されている。
また、各ポケット部2には、被充填物として錠剤5が1つずつ収容されている。本実施形態では、錠剤5として、ホルモン剤や抗ガン剤などの高薬理活性医薬品が収容される。
PTPシート1の容器フィルム3には、例えば2つのポケット部2が含まれたペア小片に切り離すことができるように複数の横スリット6が形成されている。勿論、縦スリットが形成されてもよいし、スリットを省略してもよい。
次に、PTP包装機(ブリスタ包装機)10の概略構成について、図2を参照して説明する。図2は、PTP包装機10の概略構成図である。
図2に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3がロール状に巻回されている。
ロール状に巻回された容器フィルム3は、間欠的に繰り出し搬送されるようになっており、当該容器フィルム3の搬送経路には、ポケット部形成装置を構成する加熱装置12及び成形装置13が配設されている。
具体的には、加熱装置12によって容器フィルム3が部分的に加熱され、該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、成形装置13によって容器フィルム3にポケット部2が成形される。なお、このポケット部2の成形は、容器フィルム3の搬送動作間のインターバルに行われる。
また、ポケット部2が形成された容器フィルム3の移送経路には、ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する充填装置16、外観検査装置17、シール装置18などが配設されている。
充填装置16は、ロータリドラムを備えており、容器フィルム3に形成されたポケット部2に錠剤5を投入する。
外観検査装置17は、錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、また錠剤5の欠け、ひび等の外観異常の有無、異物混入の有無等の検査を行うためのものである。該外観検査装置17は、ポケット部2の開口側からの検査を行う。
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、シール装置18の方へと案内されている。
シール装置18は、フィルム受けロール19と、加熱ロール20とを備えており、フィルム受けロール19に加熱ロール20が圧接可能に構成されている。そして、両ロール19,20間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。
容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール19,20間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着される。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填された帯状のPTPフィルム21が製造される。このとき、加熱ロール20の表面には、シール用の網目状の凸条が形成されており、これが強く圧接することで、強固なシールが実現されるようになっている。
シール装置18の下流には、ポケット部2側から錠剤5等の異常を検出するための外観検査装置23が設けられている。尚、外観検査装置17,23によって不良品判定された場合、図示しない不良シート排出機構に不良品信号が送られ、その不良品判定となったPTPシート1は、不良シート排出機構によって別途排出され、図示しない不良品ホッパに移送される。
外観検査装置23の下流では、PTPフィルム21の移送経路に沿って、スリット成形装置24及びシート打抜装置26が順に配設されている。
スリット成形装置24は、PTPフィルム21の所定位置に前記横スリット6を形成する機能を有する。シート打抜装置26は、PTPフィルム21をPTPシート1単位に打抜く機能を有する。
シート打抜装置26の下流側には、シート打抜装置26から落下する端材27を貯留するためのスクラップ用ホッパ28が設けられている。また、シート打抜装置26の右側には、打抜かれたPTPシート1を移送するためのコンベア29が設けられており、該PTPシート1は完成品用ホッパ30に移送される。
上記PTP包装機10は、衛生面等を考慮して筐体の内部に構築されている。特に本実施形態では、清掃面等を考慮して上記充填装置16を含む錠剤充填機構が、カバー体としてのユニットカバー46に覆われることにより、装置本体11とは別の充填ユニット40としてユニット化されている(図6等参照)。充填ユニット40は、装置本体11の載置面11Aに対し着脱可能に取付固定されている(図9等参照)。
