JP5884166B2 - 燐の分離方法 - Google Patents

燐の分離方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5884166B2
JP5884166B2 JP2012009174A JP2012009174A JP5884166B2 JP 5884166 B2 JP5884166 B2 JP 5884166B2 JP 2012009174 A JP2012009174 A JP 2012009174A JP 2012009174 A JP2012009174 A JP 2012009174A JP 5884166 B2 JP5884166 B2 JP 5884166B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phosphorus
aqueous solution
alkali metal
mass
phosphoric acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012009174A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013147382A (ja
Inventor
高橋 克則
克則 高橋
渡辺 圭児
圭児 渡辺
桑山 道弘
道弘 桑山
八尾 泰子
泰子 八尾
一郎 住田
一郎 住田
知洋 関本
知洋 関本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2012009174A priority Critical patent/JP5884166B2/ja
Publication of JP2013147382A publication Critical patent/JP2013147382A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5884166B2 publication Critical patent/JP5884166B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
  • Furnace Details (AREA)

Description

本発明は、特定の複合酸化物から燐を分離するための方法、及びこの分離方法を利用した無機材料の利材化方法に関する。
日本は燐資源の大半を輸入に依存しているが、近年、燐資源の枯渇が懸念されるようになり、燐の価格高騰や輸入制限などが懸念されている。そのため、国内にある燐を含有する副産物や廃棄物などからの燐回収技術が様々検討されている。燐を含有する副産物や廃棄物のうち、有望な資源として、下水汚泥と製鋼スラグが挙げられる(鉄と鋼、92(2006)p.683など)。このうち下水汚泥は、燐を比較的高濃度に含み、且つSi、Alを高濃度に含む一方で、季節などによる成分変動と、発生源に起因する重金属類の共存の可能性を考慮する必要がある。一方、製鋼スラグは、発生量は十分多いものの、燐の濃度はP換算で2〜5質量%程度とあまり高くなく、鉄とカルシウムを比較的高濃度に含んでいる。
また、燐を含有する他の材料(副産物、廃棄物)として、発生量はそれほど多くはないものの、Graftoniteと呼ばれる、天然由来の(Fe2+,Mn,Ca)(POのように、その成分の多くがカルシウム、鉄及び燐で構成される材料や、燐を含む廃液などから燐を沈降分離する際に鉄及びカルシウムを共沈させることによって得られる材料もある。これらは鉄とカルシウムを含む点では製鋼スラグに類似しているが、カルシウム、鉄及び燐のいずれの成分も製鋼スラグよりも高濃度であり、他の元素の含有量は製鋼スラグよりも少ない。
これらの材料から燐を分離回収する代表的な方法として、湿式処理法がある。この方法は、材料を水中に浸漬して燐をイオンの状態で浸出させた後、その水溶液に燐の溶解度が低い固相が析出するように薬剤を添加し、燐を固体として回収する方法である。この湿式処理法には、例えば、燐をヒドロキシアパタイトとして回収する方法(HAP法)や、リン酸マグネシウムアンモニウムとして回収する方法(MAP法)があり、下水汚泥に対しては、これらの方法が適していることが知られている。これは、pHを調整する程度の簡便な手法で下水汚泥からの燐の浸出と固化を制御することが可能なためである。
一方、鉄とカルシウムを比較的高濃度で含有する材料からの燐の分離回収については、現状では、有効な方法が確立されていない。これは、カルシウムや鉄はリン酸と反応して安定した鉱物を生成しやすく、湿式処理しても燐を液中に抽出できないためである。カルシウムは、そもそもHAP法などにおいて燐を液相から固相に析出させるための材料であり、溶解度は極めて低い。また、鉄が含まれる場合は、海底や川底に存在するFePOなどのような形態で沈降してしまう。鉄とカルシウムを含む材料からの燐の分離処理方法として、例えば、特許文献1では硫化水素含有水を添加する方法が提案されているが、硫化水素は環境、人体の面からリスクが大きく、一般的なプロセスとするには問題がある。
以上の理由から、鉄やカルシウムを比較的高濃度で含有する材料からの燐の分離回収は、工業的に容易ではない。
また、燐を含有し且つ鉄とカルシウムを比較的高濃度に含有する代表的な副産物として製鋼スラグがあるが、この製鋼スラグのリサイクル技術とその課題について以下に述べる。
鉄鉱石の成分に起因して、高炉で溶製される溶銑には燐が含まれている。燐は鋼材にとって有害成分であるので、従来から鉄鋼製品の材料特性向上のために、製鋼工程において脱燐処理が行われている。一般にこの脱燐処理では、溶銑又は溶鋼中の燐が酸素源(酸素ガス、酸化鉄)によって酸化され、この酸化された燐がCaOを主体とするスラグに固定されることにより、脱燐がなされる。溶銑又は溶鋼中の燐が酸素源によって酸化する際には鉄も酸化され、スラグ中には鉄が酸化鉄の形態で含有される。脱燐処理などで発生する燐を含有する製鋼スラグは、従来、土木用材料などとして製鋼プロセスの系外に排出されており、燐含有製鋼スラグ中の燐及び鉄は回収されることはない。
近年、省資源の観点から、製鋼スラグ中に含まれる鉄分、カルシウム分を活用するため、製鋼スラグのリサイクル使用が行われるようになってきた。例えば、脱燐処理された溶銑を転炉脱炭精錬した際に発生したスラグ(いわゆる「転炉スラグ」)を、鉄源及び造滓剤用のCaO源として、焼結工程を経て高炉にリサイクルすることが行われている。
予め脱燐処理された溶銑(以下「脱燐溶銑」という場合がある)、特に製品の燐濃度レベルまで脱燐処理された脱燐溶銑を転炉脱炭精錬した際に発生する転炉スラグは、燐をほとんど含有しないため、高炉にリサイクルした場合に溶銑の燐濃度が増加するという問題は生じない。これに対して、脱燐処理により発生するスラグや、脱燐処理されていない溶銑(以下「通常溶銑」という場合がある)或いは脱燐処理されていても燐濃度が製品の燐濃度レベルまで低下していない脱燐溶銑を転炉脱炭精錬した際に発生する転炉スラグのように実質的に燐を含有する製鋼スラグは、これを高炉にリサイクルした場合、酸化物として含まれている燐が高炉内で還元されて溶銑の燐濃度を増加させ、その結果、溶銑脱燐の負荷が増加するという悪循環に陥る。そこで、燐を含有する製鋼スラグのリサイクルについては、燐のピックアップを防止すべく、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献2には、クロム鉱石の溶融還元製錬工程と、この溶融還元製錬によって溶製された含クロム溶銑の転炉脱炭精錬工程との組み合せによってステンレス溶鋼を溶製する際に、前記含クロム溶銑の脱燐処理により発生した脱燐スラグに炭材を加えて加熱し、脱燐スラグに気化脱燐処理を施し、気化脱燐処理後の脱燐スラグを前記溶融還元製錬工程にリサイクルする技術が開示されている。
