ところで、自車両の前方を走行する前方車両を自車両が追い越す際には、自車両は、現在走行中の走行車線から目標車線へと車線変更し、目標車線を走行することで前方車両を追い越し、目標車線から元の走行車線に戻るように車線変更を行うことが多い。従って、上述した走行支援装置も、このような自車両の走行を支援するべく、自車両の車線変更を支援することが好ましい。
しかしながら、自車両が追い越しを開始した時点での前方車両の車速が、前方車両の追い越しを完了する前に増加してしまうおそれがある。例えば、自車両が追い越しを開始した時点で上り勾配を走行していた前方車両が、自車両が追い越しをしている最中に下り勾配を走行する状況になった場合には、前方車両の車速が増加してしまうおそれがある。或いは、例えば、自車両が追い越しを開始した時点で曲線路を走行していた前方車両が、自車両が追い越しをしている最中に直線路を走行する状況になった場合には、前方車両の車速が増加してしまうおそれがある。このような場合、前方車両の車速の増加に起因して、自車両が前方車両の追い越しを完了することができなくなるおそれがある。このため、前方車両の追い越しを完了することができないにも関わらず、自車両の車線変更が支援されてしまう(つまり、無駄に車線変更が行われる)という技術的な問題点が生ずる。
尚、上述した特許文献1に開示された走行支援装置は、相対的に遅い車速で走行している前方車両を追い越すために自車両が目標車線へと車線変更する場合には、自車両の後方から目標車線を走行してくる他車両の走行状態に応じて自車両の車線変更を行うか否かを判断するに過ぎない(例えば、特許文献1の段落0072参照)。つまり、上述した特許文献1に開示された走行支援装置は、自車両の前方に位置する前方車両の走行状態を考慮することなく、自車両の車線変更を行うか否かを判断するに過ぎない。従って、上述した技術的な問題点は、上述した特許文献1に開示された走行支援装置においても依然として生じ得る。
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、自車両の車線変更を好適に支援することが可能な走行支援装置を提案することを課題とする。
<1>
本発明の走行支援装置は、自車両の車線変更を支援する走行支援装置であって、前記自車両の前方に位置する前方車両が走行している走行車線の道路状態に基づいて、前記前方車両の車速が増加する状況になるか否かを予測する予測手段と、前記前方車両の車速が増加する状況になると予測される場合には、前記自車両の車線変更を行わないように前記自車両の走行を支援する支援手段とを備える。
本発明の走行支援装置によれば、自車両の車線変更(例えば、現在走行している走行車線から、当該走行車線に隣接する目標車線への車線変更)を支援することができる。尚、本発明の走行支援装置が支援する「車線変更」は、典型的には、自車両の前方であって且つ自車両が走行している走行車線と同一の走行車線を走行している前方車両を自車両が追い越すために自車両が行う車線変更である。しかしながら、本発明の走行支援装置が支援する「車線変更」は、その他の状況下で自車両が行う車線変更であってもよい。但し、本発明の走行支援装置が支援する「車線変更」は、自車両の前方であって且つ自車両が走行している走行車線と同一の走行車線を走行している前方車両が存在する状況下で自車両が行う車線変更であることが好ましい。
自車両の車線変更を支援するために、走行支援装置は、予測手段と、支援手段とを備える。
予測手段は、前方車両が走行している走行車線の道路状態に基づいて、前方車両の車速が増加する状況になるか否かを予測する。言い換えれば、予測手段は、前方車両が走行している走行車線の道路状態に基づいて、前方車両の車速が増加する状況になるか否かを、前方車両の車速が変化する前に前もって予測する。特に、予測手段は、自車両が前方車両の追い越しを開始してから完了するまでの間に、前方車両の車速が増加する状況になるか否かを予測することが好ましい。言い換えれば、自車両が前方車両の追い越しを開始してから完了するまでの間に、自車両が前方車両の追い越しを開始した時点の前方車両の車速と比較して、前方車両の車速が増加する状況になるか否かを予測することが好ましい。
ここで、「道路状態」とは、典型的には、走行車線そのものの状態を意味している。具体的には、「道路状態」としては、例えば、走行車線そのものに特有の特性、性質、特徴、構造又は環境等が一例としてあげられる。より具体的には、「道路状態」としては、例えば、走行車線の勾配や、走行車線の形状等が一例としてあげられる。
このような道路状態は、前方車両の車速に影響を与えることがある。例えば、平坦勾配又は上り勾配から下り勾配に切り替わる走行車線を前方車両が走行している場合には、前方車両が下り勾配を走行し始めた後に前方車両の車速が増加し易いと想定される。或いは、例えば、曲線路から直線路に切り替わる走行車線を前方車両が走行している場合には、前方車両が直線路を走行し始めた後に、前方車両の車速が増加し易いと想定される。このように、予測手段は、前方車両が走行している走行車線の道路状態(つまり、前方車両が現在走行している位置のみならず、前方車両が将来走行すると推測される位置に対応する道路状態)に基づいて、前方車両の車速が増加する状況になるか否かを予測することができる。
支援手段は、予測手段によって前方車両の車速が増加する状況になると予測される場合には、自車両の車線変更(例えば、前方車両の追い越しに伴う車線変更)を行わないように、自車両の走行を支援する。つまり、支援手段は、予測手段によって前方車両の車速が増加する状況になると予測される場合には、自車両が現在走行している走行車線を走行し続けるように、自車両の走行を支援する。一方で、支援手段は、予測手段によって前方車両の車速が増加する状況にならないと予測される場合には、自車両の車線変更(例えば、前方車両の追い越しに伴う車線変更)を行うように、自車両の走行を支援してもよい。
