以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る走行制御装置100の構成概要図である。図2は、走行制御装置100における走行制御の説明図(概略俯瞰図)である。図1において、走行制御装置100は、自動車等の自車両に搭載され、自車両の走行制御を行う装置である。走行制御装置100は、自動運転中にて、支線を走行する自車両を本線へ合流させる走行計画に基づいて自車両を自動走行させる。
自動運転とは、装置が主体となって自車両の運転することを意味する。自動運転は、自車両の乗員が運転に関与しない完全自動運転でもよいし、自車両の乗員のサポートを受けつつ装置主体で運転を行うような運転支援制御による運転であってもよい。支線は、本線に接続された車線であって、車両が本線に入る前に通過する入路である。支線は合流車線とも称される。本線は、車両が通常走行をする車線である。
走行制御装置100は、ECU[Electronic Control Unit]10を備えている。ECU10は、自車両の走行制御を行う電子制御ユニットであり、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]を含むコンピュータを主体として構成されている。ECU10の詳細については、後述する。ECU10には、外部センサ(周辺情報検出部)2、GPS[Global Positioning System]受信部3、内部センサ4、地図データベース5、ナビゲーションシステム6、HMI[Human MachineInterface]7及びアクチュエータ8がそれぞれ接続されている。
外部センサ2は、自車両の周辺情報である外部状況を検出する検出機器である。外部センサ2は、カメラ、レーダー[Radar]、及びライダー[LIDER:LaserImaging Detectionand Ranging]のうち少なくとも一つを含む。カメラは、自車両の外部状況を撮像する撮像機器である。カメラは、例えば、自車両のフロントガラスの裏側に設けられている。カメラは、自車両の外部状況に関する撮像情報をECU10へ送信する。カメラは、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。
レーダーは、電波(例えばミリ波)を利用して自車両の外部の障害物を検出する。レーダーは、電波を自車両の周囲に送信し、障害物で反射された電波を受信することで障害物を検出する。レーダーは、検出した障害物情報をECU10へ送信する。ライダーは、光を利用して自車両の外部の障害物を検出する。ライダーは、光を自車両の周囲に出射し、障害物で反射された光を受光することで反射点までの距離を計測し、障害物を検出する。ライダーは、検出した障害物情報をECU10へ送信する。なお、外部センサ2としてのカメラ、ライダー及びレーダーは、必ずしも重複して備える必要はない。
GPS受信部3は、3個以上のGPS衛星から信号を受信することにより、自車両の位置(例えば自車両の緯度及び経度)を測定する。GPS受信部3は、測定した自車両の位置情報をECU10へ送信する。なお、GPS受信部3に代えて、自車両の緯度及び経度が特定できる他の手段を用いてもよい。
内部センサ4は、自車両の走行状態を検出する検出機器である。内部センサ4は、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサのうち少なくとも一つを含む。車速センサは、自車両の速度を検出する検出器である。車速センサとしては、例えば、車両の車輪又は車輪と一体に回転し又は同期して回転するドライブシャフト等の部材に対して設けられ、車輪の回転速度を検出する車輪速センサが用いられる。車速センサは、検出した車速情報をECU10に送信する。
加速度センサは、自車両の加速度を検出する検出器である。加速度センサは、例えば、自車両の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、自車両の横加速度を検出する横加速度センサとを含んでいる。加速度センサは、例えば、車両の加速度情報をECU10に送信する。ヨーレートセンサは、自車両の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する検出器である。ヨーレートセンサとしては、例えばジャイロセンサを用いることができる。ヨーレートセンサは、検出した自車両のヨーレート情報をECU10へ送信する。
