JP2018121945A - 固形揮散製剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用終点を外観上明確に認識可能な固形揮散製剤の提供すること。
【解決手段】薬剤、水及び下記一般式(1)
【化1】

(式中、R、Rは各々独立してH又はClを示すか、一体となってベンゼン環
を形成し、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す)
で示されるチアゾリン系化合物を含有し、pHが7〜12である組成物と、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体を含む架橋型吸水性樹脂とを含有する固形揮散製剤。
【選択図】図1

Description

本発明は、固形揮散製剤に関し、更に詳細には、色の変化により終点を明確に認識できる固形揮散製剤に関する。
従来より、ゲル状の固形揮散製剤は、容器から液がこぼれる心配がないことや意匠性に優れるという点から据え置き型の芳香剤などに幅広く取り入れられている。特に、粒子状の吸水性樹脂に、香料などの芳香成分を溶解ないし分散させた溶液を吸収させてゲル状とした芳香剤は、全体としての表面積が大きくなるため、芳香成分の揮発が促進され、広い空間においても十分に強い香りを充満させることができるとともに、透明なゲル状粒子がビーズのような外観を呈し意匠性が高いことから広く受け入れられている(例えば特許文献1参照)。
このゲル状の固形揮散製剤において、香料などの薬剤を含む水性組成物を吸収させる吸水性樹脂として、親水性ポリマーを架橋して調製された架橋型吸水性樹脂が一般に用いられる。この架橋型吸水性樹脂として、アクリルアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体、ノニオン型ポリオキシアルキレンオキシド、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸(塩)などから形成される架橋型吸水性樹脂が知られており、一般に安価で汎用性に優れるため幅広く使用されている。
これらの架橋型吸水性樹脂に、薬剤含有水性組成物を吸収させると膨潤して透明のゲル状物となり、使用開始後、水や薬剤の揮散に伴って徐々に収縮していき、揮散が終了すると収縮も停止する。しかし、例えば液体タイプの揮散製剤であれば、薬液が揮散して無くなることでその終点を容易に認識できるのに対し、ゲル状の固形揮散製剤では、外観上体積が収縮するのみであるため、製剤としての使用終点が消費者にとって分かりにくいといった問題点があった。
これに対し、薬剤含有水性組成物に特定の油性添加剤及び界面活性剤を添加し、これを膨潤度の高い吸水性樹脂に吸収させて、揮散に伴う体積の変化を大きくすることによって、使用終点の明瞭性向上を図った技術が提案されている(特許文献2)。しかし、使用開始前と揮散後の体積減少の程度が大きくなったとしても、経時的には徐々に減少していくため変化を視認し難く、また終点に達してもゲル状物が消失せずに残渣が残っているため、なお使用終点を外観上明確に認識できるとはいえなかった。
特開2000−212354号公報 特開2002−331023号公報
本発明は、使用終点を外観上明確に認識可能な固形揮散製剤の提供を課題とする。
本発明者らは、上記問題に鑑み、鋭意研究を行なっていたところ、薬剤含有水性組成物中に特定のチアゾリン化合物を添加し、これをイソブチレン−無水マレイン酸共重合体を含む吸水性樹脂に吸液させてゲル状物とすることによって、揮散の終了に伴いゲル状物の色調が鋭敏に変化し、その使用終点を明確に視認できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、薬剤、水及び下記一般式(1)
(式中、R、Rは各々独立してH又はClを示すか、一体となってベンゼン環を
形成し、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す)
で示されるチアゾリン系化合物を含有し、pHが7〜12である組成物と、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体を含む架橋型吸水性樹脂とを含有する固形揮散製剤である。
本発明の固形揮散製剤は、薬剤含有水性組成物の揮発の終了に伴って、ゲル状物の色調が明瞭かつ鋭敏に変化するため、使用終点を外観上明確に認識することが可能である。
本発明品1の固形揮散製剤の揮散開始から2週間後の外観を示す写真である。 本発明品4の固形揮散製剤の揮散開始から2週間後の外観を示す写真である。 比較品3の固形揮散製剤の揮散開始から2週間後の外観を示す写真である。 比較品5の固形揮散製剤の揮散開始から2週間後の外観を示す写真である。 比較品6の固形揮散製剤の揮散開始から2週間後の外観を示す写真である。
本発明の固形揮散製剤(以下、「揮散製剤」ということがある)は、薬剤、水及び上記一般式(1)で示されるチアゾリン系化合物を含有する薬剤含有水性組成物(以下、「水性組成物」ということがある)と、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体を含む架橋型吸水性樹脂(以下、「吸水性樹脂」ということがある)とを含有するものである。薬物含有水性組成物を架橋型吸水性樹脂に吸液させることでゲル状物を形成する。
本発明の揮散製剤において使用される薬剤は、ゲル状物から放出され、環境内でその効果を発揮するものであれば特に制限なく使用できる。例えば、防虫・殺虫成分、害虫忌避成分、誘引成分、香料等を挙げることができる。
