JP5931598B2 - アイロン用繊維製品処理剤 - Google Patents
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Description
(a)成分:一般式(1)で表される化合物
(b)成分:溶解パラメータが10以上、14以下である有機溶剤
(c)成分:重量平均分子量が1万以上、100万以下であり、メタクリル酸由来の構成単位が、全構成単位の60モル%以上を占めるメタクリル酸系重合体(I)及び、重量平均分子量が10万以上、100万以下であり、スルホン酸基を有する構成単位が、全構成単位の60モル%以上を占めるスルホン酸系重合体(II)から選ばれる1種類以上の重合体
(a)成分は、上記一般式(1)で表される化合物である。一般式(1)において、Xは−OH、−R1又は−OR2、YはX又は−OSi(X)3、nは平均重合度を示す0以上、15以下の数であり、複数個のX及びYはそれぞれ同一でも異なっていても良いが、一分子中に−OR2を少なくとも1つ有する。
(b)成分は、溶解パラメータが10以上、14以下である有機溶剤である。溶解パラメーター(SP値)は、ヒルデブラント(Hildebrand)によって導入された正則溶液論により定義された値であり、2成分系溶液の溶解度の目安となるものである。本発明の(b)成分である、溶解パラメータが10以上、14以下である有機溶剤として好ましい具体例としては、エタノール(SP値=12.7)、イソプロパノール(SP値=11.5)、アセトニトリル(SP値=11.9)、酢酸(SP値=12.6)、ジメチルホルムアミド(SP値=12.0)が挙げられる。処理剤調製時の液性が良好であり、アイロン処理時の処理空間の香りが良好なことから、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリルが好ましく、なかでもエタノールが更に好ましい。
(c)成分は、重量平均分子量が1万以上、100万以下であり、メタクリル酸由来の構成単位が、全構成単位の60モル%以上を占めるメタクリル酸系重合体(I)及び、重量平均分子量が10万以上、100万以下であり、スルホン酸基を有する構成単位が、全構成単位の60モル%以上を占めるスルホン酸系重合体(II)から選ばれる1種類以上の重合体である。
重合体(I)は、メタクリル酸由来の構成単位を全構成単位中に60モル%以上、賦形効果の耐湿性の点から、好ましくは75モル%以上、より好ましくは90モル%以上、より更に好ましくは100モル%有するものである。
重合体(II)は、スルホン酸基を有する構成単位が、全構成単位の60モル%以上、好ましくは75モル%以上、より好ましくは90モル%以上、より更に好ましくは100モル%を占める。重合体(II)のスルホン酸基は塩の形態であってもよい。
本発明のアイロン用繊維製品処理剤は、水を含有する。水は、該処理剤の残部であってよいが、含有量は50質量%以上、更に80質量%以上、そして、99質量%以下、更に95質量%以下が好ましい。
スプレー時の安全性の観点から、本発明のアイロン用繊維製品処理剤の20℃におけるpHは、4以上、更に5以上、更に6以上、更に6.5以上が好ましく、そして、10以下、更に9以下、更に8以下、更に7.5以下が好ましい。
本発明のアイロン用繊維製品処理剤は、アイロンの滑り性を向上させるために、(d)成分としてシリコーン化合物を含有することが好ましい。シリコーン化合物としては、水不溶性のシリコーン化合物が好適である。ここで水不溶性のシリコーン化合物とは、20℃のイオン交換水1Lに溶解する量が1g以下のシリコーン化合物である。具体的にはジメチルポリシロキサン、4級アンモニウム変性ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、アミド変性ジメチルポリシロキサン、エポキシ変性ジメチルポリシロキサン、カルボキシ変性ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、フッ素変性ジメチルポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上の水不溶性シリコーン化合物が挙げられる。
本発明は、(e)成分として、所定のpHに調整するために、酸剤を添加することが好ましい。酸剤としては、硫酸、塩酸、硝酸、燐酸から選ばれる1種以上が好ましく、硫酸又は塩酸が更に好ましく、硫酸がより好ましい。
本発明は、上記本発明のアイロン用繊維製品処理剤を、手動式スプレーを備えた容器に充填してなるアイロン用繊維製品処理剤物品に関する。
<(a)成分>
(a−1):下記合成例1で得られたオクチルケイ酸トリス(2-フェニルエチル)エステル
