JP5927832B2 - 機能性発泡壁紙 - Google Patents

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Description

本発明は機能性発泡壁紙に関する。
近年、地球温暖化の抑制のためCO排出量の削減に関連し、省エネルギー指向が高まりをみせている。さらに、原子力発電所の稼働可否の判断基準の見直しに伴い、全国的に電力供給量が不足する傾向にあるため、省エネルギーが特段重要な課題となっている。省エネルギーを実現するためには、産業機器設備の分野における省エネルギーと並んで、住宅に起因する省エネルギー化も無視することはできない。住空間における省エネルギー化としては、エアコン、テレビ、冷蔵庫といった日常多用する家電機器類や電球などを省エネルギータイプのものにする、あるいは、エアコンや冷蔵庫の設定温度の調整を行うなどの方法が取り入れられている。
ところで、住空間において省エネルギー化を促進しうる部材という視点から内装材に着目すると、内装材で最も面積を占めるものとして壁面や天井が挙げられる。一般的に壁紙などの建築内装材には、室内の居住空間としての快適性を高める為に高い意匠性が求められ、特に立体的な意匠を持たせるために、発泡壁紙が採用される(例えば、特許文献1)。しかし、従来用いられる発泡壁紙の反射率は、淡色系の壁紙であれば高くて80%程度、柄のない白色系の壁紙であれば85%程度であるため、自然光や照明光が発泡壁紙にあたった際に、20%程度の光が壁紙に吸収、あるいは透過されていた。
壁面や天井に用いる発泡壁紙に従来よりも高拡散反射率を有する製品、例えば高拡散反射率を有する壁面や天井用の壁紙を提供することができれば、より少ない日照や照明であっても室内を明るくすることができる。そしてこれにより、室内照明の消費電力を削減したり、あるいは室内照明の数を削減することが可能となり、結果として省エネルギーへ繋がると考えられる。
特開2001−260287号公報
本発明は、優れた光線を拡散あるいは反射しうる性能、すなわち高拡散反射性を有する発泡壁紙を提供するものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の発明により解決できることを見出した。本発明の要旨は次の通りである。
1.基材、発泡樹脂層、及び光拡散反射層を順に有し、該光拡散反射層が光拡散剤の含有量Pと硬化性樹脂の含有量Vとの質量比(P/V)が3.5〜5.5となるように光拡散剤及び硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物である発泡壁紙。
2.基材と発泡樹脂層との間に非発泡樹脂層Aを有する上記1に記載の発泡壁紙。
3.発泡樹脂層と光拡散反射層との間に非発泡樹脂層Bを有する上記1又は2に記載の発泡壁紙。
4.光拡散反射層の上に表面保護層を有する上記1〜3のいずれかに記載の発泡壁紙。
5.その表面に凹凸模様を有する上記1〜4のいずれかに記載の発泡壁紙。
本発明によれば、優れた光線を拡散あるいは反射しうる性能、すなわち高拡散反射性を有する発泡壁紙を得ることができる。
本発明の発泡壁紙の一形態の断面を示す模式図である。 本発明の発泡壁紙の好ましい一形態の断面を示す模式図である。
本発明の発泡壁紙は、基材、発泡樹脂層、及び光拡散反射層を順に有し、該光拡散反射層が光拡散剤の含有量Pと硬化性樹脂の含有量Vとの質量比(P/V)が3.5〜5.5となるように光拡散剤及び硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物であることを特徴とするものである。図1は、本発明の発泡壁紙の一形態の断面を示す模式図であり、基材2、発泡樹脂層4及び光拡散反射層5を順に有する発泡壁紙1が示されている。また、図2は本発明の発泡壁紙の好ましい一形態の断面を示す模式図であり、基材2、非発泡樹脂層3A、発泡樹脂層4、非発泡樹脂層3B、光拡散反射層5、絵柄層6及び表面保護層7を順に有し、その表面に凹凸模様8を有する発泡壁紙1が示されている。
以下、図1及び2を用いて、本発明の発泡壁紙の構成について詳細に説明する。
[基材2]
基材は、通常壁紙として用いられるものであれば、特に限定されず、例えば裏打紙、難燃紙、合成樹脂シート、織布、不織布、編布などを用途に応じて適宜選択することができる。なかでも、スルファニル酸グアナジンやリン酸グアナジンなどの水溶性難燃剤を含浸させたパルプ主体の難燃紙、あるいは炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機質剤を混抄した無機質紙などの壁紙用裏打紙、またはこれを用いた裏打材などが好ましく用いられる。
裏打紙は、カール防止の観点より、水中伸度2%以下であるものが好ましく、1.8%以下であるものがより好ましく用いられる。なお、水中伸度はJAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.27:2000に準拠して測定された値である。
これらの材料は、それぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体など、任意の組み合わせによる積層体であってもよく、必要に応じて難燃剤、無機質剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、着色剤、サイズ剤、定着剤などの添加剤を適宜添加してもよい。
[発泡樹脂層4]
発泡樹脂層は、本発明の発泡壁紙に難燃性とともに立体的な意匠性を付与する層である。該発泡樹脂層は、通常発泡剤と樹脂成分とを含む発泡樹脂組成物により形成される層である。
(樹脂成分)
発泡樹脂組成物に含まれる樹脂成分としては、オレフィン樹脂、及びアクリル樹脂などが好ましく挙げられ、これらを単独で、複数の樹脂を組み合わせて採用することができる。
