JP2014151838A - 運転制御装置および運転制御方法 - Google Patents

運転制御装置および運転制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】自車両が複数の周辺車両に挟まれる状況において運転者が感じる圧迫感や不安を軽減させることができる運転制御装置および運転制御方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、走行中の自車両と、当該自車両の進行方向へ自車両よりも遅い速度で移動中の少なくとも1台以上の前方移動体との車間距離を、第1車間距離として取得する。また、本発明は、自車両と、当該自車両の進行方向へ自車両よりも速い速度で移動中の少なくとも1台以上の後方移動体との車間距離を、第2車間距離として取得する。そして、本発明は、取得された第1車間距離と、取得された第2車間距離とが等しくなると予想される時点において、第1車間距離および第2車間距離の値が所定許容値以上となるように、自車両の目標車速を設定し、設定された目標車速で自車両が走行するように車速制御を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、運転制御装置および運転制御方法に関する。
従来、先行車両が存在する場合は、先行車両に対して設定車間距離を維持するように自車両の車速を制御する車間距離制御が行われ、先行車両が存在しない場合は、自車両を設定車速で走行するように維持する定速走行制御が行われていた。近年、この車間距離制御や定速走行制御の実行時において、自車両と周辺車両との位置関係に応じて各種運転制御を行う技術が報告されている。
例えば、特許文献1には、自車両が追い抜きを行うときに、周辺車両に重み付けを行い、車線変更に関する制御を行う技術が開示されている。また、特許文献2には、自車両を追い越そうとしている車両を認識し、その車両の挙動に対応して自車両の速度制御を行う技術が開示されている。また、特許文献3には、自車両と先行車両との位置や速度環境に応じて、追い越し制御を行う技術が開示されている。また、特許文献4には、自車両の前方に割り込んでくる車両を予測して自車両が無用な加減速を繰り返さないように車間距離制御を行う技術が開示されている。
特開2005−056025号公報 特開2007−153191号公報 特開2009−248892号公報 特開2002−307972号公報
ところで、従来技術(特許文献1〜4等)では、自車両と複数の周辺車両との位置関係に応じて運転制御を行うことについては考慮されていなかった。例えば、特許文献4に記載の技術では、前方車両または前方に割り込む割込車両のいずれかの単数の周辺車両と自車両との位置関係に応じて車間距離制御を行っていた。そのため、一例として、自車両の走行車線に対して左右の隣接車線を走行する複数の周辺車両に自車両が挟まれた状態で走行する状況において、運転者に圧迫感や不安を与えてしまう可能性があった。このように、従来技術は、自車両が複数の周辺車両に挟まれる状況において運転者が感じる圧迫感や不安を軽減させる点で、改善の余地があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、自車両が複数の周辺車両に挟まれる状況において運転者が感じる圧迫感や不安を軽減させることができる運転制御装置および運転制御方法を提供することを目的とする。
本発明の運転制御装置は、走行中の自車両と、当該自車両の進行方向へ前記自車両よりも遅い速度で移動中の少なくとも1台以上の前方移動体との車間距離を、第1車間距離として取得する第1車間距離取得部と、前記自車両と、当該自車両の進行方向へ前記自車両よりも速い速度で移動中の少なくとも1台以上の後方移動体との車間距離を、第2車間距離として取得する第2車間距離取得部と、前記第1車間距離取得部により取得された前記第1車間距離と、前記第2車間距離取得部により取得された前記第2車間距離とが等しくなると予想される時点において、前記第1車間距離および前記第2車間距離の値が所定許容値以上となるように、前記自車両の目標車速を設定する目標車速設定部と、前記目標車速設定部により設定された前記目標車速で前記自車両が走行するように車速制御を行う車両走行制御部と、を備えたことを特徴とする。
上記運転制御装置において、前記所定許容値は、車幅、道路形状、および、道路幅のうち少なくとも1つに基づいて設定されることが好ましい。
上記運転制御装置では、前記目標車速設定部は、前記第1車間距離取得部により取得された前記第1車間距離の時間変化を示す第1車間距離予測線と、前記第2車間距離取得部により取得された前記第2車間距離の時間変化を示す第2車間距離予測線と、が交わる第1交点を、前記第1車間距離と前記第2車間距離とが等しくなる時点として予測する第1交点予測部と、前記第1車間距離予測線と、前記自車両との車間距離が0となる時点を示す直線と、が交わる第2交点を、前記自車両が前記前方移動体に追いつく時点として予測する第2交点予測部と、前記第2車間距離予測線と、前記自車両との車間距離が0となる時点を示す直線と、が交わる第3交点を、前記自車両が前記後方移動体に追いつかれる時点として予測する第3交点予測部と、前記第1交点予測部により予測された前記第1交点と、前記第2交点予測部により予測された前記第2交点と、前記第3交点予測部により予測された前記第3交点とからなる三角領域を、接近評価エリアとして決定する接近評価エリア決定部と、前記接近評価エリア決定部により決定された前記接近評価エリアが、前記所定許容値に基づく接近許容下限値より小さくなると予測された場合、前記接近評価エリアが前記接近許容下限値以上になるように、前記第1車間距離予測線および前記第2車間距離予測線の傾きを決定する前記自車両の車速の値を調整することで、前記第1車間距離予測線および前記第2車間距離予測線を変更する予測線変更部と、前記予測線変更部により変更された前記第1車間距離予測線および前記第2車間距離予測線が示す前記自車両の車速の値を、前記自車両の目標車速として設定する設定部と、を更に備えたことが好ましい。
上記運転制御装置では、前記予測線変更部は、前記接近評価エリア決定部により決定された前記接近評価エリアが、前記所定許容値に基づく接近許容下限値より小さくなると予測された場合、予め定められた上限車速と下限車速の間の所定車速範囲内において、前記接近評価エリアが前記接近許容下限値以上になるように、前記自車両の車速の値を調整することで、前記第1車間距離予測線および前記第2車間距離予測線を変更するか、あるいは、前記接近評価エリアが前記接近許容下限値以上になるように前記自車両の車速の値を調整すると、変更した車速の値が前記所定車速範囲外となる場合は、前記所定車速範囲内で前記接近評価エリアが接近許容下限値に最大限近づくように、前記自車両の車速の値を調整することで、前記第1車間距離予測線および前記第2車間距離予測線を変更することが好ましい。
