JP2014001469A - 繊維製品用糊剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】アイロン処理時の処理空間に香りを発現するとともに、アイロン掛け後、室温まで放冷した繊維製品に香りを発現する繊維製品用の糊剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)特定のケイ酸エステル化合物、(b)総炭素数が1以上、7以下である脂肪酸のビニルエステル由来の構造を構成骨格の一部として有する重合体、(c)カチオン性基を有する水溶性重合体、(d)多価アルコール、及び水を含有する繊維製品用糊剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、アイロン処理時の処理空間に香りを発現するとともに、アイロン掛け後、室温まで放冷した繊維製品に香りを発現する、衣料等の繊維製品用の糊剤組成物に関する。
糊剤は、ワイシャツ、シーツなどの繊維製品をパリッとした張りのある好ましい風合いに仕上げる目的で、一般家庭用、業務用として広く用いられている繊維製品用の処理剤である。
従来、繊維製品用の糊剤としてカルボキシルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、澱粉等が用いられてきたが、使いやすくする為の種々改良が行われ、冷水に希釈が容易であり、使用性が簡便な酢酸ビニルを主成分とした液状糊剤が開発されている。また、近年では、洗濯機での使用を推奨する糊剤として、酢酸ビニルを主成分とした糊剤の布への吸着性を向上させる技術(特許文献1)、次回洗浄で容易に糊落ちが可能となる技術(特許文献2)が開示されている。吸着性、糊落ち性が高められたおかげで、家庭での洗濯工程において洗濯機を用いて簡便に繊維製品の糊付けが可能となっている。
また、ケイ酸エステル化合物を繊維製品上に残留させ、このケイ酸エステル化合物の加水分解物(アルコール性香気成分)を香料成分として用いることにより、維持性の香りを残香させる技術が開示されている(特許文献3、4)。
特開平10−195772号公報 特開2001−3024号公報 特開2010−163714号公報 特開2012−41443号公報
本発明は、アイロン処理時の処理空間に香りを発現するとともに、アイロン掛け後、室温まで放冷した繊維製品に香りを発現する繊維製品用の糊剤組成物に関する。
糊付けした繊維製品は、繊維剛性が高められるためにシワになりやすい特質を有し、アイロン掛けによる衣類ジワの除去を行う必要性が高まる。通常、アイロン掛けは、糊付け作業後、自然乾燥又は乾燥機で乾燥させた繊維製品に対して行われるが、アイロン掛けは高温の器具を用いた作業であり、心理的な面からも負担の大きい家事作業のひとつとなっていた。アイロン掛けの心理的負荷を軽減する方法として、作業時に爽やかな香りを揮散させることが挙げられるが、通常の香料成分は揮発性が高い化合物であるため糊剤に応用した場合に乾燥工程で揮発してしまい、アイロン時に香料の効果を発現させることが十分に出来なかった。
特許文献3及び4には、ケイ酸エステル化合物を繊維製品上に残留させ、熱処理する技術開示があるが、熱処理後も香料成分を繊維上に残留させる技術が開示されるに留まっており、繊維への残香性に優れるものの、アイロン作業時の作業空間への香りの揮散、すなわち作業時に爽やかな香りを揮散させる点に関しては、更に高い性能を有する技術開発が望まれていた。
繊維への残香性と、繊維からの発香性という相反する課題に対して、両立して機能発現することを可能とすることが本発明の課題である。
本発明は、(a)一般式(1)で表される化合物〔以下、(a)成分という〕、(b)総炭素数が1以上、7以下である脂肪酸のビニルエステル由来の構造を構成骨格の一部として有する重合体〔以下、(b)成分という〕、(c)カチオン性基を有する水溶性重合体〔以下、(c)成分という〕、(d)多価アルコール〔以下、(d)成分という〕、及び水を含有する繊維製品用糊剤組成物を提供する。
Figure 2014001469
〔式中、Xは−OH、−R1(R1は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数1以上、22以下の脂肪族炭化水素基)又は−OR2(R2は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数6以上、22以下の炭化水素基)、YはX又は−OSi(X)3、nは平均重合度を示す0以上、15以下の数である。複数個のX及びYはそれぞれ同一でも異なっていても良いが、一分子中に−OR2を少なくとも1つ有する。〕
また、本発明は、上記本発明の糊剤組成物を繊維製品に付与する工程、該工程の後に繊維製品を乾燥させる工程、及び、該工程の後にアイロン掛けする工程、を有する繊維製品の処理方法を提供する。
本発明の繊維製品用糊剤によれば、アイロン処理時の処理空間に香りを発現するとともに、アイロン掛け後、室温まで放冷した繊維製品に香りを発現する。したがって、アイロン作業時に加え、アイロン後に畳み、収納する工程まで香りを享受することができる。
<(a)成分>
(a)成分は、上記一般式(1)で表される化合物である。一般式(1)において、Xは−OH、−R1又は−OR2、YはX又は−OSi(X)3、nは平均重合度を示す0以上、15以下の数であり、複数個のX及びYはそれぞれ同一でも異なっていても良いが、一分子中に−OR2を少なくとも1つ有する。
1は、置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い、総炭素数1以上、22以下の脂肪族炭化水素基を示すが、置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い、総炭素数1以上、22以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。
