JP5931598B2 - アイロン用繊維製品処理剤 - Google Patents

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Description

本発明は、アイロンがけの際に使用するアイロン用繊維製品処理剤に関する。
衣類を着用し洗濯するというサイクルを繰り返すと、様々な場面で衣類ジワが発生する。着用によって生じる着用ジワに加え、特に洗濯機での脱水工程などにおいて、水分及び洗濯機中での外力により発生する深い折りジワなどは、衣類の外観を著しく損なうものである。
衣類ジワを除去し、シワのない元の状態に回復させる手段としてアイロンによるシワ除去が挙げられる。アイロンは、近年に於いては殆どの家庭に備えられるようになっている衣類ジワの除去に有効な器具ではあるが、100℃以上の高温で扱う上に、仕上がりの良い衣類とするためには、ある程度の熟練した技術が必要となる作業である。
このアイロン作業を補助する目的で、アイロン用繊維製品処理剤が開発されている。衣類等の繊維製品上でのアイロン滑りを良好にするとともに、繊維製品の形を整える(以下、賦形効果という)ために使用される家庭用の繊維製品処理剤の1つとして、アイロンがけの際に、繊維製品に直接スプレーして使用する繊維製品処理剤が知られている(特許文献1)。
また、ケイ酸エステル化合物を含有する柔軟剤等の水で希釈して用いる組成物で繊維製品を処理し、加熱処理することにより、繊維製品に持続性の香りを付与する技術が発明されている(特許文献2)。
特開2001−348779号公報 特開2010−163714号公報
本発明は、アイロン処理時の処理空間に香りを発現するとともに、アイロン掛け後、室温まで放冷した繊維製品に香りを発現するアイロン用繊維製品処理剤に関する。また、本発明は、調製後、均一な液性を維持することができるアイロン用繊維製品処理剤に関する。
従来のスプレーして用いる繊維製品処理剤は、香料成分を配合した場合でも、通常の香料成分は揮発性が高い化合物であるため、アイロン時の熱などにより香り成分が揮発しやすい傾向にあった。そのために、アイロン処理時に処理空間に香りを発現し、アイロン作業時の心理的な負担を軽減するという側面からは更なる改善が望まれていた。また、繊維に香りを残す技術が望まれていた。
特許文献2に於いて、加熱処理後の処理布の残香性を高める技術が開示されているが、熱処理後も香料成分を繊維上に残留させる技術が開示されるに留まっており、繊維への残香性に優れるものの、アイロン作業時の作業空間への香りの揮散、すなわち作業時に爽やかな香りを揮散させる点に関しては、更に高い性能を有する技術開発が望まれていた。また、処理剤を調製後、均一な液性を保つという面においても更なる改善が望まれていた。
本発明は、下記(a)成分、(b)成分、(c)成分及び水を含有するアイロン用繊維製品処理剤に関する。
(a)成分:一般式(1)で表される化合物
Figure 0005931598
〔式中、Xは−OH、−R1(R1は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数1以上、22以下の脂肪族炭化水素基)又は−OR2(R2は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数6以上、22以下の炭化水素基)、YはX又は−OSi(X)3、nは平均重合度を示す0以上、15以下の数である。複数個のX及びYはそれぞれ同一でも異なっていても良いが、一分子中に−OR2を少なくとも1つ有する。〕
(b)成分:溶解パラメータが10以上、14以下である有機溶剤
(c)成分:重量平均分子量が1万以上、100万以下であり、メタクリル酸由来の構成単位が、全構成単位の60モル%以上を占めるメタクリル酸系重合体(I)及び、重量平均分子量が10万以上、100万以下であり、スルホン酸基を有する構成単位が、全構成単位の60モル%以上を占めるスルホン酸系重合体(II)から選ばれる1種類以上の重合体
また、本発明は、上記本発明のアイロン用繊維製品処理剤を、手動式スプレーを備えた容器に充填してなるアイロン用繊維製品処理剤物品に関する。
また、本発明は、上記本発明のアイロン用繊維製品処理剤を、希釈せずに繊維製品に付与する工程、及び、該工程の後にアイロン掛けする工程、を有する繊維製品の処理方法に関する。
本発明のアイロン用繊維製品処理剤によれば、アイロン処理時の処理空間に香りを発現するとともに、アイロン掛け後、室温まで放冷した繊維製品に香りを発現する。アイロン作業時に加え、アイロン後に畳み、収納する工程まで香りを享受することができる。
また、本発明のアイロン用繊維製品処理剤は、調製後、均一な液性を保つことができるため、使用終了まで安定した効果発現を維持する。
<(a)成分>
(a)成分は、上記一般式(1)で表される化合物である。一般式(1)において、Xは−OH、−R1又は−OR2、YはX又は−OSi(X)3、nは平均重合度を示す0以上、15以下の数であり、複数個のX及びYはそれぞれ同一でも異なっていても良いが、一分子中に−OR2を少なくとも1つ有する。
1は、置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い、総炭素数1以上、22以下の脂肪族炭化水素基を示すが、置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い、総炭素数1以上、22以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。
nが0の場合には、R1は炭素数6以上、18以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基がより好ましく、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等の炭素数6以上、18以下の直鎖アルキル基が更に好ましく、炭素数10以上、18以下の直鎖アルキル基が更により好ましい。また、nが1以上、15以下の場合には、R1はメチル基及びベンジル基から選ばれる基が好ましく、メチル基がより好ましい。
