JP5900415B2 - 蓄電デバイス及びその製法 - Google Patents

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Description

本発明は、蓄電デバイス及びその製法に関する。
従来、正極と負極との間に介在する電解質として、固体電解質を用いた蓄電デバイスが知られている。しかしながら、固体電解質は、電極との密着性が良くないことなどに起因して、負荷特性や低温特性が低いという問題がある。こうした問題を解決するために、例えば、固体電解質として、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのブロック共重合体をマトリクス高分子として含有するものを用いることが提案されている(特許文献1参照)。こうしたものでは、ブロック共重合体の膜が、機械的な強靱性と高い溶媒保持能力を有し、これを固体電解質のマトリクス高分子とすることで、密着強度、負荷特性、低温特性が大幅に改善されるとされている。
特開平11−312536号公報
しかしながら、上述した特許文献1のものでは、負荷特性や低温特性をある程度確保可能であるとされているものの、電解液を用いた場合と比較すると、負荷特性や低温特性は低かった。このため、蓄電デバイスにおいて、負荷特性や低温特性の低下を抑制することが望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、負荷特性や低温特性の低下をより抑制することのできる蓄電デバイスを提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明者らは、正極、負極、セパレータなどを、特許文献1のマトリクス高分子のようなポリマーにより区画し、電解液を注入して蓄電デバイスを作製した。そして、こうした蓄電デバイスでは、負荷特性や低温特性の低下を抑制できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の蓄電デバイスは、
正極と、負極と、セパレータと、イオンを伝導する電解液と、を備え、
前記正極、前記負極及び前記セパレータより選ばれる1つ以上の部材は、ポリマーを含み前記電解液の面内方向の移動を規制する規制部が形成された形成領域及び前記規制部によって区画された複数の通過領域を備えており、
前記各部材において、前記通過領域は各々がその部材の機能を有するものである。
この蓄電デバイスでは、負荷特性や低温特性の低下を抑制することができる。このような効果が得られる理由は、以下のように推察される。すなわち、単に特許文献1のマトリクス高分子のようなポリマーに電解液を組み合わせて用いた場合には、電解液やそこに含まれるイオンが、正極、負極、セパレータなどの部材の内部や表面において面内方向で自由に移動する。そうすると、面内方向でイオンの濃度分布が生じるなどして反応が不均一となり、それによって蓄電デバイスの負荷特性や低温特性が低下すると考えられる。これに対して、本発明の蓄電デバイスでは、ポリマーを含む規制部によって電解液の面内方向の移動が規制されるため、電解液の移動に起因する不均一反応などが抑制され、負荷特性や低温特性の低下を抑制することができると考えられる。また、規制部に用いるポリマーは柔軟性を有するため、部材同士の密着性を高めることができ、負荷特性や低温特性の低下を抑制するのに適していると考えられる。また、規制部に用いるポリマーは、比較的容易に形成でき、その形状制御も容易であるため、負荷特性や低温特性の低下を抑制するのに適していると考えられる。
本発明の蓄電デバイスの製法は、
正極と、負極と、セパレータと、イオンを伝導する電解液と、を備えた蓄電デバイスの製法であって、
前記正極、前記負極及び前記セパレータより選ばれる1つ以上の部材に、前記電解液の面内方向の移動を規制する規制部をポリマーにより形成して、前記規制部が形成された形成領域及び前記規制部によって区画された複数の通過領域を形成する形成工程、
を含むものである。
この製法では、上述した蓄電デバイスを比較的容易に製造することができる。
リチウムイオン電池10の概略の一例を示す模式図。 正極シート13における規制部の概略の一例を示す模式図。 負極シート18における規制部の概略の一例を示す模式図。 セパレータ19における規制部の概略の一例を示す模式図。 各部材における規制部の概略の一例を示す模式図。 各部材における規制部の概略の一例を示す模式図。 通過領域率と初期容量×容量維持率/100との関係を表すグラフ。
以下では、本発明の蓄電デバイスの一実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるリチウムイオン電池10の概略の一例を示す模式図である。また、図2〜4は、リチウムイオン電池10の各部材における規制部の概略の一例を示す模式図である。
リチウムイオン電池10は、正極シート13と、負極シート18と、正極シート13と負極シート18との間に設けられたセパレータ19と、正極シート13と負極シート18の間を満たす電解液20と、を備えたものである。このリチウムイオン電池10において、正極シート13、負極シート18及びセパレータ19には、それぞれ、規制部33,38,39が形成されている。この規制部33,38,39は、電解液20の面内方向の移動を規制するものであり、ポリマーを含んでいる。このリチウムイオン電池10は、正極シート13と負極シート18との間にセパレータ19を挟み、これらを複数積層して捲回し円筒ケース22に挿入し、正極シート13に接続された正極端子24と負極シート18に接続された負極端子26とを配設して形成されている。
