JP4221707B2 - 車両用情報提供装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用情報提供装置、すなわち、離散的に配置されたDSRC(Dedicated Short Range Communication)による受信情報を使用するAHS(走行支援システム:Advanced Cruise-Asist Highway Systems)において、車両側に搭載されて走行支援、特に右折衝突防止支援のためにドライバーに情報を提供する車両用情報提供装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車交通は、年間約100万件におよぶ交通事故や約9000人におよぶ交通事故死者の発生という、安全性に関する課題を抱えている。道路交通は自動車と道路の状態が深く関わっており、この課題を克服するには自動車と道路の両面から構成する路車協調型安全走行支援システムが有効な解決策となる。昨今の情報通信技術などのめざましい発展により、逐次変化する道路情報や自動車情報を取得して、ドライバーに報知する走行支援システムが開発されてきた。
【0003】
図11は、現在の自動車120の運転を支援する種々の情報インフラを示す図である。例えば、GPS121は衛星からの自動車120の現在位置を緯度/経度で報知する。インターネット122を介しては地図情報や催し情報などのナビ表示に使用される情報が通知される。DSRC123は、道路情報、交差点情報、見通し不良情報などを通知する。
【0004】
走行支援システムの1つに、AHSと呼ばれる走行支援道路システムがある。AHSは、交通情報全般を通知するVICSとは違って、交差点やカーブなどの特に注意の必要な特定場所に配置されたセンサやカメラなどから詳細な道路及び人や車の情報を得て、連続的あるは離散的に配置されたDSRC(Dedicated Short Range Communication)を介して情報を得て、ドライバーに種々のサービスを提供するシステムである。AHSによる支援サービスには、前方障害物衝突防止、カーブ進入危険防止、車線逸脱防止、接近時/発進時の出会い頭衝突防止、右折衝突防止、横断歩道歩行者衝突防止、路面情報提供、前方停止車両・低速車両情報提供などがある。
【0005】
これらの支援サービスの内で、右折衝突防止支援サービスの例を図12に示す。交差点に差し掛かった車において、ナビによって右折が指示されている場合には、ナビ画面に右折を指示する画面131が表示され「300m先、右方向です」131aと音声指示される。交差点に近付くと向い車線の直進車の情報を得て、直進車が交差点に接近している場合は、直進車有りの画面132が表示され「ポ〜ン、直進車があります」132aと音声警告がされる。交差点に入ると右側の横断歩道の歩行者情報を得て、歩行者が横断中であれば歩行者有りの画面133が表示され「ポ〜ン、歩行者がいます」133aと音声警告がされる。
【0006】
このような対向直進車と横断歩道の歩行者との衝突防止支援を組合わせた右折衝突防止支援サービスを実現するAHSのインフラシステムと車載システムの構成及び動作例が、特許文献1に記載されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−101595(図2及び図3)
【発明の解決しようとする課題】
しかしながら、右折衝突防止支援サービスにおいて、対向車の状態は車の追い越しや2輪車などのすり抜け車両のすり抜けにより刻々と変化しており、上記従来の支援サービスは、交差点に近付いてドライバーが右折操作に集中して以降の対向車の状態変化が十分に反映するものではなかった。従って、前の対向車の状態から右折操作の判断をすると、追い越し車やすり抜け車両との衝突が発生する危険が高くなる。
【0008】
本発明は、かかる問題点に鑑み、AHS基地局からの情報に基づいて追い越し車両やすり抜け車両との衝突を防止可能な右折衝突防止支援サービスを実現する車両用情報提供装置を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明の車両用情報提供装置は、インフラ制御装置から対向車情報を受信し、交差点右折前に対向車情報をドライバーに提供する車両用情報提供装置であって、対向車の並び方をディスプレイ表示する表示手段と、該表示手段に対向車の並び方をディスプレイ表示した後に、前記対向車情報に含まれる複数の対向車の位置及び速度の情報に基づいて、先頭対向車を追い越した後方対向車又はすり抜けた後方対向車が存在するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が前記後方対向車が存在すると判定した場合に、追い越し又はすり抜けが発生したことをドライバーに報知する一方、前記後方対向車の交差点までの到達時間がしきい値時間よりも短い場合は前記報知を行わない報知手段とを有することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って、本発明の車両用情報提供装置の実施形態を詳細に説明する。