2は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数6以上、更に8以上、そして炭素数22以下、15以下の炭化水素基を示す。また、R2は好ましくは炭素数6〜22、更に好ましくは6〜15、より更に好ましくは8〜15の炭化水素基を示す。
2の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基が好ましく、分岐構造を有するアルキル基及び分岐構造を有するアルケニル基から選ばれる基がより好ましい。
一般式(1)において、nが0の場合には、4個のXのうち2〜4個、更に3又は4個が−OR2であり、残りが−R1である化合物が好適である。nが0の場合の好ましい化合物としては、下記式(1−1)又は(1−2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005931598
〔式中、R1及びR2は前記と同じ意味を示す。〕
一般式(1)において、nが1以上、15以下の場合には、nは平均重合度を示し、全てのX及びYに対して、1/10以上、更に1/8以上が−OR2であり、残りが−R1である化合物が好適であり、全てのX及びYが−OR2である化合物がより好ましい。nが1以上、15以下の場合、nとしては、1以上、そして、10以下、更に5以下が好ましい。また、nが1〜15の場合、nとしては、1〜10、1〜5が好ましい。
nが1以上、15以下の場合の好ましい化合物としては、下記式(1−3)又は(1−4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005931598
〔式中、R1及びR2は前記と同じ意味を示す。mは1以上、15以下の数を示し、Tは、−OR2又は−R1を示す。〕
一般式(1)で表される化合物は、特開昭54−59498号公報、特開昭54−93006号公報などに記載されている方法で入手することができる。
アイロン時の処理空間の香り強度を高めるために、(a)成分の分子量は、2000未満であることが好ましく、1500以下であることがより好ましく、1200以下であることが更に好ましく、500以下であることがより更に好ましい。この分子量は、ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)により測定された重量平均分子量である。
本発明のアイロン用繊維製品処理剤において、(a)成分の含有量は、上限値以下でアイロン時に強すぎない良好な香り強度を示し、下限値以上で処理布の香り及びアイロン時の香りが認知できる良好な香り強度となるため、0.0001質量%以上、0.001質量%以上、更に0.003質量%以上、更に0.005質量%以上、そして、0.05質量%以下、更に0.04質量%以下、更に0.03質量%以下、更に0.02質量%以下が好ましい。また、同様の理由により、0.0001〜0.05質量%が好ましく、0.001〜0.04質量%がより好ましく、0.003〜0.03質量%が更に好ましく、0.005〜0.02質量%がより更に好ましい。
<(b)成分>
(b)成分は、溶解パラメータが10以上、14以下である有機溶剤である。溶解パラメーター(SP値)は、ヒルデブラント(Hildebrand)によって導入された正則溶液論により定義された値であり、2成分系溶液の溶解度の目安となるものである。本発明の(b)成分である、溶解パラメータが10以上、14以下である有機溶剤として好ましい具体例としては、エタノール(SP値=12.7)、イソプロパノール(SP値=11.5)、アセトニトリル(SP値=11.9)、酢酸(SP値=12.6)、ジメチルホルムアミド(SP値=12.0)が挙げられる。処理剤調製時の液性が良好であり、アイロン処理時の処理空間の香りが良好なことから、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリルが好ましく、なかでもエタノールが更に好ましい。
(b)成分の溶解パラメータは、上限値以下及び下限値以上で処理剤調製時の液性が良好となり、アイロン処理時の処理空間の香りが良好となることから、10以上であり、10.5以上、更に11以上、更に11.5以上、更に12以上、更に12.5以上が好ましく、そして、14以下であり、13.5以下、更に13以下が好ましい。また、同様の理由により、(b)成分の溶解パラメータは、10〜14であり、10.5〜13.5が好ましく、11〜13.5がより好ましく、11.5〜13が更に好ましく、12〜13が更に好ましく、12.5〜13がより更に好ましい。
本発明のアイロン用繊維製品処理剤において、(b)成分の含有量は、上限値以下及び下限値以上で調製時の液性が良好となり、アイロン処理時の処理空間への香り発現が良好となることから、0.5質量%以上、更に1質量%以上、更に2質量%以上、更に2.5質量%以上、更に3質量%以上が好ましく、そして、20質量%以下、更に10質量%以下、更に7質量%以下、更に6質量%以下、更に5質量%以下が好ましい。また、同様の理由により、0.5〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、2〜7質量%がより好ましく、2.5〜6質量%が更に好ましく、3〜5質量%がより更に好ましい。
<(c)成分>
(c)成分は、重量平均分子量が1万以上、100万以下であり、メタクリル酸由来の構成単位が、全構成単位の60モル%以上を占めるメタクリル酸系重合体(I)及び、重量平均分子量が10万以上、100万以下であり、スルホン酸基を有する構成単位が、全構成単位の60モル%以上を占めるスルホン酸系重合体(II)から選ばれる1種類以上の重合体である。
