本発明の一実施形態に係る紙幣処理装置を図面を参照して以下に説明する。図1は、紙幣および硬貨等を取り扱う出納機を示している。この出納機は、銀行等の金融機関の店舗に設置されて店舗全体の貨幣処理を管理するものである。出納機は、例えば、大口顧客に対する係員による入金、出金等の取引処理、係員による渉外先への持ち出し金の出金処理や、渉外先からの持ち帰り金の入金処理、さらには、営業終了後の金融機関店舗全体での入出金状況の締め上げ管理等を行うものである。
出納機は、紙幣についての入出金処理等を行う本実施形態に係る紙幣処理装置1と、紙幣の特に新券についての出金処理等を行う新券処理装置2と、硬貨についての入出金処理等を行う硬貨処理装置3とが左右に並設されて構成されており、硬貨処理装置3の上部に、操作者によって操作入力がなされる操作部4と、操作者に対して視覚表示を行うモニタおよび音声を発生させる音声発生装置からなる表示部(報知手段)5とが設けられている。
次に、本実施形態に係る紙幣処理装置1の全体構成を図2を参照して説明する。以下の説明における前後左右は、操作者側を前、操作者とは反対側を後、操作者から見て左右を左右とする。
紙幣処理装置1には、その作動を制御する制御部(制御手段)8と、制御データ等を記憶する記憶部(記憶手段)9とが設けられている。また、紙幣処理装置1は、その前面側の上下方向中間部に、機外からバラ紙幣が投入されるとともに機内から出金用のバラ紙幣が繰り出されるバラ入出金部11が設けられている。バラ入出金部11は、その底部を構成する載置板12が後下がりに傾斜した姿勢で昇降可能に設けられており、その奥側の支承面13が載置板12と直交するように後上がりに傾斜して設けられている。バラ入出金部11には、紙幣が長さ方向を左右方向に沿わせた姿勢で載置板12上に集積されることになり、紙幣は載置板12の傾斜により後端縁が支承面13に当接する。バラ入出金部11の上部の後側には、載置板12上に集積されたバラ紙幣を上端のものから一枚ずつ分離して所定の間隔をあけて機内へ繰り出すとともに機内からの紙幣をバラ入出金部11に繰り出す繰出部11aが設けられている。なお、紙幣処理装置1内では、紙幣が、常に長さ方向を左右方向に沿わせた姿勢とされる。
バラ入出金部11の下側には、紙幣処理装置1の前面位置に、受け付け不可と判定されたバラの入金リジェクト紙幣が機内から繰り出される入金リジェクト部16が設けられている。バラ入出金部11および入金リジェクト部16の後側には、出金不可と判定されたバラの出金リジェクト紙幣を収納する出金リジェクト部17が設けられており、出金リジェクト部17の後方の下部には紙幣を識別するバラ識別部18が設けられている。
また、出金リジェクト部17の後方の上部には紙幣を整列させながら水平姿勢で鉛直方向に所定の結束枚数集積させる上下二つの整列部19,20が設けられており、これら整列部19,20の後方には、整列部19,20から水平状態のまま後方に送り出された集積紙幣を載置させて鉛直上方に上昇搬送する上昇搬送部21が設けられている。
整列部19,20の上方には、上昇搬送部21で上昇搬送され水平状態のまま前方に送り出された集積紙幣を結束テープで結束して小束紙幣とする結束部22が設けられている。この結束部22は、一束ずつ小束紙幣を作成するもので、上昇搬送部21から前方に送り出された集積紙幣を上下から挟持してV字状に屈曲させる挟持部材23,24を有しており、挟持部材23,24で集積紙幣を挟持しつつ、結束テープを周囲に巻き回して接着・切断した後、挟持部材23,24を結束テープから引き抜くことで小束紙幣を作成する。紙幣処理装置1内では、小束紙幣も、バラ紙幣同様、常に長さ方向を左右方向に沿わせた姿勢とされる。
結束部22の前方には、結束部22で上記のように結束された後、水平状態のまま前方に送り出された小束紙幣の結束不良の有無を検知する結束検知部25が設けられている。また、結束検知部25の前方には、結束検知部25による検知後の小束紙幣を移送する束移送部26が設けられている。束移送部26は、紙幣処理装置1の前面上部に設けられた束出金口27に小束紙幣を移送したり、束出金口27の後側つまり裏側に前後方向に並べられた複数具体的には四つの束収納部28〜31に小束紙幣を移送したりする。束出金口27は、前方に開口し後方に凹む形状をなしている。束出金口27の前部開口位置には、これを開閉するシャッタ32が設けられており、束出金口27に小束紙幣が出し入れされる際にシャッタ32が開かれる。束出金口27および束収納部28〜31は、上下左右の位置を合わせている。
また、紙幣処理装置1の下部には、奥側から順に、入金確定後の所定の単一金種のバラ紙幣を上下に集積させた状態で収納する金種カセット35、同様の金種カセット36、同様の金種カセット37、入金確定後のバラ紙幣を上下に集積させた状態で収納する混合カセット38、および入金された入金確定前のバラ紙幣を上下に集積させた状態で一時貯留するプールカセット39が上下左右の位置を合わせて水平直線状のカセット配列方向に配列されている。このカセット配列方向は、紙幣処理装置1の前後方向に沿っている。
金種カセット35の上部には、その内部に紙幣を繰り出すとともに内部の紙幣を上端のものから一枚ずつ分離して繰り出す繰出部35aが設けられており、金種カセット36の上部にも同様の繰出部36aが、金種カセット37の上部にも同様の繰出部37aが、混合カセット38の上部にも同様の繰出部38aが、プールカセット39の上部にも同様の繰出部39aが、それぞれ設けられている。
紙幣処理装置1の内部には、バラ紙幣を搬送する紙幣搬送路41が各部を適宜繋ぐように設けられている。紙幣搬送路41は、繰出部11aから後上がりに延出した後、後下がりに延出し、さらに鉛直下方に延出し、その後、前側に一端延出した後、下側にて後側に折り返し、後方に延出し、途中上側に凸状に屈曲してバラ識別部18を通って下方に延出し前方に延出して前端から下方に延出してプールカセット39に接続される搬送路41Aを有している。
また、紙幣搬送路41は、搬送路41Aの途中から分岐して金種カセット35に繋がる搬送路41Bと、搬送路41Aの搬送路41Bよりもプールカセット39側から分岐して金種カセット36に繋がる搬送路41Cと、搬送路41Aの搬送路41Cよりもプールカセット39側から分岐して金種カセット37に繋がる搬送路41Dと、搬送路41Aの搬送路41Dよりもプールカセット39側から分岐して混合カセット38に繋がる搬送路41Eと、搬送路41Aの搬送路41Eよりもプールカセット39側から分岐して上方に延出して搬送路41Aのバラ入出金部11とバラ識別部18との間に繋がる搬送路41Fとを有している。
また、紙幣搬送路41は、搬送路41Aの搬送路41Eの分岐位置と搬送路41Fの分岐位置との間位置から分岐して上方に延出して搬送路41Fの途中位置に繋がる搬送路41Gと、搬送路41Fにおける搬送路41Gの接続位置と搬送路41Aへの接続位置との間位置から分岐して入金リジェクト部16に繋がる搬送路41Hと、搬送路41Aにおける搬送路41Fの接続位置とバラ入出金部11との間位置から分岐し前方に延出して搬送路41Hの途中位置に繋がる搬送路41Iと、搬送路41Hにおける搬送路41Iの接続位置と入金リジェクト部16との間位置から上方に分岐し後上がりに延出して出金リジェクト部17に繋がる搬送路41Jとを有している。
また、紙幣搬送路41は、搬送路41Aにおけるバラ入出金部11と搬送路41Iの分岐位置との間位置と、搬送路41Fの接続位置とバラ識別部18との間位置とを繋ぐ搬送路41Kと、搬送路41Aにおける搬送路41Kの接続位置とバラ入出金部11との間位置から後方に分岐して整列部19に繋がる搬送路41Lと、搬送路41Aにおける搬送路41Kの接続位置と搬送路41Lの接続位置との間から後方に分岐して整列部20に繋がる搬送路41Mとを有している。搬送路41Kには、紙幣の表裏を反転させる表裏反転部43が設けられている。
ここで、上記した搬送路41A〜41Fは正逆両方向に紙幣を搬送可能となっており、搬送路41G〜41Mは一方向にのみ紙幣を搬送可能となっている。
上部にあるバラ入出金部11、入金リジェクト部16、出金リジェクト部17、バラ識別部18、整列部19,20、上昇搬送部21、結束部22、結束検知部25、束移送部26、束収納部28〜31および表裏反転部43は、本体45内に配置されており、その下部にある、金種カセット35〜37、混合カセット38およびプールカセット39が、本体45から紙幣処理装置1の前後方向に沿って前面側に引き出し可能な引出体46内に配置されている。
「バラ紙幣入金処理」
図3の太線は、機外からバラ入出金部11に投入されたバラ紙幣を搬送しつつ識別計数するバラ紙幣入金処理のルートを示している。つまり、バラ入出金部11の載置板12上にバラ紙幣が載置されて、操作部4にバラ紙幣入金処理を行う旨の入力操作がなされると、繰出部11aがバラ入出金部11の載置板12上のバラ紙幣を上端のものから順に一枚ずつ分離して所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出したバラ紙幣を、搬送路41Aで搬送することになる。搬送路41Aでの搬送中にバラ識別部18がバラ紙幣を識別計数することになり、バラ識別部18で受け入れ可能と判定したバラ紙幣(取り扱い可能な金種のバラ紙幣)を、図3に太実線で示すように、搬送路41Aでプールカセット39に搬送する一方、バラ識別部18で受け入れ不可と判定したバラ紙幣を、図3に太破線で示すように、搬送路41A,41G,41F,41Hで入金リジェクト部16に搬送する。これにより、受け入れ可能なバラ紙幣をプールカセット39に一時貯留し、受け入れ不可なバラ紙幣を入金リジェクト部16に放出する。
「バラ紙幣収納処理」
図4の太線は、バラ紙幣入金処理にてプールカセット39に一時貯留したバラ紙幣を、操作部4への承認操作が入力されたことを条件に、確定して、金種カセット35〜37および混合カセット38の対応するものに収納するバラ紙幣収納処理のルートを示している。つまり、プールカセット39のバラ紙幣を上端のものから繰出部39aが繰り出すことになり、繰り出したバラ紙幣を、図4に太実線で示すように、搬送路41A,41Fでバラ識別部18に搬送し、バラ識別部18の識別結果に基づいて、搬送路41Aおよび搬送路41B〜41Eの対応するものによって金種カセット35〜37および混合カセット38の対応するものに搬送する。これにより、金種カセット35〜37および混合カセット38の対応するものにバラ紙幣を収納する。なお、収納処理にてバラ識別部18で重送等と識別した紙幣については、図4に太破線で示すように、搬送路41A,41G,41F,41H,41Jによって出金リジェクト部17に搬送し、出金リジェクト部17に収納する。
「バラ紙幣返却処理」
図5の太線は、バラ紙幣入金処理にてプールカセット39に一時貯留した紙幣を、操作部4へのキャンセル操作が入力されたことを条件に、バラ入出金部11に繰り出すバラ紙幣返却処理のルートを示している。つまり、プールカセット39のバラ紙幣を上端のものから繰出部39aが繰り出すことになり、繰り出したバラ紙幣を、搬送路41Aによってバラ入出金部11に搬送する。これにより、バラ入出金部11にバラ紙幣を返却する。