(a−2):下記合成例2で得られたケイ酸テトラキス(cis-3-ヘキセニル)エステル
(a−3):下記合成例3で得られたポリ(3,7-ジメチル-trans-2,6-オクタジエニルオキシ)シロキサン
(a’−1):フェニルエチルアルコール
(a’−2):cis-3-ヘキセノール
(a’−3):ゲラニオール
(b−1):エタノール(溶解パラメータ;SP値=12.7)
(b’−1):ベンゼン(溶解パラメータ;SP値=9.2)
(b’−2):エチレングリコール(溶解パラメータ;SP値=14.2)
(c−1):ポリメタクリル酸ナトリウム(ALCOSPERSE KX1、アクゾノーベル(株)、重量平均分子量20万[GPC法]、20質量%水溶液)
(c−2):ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PS-35、東ソー(株)、重量平均分子量35万[GPC法]、20質量%水溶液)
(d−1):ジメチルシリコーンエマルション(CE2080、東レ・ダウコーニング(株))
(e−1):硫酸(98%)
300mLの四つ口フラスコにオクチルトリエトキシシラン83.01g(0.30mol)、フェニルエチルアルコール127.76g(0.83mol)、2.8質量%ナトリウムメトキシドメタノール溶液0.857mLを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら110-115℃で2.5時間攪拌した。2.5時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら110-119℃で更に3時間攪拌した。3時間後、冷却・減圧を解除した後、濾過を行い、オクチルケイ酸トリス(2-フェニルエチル)エステルを含む173.61gの淡黄色油状物を得た。
200mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン35.45g(0.17mol)、cis-3-ヘキセノール64.74g(0.65mol)、2.8質量%ナトリウムメトキシドメタノール溶液1.34mLを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら118-120℃で約2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら112-119℃で更に3時間攪拌した。3時間後、冷却・減圧を解除した後、濾過を行い、ケイ酸テトラキス(cis-3-ヘキセニル)エステルを含む66.17gの薄茶色油状物を得た。
100mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン72.96gと水酸化カリウム0.24g、イオン交換水0.4mLを入れ、窒素気流下120-125℃、33kPa-101kPa(常圧)で約37時間反応を行った。この間イオン交換水を0.4mL追加した。反応後、33kPaで更に2時間反応させた後、冷却、濾過を行い、67.29gのエトキシシランの縮合物を淡黄色液体として得た。続いて、100mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン縮合物25.00gと3,7-ジメチル-trans-2,6-オクタジエン-1-オール(ゲラニオール)62.95g、4.8質量%水酸化ナトリウム水溶液0.17gを入れ、エタノールを留出させながら97-121℃で2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら118-121℃で更に3時間攪拌した。3時間後、冷却・減圧を解除した後、濾過を行い、65.36gのポリ(3,7-ジメチル-trans-2,6-オクタジエニルオキシ)シロキサンを淡黄色油状物として得た。
最終の繊維製品処理剤が1,000gになるように、表1に示す配合成分を表1に示す割合で用い、下記方法により表1に示す組成の繊維製品処理剤を調製した。調製後の繊維製品処理剤の液性を以下の方法で評価した。また、得られた繊維製品処理剤を、下記処理方法で繊維製品に処理し、下記方法で香り強度の官能評価を行った。
長さ5cm、太さ0.8cmのスターラーピースを入れた1,000mLのガラスビーカーにイオン交換水を必要量の95質量%入れ、25℃にて、300rpmで攪拌しながら、(c−1)、(c−2)を添加した。次に、所定のpHにするのに必要な量の(e−1)を添加した。次に、(a)又は(a’)と(b)又は(b’)を予め混合したものを添加し、(d−1)を添加した。最後に所定のpH、質量%になるように、イオン交換水、必要に応じて(e−1)を添加して、アイロン用繊維製品処理剤を得た。