次に充填ユニット40及びこれに関連する構成について図3〜図8を参照して詳しく説明する。図3,図4,図5は、それぞれPTP包装機10の正面図、平面図、左側面図であり、図6,図7,図8は、それぞれ充填ユニット40の正面図、平面図、左側面図である。
充填ユニット40は、主としてホッパ41、直進トラフ42、ボウルフィーダ43、スプリングホース44、充填装置16、レール部45、及び、これら各部を上下左右前後の全方向から覆う直方体形状のユニットカバー46を備えている。本実施形態では、ホッパ41、直進トラフ42、ボウルフィーダ43、スプリングホース44、及び、充填装置16によって錠剤充填機構が構成される。
ユニットカバー46の内部には、高さ方向において下部から1/3くらいのところに、水平方向に延びる棚部51が設けられると共に、その前端部を支持するように、支持壁部52が立設されている。
棚部51は、左右両端がそれぞれユニットカバー46の左側壁部46A及び右側壁部46Bに当接するように設けられ、前後方向においては後端部がユニットカバー46の後壁部46Cに当接し、前端部が支持壁部52の上端部に連結するように設けられている。
かかる構成により、ユニットカバー46の内部空間は、上記錠剤充填機構(ホッパ41の上部を除く)及びレール部45が収容される第1空間K1と、錠剤充填機構等が配置されない第2空間K2とに区分けされている。
また、棚部51の下側には、後述するリフト装置90のフォーク91が棚部51の下面を支持可能なように(図9参照)、当該フォーク91を挿し入れるための一対の差込孔53が設けられている。各差込孔53は、ユニットカバー46の左側壁部46Aから右側壁部46Bにかけて貫通するように筒状に設けられており、差込孔53と第2空間K2とは非連通状態となっている。
棚部51の上方には、ユニットカバー46の上壁部46Dから一部が突出した状態でホッパ41が設けられている。ホッパ41は、錠剤5を貯留するためのホッパ本体41A及び蓋部41Bを備えている。
ホッパ本体41Aは、貯留される錠剤5がスムーズに滑り落ちるように下方へ向け先細りした略逆四角錐形状をなし、その下端部にて錠剤5を落下させるための吐出口が開口した、いわゆる漏斗状に形成されている。
蓋部41Bは、ホッパ本体41Aの上部開口に対応して設けられており、蓋部41Bを開放することにより錠剤5の供給が可能となり、蓋部41Bを閉鎖することによりホッパ41内部への異物などの侵入を防止可能となる。なお、ユニットカバー46の上壁部46Dには、ホッパ41を上方へ突出させるべく開口部(符号略)が設けられているが、当該開口部は、その外縁がホッパ本体41Aの周囲と隙間なく密着し、塞がれている。これにより、当該開口部から外部への薬塵の飛散や、内部への埃等の異物の侵入が防止されている。
直進トラフ42は、ホッパ41の下方にて左右方向に沿って配置された搬送装置であり、ホッパ41に貯留された錠剤5を、ホッパ41に対して右方側に配置されたボウルフィーダ43へ一定量ずつ供給する。この直進トラフ42は、ボウルフィーダ43への供給量を調整するためのセンサ42Aを備えている。
上記棚部51の上面には、ボウルフィーダ43が固定されている。ボウルフィーダ43は、基部43A、皿状部材43B、及び、錠剤落下口43Cを備えている。基部43Aは、鉄芯及び電磁石からなる振動機構を有している。皿状部材43Bは、基部43Aの上方に支持される円形状の部材であり、基部43Aの振動機構によって振動可能となっている。そして、上述した直進トラフ42のセンサ42Aが皿状部材43B上面の錠剤5の貯留量を検知し、この検知結果に基づき、直進トラフ42によって、皿状部材43Bに一定量の錠剤5が供給されるようになっている。また、錠剤落下口43Cは、ボウルフィーダ43の皿状部材43Bに設けられており、皿状部材43Bの振動に伴って、錠剤落下口43Cから錠剤5が下流側へ定量供給される。
スプリングホース44は、上記錠剤落下口43Cと充填装置16とを連結するように設けられている。スプリングホース44は、コイルばねで形成される錠剤5の供給経路であり、上記錠剤落下口43Cから充填装置16へ錠剤5を供給する。
充填装置16は、左右方向において2台設けられている。図6,7では、容器フィルム3の下流側から順に充填装置16A、充填装置16Bとして示した。これら2台の充填装置16A,16Bは、各々が2台のロータリドラム(図示略)を有しており、当該ロータリドラムの回転により、容器フィルム3に形成されたポケット部2に対し搬送方向において1つおきに錠剤5を充填する。そして、2台の充填装置16A,16Bが、一つおきに別のポケット部2へ錠剤5を充填することで、全てのポケット部2に対して錠剤5が充填されるようになっている。