また、特許文献3には、ともに溶融状態の高炉スラグと転炉スラグを混合し、この混合スラグ中に炭素、珪素、マグネシウムの1種以上を添加するとともに、酸素ガスを吹き込んで、混合スラグ中の燐酸化物を還元して燐蒸気とし、且つ混合スラグ中の硫黄(S)をSOとし、これらを揮発させて燐及び硫黄の少ないスラグとなし、このスラグを高炉又は転炉にリサイクルする技術が開示されている。
しかし、特許文献2の技術では、脱燐スラグは燐が気化脱燐により除去されてリサイクル可能となるが、気化脱燐した燐は回収されておらず、燐資源の確保という観点からは効果的なリサイクル方法とはいえない。
また、特許文献3の技術では、燐含有スラグである転炉スラグに、転炉スラグとほぼ同量の高炉スラグを混合させているが、近年、高炉スラグは、廃棄物ではなく、土木・建築資材として利用価値の高い資源と位置づけられており、このような高炉スラグを転炉スラグの希釈用として使用することは経済的に不利である。
特開2004−330039号公報 特開2004−143492号公報 特開昭55−97408号公報
したがって本発明の目的は、燐を含有し且つ鉄とカルシウムを比較的高濃度に含有する複合酸化物から、燐を効率的且つ経済的に分離し、回収することができる方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、そのような燐の分離方法を利用した無機材料の利材化方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため検討を重ねた結果、(i)燐を含有し且つ鉄とカルシウムを比較的高濃度に含有する複合酸化物を特定のアルカリ水溶液と接触させることにより、鉄及びカルシウムに対して燐を資源化可能な形態に分離(抽出)できる、(ii)特定のイオン交換膜を用いた電気透析によって、上記(i)により燐が抽出されたアルカリ水溶液からリン酸イオンを効率的に回収することができる、(iii)そのような燐の分離・回収法を取り入れた一連の工程により、燐を資源化可能な形態に分離回収できるとともに、燐を分離した後の材料を石灰源や鉄源として製鉄プロセスなどにリサイクルできる形態で回収することができる、などの事実を見出した。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]Feが固溶したリン酸カルシウムを主要鉱物とし、CaO分が10質量%以上、トータルFeが10質量%以上、P分が10質量%以上含まれる複合酸化物を、1規定以上のアルカリ金属水酸化物水溶液と接触させ、複合酸化物中の燐をアルカリ金属水酸化物水溶液中に抽出することを特徴とする燐の分離方法。
[2]CaO分が30質量%以上、トータルFeが10質量%以上、P分が1〜5質量%含まれ、CaO/SiO(質量比)が2を超える複合酸化物を、5規定以上のアルカリ金属水酸化物水溶液と接触させ、複合酸化物中の燐をアルカリ金属水酸化物水溶液中に抽出することを特徴とする燐の分離方法。
[3]上記[2]の分離方法において、複合酸化物が製鋼スラグであることを特徴とする燐の分離方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの分離方法において、燐が抽出されたアルカリ金属水酸化物水溶液から燐を回収することを特徴とする燐の分離方法。
[5]上記[1]〜[3]のいずれかの分離方法において、燐が抽出されたアルカリ金属水酸化物水溶液を、陽極側の1層目にカチオン交換膜、2層目にアニオン交換膜を配し、陰極側にカチオン交換膜を配した電界中を透過させることにより、アルカリ金属水酸化物水溶液からリン酸含有水溶液を分離することを特徴とする燐の分離方法。
[6]上記[5]の分離方法において、分離されたリン酸含有水溶液に薬剤を添加してリン酸化合物を析出させ、該リン酸化合物を回収することを特徴とする燐の分離方法。
[7]上記[5]又は[6]の分離方法において、リン酸含有水溶液を分離した後のアルカリ金属水酸化物水溶液を、燐を抽出するための水溶液として再利用することを特徴とする燐の分離方法。
[8]CaO分が10質量%以上、トータルFeが10質量%以上、P分が10質量%以上含まれる複合酸化物を、1規定以上のアルカリ金属水酸化物水溶液と接触させ、複合酸化物中の燐をアルカリ金属水酸化物水溶液中に抽出する工程(A)と、
該工程(A)で燐が抽出されたアルカリ金属水酸化物水溶液を、陽極側の1層目にカチオン交換膜、2層目にアニオン交換膜を配し、陰極側にカチオン交換膜を配した電界中を透過させることにより、アルカリ金属水酸化物水溶液からリン酸含有水溶液を分離する工程(B)と、
該工程(B)で分離されたリン酸含有水溶液に薬剤を添加してリン酸化合物を析出させ、該リン酸化合物を回収する工程(C)とからなり、
前記工程(B)でリン酸含有水溶液を分離した後のアルカリ金属水酸化物水溶液を前記工程(A)にリサイクルするとともに、前記工程(A)で燐が抽出された後の複合酸化物の残渣を、石灰源及び/又は鉄源となる原料としてリサイクルすることを特徴とする無機材料の利材化方法。
[9]CaO分が30質量%以上、トータルFeが10質量%以上、P分が1〜5質量%含まれ、CaO/SiO(質量比)が2を超える複合酸化物を、5規定以上のアルカリ金属水酸化物水溶液と接触させ、複合酸化物中の燐をアルカリ金属水酸化物水溶液中に抽出する工程(A)と、
該工程(A)で燐が抽出されたアルカリ金属水酸化物水溶液を、陽極側の1層目にカチオン交換膜、2層目にアニオン交換膜を配し、陰極側にカチオン交換膜を配した電界中を透過させることにより、アルカリ金属水酸化物水溶液からリン酸含有水溶液を分離する工程(B)と、
該工程(B)で分離されたリン酸含有水溶液に薬剤を添加してリン酸化合物を析出させ、該リン酸化合物を回収する工程(C)とからなり、
前記工程(B)でリン酸含有水溶液を分離した後のアルカリ金属水酸化物水溶液を前記工程(A)にリサイクルするとともに、前記工程(A)で燐が抽出された後の複合酸化物の残渣を、石灰源及び/又は鉄源となる原料としてリサイクルすることを特徴とする無機材料の利材化方法。
本発明による燐の分離方法によれば、燐を含有し且つ鉄とカルシウムを比較的高濃度に含有する複合酸化物を特定のアルカリ水溶液と接触させることにより、鉄及びカルシウムに対して燐を資源化可能な形態に分離することができる。また、複合酸化物をアルカリ水溶液に接触させるだけであるため、燐の分離を効率的且つ経済的に行うことができる。
また、本発明による無機材料(複合酸化物)の利材化方法によれば、上記のような燐の分離・回収法を取り入れた一連の工程により、燐を資源化可能な形態に分離回収できるとともに、燐を分離した後の材料を石灰源や鉄源として製鉄プロセスなどにリサイクルできる形態で回収できる。
本発明の第一の分離方法が対象とする複合酸化物の鉱物相のXRDチャート 本発明の第一の分離方法が対象とする複合酸化物を水酸化ナトリウム水溶液で処理した試験において、水溶液の水酸化ナトリウム濃度と水溶液中への燐及び鉄の抽出度との関係を示したグラフ 本発明の第一の分離方法が対象とする複合酸化物を水酸化ナトリウム水溶液で処理した試験において、水酸化ナトリウム水溶液中での浸漬時間と水溶液中への燐の抽出度との関係を示したグラフ 特定のイオン交換膜を用い、燐が抽出されたアルカリ金属水溶液からリン酸イオンを分離する電気透析法の原理を示す説明図 燐が抽出されたアルカリ金属水溶液(原水)と、このアルカリ金属水溶液を特定のイオン交換膜を用いた電気透析法で透析した後のアルカリ金属水溶液(透析水)及びリン酸含有水溶液(脱塩水)について、ナトリウム濃度とリン濃度を示したグラフ 本発明の第二の分離方法が対象とする複合酸化物(製鋼スラグ)を水酸化ナトリウム水溶液で処理した試験において、水溶液の水酸化ナトリウム濃度と水溶液中への燐と鉄の抽出度との関係を示したグラフ 本発明の第二の分離方法が対象とする複合酸化物(製鋼スラグ)を水酸化ナトリウム水溶液で処理した試験において、複合酸化物のCaO/SiO(質量比)と水溶液中への燐の抽出度との関係を示したグラフ 本発明の第二の分離方法が対象とする複合酸化物(製鋼スラグ)を水酸化ナトリウム水溶液で処理した試験において、水酸化ナトリウム水溶液中での浸漬時間と水溶液中への燐の抽出度との関係を示したグラフ