正極シート13は、集電体12の表面に、正極活物質を含む活物質層11が形成されたものである。活物質層11は、例えば、空孔率が15%以上50%以下となるように形成されていてもよい。この正極シート13は、例えば正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極合材としたものを、集電体12の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。正極活物質としては、遷移金属元素を含む硫化物や、リチウムと遷移金属元素とを含む酸化物などを用いることができる。具体的には、TiS2、TiS3、MoS3、FeS2などの遷移金属硫化物、基本組成式がLi(1-x)MnO2(0<x<1など、以下同じ)、Li(1-x)Mn24などであるリチウムマンガン複合酸化物、基本組成式がLi(1-x)CoO2などであるリチウムコバルト複合酸化物、基本組成式がLi(1-x)NiO2などであるリチウムニッケル複合酸化物、基本組成式がLiV23などであるリチウムバナジウム複合酸化物、V25などの遷移金属酸化物などを用いることができる。これらのうち、リチウムの遷移金属複合酸化物、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiV23などが好ましい。なお、基本組成式とは、元素の一部が他の元素で置換されていてもよいし、欠損されていてもよいし、過剰であってもよいことを示す趣旨である。導電材は、正極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。正極活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体としては、アルミニウム、チタン、スレンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート上、ネット上、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1〜500μmとすることができる。
負極シート18は、集電体17の表面に、負極活物質を含む活物質層14が形成されたものである。活物質層14は、例えば、空孔率が15%以上50%以下となるように形成されていてもよい。この負極シート18は、例えば負極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極合材としたものを、集電体17の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。負極活物質としては、リチウム、リチウム合金、スズ化合物などの無機化合物、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素質材料、導電性ポリマーなどが挙げられるが、このうち炭素質材料が安全性の面から見て好ましい。この炭素質材料は、特に限定されるものではないが、コークス類、ガラス状炭素類、グラファイト類、難黒鉛化性炭素類、熱分解炭素類、炭素繊維などが挙げられる。このうち、人造黒鉛、天然黒鉛などのグラファイト類が、金属リチウムに近い作動電位を有し、高い作動電圧での充放電が可能であり電解質塩としてリチウム塩を使用した場合に自己放電を抑え、且つ充電時における不可逆容量を少なくできるため、好ましい。また、負極に用いられる導電材、結着材、溶剤などは、それぞれ正極で例示したものを用いることができる。集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状や厚さは、それぞれ正極で例示したものとすることができる。
セパレータ19は、電池の使用範囲に耐えうる材質であれば特に限定されずに用いることができ、優れたレート特性を示す多孔膜や不織布などを単独又は併用することが好ましい。セパレータ19は、例えば、空孔率が10%以上80%以下であるものとしてもよい。このセパレータ19は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体及びフッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体などのフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドなどのポリエーテル類、カルボキシルメチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類、ポリ(メタ)アクリル酸及びその他のエステル類を主体とする高分子化合物やその誘導体、これらの共重合体や混合物からなるフィルムなどが挙げられる。また、これらは単独で用いてもよいし、複合して用いてもよい。また、これらのフィルムには、例えばイオンの伝導性を高める添加剤や強度・耐食性を高めるような種々の添加剤を添加してもよい。この微多孔フィルムのうち、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホンなどが好ましく用いられる。
電解液20は、支持塩を含む非水電解液などを用いることができる。非水電解液の溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、フラン類、スルホラン類及びジオキソラン類などが挙げられ、これらを単独又は混合して用いることができる。具体的には、カーボネート類としてエチレンカーボネートやプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート類、γ−ブチルラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル類、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸メチルなどの鎖状エステル類、ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジエトキシエタンなどのエーテル類、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、などのフラン類、スルホラン、テトラメチルスルホランなどのスルホラン類、1,3−ジオキソラン、メチルジオキソランなどのジオキソラン類などが挙げられる。