ここで、前方車両の車速が増加する状況になると予測される場合には、仮に自車両が前方車両を追い越すために車線変更したとしても、自車両が前方車両の追い越しを完了する前に、前方車両の車速が増加するおそれがある。その結果、自車両が前方車両を追い越すために車線変更したとしても、自車両が前方車両の追い越しを完了することができない状況が生じる可能性がある。しかるに、本発明では、自車両が前方車両を追い越すために車線変更したとしても自車両が前方車両を追い越すことができない状況が生じ得る場合には、自車両の車線変更を行わないように自車両の走行が支援される。従って、自車両が無駄な車線変更を行うことが殆ど又は全くなくなる。このように、本発明の走行支援装置は、自車両の車線変更を好適に支援することができる。
尚、予測手段は、前方車両の車速が増加する状況になるか否かを予測することのみならず、前方車両の車速が増加する状況になる(例えば、後述するように、下り勾配又は直線路を走行する状況になる)前に自車両が前方車両の追い越しを完了するか否か、を予測してもよい。この場合、支援手段は、前方車両の車速が増加する状況になる前に自車両が前方車両の追い越しを完了しないと予測される場合には、自車両の車線変更を行わないように前記自車両の走行を支援しないことが好ましい。一方で、支援手段は、前方車両の車速が増加する状況になる前に自車両が前方車両の追い越しを完了すると予測される場合には、自車両の車線変更を行わないように前記自車両の走行を支援することが好ましい。
また、この場合、予測手段は、前方車両の車速が増加する状況になるまでに要する時間と自車両が前方車両の追い越しを完了するまでに要する時間とを比較することで、前方車両の車速が増加する状況になる前に自車両が前方車両の追い越しを完了するか否か、を予測してもよい。前方車両の車速が増加する状況になるまでに要する時間が、自車両が前方車両の追い越しを完了するまでに要する時間より大きい場合には、予測手段は、前方車両の車速が増加する状況になる前に自車両が前方車両の追い越しを完了すると予測してもよい。他方で、前方車両の車速が増加する状況になるまでに要する時間が、自車両による前方車両の追い越しが完了するまでに要する時間以下になる場合には、予測手段は、前方車両の車速が増加する状況になる前に自車両による前方車両の追い越しが完了しないと予測してもよい。
或いは、例えば、予測手段は、前方車両の車速が増加する状況になるまでに自車両が走行する距離と自車両が前方車両の追い越しを完了するまでに自車両が走行する距離とを比較することで、前方車両の車速が増加する状況になる前に自車両が前方車両の追い越しを完了するか否か、を予測してもよい。前方車両の車速が増加する状況になるまでに自車両が走行する距離が、自車両が前方車両の追い越しを完了するまでに自車両が走行する距離以上になる場合には、予測手段は、前方車両の車速が増加する状況になる前に自車両が前方車両の追い越しを完了すると予測してもよい。他方で、前方車両の車速が増加する状況になるまでに自車両が走行する距離が、自車両による前方車両の追い越しが完了するまでに自車両が走行する距離よりも短い場合には、予測手段は、前方車両の車速が増加する状況になる前に自車両が前方車両の追い越しを完了しないと予測してもよい。
<2>
本発明の走行支援装置の他の態様では、前記予測手段は、前記前方車両が走行している走行車線の勾配に基づいて、前記前方車両の車速が増加する状況になるか否かを予測する。
この態様によれば、例えば、平坦勾配又は上り勾配から下り勾配に切り替わる走行車線を前方車両が走行している場合には、平坦勾配又は上り勾配のままの走行車線を前方車両が走行している場合と比較して、前方車両が下り勾配を走行し始めた後に前方車両の車速が増加し易いと想定される。他方で、上り勾配又は平坦勾配のままの走行車線を前方車両が走行している場合には、平坦勾配又は上り勾配から下り勾配に切り替わる走行車線を前方車両が走行している場合と比較して、前方車両の車速が増加しにくいと想定される。従って、予測手段は、前方車両の車速に影響を与え得る道路状態の一例である「勾配」に基づいて、前方車両の車速が増加する状況になるか否かを好適に予測することができる。
<3>
上述の如く走行車線の勾配に基づいて前方車両の車速が増加する状況になるか否かを予測する走行支援装置の他の態様では、前記予測手段は、前記自車両が前記前方車両の追い越しを完了するまでに、前記前方車両が下り勾配を走行する状況になる場合には、前記前方車両の車速が増加する状況になると予測する。
この態様によれば、予測手段は、走行車線の勾配に基づいて、前方車両の車速が増加する状況になるか否かを好適に予測することができる。というのも、自車両が前方車両の追い越しを完了するまでに前方車両(例えば、追い越しの開始時点では上り勾配若しくは平坦勾配を走行していた又はそれまで下り勾配を走行していなかった前方車両)が下り勾配を走行する状況になる場合には、自車両が前方車両の追い越しを完了する前に前方車両の車速が増加する可能性が高いと想定されるからである。
<4>
上述の如く走行車線の勾配に基づいて前方車両の車速が増加する状況になるか否かを予測する走行支援装置の他の態様では、前記予測手段は、前記自車両が前記前方車両の追い越しを完了するまでに前記自車両が走行する第1距離が、前記自車両が下り勾配を走行し始めるまでに前記自車両が走行する第2距離以上になる場合に、前記前方車両の車速が増加する状況になると予測する。