なお、ここで言う「構成単位」とは、重合体の原料モノマー1モルに相当する構造である。例えば、「メタクリル酸由来の構成単位」は、重合体中のメタクリル酸又はその塩1モルに相当する構造を指す。また「スルホン酸基を有する構成単位」は、スルホン酸基を有するモノマー1モルに相当する構造を指し、後述のようにスルホン酸基含有モノマーに由来するものでも、重合後、スルホン化することにより導入されたものでも何れでも良い。重合体の全構成単位におけるこれらの構成単位のモル比は、通常、原料モノマーの仕込量(モル比)から容易に算出できる。
また、以下、場合により「…酸又はその塩」を「…酸(塩)」と表記する。例えば「メタクリル酸(塩)」は「メタクリル酸又はその塩」を指すものとする。
(c)成分である重合体(I)と重合体(II)は、特開2001−348779号公報記載の方法で得ることが出来る。以下、重合体(I)及び重合体(II)について説明する。
<重合体(I)>
重合体(I)は、メタクリル酸由来の構成単位を全構成単位中に60モル%以上、賦形効果の耐湿性の点から、好ましくは75モル%以上、より好ましくは90モル%以上、より更に好ましくは100モル%有するものである。
重合体(I)は、メタクリル酸(塩)の単一重合体であるか、又はメタクリル酸(塩)と他のモノマー、好ましくは下記のビニル系モノマーの共重合体であってもよい。
メタクリル酸と共重合可能なビニル系モノマーとしては、アクリル酸、マレイン酸及びこれらのナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩が好ましい。
重合体(I)の重合法は特に限定されず、従来公知の方法で得られる。例えば、公知のラジカル重合或いはリビングラジカル重合によって合成される。
メタクリル酸又は塩のいずれを用いて重合しても良いし、重合後に中和によってメタクリル酸塩としても良い。
重合体(I)は、重量平均分子量1万以上、更に5万以上、更に10万以上、そして、100万以下、更に50万以下、更に25万以下のものが使用される。また、重合体(I)は、重量平均分子量1万〜100万、好ましくは5万〜50万、より好ましくは10万〜25万のものが使用される。重量平均分子量が1万以上であれば十分な賦形効果が得られ、100万以下であればミストの細かさや、液だれ・ボタ落ち等の点で良好なスプレー特性が得られる。なお、重合体(I)の重量平均分子量は、ポリエチレングリコール(以下PEGと記載)を標準物質とした場合の重量平均分子量であり、ゲル浸透式液体クロマトグラフィ(以下GPCと記載)法で測定される。
重合体(I)は、異なる重合方法によって得られた重合体や異なる重量平均分子量の重合体を任意の割合で混合して使用することもできる。また、上記の重合体もしくは共重合体の製造にあたっては、メタクリル酸は酸もしくは塩のいずれを用いて重合しても良いし、重合後に中和によって塩としても良い。重合体(I)の塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニア、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアミン類の塩、テトラエチルアンモニウム、セチルピリジニウム等の4級アンモニウム塩等の化合物を単独又は混合して使用できる。中でもナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩が好ましい。
<重合体(II)>
重合体(II)は、スルホン酸基を有する構成単位が、全構成単位の60モル%以上、好ましくは75モル%以上、より好ましくは90モル%以上、より更に好ましくは100モル%を占める。重合体(II)のスルホン酸基は塩の形態であってもよい。
重合体(II)は、スルホン酸基を有するビニル系モノマーの1種以上からなる単一重合体又は共重合体であってもよく、前記モル比を満たす限り、スルホン酸基を有するビニル系モノマーの1種以上とスルホン酸基を有さないビニル系モノマーの1種以上の共重合体であってもよい。
本発明の重合体(II)は、市販の重合体を使用してもよい。例えばスチレンスルホン酸(塩)の構成単位を有する重合体が、東ソー(株)よりPS−1、PS−5、PS−35又はPS−50として、またライオン(株)よりポリティPS−2000として市販されており、本発明ではこれらを用いても優れた効果を得ることができる。
重合体(II)は、重量平均分子量1万以上、更に2万以上、更に10万以上、更に20万以上、更に30万以上、また、100万以下、更に80万以下、更に50万以下、更に40万以下のものが使用される。また、重合体(II)は、重量平均分子量1万〜100万、好ましくは2万〜50万、より好ましくは10万〜40万のものが使用される。重量平均分子量が1万以上であれば十分な賦形効果が得られ、100万以下であればミストの細かさや、液だれ・ボタ落ち等の点で良好なスプレー特性が得られる。なお、重合体(II)の重量平均分子量は、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算の重量平均分子量であり、GPC法で測定される。
本発明のアイロン用繊維製品処理剤は、(c)成分として、重合体(I)及び重合体(II)の両方を含有することが好ましい。その場合、重合体(I):重合体(II)の質量比は、1:9以上、更に2:8以上、更に3:7以上、更に4:6以上、そして、9:1以下、更に8:2以下、更に7:3以下、更に6:4以下が好ましい。また、重合体(I):重合体(II)の質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、更に好ましくは3:7〜7:3、より更に好ましくは4:6〜6:4である。質量比がこの範囲であれば、帯電防止性と賦形効果が両立して付与できる。