地図データベース5は、地図情報を備えたデータベースである。地図データベースは、例えば、自車両に搭載されたHDD[Hard disk drive]内に形成されている。地図情報には、例えば、道路の位置情報、道路形状の情報(例えばカーブ、直線部の種別、カーブの曲率等)、道路の車線数の情報が含まれる。さらに、建物や壁等の遮蔽構造物の位置情報、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を使用するために、地図情報に外部センサ2の出力信号を含ませることが好ましい。なお、地図データベース5は、自車両と通信可能な情報処理センター等の施設のコンピュータに記憶されていてもよい。
ナビゲーションシステム6は、自車両の運転者によって設定された目的地まで、自車両の運転者に対して案内を行う装置である。ナビゲーションシステム6は、GPS受信部3の測定した自車両の位置情報と地図データベース5の地図情報とに基づいて、自車両の走行するルートを算出する。ルートは、複数車線の区間において好適な車線を特定したものであってもよい。ナビゲーションシステム6は、例えば、自車両の位置から目的地に至るまでの目標ルートを演算し、ディスプレイの表示及びスピーカの音声出力により運転者に対して目標ルートの報知を行う。ナビゲーションシステム6は、例えば、自車両の目標ルートの情報をECU10へ送信する。なお、ナビゲーションシステム6は、自車両と通信可能な情報処理センター等の施設のコンピュータに記憶されていてもよい。
HMI7は、自車両の乗員(運転者を含む)と走行制御装置100と間で情報の出力及び入力をするためのインターフェイスである。HMI7は、例えば、乗員に画像情報を表示するためのディスプレイパネル、音声出力のためのスピーカ、及び乗員が入力操作を行うための操作ボタン又はタッチパネル等を備えている。例えば、HMI7は、乗員により自動運転の作動もしくは停止に係る入力操作が行われると、ECU10に信号を出力して自動運転を開始もしくは停止させる。HMI7は、自動運転を終了する目的地に到達した場合、当該到達を通知する。HMI7は、無線で接続された携帯情報端末を利用して、乗員に対する情報の出力を行ってもよく、携帯情報端末を利用して乗員による入力操作を受け付けてもよい。
アクチュエータ8は、自車両の走行制御を含む自動運転制御を実行する装置である。アクチュエータ8は、スロットルアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び操舵アクチュエータを少なくとも含む。スロットルアクチュエータは、ECU10からの制御信号に応じてエンジンに対する空気の供給量(スロットル開度)を制御し、自車両の駆動力を制御する。なお、自車両がハイブリッド車又は電気自動車である場合には、スロットルアクチュエータを含まず、動力源としてのモータにECU10からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。
ブレーキアクチュエータは、ECU10からの制御信号に応じてブレーキシステムを制御し、自車両の車輪へ付与する制動力を制御する。ブレーキシステムとしては、例えば、液圧ブレーキシステムを用いることができる。操舵アクチュエータは、電動パワーステアリングシステムのうち操舵トルクを制御するアシストモータの駆動を、ECU10からの制御信号に応じて制御する。これにより、操舵アクチュエータは、自車両の操舵トルクを制御する。
ECU10は、外部状況認識部11、車両位置認識部12、走行計画候補生成部13、走行計画選択部14及び走行制御部15を備えている。
外部状況認識部11は、外部センサ2の検出結果(例えばカメラの撮像情報、レーダーの障害物情報、ライダーの障害物情報等)に基づいて、自車両の外部状況を認識する。外部状況は、自車両の周囲の他車両状況(例えば周囲の他車両の位置、速度等)、道路の形状(例えば走行車線の曲率等)、車両の周辺の障害物の状況(例えば、固定障害物と移動障害物を区別する情報、障害物の位置、移動障害物の移動方向、速度等)を含む。外部状況は、支線における自車両の後方を走行する後続車両の状況(例えば後続車両の位置、速度等)を含む。
車両位置認識部12は、GPS受信部3で受信した自車両の位置情報、及び地図データベース5の地図情報に基づいて、地図上における自車両の位置(以下、「車両位置」という)を認識する。なお、車両位置認識部12は、ナビゲーションシステム6で用いられる車両位置を該ナビゲーションシステム6から取得して認識してもよい。車両位置認識部12は、道路等の外部に設置されたセンサで自車両の車両位置が測定され得る場合、このセンサから通信によって車両位置を取得してもよい。