【0013】
<本実施形態の車両用情報提供装置の構成例>
図1は、本実施形態の車両用情報提供装置を含むAHSの構成例を示す図である。
【0014】
破線中が本実施形態の車両用情報提供装置となる車載システムである。10は、AHSの車載側を制御するAHS車載CPUであり、図示しないがプロセッサ以外にメモリなども含むコンピュータを示している。AHS車載CPU10は、本実施形態で実行される処理部として、AHS基地局からの対向車情報を受信する対向車情報受信部10aと、表示装置に交差点付近の対向車情報を表示してドライバーに知らせる対向車情報表示部10bと、対向車情報から追い越しが行われたか否かを判定する追越検出部10cと、追い越しがあった場合にそれをドライバーに報知する追越報知部10dと、追い越しの報知をドライバーの運転操作のジャマになる場合に禁止する報知禁止部10eとを有する。
【0015】
11は運転中の車の車速を計測する車速センサ、12はドライバーのブレーキ操作を検知するブレーキSW、13はドライバーのアクセル操作を検知するアクセルペダルセンサ、14はナビゲーションや本実施形態の対向車情報の表示などをする例えばLCD等の表示装置、15は本実施形態での追い越し等の対向車状態の変化を報知するために使用されるスピーカである。
【0016】
16は車載アンテナ17を介してインフラ情報を受信する路車間通信機、17は車載アンテナであり、路上のセンサやカメラ等のインフラセンサ22からの情報に基づきAHS基地局CPU20が作成した対向車及び道路情報を、路側アンテナ21を介して受信する。
【0017】
以上が、本実施形態に関連する重要な構成要素であるが、図1では、自車の位置認識のためのGPSや交通情報報知用のVICSなどは煩雑さを避けるために省いている。
【0018】
<交差点における右折用のAHS情報の例>
図2は、本実施形態を適用可能なAHSの交差点付近における構成を例示する図である。図2に示すAHSは、交差点における自車両の右折(右折待ちを含む)に際して、対向道路を走行する対向車との衝突防止を支援するシステムである。
【0019】
図2に示す構成には、信号機の設置された少なくとも片側1車線の道路R1と、この道路R1と交差する少なくとも片側1車線の道路R2との交差点及びこの交差点付近において、交差点手前(例えば、30m)の道路R1における自車両V1の走行車線側の路側に設置された基点23と、道路R1における自車両V1の走行車線に対向する他車両(対向車両)V2の走行車線側の路側に設置された車両検出センサ22と、交差点付近の道路R1における自車両V1の走行車線側(走行道路側)と対向車線側(対向道路側)の両路側に対角線上に設置された2つの路側アンテナ21とが設けられている。
【0020】
ここで、道路R1は、自車両V1が走行する走行車線を含む走行道路と、対向車両V2が走行する少なくとも1つの車線(対向車線)を含む対向道路とからなる。
【0021】
基点23は、固有の識別情報(以下、基点IDという)とこの基点IDに対応付けられた提供情報を識別するための提供ID(後述する)とを、自車両V1に搭載された基点検出器による検出が可能に保持されており、自車両V1は、この基点23を通過したことを基点検出器により検出すると共に、この基点通過時に基点IDと提供IDとを基点23から取得する。
【0022】
また、基点23は、当該基点23から交差点への自車両V1の走行距離を計測するための基準位置となる。この基点23から交差点への走行距離は、路側アンテナ21による提供情報受信区間A1を特定するための基準となる。
【0023】
車両検出センサ22は、交差点内の中間地点付近(地点Z)から交差点手前の所定検出範囲B1の自車両V1の対向道路に存在する他車両(対向車両)V2を検出し、当該所定検出範囲B1における他車両V2の位置情報、車速情報、並びに車種情報などを検出してAHS基地局CPU20に送信する。
【0024】
ここで、交差点内の中間地点付近である地点Zは、本実施形態において、対向車両の交差点への到達予想時間Tの基準位置(T=0、L=0)である。
【0025】
路側アンテナ21は、上記基点23と同様に固有の識別情報(以下、提供IDという)とこの提供IDに対応付けられた基点IDを持ち、この提供IDと共に、基点ID、車両検出センサ22によって検出された他車両V2の位置情報、車速情報、車種情報、道路形状(交差点及びその周辺の勾配の状態、車線幅、車線数など)に関する情報を、上記提供情報受信区間A1において自車両V1に送信(提供)する。
【0026】
尚、前記の道路形状に関する情報は、路側アンテナ21を介して入手するのではなく、例えば自車両V1に搭載されたところの、道路地図の表示や経路誘導に際して参照される地図情報データベースから入手しても良い。
【0027】