本発明による燐の分離方法のうち、第一の方法について説明する。
この燐の分離方法は、CaO分が10質量%以上、トータルFeが10質量%以上、P分が10質量%以上含まれる複合酸化物(以下、説明の便宜上、単に「複合酸化物」という場合がある)を、1規定以上のアルカリ金属水酸化物水溶液(以下、説明の便宜上、「アルカリ金属水溶液」という場合がある)と接触させ、複合酸化物中の燐をアルカリ金属水溶液中に抽出するものである。
本発明が処理の対象とするCaO分が10質量%以上、トータルFeが10質量%以上、P分が10質量%以上含まれる複合酸化物は、一般に、鉄が固溶したリン酸カルシウムを主要鉱物とするものであり、特に特定の材料に限定されるものではないが、例えば、(i)Graftoniteと呼ばれる、天然由来の(Fe2+,Mn,Ca)(PO、(ii)リン酸鉄などの形態で廃液などから燐を分離する際にカルシウムを同時に析出させて得られる無機物質、(iii)製鉄プロセスにおいて通常の銑鉄よりも高いP含有率を持つ銑鉄から石灰類で脱燐する際に得られる、鉄とカルシウムと燐を高濃度に含むスラグ、などが挙げられる。以上の1種以上を処理対象とすることができる。
複合酸化物として、CaO分が10質量%以上、トータルFeが10質量%以上、P分が10質量%以上のものが対象とされるのは、後述する通り、本発明の第一の方法である1規定以上のアルカリ金属水溶液と接触させることにより燐が選択溶解され、燐を効率的に分離することができるからである。
本発明者らは、燐と鉄及びカルシウムを比較的高濃度に含有する無機材料(複合酸化物)が、それぞれは有用な元素であるにもかかわらず、同時に存在することによって有効利用されていないことに着目した。燐は肥料などに必要な元素であるが、鉄が共存していると溶出量が低下して施肥効果が小さくなる。一方、カルシウムや鉄を製鉄原料として利用する上では、燐は基本的に不要な元素である。したがって、燐と鉄及びカルシウムを別の状態に分離することができれば、すべてを有効利用することが可能となることから、特に燐を分離する技術について検討を行った。
実験で使用した無機材料(複合酸化物)の組成の一例を表1に示す。この材料は、製鉄プロセスにおいて通常の銑鉄よりも高いP含有率を持つ銑鉄から石灰類で脱燐する際に得られる、鉄とカルシウムと燐を高濃度に含むスラグであり、燐鉱石とほぼ同等の高い燐濃度を有する一方、トータルFeが高いことが燐鉱石と大きく異なっており、また製鋼スラグに含まれるようなSiなどの構成元素の濃度はさほど高くない。
Figure 0005884166
燐鉱石から燐を湿式で分離する一般的な方法として、酸で処理する方法が知られている。しかし、燐と鉄が共存するとFePOを生成し、このFePOの平衡定数は、
so=[Fe3+][PO 3−]=10−26
と極めて低いため、同時に沈降してしまう。このため、鉄と燐を高濃度で含有する無機材料を酸で処理する方法では、燐と鉄を分離することができず、燐成分をリン酸溶液や純度の高いリン酸カルシウムとして回収することは難しい。
そこで、上記無機材料を湿式処理して燐と鉄を分離する方法について検討を行った。表2に、種々の酸およびアルカリを添加した水溶液中に無機材料を投入し、常温で2時間撹拌処理した場合について、脱P率kと脱Fe率kFeを調べた結果を示す。酸による処理では、2質量%硫酸、2質量%塩酸、2質量%硝酸の各水溶液を用い、アルカリによる処理では、0.6規定の水酸化ナトリウム水溶液、同じく水酸化カリウム水溶液、同じく飽和水酸化カルシウム水溶液を用いた。酸による処理では、酸の種類によってバランスは異なるものの、燐が溶解する条件では鉄も溶解する傾向が見られた。一方、アルカリによる処理では、pHを12.5〜13.8に調整した結果、燐も鉄もほとんど溶解しなかった。
Figure 0005884166
上記無機材料の鉱物相を調査した。その代表的なXRDチャートを図1に示すが、この鉱物はリン酸カルシウムに鉄が固溶していることが判った。これは、上述したGraftoniteについて報告されている化学組成と一致する。また、下水汚泥などのようにSiO分が多い材料に対するアルカリ抽出では、燐元素が分離したい対象と異なる鉱物相に存在するのに対して、本発明が対象とする無機材料は、分離対象の鉄と燐が同じ鉱物相に共存しているため、表2のような条件では分離が進行しないものと推定された。
そこで、溶液種や濃度を変化させて調査し、また反応状態を詳細に観察したところ、高濃度のアルカリであれば、燐が鉄に対して優先的に溶液中に溶解する場合があることを見出した。
図2に、水酸化ナトリウム水溶液の濃度を変えたときの燐と鉄の溶解挙動を示す。すなわち、複合酸化物を水酸化ナトリウム水溶液で処理した試験において、水溶液の水酸化ナトリウム濃度と水溶液中への燐及び鉄の抽出度との関係を示す。なお、図2の縦軸の「水溶液への抽出度」とは、対象とした無機材料に含まれる燐と鉄をそれぞれ“1”とした場合、そのなかで水溶液中に溶解した割合である。表2にも示されるように、水酸化ナトリウム水溶液の濃度が0.6規定では、燐、鉄ともに殆ど溶解しない。これに対して、水酸化ナトリウム水溶液を1規定以上の濃度に高めることにより、燐が溶解しはじめ、しかも鉄の溶解がほとんど無い状態での燐の選択溶解が生じている。また、水酸化ナトリウム水溶液の濃度を3規定以上とすることにより、燐の抽出度がより高まるので好ましい。但し、5規定を超える濃度では鉄の一部も溶解状態のままで維持される傾向にあり、したがって、水酸化ナトリウム水溶液の濃度は5規定以下が望ましい。なお、アルカリ水溶液として、水酸化カリウム水溶液を用いた場合や、複合酸化物として他の材料を用いた場合も、同様の結果が得られた。以上のように燐が選択溶解する理由は必ずしも明確ではないが、燐、鉄及びカルシウムにより構成される鉱物相が関係しているものと推定される。すなわち、上述したように本発明の対象とする無機材料は、リン酸カルシウムのカルシウムイオンの一部が鉄に置換した状態の鉱物相であると考えられる。このような材料は、各元素の溶解度と固体の表面状態に応じて溶解が進行することが想定され、溶液中にはCaとFeの陽イオンとPOの陰イオンが生成されると考えられる。通常、燐、カルシウム共存下でアルカリ性にすると、次式に示すように、難溶性塩(カルシウムアパタイト)を生成することが知られている。
3NaPO+5Ca2++NaOH→Ca(PO)OH↓+10Na
ところが、本発明ではアパタイトによる沈殿生成はほとんど起こらずに燐がイオン形態で保持されたとみることができる。このメカニズムは必ずしも明確ではないが、強アルカリ条件では、Ca2+の水酸化物化が上記反応に比べて優先的に進行すると同時に、生成したCa(OH)の解離が抑制され、カルシウムがイオンとして存在することができなくなったことが要因の一つと考えられる。鉄についても、リン酸と共存した場合には、FePOが容易に生成することが知られているが、高アルカリ環境下で水酸化鉄の生成が起こることで、燐の選択的溶解が起こるものと推定される。但し、高濃度すぎるアルカリ環境では鉄も溶解しており、燐が選択溶解する理由は必ずしも明確ではないが、燐と鉄とカルシウムが高濃度に共存する複合酸化物の鉱物相が関係しているものと推定される。
このため本発明法(抽出工程)では、CaO分が10質量%以上、トータルFeが10質量%以上、P分が10質量%以上含まれる複合酸化物を、1規定以上、好ましくは3規定以上のアルカリ金属水溶液と接触させ、複合酸化物中の燐をアルカリ金属水溶液中に抽出する。なお、アルカリ金属水溶液の濃度は、上述したように5規定以下が好ましい。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの1種以上を用いることができる。
処理時の水溶液の温度は特に制限はないが、高温になるほど反応速度が増加して効率的な分離が可能となるため、40℃以上、好ましくは60℃以上が望ましい。これよりも高い温度でもよいが、鉄の溶解が進みやすいなど反応の制御が難しくなる傾向がある。