走行計画候補生成部13は、自車両が支線から本線への合流部を走行する際、支線を走行する自車両を本線へ合流させる走行計画の候補である走行計画候補を複数生成する。走行計画は、自車両の進路を自車両に固定された座標系での目標位置pと各目標点での車速vとの二つの要素からなる組、すなわち配位座標(p、v)を複数持つものとして出力する。それぞれの目標位置pは、少なくとも自車両に固定された座標系でのx座標、y座標の位置もしくはそれと等価な情報を有する。なお、走行計画は、自車両の挙動を記すものであれば特に限定されるものではない。走行計画は、例えば車速vの代わりに目標時刻tを用いてもよいし、目標時刻tとその時点での自車両の方位とを付加したものでもよい。
通常、走行計画は、概ね現在時刻から数秒先の将来のデータで充分であるが、交差点の右折、自車両の追い越し等の状況によっては数十秒のデータが必要となるので、走行計画の配位座標の数は可変、且つ配位座標間の距離も可変とすることが好ましい。配位座標をつなぐ曲線をスプライン関数等で近似し、当該曲線のパラメータを走行計画としてもよい。走行計画の生成としては、自車両の挙動を記すことができるものであれば、任意の公知方法を用いることができる。
走行計画は、目標ルートに沿った進路を自車両が走行する際における、自車両の車速の推移を示す標準速度パターン及び操舵トルクの推移を示す標準操舵パターンを含む。標準速度パターン及び標準操舵パターンは、例えば、進路上に所定間隔(例えば1m)で設定された制御位置に対して、当該制御位置ごとに時間に関連付けられて設定されたデータとされる。標準速度パターンは、予め設定された目標車速で自車両を自動走行させる車速データである。目標車速は、進路上において自車両が安全、法令順守、走行効率等の基準に照らして好適に走行する車速である。標準操舵パターンは、進路の目標横位置に沿って自車両を自動走行させる操舵トルクデータである。
走行計画候補生成部13は、例えば、ナビゲーションシステム6で演算された目標ルート、車両位置認識部12で認識された自車両位置、及び、外部状況認識部11で認識された外部状況に基づいて、自車両の進路を生成する。進路は、目標ルートに沿う走行車線31を自車両が進む軌跡である。そして、走行計画候補生成部13は、生成した進路に応じた走行計画候補を複数生成する。
走行計画候補生成部13が生成する複数の走行計画候補は、通常走行計画候補(第1の走行計画候補)と、早出し走行計画候補(第2の走行計画候補)と、を含んでいる。通常走行計画候補は、目標ルート上において自車両が安全、法令順守、走行効率等の基準に照らして好適に走行する走行計画の候補である。通常走行計画候補は、通常時に自車両が走行する走行計画の候補である。通常走行計画候補は、支線を走行する自車両を本線へ車線変更させて本線へ合流させる走行計画の候補である。通常走行計画候補は、公知の基準又は手法を用いて生成された走行計画の候補である。
早出し走行計画候補は、通常走行計画候補に対して、本線に進入するタイミングが早い走行計画の候補である。通常走行計画候補における本線に進入する時刻を第1時刻とし、早出し走行計画候補における本線に進入する時刻を第2時刻とした場合、第2時刻は第1時刻よりも早い。
なお、早出し走行計画候補は、通常走行計画候補に対して、本線に進入する位置が進行方向の後方側(手前側)の走行計画の候補であってもよい。通常走行計画候補における本線に進入する地点を第1地点とし、早出し走行計画候補における本線に進入する地点を第2地点とした場合、第2地点は第1地点よりも進行方向の後方側に位置する。
走行計画選択部14は、走行計画候補生成部13で生成された複数の走行計画候補から、一の走行計画を選択する。走行計画選択部14は、外部状況認識部11により後続車両が認識されない場合には、通常走行計画候補を走行計画として選択する。走行計画選択部14は、外部状況認識部11により後続車両が認識された場合には、早出し走行計画候補を走行計画として選択する。
走行制御部15は、走行計画選択部14で選択した走行計画に基づいて自車両の走行を自動で制御する。走行制御部15は、走行計画に応じた制御信号をアクチュエータ8に出力する。これにより、走行制御部15は、走行計画に沿って自車両が自動走行するように、自車両の走行を制御する。
例えば図2に示すように、走行計画選択部14において通常走行計画候補A1が走行計画として選択され、当該走行計画に基づいて走行制御部15により走行制御される場合、自車両90は、第1時刻で支線L1から本線L2に進入するように車線変更し、その後、本線L2上を走行する。一方、後続車両91が存在し、走行計画選択部14において早出し走行計画候補B1が走行計画として選択され、当該走行計画に基づいて走行制御部15により走行制御される場合、自車両90は、第1時刻よりも早いタイミングである第2時刻で支線L1から本線L2に進入するように車線変更し、その後、本線L2上を走行する。
