JP5929332B2 - 車両用電源装置 - Google Patents
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Description
この蓄電池では、高電圧電気エネルギが蓄電されたままであると漏電などの発生の可能性が残ったままになる。その対策として、収容ケースを抵抗体として機能させるように構成するとともに、衝突時に、その抵抗体が蓄電池の正極と負極の間を接続する回路を構築する構造にすることが特許文献1に提案されている。
そこで、本発明は、追加部品を少なく、既存部品を流用して、衝突時の蓄電池に伴う不具合をできるだけ小さくすることができる車両用電源装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決する車両用電源装置に係る発明の第3の態様は、上記第1または第2の態様の特定事項に加え、前記制限抵抗として、当該電源装置が備えるインバータの平滑コンデンサ内の蓄電電力を放電する際に介在させる放電抵抗を流用することを特徴とするものである。
したがって、特別な抵抗体を追加するなどすることなく、既存の制限抵抗を流用して、衝突後に蓄電池の漏電などによる不具合が発生しないように未然に処置することができる。
図1および図2において、車両100は、フロントタイヤ101と、リアタイヤ102と、エンジン(内燃機関)103と、車両コントローラ105と、を備えて、走行可能に構築されている。また、車両100は、これらに加えて、電動モータ111と、バッテリパック(蓄電池)112と、インバータ113と、バッテリコントローラ11と、を備えるハイブリッド車として構築されている。なお、車両100は、電動モータ111の他に空調装置等の各種電気機器を車載している。
この車両100は、加速度Gセンサ(以下では、単にGセンサともいう)104などの各種センサ等の検出情報やドライバの操作情報に基づいて車両コントローラ105がエンジン103等を含めて全体を統括制御するようになっている。
バッテリセル121は、繰り返し充電に対する耐久性等に優れるリチウムイオン電池などが選択採用されており、直列に接続して所望の電圧電力で蓄電出力することができるように構築されている。このバッテリセル121には、メインフューズ126が直列接続されており、このメインフューズ126は、バッテリセル121から過電流が流れ出て事故・故障の要因になることを未然に防止する。また、バッテリセル121には、サービスプラグ127も直列接続されており、このサービスプラグ127は、サービス作業時に回路から引き抜くなどすることによりバッテリセル121の導通を遮断する。
これにより、バッテリコントローラ11は、電力供給の開始時の回路途中にプリチャージ抵抗124を介在させてインバータ113などの下流側に過大な突入電流が流れないように供給電流を抑制する。
これにより、バッテリコントローラ11は、衝突スイッチ12の検知情報に応じてバッテリパック112の各種リレー122、123、125の接断などを実行して電力の供給または遮断を制御する。
インバータ回路群131は、バッテリパック112が直流電流を出力する出力端子129P、129N間に、3相(UVW相)の各相毎の交流電流を出力するインバータ回路131aが配列されており、それぞれ3つの出力端子139U、139V、139Wが外装ケースに準備されている。
アクティブ放電抵抗21およびアクティブ放電リレー22は、バッテリパック112が直流電流を出力する出力端子129P、129N間でインバータ回路群131と並列に放電回路として接続されている。このアクティブ放電リレー22は車両コントローラ105が駆動制御するようになっている。
これにより、車両コントローラ105は、電力供給停止時に平滑コンデンサ132をアクティブ放電抵抗21を介してバッテリセル121のマイナス側に接続し(アース接続し)蓄電電力を放電させる。
これにより、バッテリコントローラ11は、放電リレー31の駆動を制御して、プリチャージ抵抗124およびプリチャージリレー125間とバッテリセル121のマイナス側との間のバイパスBを導通状態または遮断状態に切り換えることができる。このバッテリコントローラ11は、放電リレー31にそのバイパスBを導通状態にさせることによりバッテリセル121のプラス側をプリチャージ抵抗124を介してそのマイナス側に接続し(アース接続し)蓄電電力を放電させることができる。このとき、バッテリパック112内の蓄電電力は、プリチャージ抵抗124に通電されることにより発熱消費などされる。すなわち、バッテリコントローラ11が制御部を構成して、放電リレー31およびバイパスBを追加することにより本実施形態に係る電源装置が構築されている。
また、このとき、バッテリコントローラ11は、車両コントローラ105を介してアクティブ放電リレー22を導通状態にさせることにより、アクティブ放電抵抗21を介してバッテリセル121のプラス側をそのマイナス側に接続し(アース接続し)蓄電電力を放電させることができる。同様に、このときにも、バッテリパック112内の蓄電電力は、アクティブ放電抵抗21に通電されることにより発熱消費などされる。
