JP5017839B2 - 車両用追い越し走行支援装置 - Google Patents
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Description
前記先行車両の前方の空きスペースの距離であって、自車が前記先行車両を追い越した後に自車が制動した場合、前記先行車両の速度が高いほど自車の制動距離が長くなることを考慮し、安全に追い越しを完了することができる距離である安全距離を、前記先行車両の速度が高いほど長くなるように設定する追い越し走行支援手段を設けたことを特徴とする。
これに対し、本発明では、先行車両を追い越す際、先行車両の前方空きスペースの程度の把握に基づき、安全かつ確実に追い越しを実行することができる。
図1は実施例1の車両用追い越し走行支援装置を示す全体システム図である。
実施例1の車両用追い越し走行支援装置は、図1に示すように、CPU101と、GPS201と、メモリ202と、ディスプレイ203と、前方用レーザーレーダ204(車間距離検出手段)と、後方用レーザーレーダ205と、車輪速センサ206と、ブレーキアクチュエータ207と、アクセルセンサ301と、シフトセンサ302と、ブレーキセンサ303と、フロント側駆動ユニット401と、リア側駆動ユニット402と、を備えている。
ここで、「フロント側駆動ユニット401」、「リア側駆動ユニット402」と設定したのは、ハイブリッドシステムのように、駆動ユニットがエンジンだけでなくモータを活用するシステムにおいては、フロントとリアとで対象ユニットを特定することが難しいためである。本提案制御において、CPU101は、先行車両の前スペース及び先行車両長、さらに対面走行車両の有無を確認するために前方用レーザーレーダ204を活用して情報収集したり、後方安全を確認するために後方用レーザーレーダ205を活用して情報収集する。
また、前記前スペースが把握できない場合は、コーナー走行時に内径側を走行することにより、積極的に前スペースを確認する。この内径側へと寄る際、フロント側駆動ユニット401やリア側駆動ユニット402へのトルク配分を制御したり、ブレーキアクチュエータ207により制動力配分を制御する。
すなわち、前方車両による遮蔽により前の空きスペースが確認できなかったため、コーナー走行時に内径側へと寄ることで、前の空きスペースを把握する。
この際、力行中であれば、フロント側駆動ユニット401とリア側駆動ユニット402へのトルク配分により旋回モーメントを発生させる。制動中であれば、ブレーキアクチュエータ207により四輪の制動力配分を制御することで、旋回モーメントを発生させる。内径側へと寄るタイミングについては、図6に示すように、自車の横方向移動可能距離が長いほど、また、自車速度が高いほど、移行開始タイミングを早くする。なお、内径側へと寄って空きスペースが把握できたら、空きスペースの距離を測定しておき、内径側へと寄っても空きスペースの把握できない場合には、空きスペースの距離をゼロに設定する。
ここで、「安全距離(L1)」は、図8に示すように、先行車両速度が高いほど二次特性により上昇する値による距離(前スペース安全判断距離)に設定される。
すなわち、直進走行後、空きスペースの距離が安全距離(L1)以上である状態が長く続くとは考えにくいため、自車速度と地形情報をベースとして規定される制御適用可能時間内に本制御の適用時間を限定する。タイマー時間として設定される制御適用可能時間は、図7に示すように、空きスペースの確認時自車速度が高いほど制御適用可能時間が短い時間とされ、また、直進時と旋回時とでは、旋回時であるほど制御適用可能時間が短い時間とされる。
すなわち、空きスペースが把握できない、若しくは、安全距離(L1)が確保できない場合は、追い越し安全性が確保できたとはいえないため、次回、コーナーでの再確認ができるまで、若しくは、先行車両が入れ替わり、空きスペースが把握できるまでは追い越し可否判断を中断する。なお、内径側に寄っている場合は、駆動トルク配分や制動力配分により走行ポイントを元に戻す。