予測手段は、走行車線の勾配に基づいて、前方車両の車速が増加する状況になるか否かを好適に予測することができる。というのも、第1距離が第2距離以上になる場合には、自車両が前方車両の追い越しを完了する前に、前方車両(例えば、追い越しの開始時点で上り勾配若しくは平坦勾配を走行していた又はそれまで下り勾配を走行していなかった前方車両)が下り勾配を走行し始める(その結果、自車両の前方に依然として位置する前方車両の車速が増加する)可能性が高いと想定されるからである。
<5>
上述の如く走行車線の勾配に基づいて前方車両の車速が増加する状況になるか否かを予測する走行支援装置の他の態様では、前記予測手段は、前記自車両が前記前方車両の追い越しを完了するまでに要する第1時間が、前記自車両が下り勾配を走行し始めるまでに要する第2時間以上になる場合に、前記前方車両の車速が増加する状況になると予測する。
予測手段は、走行車線の勾配に基づいて、前方車両の車速が増加する状況になるか否かを好適に予測することができる。というのも、第1時間が第2時間以上になる場合には、自車両が前方車両の追い越しを完了する前に、前方車両(例えば、追い越しの開始時点で上り勾配若しくは平坦勾配を走行していた又はそれまで下り勾配を走行していなかった前方車両)が下り勾配を走行し始める(その結果、自車両の前方に依然として位置する前方車両の車速が増加する)可能性が高いと想定されるからである。
<6>
本発明の走行支援装置の他の態様では、前記予測手段は、前記前方車両が走行している走行車線の形状に基づいて、前記前方車両の車速が増加する状況になるか否かを予測する。
この態様によれば、例えば、曲線路から直線路に切り替わる走行車線を前方車両が走行している場合には、曲線路のままの走行車線を前方車両が走行していると比較して、前方車両が直線路を走行し始めた後に、前方車両の車速が増加し易いと想定される。他方で、曲線路のままの走行車線を前方車両が走行している場合には、曲線路から直線路に切り替わる走行車線を前方車両が走行していると比較して、前方車両の車速が増加しにくいと想定される。従って、予測手段は、前方車両の車速に影響を与え得る道路状態の一例である「形状」に基づいて、前方車両の車速が増加する状況になるか否かを好適に予測することができる。
<7>
上述の如く走行車線の形状に基づいて前方車両の車速が増加する状況になるか否かを予測する走行支援装置の他の態様では、前記予測手段は、前記自車両が前記前方車両の追い越しを完了するまでに、前記前方車両が直線路を走行する状況になる場合には、前記前方車両の車速が増加する状況になると予測する。
この態様によれば、予測手段は、走行車線の形状に基づいて、前方車両の車速が増加する状況になるか否かを好適に予測することができる。というのも、自車両が前方車両の追い越しを完了するまでに前方車両(例えば、追い越しの開始時点で曲線路を走行していた又はそれまで直線路を走行していなかった前方車両)又は自車両が直線路を走行する状況になる場合には、自車両が前方車両の追い越しを完了する前に、前方車両の車速が増加する可能性が高いと想定されるからである。
<8>
上述の如く走行車線の形状に基づいて前方車両の車速が増加する状況になるか否かを予測する走行支援装置の他の態様では、前記予測手段は、前記自車両が前記前方車両の追い越しを完了するまでに前記自車両が走行する第1距離が、前記自車両が直線路を走行し始めるまでに前記自車両が走行する第2距離以上になる場合に、前記前方車両の車速が増加する状況になると予測する。
予測手段は、走行車線の形状に基づいて、前方車両の車速が増加する状況になるか否かを好適に予測することができる。というのも、第1距離が第2距離以上になる場合には、自車両が前方車両の追い越しを完了する前に、前方車両(例えば、追い越しの開始時点で曲線路を走行していた又はそれまで直線路を走行していなかった前方車両)又は自車両が直線路を走行し始める(その結果、自車両の前方に依然として位置する前方車両の車速が増加する)可能性が高いと想定されるからである。
<9>
上述の如く走行車線の形状に基づいて前方車両の車速が増加する状況になるか否かを予測する走行支援装置の他の態様では、前記予測手段は、前記自車両が前記前方車両の追い越しを完了するまでに要する第1時間が、前記自車両が直線路を走行し始めるまでに要する第2時間以上になる場合に、前記前方車両の車速が増加する状況になると予測する。
予測手段は、走行車線の形状に基づいて、前方車両の車速が増加する状況になるか否かを好適に予測することができる。というのも、第1時間が第2時間以上になる場合には、自車両が前方車両の追い越しを完了する前に、前方車両(例えば、追い越しの開始時点で曲線路を走行していた又はそれまで直線路を走行していなかった前方車両)又は自車両が直線路を走行し始める(その結果、自車両の前方に依然として位置する前方車両の車速が増加する)可能性が高いと想定されるからである。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する、発明を実施するための形態から更に明らかにされる。
以下、本発明の走行支援装置を車両1に適用した実施形態について、図面に基づいて説明する。
(1)車両の構成
はじめに、図1を参照して、本実施形態の車両1の構成について説明する。図1は、本実施形態の車両1の構成の一例を示すブロック図である。尚、図1は、説明の簡略化のために、本発明に関連する構成要件に着目した車両1の構成を示している。従って、図1に示す構成要件以外の他の構成要件を車両1が備えていてもよいことは言うまでもない。
