JP5891807B2 - 回転電機のステータ - Google Patents

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Description

本発明は、回転電機のステータに関し、特にそのコイル導線の接続に係る部分の構造に関する。
電気エネルギを回転の運動エネルギに変換する電動機、回転の運動エネルギを電気エネルギに変換する発電機、さらに電動機と発電機どちらにも機能する電気機器が知られている。以下において、これらの電気機器を回転電機と記す。
回転電機は、同軸に配置されて相対的に回転する二つの部材を有する。通常は、一方が固定され、他方が回転する。固定された部材(ステータ)にコイルを配置し、このコイルに電力を供給することにより回転する磁界を形成する。この磁界との相互作用により他方の部材(ロータ)が回転する。ステータに配置されるコイルは、例えば複数の部分コイルをステータに装着し、その後、この部分コイル同士を接続して形成される。接続される前の個々のコイルと、接続後のコイル全体を区別するために、以下、前者を部分コイル、後者をコイル群と記す。
例えば特開2008−301561号公報(以下、特許文献1と記す)には、回転電機の製造コストを低減するとともに大量生産に対応することも可能にすることを課題とした回転電機用端末モジュールが記載されている。この端末モジュールは、周方向に延びる溝を有するリング状のレールと、溝に嵌め合わされるバスバーと、バスバーと外部配線とを接続するコネクタ端子を有するコネクタ部とを備え、レールが、レールの軸方向まわりの回転の位相決め用の位相決め穴を有している。
特開2008−301561号公報
上記特許文献1に記載の端末モジュールをステータに装着されたコイルに溶接して接続する際、端末モジュールがステータのコイルに接触しているとコイル導線部同士が動いて擦れ合うことにより、コイル導線の絶縁皮膜が損傷することがある。
本発明の目的は、バスバーモジュールをステータのコイルに溶接する際のコイル導線の絶縁皮膜の損傷を防止することである。
本発明の回転電機のステータは、ステータコアに装着された複数の部分コイルと、部分コイルのコイル導線同士を接続してコイル群を形成する複数のバスバーとを備え、複数のバスバーは絶縁部材により一体化されてバスバーモジュール本体を形成し、このバスバーモジュール本体の背中合わせの二つの側面からバスバーの端部が延出し、またバスバーモジュール本体は回転電機の回転軸線方向においてコイル群に隣接して配置され、コイル導線は、その端部に、前記回転軸線方向に延びるコイル導線端延部を有し、バスバーは、バスバーモジュール本体から延出する端部に、前記回転軸線方向に延びるバスバー端延部を有し、接続されるコイル導線端延部とバスバー端延部は隣接配置され、コイル導線端延部とバスバー端延部の各々の端同士が接続され、さらに、バスバーモジュール本体と部分コイルとの間に隙間が形成された状態でバスバーモジュール本体をステータに支持する支持部を備え、前記支持部は前記コイル群のコイルエンド部において前記ステータコアの径方向に隣接するコイル導線間に挿入および把持されて支持される。
本発明に係る回転電機のステータにおいて、前記支持部は、部分コイルを構成するコイル導線の一部であって部分コイルの前記回転軸線方向の端部において径方向内側から延出して径方向外側へと渡る渡り導線部と、バスバーモジュール本体との間に隙間が形成されるようにバスバーモジュール本体を支持してもよい。
また、本発明に係る回転電機のステータにおいて、前記バスバーモジュール本体は、バスバーモジュール本体の側面から延出するバスバー端延部を除いてバスバーの周囲を被覆する絶縁部材と一体に形成されていてもよい。
また、本発明に係る回転電機のステータにおいて、コイル導線端延部とバスバー端延部の端同士の接続部を前記回転軸線方向の外側で覆う絶縁性のモジュールカバーをさらに備え、前記支持部はモジュールカバーの一部として一体に形成されていてもよい。

また、本発明に係る回転電機のステータにおいて、前記コイル群は複数相のコイル群を含み、前記支持部は異なる相のコイル群に含まれる部分コイルをそれぞれ構成するコイル導線間に挿入および把持されて支持されてもよい。
さらに、本発明に係る回転電機のステータにおいて、前記支持部の前記回転軸線方向の端部は、ステータコアの前記回転軸線方向の端面に当接して位置決めされてもよい。
本発明によれば、バスバーモジュール本体が支持部によって部分コイルとの間に隙間が形成された状態、すなわち部分コイルに非接触状態で支持されるため、コイル導線端延部とバスバー端延部の端同士とを溶接するときにバスバーモジュール本体が押しつけられても部分コイルまたはコイル群をなすコイル導線と接触することがなく、その結果、コイル導線同士が擦れ合ってコイル導線の絶縁被膜が損傷するのを防止できる。