このうち、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組み合わせが好ましい。この組み合わせによると、充放電の繰り返しでの電池特性を表すサイクル特性が優れているばかりでなく、電解液の粘度、得られる電池の電気容量、電池出力などをバランスの取れたものとすることができる。なお、環状カーボネート類は、比誘電率が比較的高く、電解液の誘電率を高めていると考えられ、鎖状カーボネート類は、電解液の粘度を抑えていると考えられる。支持塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiSbF6、LiSiF6、LiAlF4、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlCl4などが挙げられる。このうち、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4などの無機塩、及びLiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23などの有機塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上の塩を組み合わせて用いることが電気特性の点から見て好ましい。この電解質塩は、非水電解液中の濃度が0.1mol/L以上5mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2mol/L以下であることがより好ましい。電解質塩の濃度が0.1mol/L以上では、十分な電流密度を得ることができ、5mol/L以下では、電解液をより安定させることができる。また、この非水電解液には、リン系、ハロゲン系などの難燃剤を添加してもよい。
規制部33は、正極シート13の内部及び表面に形成されている。具体的には、正極シート13を断面視すると、図1に示すように、集電体表面12aを底とし活物質層表面11aからわずかにはみ出して規制部33が形成されている。また、正極シート13を活物質層表面11a側から見ると、図2に示すように、活物質層11をハニカム状に区画するように規制部33が形成されている。ここでは、規制部33が形成された領域を形成領域とし、規制部33によって区画された領域を通過領域とする。通過領域は、活物質層11で満たされており、単独で正極としての機能を有している。この通過領域において、各区画の形状は、三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形としてもよいし、円形や楕円形などとしてもよいし、その他の形状としてもよい。各区画のピッチLは0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましい。通過領域の面積をある程度確保できるからである。このピッチLは、100mm以下であることが好ましく、50mm以下であることがより好ましく、20mm以下であることがさらに好ましい。電解液の面内方向の移動を十分に規制することができるからである。通過領域の各区画の面積aは、0.1mm2以上であることが好ましく、0.5mm2以上であることがより好ましく、20mm2以上であることがより好ましい。この各区画の面積aは、3000mm2以下であることが好ましく、2500mm2以下であることがより好ましく、1000mm2以下であることがさらに好ましい。負荷特性や低温特性の低下を十分に抑制できるからである。形成領域は、幅Dが、0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることがより好ましい。電解液の面内方向の移動を規制するのに十分な幅の規制部33が形成されるからである。この形成領域の幅は、5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましく、2mm以下であることがさらに好ましい。通過領域の面積をある程度確保できるからである。ここで、通過領域の総面積をA(mm2)とし、形成領域の総面積をB(mm2)とすると、{A/(A+B)}×100で表される通過領域率が、40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。また、この通過領域率は、99.5%以下であるであることが好ましく、99.2%以下であることがより好ましく、99%以下であることがさらに好ましい。低温特性や負荷特性の低下をより抑制できるからである。
この規制部33は、ポリマーを含むものであればよいが、有機溶媒によって膨潤したゲルポリマーであることが好ましい。ゲルポリマーであれば、セパレータ19などの他の部材との接着性や密着性をより高めることができるからである。有機溶媒としては、電解液20で例示した各種溶媒などを用いることができる。この規制部33は、上述した電解液20によって膨潤したものであることが好ましい。この規制部33は、イオン伝導性を有するものとしてもよい。イオン伝導性を有するものであれば、規制部もイオンを伝導する媒体として機能するため、イオン伝導性を有さないものを規制部とした場合に比して、容量や出力を高めることができる。