オレフィン樹脂は、オレフィンの単独重合体や2種類以上のオレフィン同士の共重合体だけでなく、オレフィン成分と他のモノマー成分との共重合体も包含される。
オレフィン樹脂としては、例えばエチレン樹脂、プロピレン樹脂、ブテン樹脂、ペンテン樹脂などが好ましく挙げられ、本発明においてはエチレン樹脂がより好ましく採用される。
エチレン樹脂としては例えば、エチレン単独重合体のほか、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体やエチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体樹脂、炭素原子数3〜5のエチレン−(メタ)アクリル酸アルキル共重合体などのエチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体などが好ましく挙げられる。オレフィン樹脂は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及びエチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体が好ましく、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体が好ましい。これらの樹脂は、優れた耐汚染性、耐擦傷性、耐薬品性などの表面特性を発泡壁紙に付与し、また凹凸模様を施す例えばエンボス加工において優れた凹凸追従性を示し、電離放射線により崩壊することなく、製造コストが安く、また燃焼時の煙濃度が少なく、環境保護の観点からも好ましい。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体において、酢酸ビニル成分(VA成分)は5〜30質量%であるものが好ましく、10〜30質量%がより好ましく、さらに好ましくは15〜25質量%である。また、エチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体において、(メタ)アクリル酸成分が3〜30質量%であるものが好ましく、5〜20質量%のものがより好ましく、さらに好ましくは5〜15質量%である。
アクリル樹脂は(メタ)アクリル酸成分を含む樹脂であり、(メタ)アクリル酸成分である(メタ)アクリル酸又はそのエステルの単独重合体や2種類以上の(メタ)アクリル酸成分同士の共重合体、また(メタ)アクリル酸成分と他のモノマー成分との共重合体も包含される。例えば、(メタ)アクリル酸メチル樹脂、(メタ)アクリル酸エチル樹脂などのアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体樹脂のほか、他のモノマー成分がオレフィンである共重合体、例えば上記のエチレンと不飽和カルボン酸との共重合体、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、具体的には例えばエチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体などが好ましく挙げられる。アクリル樹脂は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
また、発泡樹脂層に用いられる樹脂成分のメルトフローレート値(MFR)は、特に限定されないが、5〜80g/10分程度が好ましい。
(発泡剤)
発泡樹脂組成物に含まれる発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムなどの無機発泡剤;N,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロソテレフタルアミド、N,N'−ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどのニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウム・アゾジカルボキシレートなどのアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルフォニルヒドラジド、p,p'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド化合物、カルシウムアジド、4,4'−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホニルアジドなどのアジド化合物、などが好ましく挙げられる。
低コストであるとともに、分解熱が小さく、難燃性かつ自己消化性に優れ、水に安定であり、無毒であり、熱分解型化学発泡剤が分解温度以下での加工処理が可能であることから、アゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミドなどのアゾ化合物の熱分解型発泡剤が好適である。
発泡剤の添加量としては、要求される意匠性により適宜決めればよいが、上記の樹脂成分100質量部に対して、0.5〜15質量部が好ましい。
本発明においては、必要に応じて、一層の発泡効果を挙げるために発泡剤の分解を促進する発泡助剤を併用することができる。その発泡助剤としては使用する発泡剤の種類により異なるが、例えば発泡剤としてアゾジカルボンアミドを用いる場合には発泡助剤として酸化亜鉛、硫酸鉛、尿素、ステアリン酸亜鉛等が用いられる。
(無機充填剤)