また、冷却油等の冷却流体を用いてコイルを冷却する場合、バスバーモジュール本体と部分コイルと間の隙間に通して冷却流体を流すことができるので、コイル群に対する冷却性能の低下を抑制することができる。
回転電機のステータを示す斜視図である。 バスバーモジュールがステータに装着された状態を示す図である。 バスバーモジュールを単体で示す斜視図である。 バスバーモジュールの、図3のA−A線における断面図である。 バスバーを収める区画を説明するための図である。 バスバーの形状およびバスバーモジュール内での配置を示す図である。 バスバーモジュールがコイルに支持された状態の一態様を示す図である。 バスバーモジュールとコイルの渡り導線部との間に隙間が形成されている様子を示す図である。 モジュールカバーを示す斜視図である。 モジュールカバーに一体形成された支持部によってバスバーモジュールが支持された状態を示す図である。
以下に、本発明に係る実施の形態(以下、実施形態という)について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
図1は、回転電機のステータ10の外観を示す斜視図である。ステータ10は、概形が円環または円筒状のステータコア12を有し、ステータコア12の内周には、磁極となるティース14が周方向に配列されている。ティース14にコイル導線16が巻かれるようにしてステータコアにコイル群18が装着されている。この実施形態では、所定の形状に成形された複数のコイル導線16を、ティース14の間の空間であるスロット内に挿入し、コイル導線16同士を溶接して、所定数の部分コイルを形成している。そして、部分コイルのコイル導線16の端を後述するバスバーを介して接続してコイル群18が形成される。
ステータ10は、円環または円筒状のステータコア12にコイル群18が装着された状態でも円環または円筒形状を有している。以下、ステータ等の形状について、円環および円筒を簡単のために円環と記す。円環形状のステータ10の内側に、ロータ(不図示)が配置される。コイル群18に電力を供給することにより、ステータ10の円環の内側の空間に回転磁界が形成され、この磁界との相互作用によりロータが回転する。このロータの回転の軸線が、回転電機の回転軸線であり、この軸線はステータ10の円環の中心軸線と一致する。以降の説明において、この回転電機の回転軸線、すなわちステータ10の円環の中心軸線の延びる方向を回転軸線方向と記す。
図1に示すようにコイル導線の端が、コイル群18から図1中で上方、つまり回転軸線方向に突出している。このコイル群18から延びるコイル導線の端部をコイル導線端延部20と記す。ステータ10においては、U相、V相、W相の相ごとに部分コイルが2組設けられ、それぞれの部分コイルの端であるコイル導線端延部20が計12本となっている。コイル導線端延部20は、相ごとに、また中性点側の端同士が電気的に接続される。また、U相、V相、W相のそれぞれのコイル導線端延部20の1本ずつに、三相交流電力を供給するための動力線22が接続されている。動力線22は、回転電機で発電をした場合、この発電された電力を外部に送出する機能も有する。
図2および図3は、相ごとにコイル導線16同士を接続するための複数のバスバーを一体化したバスバーモジュール26を示す図である。図2はステータ10に装着された状態を示す図、図3はバスバーモジュール26の単体の状態を示す概略図である。
バスバーモジュール26は、回転軸線方向において、ステータ10の側部、特にコイル群18に隣接して配置される。バスバーモジュール26は、ステータ10の円環形状に沿って円弧形状に延びるバスバーモジュール本体28と、この本体28から突出し、コイル導線端延部20と接続される端子30を有する。バスバーモジュール本体28内には、この本体28の円弧に沿って延びる複数のバスバーが配置されており、このバスバーの端部がバスバーモジュール本体28から突出して端子30を形成している。この端子30をバスバー端延部30と記す。バスバー端延部30は、バスバーモジュール本体28の側面、つまりバスバーモジュール本体28の長手方向に対し、交差する方向を向く面より突出する。ステータ10においては、背中合わせの側面、特にバスバーモジュール本体28の円弧形状の外周側の側面と内周側の側面とに突出する。