ユニットカバー46の下壁部46Eの上面には、上記充填装置16A,16Bの下方位置において、左右方向に延びるレール部45が配設されている。このレール部45は、容器フィルム3の搬送をガイドするためのものであると同時に、容器フィルム3を下方から支持するためのものである。レール部45の上面には、既にポケット部2の形成された容器フィルム3を支持するため、ポケット部2に対応する左右方向の溝(図示略)が形成されている。これにより、容器フィルム3は、レール部45に載置された状態で搬送される。
また、レール部45に対応して、ユニットカバー46の下壁部46Eには、容器フィルム3を充填ユニット40内部へ搬入するための搬入用開口54が形成されている。また、ユニットカバー46の右側壁部46Bには、容器フィルム3を充填ユニット40から搬出するための搬出用開口55が形成されている。ここで、搬入用開口54が本実施形態におけるフィルム導入口に相当し、搬出用開口55がフィルム導出口に相当する。
本実施形態では、容器フィルム3の一般部(ポケット部2の形成されていない領域)の厚みが約0.3mmに設定されているのに対し、搬出用開口55の上下幅は、少なくとも搬出用開口55の上辺部と、容器フィルム3との距離が3mm程度となるように設定されている。
また、図示は省略するが、作業者がメンテナンスなど各種作業を行えるように、ユニットカバー46の前壁部46Fにおいて、ユニットカバー46の内部と外部とのアクセスを可能とする作業用開口部(小窓等)を備えた構成としてもよい。勿論、作業用開口部には、当該作業用開口部を塞ぐように、開閉可能な開閉扉や、作業用のグローブ、スリット状の切り込みの入った弾性膜体などが取付けられることとなる。
以下、充填ユニット40における薬塵の封じ込め技術についてより詳しく説明する。
ユニットカバー46の内部の支持壁部52には、第1空間K1と第2空間K2とを連通させる複数の連通孔57が形成されている。
また、充填ユニット40の後壁部46Cには、第1空間K1とユニットカバー46の外部とを連通させる排気用開口部59と、第2空間K2とユニットカバー46の外部とを連通させる排気用開口部60とが形成されている。
そして、充填ユニット40の後壁部46Cには、ユニットカバー46の外部から上記排気用開口部59,60をそれぞれ覆うように、フィルタ手段としてのフィルタユニット61,62が取付けられている。
フィルタユニット61,62は、上記排気用開口部59,60を介して、ユニットカバー46の内部から排気される空気を浄化するためものであり、ハウジング61A,62Aの内部に排気用フィルタ61B,62Bが収容されてなる。排気用フィルタ61B,62Bとしては、HEPAフィルタ等の高性能フィルタが使用されている。
フィルタユニット61,62は、装置本体11の背後に配置された排気ユニット63と、排気用配管64,65を介して接続されている。排気用配管64,65は、フィルタユニット61,62の接続用配管61C,62Cに対し着脱可能に設けられている。
排気ユニット63は、ユニットカバー46の内部の空気を吸引し外部へ排出するためのものであり、ハウジング63Aの内部に排気用ブロワ63Bが収容されてなる。従って、上記ユニットカバー46の排気用開口部59,60、排気ユニット63、排気用配管64,65などにより、本実施形態における排気手段が構成されることとなる。
上記構成の下、排気用ブロワ63Bが吸引動作を開始すると、排気用開口部59,60を介して、ユニットカバー46の内部から排出された空気は、フィルタユニット61,62(排気用フィルタ61B,62B)により薬塵などが除去され、浄化された後、クリーンエアとなって、排気用配管64,65を通り、排気ユニット63のハウジング63A上部に開口した排気口63Cを介して外部へ排出される(図5の矢印参照)。
尚、ユニットカバー46内の空気を外部に排出することによって、ユニットカバー46内は負圧に維持される。本実施形態では、ユニットカバー46内の気圧が−10Paとなるように設定されている。
一方、装置本体11には、ユニットカバー46の搬入用開口54及び搬出用開口55に対向するように、それぞれ送風機71,72が配置されている。
送風機71,72は、搬入用開口54及び搬出用開口55を介して、ユニットカバー46の内部へクリーンエアを送風するためものであり、クリーンエアの吹出口となるノズル(図示略)などを有している。