「バラ紙幣出金処理」
図6の太線は、操作部4へ入力されたバラ紙幣出金操作に基づいて、金種カセット35、金種カセット36および金種カセット37の指定された金種のものからバラ紙幣を出金するバラ紙幣出金処理のルートを示している。つまり、バラ紙幣出金処理では、図6に太実線で示すように、金種カセット35〜37の指定された金種のものに収納されているバラ紙幣を上端のものから繰出部35a〜37aの対応するものが繰り出すことになり、繰り出したバラ紙幣を、搬送路41B〜41Dの対応するものと、搬送路41Aとでバラ識別部18に搬送し、バラ識別部18の識別結果に基づいて、表裏反転が必要でないものは搬送路41Aでバラ入出金部11に、表裏反転が必要なものは搬送路41Kを介して表裏反転部43で表裏反転させた後、搬送路41Aでバラ入出金部11に、それぞれ搬送する。これにより、バラ紙幣出金操作に基づくバラ紙幣をバラ入出金部11に繰り出す。なお、出金処理にてバラ識別部18で重送等と識別した紙幣については、図6に太破線で示すように、搬送路41A,41I,41H,41Jによって出金リジェクト部17に搬送し、出金リジェクト部17に収納する。
「結束出金処理」
図7の太線は、操作部4へ入力された結束出金操作に基づいて、金種カセット35、金種カセット36および金種カセット37の指定された金種のものからのバラ紙幣を結束して出金する結束出金処理のルートを示している。つまり、結束出金処理では、図7に太実線で示すように、金種カセット35〜37のうち指定された金種のものに収納されているバラ紙幣を上端のものから繰出部35a〜37aの対応するものが繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、搬送路41B〜41Dの対応するものと、搬送路41Aとでバラ識別部18に搬送し、整列部19に集積させる場合、バラ識別部18の識別結果に基づいて、表裏反転が必要でないものは搬送路41A,41Lで整列部19に、表裏反転が必要なものは搬送路41Kを介して表裏反転部43で表裏反転させた後、搬送路41A,41Lで整列部19に搬送する。また、整列部20に集積させる場合、バラ識別部18の識別結果に基づいて、表裏反転が必要でないものは搬送路41A,41Mで整列部20に、表裏反転が必要なものは搬送路41Kを介して表裏反転部43で表裏反転させた後、搬送路41A,41Mで整列部20に搬送する。これにより、指定された単一金種のバラ紙幣を結束単位枚数だけ整列部19あるいは整列部20に繰り出す。
そして、整列部19あるいは整列部20の集積紙幣を、上昇搬送部21で結束部22に搬送し、結束部22で結束を行い、結束検知部25で結束状態を検知して、束移送部26で束出金口27に取り出し可能に繰り出す。このような処理を指定された金種毎に指定された束数分行うことになる。整列部19,20は、例えば、複数束の小束紙幣を結束して出金する際に、整列部19でバラ紙幣が結束単位枚数されると、整列部19から結束部22への搬送および結束部22での結束と並行して、整列部20に次の結束のためのバラ紙幣を集積させることになり、整列部20でバラ紙幣が結束単位枚数されると、整列部20から結束部22への搬送および結束部22での結束と並行して、整列部19に次の結束のためのバラ紙幣を集積させることになる。なお、結束出金処理にてバラ識別部18で重送等と識別したバラ紙幣については、図7に太破線で示すように、搬送路41A,41I,41H,41Jによって出金リジェクト部17に搬送し、出金リジェクト部17に収納する。
結束部22で結束された小束紙幣Tが直後に繰り出される結束検知部25は、図8(a)に示すように、紙幣処理装置1内に左右方向に延在する姿勢で位置固定で設けられる回動軸51を有しこの回動軸51を中心に回動する摺動落下部53と、摺動落下部53を回動軸51を中心に所定の角度範囲で回動させる図示略の回動駆動部とを有している。摺動落下部53は、回動軸51に連結されて回動軸51からその径方向に沿って上方に延出する支持部56と、支持部56の回動軸51とは反対側で支持部56と略直交する平板状の主板部57と、主板部57が水平配置された状態で主板部57の前端縁部から鉛直下方に延出する平板状の前板部58と、主板部57が水平配置された状態で主板部57の後端縁部から後下がりに延出する平板状の後板部59とを有している。摺動落下部53は、図示略の回動駆動部の駆動により、図8(a)に示す主板部57を水平配置する水平姿勢と、図8(b)に示す主板部57および後板部59が前下がりに傾斜する前傾姿勢との間で回動する。
摺動落下部53は、結束部22の前方にあって小束紙幣Tの搬送方向における結束部22の直後位置に設けられている。摺動落下部53は、水平姿勢にあるとき、図8(a)に示す結束部22の繰出機構61により結束部22から水平状態で前方に繰り出された小束紙幣Tを、先に後板部59の前上がりに傾斜する上面59A上に受け入れ、後板部59の上面59A上から主板部57の水平に沿う上面57A上に受け入れて、主板部57の上面57A上に載置させる。この状態から、図示略の回動駆動部で駆動されて傾動して、図8(b)に示すように前傾姿勢となることで、小束紙幣Tを主板部57の上面57A上で摺動させて斜め下方に落下させる。つまり、摺動落下部53は、結束部22にて結束された小束紙幣Tを斜め下方に摺動落下させる。
結束検知部25には、摺動落下部53の前方に、前傾姿勢の摺動落下部53にて摺動落下する小束紙幣Tを受け取る受取部65が設けられている。受取部65は、前傾姿勢にある摺動落下部53の主板部57の延長上に配置され摺動落下部53にて摺動落下する小束紙幣Tをさらに摺動落下させる移送部材66と、摺動落下部53および移送部材66を摺動落下する小束紙幣Tを受け止める受止部材67とを有している。受止部材67で停止させられた小束紙幣Tは、下部前側が受止部材67に、下部後側が移送部材66に、上部後側が摺動落下部53の主板部57に載置される。
移送部材66は、紙幣処理装置1内に左右方向に延在するように配置される移動軸71を有している。移送部材66は、移動軸71と平行な平板状をなす主板部73と、主板部73の後縁部から斜めに延出する傾斜板部74とを有している。移送部材66は、移動軸71が図示略のガイド溝に沿って直線移動することにより、図8(a),図8(b)に示す下部後方位置と図10(b)に示す上部前方位置との間で移動することになる。移送部材66は、図8(a)に示す下部後方位置にあるとき、主板部73の前向きの前面73Aが前下がりの姿勢となり、前傾姿勢にある摺動落下部53の主板部57の上面57Aの略延長上に配置されて主板部57とによって小束紙幣Tを摺動案内し摺動案内後に支持する。
受止部材67は、紙幣処理装置1内に位置固定で設けられるもので、図11に示すように、長さの短い複数具体的には4カ所の部分当接部78と、長さの長い一つの全体当接部79とを有している。複数の部分当接部78および一つの全体当接部79は、図11に示す下部後方位置にある移送部材66の主板部73から垂直に突出する。複数の部分当接部78の、下部後方位置にある移送部材66の主板部73からの突出長さは、小束紙幣Tの集積方向の厚さよりも短くなっており、よって、複数の部分当接部78は、図8(b)に示すように、前傾姿勢の摺動落下部53の主板部57の上面57Aおよび下部後方位置にある移送部材66の主板部73の前面73Aにて摺動落下する小束紙幣Tに集積方向部分的に当接して小束紙幣Tを受け止める。図11に示すように、全体当接部79の、下部後方位置にある移送部材66の主板部73からの突出長さは、小束紙幣Tの集積方向の厚さよりも長くなっており、よって、全体当接部79は、図8(b)に示す前傾姿勢の摺動落下部53の主板部57の上面57Aおよび下部後方位置にある移送部材66の主板部73の前面73Aにて摺動落下する小束紙幣Tに集積方向全体に当接して小束紙幣Tを受け止める。
図11に示すように、小束紙幣Tは、長さ方向の一側に偏って結束テープtが巻回されており、結束テープtの巻回側つまり結束側が、左右方向左側に配置され、結束テープtのない非結束側が左右方向右側に配置されて、図8(a)に示す結束部22の繰出機構61で押し出されて摺動落下部53で落下させられる。そして、小束紙幣Tは、図8(b)に示すように前傾姿勢の摺動落下部53の主板部57の上面57Aおよび下部後方位置にある移送部材66の主板部73の前面73Aにて摺動落下し、受止部材67で受け止められると、図11に示すように、その非結束側のみが全体当接部79に当接し、その結束側は部分当接部78に当接する。つまり、受止部材67において、全体当接部79は小束紙幣Tの長さ方向の非結束側のみに配置され、部分当接部78は小束紙幣Tの長さ方向の少なくとも結束側に配置されている。
部分当接部78が、前傾姿勢の摺動落下部53の主板部57および下部後方位置にある移送部材66の主板部73にて摺動落下する小束紙幣Tに集積方向部分的に当接して小束紙幣Tを受け止めるため、結束部22による結束後、結束テープtの接着部が剥がれやすい小束紙幣Tや、結束力が弱い小束紙幣Tは、図8(b)に二点鎖線S1で示すように、部分当接部78にて受け止められなかった紙幣が慣性で、受け止められた紙幣に対し摺動落下方向下流側にずれて突出する。
結束検知部25は、上記のように部分当接部78よりも摺動落下方向下流側に突出する紙幣S1を検知して、受取部65で受け取った小束紙幣Tの結束不良を検知する第1結束不良検知センサ(結束不良検知手段)81を有している。この第1結束不良検知センサ81は、部分当接部78等の延在方向にほぼ沿って前後に配置される発光素子と受光素子とからなり、発光素子の発光が紙幣S1により遮光されて受光素子が非受光の状態になると、小束紙幣Tに結束不良があることを検知し、発光素子の発光が遮光されず受光素子で受光状態にあれば、小束紙幣Tに結束不良がないことを検知する。この第1結束不良検知センサ81は、図12に示すように、小束紙幣Tの長さ方向の結束側に配置されており、具体的には、小束紙幣Tの長さ方向において結束テープtの外側に隣り合う部分当接部78の位置に配置されている。
なお、図11に示すように、小束紙幣Tの非結束側は、全体当接部79に当接するため、基本的に上記のような紙幣のずれは生じない。しかしながら、結束不良が重度の場合には、全体当接部79に当接する前の摺動落下時にずれが生じることになり、このようにずれが生じた状態で、全体当接部79に当接すると、先に当接した紙幣が全体当接部79に沿って屈曲または湾曲して、図8(b)に二点鎖線S2で示すように小束紙幣Tの厚さ方向(紙幣集積方向)に突出することがある。