nが0の場合には、R1は炭素数6以上、18以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基がより好ましく、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等の炭素数6以上、18以下の直鎖アルキル基が更に好ましく、炭素数10以上、18以下の直鎖アルキル基が更により好ましい。また、nが1以上、15以下の場合には、R1はメチル基及びベンジル基から選ばれる基が好ましく、メチル基がより好ましい。
2は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数6以上、更に8以上、そして炭素数22以下、15以下の炭化水素基を示す。また、R2は好ましくは炭素数6〜22、更に好ましくは6〜15、より更に好ましくは8〜15の炭化水素基を示す。
2の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基が好ましく、分岐構造を有するアルキル基及び分岐構造を有するアルケニル基から選ばれる基がより好ましい。
一般式(1)において、nが0の場合には、4個のXのうち2〜4個、更に3又は4個が−OR2であり、残りが−R1である化合物が好適である。nが0の場合の好ましい化合物としては、下記式(1−1)又は(1−2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2014001469
〔式中、R1及びR2は前記と同じ意味を示す。〕
一般式(1)において、nが1以上、15以下の場合には、nは平均重合度を示し、全てのX及びYに対して、1/10以上、更に1/8以上が−OR2であり、残りが−R1である化合物が好適であり、全てのX及びYが−OR2である化合物がより好ましい。nが1以上、15以下の場合、nとしては、1以上、そして、10以下、更に5以下が好ましい。また、nが1〜15の場合、nとしては、1〜10、1〜5が好ましい。
nが1以上、15以下の場合の好ましい化合物としては、下記式(1−3)又は(1−4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2014001469
〔式中、R1及びR2は前記と同じ意味を示す。mは1以上、15以下の数を示し、Tは、−OR2又は−R1を示す。〕
一般式(1)で表される化合物は、特開昭54−59498号公報、特開昭54−93006号公報などに記載されている方法で入手することができる。
アイロン時の処理空間の香り強度を高めるために、(a)成分の分子量は、2000未満であることが好ましく、1500以下であることがより好ましく、1200以下であることが更に好ましく、500以下であることがより更に好ましい。この分子量は、ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)により測定された重量平均分子量である。
本発明の繊維製品用糊剤組成物において、(a)成分の含有量は、上限値以下でアイロン時に強すぎない良好な香り強度を示し、下限値以上で処理布の香り及びアイロン時の香りが認知できる良好な香り強度となるため、0.01質量%以上、更に0.03質量%以上、更に0.05質量%以上、更に0.07質量%以上が好ましく、そして、5質量%以下、更に1質量%以下、更に0.5質量%以下、更に0.3質量%以下が好ましい。また、同様の理由により、(a)成分の含有量は、本発明の組成物中、0.01〜5質量%が好ましく、0.03〜1質量%がより好ましく、0.05〜0.5質量%が更に好ましく、0.07〜0.3質量%がより更に好ましい。
<(b)成分>
(b)成分は、総炭素数が1以上、7以下である脂肪酸のビニルエステル由来の構造を構成骨格の一部として有する重合体である。(b)成分である重合体は、特開平10−195772号公報または特開2001−3024号公報記載の方法で得ることが出来るものである。
衣類への張り性付与の点から好ましい(b)成分としては、総炭素数が1以上、7以下である脂肪酸のビニルエステル(i)と、不飽和カルボン酸類(ii)と、これらと共重合可能な他のモノマー(iii)〔以下、モノマー(iii)という〕との共重合体が挙げられる。
総炭素数が1以上、7以下である脂肪酸のビニルエステルを構成する脂肪酸は、炭素数1以上、5以下が好ましい。総炭素数が1以上、7以下である脂肪酸のビニルエステルの具体例としては、酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、酢酸ビニルが好ましい。前記共重合体の総炭素数が1以上、7以下である脂肪酸のビニルエステル(i)も同様である。
また不飽和カルボン酸類(ii)としては、総炭素数3〜9の不飽和カルボン酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノブチル、マレイン酸モノブチルから選ばれる1種又は2種以上の不飽和カルボン酸が好ましい。
モノマー(iii)としては、α,β−不飽和カルボン酸アミドが好ましく、更に、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数1〜9のアルコキシル基、又は炭素数2〜9のアシル基を有するα,β−不飽和カルボン酸アミドが好ましい。具体的には、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ダイアセトンイソアクリルアミド等が好ましいものとして例示される。また、ジアルキル置換体の場合、2つのアルキル鎖長は異なっていてもよく、α,β−不飽和カルボン酸アミドモノマーのかわりに、α,β−不飽和カルボン酸アミドモノマーのポリマーも使用可能である。ポリマーの場合、その分子量は特に限定されず、上記のカルボン酸アミド群から選ばれる2種以上のモノマーを共重合して得たコポリマーであってもよい。