この規制部33に含まれるポリマーの種類は特に限定されるものではないが、例えば、フッ素系のポリマーが挙げられる。フッ素系のポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)や、PVdF系共重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PTFE系共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)などが挙げられる。PVdF系共重合体としては、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(P(VDF−HFP))、フッ化ビニリデン−パーフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体及びフッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体などが挙げられる。PTFE系の共重合体としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などが挙げられる。こうしたフッ素系のポリマーのうち、部分的にフッ素化されたフッ化物系のポリマーは、耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性などに優れており、変質しにくいため好ましい。また、PVdFやPVdF系共重合体は、微孔を有しているが、膨潤性が高いためゲルポリマーを形成しやすく、ゲル化によって微孔が塞がれるなどして、電解液の面内方向の移動を規制するという規制部の機能をより高めることができる。また、PVdFやPVdF系共重合体は、熱可塑性であるため、形成が容易であるし、加熱によって部材同士の密着性を容易に高めることができる。なかでもP(VdF−HFP)が好適であり、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとがブロック共重合したものであることがより好ましい。規制部33に含まれるポリマーの種類は、上述したフッ素系のポリマーのほか、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリルアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンオキシド(PEO)及びポリプロピレンオキシド(PPO)などのポリエーテル類、カルボキシルメチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類、ポリ(メタ)アクリル酸及びその他のエステル類を主体とする高分子化合物やその誘導体、これらの共重合体や混合物としてもよい。また、規制部に含まれるポリマーは、シリカ粒子などを添加して、強度を高めてもよい。
この規制部33に含まれるポリマーは、例えば、正極の結着材を構成する化合物の構造の一部を含むものとしてもよい。例えば、正極シート13において、結着材としてPVdFを用いたものである場合、PVdFやPVdF系共重合体を含むものとしてもよい。こうしたものでは、正極シート13との親和性が高く、正極シート13の規制部33の形成を容易にすることができる。このとき、活物質層11のポリマー濃度(CA)に対する規制部33が形成されている部分のポリマー濃度(CB)の比である濃度比(CB/CA)は、1.4以上であることが好ましい。ここで、濃度比は、例えば、電極の断面についてEPMAでフッ素の濃度を測定し、そのときのフッ素濃度の比として求めるものとしてもよい。
この規制部33は、正極シート13に規制部のもととなる液体を接触させて形成されたものとしてもよい。こうしたものでは、比較的容易に規制部を形成することができる。規制部のもととなる液体は、特に限定されるものではないが、例えば、規制部に含まれるポリマーを溶媒に溶解したものとしてもよい。溶媒は、ゲルポリマーを構成する有機溶媒としてもよい。また、規制部のもととなる液体は、ポリマーが熱可塑性のものである場合には、加温して粘度を低下させたものとしてもよい。規制部を形成する際には、規制部のもととなる液体を各部材の表面に塗布したり滴下して表面から接触させるものとしてもよい。また、接触後、減圧下に部材を載置したり、塗布面とは反対側の面から吸引したりすることによって、部材の内部まで規制部のもととなる液体を各部材の内部に含浸させるものとしてもよい。
規制部38は、負極シート18の内部及び表面に形成されている。具体的には、負極シート18を断面視すると、図1に示すように、集電体表面17aを底とし活物質層表面14aからわずかにはみ出して規制部38が形成されている。また、負極シート18を活物質層表面14a側から見ると、図3に示すように、活物質層14をハニカム状に区画するように規制部38が形成されている。ここでは、規制部38が形成された領域を形成領域とし、規制部38によって区画された領域を通過領域とする。通過領域は、活物質層14で満たされており、単独で負極としての機能を有している。ここで、通過領域における各区画の形状、ピッチL、面積aや、形成領域の幅D、通過領域率については、規制部33について例示したものとすることができる。
この規制部38は、ポリマーを含むものであればよいが、有機溶媒によって膨潤したゲルポリマーであることが好ましい。ゲルポリマーであれば、セパレータ19などの他の部材との接着性や密着性をより高めることができるからである。有機溶媒としては、電解液20で例示した各種溶媒などを用いることができる。この規制部38は、上述した電解液20によって膨潤したものであることが好ましい。この規制部38は、イオン伝導性を有するものとしてもよい。イオン伝導性を有するものであれば、規制部もイオンを伝導する媒体として機能するため、イオン伝導性を有さないものを規制部とした場合に比して、容量や出力を高めることができる。
この規制部38に含まれるポリマーの種類は特に限定されるものではないが、規制部33において例示したもの等が挙げられる。この規制部38に含まれるポリマーは、例えば、負極の結着材を構成する化合物の構造の一部を含むものとしてもよい。例えば、負極シート18において、結着材としてPVdFを用いたものである場合、PVdFやPVdF系共重合体を含むものとしてもよい。こうしたものでは、負極シート18との親和性が高く、負極シート18の規制部38の形成を容易にすることができる。このとき、活物質層14のポリマー濃度(CA)に対する規制部38が形成されている部分のポリマー濃度(CB)の比である濃度比(CB/CA)は、1.4以上であることが好ましい。ここで、濃度比は、例えば、電極断面についてEPMAでフッ素の濃度を測定し、そのときのフッ素濃度の比として求めるものとしてもよい。