本発明の運転制御方法は、走行中の自車両と、当該自車両の進行方向へ前記自車両よりも遅い速度で移動中の少なくとも1台以上の前方移動体との車間距離を、第1車間距離として取得する第1車間距離取得工程と、前記自車両と、当該自車両の進行方向へ前記自車両よりも速い速度で移動中の少なくとも1台以上の後方移動体との車間距離を、第2車間距離として取得する第2車間距離取得工程と、前記第1車間距離取得工程にて取得された前記第1車間距離と、前記第2車間距離取得工程にて取得された前記第2車間距離とが等しくなると予想される時点において、前記第1車間距離および前記第2車間距離の値が所定許容値以上となるように、前記自車両の目標車速を設定する目標車速設定工程と、前記目標車速設定工程にて設定された前記目標車速で前記自車両が走行するように車速制御を行う車両走行制御工程と、を含むことを特徴とする。
上記運転制御方法において、前記所定許容値は、車幅、道路形状、および、道路幅のうち少なくとも1つに基づいて設定されることが好ましい。
上記運転制御方法では、前記目標車速設定工程は、前記第1車間距離取得工程にて取得された前記第1車間距離の時間変化を示す第1車間距離予測線と、前記第2車間距離取得工程にて取得された前記第2車間距離の時間変化を示す第2車間距離予測線と、が交わる第1交点を、前記第1車間距離と前記第2車間距離とが等しくなる時点として予測する第1交点予測工程と、前記第1車間距離予測線と、前記自車両との車間距離が0となる時点を示す直線と、が交わる第2交点を、前記自車両が前記前方移動体に追いつく時点として予測する第2交点予測工程と、前記第2車間距離予測線と、前記自車両との車間距離が0となる時点を示す直線と、が交わる第3交点を、前記自車両が前記後方移動体に追いつかれる時点として予測する第3交点予測工程と、前記第1交点予測工程にて予測された前記第1交点と、前記第2交点予測工程にて予測された前記第2交点と、前記第3交点予測工程にて予測された前記第3交点とからなる三角領域を、接近評価エリアとして決定する接近評価エリア決定工程と、前記接近評価エリア決定工程にて決定された前記接近評価エリアが、前記所定許容値に基づく接近許容下限値より小さくなると予測された場合、前記接近評価エリアが前記接近許容下限値以上になるように、前記第1車間距離予測線および前記第2車間距離予測線の傾きを決定する前記自車両の車速の値を調整することで、前記第1車間距離予測線および前記第2車間距離予測線を変更する予測線変更工程と、前記予測線変更工程にて変更された前記第1車間距離予測線および前記第2車間距離予測線が示す前記自車両の車速の値を、前記自車両の目標車速として設定する設定工程と、を更に含むことが好ましい。
上記運転制御方法では、前記予測線変更工程において、前記接近評価エリア決定工程にて決定された前記接近評価エリアが、前記所定許容値に基づく接近許容下限値より小さくなると予測された場合、予め定められた上限車速と下限車速の間の所定車速範囲内において、前記接近評価エリアが前記接近許容下限値以上になるように、前記自車両の車速の値を調整することで、前記第1車間距離予測線および前記第2車間距離予測線を変更するか、あるいは、前記接近評価エリアが前記接近許容下限値以上になるように前記自車両の車速の値を調整すると、変更した車速の値が前記所定車速範囲外となる場合は、前記所定車速範囲内で前記接近評価エリアが前記接近許容下限値に最大限近づくように、前記自車両の車速の値を調整することで、前記第1車間距離予測線および前記第2車間距離予測線を変更することが好ましい。
本発明の運転制御装置および運転制御方法は、自車両が複数の周辺車両に挟まれる状況において運転者が感じる圧迫感や不安を軽減させることができるという効果を奏する。
図1は、実施形態に係る運転制御装置が適用された車両の概略構成図である。 図2は、走行中の自車両と隣接車線を走行中の複数の周辺車両との車間距離の時間変化の一例を示す図である。 図3は、図2のt0における自車両と周辺車両との位置関係を示す図である。 図4は、図2のt1における自車両と周辺車両との位置関係を示す図である。 図5は、図2のt2における自車両と周辺車両との位置関係を示す図である。 図6は、図2のt3における自車両と周辺車両との位置関係を示す図である。 図7は、不安度要因の程度に応じた不安度ポイントの一例を示す図である。 図8は、不安度合計ポイントに応じて決定される接近許容下限値の一例を示す図である。 図9は、接近評価エリアが接近許容下限値を下回っている場合における、自車両と隣接車線の周辺車両との車間距離の時間変化の一例を示す図である。 図10は、接近許容下限値まで達するように接近評価エリアを拡大した場合における、自車両と隣接車線の周辺車両との車間距離の時間変化の一例を示す図である。 図11は、接近許容下限値まで達するように接近評価エリアを拡大する際に制限される車速範囲の上限および下限の一例を示す図である。 図12は、走行中の自車両と隣接車線および同一車線を走行中の複数の周辺車両との車間距離の時間変化の一例を示す図である。 図13は、図12のt0における自車両と周辺車両との位置関係を示す図である。 図14は、運転制御処理の一例を示すフローチャートである。 図15は、走行中の自車両と隣接車線を走行中の複数の周辺車両との車間距離の時間変化を、車幅、道路幅、道路形状に応じた幅を含めて表した場合の一例を示す図である。 図16は、図15のt0における自車両と周辺車両との位置関係および自車両と周辺車両の車幅を示す図である。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
本実施形態に係る運転制御装置の構成について図1〜図13を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係る運転制御装置が適用された車両の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態の自車両としての車両2(以下、「自車両」と呼ぶ場合がある)は、レーダ10と、カメラ11と、車間距離・車幅検出部12と、相対車速検出部13と、車線認識・周辺車両認識部14と、道路情報記憶部15と、周辺車両接近防止目標車速設定部17と、自車両情報取得部16と、車両制御部18と、アクセル・ブレーキ・変速機19とを備える。このうち、周辺車両接近防止目標車速設定部17と、車両制御部18とは、後述する本実施形態の運転制御装置1としての機能を有する。
本実施形態において、レーダ10は、車両2の前方や側面や後方に設置され、車両2の周辺状況を走査する。レーダ10は、走査結果を示す信号を、各種処理を実行するECUとしての車間距離・車幅検出部12と、相対車速検出部13と、車線認識・周辺車両認識部14とに出力する。カメラ11は、車両2の前方や側面や後方に設置され、車両2の周辺状況を撮影する。カメラ11は、撮影結果を示す信号を、各種処理を実行するECUとしての車間距離・車幅検出部12と、相対車速検出部13と、車線認識・周辺車両認識部14とに出力する。