なお、上述した外部状況認識部11、車両位置認識部12、走行計画候補生成部13、走行計画選択部14及び走行制御部15は、ECU10にそれぞれの機能を実現するソフトウェア又はプログラムを導入することにより構成すればよい。また、それらの一部又は全部をそれぞれ個別の電子制御ユニットにより構成してもよい。
次に、本実施形態に係る走行制御装置100の動作について説明する。図3は、走行制御装置100における走行計画選択処理を示すフローチャートである。図3に示すように、本実施形態の走行計画選択処理は、例えば自動運転時に支線L1から本線L2への合流部を自車両90が走行する際、ECU10において実行される。
走行計画選択処理では、まず、ナビゲーションシステム6からの目標ルート、車両位置認識部12からの自車両位置、及び、外部状況認識部11からの外部状況に基づいて、走行計画候補生成部13により通常走行計画候補A1及び早出し走行計画候補B1を生成する(S1)。外部状況認識部11からの外部状況に基づいて、後続車両91を認識しているか否かを判定する(S2)。上記S2でNoの場合、走行計画選択部14により、通常走行計画候補A1を走行計画として選択する(S3)。上記S2でYesの場合、走行計画選択部14により、早出し走行計画候補B1を走行計画として選択する(S4)。
以上、本実施形態の走行制御装置100では、後続車両91が認識される場合、後続車両91が認識されない場合に比べて、自車両90が支線L1から本線L2に進入するタイミングを早めることができる。これにより、後続車両91が自車両90よりも先に本線L2へ合流してしまうこと(図2中のラインC1参照)を抑制でき、支線L1から本線L2への自車両90の合流が後続車両91によって妨げられることを抑制可能となる。
走行制御装置100では、多少の加減速及び横加速度を伴っても、自車両90が早めに本線L2への車線変更を仕掛けることにより、自車両90の本線L2への合流を後続車両91によって妨げられるリスクを低減できる。走行制御装置100では、自車両90の支線L1から本線L2への合流の際における後続車両91の割り込みを抑制し、当該合流を確実に実現できる。
なお、本実施形態のECU10は、以下の機能又は構成の何れか、もしくは、これらの少なくとも何れかを組み合わせた機能又は構成を有していてもよい。
例えばECU10は、後続車両91を認識した場合に(上記S2でYes)、その後続車両91が一般車両か否かを判定してもよい。そして、後続車両91が一般車両でない場合には、通常走行計画候補A1を走行計画として選択する一方、一般車両の場合には、早出し走行計画候補B1を走行計画として選択してもよい。「一般車両」とは、自車両90から将来の動きを把握できない他車両である。「一般車両ではない車両」とは、車車間通信等で将来の動きを把握できる自動運転車両である。一般車両か否かの判定は、例えば外部センサ2に含まれるカメラにより自車両90の後方を撮像し、その撮像情報に基づいて後続車両91を認識することにより実施できる。
また、ECU10は、後続車両91を認識した場合に(上記S2でYes)、その後続車両91の運転行動が把握可能か否かを判定してもよい。そして、後続車両91の運転行動が把握可能の場合には、通常走行計画候補A1を走行計画として選択する一方、運転行動が把握不可能の場合には、早出し走行計画候補B1を走行計画として選択してもよい。後続車両91の運転行動が把握可能か否かの判定においては、例えば、後続車両91との間で車車間通信を行い、後続車両91が自動運転車両ではないときに、又は、自動運転車両であっても後続車両91の走行計画を取得できないときに、把握不可能と判定してもよい。
また、ECU10では、後続車両91を認識しない場合に(上記S2でNo)、走行計画選択部14により、複数の走行計画候補から複数の通常走行計画候補A1へ絞り込み、当該複数の通常走行計画候補A1について経路リスク評価を行い、リスク度が最も低い通常走行計画候補A1を走行計画として選択してもよい。一方、後続車両91を認識した場合に(上記S2でYes)、走行計画選択部14により、複数の走行計画候補から複数の早出し走行計画候補B1へ絞り込み、当該複数の早出し走行計画候補B1について経路リスク評価を行い、経路リスクが最も低い早出し走行計画候補B1を走行計画として選択してもよい。
経路リスク評価は、公知の手法により実施できる。例えば、経路リスク評価のリスク度は、走行計画候補に含まれる加速度パターン、速度パターン、操舵パターン、走行計画候補が有する進路の曲率、進路と周囲の障害物との距離(マージン)、車線変更時の移動距離等の少なくとも何れかに基づいて、算出できる。