送風機71,72は、装置本体11の背後に配置された給気ユニット73と、給気用配管74,75を介して接続されている。
給気ユニット73は、送風機71,72に対し、埃等の異物を除去したクリーンエアを供給するためのものであり、ハウジング73Aの内部に給気用ブロワ73Bと、当該給気用ブロワ73Bから供給される空気を浄化するための給気用フィルタ73Cとが収容されてなる。給気用フィルタ73Cとしては、HEPAフィルタ等の高性能フィルタが使用されている。従って、上記送風機71,72、給気ユニット73、給気用配管74,75などにより、本実施形態における給気手段が構成されることとなる。
上記構成の下、給気用ブロワ73Bが送風動作を開始すると、ハウジング73Aの背後に開口形成された吸気口(図示略)を介して外部から取り込まれた空気は、給気用フィルタ73Cにより埃などが除去され、浄化された後、クリーンエアとなって、給気用配管74,75を通り、送風機71,72へ供給される(図5の矢印参照)。
そして、当該送風機71,72から搬入用開口54及び搬出用開口55に向けクリーンエアが送風される。より詳しくは、送風機71,72は、容器フィルム3のポケット部開口面側(カバーフィルム4の貼付面側)に対しクリーンエアを吹き付けつつ、搬入用開口54及び搬出用開口55を介して、ユニットカバー46の内部へ向けクリーンエアを送風する。
尚、本実施形態では、装置本体11の背後において、排気ユニット63と給気ユニット73とが上下に並設されており、PTP包装機10のコンパクト化等を図ることができる。
さらに、ユニットカバー46の上壁部46Dには、ミスト噴霧手段としてのミスト噴霧ユニット80が充填ユニット40と一体となるように取付固定されている。
ミスト噴霧ユニット80は、ユニットカバー46の内部に露出するように設けられた噴霧ノズル81や、水を貯蔵するためのタンク(図示略)、当該水を噴霧ノズル81に供給するためのポンプ部(図示略)などを備えている。
ミスト噴霧ユニット80は、タンクに貯蔵された水をポンプにて圧縮し、微細な孔を有する噴霧ノズル81から噴射することにより、水が微粒子化したミストを生成する。
次に充填ユニット40の清掃方法について説明する。
まず装置本体11によるPTPシート1の製造を停止させた後、排気ユニット63(排気用ブロワ63B)及び給気ユニット73(給気用ブロワ73B)を停止させる。
その後、ミスト噴霧ユニット80によりユニットカバー46の内部へミストを噴霧する(例えば10秒程度)。これにより、ユニットカバー46の内部がミストにより白く曇った状態となる。
ミスト噴霧後、ユニットカバー46の内部の曇りがとれるまで所定時間(例えば3分程度)待機する。これにより、ユニットカバー46の内部に僅かに残った浮遊薬塵をウェットダウンさせる。
前記所定時間の経過後(ウェットダウン後)、充填ユニット40を装置本体11から取外し、別室(洗浄室)へ搬送する(図9参照)。より詳しくは、まず充填ユニット40を装置本体11の載置面11Aに対し固定している所定のロック手段(図示略)の解除を行う。その後、リフト装置90のフォーク91をユニットカバー46の差込孔53へ挿入する。続いて、フォーク91によって棚部51の下面を支持して、充填ユニット40を装置本体11から離脱させる。この状態でリフト装置90を動かし、充填ユニット40を別室へと運び出す。
そして、前記別室にて、フィルタユニット61,62から排気用フィルタ61B,62Bを取外した後、充填ユニット40を洗浄する。
以上詳述したように、本実施形態においては、ホッパ41、直線トラフ42、ボウルフィーダ43、スプリングホース44、及び、充填装置16(16A,16B)からなる錠剤充填機構がユニットカバー46に覆われることにより、充填ユニット40としてユニット化されているため、充填ユニット40の外部への薬塵の飛散を防止すると共に、外部からの埃等の異物の侵入を防止することができる。
さらに、充填ユニット40が装置本体11に対し着脱可能に設けられているため、製造品種の切換時等において充填ユニット40ごと交換することが可能となり、他製品への薬塵の混入などをより確実に防止することができる。また、充填ユニット40の清掃作業を行う際には、充填ユニット40を取外し、別室にて丸洗いできるため、工場内への薬塵の飛散を防止すると共に、作業性や利便性の向上等を図ることができる。
加えて、本実施形態では、ユニットカバー46の内部の空気を吸引排気するための排気ユニット63等を備え、ユニットカバー46の内部を負圧に維持しているため、外部への薬塵の飛散防止効果をさらに高めることができる。
