しかしながら、自車両が車線変更をしている最中に、車線変更先の走行車線を走行している前方車両や後方車両の走行状況が変わる可能性がある。
例えば、自車両が車線変更をしている最中に後方車両の車速が増加することで、車線変更を開始した時点と比較して、自車両と後方車両との間の車間距離が短くなっている状況が生じ得る。しかしながら、上述した特許文献1に開示された走行支援装置は、車線変更を開始する時点に決定した加速度に応じた車線変更が継続的に行われるため、自車両が車線変更を終了した時点で、自車両と後方車両とが相応に接近している状況が生じ得る。従って、場合によっては、自車両又は他車両の円滑な走行が妨げられることにもなりかねない。一方で、このような後方車両の車速の増加に起因して自車両の車線変更を中止することも、対応策の一例としてあり得る。しかしながら、車線変更の途中で車線変更が中止されるがゆえに、場合によっては、自車両又は他車両の円滑な走行が妨げられることにもなりかねない。
或いは、自車両が車線変更をしている最中に前方車両の車速が減少することで、車線変更を開始した時点と比較して、自車両と前方車両との間の車間距離が短くなっている状況が生じ得る。この場合、上述した特許文献1に開示された走行支援装置は、車線変更を開始する時点に決定した加速度に応じた車線変更が継続的に行われるため、自車両が車線変更を終了した時点で、自車両と前方車両とが相応に接近している状況が生じ得る。従って、場合によっては、自車両又は他車両の円滑な走行が妨げられることにもなりかねない。一方で、このような前方車両の車速の減少に起因して自車両の車線変更を中止することも、対応策の一例としてあり得る。しかしながら、車線変更の途中で車線変更が中止されるがゆえに、場合によっては、自車両又は他車両の円滑な走行が妨げられることにもなりかねない。
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、車両の円滑な走行を支援することが可能な走行支援装置を提案することを課題とする。
<1>
第1の走行支援装置は、第1車線から当該第1車線とは異なる第2車線へと車線変更しようとしている自車両の走行を支援する走行支援装置であって、前記第1車線から前記第2車線へと車線変更する際の、前記自車両の目標軌道を算出する算出手段と、前記算出手段が算出した前記目標軌道に沿って前記自車両が走行するように、前記自車両の走行を支援する支援手段とを備え、前記支援手段が前記自車両の走行を支援している間に、前記自車両の後方から前記第2車線を走行してくる後方車両が前記自車両に追いつくまでに要する所要時間が所定閾値未満になる場合には、前記算出手段は、前記目標軌道の最終目的地点が前記自車両の進行方向に沿って前方側に移動するように、前記目標軌道を算出し直す。
第1の走行支援装置によれば、第1車線を走行している自車両の、第1車線から第2車線への進入(つまり、車線変更)を支援することができる。走行支援装置は、第1車線から第2車線への自車両の車線変更を支援するために、算出手段と、支援手段とを備える。
算出手段は、第1車線から第2車線へと車線変更する際の、自車両の目標軌道を算出する。尚、「目標軌道」は、第1車線から第2車線へと車線変更する際に自車両が走行することが好ましい理想的な、好適な又は適切な走行経路を意味する。例えば、算出手段は、車線変更を開始する開始地点(典型的には、第1車線上の地点)及び車線変更を終了する終了地点(典型的には、第2車線上の地点であり、後述の最終目的地点)を設定し、その後、開始地点から終了地点に向かって所望時間で到達する走行経路を目標軌道として算出してもよい。加えて、算出手段は、車線変更に伴って車両に加わる加速度(例えば、横方向の加速度及び縦方向の加速度)ができるだけ小さくなるような走行経路を、目標軌道として算出してもよい。
支援手段は、算出手段が算出した目標軌道に沿って自車両が走行するように、自車両の走行を支援する。例えば、支援手段は、自車両の加速度(言い換えれば、車速)や操舵角等を制御することで、自車両の走行を支援する。これにより、自車両は、目標軌道に沿って走行することができる。その結果、自車両は、第1車線から第2車線へと車線変更することができる。
第1の走行支援装置では特に、算出手段は、支援手段が自車両の走行を支援している間に、第2車線を走行しており且つ自車両の後方を走行している後方車両の走行状況に応じて、一旦算出した目標軌道を算出し直すか否かを決定する。言い換えれば、算出手段は、支援手段が自車両の走行を支援している間に、第2車線を走行している後方車両の走行状況が特定の状態となった場合には、一旦算出した目標軌道を算出し直す。更に言い換えれば、算出手段は、支援手段が自車両の走行を支援している間に、第2車線を走行している後方車両と自車両との間の相対的な位置関係が特定の関係となった場合には、一旦算出した目標軌道を算出し直す。
具体的には、算出手段は、後方車両が自車両に追いつくまでに要する所要時間に応じて、一旦算出した目標軌道を算出し直す。より具体的には、算出手段は、後方車両が自車両に追いつくまでに要する所要時間が所定閾値未満となる場合には、一旦算出した目標軌道を算出し直す。このとき、算出手段は、目標軌道の最終目的地点(つまり、車線変更を終了する終了地点)が自車両の進行方向に沿って前方側に移動するように、目標軌道を算出し直す。言い換えれば、算出手段は、目標軌道の最終目的地点が後方車両から遠ざかる方向に向かって移動するように、目標軌道を算出し直す。更に言い換えれば、算出手段は、目標軌道を算出し直さない場合と比較して、自車両が車線変更を終了した時点での自車両と後方車両との間の車間距離が広がるように、目標軌道を算出し直す。
ここで、後方車両が自車両に追いつくまでに要する所要時間が所定閾値未満になる場合には、自車両が車線変更を終了した時点で、自車両と後方車両との間の車間距離が相対的に小さくなっている可能性が高い。一方で、自車両及び後方車両の双方の円滑な走行を実現するためには、自車両が車線変更を終了した時点で、自車両と後方車両との間の車間距離が相対的に大きくなっている(例えば、自車両と後方車両とがある程度の距離だけ離れている)ことが好ましい。この観点から、算出手段は、目標軌道の最終目的地点が自車両の進行方向に沿って前方側に移動するように目標軌道を算出し直す。その結果、自車両の車線変更が終了した時点で、自車両と後方車両との間の車間距離が相対的に大きくなっている可能性が高くなる。従って、後方車両が自車両に追いつくまでに要する所要時間が所定閾値未満になる場合に自車両が車線変更したとしても、自車両及び後方車両の双方の円滑な走行が実現される。
このように、第1の走行支援装置によれば、自車両及び後方車両の円滑な走行が実現される。その結果、自車両及び後方車両の周辺を走行している他の車両の円滑な走行をも間接的に実現される。
尚、算出手段は、後方車両が自車両に追いつくまでに要する所要時間が所定閾値未満にならない(つまり、所定閾値以上になる)場合には、一旦算出した目標軌道を算出し直さなくともよい。というのも、後方車両が自車両に追いつくまでに要する所要時間が所定閾値未満にならない場合には、自車両が車線変更を終了した時点で、自車両と後方車両との間の車間距離が相対的に小さくなっている可能性が小さいからである。言い換えれば、後方車両が自車両に追いつくまでに要する所要時間が所定閾値未満にならない場合には、自車両が車線変更を終了した時点で、自車両と後方車両とがある程度の距離だけ離れている可能性が高いからである。
