JP5898645B2 - 透明弾性体の褐変及び離水を防止する安定化方法 - Google Patents
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Description
離水の発生を抑制する方法については、ゲル製剤において種々検討がなされており、例えば、消臭薬剤と共に離水防止剤としてデンプンを用いたゲル型消臭剤(例えば、特許文献3参照。)や、ネイティブジェランガムを含有させた、カラギーナンやジェランガム等のゲル化剤を用いたゲル組成物の離水抑制方法(例えば、特許文献4参照。)等が知られている。
そこで本発明は、薬剤を含有した、膨潤した吸液性ポリマーからなる透明弾性体において、経時的に発生する褐変及び離水を共に防止した、安定した透明弾性体を提供すると共に、その透明弾性体の安定化方法を提供するものである。
(1)原料から吸液させることによって膨潤した吸液性ポリマーからなる透明弾性体であって、前記透明弾性体が、薬剤とエデト酸及びエデト酸塩の少なくともいずれか一方とを含有することを特徴とする透明弾性体。
(2)薬剤を含有した、膨潤した吸液性ポリマーからなる透明弾性体の安定化方法であって、前記透明弾性体にエデト酸及びエデト酸塩の少なくともいずれか一方を含有させることを特徴とする、透明弾性体の安定化方法。
また本発明は、薬剤を含有した、膨潤した吸液性ポリマーからなる透明弾性体の安定化方法であって、前記透明弾性体にエデト酸及びエデト酸塩の少なくともいずれか一方を含有させることを特徴とする、該透明弾性体の安定化方法を提供するものである。
前記透明弾性体は、エデト酸及びエデト酸塩の少なくともいずれか一方を含有することにより、褐変及び離水を共に有効に防止することができるようになる。
本発明の透明弾性体は、原料から吸液させることによって膨潤した吸液性ポリマーの1つ1つからなることから、分子量が小さく水に溶けるポリマーを用いて、液体を増粘、固化させて形成された塊状からなるものと比べ、単位容積あたりの表面積が大きくなり、その内部構造にも違いがあると推測される。そのため、経時的に、離水の発生や、紫外線による影響を受けた褐変の発生が起こりやすくなるものと考えられ、これらは膨潤した吸液性ポリマーの1つ1つからなる、本発明に特有な課題であると言うことができる。
これよりも分子量が低くなると、分子量の低下につれて水に溶けやすくなっていき、水に溶けて増粘性を付与するように作用して、弾性体としての形態を保つことができなくなる。
前記のアクリル酸系ポリマーとしては、例えば、澱粉−アクリル酸ソーダグラフト重合体の架橋物、ポリアクリル酸ソーダの架橋物、ポリビニルアルコールアクリル酸ソーダグラフト重合体の架橋物、長鎖アルキルアクリレート架橋重合体、等が挙げられ、好ましくは、アクリルアミド−アクリル酸架橋重合体、ポリアクリル酸架橋重合体(例えばポリアクリル酸ナトリウム共重合体;2−Propenoic acid,polymer with sodium 2−propenoate(1:1))を挙げることができる。
エデト酸塩としては、エデト酸二ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物)やエデト酸四ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム・四水和物)、エデト酸三ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム・三水和物)、エデト酸二カリウム(エチレンジアミン四酢酸二カリウム・二水和物)、エデト酸三カリウム(エチレンジアミン四酢酸三カリウム・二水和物)、エデト酸マグネシウム二ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸マグネシウム(II)二ナトリウム・四水和物)、エデト酸カルシウム二ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸カルシウム(II)二ナトリウム・二水和物)、エデト酸鉄ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸鉄(III)ナトリウム・三水和物)、エデト酸亜鉛二ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸亜鉛(II)二ナトリウム・四水和物)、エデト酸コバルト二ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸コバルト(II)二ナトリウム・四水和物)、エデト酸銅二ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸銅(II)二ナトリウム・四水和物)、エデト酸マンガン二ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸マンガン(II)二ナトリウム・三水和物)、エデト酸二リチウム(エチレンジアミン四酢酸二リチウム・水和物)、エデト酸二アンモニウム(エチレンジアミン四酢酸二アンモニウム)等が挙げられる。なお、本明細書において、「エデト酸及びエデト酸塩の少なくともいずれか一方」のことを、単に「エデト酸等」と表記することがある。