また、ECU10は、自車両90の車速よりも後続車両91の車速が遅いか否かを判定し、自車両90の車速よりも後続車両91の車速が遅い場合に、早出し走行計画候補B1を走行計画として選択してもよい。ECU10は、自車両90と後続車両91との車間距離が予め設定された所定距離以下か否かを判定し、自車両90と後続車両91との車間距離が当該所定距離以下の場合に、早出し走行計画候補B1を走行計画として選択してもよい。あるいは、ECU10は、自車両90の車速よりも後続車両91の車速が遅く且つ自車両90と後続車両91との車間距離が当該所定距離以下か否かを判定し、自車両90の車速よりも後続車両91の車速が遅く且つ自車両90と後続車両91との車間距離が当該所定距離以下の場合に、早出し走行計画候補B1を走行計画として選択してもよい。
本実施形態のECU10は、早出し走行計画候補B1を走行計画として選択し、当該走行計画に基づいて車両制御を実行する場合、その旨に関する情報を、HMI7を介して自車両90の乗員又は運転者に対して通知又は注意喚起してもよい。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態の説明では、第1実施形態と異なる点について説明する。
図4は、第2実施形態に係る走行制御装置における走行制御の説明図である。図5は、第2実施形態に係る走行制御装置における走行計画選択処理を示すフローチャートである。図4に示すように、本実施形態において、外部状況認識部11が認識する外部状況は、自車両90の後方において本線L2の追越車線L2aを走行する後方車両93の状況(例えば後方車両93の位置、速度等)を含む。
走行計画選択部14は、外部状況認識部11により追越車線L2a上の後方車両93が認識されない場合には、通常走行計画候補A1を走行計画として選択する。走行計画選択部14は、外部状況認識部11により追越車線L2a上の後方車両93が認識された場合には、早出し走行計画候補B1を走行計画として選択する。
走行計画選択部14において通常走行計画候補A1が走行計画として選択され、当該走行計画に基づいて走行制御部15により走行制御される場合、自車両90は、第1時刻で支線L1から本線L2の走行車線L2bに進入するように車線変更し、その後、走行車線L2b上を走行する。一方、後方車両93が存在し、走行計画選択部14において早出し走行計画候補B1が走行計画として選択され、当該走行計画に基づいて走行制御部15により走行制御される場合、自車両90は、第1時刻よりも早いタイミングである第2時刻で支線L1から走行車線L2bに進入するように車線変更し、その後、走行車線L2b上を走行する。
図5に示すように、本実施形態における走行計画選択処理では、走行計画候補生成部13により通常走行計画候補A1及び早出し走行計画候補B1を生成する上記S1の後、外部状況認識部11からの外部状況に基づいて、本線L2の追越車線L2aを走行する後方車両93を認識しているか否かを判定する(S12)。上記S12でNoの場合、通常走行計画候補A1を走行計画として選択する上記S3へ移行する。上記S12でYesの場合、早出し走行計画候補B1を走行計画として選択する上記S4へ移行する。
以上、本実施形態においては、後方車両93が認識される場合、後方車両93が認識されない場合に比べて、自車両90が支線L1から本線L2の走行車線L2bに進入するタイミングを早めることができる。これにより、後方車両93が自車両90よりも先に走行車線L2bへ車線変更してしまうこと(図4中のラインC2参照)を抑制でき、支線L1から走行車線L2bへの自車両90の合流が後方車両93によって妨げられることを抑制可能となる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態の説明では、第1実施形態と異なる点について説明する。
図6は、第3実施形態に係る走行制御装置における走行制御の説明図である。図7は、第3実施形態に係る走行制御装置における走行計画選択処理を示すフローチャートである。図6に示すように、本実施形態の走行制御装置は、自動運転中にて、本線L2の走行車線L2bを走行する自車両90を支線L3へ分流させる走行計画に基づいて自車両90を自動走行させる。支線L3は、本線L2の右側に接続された車線であって、車両が本線L2から退出する際に通過する退路である。支線L3は分流車線とも称される。本線L2及び支線L3を含む道路としては、例えば、高速道路等における右側分流道路が挙げられる。
本実施形態において、外部状況認識部11が認識する外部状況は、自車両90の後方において本線L2の追越車線L2aを走行する後方車両93の状況(例えば後方車両93の位置、速度等)を含む。