さらに、動力線22と溶接等により接続される接続板32を保持する保持部34がバスバーモジュール本体28から突出して設けられている(図3参照)。接続板32は、相数と同じく3個が設けられている。バスバーモジュール本体28の径方向の寸法、すなわち幅は、コイル群18の径方向の幅以下であり、保持部34を含むバスバーモジュール26全体の幅もステータコア12の幅の中に収まっている。
ステータ10のコイル群18は、相ごとに二つの部分コイルをバスバーで接続して形成される。二つの部分コイルの各々のコイル導線の一方の端がバスバーと接続され、一方の部分コイルの残りのコイル導線の端が中性点に、他方の部分コイルの残りのコイル導線の端が動力線に接続される。
図3を用いてより具体的に説明する。バスバー端延部30は、U相のコイル導線に接続されるものが符号30U1,30U2、V相のコイル導線に接続されるものが符号30V1,30V2、W相のコイル導線に接続されるものが符号30W1,30W2、各相のコイル導線の中性点側の端に接続される端子が符号30N1,30N2,30N3で示されている。U相の二つの部分コイルの一方は、この部分コイルのコイル導線の一端がバスバー端延部30U1に接続され、他端が中性点側のバスバー端延部30N1に接続される。もう一つの部分コイルのコイル導線の一端がバスバー端延部30U2に接続され、他端が接続板32に接続される。V相、W相についても同様である。
バスバーモジュール本体28の外周側には、接続板32を保持する保持部34が設けられている。接続板32に、コイル導線16のひとつの端が接続される。接続板32は、例えば、略J字形であって、J字の短い方の辺の部分を周方向外側に向けて保持されている。この短辺に動力線22が接続され、長辺には、各相のコイル導線16の残りの端が接続される。
図4は、U,V,W相と、中性点とに対応する4本のバスバー36が並行して配置される位置におけるバスバーモジュール26の断面図、例えば図3のA−A線で示す断面図である。4本のバスバー36は、上下に2層、左右に2列の2×2の配置で配列されている。なお、図4(図5も同様)おいては、上下方向を回転電機の回転軸線方向とし、ステータに近い側を下、遠い側を上として説明する。また、左右方向は、回転軸線に直交する方向、すなわち回転電機の径方向とし、左を回転電機における内側、右を外側として説明する。ただし、これらの方向については、説明の便宜上導入したものであり、実際の装置の配置における方向および向きとは関連しない。また、4本のバスバー36を区別する必要がある場合、U,V,W相,中性点のバスバーにそれぞれ36U,36V,36W,36Nの符号を付して説明する。
図4に示されるように、U相バスバー36Uが下層左列に、V相バスバー36Vが上層右列に、W相バスバー36Wが上層左列に、中性点のバスバー36Nが下層右列に配置される。さらに、2×2の配置の4つの領域のそれぞれを区画38と記して説明する。そして、図5に示すように、4つの区画について、上層左列を区画38−1、上層右列を区画38−2、下層左列を区画38−3、下層左列を区画38−4と記す。
バスバーモジュール26は、バスバー36同士を絶縁し、かつバスバー端延部30を除いてバスバー36の周囲を覆って外部と絶縁するために絶縁部材40を含む。絶縁部材40は、例えば樹脂成形品であり、モールド成形によりバスバー36U,36V,36W,36Nを一体化している。図においては、絶縁部材40は一体に示されているが、成形の都合により二つまたはそれ以上の部分に分割されてもよい。例えば、絶縁部材40の「田」の字形の中央の十字の部分を先ず成形し、この十字型の部品に対しバスバーを配置して、これらをさらに樹脂モールドするようにしてもよい。
また、図4に示すように、バスバーモジュール26は、バスバーモジュール本体28の下側角部、すなわち、ステータコア12に近い側の両側角部に支持部50をそれぞれ有している。支持部50は、バスバーモジュール26がステータ10に取り付けられたとき、バスバーモジュール本体28と部分コイル(すなわちコイル群18)のコイル導線16との間に隙間が形成された状態でバスバーモジュール本体28を支持する機能を有する。
支持部50は、樹脂成形品である絶縁部材40に一体に形成されている。また、支持部50は、バスバーモジュール本体28から拡がるように径方向の内側および外側へ一旦広がってから下方に、すなわち回転軸線方向に沿って垂下するように形成されている。以下において、支持部50の傾斜した部分を傾斜部52、回転軸線方向に垂下した部分を垂下部54と記すことがある。