(b)成分を構成する上記総炭素数が1以上、7以下である脂肪酸のビニルエステル(i)、不飽和カルボン酸類(ii)及びモノマー(iii)の共重合割合は、全モノマー中、総炭素数が1以上、7以下である脂肪酸のビニルエステル(i)99.9〜70質量%、不飽和カルボン酸類(ii)0.1〜10質量%、モノマー(iii)0〜20質量%の割合が好ましい。不飽和カルボン酸類(ii)及びモノマー(iii)の共重合割合等を変化させることにより、糊剤の繊維への吸着性に優れ、洗濯時の糊落ち性に優れるとともに、共重合反応の安定性を調節することができる。
本発明の(b)成分は、これを含有するエマルジョンとして製造できる。この場合、総炭素数が1以上、7以下である脂肪酸のビニルエステル(i)は、エマルジョンを合成する際の全仕込み原料に対して、20質量%以上、更に25質量%以上用いるのが好ましく、そして、60質量%以下、更に50質量%用いるのが好ましい。また、総炭素数が1以上、7以下である脂肪酸のビニルエステル(i)は、エマルジョンを合成する際の全仕込み原料に対して、20〜60質量%用いるのが好ましく、25〜50質量%用いるのが更に好ましい。その際、不飽和カルボン酸類(ii)は、前記総炭素数が1以上、7以下である脂肪酸のビニルエステル(i)100質量部に対して0.1質量部以上、更に0.2質量部以上の割合で用いるのが好ましく、そして、15質量部以下、更に5質量部以下の割合で用いるのが好ましい。また、不飽和カルボン酸類(ii)は、前記総炭素数が1以上、7以下である脂肪酸のビニルエステル(i)100質量部に対して0.1〜15質量部、更に0.2〜5質量部の割合で用いるのが好ましい。また、モノマー(iii)、中でもα,β−不飽和カルボン酸アミドは、前記総炭素数が1以上、7以下である脂肪酸のビニルエステル(i)100質量部に対して1質量部以上、更に2質量部以上の割合で用いるのが好ましく、そして、30質量部以下、更に20質量部の割合で用いるのが好ましい。また、モノマー(iii)、中でもα,β−不飽和カルボン酸アミドは、前記総炭素数が1以上、7以下である脂肪酸のビニルエステル(i)100質量部に対して1〜30質量部、更に2〜20質量部の割合で用いるのが好ましい。α,β−不飽和カルボン酸アミドの割合を1質量部以上とすることにより洗濯時の糊落ち性を充分に改善することができ、また30質量部以下とすることにより共重合時のエマルジョンの安定性が良好となる。
本発明の(b)成分としては、酢酸ビニル(i−1)と、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種以上の不飽和カルボン酸(ii−1)と、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド及びN,N−ジエチルメタクリルアミドから選ばれる1種以上の不飽和カルボン酸アミド(iii−1)とを重合してなる重合体であって、該重合体の構成単量体中、前記(i−1)が40質量%以上、更に60質量%以上、更に80質量%以上、更に90質量%以上、更に95質量%以上、また、98質量%以下、更に97質量%以下、更に96質量%以下であり、前記(ii−1)が0.5質量%以上、更に1質量%以上、更に2質量%以上、そして、30質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下、更に3質量%以下であり、前記(iii−1)が0.5質量%以上、更に1質量%以上、更に1.5質量%以上、そして、30質量%以下、更に10質量%以下、更に8質量%、更に5質量%、更に3質量%以下である重合体が好ましい。また、(b)成分は、酢酸ビニル(i−1)と、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種以上の不飽和カルボン酸(ii−1)と、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド及びN,N−ジエチルメタクリルアミドから選ばれる1種以上の不飽和カルボン酸アミド(iii−1)とを重合してなる重合体であって、該重合体の構成単量体中、前記(i−1)が40〜98質量%、更に60〜97質量%、更に90〜96質量%であり、前記(ii−1)が0.5〜30質量%、更に1〜10質量%、更に2〜3質量%であり、前記(iii−1)が0.5〜30質量%、更に1〜10質量%、更に1.5〜3質量%である重合体が好ましい。
(b)成分を含むエマルジョンについて詳述する。(b)成分を含有するエマルジョンを得るための共重合反応に際しては、乳化剤として界面活性剤が用いられる。かかる界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤が挙げられる。
これらのうち、ノニオン界面活性剤が好ましい。ノニオン性界面活性剤としては、HLBが12以上、更に15以上、そして、19以下、更に18以下のものが好ましい。また、これらのノニオン性界面活性剤としては、HLBが12〜19、更に15〜18のものが好ましい。
(b)成分を含有するエマルジョンを製造する際、界面活性剤、好ましくはノニオン性界面活性剤と、(c)成分、好ましくはカチオン化澱粉及びカチオン化セルロースから選ばれる水溶性重合体の存在下で、総炭素数が1以上、7以下である脂肪酸のビニルエステルが一部ないし全部を占めるモノマーを重合させることができる。この方法は、糊剤の繊維に対する吸着性を高める観点から好ましい。
本発明においては、最終的な糊剤組成物における界面活性剤の含有量を、(b)成分及び(c)成分の合計質量に対して1.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下とすることが好ましい。界面活性剤の含有量が1.0質量%以下であると、エマルジョンの繊維への吸着性が著しく向上し、繊維へ張りを与えるためのエマルジョン量が低減出来る。(b)成分及び(c)成分の合計質量に対する界面活性剤の含有量を1.0質量%以下にする方法としては、上記(b)成分及び(c)成分を含有するエマルジョンを製造する際に、乳化剤として用いられる界面活性剤の添加量を上記割合になるように調整する方法、又は得られたエマルジョン中の界面活性剤を濾過等により除去して、界面活性剤の含有量が上記割合になるようにする方法が挙げられる。
