JP5934491B2 - サファイア基板の研削方法 - Google Patents

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本発明は、表面に光デバイス層が積層される基板となるサファイア基板の研削方法に関する。
光デバイス製造工程においては、略円板形状であるサファイア基板の表面にn型窒化物半導体層およびp型窒化物半導体層からなる光デバイス層が積層され格子状に形成された複数のストリートによって区画された複数の領域に発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスを形成して光デバイスウエーハを構成する。このように構成された光デバイスウエーハには、外周端部が不用意に受ける衝撃によって割れや欠けが発生することを防ぐために、外周部に表面および裏面に対してそれぞれ45度の角度を持った面取り部が形成されている。このように構成された光デバイスウエーハをストリートに沿って切断することにより光デバイスが形成された領域を分割して個々の光デバイスを製造している。(例えば、特許文献1参照。)
光デバイスの軽量化、小型化および輝度の向上を図るために光デバイスウエーハをストリートに沿って切断して個々のデバイスに分割する前に、光デバイスウエーハの裏面を研削して所定の厚さに形成している。このように光デバイスウエーハの裏面を研削する研削装置は、被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を研削する研削砥石が環状に配設された研削ホイールを備えた研削手段と、該研削手段をチャックテーブルの保持面に対して垂直な方向に研削送りする研削送り手段とを具備している。このような研削装置を用いて光デバイスウエーハの裏面を研削するには、表面に形成された光デバイスを保護するために表面に保護テープを貼着し、この保護テープをチャックテーブルの保持面に保持した状態で裏面を研削する。(例えば、特許文献2参照。)
特開2008−6492号公報 特開2011−40631号公報
本発明者は、厚みが1300μmで外周部に被研削面および被研削面と反対側の支持面に対してそれぞれ45度の角度で厚み方向に130μmの幅を持った面取り部が形成された光デバイスウエーハを構成するサファイア基板の被研削面を研削して欠けの発生状況を調べた。本発明者の実験によると、光デバイスウエーハを構成するサファイア基板の裏面を研削して厚みが180μmに達した当たりからサファイア基板の外周に細かな欠けが発生し、外周部に位置する光デバイスの品質を低下させるとともに、外周に発生した欠けが内部に成長して一部の光デバイスを破損させるという問題がある。このような事実を踏まえて本発明者は更に研削量と欠け発生状況の実験を重ねた結果、サファイア基板の支持面側に形成された面取り部の外周面側端部と研削終了位置との関係が重要であることが判った。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術課題は、外周に欠けを発生させることなく所定の厚みに研削することができるサファイア基板の研削方法を提供することにある。
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、被研削面と被研削面と反対側の光デバイスが形成されている支持面とを有し外周部に被研削面および支持面に対してそれぞれ45度の角度を持った面取り部が形成されたサファイア基板の被研削面を研削する研削方法であって、
サファイア基板の支持面に保護テープを貼着する保護テープ貼着工程と、
保護テープ側を研削装置のチャックテーブルの保持面上に保持し、サファイア基板の被研削面を研削する研削工程と、を含み、
該研削工程は、サファイア基板の支持面側に形成された面取り部の外周面側端部から50μm以上被研削面側の位置で研削を終了するものであって、
該サファイア基板の該支持面側に形成された面取り部の厚み方向の幅は50μm以下に設定されている、
ことを特徴とするサファイア基板の研削方法が提供される。
記研削工程はサファイア基板の被研削面を研削して厚みを100〜120μmに形成する。
本発明によるサファイア基板の研削方法においては、サファイア基板の支持面側に形成された面取り部の外周面側端部から50μm以上被研削面側の位置で研削を終了するので、サファイア基板の外周に欠けが発生することはない。また、サファイア基板の支持面側に形成された面取り部の厚み方向の幅を50μm以下に設定することにより、上記研削工程においてサファイア基板の被研削面を研削して厚みを100〜120μmに形成してもサファイア基板の外周に欠けが発生することはない。