結束検知部25は、上記のように全体当接部79に受け止められる際に全体当接部79に沿って小束紙幣Tの厚さ方向に突出する紙幣S2を検知して、受取部65で受け取った小束紙幣Tの重度の結束不良を検知する第2結束不良検知センサ(第2の結束不良検知手段)82を有している。この第2結束不良検知センサ82は、下部後方位置にある移送部材66の主板部73の延在方向にほぼ沿って前後に配置される発光素子と受光素子とからなり、発光素子の発光が紙幣S2により遮光されて受光素子が非受光の状態になると、小束紙幣Tに結束不良があることを検知し、発光素子の発光が遮光されず受光素子で受光状態にあれば、小束紙幣Tに結束不良がないことを検知する。この第2結束不良検知センサ82は、図12に示すように、小束紙幣Tの長さ方向の非結束側に配置され、全体当接部79の近傍に配置されている。
上記した結束出金処理時に、制御部8は、図8(a)に示すように、結束部22で小束紙幣Tを結束し繰出機構61で繰り出させて、結束検知部25の水平姿勢にある摺動落下部53に載置させる。そして、制御部8は、図8(b)に示すように、摺動落下部53を傾動させて前傾姿勢とする。すると、小束紙幣Tが摺動落下して摺動落下部53と下部後方位置にある受取部65の移送部材66とで支持されるとともに受取部65の受止部材67で受け止められる。
制御部8は、摺動落下部53の傾動後の所定のタイミングで、第1結束不良検知センサ81および第2結束不良検知センサ82の状態を検知し、これらのうちの少なくともいずれか一方で受光素子が非受光の状態であると、結束不良が発生していると判断し、例えば小束紙幣Tを受取部65に載置させたまま小束紙幣Tの搬送を停止して表示部5により結束不良が発生した旨の報知を行わせるとともに、第1結束不良検知センサ81および第2結束不良検知センサ82の検知状況を記憶部9に記憶させる。つまり、第1結束不良検知センサ81のみが結束不良を検知したのか、第2結束不良検知センサ82のみが結束不良を検知したのか、第1結束不良検知センサ81および第2結束不良検知センサ82の両方が結束不良を検知したのかを記憶部9に記憶させる。なお、結束不良が発生していると判断した場合、制御部8は、結束不良の小束紙幣Tの搬送を停止せずに、図1に示す表示部5に結束不良が発生した旨の報知を行わせるとともに、結束不良のない小束紙幣Tと同様に束出金口27へ移送して、束出金口27から取り出させるようにしても良い。
図8(b)に示すように、束移送部26は、受取部65で受け取った小束紙幣Tを摺動落下部53とは反対側に横方向具体的には前上がり方向に搬送する傾斜搬送部(横方向搬送部)95を有しており、傾斜搬送部95の前方つまり摺動落下部53とは反対側には、傾斜搬送部95で搬送されてきた小束紙幣Tをステージ98上に載置させステージ98を上昇させて図7に示す束出金口27へ搬送する縦方向搬送部99とを有している。
図8(b)に示すように、傾斜搬送部95は、上記した結束検知部25の移送部材66と、移送部材66の移動方向に沿って傾斜する傾斜部材101と、図10(b)に示すように移送部材66が上部前方位置にあるとき移送部材66の主板部73に当接するストッパ102と、移送部材66の移動に連動して回動する回動部材103と、回動部材103に当接するストッパ104とを有している。
傾斜部材101は、紙幣処理装置1に位置固定で設けられるもので、受取部65から前上がりに傾斜しており、下部後方位置と上部前方位置との間で移動する移動軸71の移動軌跡に沿ってその下側に配置されている。
移送部材66は、図示略の付勢部材の付勢力で図10の時計回り方向に付勢されて、移動軸71と一体に移動する図示略のストッパに当接している。移送部材66は、図8,図9,図10(a)に示すように、下部後方位置から上部前方位置の手前までの範囲では、図示略の付勢部材の付勢力で図示略のストッパに当接して、傾斜部材101の上向きの傾斜面101Aに主板部73が略垂直をなしている。また、移送部材66は、図10(b)に示すように上部前方位置に位置するとき、位置固定のストッパ102に当接し図示略の付勢部材の付勢力に抗して移動軸71を中心に回動して主板部73が略鉛直に沿う姿勢となる。
回動部材103は、紙幣処理装置1に左右方向に沿うように位置固定で設けられる支持軸111を中心に回動可能に支持されている。回動部材103は、図8(a)に示すように、支持軸111に連結されて支持軸111からその径方向に沿って延出する支持部113と、支持部113の支持軸111とは反対側に設けられ、移送部材66が下部後方位置に位置するとき、移送部材66の移動軸71に下側から当接して後下がりに傾斜する当接板部114と、この状態で当接板部114の後端縁部から後上がりに延出する押圧板部115と、この状態で当接板部114の前端縁部から後上がりに延出する規制板部116とを有している。回動部材103は、移送部材66の移動軸71に当接板部114を当接させる方向(図8の反時計回り方向)に図示略の付勢部材により付勢されている。
回動部材103は、図8(a)に示すように移送部材66が待機位置である下部後方位置に位置するとき、押圧板部115が移送部材66の主板部73よりも下側かつ後側に位置している。
結束出金処理時に、制御部8は、上記したように、結束部22で結束された小束紙幣Tを載置させた摺動落下部53を、図8(b)に示すように、前傾姿勢とする。すると、小束紙幣Tは、摺動落下部53と下部後方位置にある受取部65の移送部材66とで支持されるとともに受取部65の受止部材67で受け止められる。第1結束不良検知センサ81および第2結束不良検知センサ82による結束不良の検知後、制御部8は、傾斜搬送部95によって、この受取部65の小束紙幣Tを搬送させる。つまり、制御部8は、図8(c)に示すように、まず摺動落下部53を水平姿勢に戻し、これにより、小束紙幣Tの後部を摺動落下部53で押し上げる。次に、移送部材66を上部前方位置に向かって移動させる。すると、その初期には、図9(a)に示すように、回動部材103が大きく回動することはなく、移動する移送部材66が規制板部116に近づく。このとき、移送部材66は受止部材67よりも前側かつ上側に位置することになり、小束紙幣Tの下部を受止部材67から傾斜部材101の傾斜面101A上に移動させる。
移送部材66がさらに上部前方位置に向かって移動すると、図9(b)に示すように、回動部材103は図示略の付勢部材の付勢力で大きく回動して押圧板部115が移送部材66の主板部73の前面73Aよりも上側かつ前側に突出して、小束紙幣Tを押圧する。すると、小束紙幣Tは、下部側つまり直前まで受止部材67に当接していた受取部65への当接側を中心に回動する。そして、移送部材66がさらに上部前方位置に向かって移動すると、押圧板部115が移送部材66の主板部73からの突出量を最大とし、図9(c)に示すように、小束紙幣Tを倒して、受取部65の摺動落下部53とは反対側で斜め上方に傾斜する傾斜部材101の傾斜面101Aに載置させる。
その後、図10(a)に示すように、回動部材103は規制板部116が、位置固定のストッパ104に当接してそれ以上の回動が規制されることになる。すると、移送部材66は回動部材103から離れてさらに上部前方位置に向かって移動することになり、移送部材66は傾斜部材101の傾斜面101Aに倒れた状態の小束紙幣Tを主板部73の前面73Aで押圧して傾斜面101Aに沿って斜め上方に搬送する。そして、上部前方位置に位置すると、図10(b)に示すように、移送部材66は位置固定のストッパ102に当接することになり、鉛直に沿う主板部73の前面73Aで小束紙幣Tを縦方向搬送部99のステージ98上に押し出す。これにより、ステージ98上に小束紙幣Tが載置される。
縦方向搬送部99のステージ98は、鉛直方向に昇降するベース部材121と、ベース部材121と一体移動するようにその上端部後側に左右方向に沿って設けられた回動軸122と、回動軸122に回動可能に支持される載置部123と、載置部123の上面123Aを後下がりに傾斜するように付勢するスプリング(付勢手段)124とを有している。ステージ98は、小束紙幣Tを上面123Aに載置させる載置部123が、図10(a)に示すように、小束紙幣Tがない状態ではスプリング124で付勢されて上面123Aを傾斜搬送部95側が下がるように傾斜させる傾斜状態となっており、受取部65で受け取った小束紙幣Tを斜め上方に搬送する傾斜搬送部95の傾斜面101Aの上端位置から前上がりに傾斜する。載置部123は、図10(b)に示すように、一束の小束紙幣Tが上面123Aに載置されるとスプリング124の付勢力に抗して回動しベース部材121のストッパ部125に当接して上面123Aを水平状態にする。
よって、移送部材66が上部前方位置に位置して傾斜面101Aから小束紙幣Tをステージ98上に押し出すと、その押し出し量が少ない初期は、スプリング124の付勢力で載置部123の上面123Aが傾斜していて小束紙幣Tを前上がりに傾斜させて支持し、小束紙幣Tの押し出し量が多くなるにしたがって角度を寝かせて、最終的に水平状態になる。これにより、傾斜面101Aに沿って傾斜していた小束紙幣Tが徐々に倒れて水平になるため、小束紙幣Tの倒れによる衝撃が緩和され、小束紙幣Tが跳ね返る等してステージ98からずれることを防止する。
なお、ステージ98は、待機位置である図8〜図10に示す所定の下部受入位置にあるときに、傾斜搬送部95から小束紙幣Tを受け入れることになる。縦方向搬送部99は、ステージ98がこの下部受入位置にあることを検知する下部受入位置検知センサ127を有している。下部受入位置検知センサ127は、発光素子と受光素子とからなり、発光素子の発光がステージ98の遮光部128により遮光されて受光素子が非受光の状態になると、ステージ98が下部受入位置にあることを検知し、発光素子の発光が遮光されず受光素子で受光状態にあれば、ステージ98が下部受入位置にないことを検知する。
縦方向搬送部99は、ステージ98のベース部材121を昇降駆動する図13に示すステージ昇降機構131を有している。ステージ昇降機構131は、位置固定で水平に設けられるステッピングモータ132と、ステッピングモータ132の回転軸133にその径方向に沿って延出するように固定されて回転軸133を中心に鉛直面内で回転するアーム134と、アーム134の回転軸133とは反対側の端部に回転軸133と平行に取り付けられた回転可能なローラ135とを有している。また、ステージ昇降機構131は、位置固定で鉛直方向に沿って設けられた一対のガイド軸136と、ステージ98のベース部材121が固定されるとともに一対のガイド軸136に沿ってスライドするスライド台137とを有しており、スライド台137に水平に設けられたガイド溝138内にローラ135が配置されている。
ステージ昇降機構131は、ステッピングモータ132の駆動によりアーム134が鉛直面内で回転すると、ローラ135が鉛直面内で旋回し、その結果、図13(a)〜図13(c)に示すように、スライド台137がガイド軸136に沿って鉛直に上下動し、ステージ98が昇降する。なお、ステージ98が図14(a)に示す下部受入位置にあるとき、図13(a)に示すようにローラ135が下限位置近傍に位置することになる。また、ステージ98が図14(b)に示す上限位置にあるとき、図13(c)に示すようにアーム134が回転軸133から鉛直上方に向く姿勢となり、スライド台137とローラ135との接触点と、回転軸133の中心とを結んだ線が鉛直延在することになって、ステージ98およびスライド台137からローラ135の接触点に加わる荷重の方向線と一致する。