複合酸化物をアルカリ金属水溶液と接触させるには、通常、アルカリ金属水溶液を入れた水槽に複合酸化物を投入し、所定時間水溶液を撹拌しつつ浸漬処理する。浸漬時間は長いほど燐の抽出効果が高まるが、対象となる複合酸化物の粒度などによって好適な浸漬時間は変化するので、経済性と対象とする複合酸化物の粒度に応じて、適宜選択することが好ましい。図3は、200μm以下の粒度の複合酸化物を1規定の水酸化ナトリウム水溶液中へ浸漬したときの浸漬時間の影響を調べた結果の一例を示している。この結果では、24hrで45%程度、100hrで60%以上の燐を抽出することができた。なお、図3の縦軸の「水溶液へのPの抽出度」とは、対象材料に含まれる燐を“1”とした場合、そのなかで水溶液中に溶出した割合である。
浸漬処理した後、水溶液と残渣(燐が抽出された後の複合酸化物の残渣)を固液分離する手法は任意であり、通常、沈殿やろ過などの操作が適用される。
また、固液分離操作の効率を考慮した場合、一定の粒径分布に調整した複合酸化物を反応槽内に充填し、この反応槽下部からアルカリ金属水溶液を上向流で通液することにより複合酸化物の流動床を形成させ、接触させる方式でもよい。この場合、複合酸化物の粒径は上向流束との関係によって決定されるが、流動床の展開率が20〜200%程度となるように選定されることが好ましい。ここで、展開率=(展開時の高さ−静止時の高さ)/静止時の高さ×100(%)である。通常、複合酸化物の粒径は50μm〜5mm程度、上向流束は5〜50m/hr程度が適している。
上記工程を経た複合酸化物(燐が抽出された後の複合酸化物の残渣)は、燐が除かれ、鉄及びカルシウムの含有量が多い成分となるため、石灰源及び/又は鉄源となる原料として、特に好ましくは製鉄プロセスの原料(例えば、焼結原料や高炉工程の石灰源や鉄源、或いは製鋼プロセスでの脱燐剤)としてリサイクルすることが可能である。
一方、燐が抽出されたアルカリ金属水溶液は高濃度のリン酸アルカリ系溶液となり、不溶化しやすい鉄と共存しなくなるため、燐資源としての有効利用が容易となり、リン酸原料、燐肥料原料、その他の燐鉱石を主原料とするプロセスの原料代替として用いることができる。
上記工程により燐が抽出されたアルカリ金属水溶液から燐を回収する方法は、基本的には任意である。ただし、リン酸を含有する水溶液から燐を回収する場合、一般にはカルシウムやマグネシウムを添加してリン酸化合物を析出させるが、本発明の溶液条件では、そのようなアルカリ土類があっても燐が溶解状態で保持されるために抽出できているものであり、したがって、カルシウムやマグネシウムを添加する方法では、高濃度リン酸アルカリ系溶液から燐を分離することは困難である。本発明において燐が抽出されたアルカリ金属水溶液(高濃度リン酸アルカリ系溶液)から燐を効率的に回収する方法を検討した結果、イオン交換膜と電極を特定の条件で組み合わせた電気透析法が有効であり、
燐が抽出されたアルカリ金属水溶液からリン酸イオン(リン酸含有水溶液)を効率的に分離回収できることが判った。
すなわち、この電気透析法は、燐が抽出されたアルカリ金属水溶液を、陽極側の1層目(内側)にカチオン交換膜、2層目(外側)にアニオン交換膜を配し、陰極側にカチオン交換膜を配した電界中を透過させることにより、アルカリ金属水溶液からリン酸イオン(リン酸含有水溶液)を分離する方法である。図4に、この電気透析法(アルカリがNaOHの場合)の原理を示すが、上述した陽極側イオン膜と陰極側イオン膜間にアルカリ金属水溶液を流すと、NaOHのみがイオン交換膜を透過し、リン酸イオンが濃縮液中に残留することにより、NaOHとリン酸イオンを効率的に分離できる。より詳細には、陰極側にカチオン交換膜を配することで、ナトリウムイオンが電気泳動して透過する。一方、陽極側にはリン酸(PO 3−)イオンが電気泳動するが、陽極側の1層目にカチオン交換膜を配することで透過することができず、電荷バランスをとるため、膜を透過できる水分子のOHイオンが陽極側に透過する。結果、イオン膜の外側にはNaOHが、内側にはリン酸イオンが残留・濃縮することとなる。なお、電界は5〜20Vの電位差を有することが好ましい。
図5は、燐が抽出されたアルカリ金属水溶液(原水)と、上記電気透析後のアルカリ金属水溶液(透析水)及びリン酸含有水溶液(脱塩水)について、ナトリウムイオン濃度とリン酸イオンのP濃度を調べた結果の一例を示しており、燐が抽出されたアルカリ金属水溶液からリン酸イオンが効率的に分離できることが判る。
以上のような方法により、アルカリ金属溶液とリン酸イオン(リン酸含有溶液)との効率的な分離が可能となり、分離されたリン酸含有水溶液に対しては通常のMAP法などの燐回収方法を適用することが可能となる。すなわち、分離したリン酸含有水溶液にカルシウムイオン又はマグネシウムイオンとアンモニウムイオンなどの薬剤を添加し、燐を固体分(カルシウムアパタイト、リン酸マグネシウムアンモニウムなどのリン酸化合物)として回収するものである。得られたリン酸化合物(固体分)は、リン酸原料、燐肥料原料、その他燐鉱石を主原料とするプロセスの原料代替として用いることができる。
一方、リン酸イオン(リン酸含有水溶液)を分離した後のアルカリ金属水溶液は、燐を抽出するための水溶液として再利用することができる。
以上のような本発明の燐の分離方法は、燐と鉄及びカルシウムを含有する無機材料の利材化方法に適用できる。すなわち、この方法は、CaO分が10質量%以上、トータルFeが10質量%以上、P分が10質量%以上含まれる複合酸化物を、1規定以上のアルカリ金属水溶液と接触させ、複合酸化物中の燐をアルカリ金属水溶液中に抽出する工程(A)と、この工程(A)で燐が抽出されたアルカリ金属水溶液を、陽極側の1層目にカチオン交換膜、2層目にアニオン交換膜を配し、陰極側にカチオン交換膜を配した電界中を透過させることにより、アルカリ金属水溶液からリン酸含有水溶液を分離する工程(B)と、この工程(B)で分離されたリン酸含有水溶液に、例えば、カルシウムイオン又はマグネシウムイオンとアンモニウムイオンなどの薬剤を添加してリン酸化合物(固体分)を析出させ、このリン酸化合物を回収する工程(C)とからなる。これら工程(A)〜(C)の詳細は上述したとおりである。
前記工程(B)でリン酸含有水溶液を分離した後のアルカリ金属水溶液は、前記工程(A)にリサイクルする。また、工程(A)で燐が抽出された後の複合酸化物の残渣にはカルシウム及び鉄が残っているため、この残渣を石灰源及び/又は鉄源となる原料として利用することができる。特に好ましくは、製鉄原料として、具体的には製鉄プロセスの焼結工程や高炉工程での石灰源や鉄源として、或いは製鋼プロセスでの脱燐剤として利用することができる。
このように本発明の燐の分離方法及びこれを利用した無機材料の利材化方法によれば、燐と鉄及びカルシウムを比較的高濃度に含有する複合酸化物を構成する成分を、石灰源、鉄源、燐資源などとして余すところなく、経済的に利材化することが可能となる。
次に、本発明による燐の分離方法のうちの、第二の方法について説明する。
この燐の分離方法は、CaO分が30質量%以上、トータルFeが10質量%以上、P分が1〜5質量%含まれ、CaO/SiO(質量比)が2を超える複合酸化物(以下、説明の便宜上、単に「複合酸化物」という場合がある)を、5規定以上のアルカリ金属水酸化物水溶液(以下、説明の便宜上、「アルカリ金属水溶液」という場合がある)と接触させ、複合酸化物中の燐をアルカリ金属水溶液中に抽出するものである。
本発明が処理の対象とするCaO分が30質量%以上、トータルFeが10質量%以上、P分が1〜5質量%含まれ、CaO/SiO(質量比)が2を超える複合酸化物は、特に特定の材料に限定されるものではないが、代表例は製鋼スラグである。その他に、ゴミ溶融スラグ、鉄系スラッジなどが挙げられる。以上の1種以上を処理対象とすることができる。