但し、算出手段は、後方車両が自車両に追いつくまでに要する所要時間が所定閾値未満にならない(つまり、所定閾値以上になる)場合であっても、一旦算出した目標軌道を算出し直してもよい。
また、後方車両は、自車両の走行に対して影響を与え得る位置(典型的には、自車両に近接する位置)を走行している車両であることが好ましい。例えば、後方車両は、後方車両の走行状況の変化が自車両の走行状況に影響を与え得る程度に自車両に近接している位置を走行している車両であることが好ましい。具体的には、例えば、後方車両は、後方車両の走行状況の変化が第2車線への自車両の車線変更に影響を与える程度に自車両に近接している位置を走行している車両である。
また、後方車両が自車両に追いつくまでに要する所要時間は、典型的には、自車両と後方車両との間の車間距離を、自車両の車速を基準とする後方車両の相対車速で除算することで得られる時間である。このような所要時間は、実質的には、衝突余裕時間(TTC:Time To Collision)と一致する。但し、その他の手法を用いて得られる時間を、後方車両が自車両に追いつくまでに要する所要時間として用いてもよい。
また、「閾値」は、自車両が車線変更を終了した時点で自車両と後方車両との間の車間距離が相対的に大きくなっている状態を実現することができるという観点から、適切な値が適宜設定されることが好ましい。
また、後方車両が自車両に追いつくまでに要する所要時間が所定閾値未満になる場合に限らず、自車両が車線変更を終了した時点での自車両と後方車両との間の車間距離(或いは、自車両と後方車両との衝突可能性)に応じて、算出手段は、目標軌道の最終目的地点が自車両の進行方向に沿って前方側に移動するように、目標軌道を算出し直してもよい。例えば、自車両が車線変更を終了した時点での自車両と後方車両との間の車間距離が所定距離未満である(或いは、自車両と後方車両との衝突可能性が所定度数以上である)場合には、算出手段は、目標軌道の最終目的地点が自車両の進行方向に沿って前方側に移動するように、目標軌道を算出し直してもよい。但し、自車両が車線変更を終了した時点での自車両と後方車両との間の車間距離(或いは、自車両と後方車両との衝突可能性)は、後方車両が自車両に追いつくまでに要する所要時間と密接に関係している。このため、自車両が車線変更を終了した時点での自車両と後方車両との間の車間距離(或いは、自車両と後方車両との衝突可能性)に応じた目標軌道の算出し直しに関する動作は、後方車両が自車両に追いつくまでに要する所要時間に応じた目標軌道の算出し直しに関する動作と実質的に同一である。
<2>
第1の走行支援装置の他の態様では、前記算出手段は、前記自車両が前記目標軌道の最終目的地点に到達した時点での前記自車両と前記後方車両との間の車間距離が所定距離以上となるように、前記目標軌道を算出し直す。
この態様によれば、自車両の車線変更が終了した時点で、自車両と後方車両との間の車間距離が所定距離以上になる(つまり、相対的に大きくなる)。従って、後方車両が自車両に追いつくまでに要する時間が所定閾値未満になる場合に自車両が車線変更したとしても、自車両及び後方車両の双方の円滑な走行が実現される。その結果、自車両及び後方車両の周辺を走行している他の車両の円滑な走行をも間接的に実現される。
<3>
第2の走行支援装置は、第1車線から当該第1車線とは異なる第2車線へと車線変更しようとしている自車両の走行を支援する走行支援装置であって、前記第1車線から前記第2車線へと車線変更する際の、前記自車両の目標軌道を算出する算出手段と、前記算出手段が算出した前記目標軌道に沿って前記自車両が走行するように、前記自車両の走行を支援する支援手段とを備え、前記支援手段が前記自車両の走行を支援している間に、前記自車両が前記自車両に先行するように前記第2車線を走行する前方車両に追いつくまでに要する所要時間が所定閾値未満になる場合には、前記算出手段は、前記目標軌道の最終目的地点が前記自車両の進行方向に沿って後方側に移動するように、前記目標軌道を算出し直す。
第2の走行支援装置によれば、上述した第1の走行支援装置と同様に、支援手段は、算出手段が算出した目標軌道に沿って自車両が走行するように、自車両の走行を支援する。これにより、自車両は、目標軌道に沿って走行することができ、その結果、第1車線から第2車線へと車線変更することができる。
第2の走行支援装置では特に、算出手段は、支援手段が自車両の走行を支援している間に、第2車線を走行しており且つ自車両の前方を走行している前方車両の走行状況に応じて、一旦算出した目標軌道を算出し直すか否かを決定する。言い換えれば、算出手段は、支援手段が自車両の走行を支援している間に、第2車線を走行している前方車両の走行状況が特定の状態となった場合には、一旦算出した目標軌道を算出し直す。更に言い換えれば、算出手段は、支援手段が自車両の走行を支援している間に、第2車線を走行している前方車両と自車両との間の相対的な位置関係が特定の関係となった場合には、一旦算出した目標軌道を算出し直す。
具体的には、算出手段は、自車両が前方車両に追いつくまでに要する所要時間に応じて、一旦算出した目標軌道を算出し直す。より具体的には、算出手段は、自車両が前方車両に追いつくまでに要する所要時間が所定閾値未満となる場合には、一旦算出した目標軌道を算出し直す。このとき、算出手段は、目標軌道の最終目的地点(つまり、車線変更を終了する終了地点)が自車両の進行方向に沿って後方側に移動するように、目標軌道を算出し直す。言い換えれば、算出手段は、目標軌道の最終目的地点が前方車両から遠ざかる方向に向かって移動するように、目標軌道を算出し直す。更に言い換えれば、算出手段は、目標軌道を算出し直さない場合と比較して、自車両が車線変更を終了した時点での自車両と前方車両との間の車間距離が広がるように、目標軌道を算出し直す。
ここで、自車両が前方車両に追いつくまでに要する所要時間が所定閾値未満になる場合には、自車両が車線変更を終了した時点で、自車両と前方車両との間の車間距離が相対的に小さくなっている可能性が高い。一方で、自車両及び前方車両の双方の円滑な走行を実現するためには、自車両が車線変更を終了した時点で、自車両と前方車両との間の車間距離が相対的に大きくなっている(例えば、自車両と前方車両とがある程度の距離だけ離れている)ことが好ましい。この観点から、算出手段は、目標軌道の最終目的地点が自車両の進行方向に沿って後方側に移動するように目標軌道を算出し直す。その結果、自車両の車線変更が終了した時点で、自車両と前方車両との間の車間距離が相対的に大きくなっている可能性が高くなる。従って、前方車両が自車両に追いつくまでに要する所要時間が所定閾値未満になる場合に自車両が車線変更したとしても、自車両及び前方車両の双方の円滑な走行が実現される。