これにより、ステージ昇降機構131は、ステージ98を上限位置で停止させると、ステージ98上に多数の小束紙幣Tが載置され、これら小束紙幣Tの鉛直下向きの荷重をステージ98を介して受けても、機構的に回転力を生じない回転ロック状態(トグルロック状態)となる。ステージ98は、上限位置にあるとき、図14(b)に示すように、束出金口27と高さを合わせて束出金口27の内側の下部に配置される。ステージ98を昇降させるステージ昇降機構131は、制御部8に制御されることになり、よって、制御部8は、ステージ98の昇降を制御する。
図14に示すように、縦方向搬送部99は、束出金口27の内側で昇降する一対の昇降フラッパ(フラッパ)141を有している。一対の昇降フラッパ141は、ステージ98の上部昇降範囲と重なる範囲から図14(b)に示す上限位置にあるステージ98よりも上側に移動可能となっている。一対の昇降フラッパ141は、板状をなしており、左右方向に延在するように配置されて鉛直方向に昇降する支持軸142を中心に回動する。一対の昇降フラッパ141は、支持軸142と一体移動する図示略のストッパに図示略の付勢部材の付勢力で当接して水平に配置されており、図示略の付勢部材の付勢力に抗して支持軸142から上方向にのみ回動可能となっている。一対の昇降フラッパ141は、ステージ98の昇降範囲を挟んで前後両側に設けられており、互いに支持軸142の高さを合わせ互いに近接する方向に延在配置されている。
一対の昇降フラッパ141およびステージ98は、図示は略すが、一対の昇降フラッパ141が水平状態にあっても互いに干渉することなく上下に移動可能となるように相互近接側が凹凸形状に形成されている。水平状態にある一対の昇降フラッパ141の間隔は、ステージ98上に載置された小束紙幣Tの前後方向の幅よりも狭くなっており、よって、一対の昇降フラッパ141は、ステージ98上の小束紙幣Tに対し相対下降可能であり、揺動規制されて相対上昇不可となっている。つまり、一対の昇降フラッパ141が、ステージ98上の小束紙幣Tに対し、相対的に上から下に移動した後、下から上に移動することで、ステージ98上から小束紙幣Tを受け取ることになる。また、一対の昇降フラッパ141は、支持している小束紙幣Tを、ステージ98に対し相対的に上から下に移動することで、ステージ98に受け渡すことになる。
なお、一対の昇降フラッパ141は、束出金口27の内の上下方向中間の図14に示す所定の上部位置が待機位置となっており、この上部位置にあるとき、図14(b)に示すように上限位置にあるステージ98上の一束の小束紙幣Tより上側に位置する。一対の昇降フラッパ141は、常に上限位置つまり回転ロック状態にあるステージ98に対して小束紙幣Tを受け渡すようになっている。
一対の昇降フラッパ141の前後外側には、一対の昇降フラッパ141上の小束紙幣Tの移動を規制するガイド板146およびガイド板147が設けられている。前側のガイド板146は、束出金口27と高さ位置を一致させており、束出金口27のシャッタ32が開く際に連動して開くようになっている。このようにシャッタ32およびガイド板146が開いた状態にあるとき、束出金口27内への外部からのアクセスが可能となっている。一対の昇降フラッパ141を昇降させる図示略のフラッパ昇降機構は、制御部8に制御されることになり、よって、制御部8は、一対の昇降フラッパ141の昇降を制御する。
結束出金処理時に、制御部8は、図14(a)に示すように、傾斜搬送部95の移送部材66を下部後方位置から上部前方位置まで移動させることで、下部受入位置で待機するステージ98上に小束紙幣Tを載置させる(載置作動)。その後、制御部8は、ステージ98を図13に示すステージ昇降機構131で上昇させて、図14(b)に示すように上限位置で停止させる(ステージ上昇作動)。次に、制御部8は、上限位置にあるステージ98上の小束紙幣Tに対し上側の上部位置に待機していた一対の昇降フラッパ141を下降させて、図15(a)および図15(b)に示すように、上限位置にあるステージ98上の小束紙幣Tに対し下側の所定の下部位置まで下降させる(フラッパ下降作動)。すると、その途中、図15(a)に示すように一対の昇降フラッパ141は小束紙幣Tに当接し上向きに揺動して小束紙幣Tを通過し、図15(b)に示すようにステージ98のベース部材121の下部と上下方向の位置を合わせて停止する。このとき、一対の昇降フラッパ141は、ベース部材121との隙間を、万一小束紙幣Tが落下してもその通過を規制するように狭めることになる。一対の昇降フラッパ141が下部位置まで移動すると、制御部8は、図16(a)に示すように、傾斜搬送部95の移送部材66を待機位置である下部後方位置に戻す。
結束出金処理時に、出金する小束紙幣Tが一束である場合、制御部8は、図示略のガイド板駆動機構およびシャッタ駆動機構を駆動して図16(a)に示すようにガイド板146およびシャッタ32を開く(閉じた状態を実線で示し、開いた状態を二点鎖線で示す)。すると、束出金口27を介してステージ98上の小束紙幣Tが取り出される。小束紙幣Tが取り出されると、図16(b)に示すように、ステージ98の載置部123がスプリング124の付勢力により傾斜状態に戻る。
ここで、載置部123には、検出片151が設けられており、上限位置にあるステージ98のこの検出片151の有無を検知する小束紙幣検知センサ152が位置固定で設けられている。この小束紙幣検知センサ152は、発光素子と受光素子とからなり、ステージ98が上限位置にあることを条件に、図16(a)に示すように、発光素子の発光が検出片151により遮光されて受光素子が非受光の状態にあると、ステージ98上に小束紙幣Tがあることを検知し、図16(b)に示すように、発光素子の発光が遮光されず受光素子で受光状態になると、ステージ98上に小束紙幣Tがないこと、つまり小束紙幣Tが取り出されたことを検知する。ステージ98上に小束紙幣Tがないこと検知すると、制御部8は、所定の待ち時間経過後、ガイド板146およびシャッタ32を閉じる。
結束出金処理時、所定の複数束の小束紙幣Tを束出金口27から出金する際には、制御部8が、一束目の小束紙幣Tに対し、図14(a)に示すように下部受入位置に位置するステージ98上に小束紙幣Tを載置させ(載置作動)、図14(b)に示すようにステージ98を上限位置まで移動させ(ステージ上昇作動)、上部位置にある一対の昇降フラッパ141を図15(b)に示すように下部位置まで下降させ(フラッパ下降作動)、その後、ガイド板146およびシャッタ32を開くことなく、図17(a)に示すように、ステージ98を下部受入位置まで下降させる(ステージ下降作動)。すると、その途中、ステージ98上の小束紙幣Tは、下部位置にある一対の昇降フラッパ141で通過が規制されて、一対の昇降フラッパ141上に支持され、その後は、ステージ98のみが下部受入位置まで下降する。
次に、制御部8は、図17(b)に示すように、一対の昇降フラッパ141を待機位置である上部位置まで上昇させるとともに(フラッパ上昇作動)、結束部22で結束された二束目の小束紙幣Tを、一束目と同様にして、下部受入位置にあるステージ98上に載置させ(載置作動)、その後、図18(a)に示すように、ステージ98を上限位置まで上昇させる(ステージ上昇作動)。ステージ98が上限位置に位置すると、ステージ98に載置された二束目の小束紙幣Tの上側に、間隔をあけて上部位置にある一対の昇降フラッパ141が配置され、その上に一束目の小束紙幣Tが載置された状態となる。
次に、制御部8は、上部位置にある一対の昇降フラッパ141を下降させ、図18(b)から図19に示すように、ステージ98上の小束紙幣Tよりも下側の下部位置まで下降させる(フラッパ下降作動)。すると、その途中で、図18(b)に示すように、一対の昇降フラッパ141は二束目の小束紙幣Tに当接し支持軸142を中心に上向きに揺動して、二束目の小束紙幣Tを通過し、その際に、二束目の小束紙幣Tの上に一束目の小束紙幣Tを重ねることになり、その後、図19に示すように、下部位置で停止する。このように、一対の昇降フラッパ141が下部位置まで移動すると、制御部8は、傾斜搬送部95の移送部材66を待機位置である下部後方位置に戻す。また、三束目の小束紙幣Tがある場合、制御部8は、二束目および一束目の小束紙幣Tを支持した状態の一対の昇降フラッパ141を上部位置まで上昇させる。
所定の複数束の小束紙幣Tを出金する際に、所定の複数束目以外の小束紙幣Tつまり所定の複数束目の一つ前までの小束紙幣Tに対しては、上記した載置作動、ステージ上昇作動、フラッパ下降作動、ステージ下降作動、フラッパ上昇作動を行うことになる。所定の複数束目の一つ前の小束紙幣Tに対するフラッパ上昇作動により、所定の複数束目の一つ前までの小束紙幣Tが上部位置にある一対の昇降フラッパ141上に集積状態で載置されることになる。
そして、所定の複数束目の小束紙幣Tに対しては、所定の複数束目の一つ前の小束紙幣Tに対するフラッパ上昇作動が終わると、制御部8は、下部受入位置に位置するステージ98上に所定の複数束目の小束紙幣Tを載置させ(載置作動)、ステージ98を上限位置まで移動させ(ステージ上昇作動)、上部位置にある一対の昇降フラッパ141を下部位置まで下降させる(フラッパ下降作動)。このフラッパ下降作動時に、一対の昇降フラッパ141は揺動して、ステージ98上にある所定の複数束目の小束紙幣Tを通過し、その際に、一対の昇降フラッパ141上に集積されていた所定の複数束目の一つ前までの小束紙幣Tを、ステージ98上の所定の複数束目の小束紙幣Tの上に重ねることになる。これにより、上限位置にあるステージ98上に複数束の小束紙幣Tが積み上げられた状態となる。つまり、ステージ98上の先の小束紙幣Tを相対上昇する一対の昇降フラッパ141で支持し、ステージ98上に搬送されてきた次の小束紙幣Tに対し一対の昇降フラッパ141が相対下降することにより先の小束紙幣Tを次の小束紙幣Tに積み上げ、その後、昇降フラッパ141が相対上昇して次の小束紙幣Tを支持することを繰り返すことにより、傾斜搬送部95でステージ98上に一束ずつ搬送されてくる小束紙幣Tを複数束集積させる。
その後、制御部8はガイド板146およびシャッタ32を開くことになり、これにより、束出金口27内のステージ98上に集積された所定の複数束の小束紙幣Tが取り出されることになる。小束紙幣検知センサ152により、ステージ98上の小束紙幣Tがなくなったことを検知すると、制御部8は、ガイド板146およびシャッタ32を閉じる。
「結束収納処理」