本発明の糊料組成物中、界面活性剤の含有量は0.01〜1質量%が好ましく、0.05〜0.5質量%が更に好ましい。
本発明の繊維製品用糊剤組成物において、(b)成分の含有量は、上限値以下で組成物自体が計量しやすい適切な粘度となり、下限値以上で衣類のハリ性を向上させる糊剤としての効果が良好となるため、10質量%以上、更に20質量%以上、更に30質量%以上、更に35質量%以上が好ましく、そして、70質量%以下、更に60質量%以下、更に50質量%以下、更に45質量%以下が好ましい。また、同様の理由により、(b)成分の含有量は、本発明の組成物中、10〜70質量%が好ましく、20〜60質量%がより好ましく、30〜50質量%が更に好ましく、35〜45質量%がより更に好ましい。
<(c)成分>
(c)成分は、カチオン性基を有する水溶性重合体である。(c)成分である水溶性重合体は、特開平10−195772号公報または特開2001−3024号公報記載の方法で得ることが出来るものである。
(c)成分は、衣類への糊剤の吸着性に優れるものが好ましい。(c)成分としては、カチオン性セルロース、カチオン性澱粉、及びカチオン性ビニル重合体から選ばれる1種又は2種以上のカチオン性基を有する水溶性重合体が挙げられる。(c)成分としては、カチオン性セルロース、及びカチオン性澱粉から選ばれる1種又は2種以上のカチオン性基を有する水溶性重合体が好ましく、カチオン性澱粉がより好ましい。カチオン性セルロース及びカチオン性澱粉から選ばれる1種又は2種以上のカチオン性基を有する水溶性重合体としては、例えば次の一般式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2014001469
〔式中、
A:セルロース残基又は澱粉残基を示す。
1c:炭素数1〜12のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基を示す。
2c,R3c,R4c:それぞれ同一であっても異なっていても良い、炭素数1〜12のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。またR2c,R3c,R4cのうちのいずれか2つは窒素原子とともに複素環を形成していてもよい。
X’-:塩素、臭素、沃素、硫酸、スルホン酸、メチル硫酸、燐酸、硝酸等のアニオンを示す。
p:1以上、セルロース又は澱粉中の水酸基の数以下の整数を示す。〕
本発明に用いられるカチオン性セルロース及びカチオン性澱粉のカチオン置換度は0.01以上、2以下、また、0.01〜2、即ち無水グルコース単位当り、0.01個以上、更に0.05個以上、そして、2個以下、更に1.5個以下のカチオン基が導入されたもの、また、無水グルコース単位当り、0.01〜2個、更に0.05〜1.5個のカチオン基が導入されたものが好ましい。カチオン置換度を0.01以上とすることにより繊維への吸着性を十分向上させることができ、また2を超えてもかまわないが反応収率の点から2以下が好ましい。
またカチオン性ビニル重合体としては次の一般式(3)で表されるものが例示される。
Figure 2014001469
〔式中、
5c:水素原子又はメチル基を示す。
6c,R7c,R8c:それぞれ同一であっても異なっていても良い、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は置換アルキル基を示す。
Y:エステル結合中の酸素原子又はアミド結合中のNH基を示す。
X’-:塩素、臭素、沃素、硫酸、スルホン酸、メチル硫酸、燐酸、硝酸等のアニオンを示す。
r:1〜10の数を示す。
q:10〜10,000の数を示す。〕
これらカチオン性基を有する水溶性重合体としては、上記一般式(2)で表されるカチオン性セルロース又はカチオン性澱粉が好ましい。また、カチオン性基を有する水溶性重合体の50℃における5質量%水溶液の粘度は、5mPa・s以上、更に10mPa・s以上が好ましく、そして、1,000mPa・s以下、更に500mPa・s以下が好ましい。また、該粘度は、5〜1,000mPa・sが好ましく、10〜500mPa・sが更に好ましい。
本発明の繊維製品用糊剤組成物において、(c)成分の含有量は、上限値以下で組成物自体の液性が良好となり、下限値以上では洗濯機で糊剤を使用した場合の衣類への吸着性が向上するため、0.2質量%以上、更に0.5質量%以上、更に1質量%以上、更に3質量%以上が好ましく、そして、10質量%以下、更に8質量%以下、更に5質量%以下、更に4質量%以下が好ましい。また、同様の理由により、(c)成分の含有量は、本発明の組成物中、0.2〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましく、1〜5質量%が更に好ましく、3〜4質量%が最も好ましい。
<(d)成分>
(d)成分は、多価アルコールであり、組成物の低温保存安定性を向上させるとともに、アイロン時の香り立ち性を高める目的で配合する。本発明において使用される好ましい多価アルコールとしては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びソルビトールから選ばれる1種又は2種以上の多価アルコールが挙げられる。なかでも、エチレングリコール、及びプロピレングリコールから選ばれる多価アルコールが組成物の低温保存安定性の向上及びアイロン時の香り立ち性を高める点から好ましい。