このように、第2の走行支援装置によれば、第1の走行支援装置と同様に、自車両及び前方車両の円滑な走行が実現される。その結果、自車両及び前方車両の周辺を走行している他の車両の円滑な走行をも間接的に実現される。
尚、算出手段は、自車両が前方車両に追いつくまでに要する所要時間が所定閾値未満にならない(つまり、所定閾値以上になる)場合には、一旦算出した目標軌道を算出し直さなくともよい。というのも、自車両が前方車両に追いつくまでに要する所要時間が所定閾値未満にならない場合には、自車両が車線変更を終了した時点で、自車両と前方車両との間の車間距離が相対的に小さくなっている可能性が小さいからである。言い換えれば、自車両が前方車両に追いつくまでに要する所要時間が所定閾値未満にならない場合には、自車両が車線変更を終了した時点で、自車両と前方車両とがある程度の距離だけ離れている可能性が高いからである。
但し、算出手段は、自車両が前方車両に追いつくまでに要する所要時間が所定閾値未満にならない(つまり、所定閾値以上になる)場合であっても、一旦算出した目標軌道を算出し直してもよい。
また、前方車両は、自車両の走行に対して影響を与え得る位置(典型的には、自車両に近接する位置)を走行している車両であることが好ましい。例えば、前方車両は、前方車両の走行状況の変化が自車両の走行状況に影響を与え得る程度に自車両に近接している位置を走行している車両であることが好ましい。具体的には、例えば、前方車両は、前方車両の走行状況の変化が第2車線への自車両の車線変更に影響を与える程度に自車両に近接している位置を走行している車両である。
また、自車両が前方車両に追いつくまでに要する所要時間は、典型的には、自車両と前方車両との間の車間距離を、前方車両の車速を基準とする自車両の相対車速で除算することで得られる時間である。このような所要時間は、実質的には、衝突余裕時間(TTC:Time To Collision)と一致する。但し、その他の手法を用いて得られる時間を、自車両が前方車両に追いつくまでに要する所要時間として用いてもよい。
また、「閾値」は、自車両が車線変更を終了した時点で自車両と前方車両との間の車間距離が相対的に大きくなっている状態を実現することができるという観点から、適切な値が適宜設定されることが好ましい。
また、自車両が前方車両に追いつくまでに要する所要時間が所定閾値未満になる場合に限らず、自車両が車線変更を終了した時点での自車両と前方車両との間の車間距離(或いは、自車両と前方車両との衝突可能性)に応じて、算出手段は、目標軌道の最終目的地点が自車両の進行方向に沿って後方側に移動するように、目標軌道を算出し直してもよい。例えば、自車両が車線変更を終了した時点での自車両と前方車両との間の車間距離が所定距離未満である(或いは、自車両と前方車両との衝突可能性が所定度数以上である)場合には、算出手段は、目標軌道の最終目的地点が自車両の進行方向に沿って後方側に移動するように、目標軌道を算出し直してもよい。但し、自車両が車線変更を終了した時点での自車両と前方車両との間の車間距離(或いは、自車両と前方車両との衝突可能性)は、自車両が前方車両に追いつくまでに要する所要時間と密接に関係している。このため、自車両が車線変更を終了した時点での自車両と前方車両との間の車間距離(或いは、自車両と前方車両との衝突可能性)に応じた目標軌道の算出し直しに関する動作は、自車両が前方車両に追いつくまでに要する所要時間に応じた目標軌道の算出し直しに関する動作と実質的に同一である。
<4>
第2の走行支援装置の他の態様では、前記算出手段は、前記自車両が前記目標軌道の最終目的地点に到達した時点での前記自車両と前記前方車両との間の車間距離が所定距離以上となるように、前記目標軌道を算出し直す。
この態様によれば、自車両の車線変更が終了した時点で、自車両と前方車両との間の車間距離が所定距離以上になる(つまり、相対的に大きくなる)。従って、前方車両が自車両に追いつくまでに要する時間が所定閾値未満になる場合に自車両が車線変更したとしても、自車両及び前方車両の双方の円滑な走行が実現される。その結果、自車両及び前方車両の周辺を走行している他の車両の円滑な走行をも間接的に実現される。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する、発明を実施するための形態から更に明らかにされる。
以下、本発明の走行支援装置を車両1に適用した実施形態について、図面に基づいて説明する。
(1)車両の構成
はじめに、図1を参照して、本実施形態の車両1の構成について説明する。図1は、本実施形態の車両1の構成の一例を示すブロック図である。尚、図1は、説明の簡略化のために、本発明に関連する構成要件に着目した車両1の構成を示している。従って、図1に示す構成要件以外の他の構成要件を車両1が備えていてもよいことは言うまでもない。
図1に示すように、車両1は、GPS受信器11と、車両検出器12と、メモリ13と、「走行支援装置」の一例であるECU(Electronic Control Unit)100とを備えている。
GPS受信器11は、不図示のGPS衛星から放射されているGPS電波を受信する。GPS受信器11は、GPS電波を受信することで得られるGPS信号を、ECU100に転送する。その結果、ECU100は、GPS信号を解析することで、車両1の現在位置を認識することができる。
車両検出器12は、車両1の周辺に位置する他車両(例えば、図2を参照しながら後述する後方車両C2や、図5を参照しながら説明する前方車両C3等)を検出する。車両検出器12としては、他車両を撮影するために車両1の前方、側方又は後方等に設置されたカメラや、他車両の存在を検出するためのミリ波を放射するミリ波レーダや、他車両又は路側機器と通信することで他車両を検出する車間通信機器等が一例としてあげられる。車両検出器12の検出結果(例えば、カメラの撮影結果や、ミリ波レーダの検出結果や、車間通信機器での通信記録等)は、ECU100に転送される。その結果、ECU100は、車両検出器12の検出結果を解析することで、他車両の現在位置や車速等を認識することができる。
メモリ13は、情報を恒久的に又は一時的に格納可能な記憶装置である。メモリ13として、例えば、ROMや、RAMや、フラッシュメモリや、ハードディスク等が一例としてあげられる。本実施形態では特に、メモリ13は、地図情報を格納している。メモリ13が格納している地図情報は、ECU100によって適宜参照される。その結果、ECU100は、車両1が走行している現在位置の道路状況(例えば、走行車線の形状や、走行車線の数等)を認識することができる。
尚、ECU100は、メモリ13に格納されている地図情報に加えて又は代えて、不図示のネットワーク回線を介してダウンロードされる地図情報を参照してもよい。この場合、メモリ13は、地図情報を格納していなくともよい。
ECU100は、その内部に、物理的な処理回路として又は論理的な処理ブロックとして、状況認識部110と、他車両判定部120と、「算出手段」の一例である目標軌道算出部130と、「支援手段」の一例である車両制御部140とを備えている。