図20の太線は、操作部4へ入力された結束収納操作に基づいて、あるいは金種カセット35〜37のいずれかが満杯となったタイミングで、金種カセット35、金種カセット36および金種カセット37の指定された金種のものからのバラ紙幣を繰り出し結束部22で結束して束収納部28〜31に収納する結束収納処理のルートを示している。つまり、結束収納処理では、結束出金処理と同様にして結束部22で結束され結束検知部25で結束状態が検知された小束紙幣Tを束移送部26で束出金口27の上側まで搬送し、束出金口27の裏側の束収納部28〜31の適宜のものに収納させる。なお、束収納部28〜31のうち最も前側の束収納部28を除く束収納部29〜31は金種別に小束紙幣Tを収納することになり、束収納部28は、束収納部29〜31に収納しきれない小束紙幣T等を金種混合で収納する。勿論、束収納部28〜31のすべてを金種別の束収納部とすることも可能である。
図21(a)に示す束移送部26の縦方向搬送部99の一対の昇降フラッパ141は、図21(a)から図21(b)に示すように、上限位置に位置するステージ98から小束紙幣Tを受け取って、束出金口27の上側まで上昇可能であり、束移送部26は、一対の昇降フラッパ141で上方搬送された小束紙幣Tを水平状態のまま上側で把持して束出金口27の裏側である後側に向けて水平搬送する水平搬送部160を有している。水平搬送部160は、図21(a)に示すように、前後方向に水平移動するベース部材161と、ベース部材161の前端上部に回動可能に設けられた前部係止部材162と、これを駆動する図示略の前部係止部材駆動機構と、ベース部材161の後端上部に回動可能に設けられた後部係止部材163と、これを駆動する図示略の後部係止部材駆動機構と、ベース部材161に昇降可能に設けられた押圧板164とを有している。
ベース部材161は、水平延在する基板部167と、基板部167の前端縁部から下方に延出する前端板部168と、基板部167の後端縁部から下方に延出する後端板部169とを有している。押圧板164は、基板部167に近接する待機位置と所定距離下方の押込位置との間で昇降する。
前部係止部材162は、ベース部材161の前端上部に左右方向に沿って設けられた回動軸171を中心に回動可能となっている。前部係止部材162は、回動軸171からその径方向に延出する延出板部173と、延出板部173の回動軸171とは反対側から垂直に延出する係止板部174とを有している。
後部係止部材163は、ベース部材161の後端上部に左右方向に沿って設けられた回動軸176を中心に回動可能となっている。後部係止部材163は、回動軸176からその径方向に延出する延出板部178と、延出板部178の回動軸176とは反対側から垂直に延出する係止板部179とを有している。
束収納部28〜31は、上部が開口する箱状の収納部本体185と、水平配置されて収納部本体185内を昇降する底板186と、収納部本体185の上部の前後に設けられた一対の開閉フラッパ187と、収納部本体185の後方に昇降可能に設けられた小束紙幣計数センサ188とを有している。小束紙幣計数センサ188は、収納部本体185に収納された小束紙幣Tの図11に示す結束テープtの数を検知することにより小束紙幣Tの数を計数する。
図21(a)に示すように、一対の開閉フラッパ187は、位置固定で設けられて左右に延在する支持軸191を中心に回動する板状をなしており、互いに支持軸191の高さ位置を合わせて近接するように延在している。一対の開閉フラッパ187は、図示略のフラッパ駆動機構により、水平に配置される水平状態と、支持軸191から鉛直上方に延出する開放状態との間で回動する。
図20に示す束収納部28〜31は、いずれも小束紙幣Tを水平状態に配置し鉛直方向に集積させて収納するもので、水平搬送部160から小束紙幣Tを受け取って収納可能であり、収納した小束紙幣Tを水平搬送部160に受け渡し可能となっている。
具体的に、結束収納処理において、小束紙幣Tを束収納部28〜31のうちの束収納部29に収納する場合を例にとり説明する。なお、小束紙幣Tを束収納部28,30,31に収納する場合も同様である。
制御部8は、結束出金処理と同様にして、結束検知部25で結束状態が検知された小束紙幣Tを、図14(a)に示すように束移送部26の下部受入位置に位置するステージ98上に載置させ(載置作動)、図14(b)に示すようにステージ98を上昇させて上限位置で停止させる(ステージ上昇作動)。これにより、小束紙幣Tを載置させたステージ98を上限位置に位置させる。そして、上部位置にある一対の昇降フラッパ141を図15(b)に示すように下部位置まで下降させる(フラッパ下降作動)。その後、制御部8は、ガイド板146およびシャッタ32を開くことなく、図21(a)から図21(b)に示すように、束移送部26の一対のフラッパ141を待機位置である上部位置を越えて上昇させる。
これにより、上限位置にあるステージ98上の小束紙幣Tを、一対のフラッパ141が受け取って束出金口27の上側に搬送する。つまり、制御部8は、図21(a)に示すように前部係止部材162および後部係止部材163が上方に回動した待機状態にあって前端の待機位置に位置する水平搬送部160に向けて、下部位置にある一対の昇降フラッパ141を上昇させて、図21(b)に示すように一対の昇降フラッパ141で小束紙幣Tを搬送させる。それとともに、制御部8は、図21(a)から図21(b)に示すように、束収納部29の一対の開閉フラッパ187を開くとともに束収納部29の底板186を上昇させる。なお、対応金種のものが満杯の場合は、束収納部28の一対の開閉フラッパ187を開くとともに、束収納部28の底板186を上昇させる。ここで、底板186は図示略のセンサで最も上側にある小束紙幣Tあるいは底板186が検出されると停止する。
上記のように一対の昇降フラッパ141で搬送されてきた小束紙幣Tを、水平搬送部160が、ベース部材161の前端板部168と後端板部169との間に受け入れ、小束紙幣Tが待機位置にある押圧板164に当接すると、制御部8は、一対の昇降フラッパ141を停止させ、図21(b)から図22(a)に示すように、ステージ98を下部受入位置に向け下降させるとともに、図22(a)に示すように水平搬送部160を後方に若干の所定量移動させる。すると、一対の昇降フラッパ141上の小束紙幣Tが前端板部168の後面168Aに当接することになる。この状態で、制御部8は、図22(a)から図22(b)に示すように、後部係止部材163を回動させることになり、これにより、後部係止部材163の係止板部179が延出板部178の下端縁部から前方に延出して小束紙幣Tの後端部を押圧板164とで挟持することになる。このようにして水平搬送部160が一対の昇降フラッパ141上の小束紙幣Tを把持する。そして、制御部8は、図22(b)に示すように、この状態で水平搬送部160を後方つまり束出金口27の裏側に向けて移動させる。
束出金口27と束収納部28との間には、小束紙幣Tの画像データ等を検出して金種を識別する束識別部181が昇降可能に設けられている。結束収納処理において、制御部8は、水平搬送部160を後方に移動させると、図22(b)から図23(a)に示すように、束識別部181を上昇させて小束紙幣Tの画像データ等を検出させて金種を識別する。制御部8は、この識別結果に基づいて、小束紙幣Tが適正である場合、水平搬送部160を、図23(b),図24(a)に示すように、小束紙幣Tの収納先である束収納部29の上方に移動させて、停止させる。
次に、制御部8は、図24(a)から図24(b)に示すように、水平搬送部160の後部係止部材163を上方に回動させる。これにより、水平搬送部160による小束紙幣Tの把持が解除され、小束紙幣Tが、その収納先である束収納部29の収納部本体185に落下して、収納部本体185に既に収納されている小束紙幣T上あるいは束収納部29の底板186上に載置される。
次に、制御部8は、図24(b)から図25(a)に示すように、束収納部29の底板186を下限位置に向け下降させるとともに、束収納部29の上方で停止している水平搬送部160の押圧板164を、図24(b)から図25(a)に示すように下降させ、その後、図25(a)から図25(b)に示すように、束収納部29の一対の昇降フラッパ141を水平状態に閉じる。なお、水平搬送部160からの落下時に開閉フラッパ187に小束紙幣Tが引っ掛かる可能性があるため、押圧板164を下降させることにより、このような小束紙幣Tの開閉フラッパ187への引っ掛かりを解除する。
次に、制御部8は、図25(b)から図26(a)に示すように、押圧板164を上昇させて待機位置に戻した後、図26(a)に示すように、水平搬送部160を前方に移動させて、図26(b)に示すように、待機位置に戻す。なお、閉状態にある一対の開閉フラッパ187および押圧板164の相互近接側は、一対の開閉フラッパ187が閉状態にあっても押圧板164が上下に通過可能となるように凹凸形状をなしている。
一度の結束収納処理において、小束紙幣Tを結束部22で複数束結束して束収納部28〜31の対応するものに収納させる場合は、結束部22で結束した小束紙幣Tを束移送部26により一束ずつ束収納部28〜31の対応するものに収納させる上記作動を繰り返し行う。なお、この場合、上記した結束出金処理において複数束の小束紙幣Tを束出金口27に出金する場合と同様にして、ステージ98上に一旦複数束の小束紙幣Tを載置させた後(図19参照)、一対の昇降フラッパ141でこれらの小束紙幣Tを上方搬送し、後述する小束補充処理(図29以降)と同様にして束収納部28〜31の対応するものに収納させるようにしても良い。
また、束識別部181の識別結果から、水平搬送部160で搬送する小束紙幣Tが束収納部29に収納する金種であると判別できない場合、結束不良等の可能性があるため、制御部8は、水平搬送部160による搬送を停止させて表示部5によりアラームを発生させる。
「小束補充処理」
図27の太線は、操作部4へ入力された小束補充操作に基づいて、束出金口27に外から直接投入された小束紙幣Tを束収納部28〜31に収納する小束補充処理のルートを示している。つまり、束出金口27に直接装填された複数束の小束紙幣Tを束移送部26で束出金口27の上側まで搬送し、束識別部181の識別結果に基づいて束出金口27の裏側の束収納部28〜31の適宜のものに収納させる。
具体的に、小束補充処理において、小束紙幣Tを束識別部181の識別結果に基づいて束収納部28〜31のうちの束収納部29に補充する場合を例にとり説明する。なお、小束紙幣Tを束収納部28,30,31に補充する場合も同様であり、一度の小束補充処理で束収納部28〜31のうちの複数のものに小束紙幣Tを補充する場合も同様である。