複合酸化物として、CaO分が30質量%以上、トータルFeが10質量%以上、P分が1〜5質量%含まれ、CaO/SiO(質量比)が2を超えるものが対象とされるのは、後述する通り、本発明の第二の方法である5規定以上のアルカリ金属水溶液と接触させることにより燐が選択溶解され、燐を効率的に分離することができるからである。
以下、複合酸化物が製鋼スラグである場合を例に説明する。
本発明者らは、溶銑の脱燐処理時に発生する脱燐スラグや、通常溶銑或いは燐濃度が製品の燐濃度レベル(0.01〜0.02質量%)よりも高い脱燐溶銑を転炉脱炭精錬した際に発生する転炉スラグなどのような「燐を含有する製鋼スラグ」(以下、「燐含有製鋼スラグ」という場合がある)を、造滓剤用のCaO源として高炉でリサイクル使用するに当たり、その製鋼スラグに含有される燐の高炉溶銑への影響を解消することを検討した。予め製品の燐濃度レベルまで脱燐処理が施された溶銑を転炉脱炭精錬した際に発生する転炉スラグは、高炉溶銑の燐濃度のピックアップを来すことなく、鉄鉱石の焼結工程を経て高炉に造滓剤としてリサイクル使用されている。したがって、燐含有製鋼スラグから燐を除去すれば、高炉へのリサイクル使用は可能になる。そこで、燐含有製鋼スラグから燐を除去する方法について検討を行った。
さきに述べたように、燐鉱石から燐を湿式で分離する一般的な方法として、酸で処理する方法が知られているが、燐と鉄が共存した場合、FePOを生成する。このFePOの平衡定数は極めて低いため、同時に沈降してしまう。リン酸鉄は低溶解度のために有効利用しにくい材料であるため、リン原料としての価値はほとんど期待されない。このため、通常の燐鉱石と同様に酸で処理する方法では、燐と鉄を分離することができず、燐成分をリン酸溶液や純度の高いリン酸カルシウムとして回収することは難しい。
そこで、製鋼スラグのように燐を含むとともに、鉄とカルシウムを比較的高濃度に含有する複合酸化物に対して、湿式処理して燐と鉄を分離する方法について検討を行った。表3に、種々の酸およびアルカリを添加した水溶液中に製鋼スラグ(CaO:43質量%、トータルFe:20質量%、P:2.6質量%、CaO/SiO:3.8)を投入し、常温で2時間撹拌処理した場合について、脱P率kと脱Fe率kFeを調べた結果を示す。酸による処理では、2質量%硫酸、2質量%塩酸、2質量%硝酸、2質量%シュウ酸、2質量%クエン酸の各水溶液を用い、アルカリによる処理では、0.6規定の水酸化ナトリウム水溶液、同じく水酸化カリウム水溶液、同じく飽和水酸化カルシウム水溶液を用いた。酸による処理では、酸の種類によってバランスは異なるものの、燐が溶解する条件では鉄も溶解する傾向が見られた。一方、アルカリによる処理では、pHを12.5〜13.8に調整した結果、燐も鉄もほとんど溶解しなかった。
Figure 0005884166
上記製鋼スラグの鉱物相を調査した結果、燐はカルシウム、珪素と共存していることが判った。つまり、第二の分離方法に適用する複合酸化物は比較的カルシウムが高く、燐が低いため、燐が存在する鉱物形態は第一の分離方法に適用するリン酸カルシウムではなく、2CaO・SiO−3CaO・Pの固溶体の形態を取る。これはX線回折測定により確認されている。例えば、下水汚泥などではアルカリ抽出が実施されているが、下水汚泥には珪素が多く含まれるもののカルシウムはあまり含まれない。リン濃度が比較的低い製鋼スラグのような材料において、カルシウムはリン酸と共沈し易い元素であり、鉄に加えてカルシウムが多いために、表3に示したような条件では分離が進行しないものと推定された。
そこで、溶液種や濃度を変化させて調査し、また反応状態を詳細に観察したところ、高濃度のアルカリであれば、燐が鉄及びカルシウムに対して優先的に溶液中に溶解する場合があることを見出した。
図6に、水酸化ナトリウム水溶液の濃度を変えたときの燐と鉄の溶解挙動を示す。すなわち、製鋼スラグを水酸化ナトリウム水溶液で処理した試験において、水溶液の水酸化ナトリウム濃度と水溶液中への燐及び鉄の抽出度との関係を示す。なお、図6の縦軸の「24時間抽出度」とは、対象材料が保有する燐と鉄をそれぞれ“1”とした場合、24時間の浸出試験の後に液中に溶出した割合である。表3にも示されるように、水酸化ナトリウム水溶液の濃度が0.6規定では、燐、鉄ともに殆ど溶解しない。これを、1規定に上げてもほとんど変化しないが、3規定ではわずかに燐が溶解しはじめ、しかも鉄の溶解がほとんど無い状態での燐の選択溶解が生じている。そして、さらに、水酸化ナトリウム水溶液の濃度を5規定以上とすることにより、燐の抽出度が十分に高まる。但し、6規定を超える濃度では鉄も溶解状態のままで維持される傾向にあり、したがって、水酸化ナトリウム水溶液の濃度は6規定以下が望ましい。以上のように燐が選択溶解する理由は必ずしも明確ではないが、製鋼スラグの鉱物相が関係しているものと推定される。
鉱物相の影響をさらに詳細に調査するため、製鋼スラグの鉄濃度をほぼ一定のまま塩基度CaO/SiO(質量比)を変化させて影響を調査した。その結果を図7に示す。当初、CaO/SiOが低いと燐が溶解するのではないかと考えられていたが、CaO/SiOが2を下回ると燐がほとんど溶出しなくなることが判った。
塩基度が1.5の製鋼スラグの鉱物相を調査した結果、燐とカルシウム、珪素とカルシウムはそれぞれ共存するが、塩基度が高い場合と異なり、燐は局在化し、珪素の位置とは完全には一致していない傾向が確認され、加えて燐が高い部分と低い部分が入り組んだ構造になっていることが判った。以上のことから、燐の分布状態が高塩基度の場合と変わっており、燐が存在する鉱物組成が異なるため、上記の結果となるものと推定された。下水汚泥のように低CaO、高SiOの材料中からの燐のアルカリ浸出とは全く異なったメカニズムでのP抽出反応であることが示唆される。なお、アルカリ水溶液として、水酸化カリウム水溶液を用いた場合や、複合酸化物として他の材料を用いた場合も、以上と同様の結果が得られた。
このため本発明の第二の分離方法(抽出工程)では、CaO分が30質量%以上、トータルFeが10質量%以上、P分が1〜5質量%含まれ、CaO/SiO(質量比)が2を超える複合酸化物を、5規定以上のアルカリ金属水溶液と接触させ、複合酸化物中の燐をアルカリ金属水溶液中に抽出する。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの1種以上を用いることができる。
処理時の水溶液の温度は特に制限はないが、第一の分離方法とは異なり、低温の方が浸出量が増加する傾向にあり、75℃以下、好ましくは40℃以下(0℃以上)が望ましい。この理由は必ずしも明確ではないが、カルシウム分が極めて高いため、高温環境ではカルシウムと燐による共沈反応が進んでしまい、見掛けの燐の浸出量が低下する、などの理由が考えられる。
製鋼スラグを5規定以上のアルカリ金属水溶液と接触させるには、通常、アルカリ金属水溶液を入れた水槽に製鋼スラグを投入し、所定時間水溶液を撹拌しつつ浸漬処理する。浸漬時間は長いほど燐の抽出効果が高まるが、対象となる複合酸化物の粒度などによって好適な浸漬時間は変化するので、経済性と対象とする複合酸化物の粒度に応じて、適宜選択することが好ましい。図8は、200μm以下の粒度の複合酸化物を5規定の水酸化ナトリウム水溶液中へ浸漬したときの浸漬時間の影響を調べた結果の一例を示している。この結果では、24hrで20%以上、170hrで40%以上の燐を抽出することができた。なお、図8の縦軸の「水溶液へのPの抽出度」とは、対象材料に含まれる燐を“1”とした場合、そのなかで水溶液中に溶出した割合である。
浸漬処理した後、水溶液と残渣(燐が抽出された後の製鋼スラグの残渣)を固液分離する手法は任意であり、通常、沈殿やろ過などの操作が適用される。
また、固液分離操作の効率を考慮した場合、一定の粒径分布に調整した製鋼スラグを反応槽内に充填し、この反応槽下部からアルカリ金属水溶液を上向流で通液することにより製鋼スラグの流動床を形成させ、接触させる方式でもよい。この場合、製鋼スラグの粒径は上向流束との関係によって決定されるが、流動床の展開率が20〜200%程度となるように選定されることが好ましい。ここで、展開率=(展開時の高さ−静止時の高さ)/静止時の高さ×100(%)である。通常、製鋼スラグの粒径は50μm〜5mm程度、上向流束は5〜50m/hr程度が適している。