上記防虫・殺虫成分としては、エンペントリン、トランスフルスリン、アレスリン、フェノトリン、エミネンス、プロフルトリン等のピレスロイド系防虫剤、パラジクロロベンゼン、ナフタリン、樟脳、2−フェノキシエタノール、ヒノキチオール、アリルイソチオシアネート等の揮散性防虫・殺虫剤が例示でき、これらの1種又は2種以上を混合して用いることができる。
また、害虫忌避成分としては、ケロシン、クレオソート、クミンアルデヒド、1,8−シネオール等の揮散性忌避剤が例示でき、更に誘引成分としては、バジル、ローズマリー、パセリシードオイル若しくはラベンダーの抽出物若しくは精油又は1−オクテン−3−オール等の揮散性誘引剤が例示でき、これらはいずれもその1種又は2種以上を混合して用いることができる。
また香料としては、例えば、麝香、霊猫香、竜延香等の動物性香料、アビエス油、アクジョン油、アルモンド油、アンゲリカルート油、ページル油、ベルガモット油、パーチ油、ボアバローズ油、カヤブチ油、ガナンガ油、カプシカム油、キャラウェー油、カルダモン油、カシア油、セロリー油、シナモン油、シトロネラ油、コニャック油、コリアンダー油、クミン油、樟脳油、バジル油、エストゴラン油、ユーカリ油、フェンネル油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、ホップ油、レモン油、レモングラス油、ナツメグ油、マンダリン油、ハッカ油、オレンジ油、セージ油、スターアニス油、テレピン油、ローズマリー油、ユーカリ油、アニス油、ラベンダー油、クミン油、シナモン油、ヒバ油等の植物性香料を挙げることができる。この香料として、合成香料又は抽出香料等の人工香料を用いることもでき、例えば、ピネン、リモネン等の炭化水素系香料、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、βフェネチルアルコール等のアルコール系香料、アネトール、オイゲノール等のフェノール系香料、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド等のアルデヒド系香料、カルボン、メントン、樟脳、アセトフェノン、イオノン等のケトン系香料、γ−ブチルラクトン、クマリン、シネオール等のラクトン系香料、オクチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、安息香酸メチル等のエステル系香料等が挙げられる。さらに、上記香料の2種以上を混合した調合香料も使用することができる。
上記の薬剤の配合量は、薬剤の種類や目的とする効果によって適宜設定できるが、一般には、水性組成物中0.005〜10質量%(以下、単に「%」で示す)であり、好ましくは、0.01〜5%である。
本発明に用いる水性組成物には水が配合される。この水は、後述する吸水性樹脂を膨潤させ、その形状を維持する役割を有するものである。この水としては、脱イオン水や、水道水を利用することができる。水性組成物中の水の含有量は80〜99%が好ましく、90〜99%がより好ましい。
本発明に用いられるイソチアゾリン系化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である。
上記一般式(1)中、R、Rは各々独立して水素原子(H)又は塩素原子(Cl)を示し、あるいは、R及びRが一体となってベンゼン環を形成する。Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す。このうち、色調変化の明瞭性及び鋭敏性の観点から、R及びRがいずれも水素原子であることが好ましく、Rは炭素数1〜8のアルキル基が好ましい。
上記一般式(1)で表されるイソチアゾリン化合物としては、例えば、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MIT)、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(OIT)、1,2−ベンズイソチアゾリン―3−オン(BIT)、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(CMI)、4,5−ジクロロ−2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(DCOIT)などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、色調の変化が鋭敏で明瞭であるため、MIT,OITが好ましい。
本発明に用いる水性組成物はpHが7〜12の範囲であり、色調変化の明瞭性の点から、8〜12が好ましく、9〜12がより好ましい。pHをこのような範囲とするために塩基化合物を配合して調整することが好ましく、例えば、塩基性無機塩が好適に用いられる。塩基性無機塩としては、強塩基と弱酸の塩が好ましく、例えば、20℃において当該塩基性無機塩を5質量%濃度で溶解させた水溶液のpHが8.1以上であることが好ましく、より好ましくは10以上、更に好ましくは11以上である。このような塩基性無機塩としては、例えば、アルカリ金属の炭酸塩又は炭酸水素塩などが挙げられ、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、クエン酸三ナトリウム二水和物、(+)‐酒石酸ナトリウム二水和物等を挙げることができる。
上記塩基性無機塩の配合量は、特に限定されないが、一般には、水性組成物中0.1〜7%であり、好ましくは0.1〜5%である。