発泡樹脂組成物は、発泡壁紙に難燃性を付与する目的で、無機充填剤を好ましく含有することができる。無期充填剤としては、特に制限はなく、様々なものを用いることができる。例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、フライアッシュ、脱水汚泥、天然シリカ、合成シリカ、カオリン、クレー、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、水酸化マグネシウム、タルク、マイカ、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、焼成タルク、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、燐酸マグネシウム、セピオライト、ゾノライト、ホウ酸アルミニウム、シリカバルーン、ガラスフレーク、ガラスバルーン、シリカ、製鉄スラグ、銅、鉄、酸化鉄、カーボンブラック、センダスト、アルニコ磁石、各種フェライト等の磁性粉、セメント、ガラス粉末、珪藻土、三酸化アンチモン、マグネシウムオキシサルフェイト、水和アルミニウム、水和石膏、ミョウバンなどが好ましく挙げられる。
なかでも、分解温度が低く、吸熱量が大きく、低コストであることから水酸化アルミニウムが好適である。これら無機充填剤は単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
無機充填剤は、発泡壁紙に難燃性を付与する効果を有し、多量に配合された場合にはその効果は一層増大する。無機添加剤の使用量は、発泡壁紙の難燃性を十分得る目的から、上記の樹脂成分100質量部に対して、15質量部以上であることが好ましく、80質量部以上であることが好ましく、100質量部以上がより好ましい。
無機充填剤の平均粒径は、無機充填剤の添加効果を効率的に得る観点から、5〜25μmが好ましく、5〜15μmがさらに好ましい。
これらの無機充填剤はそのまま使用してもよいが、無機充填剤をあらかじめシラン系、チタネート系、アルミネート系、ジルコアルミニウム系などのカップリング剤、りん酸系、脂肪酸系などの界面活性剤、油脂、ワックス、ステアリン酸、シランカップリング剤などにより処理してもよい。
また、発泡樹脂組成物は、要求される物性に応じて、各種添加剤を含有することができる。各種添加剤としては、例えば流動改質剤、防カビ剤、防虫剤、防腐剤、抗菌剤、希釈剤、消臭剤、光安定剤、可塑剤などが挙げられる。
(発泡樹脂層の形成)
発泡樹脂層は、上記の発泡樹脂組成物を用いて未発泡樹脂層を形成する工程、及び該未発泡樹脂層を発泡させる工程、を経て形成される。
未発泡樹脂層の形成は、上記の発泡樹脂組成物を、例えばエマルジョン化してエマルジョン組成物としたもの、又はペレット化したものを、コンマコーター法や、Tダイによる押出製膜法、カレンダー製膜法、接着剤を用いるドライラミネートによる方法などの公知の方法によって形成することができる。ここで、エマルジョン化は常法により行うことができ、エマルジョン組成物は例えば、発泡樹脂組成物中の樹脂成分を乳化重合法などによりエマルジョン化した後に、その他の成分を所定量加えて得られる。
Tダイによる押出製膜法を採用する場合、所望により設けられる非発泡樹脂層Aや非発泡樹脂層Bと、未発泡樹脂層との形成は、別々に行ってもよいし、同時に行ってもよい。同時に押出製膜する場合、各層に対応する溶融樹脂を同時に押出製膜することにより、複数層の同時形成が可能となるマルチマニホールドタイプのTダイなどが用いられる。
また、未発泡樹脂層の形成にTダイによる押出製膜法を採用した場合、発泡樹脂組成物に好ましく含有される無機充填剤が、押出成形機の押出口(いわゆるダイス)に残存しやすく、無機充填剤の残渣(いわゆる目やに)がシート表面の異物となりやすい傾向がある。このような場合、非発泡樹脂層A及びBの両方を設けることが好ましい。このような構成にすれば、目やにの発生は、二層の非発泡樹脂層3A及び3Bで未発泡樹脂層を挟んで同時形成することで、抑制することが可能となり、優れた製造安定性が得られる。
発泡樹脂組成物は、表面特性を向上させる目的で、架橋処理を施してもよい。架橋処理の方法は限定されず、例えば電離放射線による架橋処理(硬化処理)が好ましく挙げられる。例えば、基材、あるいは所望により設けた非発泡樹脂層上に、発泡樹脂組成物による層を形成し、電子線や紫外線などの電離放射線を照射して架橋させる。これにより、生産性が安定するうえ、発泡樹脂層はもちろんのこと、所望により設けられる非発泡樹脂層AやBの表面は硬くなり、発泡壁紙の表面特性が向上する。電離放射線の照射は、発泡樹脂組成物を発泡させる前、あるいは後に適宜行うことができ、容易に処理を行う観点から、発泡させる前の未発泡樹脂層の状態で架橋処理することが好ましい。
発泡樹脂組成物を架橋処理する場合、発泡樹脂組成物には架橋剤を好ましく含有させることができる。架橋剤としては、上記の発泡樹脂組成物中の樹脂成分を架橋させるものであれば、特に制限なく用いることができる。
架橋処理に用いる電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も含むものである。
紫外線源としては、例えば超高圧水銀燈、高圧水銀燈、低圧水銀燈、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプなどの光源を用いることができる。また、電子線源としては、例えばコックロフトワルトン型、パンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いればよい。照射線量としては、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
未発泡樹脂層は、公知の発泡処理の方法により発泡させることができ、例えば発泡加熱炉を用いて、180〜240℃程度の温度条件で発泡させることができる。発泡処理は、未発泡樹脂層として発泡樹脂組成物を製膜した後であれば特に制限なく行うことができるが、通常光拡散反射層を設けた後に行えばよい。