状況認識部110は、GPS受信器11から転送されるGPS信号や車両1が備える任意のセンサ(例えば、車速センサ等)の検出結果等に基づいて、車両1の走行状況(例えば、車両1の現在位置等)を認識する。加えて、状況認識部110は、車両検出器12の検出結果等に基づいて、車両1の周辺に位置する他車両の走行状況(例えば、他車両の現在位置や車速等)を認識する。特に、状況認識部110は、車両1がこれから車線変更しようとしている(言い換えれば、進入しようとしている)走行車線である目標車線LTを走行している他車両の走行状況を認識することが好ましい。加えて、状況認識部110は、メモリ13に格納されている地図情報を参照することで、車両1が走行している現在位置の道路状況(例えば、走行車線の形状や、走行車線の数等)を認識する。
他車両判定部120は、車両1の後方から目標車線LTを走行してくる他車両(つまり、図2を参照しながら後述する後方車両C2)が車両1に追いつくまでに要する所要時間tc1を算出する。このとき、他車両判定部120は、状況認識部110が認識した車両1の走行状況、他車両の走行状況及び車両1が走行している現在位置の道路状況のうちの少なくとも一つに基づいて、所要時間tc1を算出する。加えて、他車両判定部120は、算出した所要時間tc1が所定閾値th1以下になるか否かを判定する。
加えて、他車両判定部120は、車両1が車両1に先行するように目標車線LTを走行している他車両(つまり、図5を参照しながら後述する前方車両C3)に追いつくまでに要する所要時間tc2を算出する。このとき、他車両判定部120は、状況認識部110が認識した車両1の走行状況、他車両の走行状況及び車両1が走行している現在位置の道路状況のうちの少なくとも一つに基づいて、所要時間tc2を算出する。加えて、他車両判定部120は、算出した所要時間tc2が所定閾値th2以下になるか否かを判定する。
尚、他車両判定部120は、他車両(例えば、後方車両C2)が車両1に追いつくまでに要する所要時間tc1を算出する一方で、車両1が他車両(例えば、前方車両C3)に追いつくまでに要する所要時間tc2を算出しなくともよい。或いは、他車両判定部120は、他車両(例えば、後方車両C2)が車両1に追いつくまでに要する所要時間tc1を算出しない一方で、車両1が他車両(例えば、前方車両C3)に追いつくまでに要する所要時間tc2を算出してもよい。つまり、他車両判定部120は、他車両(例えば、後方車両C2)が車両1に追いつくまでに要する所要時間tc1及び車両1が他車両(例えば、前方車両C3)に追いつくまでに要する所要時間tc2のうちの少なくとも一方を算出すればよい。
目標軌道算出部130は、車両1が走行するべき軌道である目標軌道Tを算出する。特に、本実施形態では、目標軌道算出部130は、現在走行している走行車線L1から目標車線LTへと車線変更する車両1が走行するべき目標軌道を算出する。目標軌道算出部130は、例えば、状況認識部110が認識した車両1の走行状況、他車両の走行状況及び車両1が走行している現在位置の道路状況のうちの少なくとも一つ、並びに他車両判定部120の判定結果(つまり、所要時間tc1が所定閾値th1以下になるか否かの判定結果及び所要時間tc2が所定閾値th2以下になるか否かの判定結果の少なくとも一方)に基づいて、目標軌道Tを算出する。尚、目標軌道算出部130の詳細な動作については、後に詳述する(図3及び図6参照)。
車両制御部140は、車両1の走行を支援するためのアシスト制御を行う。特に、本実施形態では、車両制御部140は、目標軌道算出部130が算出した目標軌道Tに沿って車両1が走行するように、車両1の走行車線L1から目標車線LTへの車線変更を補助するためのアシスト制御(いわゆる、レーンチェンジアシスト制御)を行う。
(2)車両の動作
続いて、図2から図7を参照して、本実施形態の車両1が行う動作(特に、レーンチェンジアシスト制御に関連する動作)について説明を進める。
(2−1)レーンチェンジアシスト制御の第1動作例
はじめに、図2から図4を参照して、本実施形態の車両1が行う第1動作例(特に、レーンチェンジアシスト制御に関連する第1動作例)について説明を進める。
(2−1−1)車両1の走行状況の例
はじめに、図2を参照しながら、レーンチェンジアシスト制御に関連する第1動作例が行われる場合の、車両1の走行状況の一例について説明する。図2は、レーンチェンジアシスト制御に関連する第1動作例が行われる場合の、車両1の走行状況の一例を示す平面図である。
図2に示すように、例えば、走行車線L1を走行している車両1(図2中の、自車両C1)が、走行車線L1の1つ右隣りの走行車線である目標車線LTに車線変更する場合(図2中の、一点鎖線の経路参照)に、本実施形態のレーンチェンジアシスト制御に関連する第1動作例が行われる。
特に、第1動作例は、自車両C1の進行方向に沿って自車両C1の後方に位置する後方車両C2が目標車線LTを走行している状況下で実行される動作である。ここで、後方車両C2が目標車線LTを走行している場合には、自車両C1及び後方車両C2の双方の円滑な走行を維持したまま、レーンチェンジアシスト制御が行われることが好ましい。従って、本実施形態のECU100は、自車両C1の目標車線LTへの車線変更を補助するために、目標車線LTを走行している後方車両C2の走行状況に応じて、自車両C1の目標軌道を算出することが好ましい。
しかしながら、一旦算出した目標軌道に沿って自車両C1が走行するようにレーンチェンジアシスト制御が実行されている間に、後方車両C2の走行状況が変わる場合がある。例えば、一旦算出した目標軌道に沿って自車両C1が走行するようにレーンチェンジアシスト制御が実行されている間に、後方車両C2の車速V2が増加することがある。この場合には、当初算出した目標軌道では、車線変更が終了した時点での自車両C1と後方車両C2との間の車間距離が相対的に小さくなっている可能性がある。一方で、自車両C1及び後方車両C2の双方の円滑な走行を維持するためには、車線変更が終了した時点での自車両C1と後方車両C2との間の車間距離が相対的に大きくなっている(例えば、自車両C1と後方車両C2とがある程度の距離だけ離れている)ことが好ましい。従って、本実施形態のECU100は、後述の図3に示すフローチャートに従って、レーンチェンジアシスト制御を行っている最中においても、後方車両C2が自車両C1に追いつくまでに要する所要時間tc1をリアルタイムで監視することで、自車両C1の目標軌道を算出し直す。
尚、図2は、走行状況の一例を例示するに過ぎず、自車両C1及び後方車両C2以外の車両の存在を排除する意図はない。但し、自車両C1が走行している道路は、2車線以上の走行車線を含んでいることが好ましい。
尚、以下では、自車両C1の車速がV1であり、後方車両C2の車速がV2であるものとして説明を進める。また、自車両C1と後方車両C2との間の車間距離は、自車両C1の現在位置−後方車両C2の現在位置=Laであるものとして説明を進める。いずれのパラメータも、自車両C1の進行方向に前方側に向かって正の値をとるものとする。
(2−1−2)第1動作例の流れ
続いて、図3を参照して、本実施形態の車両1が行う第1動作例(特に、レーンチェンジアシスト制御に関連する第1動作例)の流れについて説明する。図3は、本実施形態の車両1が行う第1動作例(特に、レーンチェンジアシスト制御に関連する第1動作例)の流れを示すフローチャートである。