この規制部38は、負極シート18に規制部のもととなる液体を接触させて形成されたものとしてもよい。こうしたものでは、比較的容易に規制部を形成することができる。規制部のもととなる液体や、その形成方法については、規制部33で例示したものとすることができる。
規制部39は、セパレータ19の内部及び表面に形成されている。具体的には、セパレータ19を断面視すると、図1に示すように、セパレータを貫通し、セパレータ表面19aからわずかにはみ出して規制部39が形成されている。また、セパレータ19をセパレータ表面19a側から見ると、図4に示すように、セパレータ19をハニカム状に区画するように規制部39が形成されている。ここでは、規制部39が形成された領域を形成領域とし、規制部39によって区画された領域を通過領域とする。通過領域は、セパレータ19の材質で満たされており、単独でセパレータとしての機能を有している。ここで、通過領域における区画の形状、ピッチL、面積aや、形成領域の幅D、通過領域率については、規制部33について例示したものとすることができる。
この規制部39は、ポリマーを含むものであればよいが、有機溶媒によって膨潤したゲルポリマーであることが好ましい。ゲルポリマーであれば、正極シート13や負極シート18などの他の部材との接着性や密着性をより高めることができるからである。有機溶媒としては、電解液20で例示した各種溶媒などを用いることができる。この規制部39は、上述した電解液20によって膨潤したものであることが好ましい。この規制部39は、イオン伝導性を有するものとしてもよい。イオン伝導性を有するものであれば、規制部もイオンを伝導する媒体として機能するため、イオン伝導性を有さないものを規制部とした場合に比して、容量や出力を高めることができる。規制部39に含まれるポリマーの種類は、規制部33について例示したものとすることができる。
この規制部39は、セパレータ19に規制部のもととなる液体を接触させて形成されたものとしてもよい。こうしたものでは、比較的容易に規制部を形成することができる。規制部のもととなる液体や、その形成方法については、規制部33で例示したものとすることができる。
規制部33,38,39は、正極シート13、負極シート18、セパレータ19を重ねて用いるときに重なり合うように同一形状に形成することが好ましい。こうすれば、イオンの面内方向の移動を効率的に抑制でき、それに起因する負荷特性や低温特性の低下をより抑制できる。
このリチウムイオン電池10では、ポリマーを含む規制部33,38,39によって電解液の面内方向の移動が規制されるため、電解液の移動に起因する不均一反応などが抑制され、負荷特性(特にハイレート耐久性)や低温特性の低下を抑制することができる。また、規制部に用いるポリマーは柔軟性を有するため、部材同士の密着性を高めることができ、負荷特性や低温特性の低下を抑制するのに適している。また、規制部に用いるポリマーは、比較的容易に形成でき、その形状制御も容易であるため、負荷特性や低温特性の低下を抑制するのに適している。
次に、リチウム電池10の製造方法について説明する。この製造方法は、(a)ポリマーを含む規制部を形成する形成工程と、(b)ポリマーを電解液で膨潤させる膨潤工程とを含むものである。
(a)形成工程
この工程では、正極シート13、負極シート18及びセパレータ19に、それぞれ、面内方向の移動を規制する規制部をポリマーにより形成して、規制部が形成された形成領域及び規制部によって区画された複数の通過領域を形成する。規制部は、例えば、ポリマーを含む液体を各部材に接触させて形成してもよい。ポリマーを含む液体は、特に限定されるものではないが、例えば、規制部を形成するポリマーを溶媒に溶解したものとしてもよい。溶媒は、上述したゲルポリマーを構成する有機溶媒としてもよいし、その他のものとしてもよい。また、ポリマーを含む液体は、ポリマーが熱可塑性のものである場合には、加温して粘度を低下させたものとしてもよい。規制部を形成する際には、ポリマーを含む液体を各部材の表面に塗布したり滴下して表面から接触させるものとしてもよい。また、接触後、減圧下に部材を載置したり、塗布面とは反対側の面から吸引したりすることによって、部材の内部まで規制部のもととなる液体を各部材の内部に含浸させるものとしてもよい。
この形成工程で形成する規制部の材質や、形成領域や通過領域の形状、寸法などは、リチウムイオン電池10について例示したものを採用することができる。例えば、この形成工程では、各部材において、通過領域の総面積をA(mm2)とし、形成領域の総面積をB(mm2)とすると、{A/(A+B)}×100で表される通過領域率が40%以上99.5%以下となるように、規制部を形成することが好ましい。また、通過領域が、規制部によってハニカム状に区画され、各区画の面積が0.1mm2以上3000mm2以下となるように、規制部を形成することが好ましい。また、規制部を形成するポリマーは、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとが共重合したポリマーであることが好ましい。また、正極シート13、負極シート18及びセパレータ19の全てに、正極シート13、負極シート18及びセパレータ19を重ねて用いるときに重なり合うように同一形状に規制部33,38,39を形成することが好ましい。また、規制部を形成するポリマーは、熱可塑性を有することが好ましい。
(b)膨潤工程
この工程では、ポリマーを形成した正極シート13と負極シート18とをセパレータ19を介して積層し、電解液20を含浸させた後に全体を熱処理してポリマーを電解液20で膨潤させる。熱処理温度は、膨潤に適した温度であればよく、例えば、70℃以上100℃以下とすることができる。