また、発泡樹脂層の厚さは、特に制限されず、所望の特性などに応じて適宜設定することができるが、未発泡樹脂層の厚さで50〜300μmが好ましく、また発泡後の発泡樹脂層の厚さで350〜1200μmが好ましい。また、発泡樹脂層の形成にあたっての発泡倍率も、通常は3〜7倍程度であればよい。発泡倍率が上記範囲内であれば、良好な表面強度、加工性などを得ることができる。
[非発泡樹脂層3A,3B]
発泡壁紙は、基材と発泡樹脂層との層間密着性を向上させる目的、あるいは各層を形成する材料が発泡樹脂層を経由して基材中に浸透することを抑制する目的で、さらに上記のように未発泡樹脂層の形成にTダイによる押出製膜法を採用した場合に製造安定性を得るために、非発泡樹脂層を好ましく有する。
本発明において、基材と発泡樹脂層との間に設けて両層の層間密着性を向上させるために好ましく有する非発泡樹脂層を非発泡樹脂層Aと称し、各層を形成する材料が発泡樹脂層を経由して基材中に浸透することを抑制する目的で、発泡樹脂層と光拡散反射層との間に好ましく有する非発泡樹脂層を非発泡樹脂層Bと称する。本発明においては、非発泡樹脂層A及びBの少なくともいずれか一層を有することが好ましく、非発泡樹脂層A及びBの性能を得つつ、製造安定性も考慮すると、非発泡樹脂層A及びBの両方を有することが好ましい。
(樹脂成分)
非発泡樹脂層A及びBは、樹脂成分と所望の性能に応じて添加される各種添加剤とを含む樹脂組成物により構成される。
樹脂成分としては、特に制限はなく、例えばオレフィン樹脂、アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂単体や、上記樹脂を形成する構成単位による各種共重合体を挙げることができる。これらのなかでも、オレフィン樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
オレフィン樹脂としては、発泡樹脂層に用いられる樹脂成分として例示したものと同様のものが好ましく例示され、なかでもエチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、あるいはエチレンと不飽和カルボン酸との共重合体やエチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、なかでもエチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体が好ましいことも発泡樹脂層に用いられる樹脂成分と同じである。また、アクリル樹脂としても、発泡樹脂層に用いられる樹脂成分として例示したものと同様のものが好ましく例示される。
(各種添加剤)
非発泡樹脂層A及びBを構成する樹脂組成物に所望の性能に応じて添加される各種添加剤としては、増量効果を付与するための無機充填剤、難燃性を付与するための難燃剤などを好ましく採用することができる。
無機充填剤としては、上記の発泡樹脂層に用いられる無機充填剤が好ましく例示される。
難燃剤としては、例えば尿素などの窒素化合物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物(特に結晶水を有する化合物)、自消性を有するリン又はハロゲン元素を含む難燃剤などが適しており、窒素化合物とリン化合物からなる混合難燃化合物が好ましい。難燃剤の使用量は、樹脂成分100質量部に対して、通常25〜100質量部程度である。樹脂成分との相溶性が良好となり、熱安定性も良好になるからである。
また、非発泡樹脂層には、柔軟性、耐衝撃性、易接着性を付与する目的で各種ゴム類を添加することもできる。ゴム類としては、例えばジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィンエラストマーなどが好ましく挙げられ、なかでも水素添加ジエン系ゴムが好ましい。水素添加ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加させてなるもので、本発明においては樹脂成分の改質材として使用され、樹脂成分の結晶化を抑え、柔軟性、透明性を高める役割がある。
本発明において、ゴム類の添加量は、樹脂成分100質量部に対し、通常1〜90質量部程度とすることが好ましい。
また、顔料を添加して透明着色又は不透明着色を施すこともできる。顔料としては、公知又は市販のものを制限なく使用することができる。例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブリーRS、アニリンブラックなどの有機顔料(染料も含む)、アルミニウム、真鍮等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料などが挙げられる。これらは、用途に応じて、透明着色顔料又は不透明着色顔料のいずれかを選択することができる。これら顔料は、粉末又は鱗片状箔片として添加、分散すればよい。
非発泡樹脂層A及びBは、上記のような樹脂組成物により構成されれば特に制限はなく、互いに同じ材料により形成されていてもよいし、異なる材料により形成されていてもよく、所望の性能に応じて適宜判断すればよい。また、これらの層の厚さも、同じであっても異なっていてもよく、所望の性能に応じて適宜選択すればよい。
(非発泡樹脂層の形成)
非発泡樹脂層A及びBは、上記の非発泡樹脂組成物を用いて、上記の発泡樹脂層の未発泡樹脂層と同様の方法、すなわちエマルジョン化してエマルジョン組成物としたもの、又はペレット化したものを、コンマコーター法や、Tダイによる押出製膜法、カレンダー製膜法、接着剤を用いるドライラミネートによる方法などの公知の方法によって形成することができる。Tダイによる押出製膜法を採用する場合、発泡樹脂組成物に好ましく含有される無機充填剤の残渣がダイスに残存してシート表面の異物となってしまう不具合を低減する、すなわち優れた製造安定性ためには、非発泡樹脂層A及びBを設け、これらの二層で未発泡樹脂層を挟んで同時形成することが好ましい。