本発明のアイロン用繊維製品処理剤において、(c)成分の含有量、すなわち、重合体(I)と(II)の合計含有量は、上限値以下で該処理剤自体の液性が良好となり、下限値以上では賦形効果が高まることから、0.1質量%以上、更に1質量%以上、更に3質量%以上、更に4質量%以上が好ましく、そして、20質量%以下、更に10質量%以下、更に8質量%以下、更に6質量%以下が好ましい。また、同様の理由により、(c)成分の含有量は、組成物中、0.1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、3〜8質量%が更に好ましく、4〜6質量%がより更に好ましい。賦形効果とスプレー特性及びコストを鑑み、配合量はこの範囲で任意に設定することができる。
<水>
本発明のアイロン用繊維製品処理剤は、水を含有する。水は、該処理剤の残部であってよいが、含有量は50質量%以上、更に80質量%以上、そして、99質量%以下、更に95質量%以下が好ましい。
<アイロン用繊維製品処理剤>
スプレー時の安全性の観点から、本発明のアイロン用繊維製品処理剤の20℃におけるpHは、4以上、更に5以上、更に6以上、更に6.5以上が好ましく、そして、10以下、更に9以下、更に8以下、更に7.5以下が好ましい。
本発明のアイロン用繊維製品処理剤は、液体組成物であることが好ましい。組成物は、溶液、分散液のいずれであってもよい。
〔(d)成分〕
本発明のアイロン用繊維製品処理剤は、アイロンの滑り性を向上させるために、(d)成分としてシリコーン化合物を含有することが好ましい。シリコーン化合物としては、水不溶性のシリコーン化合物が好適である。ここで水不溶性のシリコーン化合物とは、20℃のイオン交換水1Lに溶解する量が1g以下のシリコーン化合物である。具体的にはジメチルポリシロキサン、4級アンモニウム変性ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、アミド変性ジメチルポリシロキサン、エポキシ変性ジメチルポリシロキサン、カルボキシ変性ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、フッ素変性ジメチルポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上の水不溶性シリコーン化合物が挙げられる。
シリコーン化合物、中でも水不溶性のシリコーン化合物の分子量は、2000以上、更に3000以上、更に5000以上、そして、100万以下が好ましい。また、シリコーン化合物、中でも水不溶性のシリコーン化合物の分子量は、好ましくは2000〜100万、より好ましくは3000〜100万、更に好ましくは5000〜100万である。
シリコーン化合物、中でも水不溶性のシリコーン化合物の25℃における粘度は、2mm2/s以上、更に500mm2/s以上、更に1,000mm2/s以上、そして、100万mm2/s以下が好ましい。また、シリコーン化合物、中でも水不溶性のシリコーン化合物の25℃における粘度は、好ましくは2〜100万mm2/s、より好ましくは500〜100万mm2/s、更に好ましくは1,000〜100万mm2/sである。
ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、アミド変性ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンから選ばれる1種以上、好ましくはポリオキシエチレン)変性ジメチルポリシロキサンから選ばれる1種以上が好ましく、ジメチルポリシロキサン(ジメチルシリコーン)がより好ましい。これらは、水不溶性であることが好ましく、前記分子量、前記粘度を有することが好ましい。
アミノ変性ジメチルポリシロキサンとしては、アミノ当量(アミノ当量とは窒素原子1個当たりの分子量)が、1,500g/mol以上、更に2,500g/mol以上、更に3,000g/mol以上、そして、40,000g/mol以下、更に20,000g/mol以下、更に10,000g/mol以下のものが好適である。また、アミノ変性ジメチルポリシロキサンとしては、前記アミノ当量が、好ましくは1,500〜40,000g/mol、より好ましくは2,500〜20,000g/mol、更に好ましくは3,000〜10,000g/molのものが好適である。
ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンとしては、界面活性剤便覧(産業図書(株)発行 昭和35年7月5日発行)、324頁〜325頁に記載の曇数Aが、0以上、そして、18以下、更に10以下、更に5以下のものが好適である。また、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンとしては、前記曇数Aが、0〜18、より好ましくは0〜10、更に好ましくは0〜5のものが好適である。
また、(d)成分としては、アイロンの滑り性を向上させる観点から、下記一般式(2)で表される化合物を用いることもできる。
Figure 0005931598
〔式中、Zは−OH、−R1(R1は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数1以上、22以下の脂肪族炭化水素基)又は−OR2(R2は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数6以上、22以下の炭化水素基)、WはZ又は−OSi(Z)3、n’は平均重合度を示す16以上、20,000以下の数である。複数個のZ及びWはそれぞれ同一でも異なっていても良いが、一分子中に−OR2を少なくとも1つ有する。〕