車間距離・車幅検出部12は、レーダ10およびカメラ11のうち少なくとも1つから出力される信号に基づいて、車両2の走行車線に隣接する車線である隣接車線を走行中の周辺車両について車間距離や車幅を検出する。ここで、隣接車線を走行中の周辺車両は、例えば、前方移動体の一例として、隣接車線を走行する先行車両、または、後方移動体の一例として、隣接車線を走行する後続車両等を含む。また、車間距離・車幅検出部12は、レーダ10およびカメラ11のうち少なくとも1つから出力される信号に基づいて、車両2の走行車線と同一の車線である同一車線を走行中の周辺車両について車間距離や車幅を検出してもよい。ここで、同一車線を走行中の周辺車両は、例えば、前方移動体の一例として、同一車線を走行する先行車両、または、後方移動体の一例として、同一車線を走行する後続車両等を含む。車間距離・車幅検出部12は、検出した車間距離や車幅を周辺車両接近防止目標車速設定部17に出力する。
相対車速検出部13は、レーダ10およびカメラ11のうち少なくとも1つから出力される信号に基づいて、車両2の走行車線に隣接する隣接車線を走行中の周辺車両や、車両2の走行車線と同一の車線である同一車線を走行中の周辺車両との相対速度を検出する。相対車速検出部13は、検出した相対速度を周辺車両接近防止目標車速設定部17に出力する。車線認識・周辺車両認識部14は、レーダ10およびカメラ11のうち少なくとも1つから出力される信号に基づいて、道路の車線を認識し、車両2や周辺車両がどの車線を走行しているかを認識する。ここで、車線認識・周辺車両認識部14は、車両2や周辺車両がどの車線を走行しているかを認識した結果と、車間距離・車幅検出部12により検出した車間距離や、相対車速検出部13により検出した相対車速とを緋付ける。そして、車線認識・周辺車両認識部14は、これらの情報を周辺車両接近防止目標車速設定部17に出力する。道路情報記憶部15は、道路幅やカーブRや制限速度等の情報を含む道路情報を記憶し、記憶された道路情報は、周辺車両接近防止目標車速設定部17により参照される。自車両情報取得部16は、車両2の車速等を含む自車両情報を取得し、取得した自車両情報を周辺車両接近防止目標車速設定部17に出力する。
実施形態の運転制御装置1は、各種処理を実行するECUとして、周辺車両接近防止目標車速設定部17と、車両制御部18と、を備えて構成される。なお、周辺車両接近防止目標車速設定部17は、後述の第1車間距離取得部、第2車間距離取得部、目標車速設定部としての機能を有する。更に、目標車速設定部は、後述の第1交点予測部と、第2交点予測部と、第3交点予測部と、接近評価エリア決定部と、予測線変更部と、設定部としての機能を有する。また、車両制御部18は、後述の車両走行制御部としての機能を有する。
周辺車両接近防止目標車速設定部17は、道路情報記憶部15から取得する道路情報に含まれる道路幅やカーブRや制限速度等の情報、自車両情報取得部16から出力される自車両情報に含まれる車両2の車速、および、上述の車間距離・車幅検出部12と相対車速検出部13と車線認識・周辺車両認識部14から出力される隣接車線や同一車線の周辺車両の状態を示す情報に応じて、車両2の目標車速を設定する。
具体的には、周辺車両接近防止目標車速設定部17のうち、第1車間距離取得部は、走行中の自車両と、当該自車両の進行方向へ自車両よりも遅い速度で移動中の少なくとも1台以上の前方移動体との車間距離を、第1車間距離として取得する。一例として、第1車間距離取得部は、前方移動体として、例えば隣接車線及び/または同一車線を走行中の先行車両と、自車両との車間距離を第1車間距離として取得する。
また、周辺車両接近防止目標車速設定部17のうち、第2車間距離取得部は、走行中の自車両と、当該自車両の進行方向へ自車両よりも速い速度で移動中の少なくとも1台以上の後方移動体との車間距離を、第2車間距離として取得する。一例として、第2車間距離取得部は、後方移動体として、例えば隣接車線及び/または同一車線を走行中の後続車両と、自車両との車間距離を第2車間距離として取得する。
また、周辺車両接近防止目標車速設定部17のうち、目標車速設定部は、第1車間距離取得部により取得された第1車間距離(すなわち、自車両と前方移動体との車間距離)と、第2車間距離取得部により取得された第2車間距離(すなわち、自車両と後方移動体との車間距離)とが等しくなると予想される時点において、第1車間距離および第2車間距離の値が所定許容値(すなわち、車間距離下限値)以上となるように、自車両の目標車速を設定する。一例として、目標車速設定部は、隣接車線及び/または同一車線を走行中の先行車両と自車両との車間距離を示す第1車間距離と、隣接車線及び/または同一車線を走行中の後続車両と自車両との車間距離を示す第2車間距離と、が等しくなると予想される時点において、第1車間距離および第2車間距離の値が所定許容値(すなわち、車間距離下限値)以上となるように、自車両の目標車速を設定する。目標車速設定部は、設定した自車両の目標車速を車両制御部18に出力する。この目標車速設定部による自車両の目標車速を設定する処理内容の詳細については後述する。
車両制御部18は、目標車速設定部により設定された目標車速で自車両が走行するように車速制御を行う車両走行制御部である。具体的には、車両制御部18は、周辺車両接近防止目標車速設定部17から入力された目標車速に従って車速制御を行うための制御値を算出し、当該制御値をアクセル・ブレーキ・変速機19に出力することで、当該アクセル・ブレーキ・変速機19を動作させる。ここで、車両制御部18は、周辺車両接近防止目標車速設定部17から目標車速の入力がない場合は、運転者が設定する車速を目標車速として車速制御を行ってもよい。また、車両制御部18は、先行車両が存在する場合は運転者が設定する車間距離または車間時間を目標値として車間制御を行ってもよい。そして、車両制御部18からの制御値に応じてブレーキ・アクセル・変速機19が動作する。
ここで、上述の周辺車両接近防止目標車速設定部17に含まれる目標車速設定部が実行する自車両の目標車速を設定する処理内容の詳細について、以下図2〜図13を適宜参照して説明する。
図2は、走行中の自車両と隣接車線を走行中の複数の周辺車両との車間距離の時間変化の一例を示す図である。図2において、縦軸は車間距離Sを示しており、縦軸の上側はS0が表す自車両の位置に対して前方側の任意の位置(例えば、Sb)を示し、縦軸の下側は自車両の位置に対して後方側の任意の位置(例えば、Sc)を示している。横軸は走行時間tを示しており、横軸の左端はt0が表す現在地を示し、横軸の右側に向かうにつれて進行先の時刻t1,t2,t3が示されている。ここで、進行先の時刻t1は、進行先の時刻t2よりも早い時点であり、進行先の時刻t2は、進行先の時刻t3よりも早い時点である。
図2において、直線Bは、先行車両と自車両との車間距離Sの時間変化を示している。具体的には、図2では、直線Bは、現在地t0の時点における自車両の位置S0に対して前方側の先行車両の位置Sbから、走行時間tが進むにつれて自車両と先行車両との車間距離Sが狭まっていき、進行先の時刻t3にて自車両に追いつかれる様子を示している。図2において、直線Cは、後続車両と自車両との車間距離Sの時間変化を示している。図2では、直線Cは、現在地t0の時点における自車両の位置S0に対して後方側の後続車両の位置Scから、走行時間tが進むにつれて自車両と後続車両との車間距離Sが狭まっていき、進行先の時刻t1にて自車両に追いつく様子を示している。