前記溶液を調製するに際しては、例えば、アルコール類、多価アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類などの有機溶媒、水、これらの混合溶媒等を用いることができる。
溶液全体に対するエデト酸等の含有量は特に制限されないが、0.01〜1質量%が好ましい。
溶液は、吸液性ポリマーの吸液能に対して最大まで吸液させることが好ましいが、その吸液能はポリマーによって異なることから、必ずしも最大まで吸液させる必要はなく、膨潤さえしていればよい。
また、薬液のみを原料である吸液性ポリマーに吸収、膨潤させて、膨潤した吸液性ポリマーからなる透明弾性体の表面に、エデト酸等を含む溶液を塗布したり、スプレー(噴霧)により付着させたりして含有させてもよい。
例えば、通常の室内において用いる場合、透明弾性体に対するエデト酸等の含有量は0.2質量%以上とするのがよい。また多量に含有させると吸液性ポリマーの吸液力の低下を引き起こすことがあるので、25質量%以下とするのが好ましく、2〜20質量%とするのがより好ましい。
(a)所期の薬剤を溶媒に溶解させて薬液を調製する工程
(b)吸液性ポリマーの原料に前記薬液を吸液させる工程
(c)吸液性ポリマーを膨潤させる工程
(d)エデト酸等を含む液剤を調製する工程
(e)吸液性ポリマーの粒状体に前記液剤を吸液させる工程
表1に示す薬剤及びエデト酸四ナトリウムをイオン交換水に溶解させ、消臭液を得た。
吸液性ポリマーとしてポリアクリル酸架橋重合体(2−Propenoic acid,polymer with sodium 2−propenoate(1:1);広州妙華国際有限会社製、平均粒径3〜4.5mm)4重量部に対して、前記消臭液を94.3重量部として吸液させて、前記吸液性ポリマーを膨潤させた。
次いでソープ系香料(調合香料)と紫外線吸収剤を質量比で99.5:0.5となるように混合した香料を前記膨潤した吸液性ポリマーの表面に1.7重量部を保持させ、本発明の透明弾性体を得た。得られた透明弾性体は、粒径約12mmの球状体を呈していた。
なお紫外線吸収剤は、商品名「Tinosorb S」(BASF社製)を用いた。
エデト酸四ナトリウムの配合濃度を表2に記載の濃度に変えた以外は、実施例1と同様にして透明弾性体を作製した。
エデト酸四ナトリウムを含有しない以外は実施例1と同様にして透明弾性体を作製した。
(比較例2〜4)
エデト酸四ナトリウムに代えて、表2に記載の薬剤を含有(又は添加なし)させた以外は実施例1と同様にして透明弾性体を作製した。
比較例2は安定化剤であるトリイソプロパノールアミンを用いた。
比較例3に含まれる没食子酸プロピルは、還元剤であって、褐変を防止するのに有用であることが知られている(特許文献5参照)。
比較例4に含まれるデンプンは、離水防止剤として知られている(特許文献3参照)。
上記で得られた実施例1〜4及び比較例1〜4の弾性体について、キセノンウェザーメーター(スガ試験機株式会社製)を用いて、63℃/50%RH/60W/m2の条件で、20時間(10時間×2回)の紫外線照射を行い、その後の離水した液をピペットにて回収し、その容量を離水量(mL)として測定した。試験は3回ずつ行い、その平均の離水量(mL)を求めた。
離水試験と同様の紫外線照射を行い、照射後の弾性体の褐変レベルを、PANTONE(登録商標)プラスチック・補充用セレクターチップ(透明)(色番号T015−3−1〜T015−3−5)を指標として照らし合わせ目視で判定した。
褐変レベルは、色番号T015−3−1の1mm厚さ部分の色をレベル5とし、順に色番号T015−3−2の1mm厚さ部分の色をレベル4、色番号T015−3−3の1mm厚さ部分の色をレベル3、色番号T015−3−4の1mm厚さ部分の色をレベル2、色番号T015−3−5の1mm厚さ部分の色をレベル1とした。
なお、褐変レベルの数字が小さいほど、褐変していないということを表す。
また没食子酸プロピルを用いた弾性体(比較例3)では、離水の軽減が見られたが、褐変レベルは高く、弾性体では褐変の防止効果が得られない結果となった。
一方、エデト酸ナトリウムを用いた本発明の弾性体(実施例1〜4)では、エデト酸ナトリウムの配合濃度に関わらず離水が軽減され、かつ褐変の防止効果も十分であった。特に0.1〜0.5質量%の濃度においていずれの効果も優れていた。
Claims (1)
- 薬液を吸液させることによって膨潤した吸液性ポリマーからなる透明弾性体の安定化方法であって、前記透明弾性体に薬剤とエデト酸及びエデト酸塩の少なくともいずれか一方とを含有させることを特徴とし、かつ前記透明弾性体は、原料の吸液性ポリマーの形状が略反映された直径2〜20mmの球状または前記球状と同等の表面積を有する立体形状である、透明弾性体の褐変及び離水を防止する安定化方法。
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