一般式(2)に於いてn’は平均重合度を示すが、アイロンの滑り性向上の点からn’の値は16以上であり、好ましくは20以上、更に30以上、更に50以上、更に100以上、そして、20,000以下であり、好ましくは15,000以下、更に10,000以下、更に8,000以下、更に5,000以下である。また、同様の理由により、n’の値は16〜20,000であり、20〜15,000が好ましく、30〜10,000がより好ましく、50〜8,000が更に好ましく、100〜5,000がより更に好ましい。
本発明のアイロン用繊維製品処理剤において、(d)成分の含有量は、上限値以下では処理繊維がべとつかず、良好な手触りとなり、下限値以上でアイロンの滑り性に優れるため、0.001質量%以上、更に0.005質量%以上、更に0.01質量%以上、更に0.05質量%以上が好ましく、そして、3質量%以下、更に1質量%以下、更に0.5質量%以下、更に0.2質量%以下が好ましい。また、同様の理由により、0.001〜3質量%が好ましく、0.005〜1質量%がより好ましく、0.01〜0.5質量%が更に好ましく、0.05〜0.2質量%がより更に好ましい。
〔その他の成分〕
本発明は、(e)成分として、所定のpHに調整するために、酸剤を添加することが好ましい。酸剤としては、硫酸、塩酸、硝酸、燐酸から選ばれる1種以上が好ましく、硫酸又は塩酸が更に好ましく、硫酸がより好ましい。
(e)成分は、本発明の処理剤のpH値を前記範囲に調整する量を添加することが好ましく、具体的な本発明のアイロン用繊維製品処理剤中の含有量は、0.001質量%以上、更に0.005質量%以上、更に0.01質量%以上、更に0.03質量%以上が好ましく、そして、3質量%以下、更に1質量%以下、更に0.5質量%以下、更に0.1質量%以下が好ましい。また、(e)成分の本発明のアイロン用繊維製品処理剤中の含有量は、0.001〜3質量%が好ましく、0.005〜1質量%がより好ましく、0.01〜0.5質量%が更に好ましく、0.03〜0.1質量%がより更に好ましい。
本発明のアイロン用繊維製品処理剤は、処理剤自体あるいは処理した繊維製品の香り立ちをよくする観点から、(f)成分として香料を含有することができる。本発明のアイロン用繊維製品処理剤中の(f)成分の含有量は、0質量%以上、更に0.01質量%以上、更に0.1質量%以上が好ましく、そして、1.5質量%以下、更に1質量%以下、更に0.8質量%以下が好ましい。また、同様の理由により、本発明のアイロン用繊維製品処理剤中の(f)成分の含有量は、0〜1.5質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましく、0.1〜0.8質量%が更に好ましい。また、(a)成分と(f)成分の割合は、(a)成分:(f)成分の質量比で50:50以上、更に70:30以上、更に80:20以上が好ましく、そして、99:1以下、更に90:10以下が好ましい。また、(a)成分:(f)成分の質量比は、50:50〜99:1が好ましく、70:30〜90:10がより好ましく、80:20〜90:10が更に好ましい。
(f)成分としては、テルピネオール、ゲラニオール、リナロール、ミルセノール、ネロール、シス−ジャスモン、フェニルエチルアセテート、アリルアミルグリコレート、リファローム、シス−3−ヘキシルアセテート、スチラリルアセテート、o−t−ブチルシクロヘキサノン、p−t−ブチルシクロヘキサノン、アセチルオイゲノール、シンナミルアセテート、オイゲノール、イソオイゲノール、モスシンス、アニソール、メチルオイゲノール、クマリン、i)α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、リモネン、テルピノーレン、ミルセン、p−サイメンから選ばれる炭化水素系香料、ii)サンダルマイソールコア、サンタロール、l−メントール、シトロネロール、ジヒドロミルセノール、エチルリナルール、ムゴール、ネロリドールから選ばれるアルコール系香料、iii)アルデヒドC−111、グリーナール、マンダリンアルデヒド、シトラール、シトロネラール、アミルシンナミックアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド、リリアール、ジヒドロジャスモン、l−カルボン、イオノンα、メチルイオノンα、メチルイオノンGから選ばれるアルデヒド、ケトン系香料、iv)ヘプチルアセテート、シトロネリルアセテート、ゲラニルアセテート、リナリルアセテート、エチルシンナメート、ベンジルサリシレート、イソブチルサリシレートから選ばれるエステル系香料、v)チモール、バニトロープから選ばれるフェノール系香料、vi)セドロキサイド、シトロネリルエチルエーテル、アネトール、ネロリンヤラヤラ、エステラゴール、メチルイソオイゲノールから選ばれるエーテル系香料、その他β−カリオフィレン、トリメチルウンデセナール、ヘキシルサリシレート、アンブロキサン、テンタローム、パールライド等を挙げることができる。
また、本発明では、均一な液性を保つために界面活性剤を用いることができる。本発明に用いられる好ましい界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤が挙げられる。
本発明に用いられるノニオン性界面活性剤の具体例としては、炭素数7〜18のアルキル基と9〜30又はそれ以上のエチレンオキサイド単位を持つポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、例えばポリオキシエチレンヘプチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンメチルオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル等、又はメチレン結合で連結したアルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、ノニルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、テトラデシルメルカプタン等のメルカプタンや炭素数6〜15のアルキル基を有するアルキルチオフェノールと必要な量のエチレンオキサイドを縮合させた硫黄を含む界面活性剤、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、トール油混合酸のような長鎖カルボン酸のエチレンオキサイド付加物、疎水性炭化水素鎖をもつエーテル化した又はエステル化したポリヒドロキシ化合物のエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらのノニオン性界面活性剤としては、HLBが12以上、更に15以上、そして、19以下、更に18以下のものが好ましい。また、ノニオン性界面活性剤のHLBは、12〜19が好ましく、15〜18が更に好ましい。