即ち、提供情報受信区間A1において、自車両V1に搭載された路車間通信機16は、路側アンテナ21から送出された基点ID、提供ID、他車両V2の位置情報、車速情報、車種情報、道路形状に関する情報(以下、これらを総称して提供情報と称する)を受信し、AHS車載CPU10は、受信した提供情報に基づいて、表示装置14及び/またはスピーカ15を利用して、自車両V1の乗員に対する情報提供(情報提示)のための制御処理を行なう。この情報提示には、表示装置14を利用した画像や文字表示の他に、スピーカ15からの音声メッセージや警告音の出力などが含まれる。
【0028】
また、本実施形態において、AHS基地局CPU20(路側アンテナ21)は、上記の提供情報を、他車両V2が走行する対向道路の所定検出範囲B1を構成する車線毎に提供することができ、更に、当該所定検出範囲B1内の同一車線上において前後して複数の車両が存在する場合には、他車両V2に関する情報として、所定の台数分まで提供可能であるものとする。
【0029】
更に、本実施形態において、AHS基地局CPU20(路側アンテナ21)は、当該所定検出範囲B1内の同一車線上における個々の他車両V2の横位置(例えば路肩からの離間距離)を提供することができるものとする。
【0030】
尚、上記システムにおいては、図2に示す場合とは反対に、他車両V2も自車両V1と同様な被情報提供車両となり、他車両V2は対向道路を走行する自車両V1の提供情報を路側アンテナ21から受信することになる。
【0031】
又、AHS基地局CPU20からの対向車及び道路情報は、提供情報受信区間A1(交差点内及び交差点手前30m)では100ms毎に継続して送信されているが、この情報が必要なのは右折車のみであるので、一般には右ウインカの点滅指示を検出して対向車及び道路情報の受信の開始時期としている。又、情報サービスの終了は、サービス開始からの走行距離で行っている。
【0032】
AHSから右折車が受信する対向車及び道路情報には、特に本実施形態で使用される情報としては、交差点形状、接近車両(対向車)の位置,速度さ、走行レーン、すり抜け車両(二輪対向車)の位置,速度、走行レーンの情報が含まれている。又、情報更新周期は100msで、位置情報は1m刻みである。更に、AHSの特徴として、処理遅延時間が0.3msで、受信距離は1km以内である。
【0033】
尚、交差点形状については、自車の有する交差点情報データベースや、他の通信情報として送られてくる交差点情報を使用してもよい。
【0034】
<本実施形態での対向車情報の表示例>
図3〜図6は、本実施形態での対向車情報の表示例のいくつかを示す図である。この例では、表示装置14の表示画面141が、ナビゲーション表示領域141と対向車情報表示領域142とからなる場合を記載したが、これに限定されることはない。例えば、全画面を対向車情報表示に切換えても、ピクチャー・イン・ピクチャー表示であってもよい。
【0035】
図3は、各車線の先頭の対向車の位置を矢印143,144で表示する例である。表示形状は矢印に限定されず車形などであってよい。図4は、各車線の先頭の対向車の交差点への到達時間を矢印145,146の長さで表わした例である。図5は、各車線の先頭の対向車の交差点への到達時間を比較し、最初に交差点に到達すると思われる車両の車線に到達時間に対応する長さの矢印147を表示する例である。図6は、図5の後に追越し車両が最初に交差点に到達すると思われる場合に、前の最先到達車両148と共に現在の最先到達車両149を表示する例である。
【0036】
<本実施形態の追越し又はすり抜けの報知例>
追越し又はすり抜け車両があった場合の報知例を以下に示す。
【0037】
報知の方法としては、音声による報知、音(例えば電子音)による報知、表示による報知が考えられる。音声による報知としては、例えば、「追越車両です」、「すり抜け車両です」、「すり抜け二輪車です」、「二輪車です」などや、対向車の並び方がどのように変化したのかを音声報知する「右側からすり抜け車両です」、「左側から追越車両です」がある。
【0038】
音による報知は、警告的であり音声などよりも緊急性の高い場合に有利であり、例えば暴走車や緊急車両の接近などの場合は停止の警告音を発するのが望ましい。又、表示による報知としては、図6のような矢印や、アイコンの点滅、色の変更などが考えられるが、表示による報知はあくまでドライバーが右折のハンドル操作を開始する前や交差点中で停止した後などであり、右折のハンドル操作開始後はドライバーは対向車線や横断歩道を直視しながら運転する必要があり、緊急性がある場合には音や音声による報知が好ましい。
【0039】
<本実施形態で追越し又はすり抜けの報知を禁止する例>
上記では、追越し又はすり抜けの報知を示したが、車やドライバーの状況によっては無駄な報知や不必要な報知、あるいは運転操作を妨害したりドライバーを躊躇させたり、運転操作に悪影響を与える場合がある。本実施形態では、これら無駄な報知や不必要な報知、あるいは運転操作に悪影響を与える場合は、追越し又はすり抜けの報知を禁止するように制御する。尚、以下では、追越車両について説明するが、する抜け車両についても同様である。