また、表面特性を向上させるために架橋処理を施してよいのも、上記の発泡樹脂層と同じである。
また、非発泡樹脂層A及びBは、上記の樹脂成分からなる透明又は不透明な市販のフィルムを用いて形成することもできる。
非発泡樹脂層A及びBの厚さは、優れた表面特性を得て、エンボス加工による壁紙の凹凸追従性を確保する目的より、3〜50μmが好ましく、より好ましくは3〜20μmであり、さらに好ましくは5〜15μmである。また、上記範囲内であれば、フィルムの製造上の制約を受けることもない。
[光拡散反射層5]
光拡散反射層は、本発明の発泡壁紙に優れた光線を拡散あるいは反射しうる性能、すなわち高拡散反射性を付与する層であり、光拡散剤及び硬化性樹脂を所定含有量で含有する樹脂組成物の硬化物により形成される層である。
(樹脂組成物)
光拡散反射層を形成する樹脂組成物は、光拡散剤及び硬化性樹脂を含み、該光拡散剤の含有量Pと該硬化性樹脂の含有量Vとの質量比(P/V)が3.5〜5.5となるように含む樹脂組成物である。質量比(P/V)が3.5未満であると良好な高拡散反射性が得られず、5.5を超えると光拡散反射層と他の層との十分な層間密着性が得られず、加えて樹脂組成物の塗布適性が著しく低下する。このような観点から、光拡散剤の含有量Pと該硬化性樹脂の含有量Vとの質量比(P/V)は3.5〜4.5が好ましい。
光拡散剤としては、従来光拡散剤として公知の剤を用いることができ、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、酸化ケイ素、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛などの白色顔料が好ましく挙げられ、これらを単独又は複数種を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、屈折率が高く、また安価な酸化チタンがより好ましい。
本発明で用いられる酸化チタンとしては、その品位が75〜90%のものであることを要する。好ましくは78〜90%であり、より好ましくは78〜85%である。白色顔料に用いられる酸化チタンは、通常高品位酸化チタンといわれる品位が90%をこえて100%に近いものが選択されるが、本発明においては高品位すぎない領域の酸化チタンを用いる。このような領域の酸化チタンを用いることで、色調が落ち着き優れた意匠性とともに高拡散反射性をも得られる。ここで、酸化チタンの品位は、本発明で使用する酸化チタンについて、金属アルミニウム還元法あるいは亜鉛アマルガム法により測定した酸化チタンの含有量、すなわち酸化チタンの純度のことである。
また、酸化チタンとしては、該酸化チタンの粒子表面が未処理のもの、あるいは表面処理されたものを用いることができ、該酸化チタンを含む樹脂組成物の塗布のしやすさ、すなわち塗布適性を考慮すると、表面処理された酸化チタンが好ましい。
表面処理された酸化チタンとしては、例えば無機金属含水酸化物で表面処理されて、無機含水酸化物微粒子で表面が覆われたものが好ましく挙げられる。無機金属含水酸化物としては、アルミナ、シリカ、チタニアのほか、ジルコニア、酸化錫、酸化アンチモン、酸化亜鉛などが好ましく挙げられる。また、表面が未処理の酸化チタンや上記の無機金属含水酸化物で表面処理された酸化チタンを、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤などのカップリング剤、あるいはシリコーンオイル、フッ素系オイルなどで表面処理して、表面を疎水性や親油性にしたものも好ましく挙げられる。さらに、ペンタエリトリット、トリメチロールプロパンなどのポリオール系、トリエタノールアミン、トリメチロールアミンの有機酸塩などのアルカノールアミン系、シリコン樹脂、アルキルクロロシランなどのシリコン系などの有機薬品にて表面処理した酸化チタンも好ましく挙げられる。本発明においては、上記の表面処理を単独で、又は複数の表面処理を組み合わせて採用することができる。
本発明においては、高拡散反射性を得る観点から、上記のなかでもアルミナ、シリカ、酸化亜鉛による表面処理が好ましく、アルミナ、シリカによる表面処理がより好ましく、特にアルミナ・シリカ表面処理(アルミナ及びシリカの両方に表面処理)が好ましい。
酸化チタンは結晶形によりアナタース形とルチル形とブルカイト形があり、入手の容易さより、アナタース形とルチル形が好ましく、アナタース形(屈折率2.52)に比べてルチル形(屈折率2.71)は屈折率が高く、より高拡散反射性が得られることから、ルチル形の方がより好ましい。
酸化チタンの平均粒径は、通常0.05〜3μm程度であり、好ましくは0.05〜1μm、より好ましくは0.1〜0.8μmである。酸化チタンの平均粒径が上記範囲内であると、高拡散反射性が得られ、また樹脂組成物の良好な塗布適性も得られる。ここで、酸化チタンの平均粒径は、電子線顕微鏡から、個々の粒子径を測定し、その数平均により算出した値である。
(硬化性樹脂)
硬化性樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂や、これらの樹脂の構成単位の共重合体や、これらの樹脂の混合物などが好ましく挙げられる。なかでも、光拡散反射層と他の層との層間密着性を得る観点から、ポリエステル樹脂の構成単位とアクリル樹脂の構成単位との共重合体が好ましい。すなわち、ポリエステル樹脂の構成単位となる多価カルボン酸及び多価アルコールと、アクリル樹脂の(メタ)アクリル酸成分(構成単位)である(メタ)アクリル酸又はそのエステルとの共重合体、より好ましくは、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸成分でエステル化した、ポリエステル−アクリル共重合体が優れた層間密着性が得られ、安価でもあるため好ましい。