制御部8は、操作部4へ入力された小束補充操作に基づいて、図28(a)に示すように、ステージ98を上限位置に上昇させて停止させるとともに、一対の昇降フラッパ141を下部位置に下降させて停止させる。その後、シャッタ32およびガイド板146を開く。この状態で、束出金口27の上限位置にあるステージ98上に小束紙幣Tが載置される。ステージ98上に小束紙幣Tが載置されたことを、小束紙幣検知センサ152が検知すると、制御部8は、図28(b)に示すように、シャッタ32およびガイド板146を閉じるとともに、束移送部26の一対の昇降フラッパ141を上昇させる。すると、一対の昇降フラッパ141が上限位置にあるステージ98上に直接装填された複数束の小束紙幣Tを受け取って、図29(a)に示すように、束出金口27の上側つまり前部係止部材162および後部係止部材163が上方に回動した待機状態にあって前端の待機位置に位置する水平搬送部160に搬送する。
上記のようにして一対の昇降フラッパ141で搬送されてきた小束紙幣Tを、水平搬送部160が、ベース部材161に受け入れることになり、図29(a)に示すように、小束紙幣Tが待機位置にある押圧板164に当接すると、制御部8は、一対の昇降フラッパ141を停止させるとともに、ステージ98を下部受入位置に向け下降させる。図29(b)に示すように、ステージ98が下部受入位置まで下降すると、制御部8は、水平搬送部160を後方に若干の所定量移動させる。すると、図30(a)に示すように、一対の昇降フラッパ141上の最も上側の小束紙幣Tが、前端板部168の後面168Aに当接することになる。この状態で、制御部8は、後部係止部材163を回動させることになり、これにより、後部係止部材163の係止板部179が延出板部178の下端部から水平前方に延出して小束紙幣Tの後端部を押圧板164とで挟持することになる。このようにして水平搬送部160が小束紙幣Tを把持する。この状態で、制御部8は、図30(b)に示すように、水平搬送部160を後方に移動させる。
制御部8は、図30(b)から図31(a)に示すように、束識別部181を上昇させて小束紙幣Tの画像データ等を検出させて金種を識別する。制御部8は、この識別結果に基づいて、収納先が束収納部29である場合に、図31(b)から図32(a)に示すように、束収納部29の一対の開閉フラッパ187を開くとともに、束収納部29の底板186を上昇させる。またこれらと並行して束識別部181を下降させるとともに、一対の昇降フラッパ141を所定の若干量下げる。そして、制御部8は、水平搬送部160を、図32(b)に示すように、小束紙幣Tの収納先である束収納部29の上方で停止させる。
次に、制御部8は、図32(b)から図33(a)に示すように、後部係止部材163を上方に回動させる。これにより、水平搬送部160による小束紙幣Tの把持が解除され、小束紙幣Tが落下して、図33(a)に示すように、束収納部29に既に収納されている小束紙幣T上あるいは束収納部29の底板186上に小束紙幣Tが落下する。
制御部8は、後部係止部材163を上方に回動させた後、図33(a)から図33(b)に示すように、束収納部29の底板186を下降させ、図33(b)から図34(a)に示すように、束収納部29の上方で停止している水平搬送部160に対して、押圧板164を下降させる。その後、図34(a)から図34(b)に示すように、束収納部29の一対の開閉フラッパ187を閉じた後、図34(b)から図35(a)に示すように、押圧板164を上昇させて待機位置に戻した後、図35(a)から図35(b)に示すように、水平搬送部160を前方に移動させて待機位置に戻す。水平搬送部160が待機位置に戻ると、制御部8は、次の小束紙幣Tを収納するため、図35(b)に示すように一対の昇降フラッパ141の上昇を開始させる。
以上のように、水平搬送部160により、一対の昇降フラッパ141上の小束紙幣Tを一束ずつ把持して、束出金口27の裏側の束収納部29に収納させる作動を、一対の昇降フラッパ141上に載置されたすべての小束紙幣Tに対して繰り返すことにより、束出金口27に直接装填された小束紙幣Tを束収納部29に収納する。
なお、水平搬送部160で搬送する小束紙幣Tの金種識別が束識別部181でできなかった場合は、水平搬送部160による搬送を停止させて表示部5によりアラームを発生させる。
「収納束出金処理」
図36の太線は、操作部4へ入力された収納束出金操作に基づいて、束収納部28〜31に収納されている小束紙幣Tを束出金口27に出金する収納束出金処理のルートを示している。つまり、束収納部28〜31に収納されている小束紙幣Tのうち操作部4へ入力で指定されたものを、水平搬送部160で束出金口27の上方位置に搬送し、束移送部26で束出金口27の位置まで下降させる。
具体的に、収納束出金処理において、束収納部28〜31のうち、束収納部29から複数束の小束紙幣Tを束出金口27に出金する場合を例にとり説明する。なお、小束紙幣Tを束収納部28,30,31から出金する場合も同様であり、一度の収納束出金処理で束収納部28〜31のうちの複数のものから小束紙幣Tを出金する場合も同様である。
制御部8は、操作部4へ入力された収納束出金操作に基づいて、図37から図38(a)に示すように、待機位置にあった一対の昇降フラッパ141を所定の上部受入位置に向け上昇させ、小束紙幣Tを出金すべき束収納部29の一対の開閉フラッパ187を開き、この束収納部29の上方へ水平搬送部160を移動させる。その後、制御部8は、図38(a)から図38(b)に示すように、束収納部29の底板186を上昇させる。
すると、底板186で上昇搬送されてきた小束紙幣Tを、水平搬送部160が受け入れることになり、小束紙幣Tが待機位置にある押圧板164に当接すると、制御部8は、束収納部29の底板186を停止させる。次に、制御部8は、図38(b)から図39(a)に示すように、水平搬送部160を前方に若干の所定量移動させる。すると、底板186上の小束紙幣Tが後端板部169の前面169Aに当接することになる。この状態で、制御部8は、図39(a)から図39(b)に示すように、前部係止部材162を回動させることになり、これにより、図39(b)に示すように前部係止部材162の係止板部174が延出板部173の下端縁部から後方に延出して、小束紙幣Tの前端部を押圧板164とで挟持することになる。このようにして水平搬送部160が小束紙幣Tを把持する。この状態で、制御部8は、図39(b)から図40(a)に示すように、水平搬送部160を前方に移動させる。
制御部8は、図40(a)から図40(b)に示すように、束識別部181を上昇させて小束紙幣Tの画像データ等を検出させて金種を識別するとともに、束収納部29の底板186を図40(b)から図41(a)に示すように、所定の若干量下降させる。制御部8は、この識別結果に基づいて、出金すべき小束紙幣Tであることを確認すると、図41(a)に示すように、水平搬送部160を束出金口27の上方の待機位置で停止させるとともに、図41(a)から図41(b)に示すように、束識別部181を下降させる。
次に、制御部8は、図41(b)から図42(a)に示すように、前部係止部材162を上方に回動させる。これにより、水平搬送部160による小束紙幣Tの把持が解除され、小束紙幣Tが落下して、図42(a)に示すように、上部受入位置にある一対の昇降フラッパ141上に小束紙幣Tが載置される。束収納部29から複数束の小束紙幣Tを出金する場合は、図42(a)から図42(b)に示すように、一対の昇降フラッパ141を一束の小束紙幣Tの厚み分下降させるとともに、図42(b)から図43(a)に示すように、束収納部29の上方へ水平搬送部160を移動させた後、束収納部29の底板186を上昇させて、底板186上の次の小束紙幣Tを上記と同様にして水平搬送部160に把持させる。
以上のような水平搬送部160による束収納部29の小束紙幣Tの把持、搬送および一対の昇降フラッパ141への落下を繰り返すことにより、図43(b)に示すように、束収納部29の複数束の小束紙幣Tを一対の昇降フラッパ141上に載置させる。すると、制御部8は、図43(b)から図44(a)に示すように、束収納部29の底板186を下降させるとともに、ステージ98を上限位置に上昇させる。そして、図44(a)から図44(b)に示すように、束収納部29の一対の開閉フラッパ187を閉じるとともに、ステージ98を上限位置で停止させた状態で、一対の昇降フラッパ141を下部位置に下降させる。すると、上限位置にあるステージ98上に、一対の昇降フラッパ141が複数束の小束紙幣Tを受け渡す。その後、図45(a)に示すように、シャッタ32およびガイド板146を開く。これにより、ステージ98上に載置された複数束の小束紙幣Tが取り出される。そして、ステージ98上の小束紙幣Tが取り出されたことを、小束紙幣検知センサ152が検知すると、制御部8は、シャッタ32およびガイド板146を閉じる。
なお、束識別部181の識別結果から、水平搬送部160で搬送する小束紙幣Tが束収納部29の金種であると識別できない場合、制御部8は、図40(b)に示す状態から、この小束紙幣Tを、金種混合の束収納部28に収納させる。つまり、図45(b)から図46(a)に示すように、束収納部28の一対の開閉フラッパ187を開き、この束収納部28の上方へ水平搬送部160を移動させるとともに、束収納部28の底板186を上昇させる。次に、制御部8は、図45(b)から図46(a)に示すように、前部係止部材162を上方に回動させる。これにより、水平搬送部160による小束紙幣Tの把持が解除され、小束紙幣Tが落下して、束収納部28の既に収納されている小束紙幣Tあるいは底板186上に載置される。次に、制御部8は、束収納部29の底板186を下限位置に向け下降させるとともに、束収納部29の押圧板164を下降させ、その後、図46(b)に示すように、束収納部29の一対の昇降フラッパ141を閉じて、底板186を上限位置に位置させる。
「収納束結束束出金処理」
図47の太線は、操作部4へ入力された収納束出金操作に基づいて、束収納部28〜31に収納に収納されている小束紙幣Tを束出金口27に出金するとともに、不足する小束紙幣Tを結束して出金する収納束結束束出金処理のルートを示している。つまり、上記した収納束出金処理において、束収納部28〜31に収納に収納されている小束紙幣Tのうち操作部4へ入力で指定されたものを、水平搬送部160で搬送して、図45に示すようにステージ98上に載置させる作動を行った後、一対の昇降フラッパ141を上部位置まで上昇させて、上記した結束出金処理を行う。
「バラ紙幣自己精査処理」
図48(a)の太線は、操作部4へ入力されたバラ紙幣自己精査操作に基づいて、金種カセット35〜37および混合カセット38の対応するもののバラ紙幣を自己精査するバラ紙幣自己精査処理の往路ルートを示している。つまり、バラ紙幣自己精査処理では、図48(a)に太実線で示すように、金種カセット35〜37および混合カセット38のうちの設定された一つに収納されている紙幣を上端のものから繰出部35a〜38aの対応するものが繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、搬送路41B〜41Eの対応するものと、搬送路41Aとでバラ識別部18に搬送し、バラ識別部18で識別計数しつつ、搬送路41F,41Aを介してプールカセット39に搬送する。そして、金種カセット35〜37および混合カセット38のうちの設定された一つに収納されていた紙幣をすべて繰り出す。なお、この搬送中、バラ識別部18で重送等と識別した紙幣については、図48(a)に太破線で示すように、搬送路41A,41I,41H,41Jによって出金リジェクト部17に搬送し、出金リジェクト部17に収納する。