本発明に用いる水性組成物には、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲において、揮散性溶剤、界面活性剤、消臭剤、防カビ剤、防菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、色素、効力増強剤、脱臭剤等の任意成分を配合することができる。
揮発性溶剤としては、揮発性アルコールまたは揮発性グリコールエーテルが挙げられる。このうち、揮発性アルコールとしてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等の低級アルコールが挙げられる、また、揮発性グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルブチレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等を挙げることができる。これらの揮発性溶剤は単独で使用しても2種以上を混合して使用しても良い。これらの中でも、エタノール等が好適に用いられる。揮散性溶剤の水性組成物中の含有量は0.1〜5%が好ましく、0.5〜3%がより好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤又は両性界面活性剤が挙げられ、これらのいずれをも用いることができ、その1種又は2種以上を混合して用いることもできる。
上記界面活性剤のうち、アニオン系界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸石けん、石けん用素地、金属石けん、N−アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム(N−ココイル−N−メチルタウリンナトリウム)、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルβ−アラニンナトリウム液、ラウロイルメチルタウリンナトリウム等の1種又は2種以上を混合して用いることができる。
また、カチオン系界面活性剤としては、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等の1種又は2種以上を混合して用いることができる。
更にノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、第3級アミンオキサイド等が挙げられる。このポリオキシエチレンアルキルエーテルはポリオキシエチレン鎖が3から18好ましくは7から12であり、アルキル鎖は直鎖または分岐のどちらでも良く、アルキル鎖長は8〜22好ましくは12〜14である。また、前記脂肪酸アルカノールアミドは、椰子油脂肪酸、ステアリン酸、ラウリン酸のモノエタノールアミド、ジエタノールアミド等が挙げられ、第3級アミンオキサイドとしては、ラウリルジメチルアミンオキサイド、椰子油脂肪酸ジメチルアミンオキサイド、ラウロイルアミノプロピルジメチルアミンオキサイド、オクチルジメチルアミンオキサイド、ミリスチルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
更にまた、両性界面活性剤としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の1又は2種以上を混合して用いることができる。
上記した界面活性剤のうち、水性組成物の吸水性樹脂に対する吸液性の点でノニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。更に、ノニオン系界面活性剤のうちでも特にポリオキシエチレンアルキルエーテル、ラウリルジメチルアミンオキサイドを用いることが好ましい。
界面活性剤の配合量は、適宜設定できるが、一般的には、水性組成物中0.005〜30%であり、好ましくは0.01〜20%、さらに好ましくは0.01〜10%である。これより少ないと油性成分を用いた場合に、安定に分散もしくは可溶化することが困難となって白濁や相分離が生じる場合がある。また、これより多いと揮散残渣が多くなり、揮散速度が低下したり、離水の原因にもなる場合がある。
一方、本発明の揮散製剤に用いる吸水性樹脂は、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体を含む架橋型吸水性樹脂である。イソブチレン−無水マレイン酸共重合体としては、特に限定されないが、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩が好ましく、特にナトリウム塩が好ましい。
上記吸水性樹脂の市販品としては、KIゲル−201K、KIゲル201K−F2、KIゲル201K−G1(以上、クラレトレーディング(株)製)などが挙げられる。
吸水性樹脂の形状について特に制約はないが、粒子状とすることが好ましい。粒子状とするにあたっては、例えば、球状、楕円状、俵状、サイコロ状、直方体状、多面体状等、種々の形状に成形した吸水性樹脂を用い、これに水性組成物を吸液させてもよく、水性組成物を吸収させた後破砕して粒子状としてもよい。透明あるいは半透明の容器に充填する形態の場合は、その美観の観点から球状であることが好ましい。また、使用する吸水性樹脂の大きさも、適宜決めることができるが、球状の吸水性樹脂を利用する場合は、その美観の点から、水性組成物を吸液した後の直径が1〜30mm程度となる粒径のものを使用することが好ましい。なお、水性組成物を吸液した後の直径を1〜30mmとするためには、吸液前の直径が0.1〜10mm程度の吸水性樹脂粒子を利用する必要がある。