また、より優れた層間密着性を得る観点から、硬化性樹脂として上記のポリエステル−アクリル共重合体とウレタン樹脂との混合物を用いることが好ましい。該混合物中のウレタン樹脂の含有量は、5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜35質量%であり、さらに好ましくは15〜25質量%である。ウレタン樹脂の含有量が上記範囲内であると、優れた層間密着性が得られる。
光拡散反射層の厚さは、1〜20μmが好ましく、2〜15μmであることがより好ましく、3〜10μmがさらに好ましい。厚さが上記範囲内であると、高拡散反射性が得られ、また耐汚染性などの表面特性が良好となり、光拡散反射層と他の各層との層間密着性も優れたものとなる。
[表面保護層7]
本発明の発泡壁紙は、耐汚染性、耐擦傷性、耐薬品性などの表面特性を向上させる観点から、表面保護層を好ましく有する。表面保護層は、硬化性樹脂及び必要に応じて添加される各種添加剤を含む硬化性樹脂組成物の硬化物からなることが好ましい。
(硬化性樹脂)
硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性樹脂としては、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などが好ましく挙げられる。また、水系、エマルジョン系、溶剤系、無溶剤系など種々の形態のものが使用でき、1液硬化型、硬化剤を用いる2液硬化型などを用いることができる。これらのなかでも、表面保護層を容易に形成できることから1液硬化型の樹脂が好ましく、なかでも優れた表面物性が得られるアクリル樹脂が好ましい。
また、紫外線や電子線などの活性エネルギー線で硬化する電離放射線硬化性樹脂を用いることもできる。電離放射線硬化性樹脂としては、慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート単量体が好適であり、なかでも分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有するような多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いて用いればよい。官能基数としては、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましく、3〜4がさらに好ましい。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばウレタン(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系、アクリル(メタ)アクリレート系、ポリカーボネート(メタ)アクリレート系、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート系、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート系などのオリゴマーが挙げられる。これらのオリゴマーのうち、多官能性の重合性オリゴマーが好ましく、官能基数としては、2〜16が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜6がさらに好ましい。
また表面保護層を形成する硬化性樹脂組成物は、得られる硬化樹脂層の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。各種添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤や光安定剤などの耐候性改善剤や、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤、艶消し剤などが好ましく挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができる。
[絵柄層6]
絵柄層は、本発明の発泡壁紙に装飾性を与えるために好ましく設けられる層であり、発泡樹脂層と光拡散反射層、あるいは光拡散反射層と所望により設けられる表面保護層との間に設けられる。絵柄層は、種々の模様を、インキ組成物と印刷機とを使用して印刷することにより形成され、例えばグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷などの周知の印刷方法によりインキにて形成することができる。
模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)などの岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様などがあり、これらを複合した寄木、パッチワークなどの模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う多色印刷等によっても形成される。
絵柄層の形成に用いられるインキ組成物としては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂などを1種単独で又は2種以上を混合して用いることが好ましい。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルーなどの無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルーなどの有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮などの鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などが用いられる。