尚、以下では、説明の便宜上、図2に示す走行状況にある自車両C1が行う第1動作例の流れを例に挙げて説明を進める。但し、図2に示す走行状況にある自車両C1とは異なる車両1であっても、以下に説明する第1動作例を行ってもよいことは言うまでもない。
図3に示すように、まず、状況認識部110は、GPS受信器11から転送されるGPS信号や自車両C1が備える任意のセンサ(例えば、車速センサ等)の検出結果等に基づいて、自車両C1の走行状況(例えば、自車両C1の現在位置等)を認識する(ステップS111)。
ステップS111の動作に続いて、状況認識部110は、メモリ13に格納されている地図情報を参照する。このとき、状況認識部110は、ステップS111で認識した自車両C1の現在位置に対応する地図情報を参照する。その結果、状況認識部110は、自車両C1が走行している現在位置の道路状況(例えば、走行車線の形状や、走行車線の数等)を認識する(ステップS112)。
ステップS111及びステップS112の動作に続いて、相前後して又は並行して、状況認識部110は、車両検出器12の検出結果等に基づいて、目標車線LTを走行している後方車両C2の走行状況(例えば、後方車両C2の現在位置や車速等)を認識する(ステップS113)。
その後、目標軌道算出部130は、目標軌道Tの最終地点(つまり、自車両C1の車線変更を終了する地点、言い換えれば、自車両C1の車線変更が終了する地点)Yeを算出する(ステップS131)。例えば、目標軌道算出部130は、自車両C1と後方車両C2との間の車間距離が相対的に大きい状態を維持することができるような最終地点Yeを算出してもよい。或いは、目標軌道算出部130は、自車両C1の車速V1や車線変更に要する時間等を考慮した上で、適切な(言い換えれば、安全な)車線変更を実現可能な最終地点Yeを算出してもよい。
その後、目標軌道算出部130は、最終地点Yeに向かう目標軌道Tを算出する(ステップS132)。例えば、目標軌道算出部130は、車線変更を開始する開始地点(典型的には、走行車線L1上の地点であって、自車両C1の現在位置)からステップS131で算出した最終地点Yeに向かって所望時間で到達する走行経路を、目標軌道Tとして算出してもよい。加えて、目標軌道算出部130は、車線変更に伴って自車両C1に加わる加速度(例えば、横方向の加速度及び縦方向の加速度)ができるだけ小さくなる(好ましくは、最小になる)走行経路を、目標軌道Tとして算出してもよい。
その後、車両制御部140は、自車両C1の目標車線LTへの車線変更を補助するためのアシスト制御(いわゆる、レーンチェンジアシスト制御)を行う(ステップS141)。つまり、車両制御部140は、ステップS132で算出された目標軌道Tに沿って自車両C1が走行するようにレーンチェンジアシスト制御を行う。
以下、車両制御部140は、自車両C1の走行車線L1から目標車線LTへの車線変更が終了するまでは、レーンチェンジアシスト制御を継続して行う(ステップS142)。
第1動作例では更に、車両制御部140によってレーンチェンジアシスト制御が行われている間には、以下に示すステップS121からステップS122及びステップS133からステップS134の動作が適宜行われる。
具体的には、他車両判定部120は、後方車両C2が自車両C1に追いつくまでに要する所要時間tc1を算出する(ステップS121)。ここでは、他車両判定部120は、所要時間tc1=自車両C1と後方車両C2との間の車間距離/自車両C1に対する後方車両C2の相対車速=La/(V2−V1)という数式を用いて、所要時間tc1を算出してもよい。但し、他車両レーンチェンジ判定部120は、その他の手法で、後方車両C2が自車両C1に対して追いつくまでに要する所要時間tc1を算出してもよい。
その後、他車両判定部120は、ステップS121で算出した所要時間tc1が、所定閾値th1未満であるか否かを判定する(ステップS123)。尚、所定閾値th1には、自車両C1及び後方車両C2の円滑な走行を実現するという観点から、適切な値が適宜設定されることが好ましい。例えば、所定閾値th1には、自車両C1が車線変更を終了した時点での自車両C1と後方車両C2との間の車間距離が相対的に大きくなっている(例えば、所定距離以上になる)状態を実現するという観点から、適切な値が適宜設定されることが好ましい。
ステップS122の判定の結果、所要時間tc1が所定閾値th1未満であると判定される場合には(ステップS122:Yes)、所要時間tc1が所定閾値th1未満でない場合と比較して、後方車両C2は相対的に早いタイミングで自車両C1に追いつく可能性があると推測される。つまり、所要時間tc1が所定閾値th1未満であると判定される場合には、所要時間tc1が所定閾値th1未満でない場合と比較して、車線変更が終了した時点での自車両C1と後方車両C2との間の車間距離が相対的に小さくなっている可能性がある。
このため、所要時間tc1が所定閾値th1未満であると判定される場合には(ステップS122:Yes)、目標軌道算出部130は、ステップS131で算出した最終地点Yeを修正する(ステップS133)。具体的には、車線変更が終了した時点での自車両C1と後方車両C2との間の車間距離が相対的に大きくなる状態を実現するために、目標軌道算出部130は、最終地点Yeが自車両C1の進行方向に沿って所定の修正量dY1だけ前方側に移動するように、最終地点Yeを修正する。つまり、目標軌道算出部130は、Ye=Ye+dY1という数式を用いて、最終地点Yeを修正する。このとき、修正量dYは、例えば、(自車両C1に対する後方車両C2の相対車速)×(現在時刻を基準として車線変更御終了に要する時間t)という数式から算出される値であってもよい。つまり、修正量dY1は、(V2−V1)×tという数式から算出される値であってもよい。
もちろん、修正量dY1がその他の手法によって算出されてもよいことは言うまでもない。つまり、目標軌道算出部130は、車線変更が終了した時点での自車両C1と後方車両C2との間の車間距離が相対的に大きくなる(例えば、所定距離以上になる)状態を実現するという観点から算出される任意の修正量dY1を採用してもよい。
その後、目標軌道算出部130は、ステップS133で修正された最終地点Yeに応じて、目標軌道Tを修正する(ステップS134)。つまり、目標軌道算出部130は、自車両C1の現在位置から修正後の最終地点Yeに向かう目標軌道Tを算出する(ステップS134)。尚、ステップS134においても、目標軌道算出部130は、ステップS132と同様の態様で、目標軌道Tを修正する(つまり、新たに算出する)。
ここで、図4を参照しながら、最終地点Ye及び目標軌道Tの修正についてより詳細に説明する。図4は、最終地点Ye及び目標軌道Tの修正の態様を、自車両C1及び後方車両C2の走行状況と共に概略的に示す平面図である。
図4(a)に示すように、自車両C1が、図3のステップS132で算出された目標軌道T(つまり、図3のステップS131で算出された最終地点Yeに向かう目標軌道T)に沿って車線変更を開始するものとする。