本発明に用いられるアニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリルアルコールのような炭素数8〜18のアルコールの硫酸エステルのナトリウム塩、カリウム塩等の高級脂肪族アルコール硫酸塩、炭素数8〜18の脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、或いはトリエタノールアミン塩のようなアルカノールアミン塩、例えばオレイン酸トリエタノールアミン、ステアリン酸トリエタノールアミン、ロート油、硫酸化リシノレイン酸のようなスルホン化物、ナトリウム−t−オクチルベンゼンスルホネート、ナトリウム−t−オクチルフェノールスルホネートのようなスルホン化アルキルアリール化合物等が挙げられる。
本発明に用いられるカチオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルエチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルキノリウム塩、アルキルイソキノリウム塩、ステアリルアミドメチルピリジニウム塩、アシルアミノエチルメチルジエチルアンモニウム塩、アシルアミノエチルピリジニウム塩、アルコキシメチルピリジニウム塩、1−メチル−1−アシルアミノエチル−2−アルキルイミダゾリン、ジアシルアミノプロピルジメチルアンモニウム塩、ジアシルアミノエチルジメチルアンモニウム塩、ジアルキルジ(ポリオキシエチレン)アンモニウム塩、ジアルキルメチルポリオキシエチレンアンモニウム塩などが挙げられる。
界面活性剤を含有する場合、本発明のアイロン用繊維製品処理剤中の界面活性剤の含有量は、0.001質量%以上、更に0.005質量%以上、更に0.01質量%以上、更に0.02質量%以上が好ましく、そして、5質量%以下、更に1質量%以下、更に0.1質量%以下、更に0.03質量%以下が好ましい。また、界面活性剤を含有する場合、本発明のアイロン用繊維製品処理剤中の界面活性剤の含有量は、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.005〜1質量%、更に好ましくは0.01〜0.1質量%、より更に好ましくは0.02〜0.03質量%である。上限値以下では、繊維へ泡立つことなくスプレー処理することが可能となり、下限値以上において処理剤の均一性が向上する。界面活性剤の含有量を上記範囲とする方法としては、界面活性剤の含有量が上記割合になるように添加量を調整する方法、又は界面活性剤を濾過等により除去して、界面活性剤の含有量が上記割合になるようにする方法が挙げられる。
また、本発明のアイロン用繊維製品処理剤は、処理剤の液性維持の面から、更に、(b)成分以外の有機溶媒を含有することができる。(b)成分以外の有用な有機溶媒の具体例としては、メタノール(SP値=14.5)、エチレングリコール(SP値=14.2)等が挙げられる。
本発明のアイロン用繊維製品処理剤において、(b)成分以外の有機溶媒の含有量は、0質量%以上、更に0.01質量%以上、更に0.1質量%以上が好ましく、そして、10質量%以下、更に5質量%以下、更に3質量%以下が好ましい。また、本発明のアイロン用繊維製品処理剤において、(b)成分以外の有機溶媒の含有量は、0〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましく、0.1〜3質量%が更に好ましい。
更に本発明のアイロン用繊維製品処理剤には、必要に応じて、香料、殺菌剤、防腐剤、蛍光染料、顔料等を添加することができる。
<アイロン用繊維製品処理剤物品>
本発明は、上記本発明のアイロン用繊維製品処理剤を、手動式スプレーを備えた容器に充填してなるアイロン用繊維製品処理剤物品に関する。
本発明に用いられる手動式スプレーを備えた容器は、LPG等の噴射剤を使用しない手動式のスプレー手段を備えた容器である。手動式スプレー手段は、噴射剤を使用せず、且つ手動の加圧によりスプレーすることができるものであり、トリガー式又はポンプ式と呼ばれるものが挙げられる。本発明ではトリガー式が好ましく、特に実開平4−17855号公報、実開平4−37554号公報、特開平8−84945号公報及び特開平9−122547号公報記載の蓄圧機構を備えたトリガー式のスプレー装置が、液のボタ落ち防止やスプレー特性の点からより好ましい。
本発明のアイロン用繊維製品処理剤は繊維製品にアイロンがけをする際に用いられる。その際、本発明のアイロン用繊維製品処理剤は、希釈せずに繊維製品に付与することが好ましい。本発明により、本発明のアイロン用繊維製品処理剤を、希釈せずに繊維製品に付与する工程、及び、該工程の後にアイロン掛けする工程、を有する繊維製品の処理方法が提供される。本発明のアイロン用繊維製品処理剤物品から、本発明の処理剤を繊維製品に噴霧する方法が好ましい。手動式スプレーを備えた容器(以下、スプレー容器という)からの噴霧量は、1回のストロークで繊維製品処理剤を0.1〜2.0g、好ましくは0.2〜1.5g、更に好ましくは0.3〜1.0g噴出するものが好適である。本発明で使用するトリガー式噴霧器としては、噴霧の均一性の観点から、実開平4−37554号公報に開示されているような蓄圧式トリガーが好適である。噴霧特性としては、特に地面に垂直に置いた対象物に15cm離れた場所からスプレーしたときの液のかかる面積が好ましくは100〜800cm2、より好ましくは150〜600cm2となるトリガー式噴霧器が好ましい。