絵柄層の厚さは、1〜20μm程度が好ましい。
(凹凸模様8)
発泡壁紙は、意匠性に優れたものとするために凹凸模様8を有することが好ましい。一般的に、高拡散反射性を得ようとすると、色調が白すぎて落ち着かない意匠性を呈する場合があり、これらの性能は相反する性能である。しかし、本発明によれば、凹凸模様と上記の光拡散反射層との相乗効果によって、高拡散反射性とともに、壁紙の色調が白すぎて落ち着かなくなるということがなく、色調が落ち着いた優れた意匠性が得られる。
凹凸模様は、発泡樹脂層の発泡により最表面の層に自然に形成する程度のものであってもよいし、製造過程にある壁紙がいずれかの手段によってエンボス可能な温度となっているときに、光拡散反射層、あるいは所望により設けられる表面保護層の上面、すなわち最外層側からエンボス版などを用いて加熱加圧することにより形成してもよい。色調が落ち着いた優れた意匠性を得る観点からは、エンボス版などを用いて積極的に形成する凹凸模様であることが好ましい。
凹凸模様の形成には、周知の枚葉、もしくは輪転式のエンボス機が好ましく用いられ、凹凸模様の形状としては、木目版導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝などがある。
[製造方法]
本発明の発泡壁紙は、例えば以下の製造方法によって製造されるが、これによって制限されるものではない。
基材上に、発泡樹脂層を形成する樹脂組成物を塗布し、光拡散反射層を形成する樹脂組成物を塗布して未発泡樹脂層を形成する。ここで、所望により非発泡樹脂層Aを形成する場合は、該樹脂層Aを形成する樹脂組成物を、発泡樹脂層を形成する樹脂組成物の塗布前、すなわち未発泡樹脂層上に塗布し、また非発泡樹脂層Bを形成する場合は、該樹脂層Bを形成する樹脂組成物を、該未発泡樹脂層の形成後に塗布して形成すればよい。また、複数層の同時形成が可能となるマルチマニホールドタイプのTダイによる押出製膜法により、非発泡樹脂層A/未発泡樹脂層、未発泡樹脂層/非発泡樹脂層Bなどの二層積層体を同時に、あるいは非発泡樹脂層A/未発泡樹脂層/非発泡樹脂層Bの三層積層体を同時に形成することができる。この場合、該二層積層体、あるいは三層積層体は、熱ラミネートなどにより基材に積層すればよい。また、必要に応じて電子線あるいは紫外線などの電離放射線を照射して、未発泡樹脂層、所望により設けられる非発泡樹脂層A及びBを硬化させることもできる。
次いで、所望に応じて絵柄層を形成した後、光拡散反射層を形成する樹脂組成物を塗布し、さらに所望に応じて表面保護層を形成する樹脂組成物を塗布して、積層体を得る。その後、加熱発泡炉を用いて220〜250℃程度で該未発泡樹脂層を発泡させて発泡樹脂層を形成し、所望に応じてエンボス加工などによりその表面に凹凸模様を有する発泡壁紙が得られる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこの例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
(1)反射率の評価
実施例及び比較例で得られた発泡壁紙について、分光測色計(「CM−3700d(型番)」,コニカミノルタ株式会社製)を用いて入射角8°で波長550nmでの反射率を測定した。
(2)光拡散反射層の密着性の評価
実施例及び比較例で得られた発泡壁紙を、固定された平らな台上に両面テープで貼りつけ、該発泡壁紙の表面上にセロファンテープ(ニチバン(株)製のセロファン粘着テープ,「セロテープ(登録商標)」,幅:24mm,長さ:75mm)を貼りつけ、該テープの長さ50mm分を60°方向手前に速やかに引いて剥がし、表面の状態を以下の基準で評価した。
○ :壁紙表面より構成層が全く剥離しない、又は壁紙自体が材破した
△ :壁紙表面より構成層が若干剥離したものの、実用上問題なかった
× :壁紙表面より構成層が著しく剥離した
(3)耐汚染性の評価
実施例及び比較例で得られた発泡壁紙に、汚染物質(中性洗剤、醤油、コーヒー、クレヨン、水性ペン)を塗布し、24時間放置後に水及び中性洗剤を用いて拭取った。拭取り後の壁紙の表面の様子を目視し、下記の基準で評価した。
○ :汚れが確認されなかった
△ :汚れが若干確認されたものの、実用上問題なかった
× :著しい汚れが確認された
(4)明るさ(意匠性)の評価
実施例及び比較例で得られた発泡壁紙について、卓上型蛍光灯(27W)を光源として、比較例1で得られた光拡散反射層を有しない壁紙と比べた意匠性について、下記の基準で評価した。
○ :明らかに明るいと感じるが、落ち着いた色調であった
△ :若干明るく感じる、又は多少落ち着いた色調であった
× :明るさに変化がみられない、又は白すぎて落ち着いた色調ではなかった
実施例1
3種3層マルチマニホールドタイプのTダイ押出機を用いて、非発泡樹脂層A/未発泡樹脂層/非発泡樹脂層Bの順に、各層の厚みが8μm/75μm/8μmになるように製膜して3層から成る積層体Aを得た。該発泡樹脂層、該非発泡樹脂層A及びBには、各々以下の樹脂組成物を用いた。ここで、押出し条件は、非発泡樹脂層A用樹脂組成物、発泡樹脂組成物用樹脂組成物、及び非発泡樹脂層B用樹脂組成物を収納するシリンダー温度を各々140℃、120℃、及び120℃とした。
(発泡樹脂層用樹脂組成物)
・エチレン−酢酸ビニル共重合体(「エバフレックスV406(商品名)」,三井・デュポン ポリケミカル製,酢酸ビニル含有量:20重量%,MFR:20g/10分):100質量部
・発泡剤(アゾジカルボンアミド系発泡剤,「ユニフォームウルトラAZ3050I(商品名)」,大塚化学株式会社製):5質量部
・発泡助剤(「OF−101(商品名)」,株式会社ADEKA製):5質量部
・顔料(酸化チタン,「タイピュアR103(商品名)」,デュポン社製):20質量部