その後、図4(b)に示すように、目標軌道Tに沿って自車両C1が車線変更している途中で、後方車両C2の車速V2が増加したとする。このような状況は、後方車両C2が加速している場合に生じやすい。後方車両C2の車速の増加の結果、後方車両C2が自車両C1に対して追いつくまでに要する所要時間tc1が所定閾値th1未満となったものとする。
従って、図4(c)に示すように、目標軌道算出部130は、最終地点Yeが自車両C1の進行方向に沿って所定の修正量dY1だけ前方側に移動するように、最終地点Yeを修正する。加えて、目標軌道算出部130は、目標軌道Tを修正する。その結果、目標軌道Tを修正した場合には、目標軌道を修正しない場合と比較して、車線変更が終了した時点での自車両C1と後方車両C2との間の車間距離が大きくなることが分かる。
再び図3において、他方で、ステップS122の判定の結果、所要時間tc1が所定閾値th1未満でないと判定される場合には(ステップS122:No)、所要時間tc1が所定閾値th1未満である場合と比較して、後方車両C2は相対的に遅いタイミングで自車両C1に追いつく可能性がある又は後方車両C2が自車両C1に追いつかないと推測される。つまり、所要時間tc1が所定閾値th1未満でないと判定される場合には、所要時間tc1が所定閾値th1未満である場合と比較して、車線変更が終了した時点での自車両C1と後方車両C2との間の車間距離が相対的に小さくなっている可能性が低い。従って、所要時間tc1が所定閾値th1未満でないと判定される場合には(ステップS122:No)、目標軌道算出部130は、目標軌道Tの最終地点Yeを修正しなくともよい。従って、目標軌道算出部130は、目標軌道Tを修正しなくともよい。
目標軌道Tが修正された場合には、車両制御部140は、ステップS134で修正された目標軌道Tに沿って自車両C1が走行するようにレーンチェンジアシスト制御を行う(ステップS141)。
以上説明したように、第1動作例では、ECU100は、後方車両C2が自車両C1に追いつくまでに要する所要時間tc1に基づいて、走行車線L1から目標車線LTに向かって車線変更している自車両C1の最終地点Ye及び目標軌道Tを修正することができる。より具体的には、ECU100は、車線変更が終了した時点での自車両C1と後方車両C2との間の車間距離を相対的に大きくするために、目標軌道Tの最終地点Yeが自車両C1の進行方向に沿って前方側に移動するように、最終地点Ye及び目標軌道Tを修正することができる。従って、目標軌道Tを修正した場合には、目標軌道を修正しない場合と比較して、車線変更が終了した時点での自車両C1と後方車両C2との間の車間距離が大きくなる。従って、後方車両C2が自車両C1に追いつくまでに要する所要時間tc1が所定閾値th1未満になる場合に自車両C1が車線変更したとしても、自車両C1及び後方車両C2の双方の円滑な走行が実現される。その結果、自車両C1及び後方車両C2の周辺を走行している他の車両の円滑な走行をも間接的に実現される。
尚、上述の説明では、目標軌道算出部130は、後方車両C2が自車両C1に追いつくまでに要する所要時間tc1が所定閾値th1未満になるか否かの判定結果に応じて、最終地点Ye及び目標軌道Tを修正している。しかしながら、目標軌道算出部130は、後方車両C2が自車両C1に追いつくまでに要する所要時間tc1が所定閾値th1未満になるか否かの判定結果に加えて又は代えて、例えば、自車両C1と後方車両C2との衝突可能性(例えば、自車両C1が車線変更を終了した時点での自車両C1と後方車両C2との間の車間距離)に応じて、最終地点Ye及び目標軌道Tを修正してもよい。例えば、目標軌道算出部130は、例えば、自車両C1と後方車両C2との衝突可能性が所定可能性以上である(例えば、自車両C1が車線変更を終了した時点での自車両C1と後方車両C2との間の車間距離が所定距離未満である)場合に、最終地点Ye及び目標軌道Tを修正してもよい。この場合、他車両判定部120は、例えば、自車両C1と後方車両C2との衝突可能性が所定可能性以上であるか否か(例えば、自車両C1が車線変更を終了した時点での自車両C1と後方車両C2との間の車間距離が所定距離未満であるか否か)を判定することが好ましい。
但し、自車両C1と後方車両C2との衝突可能性(例えば、自車両C1が車線変更を終了した時点での自車両C1と後方車両C2との間の車間距離)は、後方車両C2が自車両C1に追いつくまでに要する所要時間tc1と密接に関係している。つまり、自車両C1と後方車両C2との衝突可能性が相対的に高い(例えば、自車両C1が車線変更を終了した時点での自車両C1と後方車両C2との間の車間距離が相対的に小さい)は、後方車両C2が自車両C1に追いつくまでに要する所要時間tc1が相対的に小さいと想定される。一方で、自車両C1と後方車両C2との衝突可能性が相対的に低い(例えば、自車両C1が車線変更を終了した時点での自車両C1と後方車両C2との間の車間距離が相対的に大きい)は、後方車両C2が自車両C1に追いつくまでに要する所要時間tc1が相対的に大きいと想定される。このため、自車両C1と後方車両C2との衝突可能性(例えば、自車両C1が車線変更を終了した時点での自車両C1と後方車両C2との間の車間距離)に応じた最終地点Ye及び目標軌道Tの修正に関する動作は、後方車両C2が自車両C1に追いつくまでに要する所要時間tc1に応じた最終地点Ye及び目標軌道Tの修正に関する動作と実質的に同一である。
(2−2)レーンチェンジアシスト制御の第2動作例
続いて、図5から図7を参照して、本実施形態の車両1が行う第2動作例(特に、レーンチェンジアシスト制御に関連する第2動作例)について説明を進める。
(2−2−1)車両1の走行状況の例
はじめに、図5を参照しながら、レーンチェンジアシスト制御に関連する第2動作例が行われる場合の、車両1の走行状況の一例について説明する。図5は、レーンチェンジアシスト制御に関連する第2動作例が行われる場合の、車両1の走行状況の一例を示す平面図である。
図5に示すように、例えば、走行車線L1を走行している車両1(図5中の、自車両C1)が、走行車線L1の1つ右隣りの走行車線である目標車線LTに車線変更する場合(図5中の、一点鎖線の経路参照)に、本実施形態のレーンチェンジアシスト制御に関連する第2動作例が行われる。
特に、第2動作例は、自車両C1の進行方向に沿って自車両C1の前方に位置する前方車両C3が目標車線LTを走行している状況下で実行される動作である。ここで、前方車両C3が目標車線LTを走行している場合には、自車両C1及び前方車両C3の双方の円滑な走行を維持したまま、レーンチェンジアシスト制御が行われることが好ましい。従って、本実施形態のECU100は、自車両C1の目標車線LTへの車線変更を補助するために、目標車線LTを走行している前方車両C3の走行状況に応じて、自車両C1の目標軌道を算出することが好ましい。