この製造方法では、ポリマーを用いて規制部を形成し、これに電解液を含浸させてゲル化することによって規制部を形成する。このため、比較的容易に規制部を形成することができる。また、膨潤に際して熱処理することにより、正極シート13とセパレータ19との間や負極シート18とセパレータ19との間の接着性や密着性を高めることができる。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の正極シート13が本発明の正極に相当し、負極シート18が負極に相当し、セパレータ19がセパレータに相当し、電解液20が電解液に相当し、規制部33,38,39が規制部に相当する。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、蓄電デバイスは、リチウムイオン電池としたが、これに限定されない。例えば、電解液を用いた電池であれば、稼働イオン種を問わない。例えば、ナトリウムイオンやカリウムイオンなどのアルカリ金属イオン電池としてもよいし、カルシウムイオンやマグネシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオン電池としてもよい。また、Ni−MH電池などに適用してもい。また、電池に限定されず、例えば、キャパシタなどとしてもよい。また、上述した実施形態では、蓄電デバイスは、捲回型のものとしたが、コイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などとしてもよい。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。
上述した実施形態では、正極シート13、負極シート18、セパレータ19の全てに規制部が設けられているものとしたが、これらのうち少なくとも1つに規制部が設けられていればよい。また、正極シート13や負極シート18、セパレータ19の内部及び表面に規制部が設けられているものとしたが、内部だけに規制部が設けられていてもよいし、表面のみに規制部が設けられていてもよい。こうしても、負荷特性や低温特性を向上することができる。
上述した実施形態では、通過領域は、規制部33,38,39によってハニカム状に区画されたものとしたが、これに限定されない。例えば、図5に示すような縦縞状や、図6に示すような横縞状に区画されたものとしてもよい。このとき、各縞のピッチLは、0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましい。通過領域の幅をある程度確保できるからである。このピッチLは、100mm以下であることが好ましく、50mm以下であることがより好ましく、20mm以下であることがさらに好ましい。電解液の面内幅方向の移動を規制することができるからである。各縞の幅bは、ピッチLと形成領域の幅Dの差から求めることができるが、例えば、各縞の幅bは、2mm以上20mm以下であることが好ましい。なお、通過領域における形成領域の幅Dや通過領域率については、ハニカム状の場合と同様にすることができる。
上述した実施形態では、リチウムイオン電池10の製造方法は、形成工程と膨潤工程とを含むものとしたが、こうしたものに限定されない。例えば、膨潤工程を省略してもよい。こうしても、ポリマーが規制部としての機能を果たすことができる。また、膨潤性の高いポリマーを用いた場合には、膨潤工程(特に熱処理)を省略しても、リチウムイオン電池10の電解液によってポリマーが膨潤される。また、ポリマー形成工程において、正極シート13、負極シート18及びセパレータ19の全てにポリマーを形成するものとしたが、このうち1つ以上にポリマーを形成すればよい。
[実施例1]
(供試電池)
正極活物質として、LiNi0.8Co0.15Al0.052の層状構造リチウムニッケル複合酸化物を用いた。この正極活物質を85質量%、導電材としてカーボンブラックを10質量%、結着材としてポリフッ化ビニリデンを5質量%混合し、分散材としてN−メチル−2−ピロリドンを適量添加、分散してスラリー状正極合材とした。スラリー状正極合材を20μm厚のアルミニウム箔集電体の両面に塗布し、乾燥させた。その後、ロールプレスで正極合材部の密度を2.5g/cm3に高密度化し、54mm幅×450mm長の形状に切り出したものを正極シートとした。なお、正極活物質の片面当たりの付着量は、7mg/cm2程度であった。また、この電極について、膜厚・合材部重量・組成比・各真密度によって空孔率を測定したところ、空孔率は約40%であった。この正極シート電極の両面に、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(P(VdF−HFP))をジメチルカーボネート(DMC)で加熱溶解させた溶液を図1の形成領域に塗布した。未塗布部面積/電極面積の面積比率(通過領域率)は92.3%であった。塗布時は電極シートをホットプレート上に配置し、塗布後には減圧下に配置させて、P(VdF−HFP)を電極膜厚方向深部にまで浸透させた。乾燥後にはP(VdF−HFP)は正極シート表面から1μm程度凸状に盛り上がった形状であった。また、電極断面観察の結果、電極の奥部までP(VdF−HFP)は正方形模様に分布していた。
負極活物質として球状天然黒鉛を用いた。上記負極活物質を95質量%、結着材としてポリフッ化ビニリデンを5質量%混合し、分散材としてN−メチル−2−ピロリドンを適量添加、分散してスラリー状負極合材とした。スラリー状負極合材を10μm厚の銅箔集電体の両面に塗布し、乾燥させた。その後、ロールプレスで負極合材密度を1.5g/cm3に高密度化し、56mm幅×500mm長の形状に切り出したものを負極シートとした。なお、負極活物質の付着量は、片面当たり5mg/cm2程度である。この電極の空孔率は約40%である。この負極シートの両面には、正極と同じようにP(VdF−HFP)溶液を図2のように塗布、乾燥させた。