図2において、交点eは、先行車両と自車両との車間距離Sの時間変化を示す直線Bと、進行先の時刻t1を示す点線とが交わる点である。交点fは、後続車両と自車両との車間距離Sの時間変化を示す直線Cと、自車両の位置S0の直線とが交わる点である。交点eと交点fとを結ぶ線分の長さは、進行先の時刻t1における自車両と先行車両との車間距離Sを表している。交点fは、後続車両と自車両との車間距離Sが0となる位置を示している。交点iは、直線Bと直線Cとが交わる点である。つまり、交点iは、先行車両と自車両との車間距離S(すなわち、上述の第1車間距離に対応)と、後続車両と自車両との車間距離S(すなわち、上述の第2車間距離に対応)とが等しくなる位置を示している。交点i’は、進行先の時刻t2を示す点線と、自車両の位置を示すS0の直線とが交わる点である。交点iと交点i’とを結ぶ線分の長さは、進行先の時刻t2における自車両と先行車両および後続車両との車間距離Sを表している。本実施形態において、交点iと交点i’とを結ぶ線分の長さは、所定許容値(すなわち、車間距離下限値)以上であることが好ましい。交点hは、直線Cと進行先の時刻t3を示す点線とが交わる点である。交点gは、直線Bと自車両の位置を示すS0の直線とが交わる点である。交点hと交点gとを結ぶ線分の長さは、進行先の時刻t3における自車両と後続車両との車間距離Sを表している。交点gは先行車両と自車両との車間距離Sが0となる位置を示している。
ここで、図2中のt0〜t3がそれぞれ示す時点における、自車両と周辺車両との位置関係について、図3〜図6を順に参照しながら以下に説明する。
図3は、図2のt0における自車両と周辺車両との位置関係を示す図である。図3において、中央の走行車線を走行中の車両Aは自車両としての車両2に相当する。左側の隣接車線を走行中の車両Bは前方移動体としての先行車両に相当する。右側の隣接車線を走行中の車両Cは後方移動体として後続車両に相当する。図3に示すように、t0において、車両Bは、車両Aの位置から車間距離Sb分前方側に離れた左側車線上の位置を車速Vbで走行中である。車両Aは、車両Bの位置から車間距離Sb分後方側に離れ、かつ、車両Cの位置から車間距離Sc分前方側に離れた中央車線上の位置を、車速Vaで走行中である。車両Cは、車両Aの位置から車間距離Sc分後方側に離れた右側車線上の位置を車速Vcで走行中である。図3において、車両Bの車速Vbは、車両Aの車速Vaよりも遅い速度、車両Cの車速Vcは、車両Aの車速Vaよりも速い速度である。第1車間距離としての車間距離Sbは、第2車間距離としての車間距離Scよりも短い。なお、図3に示した車間距離Sbは、図2の縦軸上のSbとS0とを結ぶ線分の長さに対応する。車間距離Scは、図2の縦軸上のS0とScとを結ぶ線分の長さに対応する。
図4は、図2のt1における自車両と周辺車両との位置関係を示す図である。図4に示すように、t1において、車両Bは、車両Aの位置から車間距離Sb’分前方側に離れた左側車線上の位置を車速Vbで走行中である。車両Aは、車両Bの位置から車間距離Sb’分後方側に離れ、かつ、車両Cの位置と並んだ中央車線上の位置を、車速Vaで走行中である。車両Cは、車両Bの位置から車間距離Sb’分後方側に離れた右側車線上の位置を車速Vcで走行中である。図4において、車両Aの車速Va、車両Bの車速Vb、車両Cの車速Vcの速さは図2と同様であり、一定速度に維持されている。なお、図4に示した車間距離Sb’は、図2の交点eと交点fとを結ぶ線分の長さに対応する。図4に示した車間距離Sb’は、図3に示した車間距離Sbよりも短い。
図5は、図2のt2における自車両と周辺車両との位置関係を示す図である。図5に示すように、t2において、車両Bは、車両Aの位置から車間距離Sb’’分前方側に離れた左側車線上の位置を車速Vbで走行中である。車両Aは、車両Bの位置から車間距離Sb’’分後方側に離れ、かつ、車両Cの位置から車間距離Sc’’分後方側に離れた中央車線上の位置を、車速Vaで走行中である。車両Cは、車両Aの位置から車間距離Sc’’分前方側に離れた左側車線上の位置を車速Vcで走行中である。図5において、車両Aの車速Va、車両Bの車速Vb、車両Cの車速Vcの速さは図2と同様であり、一定速度に維持されている。なお、図5に示した車間距離Sb’’は、図2の交点iと交点i’とを結ぶ線分の長さに対応する。図5に示した車間距離Sb’’は、図4に示した車間距離Sb’よりも短い。
図6は、図2のt3における自車両と周辺車両との位置関係を示す図である。図6に示すように、t3において、車両Bは、車両Aの位置と並んだ左側車線上の位置を、車速Vbで走行中である。車両Aは、車両Cの位置から車間距離Sc’’分後方側に離れ、かつ、車両Bの位置と並んだ中央車線上の位置を、車速Vaで走行中である。車両Cは、車両Aの位置から車間距離Sc’’分前方側に離れた右側車線上の位置を車速Vcで走行中である。図6において、車両Aの車速Va、車両Bの車速Vb、車両Cの車速Vcの速さは図2と同様であり、一定速度に維持されている。なお、図6に示した車間距離Sc’’は、図2の交点hと交点gとを結ぶ線分の長さに対応する。図6に示した車間距離Sb’’は、図5に示した車間距離Sc’よりも長く、図3に示した車間距離Scよりも短い。
再び図2に戻り、目標車速設定部により自車両の目標車速を設定する処理内容の説明を続ける。図2〜図6に示したように、時刻t1において自車両としての車両Aは、後方移動体としての車両Cに並ばれて追い越され始め、時刻t3において前方移動体としての車両Bに並んで追い越し始める。このとき、図2において、左斜線で示された三角領域△efgは、時刻t1からt3における車両Aと車両Bとの車間距離Sの時間累積距離を表している。右斜線で示された三角領域△hfgは、時刻t1からt3における車両Aと車両Cとの車間距離Sの時間累積距離を表している。つまり、これら三角領域△efgや三角領域△hfgが比較的小さい場合、追い越されから追い越しまでの間、車両Aと車両Bや車両Cとが接近している状態が長く続くことを示すことになる。一方、三角領域△efgや三角領域△hfgが比較的大きい場合、追い越されから追い越しまでの間、接近している状態が短いことを示すことになる。すなわち、三角領域△efgと三角領域△hfgとが重なる二重斜線で示された三角領域△ifg(後述の接近評価エリアに対応)に着目すれば、自車両としての車両Aと、複数の周辺車両として車両Bと車両Cの両方との接近状態を把握することが可能なる。
以上説明したように、本実施形態において、目標車速設定部のうち、第1交点予測部は、第1車間距離取得部により取得された第1車間距離(図3において、車両Bと車両Aとの車間距離Sb)の時間変化を示す第1車間距離予測線(図2において、直線B)と、第2車間距離取得部により取得された第2車間距離(図3において、車両Cと車両Aとの車間距離Sc)の時間変化を示す第2車間距離予測線(図2において、直線C)と、が交わる第1交点(図2において、交点i)を、第1車間距離と第2車間距離とが等しくなる時点(図2および図5におけるt2の時点)として予測する。そして、目標車速設定部のうち、第2交点予測部は、第1車間距離予測線(図2において、直線B)と、自車両との車間距離が0となる時点を示す直線(図2において、S0に対応する横軸)と、が交わる第2交点(図2において、交点g)を、自車両が前方移動体に追いつく時点(図2および図6におけるt3の時点)として予測する。