ただし、支持部50は、バスバーモジュール本体28をコイル導線16と非接触に支持する機能を果たす限りにおいて、どのような形状であってもよい。例えば、支持部50は、バスバーモジュール本体28から回転軸線方向に沿って延出する垂下部54だけで構成されてもよい。また、支持部50が延出する位置は、バスバーモジュール本体28の下側角部に限定されず、バスバーモジュール本体28の側面28a,28bであってもよいし、或いは、バスバーモジュール本体28の底面28cであってもよい。さらに、支持部50の周方向の幅は、後述するようにステータコア12から回転軸線方向に突出するコイルエンド部におけるコイル導線間への挿入しやすさを考慮して適宜に設定され得る。
図6は、バスバー36U,36V,36W,36Nの個々の形状を示す図である。図6(a)は、上層、すなわち区画38−1,38−2が属する層を示し、図6(b)は、下層、すなわち区画38−3,38−4が属する層を示している。個々のバスバー36U,36V,36W,36Nは板状部材を概略円弧形状にしたものであり、板面は、円弧が形成する平面内に位置している。そして、円弧の両端、または両端と中間位置にバスバー端延部30が設けられている。U相のバスバー36Uは、下層の左側の区画38−3に配置される。V相のバスバー36Vは、上層に配置され、端子30V1から、左側の区画38−1を横切り、右側の区画38−2を通って、再び左側の区画38−1を横切り端子30V2に達する。W相のバスバー36Wは、端子30W1から、区画38−1に沿って延び、端子30U2の位置を過ぎた位置で、上層から下層に移り、区画38−3を通って端子30W2まで達している。中性点のバスバー36は、下側、右側の区画38-4を通って延びる。このように、4本のバスバー36は、バスバーモジュール本体28内で2本ずつ上下2層に重ねて、かつ左右に並列に配置されている。
図7は、コイル導線端延部20とバスバー端延部30の接続の様子とともにバスバーモジュール本体28の支持状態を示す図である。簡略のために、バスバーモジュール本体28内のバスバー36は1本のみ示されている。また、図7では左側が径方向外側で右側が径方向内側を示しており(図8,10においても同様)、符号11はステータ10の外周に焼嵌め等によって装着される筒状のケースである。
バスバーモジュール本体28は、概略的に、長方形断面を有する円弧形状であり(図3参照)、図7は円弧の延びる方向に直交する断面を示している。図7に係る説明においても上、下の意味は、図4,5の場合と同様である。図7中下方にコイル群18が位置する。より詳しくは、バスバーモジュール本体28は、コイル群18を構成することとなる複数の部分コイルにおいてステータコア12から回転軸線方向に突出するコイルエンド部19に対向して設けられている。
バスバー36は、バスバーモジュール本体28の側面から左向きに、または右向きに突出し、その後上方に向けて曲がる。この上方に向けて延びる部分がバスバー端延部30である。また、図7における上下方向は、回転電機の回転軸線の延びる方向であり、よってバスバー端延部30は、回転軸線方向に延びている。また、前記のように、図7においてバスバーモジュール本体28の下方には、コイル群18が配置されており、よって、バスバー端延部30はコイル群18から離れる方向に延びている。
バスバーモジュール本体28の左右のバスバー36は、それぞれ同一方向、すなわち回転軸線方向またはコイル群18から離れる方向に延びる。この結果、バスバーモジュール26は、その長手方向から見たときにU字形を呈する。
コイル導線端延部20も、図7において上方、つまり回転軸線方向に延び、接続されるバスバー端延部30に沿って隣接して配置される。コイル導線端延部20は、バスバー端延部30と同様、コイル群18から離れる方向に延びている。また、コイル導線端延部20は、例えばエナメル樹脂などの絶縁性樹脂材料からなる被膜42がない素線部分44が先端に設けられる。素線部分44に対して被覆された部分を被覆部分46と記す。
コイル導線端延部20とバスバー端延部30の先端同士が溶接されて接続される。図中、符号48で示す溶接部は、コイル導線端延部20およびバスバー端延部30と境界をもって接しているように描かれているが、実際には、各部材が溶けて融合し、明確な境界は現れない。また、溶接部48は、コイル導線端延部20とバスバー端延部30の先端同士を含む略球状を呈して形成されてもよい。
バスバーモジュール26はU字形状を有し、このU字の両端において、コイル導線端延部20に接続される。ここで、バスバーモジュール26をコイル導線端延部20に溶接する際、バスバーモジュール本体28がコイルエンド部19のコイル導線16に接触して配置されると、バスバーモジュール本体28が押し付けられることにより径方向に又は回転軸線方向に隣接して位置するコイル導線同士が動いて擦れ合うことがあり、コイル導線の被膜42が損傷することが起こり得る。