しかしながら、一旦算出した目標軌道に沿って自車両C1が走行するようにレーンチェンジアシスト制御が実行されている間に、前方車両C3の走行状況が変わる場合がある。例えば、一旦算出した目標軌道に沿って自車両C1が走行するようにレーンチェンジアシスト制御が実行されている間に、前方車両C3の車速V3が減少することがある。この場合には、当初算出した目標軌道では、車線変更が終了した時点での自車両C1と前方車両C3との間の車間距離が相対的に小さくなっている可能性がある。一方で、自車両C1及び前方車両C3の双方の円滑な走行を維持するためには、車線変更が終了した時点での自車両C1と前方車両C3との間の車間距離が相対的に大きくなっている(例えば、自車両C1と前方車両C3とがある程度の距離だけ離れている)ことが好ましい。従って、本実施形態のECU100は、後述の図6に示すフローチャートに従って、レーンチェンジアシスト制御を行っている最中においても、自車両C1が前方車両C3に追いつくまでに要する所要時間tc2をリアルタイムで監視することで、自車両C1の目標軌道を算出し直す。
尚、図5は、走行状況の一例を例示するに過ぎず、自車両C1及び前方車両C3以外の車両の存在を排除する意図はない。但し、自車両C1が走行している道路は、2車線以上の走行車線を含んでいることが好ましい。
尚、以下では、自車両C1の車速がV1であり、前方車両C3の車速がV3であるものとして説明を進める。また、自車両C1と前方車両C3との間の車間距離は、前方車両C3の現在位置−自車両C1の現在位置=Lbであるものとして説明を進める。いずれのパラメータも、自車両C1の進行方向に前方側に向かって正の値をとるものとする。
(2−2−2)第2動作例の流れ
続いて、図6を参照して、本実施形態の車両1が行う第2動作例(特に、レーンチェンジアシスト制御に関連する第2動作例)の流れについて説明する。図6は、本実施形態の車両1が行う第2動作例(特に、レーンチェンジアシスト制御に関連する第2動作例)の流れを示すフローチャートである。
尚、以下では、説明の便宜上、図5に示す走行状況にある自車両C1が行う第1動作例の流れを例に挙げて説明を進める。但し、図5に示す走行状況にある自車両C1とは異なる車両1であっても、以下に説明する第2動作例を行ってもよいことは言うまでもない。
また、以下では、説明の簡略化のために、第1動作例で説明した動作と同一の動作については、同一のステップ番号を付して、その詳細な説明については省略する。
図6に示すように、第2動作例においても、第1動作例と同様に、ステップS111からステップS112までの動作が行われる。つまり、状況認識部110は、自車両C1の走行状況(例えば、自車両C1の現在位置等)を認識する(ステップS111)。また、状況認識部110は、自車両C1が走行している現在位置の道路状況(例えば、走行車線の形状や、走行車線の数等)を認識する(ステップS112)。
ステップS111及びステップS112の動作に続いて、相前後して又は並行して、状況認識部110は、車両検出器12の検出結果等に基づいて、目標車線LTを走行している前方車両C3の走行状況(例えば、前方車両C3の現在位置や車速等)を認識する(ステップS213)。
その後、第2動作例においても、第1動作例と同様に、ステップS131からステップS132及びステップS141からステップS142の動作が行われる。つまり、目標軌道算出部130は、目標軌道Tの最終地点(つまり、自車両C1の車線変更を終了する地点、言い換えれば、自車両C1の車線変更が終了する地点)Yeを算出する(ステップS131)。その後、目標軌道算出部130は、最終地点Yeに向かう目標軌道Tを算出する(ステップS132)。その後、車両制御部140は、自車両C1の目標車線LTへの車線変更を補助するためのアシスト制御(いわゆる、レーンチェンジアシスト制御)を行う(ステップS141)。以下、車両制御部140は、自車両C1の走行車線L1から目標車線LTへの車線変更が終了するまでは、レーンチェンジアシスト制御を継続して行う(ステップS142)。
第2動作例では更に、車両制御部140によってレーンチェンジアシスト制御が行われている間には、以下に示すステップS221からステップS222及びステップS233からステップS234の動作が適宜行われる。
具体的には、他車両判定部120は、自車両C1が前方車両C3に追いつくまでに要する所要時間tc2を算出する(ステップS221)。ここでは、他車両判定部120は、所要時間tc2=自車両C1と前方車両C3との間の車間距離/前方車両C3に対する自車両C1の相対車速=La/(V1−V3)という数式を用いて、所要時間tc2を算出してもよい。但し、他車両レーンチェンジ判定部120は、その他の手法で、自車両C1が前方車両C3に対して追いつくまでに要する所要時間tc2を算出してもよい。
その後、他車両判定部120は、ステップS221で算出した所要時間tc2が、所定閾値th2未満であるか否かを判定する(ステップS223)。尚、所定閾値th2には、自車両C1及び前方車両C3の円滑な走行を実現するという観点から、適切な値が適宜設定されることが好ましい。例えば、所定閾値th2には、自車両C1が車線変更を終了した時点での自車両C1と前方車両C3との間の車間距離が相対的に大きくなっている(例えば、所定距離以上になる)状態を実現するという観点から、適切な値が適宜設定されることが好ましい。尚、第2動作例で用いられる所定閾値th2は、第1動作例で用いられる所定閾値th1と同一であってもよい。或いは、第2動作例で用いられる所定閾値th2は、第1動作例で用いられる所定閾値th1と異なっていてもよい。
ステップS222の判定の結果、所要時間tc2が所定閾値th2未満であると判定される場合には(ステップS222:Yes)、所要時間tc2が所定閾値th2未満でない場合と比較して、自車両C1は相対的に早いタイミングで前方車両C2に追いつく可能性があると推測される。つまり、所要時間tc2が所定閾値th2未満であると判定される場合には、所要時間tc2が所定閾値th2未満でない場合と比較して、車線変更が終了した時点での自車両C1と前方車両C3との間の車間距離が相対的に小さくなっている可能性がある。
このため、所要時間tc2が所定閾値th2未満であると判定される場合には(ステップS222:Yes)、目標軌道算出部130は、ステップS131で算出した最終地点Yeを修正する(ステップS233)。具体的には、車線変更が終了した時点での自車両C1と前方車両C3との間の車間距離が相対的に大きくなる状態を実現するために、目標軌道算出部130は、最終地点Yeが自車両C1の進行方向に沿って所定の修正量dY2だけ後方側に移動するように、最終地点Yeを修正する。つまり、目標軌道算出部130は、Ye=Ye−dY2という数式を用いて、最終地点Yeを修正する。このとき、修正量dY2は、例えば、(前方車両C3に対する自車両C1の相対車速)×(現在時刻を基準として車線変更御終了に要する時間t)という数式から算出される値であってもよい。つまり、修正量dY2は、(V1−V3)×tという数式から算出される値であってもよい。
もちろん、修正量dY2がその他の手法によって算出されてもよいことは言うまでもない。つまり、目標軌道算出部130は、車線変更が終了した時点での自車両C1と前方車両C3との間の車間距離が相対的に大きくなる(例えば、所定距離以上になる)状態を実現するという観点から算出される任意の修正量dY2を採用してもよい。