上記吸水性樹脂と水性組成物とを含有する揮散製剤を調製するにあたっては、常法に従って、上記各成分を混合、攪拌し、均一として得た液状の水性組成物を、上記吸水性樹脂に吸液させれば良い。この吸液は、吸水性樹脂の水性組成物に対する吸液能を勘案し、全ての水性組成物を吸液するのに十分な量の吸水性樹脂と水性組成物を常温下(25℃程度)で混合し、10分ないし10時間程度放置することにより行えばよい。また、揮散製剤における吸水性樹脂の量は、乾燥重量換算で揮散製剤全質量中0.1ないし10%程度とすることが好ましい。
以上説明した揮散製剤は、例えば、防虫・殺虫成分、害虫忌避成分、誘引成分、香料等の薬剤をゲル状物から徐々に放出してその薬効を発揮し、外観的にも優れた意匠性を備えたものであるため、防虫・殺虫剤や、害虫忌避剤、誘引剤、芳香剤等として利用可能である。そして、ゲル状物の体積減少は経時的に徐々に進行するのに対し、その色調は使用期間中ほとんど透明なまま変化せず、使用終点に近くなると短時間に生じ、変化の程度も透明から黄色へと明瞭に変化するため、消費者が使用終点を容易に認識することができる。
次に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
実 施 例 1:
球状ゲル芳香消臭剤:
下記表1及び2に示す組成で各成分を均一に混合して芳香液A1〜8及びB1〜6を調製した。次いで各芳香液48.9gを、上面開口の筒状透明容器(直径60mm、高さ70mm)に入れた吸水性樹脂1.1g中に注ぎ、6時間静置して球状ゲル芳香消臭剤(本発明品1〜8及び比較品1〜6)を得た。吸液した後のゲルの直径は1〜15mmであった。
※1 非イオン系界面活性剤:(商品名マーポンACF-12:松本油脂製薬社製)
※2 香料:高砂香料工業社
※3 イソブチレン−無水マレイン酸ナトリウム共重合体粒子(商品名KIゲル:クラレトレーディング社製 球状吸水性樹脂:吸液前の平均直径2mm)
※4 ポリアクリル酸Na(商品名アクアパール:三洋化成社製 球状吸水性樹脂:吸液前の平均直径0.5mm)
本発明品及び比較品を40℃の恒温槽にて風を当てて2週間揮散させ水、揮散性溶剤及び香料を完全に揮散させた。充填初期の吸水性樹脂の色と2週間経過時点での吸水性樹脂の色をそれぞれ目視で確認した。
また、2週間経過後の香りの強度について10名のパネラーに下記基準で評価してもらい、平均値を求めた。結果を表3に示す。
(評価基準)
強い香りがする ・・・3
香りがする ・・・2
わずかに香りがする・・・1
香りはない ・・・0
以上の結果より、本発明品は薬剤の終了時点で黄色に変化し、終点が明確であった。一方比較品は、吸水性樹脂の収縮はあったものの、いずれも色の変化がなく終点が判別し難いものであった。
以上説明した揮散製剤は、例えば、防虫・殺虫成分、害虫忌避成分、誘引成分、香料等の薬剤をゲル状物から徐々に放出してその薬効を発揮し、外観的にも優れた意匠性を備えたものであるため、防虫・殺虫剤や、害虫忌避剤、誘引剤、芳香剤等として利用可能である。本発明の固形揮散製剤は、使用期間中ほとんど透明なまま変化せず、使用終点近くになると短時間のうちに透明から黄色へと変化するため、消費者が使用終点を容易に認識することができる。そのため、防虫・殺虫剤、害虫忌避剤、誘引剤、芳香剤等として利用可能なものである。

Claims (8)

  1. 薬剤、水及び下記一般式(1)
    (式中、R、Rは各々独立してH又はClを示すか、一体となってベンゼン環
    を形成し、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す)
    で示されるチアゾリン系化合物を含有し、pHが7〜12である組成物と、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体を含む架橋型吸水性樹脂とを含有する固形揮散製剤。
  2. 組成物のpHが、塩基性化合物を配合することにより7〜12に調整される請求項1記載の固形揮散製剤。
  3. 塩基性化合物が、塩基性無機塩である請求項2記載の固形揮散製剤。
  4. 塩基性無機塩が、アルカリ金属の炭酸塩又は炭酸水素塩である請求項2又は3に記載の固形揮散製剤。
  5. 塩基性無機塩が、塩基性無機塩を5質量%含有する水溶液におけるpHが8.1以上である請求項2〜4のいずれかの項記載の固形揮散製剤。
  6. 塩基性無機塩が、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸カリウムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項2〜5のいずれかの項記載の固形揮散製剤。
  7. チアゾリン系化合物が、2−メチル−イソチアゾリン−3−オン及び1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンよりなる群から選ばれる1種または2種である請求項1〜6のいずれかの項記載の固形揮散製剤。
  8. イソブチレン−無水マレイン酸共重合体がイソブチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ金属塩である請求項1〜7のいずれかの項記載の固形揮散製剤。

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