そこで本実施形態では、バスバーモジュール本体28に形成した支持部50によってバスバーモジュール本体28を、コイルエンド部19を構成するコイル導線16から浮かせた状態、すなわち非接触状態で支持している。より詳しくは、2つの支持部50のうちの一方は、コイルエンド部19において径方向で最も内側に位置するコイル導線16aとこれに隣接するコイル導線16cとの間に挿入および把持され、その先端がステータコア12の端面に当接している。他方の支持部50は、コイルエンド部19において径方向で最も外側に位置するコイル導線16bとこれに隣接するコイル導線16cとの間に挿入および把持され、その先端がステータコア12の端面に当接している。これにより、コイルエンド部19のコイル導線16a,16b,16cとバスバーモジュール本体28の下面との間に寸法Gの隙間56が形成されている。この寸法Gは、後述するようにコイルエンド部に渡り導線部が存在してもバスバーモジュール本体28が渡り導線部と非接触になる程度に設定されるのが好ましい。
支持部50の先端がステータコア12の端面に当接することによって、回転軸線方向に関するバスバーモジュール本体28の位置を正確に位置決めすることが可能になる。すなわち、隙間56の寸法Gを正確に規定することができる。その結果、コイル導線端延部20とバスバー端延部30の各先端同士を溶接する際に、各先端を揃った高さ位置に配置することができる。
上記のようにバスバーモジュール本体28が支持部50によってコイルエンド部19のコイル導線16a,16b,16cとの間に隙間56を空けた状態で支持されているため、コイル導線端延部20とバスバー端延部30の端同士とを溶接するときにバスバーモジュール本体28が押し付けられてもコイルエンド部19のコイル導線16a,16b,16cと接触することがなく、その結果、コイル導線16a,16b,16c同士が擦れ合ってコイル導線の被膜42が損傷するのを防止できる。
また、冷却油等の冷却流体を用いてコイル群18を冷却する場合、バスバーモジュール本体28とコイルエンド部19のコイル導線16a,16b,16cと間の隙間56に通して冷却流体を流すことができるので、コイル導線16a,16b,16cひいてはコイル群18に対する冷却性能の低下を抑制することができる。
ここで、支持部50が挿入された両側のコイル導線16a,16c(または16b,16c)は、異なる相のコイル群18に属する部分コイルを構成するコイル導線であることが好ましい。この場合、大きな相間電位差が生じる異相部分コイルの導線間距離を大きくして絶縁性能を高められる利点がある。
図8は、バスバーモジュール26と部分コイルの渡り導線部17との間に隙間が形成されている様子を示す図である。本実施形態のステータ10では、コイル群18を構成する複数の部分コイルは、それぞれコイルエンド部19において径方向内側に位置するコイル導線16aから延出して径方向外側へと渡る渡り導線部17を有している。そして、渡り導線部17の先端の素線部分44が、径方向外側に位置するコイル導線16bから延出するコイル導線端延部20の素線部分44に溶接される。なお、上記渡り導線部17は、図2に示されるように径方向に沿って延伸する場合に限定されるものではなく、径方向に対して傾斜した方向に延伸していてもよい。
この場合にも、バスバーモジュール本体28は、バスバーモジュール本体28と渡り導線部17との間に隙間56が形成されるように支持部50によって支持されている。したがって、上記と同様に、コイル導線の被膜の損傷を防止できるとともに、コイル群の冷却性能の低下を抑制することができる。
次に、図9および図10を参照して、支持部をモジュールカバーに設けた例について説明する。図9は、モジュールカバー60を示す斜視図である。図10は、モジュールカバー60に一体形成された支持部50によってバスバーモジュール本体28が支持された状態を示す図である。なお、図10に示す構成は、モジュールカバー60に支持部50が一体形成されていること以外は図7と同様である。
図9および図10に示すように、モジュールカバー60は、バスバーモジュール26に対応した略円弧状をなして形成されている。モジュールカバー60は、バスバーモジュール26の本体28に装着される装着部62と、装着部62の上部に形成されたカバー部64と、装着部62の下部に一体に連設された支持部50とを有する。モジュールカバー60は、例えば絶縁性樹脂材料によって一体にモールド成形されるのが好ましい。