【0040】
例えば、最先頭の対向車が交差点内に入ったために、交差点に最初に到達する対向車が変化した場合は、実際には対向車の配列が変わったわけではないので、追越し又はすり抜けの報知はしない。又、対向車の位置あるいは交差点に到達する時間が変化したとしても、その変化が最先頭でないのであればその報知は返って運転のジャマである。従って、この場合には報知しない。又、最先頭あるいは交差点に最初に到達する対向車が、交差点から所定距離あるいは所定時間内に入っている場合は、右折を止めて停止することが求められており、追越し又はすり抜けの報知は無駄な運転のジャマになるので報知しない。
【0041】
ここでは、3つの例を上げたが、例えば既に右折を決断した(頭出し後にアクセルを踏んだ)後は報知しないなど、これらの例は、ドライバーが停止が右折実行かを決断操作した後、あるいは対向車の変更が右折の停止/実行の決断にための有用な情報とならない場合に、報知を禁止しようとするものであり、これらの例に限定されるものではない。
【0042】
<本実施形態の車両用情報提供装置の動作手順例>
図7は、本実施形態の車両用情報提供装置の動作手順例を示すフローチャートである。図7のフローチャートに入るのは、例えば、自車が図2の提供情報受信区間A1に入った後、片道複数車線の場合は右端の車線を走行していて右ウインカを点滅指示している場合である。尚、図7では追越しを例に説明するがす抜けの場合も同様であり、先頭という言葉は交差点へ最初に到達すると読み替える。
【0043】
まず、ステップS81で、AHS基地局CPU20が作成した対向車及び道路情報を、路側アンテナ21、車載アンテナ17、路車間通信機16を介して受信する。ステップS82では、対向車の内のA車とB車(100ms前にはA車がB車の前、あるいはA車がB車より先に交差点に到達すると計算されている場合)の位置、速度を取得する。ステップS83で、上記位置と速度の情報からB車A車の順序が変わった(B車がA車を追越した、あるいはB車の交差点到達時間がA車より早くなった)か否かを判定する。
【0044】
判定結果で追越しが判明すれば、ステップS86に飛んで追越しの報知処理を行う。追越しがなければステップS84でB車の速度VBとA車の速度VAを比較する。B車の方が所定速度Vthを越えてA車より速ければ、B車の追い越しが確実であると判断され100ms後の次の情報を待たずに緊急に追越しの報知をする必要があるので、ステップS85に進んで報知タイミングを早めるように設定して、ステップS86で報知処理を行う。この場合の報知は、緊急音としても良い。B車の速度とA車の速度との差が所定速度Vth以下であれば、報知処理を行わない。
【0045】
尚、図7の処理は、A車とB車を順次に変更して全ての間で行ってもよいが、右折に関連するのは各車線の先頭車両の前後であることが多いので、各車線の先頭車両の関係のみでも構わない。あるいは、車線変更して追越しを行う場合も考えられるので各車線の先頭車両から2台、あるいは先頭から順に車線数の倍の台数までの関係を判定するなども考えられる。
【0046】
又、AHSからの受信は100ms毎なので、50kmで走っていた場合は約1.4mの前進であり、A車とB車が異なる組合わせになることは考えられない。しかし、さらに高速で追越し/すり抜けを行う車があったとしても、先頭あるいは交差点へ最初に到達することを判定すれば良いので、車を特定する必要はない。
【0047】
図8は、図7のステップS86の報知処理の一例を示すフローチャートである。
【0048】
まずステップS861で、B車がすり抜け車両か否かを判定する。すり抜け車両でない場合はステップS862に進んで、B車がA車の右側車線か否かが判定される。B車が右車線なら、ステップS863で「右側から追越し車両です」と発声される。B車が左車線なら、ステップS864で「左側から追越し車両です」と発声される。
【0049】
ステップS861の判断ですり抜け車両の場合は、ステップS865でB車がA車の右側に居るか否かが判定される。B車が右側なら、ステップS866で「右側からすり抜け車両です」と発声される。B車が左側なら、ステップS867で「左側からすり抜け車両です」と発声される。
【0050】
図9は、図7のステップS86の報知処理での報知を禁止する手順例を示すフローチャートである。尚、図9では、各分岐ステップを優先順に並べたが、1つや2つの分岐であっても、異なる順序であっても、さらに前述した他の分岐を追加してもよい。
【0051】
ステップS871では、A車が交差点内に入ったか否かを判定する。A車が交差点内に入った場合は、B車が先頭になった理由が追い越しではないので、追い越しの報知はしない。ステップS872では、B車が最先頭か否か(交差点への最短時間が否か)を判定する。最先頭でなければ右折にとって障害とは思われないので報知しない。尚、ステップS872は、図7の処理を先頭に限定すれば必要ない。ステップS873では、追い越した(あるいは交差点へ最短時間となった)B車の交差点までの到達時間が、しきい値Tthより短いか否かが判定される。短い場合は、右折の中止が当然であるので、無駄な報知はしない。これらの条件を全て、あるいはいくつかをクリアした場合に、ステップS874で図8のような報知を行う。