本発明の繊維製品用糊剤組成物において、(d)成分の含有量は、上限値以下では組成物自体の均一な分散液が得られ、下限値以上で組成物の低温保存安定性が優れるとともに、アイロン時の香り立ち性を高められるため、0.2質量%以上、更に0.5質量%以上、更に1質量%以上、更に2質量%以上、更に2.5質量%以上、更に3質量%以上が好ましく、そして、10質量%以下、更に8質量%以下、更に5質量%以下、更に4質量%以下が好ましい。また、同様の理由により、(d)成分の含有量は、本発明の組成物中、0.2〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましく、1〜5質量%が更に好ましく、3〜4質量%がより更に好ましい。
<水>
本発明の繊維製品用糊剤組成物は、水を含有する。水は、該組成物の残部であってよいが、含有量は30質量%以上、更に50質量%以上、そして、90質量%以下、更に80質量%以下が好ましい。
<繊維製品用糊剤組成物>
組成物の保存安定性の観点から、本発明の繊維製品用糊剤組成物の20℃におけるpHは、4以上、更に5以上、更に6以上、更に6.5以上が好ましく、そして、10以下、更に9以下、更に8.5以下、更に8以下が好ましい。また、同様の理由により、本発明の繊維製品用糊剤組成物の20℃におけるpHは、4〜10が好ましく、5〜9がより好ましく、6〜8.5が更に好ましく、6.5〜8がより更に好ましい。
本発明の繊維製品用糊剤組成物は、液体組成物であることが好ましい。組成物は、溶液、分散液のいずれであってもよい。
〔(e)成分〕
本発明の繊維製品用糊剤組成物は、アイロンの滑り性を向上させるために、(e)成分としてシリコーン化合物を含有することが好ましい。シリコーン化合物としては、水不溶性のシリコーン化合物が好適である。ここで水不溶性のシリコーン化合物とは、20℃のイオン交換水1Lに溶解する量が1g以下のシリコーン化合物である。具体的にはジメチルポリシロキサン、4級アンモニウム変性ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、アミド変性ジメチルポリシロキサン、エポキシ変性ジメチルポリシロキサン、カルボキシ変性ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、フッ素変性ジメチルポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上の水不溶性シリコーン化合物が挙げられる。
シリコーン化合物、中でも水不溶性のシリコーン化合物の分子量は、2,000以上、更に3,000以上、更に5,000以上が好ましく、そして、100万以下が好ましい。また、シリコーン化合物、中でも水不溶性のシリコーン化合物の分子量は、好ましくは2,000〜100万、より好ましくは3,000〜100万、更に好ましくは5,000〜100万である。
シリコーン化合物、中でも水不溶性のシリコーン化合物の25℃における粘度は、2mm2/s以上、更に500mm2/s以上、更に1,000以上が好ましく、そして、100万mm2/s以下が好ましい。また、シリコーン化合物、中でも水不溶性のシリコーン化合物の25℃における粘度は、好ましくは2〜100万mm2/s、より好ましくは500〜100万mm2/s、更に好ましくは1,000〜100万mm2/sである。
(d)成分としては、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、アミド変性ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンから選ばれる1種以上、好ましくはポリオキシエチレン)変性ジメチルポリシロキサンから選ばれる1種以上が好ましく、ジメチルポリシロキサン(ジメチルシリコーン)がより好ましい。これらは、水不溶性であることが好ましく、前記分子量、前記粘度を有することが好ましい。
アミノ変性ジメチルポリシロキサンとしては、アミノ当量(アミノ当量とは窒素原子1個当たりの分子量)が、1,500g/mol以上、更に2,500g/mol以上、更に3,000g/mol以上、そして、40,000g/mol以下、更に20,000g/mol以下、更に10,000g/mol以下のものが好適である。また、アミノ変性ジメチルポリシロキサンとしては、前記アミノ当量が、1,500〜40,000g/mol、更に2,500〜20,000g/mol、より更に3,000〜10,000g/molのものが好適である。
ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンとしては、界面活性剤便覧(産業図書(株)発行 昭和35年7月5日発行)、324頁〜325頁に記載の曇数Aが、0以上、そして、18以下、更に10以下、更に5以下のものが好適である。また、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンとしては、前記曇数Aが、0〜18、更に0〜10、より更に0〜5のものが好適である。
アイロンの滑り性を向上させる観点から、(e)成分として、下記一般式(4)で表される化合物を用いることもできる。
Figure 2014001469
〔式中、Zは−OH、−R1(R1は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数1以上、22以下の脂肪族炭化水素基)又は−OR2(R2は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数6以上、22以下の炭化水素基)、WはZ又は−OSi(Z)3、n’は平均重合度を示す16以上、20,000以下の数である。複数個のZ及びWはそれぞれ同一でも異なっていても良いが、一分子中に−OR2を少なくとも1つ有する。〕
一般式(4)に於いてn’は平均重合度を示すが、アイロンの滑り性向上の点からn’の値は16以上であり、好ましくは20以上、更に30以上、更に50以上、更に100以上、そして、20,000以下であり、好ましくは15,000以下、更に10,000以下、更に8,000以下、更に5,000以下である。また、同様の理由により、n’の値は16〜20,000であり、20〜15,000が好ましく、30〜10,000がより好ましく、50〜8,000が更に好ましく、100〜5,000がより更に好ましい。