図48(b)の太線は、バラ紙幣自己精査処理の復路ルートを示している。上記したようにプールカセット39に一旦移した紙幣を、図48(b)に太実線で示すように、搬送路41A,41Fによって、バラ識別部18に搬送し、バラ識別部18で識別計数するとともに、バラ識別部18の識別結果に基づいて、搬送路41A,41B〜41Eの対応するものを介して、金種カセット35〜37および混合カセット38の対応する金種のものに収納する。なお、この搬送中、バラ識別部18で重送等と識別した紙幣については、図48(b)に太破線で示すように、搬送路41A,41G,41F,41H,41Jによって出金リジェクト部17に搬送し、出金リジェクト部17に収納する。
以上により、バラ識別部18の計数結果と、金種カセット35〜37および混合カセット38の自己精査処理を行ったものに収納された紙幣の枚数とが一致することになり、このような自己精査処理を、金種カセット35〜37および混合カセット38のうちの設定されたものについて、それぞれ個別に行うことになる。なお、金種カセット35〜37および混合カセット38にそれぞれ収納された紙幣の合計枚数がプールカセット39の最大収納枚数以下であった場合には、上記のバラ紙幣自己精査処理をそれぞれ個別に行う必要はなく、すべて一括して行うこともできる。
「小束自己精査処理」
図49(a)の太線は、操作部4へ入力された小束自己精査操作に基づいて、束収納部28〜31の対応するものの小束紙幣Tを自己精査する小束自己精査処理の往路ルートを示しており、図49(b)の太線は、小束自己精査処理の復路ルートを示している。つまり、小束自己精査処理では、上記した収納束出金処理において、束収納部28〜31に収納に収納されている小束紙幣Tを、水平搬送部160で束出金口27内に移動した後、束出金口27内の小束紙幣Tを、束識別部181で識別し、その結果に基づいて、束収納部28〜31の対応するものに戻す。
具体的に、小束自己精査処理において、束収納部28〜31のうち、束収納部29の小束紙幣Tを精査する場合を例にとり説明する。なお、束収納部28,30,31の小束紙幣Tを精査する場合も同様であり、全束数が束出金口27内に移動可能な数であることを条件に一度の精査処理で束収納部28〜31のすべての小束紙幣Tを精査する場合も同様である。
制御部8は、図50(a)に示すように、一対の昇降フラッパ141を上部受入位置に位置させ、精査する束収納部29の一対の開閉フラッパ187を開き、束収納部29の上方へ水平搬送部160を移動させた後、束収納部29の底板186を上昇させる。
すると、底板186で上昇搬送されてきた小束紙幣Tを、水平搬送部160が、ベース部材161に受け入れることになり、小束紙幣Tが待機位置にある押圧板164に当接すると、制御部8は、束収納部29の底板186を停止させる。そして、制御部8は、図50(b)から図51(a)に示すように、水平搬送部160を前方に若干の所定量移動させる。すると、底板186上の小束紙幣Tが後端板部169の前面169Aに当接することになる。この状態で、制御部8は、図51(a)に示すように、前部係止部材162を回動させることになり、これにより、前部係止部材162の係止板部174が小束紙幣Tの前端部を押圧板164とで挟持することになる。このようにして水平搬送部160が小束紙幣Tを把持する。この状態で、制御部8は、図51(b)に示すように、水平搬送部160を束出金口27の上方の待機位置まで移動させる。
次に、制御部8は、図51(b)から図52(a)に示すように、前部係止部材162を上方に回動させる。これにより、水平搬送部160による小束紙幣Tの把持が解除され、小束紙幣Tが落下して、上部受入位置にある一対の昇降フラッパ141上に載置される。次に、一対の昇降フラッパ141を一束の厚み分下降させる。このように束収納部29の小束紙幣Tを水平搬送部160により一対の昇降フラッパ141上に移す作動を繰り返すことにより、束収納部29からすべての小束紙幣Tを一対の昇降フラッパ141上に移載する。
次に、制御部8は、一対の昇降フラッパ141で小束紙幣Tを上昇させることにより、図52(b)に示すように、一対の昇降フラッパ141上の小束紙幣Tを、待機位置にある押圧板164に当接させる。小束紙幣Tが押圧板164に当接すると、制御部8は、一対の昇降フラッパ141を停止させるとともに、図52(b)から図53(a)に示すように、水平搬送部160を後方に若干の所定量移動させる。すると、一対の昇降フラッパ141上の小束紙幣Tが前端板部168の後面168Aに当接することになる。この状態で、制御部8は、図53(b)に示すように、後部係止部材163を回動させることになり、これにより、後部係止部材163の係止板部179が小束紙幣Tの後端部を押圧板164とで挟持することになる。このようにして水平搬送部160が小束紙幣Tを把持する。この状態で、制御部8は、図54(a)に示すように、水平搬送部160を後方に移動させる。
制御部8は、図54(a)から図54(b)に示すように、束識別部181を上昇させて小束紙幣Tの画像データ等を検出させて金種を識別する。制御部8は、この識別結果に基づいて、図55(a)に示すように、水平搬送部160を、小束紙幣Tの収納先である束収納部29の上方で停止させて、後部係止部材163を上方に回動させる。これにより、水平搬送部160による小束紙幣Tの把持が解除され、図55(b)に示すように、小束紙幣Tが落下して、束収納部29の底板186上に載置される。以上のように一対の昇降フラッパ141上の小束紙幣Tを水平搬送部160により束収納部29に戻す作動を繰り返すことにより、一対の昇降フラッパ141の小束紙幣Tを計数しつつ束収納部29に戻して束収納部29の小束紙幣Tを確定する。なお、束識別部181の識別結果から、精査対象の束収納部29以外の束収納部30,31に収納すべき小束紙幣Tを検出した場合、この収納すべき小束紙幣Tは束収納部30,31の収納すべきものへ収納することになり、識別不能の小束紙幣Tは束収納部28に収納する。
「収納束簡易計数処理」
操作部4へ収納束簡易計数操作が入力されると、制御部8は、束収納部28〜31のそれぞれに設けられた小束紙幣計数センサ188を上下に走査させて結束テープtの部分の数を計数させることで束収納部28〜31のそれぞれに収納されている小束紙幣Tの数を計数する。
「ローカル整理処理」
図56(a)の太線は、機外からバラ入出金部11に投入されたバラ紙幣を搬送しつつ識別計数するローカル整理処理の往路ルートを示している。つまり、バラ入出金部11の載置板12上にバラ紙幣が載置されて、操作部4にローカル整理処理を行う旨の入力操作が金種指定とともになされると、繰出部11aがバラ入出金部11の載置板12上のバラ紙幣を上端のものから順に一枚ずつ分離して所定の間隔をあけて繰り出すことになり、繰り出したバラ紙幣を、図56(a)に太実線で示すように、搬送路41Aで搬送することになる。搬送路41Aでの搬送中にバラ識別部18がバラ紙幣を識別計数することになり、バラ識別部18で指定金種と判定したバラ紙幣を、搬送路41Aでプールカセット39に搬送する一方、バラ識別部18で指定金種以外と判定したバラ紙幣を、図56(a)に太破線で示すように、搬送路41Aから搬送路41G,41F,41Hで入金リジェクト部16に搬送する。これにより、指定金種のバラ紙幣をプールカセット39に一時貯留し、指定金種以外の紙幣(重送等を含む)を入金リジェクト部16に放出する。
図56(b)の太線は、ローカル整理処理の復路ルートを示している。上記したようにプールカセット39に一旦収納した指定金種のバラ紙幣を、上端のものから繰出部39aが繰り出すことになり、繰り出した紙幣を、図56(b)の太線で示すように、搬送路41Aでバラ識別部18に搬送し、バラ識別部18の識別結果に基づいて、表裏反転が必要でないものは、搬送路41A,41Lで整列部19に、あるいは搬送路41A,41Mで整列部20に、表裏反転が必要なものは、搬送路41Kを介して表裏反転部43で表裏反転させた後、搬送路41A,41Lで整列部19に、あるいは搬送路41A,41Mで整列部20に、それぞれ搬送する。このようにして、指定された単一金種のバラ紙幣を結束単位枚数だけ整列部19,20に繰り出す。そして、整列部19,20の集積紙幣を、上昇搬送部21で結束部22に搬送し、結束部22で結束を行い、結束出金処理と同様に、束出金口27に繰り出す。このような処理を結束単位枚数が整列部19,20に集積される限り繰り返す。なお、結束単位枚数に満たない、端数紙幣が整列部19,20に集積された場合にも、これを結束し端数紙幣であることを示す識別をつけて束出金口27に繰り出す。なお、ローカル整理処理の復路ルートにてバラ識別部18で重送等と識別した紙幣については、図56(b)に太破線で示すように、搬送路41Aによってバラ入出金部11に搬送し、バラ入出金部11に放出する。
なお、紙幣処理装置1は、金種カセット35〜37に収納されているバラ紙幣を結束して外部に収集する小束紙幣収集処理をも行うようになっている。つまり、小束紙幣収集の操作入力がなされると、制御部8は、上記した結束出金処理と同様の処理を行って、金種カセット35〜37に収納されているバラ紙幣を結束部22で結束して束出金口27から繰り出させる。
以上に述べた本実施形態の紙幣処理装置1によれば、結束部22にて結束された小束紙幣Tを、摺動落下部53によって摺動落下させて受取部65で受け取る。すると、結束部22による結束後、結束テープtの接着部が剥がれやすい小束紙幣Tや、結束力が弱い小束紙幣Tは、摺動落下による摩擦および受取部65での停止時に受ける力で、小束紙幣Tを構成する紙幣が不揃いになったり、あるいは結束が解除されてバラけたりする。このように、結束不良を発生する可能性のある小束紙幣Tに対して摺動落下部53および受取部65で積極的に結束不良を発生させて第1結束不良検知センサ81および第2結束不良検知センサ82で検知することになる。よって、結束不良を良好に検知することができる。その結果、第1結束不良検知センサ81および第2結束不良検知センサ82で結束不良が検知されなかった小束紙幣Tは、良好に結束されていることになり、束移送部26で束出金口27または束収納部28〜31へ移送されても、結束不良を生じる可能性が低くなる。
また、受取部65で受け取った小束紙幣Tを傾斜搬送部95が摺動落下部53とは反対側に搬送し、縦方向搬送部99がステージ98上に載置させステージ98を上昇させて束出金口27へ搬送することになる。よって、第1結束不良検知センサ81および第2結束不良検知センサ82で結束不良が検知されなかった小束紙幣Tを円滑に束出金口27へ搬送することができる。よって、束出金口27への搬送に起因して結束不良が生じることを抑制できる。