図1に示すように、車両1は、GPS受信器11と、車両検出器12と、メモリ13と、「走行支援装置」の一例であるECU(Electronic Control Unit)100とを備えている。
GPS受信器11は、不図示のGPS衛星から放射されているGPS電波を受信する。GPS受信器11は、GPS電波を受信することで得られるGPS信号を、ECU100に転送する。その結果、ECU100は、GPS信号を解析することで、車両1の現在位置を認識することができる。
車両検出器12は、車両1の周辺に位置する他車両(例えば、図2及び図3を参照しながら後述する前方車両C2等)を検出する。車両検出器12としては、他車両を撮影するために車両1の前方、側方又は後方等に設置されたカメラや、他車両の存在を検出するためのミリ波を放射するミリ波レーダや、他車両又は路側機器と通信することで他車両を検出する車間通信機器等が一例としてあげられる。車両検出器12の検出結果(例えば、カメラの撮影結果や、ミリ波レーダの検出結果や、車間通信機器での通信記録等)は、ECU100に転送される。その結果、ECU100は、車両検出器12の検出結果を解析することで、他車両の現在位置や車速等を認識することができる。
メモリ13は、情報を恒久的に又は一時的に格納可能な記憶装置である。メモリ13として、例えば、ROMや、RAMや、フラッシュメモリや、ハードディスク等が一例としてあげられる。本実施形態では特に、メモリ13は、地図情報を格納している。メモリ13が格納している地図情報は、ECU100によって適宜参照される。その結果、ECU100は、車両1が走行している現在位置の道路状況(例えば、車線の勾配や、車線の形状や、車線の数等)を認識することができる。
尚、ECU100は、メモリ13に格納されている地図情報に加えて又は代えて、不図示のネットワーク回線を介してダウンロードされる地図情報を参照してもよい。この場合、メモリ13は、地図情報を格納していなくともよい。
ECU100は、その内部に、物理的な処理回路として又は論理的な処理ブロックとして、状況認識部110と、「予測手段」の一例である車線変更判定部120と、目標軌道算出部130と、「支援手段」の一例である車両制御部140とを備えている。
状況認識部110は、GPS受信器11から転送されるGPS信号や車両1が備える任意のセンサ(例えば、車速センサ等)の検出結果等に基づいて、車両1の走行状況(例えば、車両1の現在位置等)を認識する。加えて、状況認識部110は、車両検出器12の検出結果等に基づいて、車両1の周辺に位置する他車両の走行状況(例えば、他車両の現在位置や車速等)を認識する。特に、状況認識部110は、車両1の前方(具体的には、進行方向に対して前方)を走行しており且つ車両1が現在走行している走行車線L1を走行している前方車両C2(図2及び図3参照)の走行状況を認識することが好ましい。加えて、状況認識部110は、メモリ13に格納されている地図情報を参照することで、車両1が走行している走行車線L1(更には、目標車線LT)の道路状態(例えば、車線の勾配や、車線の形状や、車線の数等)を認識する。
車線変更判定部120は、車両1が、現在走行している走行車線L1から当該走行車線L1に隣接する目標車線LTに車線変更することが可能か否かを判定する。このとき、車線変更判定部120は、状況認識部110が認識した車両1の走行状況、他車両の走行状況及び車両1が走行している現在位置の道路状態のうちの少なくとも一つに基づいて、車両1が走行車線L1から目標車線LTに車線変更することが可能か否かを判定する。尚、車線変更判定部130の詳細な動作については、後に詳述する(図4参照)。
目標軌道算出部130は、車両1が走行するべき軌道である目標軌道Tを算出する。特に、本実施形態では、目標軌道算出部130は、現在走行している走行車線L1から目標車線LTへと車線変更する車両1が走行するべき目標軌道(更には、目標車線LTを走行した後に再度走行車線L1に戻るように車両1が走行するべき目標軌道)Tを算出してもよい。目標軌道算出部120は、例えば、状況認識部110が認識した車両1の走行状況、他車両の走行状況及び車両1が走行している現在位置の道路状況のうちの少なくとも一つに基づいて、目標軌道Tを算出する。
車両制御部140は、車両1の走行を支援するためのアシスト制御を行う。特に、本実施形態では、車両制御部140は、目標軌道算出部130が算出した目標軌道Tに沿って車両1が走行するように、車両1の走行車線L1から目標車線LTへの車線変更を補助するためのアシスト制御(いわゆる、レーンチェンジアシスト制御)を行う。
(2)車両の動作
続いて、図2から図4を参照して、本実施形態の車両1が行う動作(特に、レーンチェンジアシスト制御に関連する動作)について説明を進める。
(2−1)車両1の走行状況の一例
はじめに、図2及び図3を参照しながら、レーンチェンジアシスト制御に関連する動作が行われる場合の、車両1の走行状況の一例について説明する。図2は、レーンチェンジアシスト制御に関連する動作が行われる場合の、車両1の走行状況の一例を示す平面図である。図3は、レーンチェンジアシスト制御に関連する動作が行われる場合の、車両1の走行状況の他の一例を示す平面図である。
図2の上部及び図3に示すように、例えば、走行車線L1を走行している車両1(図2及び図3中の、自車両C1)が、走行車線L1の1つ右隣りの走行車線である目標車線LTに車線変更する場合(図2の上部及び図3中の、一点鎖線の経路参照)に、本実施形態のレーンチェンジアシスト制御に関連する動作が行われる。