そして、目標車速設定部のうち、第3交点予測部は、第2車間距離予測線(図2において、直線C)と、自車両との車間距離が0となる時点を示す直線(図2において、S0に対応する横軸)と、が交わる第3交点(図2において、交点f)を、自車両が後方移動体に追いつかれる時点(図2および図4におけるt1の時点)として予測する。そして、目標車速設定部のうち、接近評価エリア決定部は、第1交点予測部により予測された第1交点(図2において、交点i)と、第2交点予測部により予測された第2交点(図2において、交点g)と、第3交点予測部により予測された第3交点(図2において、交点f)とからなる三角領域(図2において、三角領域△ifg)を、接近評価エリアとして決定する。
したがって、目標車速設定部により、この三角領域△ifgを規定値(すなわち、接近許容下限値LS0)以上になるように自車両の車速を制限することで、運転者は圧迫感や不安を感じずに走行できることになる。本実施形態において、目標車速設定部は、以下に示すように、接近許容下限値LS0を自車両や隣接車両の大きさ(車幅)や道路形状から決定する。
図7は、不安度要因の程度に応じた不安度ポイントの一例を示す図である。図7において、不安度要因として、例えば、車幅、道路形状、道路幅が挙げられる。例えば、不安度要因が車幅の場合を例に説明すると、一般的に車幅が広い方が、自車両が複数の周辺車両に挟まれる状況において運転者が感じる圧迫感や不安が大きくなると考えられる。そこで、目標車速設定部は、車幅が広いほど不安度ポイントが高くなるように設定する。具体的には、図7に示すように、目標車速設定部は、車幅が広い場合は3ポイント、車幅が中くらいの場合は2ポイント、車幅が狭い場合は1ポイント分の不安度ポイントをカウントする。例えば、不安度要因が道路形状の場合を例に説明すると、一般的に道路形状の曲率が大きい方が、自車両が複数の周辺車両に挟まれる状況において運転者が感じる圧迫感や不安が大きくなると考えられる。そこで、目標車速設定部は、カーブ半径Rが小さいほど(すなわち、道路形状の曲率が大きく、カーブがきついほど)不安度ポイントが高くなるように設定する。具体的には、図7に示すように、目標車速設定部は、カーブ半径Rが小さい場合は3ポイント、カーブ半径Rが大きい場合は2ポイント、カーブ半径が0であり直線の場合は1ポイント分の不安度ポイントをカウントする。
例えば、不安度要因が道路幅の場合を例に説明すると、一般的に道路幅が狭い方が、自車両が複数の周辺車両に挟まれる状況において運転者が感じる圧迫感や不安が大きくなると考えられる。そこで、目標車速設定部は、道路幅が狭いほど不安度ポイントが高くなるように設定する。具体的には、図7に示すように、目標車速設定部は、道路幅が狭い場合は3ポイント、道路幅が中くらいの場合は2ポイント、道路幅が広い場合は1ポイント分の不安度ポイントをカウントする。このようにして、目標車速設定部は、不安要因となる車幅、道路形状、道路幅などの状態に応じて不安度ポイントを設定する。そして、図8に示すように、目標車速設定部は、カウントした不安度ポイントを合計した不安度合計ポイントPFに応じて、接近許容下限値LS0を決定する。図8は、不安度合計ポイントに応じて決定される接近許容下限値の一例を示す図である。図8において、接近許容下限値LS0は、太線で示された線に対応する値であり、斜線部分は接近許容範囲を示す。例えば、目標車速設定部は、図8に示すように、不安度合計ポイントPFが多い場合は、接近許容下限値LS0を大きく設定し、不安度合計ポイントPFが少ない場合は、接近許容下限値LS0を小さく設定する。このようにして、所定許容値(すなわち、車間距離下限値)に基づく接近許容下限値は、車幅、道路形状、および、道路幅のうち少なくとも1つに基づいて設定される。ここで、隣接車両の車幅はミリ波やレーザーを用いるレーダ10やカメラ11などの自律センサによる検知や、車車間通信による車両情報から取得が可能である。また、道路情報記憶部15に記憶される道路情報に含まれる道路形状や道路幅を示す情報は、ナビゲーション装置の地図情報やインフラから路車間通信で取得可能である。
ここで、図9は、接近評価エリアが接近許容下限値を下回っている場合における、自車両と隣接車線の周辺車両との車間距離の時間変化の一例を示す図である。図9は、自車両と隣接車両との車間距離の時間変化を表しているが、接近評価指標となる接近評価エリア△ifgが接近許容下限値LS0を下回っている場合を示しており、このまま自車両が進行すると運転者に圧迫感や不安感を与えてしまう状態を示している。図9において、接近評価エリア△ifgは、以下の3つの式(数式1〜3)で囲まれる面積に対応する。
S=(Vb−Va)t+Sb … 数式1
(数式1において、Sは車間距離を示し、Vbは前方移動体としての車両Bの車速を示し、Vaは自車両としての車両Aの車速を示し、tは走行時間を示し、Sbは時刻t0における車両Bと車両Aとの車間距離を示す)
S=(Vc−Va)t+Sc … 数式2
(数式2において、Sは車間距離を示し、Vcは後方移動体としての車両Cの車速を示し、Vaは自車両としての車両Aの車速を示し、tは走行時間を示し、Scは時刻t0における車両Cと車両Aとの車間距離を示す)
S=0 … 数式3
(数式3において、Sは車間距離を示す)
図9示すように、数式1(上述の直線Bに対応)と数式2(上述の直線Cに対応)とが交わる交点iは、先行車両と自車両との車間距離S(すなわち、上述の第1車間距離に対応)と、後続車両と自車両との車間距離S(すなわち、上述の第2車間距離に対応)とが等しくなる位置を示している。ここで、交点iと交点i’とを結ぶ線分の長さは、先行車両と自車両との車間距離S、および、後続車両と自車両との車間距離Sを示すため、自車両が複数の周辺車両に挟まれる状況において運転者が感じる圧迫感や不安を軽減させるためには、所定許容値(すなわち、車間距離下限値)以上であることが好ましい。
そこで、本実施形態において、目標車速設定部は、図10に示すように、自車両としての車両Aの車速Vaを変更して、下式(数式4〜7)より、△i1f1g1=LS0となる時の車速Va1を求める。図10は、接近許容下限値まで達するように接近評価エリアを拡大した場合における、自車両と隣接車線の周辺車両との車間距離の時間変化の一例を示す図である。
△i1f1g1=LS0 … 数式4
(数式4において、△i1f1g1は変更後の接近評価エリアを示し、LS0は接近許容下限値を示す)
S=(Vb−Va1)t+Sb … 数式5
(数式5において、Sは車間距離を示し、Vbは前方移動体としての車両Bの車速を示し、Va1は自車両としての車両Aの変更後の車速を示し、tは走行時間を示し、Sbは時刻t0における車両Bと車両Aとの車間距離を示す)
S=(Vc−Va1)t+Sc … 数式6