また、ステージ98上の先の小束紙幣Tを相対上昇する一対の昇降フラッパ141で支持し、ステージ98上に搬送されてきた次の小束紙幣Tに対し一対の昇降フラッパ141が相対下降することにより前記先の小束紙幣Tを前記次の小束紙幣Tに積み上げ、その後、一対の昇降フラッパ141が相対上昇して前記次の小束紙幣Tを支持することを繰り返すことにより、傾斜搬送部95でステージ98上に一束ずつ搬送されてくる小束紙幣Tを複数束集積させる。よって、結束部22で一束ずつ結束される小束紙幣Tを複数束集積して束出金口27から出金させることができる。
また、ステージ昇降機構131は、ステージ98が上限位置にあるとき、ステージ98を介して小束紙幣Tの鉛直下向きの荷重を受けても回転力を生じない回転ロック状態となる。そして、ステージ昇降機構131がこの回転ロック状態にあるとき、ステージ98が一対の昇降フラッパ141から小束紙幣Tを受け取るため、一対の昇降フラッパ141から複数束の小束紙幣Tを受け取ることになっても、ステージ昇降機構131の駆動力を小さく済ますことができる。したがって、ステージ昇降機構131のコストを抑えることができる。
また、ステージ98から小束紙幣Tを一対の昇降フラッパ141が受け取って上方搬送すると、この小束紙幣Tを水平搬送部160が把持し水平搬送して束出金口27の裏側の束収納部28〜31に収納することになる。また、束収納部28〜31に収納された小束紙幣Tを水平搬送部160が受け取って水平搬送して一対の昇降フラッパ141に受け渡し、一対の昇降フラッパ141がステージ98に受け渡すことになる。よって、小束紙幣Tを出金可能に収納する構成をコンパクトな構成で実現できる。
また、傾斜搬送部95が、受取部65の小束紙幣Tを斜め上方に搬送すると、ステージ98は、小束紙幣Tを上面123Aに載置させる載置部123が、小束紙幣Tがない状態ではスプリング124で付勢されて上面123Aを傾斜搬送部95側が下がるように傾斜させているため、傾斜搬送部95からの小束紙幣Tを円滑に載置させることができる。また、小束紙幣Tが載置されると載置部123がスプリング124の付勢力に抗して上面123Aを水平状態にするため、その後の上昇時に小束紙幣Tを安定的に搬送することができる。また、小束紙幣Tの有無を載置部123の揺動状態で検知可能となるため、小束紙幣Tの有無を容易且つ確実に検知することが可能となる。
また、第1結束不良検知センサ81および第2結束不良検知センサ82で小束紙幣Tの結束不良を検知すると、表示部5が報知を行うため、小束紙幣Tの結束不良を良好に報知することができる。
また、第1結束不良検知センサ81および第2結束不良検知センサ82で小束紙幣Tの結束不良を検知すると、制御部8が、この小束紙幣Tを束移送部26で束出金口27へ移送するため、結束不良の小束紙幣Tを束出金口27から取り出すことができる。
本実施形態の紙幣処理装置1によれば、結束部22にて結束された小束紙幣Tを、摺動落下部53によって摺動落下させて受取部65にて集積方向部分的に受け止める。よって、結束部22による結束後、結束テープtの接着部が剥がれやすい小束紙幣Tや、結束力が弱い小束紙幣Tは、受取部65にて受け止められなかった紙幣が慣性で、受け止められた紙幣に対し摺動落下方向下流側にずれて突出する。これを第1結束不良検知センサ81で検知することになる。よって、結束不良を良好に検知することができる。
また、摺動落下する小束紙幣Tに集積方向部分的に当接する部分当接部78が、小束紙幣Tの比較的紙幣がずれにくい結束側に配置され、第1結束不良検知センサ81が、この結束側に配置されているため、誤検知を抑制できる。つまり、小束紙幣Tの比較的紙幣がずれやすい非結束側にて検知を行うと、適正な結束状態の小束紙幣Tについても結束不良と検知されてしまう可能性があるが、この可能性を低減できる。また、小束紙幣Tの比較的紙幣がずれやすい非結束側には、集積方向全体に当接する全体当接部79が配置されているため、紙幣の不要なずれを防止することができる。
また、集積方向全体に当接する全体当接部79が配置されている非結束側であるにも拘わらず、小束紙幣Tから紙幣がずれると、これを第2結束不良検知センサ82が検知することになる。よって、小束紙幣Tの結束不良が重度であることを検知することができる。
また、非結束側には、集積方向全体に当接する全体当接部79が配置されているため、ずれた紙幣が屈曲したり湾曲したりしてこの全体当接部79に沿って小束紙幣Tの厚さ方向に突出する可能性が高く、このように突出する紙幣を、第2結束不良検知センサ82が検知する。したがって、非結束側の紙幣のずれを良好に検知することができる。
また、第1結束不良検知センサ81および第2結束不良検知センサ82のうちの少なくともいずれか一方が小束紙幣Tの結束不良を検知すると、制御部8が、小束紙幣Tの搬送を停止してアラームを発生させるとともに第1結束不良検知センサ81および第2結束不良検知センサ82の検知状況を記憶部9に記憶させる。よって、結束不良の発生を報知することができ、また、第1結束不良検知センサ81で結束不良を検知した通常の結束不良の件数と、第2結束不良検知センサ82で結束不良を検知した重度の結束不良の件数とを統計処理して分析したりすることが可能となる。
また、摺動落下部53が、結束部22から繰り出された小束紙幣Tを水平に沿う上面57A上に載置させるとともに、傾動して斜め下方に摺動落下させるため、結束部22で結束された小束紙幣Tを比較的早いタイミングで摺動落下させることが可能となる。よって、結束後、早いタイミングで結束不良の検知を行うことが可能となる。
また、傾斜搬送部95が、受取部65に当接する小束紙幣Tを受取部65への当接側を中心に回動させて受取部65の摺動落下部53とは反対側の傾斜面101Aに載置させて、傾斜面101Aに沿って斜め上方に移送するため、受取部65にて受け止めた状態からの搬送が容易となる。
本実施形態の紙幣処理装置1によれば、複数束の小束紙幣Tを束出金口27から出金する際に、一つの小束紙幣Tを下部受入位置に位置するステージ98上に載置させ、ステージ98を上昇させて上限位置で停止させる。この状態で、ステージ98上の小束紙幣Tに対し上側の上部位置から下側まで一対の昇降フラッパ141を下降させた後、ステージ98を下部受入位置まで下降させるとともに一対の昇降フラッパ141を上部位置まで上昇させると(ステージ98の下降および一対の昇降フラッパ141の上昇のいずれが先であっても良く、並行して行っても良い)、ステージ98上の小束紙幣Tが一対の昇降フラッパ141上に受け渡される。次に、次の一つの小束紙幣Tを下部受入位置に位置するステージ98上に載置させ、ステージ98を上昇させて上限位置で停止させる。この状態で、ステージ98上の小束紙幣Tに対し上側の上部位置から下側まで一対の昇降フラッパ141を下降させると、ステージ98上の小束紙幣Tに一対の昇降フラッパ141上の小束紙幣Tが積載されることになり、その後、ステージ98を下部受入位置まで下降させるとともに一対の昇降フラッパ141を上部位置まで上昇させると、ステージ98上の複数束の小束紙幣Tが一対の昇降フラッパ141上に受け渡される。以上を複数束目の小束紙幣Tの一つ前の小束紙幣Tまで適宜繰り返すことで、複数束目の一つ前までの小束紙幣Tが上部位置の一対の昇降フラッパ141上に集積される。そして、複数束目の小束紙幣Tについては、これを下部受入位置に位置するステージ98上に載置させ、ステージ98を上昇させて上限位置で停止させる。この状態で、ステージ98上の小束紙幣Tに対し上側の上部位置から下側まで一対の昇降フラッパ141を下降させると、ステージ98上の複数束目の小束紙幣Tに、一対の昇降フラッパ141上の複数束目の一つ前までの小束紙幣Tが積載されることになる。これにより、ステージ98上に複数束の小束紙幣Tが載置されることになる。
その間、ステージ98は、下部受入位置で一つの小束紙幣Tを載置させた状態で上限位置まで上昇する以外は、上昇することがなく、複数束を載置させる際は、上限位置で停止しあるいは一対の昇降フラッパ141に小束紙幣Tを受け渡すために下降する。ステージ98が上限位置で停止している状態では、ステージ昇降機構131が、ステージ98を介して小束紙幣Tの鉛直下向きの荷重を受けても回転力を生じない回転ロック状態となっており、複数束の小束紙幣Tの荷重に抗した駆動力が必要ない状態となっている。また、ステージ98を下降させる際も、複数束の小束紙幣Tの荷重の方向がステージ98の移動方向と一致するため、複数束の小束紙幣Tの荷重に抗した駆動力が必要ない状態となっている。よって、ステージ昇降機構131は、実質的に、ステージ98と一つの小束紙幣Tとを上昇させることができる駆動力があれば良く、小型かつ低コストのもので済む。したがって、大型化および高コスト化を抑制することができる。
また、ステージ98上に載置された小束紙幣Tを束収納部28〜31に収納する際に、上限位置にあるステージ98から小束紙幣Tを一対の昇降フラッパ141が受け取って上方搬送し、この小束紙幣Tを水平搬送部160が把持し水平搬送して束出金口27の裏側の束収納部28〜31に収納することになる。よって、小束紙幣Tを収納する際にも、複数束の小束紙幣Tを載置させた状態でステージ98を上昇させる必要がなくなる。また、小束紙幣Tを出金可能に収納することをコンパクトな構成で実現できる。
また、束出金口27に直接投入された複数束の小束紙幣Tを束収納部28〜31に収納する際に、上限位置にあるステージ98に載置された複数の小束紙幣Tを一対の昇降フラッパ141が受け取って上方搬送し、この小束紙幣Tを水平搬送部160が把持し水平搬送して束出金口27の裏側の束収納部28〜31に収納することになる。よって、束出金口27に直接投入された複数束の小束紙幣Tを収納する際にも、複数束の小束紙幣Tを載置させた状態でステージ98を上昇させる必要がなくなる。また、複数束の小束紙幣Tを短時間で束収納部28〜31に収納することができる。
また、束収納部28〜31の複数束の小束紙幣Tを束出金口27から出金する際に、水平搬送部160により小束紙幣Tを束収納部28〜31から一対の昇降フラッパ141上に複数束載置させ、一対の昇降フラッパ141を下降させて、上限位置にあるステージ98に複数束の小束紙幣Tを受け渡すことになる。よって、束収納部28〜31の複数束の小束紙幣Tを束出金口27から出金する際にも、複数束の小束紙幣Tを載置させた状態でステージ98を上昇させる必要がなくなる。また、複数束の小束紙幣Tを短時間で束出金口27から出金することができる。
また、束収納部28〜31の小束紙幣Tを精査する際に、束収納部28〜31の小束紙幣Tを水平搬送部160により一対の昇降フラッパ141上に載置させた後、一対の昇降フラッパ141上の小束紙幣Tを水平搬送部160により束収納部28〜31に戻すことになる。よって、束収納部28〜31の小束紙幣Tを精査する際にも、複数束の小束紙幣Tを載置させた状態でステージ98を上昇させる必要がなくなる。また、複数束の小束紙幣Tを短時間で精査することができる。