上記工程を経た製鋼スラグ(燐が抽出された後の製鋼スラグの残渣)は、燐が除かれ、また、アルカリでの処理となることでシリカ成分も一部溶出するため、鉄及びカルシウムの含有量が多い成分となる。このため、石灰源及び/又は鉄源となる原料として、特に好ましくは製鉄プロセスの原料(例えば、焼結原料や高炉工程の石灰源や鉄源、或いは製鋼プロセスでの脱燐剤)としてリサイクルすることが可能である。
一方、燐が抽出されたアルカリ金属水溶液は高濃度のリン酸アルカリ系溶液となり、不溶化しやすい鉄と共存しなくなるため、燐資源としての有効利用が容易となり、リン酸原料、燐肥料原料、その他の燐鉱石を主原料とするプロセスの原料代替として用いることができる。
上記工程により燐が抽出されたアルカリ金属水溶液から燐を回収する方法は、基本的には任意であるが、さきに述べた本発明の第一の分離方法と同様の理由から、燐が抽出されたアルカリ金属水溶液を、陽極側の1層目にカチオン交換膜、2層目にアニオン交換膜を配し、陰極側にカチオン交換膜を配した電界中を透過させることにより、アルカリ金属水溶液からリン酸イオン(リン酸含有水溶液)を分離する方法が好ましい。この方法の詳細は、さきに述べたとおりである。
以上のような方法により、アルカリ金属溶液とリン酸イオン(リン酸含有溶液)との効率的な分離が可能となり、分離されたリン酸含有水溶液に対しては通常のMAP法などの燐回収方法を適用することが可能となる。すなわち、分離したリン酸含有水溶液にカルシウムイオン又はマグネシウムイオンとアンモニウムイオンなどの薬剤を添加し、燐を固体分(カルシウムアパタイト、リン酸マグネシウムアンモニウムなどのリン酸化合物)として回収するものである。得られたリン酸化合物(固体分)は、リン酸原料、燐肥料原料、その他燐鉱石を主原料とするプロセスの原料代替として用いることができる。
一方、リン酸イオン(リン酸含有水溶液)を分離した後のアルカリ金属水溶液は、燐を抽出するための水溶液として再利用することができる。
以上のような本発明の燐の分離方法は、燐と鉄及びカルシウムを含有する無機材料(例えば、製鋼スラグ)の利材化方法に適用できる。すなわち、この方法は、CaO分が30質量%以上、トータルFeが10質量%以上、P分が1〜5質量%含まれ、CaO/SiO(質量比)が2を超える複合酸化物を、5規定以上のアルカリ金属水溶液と接触させ、複合酸化物中の燐をアルカリ金属水溶液中に抽出する工程(A)と、この工程(A)で燐が抽出されたアルカリ金属水溶液を、陽極側の1層目にカチオン交換膜、2層目にアニオン交換膜を配し、陰極側にカチオン交換膜を配した電界中を透過させることにより、アルカリ金属水溶液からリン酸含有水溶液を分離する工程(B)と、この工程(B)で分離されたリン酸含有水溶液に、例えば、カルシウムイオン又はマグネシウムイオンとアンモニウムイオンなどの薬剤を添加してリン酸化合物(固体分)を析出させ、このリン酸化合物を回収する工程(C)とからなる。これら工程(A)〜(C)の詳細は上述したとおりである。
前記工程(B)でリン酸含有水溶液を分離した後のアルカリ金属水溶液は、前記工程(A)にリサイクルする。また、工程(A)で燐が抽出された後の複合酸化物の残渣にはカルシウム及び鉄が残っているため、この残渣を石灰源及び/又は鉄源となる原料として利用することができる。特に好ましくは、製鉄原料として、具体的には製鉄プロセスの焼結工程や高炉工程での石灰源や鉄源として、或いは製鋼プロセスでの脱燐剤として利用することができる。
このように本発明の燐の分離方法及びこれを利用した無機材料の利材化方法によれば、燐と鉄及びカルシウムを比較的高濃度に含有する複合酸化物を構成する成分を、石灰源、鉄源、燐資源などとして余すところなく、経済的に利材化することが可能となる。
なお、予め製品の燐濃度レベルまで脱燐処理が施された溶銑を脱炭精錬した際に発生する転炉スラグも、燐の含有量はゼロでなく燐を含有するため、本発明の燐分離技術を適用できる可能性もあるが、このスラグは燐濃度が低く、そのまま高炉などにリサイクルしても、燐の影響は無視することができ、本発明を適用することにより却ってコスト上昇を招く。したがって、実質的に本発明で対象となる「燐を含有する製鋼スラグ」は、その製鋼スラグを高炉などにリサイクルすると溶銑又は溶鋼の燐濃度が上昇し、通常の操業に対してコスト上昇を生じさせるような濃度の燐を含有する製鋼スラグである。すなわち、溶銑の脱燐処理により発生する脱燐スラグ、通常溶銑或いは脱燐が十分でない脱燐溶銑を転炉脱炭精錬した際に発生する転炉スラグなどである。
以上、本発明の第二の分離方法を複合酸化物が主に「製鋼スラグ」である場合を例に説明したが、他の複合酸化物である場合も同様である。
[実施例1]
燐と鉄とカルシウムが高濃度に共存する複合酸化物を、アルカリ金属水酸化物水溶液とともに分離槽に入れて燐と鉄の分離処理を施した。適用した複合酸化物の組成は表4に示されるものである。スラグ:アルカリ金属水酸化物水溶液の質量比は1:10とし、アルカリ金属水酸化物水溶液としては、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの0.3〜5規定水溶液を用いた。これを25℃〜90℃で48時間撹拌した後、分離槽に移し、固液分離を施した。
本発明及び比較例の処理条件(アルカリ金属水酸化物種、アルカリ金属水酸化物水溶液の濃度及び温度)と処理結果(スラグの脱P率k、脱Fe率kFe)を表5に示す。本発明例では、水溶液中に燐の大半が分離される一方、鉄分は残渣に残留していることが判る。本発明例の処理後の燐含有水溶液は、さきに述べたような特定のイオン交換膜を用いた電気透析法(電位差15V)で処理し、この処理後のリン濃縮部の溶液をpH調整及び消石灰を添加することによりリン酸カルシウムとして再利用した。一方、燐を除去した残渣はカルシウムと鉄分を多量に含有しているため、焼結工程の原料として再利用した結果、通常の高炉溶銑と同様の成分のものが得られた。
Figure 0005884166
Figure 0005884166
[実施例2]
高炉から出銑された高炉溶銑をトーピードカーで受銑し、このトーピードカーに収容された高炉溶銑に脱珪処理及び脱燐処理を施した後、高炉溶銑を溶銑鍋に移し替え、溶銑鍋内の高炉溶銑に機械撹拌式脱硫処理を施し、この脱硫処理終了後の高炉溶銑を転炉に装入して転炉にて脱炭精錬を施し、溶鋼を溶製した。脱珪処理及び脱燐処理後の高炉溶銑には0.05質量%の燐が含有されており、この燐濃度は製品の燐濃度レベル(0.025質量%以下)よりも高く、この高炉溶銑を転炉脱炭精錬した際に発生する転炉スラグには、1.5質量%程度の燐(P換算で3.4質量%程度)が含有される。適用した転炉(製鋼)スラグの組成は表6に示されるものである。この製鋼スラグに本発明法を適用し、一連の処理を行った。
発生した製鋼スラグを、アルカリ金属水酸化物水溶液とともに分離槽に入れて燐の分離処理を施した。スラグ:アルカリ金属水酸化物水溶液の質量比は1:10とし、アルカリ金属水酸化物水溶液としては、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの0.3〜10規定水溶液を用いた。これを48時間撹拌した後、分離槽に移し、固液分離を施した。
本発明例及び比較例の処理条件(アルカリ金属水酸化物種、アルカリ金属水酸化物水溶液の濃度及び温度)と処理結果(スラグの脱P率k、脱Fe率kFe)を表7に示す。本発明例では、水溶液中に燐の大半が分離される一方、カルシウム分は残渣に残留していることが判る。本発明例の処理後のリン酸含有水溶液に対し、さきに述べたような特定のイオン交換膜を用いた電気透析法で処理した場合、燐が70%以上の効率で回収できることが確認された。
Figure 0005884166
Figure 0005884166