ここで、後方車両の有無の判断は、図5に示すように、横軸に追い越し所要時間(=(L1+L2)/法規上限車速)を設定し、縦軸に後方車両との相対車速を設定し、後方車両との相対車速が高いほど追い越し所要時間を短くする領域線により後方車両有り判断領域と後方車両無し判断領域とに分け、判断時の運転点が後方車両無し判断領域に属する場合には、後方車両が無しと判断する。
すなわち、ステップS8において、対面車両と後方車両の少なくとも一方が存在すると判断されたため、それらが追い越しに影響が無くなるまで、本制御を中断する。
ここで、合流ポイント付近を走行しているとの判断は、自車速度が高いほど二次特性により長くなる合流ポイント判断距離を設定し(図3)、自車と合流ポイントまでの距離が合流ポイント判断距離以下になることで行う。
ここで、安全に追い越しするために必要な情報とは、例えば、「自車加速代:(法規上限車速−現車速)」、「追い越し時走行距離:L1+L2」、「追い越し所要時間:(L1+L2)/法規上限車速」をいう。
[追い越し走行支援作用]
先行車両を追い越す際、先行車両の前方空きスペースの程度が把握できないと、安全に追い越しを実行することは難しい。
これに対し、実施例1の車両用追い越し走行支援装置では、先行車両の前方の空きスペースの距離が、自車が先行車両を安全に追い越すことができる安全距離L1以上である場合、追い越し可判断情報をドライバーに知らせることで、先行車両を追い越す際、先行車両の前方空きスペースの程度の把握に基づき、安全かつ確実に追い越しを実行することができるようにした。
すなわち、先行車両の速度が高ければ高いほど、制動距離が二乗となることを考慮し、図8の先行車両前スペース安全判断距離マップに示すように、y=x2をベースとして先行車両前スペース安全距離特性を設定している。
したがって、自車が先行車両を追い越した後に、自車が制動する可能性を考慮し、安全に追い越しを完了することが可能な安全距離L1に設定することができる。
先行車両の前の空きスペースが把握可能であって、空きスペースの距離が安全距離L1未満の場合、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS4→ステップS6へと進む流れが繰り返され、ステップS6では、今回は制御適用が禁止される。
したがって、先行車両の前に、短い車間距離で先行する車両が存在する場合、先行車両の追い越し否と判断され、ドライバーに対し安全に追い越しをするために必要な情報のディスプレイ表示もない。
そして、合流ポイント付近を走行している場合、あるいは、緊急車両が付近を走行している場合、ステップS11からステップS12へと進み、合流ポイント付近を自車が通過するまで、あるいは、緊急車両が付近を通過するまで待ってステップS13へと進み、ステップS13では、ドライバーに対し安全に追い越しをするために必要な情報のディスプレイ表示がなされる。
したがって、先行車両を追い越す途中で、対面車両や後方車両が自車に接近し、追い越し走行の中断を余儀なくされるようなことがなく、ドライバーは追い越し可判断情報に基づき、安全かつ確実に追い越しを実行することができる。
すなわち、図7の前スペース情報適用可能規定時間マップに示すように、旋回中の空きスペース確認は、直進時と比較すると精度が高くないため、制御適用可能時間を短く設定する。また、空きスペース確認時の自車速度が高いほど、レーザレーダの読みとり誤差は拡大するため、制御適用可能時間(=タイマー設定時間)を短くしている。
したがって、空きスペース確認時の自車速度と走行路状況に対応し、空きスペース情報を適用可能な規定時間を適正な時間に設定することができる。
すなわち、図5の追い越し時の後方車両有無判断マップに示すように、追い越し所要時間が短くても、後方車両との相対車速が大きい(負)の場合は、追い越しを実行することにより後方車両との接触可能性があるため、後方車両有りを判断することになる。
したがって、追い越し所要時間と後方車両との相対車速に応じて、追い越し時の後方車両有無を精度良く判断することができる。
したがって、追い越しに際して道路状況が急変する合流ポイント付近の走行時や追い越しに際して途中で追い越しを中断する必要性が高まる緊急車両の付近走行時には、追い越し可判断情報をドライバーに知らせることを中断することで、追い越しの安全性や確実性を確保することができる。