本発明のアイロン用繊維製品処理剤が適用された繊維製品は、アイロンにより加熱処理(接触加熱処理)される。アイロンの表面温度は、80〜250℃が好ましく、90〜240℃がより好ましく、100〜230℃が更に好ましい。あて布をして、かけ面を接触させてもよい。熱処理時間は設定温度により異なるが、5秒〜5分程度である。
実施例及び比較例で用いた各配合成分をまとめて以下に示す。
<(a)成分>
(a−1):下記合成例1で得られたオクチルケイ酸トリス(2-フェニルエチル)エステル
(a−2):下記合成例2で得られたケイ酸テトラキス(cis-3-ヘキセニル)エステル
(a−3):下記合成例3で得られたポリ(3,7-ジメチル-trans-2,6-オクタジエニルオキシ)シロキサン
<(a’)成分((a)成分の比較品)>
(a’−1):フェニルエチルアルコール
(a’−2):cis-3-ヘキセノール
(a’−3):ゲラニオール
<(b)成分>
(b−1):エタノール(溶解パラメータ;SP値=12.7)
<(b’)成分((b)成分の比較品)>
(b’−1):ベンゼン(溶解パラメータ;SP値=9.2)
(b’−2):エチレングリコール(溶解パラメータ;SP値=14.2)
<(c)成分>
(c−1):ポリメタクリル酸ナトリウム(ALCOSPERSE KX1、アクゾノーベル(株)、重量平均分子量20万[GPC法]、20質量%水溶液)
(c−2):ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PS-35、東ソー(株)、重量平均分子量35万[GPC法]、20質量%水溶液)
<(d)成分>
(d−1):ジメチルシリコーンエマルション(CE2080、東レ・ダウコーニング(株))
<その他の成分>
(e−1):硫酸(98%)
合成例1:オクチルケイ酸トリス(2-フェニルエチル)エステル[トリス(2-フェニルエチルオキシ)オクチルシラン]の合成
300mLの四つ口フラスコにオクチルトリエトキシシラン83.01g(0.30mol)、フェニルエチルアルコール127.76g(0.83mol)、2.8質量%ナトリウムメトキシドメタノール溶液0.857mLを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら110-115℃で2.5時間攪拌した。2.5時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら110-119℃で更に3時間攪拌した。3時間後、冷却・減圧を解除した後、濾過を行い、オクチルケイ酸トリス(2-フェニルエチル)エステルを含む173.61gの淡黄色油状物を得た。
合成例2:ケイ酸テトラキス(cis-3-ヘキセニル)エステル[テトラキス(cis-3-ヘキセニルオキシ)シラン]の合成
200mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン35.45g(0.17mol)、cis-3-ヘキセノール64.74g(0.65mol)、2.8質量%ナトリウムメトキシドメタノール溶液1.34mLを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら118-120℃で約2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら112-119℃で更に3時間攪拌した。3時間後、冷却・減圧を解除した後、濾過を行い、ケイ酸テトラキス(cis-3-ヘキセニル)エステルを含む66.17gの薄茶色油状物を得た。
合成例3:ポリ(3,7-ジメチル-trans-2,6-オクタジエニルオキシ)シロキサンの合成
100mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン72.96gと水酸化カリウム0.24g、イオン交換水0.4mLを入れ、窒素気流下120-125℃、33kPa-101kPa(常圧)で約37時間反応を行った。この間イオン交換水を0.4mL追加した。反応後、33kPaで更に2時間反応させた後、冷却、濾過を行い、67.29gのエトキシシランの縮合物を淡黄色液体として得た。続いて、100mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン縮合物25.00gと3,7-ジメチル-trans-2,6-オクタジエン-1-オール(ゲラニオール)62.95g、4.8質量%水酸化ナトリウム水溶液0.17gを入れ、エタノールを留出させながら97-121℃で2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら118-121℃で更に3時間攪拌した。3時間後、冷却・減圧を解除した後、濾過を行い、65.36gのポリ(3,7-ジメチル-trans-2,6-オクタジエニルオキシ)シロキサンを淡黄色油状物として得た。
実施例及び比較例
最終の繊維製品処理剤が1,000gになるように、表1に示す配合成分を表1に示す割合で用い、下記方法により表1に示す組成の繊維製品処理剤を調製した。調製後の繊維製品処理剤の液性を以下の方法で評価した。また、得られた繊維製品処理剤を、下記処理方法で繊維製品に処理し、下記方法で香り強度の官能評価を行った。
<繊維製品処理剤の調製法>