このような自車両C1の車線変更は、典型的には、自車両C1が、自車両C1の進行方向に沿って自車両C1の前方に位置し且つ自車両C1が走行している走行車線L1を走行している前方車両C2を追い越す際に行われる(図2の上部及び図3の一点鎖線で示す自車両C1の仮想的な走行軌跡参照)。しかしながら、自車両C1の車線変更は、その他の状況下で行われてもよい。但し、自車両C1の車線変更は、前方車両C2が存在する状況下で行われることが好ましい。
ここで、自車両C1が前方車両C2を追い越すのは、自車両C1の車速V1と比較して、前方車両C2の車速V2が小さい場合であることが多い。つまり、自車両C1が前方車両C2を追い越すのは、自車両C1が前方車両C2を追い越すのは、自車両C1と前方車両C2との間の距離が徐々に短くなっている場合であることが多い。
ところが、図2の下部に示すように、前方車両C2が走行している走行車線L1(つまり、自車両C1が走行している走行車線L1)が、上り勾配から下り勾配に切り替わる走行車線L1であることがある。このような走行車線L1では、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始した時点で上り勾配を走行していた前方車両C2が、自車両C1が追い越しをしている最中に下り勾配を走行する状況になった場合には、自車両C1が前方車両C2の追い越しを完了する前に、前方車両C2の車速V2が増加してしまうおそれがある。このような場合、前方車両C2の車速V2の増加に起因して、自車両C1による前方車両C2の追い越しが完了できなくなるおそれがある。
或いは、図3に示すように、前方車両C2が走行している走行車線L1(つまり、自車両C1が走行している走行車線L1)が、曲線路から直線路に切り替わる走行車線L1であることがある。このような走行車線L1においても、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始した時点で曲線路を走行していた前方車両C2が、自車両C1が追い越しをしている最中に直線路を走行する状況になった場合には、自車両C1が前方車両C2の追い越しを完了する前に、前方車両C2の車速V2が増加してしまうおそれがある。このような場合、前方車両C2の車速V2の増加に起因して、自車両C1による前方車両C2の追い越しが完了できなくなるおそれがある。
従って、本実施形態のECU100は、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始してから完了するまでの間に、前方車両C2の車速V2が増加する状況にあるか否かを直接的に又は間接的に判定する。言い換えれば、本実施形態のECU100は、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始してから完了するまでの間に、自車両C1が前方車両C2の追い越しを完了することができない程度に前方車両C2の車速V2が増加する状況にあるか否かを直接的に又は間接的に判定する。より具体的には、例えば、ECU100は、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始してから完了するまでに走行する距離が、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始した時点での自車両C1と下り勾配の開始位置(或いは、直線路の開始位置)との間の距離(図2及び図3における距離DS+距離DL)よりも短いか否かを判定することで、自車両C1が前方車両C2の追い越しを完了する前に前方車両C2の車速V2が増加する状況にあるか否かを間接的に判定する。その結果、前方車両C2の車速V2が増加する状況にあると判定される場合には、ECU100は、自車両C1が目標車線LTに車線変更しないように、自車両C1の走行を支援する。
以下、このようなECU100の動作について、図4に示すフローチャートを参照しながらより詳細に説明する。
尚、図2及び図3は、走行状況の一例を例示するに過ぎず、自車両C1及び全欧車両C2以外の車両の存在を排除する意図はない。但し、自車両C1が走行している道路は、2車線以上の走行車線を含んでいることが好ましい。
また、図2は、前方車両C2が走行している走行車線L1が上り勾配から下り勾配に切り替わる走行車線L1を示している。しかしながら、前方車両C2が走行している走行車線L1が平坦勾配から下り勾配に切り替わる走行車線L1である場合であっても、場合によっては、前方車両C2の車速V2の増加に起因して自車両C1による前方車両C2の追い越しが完了できなくなるおそれがある。つまり、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始した時点で平坦勾配を走行していた前方車両C2が、自車両C1が追い越しをしている最中に下り勾配を走行する状況になった場合には、前方車両C2の車速V2が増加してしまうおそれがある。従って、走行車線L1が平坦勾配から下り勾配に切り替わる場合にも、走行車線L1が上り勾配から下り勾配に切り替わる場合と同様の動作が行われてもよい。
また、以下では、自車両C1の車速がV1[m/s]であり、前方車両C2の車速がV2[m/s]であるものとして説明を進める。また、自車両C1と前方車両C2との間の車間距離は、前方車両C2の現在位置−自車両C1の現在位置=DS[m]であるものとして説明を進める。また、前方車両C2と下り勾配の開始位置(或いは、直線路の開始位置)との間の距離は、下り勾配の開始位置−前方車両C2の現在位置=DL[m]であるものとして説明を進める。いずれのパラメータも、自車両C1の進行方向に前方側に向かって正の値をとるものとする。
(2−2)車両の動作の流れ