すなわち、図3の自車速度に応じた合流ポイント付近の判断距離マップに示すように、自車速度が高くなるほど、制動距離が二乗となることを考慮して特性(マップはy=x2をベースとする)を設定している。
したがって、合流ポイントで自車が先行車両を追い越した後に、自車が制動する可能性を考慮し、安全に合流ポイント付近にて追い越しを完了することが可能な合流ポイント判断距離に設定することができる。
したがって、ドライバーは追い越し操作に入る前に、自車加速代、追い越し時走行距離、追い越し所要時間という安全に追い越しするために必要な情報を知った上で、安全に追い越しを実行することができる。
すなわち、図4の先行車両の遮蔽面積に応じた車両長推定マップに示すように、法規上定められている車両長さと、遮蔽面積とを照合する。この際、車両長さが最大となるよう、配慮してマップを設定するようにしている。
したがって、追い越し時に必要情報をドライバーに提供するにあたって、安全サイドに推定した車両長L2に基づき、追い越し時走行距離と追い越し所要時間を算出することができる。
先行車両の前の空きスペースが把握不能なときには、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2へと進み、ステップS2において、自車の前方のコーナーが出現するまで待たれる。そして、自車の前方のコーナーが出現すると、ステップS2からステップS3へと進み、ステップS3では、自車の横方向移動可能距離と、自車速度を考慮し、コーナー直前より違和感のない程度で内径側へと寄る内径寄り走行が実行される。
この際、力行中であれば、フロント側駆動ユニット401とリア側駆動ユニット402へのトルク配分により旋回モーメントを発生させる。制動中であれば、ブレーキアクチュエータ207により四輪の制動力配分を制御することで、旋回モーメントを発生させる。
そして、内径側へと寄って空きスペースが把握できたら、空きスペースの距離を測定しておき、内径側へと寄っても空きスペースの把握できない場合には、空きスペースの距離をゼロに設定し、その後の流れは、上記した先行車両の前の空きスペースが把握可能なときと同様となる。
したがって、先行車両による前方遮蔽により前方用レーザレーダ204での先行車両の前の車両までの車間距離の検出が不能となった場合でも、自車にてコーナーの内径寄り走行を実行することで、先行車両の前の空きスペースを確認することができる。
すなわち、図6の先行車両前スペース確認時内径走行移行タイミングマップに示すように、安全上、移動を急激に行わないために、移動可能距離が大きくなると所要時間が長くなる。また、自車速度が高くなると安全を考慮するために移動程度を抑制する必要があり、所要時間が長くなる。
したがって、横方向移動可能距離が長いほど、また、自車速度が高いほど、コーナーの内径寄りへの移行開始タイミングを早くすることで、横方向移動可能距離と自車速度に応じて高い安全性を保つコーナーの内径寄りへの移行開始タイミングを得ることができる。
実施例1の車両用追い越し走行支援装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
201 GPS
202 メモリ
203 ディスプレイ
204 前方用レーザーレーダ(車間距離検出手段)
205 後方用レーザーレーダ
206 車輪速センサ
207 ブレーキアクチュエータ
301 アクセルセンサ
302 シフトセンサ
303 ブレーキセンサ
401 フロント側駆動ユニット
402 リア側駆動ユニット
Claims (12)
- 自車の前方を走行している先行車両までの距離を検出する車間距離検出手段を備えた車両用追い越し走行支援装置において、
前記先行車両の前方の空きスペースの距離であって、自車が前記先行車両を追い越した後に自車が制動した場合、前記先行車両の速度が高いほど自車の制動距離が長くなることを考慮し、安全に追い越しを完了することができる距離である安全距離を、前記先行車両の速度が高いほど長くなるように設定する追い越し走行支援手段を設けたことを特徴とする車両用追い越し走行支援装置。 - 請求項1に記載された車両用追い越し走行支援装置において、