Claims (9)

  1. Feが固溶したリン酸カルシウムを主要鉱物とし、CaO分が10質量%以上、トータルFeが10質量%以上、P分が10質量%以上含まれる複合酸化物を、1規定以上のアルカリ金属水酸化物水溶液と接触させ、複合酸化物中の燐をアルカリ金属水酸化物水溶液中に抽出することを特徴とする燐の分離方法。
  2. CaO分が30質量%以上、トータルFeが10質量%以上、P分が1〜5質量%含まれ、CaO/SiO(質量比)が2を超える複合酸化物を、5規定以上のアルカリ金属水酸化物水溶液と接触させ、複合酸化物中の燐をアルカリ金属水酸化物水溶液中に抽出することを特徴とする燐の分離方法。
  3. 複合酸化物が製鋼スラグであることを特徴とする請求項2に記載の燐の分離方法。
  4. 燐が抽出されたアルカリ金属水酸化物水溶液から燐を回収することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燐の分離方法。
  5. 燐が抽出されたアルカリ金属水酸化物水溶液を、陽極側の1層目にカチオン交換膜、2層目にアニオン交換膜を配し、陰極側にカチオン交換膜を配した電界中を透過させることにより、アルカリ金属水酸化物水溶液からリン酸含有水溶液を分離することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燐の分離方法。
  6. 分離されたリン酸含有水溶液に薬剤を添加してリン酸化合物を析出させ、該リン酸化合物を回収することを特徴とする請求項5に記載の燐の分離方法。
  7. リン酸含有水溶液を分離した後のアルカリ金属水酸化物水溶液を、燐を抽出するための水溶液として再利用することを特徴とする請求項5又は6に記載の燐の分離方法。
  8. CaO分が10質量%以上、トータルFeが10質量%以上、P分が10質量%以上含まれる複合酸化物を、1規定以上のアルカリ金属水酸化物水溶液と接触させ、複合酸化物中の燐をアルカリ金属水酸化物水溶液中に抽出する工程(A)と、
    該工程(A)で燐が抽出されたアルカリ金属水酸化物水溶液を、陽極側の1層目にカチオン交換膜、2層目にアニオン交換膜を配し、陰極側にカチオン交換膜を配した電界中を透過させることにより、アルカリ金属水酸化物水溶液からリン酸含有水溶液を分離する工程(B)と、
    該工程(B)で分離されたリン酸含有水溶液に薬剤を添加してリン酸化合物を析出させ、該リン酸化合物を回収する工程(C)とからなり、
    前記工程(B)でリン酸含有水溶液を分離した後のアルカリ金属水酸化物水溶液を前記工程(A)にリサイクルするとともに、前記工程(A)で燐が抽出された後の複合酸化物の残渣を、石灰源及び/又は鉄源となる原料としてリサイクルすることを特徴とする無機材料の利材化方法。
  9. CaO分が30質量%以上、トータルFeが10質量%以上、P分が1〜5質量%含まれ、CaO/SiO(質量比)が2を超える複合酸化物を、5規定以上のアルカリ金属水酸化物水溶液と接触させ、複合酸化物中の燐をアルカリ金属水酸化物水溶液中に抽出する工程(A)と、
    該工程(A)で燐が抽出されたアルカリ金属水酸化物水溶液を、陽極側の1層目にカチオン交換膜、2層目にアニオン交換膜を配し、陰極側にカチオン交換膜を配した電界中を透過させることにより、アルカリ金属水酸化物水溶液からリン酸含有水溶液を分離する工程(B)と、
    該工程(B)で分離されたリン酸含有水溶液に薬剤を添加してリン酸化合物を析出させ、該リン酸化合物を回収する工程(C)とからなり、
    前記工程(B)でリン酸含有水溶液を分離した後のアルカリ金属水酸化物水溶液を前記工程(A)にリサイクルするとともに、前記工程(A)で燐が抽出された後の複合酸化物の残渣を、石灰源及び/又は鉄源となる原料としてリサイクルすることを特徴とする無機材料の利材化方法。
JP2012009174A 2012-01-19 2012-01-19 燐の分離方法 Active JP5884166B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012009174A JP5884166B2 (ja) 2012-01-19 2012-01-19 燐の分離方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012009174A JP5884166B2 (ja) 2012-01-19 2012-01-19 燐の分離方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013147382A JP2013147382A (ja) 2013-08-01
JP5884166B2 true JP5884166B2 (ja) 2016-03-15