続いて、図4を参照して、本実施形態の車両1が行う動作(特に、レーンチェンジアシスト制御に関連する動作)の流れについて説明する。図4は、本実施形態の車両1が行う動作(特に、レーンチェンジアシスト制御に関連する動作)の流れを示すフローチャートである。
尚、以下では、説明の便宜上、図2に示す走行状況にある自車両C1が行う第1動作例の流れを例に挙げて説明を進める。但し、図2に示す走行状況にある自車両C1とは異なる車両1(例えば、図3に示す走行状況にある自車両C1や、その他の走行状況にある自車両C1)であっても、以下に説明する動作を行ってもよいことは言うまでもない。
図4に示すように、まず、状況認識部110は、GPS受信器11から転送されるGPS信号や自車両C1が備える任意のセンサ(例えば、車速センサ等)の検出結果等に基づいて、自車両C1の走行状況(例えば、自車両C1の現在位置や車速V1等)を認識する(ステップS111)。
ステップS111の動作に続いて、状況認識部110は、メモリ13に格納されている地図情報を参照する。このとき、状況認識部110は、ステップS111で認識した自車両C1の現在位置に対応する地図情報を参照する。その結果、状況認識部110は、自車両C1が走行している現在位置の道路状態(例えば、車線の勾配や、車線の形状や、車線の数等)を認識する(ステップS112)。
ステップS111及びステップS112の動作に続いて、相前後して又は並行して、状況認識部110は、車両検出器12の検出結果等に基づいて、自車両C1が走行している走行車線L1を走行している前方車両C2の走行状況(例えば、前方車両C2の現在位置や車速V2等)を認識する(ステップS113)。
その後、車線変更判定部120は、車線変更トリガがオンになったか否かを判定する(ステップS121)。車線変更トリガは、例えば、自車両C1の方向指示器が操作された(特に、目標車線LT側に曲がる意思を示すように、方向指示器が操作された)場合に、オンになってもよい。或いは、車線変更トリガは、自車両C1が前方車両C2に追いつくまでに要する時間(具体的には、自車両C1と前方車両C2との間の距離/前方車両C2の車速V2を基準とする自車両C1の相対車速=DS/(V1−V2))が所定閾値未満になった場合に、オンになってもよい。
ステップS121の判定の結果、車線変更トリガがオンになっていないと判定される場合には(ステップS121:No)、車線変更判定部120は、車線変更判定部120は、自車両C1が走行車線L1をそのまま走行し続けるべきであると判定する(ステップS123)。従って、車両制御部140は、自車両C1の走行車線L1での走行を補助するためのアシスト制御を行う(ステップS142)。その結果、自車両C1は、走行車線L1をそのまま走行し続ける。
他方で、ステップS121の判定の結果、車線変更トリガがオンになったと判定される場合には(ステップS121:Yes)、車線変更判定部120は、続いて、自車両C1が目標車線LTに車線変更することができるか否かを判定する(ステップS122)。より具体的には、車線変更判定部120は、自車両C1が目標車線LTに車線変更した後に、前方車両C2の追い越しを完了することができるか否かを判定する(ステップS122)。
ステップS122では、車線変更判定部120は、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始してから完了するまでの間に(つまり、自車両C1が前方車両C2の追い越しを完了する前に)、前方車両C2の車速V2が増加する状況にあるか否かを直接的に又は間接的に判定してもよい。この場合、自車両C1が前方車両C2の追い越しを完了する前に前方車両C2の車速V2が増加する状況にある場合には、車線変更判定部120は、自車両C1が目標車線LTに車線変更することができない(つまり、自車両C1が目標車線LTに車線変更した後に、前方車両C2の追い越しを完了することができない)と判定してもよい。というのも、自車両C1が前方車両C2の追い越しを完了する前に前方車両C2の車速V2が増加する状況にある場合には、前方車両C2の車速V2の増加によって、自車両C1と前方車両C2との間の距離が縮まりにくくなる又は広がるからである。他方で、自車両C1が前方車両C2の追い越しを完了する前に前方車両C2の車速V2が増加する状況にない場合には、車線変更判定部120は、自車両C1が目標車線LTに車線変更することができる(つまり、自車両C1が目標車線LTに車線変更した後に、前方車両C2の追い越しを完了することができる)と判定してもよい。
本実施形態では、車線変更判定部120は、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始してから完了するまでに走行する距離が、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始した時点での自車両C1と下り勾配の開始位置との間の距離(図2における距離DS+距離DL)よりも短いか否かを判定するものとする。自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始してから完了するまでに走行する距離が、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始した時点での自車両C1と下り勾配の開始位置との間の距離よりも短ければ、自車両C1が前方車両C2の追い越しを完了する前に前方車両C2の車速V2が増加する状況にならないと推測される。その結果、自車両C1が目標車線LTに車線変更することができる(つまり、自車両C1が目標車線LTに車線変更した後に、前方車両C2の追い越しを完了することができる)と判定される。他方で、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始してから完了するまでに走行する距離が、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始した時点での自車両C1と下り勾配の開始位置との間の距離以上になれば、自車両C1が前方車両C2の追い越しを完了する前に前方車両C2の車速V2が増加する状況になると推測される。その結果、自車両C1が目標車線LTに車線変更することができない(つまり、自車両C1が目標車線LTに車線変更した後に、前方車両C2の追い越しを完了することができない)と判定される。