本発明の繊維製品用糊剤組成物において、(e)成分の含有量は、上限値以下では処理繊維がべとつかず、良好な手触りとなり、下限値以上でアイロンの滑り性に優れるため、0.005質量%以上、更に0.01質量%以上、更に0.05質量%以上、更に0.1質量%以上が好ましく、そして、3質量%以下、更に1質量%以下、更に0.5質量%以下、更に0.3質量%以下が好ましい。また、同様の理由により、(e)成分の含有量は、本発明の組成物中、0.005〜3質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましく、0.05〜0.5質量%が更に好ましく、0.1〜0.3質量%がより更に好ましい。
〔その他の成分〕
本発明の糊剤組成物は、糊剤組成物自体あるいは処理した繊維製品の香り立ちをよくする観点から、(f)成分として香料を含有することができる。本発明の繊維製品用糊剤組成物中の(f)成分の含有量は、0質量%以上、更に0.01質量%以上、更に0.1質量%以上が好ましく、そして、1.5質量%以下、更に1質量%以下、更に0.8質量%以下が好ましい。また、同様の理由により、本発明の繊維製品用糊剤組成物中の(f)成分の含有量は、0〜1.5質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましく、0.1〜0.8質量%が更に好ましい。また、(a)成分と(f)成分の割合は、(a)成分/(f)成分の質量比で50/50以上、更に70/30以上、更に80/20以上が好ましく、そして、99/1以下、更に90/10以下が好ましい。また、(a)成分/(f)成分の質量比は、50/50〜99/1が好ましく、70/30〜90/10がより好ましく、80/20〜90/10が更に好ましい。
(f)成分としては、テルピネオール、ゲラニオール、リナロール、ミルセノール、ネロール、シス−ジャスモン、フェニルエチルアセテート、アリルアミルグリコレート、リファローム、シス−3−ヘキシルアセテート、スチラリルアセテート、o−t−ブチルシクロヘキサノン、p−t−ブチルシクロヘキサノン、アセチルオイゲノール、シンナミルアセテート、オイゲノール、イソオイゲノール、モスシンス、アニソール、メチルオイゲノール、クマリン、i)α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、リモネン、テルピノーレン、ミルセン、p−サイメンから選ばれる炭化水素系香料、ii)サンダルマイソールコア、サンタロール、l−メントール、シトロネロール、ジヒドロミルセノール、エチルリナロール、ムゴール、ネロリドールから選ばれるアルコール系香料、iii)アルデヒドC−111、グリーナール、マンダリンアルデヒド、シトラール、シトロネラール、アミルシンナミックアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド、リリアール、ジヒドロジャスモン、l−カルボン、イオノンα、メチルイオノンα、メチルイオノンGから選ばれるアルデヒド、ケトン系香料、iv)ヘプチルアセテート、シトロネリルアセテート、ゲラニルアセテート、リナリルアセテート、エチルシンナメート、ベンジルサリシレート、イソブチルサリシレートから選ばれるエステル系香料、v)チモール、バニトロープから選ばれるフェノール系香料、vi)セドロキサイド、シトロネリルエチルエーテル、アネトール、ネロリンヤラヤラ、エステラゴール、メチルイソオイゲノールから選ばれるエーテル系香料、その他β−カリオフィレン、トリメチルウンデセナール、ヘキシルサリシレート、アンブロキサン、テンタローム、パールライド等を挙げることができる。(f)成分として、ここに列記した化合物の1種又は複数種を用いることができる。
また、本発明において、更に、組成物の液性維持を考慮して、(d)成分以外の有機溶媒を含有していてもよい。有用な有機溶媒の具体例としては、ベンジルアルコール、脂肪族分岐鎖アルコール(例えば、2−メチルブタノール及び2−エチルブタノール)、アルコキシル化脂肪族分岐鎖アルコール(例えば、1−メチルプロポキシエタノール及び2−メトキシブトキシエタノール)、炭素数1〜5の直鎖アルコールのアルコキシル化物(例えば、ブトキシプロポキシプロパノール、ブトキシエタノール、ブトキシプロパノール、エトキシエタノール、又はこれらの混合物)、炭素数1〜5の直鎖アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、又はこれらの混合物)が挙げられる。
使用に好ましい有機溶媒としては、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、メタノール、エタノールが挙げられる。
本発明において、(d)成分以外の有機溶媒の含有量は、0質量%以上、更に0.01質量%以上、更に0.1質量%以上が好ましく、そして、10質量%以下、更に5質量%以下、更に3質量%が好ましい。また、(d)成分以外の有機溶媒の含有量は、組成物中、0〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましく、0.1〜3質量%が更に好ましい。
更に本発明の繊維製品用糊剤組成物には必要に応じて、香料、殺菌剤、防腐剤、蛍光染料、顔料等を添加することができる。
<繊維製品の処理方法>
本発明の繊維製品用糊剤組成物は、該組成物を繊維製品に付与する工程、該工程の後に繊維製品を乾燥させる工程、及び、該工程の後にアイロン掛けする工程、を有する繊維製品の処理方法に用いることが好ましい。本発明の組成物を繊維製品に付与する工程は、該組成物又はその水による希釈液を、衣料等の繊維製品と接触させて行うことができる。本発明の組成物を水で希釈した処理液に繊維製品を浸漬する方法が好ましい。