Family

ID=49045286

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012009174A Active JP5884166B2 (ja) 2012-01-19 2012-01-19 燐の分離方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5884166B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102014108199B3 (de) 2014-06-11 2015-05-13 Bundesrepublik Deutschland, Vertreten Durch Den Bundesminister Für Wirtschaft Und Energie, Dieser Vertreten Durch Den Präsidenten Der Bundesanstalt Für Materialforschung Und -Prüfung (Bam) Herstellung citratlöslicher Phosphate durch Kalzinierung sekundärer Phosphatquellen mit einer Natrium-Schwefel-Verbindung
JP6593084B2 (ja) * 2015-10-13 2019-10-23 日本製鉄株式会社 鉄鋼スラグからのリン酸塩の回収方法
CN116532079A (zh) * 2023-04-28 2023-08-04 陕西科技大学 一种基于钢渣改性的磁性磷回收剂及其制备方法

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5597408A (en) * 1979-01-16 1980-07-24 Kawasaki Steel Corp Dephosphorization and desulfurization of mixed slag of blast furnace and converter
FR2589850B1 (fr) * 1985-11-08 1990-08-31 Rhone Poulenc Spec Chim Perfectionnement a un procede de production d'hydroxydes de terres rares par traitement de minerais contenant des phosphates de terres rares
JPH01100008A (ja) * 1987-10-12 1989-04-18 Nippon Parkerizing Co Ltd リン酸三ナトリウムの製造方法
JPH04171028A (ja) * 1990-11-01 1992-06-18 Tosoh Corp バイポーラ膜を用いた電気透析法水スプリッタシステム
JP3105347B2 (ja) * 1992-05-25 2000-10-30 日本パーカライジング株式会社 リン酸塩スラッジの処理方法
JP2591921B2 (ja) * 1994-12-05 1997-03-19 東曹産業株式会社 燐酸アルカリ金属塩の製造方法
JP3966156B2 (ja) * 2002-10-23 2007-08-29 Jfeスチール株式会社 極低燐ステンレス鋼の溶製方法
JP2004330039A (ja) * 2003-05-06 2004-11-25 Ngk Insulators Ltd リン及び凝集剤の回収方法
JP4829610B2 (ja) * 2004-12-28 2011-12-07 財団法人電力中央研究所 水酸アパタイト結晶を主成分とする吸着材の製造方法
JP4809090B2 (ja) * 2006-03-17 2011-11-02 メタウォーター株式会社 下水汚泥焼却灰を原料とする肥料の製造方法
JP5277559B2 (ja) * 2007-03-30 2013-08-28 栗田工業株式会社 リン酸含有水からリン酸を回収する方法および装置
JP4992019B2 (ja) * 2007-08-10 2012-08-08 公益財団法人地球環境産業技術研究機構 酸とアルカリの製造方法
JP5001787B2 (ja) * 2007-10-24 2012-08-15 一般財団法人電力中央研究所 水酸アパタイトを主成分とする吸着材の製造方法及び製造装置
JP5721251B2 (ja) * 2010-06-03 2015-05-20 株式会社タクマ 流動層炉の使用済み炉内砂再生方法
JP5793842B2 (ja) * 2010-09-29 2015-10-14 Jfeスチール株式会社 燐の分離方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013147382A (ja) 2013-08-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6263144B2 (ja) 製鋼スラグからカルシウムを含有する固体成分を回収する方法、および回収された固体成分
JP5569174B2 (ja) 製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法並びに高炉スラグ微粉末または高炉スラグセメント及び燐酸資源原料
JP5560947B2 (ja) 製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法並びに高炉スラグ微粉末または高炉スラグセメント及び燐酸資源原料
WO2015114703A1 (ja) リンおよびカルシウムの回収方法および前記回収方法によって得られる混合物
CN109338099B (zh) 钙化焙烧提钒原料及其提钒方法
KR102526438B1 (ko) 철 및 강철 슬래그로부터 제품을 회수하기 위한 방법 및 시스템
JP5935770B2 (ja) 燐酸資源原料の製造方法及び燐酸質肥料
JP2020516769A (ja) リチウムを回収する方法
JP6119361B2 (ja) 肥料用リン酸含有スラグの製造方法
JP5884166B2 (ja) 燐の分離方法
JP2010270378A (ja) 製鋼スラグからのリン回収方法
Mochizuki et al. Separation of valuable elements from steel making slag by chlorination
JP5594183B2 (ja) 製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法及び燐酸肥料用原料
Attah et al. Vanadium recovery from steel converter slag utilised as an oxygen carrier in oxygen carrier aided combustion (OCAC)
JP6003911B2 (ja) リン酸質肥料原料、リン酸質肥料およびその製造方法
JP5793842B2 (ja) 燐の分離方法
JP6593084B2 (ja) 鉄鋼スラグからのリン酸塩の回収方法
JP2019002060A (ja) 製鋼スラグからの燐の分離回収方法
JP5829788B2 (ja) 燐酸資源原料の製造方法
KR101229900B1 (ko) 슬래그 안정화 방법
JP2012233650A (ja) 製鋼スラグの燐分離方法および製鋼スラグの燐分離装置
JP5915711B2 (ja) 製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法
JP2021500478A (ja) コバルト保持物質からの金属の回収方法
JP2019162610A (ja) スラグからセレンを除去する方法および装置並びにスラグの再利用方法および再生スラグの製造方法
JP5748925B1 (ja) リンおよびカルシウムの回収方法および前記回収方法によって得られる混合物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141029

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20141029

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20141029

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150428

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150609

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150714

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151020

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151124

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160105

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160118

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5884166

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250