長さ5cm、太さ0.8cmのスターラーピースを入れた1,000mLのガラスビーカーにイオン交換水を必要量の95質量%入れ、25℃にて、300rpmで攪拌しながら、(c−1)、(c−2)を添加した。次に、所定のpHにするのに必要な量の(e−1)を添加した。次に、(a)又は(a’)と(b)又は(b’)を予め混合したものを添加し、(d−1)を添加した。最後に所定のpH、質量%になるように、イオン交換水、必要に応じて(e−1)を添加して、アイロン用繊維製品処理剤を得た。
<液性の評価>
上記で調製した繊維製品処理剤に関して、液性を目視にて観察した。液性は下記外観の評価基準に従い判定した。なお、調製後、分離した処理剤に関しては、香り強度評価を実施しなかった(表中「−」で示す)。
〔液性/評価基準〕
○…均一に溶解ないし分散しており、層状の分離が認められない。
△…若干の分離あり
×…分離あり
<香り強度の評価>
(1)前処理
木綿100%ブロード((株)色染社)1.5kgを、市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)2012年製、アタック高活性バイオEX、粉末タイプ)を用いて、家庭用全自動洗濯機(日立製NW−6CY)で5回洗浄を繰り返して過分の薬剤を除去した後(洗剤濃度0.0667質量%、水道水47L使用、水温20℃、洗浄10分、ため濯ぎ2回)、25℃40%RHの室内で一昼夜乾燥した。乾燥後、ブロードを15cm×25cmに裁断し、香り評価用試験布とした。
(2)繊維製品処理剤による繊維製品の処理
表1の繊維製品処理剤をそれぞれトリガー式スプレー容器(花王(株)製、スムーザーの容器)に充填し、上記で準備した試験布にトリガー式スプレーヤーで、100%o.w.f.(on the weight of fabrics)で試験布全体に均一に付与されるようにスプレーし、家庭用アイロン(松下電器製NI−A55自動アイロン、温度は中設定)でアイロンがけ処理を行った。
(3)アイロン掛け時の香り強度、及び室温まで放冷した布の香り強度
上記のアイロン掛け作業の間に感じられた香り強度の官能評価を行った。また、アイロン掛けした後の試験布について、20℃まで放冷した後に、香り強度の官能評価を行った。官能評価は、10人のパネラー(香り強度の官能評価を3年以上経験している熟達した評価パネラー)により下記の基準である5段階の香り強度で判定し、平均点を算出した。この平均点に基づき、下記基準で香り強度を決定し、表1に示した。
〔香り強度評価基準〕
4…強いにおい
3…楽に感知できるにおい
2…何のにおいであるかわかる弱いにおい
1…やっと感知できるにおい
0…無臭
◎…平均点が3点以上
○…平均点が2点以上3点未満
△…平均点が1以上2点未満
×…平均点が1点未満
Figure 0005931598
実施例1〜5と比較例1〜3の結果から、本発明の(a)成分の効果により、アイロン掛け時に香り立つ匂いの強度が高いことがわかる。更には、室温まで放冷した後の布について、匂いの強度が高いことがわかる。
また、実施例1と比較例4〜6の結果から、本発明の(b)成分の効果により、調製後、均一な液性を有する処理剤が得られることがわかる。

Claims (8)

  1. 下記(a)成分0.001質量%以上、0.05質量%以下
    (b)成分0.5質量%以上、20質量%以下
    (c)成分0.1質量%以上、20質量%以下、
    界面活性剤0.03質量%以下、
    及び水50質量%以上、95質量%以下
    を含有するアイロン用繊維製品処理剤。
    (a)成分:一般式(1)で表される化合物
    Figure 0005931598

    〔式中、Xは−OH、−R1(R1は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数1以上、22以下の脂肪族炭化水素基)又は−OR2(R2は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数6以上、22以下の炭化水素基)、YはX又は−OSi(X)3、nは平均重合度を示す0以上、15以下の数である。複数個のX及びYはそれぞれ同一でも異なっていても良いが、一分子中に−OR2を少なくとも1つ有する。〕
    (b)成分:溶解パラメータが10以上、14以下である有機溶剤
    (c)成分:重量平均分子量が1万以上、100万以下であり、メタクリル酸由来の構成単位が、全構成単位の60モル%以上を占めるメタクリル酸系重合体(I)及び、重量平均分子量が10万以上、100万以下であり、スルホン酸基を有する構成単位が、全構成単位の60モル%以上を占めるスルホン酸系重合体(II)から選ばれる1種類以上の重合体
  2. 更に(d)成分として、シリコーン化合物0.01質量%以上、1質量%以下を含有する請求項1記載のアイロン用繊維製品処理剤。
  3. 更に(e)成分として、硫酸、塩酸、硝酸、燐酸から選ばれる1種以上の酸剤0.01質量%以上、1質量%以下を含有する請求項1又は2記載のアイロン用繊維製品処理剤。
  4. (c)成分として、前記メタクリル酸系重合体(I)及び前記スルホン酸系重合体(II)を含有し、メタクリル酸系重合体(I):スルホン酸系重合体(II)の質量比が1:9以上、9:1以下である請求項1〜3のうち何れか1項記載のアイロン用繊維製品処理剤。
  5. (b)成分がエタノールである請求項1〜4のうち何れか1項記載のアイロン用繊維製品処理剤。
  6. 20℃におけるpHが、4以上、10以下である請求項1〜5のうち何れか1項記載のアイロン用繊維製品処理剤。
  7. 請求項1〜の何れか1項記載のアイロン用繊維製品処理剤を、手動式スプレーを備えた容器に充填してなるアイロン用繊維製品処理剤物品。
  8. 請求項1〜の何れか1項記載のアイロン用繊維製品処理剤を、希釈せずに繊維製品に
    付与する工程、及び、該工程の後にアイロン掛けする工程、を有する繊維製品の処理方法。
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