結果として、薬塵の封じ込め性能が向上し、作業者による薬塵の吸引や、他製品への薬塵の混入などを防止することができる。
また、本実施形態では、ユニットカバー46の搬入用開口54及び搬出用開口55に向け外部からクリーンエアを送風するための送風機71,72等を備えているため、当該開口54,55から薬塵が外部へ飛散することを抑制すると共に、埃等の異物を含んだ外気がユニットカバー46の内部に侵入することを抑制することができる。
特に、本実施形態では、容器フィルム3のポケット部開口面側(カバーフィルム4の貼付面側)に対しクリーンエアを吹き付けつつ、クリーンエアを送風する構成となっているため、容器フィルム3に付着した薬塵や埃等の異物を吹き飛ばすこともできる。ひいては、カバーフィルム4の貼着不良などの不具合の発生を抑制することができる。
また、本実施形態では、フィルタユニット61,62が充填ユニット40(ユニットカバー46)と一体に設けられているため、薬塵をユニットカバー46の内部に封じ込め、排気ユニット63や排気用配管64,65への薬塵の侵入を防止することができる。
結果として、充填ユニット40を装置本体11から取り外す際に、排気用配管64,65内から工場内に薬塵が飛散するおそれもなく、排気用配管64,65を清掃する手間もいらない。ひいては、充填ユニット40の取外し作業を、薬塵の飛散を気にすることなく、より容易かつ円滑に行うことができる。
さらに、充填ユニット40と共にフィルタユニット61,62(排気用フィルタ61B,62B)を取外すことができ、工場内での別途のフィルタ交換作業を必要としないため、工場内への薬塵の飛散を防止すると共に、フィルタ交換作業の簡素化を図ることができる。
さらに加えて、本実施形態では、充填ユニット40がミスト噴霧ユニット80を備え、充填ユニット40の清掃作業(取外し)を行う前段階に、ユニットカバー46の内部へミストを噴霧する構成となっているため、ユニットカバー46の内部に僅かに残った浮遊薬塵をミストに吸着させ、下に落とすこと(ウェットダウン)ができる。結果として、充填ユニット40の搬送途中や清掃作業中に薬塵が外部に飛散するおそれを低減し、作業者がより安全に作業を行うことができる。
特にミスト噴霧後、所定時間待機した後、充填ユニット40を搬送することで、浮遊薬塵のウェットダウンをより確実に行うことができ、上記作用効果をさらに高めることができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)PTP包装機10の構成は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、充填ユニット40が装置本体11に対し着脱可能に構成されているが、例えばフィルタユニット61,62により十分に薬塵が除去される構成となっていれば、必ずしも着脱可能に構成される必要はなく、充填ユニット40が装置本体11に対し着脱不能に組付けられる構成も採用することができる。
(b)上記実施形態では、PTPシート1のポケット部2に充填される錠剤5として、ホルモン剤や抗ガン剤などの高薬理活性医薬品が例示されているが、錠剤はこれに限定されるものではなく、異なる種類の錠剤が充填される構成としてもよい。
(c)充填ユニット40に収容される錠剤充填機構の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、ホッパ41から充填装置16まで、錠剤供給を行う一連の機構を備えたものであれば、どのような構成のものであってもよい。
例えば、上記実施形態では、直進トラフ42及びボウルフィーダ43を用いて、充填装置16まで錠剤5を供給する構成となっているが、これらに代えて、直進フィーダを用いてもよいし、ホッパ41からボウルフィーダ43へ直接、錠剤5が排出される構成としてもよい。
また、上記実施形態では充填装置16が2台のロータリドラムを備えるものであったが、1台のロータリドラムを備えるものとしてもよい。また、ロータリドラムを備えるものに代え、シャッタ機構による充填装置を用いてもよい。
(d)排気手段の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、PTP包装機10が、排気手段を構成する排気ユニット63及び排気用配管64,65を備えた構成となっているが、当該排気ユニット63及び排気用配管64,65に係る機能に関しては、工場内(PTP包装機10外部)の設備を使用する構成としてもよい。少なくとも充填ユニット40(ユニットカバー46)が、工場内の排気ダクト等と接続可能な排気用開口部を排気手段として備えるなど、ユニットカバー46の内部の空気を排気できる構成となっていればよい。