(数式6において、Sは車間距離を示し、Vcは後方移動体としての車両Cの車速を示し、Va1は自車両としての車両Aの変更後の車速を示し、tは走行時間を示し、Scは時刻t0における車両Cと車両Aとの車間距離を示す)
S=0 … 数式7
(数式7において、Sは車間距離を示す)
以上説明したように、本実施形態において、目標車速設定部のうち、予測線変更部は、接近評価エリア決定部により決定された接近評価エリア(図9において、三角領域△ifg)が、所定許容値(すなわち、車間距離下限値)に基づく接近許容下限値(図8において、接近許容下限値LS0)より小さくなると予測された場合(図9において、接近評価エリア<接近許容下限値LS0)、接近評価エリアが接近許容下限値以上(図10において、例えば、接近評価エリア=接近許容下限値LS0)になるように、第1車間距離予測線および第2車間距離予測線の傾きを決定する自車両の車速の値を調整する(図10において、自車両の車速VaをVa1に調整する)ことで、第1車間距離予測線(数式1から数式5へ)および第2車間距離予測線(数式2から数式6へ)を変更する。そして、目標車速設定部のうち、設定部は、予測線変更部により変更された第1車間距離予測線(数式5)および第2車間距離予測線(数式6)が示す自車両の車速の値(図10において、車速Va1)を、自車両の目標車速として設定する。そして、目標車速設定部は、自車両の車速Va1を目標車速として設定し、設定した目標車速で車両2を走行させるために、車両制御部18へ目標車速を出力する。
ここで、図11は、接近許容下限値まで達するように接近評価エリアを拡大する際に制限される車速範囲の上限および下限の一例を示す図である。図11に示すように、本実施形態において、目標車速設定部は、制限速度や周辺車両の通行の妨げにならない下限速度があるため(図11において、上限車速をVah、下限車速をValとする)、目標車速を設定する際、下限車速Va1を所定の車速範囲内とする。また、目標車速設定部は、この車速範内にVa1が収まらない場合は、制限速度内で△ifgが最大となる車速とする。これにより、交通の流れを妨げず、運転者の不安を低減を実現することができる。なお、上限車速や下限車速は道路情報や路車間通信で取得できるインフラ情報、自車両のセンサで読み取れるカーブRから設定できるものとする。
以上説明したように、本実施形態において、目標車速設定部のうち、予測線変更部は、接近評価エリア決定部により決定された接近評価エリア(図11において、接近評価エリア△ifg)が、所定許容値に基づく接近許容下限値より小さくなると予測された場合、予め定められた上限車速(図11において、Vah)と下限車速(図11において、Val)の間の車速範囲内において、接近評価エリアが接近許容下限値以上になるように、自車両の車速の値を調整することで、第1車間距離予測線および第2車間距離予測線を変更する。あるいは、予測線変更部は、接近評価エリアが接近許容下限値以上になるように自車両の車速の値を調整すると、変更した車速の値が所定車速範囲外となる場合は、所定車速範囲内で接近評価エリアが接近許容下限値に最大限近づくように、自車両の車速の値を調整する(図11において、例えば、上限車速Vahまたは下限車速Valに調整する)ことで、第1車間距離予測線および第2車間距離予測線を変更する。
更に、図13に示すように、自車両と同一車線に先行車両Dが存在する場合は、目標車速設定部は、図12に示すように、先行車両Dとの車間距離Sdが車間距離下限値Sd0を下回らないような車速を設定する。図12は、走行中の自車両と隣接車線および同一車線を走行中の複数の周辺車両との車間距離の時間変化の一例を示す図である。図13は、図12のt0における自車両と周辺車両との位置関係を示す図である。この場合、目標車速設定部は、所定許容値としての車間距離下限値Sd0を、運転者が設定する先行車追従制御(所謂ACC)での車間距離(車間時間)や、この車間距離から一定割合を減じた距離とすればよい。具体的には、目標車速設定部は、このときの上限車速を、以下の数式8〜11を満たす第2上限車速Va2とする。すなわち、目標車速設定部は、目標車速Va1をVa2以下とするか、Va2以下になっているように設定する。これにより、隣接車両B,Cおよび先行車両Dの両方の周辺車両に対する不安感の低減を実現できる。
S=(Vd−Va2)t+Sd … 数式8
(数式8において、Sは車間距離を示し、Vdは自車両と同一車線上を走行する先方移動体としての先行車両Dの車速を示し、Va2は自車両としての車両Aの第2上限車速を示し、tは走行時間を示し、Sdは時刻t0における車両Dと車両Aとの車間距離(先行車車間距離)を示す)
S=Sd0 … 数式9
(数式9において、Sd0は車間距離下限値を示す)
S=(Vc−Va2)t+Sc … 数式10
(数式10において、Sは車間距離を示し、Vcは後方移動体としての車両Cの車速を示し、Va2は自車両としての車両Aの第2上限車速を示し、tは走行時間を示し、Scは時刻t0における車両Cと車両Aとの車間距離(先行車車間距離)を示す)
S=0 … 数式11
(数式11において、Sは車間距離を示す)
一例として、図13に示すように、目標車速設定部は、自車両と同一車線に先行車両Dが存在する場合、まず、第2上限車速Va2を求めるために、運転者が設定する先行車追従制御(所謂ACC)での車間距離(図12において、先行車車間距離)から一定割合を減じた距離(図12において、数式8)を予測する。これは、車両Aの車速Vaが車両Dの車速Vdよりも少し速い場合、走行時間tが進むにつれて車両Dと車両Aとの車間距離が狭まっていくと考えられるからである。そして、目標車速設定部は、この数式8に対応する点線が、所定許容値としての車間距離下限値Sd0に対応する点線と交わる交点を予測する。この交点は、車間距離下限値を下回らない限界の時点となる(図13の時刻t3’)。次に、目標車速設定部は、後方移動体としての車両Cの車間距離Sの時間変化を示す直線(上述の数式2)の傾きを決定する自車両の車速Vaを調整する際の上限を、車間距離下限値を下回らない限界の時点となる時刻t3’に設定して、この上限内で車速をVa2に変化させて数式10を得る。なお、上述した目標車速設定部により実行される、自車両と同一車線に先行車両Dが存在する場合の処理は、自車両と同一車線に後続車両が存在する場合においても、Sdを後続車車間距離とし、同様の処理を行えばよいため説明を省略する。
続いて、上述のように構成された運転制御装置1において実行される処理の一例について図14を参照して説明する。図14は、運転制御処理の一例を示すフローチャートである。図14に示す処理は、運転制御装置1の周辺車両接近防止目標車速設定部17(第1車間距離取得部、第2車間距離取得部、目標車速設定部(第1交点予測部、第2交点予測部、第3交点予測部、接近評価エリア決定部、予測線変更部、設定部)としての機能を含む)において実行される。
図14に示すように、運転制御装置1は、まず、自車両の左右の隣接車線に周辺車両が存在するか否かを判定する(ステップS10)。ステップS10において、自車両の左右の隣接車線に周辺車両が存在しないと判定された場合(ステップS10:No)、運転制御装置1は、そのまま本処理を終了する。一方、ステップS10において、上述の図3に示したように、車両の左右の隣接車線に周辺車両が存在すると判定された場合(ステップS10:Yes)、運転制御装置1は、上述の図7に示したように、車幅や道路形状から不安度ポイントを算出し、上述の図8に示したように、接近許容下限値LS0を決定する(ステップS11)。