・流動改質剤(「P−100(商品名)」,荒川化学株式会社製):10質量部
(非発泡樹脂層A用樹脂組成物)
・エチレン−酢酸ビニル共重合体(「エバフレックスEV150(商品名)」,三井・デュポン ポリケミカル製,酢酸ビニル含有量:33重量%):100質量部
(非発泡樹脂層B用樹脂組成物)
・エチレン−メタクリル酸共重合体(「ニュクレルN1560(商品名)」,メタクリル酸含有量:15質量%,MFR:60g/10分
該積層体Aの非発泡樹脂層A面と90℃で加熱した基材である裏打紙(「WK−665(商品名)」,興人株式会社製,秤量65g/m2)とを熱ラミネートして、基材/非発泡樹脂層A/未発泡樹脂層/非発泡樹脂層Bの積層体Bを得て、該積層体Bに電子線(200kV,30kGy)を照射して、架橋処理を行った。
次いで、該積層体Bの非発泡樹脂層B上に、グラビア印刷で以下の樹脂組成物を塗布して光拡散反射層(厚さ:3μm)を形成し、さらにアクリル樹脂組成物(1液硬化型,「AL−TOP402B(商品名)」,大日精化株式会社製)を塗布して表面保護層(厚さ:1μm)を形成した。その後、230℃の加熱発泡炉内で、未発泡樹脂層を発泡させて発泡樹脂層とし、表面保護層側からエンボス加工を施して、布目模様パターンを賦型して、布目模様パターンの凹凸模様を有する発泡壁紙を得た。得られた発泡壁紙について、上記の評価を行った結果を第1表に示す。
(光拡散反射層用樹脂組成物)
・硬化性樹脂:ポリエステル−アクリル共重合体:20質量部とウレタン樹脂:5質量部との混合物
・光拡散剤(「R−931(商品名)」,デュポン社製,アルミナ・シリカ表面処理された二酸化チタン,平均粒径:0.55μm,酸化チタン品位:80%):100質量部(P/V比:4)
実施例2〜7
実施例1において、光拡散反射層の厚さ、光拡散剤、P/V比を第1表に示されるものにかえた以外は、実施例1と同様にして発泡壁紙を得た。得られた発泡壁紙について、上記の評価を行った結果を第1表に示す。
実施例8
実施例1において、エンボス加工行わなかった以外は、実施例1と同様にして発泡壁紙を得た。得られた発泡壁紙について、上記の評価を行った結果を第1表に示す。
比較例1〜3
実施例1において、光拡散反射層の厚さ、光拡散剤、P/V比を第2表に示されるものにかえた以外は、実施例1と同様にして発泡壁紙を得た。得られた発泡壁紙について、上記の評価を行った結果を第2表に示す。
実施例で得られた発泡壁紙は、反射率がいずれも87%以上という高拡散反射性を有しており、また耐汚染性に優れており、層間密着性にも優れていることが確認された。さらに、明るさ(意匠性)にも優れており、また色調が白すぎて落ち着かなくなるということがなく、落ち着いた意匠性を有するものであることが確認された。
一方、光拡散反射層を有しない比較例1の発泡壁紙は色調が白く落ち着ける意匠性を有するものではなく、P/V比が3で酸化チタンの含有量が少ない比較例2の発泡壁紙も色調が白く落ち着ける意匠性を有するものではないため明るさの評価が劣るものであった。また、P/V比が6と酸化チタンの含有量が多い比較例3の発泡壁紙は、反射率が88.3%であるものの、密着性が悪く発泡壁紙としての実用に耐えないものとなってしまった。
本発明によれば、優れた光線を拡散あるいは反射しうる性能、すなわち高拡散反射性を有する発泡壁紙を得るこができる。この発泡壁紙は、壁面、天井、あるいはドアなどの建築内装材として好適に用いられる。
1 発泡壁紙
2 基材
3A,3B 非発泡樹脂層
4 発泡樹脂層
5 光拡散反射層
6 絵柄層
7 表面保護層
8 凹凸模様

Claims (12)

  1. 基材、発泡樹脂層、及び光拡散反射層を順に有し、該光拡散反射層が光拡散剤の含有量Pと硬化性樹脂の含有量Vとの質量比(P/V)が3.5〜5.5となるように光拡散剤及び硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物である発泡壁紙。
  2. 光拡散剤が、酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、酸化ケイ素、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、及び酸化亜鉛から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の発泡壁紙。
  3. 光拡散剤が、品位が80〜90%の酸化チタンである請求項1に記載の発泡壁紙。
  4. 酸化チタンが、シリカ及びアルミナにより表面処理されたものである請求項2又は3に記載の発泡壁紙。
  5. 硬化性樹脂が、ポリエステル−アクリル共重合体及びウレタン樹脂を含むものである請求項1〜4のいずれかに記載の発泡壁紙。
  6. 硬化性樹脂が、ポリエステル−アクリル共重合体100質量部に対してウレタン樹脂が1〜50質量部含まれるものである請求項5に記載の発泡壁紙。
  7. 光拡散反射層の厚さが、3〜15μmである請求項1〜6のいずれかに記載の発泡壁紙。
  8. 発泡樹脂層が、樹脂成分としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を含む請求項1〜7のいずれかに記載の発泡壁紙。
  9. 基材と発泡樹脂層との間に非発泡樹脂層Aを有する請求項1〜8のいずれかに記載の発泡壁紙。
  10. 発泡樹脂層と光拡散反射層との間に非発泡樹脂層Bを有する請求項1〜9のいずれかに記載の発泡壁紙。
  11. 光拡散反射層の上に表面保護層を有する請求項1〜10のいずれかに記載の発泡壁紙。
  12. その表面に凹凸模様を有する請求項1〜11のいずれかに記載の発泡壁紙。
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