本発明によるサファイア基板の研削方法によって研削されるサファイア基板としての光デバイスウエーハの斜視図および要部を拡大して示す断面図。 図1に示すサファイア基板としての光デバイスウエーハの表面を環状のフレームに装着された保護テープの表面に貼着した状態を示す斜視図。 本発明によるサファイア基板の研削方法における研削工程の説明図。 図3に示す研削工程が実施されたサファイア基板としての光デバイスウエーハの要部を拡大して示す断面図。
以下、本発明による硬質基板の研削方法の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1の(a)および(b)には、本発明によるサファイア基板の研削方法によって研削される光デバイスウエーハの斜視図および要部を拡大して示す断面図が示されている。図1の(a)および(b)に示す光デバイスウエーハ2は、例えば厚みが1300μmのサファイア基板の表面2aに複数のストリート21が格子状に配列されているとともに、該複数のストリート21によって区画された複数の領域に発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイス22が形成されている。このように形成された光デバイスウエーハ2は、裏面2bを研削して所定の厚みに形成される。従って、光デバイスウエーハ2は、裏面2bが被研削面となり、該被研削面と反対側の表面2aが支持面となる。このように構成された光デバイスウエーハ2は、外周端部が不用意に受ける衝撃によって割れや欠けが発生することを防ぐために、外周部に表面2a(支持面)および裏面2b(被研削面)に対してそれぞれ45度の角度を持った面取り部2cおよび2dが形成されている。なお、面取り部2cおよび2dは、図示の実施形態においては厚み方向の幅(A)と表面2a(支持面)および裏面2b(被研削面)側の幅(B)は、それぞれ50μmに設定されている。
上記図1の(a)および(b)に示す光デバイスウエーハ2の被研削面である裏面2bを研削して所定の厚みに形成するには、光デバイスウエーハ2を構成するサファイア基板の表面2aに形成された光デバイス22を保護するために、被研削面と反対側の支持面を貼着する保護テープ貼着工程を実施する。即ち図2に示すように環状のフレーム3に装着された保護テープ4の表面に光デバイスウエーハ2の表面2a(支持面)を貼着する。
上記保護テープ貼着工程を実施したならば、保護テープ4側を研削装置のチャックテーブルの保持面上に保持し、光デバイスウエーハ2の被研削面である裏面2bを研削する研削工程を実施する。この研削工程は、図3の(a)および(b)に示す研削装置6を用いて実施する。図3の(a)および(b)に示す研削装置6は、被加工物を保持するチャックテーブル7と、該チャックテーブル7に保持された被加工物を研削する研削手段8を具備している。チャックテーブル7は、円柱状の本体71と、該本体71の上面に配設された通気性を有するポーラスなセラミック部材からなる吸着チャック72とからなっている。本体71はステンレス鋼等の金属材によって形成されており、その上面には図3の(b)に示すように円形の嵌合凹部711が設けられている。この嵌合凹部711には、底面の外周部に吸着チャック72が載置される環状の載置棚712が設けられている。また、本体71には嵌合凹部711に開口する吸引通路713が設けられており、該吸引通路713が図示しない吸引手段に連通されている。また、本体71の外周部には傾斜面710の裾野に段差を設けて形成された環状のフレーム支持部714が設けられている。このフレーム支持部714には上面に開口する複数の吸引孔715が設けられており、該吸引孔715が連通路716を介して上記吸引通路713に連通されている。このように構成されたチャックテーブル7は、図3の(b)において矢印7aで示す方向に回転せしめられる。