本発明の糊剤組成物を繊維製品に付与するにあたっては、繊維製品に対する処理液(糊剤組成物又はその希釈水)の量、所謂、浴比[処理液の質量]対[繊維製品の質量]を、1対1〜1対4程度にする方法で使用することが出来る。また、1対10〜1対40程度での使用も可能である。
また、本発明の糊剤組成物の固形分が、繊維製品の質量に対して、0.2〜6質量%、更に0.5〜4質量%となるように本発明の糊料組成物を繊維製品に付与することが好ましい。
処理液を用いる場合、該処理液の温度は、5℃〜40℃が好ましく、10℃〜30℃が更に好ましい。処理液への繊維製品の浸漬時間は、5分〜30分であることが好ましい。
本発明の組成物が付与された繊維製品を乾燥させる工程は、該繊維製品を乾燥機などの加熱下で乾燥させる方法や自然乾燥させる方法で行うことができる。また、アイロン掛けは、繊維製品の種類、素材等に応じて、一般的な条件(温度、時間等)を採用して行うことができる。
実施例及び比較例で用いた各配合成分をまとめて以下に示す。
<(a)成分>
(a−1):下記合成例1で得られたオクチルケイ酸トリス(2-フェニルエチル)エステル
(a−2):下記合成例2で得られたケイ酸テトラキス(cis-3-ヘキセニル)エステル
(a−3):下記合成例3で得られたポリ(3,7-ジメチル-trans-2,6-オクタジエニルオキシ)シロキサン
<(a’)成分((a)成分の比較品)>
(a’−1):フェニルエチルアルコール
(a’−2):cis-3-ヘキセノール
(a’−3):ゲラニオール
<(b)成分及び(c)成分>
(bc−1):下記合成例4で得られた酢酸ビニル・メタクリル酸・N,N-ジメチルアクリルアミドからなる共重合ポリマー、及びカチオン化澱粉を含有する混合物〔(b)成分及び(c)成分を含有する混合物〕
<(d)成分>
(d−1):プロピレングリコール
<(e)成分>
(e−1):ジメチルシリコーンエマルション(KM-97K、信越化学工業(株))
合成例1:オクチルケイ酸トリス(2-フェニルエチル)エステル[トリス(2-フェニルエチルオキシ)オクチルシラン]の合成
300mLの四つ口フラスコにオクチルトリエトキシシラン83.01g(0.30mol)、フェニルエチルアルコール127.76g(0.83mol)、2.8質量%ナトリウムメトキシドメタノール溶液0.857mLを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら110-115℃で2.5時間攪拌した。2.5時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら110-119℃で更に3時間攪拌した。3時間後、冷却・減圧を解除した後、濾過を行い、オクチルケイ酸トリス(2-フェニルエチル)エステルを含む173.61gの淡黄色油状物を得た。
合成例2:ケイ酸テトラキス(cis-3-ヘキセニル)エステル[テトラキス(cis-3-ヘキセニルオキシ)シラン]の合成
200mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン35.45g(0.17mol)、cis-3-ヘキセノール64.74g(0.65mol)、2.8質量%ナトリウムメトキシドメタノール溶液1.34mLを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら118-120℃で約2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら112-119℃で更に3時間攪拌した。3時間後、冷却・減圧を解除した後、濾過を行い、ケイ酸テトラキス(cis-3-ヘキセニル)エステルを含む66.17gの薄茶色油状物を得た。
合成例3:ポリ(3,7-ジメチル-trans-2,6-オクタジエニルオキシ)シロキサンの合成
100mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン72.96gと水酸化カリウム0.24g、イオン交換水0.4mLを入れ、窒素気流下120-125℃、33kPa-101kPa(常圧)で約37時間反応を行った。この間イオン交換水を0.4mL追加した。反応後、33kPaで更に2時間反応させた後、冷却、濾過を行い、67.29gのエトキシシランの縮合物を淡黄色液体として得た。続いて、100mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン縮合物25.00gと3,7-ジメチル-trans-2,6-オクタジエン-1-オール(ゲラニオール)62.95g、4.8質量%水酸化ナトリウム水溶液0.17gを入れ、エタノールを留出させながら97-121℃で2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら118-121℃で更に3時間攪拌した。3時間後、冷却・減圧を解除した後、濾過を行い、65.36gのポリ(3,7-ジメチル-trans-2,6-オクタジエニルオキシ)シロキサンを淡黄色油状物として得た。
合成例4:酢酸ビニル・メタクリル酸・N,N-ジメチルアクリルアミドからなる共重合ポリマー、及びカチオン化澱粉の混合物
窒素雰囲気下で重合反応槽に、カチオン化澱粉[コーンスターチと3−(N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド)−1,2−プロピレンオキサイドとの反応で得る。カチオン置換度は0.08、5質量%水溶液の50℃における粘度は70mPa・sである]8.9質量部、及びイオン交換水100質量部を90℃にて均一溶解した後60℃まで冷却し、酢酸ビニルを10質量部とポリビニルアルコール(重量平均分子量66,000)3質量部、ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、平均付加モル数40、HLB18.3)1.5質量部を加え、更に、リン酸3ナトリウム0.5質量部、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩0.4質量部、イオン交換水20質量部を加え、75℃に加熱して重合を開始した。重合開始後、6時間かけて、酢酸ビニル、メタクリル酸、N,N−ジメチルアクリルアミドの最終比率が95.5/2.5/2(質量比)になるように予め混合しておいたもの100質量部を、反応溶液中に滴下した。滴下終了後、80℃に昇温し、1時間そのまま攪拌を続けた。冷却後、10質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いてエマルションのpHを5に調整し、酢酸ビニル・メタクリル酸・N,N-ジメチルアクリルアミドからなる共重合ポリマー〔(b)成分〕を40.9質量%、カチオン化澱粉〔(c)成分〕を3.6質量%、ノニオン性界面活性剤を0.6質量%含有する混合物を得た。