上記の正極シートと負極シートを58mm幅で25μm厚の空孔率40%の多孔質ポリエチレン製セパレータを挟んで捲回しロール状電極体を作製した。このセパレータとしては、正負極と同じようにP(VdF−HFP)溶液を図3のように塗布、乾燥させたものを用いた。なお、セパレータの場合は片側からのみの塗布とした。
このロール状電極体を18650型円筒ケースに挿入し、非水電解液を含浸させた後に密閉して円筒型リチウムイオン二次電池を作製した。非水電解液には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートを30:70体積%で混合した混合溶媒に、LiPF6を1Mの濃度で溶解したものを用いた。含浸後にはCuの溶出を防止するため速やかに充電し、セル電圧が3Vを示した時点で、一旦充電を停止して電池全体を80℃に昇温して、電極、セパレータ中のP(VdF−HFP)を電解液で膨潤させたのち室温に戻して、電極、セパレータ中のP(VdF−HFP)をゲル電解質にした。
(充放電サイクル試験)
充放電サイクル試験は、0℃の温度条件下で、電流密度10mA/cm2(10C相当のハイレート)の定電流で充電上限電圧4.1Vまで充電を行い、次いで電流密度10mA/cm2の定電流で放電下限電圧3.0Vまで放電を行う充放電を1サイクルとし、このサイクルを合計200サイクル行うものとした。そして、1サイクル目の放電容量を初期容量として、{200サイクル後の放電容量/初期放電容量}×100%という式を用いて、200サイクル後の容量維持率を計算した。
[実施例2〜10]
通過領域率が表1に示す値となるように規制部を形成した以外は、実施例1と同様にして実施例2〜10の電池を作製し、充放電サイクル試験を行った。
[実施例11〜14]
正極シートのみに規制部を形成した以外は、実施例1と同様にして実施例11の電池を作製し、充放電試験を行った。負極シートのみに規制部を形成した以外は、実施例1と同様にして実施例12の電池を作製し、充放電試験を行った。セパレータのみに規制部を形成した以外は、実施例1と同様にして実施例13の電池を作製し、充放電試験を行った。セパレータ表面のみに規制部を形成した以外は、実施例1と同様にして実施例14の電池を作製し、充放電試験を行った。
[実施例15,16]
正極シート、負極シート、セパレータに設けた規制部の形状を図5に示すようにした以外は、実施例1と同様にして実施例15の電池を作製し、充放電試験を行った。正極シート、負極シート、セパレータに設けた規制部の形状を図6に示すようにした以外は、実施例1と同様にして実施例16の電池を作製し、充放電試験を行った。
[比較例1]
正極シート、負極シート、セパレータのいずれにも規制部を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして比較例1の電池を作製し、充放電試験を行った。
[比較例2]
正極シート、負極シート、セパレータの全面に規制部を形成した以外は、実施例1と同様にして比較例2の電池を作製し、充放電試験を行った。
[実験結果]
各電池を0℃の温度条件下で200サイクル充放電したときの、正極活物質当たりの初期容量及び容量維持率を表1に示した。また、表1には、初期容量×容量維持率/100で表される値を示した。また、図7に通過領域率と、初期容量×容量維持率/100の値との関係を示した。表1及び図7より、以下のことが分かった。通常の液系電池である比較例1では、初期容量が高いが、低温のハイレートサイクル充放電による容量劣化が大きかった。また、セパレータ全体にゲルを含浸させた比較例2では、低温のハイレート充電そのものができなかった。一方、電極やセパレータの一部にゲルを含浸させた実施例1〜16では、初期容量と容量維持率を高いレベルで両立できた。ゲル含浸の模様は、縞状よりもハニカム状が好適であった。これは、電解液の液流れがハニカム状に区画された区画内で留まることに起因すると推察された。したがって、各区画の形状は、四角形でなくてもよく、例えば、三角形や五角形、六角形などの多角形でもよいし、円形や楕円形でもよいと推察された。また、通過領域率が40%以上99.5%以下であれば、初期容量×容量維持率/100の値が60mAh/g以上と好適であり、通過領域率が45%以上99.2%以下であれば、初期容量×容量維持率/100の値が70mAh/g以上とより好適であり、通過領域率が80%以上99%以下であれば初期容量×容量維持率/100の値が90mAh/g以上とさらに好適であることがわかった。また、通過領域率が同じである場合、各区画面積aは、小さいほうが、初期容量と容量維持率をより高いレベルで両立できた。また、ゲルの塗布は、正極、負極、セパレータの全てに施すことが好ましいが、正極のみ、負極のみ、セパレータのみ、セパレータ表面のみとした場合でも、初期容量と容量維持率を高いレベルで両立する効果が得られた。このことから、充放電時に電解液が面内方向に流れる部位が、正極内、負極内、セパレータ内及びセパレータと電極界面であることに起因し、これらのどれか一つでも流れを抑制することができれば、初期容量と容量維持率を高いレベルで両立する効果が得られることがわかった。
Figure 0005900415
また、ゲルを塗布した電極/セパレータ界面は、ピールテストによる接着強度評価において、電極/セパレータ界面では剥離せず、電極/集電箔界面で剥離した。このことから、ゲルにより強固に接着していることがわかった。従ってゲルを用いることで、加圧拘束しなくとも、良好な充放電が可能であることがわかった。また、今回は、ゲルポリマーで効果を検証したが、本質的には、電解液と活物質との反応をなるべく阻害せず、電解液の流れを抑制することができれば、同様の効果が得られるため、P(VdF−HFP)以外のゲルポリマーでも良く、ゲルポリマー以外のポリマー単体でもよいと推察された。