その後、目標軌道算出部130は、ステップS233で修正された最終地点Yeに応じて、目標軌道Tを修正する(ステップS234)。つまり、目標軌道算出部130は、自車両C1の現在位置から修正後の最終地点Yeに向かう目標軌道Tを算出する(ステップS234)。尚、ステップS234においても、目標軌道算出部130は、ステップS132と同様の態様で、目標軌道Tを修正する(つまり、新たに算出する)。
ここで、図7を参照しながら、最終地点Ye及び目標軌道Tの修正についてより詳細に説明する。図7は、最終地点Ye及び目標軌道Tの修正の態様を、自車両C1及び後方車両C2の走行状況と共に概略的に示す平面図である。
図7(a)に示すように、自車両C1が、図6のステップS132で算出された目標軌道T(つまり、図6のステップS131で算出された最終地点Yeに向かう目標軌道T)に沿って車線変更を開始するものとする。
その後、図7(b)に示すように、目標軌道Tに沿って自車両C1が車線変更している途中で、前方車両C3の車速V3が減少したとする。このような状況は、前方車両C3が減速している場合に生じやすい。前方車両C3の車速の減少の結果、自車両C1が前方車両C3に対して追いつくまでに要する所要時間tc2が所定閾値th2未満となったものとする。
従って、図7(c)に示すように、目標軌道算出部130は、最終地点Yeが自車両C1の進行方向に沿って所定の修正量dY2だけ後方側に移動するように、最終地点Yeを修正する。加えて、目標軌道算出部130は、目標軌道Tを修正する。その結果、目標軌道Tを修正した場合には、目標軌道を修正しない場合と比較して、車線変更が終了した時点での自車両C1と前方車両C3との間の車間距離が大きくなることが分かる。
再び図6において、他方で、ステップS222の判定の結果、所要時間tc2が所定閾値th2未満でないと判定される場合には(ステップS222:No)、所要時間tc2が所定閾値th2未満である場合と比較して、自車両C1は相対的に遅いタイミングで前方車両C3に追いつく可能性がある又は自車両C1が前方車両C3に追いつかないと推測される。つまり、所要時間tc2が所定閾値th2未満でないと判定される場合には、所要時間tc2が所定閾値th2未満である場合と比較して、車線変更が終了した時点での自車両C1と前方車両C3との間の車間距離が相対的に小さくなっている可能性が低い。従って、所要時間tc2が所定閾値th2未満でないと判定される場合には(ステップS222:No)、目標軌道算出部130は、目標軌道Tの最終地点Yeを修正しなくともよい。従って、目標軌道算出部130は、目標軌道Tを修正しなくともよい。
目標軌道Tが修正された場合には、車両制御部140は、ステップS134で修正された目標軌道Tに沿って自車両C1が走行するようにレーンチェンジアシスト制御を行う(ステップS141)。
以上説明したように、第2動作例では、ECU100は、自車両C1が前方車両C3に追いつくまでに要する所要時間tc2に基づいて、走行車線L1から目標車線LTに向かって車線変更している自車両C1の最終地点Ye及び目標軌道Tを修正することができる。より具体的には、ECU100は、車線変更が終了した時点での自車両C1と前方車両C3との間の車間距離を相対的に大きくするために、目標軌道Tの最終地点Yeが自車両C1の進行方向に沿って後方側に移動するように、最終地点Ye及び目標軌道Tを修正することができる。従って、目標軌道Tを修正した場合には、目標軌道を修正しない場合と比較して、車線変更が終了した時点での自車両C1と前方車両C3との間の車間距離が大きくなる。従って、自車両C1が前方車両C3に追いつくまでに要する所要時間tc2が所定閾値th2未満になる場合に自車両C1が車線変更したとしても、自車両C1及び前方車両C3の双方の円滑な走行が実現される。その結果、自車両C1及び前方車両C3の周辺を走行している他の車両の円滑な走行をも間接的に実現される。
尚、上述の説明では、目標軌道算出部130は、自車両C1が前方車両C3に追いつくまでに要する所要時間tc2が所定閾値th2未満になるか否かの判定結果に応じて、最終地点Ye及び目標軌道Tを修正している。しかしながら、目標軌道算出部130は、自車両C1が前方車両C3に追いつくまでに要する所要時間tc2が所定閾値th2未満になるか否かの判定結果に加えて又は代えて、例えば、自車両C1と前方車両C3との衝突可能性(例えば、自車両C1が車線変更を終了した時点での自車両C1と前方車両C3との間の車間距離)に応じて、最終地点Ye及び目標軌道Tを修正してもよい。例えば、目標軌道算出部130は、例えば、自車両C1と前方車両C3との衝突可能性が所定可能性以上である(例えば、自車両C1が車線変更を終了した時点での自車両C1と前方車両C3との間の車間距離が所定距離未満である)場合に、最終地点Ye及び目標軌道Tを修正してもよい。この場合、他車両判定部120は、例えば、自車両C1と前方車両C3との衝突可能性が所定可能性以上であるか否か(例えば、自車両C1が車線変更を終了した時点での自車両C1と前方車両C3との間の車間距離が所定距離未満であるか否か)を判定することが好ましい。
但し、自車両C1と前方車両C3との衝突可能性(例えば、自車両C1が車線変更を終了した時点での自車両C1と前方車両C3との間の車間距離)は、自車両C1が前方車両C3に追いつくまでに要する所要時間tc2と密接に関係している。つまり、自車両C1と前方車両C3との衝突可能性が相対的に高い(例えば、自車両C1が車線変更を終了した時点での自車両C1と前方車両C3との間の車間距離が相対的に小さい)は、自車両C1が前方車両C3に追いつくまでに要する所要時間tc2が相対的に小さいと想定される。一方で、自車両C1と前方車両C3との衝突可能性が相対的に低い(例えば、自車両C1が車線変更を終了した時点での自車両C1と前方車両C3との間の車間距離が相対的に大きい)は、自車両C1が前方車両C3に追いつくまでに要する所要時間tc2が相対的に大きいと想定される。このため、自車両C1と前方車両C3との衝突可能性(例えば、自車両C1が車線変更を終了した時点での自車両C1と前方車両C3との間の車間距離)に応じた最終地点Ye及び目標軌道Tの修正に関する動作は、自車両C1が前方車両C3に追いつくまでに要する所要時間tc2に応じた最終地点Ye及び目標軌道Tの修正に関する動作と実質的に同一である。
尚、ECU100は、第1動作例及び第2動作例を並行して又は同時に行ってもよい。或いは、ECU100は、第1動作例及び第2動作例のうちのいずれか一方を選択的に行ってもよい。但し、後方車両C2が存在しない場合には、ECU100は、第1動作例を行わなくともよい。同様に、但し、前方車両C3が存在しない場合には、ECU100は、第2動作例を行わなくともよい。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う走行支援装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。