尚、工場内の集塵機等に対し充填ユニット40が接続される構成であれば、フィルタユニット61,62などを省略することも可能である。但し、上記実施形態のように、フィルタユニット61,62が充填ユニット40と一体に設けられることにより、工場内の排気ダクト等への薬塵の侵入を防止することができる。
(d)給気手段の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、PTP包装機10が、給気手段を構成する給気ユニット73及び給気用配管74,75を備えた構成となっているが、当該給気ユニット73及び給気用配管74,75に係る機能に関しては、工場内(PTP包装機10外部)の設備を使用する構成としてもよい。少なくとも装置本体11又は充填ユニット40が、工場内の給気ダクト等と接続可能な送風機を給気手段として備えるなど、搬入用開口54及び搬出用開口55を介して、ユニットカバー46の内部へクリーンエアを送風できる構成となっていればよい。
(e)上記実施形態では、搬入用開口54側及び搬出用開口55側の両方に、送風機71,72がそれぞれ設けられた構成となっているが、例えばフィルタユニット61,62により十分に薬塵が除去される構成となっていれば、必ずしも両開口54,55に対応して設ける必要はない。
従って、両開口54,55のうち、いずれか一方のみに対応して送風機を備えた構成としてもよいし、双方から送風機を省略した構成としてもよい。また、容器フィルム3のポケット部開口面側(カバーフィルム4の貼付面側)に対しクリーンエアを吹き付けつつ、クリーンエアを送風する構成となっていなくともよい。
(f)ミスト噴霧手段の構成は、上記実施形態におけるミスト噴霧ユニット80に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、ミスト噴霧ユニット80が充填ユニット40と一体に設けられているが、水を貯蔵するためのタンクや、当該水を噴霧ノズル81に供給するためのポンプ部などの機能に関しては、工場内(PTP包装機10外部)の設備を使用する構成としてもよい。少なくとも充填ユニット40が、工場内の給水管等と接続可能な噴霧ノズルをミスト噴霧手段として備えるなど、ユニットカバー46の内部へミストを噴霧可能に構成されていればよい。
また、ミスト化される液体は、水に限定されるものではなく、例えば薬液が混入された水溶液など、他の液体であってもよい。
(g)充填ユニット40の清掃方法は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、充填ユニット40を別室へ搬送する途中において、ミストを噴霧する構成としてもよいし、ミスト噴霧直後に充填ユニット40を装置本体11から取外す構成としてもよい。
(h)充填ユニット40(ユニットカバー46)の外側に、薬塵の有無を検知可能な薬塵検知センサ等の検知手段を備えた構成としてもよい。これにより、充填ユニット40の外部に薬塵が漏れていないか否か、すなわち充填ユニット40の封じ込め性能が正常に機能しているか否かを常時モニタリングすることができる。
特に、上述したような作業用開口部をユニットカバー46が備えている場合には、当該作業用開口部の近傍に薬塵検知センサ等を設けることが好ましい。
加えて、薬塵検知センサが薬塵を検知したことに基づき、その旨を報知するアラーム等の報知手段を備えた構成としてもよい。
(i)充填ユニット40(ユニットカバー46)の内部における薬塵の有無や濃度等を検知可能な薬塵検知センサ等の検知手段を備え、当該薬塵検知センサの検知結果に基づき、ミスト噴霧ユニット80を作動させるか否か、又は、停止させるか否かなどを決定する構成としてもよい。
(j)充填ユニット40(ユニットカバー46)の内部におけるミストの有無や濃度等を検知可能なミスト検知センサ(湿度センサ)等の検知手段を備えた構成としてもよい。これにより、ミスト噴霧後の充填ユニット40の適切な搬出時期などを判断することができる。
例えば、ミスト噴霧後、ミスト濃度が所定値以下となった場合に、充填ユニット40の搬出作業を開始したり、充填ユニット40の内部が乾燥しないうちに搬送作業を行うことができる。
加えて、ミスト検知センサの検知結果に基づき、充填ユニット40の適切な搬出時期などを報知する報知手段を備えた構成としてもよい。