例えば、車両100の操作待機時(READY時)には、メインリレー122、123が閉じて通電開始可能な状態で待機する。後述の衝突発生時などには、プリチャージ抵抗124を優先するようにメインリレー122、123を開いて導通状態を遮断するとともに、放電リレー31を閉じてバッテリパック112内の蓄電電力をプリチャージ抵抗124に通電して消費させる。
この衝突発生時に、メインリレー122、123が溶着などしていて開閉(遮断・導通)させることができない場合には、プリチャージリレー125とともにアクティブ放電リレー22も閉じてバッテリパック112内の蓄電電力を通電して消費させる。なお、このアクティブ放電抵抗21は、メインリレー122、123の溶着時などに限らず、例えば、過大な衝突が発生した場合などには、短時間でバッテリパック112内の蓄電電力を通電消費させるようにアクティブ放電リレー22を閉じて通電するようにしてもよい。
なお、このメインリレー122、123の溶着は、平滑コンデンサ132の電圧をそのメインリレー122、123を挟むようにして反対側で計測することにより、オフ時にも拘わらずに電圧検出時に溶着発生と判定することができる。
このときの各種値は、プリチャージ抵抗124が10Ωであるとともに、バッテリセル121は、内部インピーダンスが0.2Ω、その両端間の電圧がDC210V、蓄電50%で電流容量5Ahであった。このプリチャージ抵抗124は、放電リレー31を閉じた直後には約27Aでの放電(通電)があって、70分程度でバッテリセル121の両端部間の電圧がほぼ0Vとなった。なお、バッテリセル121内の蓄電残量(SOC)が0%になっても100V程度の電圧が残留していることから、それが0V程度にまで降下するまで十分に時間を掛ける必要がある。例えば、このバッテリセル121内の蓄電残量が100%の場合には、70分の倍の140分よりも長めの180分が経過すれば十分に両端部間の電圧は0V程度まで降下している。また、このプリチャージ抵抗124やアクティブ放電抵抗21は、通電される電流容量を考慮して容量設定すればよく、また、適宜、放熱体を備えさせてもよい。
具体的には、バッテリコントローラ11は、車両100に搭載のGセンサ104などのセンサ情報等に基づいて図4のフローチャートに示す制御処理(方法)を実行することにより、バッテリセル121内の蓄電電力を放電させて不具合が起こるのを防ぐ。ここで、バッテリコントローラ11は、漏電センサ14が内蔵されており、バッテリパック112内における漏電の有無を検知することができるようになっている。なお、この漏電センサ14は汎用品で十分であり、例えば、高抵抗素子間の電圧測定などをして漏電の有無を検知する。
まず、ステップS11では、車両100の走行開始後に衝突の有無を検知するためのGセンサ104が計測状態にあるか否かを繰り返し確認して、計測状態にあることが確認されたときに(Y)、次のステップS12に進むことを許可する。ステップS12では、Gセンサ104が衝突発生と判定する50G以上の加速度の変化があったか否かを確認して、50G以上の衝突判定が確認された場合(Y)には次のステップS12に進み、確認できない場合(N)にはステップS31に進む。ここで、Gセンサ104は、車両100の前後方向と左右方向のいずれでも加速度(G)を計測するように設置されて、不図示のエアバックの作動の要否を判断するために衝突検知部を構成しており、車両コントローラ105で衝突に伴う加速度変化を受けた場合に衝突発生と判定するようになっている。バッテリコントローラ11は、車両コントローラ105より送られてくる、この判定結果から衝突発生の有無を受け取るようになっている。
ステップS14では、メインリレー122、123を開けるとともに、放電リレー31を閉じて、バッテリパック112のバッテリセル121内の蓄電電力の放電を開始した後に次のステップS15に進む。そのステップS15では、その放電開始時からの経過時間の計時を開始した後に次のステップS16に進む。そのステップS16では、バッテリセル121の両端部間の電圧測定を開始した後に次のステップS17に進む。
ステップS17では、バッテリセル121の両端部間の電圧が3V以下まで降下してか否かを確認して、降下したことを確認できた場合(Y)にはこの制御処理を終了し、また、確認できない場合(N)にはステップS18に進む。そのステップS18では、バッテリセル121内の蓄電電力の放電開始後の経過時間が180分を超えたか否かを確認して、超えていることを確認できた場合(Y)にはこの制御処理を終了し、また、確認できない場合(N)にはステップS14に戻って同様の処理を繰り返す。
ステップS22では、バッテリコントローラ11内の漏電センサ14が漏電を検知しているか否かを確認して、漏電が確認された場合(Y)にはステップS14に進んで同様の処理を繰り返し、確認できない場合(N)にはステップS23に進む。
例えば、図5のタイムチャートの定常時には、イグニッションキーがオンされると、まずは、メインリレー(N)123とプリチャージリレー125が導通されて平滑コンデンサ132の蓄電(プリチャージ)が開始される。この平滑コンデンサ132の充電後には、メインリレー(P)122が導通された後に、プリチャージリレー125が遮断され、走行等の操作可能な待機(READY)状態になる。