モジュールカバー60の装着部62は、略コ字状の断面を有し、バスバーモジュール本体28に対して上方から嵌め込まれることによってバスバーモジュール26に取り付けることができる。モジュールカバー60のカバー部64は、バスバーモジュール26に取り付けられたとき、コイル導線端延部20とバスバー端延部30の端同士の溶接部48を回転軸線方向の外側で覆う部分である。カバー部64は、図9に示すように、周方向に所定間隔をおいて分かれた形状に形成されてもよいし、或いは、周方向に環状に連続する形状に形成されてもよい。
支持部50は、モジュールカバー60の装着部62の下部から一体に延出して形成されている。支持部50の機能および作用効果は、上述したのと同様である。この場合、バスバーモジュール本体28に支持部を設ける必要はないことは勿論である。
なお、本発明は上記の実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載される事項の範囲内で種々の変更や改良が可能である。
例えば、上記においては支持部50の先端をステータコア12に当接することによりバスバーモジュール26またはモジュールカバー60の軸方向位置が決められると説明したが、これに限定されるものではなく、支持部50の中間位置(例えば傾斜部52と垂下部54の境界部)に突出部を形成し、この突出部がコイル導線16a,16b,16cの表面に係合することによって支持部の挿入深さが規定されるようにしてもよい。
また、モジュールカバーは、嵌め込みによってバスバーモジュールに取り付けられるものに限定されず、接着、ねじ留め等の方法を単独で又は組み合わせて用いて取り付けられてもよい。
10 ステータ、12 ステータコア、16 コイル導線、17 渡り導線部、18 コイル群、19 コイルエンド部、20 コイル導線端延部、26 バスバーモジュール、28 バスバーモジュール本体、30 バスバー端延部、36 バスバー、42 被覆、48 溶接部、50 支持部、60 モジュールカバー。

Claims (6)

  1. 回転電機のステータであって、
    ステータコアに装着された複数の部分コイルと、
    部分コイルのコイル導線同士を接続してコイル群を形成する複数のバスバーとを備え、
    複数のバスバーは絶縁部材により一体化されてバスバーモジュール本体を形成し、このバスバーモジュール本体の背中合わせの二つの側面からバスバーの端部が延出し、またバスバーモジュール本体は回転電機の回転軸線方向においてコイル群に隣接して配置され、
    コイル導線は、その端部に、前記回転軸線方向に延びるコイル導線端延部を有し、
    バスバーは、バスバーモジュール本体から延出する端部に、前記回転軸線方向に延びるバスバー端延部を有し、
    接続されるコイル導線端延部とバスバー端延部は隣接配置され、コイル導線端延部とバスバー端延部の各々の端同士が接続され、
    さらに、バスバーモジュール本体と部分コイルとの間に隙間が形成された状態でバスバーモジュール本体をステータに支持する支持部を備え、前記支持部は前記コイル群のコイルエンド部において前記ステータコアの径方向に隣接するコイル導線間に挿入および把持されて支持される、
    回転電機のステータ。
  2. 請求項1に記載の回転電機のステータにおいて、
    前記支持部は、部分コイルを構成するコイル導線の一部であって部分コイルの前記回転軸線方向の端部において径方向内側から延出して径方向外側へと渡る渡り導線部と、バスバーモジュール本体との間に隙間が形成されるようにバスバーモジュール本体を支持する、回転電機のステータ。
  3. 請求項1または2に記載の回転電機のステータにおいて、
    前記バスバーモジュール本体は、バスバーモジュール本体の側面から延出するバスバー端延部を除いてバスバーの周囲を被覆する絶縁部材と一体に形成されている、回転電機のステータ。
  4. 請求項1または2に記載の回転電機のステータにおいて、
    コイル導線端延部とバスバー端延部の端同士の接続部を前記回転軸線方向の外側で覆う絶縁性のモジュールカバーをさらに備え、前記支持部はモジュールカバーの一部として一体に形成されている、回転電機のステータ。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転電機のステータにおいて、
    前記コイル群は複数相のコイル群を含み、前記支持部は異なる相のコイル群に含まれる部分コイルをそれぞれ構成するコイル導線間に挿入および把持されて支持される、回転電機のステータ。
  6. 請求項5に記載の回転電機のステータにおいて、
    前記支持部の前記回転軸線方向の端部は、ステータコアの前記回転軸線方向の端面に当接して位置決めされる、回転電機のステータ。
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