【0052】
<本実施形態の車両用情報提供装置の動作変形例>
図10は、本実施形態の車両用情報提供装置の動作変形例を示すフローチャートである。
【0053】
図10でステップS81からS86は、図7〜図9と同様である。図10では、ステップS86の報知処理の前に、ステップS90で右折可能な状況か否かを過去のドライバーの運転履歴から判定する。右折可能な状況であれば報知処理を行うが、既に右折可能でない状況であれば報知処理は無駄であると共に、表示の場合は目ざわり、音や音声での報知の場合は耳ざわりでもあるので、報知はしない。
【0054】
この場合の右折可能な状況か否かの過去のドライバーの運転履歴からの判定は、過去の運転履歴をドライバー単位で記録し、ドラーバーが右折可能と判断して発信した時の余裕時間(先頭対向車の交差点に到達するまでの時間)の履歴に基づいて、ドライバーの右折しきい値を設定して、先頭対向車の交差点に到達するまでの時間がしきい値以下であれば、報知は禁止する。しきい値以上であれば右折操作をすると判断して、報知を行う。尚、上記右折発進の判定は、ブレーキSWやアクセルペダルなどの運動操作量から判断する。
【0055】
【発明の効果】
本発明により、AHS基地局からの情報に基づいて追い越しやすり抜けをドライバー報知することにより、追い越し車両やすり抜け車両との衝突を防止可能な右折衝突防止支援サービスを実現する。また、追い越し車両やすり抜け車両の交差点までの到達時間がしきい値時間よりも短い場合は報知を行わないことで、無駄な報知を排して運転操作を妨げることのない報知が可能である。
【0060】
また、請求項4に係る発明によれば、前記しきい値時間をドライバーの過去の右折の運転履歴に基づいて設定することで、ドライバーに対応したきめ細かい報知が可能である
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の車両用情報提供装置を含むAHSの構成例を示す図である。
【図2】交差点付近における右折に関するAHS情報について説明する図である。
【図3】各車線の先頭の対向車の位置を矢印で表示する例を示す図である。
【図4】各車線の先頭の対向車の交差点への到達時間を矢印の長さで表わした例を示す図である。
【図5】各車線の先頭の対向車の交差点への到達時間を比較し、最初に交差点に到達すると思われる車両の車線に到達時間に対応する長さの矢印を表示する例を示す図である。
【図6】図5の後に追越し車両が最初に交差点に到達すると思われる場合に、前の最先到達車両と共に現在の最先到達車両を表示する例を示す図である。
【図7】本実施形態の車両用情報提供装置の動作手順例を示すフローチャートである。
【図8】図7のステップS86の報知処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】図7のステップS86の報知処理での報知を禁止する手順例を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態の車両用情報提供装置の動作変形例を示すフローチャートである。
【図11】現在の自動車120の運転を支援する種々の情報インフラを示す図である。
【図12】右折衝突防止支援サービスの従来例を示す図である。

Claims (3)

  1. インフラ制御装置から対向車情報を受信し、交差点右折前に対向車情報をドライバーに提供する車両用情報提供装置であって、
    対向車の並び方をディスプレイ表示する表示手段と、
    該表示手段に対向車の並び方をディスプレイ表示した後に、前記対向車情報に含まれる複数の対向車の位置及び速度の情報に基づいて、先頭対向車を追い越した後方対向車又はすり抜けた後方対向車が存在するか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段が前記後方対向車が存在すると判定した場合に、追い越し又はすり抜けが発生したことをドライバーに報知する一方、前記後方対向車の交差点までの到達時間がしきい値時間よりも短い場合は前記報知を行わない報知手段とを有することを特徴とする車両用情報提供装置。
  2. 前記報知手段は、追い越し又はすり抜けが発生したことを音声で報知することを特徴とする請求項1記載の車両用情報提供装置。
  3. 前記しきい値時間は、ドライバーの過去の右折の運転履歴に基づいて設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用情報提供装置。
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