この後に、イグニッションキーが手動オフされると、メインリレー122、123が遮断されるとともに、アクティブ放電リレー22が導通されて平滑コンデンサ132内の蓄電電力が放電される。
この後に、バッテリセル121の両端部間の電圧が3V以下まで降下して放電完了が確認できた場合に(ステップS16、S17)、あるいは、その放電開始から180分経過して十分な放電時間が経過したことを確認できた場合に(ステップS15、S18)、このバッテリパック112の衝突時における放電処置を終了する。
この放電処理の開始後には、バッテリセル121の実測電圧で確認するだけでなく、衝突に起因して電圧測定不能な場合にも図3に図示する実測結果に基づいて、放電するのに十分に時間経過したことを確認したときに不具合を起こす可能性がないとすることができる。なお、このときの放電処理が開始できないときには、確認不可として処理を進めることは言うまでもない。
このときに、バッテリパック112の損傷(衝突スイッチ12がオン)や漏電(漏電センサ14がオン)が確認されたときには、図5のタイムチャートの衝突Bと同様に、バッテリパック112の蓄電電力の放電処理を開始して放電完了を確認する(ステップS14〜S18)。
また、このときに、図5のタイムチャートの衝突Aに示すように、損傷や漏電のいずれも確認されないときには(ステップS21、S22)、念のために、電源遮断とイグニッションオフを一旦実行して再度イグニッションオンにし、一連のチェック処理を実行して問題ないときに正常復帰とする(ステップS23〜S25)。なお、このときにも、アクティブ放電リレー22をオンして平滑コンデンサ132内の蓄電電力を放電する。
このときには、バッテリパック112の損傷(衝突スイッチ12がオン)が確認されたときに(ステップS31)、同様に、バッテリパック112の蓄電電力の放電処理を開始して放電完了を確認する(ステップS14〜S18)。
また、漏電(漏電センサ14がオン)のみが確認されたときには(ステップS31、S32)、ステップS21、S22とは異なって、念のために、電源遮断とイグニッションオフを一旦実行して再度イグニッションオンすることにより一連のチェック処理を実行して問題ないときに正常復帰とする(ステップS23〜S25)。
衝突が発生している場合には、バッテリパック112の蓄電電力の放電処置を実行することができる。
また、漏電のみが発生している場合には、念のために一旦リセットして問題ないことを確認することができ、バッテリパック112が不具合を起こす可能性がないことを確認することができる。この衝突もなく漏電検知だけであるときには、何らかの要因で漏電センサ14が反応してしまった場合もある。このような誤検知などの場合にまでバッテリパック112の放電処理を実行してしまうことを回避しつつ、一旦リセットすることにより通常のチェック処理により漏電の有無などを再度確認することができる。このときに、現実に漏電が発生していて再度検知された場合には、通常のメンテナンス処理を確実に行わせてバッテリパック112に不具合が起こるのを防ぐ。
12 衝突スイッチ
14 漏電センサ
21 アクティブ放電抵抗
22 アクティブ放電リレー
31 放電リレー
100 車両
103 エンジン
104 加速度センサ
105 車両コントローラ
111 電動モータ
112 バッテリパック
113 インバータ
121 バッテリセル
122、123 メインリレー
124 プリチャージ抵抗
125 プリチャージリレー
132 平滑コンデンサ
B バイパス
Claims (2)
- 供給電力を蓄電する蓄電池と、該蓄電池の下流側に接続されて電流の流れを抑制する制限抵抗と、を備えて、
車載の電気機器に高電圧電力を供給する車両用の電源装置であって、
前記車両は、当該車両の衝突を検知する衝突検知部を備えており、
前記制限抵抗として当該電源装置が備える前記蓄電池から前記電気機器への突入電流を抑制するプリチャージ抵抗を流用して介在させる回路構成で前記蓄電池の正極と負極との間を導通させる導通回路と、該導通回路を閉回路に接続または該接続を遮断する接断部と、前記衝突検知部の前記車両の衝突検知時に前記接断部の接断動作を制御して前記導通回路を閉回路に接続する制御部と、を備えることを特徴とする車両用電源装置。 - 供給電力を蓄電する蓄電池と、該蓄電池の下流側に接続されて電流の流れを抑制する制限抵抗と、を備えて、
車載の電気機器に高電圧電力を供給する車両用の電源装置であって、
前記車両は、当該車両の衝突を検知する衝突検知部を備えており、
前記制限抵抗として当該電源装置が備えるインバータの平滑コンデンサ内の蓄電電力を放電する際に介在させる放電抵抗を流用して介在させる回路構成で前記蓄電池の正極と負極との間を導通させる導通回路と、該導通回路を閉回路に接続または該接続を遮断する接断部と、前記衝突検知部の前記車両の衝突検知時に前記接断部の接断動作を制御して前記導通回路を閉回路に接続する制御部と、を備えることを特徴とする車両用電源装置。
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