走行計画候補生成部13は、本線L2から支線L3への分流部を自車両90が走行する際、この自車両90を支線L3へ分流させる走行計画の候補である走行計画候補を複数生成する。走行計画候補は、通常走行計画候補A2及び早出し走行計画候補B2を含む。
通常走行計画候補A2は、本線L2の走行車線L2bを走行する自車両90を、本線L2の追越車線L2aへ車線変更させた後に支線L3へ車線変更させて、支線L3へ分流させる走行計画の候補である。早出し走行計画候補B2は、通常走行計画候補に対して、本線L2の追越車線L2aに進入するタイミングが早い走行計画の候補である。通常走行計画候補A2における追越車線L2aに進入する時刻を第1時刻とし、早出し走行計画候補B2における追越車線L2aに進入する時刻を第2時刻とした場合、第2時刻は第1時刻よりも早い。
なお、早出し走行計画候補B2は、通常走行計画候補A2に対して、追越車線L2aに進入する位置が進行方向の後方側(手前側)の走行計画の候補であってもよい。通常走行計画候補A2における追越車線L2aに進入する地点を第1地点とし、早出し走行計画候補B2における追越車線L2aに進入する地点を第2地点とした場合、第2地点は第1地点よりも進行方向の後方側に位置する。
走行計画選択部14は、外部状況認識部11により追越車線L2a上の後方車両93が認識されない場合には、通常走行計画候補A2を走行計画として選択する。走行計画選択部14は、外部状況認識部11により追越車線L2a上の後方車両93が認識された場合には、早出し走行計画候補B2を走行計画として選択する。
走行計画選択部14において通常走行計画候補A2が走行計画として選択され、当該走行計画に基づいて走行制御部15により走行制御される場合、自車両90は、第1時刻で走行車線L2bから追越車線L2aに進入するように車線変更し、そして、追越車線L2aから支線L3に車線変更し、その後、支線L3上を走行する。一方、後方車両93が存在し、走行計画選択部14において早出し走行計画候補B2が走行計画として選択され、当該走行計画に基づいて走行制御部15により走行制御される場合、自車両90は、第1時刻よりも早いタイミングである第2時刻で走行車線L2bから追越車線L2aに進入するように車線変更し、そして、追越車線L2aから支線L3に車線変更し、その後、支線L3上を走行する。
図7に示すように、本実施形態の走行計画選択処理は、例えば自動運転時に自車両90が本線L2から支線L3への分流部を走行する際、ECU10において実行される。走行計画選択処理では、まず、ナビゲーションシステム6からの目標ルート、車両位置認識部12からの自車両位置、及び、外部状況認識部11からの外部状況に基づいて、走行計画候補生成部13により通常走行計画候補A2及び早出し走行計画候補B2を生成する(S21)。外部状況認識部11からの外部状況に基づいて、後方車両93を認識しているか否かを判定する(S22)。上記S22でNoの場合、走行計画選択部14により、通常走行計画候補A2を走行計画として選択する(S23)。上記S2でYesの場合、走行計画選択部14により、早出し走行計画候補B2を走行計画として選択する(S24)。
以上、本実施形態においては、後方車両93が認識される場合、後方車両93が認識されない場合に比べて、自車両90が本線L2における走行車線L2bから追越車線L2aに進入するタイミングを早めることができる。これにより、後方車両93が追越車線L2a上にて自車両90を追い越すことを抑制でき、本線L2から支線L3への自車両90の分流が後方車両93によって妨げられることを抑制可能となる。つまり、後方車両93に妨げられることなく追越車線L2aへの車線変更を完了し、次の分流行動へ確実に移行することができる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態の説明では、第1実施形態と異なる点について説明する。
図8は、第4実施形態に係る走行制御装置における走行制御の説明図である。図9は、第4実施形態に係る走行制御装置における走行計画選択処理を示すフローチャートである。図8に示すように、本実施形態の走行制御装置は、自動運転中にて、本線L2の走行車線L2bを走行する自車両90を支線L4へ分流させる走行計画に基づいて自車両90を自動走行させる。支線L4は、本線L2の左側に接続された車線であって、車両が本線L2から退出する際に通過する退路である。支線L4は分流車線とも称される。本線L2及び支線L4を含む道路としては、例えば、高速道路等における左側分流道路が挙げられる。