また、正極及び負極は、活物質、導電材を集電体に結着させるためにポリマーをバインダとして使用している。そのために、電極中には2〜5質量%程度のポリマーが分散している。今回はこの電極中にゲルポリマーを局部的に配置させて電解液の流動を抑制した。ゲルポリマーは電解液を90〜98%程度含んだ膨潤状態のポリマーである。したがって、電極中のポリマー濃度分布という観点から電極中のゲル塗布部と未塗布部を分別すると、ゲル未塗布部のポリマー濃度(CA)に対するゲル塗布部のポリマー濃度(CB)の比である濃度比(CB/CA)は1.4以上ということになる。なお、このことは、EPMAでフッ素濃度を測定し、その時のフッ素濃度の比を求めることによって確認した。
また、今回は、リチウムイオン電池について検証したが、電解液を用いた電池であれば、稼働イオン種を問わず、同様の効果が得られると推察された。従って、Ni−MH電池や、現在検討されているナトリウム電池やマグネシウム電池においても、同様の効果が得られると推察された。
また、電極やセパレータにゲルポリマー、あるいはポリマーを塗布する方法については、電極に塗布してセパレータに転写してもよいし、セパレータに塗布して電極に転写してもよく、その方法に依存しないと推察された。
本発明は、電池産業の分野などに利用可能である。
10 リチウムイオン電池、11 活物質層、11a 活物質層表面、12 集電体、12a 集電体表面、13 正極シート、14活物質層、14a 活物質層表面、17 集電体、17a 集電体表面、18 負極シート、19 セパレータ、20 電解液、22 円筒ケース、24 正極端子、26 負極端子、33,38,39 規制部。

Claims (16)

  1. 正極と、負極と、セパレータと、イオンを伝導する電解液と、を備え、
    前記正極、前記負極及び前記セパレータより選ばれる1つ以上の部材は、ポリマーを含む材料が前記部材に含浸して前記電解液の面内方向の移動を規制する規制部が形成された形成領域及び前記規制部によって区画された複数の通過領域を備えており、
    前記各部材において、前記通過領域は各々がその部材の機能を有する、
    蓄電デバイス。
  2. 前記規制部は、ゲルポリマーで形成されている、
    請求項1に記載の蓄電デバイス。
  3. 前記各部材において、前記通過領域の総面積をA(mm2)とし、前記形成領域の総面積をB(mm2)とすると、{A/(A+B)}×100で表される通過領域率が40%以上99.5%以下である、
    請求項1又は2に記載の蓄電デバイス。
  4. 前記通過領域は、前記規制部によってハニカム状に区画され、各区画の面積が0.1mm2以上3000mm2以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
  5. 前記通過領域は、前記規制部によって縞状に区画され、各縞の幅が2mm以上20mm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
  6. 前記規制部は、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとが共重合したポリマーを含む、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
  7. 前記正極、前記負極及び前記セパレータはいずれも前記規制部を備えており、前記規制部は、前記正極、前記負極及び前記セパレータを重ねて用いるときに重なり合うように同一形状に形成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
  8. 前記ポリマーは、熱可塑性を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
  9. 正極と、負極と、セパレータと、イオンを伝導する電解液と、を備えた蓄電デバイスの製法であって、
    前記正極、前記負極及び前記セパレータより選ばれる1つ以上の部材に、前記電解液の面内方向の移動を規制する規制部をポリマーを含む材料を含浸させて形成して、前記規制部が形成された形成領域及び前記規制部によって区画された複数の通過領域を形成する形成工程、
    を含む製法。
  10. 前記正極と前記負極とを前記セパレータを介して積層し、前記電解液を含浸させた後に全体を熱処理して前記ポリマーを前記電解液で膨潤させる膨潤工程、
    を含む、請求項9に記載の製法。
  11. 前記形成工程では、前記各部材において、前記通過領域の総面積をA(mm2)とし、前記形成領域の総面積をB(mm2)とすると、{A/(A+B)}×100で表される通過領域率が40%以上99.5%以下となるように、前記規制部を形成する、
    請求項9又は10に記載の製法。
  12. 前記形成工程では、前記通過領域が、前記規制部によってハニカム状に区画され、各区画の面積が0.1mm2以上3000mm2以下となるように、前記規制部を形成する、請求項9〜11のいずれか1項に記載の製法。
  13. 前記形成工程では、前記通過領域が、前記規制部によって縞状に区画され、各縞の幅が2mm以上20mm以下となるように、前記規制部を形成する、請求項9〜12のいずれか1項に記載の製法。
  14. 前記ポリマーは、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとが共重合したポリマーである、請求項9〜13のいずれか1項に記載の製法。
  15. 前記形成工程では、前記正極、前記負極及び前記セパレータの全てに、前記正極、前記負極及び前記セパレータを重ねて用いるときに重なり合うように同一形状に前記規制部を形成する、請求項9〜14のいずれか1項に記載の製法。
  16. 前記ポリマーは、熱可塑性を有する、請求項9〜15のいずれか1項に記載の製法。
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