前記追い越し走行支援手段は、前記先行車両の速度の二乗に応じて前記安全距離を設定することを特徴とする車両用追い越し走行支援装置。 - 請求項1または2に記載された車両用追い越し走行支援装置において、
前記車間距離検出手段は、前記先行車両までの距離および前記先行車両の前方を走行している車両までの距離をそれぞれ検出し、
前記車間距離検出手段が検出した距離に基づき前記空きスペースの距離を検出する空きスペース検出手段を設け、
前記追い越し走行支援手段は、前記検出された空きスペースの距離が前記安全距離以上である場合、追い越し可判断情報をドライバーに知らせることを特徴とする車両用追い越し走行支援装置。 - 請求項3に記載された車両用追い越し走行支援装置において、
前記追い越し走行支援手段は、前記検出された空きスペースの距離が前記安全距離以上であり、かつ、規定時間内に対面車両や後方車両が無い場合、追い越し可判断情報をドライバーに知らせる手段であり、前記規定時間を、前記空きスペース確認時の自車速度に基づき、または走行路状況が直進路であるか旋回路であるかに基づき設定することを特徴とする車両用追い越し走行支援装置。 - 請求項4に記載された車両用追い越し走行支援装置において、
前記追い越し走行支援手段は、前記規定時間を、前記空きスペース確認時の自車速度が高いほど、または走行路状況が旋回路であるほど、短い時間に設定することを特徴とする車両用追い越し走行支援装置。 - 請求項4または5に記載された車両用追い越し走行支援装置において、
前記追い越し走行支援手段は、自車が前記先行車両を追い越す所要時間を推定し、この追い越し所要時間中に後方車両が自車に所定距離以上近づかない場合、後方車両が無いと判断することを特徴とする車両用追い越し走行支援装置。 - 請求項3乃至6の何れか1項に記載された車両用追い越し走行支援装置において、
前記追い越し走行支援手段は、合流ポイント付近を走行している場合、あるいは、緊急車両が付近を走行している場合、合流ポイントを通過するまで、あるいは、緊急車両が付近を通過するまで追い越し可判断情報をドライバーに知らせることを中断することを特徴とする車両用追い越し走行支援装置。 - 請求項7に記載された車両用追い越し走行支援装置において、
前記追い越し走行支援手段は、自車速度の二乗に応じて合流ポイント判断距離を設定し、自車から合流ポイントまでの検出された距離が前記合流ポイント判断距離以下になると、自車が合流ポイント付近を走行していると判断することを特徴とする車両用追い越し走行支援装置。 - 請求項3乃至8の何れか1項に記載された車両用追い越し走行支援装置において、
前記追い越し走行支援手段は、追い越し可能条件が成立した場合、安全に追い越しするために必要な情報として、現在の自車速度から法規上限車速までの余裕代である自車加速代、追い越し時走行距離、追い越し所要時間をドライバーに知らせることを特徴とする車両用追い越し走行支援装置。 - 請求項9に記載された車両用追い越し走行支援装置において、
前記追い越し走行支援手段は、先行車両の遮蔽面積に基づき遮蔽面積に対し最大長さの車両長を推定し、前記最大長さの車両長と前記安全距離とを加算することにより前記追い越し時走行距離を算出し、前記追い越し時走行距離を法規上限車速で除算することにより前記追い越し所要時間を算出することを特徴とする車両用追い越し走行支援装置。 - 請求項3乃至10の何れか1項に記載された車両用追い越し走行支援装置において、
前記空きスペース検出手段は、先行車両により前の前記空きスペースを把握することが不能である場合、前方にコーナーが有ることを検出し、コーナーの内径寄り走行を実行することを特徴とする車両用追い越し走行支援装置。 - 請求項11に記載された車両用追い越し走行支援装置において、
前記空きスペース検出手段は、前方にコーナーが有ることを検出した場合、そのときの横方向移動可能距離が長いほど、または自車速度が高いほど、前記コーナーの内径寄り走行の実行開始タイミングを早くすることを特徴とする車両用追い越し走行支援装置。
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