そして、運転制御装置1は、上述の図2に示したように、自車両や隣接車両の車速、車間距離から接近評価エリア△ifgを算出する(ステップS12)。そして、運転制御装置1は、この接近評価エリア△ifgが接近許容下限値LS0より小さいか否かを判定する(ステップS13)。ステップS13において、接近評価エリア△ifgが接近許容下限値LS0以上であると判定された場合(ステップS13:No)、運転制御装置1は、そのまま本処理を終了する。一方、ステップS13において、上述の図9に示したように、接近評価エリア△ifgが接近許容下限値LS0より小さいと判定された場合(ステップS13:Yes)、運転制御装置1は、上述の図10に示したように、接近評価エリア△ifgが接近許容下限値と等しくなる目標車速Va1を算出する(ステップS14)。そして、運転制御装置1は、上述の図11に示したように、道路情報の制限車速情報等から上限車速Vahと下限車速Valを設定する(ステップS15)。
そして、運転制御装置1は、上述の図13に示したように、自車両の先に先行車両が存在するか否かを判定する(ステップS16)。ステップS16において、自車両の先に先行車両が存在しないと判定された場合(ステップS16:No)、運転制御装置1は、ステップS20の処理へ移行する。一方、ステップS16において、自車両の先に先行車両が存在すると判定された場合(ステップS16:Yes)は、運転制御装置1は、上述の図12に示したように、先行車両との車間距離が車間距離下限値Sd0を下回らない第2上限車速Va2を算出する(ステップS17)。なお、ステップS16において、自車両の後に後続車両が存在するか否かを判定してもよい。
そして、運転制御装置1は、上限車速Vahが第2上限車速Va2より大きいか否かを判定する(ステップS18)。ステップS18において、上限車速Vahが第2上限車速Va2未満であると判定された場合(ステップS18:No)、運転制御装置1は、ステップS20の処理へ移行する。一方、ステップS18において、上限車速Vahが第2上限車速Va2より大きいと判定された場合(ステップS18:Yes)、運転制御装置1は、上限車速Vahが第2上限車速Va2と等しくなるように(すなわち、Vah=Va2となるように)設定する(ステップS19)。
そして、運転制御装置1は、上述の図10に示した、△i1f1g1=LS0となる時の変更後の車速Va1が、上述の図11に示した上限車速Vahより小さいか否かを判定する(ステップS20)。ステップS20において、変更後の車速Va1が上限車速Vah以上であると判定された場合(ステップS20:No)、運転制御装置1は、変更後の車速Va1が上限車速Vahと等しくなるように(すなわち、Va1=Vahとなるように)設定する(ステップS21)。その後、本処理を終了する。
一方、ステップS20において、変更後の車速Va1が上限車速Vahより小さいと判定された場合(ステップS20:Yes)、運転制御装置1は、変更後の車速Va1が上述の図11に示した下限車速Valより大きいか否かを判定する(ステップS22)。ステップS22において、変更後の車速Va1が下限車速Val未満であると判定された場合(ステップS22:No)、運転制御装置1は、変更後の車速Va1が下限車速Valと等しくなるように(すなわち、Va1=Valとなるように)設定する(ステップS23)。その後、本処理を終了する。一方、ステップS20において、変更後の車速Va1が下限車速Valより大きいと判定された場合(ステップS22:Yes)、そのまま本処理を終了する。その後、運転支援装置1は、図14に示した処理により設定された目標車速Va1で車両2を走行させるように車両2を制御する。
なお、本実施形態では、運転制御装置1は、隣接車線や同一車線上を走行する周辺車両に対して目標車速を設定していたが、これに限定されない。運転制御装置1は、停止車両や障害物、工事区間、路側帯幅(例えば、壁やガードレールまでの距離)に対しても、目標車速を設定することも可能である。この場合、運転制御装置1は、区間長や幅、距離に応じて不安度ポイントを設定すればよい。更に、本実施形態では、運転制御装置1は、接近評価指標として接近評価エリア△ifgを用いる例について説明したが、これに限定されない。運転制御装置1は、図15および図16に示すように、車幅、道路幅、道路形状と自車両や隣接車両の車長(図15および図16において、La、Lb、Lcが示す車長)に応じて車間距離に幅(すなわち、図15において斜線で示す帯に対応する幅)を持たせ、この帯の重なりを接近評価指標に利用してもよい。図15は、走行中の自車両と隣接車線を走行中の複数の周辺車両との車間距離の時間変化を、車幅、道路幅、道路形状に応じた幅を含めて表した場合の一例を示す図である。図16は、図15のt0における自車両と周辺車両との位置関係および自車両と周辺車両の車幅を示す図である。この車間距離S=0上の重なりがないように車速を設定することで、車両2の運転者が感じる圧迫感や不安を軽減させることができる。
このように、本実施形態の運転制御装置1によれば、隣接車線や同一車線を走行中の複数の周辺車両や自車両の大きさ(車幅や車長)、道路環境(車線幅、カーブR、障害物、路測帯幅、側壁・ガードレール距離)に応じて、追い抜きや追い抜かれ時の不安度に応じた周辺車両との接近許容下限値(範囲)を設定し、追い抜き、追い抜かれ時に周辺車両との位置関係がこの範囲に入らないように車速制御を行うことができる。これにより、本実施形態の運転制御装置1は、自車両が複数の周辺車両に挟まれる状況において、運転者に周辺車両に挟まれるという恐怖感をできるだけ感じさせない状態を実現でき、その結果、運転者が感じる圧迫感や不安を軽減させることができる。
1 運転制御装置
2 車両(自車両)
10 レーダ
11 カメラ
12 車間距離・車幅検出部
13 相対車速検出部
14 車線認識・周辺車両認識部
15 道路情報記憶部
16 自車両情報取得部
17 周辺車両接近防止目標車速設定部(第1車間距離取得部、第2車間距離取得部
目標車速設定部(第1交点予測部、第2交点予測部、第3交点予測部、接近評
価エリア決定部、予測線変更部、設定部))
18 車両制御部(車両走行制御部)
19 アクセル・ブレーキ・変速機

Claims (8)

  1. 走行中の自車両と、当該自車両の進行方向へ前記自車両よりも遅い速度で移動中の少なくとも1台以上の前方移動体との車間距離を、第1車間距離として取得する第1車間距離取得部と、
    前記自車両と、当該自車両の進行方向へ前記自車両よりも速い速度で移動中の少なくとも1台以上の後方移動体との車間距離を、第2車間距離として取得する第2車間距離取得部と、
    前記第1車間距離取得部により取得された前記第1車間距離と、前記第2車間距離取得部により取得された前記第2車間距離とが等しくなると予想される時点において、前記第1車間距離および前記第2車間距離の値が所定許容値以上となるように、前記自車両の目標車速を設定する目標車速設定部と、