ステップS122で車線変更判定部120が行う判定について、図2に示す走行状況を具体例にあげてより詳細に説明する。
図2に示すように、自車両C1が前方車両C2を追い越す際には、自車両C1は、(i)走行車線L1から目標車線LTへと車線変更する第1動作、(ii)目標車線LTを走行し続けることで前方車両C2よりも前方側に抜き出る第2動作、及び(iii)目標車線LTから走行車線L1へと車線変更する第3動作を行うことが多い。従って、以下の説明も、自車両C1が第1動作から第3動作を行うことを前提とする。
まず、自車両C1が走行車線L1から目標車線LTへと車線変更する第1動作に、TL[秒]の時間を要するものとする。また、自車両C1が目標車線LTから走行車線L1へと車線変更する第3動作にもまた、TL[秒]の時間を要するものとする。一方で、目標車線LTを走行し続けることで前方車両C2よりも前方側に抜き出る第2動作には、追い越しを開始した時点での自車両C1と前方車両C2との間の距離/前方車両C2の車速V2を基準とする自車両C1の相対車速=DS/(V1−V2)[秒]の時間を要する。その結果、自車両C1が前方車両C2の追い越しを完了するまで要する時間は、2×TL+DS/(V1−V2)[秒]であることが分かる。従って、自車両C1が前方車両C2の追い越しを完了するまでに走行する距離は、V1×(2×TL+DS/(V1−V2))[m]であることが分かる。従って、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始してから完了するまでに走行する距離が、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始した時点での自車両C1と下り勾配の開始位置との間の距離よりも短くなるためには、V1×(2×TL+DS/(V1−V2))<DS+DLという数式が成立すればよい。つまり、V1×(2×TL+DS/(V1−V2))<DS+DLという数式が成立すれば、車線変更判定部120は、自車両C1が前方車両C2の追い越しを完了する前に前方車両C2の車速V2が増加する状況にないと判定することができる。他方で、つまり、V1×(2×TL+DS/(V1−V2))<DS+DLという数式が成立しなければ、車線変更判定部120は。自車両C1が前方車両C2の追い越しを完了する前に前方車両C2の車速V2が増加する状況にあると判定することができる。
尚、上述したパラメータV1及びV2は、車両1が備える任意のセンサ(例えば、車速センサ等)の検出結果や車両検出器12の検出結果等に基づいて、状況認識部110が認識することができる(図4のステップS111及びステップS113)。同様に、上述したパラメータDS及びDLは、メモリ13に格納されている地図情報に基づいて、状況認識部110が認識することができる(図4のステップS112)。従って、車線変更判定部120は、状況認識部110が認識しているこれらのパラメータを用いて、ステップS122の判定を好適に行うことができる。
具体的な数値を例にあげて、更に詳細に説明する。自車両C1の車速V1が「80km/h(つまり、22.2m/s)」であり、前方車両C2の車速V2が「70km/h(つまり、19.42m/s)」であり、車線変更する第1動作及び第3動作の夫々に要する時間TLが「6[秒]」であり、自車両C1と前方車両C2との間の距離DSが「50[m]」であるものとする。この場合、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始してから完了するまでに走行する距離は、V1×(2×TL+DS/(V1−V2))=22.2×(2×6+50/(22.2−19.42))=665.6[m]となる。従って、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始した時点での自車両C1と下り勾配の開始位置との間の距離DS+DLが665.6mよりも長ければ、車線変更判定部120は、自車両C1が前方車両C2の追い越しを完了する前に前方車両C2の車速V2が増加する状況にないと判定することができる。その結果、車線変更判定部120は、自車両C1が目標車線LTに車線変更することができる(つまり、自車両C1が目標車線LTに車線変更した後に、前方車両C2の追い越しを完了することができる)と判定してもよい。他方で、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始した時点での自車両C1と下り勾配の開始位置との間の距離DS+DLが665.6mよりも長くなければ、車線変更判定部120は、自車両C1が前方車両C2の追い越しを完了する前に前方車両C2の車速V2が増加する状況にあると判定することができる。その結果、車線変更判定部120は、自車両C1が目標車線LTに車線変更することができない(つまり、自車両C1が目標車線LTに車線変更した後に、前方車両C2の追い越しを完了することができない)と判定してもよい。