本実施形態において、外部状況認識部11が認識する外部状況は、自車両90の周囲において本線L2の追越車線L2aを走行する周辺車両94の状況(例えば周辺車両94の位置、速度等)と、自車両90の前方において本線L2の走行車線L2bを走行する先行車両95の状況(例えば先行車両95の位置、速度等)と、を含む。
走行計画候補生成部13は、本線L2から支線L4への分流部を自車両90が走行する際、この自車両90を支線L4へ分流させる走行計画の候補である走行計画候補を複数生成する。走行計画候補は、通常走行計画候補A3及び短車間距離走行計画候補B3を含む。
通常走行計画候補A3は、本線L2の走行車線L2bを走行する自車両90を、L4へ車線変更させて支線L4へ分流させる走行計画の候補である。短車間距離走行計画候補B3は、通常走行計画候補に対して、支線L4に進入するまでの間に法定速度内にて加速度を高めて、先行車両95が存在する場合に当該先行車両95との車間距離を縮める走行計画の候補である。通常走行計画候補A3における支線L4に進入するまでの最大加速度を第1加速度とし、短車間距離走行計画候補B3における支線L4に進入するまでの最大加速度を第2加速度とした場合、第2加速度は第1加速度よりも大きい。通常走行計画候補A3における支線L4に進入時の車間距離を第1車間距離とし、短車間距離走行計画候補B3における支線L4に進入時の車間距離を第2車間距離とした場合、第2車間距離は第1車間距離よりも小さい。
走行計画選択部14は、外部状況認識部11により追越車線L2a上の周辺車両94が認識されない場合には、通常走行計画候補A4を走行計画として選択する。外部状況認識部11により走行車線L2b上の先行車両95が認識されない場合には、通常走行計画候補A4を走行計画として選択する。走行計画選択部14は、追越車線L2a上の周辺車両94が認識され、且つ、走行車線L2b上の先行車両95が認識された場合には、短車間距離走行計画候補B3を走行計画として選択する。走行制御部15は、先行車両95に追従させる走行制御を行い、先行車両95に追従するように自車両90を自動運転させる。
走行計画選択部14において通常走行計画候補A3が走行計画として選択され、当該走行計画に基づいて走行制御部15により走行制御される場合、自車両90は、最大加速度を第1加速度として加速し、先行車両95が存在する場合には車間距離が第1車間距離のときに支線L4に進入して車線変更し、その後、支線L4上を走行する。一方、周辺車両94及び先行車両95が存在し、走行計画選択部14において早出し走行計画候補B2が走行計画として選択され、当該走行計画に基づいて走行制御部15により走行制御される場合、自車両90は、第1加速度よりも大きい第2加速度を最大加速度として加速し、先行車両95との車間距離が第2車間距離のときに支線L4に進入して車線変更し、その後、支線L4上を走行する。
図5に示すように、本実施形態の走行計画選択処理は、例えば先行車両95を追従する自動運転時に自車両90が本線L2から支線L4への分流部を走行する際に、ECU10において実行される。走行計画選択処理では、まず、ナビゲーションシステム6からの目標ルート、車両位置認識部12からの自車両位置、及び、外部状況認識部11からの外部状況に基づいて、走行計画候補生成部13により通常走行計画候補A3及び短車間距離走行計画候補B3を生成する(S31)。外部状況認識部11からの外部状況に基づいて、追越車線L2aを走行する周辺車両94を認識しているか否かを判定する(S32)。上記S32でYesの場合、外部状況認識部11からの外部状況に基づいて、先行車両95を認識しているか否かを判定する(S33)
上記S32でNoの場合、又は、上記S33でNoの場合、走行計画選択部14により、通常走行計画候補A3を走行計画として選択する(S34)。上記S33でYesの場合、走行計画選択部14により、短車間距離走行計画候補B3を走行計画として選択する(S35)。
以上、本実施形態においては、追越車線L2a上に周辺車両94が認識される場合、周辺車両94が認識されない場合に比べて、自車両90が支線L4に車線変更して分流するまでの間、先行車両95との車間距離を意図的に詰めることができる。これにより、自車両90と先行車両95との間に周辺車両94が割り込んで支線L4に分流することを抑制できる。本線L2から支線L4への自車両90の分流が周辺車両94によって妨げられることを抑制可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。上記実施形態において、ECU10の各機能の一部、すなわち、外部状況認識部11、車両位置認識部12、走行計画候補生成部13、走行計画選択部14及び走行制御部15の一部は、自車両90と通信可能な情報処理センター等の施設のコンピュータにおいて実行されてもよい。