実施例及び比較例
最終の糊剤組成物が1,000gになるように、表1に示す配合成分を表1に示す割合で用い、下記方法により表1に示す組成の糊剤組成物を調製した。得られた糊剤組成物を、下記処理方法で繊維製品に処理し、乾燥させた後、アイロン掛けを行った際の香り強度の評価を下記方法で行った。
<糊剤組成物の調製法>
長さ5cm、太さ0.8cmのスターラーピースを入れた1,000mLのガラスビーカーに(bc−1)を入れ、25℃にて、300rpmで攪拌しながら、(a)又は(a’)、(d−1)、(e−1)、イオン交換水を添加し、糊剤組成物を調製した。
<香り強度の評価>
(1)前処理
木綿100%ブロード((株)色染社)1.5kgを、市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)2012年製、アタック高活性バイオEX、粉末タイプ)を用いて、家庭用全自動洗濯機(日立製NW−6CY)で5回洗浄を繰り返して過分の薬剤を除去した後(洗剤濃度0.0667質量%、水道水47L使用、水温20℃、洗浄10分、ため濯ぎ2回)、25℃40%RHの室内で一昼夜乾燥した。乾燥後、ブロードを15cm×25cmに裁断し、香り評価用試験布とした。
(2)糊剤組成物による繊維製品の処理
上記で調製した糊剤1.3gを20℃の水道水500mlが入った洗浄槽(内容積1,000ml)に入れ、よく分散させた後、上記試験布20gを入れ、ターゴトメータ型洗浄試験機を使用して、80rpmで5分間処理した。その後、1分間脱水してから、20℃、65%RHの恒温恒湿室中で一昼夜乾燥した。乾燥後、150℃にて1分間アイロン掛けを行った。
(3)アイロン掛け時の香り強度、及び室温まで放冷した布の香り強度
上記のアイロン掛け作業の間に感じられた香り強度の官能評価を行った。また、アイロン掛けした後の試験布について、20℃まで放冷した後に、香り強度の官能評価を行った。官能評価は、10人のパネラー(香り強度の官能評価を3年以上経験している熟達した評価パネラー)により下記の基準による5段階の香り強度を判定し、平均点を算出した。この平均点に基づき、下記基準で香り強度を決定し、表1に示した。
〔香り強度評価基準〕
4…強いにおい
3…楽に感知できるにおい
2…何のにおいであるかわかる弱いにおい
1…やっと感知できるにおい
0…無臭
◎…平均点が3点以上
○…平均点が2点以上3点未満
△…平均点が1以上2点未満
×…平均点が1点未満
Figure 2014001469
実施例1〜3と比較例1〜3の結果から、本発明の(a)成分の効果により、アイロン掛け時に香り立つ匂いの強度が高いことがわかる。更には、室温まで放冷した後の布について、匂いの強度が高いことがわかる。

Claims (6)

  1. (a)一般式(1)で表される化合物、(b)総炭素数が1以上、7以下である脂肪酸のビニルエステル由来の構造を構成骨格の一部として有する重合体、(c)カチオン性基を有する水溶性重合体、(d)多価アルコール、及び水を含有する繊維製品用糊剤組成物。
    Figure 2014001469

    〔式中、Xは−OH、−R1(R1は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数1以上、22以下の脂肪族炭化水素基)又は−OR2(R2は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数6以上、22以下の炭化水素基)、YはX又は−OSi(X)3、nは平均重合度を示す0以上、15以下の数である。複数個のX及びYはそれぞれ同一でも異なっていても良いが、一分子中に−OR2を少なくとも1つ有する。〕
  2. (b)成分が、酢酸ビニル(i−1)と、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種以上の不飽和カルボン酸(ii−1)と、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド及びN,N−ジエチルメタクリルアミドから選ばれる1種以上の不飽和カルボン酸アミド(iii−1)とを重合してなる重合体であって、該重合体の構成単量体中、前記(i−1)が40質量%以上、98質量%以下であり、前記(ii−1)が0.5質量%以上、30質量%以下であり、前記(iii−1)が0.5質量%以上、30質量%以下である重合体である、請求項1記載の繊維製品用糊剤組成物。
  3. (c)成分が、カチオン化澱粉である請求項1又は請求項2記載の繊維製品用糊剤組成物。
  4. (d)成分が、プロピレングリコールである請求項1〜3の何れか1項記載の繊維製品用糊剤組成物。
  5. (e)成分として、更にシリコーン化合物を含有する請求項1〜4の何れか1項記載の繊維製品用糊剤組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか1項記載の糊剤組成物を繊維製品に付与する工程、該工程の後に繊維製品を乾燥させる工程、及び、該工程の後にアイロン掛けする工程、を有する繊維製品の処理方法。
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