尚、上述の説明では、車線変更判定部120は、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始してから完了するまでに走行する距離が、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始した時点での自車両C1と下り勾配の開始位置との間の距離よりも短いか否かを判定している。しかしながら、車線変更判定部120は、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始してから完了するまでに要する時間が、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始してから前方車両C2が下り勾配を走行し始めるまでに要する時間よりも短いか否かを判定してもよい。自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始してから完了するまでに要する時間が、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始してから前方車両C2が下り勾配を走行し始めるまでに要する時間よりも短ければ、自車両C1が前方車両C2の追い越しを完了する前に前方車両C2の車速V2が増加する状況にならないと推測される。その結果、自車両C1が目標車線LTに車線変更することができる(つまり、自車両C1が目標車線LTに車線変更した後に、前方車両C2の追い越しを完了することができる)と判定される。他方で、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始してから完了するまでに要する時間が、自車両C1が前方車両C2の追い越しを開始してから前方車両C2が下り勾配を走行し始めるまでに要する時間以上になれば、自車両C1が前方車両C2の追い越しを完了する前に前方車両C2の車速V2が増加する状況になると推測される。その結果、自車両C1が目標車線LTに車線変更することができない(つまり、自車両C1が目標車線LTに車線変更した後に、前方車両C2の追い越しを完了することができない)と判定される。
再び図4において、ステップS122の判定の結果、自車両C1が目標車線LTに車線変更することができないと判定される場合には(ステップS122:No)、車線変更判定部120は、自車両C1が目標車線LTに対して車線変更するべきではないと判定する(ステップS123)。つまり、車線変更判定部120は、自車両C1が走行車線L1をそのまま走行し続けるべきであると判定する(ステップS123)。従って、車両制御部140は、自車両C1の走行車線L1での走行を補助するためのアシスト制御を行う(ステップS142)。その結果、自車両C1は、走行車線L1をそのまま走行し続ける。
他方で、ステップS122の判定の結果、自車両C1が目標車線LTに車線変更することができると判定される場合には(ステップS122:Yes)、車線変更判定部120は、自車両C1が目標車線LTに対して車線変更してもよいと判定する(ステップS124)。この場合、目標軌道算出部130は、車線変更を行う自車両C1の目標軌道Tを算出する(ステップS131)。例えば、目標軌道算出部130は、走行車線L1から目標車線LTへと車線変更する第1動作の第1開始地点及び第1終了地点並びに目標車線LTから走行車線L1へと車線変更する第3動作の第3開始地点及び第3終了地点を算出する。この場合、目標軌道算出部130は、自車両C1の車速V1や車線変更に要する時間等を考慮した上で、適切な(言い換えれば、安全な)車線変更を実現可能な第1開始地点及び第1終了地点並びに第3開始地点及び第3終了地点を算出してもよい。その後、目標軌道算出部130は、第1開始地点及び第1終了地点並びに第3開始地点及び第3終了地点をこの順に経由する目標軌道Tを算出する。この場合、目標軌道算出部130は、車線変更に伴って自車両C1に加わる加速度(例えば、横方向の加速度及び縦方向の加速度)ができるだけ小さくなる(好ましくは、最小になる)走行経路を、目標軌道Tとして算出してもよい。
その後、車両制御部140は、自車両C1の目標車線LTへの車線変更を補助するためのアシスト制御(いわゆる、レーンチェンジアシスト制御)を行う(ステップS141)。つまり、車両制御部140は、ステップS131で算出された目標軌道Tに沿って自車両C1が走行するようにレーンチェンジアシスト制御を行う。その結果、自車両C1は、目標車線LTに対して車線変更すると共に前方車両C2を追い越すように走行する。
以上説明したように、本実施形態では、ECU100は、道路状態(例えば、勾配や形状)に基づいて自車両C1が前方車両C2を追い越すことができると予測される場合にのみ、自車両C1が前方車両C2を追い越すために車線変更するように自車両C1の走行を支援する。つまり、ECU100は、道路状態(例えば、勾配や形状)に基づいて自車両C1が前方車両C2を追い越すことができないと予測される場合には、自車両C1が車線変更しない(つまり、現在走行している走行車線を走行し続ける9ように自車両C1の走行を支援する。その結果、自車両C1が無駄な車線変更を行うことが殆ど又は全くなくなる。このように、本実施形態のECU100は、自車両C1の車線変更を好適に支援することができる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う走行支援装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。