    前記目標車速設定部により設定された前記目標車速で前記自車両が走行するように車速制御を行う車両走行制御部と、
    を備えたことを特徴とする運転制御装置。
  2. 前記所定許容値は、車幅、道路形状、および、道路幅のうち少なくとも1つに基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載の運転制御装置。
  3. 前記目標車速設定部は、
    前記第1車間距離取得部により取得された前記第1車間距離の時間変化を示す第1車間距離予測線と、前記第2車間距離取得部により取得された前記第2車間距離の時間変化を示す第2車間距離予測線と、が交わる第1交点を、前記第1車間距離と前記第2車間距離とが等しくなる時点として予測する第1交点予測部と、
    前記第1車間距離予測線と、前記自車両との車間距離が0となる時点を示す直線と、が交わる第2交点を、前記自車両が前記前方移動体に追いつく時点として予測する第2交点予測部と、
    前記第2車間距離予測線と、前記自車両との車間距離が0となる時点を示す直線と、が交わる第3交点を、前記自車両が前記後方移動体に追いつかれる時点として予測する第3交点予測部と、
    前記第1交点予測部により予測された前記第1交点と、前記第2交点予測部により予測された前記第2交点と、前記第3交点予測部により予測された前記第3交点とからなる三角領域を、接近評価エリアとして決定する接近評価エリア決定部と、
    前記接近評価エリア決定部により決定された前記接近評価エリアが、前記所定許容値に基づく接近許容下限値より小さくなると予測された場合、前記接近評価エリアが前記接近許容下限値以上になるように、前記第1車間距離予測線および前記第2車間距離予測線の傾きを決定する前記自車両の車速の値を調整することで、前記第1車間距離予測線および前記第2車間距離予測線を変更する予測線変更部と、
    前記予測線変更部により変更された前記第1車間距離予測線および前記第2車間距離予測線が示す前記自車両の車速の値を、前記自車両の目標車速として設定する設定部と、
    を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の運転制御装置。
  4. 前記予測線変更部は、
    前記接近評価エリア決定部により決定された前記接近評価エリアが、前記所定許容値に基づく接近許容下限値より小さくなると予測された場合、予め定められた上限車速と下限車速の間の所定車速範囲内において、前記接近評価エリアが前記接近許容下限値以上になるように、前記自車両の車速の値を調整することで、前記第1車間距離予測線および前記第2車間距離予測線を変更するか、あるいは、
    前記接近評価エリアが前記接近許容下限値以上になるように前記自車両の車速の値を調整すると、変更した車速の値が前記所定車速範囲外となる場合は、前記所定車速範囲内で前記接近評価エリアが前記接近許容下限値に最大限近づくように、前記自車両の車速の値を調整することで、前記第1車間距離予測線および前記第2車間距離予測線を変更することを特徴とする請求項3に記載の運転制御装置。
  5. 走行中の自車両と、当該自車両の進行方向へ前記自車両よりも遅い速度で移動中の少なくとも1台以上の前方移動体との車間距離を、第1車間距離として取得する第1車間距離取得工程と、
    前記自車両と、当該自車両の進行方向へ前記自車両よりも速い速度で移動中の少なくとも1台以上の後方移動体との車間距離を、第2車間距離として取得する第2車間距離取得工程と、
    前記第1車間距離取得工程にて取得された前記第1車間距離と、前記第2車間距離取得工程にて取得された前記第2車間距離とが等しくなると予想される時点において、前記第1車間距離および前記第2車間距離の値が所定許容値以上となるように、前記自車両の目標車速を設定する目標車速設定工程と、
    前記目標車速設定工程にて設定された前記目標車速で前記自車両が走行するように車速制御を行う車両走行制御工程と、
    を含むことを特徴とする運転制御方法。
  6. 前記所定許容値は、車幅、道路形状、および、道路幅のうち少なくとも1つに基づいて設定されることを特徴とする請求項5に記載の運転制御方法。
  7. 前記目標車速設定工程は、
    前記第1車間距離取得工程にて取得された前記第1車間距離の時間変化を示す第1車間距離予測線と、前記第2車間距離取得工程にて取得された前記第2車間距離の時間変化を示す第2車間距離予測線と、が交わる第1交点を、前記第1車間距離と前記第2車間距離とが等しくなる時点として予測する第1交点予測工程と、
    前記第1車間距離予測線と、前記自車両との車間距離が0となる時点を示す直線と、が交わる第2交点を、前記自車両が前記前方移動体に追いつく時点として予測する第2交点予測工程と、
    前記第2車間距離予測線と、前記自車両との車間距離が0となる時点を示す直線と、が交わる第3交点を、前記自車両が前記後方移動体に追いつかれる時点として予測する第3交点予測工程と、
    前記第1交点予測工程にて予測された前記第1交点と、前記第2交点予測工程にて予測された前記第2交点と、前記第3交点予測工程にて予測された前記第3交点とからなる三角領域を、接近評価エリアとして決定する接近評価エリア決定工程と、
    前記接近評価エリア決定工程にて決定された前記接近評価エリアが、前記所定許容値に基づく接近許容下限値より小さくなると予測された場合、前記接近評価エリアが前記接近許容下限値以上になるように、前記第1車間距離予測線および前記第2車間距離予測線の傾きを決定する前記自車両の車速の値を調整することで、前記第1車間距離予測線および前記第2車間距離予測線を変更する予測線変更工程と、
    前記予測線変更工程にて変更された前記第1車間距離予測線および前記第2車間距離予測線が示す前記自車両の車速の値を、前記自車両の目標車速として設定する設定工程と、
    を更に含むことを特徴とする請求項5または6に記載の運転制御方法。
  8. 前記予測線変更工程において、
    前記接近評価エリア決定工程にて決定された前記接近評価エリアが、前記所定許容値に基づく接近許容下限値より小さくなると予測された場合、予め定められた上限車速と下限車速の間の所定車速範囲内において、前記接近評価エリアが前記接近許容下限値以上になるように、前記自車両の車速の値を調整することで、前記第1車間距離予測線および前記第2車間距離予測線を変更するか、あるいは、
    前記接近評価エリアが前記接近許容下限値以上になるように前記自車両の車速の値を調整すると、変更した車速の値が前記所定車速範囲外となる場合は、前記所定車速範囲内で前記接近評価エリアが前記接近許容下限値に最大限近づくように、前記自車両の車速の値を調整することで、前記第1車間距離予測線および前記第2車間距離予測線を変更することを特徴とする請求項7に記載の運転制御方法。
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