図3の(a)および(b)を参照して説明を続けると、研削装置6を構成する研削手段8は、スピンドルハウジング81と、該スピンドルハウジング81に回転自在に支持され図示しない回転駆動機構によって回転せしめられる回転スピンドル82と、該回転スピンドル82の下端に装着されたマウンター83と、該マウンター83の下面に取り付けられた研削ホイール84とを具備している。この研削ホイール84は、円環状の基台85と、該基台85の下面に環状に装着された研削砥石86とからなっており、基台85がマウンター83の下面に締結ボルト87によって取り付けられている。なお、研削砥石86は、図示の実施形態においては粒径が5〜10μmのダイヤモンド砥粒をビトリファイドボンドを用いて成型して焼成したビトリファイドボンド砥石からなっている。
上述した研削装置6を用いて光デバイスウエーハ2の被研削面である裏面2bを研削する研削工程を実施するには、上記保護テープ貼着工程が実施された保護テープ4(光デバイスウエーハ2の支持面である表面2aが貼着されている)側をチャックテーブル7の吸着チャック72の上面(保持面)に載置するとともに、保護テープ4が装着されている環状のフレーム3をチャックテーブル7のフレーム支持部714の上面に載置する。そして、図示しない吸引手段を作動することによってチャックテーブル7の吸着チャック72上に保護テープ4を介して光デバイスウエーハ2を吸引保持するとともに、チャックテーブル7のフレーム支持部714の上面に保護テープ4が装着されている環状のフレーム3を吸引保持する。従って、チャックテーブル7の吸着チャック72上に吸引保持された光デバイスウエーハ2は、被研削面である裏面2bが上側となる。このようにチャックテーブル7上に光デバイスウエーハ2および環状のフレーム3を吸引保持したならば、チャックテーブル7を図3の(b)に示すように矢印7aで示す方向に例えば500rpmで回転しつつ、研削手段8の研削ホイール84を図3の(b)において矢印84aで示す方向に例えば1000rpmで回転せしめ、図3の(b)に示すように研削砥石86の研削面(下面)を光デバイスウエーハ2の被研削面(裏面2b)に接触させる。このとき、研削砥石86の研削面(下面)が光デバイスウエーハ2の中心を通るように接触させる。そして、研削ホイール84を図3の(b)において矢印84bで示すように例えば0.5μm/秒の研削送り速度で下方(吸着チャック72の上面(保持面)に対し垂直な方向)に例えば1180〜1200μm研削送りする。この結果、図示の実施形態においては図4に示すように光デバイスウエーハ2は100〜120μmの厚みに形成される。なお、研削送り量は、光デバイスウエーハ2を構成するサファイア基板の支持面(表面2a)側に形成された面取り部2cの外周面側端部Eから50μm以上被研削面(裏面2b)側の位置で研削を終了するように設定されている。このように、光デバイスウエーハ2を構成するサファイア基板の支持面(表面2a)側に形成された面取り部2cの外周面側端部Eから50μm以上被研削面(裏面2b)側の位置で研削を終了することにより、サファイア基板の外周に欠けが発生しないことが本発明者による実験により判った。従って、サファイア基板の支持面側に形成された面取り部の厚み方向の幅を50μm以下に設定することにより、上記研削工程においてサファイア基板の被研削面を研削して厚みを100〜120μmに形成してもサファイア基板の外周に欠けが発生することはない。
2:光デバイスウエーハ
3:環状のフレーム
4:保護テープ
6:研削装置
7:チャックテーブル
72:吸着チャック
8:研削手段
82:回転スピンドル
83:マウンター
84:研削ホイール
86:研削砥石

Claims (2)

  1. 被研削面と被研削面と反対側の光デバイスが形成されている支持面とを有し外周部に被研削面および支持面に対してそれぞれ45度の角度を持った面取り部が形成されたサファイア基板の被研削面を研削する研削方法であって、
    サファイア基板の支持面に保護テープを貼着する保護テープ貼着工程と、
    保護テープ側を研削装置のチャックテーブルの保持面上に保持し、サファイア基板の被研削面を研削する研削工程と、を含み、
    該研削工程は、サファイア基板の支持面側に形成された面取り部の外周面側端部から50μm以上被研削面側の位置で研削を終了するものであって、
    該サファイア基板の該支持面側に形成された面取り部の厚み方向の幅は50μm以下に設定されている、
    ことを特徴とするサファイア基板の研削方法。
  2. 該研削工程はサファイア基板の被研削面を研削して厚みを100〜120μmに形成する、請求項1記載のサファイア基板の研削方法。
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