上記で調製した繊維製品処理剤に関して、液性を目視にて観察した。液性は下記外観の評価基準に従い判定した。なお、調製後、分離した処理剤に関しては、香り強度評価を実施しなかった(表中「−」で示す)。
○…均一に溶解ないし分散しており、層状の分離が認められない。
△…若干の分離あり
×…分離あり
(1)前処理
木綿100%ブロード((株)色染社)1.5kgを、市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)2012年製、アタック高活性バイオEX、粉末タイプ)を用いて、家庭用全自動洗濯機(日立製NW−6CY)で5回洗浄を繰り返して過分の薬剤を除去した後(洗剤濃度0.0667質量%、水道水47L使用、水温20℃、洗浄10分、ため濯ぎ2回)、25℃40%RHの室内で一昼夜乾燥した。乾燥後、ブロードを15cm×25cmに裁断し、香り評価用試験布とした。
表1の繊維製品処理剤をそれぞれトリガー式スプレー容器(花王(株)製、スムーザーの容器)に充填し、上記で準備した試験布にトリガー式スプレーヤーで、100%o.w.f.(on the weight of fabrics)で試験布全体に均一に付与されるようにスプレーし、家庭用アイロン(松下電器製NI−A55自動アイロン、温度は中設定)でアイロンがけ処理を行った。
上記のアイロン掛け作業の間に感じられた香り強度の官能評価を行った。また、アイロン掛けした後の試験布について、20℃まで放冷した後に、香り強度の官能評価を行った。官能評価は、10人のパネラー(香り強度の官能評価を3年以上経験している熟達した評価パネラー)により下記の基準である5段階の香り強度で判定し、平均点を算出した。この平均点に基づき、下記基準で香り強度を決定し、表1に示した。
4…強いにおい
3…楽に感知できるにおい
2…何のにおいであるかわかる弱いにおい
1…やっと感知できるにおい
0…無臭
◎…平均点が3点以上
○…平均点が2点以上3点未満
△…平均点が1以上2点未満
×…平均点が1点未満
Claims (8)
- 下記(a)成分0.001質量%以上、0.05質量%以下、
(b)成分0.5質量%以上、20質量%以下、
(c)成分0.1質量%以上、20質量%以下、
界面活性剤0.03質量%以下、
及び水50質量%以上、95質量%以下
を含有するアイロン用繊維製品処理剤。
(a)成分:一般式(1)で表される化合物
〔式中、Xは−OH、−R1(R1は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数1以上、22以下の脂肪族炭化水素基)又は−OR2(R2は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数6以上、22以下の炭化水素基)、YはX又は−OSi(X)3、nは平均重合度を示す0以上、15以下の数である。複数個のX及びYはそれぞれ同一でも異なっていても良いが、一分子中に−OR2を少なくとも1つ有する。〕
(b)成分:溶解パラメータが10以上、14以下である有機溶剤
(c)成分:重量平均分子量が1万以上、100万以下であり、メタクリル酸由来の構成単位が、全構成単位の60モル%以上を占めるメタクリル酸系重合体(I)及び、重量平均分子量が10万以上、100万以下であり、スルホン酸基を有する構成単位が、全構成単位の60モル%以上を占めるスルホン酸系重合体(II)から選ばれる1種類以上の重合体 - 更に(d)成分として、シリコーン化合物0.01質量%以上、1質量%以下を含有する請求項1記載のアイロン用繊維製品処理剤。
- 更に(e)成分として、硫酸、塩酸、硝酸、燐酸から選ばれる1種以上の酸剤0.01質量%以上、1質量%以下を含有する請求項1又は2記載のアイロン用繊維製品処理剤。
- (c)成分として、前記メタクリル酸系重合体(I)及び前記スルホン酸系重合体(II)を含有し、メタクリル酸系重合体(I):スルホン酸系重合体(II)の質量比が1:9以上、9:1以下である請求項1〜3のうち何れか1項記載のアイロン用繊維製品処理剤。
- (b)成分がエタノールである請求項1〜4のうち何れか1項記載のアイロン用繊維製品処理剤。
- 20℃におけるpHが、4以上、10以下である請求項1〜5のうち何れか1項記載のアイロン用繊維製品処理剤。
- 請求項1〜6の何れか1項記載のアイロン用繊維製品処理剤を、手動式スプレーを備えた容器に充填してなるアイロン用繊維製品処理剤物品。
- 請求項1〜6の何れか1項記載のアイロン用繊維製品処理剤を、希釈せずに繊維製品に
付与する工程、及び、該工程の後にアイロン掛けする工程、を有する繊維製品の処理方法。
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